説明

ポリマー粒子の分散物、前記分散物を含む組成物および美容的処理方法

【課題】本発明は、非水性媒体中の、表面安定化したポリマーの粒子の新規の分散物に関する。また、化粧品的または医薬的に許容可能な媒体中に、前記分散物を含む化粧品または医薬組成物に関する。この組成物は、特には、口紅またはヘア組成物とすることができる。また、前記組成物を使用した、ケラチン物質の美容処理のための方法に関する。
【解決手段】本発明のポリマーは、PEG(ポリエチレングリコール)部分を含むエチレン性モノマーを5から50重量%含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非水性媒体に分散させた全く特殊なポリマーの粒子の新規な分散物、そして、前記分散物を含む組成物、特に化粧品または医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化粧品においては、有機溶媒中の、ポリマー粒子、一般的にはナノメールサイズのポリマー粒子の分散物を使用することが既知の方法であり、具体的には、例えば、EP749747を介して、非揮発性の流動パラフィンまたはイソドデカン中のポリ(メチル(メタ)アクリレート)粒子の非水性分散物を使用することが既知の方法である。しかしながら、これらの分散物は、最適な化粧品特性、具体的には、滑り性、快適性、保持性および感触、特には柔らかさに関する最適な特性を得ることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】EP749747
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
驚くべきことに、本出願人は、安定化剤により非水性溶媒中で安定化したポリマー粒子の新規な分散物を発見し、この分散物により、望む化粧品特性(感触、柔らかさ、滑り性)を提供することが可能となった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
それ故、本発明の対象は、25℃で液体であり、20(MPa)1/2以下のハンセンの溶解空間による全体溶解度パラメーター(overll solubility parameter)を有する少なくとも1つの非水性化合物またはこのような化合物の混合物を含む非水性媒体中の、安定化剤で表面を安定化した少なくとも1つのエチレン性ポリマーの粒子の分散物であって、前記エチレン性ポリマーが、モノマーの総重量に対して、5重量%以上50重量%未満の、以下に記載する式(I)のモノマーを、単独または混合物として含むことを特徴とする分散物である。
【0006】
本発明の対象は、また、化粧品的または医薬的に許容可能な媒体中に、少なくとも1つの前記の分散物を含む化粧品または医薬組成物である。
【0007】
本発明の分散物がそんなに高くない粘度を有することを考慮すれば、本発明により、容易に実施できるポリマーを調製することが可能となり、それにより、化粧品組成物中での使用を容易にすることができる。
【0008】
化粧品の分野においては、これらの組成物により、改善された快適性の特性、特に改善された滑り性が、具体的には湿気のある環境下において提供される。更には、ポリマーは、外来的な侵襲に対して、特にはかなりの摩擦(食事)に対して耐性と保持力とを有する。それ故、快適さおよび保持力は改善される。口紅の場合、唇上の唾液の使用により、膨張効果、すなわちボリュームが生じることができ、それにより、ふくよかな効果がもたらされる;このように表面に生じた湿った皮膜は、沈殿を防ぎ、「濡れた」輝きを付与する。
【0009】
ヘアケアの分野においては、これらの組成物は、毛髪に、ボリュームと形状保持とを付与することができる。加えて、これらの分散物または組成物は、スタイリング効果と形状保持効果とに加えて、乾燥および/または湿った媒体中で、ソフトでベタベタしない感触を与え、柔らかさ、更には、毛髪のもつれを解き、スムーズにすることができる。
【0010】
本発明の他の有利な点は、ポリマー粒子が、例えば、他のタイプの粒子(直径が一般的に1ミクロンを超えるミクロスフェアなど)の場合とは異なり、非常に小さなサイズ、具体的にはナノメートルサイズとすることができるという事実にある。しかしながら、ミクロンオーダーのより大きなサイズでは、組成物中に存在し、皮膚に塗布する場合、目に対する特定の認知性を粒子に付与するという欠点を有し、更には、組成物の安定性を、特に時間の経過と共に劣ったものにするという欠点も有する。それ故、本発明の分散物によって、分散させたポリマー粒子のサイズに依存して、望むように、透明、半透明または不透明にもすることができる安定な組成物を得ることができる。
【0011】
更にその上、本発明の分散物は、油性媒体に存在し、特に化粧品分野において好まれる;しかしながら、PEG(ポリエチレングリコール)単位を含むポリマーは、今までのところ、一般的に、水性の溶液または分散物においては使用されておらず、それ故、化粧品分野において調合することがより困難であった。
【0012】
それ故、本発明の分散物は、非水性媒体中で、安定化剤で表面安定化した少なくとも1つのエチレン性ポリマーの粒子、一般的には球形の粒子を構成する。
【0013】
本発明の分散物は、特には、非水性媒体における、安定な分散物中のナノ粒子のポリマーの形態とすることができる。ナノ粒子は、約600nmを超えれば、粒子分散物が極めて安定性が悪くなることを考えれば、好ましくは、5から600nmのサイズ、特定には10から500nmのサイズ、より良好には15から450nmのサイズを有する。
【0014】
具体的には、これらの粒子は、前記非水性媒体において、分散物中に存在する場合、凝集物を形成することなく、基本の粒子の形態を維持し続ける。
【発明を実施するための形態】
【0015】
用語「エチレン性」ポリマーは、エチレン性不飽和を含む、同一または異なっていてもよい少なくとも2つのモノマーの重合化によって得られるポリマーを意味することを意図する。前記エチレン性ポリマーは、組成物についての望むその後の使用にしたがって、その特定に応じて、当業者によって選択されることができる。これらのポリマーは、特には、架橋されることができる。
【0016】
本発明のポリマーは、直鎖、枝分かれ、グラフト、更には、星型、ホモポリマーまたはコポリマーとすることができる。これらは、ランダムまたは交互ポリマーとすることができる。好ましくは、直鎖のランダムコポリマーである。
【0017】
本発明のエチレン性ポリマーは、モノマーの総重量に対して5重量%以上50重量%未満の親水性モノマーまたはそのようなモノマーの混合物を含む。
【0018】
本発明のエチレン性ポリマーは、好ましくは、開始モノマーの総重量に対して、7から49重量%、好ましくは8から45重量%、更には10から40重量%、特には15から35重量%の親水性モノマーを、単独または混合物として含む。
【0019】
本発明の目的のための親水性モノマーは、単独または混合物として、以下の式(I)のモノマーおよびその塩から選択される。
【0020】
【化1】

【0021】
[式中:
- R1は、水素原子またはCpH2p+1(pは、1と12の間すべてを含む整数である)タイプの直鎖もしくは枝分かれ炭化水素ベースの基であり、
- Zは、-COO-、-CONH-、-CONCH3-、-OCO-、-O-、-SO2-、-CO-O-CO-または-CO-CH2-CO-から選択される二価の基であり、
- xは、0または1であり、
- R2は、O、N、S、F、SiおよびPから選択される1から18個のへテロ原子を含むことができる1から30個の炭素原子を含む、直鎖、枝分かれまたは環状の、場合によっては芳香族の、飽和または不飽和の二価の炭素ベースの基であり、
- mは、0または1であり、
- nは、3と300の間すべてを含む整数であり、
- R3は、水素原子またはO、N、S、F、SiおよびPから選択される1から20個のへテロ原子を含むことができる1から30個の炭素原子を含む、直鎖、枝分かれまたは環状の、場合によっては芳香族の、飽和または不飽和の炭素ベースの基である]
【0022】
特に、R1は、メチル、エチル、プロピルまたはブチル基を表すことができる。好ましくは、R1は、水素またはメチル基を表す。
【0023】
好ましくは、Zは、COOまたはCONH、好ましくはCOOを表す。
【0024】
好ましくは、xは、1に等しい。
【0025】
R2基中、1つまたは複数のヘテロ原子は、それらが存在する場合、その鎖中または前記R2基中に挿入することができ、あるいは前記R2基は、ヒドロキシル、アミノ(NH2、NHR'またはNR'R''であり、R'およびR''は、同一であるかまたは異なり、直鎖または枝分かれのC1〜C22のアルキル、特にメチルまたはエチルを表す)、-CF3、-CN、-SO3Hまたは-COOH等のそれらを含む1つまたは複数の基によって置換されていてもよい。
【0026】
特に、R2は、-O-、-N(R)-もしくは-CO-基またはそれらの組み合わせを、特には、-O-CO-O-、-CO-O-、-N(R)CO-、-O-CO-NR-または-NR-CO-NR-(但し、Rは、H、または、O、N、S、F、Cl、Br、SiおよびPから選択される1から12個のへテロ原子を場合によって含む直鎖もしくは枝分かれC1〜C22アルキルを表す)を含むことができる。
【0027】
特に、R2は、
- メチレン、エチレン、n-プロピレン、イソプロピレン、n-ブチレン、イソブチレン、tert-ブチレン、ペンチレン、イソペンチレン、n-ヘキシレン、イソヘキシレン、ヘプチレン、イソヘプチレン、n-オクチレン、イソオクチレン、ノニレン、イソノニレン、デシレン、イソデシレン、n-ドデシレン、イソドデシレン、トリデシレン、n-テトラデシレン、ヘキサデシレン、n-オクタデシレン、ドコサニレンまたはアラキニレン等の1から20個の炭素原子を含むアルキレン基;
- シクロペンチレン、シクロヘキシレン、シクロヘプチレン、シクロオクチレン、シクロノニレンまたはシクロデシレン等の5から10個の炭素原子を含む置換または非置換シクロアルキレン基;
- O、N、S、F、SiおよびPから選択される1から18個のへテロ原子を場合によって含むC1〜C12アルキル基により場合により置換されているフェニレン基-C6H4-(オルト、メタまたはパラ);
- O、N、S、F、SiおよびPから選択される1から18個のへテロ原子を場合によって含むC1〜C12アルキル基により場合により置換されているベンジレン基-C6H4-CH2-;
- 式-CH2-O-CO-O-、-CH2-CH2-O-CO-O-、-CH2-CO-O-、-CH2-CH2-CO-O-、-CH2-O-CO-NH-、-CH2-CH2-O-CO-NH-; -CH2-NH-CO-NH-、-CH2-CH2-NH-CO-NH-;-CH2-CHOH-、-CH2-CH2-CHOH-、-CH2-CH2-CH(NH2)-、-CH2-CH(NH2)-、-CH2-CH2-CH(NHR')-、-CH2-CH(NHR')-、-CH2-CH2-CH(NR'R'')-、-CH2-CH(NR'R'')-、-CH2-CH2-CH2-NR'-、-CH2-CH2-CH2-O-;-CH2-CH2-CHR'-O-(但し、R'およびR''は、O、N、S、F、SiおよびPから選択される1から12個のへテロ原子を場合によって含む直鎖または枝分かれのC1〜C22アルキルを表す)の基
- またはこれらの基の混合物
とすることができる。
【0028】
好ましくは、R2は、
- 1から20個の炭素原子を含むアルキレン基、具体的には、メチレン、エチレン、n-プロピレン、n-ブチレン、n-ヘキシレン、n-オクチレン、n-ドデシレンまたはn-オクタデシレン;
- O、N、S、F、SiおよびPから選択される1から18個のへテロ原子を場合によって含むC1〜C12アルキル基により場合により置換されているフェニレン基-C6H4-(オルト、メタまたはパラ);または
- O、N、S、F、SiおよびPから選択される1から18個のへテロ原子を場合によって含むC1〜C12アルキル基により場合により置換されているベンジレン基-C6H4-CH2-
とすることができる。
【0029】
好ましくは、nは、5と200の間のすべてを含み、さらに好ましくは7と100の間のすべてを含み、実にさらには9と50の間のすべてを含む。
【0030】
好ましくは、R3は、水素原子; O、N、S、F、SiおよびPから選択される1から20個のへテロ原子を場合によって含むC1〜C12アルキル基により場合によって置換されているフェニル基; O、N、S、F、SiおよびPから選択される1から18個のへテロ原子を場合によって含むC1〜C30、特にC1〜C22、実にさらにはC2〜C16のアルキル基;あるいはO、N、S、F、SiおよびPから選択される1から18個のへテロ原子を場合によって含むC3〜C12、特にC4〜C8、実にさらにはC5〜C6のシクロアルキル基である。
【0031】
これらのアルキル、シクロアルキルまたはフェニル基は、特に、次の官能基:
【0032】
【化2】

【0033】
ならびに/あるいは、-SO3H、-COOH、-PO4、-NR5R6 または-N+R5R6R7[式中、R5、R6およびR7は、互いに独立して、H、または、1つもしくは複数のへテロ原子を場合によって含むまたはt-ブチルオキシカルボニル(BOCとしても知られる)もしくは9-フルオレニルメトキシカルボニル(FmoCとしても知られる)等の保護基を場合によって有する直鎖、枝分かれもしくは環状のC1〜C18アルキル、特にメチルから選択される]
から選択される1つまたは複数の官能基を含むことができる。
【0034】
R3基の中では、メチル、エチル、プロピル、ベンジル、エチルヘキシル、ラウリル、ステアリルおよびベヘニル(- (CH2)21-CH3)鎖、さらに、例えば、ヘプタデカフルオロオクチルスルホニルアミノエチルCF3-(CF2)7-SO2-N(C2H5)-CH2-CH2などのフッ素化アルキル鎖、あるいは、 -CH2-CH2-CN、スクシンイミド、マレイミド、メシチル、トシル、トリエトキシシランまたはフタルイミド鎖が挙げられる。
【0035】
好ましくは、(I)のモノマーは、以下である。
- R1=Hまたはメチル、
- Z=COO、
- x=1、
- m=0、
- n=7〜100
- R3が、水素原子;C1〜C12アルキル基により場合によって置換されているフェニル基;およびC1〜C30、特にC1〜C22、実にさらにはC2〜C16のアルキル基から選択される。
【0036】
特に好ましい式(I)のモノマーの中では、
- R1が、Hまたはメチルであり、ZがCOOであり、x=1、m=0、R3=Hであるポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、
- R1が、Hまたはメチルであり、ZがCOOであり、x=1、m=0、R3=メチルであるメトキシポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレートとしても称されるメチルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、
- R1が、Hまたはメチルであり、ZがCOOであり、x=1、m=0、R3=アルキルであるアルキルポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、
- R1が、Hまたはメチルであり、ZがCOOであり、x=1、m=0、R3=フェニルであるポリ(エチレングリコール)フェニルエーテル(メタ)アクリレートとしても称されるフェニルポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、
を挙げることができる。
【0037】
市販のモノマーの例としては:
- CD 350(メトキシポリ(エチレングリコール350)メタクリレート)およびCD 550(メトキシポリ(エチレングリコール550)メタクリレート)、Sartomer Chemicals社が供給、
- M90G[メトキシポリ(エチレングリコール)(9個の繰返し単位)メタクリレート]およびM230G[メトキシポリ(エチレングリコール)(23個の繰返し単位)メタクリレート]、新中村化学工業社から入手可能、
- 平均分子量が300、475または1100のメトキシポリ(エチレングリコール)メタクリレート、Sigma-Aldrich社から入手可能、
- 平均分子量が426のメトキシポリ(エチレングリコール)アクリレート、Sigma-Aldrich社から入手可能、
- メトキシポリ(エチレングリコール)メタクリレート、Laporte社から、商品名: MPEG 350、MPEG 550、S10WおよびS20Wとして入手可能、またはCognis社から、商品名BISOMERとして入手可能、
- 平均分子量が1900または5000のポリ(エチレングリコール)モノメチルエーテル、モノ(スクシンイミジルスクシナート)エステル、Polysciences社製、
- ベヘニルポリ(エチレングリコールPEG-25)メタクリレート、Rhodia社から品名Sipomer BEM入手可能、
- 平均分子量、236、280または324のポリ(エチレングリコール)フェニルエーテルアクリレート、Aldrich社から入手可能、
- メトキシポリエチレングリコール5000の2-(ビニルスルホニル)-エチルエーテル、Fluka社から商業的に入手可能、
- ポリ(エチレングリコール)エチルエーテルメタクリレート、Aldrich社から入手可能、
- ポリ(エチレングリコール)8000、4000および2000メタクリレート、Monomer-Polymer & Dajac Laboratories社製、
がある。
【0038】
特に好ましい式(I)のモノマーは、ポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレートおよびアルキルポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、より具体的には、メチルポリ(エチレングリコール)メタアクリレートから選択される。
【0039】
本発明のエチレン性ポリマーは、当然ながら、単一の式(I)のモノマーまたはこのようなモノマーの混合物を含む。
【0040】
分散物中に存在するポリマーは、それ故、1つまたは複数の式(I)のモノマーと、1つまたは複数の追加のモノマーとの重合に由来し、それらは、それ故、モノマーの総重量に対して、50から95重量%、特には51から97重量%、更には55から98重量%、良好には60から90重量%、好ましくは65から85重量%の割合で存在する。
【0041】
本発明において使用することができる追加のモノマーの中では、単独または混合物として、以下の式(II)のモノマーおよびその塩を挙げることができる。
【0042】
【化3】

【0043】
[式中、
- R1は、水素原子またはCpH2p+1(pは、1と12の間すべてを含む整数である)タイプの直鎖もしくは枝分かれ炭化水素ベースの基であり、
特に、R1は、メチル、エチル、プロピルまたはブチル基を表すことができ、好ましくは、R1は、水素またはメチル基を表し、
- Z'は、-COO-および-CONH-から選択される二価の基であり、
- x'は、0または1、好ましくは1であり、
- R'2は、O、N、S、F、SiおよびPから選択される1から18個のへテロ原子を含むことができる1から30個の炭素原子を含む、直鎖、枝分かれまたは環状の、場合によっては芳香族の、飽和または不飽和の、二価の炭素ベースの基であり、
特に、R'2は、
- メチレン、エチレン、プロピレン、n-ブチレン、イソブチレン、tert-ブチレン、n-ヘキシレン、n-オクチレン、n-ドデシレン、n-オクタデシレン、n-テトラデシレンまたはn-ドコセニレン等のアルキレン基、
- N、O、S、F、Siおよび/またはPから選択される1から18個のへテロ原子を場合によって含むC1〜C12アルキル基により場合により置換されているフェニレン基-C6H4-(オルト、メタまたはパラ)、あるいは、O、N、S、F、SiおよびPから選択される1から18個のへテロ原子を場合によって含むC1〜C12アルキル基により場合により置換されているベンジレン基-C6H4-CH2-、
- それらの混合物
であることができ、
- m'は、0または1であり、
- Xは、-H、-COOH、-SO3H、-OSO3H、-PO3H2および-OPO3H2から選択される]
【0044】
好ましい式(II)のモノマーの中では、単独または混合物として、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、ジアクリル酸、ジメチルフマル酸、シトラコン酸、アクリルアミドプロパンスルホン酸、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニル安息香酸、ビニルリン酸、ビニルスルホン酸、ビニルベンゼンスルホン酸、式CH2=CH-CONHCH(OH)COOHのアクリルアミドグリコール酸、ビニルホスホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート(CH2=C(CH3)CO2(CH2)3SO3H)、スルホエチル(メタ)アクリレート、ビニルメチルスルホン、式CH2=C(CH)3COOC2H4OP(O)(OH)2の2-(メタクリロイルオキシ)エチルホスフェート、およびこれらの塩、ならびにこれらの混合物を挙げることができる。
【0045】
追加のモノマーは、以下のモノマーから、単独または混合物として選択することができる:
- (i)式CH2=CHCOOR4またはCH2=C(CH3)COOR4の(メタ)アクリル酸エステル
[但し、R4は、O、NおよびSから選択される1つもしくは複数の挿入されたヘテロ原子を場合によって含み、ならびに/または、-OHおよびハロゲン原子(Cl、Br、IおよびF)から選択される1つもしくは複数の置換基で場合によって置換された、1から32個の炭素原子を含む、直鎖、環状または枝分かれの、飽和または不飽和の炭素ベースの、具体的には炭化水素ベースの(アルキル)鎖を表す]、
特には、炭素ベース鎖R4
- C1〜C32アルキル基、
- C3〜C8シクロアルキル基、
- C6〜C20アリール基、
- C7〜C30アラルキル基(C1〜C4アルキル基)、
- O、NおよびSから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含む、4〜12員環を含む複素環基、
- フルフリル基などのヘテロシクリルアルキル基(C1〜C4アルキル)
であることができ、
前記アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、複素環基またはヘテロシクリルアルキル基は、O、NおよびSから選択される1つもしくは複数の挿入されたヘテロ原子を含むことができ、ならびに/または、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、およびO、N、SおよびPから選択される1つまたは複数のヘテロ原子が場合によって挿入されている直鎖もしくは枝分かれC1〜C4アルキル基から選択される1つまたは複数の置換基で置換されることができ、ならびに/または、加えて、前記アルキル基は、ヒドロキシル基およびハロゲン原子(Cl、Br、IおよびF)から選択される1つもしくは複数の置換基で場合によって置換されることができる。
それ故、メチル、エチル、プロピル、n-ブチル、イソブチル、2-エチルヘキシル、オクチル、イソオクチル、イソデシル、デシル、ラウリル、トリデシル、ドデシル、ミリスチル、セチル、パルミチル、ステアリル、ベヘニルおよびオレイル(メタ)アクリレート;tert-ブチル、t-ブチルシクロヘキシル、t-ブチルベンジル、フルフリルおよびイソボルニル(メタ)アクリレート;ならびに2-ヒドロキシエチル、エトキシエチル、2-メトキシエチルおよびヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートを挙げることができる。

- (ii)式CH2=CHCONR5R'5またはCH2=C(CH3)CONR5R'5の(メタ)アクリルアミド
[式中、R5およびR'5は、同じまたは異なっていてよく、水素原子、または、O、NおよびSから選択される1つもしくは複数の挿入されたヘテロ原子を場合によって含み、ならびに/または、-OHおよびハロゲン原子(Cl、Br、IおよびF)から選択される1つもしくは複数の置換基で場合によって置換された、7〜28個の炭素原子を含む、直鎖、環状もしくは枝分かれの、飽和または不飽和の、場合によっては芳香族の、炭素ベースの、具体的には炭化水素ベースの(アルキル)鎖を表す]、
特には、炭素ベース鎖R5および/またはR'5
- C7〜C28アルキル基、
- C7〜C8シクロアルキル基、
- C7〜C20アリール基、
- C7〜C28アラルキル基(C1〜C4アルキル基)、
- O、NおよびSから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含む、4〜12員環を含む複素環基、
- フルフリル基などのヘテロシクリルアルキル基(C1〜C4アルキル)
であることができ、
前記アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、複素環基またはヘテロシクリルアルキル基は、O、NおよびSから選択される1つもしくは複数の挿入されたヘテロ原子を含むことができ、ならびに/または、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、およびO、N、SおよびPから選択される1つまたは複数のヘテロ原子が場合によって挿入されている直鎖もしくは枝分かれC1〜C4アルキル基から選択される1つまたは複数の置換基で置換されることができ、ならびに/または、加えて、前記アルキル基は、ヒドロキシル基およびハロゲン原子(Cl、Br、IおよびF)から選択される1つもしくは複数の置換基で場合によって置換されることができる。
このようなモノマーの例は、N-tert-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-ブチル(メタ)アクリルアミド、N-イソブチル(メタ)アクリルアミド、N-プロピル-メタアクリルアミド、N-イソプロピルメタアクリルアミド、N-ヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-2-エチルヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-オクチル(メタ)アクリルアミド、N-イソオクチル(メタ)アクリルアミド、N-ノニル(メタ)アクリルアミド、N-ウンデシル(メタ)アクリルアミド、N-ドデシル(メタ)アクリルアミド、N-トリデシル(メタ)アクリルアミド、N-テトラデシル(メタ)アクリルアミド、N-ヘキサデシル(メタ)アクリルアミド、N-パルミチル(メタ)アクリルアミド、N-オクタデシル(メタ)アクリルアミド、N-ドコサノイル(メタ)アクリルアミド、N-オクタデセノイル(メタ)アクリルアミド、N-シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N-フェニル(メタ)アクリルアミド、N-イソボルニル(メタ)アクリルアミド、N-ベンジル(メタ)アクリルアミド、N,N-ジブチル(メタ)アクリルアミドおよびN,N-ジエチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミドである。

- (iii)式CH2=CH-OCO-R6のビニルエステル
[但し、R6は、1から12個の炭素原子を含む、直鎖または枝分かれの、飽和または不飽和の炭素ベースの、具体的には炭化水素ベースの鎖を表す]
これらの中で、ビニルアセテート、ビニルブチレート(ブタノエート)、ビニルエチルヘキサノエート、ビニルネオノナノエート、ビニルネオドデカノエート、ビニルプロピオネート、ビニルヘキサノエート、ビニルエチルヘキサノエート、ビニルオクタノエート、ビニルデカノエート、ビニルピバレート、ビニルパルミテート、ビニルステアレート、ビニルシクロヘキサノエート、ビニルベンゾエートおよびビニル4-tert-ブチルベンゾエートを挙げることができる。

- (iv)式CH2=CHOR7のビニルエーテル
[但し、R7は、2から12個の炭素原子を含む、直鎖または枝分かれの、飽和または不飽和の炭素ベースの、具体的には炭化水素ベースの鎖を表す]
これらの中で、エチルビニルエーテル、エチルヘキシルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル、オクチルビニルエーテル、デシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ヘキサデシルビニルエーテルおよびオクタデシルビニルエーテルを挙げることができる。

- (v)式CH2=CHR8のビニル化合物、
[式中、R8は、
- ヒドロキシル基、
- O、N、SおよびPから選択される1つもしくは複数のヘテロ原子が場合によって挿入された、1から25個の炭素原子を含む直鎖または枝分かれのアルキル基;前記アルキル基は、加えて、-OHならびにハロゲン原子(Cl、Br、IおよびF)から選択される1つまたは複数の置換基で場合によって置換されることができる、
- シクロヘキサンなどのC3〜C8シクロアルキル基、
- フェニルなどのC6〜C20アリール基、
- 2-フェニルエチルまたはベンジルなどのC7〜C30アラルキル基(C1〜C4アルキル基)、
- O、NおよびSから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含む、4〜12員環を含む複素環基、
- フルフリル、フルフリルメチルまたはテトラヒドロフルフリルメチルなどのヘテロシクリルアルキル基(1〜4個の炭素原子を含むアルキル)
を表し、
前記シクロアルキル、アリール、アラルキル、複素環基またはヘテロシクリルアルキル基は、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、ならびにO、N、SおよびPから選択される1つまたは複数のヘテロ原子が場合によって挿入されている直鎖もしくは枝分かれC1〜C4アルキル基から選択される1つまたは複数の置換基で場合によって置換されることができ、加えて、前記アルキル基は、-OHならびにハロゲン原子(Cl、Br、IおよびF)から選択される1つもしくは複数の置換基で場合によって置換されることができる]
ビニルモノマーの例は、ビニルシクロヘキサン、スチレン、ビニルカプロラクタム、メチルスチレン、4-tert-ブチルスチレン、4-アセトキシスチレン、4-メトキシスチレン、3-メチルスチレン、4-メチルスチレン、2-シクロスチレン、3-シクロスチレン、4-シクロスチレン、ジメチルスチレン、2,6-ジクロロスチレン、2,4-ジメチルスチレン、2,5-ジメチルスチレン、3,5-エトキシスチレン、2,4-エトキシスチレン、ビニルブチラル、ビニルクロリド、ビニルホルマル、ビニリデンクロリド、ビニリデンフルオリド、2-ビニルナフタレン、N-メチルマレイミド、1-オクテン、1-ブテン、クロロブタジエン、クロロトリフルオロエチレン、cis-イソプレン、trans-イソプレン、1-オクタデセン、ブタジエン、ヘキサデセン、エイコセンおよび4-フルオロスチレンである。
【0046】
最も特に好ましい追加のモノマーの中では、以下のモノマーおよびその混合物を挙げることができる:
- C1〜C18としてのR4を有する(メタ)アクリル酸エステル、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートまたはイソボルニル(メタ)アクリレート;
- スチレン、エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ビニルヘキサノエート;
- アクリル酸およびメタクリル酸。
【0047】
酸官能基を含む場合、本発明のポリマーは、有機塩基、例えば、一級、二級または三級アミンまたはアルキルアミンで完全にまたは部分的に中和することができ、ここで、前記アミンは、置換基(ヒドロキシル)、ならびに/または、1つもしくは複数の窒素および/もしくは酸素原子を含むことができる。具体的には、2-アミノ-2-メチルプロパノール、トリエチルアミン、ブチルアミン、トリエタノールアミン、2-(ジメチルアミノ)プロパノール、リジン、3-(ジメチルアミノ)プロピルアミン、シクロヘキシルアミン、N-オクチルアミン、N-ドデシルアミンおよびN-オクタデシルアミンを挙げることができる。
【0048】
塩基性官能基を含む場合、本発明のポリマーは、1つまたは複数のカルボン酸、スルホン酸またはリン酸を含むことができる有機酸で完全にまたは部分的に中和することができる。酸は、直鎖、枝分かれまたは環状の脂肪族酸または代替的に芳香族酸でありうる。特に、酢酸、アルファ-ヒドロキシエタン酸、アルファ-ヒドロキシオクタン酸、アルファ-ヒドロキシカプリル酸、アスコルビン酸、安息香酸、ベヘン酸、カプリン酸、カプロン酸、カプリル酸、クエン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、2-エチルカプロン酸、葉酸、フマル酸、ガラクタル酸、グルコン酸、グリコール酸、2-ヘキサデシルエイコサン酸、ヒドロキシカプロン酸、12-ヒドロキシステアリン酸、イソラウリン酸(または2-ブチルオクタン酸)、イソミリスチン酸(または2-ヘキシルオクタン酸)、イソアラキジン酸(または2-オクチルドデカン酸)、イソリグノセリン酸(または2-デシルテトラデカン酸)、乳酸、ラウリル酸、リンゴ酸、ミリスチン酸、オレイン酸、パルミチン酸、プロピオン酸、セバシン酸、ステアリン酸、酒石酸、テレフタル酸、トリメシン酸、ウンデシレン酸、プロピルベタイン、ココアミドプロピルベタインおよびこれらの混合物を挙げることができる。
【0049】
中和可能な酸および/もしくはアミン官能基を有するモノマーを、重合前に中和することができ、または、いったん形成したポリマーを中和することもできる。好ましくは、ポリマーは、形成後に中和する。
【0050】
好ましくは、ポリマーは、1つのガラス転移温度のみを有する。
【0051】
しかしながら、いつかのガラス転移温度、具体的には2つのTgを有しうる;この場合においては、好ましくは、最も低いTgは、+20℃未満である。
【0052】
本発明において使用できるポリマーは、好ましくは、2000から1000000の、具体的には3000から800000の、好ましくは4000から500000の、更には10000から300000の数平均分子量(Mn)を有する。
【0053】
本発明のポリマー粒子の分散物は、それ故、前記粒子が分散した非水性媒体を含む。
【0054】
この非水性媒体は、25℃で液体であり、Hansen溶解度空間による20(MPa)1/2以下の全体溶解度パラメーター(overall solubility parameter)を有する、少なくとも1つの非水性化合物、またはそのような化合物の混合物から構成される。
【0055】
Hansen溶解度空間による、全体溶解度パラメーターδは、“Polymer handbook” 3rd Edition, Chapter VII, Pages 519-559に記載された、Grulkeによる論文“Solubility parameter values”において、下式の通り定義されている:
δ=(dD2+dP2+dH21/2
[式中、
- dDは、分子衝突の際に誘発される双極子の生成により発生するロンドン分散力を表し、
- dPは、永久双極子間のドバイ相互作用力を表し、
- dHは、特定相互作用(水素結合、酸/塩基、ドナー/アクセプター等)の力を表す。
【0056】
Hansenによる三次元溶解度空間中の溶媒の定義は、Hansenによる論文“The three dimentional sulubility parameters”, J. Paint Technol. 39, 105 (1967)に記載されている。
【0057】
Hansen溶解度空間による20(MPa)1/2以下の全体溶解度パラメーターを有する非水性液体化合物の中では、液体脂肪物質、具体的には、場合によっては分枝の、天然または合成の炭素ベース、炭化水素ベース、フルオロおよび/またはシリコーンオイルから、単独または混合物として選択することができるオイルを挙げることができる。
【0058】
これらのオイルの中では、ポリオールの脂肪酸エステルから生成する植物オイル、特にトリグリセリド、例えばサンフラワーオイル、セサミオイルまたは菜種油、あるいは、長鎖(すなわち、6から20個の炭素原子を含む鎖)の酸またはアルコールから誘導されるエステル、特に式RCOOR'のエステル(式中、Rは、7から19個の炭素原子を有する高級脂肪酸残基を表し、R'は、3から20個の炭素原子を有する炭化水素ベースの鎖、例えば、パルミテート、アジペート、ミリステートおよびベンゾエートを表す)、特にジイソプロピルアジペートおよびイソプロピルミリステートを挙げることができる。
【0059】
また、炭化水素、特に流動パラフィン、流動ワセリンまたは水素化ポリイソブチレン、C8-C16イソパラフィンおよび揮発性イソパラフィン、例えばイソドデカンまたは「ISOPARs」を挙げることができる。
【0060】
シリコーンオイル、例えば、場合によってはフッ素化された脂肪族および/もしくは芳香族基によって場合によっては置換された、またはヒドロキシル、チオールおよび/もしくはアミン基等の官能基によって場合によっては置換されたポリジメチルシロキサンおよびポリメチルフェニルシロキサン;ならびに、揮発性シリコーンオイル、特に揮発性環状または直鎖シリコーンオイル、例えば、シクロジメチルシロキサン、シクロフェニルメチルシロキサンおよび直鎖ジメチルシロキサン(この中では、直鎖のドデカメチルペンタシロキサン(L5)、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサンおよびヘプタメチルオクチルトリシロキサンを挙げることができる)もまた、挙げることができる。
【0061】
さらに、単独または混合物として、6から30個の炭素原子を含む直鎖、枝分かれまたは環状のエステル、6から30個の炭素原子を含むエーテルおよび6から30個の炭素原子を含むケトンから選択される溶媒を挙げることができる。
【0062】
使用することができる非水性化合物の中では、Hansen溶解度空間による、20(MPa)1/2以下の全体溶解度パラメーターを有するモノアルコール、すなわち、少なくとも6個、具体的には6から32個の炭素原子を含む脂肪族脂肪モノアルコールであって、その炭化水素ベース鎖は置換基を含まないモノアルコールを挙げることができる。本発明のモノアルコールとしては、オレイルアルコール、デカノール、ドデカノール、オクタデカノールおよびリノレイルアルコールを挙げることができる。
【0063】
1つの好ましい実施態様においては、非水性媒体は、揮発性、具体的には環状または直鎖のシリコーンオイル、例えばシクロジメチルシロキサンおよび直鎖ジメチルシロキサン、ならびに/または、式RCOOR'のエステル(式中、Rは、7から19個の炭素原子を有する高級脂肪酸残基を表し、R'は、3から20個の炭素原子を有する炭化水素ベースの鎖、例えば、パルミテート、アジペート、ミリステートおよびベンゾエートを表す)、特にジイソプロピルアジペートおよびイソプロピルミリステート、ならびにこれらの混合物を含む。
【0064】
他の好ましい実施態様においては、非水性媒体は、炭化水素、特には流動パラフィン、流動ワセリン、または水素化ポリイソブチレン、C8-C16イソパラフィンおよび揮発性イソパラフィン、例えばイソドデカンまたは「ISOPARs」を含む。
【0065】
非水性媒体の選択は、ポリマーを構成するモノマーの特性および/または安定化剤の特性に従って、当業者によって容易に行うことができる。
【0066】
ポリマー分散物は、EP-A-749747に記載のように製造可能である。一般に、重合は、分散重合、すなわち、ポリマー生成の際に、ポリマーが安定剤によって形成される粒子の保護と共に析出することによって行われる。
【0067】
こうして、開始モノマーおよびラジカル開始剤を含む混合物を調製することができる。この混合物は合成溶媒中に溶かす。
【0068】
モノマーは、反応媒体に可溶であるのに対して、ポリマーは溶媒に溶けない。重合とともに、ポリマーは析出し、存在する安定化剤によって安定化される。このようにして、安定化剤によって表面保護されるポリマーの粒子が得られる。
【0069】
重合は、直接、非水性媒体で実施することができ、したがって、これは合成溶媒としても作用する。
【0070】
また、合成溶媒中で重合を実施し、その後、溶媒交換を実施し、合成溶媒を非水性媒体に置換することができる。
【0071】
それ故、選択された非水性媒体が、非揮発性炭化水素ベースオイルまたはシリコーンオイルである場合、重合は、無極性有機溶媒(合成溶媒)中で実施し、その後、非揮発性オイル(前記合成溶媒と混和性でなければならない)を添加し、合成溶媒を選択的に蒸発させることができる。
【0072】
合成溶媒は、したがって、開始モノマーとラジカル開始剤がこれに可溶であり、また得られるポリマー粒子はこれに不溶であって、生成すると同時に沈殿するように選択される。特に、合成溶媒は、アルカン、例えばヘプタン、イソドデカンまたはシクロヘキサンから選択可能である。
【0073】
選択される非水性媒体が揮発性炭化水素ベースオイルまたはシリコーンオイルである場合、重合は、直接、前記オイル中で実施することができ、したがって、これは合成溶媒としても作用する。好ましくは、モノマーもまたこれに可溶であらねばならず、ラジカル開始剤も同様で、更に得られるポリマーはこれに不溶でなければならない。
【0074】
モノマーは、重合前の合成溶媒中に、5から80重量%の割合で存在することが好ましい。モノマーの全量が、反応開始前に溶媒中に存在しても、あるいは、モノマーを、徐々に重合反応が進行するにつれて添加してもよい。
【0075】
ラジカル開始剤は、例えば、アゾビスイソブチロニトリルまたはtert-ブチルペルオキシ-2-エチルヘキサノアートなどのアゾまたはパーオキシド化合物でありうる。
【0076】
ポリマー粒子は、表面安定化されている。
【0077】
第1の実施態様においては、粒子は、重合の間に、具体的には、単独またはブレンドとしての、シークエンシャルポリマー、グラフトポリマーおよび/またはランダムポリマーでありえる安定化剤を使用することによって、表面安定化することができる。安定化は、任意の既知の方法によって、特には安定化剤の存在下での重合によって実施することができる。
【0078】
好ましくは、安定化剤は、重合の開始時に、混合物中に存在する。しかしながら、連続して、具体的にはモノマーを連続して加えるときに、加えることもできる。
【0079】
第2の実施態様においては、ポリマーは、合成溶媒中で合成し、その後、分散剤の添加によって非水性分散媒体中に分散させることができ、合成溶媒は蒸発させることができる。
【0080】
モノマーの開始混合物の重量に対して、0.1から30重量%の、好ましくは1から25重量%の、優先的には2から20重量%の、更には3から15重量%の安定化剤を使用することができる。
【0081】
グラフトおよび/またはシークエンシャルポリマーを安定化剤として使用する場合、合成溶媒は、前記安定化ポリマーのグラフトまたはシークエンスの少なくとも一部が、前記溶媒中に可溶であり、残るグラフトまたはシークエンスは不溶であるように選択される。重合の際に使用される安定化ポリマーは、合成溶媒中に可溶または分散可能でなければならない。さらにまた、重合の際に生成するポリマーとかなりの親和性を有する部分(シークエンス、グラフト等)を含む安定剤を選択することが好ましい。
【0082】
ランダムポリマーを安定剤として使用する場合、予定する合成溶媒中に可溶となるのに十分な量の基を有するように選択される。
【0083】
グラフトポリマーの中では、炭化水素ベースの鎖がグラフト化したシリコーンポリマーおよびシリコーン鎖がグラフト化した炭化水素ベースのポリマーを挙げることができる。
【0084】
例えば、ポリアクリルタイプの不溶性骨格と、ポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)タイプの可溶性グラフトを有するグラフト化コポリマーも適する。
【0085】
安定化ポリマーとしては、以下も挙げることができる:
- (a)ポリオルガノシロキサンタイプの少なくとも1つのブロックと、(i)ラジカル重合に由来するまたは(ii)重縮合に由来するポリマーの、特には、ポリエーテル、ポリエステルもしくはポリアミドタイプ、またはこれらのブレンドの少なくとも1つのブロックとを含む、グラフト-ブロックまたはシークエンシャル-ブロックコポリマー、前記コポリマーは、フッ素化部分を含むことができる。
【0086】
ポリオルガノシロキサンタイプの少なくとも1つのブロックと、ラジカルポリマーの少なくとも1つのブロックとを含む、グラフト-ブロックまたはシークエンシャル-ブロックコポリマーとしては、非水性媒体がシリコーン媒体である場合に特に使用することができる、アクリル/シリコーンタイプのグラフトコポリマーを挙げることができる。
【0087】
グラフト-ブロックまたはシークエンシャル-ブロックコポリマーが、ポリオルガノシロキサンタイプの少なくとも1つのブロックと、少なくとも1つのポリエーテルブロックとを含む場合、ポリオルガノポリシロキサンブロックは、特には、ポリジメチルシロキサンまたは代替的にはポリ(C2-C18)アルキルメチルシロキサンとすることができ、ポリエーテルブロックは、C2-C18ポリアルキレン、特にはポリオキシエチレンおよび/またはポリオキシプロピレンとすることができる。それ故、場合によっては架橋されたジメチコーンコポリオールまたは(C2-C18)アルキルメチコーンコポリオールを使用することができる。例えば、Dow Corning社により、“Dow Corning 3225C”の名で市販のジメチコーンコポリオール、または、Dow Corning社により、“Dow Corning Q2-5200”の名で市販のラウリルメチコーンコポリオールを使用することができる。
【0088】
また、ラウリルジメチコーンコポリオールクロスポリマー、例えば、Shin-Etsu社のKSG31またはKSG32、セチルジメチコーンポリオール、例えば、GE社のDMC3071、およびジメチコーンコポリオールPPG-3オレイルエーテル、例えば、Shin-Etsu社のKF-6026を挙げることができる。
【0089】
- (b)C1-C4アルキル(メタ)アクリラートとC8-C30アルキル(メタ)アクリラートのグラフト-ブロックまたはシークエンシャル-ブロックコポリマー。ステアリルメタクリレート/メチルメタクリレートコポリマーを挙げることができる。
【0090】
- (c)1つもしくは複数の場合によっては共役したエチレン性結合を含む、エチレン性モノマー、および/または、特にはジエンの重合に由来する少なくとも1つのブロックと、ジエン以外の、ラジカル重合に由来する、特には、ビニル、(メタ)アクリルもしくは(メタ)アクリルアミドモノマーに由来するポリマー、またはポリエーテル、ポリエステルもしくはポリアミドもしくはこれらの混合物の少なくとも1つのブロックとを含むグラフト-ブロックまたはシークエンシャル-ブロックコポリマー。
【0091】
特には、1つもしくは複数の場合によっては共役したエチレン性結合を含む少なくとも1つのエチレン性モノマー(例えば、エチレン、ブタジエンまたはイソプレン)の重合に由来する少なくとも1つのブロックと、スチレンポリマーの少なくとも1つのブロックとを含むコポリマーを使用することができる。エチレン性モノマーが幾つかの場合によっては共役したエチレン性結合を有する場合は、重合後に残留するエチレン性不飽和は一般的に水素化されている。したがって、既知の方法において、イソプレンの重合により、水素化の後、エチレン−プロピレンブロックが形成し、ブタジエンの重合により、水素化の後、エチレン-ブチレンブロックが形成する。これらのシークエンシャルコポリマーの中では、“ジブロック”または“トリブロック”タイプのコポリマー、ポリスチレン/ポリイソプレンまたはポリスチレン/ポリブタジエンタイプのコポリマー、例えばBASF社により‘Luvitol HSB’の名で市販のもの、ポリスチレン/コポリ(エチレン-プロピレン)タイプのコポリマー、例えばShell Chemical Co.により‘Kraton’の名で市販のもの、あるいはポリスチレン/コポリ(エチレン-ブチレン)タイプのコポリマーを挙げることができる。
【0092】
少なくとも1つのエチレン性モノマー、例えばエチレンまたはイソブチレンの重合により生成する少なくとも1つのブロックと、アクリルポリマーの少なくとも1つのブロック、例えばメチルメタクリラートとを含むグラフト-ブロックまたはシークエンシャル-ブロックコポリマーとしては、ポリ(メチルメタクリラート)/ポリイソブチレンジシークエンシャルもしくはトリシークエンシャルコポリマー、または、ポリ(メチルメタクリラート)骨格およびポリイソブチレングラフトを含むグラフトコポリマーを挙げることができる。
【0093】
少なくとも1つのエチレン性モノマーの重合により生成する少なくとも1つのブロックと、ポリエーテルの少なくとも1つのブロック、例えば、ポリオキシ(C2-C18)アルキレン、特にはポリオキシエチレンおよび/またはポリオキシプロピレンとを含むグラフト-ブロックまたはシークエンシャル-ブロックコポリマーとしては、ポリオキシエチレン/ポリブタジエンまたはポリオキシエチレン/ポリイソブチレンジシークエンシャルもしくはトリシークエンシャルコポリマーを挙げることができる。
【0094】
安定化剤として、以下の化合物も使用することができる。
- (d)アルキル基が6から32個の炭素原子を含むアルキルジメチコン、例えばラウリルメチコンおよびステアリルメチコン、特にはISP社のSi tec LDM 3107、セチルジメチコン、例えばAbil Wax 9801、ベヘノキシジメチコン、例えばGoldschmidt社のAbil 5440;
- (e)以下の式のジメチコノールエステル:
【0095】
【化4】

【0096】
(式中、Rは、6から32個の炭素原子を含むアルキル基である)
例えば、ジメチコノールベヘネート、特には、Noveon社の製品UltrabeeおよびPhoenix Chemical社の製品Pecosil DB;
- (f)特には6から60個の、具体的には12から50個の炭素原子を含むアルキルアミドアミン、例えば、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン、特にはPhoenix Chemical社の以下の式のCatemol 220:
【0097】
【化5】

【0098】
- (g)少なくとも1つのポリオルガノシロキサン部分およびフッ素化基を含むコポリマー、特には、以下の式によって表すことができるフッ素化シリコーンまたはフルオロシリコーン:
【0099】
【化6】

【0100】
(式中、xは、3から12の、好ましくは5から10の整数であり、特にはx=8、yは、2から6の、好ましくは2または3の整数であり、mおよびnは、化合物の分子量が5000から15000となるような数である)
より具体的には、パーフルオロノニルジメチコン、例えば、Phoenix Chemical社のPecosil FSH-150および300またはPecosil FSL-150および300の名で市販のもの。
【0101】
合成溶媒が無極性の場合、好ましく選択される安定剤は、できる限り完全に粒子を覆るポリマーであって、安定化ポリマー鎖の幾つかが、重合によって得られたポリマー粒子表面に吸収されるポリマーである。
【0102】
この場合、好ましく使用される安定化剤は、グラフトポリマーまたはシークエンシャルポリマーのいずれでもよく、よりよい界面張力作用を有する。この理由は、合成溶媒に不溶性のシークエンスまたはグラフトは、粒子の表面においてより嵩高な被覆を供することによる。
【0103】
液体合成溶媒が、少なくとも1つのシリコーンオイルを含む場合は、安定化剤は、ポリオルガノシロキサンタイプの少なくとも1つのブロックと、ラジカルポリマーの、あるいはポリエーテルまたはポリエステルの少なくとも一のブロック(例えば、ポリオキシプロピレン化および/またはポリオキシエチレン化ブロック)とを含むグラフト-ブロックまたはシークエンシャル-ブロックコポリマーからなる群より選択されることが好ましい。
【0104】
液体合成溶媒が、少なくとも1つの炭素ベースのオイル、特には炭化水素タイプのオイル、より特にはイソパラフィンを含む場合、安定化剤は、好ましくは、1つもしくは複数の場合によっては共役したエチレン性結合を含む少なくとも1つのエチレン性モノマー(例えば、エチレン、ブタジエンまたはイソプレン)の重合に由来する少なくとも1つのブロックと、スチレンポリマーの少なくとも1つのブロックとを含む、グラフト-ブロックまたはシークエンシャル-ブロックコポリマーを選択する。より具体的には、安定化剤は、ポリスチレン/ポリイソプレン、ポリスチレン/ポリブタジエン、ポリスチレン/コポリ(エチレン-プロピレン)またはポリスチレン/コポリ(エチレン-ブチレン)タイプの“ジブロック”または“トリブロック”コポリマーである。
【0105】
ポリマーの分散物に、使用したポリマーのTgを低くするために、可塑剤を添加することができる。可塑剤は、本出願の分野において習慣的に使用されている可塑剤から、特には、ポリマーのための溶媒となりうる化合物から選択することができる。可塑剤は、合成中に溶かすことができ、または、いったん合成が実施されると添加することができる。
【0106】
本発明により得られた分散物は、その後、組成物中で、特には、化粧品的または医薬的に許容可能な媒体を更に含む化粧品または医薬組成物中で使用することができる。
【0107】
予期される適用に応じて、揮発性または非揮発性オイルを含む非水性媒体中で、皮膜形成または非-皮膜形成ポリマーの分散物を使用することができる。
【0108】
組成物は、その後、予期される適用に応じて、このタイプの組成物に慣習的な構成物質を含むことができる。
【0109】
これらの構成物質の中では、植物、動物、無機もしくは合成起源の、更にはシリコーン起源のワックス、オイル、ガムおよび/またはペースト状脂肪物質、ならびにこれらの組成物を挙げることができる。
【0110】
本発明の組成物中に存在しうるワックスの中では、単独または混合物として、炭化水素ベースワックス、例えばミツロウ;カルナウバロウ、カンデリラロウ、オーリーワックス(ouricury wax)またはジャパンワックス、コルク繊維ワックスまたはサトウキビワックス;パラフィンワックスまたはリグナイトワックス(lignite wax);マイクロクリスタリンワックス;ラノリンワックス;モンタンロウ;オゾケライト;ポリエチレンワックス;フィッシャー-トロプシュ合成法によって得られたワックス;25℃で固体である水素化オイル、脂肪エステルおよびグリセリドを挙げることができる。また、シリコーンワックスを使用することもでき、これらの中では、ポリメチルシロキサンのアルキル誘導体、アルコキシ誘導体および/またはエステルを挙げることができる。
【0111】
本発明の組成物は、また、無機、動物、植物または合成起源の炭素ベース、炭化水素ベース、フッ素化および/またはシリコンオイルを、単独または混合物として、均一で安定な混合物を形成し、想定する使用に混和性である限り、含むことができる。本発明の組成物に存在しうるオイルの中では、単独または混合物として、炭化水素ベースのオイル、例えば流動パラフィンまたは流動ワセリン;パーヒドロスクアレン;アララオイル(arara oil);スィートアーモンドオイル;カロフィラムオイル(calophyllum oil);パームオイル、ヒマシ油、アボカドオイル、ホホバオイル、オリーブオイルまたはシリアルジャームオイル(cereal germ oil);ラノリン酸、オレイン酸、ラウリル酸、ステアリン酸もしくはミリスチン酸のエステル;オレイルアルコール、リノレイルアルコール、リノレニルアルコール、イソステアリルアルコールもしくはオクチルドデカノール等のアルコールを挙げることができる。また、場合によってはフェニル化されているシリコーンオイル(例えばPDMS)、例えば、フェニルトリメチコンも挙げることができる。また、揮発油、例えば、シクロテトラジメチルシロキサン、シクロペンタジメチルシロキサン、シクロヘキサジメチルシロキサン、メチルヘキシルジメチルシロキサン、ヘキサメチルジシロキサンまたはイソパラフィンも挙げることができる。
【0112】
本発明の組成物は、また、粉体化合物および/または脂溶性もしくは水溶性色素から選択される1つまたは複数の色素を、例えば、組成物の総重量の0.01から70%の割合で、含むことができる。
【0113】
粉体化合物は、化粧品または医薬組成物において一般的に使用される顔料および/または真珠光沢剤および/またはフィラーから選択することができる。有利には、粉体化合物は、組成物の総重量の0.1から50%、更に良くは1から40%で存在する。
【0114】
顔料は、白色または着色、無機および/または有機で、干渉することができる、または、干渉することができない。無機顔料の中では、場合によっては表面処理されている二酸化チタン、酸化ジルコニウムまたはセリウム、および酸化鉄またはクロム、マンガンバイオレット、ウルトラマリンブルー、水酸化クロムおよびフェリックブルーを挙げることができる。有機顔料の中では、カーボンブラック、D&Cタイプの顔料およびコキニールカーマイン(cochineal carmine)、バリウム、ストロンチウム、カルシウムまたはアルミニウムに基づくレーキを挙げることができる。
【0115】
真珠光沢顔料は、白色真珠光沢顔料、例えば、チタンまたはビスマスオキシクロリドでコーティングされたマイカ、着色された真珠光沢顔料、例えば、酸化鉄を有するチタンマイカ、特にはフェリックブルーまたは酸化クロムを有するチタンマイカ、前記したタイプの有機顔料を有するチタンマイカ、およびビスマスオキシクロリドに基づく真珠光沢顔料から選択することができる。
【0116】
フィラーは、無機または有機で、ラメラ構造または球形でありうる。タルク、マイカ、シリカ、カオリン、ナイロンおよびポリエチレンパウダー、ポリ-β-アラニンおよびポリエチレンパウダー、テフロン(登録商標)、ラウロイルリジン、スターチ、窒化ホウ素、テトラフルオロエチレンポリマーパウダー、中空ミクロスフェア、例えばExpancel(Nobel Industrie社)、Polytrap(Dow Corning社)およびシリコーン樹脂マイクロビーズ(例えば、Toshiba社のTospearls)、沈降炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、塩基性炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、中空シリカミクロスフェア(Maprecos社のSilica Beads)、ガラスまたはセラミックマイクロカプセル、8から22個の、好ましくは12から18個の炭素原子を含む有機カルボン酸に由来する金属石鹸、例えば、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸リチウム、ラウリン酸亜鉛またはミリスチン酸マグネシウムを挙げることができる。
【0117】
脂溶性色素は、例えば、Sudan red、DC Red 17、DC Green 6、β-カロテン、大豆オイル、Sudan brown、DC Yellow 11、DC Violet 2、DC Orange 5またはキノリンイエローである。これらは、組成物の重量の0から20%、特には0.01から20%、更に良くは0.1から6%含む。水溶性色素は、例えば、ビートの根の汁(beetroot juice)またはメチレンブルーであり、組成物の総重量の6%未満含むことができる。
【0118】
組成物は、また、カチオン性、アニオン性、両性および非イオン性界面活性剤、ならびにこれらの混合物から選択することができる、界面活性剤を含むことができる。これらの界面活性剤は、組成物の総重量に対して、0.01から30重量%、特には0.05から20重量%の割合で存在することができる。
【0119】
組成物は、更には、化粧品分野で一般的に使用される任意の添加物、例えば、抗酸化剤、芳香剤、エッセンシャルオイル、保存剤、美容活性剤、湿潤剤、ビタミン、エッセンシャル脂肪酸、セラミド、サンスクリーン、ポリマー、増粘剤またはゲル化剤を含むことができる。当然ながら、当業者は、この添加剤もしくはこれらの添加剤を、および/または、その量を、本発明の組成物の有利な特性が、想定する添加によって損なわない、または実質的に損なわないように、注意して選択するであろう。
【0120】
本発明の組成物は、化粧品または医薬組成物にとって好ましく、慣習的な任意の形態とすることができる。
【0121】
本発明の組成物は、懸濁物、分散物、特には、ベシクルによる水中油型の分散物;場合によっては増粘され、更にはゲル化された、油状溶液;水中油型、油中水型もしくは多重エマルジョン;ゲルもしくは泡;油状もしくは乳化ゲル;ベシクル、特には液体ベシクルの分散物;二相もしくは多相ローション;スプレー;ローション、クリーム、軟膏(ointment)、ソフトペースト、軟膏(salve)、成形もしくは鋳造固体、特には、棒状としてもしくは皿に成形もしくは鋳造した固体、または圧縮した固体の形態でありうる。
【0122】
当業者は、適切な製剤形態、そして、この製剤形成を製造する方法を、一般的な知識に基づいて、一方で使用した構成成分の特性(特には、担体中への可溶性)、加えて、組成物のために想定される適用を考慮して、選択することができる。
【0123】
本発明の化粧品組成物は、身体もしくは顔の皮膚、唇および毛髪をケアおよび/もしくはメイクアップするための製品、抗日焼けもしくはセルフタンニング製品、またはヘア製品の形態でありうる。
【0124】
特に、ヘアケア分野、具体的には、ヘアスタイルの形状維持またはヘア整形のためのヘアケア分野において、格別に有利な適用を有する。ヘア組成物は、好ましくは、シャンプー、ゲル、ヘア-セッティングローション、ブロー-ドライニングローションまたは固定用およびスタイリング用組成物、例えば、ラッカー、ムースまたはスプレーである。ローションは、組成物の適用について、気化した形態で、または、ムースの形態で提供するために、様々な形態で、特には、ベポライザー(vaporizer)、ポンプアクションのスプレーまたはエアロゾルコンテナー中にパッケージングされることができる。
【0125】
本発明による組成物は、ケラチン物質、例えば毛髪、皮膚、睫毛、眉毛、爪、唇または頭皮、より具体的には毛髪を洗浄または処理するために使用することができる。
【0126】
本発明による組成物は、洗浄組成物、例えば、シャンプー、シャワーゲルおよびバブルバスでありうる。
【0127】
本発明の組成物は、また、リンスアウトまたはリーブインコンディショナー、パーマネント-ウェーブ、ヘアストレーティング、染色もしくはブリーチ組成物の形態、あるいは、乾燥、ブリーチ、パーマネント-ウェーブもしくはヘアストレーティングの前もしくは後に、または、パーマネント-ウェーブもしくはヘアストレーティング手順の2つの工程の間に塗布する、リンス-アウト組成物の形態でありうる。
【0128】
本発明の組成物は、また、皮膚のための洗浄組成物の形態、特には、バスもしくはシャワー溶液もしくはゲル、またはメイクアップ除去製品の形態でありうる。
【0129】
本発明の組成物は、また、スキンケアおよび/またはヘアケアのための水性または水性-アルコールローションでありうる。
【0130】
本発明の組成物は、メイクアップの分野において、より特には、唇、睫毛および/または顔のメイクアップについて、もう1つの特に有用な適用を有する。組成物は、それ故、有利には、メイクアップ組成物、特には、マスカラ、アイライナー、口紅、ファイスパウダー、アイシャドーまたはファンデーションの形態でありうる。
【0131】
本発明の対象は、また、前記で定義した化粧品組成物の、ケラチン物質、特には、身体もしくは顔の皮膚、唇、爪、毛髪および/または睫毛への塗布を含む、前記物質の美容処理のための方法である。
【0132】
本発明によるこの方法により、特に、ヘアスタイルの形状保持、あるいは、皮膚、毛髪もしくは任意の他のケラチン物質の処理、ケアもしくは洗浄、または、皮膚、毛髪もしくは任意の他のケラチン物質からのメイクアップの除去が可能となる。
【0133】
この方法は、また、皮膚、睫毛、爪、毛髪および/または唇をメイクアップすることができる。
【0134】
本発明を、より詳細に、以下の実施例において例証する。
【実施例】
【0135】
(実施例1)
ベッセルヒール(vessel heel)の構成成分を、冷却器、攪拌器および滴下漏斗を備えた1リットルの反応槽に導入する。加熱を、90℃で1時間、150rpmで攪拌しながら実施する。温度が90℃に達したときに、約10℃のエキソサーミシティ(exothermicity)および白化を観察する。90℃に戻した後、流し込む分の成分を1時間にわたり添加する。温度を90℃で3時間維持する。ヘプタンを、減圧下で蒸発させ、イソドデカンで置換する。
【0136】
【表1】

【0137】
イソドデカン中のポリマー(90%メチルアクリレート+10% MPEG 350)の粒子の分散物を得る。
【0138】
(実施例2)
実施例1と似た方法で、以下のポリマー分散物を調製する。
【0139】
【表2】

【0140】
イソドデカン中のポリマー(90%メチルアクリレート+10% MPEG 550)の粒子の分散物を得る。
【0141】
(実施例3)
実施例1と似た方法で、以下のポリマー分散物を調製する。
【0142】
【表3】

【0143】
イソドデカン中のポリマー(85%メチルアクリレート+5%アクリル酸+10% MPEG 550)の粒子の分散物を得る。
【0144】
(実施例4)
実施例1と似た方法で、以下のポリマー分散物を調製する。
【0145】
【表4】

【0146】
イソドデカン中のポリマー(70%メチルアクリレート+5%アクリル酸+15%メチルメタクリレート+10% MPEG 550)の粒子の分散物を得る。
【0147】
(実施例5)
実施例1と似た方法で、以下のポリマー分散物を調製する。
【0148】
【表5】

【0149】
イソドデカン中のポリマー(70%メチルアクリレート+30% MPEG 350)の粒子の分散物を得る。
【0150】
(実施例6)
実施例1と似た方法で、以下のポリマー分散物を調製する。
【0151】
【表6】

【0152】
イソドデカン中のポリマー(70%メチルアクリレート+30% MPEG 550)の粒子の分散物を得る。
【0153】
(実施例7)
実施例1と似た方法で、以下のポリマー分散物を調製する。
【0154】
【表7】

【0155】
イソドデカン中のポリマー(65%メチルアクリレート+5%アクリル酸+30% MPEG 550)の粒子の分散物を得る。
【0156】
(実施例8)
実施例1と似た方法で、以下のポリマー分散物を調製する。
【0157】
【表8】

【0158】
イソドデカン中のポリマー(43%メチルアクリレート+5%アクリル酸+22%メチルメタクリレート+30% MPEG 550)の粒子の分散物を得る。
【0159】
(実施例9)
実施例1と似た方法で、以下のポリマー分散物を調製する。
【0160】
【表9】

【0161】
イソドデカン中のポリマー(80%メチルアクリレート+10%アクリル酸+10% MPEG 550)の粒子の分散物を得る。
【0162】
(実施例10)
実施例1と似た方法で、以下のポリマー分散物を調製する。
【0163】
【表10】

【0164】
イソドデカン中のポリマー(60%メチルアクリレート+10%アクリル酸+30% MPEG 550)の粒子の分散物を得る。
【0165】
(実施例11)
1/ 比較例の調製:メチルアクリレート/アクリル酸 95重量%/5重量%
合成は、オートマチック化した1リットル反応槽において、セミ-バッチモードで実施する;以下を、最初に、ベッセルヒールへと導入する:
- 22.5gのメチルアクリレート(MeA)
- 4.5gのアクリル酸(AA)
- 1.35gのTrigonox 21S
- 13.5gのKraton G1701
- 270gのイソドデカン
- 103gのヘプタン
【0166】
反応媒体は、同時に150rpmで攪拌しながら、90℃に1時間加熱する。反応媒体の温度が90℃に達した時に、約10℃のエキソサーミシティおよび白化を観察する。温度が90℃に戻った時に、流し込む分の導入を開始し、約1時間続ける。以下を含む:
- 63gのメチルアクリレート(MeA)
- 0.99gのTrigonox 21S
【0167】
流し込む分の導入が終了すると、重合を3時間90℃で実施する。その後、ヘプタンを、減圧下で蒸発させ、イソドデカンで置換する。
【0168】
2/ 湿潤媒体(wet medium)中での評価
(20重量%のポリマーを含む分散物から)約1mmの湿潤厚さのポリマーの皮膜を、Teflon上に調製し、正方形に刻み込み(3×3cm)、25℃で水中に浸し(20gの水に0.2gのポリマー皮膜)、色、粘着性、滑り性、および、これらの皮膜の水の吸収に由来する質量の増加の変化を、定性的に追尾する。表の結果を、以下の条件で得る(重量%):
- 最初の、乾燥皮膜上(浸す前)
- 浸した30分後
- 浸した14日後
- 14日浸し、24時間乾燥後(乾燥皮膜上)
【0169】
【表11】

【0170】
注目すべきことに、比較例のポリマー皮膜は、最初は粘着性を有さない。湿潤媒体中では、比較例のポリマー皮膜は、如何なる滑り性も示さず、粘着性も有さず、白色化や吸収に由来する質量の増加も見られない。
【0171】
本発明の分散物を用いて得られた皮膜は、湿潤媒体中で、多大な滑り性を示し、それ故、塗布する際により快適である。更にその上、幾つかの皮膜は、水を吸収/取り込むことができ(質量が増加)、その後、皮膜の膨張、すなわち体積がより増すことが観察される。
【0172】
(実施例12:マスカラ)
以下の組成を有するマスカラを調製する:
ワックス 25g
2-アミノ-2-メチル-1,3-プロパンジオール 0.2g
トリエタノールアミン 2.4g
ステアリン酸 5.4g
ジメチコンコポリオール(Dow Corning社のQ2-5220) 0.2g
ソディウム ポリメタクリレート 0.25g AM
実施例1の分散物 0.5g
顔料 6g
保存剤 qs
水 qs 100g
【0173】
(実施例13:ボディケアオイル)
乾燥肌用の保湿オイルを、以下の構成成分を使用して調製する:
カプリル酸/カプリン酸トリグリセリド 6.5g
プロピレングリコールジカプリレート/ジカプレート 22g
セテアリルオクタノエートおよびイソプロピルミリステート 5g
イソステアリルネオペンタノエート 2.5g
ラッカセイ油 5.25g
実施例2の分散物 0.5g
パルミチン酸 0.2g
抗酸化剤、保存剤、芳香剤 qs
シクロメチコン qs 100g
【0174】
(実施例14:保湿化粧品組成物)
以下を含む、保湿組成物を調製する:
相A1:
スクロースジステアレート 2.0%
オキシエチル化ソルビタンステアレート(4EO) 1.4%
ステアリン酸 0.75%
ステアリルヘプタノエート 5.5%
コーデックスワセリン 2.1%
アボカドオイル 4.5%
ホホバオイル 4.1%
揮発性シリコーンオイル 3.7%
実施例3の分散物 1%
相A2:
シリコーンガム(Q2-1403 Fluid) 4.0%
芳香剤、保存剤 qs
相B:
保存剤 qs
トリエタノールアミン 0.4%
水 qs 100%
相C:
カルボキシビニルポリマー(Carbopol 980) 0.3%
水 9.7%
【0175】
相A1およびBを、組合わせる(A1中にB)前に、攪拌しながら(rotor-stator)、65℃にする。相A2を、室温で、第1の分散物中で、攪拌しながら分散する。懸濁物をゲル化するために、予め調製した相Cを、その後、分散させる。乾燥肌に適した保湿エマルジョンを得る。
【0176】
(実施例15:口紅)
以下の口紅組成物を調製する(重量%):
ポリエチレンワックス 15%
実施例3のポリマーの分散物 10%の固体
非揮発性の炭素ベースオイル(Parleam) 26%
顔料 8.6%
イソドデカン qs 100%
【0177】
唇への塗布後に得られた組成物は、良好な化粧品特性を示す。
【0178】
(実施例16:口紅)
以下の口紅組成物を調製する(重量%):
ポリエチレンワックス 15%
実施例8のポリマーの分散物 8%の固体
非揮発性の炭素ベースオイル(Parleam) 26%
顔料 8.6%
イソドデカン qs 100%
【0179】
唇への塗布後に得られた組成物は、良好な化粧品特性を示す。
【0180】
(実施例17:W/Oファンデーション)
以下の化合物を含むファンデーション組成物を調製する:
相A:
セチルジメチコンポリオール(Abil EM90) 3g
イソステアリルジグリセリルスクシネート 0.6g
(Condea社のImwitor 780K)
顔料 10g
イソドデカン 18.5g
実施例3のポリマーの分散物 8gの固体
相B:
硫酸マグネシウム 0.7g
保存剤 qs
水 qs 100g
相C:
保存剤 qs
水 2g
【0181】
得られた組成物は、良好な化粧品特性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
25℃で液体であり、20(MPa)1/2以下のハンセンの溶解空間による全体溶解度パラメーターを有する少なくとも1つの非水性化合物またはこのような化合物の混合物を含む非水性媒体中の、安定化剤で表面を安定化した少なくとも1つのエチレン性ポリマーの粒子の分散物であって、
前記エチレン性ポリマーが、モノマーの総重量に対して、5重量%以上50重量%未満の、以下に記載する式(I)のモノマーおよびその塩を、単独または混合物として含むことを特徴とする分散物:
【化1】

[式中:
- R1は、水素原子またはCpH2p+1(pは、1と12の間すべてを含む整数である)タイプの直鎖もしくは枝分かれ炭化水素ベースの基であり、
- Zは、-COO-、-CONH-、-CONCH3-、-OCO-、-O-、-SO2-、-CO-O-CO-または-CO-CH2-CO-から選択される二価の基であり、
- xは、0または1であり、
- R2は、O、N、S、F、SiおよびPから選択される1から18個のへテロ原子を含むことができる1から30個の炭素原子を含む、直鎖、枝分かれまたは環状の、場合によっては芳香族の、飽和または不飽和の二価の炭素ベースの基であり、
- mは、0または1であり、
- nは、3と300の間すべてを含む整数であり、
- R3は、水素原子またはO、N、S、F、SiおよびPから選択される1から20個のへテロ原子を含むことができる1から30個の炭素原子を含む、直鎖、枝分かれまたは環状の、場合によっては芳香族の、飽和または不飽和の炭素ベースの基である]。
【請求項2】
前記式(I)のモノマーが、
- R1=Hまたはメチル、
- Z=COO、
- x=1、
- m=0、
- n=7以上100以下、
- R3が、水素原子;C1〜C12アルキル基により場合によって置換されているフェニル基;およびC1〜C30、特にC1〜C22、さらにはC2〜C16のアルキル基から選択される、
請求項1に記載の分散物。
【請求項3】
前記式(I)のモノマーが、単独または混合物として、
- R1が、Hまたはメチルであり、ZがCOOであり、x=1、m=0、R3=Hであるポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、
- R1が、Hまたはメチルであり、ZがCOOであり、x=1、m=0、R3=メチルであるメトキシポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレートとしても称されるメチルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、
- R1が、Hまたはメチルであり、ZがCOOであり、x=1、m=0、R3=アルキルであるアルキルポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、
- R1が、Hまたはメチルであり、ZがCOOであり、x=1、m=0、R3=フェニルであるポリ(エチレングリコール)フェニルエーテル(メタ)アクリレートとしても称されるフェニルポリ(エチレングリコール)(メタ)アクリレート、
から選択される、請求項1または2に記載の分散物。
【請求項4】
前記ポリマーが、開始モノマーの総重量に対して、7から49重量%、好ましくは8から45重量%、更には10から40重量%、特には15から35重量%の式(I)のモノマーを、単独または混合物として含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の分散物。
【請求項5】
前記ポリマーが、
- (i)以下の式(II)のモノマーおよびその塩:
【化2】

[式中、
- R1は、水素原子またはCpH2p+1(pは、1と12の間すべてを含む整数である)タイプの直鎖もしくは枝分かれ炭化水素ベースの基であり、
- Z'は、-COO-および-CONH-から選択される二価の基であり、
- x'は、0または1、好ましくは1であり、
- R'2は、O、N、S、F、SiおよびPから選択される1から18個のへテロ原子を含むことができる1から30個の炭素原子を含む、直鎖、枝分かれまたは環状の、場合によっては芳香族の、飽和または不飽和の、二価の炭素ベースの基であり、
- m'は、0または1であり、
- Xは、-H、-COOH、-SO3H、-OSO3H、-PO3H2および-OPO3H2から選択される]、
- (ii)式CH2=CHCOOR4またはCH2=C(CH3)COOR4の(メタ)アクリル酸エステル
[但し、R4は、O、NおよびSから選択される1つもしくは複数の挿入されたヘテロ原子を場合によって含み、ならびに/または、-OHおよびハロゲン原子(Cl、Br、IおよびF)から選択される1つもしくは複数の置換基で場合によって置換された、1から32個の炭素原子を含む、直鎖、環状または枝分かれの、飽和または不飽和の炭素ベースの、具体的には炭化水素ベースの(アルキル)鎖を表す]、
- (iii)式CH2=CHCONR5R'5またはCH2=C(CH3)CONR5R'5の(メタ)アクリルアミド
[式中、R5およびR'5は、同じまたは異なっていてよく、水素原子、または、O、NおよびSから選択される1つもしくは複数の挿入されたヘテロ原子を場合によって含み、ならびに/または、-OHおよびハロゲン原子(Cl、Br、IおよびF)から選択される1つもしくは複数の置換基で場合によって置換された、7から28個の炭素原子を含む、直鎖、環状もしくは枝分かれの、飽和または不飽和の、場合によっては芳香族の、炭素ベースの、具体的には炭化水素ベースの(アルキル)鎖を表す]、
- (iv)式CH2=CH-OCO-R6のビニルエステル
[但し、R6は、1から12個の炭素原子を含む、直鎖または枝分かれの、飽和または不飽和の炭素ベースの、具体的には炭化水素ベースの鎖を表す]
- (v)式CH2=CHOR7のビニルエーテル
[但し、R7は、2から12個の炭素原子を含む、直鎖または枝分かれの、飽和または不飽和の炭素ベースの、具体的には炭化水素ベースの鎖を表す]、
- (vi)式CH2=CHR8のビニル化合物、
[式中、R8は、
- ヒドロキシル基、
- O、N、SおよびPから選択される1つもしくは複数のヘテロ原子が場合によって挿入された、1から25個の炭素原子を含む直鎖または枝分かれのアルキル基;前記アルキル基は、加えて、-OHならびにハロゲン原子(Cl、Br、IおよびF)から選択される1つまたは複数の置換基で場合によって置換されることができる、
- シクロヘキサンなどのC3〜C8シクロアルキル基、
- フェニルなどのC6〜C20アリール基、
- 2-フェニルエチルまたはベンジルなどのC7〜C30アラルキル基(C1〜C4アルキル基)、
- O、NおよびSから選択される1つまたは複数のヘテロ原子を含む、4〜12員環を含む複素環基、
- フルフリル、フルフリルメチルまたはテトラヒドロフルフリルメチルなどのヘテロシクリルアルキル基(1から4個の炭素原子を含むアルキル)
を表し、
前記シクロアルキル、アリール、アラルキル、複素環基またはヘテロシクリルアルキル基は、ヒドロキシル基、ハロゲン原子、ならびにO、N、SおよびPから選択される1つまたは複数のヘテロ原子が場合によって挿入されている直鎖もしくは枝分かれC1〜C4アルキル基から選択される1つまたは複数の置換基で場合によって置換されることができ、加えて、前記アルキル基は、-OHならびにハロゲン原子(Cl、Br、IおよびF)から選択される1つもしくは複数の置換基で場合によって置換されることができる]
から選択される、単独または混合物としての、追加のモノマーを、モノマーの総重量に対して、50重量%以上95重量%まで含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の分散物。
【請求項6】
前記追加のモノマーが、
- C1〜C18としてのR4を有する(メタ)アクリル酸エステル、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレートまたはイソボルニル(メタ)アクリレート;
- スチレン、エチルヘキシルビニルエーテル、ドデシルビニルエーテル、ビニルヘキサノエート;
- アクリル酸およびメタクリル酸
から、単独または混合物として選択される、請求項5に記載の分散物。
【請求項7】
前記非水性液体化合物が、
- ポリオールの脂肪酸エステルから生成する植物オイル、特にトリグリセリド、例えばサンフラワーオイル、セサミオイルまたは菜種油、あるいは、長鎖(すなわち、6から20個の炭素原子を含む鎖)の酸またはアルコールから誘導されるエステル、特に式RCOOR'のエステル(式中、Rは、7から19個の炭素原子を含む高級脂肪酸残基を表し、R'は、3から20個の炭素原子を含む炭化水素ベースの鎖、例えば、パルミテート、アジペート、ミリステートおよびベンゾエートを表す)、特にジイソプロピルアジペートおよびイソプロピルミリステート、
- 炭化水素、特に流動パラフィン、流動ワセリンまたは水素化ポリイソブチレン、C8-C16イソパラフィンおよび揮発性イソパラフィン、例えばイソドデカンまたは「ISOPARs」、
- シリコーンオイル、例えば、場合によってはフッ素化された脂肪族および/もしくは芳香族基によって場合によっては置換された、またはヒドロキシル、チオールおよび/もしくはアミン基等の官能基によって場合によっては置換されたポリジメチルシロキサンおよびポリメチルフェニルシロキサン;ならびに、揮発性の、特に環状または直鎖のシリコーンオイル、例えば、シクロジメチルシロキサン、シクロフェニルメチルシロキサンおよび直鎖ジメチルシロキサン(この中では、直鎖のドデカメチルペンタシロキサン(L5)、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ヘキサデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサンおよびヘプタメチルオクチルトリシロキサンを挙げることができる)、
- 単独または混合物として、6から30個の炭素原子を含む直鎖、枝分かれまたは環状のエステル、6から30個の炭素原子を含むエーテルおよび6から30個の炭素原子を含むケトンから選択される溶媒
- 少なくとも6個、具体的には6から32個の炭素原子を含む脂肪族脂肪モノアルコールであって、その炭化水素ベース鎖が置換基を含まないモノアルコール
から選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の分散物。
【請求項8】
前記非水性液体化合物が、揮発性の、特に環状または直鎖のシリコーンオイル、例えばシクロジメチルシロキサンおよび直鎖ジメチルシロキサン、ならびに/または、式RCOOR'のエステル(式中、Rは、7から19個の炭素原子を含む高級脂肪酸残基を表し、R'は、3から20個の炭素原子を含む炭化水素ベースの鎖、例えば、パルミテート、アジペート、ミリステートおよびベンゾエートを表す)、特にジイソプロピルアジペートおよびイソプロピルミリステート;炭化水素、特には流動パラフィン、流動ワセリン、または水素化ポリイソブチレン、C8-C16イソパラフィンおよび揮発性イソパラフィン、例えばイソドデカンまたは「ISOPARs」;ならびにこれらの混合物から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の分散物。
【請求項9】
前記安定化剤が、
- 炭化水素ベースの鎖がグラフト化したシリコーンポリマーおよびシリコーン鎖がグラフト化した炭化水素ベースのポリマー、
- ポリアクリルタイプの不溶性骨格と、ポリ(12-ヒドロキシステアリン酸)タイプの可溶性グラフトを有するグラフトコポリマー、
- ポリオルガノシロキサンタイプの少なくとも1つのブロックと、(i)ラジカル重合に由来するまたは(ii)重縮合に由来するポリマーの、特には、ポリエーテル、ポリエステルもしくはポリアミドタイプ、またはこれらのブレンドの少なくとも1つのブロックとを含む、グラフト-ブロックまたはシークエンシャル-ブロックコポリマーであって、フッ素化部分を含むことができるコポリマー、
- C1-C4アルキル(メタ)アクリラートとC8-C30アルキル(メタ)アクリラートとのグラフト-ブロックまたはシークエンシャル-ブロックコポリマー、
- 1つもしくは複数の場合によっては共役したエチレン性結合を含む、エチレン性モノマー、および/または、特にはジエンの重合に由来する少なくとも1つのブロックと、ジエン以外の、ラジカル重合に由来する、特には、ビニル、(メタ)アクリルもしくは(メタ)アクリルアミドモノマーに由来するポリマー、またはポリエーテル、ポリエステルもしくはポリアミドもしくはこれらの混合物の少なくとも1つのブロックとを含むグラフト-ブロックまたはシークエンシャル-ブロックコポリマー、
- アルキル基が6から32個の炭素原子を含むアルキルジメチコン、例えばラウリルメチコン、ステアリルメチコン、セチルジメチコンまたはベヘノキシジメチコン、
- 以下の式のジメチコノールエステル:
【化3】

(式中、Rは、6から32個の炭素原子を含むアルキル基である)
例えば、ジメチコノールベヘネート、
- 特には6から60個の、具体的には12から50個の炭素原子を含むアルキルアミドアミン、例えば、ベヘンアミドプロピルジメチルアミン、
- 少なくとも1つのポリオルガノシロキサン部分およびフッ素化基を含むコポリマー、特には、以下の式によって表すことができるフッ素化シリコーンまたはフルオロシリコーン:
【化4】

(式中、xは、3から12の、好ましくは5から10の整数であり、特にはx=8、yは、2から6の、好ましくは2または3の整数であり、mおよびnは、化合物の分子量が5000から15000となるような数である)
から選択される、請求項1から8のいずれか一項に記載の分散物。
【請求項10】
化粧品または医薬的に許容可能な媒体中に、請求項1から9のいずれか一項に記載の少なくとも1つの分散物を含む、化粧品または医薬組成物。
【請求項11】
植物、動物、無機もしくは合成起源の、更にはシリコーン起源のワックス、オイル、ガムおよび/またはペースト状脂肪物質、ならびにこれらの混合物;粉体化合物および/または脂溶性もしくは水溶性色素から選択される1つまたは複数の色素;抗酸化剤、芳香剤、エッセンシャルオイル、保存剤、美容活性剤、湿潤剤、ビタミン、エッセンシャル脂肪酸、セラミド、サンスクリーン、界面活性剤、ポリマー、増粘剤およびゲル化剤から選択される少なくとも1つの構成成分を更に含む、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
唇、睫毛および/または顔をメークするための組成物、特には、マスカラ、アイライナー、口紅、白粉、アイシャドーまたはファンデーションの形態である、請求項10または11に記載の組成物。
【請求項13】
ケラチン物質、特には、身体もしくは顔の皮膚、唇、爪、毛髪および/または睫毛への、請求項10から12のいずれか一項に記載の化粧品組成物の塗布を含む、前記物質の美容処理のための方法。

【公開番号】特開2009−191068(P2009−191068A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−20013(P2009−20013)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(391023932)ロレアル (950)
【Fターム(参考)】