説明

ポリマー粒子の水性分散物

【課題】ポリマー粒子の水性分散物およびその形成法が提供される。
【解決手段】粒子は、重合単位として、少なくとも1つのモノエチレン性不飽和モノマーおよび少なくとも1つの多エチレン性不飽和モノマーおよび、乾燥時に少なくとも1つの空隙を有する第一ポリマー;ならびに重合単位として少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを含む、前記第一ポリマーを実質的に封入する少なくとも1つの第二ポリマーを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、米国仮特許出願番号60/709,658(2005年8月19日提出)に基づいた優先権を主張し、この開示は本発明の一部として参照される。
本発明は、水性コーティング組成物において用いることができるフィルム形成性バインダーに関する。さらに詳細には、本発明は、フィルムが乾燥した場合に、高度の白色光散乱も提供するフィルム形成性ポリマー粒子の水性分散物に関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥した場合、改善されたフィルム完全性(例えば、スクラブ耐性)を有する水性コーティング組成物が、特に、少量の揮発性有機化合物(VOC)含量を有するかまたは有さないコーティング組成物において望ましい。場合によっては、1以上の空隙を有する粒子は、このようなコーティング組成物を提供し、同時に粒子の質量を減少させ、これによりこの質量を提供するのに費やされる物質およびエネルギーを減少させる。1以上の空隙を含む粒子も、乾燥コーティングフィルムの不透明性に貢献し得る。
【0003】
米国特許第6,139,961号は、水不溶性コア/シースポリマー粒子の水性分散物を開示している。コアは、50℃より高いガラス転移温度を有する第一シェルポリマーにより封入された空隙を含有し、第一シェル上に重合しているのは、−15℃〜−50℃のガラス転移温度を有する第二シェルポリマーである。
【特許文献1】米国特許第6,139,961号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような粒子がフィルムを形成できる程度では、おそらくはフィルム形成に際して空隙の多くが崩壊するので、これらは不十分な不透明性を有することが判明している。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のフィルム形成性バインダー粒子は、コーティング中に組み入れられた場合、従来技術と比較して、優れた不透明性、すなわち改善された、一貫した隠蔽性を提供する。本発明の第一の態様は、粒子が、重合単位として、ポリマー粒子の重量基準で10重量%〜80重量%の第一ポリマーであって、少なくとも1つのモノエチレン性不飽和モノマー、および第一ポリマーの全重量基準で0.05〜90重量%の少なくとも1つの多エチレン性不飽和モノマーを含み、および乾燥時に少なくとも1つの空隙を含む第一ポリマー;ならびに重合単位として少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを含む少なくとも1つの第二ポリマーを含む、ポリマー粒子の水性分散物である。空隙は、100〜1200ナノメートルの直径を有し、第二ポリマーは実質的に第一ポリマーを封入し、−60℃〜50℃のTgを有し、第一ポリマー粒子の存在下で形成される。
【0006】
本発明の第二の態様は、ポリマー粒子の水性分散物を形成する方法である。この方法は、多段エマルジョンポリマーの水性分散物を提供し(ここにおいて、多段ポリマーは、コア段ポリマーおよび第一シェル段ポリマーを含む);多段ポリマーの水性分散物に、少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを添加し、モノマーを多段ポリマーの存在下で重合させことにより、実質的に第一シェル段ポリマーを封入する第二シェル段ポリマーを形成し;および第二シェル段ポリマーを含むモノマーの重合前、重合中、または重合後に、水性分散物に膨潤剤を添加することを含む。コア段ポリマーは、重合単位として、コア段ポリマーの重量基準で5〜100重量%の親水性モノエチレン性不飽和モノマー、およびコア段ポリマーの重量基準で0〜95重量%の少なくとも1つの非イオン性モノエチレン性不飽和モノマーを含む。第一シェル段ポリマーは、少なくとも50℃のTgを有し、重合単位として、第一シェルポリマーの全重量基準で、0.05〜90重量%、好ましくは0.02〜35重量%の少なくとも1つの多エチレン性不飽和モノマーを含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
第一ポリマーおよび第二ポリマーのそれぞれは、同一または異なっていてもよい、少なくとも1つの共重合したエチレン性不飽和モノマーを含む。好適なエチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、デシルアクリレート、ラウリルアクリレート、メチルメタクリレート、ブチルメタクリエート、エチルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレートをはじめとする(メタ)アクリルエステルモノマー;(メタ)アクリロニトリル、および(メタ)アクリルアミド;アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート;アセトアセトキシプロピル(メタ)アクリレート;2−(3−オキサゾリジニル)エチル(メタ)アクリレート、tert−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート;エチレンウレイド官能性モノマー;アリルアセトアセテート;エチレン;プロピレン;スチレンおよび置換スチレン;ブタジエン;酢酸ビニル;酪酸ビニルおよび他のビニルエステル;ビニルモノマー、例えば、塩化ビニル、ビニルトルエン、およびビニルベンゾフェノン;および塩化ビニリデンが挙げられる。好ましい第一ポリマーおよび第二ポリマーは独立して、全部が(メタ)アクリル、主に(メタ)アクリル、スチレン/(メタ)アクリル、および酢酸ビニル/アクリル、すなわち、これらのモノマーまたはモノマーの種類を含むポリマー組成物である。「(メタ)」なる用語と、その後に続く別の用語、例えば、アクリレートまたはアクリルアミドは、本開示全体にわたって用いられる場合、それぞれ、アクリレートまたはアクリルアミド、およびメタクリレートまたはメタクリルアミドの両方を指す。
【0008】
第一ポリマーおよび第二ポリマーのそれぞれは、独立して、ポリマーの重量基準で、0重量%〜7.5重量%、好ましくは0重量%〜2.5重量%の共重合したモノエチレン性不飽和酸モノマー、例えば、アクリル酸;メタクリル酸;クロトン酸;イタコン酸;フマル酸;マレイン酸;モノメチルイタコネート;モノメチルフマレート;モノブチルフマレート;無水マレイン酸;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸;ビニルスルホン酸;スチレンスルホン酸;1−アリルオキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸;アルキルアリルスルホコハク酸;スルホエチル(メタ)アクリレート;ホスホアルキル(メタ)アクリレート、例えば、ホスホエチル(メタ)アクリレート、ホスホプロピル(メタ)アクリレート、およびホスホブチル(メタ)アクリレート;ホスホアルキルクロトネート、ホスホアルキルマレエート;ホスホアルキルフマレート;ホスホジアルキル(メタ)アクリレート;ホスホジアルキルクロトネート;およびアリルホスフェートを含有することができる。いくつかの具体例において、例えば、それぞれ第二ポリマーの重量基準で、0.1〜2.5重量%のイタコン酸および0.1〜2.5重量%のアクリルアミドなどの、酸モノマーおよびアミドモノマーがどちらも第二ポリマー中に組み入れられる。
【0009】
多エチレン性不飽和モノマーは、本明細書において、2以上のエチレン性不飽和結合を有するモノマー、例えば、アリルメタクリレート、ジアリルフタレート、1,4−ブチレングリコールジメタクリレート、1,2−エチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、およびジビニルベンゼンと定義される。このようなモノマーの量は、特に第二ポリマーに関しては、フィルム形成が実質的に損なわれないように選択しなければならない。いくつかの具体例において、第一ポリマーは、乾燥ポリマー重量基準で、0.05〜50重量%、好ましくは0.2〜35重量%、さらに好ましくは0.5〜30重量%、なおいっそう好ましくは1〜25重量%の共重合した多エチレン性不飽和モノマーを含む。他の具体例において、第一ポリマーは、乾燥ポリマー重量基準で、0.05重量%〜5重量%の共重合した多エチレン性不飽和モノマーを含有する。
【0010】
第一ポリマーのガラス転移温度(Tg)は、好ましくは50℃より高く、より好ましくは75℃より高く、最も好ましくは90℃より高い。第二ポリマーのTgは−60℃〜50℃、好ましくは−60℃〜35℃、さらに好ましくは−20℃〜20℃である。各例において、Tgは、Fox式(T.G.Fox,Bull.Am.Physics Soc.、第1巻、第3号、123ページ(1956))を用いることにより計算される。2より多くの異なるモノマータイプを含むコポリマーについて、計算は次のように表すことができる:
1/Tg=Σ[w(Mi)/Tg,(Mi)]
(式中、w(Mi)は各モノマーの重量分率であり、Tg,(Mi)はMiのホモポリマーのガラス転移温度である)。例えば、モノマーM1およびM2のコポリマーのTgの計算については、
1/Tg(計算値)=w(M1)/Tg(M1)+w(M2)/Tg(M2)
(式中、Tg(計算値)はコポリマーについて計算されたガラス転移温度である;
w(M1)はコポリマー中のモノマーM1の重量分率である;
w(M2)はコポリマー中のモノマーM2の重量分率である;
Tg(M1)はM1のホモポリマーのガラス転移温度である;および
Tg(M2)はM2のホモポリマーのガラス転移温度である;
この計算に用いるすべての温度はケルビン(K)で表す)である。
【0011】
ホモポリマーのガラス転移温度は、“Polymer Handbook”、第4版、J.Brandrup、E.H.ImmergutおよびE.A.Grulke編、Wiley−Interscience Publishers(1999)において見いだすことができる。
【0012】
本発明のポリマー粒子の水性分散物は、典型的には、乳化重合法により形成される。第一ポリマーおよび第二ポリマーは、好ましくは、多段重合法により形成され、ここにおいて、第二ポリマーは第一ポリマーの存在下で形成される。ある具体例において、第一ポリマーはそれ自体、多段において形成することができる複数のポリマーを含みうる。第二ポリマーには、相のそれぞれが少なくとも1つの共重合したエチレン性不飽和モノマーを含み、それぞれが−60℃〜50℃のTgを有する限り、2以上の相が含まれうる。
【0013】
いくつかの具体例において、反応容器中の未重合モノマーの濃度は、任意の時間(T)で、その時間(T)で反応容器中に存在する反応混合物の全重量基準で、6重量%以下、好ましくは5重量%以下、さらに好ましくは4重量%以下である。第二ポリマーの形成は、第一ポリマーの形成と同じ反応容器または釜中で行うことができる。あるいは、一定期間後に、異なる反応容器または反応釜、例えば、貯蔵タンクまたはドレンタンク中で行うこともできる。
【0014】
水性エマルジョンポリマーを調製するために用いられる重合技術は当該分野において周知である。本発明のポリマー粒子の水性分散物の重合において、各ポリマーは、界面活性剤、開始剤、および他の添加剤が独立して選択され、各ポリマーについて種類および量が同一または異なっていてもよいという意味で、独立して調製されるが、第二ポリマーは先に形成された第一ポリマーの存在下で調製される。乳化重合プロセスにおいて、通常の界面活性剤、例えばアニオン性および/または非イオン性乳化剤、例えば、アルキル、アリール、またはアルキルアリールスルフェート、スルホネートまたはホスフェートのアルカリ金属またはアンモニウム塩;アルキルスルホン酸;スルホコハク酸塩;脂肪酸;エチレン性不飽和界面活性剤モノマーおよびエトキシル化アルコールまたはフェノールを使用することができる。使用される界面活性剤の量は、通常、モノマーの重量基準で、0.1重量%〜6重量%である。
【0015】
第一ポリマーおよび第二ポリマーを独立して形成するために、例えば、熱、レドックス、光化学、および電気化学的開始を含むフリーラジカル重合法を使用することができる。いくつかの具体例において、反応温度は、少なくとも10重量%の第二ポリマーの形成の間は5℃〜65℃に維持され;その間はレドックス重合法が好ましい。ある具体例において、第二ポリマーの重合は、5℃〜40℃、好ましくは5℃から30℃、さらに好ましくは15℃〜30℃で開始され、少なくとも10重量%の第二ポリマーの形成の間、反応温度が5℃から65℃に維持されるように上昇させる。モノマーをニートで、すなわち、水中エマルジョンでない状態で添加することができるか、あるいは水中エマルジョンとして添加することができる。モノマーは、反応期間全体にわたって、1回以上の添加で、または連続して、直線的にまたはそうでなく、あるいはその組み合わせで添加することができる。
【0016】
第一段ポリマーおよび第二段ポリマーのそれぞれは、独立して、好適なフリーラジカル開始剤(酸化剤)、例えば、過酸化水素;過酸化ナトリウムまたはカリウム;t−ブチルヒドロペルオキシド;t−アルキルヒドロペルオキシド、過酸化t−アルキル、またはt−アルキル過酸エステル(ここにおいて、t−アルキル基は少なくとも5個の炭素原子を含む);クメンヒドロペルオキシド;アンモニウムおよび/またはアルカリ金属過硫酸塩;過ホウ酸ナトリウム;過リン酸およびその塩;過マンガン酸カリウム;およびペルオキシ二硫酸のアンモニウムまたはアルカリ金属塩を、典型的にはモノマーの重量基準で0.01重量%〜3.0重量%の量で用いて形成することができる。好適な還元剤、例えば、ナトリウムスルホキシレートホルムアルデヒド;アスコルビン酸;イソアスコルビン酸;硫黄含有酸のアルカリ金属およびアンモニウム塩、例えばナトリウムの亜硫酸塩、重亜硫酸塩、チオ硫酸塩、ヒドロ亜硫酸塩、硫化物、ヒドロ硫化物または亜ジチオン酸塩;ホルマジンスルフィン酸;ヒドロキシメタンスルホン酸;ナトリウム2−ヒドロキシ−2−スルフィナト酢酸;アセトンビサルファイト;アミン、例えば、エタノールアミン、グリコール酸;グリオキシル酸水和物;乳酸;グリセリン酸、リンゴ酸;酒石酸;および前記酸の塩とともに1以上の酸化剤を用いたレドックス系を用いることができる。鉄、銅、マンガン、銀、白金、バナジウム、ニッケル、クロム、パラジウム、またはコバルトの金属塩を触媒するレドックス反応は、第一ポリマーおよび第二ポリマーの形成に用いることができる。本発明に従って用いられる触媒金属塩の典型的な量は、0.01ppmから25ppmの範囲である。2以上の触媒金属塩の混合物も有効に用いることができる。触媒金属塩とともに使用できるキレートリガンドには、マルチデンテートアミノカルボキシレートリガンド、例えば、ニトリロトリ酢酸(NTA、テトラデンテートリガンド)エチレンジアミン二酢酸(EDDA、テトラデンテートリガンド)、N−(ヒドロキシエチル)エチレンジアミン三酢酸(HEDTA、ペンタデンテートリガンド)、アンモニア二酢酸(ADA、トリデンテートリガンド)およびエチレンジアミン四酢酸(EDTA、ヘキサデンテートリガンド)が含まれる。
【0017】
形成される第一ポリマーおよび第二ポリマーの分子量を独立して低下させるため、および/またはフリーラジカル生成開始剤を用いて他の方法で得られるのと異なる分子量分布を提供するために、連鎖移動剤、例えば、テトラブロモメタンを包含するハロゲン化合物;アリル化合物;またはメルカプタン、例えば、アルキルチオグリコレート、アルキルメルカプトアルカノエート、およびC−C22直鎖または分岐鎖アルキルメルカプタンを使用することができる。連鎖移動剤は、全反応期間のほとんどまたは全てにわたって、あるいは反応期間の限定された部分において、1回以上の添加で、または連続して、直線的またはそうではなく、添加することができる。
【0018】
水性分散物のポリマー粒子は、200〜1500ナノメートル(nm)、好ましくは200〜600nmの平均粒子直径を有する。多モード粒子サイズエマルジョンポリマーも意図され、ここにおいて、米国特許第5,340,858号;第5,350,787号;第5,352,720号;第4,539,361号;および第4,456,726号において示唆されているように、1以上の粒子サイズモードが本発明のポリマー粒子であり、2以上の異なる粒子サイズまたは非常に広範囲の分布がもたらされる。
【0019】
いくつかの具体例において、第一ポリマーの粒子は組成物において均一である。しかしながら、ある具体例においては、第一ポリマーの粒子は1相より多くを含み、例えば、多段乳化重合により生じさせることができる。組成が異なる少なくとも2段が逐次的な様式で重合される多段乳化重合法の結果、通常、少なくとも2つの相互に非相溶性のポリマー組成物が形成され、その結果、ポリマー粒子内で少なくとも2相が形成される。このような粒子は、コア/シェル又はコア/シース粒子、シェル相が部分的にコアを封入するコア/シェル粒子、複数のコアを有するコア/シェル粒子、および相互貫入ネットワーク粒子などの様々な形状の2以上の相から構成される。多段エマルジョンポリマーは、2段以上において形成することができ、ここにおいて、段は組成において異なるのと同様、またはこれに加えて、分子量が異なる。
【0020】
第一ポリマー粒子は、乾燥された場合、少なくとも1つの空隙を有する。多段乳化重合により形成される一つの空隙を含む第一ポリマー粒子は、当該分野において公知であり、米国特許第4,427,836号;第4,469,825号;第4,594,363号;第4,880,842号;第4,970,241号;第4,677,003号;第4,985,064号;第5,225,279号;第5,494,971号;第5,545,695号;第5,510,422号;第5,527,613号;第6,020,435号;第6,252,004号;第6,139,961号;第6,673,451号;および第6,784,262号に開示されている。本発明の第一ポリマー粒子は、米国特許出願公開番号20010009929;20010036990;および20030129435にも開示されている。好適な第一ポリマー粒子は、乾燥時に、複数の空隙も含むことができ;「複数の空隙」とは、本明細書においては、他の空隙と分離しているかまたは連結しているかにかかわらず、形状が実質的に球状であるか否かにかかわらず、2以上の空隙を意味し、例えば、空隙チャンネル、空隙およびポリマーの相互貫入ネットワーク、およびスポンジ様構造、例えば、米国特許第5,036,109号;第5,157,084号;第5,216,044号;および第5,989,630号に開示されているものを包含する。複数の空隙は、シェルポリマーにより完全にまたは部分的に封入された第一ポリマー粒子内に形成することができる。別の具体例において、第一ポリマー粒子は、第一ポリマー粒子から溶け出して、乾燥時に空隙を形成することができる1以上のコアポリマーを含む。さらなる具体例において、二酸化チタンおよび酸化ケイ素、超臨界二酸化炭素、FREON(商標)、および易酸化性化合物などの顔料粒子を含むか、あらかじめ含んでいる第一ポリマー粒子が考慮される。第一ポリマー粒子の最外ポリマー表面の過半量は、50℃より高い、好ましくは75℃より高い、さらに好ましくは90℃より高いTgを有するのが好ましい。
【0021】
いくつかの具体例において、乾燥時に、少なくとも1つの空隙を有する第一ポリマーは米国特許第6,632,531号の方法に従って形成することができる。このような具体例において、本発明の第一ポリマーは、好ましくは少なくとも1種の不安定性物質、すなわち、30℃未満の標準沸点を有する任意の物質の存在下で形成され、本発明の第二ポリマーは、第一ポリマーの存在下で重合される。このような具体例において、第二ポリマーは、不安定性物質の除去前または除去後のいずれかに形成することができる。
【0022】
このような具体例において、不安定性物質は、好ましくは、二酸化炭素、2,2−ジメチルプロパン、ジクロロフルオロメタン、1,2−ジクロロテトラフルオロエタン、ブタン、1,1,2,2−テトラフルオロエタン、1,1,1,2−テトラフルオロエタン、ジメチルエーテル、1,1−ジフルオロエタン、オクタフルオロプロパン、クロロジフルオロメタン、プロパン、ペンタフルオロエタン、ジフルオロメタン、六フッ化硫黄、ヘキサフルオロエタン、二酸化炭素、クロロトリフルオロメタン、トリフルオロメタン、エタン、テトラフルオロメタン、メタン、ジフルオロメタン、ヘキサフルオロエタン、二酸化炭素、クロロトリフルオロメタン、トリフルオロメタン、エタン、テトラフルオロメタン、メタン、およびその組み合わせからなる群から選択される。
【0023】
空隙サイズは、100〜1200nmの範囲であるのが好ましい。本発明の粒子が、これらが存在するフィルムの不透明性を増大させるいくつかの具体例において、空隙サイズは、200〜600nm、さらに好ましくは250〜450nmの範囲であるのが好ましい。例えば、本発明の粒子が紙コーティングにおいて、特に光沢を増大させるために紙コーティングがカレンダー処理を受ける用途において使用されるいくつかの具体例において、空隙サイズが750〜1200nmであるのが好ましく、さらに好ましくは1000〜1200nmの範囲であるのが好ましい。
【0024】
本発明の粒子を含む水性分散物は、分散物の全ポリマー重量基準で、5〜95重量%、好ましくは5〜50重量%、さらに好ましくは5〜35重量%の、空隙を有しない、または中実の粒子をさらに含むことができる。空隙を有しない粒子は、−50℃〜50℃の範囲のTg値を有することができ、典型的には10nm未満〜1000nmを超える、好ましくは30〜500nm、さらに好ましくは40〜200nmの粒子サイズを有することができる。このような具体例において、異なる平均粒子サイズを有する空隙を有する粒子の集団、すなわち、二モードまたは多モードの粒子サイズ分布が存在し得る。いくつかの具体例において、例えば、老化または風化した基体に施用できるコーティングの配合物において本発明の分散物が使用される場合、分散物の全ポリマー含量基準で、20〜35重量%の、10〜100nm、好ましくは40〜80nmの粒子サイズを有する空隙を有しない粒子を有することが望ましい場合がある。
【0025】
本発明のポリマー粒子は、第一ポリマーおよび前記第一ポリマーを実質的に封入する第二ポリマーを含む。「第一ポリマーを実質的に封入する」とは、第一ポリマー粒子の表面積の50%超が第二ポリマーにより覆われていなければならないことを意味する。好ましくは、第一ポリマー粒子の表面積の75%超、さらに好ましくは100%が第二ポリマーにより覆われている。ポリマー粒子の被覆または封入の程度は、当該分野において周知のように、染色技術の有無にかかわらず、走査電子顕微鏡検査法により決定することができる。
【0026】
ポリマー粒子の水性分散物は、典型的には、30重量%を超える、好ましくは40重量%をこえる固形分を有する。本発明のポリマー粒子よりも小さい粒子サイズを有するポリマー粒子の存在により、固形分が70%以上に近い分散物が生成しうる。さらに、高固形分、またはさらに小さな粒子の存在、または両者の組み合わせは、本発明の粒子の沈殿または沈降を防止し得る。本明細書において高固形分とは、50重量%を超える、好ましくは60重量%を超える固形分を意味する。
【0027】
一具体例において、本発明は、乾燥された場合にコーティングとしての使用に好適な水性コーティング組成物を提供する働きをし、本明細書において「コーティング」とは、例えば、塗料、クリアコート、トップコート、プライマー、紙用コーティング、皮革用コーティング、織物および不織布用コーティングおよび含浸剤、エラストマーコーティング、コーキング、シーラント、および接着剤を包含する。このようなコーティングは、典型的には、フィルム形成における改善を示し、特に30℃より低い温度で、または水性コーティング組成物の全重量基準で5重量%より低いVOCレベルでのフィルム形成において改善を示し、および/または、第一ポリマーの重量基準で0.05重量%未満の共重合した多エチレン性不飽和モノマーを含む第一ポリマーを有する類似したポリマー粒子の水性分散物におけるコーティングと比べて、フィルム完全性において改善を示す。
【0028】
本発明のポリマーは、着色コーティングの配合物においてバインダーとして有利に使用することができる。本明細書において用いられる場合、「バインダー」とは、配合物の乾燥により形成されるフィルムに対して完全性を提供する配合物中の成分をさす。比較的低PVCコーティング配合物において、バインダーは、顔料および増量剤を包含する他の成分が埋め込まれた相当連続したフィルムを形成することによりこれを達成できる。バインダーは、配合物中の他の成分、例えば、顔料および増量剤の粒子間の接着点を形成する働きもすることができる。この結合メカニズムは、バインダーが連続フィルムを形成するために適当な量において存在することができない比較的高PVC配合物においてさらに一般的である。ポリマー粒子の分散物は、水性コーティング配合物においてバインダーとして通常使用される。典型的には、バインダー粒子は配合物が乾燥される温度でフィルム形成性である様な性質を有する。あるいは、バインダー粒子を軟化させて、これらをフィルム形成性にするために、溶媒または造膜助剤を添加することができる。
【0029】
本発明のポリマー粒子をバインダーとして用いる着色コーティング配合物は、伝統的な空隙を有しないポリマー粒子をバインダーとして使用する類似の配合物よりも高い不透明性を提供することができる。あるいは、調製者は、バインダーとして伝統的な空隙を有しないポリマーを用いる匹敵する配合物において、同じレベルの不透明性を達成するために必要であるよりも低いレベルの顔料および/または増量剤を用いることにより、バインダーとして本発明の粒子を用いるコーティング配合物において所望のレベルの不透明性を達成することができる。
【0030】
本発明の水性分散物を有する水性コーティング組成物は、コーティング分野において周知の技術により調製される。まず、水性コーティング組成物が着色されるならば、典型的には、例えば、COWLES(登録商標)ミキサーによりもたらされるような高剪断下、少なくとも1つの顔料を水性媒体中によく分散させる。次いで、ポリマー粒子の水性分散物を、さらに低い剪断撹拌下、所望により他のコーティングアジュバントとともに添加する。あるいは、ポリマー粒子の水性分散物を顔料分散工程中に含めることができる。水性コーティング組成物は、通常のコーティングアジュバント、例えば、粘着付与剤、顔料、増量剤、乳化剤、クロスリンカー、造膜助剤、緩衝剤、中和剤、増粘剤またはレオロジー改良剤、保湿剤、湿潤剤、殺生剤、可塑剤、消泡剤、着色剤、ワックス、および酸化防止剤を含有することができる。水性コーティング組成物は、ポリマー粒子の重量基準で、75重量%までの、本発明のポリマー粒子の水性分散物の性質を満たさないエマルジョンポリマー、例えば、フィルム形成性ポリマーおよび/またはフィルム非形成性エマルジョンポリマーを含有することができる。
【0031】
コーティングの配合物において用いられる好適な顔料および増量剤の例には、二酸化チタン、例えば、アナターゼおよびルチル型二酸化チタン;酸化亜鉛;酸化アンチモン;酸化鉄;珪酸マグネシウム;炭酸カルシウム;有機および無機着色顔料;アルミノ珪酸塩;シリカ;様々なクレー、例えば、カオリンおよび離層クレー;および酸化鉛が含まれる。水性コーティング組成物中の顔料および増量剤の量は、顔料体積濃度(PVC)が0から95まで変化し、これにより当該分野において違うふうに記載されているコーティング、例えば、透明コーティング、ステイン、フラットコーティング、サテンコーティング、半光沢コーティング、光沢コーティング、プライマー、およびテクスチャードコーティングを包含する。顔料体積濃度は、次式により計算される:
PVC(%)=(顔料の体積+増量剤の体積)×100/塗料の全乾燥体積
【0032】
一具体例において、水性コーティング組成物は、感光性部分を含む。感光性部分は、太陽光スペクトルのある部分を吸収でき、特定の理論に限定されないが、外部暴露の間、ポリマーの架橋のために光開始剤として潜在的に作用する。感光性部分は、水性分散物の形成前、形成中、または形成後に、水性コーティング組成物に添加される感光性化合物であるか、または、例えば共重合により、ポリマー粒子の水性分散物の1以上のポリマー、好ましくは第二ポリマー中に化学的に組み入れられる感光性基であり得る。感光性化合物の例は、一方または両方のフェニル環が置換されているベンゾフェノン誘導体、例えば、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−ヒドロキシベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−ヒドロキシカルボキシルベンゾフェノン、4,4’−ジメチルベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4−カルボキシメチルベンゾフェノン、3−ニトロベンゾフェノン、および置換フェニルケトン、例えば、置換フェニルアセトフェノンである。感光性基は、感光性基を含有する共重合したエチレン性不飽和モノマーとして1以上の段において存在することができる。感光性基を含有するエチレン性不飽和モノマーの例には、ビニルトルエン、アリルベンゾイルベンゾエートおよびペンダントベンゾフェノン基を組み入れたモノマー、例えば、ビニルベンジルメチルベンゾイルベンゾエート、ヒドロキシメタクリルオキシプロピルメチルベンゾイルベンゾエート、ヒドロキシメタクリルオキシプロピルベンゾイルベンゾエート、およびヒドロキシメタクリルオキシプロポキシベンゾフェノンが含まれる。好ましい感光性化合物はベンゾフェノンである。水性コーティング組成物は、乾燥ポリマー重量基準で、0.1〜5重量%、好ましくは0.1〜3重量%、さらに好ましくは0.1〜1重量%の1以上の感光性化合物を含有することができる。
【0033】
好ましくは、水性コーティング組成物は、水性コーティング組成物の全重量基準で、5重量%未満のVOC、さらに好ましくは3重量%未満のVOC、なおいっそう好ましくは1.7重量%未満のVOCを含有する。揮発性有機化合物(VOC)は、本発明においては、大気圧で280℃より低い沸点を有する炭素含有化合物として定義される。
【0034】
さらに、水性コーティング組成物は、造膜助剤を含有することができ、その一部はVOCでない、例えば、大気圧で280℃より高い沸点を有する造膜助剤である。造膜助剤は、ポリマー粒子の水性分散物、塗料またはコーティングに添加され、ポリマー粒子の水性分散物または水性コーティング組成物の最低フィルム形成温度(MFFT)を少なくとも1℃低下させる化合物である。MFFTは、ASTM試験法D2354を用いて測定される。VOCでない造膜助剤の例には、可塑剤、低分子量ポリマー、界面活性剤、自己酸化可能な可塑剤、例えば、不飽和脂肪酸のアルキルエステルが含まれる。好ましいのは、アマニ油、キリ油、脱水ヒマシ油、大豆油、タル油、ヒマワリ油、およびコーン油などの油から調製されるアルキルエステルである。非VOC造膜助剤の例には、不飽和脂肪酸、例えば、一、二または三不飽和脂肪酸のエステルが含まれる。好適な不飽和脂肪酸エステルとしては、パルミトオレイン酸、オレイン酸、またはカプロレイン酸から形成される一不飽和脂肪酸エステル;リノール酸から形成される二不飽和脂肪酸エステル;リノレン酸またはエレオステリン酸から形成される三不飽和脂肪酸エステル;またはその混合物が挙げられる。不飽和脂肪酸の好適なエステルとしては、アルキルエステル、例えば、メチルおよびエチルエステル;置換アルキルエステル、例えば、エチレングリコールおよびプロピレングリコールから形成されるエステルおよび不飽和脂肪酸のアルキルエーテルエステル;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール;ジプロピレングリコール;トリプロピレングリコール;およびジエチレングリコールモノブチルエーテルが挙げられる。一具体例において、前記の自己酸化可能な可塑剤は、ポリマー粒子の全重量基準で、0.25%〜12.5%のアセトアセトキシエチル(メタ)アクリレートを共重合単位として含有するポリマー粒子の水性分散物と共に用いられる。自己酸化は、例えば、コバルト、ジルコニウム、カルシウム、マンガン、銅、亜鉛および鉄などの金属イオン触媒の使用により向上させることができる。単純な塩、例えば、ハロゲン化物、硝酸塩、および硫酸塩を用いることができるが、多くの場合、有機アニオン、例えば、酢酸塩、ナフテン酸塩またはアセト酢酸塩が用いられる。
【0035】
塗料またはコーティング調製の典型的な方法は、ポリマー粒子、殺生剤、消泡剤、石けん、分散剤、および増粘剤の水性分散物からの外因性VOCを導入することができる。これらは典型的には、水性コーティング組成物の全重量基準で、0.1重量%のVOCである。さらなる方法、例えば、ポリマー粒子の水性分散物の蒸気ストリッピングおよび低VOC含有添加剤、例えば、殺生剤、消泡剤、石けん、分散剤、および増粘剤の選択を使用して、水性コーティング組成物の全重量基準で0.01重量%未満のVOCまで塗料またはコーティングをさらに減少させることができる。
【0036】
水性コーティング組成物の固形分は、10体積%〜85体積%でありうる。水性組成物の粘度は、ブルックフィールド粘度計を用いて測定すると、0.05〜2000Pa・s(50cps〜2,000,000cps)であることができ;異なる最終用途および適用法のための好適な粘度は相当変化する。
【0037】
水性コーティング組成物は、通常の施用法、例えば、ブラシまたはペイントローラー、エアアトマイズドスプレー、エアアシステッドスプレー、エアレススプレー、高体積低圧スプレー、エアアシステッドエアレススプレー、および静電スプレーにより施用することができる。水性コーティング組成物は、基体、例えば、シートおよびフィルムを包含するプラスチック;ガラス;木材;金属、例えば、アルミニウム、スチール、およびホスフェートまたはクロメート処理スチール;あらかじめ塗装された表面;風化した表面;セメント性基体;およびアスファルト基体に、プライマーなどの事前の基体処理の有無にかかわらず、施用することができる。基体上にコーティングされた水性組成物は、典型的には5℃〜95℃の温度で乾燥されるか、あるいは放置して乾燥される。
【0038】
第一ポリマーが、乾燥時に少なくとも1つの空隙を含む本発明の分散物を形成するための好ましい方法は、公開された米国特許出願公開番号20010009929に開示されているものと類似している。本発明の好ましい方法において、コア段ポリマー(コア)および第一シェル段ポリマー(第一シェル)を含む多段エマルジョンポリマーの水性分散物が提供される。コアおよび第一シェルは、それ自体、1より多い段を含んでなることができる。1以上の中間段も存在し得る。好ましくは、多段ポリマーは、コア、中間層およびシェルを含む。中間層は、米国特許出願公開番号20010009929に記載されているとおりである。
【0039】
好ましい方法にしたがって、多段ポリマーのエマルジョンに、少なくとも一つのモノエチレン性不飽和モノマーを添加し、5℃〜65℃の温度で、多段ポリマーの存在下で、少なくとも10%のモノマーを重合させることにより、第一シェル段ポリマーを実質的に封入する第二シェル段ポリマー(第二シェル)を次に形成する。この温度は第一シェル段ポリマーの計算Tgよりも少なくとも30℃低い。多段エマルジョンポリマーのコアは、第二シェル段ポリマーを含むモノマーの重合前、重合中、または重合後に膨潤剤を水性分散物に添加することにより膨潤させられる。
【0040】
この方法において、第一シェル段ポリマーは、本発明において、本発明の第一ポリマーに起因する特性を有し、第二シェル段ポリマーは本発明の第二ポリマーに起因する特性を有する。好ましくは、第一段シェルポリマーは、少なくとも50℃の計算Tgを有し、重合単位として、少なくとも50重量%の非イオン性モノエチレン性不飽和モノマーを含む。
【0041】
好ましい方法において用いられる多段ポリマーのコアは、米国特許出願公開番号20010009929に記載されている通りである。コアは、好ましくは、重合単位として、コアの重量基準で、5重量%〜100重量%の少なくとも1つの親水性モノエチレン性不飽和モノマーおよびコア段ポリマーの重量基準で0〜95重量%の少なくとも1つの非イオン性モノエチレン性不飽和モノマーを含むエマルジョンポリマーである。
【0042】
コアは、一段法または数段を含む方法により得られるかどうかにかかわらず、未膨潤状態において、50nm〜1.0ミクロン、好ましくは100nm〜300nmの平均粒子サイズ直径を有する。コアが、例えば米国特許出願公開番号20010009929に記載されているようなシードポリマーから得られるならば、シードポリマーは、好ましくは30nm〜200nmの平均粒子サイズを有する。コアは任意に、コアの全重量基準で20重量%未満、好ましくは0.1〜3重量%の多エチレン性不飽和モノマーを含有しうる。
【0043】
好ましい方法に関連して、コアポリマーを調製するために有用な好適な親水性モノエチレン性不飽和モノマーは、酸官能基を含有するモノエチレン性不飽和モノマー、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルオキシプロピオン酸、(メタ)アクリルオキシプロピオン酸、イタコン酸、アコニット酸、マレイン酸または無水マレイン酸、フマル酸、クロトン酸、モノメチルマレエート、モノメチルフマレート、およびモノメチルイタコネートをはじめとする少なくとも1つのカルボン酸基を含有するモノマーを含む。アクリル酸およびメタクリル酸が好ましい。
【0044】
1以上の膨潤剤をこの方法において用いることができる。好適な膨潤剤としては、多段エマルジョンポリマーおよびモノマーの存在下で、シェルポリマーに浸透し、コアを膨潤させることができるものが挙げられる。膨潤剤は、水性または気体状、揮発性または固定塩基、あるいはその組み合わせであってよい。
【0045】
好適な膨潤剤としては、揮発性塩基、例えば、アンモニア、水酸化アンモニウム、および揮発性低級脂肪族アミン、例えば、モルホリン、トリメチルアミン、およびトリエチルアミン;固定または永久塩基、例えば、水酸化カリウム、水酸化リチウム、亜鉛アンモニウム錯体、銅アンモニウム錯体、銀アンモニウム錯体、水酸化ストロンチウム、および水酸化バリウムが挙げられる。溶媒、例えば、エタノール、ヘキサノール、オクタノール、Texanol(登録商標)溶媒および米国特許第4,594,363号に記載されているものを、固定または永久塩基浸透を助けるために添加することができる。アンモニアおよび水酸化アンモニウムが好ましい。
【0046】
好ましい方法において用いられる多段エマルジョンポリマーのコアは、第二シェル段ポリマーを含むモノマーの重合前、重合中または重合後であるが、第一シェルポリマーの形成後に膨潤剤を水性分散物に添加することにより膨潤させることができる。好ましい具体例において、膨潤剤は、水性分散物が、分散物中のポリマーの全ポリマー含量基準で、少なくとも0.5重量%の未反応モノマーを含む時点で、モノマーの実質的な重合がない条件下で水性分散物に添加され;その後、モノマーの量を少なくとも50%減少させる。「モノマーの実質的な重合がない条件下」なる語句およびこのような条件を達成するための技術は、米国特許出願公開番号20010009929に記載されている通りである。
【0047】
好ましくは、膨潤剤の量は、中和させることができるコア中の官能基の当量基準で75〜300%、さらに好ましくは90〜250%の範囲である。多段エマルジョンポリマーが高温、好ましくはシェル重合温度の10℃以内の温度である際に、1以上の膨潤剤を多段エマルジョンポリマーに添加することも好ましい。膨潤は、通常、非常に効率よく、すなわち、モノマーの存在下での高温条件下、最小の時間で膨潤し、実質的に重合が起こらない。これらの条件下、膨潤は通常、1以上の膨潤剤の添加の30分以内、好ましくは20分以内、最も好ましくは10分以内に完了する。
【0048】
多段エマルジョンポリマーをモノマーと膨潤剤の両方の存在下で膨潤させた後、モノマーの量をポリマー固形分基準で10,000ppm未満、好ましくは5000ppm未満に減少させることが望ましい。これは、任意の好適な手段により達成することができる。好ましくは、モノマーの量はモノマーの重合により減少する。これは、前記の任意の好適な手段、例えば、1以上の開始剤を添加することにより達成できる。モノマーの量は1以上の膨潤剤の添加の20分以内、さらに好ましくは10分以内に減少し始めるのが好ましい。
【0049】
次の実施例は、本発明を説明するために提示される。実施例において、次の略号を使用する:
BAはブチルアクリレートである;
MMAはメチルメタクリレートである;
MAAはメタクリル酸である;
t−BHPはt−ブチルヒドロペルオキシド(70%)である;
SDSはナトリウムドデシルベンゼンスルホネート(23%)である;
DIは脱イオン化である;
SPSは過硫酸ナトリウムである;
ALMAはアリルメタクリレートである;
Lはリットルである;wtは重量である;volは体積である;gはグラムである;minは分である。
【0050】
試験法
粒子サイズ:測定は、Matec CHDF−2000(キャピラリー流体力学的分別法)を用いてCHDFにより行った;Matec Applied Sciences,Northborough,MA。
【0051】
S/Mil測定:水性分散物を黒色ビニルスクラブチャート上に注いだ。湿ったフィルムを相対湿度30%で乾燥させた。乾燥フィルム(厚さ〜2mil)上で、P.B.MittonおよびA.E.Jacobson(Off.Digest,Sept.1963,p871−911)の方法によりKubelka−Munk散乱係数を決定した。S/milは、45/0ジオメトリーのY−反射率計を用いて測定される。Y反射率計は、XYZカラースケールのY成分を測定する光反射率測定器である。45/0ジオメトリーは、光が法線から45度の角度でコーティングに入射し、散乱した光が法線から0度の角度で集められることを示す。
【0052】
スクラブ耐性:7mil開口フィルムキャスターを用いて水性コーティング組成物を黒色ビニルチャート上に注いだ。チャートを、73.5°F(23℃)±3.5°および相対湿度50±5%に維持されたオープンルーム中、水平にして7日間空気乾燥させた。塗料フィルムを基体まで浸食するために必要なスクラブサイクルの数により塗料フィルムのスクラブ耐性を測定するカットスルースクラブ耐性を決定した。この方法は、ナイロン製剛毛ブラシならびにThe Leneta Company,Inc.(Mahwah,NJ)から入手した研磨スクラブメディアSC−2型、水および消泡剤をブレンドすることにより調製されたスクラブメディアを使用した。研磨試験機中、シムを含有するアルミニウムプレート上に塗料チャートを固定した。ブラシをホルダー中に取り付け、10gのスクラブメディアをブラシ剛毛上に均一に広げた。サイクルカウンターを0にセットし、試験を開始した。それぞれ400サイクルの後、破損する前に、10グラムのスクラブメディアを添加した。シムの1/2インチ幅にわたって1本の連続した線で塗料フィルムを完全に除去するためのサイクルの数を記録した。記録された値は8回の測定の平均値であった。
【0053】
BCOP隠蔽率:試験される水性分散物のサンプルを、BCOP(バインダーでコーティングされた不透明ポリマー)標準分散物(以下に定義)とブレンドする。試験分散物とBCOP標準分散物の相対量は、得られるブレンドが、ブレンドの全ポリマー重量基準で30重量%の試験バインダーからのポリマー固形分、およびブレンドの全ポリマー重量基準で70重量%のBCOP標準分散物からのポリマー固形分を含むように選択される。7milのブレンドの湿潤フィルムを黒色ビニルスクラブチャート(Leneta#P121010N)上に注ぐ。黒色ビニルスクラブチャートは、例えば、Ames Corporation of Waltham,MAから入手可能なAmesゲージ(#2−212C)を用いて、4つの規定された領域において厚さ(mil)に関して測定された。フィルムを2時間、低い相対湿度(相対湿度<40%、乾燥中、相対湿度が<40%であるならば、BCOP隠蔽率は、実質的に変化しない)チャンバーまたはルーム中で乾燥する。乾燥フィルムの反射率は、例えば、Gardner Instrument Reflectometer(BYK−Gardner of Columbia,MD)により、4つの規定された領域上で反射率計により測定される。フィルムの厚さも、Amesゲージを用いて規定された領域のそれぞれについて決定される。BCOP隠蔽率は、4つの規定された領域のそれぞれについて次のように計算される:
BCOP隠蔽率=R/〔(1−R)×t〕
(式中、R=反射率;および
t=フィルムの厚さ(mil))。
4つの測定値の平均を乾燥フィルムに関するBCOP隠蔽率とする。好ましくは、本発明において、BCOP隠蔽率は少なくとも0.1である。
【0054】
BCOP80%隠蔽率:フィルムが温度/湿度チャンバー(Hotpack,#417532型、Warminster,PAのSP Industries,Inc.から入手可能)中、25℃/相対湿度80%で一夜乾燥され、次いで相対湿度<40%で低湿度チャンバー/ルーム中1時間乾燥する以外は、BCOP隠蔽率の決定について記載された手順および計算を再現する。
【0055】
BCOP安定係数:
BCOP安定係数=1−(BCOP80%隠蔽率/BCOP隠蔽率)
本発明において、好ましくは、BCOP安定係数は0.5未満である。
【0056】
BCOP標準分散物
BCOP標準分散物は、次の方法により形成される:936gのBA、840.6gのMMA、23.4gのAA、および82.7gのポリエチレングリコールラウリルエーテルナトリウムスルフェートの30%水溶液を、674gの脱イオン水と組み合わせ、混合物を携帯型ホモジナイザーで30秒間撹拌して、エマルジョンを形成した。938gの脱イオン水および3.6gのポリエチレングリコールラウリルエーテルナトリウムスルフェートの30%水溶液を、温度調節器、凝縮器、および機械的撹拌機を備えた5Lの四口丸底ガラス製釜に添加した。撹拌しながら窒素下で釜を85℃に加熱した。釜の温度85℃で、均質化されたモノマーエマルジョンの76gアリコートを釜に添加し、直後に20gの水中に溶解させた7.2gのAPSを添加した。得られた混合物を5分間撹拌しながら保持した。反応温度を85℃に維持しつつ、残存するモノマーエマルジョンを約80分にわたって釜に供給した。
【0057】
モノマーエマルジョンの供給が完了したら、釜の内容物をさらに10分間85℃で維持した後、60℃に冷却した。20gの0.10重量%の硫酸鉄溶液を釜に添加し、続いて58gの水中に溶解させた3.6gの70%t−ブチルヒドロペルオキシドおよび58gの水中に溶解させた1.8gのイソアスコルビン酸を約30分かけて添加した。釜を周囲温度に冷却させた。30℃で、エマルジョンのpHを、水酸化アンモニウムの添加によりpH9に調節した。エマルジョンを釜から取り出し、濾過した。最終ラテックスは49.0重量%の固形分であった。粒子サイズは106nmであった。
【実施例】
【0058】
(実施例1)
第一ポリマーを調製するためのポリマーコアの調製:米国特許第6,020,435号の実施例1〜16の示唆に従って、66MMA/34MAA重量%のポリマーコアを調製した。
コア#1 濾過された分散物は、31.9重量%の固形分および108nmの平均粒子サイズを有していた。
コア#2 濾過された分散物は、31.8重量%の固形分および127nmの平均粒子サイズを有していた。
コア#3 濾過された分散物は、30.8重量%の固形分および139nmの平均粒子サイズを有していた。
【0059】
(実施例2)
第一ポリマー(中和)の調製:5Lの四口丸底フラスコに、パドルスターラー、温度計、窒素インレット、および還流凝縮器を取り付けた。DI水(1000g)を釜に添加し、窒素雰囲気下、89℃に加熱した。加熱された釜の水に、30gのDI水中3.7gのSPSを添加した。この直後に、219.4gのコア#1(実施例1)を添加した。70gのDI水、4.7gのSDS、70.0gのスチレン、61.6gのMMA、および8.4gのMAAを混合することにより調製されたモノマーエマルジョンI(MEI)を、釜に60分かけて78℃で添加した。MEIが完了したら、218.0gのDI水、9.3gのSDS、657.3gのスチレン、12.6gのMAA、4.2gのアマニ油脂肪酸、および2.1gのALMAを混合することにより、第二モノマーエマルジョン(MEII)を調製した。モノマーエマルジョンII(MEII)を、60gのDI水中に溶解させた0.93gのSPSの別の混合物とともに60分かけて釜に添加した。反応混合物の温度を92℃に上昇させた。MEIIおよび同時供給が完了したら、22gの、0.1%硫酸鉄および1%ベルセンの水中溶液を釜に添加した。次に、54.0gのDI水、2.0gのSDS、168gのスチレン、および2.0gの4−ヒドロキシTEMPOを混合することにより調製した第三のモノマーエマルジョン(MEIII)を釜に添加した。これに続いて500gの熱DI水(90℃)を添加した。釜の温度を〜85℃にして、600gの熱DI水中に溶解させた水酸化ナトリウムの50%溶液31.0gを10分にわたって釜に添加した。水酸化ナトリウム添加の完了後10分で、20gのDI水と混合した1.0gのSPSの溶液を釜に添加し、バッチを85℃で30分間保持した。反応混合物を次いで室温に冷却し、濾過した。最終の中和されたラテックスは26.4重量%の固形分、398nmの粒子直径、および8.3のpHを有していた。
【0060】
(実施例3)
第一ポリマー(未中和)の調製:5Lの四口丸底フラスコに、パドルスターラー、温度計、窒素インレット、および還流凝縮器を取り付けた。脱イオン水(1200g)を釜に添加し、窒素雰囲気下、89℃に加熱した。加熱された釜の水に、30gのDI水中に溶解させた5.25gのSPSを添加した。この直後に、314.5gのコア#2(実施例1)を添加した。100gのDI水、6.7gのSDS、100gのスチレン、88.0gのMMA、および12gのMAAを混合することにより調製されたMEIを釜に60分かけて78℃で添加した。MEIの完了後、400gのDI水、18gのSDS、1179gのスチレン、18.0gのMAA、6gのアマニ油脂肪酸、および3.0gのALMAを混合することにより、MEIIを調製した。90gのDI水中に溶解させた1.3gのSPSの別の混合物と共にMEIIを釜に60分かけて添加した。反応混合物の温度を92℃に上昇させた。MEIIおよび同時供給が完了したら、反応混合物を85℃で30分間保持し、次いで室温に冷却し、形成された凝塊を除去するために濾過した。最終の中和されていないラテックスは、39.9重量%の固形分、375nmの平均粒子サイズ、および2.2のpHを有していた。
【0061】
(実施例4)
第一ポリマー(未中和)の調製:315gのコア#1(実施例1)を使用し、実施例3において使用した手順にしたがって第一ポリマーを調製した。最終的な中和されていないラテックスは、39.8重量%の固形分、315nmの平均粒子直径、および2.1のpHを有していた。
【0062】
(実施例5)
第一ポリマー(未中和)の調製:315gのコア#3(実施例1)を用い、実施例3において使用した手順に従って第一ポリマーを調製した。最終的な未中和ラテックスは、40.1重量%の固形分、350nmの平均粒子サイズ、および2.2のpHを有していた。
【0063】
(実施例6)
第一ポリマー(未中和)の調製:5Lの四口丸底フラスコに、パドルスターラー、温度計、窒素インレット、および還流凝縮器を取り付けた。DI水(1200g)を釜に添加し、窒素雰囲気下、89℃に加熱した。加熱された釜の水に、30gのDI水中に溶解させた5.25gのSPSを添加した。この直後に、314.5gのコア#3(実施例1)を添加した。実施例3にしたがって調製されたMEIを釜に60分かけて78℃で添加した。MEIが完了したら、実施例3に従ってMEIIを調製した。MEIIを、90gのDI水中に溶解させた1.3gのSPSの別の混合物とともに60分かけて釜に添加した。反応混合物の温度を92℃に上昇させた。MEIIおよび同時供給が完了したら、反応混合物を85℃で30分間保持し、室温に冷却し、濾過した。最終的な中和されていないラテックスは40.0重量%の固形分、380nmの平均粒子直径、および2.2のpHを有していた。
【0064】
(実施例7)
ポリマー粒子の水性分散物の形成:実施例6と同じ装置を使用し、DI水(700g)を釜に添加し、窒素雰囲気下、85℃に加熱した。1704gの実施例2の第一ポリマーを釜に添加し、温度を60℃に調節した。270gのDI水、15.0gのSDS、378gのMMA、および522gのBAを混合することにより、モノマーエマルジョン(ME)を調製した。釜の温度60℃で、2gの1%ベルセンと混合された20gの0.1%硫酸第一鉄の溶液を釜に添加した。次に、80gのDI水と混合された2.3gのt−BHPの溶液と、80gのDI水と混合された1.8gのイソアスコルビン酸の別の溶液とを包含する、同時供給物を、どちらも0.5g/分の速度で釜に添加した。同時供給溶液の開始後2分に、あらかじめ調製されたMEを釜に120分かけて添加した。反応に外部から熱を加えなかった。ME供給の間、釜の温度を60℃に維持した。ME供給が完了したら、同時供給溶液をさらに30分間続けた。分散物を次いで25℃に冷却し、濾過した。濾過された分散物は、34.8重量%の固形分、および526nmの平均粒子直径を有していた。
【0065】
(実施例8)
ポリマー粒子の水性分散物の形成:実施例6と同じ装置を使用し、DI水(700g)を釜に添加し、窒素雰囲気下、85℃に加熱した。1704gの実施例2の第一ポリマーを釜に添加し、温度を50℃に調節した。270gのDI水、15.0gのSDS、378gのMMA、および522gのBAを混合することにより、MEを調製した。釜の温度50℃で、2gの1%ベルセンと混合された20gの0.1%硫酸第一鉄の溶液を釜に添加した。次に、80gのDI水と混合された2.3gのt−BHPの溶液と、80gのDI水と混合された1.8gのイソアスコルビン酸の別の溶液とを包含する、同時供給物を、どちらも0.5g/分の速度で釜に添加した。同時供給溶液の開始後2分に、あらかじめ調製されたMEを釜に120分かけて添加した。反応に外部から熱を加えなかった。ME供給の間、釜の温度を50℃に維持した。ME供給が完了したら、同時供給溶液をさらに30分間続けた。分散物を次いで25℃に冷却し、濾過した。濾過された分散物は、35.5重量%の固形分、および493nmの平均粒子サイズを有していた。
【0066】
(実施例9)
ポリマー粒子の水性分散物の形成:DI水(700g)を釜に添加し、窒素雰囲気下で76℃に加熱する以外は、実施例8を繰り返した。1704gの実施例2の第一ポリマーを釜に添加した後、温度を40℃に調節した。釜の温度を40〜44℃でME供給の間維持した。濾過された分散物は34.6重量%の固形分、および508nmの平均粒子サイズを有していた。Kubelka−Munk散乱係数(S/Mil)を乾燥されたポリマーフィルム上で測定し、0.89であることが判明した。
【0067】
(実施例10)
ポリマー粒子の水性分散物の形成:DI水(700g)を釜に添加し、窒素雰囲気下で66℃に加熱する以外は、実施例8を繰り返した。1704gの実施例2の第一ポリマーを釜に添加した後、温度を30℃に調節した。釜の温度をME供給の間に58℃まで上昇させた。濾過された分散物は34.5重量%の固形分、および490nmの平均粒子サイズを有していた。Kubelka−Munk散乱係数(S/Mil)を乾燥されたポリマーフィルム上で測定し、1.07であることが判明した。
【0068】
(実施例11)
ポリマー粒子の水性分散物の形成:実施例6におけるのと同じ装置を用いて、1125gの実施例5の第一ポリマーを釜に添加し、温度を25℃に調節した。270gのDI水、15.0gのSDS、369gのMMA、9.0gのMAA、および522gのBAを混合することにより、モノマーエマルジョン(ME)を調製した。釜の温度25℃で、2gの1%ベルセンと混合された20gの0.1%硫酸第一鉄の溶液を釜に添加した。次に、80gのDI水と混合された2.8gのt−BHPの溶液と、80gのDI水と混合された2.0gのイソアスコルビン酸の別の溶液とを包含する、同時供給物を、どちらも0.5g/分の速度で釜に添加した。同時供給溶液の開始後2分で、あらかじめ調製されたMEを釜に5g/分の速度で添加した。反応に外部から加えられた熱は無かった。釜の温度をME供給の間に上昇させた。40分後、ME供給速度を10g/分に上昇させた。90%のME供給が完了したら、MEおよび同時供給を停止させ、反応を5分間保持した。この時点での反応の温度は68℃であった。次に、900gの熱DI水(90℃)を釜に添加した。ME供給を次に、完了するまで30g/分の速度で再開した。ME供給の完了直後に、32gの水酸化アンモニウム(28%)を釜に添加した。反応を5分間保持した。同時供給溶液を、完了するまで1.0g/分の速度で再開した。分散物を次いで25℃に冷却し、濾過した。濾過された分散物は38.3重量%の固形分、および446nmの平均粒子直径を有していた。Kubelka−Munk散乱係数(S/Mil)を乾燥されたポリマーフィルム上で測定し、0.92であることが判明した。
【0069】
(実施例12)
ポリマー粒子の水性分散物の形成:実施例6におけるのと同じ装置を用いて、1125gの実施例5の第一ポリマーを釜に添加し、温度を30℃に調節した。270gのDI水、15.0gのSDS、369gのMMA、9.0gのMAA、および522gのBAを混合することにより、MEを調製した。釜の温度30℃で、2gの1%ベルセンと混合された20gの0.1%硫酸第一鉄の溶液を釜に添加した。次に、80gのDI水と混合された2.8gのt−BHPの溶液と、80gのDI水と混合された2.0gのイソアスコルビン酸の別の溶液とを包含する、同時供給物を、どちらも0.5g/分の速度で釜に添加した。同時供給溶液の開始後2分で、あらかじめ調製されたMEを釜に5g/分の速度で添加した。反応に外部から加えられた熱は無かった。釜の温度をME供給の間に上昇させた。40分後、ME供給速度を10g/分に上昇させた。90%のME供給が完了したら、MEおよび同時供給を停止させ、反応を5分間保持した。この時点での反応の温度は72℃であった。次に、900gの熱DI水(90℃)を釜に添加した。ME供給を次に、完了するまで30g/分の速度で再開した。ME供給の完了直後に、32gの水酸化アンモニウム(28%)を釜に添加した。反応を5分間保持した。同時供給溶液を、完了するまで1.0g/分の速度で再開した。分散物を次いで25℃に冷却し、濾過した。濾過された分散物は38.5重量%の固形分、および461nmの平均粒子直径を有していた。Kubelka−Munk散乱係数(S/Mil)を乾燥されたポリマーフィルム上で測定し、0.85であることが判明した。
【0070】
(実施例13)
ポリマー粒子の水性分散物の形成:実施例6におけるのと同じ装置を用いて、1125gの実施例5の第一ポリマーを釜に添加し、温度を40℃に調節した。270gのDI水、15.0gのSDS、369gのMMA、9.0gのMAA、および522gのBAを混合することにより、MEを調製した。釜の温度40℃で、2gの1%ベルセンと混合された20gの0.1%硫酸第一鉄の溶液を釜に添加した。次に、80gのDI水と混合された2.8gのt−BHPの溶液と、80gのDI水と混合された2.0gのイソアスコルビン酸の別の溶液とを包含する、同時供給物を、どちらも0.5g/分の速度で釜に添加した。同時供給溶液の開始後2分で、あらかじめ調製されたMEを釜に5g/分の速度で添加した。反応に外部から加えられた熱は無かった。釜の温度をME供給の間に上昇させた。40分後、ME供給速度を10g/分に上昇させた。90%のME供給が完了したら、MEおよび同時供給を停止させ、反応を5分間保持した。この時点での反応の温度は73℃であった。次に、900gの熱DI水(90℃)を釜に添加した。ME供給を次に、完了するまで30g/分の速度で再開した。ME供給の完了直後に、32gの水酸化アンモニウム(28%)を釜に添加した。反応を5分間保持した。同時供給溶液を、完了するまで1.0g/分の速度で再開した。分散物を次いで25℃に冷却し、濾過した。濾過された分散物は38.5重量%の固形分、および466nmの平均粒子直径を有していた。Kubelka−Munk散乱係数(S/Mil)を乾燥されたポリマーフィルム上で測定し、0.83であることが判明した。
【0071】
(実施例14)
ポリマー粒子の水性分散物の形成:実施例6におけるのと同じ装置を用いて、1125gの実施例5の第一ポリマーを釜に添加し、温度を50℃に調節した。270gのDI水、15.0gのSDS、369gのMMA、9.0gのMAA、および522gのBAを混合することにより、MEを調製した。釜の温度50℃で、2gの1%ベルセンと混合された20gの0.1%硫酸第一鉄の溶液を釜に添加した。次に、80gのDI水と混合された2.8gのt−BHPの溶液と、80gのDI水と混合された2.0gのイソアスコルビン酸の別の溶液とを包含する、同時供給物を、どちらも0.5g/分の速度で釜に添加した。同時供給溶液の開始後2分で、あらかじめ調製されたMEを釜に5g/分の速度で添加した。反応に外部から加えられた熱は無かった。釜の温度をME供給の間に上昇させた。40分後、ME供給速度を10g/分に上昇させた。90%のME供給が完了したら、MEおよび同時供給を停止させ、反応を5分間保持した。この時点での反応の温度は77℃であった。次に、900gの熱DI水(90℃)を釜に添加した。ME供給を次に、完了するまで30g/分の速度で再開した。ME供給の完了直後に、32gの水酸化アンモニウム(28%)を釜に添加した。反応を5分間保持した。同時供給溶液を、完了するまで1.0g/分の速度で再開した。分散物を次いで25℃に冷却し、濾過した。濾過された分散物は38.4重量%の固形分、および466nmの平均粒子直径を有していた。Kubelka−Munk散乱係数(S/Mil)を乾燥されたポリマーフィルム上で測定し、0.63であることが判明した。
【0072】
(実施例15)
ポリマー粒子の水性分散物の形成:実施例6におけるのと同じ装置を用いて、1125gの実施例5の第一ポリマーを釜に添加し、温度を60℃に調節した。270gのDI水、15.0gのSDS、369gのMMA、9.0gのMAA、および522gのBAを混合することにより、MEを調製した。釜の温度60℃で、2gの1%ベルセンと混合された20gの0.1%硫酸第一鉄の溶液を釜に添加した。次に、80gのDI水と混合された2.8gのt−BHPの溶液と、80gのDI水と混合された2.0gのイソアスコルビン酸の別の溶液とを包含する、同時供給物を、どちらも0.5g/分の速度で釜に添加した。同時供給溶液の開始後2分で、あらかじめ調製されたMEを釜に5g/分の速度で添加した。反応に外部から加えられた熱は無かった。釜の温度をME供給の間に上昇させた。40分後、ME供給速度を10g/分に上昇させた。90%のME供給が完了したら、MEおよび同時供給を停止させ、反応を5分間保持した。この時点での反応の温度は79℃であった。次に、900gの熱DI水(90℃)を釜に添加した。ME供給を次に、完了するまで30g/分の速度で再開した。ME供給の完了直後に、32gの水酸化アンモニウム(28%)を釜に添加した。反応を5分間保持した。次いで、同時供給溶液を、完了するまで1.0g/分の速度で再開した。分散物を次いで25℃に冷却し、濾過して凝塊を除去した。濾過された分散物は38.5重量%の固形分、および461nmの平均粒子直径を有していた。Kubelka−Munk散乱係数(S/Mil)を乾燥されたポリマーフィルム上で測定し、1.44であることが判明した。しかしながら、このポリマーフィルムは多孔性または乾燥隠蔽の徴候を示した。多孔性は、ポリマーフィルムを、Exxon Mobil Chemical Co.から入手可能なIsopar(登録商標)Lで湿らせることにより確認された。隠蔽は、Isopar Lにより湿らせた領域下のポリマーフィルム上で減少した。
【0073】
(比較例A)
米国特許第4,427,836号の実施例8を再現した。BCOP隠蔽率は0.038であることが判明した。
【0074】
(比較例B)
米国特許第6,139,961号の実施例1を再現した。BCOP隠蔽率は0.060であることが判明した。
【0075】
(比較例C)
ポリマー粒子の水性分散物の形成:5Lの四口丸底フラスコに、パドルスターラー、温度計、窒素インレット、および還流凝縮器を取り付けた。1125gの実施例5の第一ポリマーを釜に添加し、温度を85℃に調節した。270gのDI水、15.0gのSDS、369gのMMA、9.0gのMAA、および522gのBAを混合することにより、MEを調製した。釜の温度85℃で、90gのDI水と混合した2.7gのSPSの溶液を2時間かけて、あらかじめ調製されたMEと共に釜に添加した。ME供給の期間、釜の温度を85℃に維持した。MEの85%が完了したら、MEまたは同時供給を停止することなく、900gの熱水を、32gの水酸化アンモニウムとともに釜に添加した。残りの15%のMEおよび同時供給が釜に添加された後、反応を15分間85℃に維持した。分散物を次いで25℃に冷却し、濾過して、凝塊を除去した。濾過された分散物は、39.1重量%の固形分、および519nmの平均粒子直径を有していた。
【0076】
(実施例16)
ポリマー粒子の水性分散物の形成:実施例6におけるのと同じ装置を用いて、1125gの実施例3の第一ポリマーを釜に添加し、温度を25℃に調節した。270gのDI水、15.0gのSDS、369gのMMA、9.0gのMAA、および522gのBAを混合することにより、MEを調製した。釜の温度25℃で、2gの1%ベルセンと混合された20gの0.1%硫酸第一鉄の溶液を釜に添加した。次に、80gのDI水と混合された2.8gのt−BHPの溶液と、80gのDI水と混合された2.0gのイソアスコルビン酸の別の溶液とを包含する、同時供給物を、どちらも0.5g/分の速度で釜に添加した。同時供給溶液の開始後2分で、あらかじめ調製されたMEを釜に5g/分の速度で添加した。反応に外部から加えられた熱は無かった。釜の温度をME供給の間に上昇させた。40分後、ME供給速度を10g/分に上昇させた。85%のME供給が完了したら、MEおよび同時供給を停止させ、反応を5分間保持した。この時点での反応の温度は68℃であった。次に、900gの熱DI水(90℃)を釜に添加した。ME供給を次に、完了するまで30g/分の速度で再開した。ME供給の完了直後に、32gの水酸化アンモニウム(28%)を釜に添加した。反応を5分間保持した。同時供給溶液を、完了するまで1.0g/分の速度で再開した。分散物を次いで25℃に冷却し、濾過した。濾過された分散物は37.2重量%の固形分、および530nmの平均粒子直径を有していた。Kubelka−Munk散乱係数(S/Mil)を乾燥されたポリマーフィルム上で測定し、1.39であることが判明した。
【0077】
(実施例17)
ポリマー粒子の水性分散物の形成:実施例6におけるのと同じ装置を用いて、350gのDI水を釜に添加し、窒素雰囲気下、30℃に加熱した。1125gの実施例4の第一ポリマーを釜に添加し、温度を19℃に調節した。270gのDI水、15.0gのSDS、378gのMMA、および522gのBAを混合することにより、MEを調製した。このMEのうち、227.5を取り出し、別の容器中に入れた。次いで、7.2gのMAAを取り出された227.5gのMEに添加した。この追加のMEをME2とした。釜の温度19℃で、2gの1%ベルセンと混合された20gの0.1%硫酸第一鉄の溶液を釜に添加した。次に、75gのDI水と混合された2.3gのt−BHPの溶液と、75gのDI水と混合された1.80gのイソアスコルビン酸の別の溶液とを包含する、同時供給物を、どちらも0.5g/分の速度で釜に添加した。同時供給溶液の開始後2分で、あらかじめ調製されたME2を釜に5g/分の速度で添加した。釜の温度をME2供給の間に上昇させた。ME2供給が完了に達したら、32gの水酸化アンモニウムを釜に添加した。もとのMEを次に釜に10g/分の速度で供給した。ME供給の85%が完了したら、MEおよび同時供給を停止させ、反応を2分間保持した。次に、600gの熱DI水(90℃)を釜に添加した。残存する15%のME供給物を次いで釜にショットとして添加した。反応を5分間保持した。同時供給溶液を次いで、完了するまで1.0g/分の速度で再開した。分散物を次いで25℃に冷却し、濾過して凝塊を除去した。濾過された分散物は37.6重量%の固形分、および471nmの平均粒子直径を有していた。Kubelka−Munk散乱係数(S/Mil)を乾燥されたポリマーフィルム上で測定し、1.24であることが判明した。
【0078】
(実施例18)
ポリマー粒子の水性分散物の形成:実施例6におけるのと同じ装置を用いて、1125gの実施例6の第一ポリマーを釜に添加し、温度を25℃に調節した。270gのDI水、15.0gのSDS、369gのMMA、9.0gのMAA、および522gのBAを混合することにより、MEを調製した。釜の温度25℃で、2gの1%ベルセンと混合された20gの0.1%硫酸第一鉄の溶液を釜に添加した。次に、80gのDI水と混合された2.8gのt−BHPの溶液と、80gのDI水と混合された2.0gのイソアスコルビン酸の別の溶液とを包含する、同時供給物を、どちらも0.5g/分の速度で釜に添加した。同時供給溶液の開始後2分で、あらかじめ調製されたMEを釜に5g/分の速度で添加した。反応に外部から加えられた熱は無かった。釜の温度をME供給の間に上昇させた。40分後、ME供給速度を10g/分に上昇させた。85%のME供給が完了したら、MEおよび同時供給を停止させ、反応を5分間保持した。この時点での反応の温度は68℃であった。次に、800gの熱DI水(90℃)を釜に添加した。ME供給を次に、完了するまで30g/分の速度で再開した。ME供給の完了直後に、32gの水酸化アンモニウム(28%)を釜に添加した。反応を5分間保持した。同時供給溶液を、完了するまで1.0g/分の速度で再開した。分散物を次いで25℃に冷却し、濾過して凝塊を除去した。濾過された分散物は39.4重量%の固形分、および505nmの平均粒子直径を有していた。Kubelka−Munk散乱係数(S/Mil)を乾燥されたポリマーフィルム上で測定し、1.52であることが判明した。
【0079】
(実施例19)
水性コーティング組成物の配合および評価:表19.1に記載された次の成分を含む水性コーティング組成物を調製した。
【0080】
【表1】

【0081】
【表2】

【0082】
本発明の実施例7〜18のポリマー粒子の水性分散物を含む乾燥水性コーティング組成物は、低い乾燥密度を示し、これにより、水性分散物、比較例Cを含む対応するコーティングと比較してスクラブ耐性により測定されるフィルム完全性の有用なレベルを有するポリマーを調製するためのポリマー質量およびエネルギーが節約される。
【0083】
(実施例20)
水性トラフィックペイントコーティング組成物の形成および評価
本発明のポリマー粒子の水性分散物(33重量%の第一ポリマーおよびTg=10℃を有する66.7%の第二封入ポリマー)(実施例20)および商業的トラフィックペイントバインダー(比較例D)を、表20.1のように速乾式トラフィックペイントにおいて配合した。
【0084】
【表3】

【0085】
実施例20のトラフィックペイントを、比較トラフィックペイント(比較例D)の二酸化チタンの量の約半分を用いて配合し、それでも表20.2に示すように改善された隠蔽および全反射率を示した。
【0086】
【表4】

【0087】
(実施例21)
第一ポリマーの調製:実施例6におけるのと同じ装置を用いて、1200gのDI水を釜に添加し、窒素雰囲気下で89℃に加熱する。5.25gの過硫酸ナトリウムを30gのDI水中に溶解させ、加熱された釜に添加する。この直後に、314.5gのコア#3(実施例1)を添加する。100gのDI水、6.7gのSDS(23%)、100.0gのスチレン、88.0gのメチルメタクリレート、および12.0gのメタクリル酸を混合することによりMEIを調製し、60分かけて、78℃で釜に添加する。MEIが完了したら、400gのDI水、18.0gのSDS(23%)、1181.4gのスチレン、18.0gのメタクリル酸、6.0gのアマニ油脂肪酸(LOFA)および0.6gのALMAを混合することによりMEIIを調製する。90gのDI水中に溶解させた1.3gの過硫酸ナトリウムの別の混合物とともに60分にわたりMEIIを釜に添加する。反応混合物の温度を92℃に上昇させる。MEIIおよび同時供給物が完了したら、反応混合物を85℃で30分間保持する。バッチを室温に冷却し、濾過して、形成された凝塊を除去する。最終的な未中和ラテックスは〜40.0%の固形分、〜380nmの平均粒子サイズ、および〜2.2のpHを有すると予想される。
【0088】
(実施例22)
第一ポリマーの調製:5Lの四口丸底フラスコに、パドルスターラー、温度計、窒素インレット、および還流凝縮器を取り付ける。1200gのDI水を釜に添加し、窒素雰囲気下、89℃に加熱する。30gのDI水中に溶解させた5.25gの過硫酸ナトリウムを加熱された釜に添加する。この直後に、314.5gのコア#3(実施例1)を添加する。100gのDI水、6.7gのSDS(23%)、100.0gのスチレン、88.0gのメチルメタクリレート、および12.0gのメタクリル酸を混合することによりMEIを調製し、釜に60分かけて78℃で添加する。MEIが完了したら、400gのDI水、18.0gのSDS(23%)、582.0gのスチレン、18.0gのメタクリル酸、6.0gのアマニ油脂肪酸(LOFA)および600.0gのBGDMAを混合することにより、MEIIを調製する。MEIIを、90gのDI水中に溶解させた1.3gの過硫酸ナトリウムの別の混合物とともに60分かけて釜に添加する。反応混合物の温度を92℃に上昇させる。MEIIおよび同時供給が完了したら、反応混合物を30分間85℃で保持する。バッチを室温に冷却し、濾過して、形成された凝塊を除去する。最終的な未中和ラテックスは、〜40.0%の固形分、〜380nmの平均粒子サイズ、および〜2.2のpHを有することが予想される。
【0089】
(実施例23)
ポリマー粒子の水性分散物の形成:5Lの四口丸底フラスコに、パドルスターラー、温度計、窒素インレット、および還流凝縮器を取り付ける。1125gの実施例21の第一ポリマーを釜に添加し、温度を25℃に調節する。270gのDI水、15.0gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDS、23%)、369gのメチルメタクリレート、9.0gのメタクリル酸、および522gのブチルアクリレートを混合することによりMEを調製する。釜の温度25℃で、2gの1%ベルセンと混合された20gの0.1%硫酸第一鉄の溶液を釜に添加する。次に、80gのDI水と混合された2.8gのt−ブチルヒドロペルオキシド(70%)の溶液と、80gのDI水と混合された2.0gのイソアスコルビン酸の別の溶液とを包含する、同時供給物を、どちらも0.5グラム/分の速度で釜に添加する。同時供給溶液の開始後2分で、あらかじめ調製されたMEを釜に5g/分の速度で添加する。外部から反応に熱を加えない。釜の温度をME供給の間、上昇させる。45分後、ME供給速度を10g/分に増大させる。ME供給の90%が完了したら、MEおよび同時供給を停止させ、反応を5分間保持する。この時点での反応の温度は〜72℃である。次に、900gの熱DI水(90℃)を釜に添加する。ME供給を、完了するまで30g/分の速度で再開する。ME供給の完了直後に、32gの水酸化アンモニウム(28%)を釜に添加する。反応を5分間保持する。同時供給溶液を、完了するまで1.0グラム/分の速度で再開する。分散物を25℃に冷却し、濾過して凝塊を除去する。濾過された分散物は、〜38.0%の固形分、および〜450nmの平均粒子サイズを有することが予想される。BCOP隠蔽率は>0.1であると予想され、BCOP安定係数は<0.5であると予想される。
【0090】
(実施例24)
ポリマー粒子の水性分散物の形成:実施例23の手順にしたがって、ただし、実施例22により調製された1125gの第一ポリマーに置き換えて、水性分散物を調製する。濾過された分散物は、〜38.0重量%の固形分、および〜450nmの平均粒子サイズを有している。BCOP隠蔽率は>0.1であると予想され、BCOP安定係数は<0.5であると予想される。
【0091】
(実施例25)
ポリマー粒子の水性分散物の形成:実施例6におけるのと同じ装置を用いて、1125gの実施例5の第一ポリマーを釜に添加し、温度を25℃に調節した。270gのDI水、15.0gのSDS、369gのメチルメタクリレート、9.0gのメタクリル酸、および522gのブチルアクリレートを混合することによりMEを調製した。釜の温度25℃で、2gの1%ベルセンと混合された20gの0.1%硫酸第一鉄の溶液を釜に添加した。次に、80gのDI水と混合された2.8gのt−ブチルヒドロペルオキシド(70%)の溶液と、80gのDI水と混合された2.0gのイソアスコルビン酸の別の溶液とを包含する、同時供給物を、どちらも0.5グラム/分の速度で釜に添加した。同時供給溶液の開始後2分で、あらかじめ調製されたMEを釜に5g/分の速度で添加した。外部から反応に熱を加えなかった。ME供給の間、釜の温度を上昇させた。40分後、ME供給速度を10g/分まで増大させた。ME供給の85%が完了したら、MEおよび同時供給物を停止させ、反応を5分間保持した。この時点での反応の温度は72℃であった。次に、600gの熱DI水(90℃)を釜に添加した。2gの阻害剤、4−ヒドロキシTEMPOを残りのMEに添加し、この混合物を釜に、完了するまで30g/分の速度で供給した。ME供給の完了直後に、30gのDI水と混合された32gの水酸化アンモニウム(28%)を釜に添加した。反応を5分間保持した。同時供給溶液を次いで、完了するまで1.0g/分の速度で再開した。分散物を25℃に冷却し、濾過して凝塊を除去した。濾過された分散物は、41.2%の固形分、および485nmの平均粒子サイズを有していた。BCOP隠蔽率は0.43であり、BCOP安定係数は0.39であった。この実施例において、MEの20%が釜に添加された時に、反応混合物のアリコートを抜き取り、このアリコートのガスクロマトグラフィー分析の結果、反応混合物は、アリコートが抜き取られた時の全反応混合物の重量基準で1.6重量%の未重合モノマーを含有していた。
【0092】
(実施例26)
ポリマー粒子の水性分散物の形成:第一ポリマーを釜に添加し、40℃に調節した以外は、実施例25の配合表および手順に従って、水性分散物を調製した。濾過された分散物は41.2%の固形分、および495nmの平均粒子サイズを有していた。BCOP隠蔽率は0.40であり、BCOP安定係数は0.43であった。
【0093】
(実施例27)
ポリマー粒子の水性分散物の形成:第一ポリマーを釜に添加し、50℃に調節した以外は、実施例25の配合表および手順に従って、水性分散物を調製した。濾過された分散物は41.3重量%の固形分、および498nmの平均粒子サイズを有していた。BCOP隠蔽率は0.37であり、BCOP安定係数は0.39であった。
【0094】
(実施例28)
ポリマー粒子の水性分散物の形成:第一ポリマーを釜に添加し、60℃に調節した以外は、実施例25の配合表および手順に従って、水性分散物を調製した。濾過された分散物は41.2重量%の固形分、および505nmの平均粒子サイズを有していた。BCOP隠蔽率は0.18であり、BCOP安定係数は0.65であった。
【0095】
(実施例29)
ポリマー粒子の水性分散物の形成:実施例6におけるのと同じ装置を用いて、1125gの実施例5の第一ポリマーを釜に添加し、温度を78℃に調節した。270gのDI水、15.0gのSDS、369gのメチルメタクリレート、9.0gのメタクリル酸、および522gのブチルアクリレートを混合することにより、モノマーエマルジョン(ME)を調製した。釜の温度78℃で、30gのDI水と混合された3.0gの過硫酸ナトリウムの溶液を釜に添加した。次に、あらかじめ調製されたMEを釜に5g/分の速度で添加し、60gのDI水と混合された1.0グラムの過硫酸ナトリウムの溶液を0.5g/分の速度で釜に添加した。釜の温度をME供給の間に83℃まで上昇させた。45分後、ME供給速度は10g/分の速度まで増大した。ME供給の85%が完了し、同時供給触媒が完了したら、ME供給を停止させ、反応を5分間保持した。2gの1%ベルセンと混合された20gの0.1%硫酸第一鉄の溶液を釜に添加した。この時点での反応の温度は83℃であった。次に、600gの熱DI水(90℃)を釜に添加した。2gの阻害剤、4−ヒドロキシTEMPOを残存するMEに添加し、この混合物を完了するまで30g/分の速度で釜に供給した。ME供給の完了直後に、30gのDI水と混合された32gの水酸化アンモニウム(28%)を釜に添加した。反応を5分間保持した。次に、50gのDI水と混合された2.0gのt−ブチルヒドロペルオキシド(70%)の溶液と、50gのDI水と混合された1.0グラムのイソアスコルビン酸の別の溶液とを包含する、同時供給物を、完了するまで1.0g/分の速度で釜に添加した。分散物を次いで25℃に冷却し、濾過して凝塊を除去した。濾過された分散物は41.4重量%の固形分、および501nmの平均粒子サイズを有していた。BCOP隠蔽率は0.05であり、BCOP安定係数は0.60であった。
【0096】
(実施例30)
ポリマー粒子の水性分散物の形成:実施例6におけるのと同じ装置を用いて、1125gの実施例5の第一ポリマーを釜に添加し、温度を25℃に調節した。270gのDI水、15.0gのSDS、189gのメチルメタクリレート、180.0gのスチレン、9.0gのメタクリル酸、および522gのブチルアクリレートを混合することにより、MEを調製した。釜の温度25℃で、2gの1%ベルセンと混合された20gの0.1%硫酸第一鉄の溶液を釜に添加した。次に、80gのDI水と混合された2.8gのt−ブチルヒドロペルオキシド(70%)の溶液と、80gのDI水と混合された2.0gのイソアスコルビン酸の別の溶液とを包含する、同時供給物を、どちらも0.5グラム/分の速度で釜に添加した。同時供給溶液の開始の2分後に、あらかじめ調製されたMEを5g/分の速度で釜に添加した。外部から反応に熱を加えなかった。釜の温度をME供給の間、上昇させた。40分後、MEの供給速度は10g/分に増大した。ME供給の85%が完了したら、同時供給を停止させ、反応を5分間保持した。この時点での反応温度は62℃であった。次に、900gの熱DI水(90℃)を釜に添加した。MEの残りの部分を次に30g/分の速度で釜に添加し、続いて32gの水酸化アンモニウム(28%)を添加した。反応を5分間保持した。同時供給溶液を次いで、完了するまで1.0g/分の速度で開始した。分散物を次いで25℃に冷却し、濾過して凝塊を除去した。濾過された分散物は、38.1重量%の固形分、546nmの平均粒子サイズを有していた。BCOP隠蔽率は<0.1であった。この実施例において、MEの20%が釜に添加された時に、反応混合物のアリコートを抜き取り、このアリコートのガスクロマトグラフィー分析の結果、反応混合物は、アリコートが抜き取られた時の全反応混合物の重量基準で6.5重量%の未重合モノマーを含有していた。
【0097】
(実施例31)
第一ポリマーの調製:実施例6におけるのと同じ装置を用いて、DI水(1200g)を釜に添加し、窒素雰囲気下で89℃に加熱した。加熱された釜に、30gのDI水中に溶解させた5.25gの過硫酸ナトリウムを添加した。この後直ちに、314.5gのコア#3(実施例1)を添加した。100gのDI水、6.7gのSDS(23%)、100.0gのスチレン、88.0gのメチルメタクリレート、および12.0gのメタクリル酸を混合することにより調製されたMEIを、60分にわたって78℃で釜に添加した。MEIが完了したら、400gのDI水、18.0gのSDS、1170gのスチレン、18.0gのメタクリル酸、6.0gのアマニ油脂肪酸(LOFA)、および21.8gのジビニルベンゼン(55%活性)を混合することによりMEIIを調製した。MEIIを、90gのDI水中に溶解させた1.3gの過硫酸ナトリウムの別の混合物と共に60分にわたって釜に添加した。反応混合物の温度を92℃まで上昇させた。MEIIおよび同時供給が完了したら、反応混合物を30分間85℃で保持し、次いで室温に冷却し、濾過して、形成された凝塊を除去した。最終的な未中和ラテックスは、40.0重量%の固形分、375nmの平均粒子サイズ、および2.2のpHを有していた。
【0098】
(実施例32)
ポリマー粒子の水性分散物の形成:実施例6におけるのと同じ装置を用いて、1125gの実施例31の第一ポリマーを釜に添加し、温度を25℃に調節した。270gのDI水、15.0gのSDS、369gのメチルメタクリレート、9.0gのメタクリル酸、および522gのブチルアクリレートを混合することによりMEを調製した。釜の温度25℃で、2gの1%ベルセンと混合された20gの0.1%硫酸第一鉄の溶液を釜に添加した。次に、80gのDI水と混合された2.8gのt−ブチルヒドロペルオキシド(70%)の溶液と、80gのDI水と混合された2.0gのイソアスコルビン酸の別の溶液とを包含する、同時供給物を、どちらも0.5グラム/分の速度で釜に添加した。同時供給溶液の開始後2分で、あらかじめ調製されたMEを釜に5g/分の速度で添加した。外部から反応に熱を加えなかった。ME供給の間、釜の温度を上昇させた。45分後、ME供給速度を10g/分まで増大させた。ME供給の85%が完了したら、MEおよび同時供給物を停止させ、反応を5分間保持した。この時点での反応の温度は72℃であった。次に、600gの熱DI水(90℃)を釜に添加した。2gの阻害剤、4−ヒドロキシTEMPOを残りのMEに添加し、この混合物を釜に、完了するまで30g/分の速度で供給した。ME供給の完了直後に、30gのDI水と混合された32gの水酸化アンモニウム(28%)を釜に添加した。反応を5分間保持した。同時供給溶液を次いで、完了するまで1.0g/分の速度で再開した。分散物を25℃に冷却し、濾過して凝塊を除去した。濾過された分散物は、41.2重量%の固形分、および489nmの平均粒子サイズを有していた。BCOP隠蔽率は0.54であり、BCOP安定係数は0.06であった。この実施例において、MEの20%が釜に添加された時に、反応混合物のアリコートを抜き取り、このアリコートのガスクロマトグラフィー分析の結果、反応混合物は、アリコートが抜き取られた時の全反応混合物の重量基準で1.0重量%の未重合モノマーを含有していた。
【0099】
(実施例33)
ポリマー粒子の水性分散物の形成:第一ポリマーを釜に添加し、50℃に調節した以外は、実施例32の配合表および手順に従って、水性分散物を調製した。濾過された分散物は41.3重量%の固形分、および490nmの平均粒子サイズを有していた。BCOP隠蔽率は0.53であり、BCOP安定係数は0.11であった。
【0100】
(実施例34)
ポリマー粒子の水性分散物の形成:第一ポリマーを釜に添加し、60℃に調節した以外は、実施例32の配合表および手順に従って、水性分散物を調製した。濾過された分散物は41.4重量%の固形分、および487nmの平均粒子サイズを有していた。BCOP隠蔽率は0.55であり、BCOP安定係数は0.13であった。
【0101】
(実施例35)
ポリマー粒子の水性分散物の形成:1125gの実施例31において調製された第一ポリマーを使用した以外は、実施例29の配合表および手順に従って、水性分散物を調製した。濾過された分散物は41.5重量%の固形分、および503nmの平均粒子サイズを有していた。BCOP隠蔽率は0.51であり、BCOP安定係数は0.34であった。
【0102】
(実施例36)
ポリマー粒子の水性分散物の形成:実施例6におけるのと同じ装置を用いて、1125gの実施例31の第一ポリマーを釜に添加し、温度を25℃に調節した。270gのDI水、15.0gのSDS、189gのメチルメタクリレート、180.0gのスチレン、9.0gのメタクリル酸、および522gのブチルアクリレートを混合することにより、MEを調製した。釜の温度25℃で、2gの1%ベルセンと混合された20gの0.1%硫酸第一鉄の溶液を釜に添加した。次に、80gのDI水と混合された2.8gのt−ブチルヒドロペルオキシド(70%)の溶液と、80gのDI水と混合された2.0gのイソアスコルビン酸の別の溶液とを包含する、同時供給物を、どちらも0.5グラム/分の速度で釜に添加した。同時供給溶液の開始の2分後に、あらかじめ調製されたMEを5g/分の速度で釜に添加した。外部から反応に熱を加えなかった。釜の温度をME供給の3時間の間、上昇させた。ME供給が完了したら、同時供給を停止させ、反応を5分間保持した。この時点での反応の温度は61℃であった。次に、600gの熱DI水(90℃)を釜に添加した。次いで、32gの水酸化アンモニウム(28%)を釜に添加し、反応を5分間保持した。同時供給溶液を次いで完了するまで1.0g/分の速度で開始した。分散物を次いで25℃に冷却し、濾過して凝塊を除去した。濾過された分散物は、46.1重量%の固形分、495nmの平均粒子サイズを有していた。BCOP隠蔽率は0.40であり、BCOP安定係数は0.90であった。この実施例において、MEの20%が釜に添加された時に、反応混合物のアリコートを抜き取り、このアリコートのガスクロマトグラフィー分析の結果、反応混合物は、アリコートが抜き取られた時の全反応混合物の重量基準で6.3重量%の未重合モノマーを含有していた。
(実施例37)
【0103】
ポリマー粒子の2モード水性分散物の形成:実施例6におけるのと同じ装置を用いて、1125gの実施例31の第一ポリマーを、60nmの平均粒子サイズを有する99%スチレン/1%アクリル酸ポリマー粒子の40%固形分水性分散物(125g)と共に釜に添加し、温度を25℃に調節した。270gのDI水、15.0gのSDS、369gのメチルメタクリレート、9.0gのメタクリル酸、および522gのブチルアクリレートを混合することにより、MEを調製した。釜の温度25℃で、2gの1%ベルセンと混合された20gの0.1%硫酸第一鉄の溶液を釜に添加した。次に、80gのDI水と混合された2.8gのt−ブチルヒドロペルオキシド(70%)の溶液と、80gのDI水と混合された2.0gのイソアスコルビン酸の別の溶液とを包含する、同時供給物を、どちらも0.5グラム/分の速度で釜に添加した。同時供給溶液の開始の2分後に、あらかじめ調製されたMEを5g/分の速度で釜に添加した。外部から反応に熱を加えなかった。釜の温度をME供給の間、上昇させた。45分後、ME供給速度は10g/分まで増大した。ME供給の85%が完了したら、MEおよび同時供給を停止させ、反応を5分間保持した。この時点での反応の温度は67℃であった。次に、600gの熱DI水(90℃)を釜に添加した。2gの阻害剤、4−ヒドロキシTEMPOを残りのMEに添加し、この混合物を完了するまで30g/分の速度で釜に供給した。ME供給の完了後ただちに、30gのDI水と混合された32gの水酸化アンモニウム(28%)を釜に添加した。反応を5分間保持した。同時供給溶液を次いで完了するまで1.0g/分の速度で開始した。分散物を次いで25℃に冷却し、濾過して凝塊を除去した。濾過された分散物は、41.0重量%の固形分を有していた。分散物は2つの粒子サイズモードを有していることが判明した。大モードは471nmのサイズを有し、一方、小さいモードは99nmであり、重量比が81%大/19%小であることが判明した。BCOP隠蔽率は0.50であり、BCOP安定係数は0.14であった。
(実施例38)
【0104】
ポリマー粒子の水性分散物の形成:実施例6におけるのと同じ装置を用いて、1125gの実施例31の第一ポリマーを釜に添加し、温度を25℃に調節する。270のDI水、15.0gのSDS、171gの2−エチルヘキシルアクリレート、9.0gのメタクリル酸、および720gのブチルアクリレートを混合することによりMEを調製する。釜の温度25℃で、2gの1%ベルセンと混合された20gの0.1%硫酸第一鉄の溶液を釜に添加する。次に、80gのDI水と混合された2.8gのt−ブチルヒドロペルオキシド(70%)の溶液と、80gのDI水と混合された2.0gのイソアスコルビン酸の別の溶液とを包含する、同時供給物を、どちらも0.5グラム/分の速度で釜に添加する。同時供給溶液の開始後2分で、あらかじめ調製されたMEを釜に5g/分の速度で添加する。外部から反応に熱を加えない。釜の温度をME供給の間、上昇させる。45分後、ME供給速度を10g/分に増大させる。ME供給の85%が完了したら、MEおよび同時供給を停止させ、反応を5分間保持する。この時点での反応の温度は〜72℃である。次に、600gの熱DI水(90℃)を釜に添加する。2gの阻害剤、4−ヒドロキシTEMPOを残りのMEに添加し、この混合物を完了するまで30g/分の速度で釜に添加する。ME供給の完了後ただちに、30gのDI水と混合された32gの水酸化アンモニウム(28%)を釜に添加する。反応を5分間保持する。同時供給溶液を、完了するまで1.0グラム/分で再開する。分散物を25℃に冷却し、濾過して凝塊を除去する。濾過された分散物は、〜41.0重量%の固形分、および〜485nmの平均粒子サイズを有することが予想される。BCOP隠蔽率は>0.1であると予想され、BCOP安定係数は<0.50であると予想される。
【0105】
(実施例39)
ポリマー粒子の水性分散物の形成:270gのDI水、15.0gのSDS、612gのメチルメタクリレート、9.0gのメタクリル酸、および279gのブチルアクリレートを混合することによりMEを調製する以外は、実施例38の配合表および手順に従って、水性分散物を調製する。濾過された分散物は〜41.0重量%の固形分、および〜485nmの平均粒子サイズを有していると予想される。BCOP隠蔽率は>0.1であると予想され、BCOP安定係数は<0.50であると予想される。
【0106】
(実施例40)
ポリマー粒子の水性分散物の形成:270gのDI水、15.0gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(SDS、23%)、675gのメチルメタクリレート、9.0gのメタクリル酸、および216gのブチルアクリレートを混合することによりMEを調製する以外は、実施例38の配合表および手順に従って、水性分散物を調製する。濾過された分散物は〜41.0重量%の固形分、および〜485nmの平均粒子サイズを有していると予想される。BCOP隠蔽率は>0.1であると予想され、BCOP安定係数は<0.50であると予想される。
【0107】
(実施例41)
バインダーの比較:2つの着色コーティング配合物から得られる乾燥フィルム、配合物1および配合物2を説明する。配合物1は、バインダーとして実施例32の粒子を使用する。配合物2はバインダーとして分散物Xの粒子を使用する。この比較および表41.1において表されるパーセンテージは、バインダー、顔料、および増量剤の合計体積基準の体積%である。TiOおよびRopaque(商標)Ultraを顔料の例として使用する。CaCO、シリカ、およびクレーを増量剤の例として使用する。配合物1の乾燥フィルムは、45%の実施例47のポリマー粒子、5%のコーティンググレードのルチル型TiO2、および50%の、5ミクロンの平均粒子サイズを有するCaCO3を含む。配合物2の乾燥フィルムは、バインダー、顔料、および増量剤の合計重量基準で、32体積%の分散物Xのポリマー粒子、8体積%の配合物1において用いられる同じTiO2、および60%の配合物1において用いられる同じCaCO3を含む。分散物Xは、41重量%のメチルメタクリレート、58重量%のブチルアクリレート、および1重量%のメタクリル酸からなるモノマーの混合物の乳化重合により形成される、489nmの平均粒子直径を有する空隙のないポリマー粒子の水性分散物である。配合物1の乾燥フィルムは、配合物2の乾燥フィルムと同等またはこれより高い不透明性を示す。
【0108】
表41.1は同様に、バインダーとして実施例32および分散物Xを様々な顔料および増量剤の量で用いた配合物から得られる乾燥フィルムの不透明性を比較する。
【0109】
【表5】

【0110】
配合物1、配合物2について、また表41.1に記載されたものなどのコーティング配合物から得られる乾燥フィルムは、典型的には、乾燥フィルムの合計体積基準で、0.5〜20体積%の分散剤、造膜助剤、溶媒、消泡剤、増粘剤、湿潤剤、界面活性剤、ワックス、殺生剤、着色顔料、およびコーティングにおいて通常見られる他のアジュバントも含む。本発明の分散物は、不透明性と結合特性のさまざまなバランスを達成するために、空隙を有しないバインダーポリマーを有する配合物においても使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー粒子の水性分散物であって、該粒子が:
ポリマー粒子の重量基準で10重量%〜80重量%の第一ポリマーであって、重合単位として少なくとも一つのモノエチレン性不飽和モノマーおよび前記第一ポリマーの全重量基準で0.05重量%〜90重量%の少なくとも一つの多エチレン性不飽和モノマーを含み、かつ乾燥時に100〜1200ナノメートルの直径を有する少なくとも1つの空隙を含む第一ポリマー;および
重合単位として少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを含む少なくとも1つの第二ポリマーであって、第一ポリマーを実質的に封入し、かつ−60℃〜50℃のTgを有し、第一ポリマーの存在下で形成される第二ポリマー;を含む、
ポリマー粒子の水性分散物。
【請求項2】
第一ポリマーが、重合単位として、第一ポリマーの全重量基準で0.2重量%〜35重量%の少なくとも1つの多エチレン性不飽和モノマーを含む請求項1記載の水性分散物。
【請求項3】
第一ポリマーが少なくとも50℃のTgを有する請求項1記載の水性分散物。
【請求項4】
少なくとも0.1のBCOP隠蔽率を有する請求項1記載の水性分散物。
【請求項5】
0.5未満のBCOP安定係数を有する請求項1記載の水性分散物。
【請求項6】
0〜95の顔料体積濃度を有する請求項1記載の粒子を含む水性コーティング組成物。
【請求項7】
ポリマー粒子の重量基準で25重量%〜33重量%の第一ポリマー、およびポリマー粒子の重量基準で67重量%〜75重量%の第二ポリマーを含む請求項1記載の水性分散物。
【請求項8】
ポリマー粒子の水性分散物を形成する方法であって:
多段エマルジョンポリマーの水性分散物を提供すること、
該多段エマルジョンポリマーは、コア段ポリマーおよび第一シェル段ポリマーを含み、コア段ポリマーは、重合単位として、コア段ポリマーの重量基準で5重量%〜100重量%の親水性モノエチレン性不飽和モノマー、およびコア段ポリマーの重量基準で0〜95重量%の少なくとも1つの非イオン性モノエチレン性不飽和モノマーを含み;および第一シェル段ポリマーは少なくとも50℃の計算Tgを有し、かつ重合単位として、第一シェルポリマーの全重量基準で0.05〜90重量%の少なくとも1つの多エチレン性不飽和モノマーを含む;
多段ポリマーの水性分散物に少なくとも1つのエチレン性不飽和モノマーを添加し、および多段ポリマーの存在下でモノマーを重合させることにより、第一シェル段ポリマーを実質的に封入する第二シェル段ポリマーを形成すること;並びに
第二シェル段ポリマーを含むモノマーの重合前、重合中、または重合後に、水性分散物に膨潤剤を添加すること;
を含む、ポリマー粒子の水性分散物を形成する方法。
【請求項9】
第一シェル段ポリマーが、重合単位として、第一シェルポリマーの全重量基準で0.2〜35重量%の少なくとも1つの多エチレン性不飽和モノマーを含む請求項7記載の方法。
【請求項10】
添加が、水性分散物が分散物中のポリマーの全ポリマー含量基準で少なくとも0.5重量%の未反応モノマーを含む時点で、かつモノマーの実質的な重合がない条件下で、膨潤剤を装填し;および続いてモノマーの量を少なくとも50%減少させることを含む請求項7記載の方法。

【公開番号】特開2007−56260(P2007−56260A)
【公開日】平成19年3月8日(2007.3.8)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−223137(P2006−223137)
【出願日】平成18年8月18日(2006.8.18)
【出願人】(590002035)ローム アンド ハース カンパニー (524)
【氏名又は名称原語表記】ROHM AND HAAS COMPANY
【Fターム(参考)】