説明

ポリマー組成物およびその組成物のケーブル被覆

A)a)脂肪族ジオールおよび芳香族ジカルボン酸から誘導された繰り返し単位から構成されるポリエステルハードセグメント、b)脂肪族カーボネートから誘導された繰り返し単位を含むポリエステルソフトセグメントを含むコポリエステルエラストマー、B)1種以上のさらなるポリマーを0〜30部、C)ハロゲン系難燃剤を1〜15部、D)非ハロゲン系難燃剤を0〜15部を含み、成分A、B、C、およびDの合計が100部である、難燃性ポリマー組成物。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、
a)脂肪族ジオールおよび芳香族ジカルボン酸から誘導された繰り返し単位から構成されるポリエステルハードセグメント、
b)脂肪族カーボネートから誘導された繰り返し単位を含むポリエステルソフトセグメント
を含むコポリエステルエラストマーを含む難燃性ポリマー組成物に関する。
【0002】
この種の組成物は欧州特許出願公開第A0846712号明細書より周知である。コポリエステルエラストマーは良好な機械的性質を示すと共に熱および加水分解安定性に優れている。したがって、コポリエステルエラストマーを含む組成物は、あらゆる種類の分野、その中でも電気および電子分野、特にケーブル、例えば、コンピュータ接続具用ケーブル、例えば、自動車用ケーブル、鉄道用ケーブル、加熱用ケーブル、産業用ケーブル等(例えば、ロボット工学、海洋(off−shore)、海底(umbilicals)、または油およびガスの地質探査用)の被覆としての用途が見出されている。
【0003】
多くの用途には、この組成物が難燃性を示すことが重要である。欧州特許出願公開第A0846712号明細書においては、組成物中に使用される難燃剤は、特に、メラミン、メラミン縮合物、およびメラミン化合物、例えば、メラム、リン酸メラミン、およびシアヌル酸メラミン、ならびにハロゲン化有機化合物、例えば、ポリブロモスチレンであると述べられている。さらに、特に電気用途においては、非ハロゲン系化合物を使用することが好ましいと述べられている。
【0004】
組成物中に難燃剤が使用される場合に問題となるのは、ポリマーの良好な機械的性質が低下することである。このことが特に顕著となるのは組成物が電気ケーブル用被覆として使用される場合である。この場合の要求特性は厳しく、したがって難燃剤の配合量を高くしなければならない。そうすると引張強さが低下するだけでなく、耐摩耗性にも問題が発生する。
【0005】
本発明の目的は、十分な水準の難燃性を示す一方で、コポリエステルエラストマーの機械的性質が許容可能な水準に維持されている、コポリエステルエラストマーを含む難燃性組成物を提供することにある。
【0006】
驚くべきことに、この目的は、
A)a)脂肪族ジオールおよび芳香族ジカルボン酸から誘導された繰り返し単位から構成されるポリエステルハードセグメント、
b)脂肪族カーボネートから誘導された繰り返し単位を含むポリエステルソフトセグメント
を含むコポリエステルエラストマー、
B)1種以上のさらなるポリマーを0〜30部、
C)ハロゲン系難燃剤を1〜15部、
D)非ハロゲン系難燃剤を0〜15部、
を含み、
成分A、B、C、およびDの合計が100部である難燃性組成物により達成される。
【0007】
驚くべきことに、指定量のハロゲン系難燃剤を使用することにより、良好な難燃性および良好な機械的性質(特に、極限機械的性質(ultimate mechanical properties)、特に破断伸び)の両方を有する組成物が得られる。
【0008】
同様に、耐摩耗性、特にスクレープ摩耗(needle abrasion)耐性も非常に高水準に維持される。
【0009】
好ましい一実施形態においては、本発明による組成物は、
A)
a)脂肪族ジオールおよび芳香族ジカルボン酸から誘導された繰り返し単位から構成されるポリエステルハードセグメント、
b)脂肪族カーボネートから誘導された繰り返し単位を含むポリエステルソフトセグメント
を含むコポリエステルエラストマー、
B)1種以上のさらなるポリマーを0〜30部、
C)ハロゲン系難燃系を5〜15部、
D)非ハロゲン系難燃系を0〜10部、
を含み、成分A、B、C、およびDの合計が100部である。より好ましくは、Cは7〜12部である。より好ましくは、Dの量は0〜5部、よりさらに好ましくは、0〜3部であり、最も好ましくは、非ハロゲン系難燃系は全く存在しない。
【0010】
この組成物の利点は、難燃剤を含まない組成物とほぼ同程度の良好な機械的性質を有する一方で、難燃性は許容可能な水準にあることにある。例え長時間の加熱老化後でさえも機械的性質は非常に高い水準に留まるが、周知の難燃性ポリマー組成物は特にこの点が劣っている。
【0011】
他の好ましい実施形態においては、本発明による組成物は、
A)a)脂肪族ジオールおよび芳香族ジカルボン酸から誘導された繰り返し単位から構成されるポリエステルハードセグメント、
b)脂肪族カーボネートから誘導された繰り返し単位を含むポリエステルソフトセグメント
を含むコポリエステルエラストマー、
B)1種以上のさらなるポリマーを0〜30部、
C)ハロゲン系難燃系を1〜3部、
D)非ハロゲン系難燃系を5〜15部、
を含む。
【0012】
より好ましくは、この組成物は、ハロゲン系難燃性組成物を1〜2部を含む。より好ましくは、非ハロゲン系難燃系の含有量は5〜10部である。
【0013】
この組成物の利点は、良好な機械的性質および十分な水準の難燃性と、低い煙密度および煙毒性とを兼ね備えていることにある。
【0014】
[A.コポリエステルエラストマー]
ポリエステルハードセグメントa)のエステル繰り返し単位は、少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸および少なくとも1種の脂肪族ジオールから誘導される。好適な芳香族ジカルボン酸としては、特に、イソフタルまたはテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、および4,4’−ジフェニルジカルボン酸が挙げられる。同様に、4,4’−ジフェニルジカルボン酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸の混合物または4,4’−ジフェニルジカルボン酸およびテレフタル酸の混合物も非常に好適である。2種のカルボン酸の混合比は、好ましくは、重量基準で40:60〜60:40から選択される。
【0015】
ハードセグメントa)に特に好適な脂肪族ジオールはアルキレングリコールである。アルキレン基中のC原子の数は、好ましくは2〜6個である。エチレングリコール、プロピレングリコール、およびブチレングリコールが好ましい。ブチレングリコールが最も好ましい。
【0016】
ハードセグメントa)中にブチレンテレフタレート繰り返し単位を含むポリエステルエラストマーが最も好ましい。
【0017】
ポリエステルソフトセグメントb)は、少なくとも1種のアルキレンカーボネート由来の繰り返し単位から構成されている。
【0018】
好ましくは、アルキレンカーボネート繰り返し単位は、式
【化1】



(式中、Rは、H、アルキル、またはアリールであり、
Xは、2〜20である)で表される。好ましくは、RはHであり、xは6であり、したがって、アルキレンカーボネートはヘキサメチレンカーボネートである。
【0019】
ポリエステルセグメントb)は、少なくとも1種の脂肪族カーボネート由来の単位以外に、脂肪族ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸から誘導された繰り返し単位またはラクトンから誘導された繰り返し単位を含んでいてもよい。ポリエステルセグメントb)がこの種の繰り返し単位を含む場合、60重量%までであることが好ましい。
【0020】
コポリエステルエラストマーは、ソフトセグメントb)以外に、脂肪族ジオールおよび脂肪族ジカルボン酸から誘導されたソフトセグメントc)も含んでいてもよい。b)およびc)に使用される脂肪族ジオールは、好ましくは鎖中に2〜20個のC原子、より好ましくは3〜15個のC原子を含むアルキレンジオールである。b)およびc)に使用される脂肪族ジカルボン酸は、好ましくは鎖中に2〜20個のC原子、好ましくは4〜15個のC原子を含むアルキレンジカルボン酸である。好ましくは、c)は、繰り返し単位としてブチレンアジペートを有する。
【0021】
コポリエステルエラストマーは、ソフトセグメントb)以外に、ラクトンから誘導されたソフトセグメントd)も含んでいてもよい。b)およびd)に使用されるラクトンは、好ましくはポリカプロラクトンである。
【0022】
ハードセグメントおよびソフトセグメントの含有量は幅広い範囲内で変化してもよく、主として所望の機械的性質により決定される。ハードセグメント含有量が高いコポリエステルエラストマーは剛性がより高く、かつ融点がより高い。他方、ハードセグメント含有量が低いコポリエステルエラストマーは可撓性がはるかに高く、融点がより低い。コポリエステルエラストマー中のハードセグメントおよびソフトセグメントの重量比は20:80〜90:10、好ましくは30:70〜80:20の間で変化してもよい。
【0023】
ハードおよびソフトセグメントは、エステル結合を介して適切に結合することにより、コポリエステルエステル単位を形成していてもよく、前記コポリエステルエステル単位は、e)式
(NHCO)
(式中、Rは、アルキル、アリール、またはアラルキル基であり、pは、2または3である)のウレタン基によって互いに結合している。
【0024】
e)の含有量は、通常は、コポリエステルエラストマー全体を基準として4〜6重量%である。
【0025】
ウレタン基の形成に通常使用されるジイソシアネートは、特に、パラトルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、およびイソホロンジイソシアネートである。
【0026】
コポリエステルエラストマーの調製は、例えば、欧州特許出願公開第A0846712号明細書に記載されており、好適な調製方法は、
1.高温中、触媒の存在下に、限られた時間内で、形成された任意の揮発性反応生成物を除去しながら、ポリエステルハードセグメントa)を、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ポリカーボネートジオールセグメントb)、ならびに所望により脂肪族ポリエステルセグメントc)および/またはポリラクトンセグメントe)と互いに反応させるステップと、
2.少なくとも一部の触媒を不活性化させるステップと、
3.1で得られたコポリエステルエステルをブロックするために二官能性および/または三官能性イソシアナートを添加し、反応を継続するステップと
を含むものであってもよい。
【0027】
[B.1種以上のさらなるポリマー]
1種以上のさらなるポリマーとしては、コポリエステルエラストマーと混和する任意の種類のポリマーを用いることができる。好ましくは、この組成物は、さらなるポリマーとしてポリブチレンテレフタレートを含む。その場合に得られる本発明による組成物は耐摩耗性が非常に優れている。これはケーブル被覆用途に有利である。
【0028】
好ましくは、この組成物は、ポリブチレンテレフタレートを5〜30部、より好ましくは15〜25部含む。
【0029】
[C.ハロゲン系難燃系]
ハロゲン系難燃系は、ハロゲン化有機化合物、好ましくは臭素化有機化合物を含む。臭素化芳香族化合物は安定性がより高いのでよりさらに好ましい。好適な例としては、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ペンタブロモベンジルアクリレート、エチレンビスペンタブロモフェニル、テトラブロモビスフェノール−A等のモル質量が低い臭素化化合物、および臭素含有オリゴマーまたはポリマー(臭素化ビスフェノール−A由来のポリカーボネート、臭素化ポリスチレン、またはポリ(ブロモスチレン)等)が挙げられる。耐熱性が良好であり、かつ高温下でダイオキシンを生成する疑いのない化合物、例えば、エチレンビステトラブロモフタルイミド、ペンタブロモベンジルアクリレート、ポリ(ブロモスチレン)等が好ましい。最も好ましくは、エタン−1,2−ビス(ペンタブロモフェニル)が使用される(AlbermarleよりSaytex 8010として販売)。その利点は、これが非常にエフェダクティブ(effedctive)であるため比較的低濃度で使用できることにあり、このことはあらゆる種類の性質にとって好ましい。さらに、これを用いることにより耐熱性がさらに高いポリマー組成物が得られる。
【0030】
臭素系難燃性化合物としてポリ(ブロモスチレン)(PBS)を用いることも可能である。PBSは、ポリスチレンを臭素化するのではなく、臭素化スチレンモノマーを重合させることによって製造されている点が臭素化ポリスチレンとは異なる。この化合物を使用することにより、好ましい安定性が得られ、例えば白化作用や接触している金属の腐食が防止されることに加えて、ポリエステル組成物の溶融流動挙動も改善される。モル質量が高いPBSを用いることによりポリマー組成物の機械的性質が改善されるが、一方、モル質量が低いほど溶融流動性が良好になる。したがって、ポリ(ブロモスチレン)は、好ましくは重量平均モル質量(M)が20,000〜100,000g/molである。一般に、化合物中の臭素含有量が高いほど、ポリエステル組成物に所望の燃焼挙動を得るために必要とされる難燃剤の量は少なくなる。これは、靭性等の他の性質にとって有利である。したがって、好ましい実施形態においては、ポリ(ブロモスチレン)の臭素含有量は61〜65質量%である。
【0031】
本発明によるハロゲン系難燃系組成物は、ハロゲン系難燃剤以外に、相乗化剤、例えば酸化アンチモン、好ましくは三酸化アンチモンを含んでいてもよい。ハロゲン系難燃剤:相乗化剤の比率は、好ましくは3:1〜1:1、より好ましくは2.5:1〜1.5:1である。好ましくは、ハロゲン系難燃系には、ハロゲン系難燃剤および相乗化剤が存在する。
【0032】
[D.非ハロゲン系難燃系]
非ハロゲン系難燃系は、好適には、窒素系、リン系、および/または窒素/リン系難燃剤を含む。
【0033】
好ましい非ハロゲン系難燃剤としては、窒素または窒素/リン系難燃剤が挙げられる。成分として使用することができる好適な窒素系および窒素/リン系化合物は、例えば、国際出願/欧州特許第97/01664号明細書、独国特許出願公開第A19734437号明細書、独国特許出願公開第A1973772号明細書、および独国特許出願公開第A19614424号明細書に記載されている。
【0034】
好ましくは、窒素系難燃剤は、ベンゾグアナミン、イソシアヌル酸トリス(ヒドロキシエチル)、アラントイン、グリコールウリル、メラミン、シアヌル酸メラミン、ジシアンジアミド、グアニジン、およびカルボジイミド、ならびにその誘導体からなる群から選択される。
【0035】
より好ましくは、窒素系化合物は、メラミン縮合物を含む。メラミン縮合物は、例えば、メレム、メラム、およびメロンに加えて、より高級な誘導体およびその混合物である。メラミン縮合物は、例えば、PCT国際公開第96/16948号パンフレットに記載されている方法により製造することができる。
【0036】
好ましくは、窒素/リン系化合物は、メラミンとリン酸との反応生成物および/またはその縮合物である。本明細書におけるメラミンとリン酸との反応生成物および/またはその縮合物とは、メラミンまたはメラミンの縮合物(例えば、メレム、メラム、およびメロン)とリン酸との反応により得られる化合物と理解される。
【0037】
その例としては、例えばPCT国際公開第98/39306号パンフレットに記載されている、リン酸ジメラミン、ピロリン酸ジメラミン、リン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ピロリン酸メラミン、ポリリン酸メラミン、ポリリン酸メラム、ポリリン酸メロン、およびポリリン酸メレムが挙げられる。より好ましくは、窒素/リン系難燃剤は、ポリリン酸メラミンである。
【0038】
好ましくは、窒素または窒素/リン系化合物としては、シアヌル酸メラミンまたはポリリン酸メラミンが使用される。最も好ましくは、シアヌル酸メラミンが使用される。
【0039】
[E.さらなる添加剤]
この組成物は、好適には、あらゆる種類のさらなる添加剤、例えば酸化防止剤、染料または顔料、UV吸収剤、加水分解安定剤、帯電防止剤、充填剤、潤滑剤等を含んでいてもよい。充填剤の例としては、セルロース粉末およびコーンスターチ粉末等の多糖類粉末が挙げられる。ポリマー組成物は、さらなる添加剤を、A+B+C+Dを100部として、好ましくは15部未満、より好ましくは10部未満含む。
【0040】
UL−94試験に準拠する燃焼挙動の評価を行うと、有炎燃焼中の溶融ポリエステル組成物が滴下するため、V−0に分類できない場合がある。この目的のために、A+B+C+Dを100部として5部までのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を滴下防止剤として難燃性組成物に添加することができる。好ましくは、ポリエステル組成物中のPTFEの含有量は、0.25〜2質量%である。こうすることの利点は、燃焼性と他の性質との良好なバランスにある。さらに、PTFEを添加することにより、燃焼挙動に悪影響を及ぼすことなく難燃剤、例えばPBSや三酸化アンチモンの量を低減できることが見出された。PTFEは相乗化剤として作用するようである。これは、機械的性質に有利なだけでなく、組成物の相対密度も低下させるのでより経済的になる。
【0041】
好ましくは、この組成物は、上述した量の成分A、B、C、D、およびEからなる。
【0042】
本発明による組成物は、ケーブル被覆用途、特に肉厚が0.6mm未満、好ましくは0.4mm未満、より好ましくは0.3mm未満、よりさらに好ましくは0.25mm未満のケーブル被覆に非常に適している。
【0043】
実施例を用いて本発明をさらに説明するが、これらに限定するものではない。
【0044】
[材料]
A.アーニテル(Arnitel)(商標)CM551(オランダ国のDSMより提供された、成分の定義に従うコポリエステルエラストマー)
B.アーナイト(Arnite)(商標)T04201(オランダ国のDSMより提供されたPBT)
C1.セイテックス(Saytex) 8010(アルバマール(Albermarle)より提供された臭素系難燃剤(Br80重量%))
C2.campineより提供された三酸化アンチモン
D.3Vより提供されたシアヌル酸メラミン(Mecy)
【0045】
[配合]
実施例および比較例に従い表1に示した組成物のドライブレンドをタンブラーで調製した。このドライブレンドをZSK25mm二軸押出機に投入し、スクリュー速度を400rpm、吐出量を25kg/hr、溶融温度を280℃として溶融加工した。溶融物を移送して造粒用ダイを通過させた。こうして得られた顆粒をさらに使用する前に120℃の温度で4時間乾燥させた。
【0046】
射出成形により供試体を作製し、以下の性質を測定した:
− ISO 6722に準拠する45℃での燃焼試験による難燃性
− ISO 527−1/−2に準拠する機械的性質、破断伸び、および引張強さ。
【0047】
そのままの供試体および熱風循環型オーブン内で185℃で1000時間熱老化させた後の供試体について機械的性質を測定した。
− 0.35mmのFLRケーブルおよび超薄肉0.35mmFLURケーブルに関するISO 6722に準拠するスクレープ摩耗耐性。
【0048】
[実施例1〜3および比較実験AおよびB]
組成および結果を表1に示す。
【0049】
[検討および結果]
比較実験Bは難燃剤を使用しない組成物である。機械的性質は高水準にある。
【0050】
比較実験Aにおいては、組成物は非ハロゲン系難燃剤のみを含み、難燃性は所望の水準にあるが、機械的性質(特に熱老化後)に劣る。
【0051】
本発明による実施例においては、難燃性および機械的性質の両方が良好な水準にある。機械的性質は難燃剤を一切使用していない比較実験Bにさえ迫る水準である。PBTも含む実施例2は、耐摩耗性が最も高く、超薄肉ケーブル向けのISO 6722摩耗試験にさえ合格する。
【0052】
【表1】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
A)a)脂肪族ジオールおよび芳香族ジカルボン酸から誘導された繰り返し単位から構成されるポリエステルハードセグメント、
b)脂肪族カーボネートから誘導された繰り返し単位を含むポリエステルソフトセグメント
を含むコポリエステルエラストマー、
B)1種以上のさらなるポリマーを0〜30部、
C)ハロゲン系難燃剤を1〜15部、
D)非ハロゲン系難燃剤を0〜15部、
を含み、成分A、B、C、およびDの合計が100部である、難燃性ポリマー組成物。
【請求項2】
A)a)脂肪族ジオールおよび芳香族ジカルボン酸から誘導された繰り返し単位から構成されるポリエステルハードセグメント、
b)脂肪族カーボネートから誘導された繰り返し単位を含むポリエステルソフトセグメント
を含むコポリエステルエラストマー、
B)1種以上のさらなるポリマーを0〜30部、
C)ハロゲン系難燃系を5〜15部、
D)非ハロゲン系難燃系を0〜10部、
を含み、成分A、B、C、およびDの合計が100部であることを特徴とする、請求項1に記載の難燃性ポリマー組成物。
【請求項3】
C)前記ハロゲン系難燃系を7〜12部を含むことを特徴とする、請求項2に記載の難燃性ポリマー組成物。
【請求項4】
D)非ハロゲン系難燃系を0〜5部を含むことを特徴とする、請求項2または3に記載の難燃性ポリマー組成物。
【請求項5】
A)a)脂肪族ジオールおよび芳香族ジカルボン酸から誘導された繰り返し単位から構成されるポリエステルハードセグメント、
b)脂肪族カーボネートから誘導された繰り返し単位を含むポリエステルソフトセグメント
を含むコポリエステルエラストマー、
B)1種以上のさらなるポリマーを0〜30部、
C)ハロゲン系難燃系を1〜3部、
D)非ハロゲン系難燃系を5〜15部、
を含み、成分A、B、C、およびDの合計が100部である、請求項1に記載の難燃性ポリマー組成物。
【請求項6】
C)前記ハロゲン系難燃系を1〜2部を含むことを特徴とする、請求項5に記載の難燃性ポリマー組成物。
【請求項7】
D)前記非ハロゲン系難燃系を5〜10部を含むことを特徴とする、請求項5または6に記載の難燃性ポリマー組成物。
【請求項8】
ポリブチレンテレフタレートを5〜30部を含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の難燃性組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の被覆を含むケーブル。
【請求項10】
前記被覆の肉厚が0.6mm未満であることを特徴とする、請求項9に記載のケーブル。

【公表番号】特表2012−531482(P2012−531482A)
【公表日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−516640(P2012−516640)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058382
【国際公開番号】WO2011/000692
【国際公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】