説明

ポリマー組成物および眼用レンズ本体

【課題】光学的透明性や高い屈折率を含め、良好な光学的特性を示し、かつ前記したような従来技術の材料の欠点を示さずに粘着性が低下した構造材料からなる眼用レンズを提供する。
【解決手段】分岐鎖アルキル基を有するアクリレート、分岐鎖アルキル基を有するメタクリレートおよびそれらの混合物からなる群から選ばれる第1モノマー成分から誘導される第一成分と、架橋ポリマー材料の架橋剤として有効な量の第2モノマー成分から誘導される第二成分と、第1モノマー成分の分岐鎖アルキル基の炭素数、第3モノマー成分から誘導される第三成分を含んでなる組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー組成物から製造される眼用レンズ本体に関する。特に本発明は、眼用レンズ、好適には、表面粘着性が低下しかつアクリレート系および/またはメタクリレート系ポリマー組成物から製造される眼内レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
眼内レンズ(IOL)は、第二次世界大戦の終了直後から、長い間広く採用されている。眼内レンズは、損傷した天然水晶体や疾患を有する天然水晶体に代えて、ヒトなどの哺乳類の眼内に外科手術によって移植し、患者の視力を回復させることができる。
【0003】
眼内レンズは、「ハード」または「硬質」のポリマーまたはガラス光学材料から製造され、その材料として、屈折率1.49のポリメタクリル酸メチルなどが例示される。しかし、近年、眼への用途において、以下の理由から、シリコーンなどの柔軟で弾性のある材料の使用量が増大している。
【0004】
弾性眼内レンズは、その移植の際に、折り畳んだり、丸め込んだりすることによって、変形可能であるため、同じ屈折力を有する「ハード」眼内レンズの移植の場合よりも、外科手術による眼の切開創(切れ目)は、より小さくすることができる。切開創が小さいため、患者の外傷は、より小さく、手術後の治癒も、より迅速である。約3 mmの切開創が理想的である。なぜなら、通常の超音波白内障手術(水晶体乳化手術)によって、天然水晶体を破砕、乳化して除去するには、上記寸法の切開創が必要だからである。これに対し、代表的な眼内レンズ光学素子の直径は、約6 mmである。
【0005】
変形可能な眼内レンズは、その寸法および機械的特性が、重要な役割を果たす。当業者によく知られているように、移植を成功させるには、変形可能な眼内レンズは、充分な構造的一体性と、充分な弾力性と、充分な伸長性と、変形によって小さい切開創内を通過しうるに充分に小さい寸法とが必要である。もちろん、眼内レンズは、挿入後に当初の形態に回復し、通常の使用条件下での形態を保持するのに充分な構造的一体性を有することも必要である。
【0006】
一般に、変形可能な眼内レンズは、薄くなればなるほど、必要な眼切開創は、より小さくなる。他方、レンズは、眼内レンズとして光学的に機能するには、充分な光学的屈折力が必要である。また、眼内レンズ製造用材料の光学的屈折率が大きければ大きいほど、より薄い眼内レンズでも、同じ光学的屈折力を得ることができる。
【0007】
アクリル材料製の変形可能な眼内レンズは、その粘着性が非常に高いため、充分に小さい寸法に変形して非常に小さい切開創内を通過させることが困難になったり、取り扱うことが困難になるなどの問題がある。
【0008】
US 4,834,750(Gupta)は、ある種のコポリマー製の光学素子を備える眼内レンズを開示する。このコポリマーは、室温で比較的硬質のホモポリマーを形成するメタクリル酸エステルと、室温で比較的軟質のホモポリマーを形成するアクリル酸エステルとからなる。このコポリマーを、二アクリル酸エステルと架橋反応させて、ある種のアクリレート材料を形成し、この材料は、好適には表面粘着性低下作用を示すフルオロアクリレート由来の成分を含んでいる。しかしながら、上記特許文献は、この文献に開示の特定のモノマーが、少なくとも約1.50の屈折率を有するホモポリマーを形成することについて、開示も示唆もしていない。
【0009】
US 5,331,073(Weinschenk, III)の開示によれば、アクリル系眼内レンズは、所望により親水性モノマー成分由来の成分を含んでいる。この成分は、コポリマー粘着性の低下に有効である。しかしながら、このような親水性成分は、コポリマー中に少量の水分を含ませるため、最終の眼内レンズ光学素子の屈折率低下を引き起こすという、欠点を有している。
【0010】
US 5,603,774(LeBoeuf et al.)は、ポリマー表面のプラズマ処理法を開示し、この処理法によれば、ある種のアクリル系ポリマー、特に眼内レンズに有用なポリマーに伴う粘着性を減少することができる。しかしながら、このようなプラズマ処理法を用いれば、付加的な製造工程を含むことになる。また、このようなプラズマ処理によって不均一な眼内レンズ表面が形成され、これにより、眼に問題を引き起こす可能性が高い。
【特許文献1】US 4,834,750
【特許文献2】US 5,331,073
【特許文献3】US 5,603,774
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、光学的透明性や高い屈折率を含め、良好な光学的特性を示し、かつ前記したような従来技術の材料の欠点を示さずに粘着性が低下した構造材料からなる眼用レンズを提供することが、有利であって、これが、本発明が解決しようとする課題である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、新規なポリマー材料および当該ポリマー材料から製造される眼用レンズ、例えば眼内レンズを提供する。本発明のポリマー材料は、ある種のモノマーを組み合わせることによって製造され、かつ、光学的透明性および高い屈折率に関して非常に有用な光学的特性を有することができ、しかも、この材料を用いて、眼用レンズを形成することができる。例えば、本発明のポリマー材料を用いれば、小さい外科切開創(好適には、最大横断方向寸法で約3 mmまたはそれ以下のオーダーの切開創)内を通して挿入しうるような、効率的に変形可能で好適には折畳み可能な眼内レンズを形成することができる。重要な点は、本発明の組成物および眼用レンズは、前記したような、フルオロアクリレート、親水性成分およびプラズマ処理を使用せずに、表面粘着性を低下できる点である。本発明によれば、本発明の組成物および眼用レンズ製造用のモノマー成分を選択することによって、これら組成物および眼用レンズの光学的透明性、屈折率、均質性、生体適合性、変形可能性および製造コストに対し、殆どまたは全く悪影響を与えることなく、表面粘着性の低下を達成することができる。本発明の組成物および眼用レンズは、常法、例えば通常の重合法を用いて製造することができる。したがって、本発明は、その実施が非常に効率的で容易であり、優れた特性を示すポリマー材料および眼用レンズを製造することができる。
【0013】
本発明の1つの要旨によれば、本発明は、架橋ポリマー材料または組成物を含んでなる眼用レンズ本体を提供する。架橋ポリマー材料は、アクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物からなる群から選ばれる第1モノマー成分から誘導される第一成分を含む。第二成分も含み、これは、架橋ポリマー材料の架橋剤として有効な量の第2モノマー成分から誘導される。架橋ポリマー材料は、分岐鎖アルキル基を、この分岐鎖アルキル基を有しない実質的に同じ架橋ポリマー材料に比し、当該架橋ポリマー材料の粘着性を低下させるのに有効な量で有する。本発明によれば、分岐鎖アルキル基を、例えば第1モノマー成分またはその一部に含めると、意外にも、架橋ポリマー材料の表面粘着性を低下できることが、判明した。したがって、この粘着性の低下は、フルオロアクリレートまたは親水性成分の存在並びにポリマー材料に対する必要な処理、例えばプラズマ処理を要せずに、達成することができる。
【0014】
本発明の眼用レンズ本体は、角膜インプラント(例えば、角膜アンレーおよび角膜インレー)、コンタクトレンズ、眼内レンズおよび他の眼用レンズ本体の光学素子(光学体)の形態とすることができる。本発明の眼用レンズ本体は、眼内レンズ、特に変形可能な眼内レンズの光学素子として、特に有用である。変形可能な眼内レンズは、その眼への挿入前に、丸め込み、折畳みまたは他の変形方法で変形しうるように適合しているため、眼内レンズ光学素子は、比較的低い表面粘着度を有し、これにより、眼への光学素子の挿入のための有効な変形および/または眼における光学素子の当初形態への有効な回復を達成することが、重要である。
【0015】
本明細書に用いられる「分岐鎖アルキル基」なる用語は、直鎖状ではないアルキル基を意味する。したがって、アルキル基において、少なくとも1つの炭素原子、好適には1またはそれ以上の炭素原子は、アルキル基の単一直鎖部分の状態で存在するよりも、むしろ1またはそれ以上の分岐鎖の状態で存在する。また、シクロアルキル基も、分岐鎖アルキル基の定義に包含される。分岐鎖アルキル基は、前記した機能を奏する限り、いずれの大きさであってもよい。好適には、分岐鎖アルキル基は、約3〜約20の炭素原子、好適には約6〜約15の炭素原子を有することができる。
【0016】
分岐鎖アルキル基の存在量は、この分岐鎖アルキル基を有しない実質的に同じ架橋ポリマー材料に比し、当該架橋ポリマー材料の粘着性を低下させるのに有効な量である。例えば、分岐鎖アルキル基を含む第1モノマー成分またはその一部を使用することができる。ただし、本発明の架橋ポリマー材料は、全てのモノマー成分を広範な割合で使用しうることを条件とする。好適には、分岐鎖アルキル基を含むモノマー成分またはその一部は、架橋ポリマー材料の一成分であって、この一成分は、架橋ポリマー材料を基準に、約1重量%またはそれ以下〜約50重量%またはそれ以上、好適には約3重量%〜約25重量%の量で存在することができる。
【0017】
第1モノマー成分およびその一部は、好適には、分岐鎖アルキル基含有アクリレート、分岐鎖アルキル基含有メタクリレートおよびそれらの混合物からなる群から選ばれる。本発明の好適な一具体例によれば、架橋ポリマー材料は、前記した第1モノマー成分および第2モノマー成分以外の第3モノマー成分から誘導される第三成分を含むことができる。第3モノマー成分は、アクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物からなる群から選ばれる。好適には、第1モノマー成分は、分岐鎖アルキル基含有アクリレートおよびその混合物からなる群から選ばれる。第3モノマー成分は、好適には、メタクリレートおよびその混合物からなる群から選ばれる。
【0018】
本発明の好適な一具体例によれば、架橋ポリマー材料の粘着性は、前記第1モノマー成分の分岐鎖アルキル基と同じ炭素原子数の直鎖アルキル基を有するモノマー成分から誘導される材料成分を、前記第一成分に代えて使用している以外は実質的に同じ架橋ポリマー材料の粘着性よりも低下している。
【0019】
有利には、架橋ポリマー材料は、少なくとも約1.50の屈折率を有する。比較的高い屈折率の架橋ポリマー材料を使用することによって、比較的高い屈折力と、約3.0 mmまたは約2.8 mmまたはそれ以下の強膜トンネル切開創を介し通過する能力とを有するような眼用レンズ、特に眼内レンズを都合よく製造することができる。好適には、架橋ポリマー材料は、アリール含有基を、このアリール含有基を有していない実質的に同じ架橋ポリマー材料の屈折率に比し、当該架橋ポリマー材料の屈折率を増加させるのに有効な量で有する。本発明の特に好適な一具体例によれば、第3モノマー成分が、アリール含有基を、以上のような架橋ポリマー材料の屈折率を増加させるのに有効な量で有する。
【0020】
所望の変形度を得るには、架橋ポリマー材料は、好適には、約22℃またはそれ以下のガラス転移点(Tg)を有する。眼内レンズ光学素子に関し、この好適なTg範囲を有する架橋ポリマー材料は、室温または室温付近の温度で、折畳み法または他の変形方法によって変形して挿入することができる。
【0021】
以上、本明細書に記載の各特徴および各特徴の組み合わせは、この組み合わせ特徴が相互に矛盾しない限り、本発明の技術的範囲内である。
【0022】
以下、前記した本発明の態様および他の態様は、添付の図面を参照しながら、さらに詳しく説明する。図面において、同様な部分には、同様な参照番号を付した。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明の眼用レンズ本体は、前記したような架橋ポリマー材料を含んでなる。架橋ポリマー材料は、異なるモノマー成分から得られる成分の組み合わせを含んでなる。したがって、本発明の架橋ポリマー材料は、第一成分と、第二成分と、所望により第三成分とを含んでなる。
【0024】
本発明の架橋ポリマー材料の第一成分は、アクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物からなる群から選ばれる第1モノマー成分から誘導される。少なくとも一部の第1モノマー成分は、好適には、分岐鎖アルキル基含有アクリレート、分岐鎖アルキル基含有メタクリレートおよびそれらの混合物からなる群から選ばれる。
【0025】
本発明の架橋ポリマー材料は、分岐鎖アルキル基を、この分岐鎖アルキル基を有しない実質的に同じ架橋ポリマー材料に比し、当該架橋ポリマー材料の粘着性を低下させるのに有効な量で有する。所望により、第1モノマー成分またはその一部は、分岐鎖アルキル基を有する場合、好適には、当該分岐鎖アルキル基を、粘着性を低下させるのに有効な量で有する。
【0026】
好適には、分岐鎖アルキル基含有モノマー成分、例えば第1モノマー成分またはその一部は、架橋ポリマー材料の一成分を構成し、この一成分は、架橋ポリマー材料全量を基準に、約1重量%またはそれ以下〜約50重量%またはそれ以上、特に、約3〜約25重量%の量で存在することができる。
【0027】
第1モノマー成分のホモポリマーは、好適には、約30℃未満、特に、約22℃よりも小さいガラス転移点を有する。
【0028】
第1モノマー成分の代表例は、以下のものに限定されないが、次のような物質が挙げられる。
アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸2,2-ジメチルプロピル、メタクリル酸2,2-ジメチルプロピル、アクリル酸トリメチルシクロヘキシル、メタクリル酸トリメチルシクロヘキシル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸イソペンチル、メタクリル酸イソペンチルおよびそれらの混合物。
【0029】
本発明の架橋ポリマー材料の第二成分は、当該架橋ポリマー材料の架橋剤として有効な量の第2モノマー成分から誘導される。第2モノマー成分は、好適には、多官能性を示すことができ、第1モノマー成分と、好適には第1モノマー成分および第3モノマー成分の両成分と化学反応することができる。本発明の架橋ポリマー材料の第二成分は、当該材料に対し、所望の程度の形状記憶特性を付与するのに充分な量で存在することができ、これにより、例えば、本発明の架橋ポリマー材料から製造した眼内レンズを変形した形態から当初の形態に、ヒトの眼に存在する条件下に妥当な期間の間に回復することができる。
【0030】
第2モノマー成分または架橋性モノマー成分は、しばしば第1モノマー成分および第3モノマー成分よりも、少ない量で存在する。好適には、第二成分は、架橋ポリマー材料において、当該材料を基準に、約1重量%未満の量で存在することができる。本発明の架橋ポリマー材料の第二成分は、架橋剤と見なすことができる。この架橋性のモノマー成分は、しばしば多官能性の成分、好適には、第1モノマー成分および第3モノマー成分のそれぞれの少なくとも1つの官能基と化学反応しうる多官能性の成分から選択することができる。好適には、架橋性のモノマー成分は、第1モノマー成分および第3モノマー成分の一方成分または両成分に伴う少なくとも1つの官能基と化学反応しうるように、選択することができる。
【0031】
本発明の架橋ポリマー材料に使用される第2モノマー成分の例として、以下の物質に制限されないが、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキルエステル、三官能性アクリレート、三官能性メタクリレート、四官能性アクリレート、四官能性メタクリレートおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0032】
本発明の架橋ポリマー材料に使用される第3モノマー成分は、第1モノマー成分および第2モノマー成分とは、異なった物質である。第3モノマー成分は、アクリレート、メタクリレートおよびそれらの混合物からなる群から選ばれる。本発明の架橋ポリマー材料の第三成分は、好適には、当該架橋ポリマー材料の一成分として、当該架橋ポリマー材料を基準に、少なくとも約10重量%または約20重量%の量、特に、多量な量(少なくとも約50重量%)で存在することができる。本発明の好適な一具体例によれば、第三成分は、第3モノマー成分から誘導され、この第3モノマー成分のホモポリマーの屈折率は、少なくとも約1.50、好適には、少なくとも約1.52または約1.54である。第3モノマー成分のホモポリマーは、実質的に硬質である。
【0033】
本発明の好適な一具体例によれば、第一成分および第三成分は、合計で、本発明の架橋ポリマー材料を基準に、好適には、少なくとも約80重量%、特に、少なくとも約90重量%である。第1モノマー成分および第3モノマー成分は、好適には、これらモノマー成分の各々が他のモノマー成分と化学反応しうるように選択することができる。
【0034】
本発明の架橋ポリマー材料は、低下した表面粘着性および好適には光学的透明性および高い屈折率、例えば少なくとも約1.50、好適には、少なくとも約1.52または少なくとも約1.54の屈折率を有することができる。本発明の架橋ポリマー材料の組み合わせ特性は、非常に有利であって、例えば、効率的に変形できかつ高い屈折力を有する眼内レンズの製造を容易にすることができる。
【0035】
本明細書に用いられる「ホモポリマー」なる用語は、対応するモノマー成分から実質的に完全に得られるようなポリマーを意味する。したがって、本発明のホモポリマーには、対応するモノマー成分が、主たる、好適には、唯一のモノマー成分として包含される。少量の触媒、重合開始剤などを、通常の場合と同様に含むことができ、これにより、ホモポリマーの形成を容易にすることができる。加えて、第1モノマー成分および第3モノマー成分の各成分のホモポリマーは、眼内レンズ構造体として有用となるように、充分に高い分子量または重合度を有することができる。
【0036】
第3モノマー成分のホモポリマーは、硬質でありうる。このような硬質ホモポリマーから製造される眼内レンズは、例えば、眼内レンズの変形によって眼の小さい切開創を通過して挿入するために使用され特別な構造を有するシステムを用いても、変形することができない。第3モノマー成分からのホモポリマーは、剛性を有するため、このようなホモポリマーから製造された眼内レンズは、変形により小さい眼切開創に通して移植するために当該眼内レンズに力を加えた場合に、変形できず、破損し、または他の不都合を生じる。
【0037】
第三成分は、好適には、本発明の架橋ポリマー材料を基準に、少なくとも約10重量%または少なくとも約20重量%、好適には、多量な量で存在させることができる。第三成分製造用の第3モノマー成分は、この成分に関し本明細書に記載の基準に適合するような化合物から選択することができる。好適には、この第3モノマー成分は、本発明の架橋ポリマー材料に対し、第1モノマー成分からのホモポリマーよりも高い屈折率を付与しうるように選択する。第3モノマー成分からのホモポリマーは、好適には、その屈折率が少なくとも約1.50、より好適には、少なくとも約1.52または少なくとも約1.54である。
【0038】
本発明の好適な一具体例によれば、第3モノマー成分は、1またはそれ以上のアリール含有基を含むことを特徴とする。以下の理論に本発明が制限されることを意図するものではないが、第3モノマー成分中にアリール含有基を存在させると、本発明の架橋ポリマー材料が好適にもより高い屈折率を有することを、少なくとも促進させ、好適には、そのような高い屈折率を有するようになると、考えられる。第3モノマー成分が、1またはそれ以上のアリール含有基を有する場合、好適には、少なくとも第1モノマー成分、好適には、第1モノマー成分および第2モノマー成分は、アリール含有基を含むことができない。この「屈折率の単一制御」は、高い屈折率の架橋ポリマー材料を達成できる点で、非常に有効であると共に、他のモノマー成分の選択によってフレキシブルな材料が可能となり、その結果、屈折率以外の有利な特性、例えば効率的な変形/挿入が可能である眼内レンズへの架橋ポリマー材料の変形特性を有する架橋ポリマー材料を得ることができる。
【0039】
本発明の架橋ポリマー材料に使用しうる第3モノマー成分の例として、次のものに制限されないが、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸フェノキシアルキル、メタクリル酸フェノキシアルキル、アクリル酸カルバゾール(ジベンゾピロール)、メタクリル酸カルバゾール、アクリル酸ビフェニル、メタクリル酸ビフェニル、アクリル酸ナフチル、メタクリル酸ナフチルおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0040】
もちろん、第1、第2および第3のモノマー成分は、眼内または眼に対し使用するのに適合しかつ光学的に透明でしかも他の点で眼用レンズの構造材料としての使用に適合した、架橋ポリマー材料が得られるように選択すべきである。本発明の好適な一具体例によれば、第1、第2および第3モノマー成分は、各々、実質的にシリコンを含んでいないため、得られるコポリマーは、シリコーンポリマーではない。これらのモノマー成分は、得られる架橋ポリマー材料に対し、実質的に悪影響を与えないような実質的に非干渉性の置換体によって、置換することができる。そのような置換体には、1またはそれ以上の元素、例えば酸素、窒素、炭素、水素、ハロゲン、硫黄、リンなどおよびそれらの混合物および組み合わせが包含される。
【0041】
本発明の架橋ポリマー材料は、好適には、そのガラス転移点(Tg)が約22℃またはそれ以下の温度である。このガラス転移点(Tg)は、本発明の架橋ポリマー材料の一具体例として製造される眼内レンズ光学素子が、小さい眼切開創を通過して挿入する前に、室温で、当該光学素子の変形(折畳み)の促進に有効である。
【0042】
本発明の架橋ポリマー材料は、通常の重合法で製造することができる。例えば、複数のモノマー成分を一緒に混合して、シート形態にキャスト成形し、高温、例えば、約50〜約90℃の範囲に、約30分〜約8時間または約24時間またはそれ以上の期間加熱して、重合反応を促進させる。触媒および/または重合開始剤、例えばポリマーの重合分野で既知の物質から選択することができ、これらの物質をモノマー混合物中に混和して、重合の反応速度を促進および/または増加させることができる。重合開始剤の例として、2,2'-アゾビス(2,4-ジメチルペンタンニトリル)、2,2'-アゾビス(2-メチルプロパンニトリル)、2,2'-アゾビス(2-メチルブタンニトリル)、過酸化物、例えば、過酸化ベンゾイル、紫外線重合開始剤、例えば、ジエトキシアセトフェノンなどおよびそれらの混合物が挙げられる。
【0043】
加えて、有効量の紫外線吸収性モノマー成分、例えば、官能性ベンゾトリアゾールおよびベンゾフェノン誘導体も、前駆体モノマー混合物中に含めることができる。紫外線吸収性モノマー成分は、最終の架橋ポリマー材料内に重合して、この最終の材料に対し、有効な紫外線吸収特性を付与することができる。
【0044】
本発明の好適な一具体例によれば、本発明の架橋ポリマー材料は、第1モノマー成分と第3モノマー成分とを一緒に混合して、製造することができる。この混合物を充分にブレンドし、脱気し、例えば、約50〜約80℃の温度に加熱し、この温度で、約15分〜約3時間保持する。得られた混合物を部分的重合反応に付し、約25℃に冷却すると、粘稠な液体が得られる。
【0045】
最終の架橋ポリマー材料は、この部分的重合粘稠液体を、第2モノマー成分または架橋性のモノマー成分並びに触媒および/または重合開始剤と、合することによって製造することができる。別法として、全てのモノマー成分および触媒および/または重合開始剤を、一緒に合するかまたは混合することができる。粘稠液体またはモノマー混合物を、充分にブレンドし、脱気し、金型内に注ぐ。金型を、加熱、好適には、温度約40〜約100℃に加熱し、液体または混合物を、硬化、好適には、約1〜約24時間硬化させる。次いで、金型の材料を、好適には温度約70〜約130℃に、好適には約2〜約30時間所定の期間、後硬化させる。硬化および後硬化ののち、金型を開いて、レンズ成形品を取り出す。
【0046】
別法として、硬化および後硬化を、チューブによって実施する。チューブ内で形成した架橋ポリマー材料を、円筒状レンズブランクに切断する。円筒状レンズブランクを機械加工して、最終のレンズ本体、例えば、眼内レンズ光学素子を製造する。機械加工には、低温(または極低温)におけるミリングおよびラッチング(lathing)処理が包含される。
【0047】
図1および図2において、眼内レンズ21は、図示するように、一組の径方向外方に延在する触覚器または固定部材28を備え、この固定部材28は、光学的に透明な光学素子26に固定されている。別法として、光学素子および固定部材は、単一の材料片から形成することができる。各触覚器28は、図示するように、その長さ方向に沿って、実質的に均一な断面を有し、図示するように、滑らかに湾曲した領域32と、中間レンズ結合領域34と、自由端部領域36とを備えている。図示した具体例は、2つの対向触覚器28を備えているが、単一の触覚器および2を超える触覚器を光学素子に結合させた態様も、本発明に包含されるものと、理解すべきである。
【0048】
光学素子26は、本発明の架橋ポリマー材料、例えば、実施例1記載の材料から製造される。光学素子26は、通常の眼内レンズ光学素子成形法、例えば、射出成形法、シートキャスト成形法およびボタン切断法などによって製造することができる。別法として、モノマー成分を、まずチューブ内で混合し、次いでチューブ内で硬化させる。得られたロッドを、次いでボタンに切断し、その後、眼内レンズ光学素子に、低温または極低温処理(cryolathe)することができる。
【0049】
一般に、各触覚器28は、金属または好適にはポリマー材料製のフレキシブルな部材を含んでなり、この部材は、実質的に円形の断面を有しているが、所望により、別の断面形態も、採用することができる。触覚器は、任意の形態をとることができるが、図示した触覚器28は、比較的薄く、フレキシブルであると共に、眼内レンズ21を眼10内で支持するのに充分な強度を有する。触覚器28は、充分な支持強度および弾性を示しかつ意図したインビボ環境で実質的に生体不活性を示すような材料であれば、いずれの材料であってもよい。この目的に適した材料として、ポリマー材料、例えば、ポリアミド、ポリイミド、ポリアクリレート、2-ヒドロキシメタクリレート、ポリ(フッ化ビニリデン)、ポリテトラフルオロエチレンなど、および金属、例えば、ステンレススチール、白金、チタン、タンタル、形状記憶合金、ナイトナール(nitonal)などである。触覚器は、常法で製造することができる。例えば、好適なポリマー製触覚器は、既知の熱可塑性ポリマー成形法、例えば、射出成形法または押出成形法によって製造することができる。
【0050】
前記したように、光学素子に結合される触覚器28のレンズ結合領域34は、任意の形態をとることができ、例えば、アンカー(anchoring)ループ、アンカーT構造および他のアンカー構造などが例示され、これにより、従来法と同様に、光学素子との機械的相互固着を達成することができる。
【0051】
眼内レンズ26は、眼内レンズ製造分野における常法で製造することができる。例えば、触覚器28のレンズ結合領域34を、光学素子26の形成に使用したモノマー成分の混合物を充填した金型内に入れる。次いで、金型を、このモノマー混合物から本発明の架橋ポリマー材料を形成するのに有効な条件、例えば、高温条件に付す。レンズ結合領域34は、光学素子26に結合し、これにより、触覚器28の光学素子への固定が達成される。別法として、触覚器28は、光学素子26に予め形成した凹部内に固定することができる。
【0052】
光学素子26は、低下した表面粘着性および好適には少なくとも約1.50の屈折率を有することができる。光学素子26は、折り畳んで、長さ約3 mmの切開創に通してヒトの眼に挿入することができる。眼内レンズ21は、眼への挿入後、例えば、約1秒または約20秒〜約3分間のオーダーの合理的な期間の経過ののちに当初の形態に戻り、これにより、眼に容易に定位することができ、正常な状態では眼に存在する天然水晶体の代用品として、実用的な長期間、使用することができる。
【実施例】
【0053】
次に、実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
例1(実施例1)
以下表1に示した物質をブレンドし、窒素で3分間パージし、次いで架橋ポリマー材料に硬化させた。
【表1】

(1)2-(4-ベンゾイル-4-ヒドロキシフェノキシ)エチルアクリレート
(2)2,5-ジメチル-2,5-ビス(2-エチルヘキサノニルペルオキシ)ヘキサン
【0054】
得られた架橋コポリマー材料は、屈折率1.54で、ガラス転移点(Tg)15℃、優れた光学的透明性(透明度)および良好な機械的特性(低い表面粘着性または低下した表面粘着性を含む)を有する。このコポリマーからなるロッドの直径は、1 cmであって、このロッドを180度に折畳んだが、クラックを形成せずに、数秒以内に当初の形態に戻った(35℃)。
【0055】
例2(実施例2)
常法に従い、光学素子を、実施例1で製造した架橋コポリマーから成形した。20ジオプトリーの平凸レンズ(エッジ厚み0.305 mm、直径6.0 mm)を形成するため、光学素子の光学中心厚みを約0.737 mmとした。
【0056】
例3(実施例3)
実施例2で形成した光学素子を有する眼内レンズを製造した。この光学素子に対し、ポリメタクリル酸メチルを押出成形して製造した、2本の実質的に対向する触覚器(図1および図2、参照)を結合させた。得られた眼内レンズを、3 mmの外科切開創に通して眼に挿入した。この挿入のために、眼内レンズを折畳んだ。眼への挿入によって、眼内レンズは、1分未満の間に、当初の形態を回復し、これにより、眼の所定の位置に固定した。自然治癒ののち、眼内レンズは、正常な状態では眼に存在する天然水晶体の代用品として、眼において有効であって、使用することができた。
【0057】
例4(比較例4)
実施例1の架橋ポリマー(実施例1コポリマー)および、実施例1と同様な方法で製造した架橋ポリマー(比較例4コポリマー)を製造し、シート形態にキャスト成形した。両者のコポリマーは、実施例1のコポリマーの製造法と同様な方法で製造した。比較例4コポリマーの組成は、実施例1コポリマーの組成と実質的に同じである。ただし、アクリル酸3,5,5-トリメチルヘキシルに代えて、アクリル酸n-ノニルを使用した。
【0058】
これらの各シートから、眼内レンズ光学素子と同様な形態および寸法を有する、一連のディスクを製造した。レンズ折畳み用の鉗子を用いて、これらのディスクを半分に折畳んだ(角度180度)。折畳んだディスクを鉗子で30秒間保持した後、ディスクを鉗子から、はずして、35℃の水を満たしたビーカー内に入れた。ディスクが折畳んだ状態から解放しうるのに必要な期間を、「タック時間」として記録した。また、ディスクが平らな形態または当初の形態に回復するのに必要な期間を、「回復開放時間」として記録した。
【0059】
以上の試験結果を以下の表2に示す。
【表2】

【0060】
以上の結果から、実施例1コポリマーは、比較例4コポリマーに比し、粘着性が低下したことが証明された。これら2つのコポリマーに関し、唯一の相違は、実施例1コポリマーにおいて、分岐鎖アルキル基を含むモノマーとしてアクリル酸3,5,5-トリメチルヘキシルが存在している点だけであるため、以上の結果から、分岐鎖アルキル基を含むようなこのタイプのモノマーは、かかるモノマーから得られる架橋コポリマーの粘着性、特に、かかるコポリマーを含む眼用レンズの粘着性を低下させるのに、著しく有効であって、有利であることが判明した。
【0061】
以上、本発明の具体例を挙げて本発明を説明したが、本発明は、これらの具体例に制限されるものではなく、種々の変形例も、本発明の技術的範囲に包含されるものである。
【図面の簡単な説明】
【0062】

【図1】本発明の眼内レンズの平面図
【図2】図1の眼内レンズの側面図
【符号の説明】
【0063】
21:眼内レンズ、26:光学素子、28:固定部材(触覚器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
分岐鎖アルキル基を有するアクリレート、分岐鎖アルキル基を有するメタクリレートおよびそれらの混合物からなる群から選ばれる第1モノマー成分から誘導される第一成分と、架橋ポリマー材料の架橋剤として有効な量の第2モノマー成分から誘導される第二成分と、第1モノマー成分の分岐鎖アルキル基の炭素数、第3モノマー成分から誘導される第三成分とを含んでなる架橋ポリマー材料を含んでなる組成物。
【請求項2】
第3モノマー成分がアリール含有基を有しており、架橋ポリマー材料は、少なくとも約1.50の屈折率を有する請求項1記載の組成物。
【請求項3】
第1モノマー成分が、分岐鎖アルキル基を有するアクリレートおよびその混合物からなる群から選ばれるものであり、第3モノマー成分がメタクリレートおよびその混合物からなる群から選ばれるものである請求項1記載の組成物。
【請求項4】
分岐鎖アルキル基は、炭素原子数3〜約20のアルキル基およびその混合物からなる群から選ばれる請求項1記載の組成物。
【請求項5】
分岐鎖アルキル基は、炭素原子数6〜約15のアルキル基およびその混合物からなる群から選ばれる請求項1記載の組成物。
【請求項6】
架橋ポリマー材料は、アリール含有基を、このアリール含有基を有していない実質的に同じ架橋ポリマー材料の屈折率に比べて、当該架橋ポリマー材料の屈折率を増加させるのに有効な量で有する請求項1記載の組成物。
【請求項7】
架橋ポリマー材料は、約22℃またはそれ以下のガラス転移点を有する請求項1記載の組成物。
【請求項8】
実質的に均一である請求項1記載の組成物。
【請求項9】
架橋ポリマー材料は、当該架橋ポリマー材料の粘着性を低下させるのに有効な親水性基を、実質的に含んでない請求項1記載の組成物。
【請求項10】
少なくとも一部の第1モノマー成分は、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸2,2-ジメチルプロピル、メタクリル酸2,2-ジメチルプロピル、アクリル酸トリメチルシクロヘキシル、メタクリル酸トリメチルシクロヘキシル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸イソペンチル、メタクリル酸イソペンチルおよびその混合物からなる群から選ばれる請求項1記載の組成物。
【請求項11】
第2モノマー成分は、テトラエチレングリコールジメタクリレート、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、三官能性アクリレート、三官能性メタクリレート、四官能性アクリレート、四官能性メタクリレートおよびその混合物からなる群から選ばれる請求項1記載の組成物。
【請求項12】
第3モノマー成分は、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸フェノキシアルキル、メタクリル酸フェノキシアルキル、アクリル酸カルバゾール、メタクリル酸カルバゾール、アクリル酸ビフェニル、メタクリル酸ビフェニル、アクリル酸ナフチル、メタクリル酸ナフチルおよびその混合物からなる群から選ばれる請求項1記載の組成物。
【請求項13】
アクリル酸2−フェニルプロピル、メタクリル酸2−フェニルプロピルおよびその混合物からなる群から選ばれる第1モノマー成分から誘導される第一成分と、架橋ポリマー材料の架橋剤として有効な量の、第1モノマー成分以外の第2モノマー成分から誘導される第二成分とを含んでなる架橋ポリマー材料を含んでなる眼用レンズ本体。
【請求項14】
角膜インプラント、コンタクトレンズおよび眼内レンズの光学体からなる群から選ばれる請求項13記載の眼用レンズ本体。
【請求項15】
眼内レンズの変形可能な光学体である請求項13記載の眼用レンズ本体。
【請求項16】
架橋ポリマー材料は、前記の第1モノマー成分および第2モノマー成分以外の第3モノマー成分から誘導される第三成分を含んでなり、
この第3モノマー成分は、アクリレート、メタクリレートおよびその混合物からなる群から選ばれる請求項13記載の眼用レンズ本体。
【請求項17】
架橋ポリマー材料は、少なくとも約1.50の屈折率を有する請求項13記載の眼用レンズ本体。
【請求項18】
架橋ポリマー材料は、アリール含有基を、このアリール含有基を有していない実質的に同じ架橋ポリマー材料の屈折率に比べて、当該架橋ポリマー材料の屈折率を増加させるのに有効な量で有する請求項13記載の眼用レンズ本体。
【請求項19】
架橋ポリマー材料は、約22℃またはそれ以下のガラス転移点を有する請求項13記載の眼用レンズ本体。
【請求項20】
実質的に均一である請求項13記載の眼用レンズ本体。
【請求項21】
架橋ポリマー材料は、当該架橋ポリマー材料の粘着性を低下させるのに有効な親水性基を、実質的に含んでない請求項13記載の眼用レンズ本体。
【請求項22】
第2モノマー成分は、エチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコールジメタクリレート、アクリル酸アルキル、メタクリル酸アルキル、三官能性アクリレート、三官能性メタクリレート、四官能性アクリレート、四官能性メタクリレートおよびその混合物からなる群から選ばれる請求項13記載の眼用レンズ本体。
【請求項23】
第3モノマー成分は、アクリル酸n-ブチル、アクリル酸n-ヘキシル、アクリル酸n-オクチル、メタクリル酸n-ブチル、メタリル酸n-ヘキシル、メタクリル酸n-オクチル、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸2,2-ジメチルプロピル、メタクリル酸2,2-ジメチルプロピル、アクリル酸トリメチルシクロヘキシル、メタクリル酸トリメチルシクロヘキシル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸イソペンチル、メタクリル酸イソペンチルおよびその混合物からなる群から選ばれる請求項17記載の眼用レンズ本体。
【請求項24】
第3モノマー成分は、アクリル酸2-エチルヘキシル、メタクリル酸2-エチルヘキシル、アクリル酸2,2-ジメチルプロピル、メタクリル酸2,2-ジメチルプロピル、アクリル酸トリメチルシクロヘキシル、メタクリル酸トリメチルシクロヘキシル、アクリル酸イソブチル、メタクリル酸イソブチル、アクリル酸イソペンチル、メタクリル酸イソペンチルおよびその混合物からなる群から選ばれる請求項5記載の眼用レンズ本体。
【請求項25】
哺乳類の眼の切開創に通して挿入できるように変形に適合しかつ寸法を有する眼内レンズであって、
当該眼内レンズは、
アクリル酸2−フェニルプロピル、メタクリル酸2−フェニルプロピルおよびその混合物からなる群から選ばれる第1モノマー成分から誘導される第一成分と、架橋ポリマー材料の架橋剤として有効な量の、第1モノマー成分以外の第2モノマー成分から誘導される第二成分と、前記した第1モノマー成分および第2モノマー成分以外の第3モノマー成分から誘導される第三成分とを含んでなる架橋ポリマー材料を含んでなり、
架橋ポリマー材料は、少なくとも約1.50の屈折率を有しており、架橋ポリマー材料は、充分なアクリル酸2−フェニルプロピル、メタクリル酸2−フェニルプロピルまたは他の分岐鎖アルキル基を、この分岐鎖アルキル基を有していない実質的に同じ架橋ポリマー材料の粘着性に比べて、当該架橋ポリマー材料の粘着性を低下させるのに有効な量で有することを特徴とする眼内レンズ。
【請求項26】
アクリル酸2−フェニルプロピルまたはメタクリル酸2−フェニルプロピルを含んでなる眼内レンズ用のレンズ本体を製造するのに適したモノマー。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−262414(P2007−262414A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−130415(P2007−130415)
【出願日】平成19年5月16日(2007.5.16)
【分割の表示】特願2000−580024(P2000−580024)の分割
【原出願日】平成11年10月25日(1999.10.25)
【出願人】(502049837)アドバンスト メディカル オプティクス, インコーポレーテッド (50)
【Fターム(参考)】