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ポリマー組成物の製造方法および磁気記録媒体の製造方法
説明

ポリマー組成物の製造方法および磁気記録媒体の製造方法

【課題】磁気記録媒体形成用塗布液の調製のために好適なポリマー組成物を製造するための手段を提供すること。
【解決手段】ポリマー組成物の製造方法。前記ポリマー組成物は、所定の4種のモノマー(モノマー1〜4)を含む原料モノマーの重合反応により得られるポリマーを含み、モノマー1を水または水とアルコールとの混合溶媒に添加して調製した溶液Aと、モノマー2、3および4をケトン系溶媒に添加して調製した溶液Bとを混合して原料モノマー混合液を調製し、該原料モノマー混合液中で前記重合反応を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリマー組成物の製造方法に関するものであり、詳しくは、塗布型磁気記録媒体用塗布液の調製に好適なポリマー組成物の製造方法に関するものである。
更に本発明は、上記方法によりポリマー組成物を製造することを含む磁気記録媒体の製造方法にも関するものである。
【背景技術】
【0002】
塗布型磁気記録媒体では、電磁変換特性、走行耐久性等に結合剤が重要な役割を果たしている。
【0003】
磁気記録媒体用結合剤としては、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂等の各種樹脂が使用されている。中でも塩化ビニル系樹脂、アクリル樹脂等のビニル系ポリマーは、ユニットの自由度の高さ、合成反応の容易性等の点から広く用いられている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−242625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の通りビニル系ポリマーは、磁気記録媒体用結合剤として好適なものである。そこで本願出願人はビニル系ポリマーについて検討を重ね、後述するモノマー2〜4を重合することにより得られるビニル系ポリマーが、磁気記録媒体用結合剤として優れた性能を発揮し得るものであることを見出した。これは、モノマー2に含まれる水酸基、モノマー3に含まれる環状構造を有する置換基、およびモノマー4に含まれる長鎖ないしは多環員数の炭化水素基が導入されたビニル系ポリマーは、これらの基が分散性向上に寄与することで磁性体や非磁性粉末を高度に分散することができ、更にモノマー2により導入される水酸基がポリイソシアネートと架橋することにより高い塗膜強度を有する磁性層や非磁性層を形成できるからである。さらに、モノマー3に含まれる環状構造を有する置換基、およびモノマー4に含まれる長鎖ないしは多環員数の炭化水素基が導入されたビニル系ポリマーは、ガラス転移温度の向上、靭性の向上といった、磁気記録媒体に必要不可欠な力学特性を付与することができる。
【0006】
ところで高密度記録領域において良好な電磁変換特性を得るためには、微粒子磁性体を使用するとともに、微粒子磁性体を高度に分散させ、磁性層表面の平滑性を高めることが有効である。微粒子磁性体の分散性を高める手段としては、SO3Na基のようなスルホン酸(塩)基を結合剤に含有させる方法が知られている。なお本明細書において、スルホン酸(塩)基とは、スルホン酸基とスルホン酸基の塩を包含する意味で用いるものとする。
【0007】
そこで上記モノマー2〜4を重合することで得られるビニル系ポリマーに、より一層優れた分散性向上効果を得るためにスルホン酸(塩)基を導入することが考えられるが、本発明者らの検討により、上記ビニル系ポリマーにスルホン酸(塩)基を導入する際には、以下の課題が存在することが明らかとなった。
【0008】
塗布型磁気記録媒体形成用塗布液の溶媒としては、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンといったケトン系溶媒が汎用されている。これは、ケトン系溶媒は沸点が比較的低いため、ケトン系溶媒を使用すれば乾燥工程で溶媒を容易に除去することができ残留溶媒量の少ない磁気記録媒体が得られるからである。したがって磁気記録媒体用結合剤の重合反応は、反応溶媒の一部をケトン系溶媒が占めることが望ましい。反応後のポリマー溶液を、高度な分離精製工程を経ることなく、塗布型磁気記録媒体形成用塗布液の調製工程に付すことが可能となるからである。
しかし本発明者らの検討の結果、後述するモノマー2〜4を、スルホン酸(塩)基導入のために広く使用されている後述するモノマー1とともにケトン系溶媒中で重合反応に付すと、得られるビニル系ポリマーのスルホン酸(塩)基導入量は理論値から大きく低下することが明らかとなった。これは、モノマー2〜4はケトン系溶媒に対して高い溶解性を示す一方、これらモノマーの共存下では、モノマー1のケトン系溶媒に対する溶解性が著しく低下するためである。他方、モノマー1〜4のすべてを良好に溶解し得る溶媒としてはアミド系溶媒が挙げられるが、アミド系溶媒は作業時に安全面での配慮が必要とされ、また高沸点であるためアミド系溶媒中で合成されたポリマーを磁気記録媒体用結合剤として使用すると媒体の残留溶媒量が高くなる可能性がある。アミド系溶媒で合成した後、再沈処理によりポリマーを精製して、さらにケトン系溶媒に再溶解させる方法も考えられるが、製造工程が増えてコスト高となるため好ましくない。
【0009】
かかる状況下、本発明は、磁気記録媒体形成用塗布液の調製のために好適な、後述するモノマー1〜4の重合体であるビニル系ポリマーを含むポリマー組成物を製造するための手段を提供することを目的としてなされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは上記目的を達成するために、反応溶媒の一部をケトン系溶媒が占め、かつ共存する溶媒は取り扱いおよび除去が容易である反応系において、上記モノマー1〜4の重合反応を行うことを検討した。その結果、モノマー1を水または水とアルコールとの混合溶媒に添加して調製した溶液と、モノマー2〜4をケトン系溶媒に添加して調製した溶液とを混合して原料モノマー混合液を調製し、該原料モノマー混合液中で重合反応を行うことで、上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、上記目的は、下記手段により達成された。
[1]ポリマー組成物の製造方法であって、
前記ポリマー組成物は、
一般式(I):
【化1】

[一般式(I)中、Z1はスルホン酸(塩)基を表し、R1は水素原子またはメチル基を表し、X1は酸素原子、硫黄原子または−N(R11)−基を表し、R11は水素原子または置換基を表し、L1は置換基を有していてもよいアルキレン基を表す。]
で表されるモノマー1と、
一般式(II):
【化2】

[一般式(II)中、R2は水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、L2は単結合または2価の連結基を表す。]
で表されるモノマー2と、
一般式(III):
【化3】

[一般式(III)中、R3は水素原子、ハロゲン原子、またはメチル基を表し、L3は単結合または2価の連結基を表し、Z3は環状構造を有する置換基を表す。]
で表されるモノマー3と、
一般式(IV):
【化4】

[一般式(IV)中、R4は水素原子、ハロゲン原子、またはメチル基を表し、L4は単結合または2価の連結基を表し、Yは炭素数8以上50以下の炭化水素基を表す。]
で表されるモノマー4と、
を含む原料モノマーの重合反応により得られるポリマーを含み、
モノマー1を水または水とアルコールとの混合溶媒に添加して調製した溶液Aと、モノマー2、3および4をケトン系溶媒に添加して調製した溶液Bとを混合して原料モノマー混合液を調製し、該原料モノマー混合液中で前記重合反応を行うことを特徴とする、前記製造方法。
[2]モノマー2は、一般式(II-1):
【化5】

[一般式(II-1)中、R2は水素原子またはメチル基を表し、X2は−O−、−S−、または−N(R22)−で表される2価の連結基を表し、R22は水素原子または置換基を有してもよい炭素数1以上8以下のアルキル基を表し、R21は置換基を有してもよい炭素数2以上8以下のアルキレン基または該アルキレン基が連結基を介して複数連結した2価の基を表す。]
で表されるアクリルモノマーである[1]に記載のポリマー組成物の製造方法。
[3]モノマー3は、一般式(III-1):
【化6】

[一般式(III-1)中、R3は、水素原子またはメチル基を表し、X3は−O−、−S−、または−N(R31)−で表される2価の連結基を表し、R31は水素原子または置換基を有してもよい炭素数1以上8以下のアルキル基を表し、Z31は脂環式の縮合環基を表す。]
で表されるアクリルモノマーである[1]または[2]に記載のポリマー組成物の製造方法。
[4]モノマー4は、一般式(IV-1):
【化7】

[一般式(IV-1)中、R4は水素原子またはメチル基を表し、X4は−(O)m1−、−(S)m2−または−{N(R41)}m3−で表される2価の連結基を表し、R41は置換基を有してもよい炭素数1以上8以下のアルキル基を表し、nは12以上30以下の整数を表す。]
で表されるアクリルモノマーである[1]〜[3]のいずれかに記載のポリマー組成物の製造方法。
[5]前記溶液Aの調製時、モノマー1は析出せず溶解する[1]〜[4]のいずれかに記載のポリマー組成物の製造方法。
[6]前記原料モノマー混合液の調製時、前記溶液Aと溶液Bは層分離せず混合する[1]〜[5]のいずれかに記載のポリマー組成物の製造方法。
[7]前記原料モノマー混合液の調製時、モノマー1は析出せず溶解する[1]〜[6]のいずれかに記載のポリマー組成物の製造方法。
[8]前記重合反応後に反応液をろ過し不溶物を除去することを更に含む、[1]〜[7]のいずれかに記載のポリマー組成物の製造方法。
[9]モノマー1は、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはその塩である[1]〜[8]のいずれかに記載のポリマー組成物の製造方法。
[10]前記溶液Bの調製に使用されるケトン系溶媒は、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンまたはこれらの混合溶媒である[1]〜[9]のいずれかに記載のポリマー組成物の製造方法。
[11]前記溶液Aの調製に使用されるアルコールはメタノールである[1]〜[10]のいずれかに記載のポリマー組成物の製造方法。
[12]非磁性支持体上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体の製造方法であって、
[1]〜[11]のいずれかに記載の方法によりポリマー組成物を製造すること、
製造したポリマー組成物を強磁性粉末と混合することにより磁性層形成用塗布液を調製すること、
調製した磁性層形成用塗布液を用いて前記磁性層を形成すること、
を含む磁気記録媒体の製造方法。
[13]非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層と強磁性粉末および結合剤を含む磁性層をこの順に有する磁気記録媒体の製造方法であって、
[1]〜[11]のいずれかに記載の方法によりポリマー組成物を製造すること、
製造したポリマー組成物を非磁性粉末と混合することにより非磁性層形成用塗布液を調製すること、
調製した非磁性層形成用塗布液を用いて前記非磁性層を形成すること、
を含む磁気記録媒体の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、磁気記録媒体形成用塗布液の調製に好適に使用可能なポリマー組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、下記一般式(I)で表されるモノマー1、下記一般式(II)で表されるモノマー2、下記一般式(III)で表されるモノマー3、および下記一般式(IV)で表されるモノマー4を含む原料モノマーの重合反応により得られるポリマーを含むポリマー組成物の製造方法に関する。本発明のポリマー組成物の製造方法は、モノマー1を水または水とアルコールとの混合溶媒に添加して調製した溶液Aと、モノマー2、3および4をケトン系溶媒に添加して調製した溶液Bとを混合して原料モノマー混合液を調製し、該原料モノマー混合液中で前記重合反応を行う。これにより、磁気記録媒体形成用塗布液の調製に好適なポリマー組成物を得ることができる。
以下、本発明のポリマー組成物の製造方法について、更に詳細に説明する。
【0014】
モノマー1
本発明において原料モノマーの1つとして使用される下記一般式(I)で表されるモノマー1は、合成されるビニル系ポリマーに、吸着官能基であるスルホン酸(塩)基を導入するための成分である。前述のようにモノマー1は、モノマー2〜4共存下ではケトン系溶媒に対する溶解性に乏しいため、ケトン系溶媒中でモノマー1〜4の重合反応を行うと、モノマー1の仕込み量から算出されるスルホン酸(塩)基導入量よりもスルホン酸(塩)基量が大幅に少ないポリマーが得られてしまう。一方、モノマー1は、ケトン系溶媒に対する溶解性と比べて、水または水とアルコールとの混合溶媒に対して高い溶解性を示す。そこで本発明では、モノマー1を水または水とアルコールとの混合溶媒に予め溶解した後に、これをケトン系溶媒に溶解した他のモノマーと混合する。これにより、モノマー1の仕込み量から算出されるスルホン酸(塩)基導入量に近い量のスルホン酸(塩)基を有するビニル系ポリマーを得ることができる。
以下、一般式(I)について更に詳細に説明する。
【0015】
【化8】

【0016】
一般式(I)中、R1は水素原子またはメチル基を表し、メチル基を表すことが好ましい。
【0017】
1は酸素原子、硫黄原子または−N(R11)−基を表す。ここでR11は水素原子または置換基を表す。該置換基としては、アルキル基(例えば炭素数1〜6のアルキル基)、水酸基、アルコキシル基(例えば炭素数1〜6のアルコキシル基)、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子)、シアノ基、アミノ基、ニトロ基、アシル基、カルボキシル基等を挙げることができる。以下、特記しない限り、本発明における「置換基」については、上記置換基の説明を参照することができる。R11としては、分散性向上の観点からは、水素原子またはアルキル基が好ましく、水素原子がより好ましい。
なお本発明において、置換基を有する基について「炭素数」とは、置換基を含まない部分の炭素数を意味するものとする。また、本発明において、「〜」はその前後に記載される数値をそれぞれ最小値および最大値として含む範囲を示す。
【0018】
一般式(I)中、L1は置換基を有していてもよいアルキレン基を表す。L1で表されるアルキレン基の炭素数は、分散性向上の観点から、好ましくは1〜10の範囲であり、より好ましくは1〜6の範囲であり、より一層好ましくは1〜3の範囲である。
【0019】
一般式(I)中、Z1はスルホン酸(塩)基であり、スルホン酸基(−SO3H)、SO3Na基、SO3K基、SO3Li等のスルホン酸塩基、およびそれらの塩であることができる。モノマー1〜4から得られるビニル系ポリマーは、モノマー1によりスルホン酸(塩)基を有する下記一般式(I)’:
【0020】
【化9】

[一般式(I)’中、R1、X1、L1およびZ1は、一般式(I)と同義である。]
で表される構造単位が導入されることで、磁気記録媒体において高い分散性向上効果を発揮することができる。そして本発明によれば、反応溶媒の一部にケトン系溶媒を含む反応系において、モノマー1の仕込み量から算出されるスルホン酸(塩)基導入量に近い量のスルホン酸(塩)基を有するビニル系ポリマーを得ることができる。
【0021】
モノマー1の具体例としては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはその塩、(メタ)アクリル酸2−スルホエチルまたはその塩等を挙げることができ、中でも入手容易性等の観点から、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはその塩が好ましい。
【0022】
分散性をよりいっそう向上するためには、得られるビニル系ポリマーのスルホン酸(塩)基含有量は10〜1000μeq/gとすることが好ましい。このためには、モノマー1を、原料モノマーの合計量に対して0.1〜10モル%使用することが好ましく、0.5〜6モル%使用することが好ましい。
【0023】
モノマー2
本発明では、下記一般式(II):
【0024】
【化10】

[一般式(II)中、R2は水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、L2は単結合または2価の連結基を表す。]
で表されるモノマー2によって、合成されるビニル系ポリマーに下記一般式(II)’:
【0025】
【化11】

[一般式(II)’中、R2、L2は、一般式(II)と同義である。]
で表される水酸基を有する構造単位を導入することができる。合成されるビニル系ポリマーは、水酸基を含むことでより一層の分散性向上に寄与することができ、また、ポリイソシアネートを併用する系ではポリイソシアネートと水酸基が架橋することにより塗膜強度向上に寄与することができる。
【0026】
一般式(II)、一般式(II)’中、R2は水素原子、ハロゲン原子、またはメチル基を表す。ハロゲン原子としては、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等を挙げることができる。
2は水素原子またはメチル基を表すことが好ましく、メチル基を表すことがより好ましい。
【0027】
一般式(II)、一般式(II)’中、L2は単結合または2価の連結基を表し、酸素原子、窒素原子またはイオウ原子のいずれかを含む連結基が好ましい。L2で表される2価の連結基としては、主鎖の炭素原子と−C(O)−基を介して結合するものが好ましく、後述の一般式(II-1)中の−C(O)X221−で表される2価の連結基がより好ましい。
【0028】
分散性向上の観点からは、モノマー2としては、一般式(II-1)で表されるアクリルモノマーが好ましい。一般式(II-1)で表されるモノマーにより、得られるポリマーに一般式(II-1)’で表される構造単位を導入することができる。
【0029】
【化12】

【0030】
【化13】

【0031】
一般式(II-1)、一般式(II-1)’中、R2は水素原子またはメチル基を表す。
【0032】
2は−O−、−S−、または−N(R22)−で表される2価の連結基を表し、−O−であることが好ましい。
【0033】
上記R22は水素原子または置換基を有してもよい炭素数1以上8以下のアルキル基を表す。R22で表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1以上4以下である。R22で表されるアルキル基の炭素数が上記範囲であることにより、得られるビニル系ポリマーの溶解性を維持しつつ分散性をよりいっそう向上することができる。
【0034】
21は置換基を有してもよい炭素数2以上8以下のアルキレン基または該アルキレン基が連結基を介して複数連結した2価の基を表す。R21で表される基に含まれるアルキレン基の炭素数が上記範囲であることにより、得られるビニル系ポリマーの溶解性を維持しつつ分散性をよりいっそう向上することができる。上記アルキレン基を連結する連結基としては、得られるビニル系ポリマーの溶解性の点からエステル結合が好ましい。R21で表される基に含まれる炭素数2以上8以下のアルキレン基の数は、好ましくは1以上3以下である。
【0035】
一般式(II)または一般式(II-1)で表されるモノマーの具体例としては、以下のモノマーを挙げることができる。ただし、本発明は下記具体例に限定されるものではない。
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、グリセロールモノ(メタ)アクリレート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシプロピルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、ヒドロキシエチルモノ(メタ)アリルエーテル、ヒドロキシプロピルモノ(メタ)アリルエーテル、ヒドロキシブチルモノ(メタ)アリルエーテル、ジエチレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル、グリセリンモノ(メタ)アリルエーテル、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アリルエーテル等の(メタ)アリルエーテル類、(メタ)アリルアルコール。
【0036】
モノマー3
更に本発明では、下記一般式(III):
【0037】
【化14】

[一般式(III)中、R3は水素原子、ハロゲン原子、またはメチル基を表し、L3は単結合または2価の連結基を表し、Z3は環状構造を有する置換基を表す。]
で表されるモノマー3によって、合成されるビニル系ポリマーに下記一般式(III)’:
【0038】
【化15】

[一般式(III)’中、R3、L3、Z3は、一般式(III)と同義である。]
で表される、環状構造を有する置換基を有する構造単位を導入することができる。合成されるビニル系ポリマーは、環状構造を有する置換基を含むことで、より一層の分散性向上に寄与することができる。更に、環状構造を有する置換基を含むことで、主鎖の分子運動が抑制され、ガラス転移温度向上および力学特性の向上に寄与することもできる。
【0039】
一般式(III)、一般式(III)’中、R3は水素原子、ハロゲン原子、またはメチル基を表す。その詳細は、先に一般式(II)中のR2について述べた通りである。
【0040】
3は単結合または2価の連結基を表す。L3で表される2価の連結基は、ヘテロ原子を含むことが好ましく、ヘテロ原子にZ3で表される環状構造を有する置換基と結合することが好ましい。ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、イオウ原子を挙げることができる。L3としては、単結合または主鎖の炭素原子と−C(O)−基を介して結合する2価の連結基が好ましく、後述の一般式(III-1)中の−C(O)X3−で表される2価の連結基がより好ましい。
【0041】
一般式(III)、一般式(III)’中、Z3は環状構造を有する置換基を表す。Z3で表される置換基は、分散性向上の観点から、脂環式の環状基を表すことが好ましい。脂環式の環状基は、飽和であっても不飽和であってもよく、単環、多環、縮合環のいずれであってもよい。また、置換基を有していてもよい。該置換基としては、一般式(I)のR11について前述した通りである。
【0042】
3で表される単環式の脂環式環状基としては、5〜6員のものが好ましく、具体例としては、シクロへキシル基、シクロペンチル基を挙げることができ、多環式の脂環式環状基としては、7〜10員のものが好ましく、具体例としては、ビシクロアルキル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基を挙げることができる。分散性向上の点からは、Z3は脂環式の縮合環基であることが好ましい。脂環式の縮合環としては、後述の一般式(III-1)中のY31で表される脂環式の縮合環が好ましい。
【0043】
分散性および力学特性向上の観点からは、モノマー3は、下記一般式(III-1)で表されるアクリルモノマーであることが好ましい。一般式(III-1)で表されるモノマーにより、得られるポリマーに一般式(III-1)’で表される構造単位を導入することができる。
【0044】
【化16】

【0045】
【化17】

【0046】
一般式(III-1)、一般式(III-1)’中、R3は、水素原子またはメチル基を表し、メチル基であることが好ましい。
【0047】
3は−O−、−S−、または−N(R31)−で表される2価の連結基を表し、−O−であることが好ましい。
【0048】
上記R31は水素原子または置換基を有してもよい炭素数1以上8以下のアルキル基を表す。R31で表されるアルキル基の炭素数は、好ましくは1以上4以下である。R31で表されるアルキル基の炭素数が上記範囲であることにより、得られるビニル系ポリマーの溶解性を維持しつつ分散性をよりいっそう向上することができる。
【0049】
31は脂環式の縮合環基を表す。Z31で表される脂環式の縮合環基は、7〜10員のものが好ましい。好ましい縮合環基の具体例としては、アダマンチル基、ノルボルニル基、ジシクロペンタニル基を挙げることができる。
【0050】
以下に、モノマー3の具体例示す。ただし、本発明は下記具体例に限定されるものではない。
【0051】
【化18】

【0052】
【化19】

【0053】
【化20】

【0054】
【化21】

【0055】
【化22】

【0056】
モノマー4
更に本発明では、下記一般式(IV):
【0057】
【化23】

[一般式(IV)中、R4は水素原子、ハロゲン原子、またはメチル基を表し、L4は単結合または2価の連結基を表し、Yは炭素数8以上50以下の炭化水素基を表す。]
で表されるモノマー4によって、合成されるビニル系ポリマーに下記一般式(IV)’:
【0058】
【化24】

[一般式(IV)’中、R4、L4、Yは、一般式(IV)と同義である。]
で表される、長鎖ないしは多環員数の炭化水素基を有する構造単位を導入することができる。合成されるビニル系ポリマーは、長鎖ないしは多環員数の炭化水素基を含むことでより一層の分散性および靭性向上に寄与することができる。
【0059】
一般式(IV) (IV)’中、R4は水素原子、ハロゲン原子、またはメチル基を表す。その詳細は、先に一般式(II)中のR2について述べた通りである。
【0060】
一般式(IV)、(IV)’中、L4は単結合または2価の連結基を表し、酸素原子、窒素原子またはイオウ原子のいずれかを含む連結基が好ましい。L4としては、単結合または主鎖の炭素原子と−C(O)−基を介して結合する2価の連結基が好ましく、後述の一般式(IV-1)中の−C(O)X4−で表される2価の連結基がより好ましい。
【0061】
一般式(IV)、(IV)’中、Yは、炭素数8以上50以下の炭化水素基を表す。上記炭化水素基は、置換または無置換の直鎖、分岐、または環状の飽和または不飽和の炭化水素基であり、直鎖または分岐の炭化水素基であることが好ましい。炭素数が8以上であることにより分散性向上に寄与することができ、炭素数50以下であることにより得られるビニル系ポリマーの溶解性を確保することができる。上記炭化水素基の炭素数は、分散性およびビニル系ポリマーの溶解性の観点から、12以上30以下であることが好ましい。Yで表される炭化水素基は、炭素数12以上30以下のアルキル基であることがより好ましく、炭素数12以上18以下のアルキル基であることが更に好ましい。
【0062】
分散性、および靭性などの力学特性向上の観点からは、モノマー4は、下記一般式(IV-1)で表されるアクリルモノマーであることが好ましい。一般式(IV-1)で表されるモノマーにより、得られるポリマーに一般式(IV-1)’で表される構造単位を導入することができる。
【0063】
【化25】

【0064】
【化26】

【0065】
一般式(IV-1)、一般式(IV-1)’中、R4は水素原子またはメチル基を表し、メチル基であることが好ましい。
【0066】
nは12以上30以下の整数を表し、12以上18以下の整数であることがより好ましい。
【0067】
4は−(O)m1−、−(S)m2−または−{N(R41)}m3−で表される2価の連結基を表し、−(O)m1−で表される2価の連結基を表すことが好ましい。ここでm1、m2、およびm3は、それぞれ独立に1以上の整数を表す。
【0068】
上記R41は、置換基を有してもよい炭素数1以上8以下のアルキル基を表す。R41で表されるアルキル基の炭素数は1以上4以下であることが好ましい。R41で表されるアルキル基の炭素数が上記範囲であることにより、得られるビニル系ポリマーの溶解性を維持しつつ分散性をよりいっそう向上することができる。
また、上記m1、m2、およびm3は、ビニル系ポリマーの溶解性維持の観点から、5以下の整数であることが好ましい。
【0069】
以下に、モノマー4の具体例を示す。ただし、本発明は下記具体例に限定されるものではない。
【0070】
【化27】

【0071】
【化28】

【0072】
【化29】

【0073】
より一層優れた分散性と高い塗膜強度を両立する観点から、モノマー1〜4により得られるビニル系ポリマーは、該ポリマーを構成する全重合単位に基づいて、一般式(II)’で表される構造単位を、5モル%以上80モル%以下含むことが好ましく、15モル%以上70モル%以下含むことがより好ましく、30モル%以上60モル%以下含むことが更に好ましい。
より一層優れた分散性および力学特性を得る観点から、前記ビニル系ポリマーは、一般式(III)’で表される構造単位を5モル%以上75モル%以下含むことが好ましく、15モル%以上60モル%以下含むことがより好ましく、30モル%以上50モル%以下含むことが更に好ましく、一般式(IV)’で表される構造単位を、5モル%以上75モル%以下含むことが好ましく、5モル%以上50モル%以下含むことがより好ましく、10モル%以上30モル%以下含むことが更に好ましい。
また、先に説明したように、モノマー1は、原料モノマーの合計量に対して0.1〜10モル%使用することが好ましく、0.5〜6モル%使用することが好ましい。
したがって重合反応時の各モノマーの配合比は、上記好ましい組成を有する重合体が得られるように設定することが好ましい。また、前記したモノマーとともに、エチレン性不飽和カルボン酸エステル系モノマー、芳香族ビニル系モノマー、エチレン性不飽和ニトリル系モノマー、エチレン性不飽和酸系モノマー、アルキルビニルエーテル系モノマー、ビニルエステル系モノマー、エチレン性不飽和多価カルボン酸無水物等の公知の重合性成分を使用することもできる。
【0074】
重合反応
前記ビニル系ポリマーの重合反応は、先に説明したように、モノマー1を水または水とアルコールとの混合溶媒に調製した溶液Aと、モノマー2、3および4をケトン系溶媒に添加して調製した溶液Bとを混合して調製された原料モノマー混合液中で行われる。
【0075】
溶液A調製のために水または水とアルコールとの混合溶媒に添加するモノマー1の濃度は、モノマー1が析出せずに溶解する範囲に設定することが好ましい。モノマー1が析出すると、モノマー1の仕込み量から算出されるスルホン酸(塩)基量に満たない量のスルホン酸(塩)基が導入されたビニル系ポリマーが生成されるからである。ただしこの場合も、ケトン系溶媒中で合成するほどのスルホン酸(塩)基導入量の低下は見られないが、所望量のスルホン酸(塩)基が導入されたポリマーを得るためには、モノマー1を溶液A中で完溶させることが好ましい。なお本発明で「析出しない」、「完溶」とは、目視で不溶物が観察されないことを言うものとする。具体的には、溶液A中のモノマー1の濃度は、5〜50質量%程度とすることが好ましい。また、溶液A調製のために水とアルコールとの混合溶媒を使用する場合、アルコールとしてはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、メチルシクロヘキサノールなどのアルコール類を使用することができる。水およびアルコールは安全性が高い点から好ましく、また比較的容易に除去可能であるため、ポリマー組成物から磁気記録媒体用塗布液に持ち込まれたとしても、残留溶媒量が高まる懸念がない点からも好ましい。また仮に残留していたとしても、媒体性能に大きな影響を及ぼさない点からも好ましい。アルコールとしては、モノマー1の溶解性および低沸点である点から、メタノールが特に好ましい。また、水を1としたときに水に対するアルコールの割合(質量比)は、モノマー1の溶解性の点から、0.0〜0.5程度とすることが好ましい。溶液Aは、例えば室温中で、モノマー1を上記溶媒に添加し攪拌することによって調製することができる。
【0076】
溶液B調製のために使用されるケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン等を挙げることができ、これらを単独または任意の割合で混合して使用することができる。重合開始剤の分解温度よりもケトン系溶媒の沸点が高いことが望ましく、この点から好ましいケトン系溶媒は、メチルエチルケトンおよびシクロヘキサノンを挙げることができる。所望量の各構造単位を導入するためには、モノマー2〜4を溶液Bに完溶させることが好ましく、この点から溶液B中の3種のモノマーの濃度は、20〜80質量%程度とすることが好ましい。溶液Bは、例えば室温中で、モノマー2〜4をケトン系溶媒に同時または順次添加し攪拌することによって調製することができる。
【0077】
次いで、溶液Aと溶液Bを混合して原料モノマー混合液を調製する。原料モノマー混合液は、溶液Aと溶液Bが二層分離してもよく、有機層と水層が二層分離してもよく、層分離せず均一溶液となっていてもよい。また、原料モノマー混合液中でモノマーの一部が析出することも、本発明において許容されるものとする。ただし所望量の構造単位を導入するためには、原料モノマー混合液においてモノマーが析出しないことが好ましい。特に、スルホン酸(塩)基導入成分であるモノマー1は、所望量のスルホン酸(塩)基を有するビニル系ポリマーを得るためには、原料モノマー混合液にモノマー1が析出せず溶解することが好ましい。
一方、層分離する混合比で溶液Aと溶液Bを含む原料モノマー混合液において重合反応を行うと、通常、モノマー1由来の構造単位を多量に含むポリマーが合成され、これはケトン系溶媒への溶解性に乏しいため媒体において析出物となり好ましくない。なお本発明において「層分離」とは、雰囲気温度25℃で溶液Aと溶液Bを混合した後に静置し1時間以内に目視により上下二層または三層以上に分かれた界面が観察されることをいうものとする。また、原料モノマー混合液中で溶液Aの占める割合が多いほど、モノマー1が析出しやすくなる傾向がある。したがって、モノマー1の析出を低減ないし抑制するとともに、層分離のない均一系で反応を行うためには、溶液Aに対して質量基準で10〜40倍量の溶液Bを混合することが好ましい。
【0078】
調製した原料モノマー混合液における重合反応は、公知の重合開始剤、連鎖移動剤等の存在下で行うことができる。重合条件は、用いるモノマー類や重合開始剤、連鎖移動剤の種類等により異なるが、一般に、液温は50〜80℃程度、反応時間は1〜30時間程度とすることが好ましい。重合反応は大気中で行ってもよく、窒素、アルゴン等の反応に不活性な気体の雰囲気下で行ってもよい。また、減圧下で行ってもよく、大気圧下で行ってもよい。重合に際しては、上記重合反応系に上述の成分以外に、一般に重合反応に添加される他の成分を添加してもよい。なお、層分離する割合で溶液Aと溶液Bを含む原料モノマー混合液においては、後述する実施例に示す方法に準じて重合反応を行うことが好ましい。
【0079】
ポリマー組成物に含まれる、モノマー1〜4の共重合体であるビニル系ポリマーは、高強度の塗膜を得る観点から質量平均分子量は1,000以上であることが好ましく、作業性を良好に維持するために所定濃度における塗料粘度を適切な範囲とする観点から200,000以下であることが好ましい。また、質量平均分子量Mwと数平均分子量の比である分子量分布(Mw/Mn)は1.00〜5.50であることが好ましい。より好ましくは1.01〜5.40である。分子量分布が5.50以下であれば、組成分布が少なく、良好な分散性が得られるので好ましい。本発明における平均分子量は、標準ポリスチレン換算で求められる値をいうものとする。重合体の分子量は、原料組成、反応条件等により制御することができる。
【0080】
本発明の製造方法により得られるポリマー組成物は、一態様では、上記重合反応後に得られた反応液そのものであることができる。または、上記重合反応後に反応液をろ過し不溶物を除去する工程を経て、ポリマー組成物を得ることもできる。更には、水、アルコールまたはケトン系溶媒の少なくとも一部を除去する工程を経てもよい。ただし本発明のポリマー組成物の製造方法において使用される溶媒はいずれも、安全性が高く、また比較的低沸点であるため媒体において残留が少なく、仮に残留したとしても媒体性能を大きく低下させるものではない。即ち、本発明により得られるポリマー組成物は、磁気記録媒体用結合剤組成物として、またはその調製のために好適に使用されるものである。例えば、本発明により得られたポリマー組成物に強磁性粉末、各種添加剤を混合し、必要に応じて有機溶媒(好ましくはケトン系溶媒)を添加することで、磁性層形成用塗布液を調製することができ、非磁性粉末、各種添加剤を混合し、必要に応じて有機溶媒(好ましくはケトン系溶媒)を添加することで、非磁性層形成用塗布液を調製することができる。これら塗布液を用いて形成された層では、モノマー1〜4の共重合体であるビニル系ポリマーにより各種粉末を高度に分散させることができ、これにより高い表面平滑性を有する高密度記録用途に好適な磁気記録媒体を得ることができる。
【0081】
即ち本発明は、
非磁性支持体上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体の製造方法であって、
前記した本発明の方法によりポリマー組成物を製造すること、
製造したポリマー組成物を強磁性粉末と混合することにより磁性層形成用塗布液を調製すること、および、
調製した磁性層形成用塗布液を用いて前記磁性層を形成すること、
を含む磁気記録媒体の製造方法;
非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層と強磁性粉末および結合剤を含む磁性層をこの順に有する磁気記録媒体の製造方法であって、
前記した本発明の方法によりポリマー組成物を製造すること、
製造したポリマー組成物を非磁性粉末と混合することにより非磁性層形成用塗布液を調製すること、および、
調製した非磁性層形成用塗布液を用いて前記非磁性層を形成すること、
を含む磁気記録媒体の製造方法、
にも関するものである。本発明により得られたポリマー組成物を用いて磁気記録媒体を形成する方法については、例えば特開2004−295926号公報等の磁気記録媒体に関する公知技術を何ら制限なく適用することができる。
【実施例】
【0082】
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。ただし本発明は、実施例に示す態様に限定されるものではない。以下に示す「部」、「%」は、特に示さない限り質量部、質量%を示す。また、以下の操作は、特記しない限り室温(25℃)で実施した。
【0083】
1.原料モノマー混合液の調製例
【0084】
[調製例1]
200mL三角フラスコに、メチルエチルケトン65.6g(和光純薬一級)、モノマー3としてメタクリル酸イソボニル(和光純薬一級、以下IsoBorMAと略す)36.2g(162.8mmol)、モノマー4としてメタクリル酸ステアリル(和光純薬一級、以下SteMAと略す)13.6g(40.3mmol)、モノマー2としてメタクリル酸2-ヒドロキシエチル(和光純薬一級、以下HEMAと略す)25.4g(195.2mmol)を混合し溶液Bを調製した。また、30mLビーカーに、蒸留水11.2g、モノマー1として2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸(和光純薬一級、以下AMPSと略す)2.8g(13.51mmol)を混合し、溶解するまで攪拌し溶液Aを調製した。30mLビーカーで調製した溶液Aを、200mL三角フラスコ中の溶液B中に攪拌しながら混合した後静置し1時間モノマー混合液の様子を観察したところ、有機層と水層の二層に分離した。
【0085】
[調製例2]
調製例1のモノマー混合液の調製において、HEMAを26.2g(201.3mmol)、AMPSを0.96g(4.63mmol)、蒸留水を7.7gに変更した以外は、調製例1と同様の方法でモノマー混合液の調製および観察を行ったところ、モノマー混合液は有機層と水層の二層に分離した。
【0086】
[調製例3]
調製例1のモノマー混合液の調製において、蒸留水を3.6gに変更した以外は、調製例1と同様の方法でモノマー混合液の調製および観察を行ったところ、モノマー混合液は層分離なく均一溶液となったが、析出物が確認された。析出物を採取し組成分析したところ、AMPSであることが確認された。
【0087】
[調製例4]
調製例1のモノマー混合液の調製において、HEMAを25.6g(196.7mmol)、AMPSを1.92g(9.26mmol)、蒸留水を3.8gに変更した以外は、調製例1と同様の方法でモノマー混合液の調製および観察を行ったところ、モノマー混合液は層分離せず均一であり析出物も確認されなかった。
【0088】
[調製例5]
調製例1のモノマー混合液の調製において、HEMAを25.6g(196.7mmol)、AMPSを1.22g(5.89mmol)、蒸留水を6.1gに変更した以外は、調製例1と同様の方法でモノマー混合液の調製および観察を行ったところ、モノマー混合液は層分離せず均一であり析出物も確認されなかった。
【0089】
[調製例6]
調製例1のモノマー混合液の調製において、HEMAを26.2g(201.3mmol)、AMPSを0.96g(4.63mmol)、蒸留水を3.8gに変更した以外は、調製例1と同様の方法でモノマー混合液の調製および観察を行ったところ、モノマー混合液は層分離せず均一であり析出物も確認されなかった。
【0090】
[調製例7]
200mL三角フラスコに、メチルエチルケトン65.6g、IsoBorMAを36.2g(162.8mmol)、SteMAを13.6g(40.3mmol)、HEMAを24.8g(190.6mmol)を混合し溶液Bを調製した。また、30mLビーカーに、蒸留水11.3g、メタノール(以下、MeOHと略す)3.8g、AMPSを3.8g(18.24mmol)を混合し、溶解するまで攪拌して溶液Aを調製した。30mLビーカーに調製した溶液Aを、200mL三角フラスコに調製した溶液B中に攪拌しながら混合した後静置し1時間モノマー混合液の様子を観察したところ、有機層と水層の二層に分離した。
【0091】
[調製例8]
調製例7のモノマー混合液の調製において、HEMAを25.4g(195.2mmol)、AMPSを2.8g(13.51mmol)、蒸留水を2.8g、MeOHを0.9gに変更した以外は、調製例7と同様の方法でモノマー混合液の調製および観察を行ったところ、モノマー混合液は層分離なく均一溶液となったが、析出物が確認された。析出物を採取し組成分析したところ、AMPSであることが確認された。
【0092】
[調製例9]
調製例7のモノマー混合液の調製において、HEMAを25.6g(196.7mmol)、AMPSを1.9g(9.26mmol)、蒸留水を3.0g、MeOHを1.0gに変更した以外は、調製例7と同様の方法でモノマー混合液の調製および観察を行ったところ、モノマー混合液は層分離なく均一溶液となったが、析出物が確認された。析出物を採取し組成分析したところ、AMPSであることが確認された。
【0093】
[調製例10]
調製例7のモノマー混合液の調製において、HEMAを25.4g(195.2mmol)、AMPSを2.8g(13.51mmol)、蒸留水を8.4g、MeOHを2.8gに変更した以外は、調製例7と同様の方法でモノマー混合液の調製および観察を行ったところ、モノマー混合液は層分離せず均一であり析出物も確認されなかった。
【0094】
[調製例11]
調製例7のモノマー混合液の調製において、HEMAを25.6g(196.7mmol)、AMPSを1.9g(9.26mmol)、蒸留水を6.2g、MeOHを2.1gに変更した以外は、調製例7と同様の方法でモノマー混合液の調製および観察を行ったところ、モノマー混合液は層分離せず均一であり析出物も確認されなかった。
【0095】
[調製例12]
調製例7のモノマー混合液の調製において、HEMAを25.6g(196.7mmol)、AMPSを1.9g(9.26mmol)、蒸留水を4.5g、MeOHを1.5gに変更した以外は、調製例7と同様の方法でモノマー混合液の調製および観察を行ったところ、モノマー混合液は層分離せず均一であり析出物も確認されなかった。
【0096】
[調製例13]
調製例7のモノマー混合液の調製において、HEMAを25.6g(196.7mmol)、AMPSを1.22g(5.89mmol)、蒸留水を8.4g、MeOHを2.8gに変更した以外は、調製例7と同様の方法でモノマー混合液の調製および観察を行ったところ、モノマー混合液は層分離せず均一であり析出物も確認されなかった。
【0097】
[調製例14]
調製例7のモノマー混合液の調製において、HEMAを26.2g(201.3mmol)、AMPSを0.96g(4.63mmol)、蒸留水を3.0g、MeOHを1.0gに変更した以外は、調製例7と同様の方法でモノマー混合液の調製および観察を行ったところ、モノマー混合液は層分離せず均一であり析出物も確認されなかった。
【0098】
[調製例15]
調製例14のモノマー混合液の調製において、メチルエチルケトンの代わりにシクロヘキサノン(和光純薬一級)を用いた以外は、調製例14と同様の方法でモノマー混合液の調製および観察を行ったところ、モノマー混合液は層分離せず均一であり析出物も確認されなかった。
【0099】
[調製例16]
調製例14のモノマー混合液の調製において、メタクリル酸ステアリルの代わりにメタクリル酸ドデシル(和光純薬一級)を用いた以外は、調製例14と同様の方法でモノマー混合液の調製および観察を行ったところ、モノマー混合液は層分離せず均一であり析出物も確認されなかった。
【0100】
[調製例17]
調製例14のモノマー混合液の調製において、メタクリル酸ステアリルの代わりにメタクリル酸ヘキシル(和光純薬一級)を用いた以外は、調製例14と同様の方法でモノマー混合液の調製および観察を行ったところ、モノマー混合液は層分離せず均一であり析出物も確認されなかった。
【0101】
[調製例18]
調製例14のモノマー混合液の調製において、メタクリル酸ステアリルの代わりにメタクリル酸2-エチルヘキシル(和光純薬一級)を用いた以外は、調製例14と同様の方法でモノマー混合液の調製および観察を行ったところ、モノマー混合液は層分離せず均一であり析出物も確認されなかった。
【0102】
[調製例19]
調製例14のモノマー混合液の調製において、メタクリル酸イソボニルの代わりにメタクリル酸ジシクロペンタニル(和光純薬一級)を用いた以外は、調製例14と同様の方法でモノマー混合液の調製および観察を行ったところ、モノマー混合液は層分離せず均一であり析出物も確認されなかった。
【0103】
[調製例20]
調製例14のモノマー混合液の調製において、メタクリル酸イソボニルの代わりにメタクリル酸シクロヘキシル(和光純薬一級)を用いた以外は、調製例14と同様の方法でモノマー混合液の調製および観察を行ったところ、モノマー混合液は層分離せず均一であり析出物も確認されなかった。
【0104】
[比較調製例1]
30mLのビーカーに、AMPS 0.96g(4.63mmol)、MeOHを4.0g混合した。未溶分のAMPSを取り除くため、ろ過を行った。200mL三角フラスコに、メチルエチルケトン65.6g、IsoBorMAを36.2g(162.8mmol)、SteMAを13.6g(40.3mmol)、HEMAを26.2g(201.3mmol)を混合し、ここにろ過をしたAMPSとMeOHの混合液を攪拌しながら投入し、モノマー混合液を得た。得られたモノマー混合液からは、更にAMPSが析出した。
【0105】
[比較調製例2]
200mL三角フラスコに、ジメチルホルムアミド(以下、DMFと略す)80.7g、IsoBorMAを36.2g(162.8mmol)、SteMAを13.6g(40.3mmol)、HEMAを24.8g(190.6mmol)、AMPSを3.8g(18.24mmol)を混合し、溶解するまで攪拌した。混合された溶液は、均一であり析出物も確認されなかった。
【0106】
[比較調製例3]
200mL三角フラスコに、メチルエチルケトン95.5g、IsoBorMAを35.8g(161.0mmol)、SteMAを13.6g(40.3mmol)、HEMAを26.2g(201.3mmol)、AMPSを0.96g(4.63mmol)を混合し、溶解するまで攪拌した。モノマー混合液は層分離なく均一溶液となったが、析出物が確認された。析出物を採取し組成分析したところ、AMPSであることが確認された。
【0107】
調製例1〜20および比較調製例1〜3の詳細を、下記表1に示す。
【0108】
【表1】

【0109】
2.ポリマー組成物製造の実施例、比較例
【0110】
[実施例1−1]
(1)アクリル系ポリマーの重合反応
調製例1と同じモノマー成分比および溶液混合比でモノマー混合液を調製した。この、モノマー混合液は、有機層と水層の二層に分離してしまったため、以下のような手順で重合反応を行った。
ジムロート冷却管および攪拌機を取り付けた500mLの四つ口フラスコに、メチルエチルケトン65.6質量部、IsoBorMA 36.2質量部、SteMA 13.6質量部、HEMA 25.4質量部を加え、窒素気流下、遮光条件下で25℃、1時間以上攪拌し完溶させた。その後、ジメチル-2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)0.4質量部を加え、攪拌して完溶させた。内温70℃に昇温させた後、内温が65〜72℃の範囲になるように外温を調節しながら、AMPS 2.8質量部と蒸留水11.2質量部を混合した溶液を1時間かけて滴下した。滴下終了後さらに5時間反応させた。
反応終了後、固形分濃度が約30質量%になるようにメチルエチルケトンで希釈して、#225のメッシュによって不溶物をろ過後、ポリマー溶液を取り出した。
得られたポリマー溶液中のポリマーの質量平均分子量(Mw)および数平均分子量(Mn)、スルホン酸(塩)基濃度を、以下の方法で測定し、ろ過後のポリマー溶液の状態を以下の方法で評価した。
【0111】
評価方法
(1)平均分子量の測定
平均分子量(Mw、Mn)は、0.3%の臭化リチウムを含有するジメチルホルムアミド溶媒を用いてGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を使用し、標準ポリスチレン換算で求めた。
(2)スルホン酸(塩)基濃度
蛍光X線分析により硫黄(S)元素のピーク面積から硫黄元素量を定量し、ポリマー1kgあたりの硫黄元素量に換算し、ポリマー中のスルホン酸(塩)基濃度を求めた。
(3)ろ過後ポリマー溶液の状態
不溶物ろ過後、1時間静置したポリマー溶液について、均一溶液であるか白濁しているかを目視で判定した。
【0112】
[実施例1−2]
調製例3で得られたモノマー混合液を、析出したAMPSを取り除くためにろ過した。ろ過後の混合液を300mLの三角フラスコ投入し、ジメチル-2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)0.4質量部を加え、攪拌して完溶させた。
一方、ジムロート冷却管および攪拌機を取り付けた500mL四つ口フラスコに、メチルエチルケトン23.0質量部を加え、窒素気流下で内温70℃まで昇温させた。内温65〜72℃になるように外温をコントロールしながら、前記300mLフラスコ内のモノマー混合液を3時間かけて滴下し、滴下終了後さらに5時間反応させた。反応終了後、固形分濃度が約30wt%になるようにメチルエチルケトンで希釈して、#225メッシュによる不溶物のろ過後、ポリマー溶液を取り出した。
得られたポリマー溶液について、前述の各評価を行った。
【0113】
[実施例1−3]
調製例4で得られたモノマー混合液を、そのまま300mLの三角フラスコ投入し、ジメチル-2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)0.4質量部を加え、攪拌して完溶させた。
一方、ジムロート冷却管および攪拌機を取り付けた500mL四つ口フラスコに、メチルエチルケトン23.0質量部を加え、窒素気流下で内温70℃まで昇温させた。内温65〜72℃になるように外温をコントロールしながら、前記300mLフラスコ内のモノマー混合液を3時間かけて滴下し、滴下終了後さらに5時間反応させた。反応終了後、固形分濃度が約30質量%になるようにメチルエチルケトンで希釈して、#225メッシュによる不溶物のろ過後、ポリマー溶液を取り出した。
得られたポリマー溶液について、前述の各評価を行った。
【0114】
[実施例1−4]
実施例1−3の重合反応において、調製例4で得られたモノマー混合液の代わりに、調製例5で得られたモノマー混合液を使用した以外は、実施例1−3と同様の方法でポリマー溶液を得、各評価を行った。
【0115】
[実施例1−5]
実施例1−3の重合反応において、調製例4で得られたモノマー混合液の代わりに、調製例6で得られたモノマー混合液を使用した以外は、実施例1−3と同様の方法でポリマー溶液を得、各評価を行った。
【0116】
[実施例1−6]
調製例7と同じモノマー成分比および溶液混合比でモノマー混合液を調製した。このモノマー混合液は有機層と水層の二層に分離してしまったため、以下のような手順で重合反応を行った。
ジムロート冷却管および攪拌機を取り付けた500mLの四つ口フラスコに、メチルエチルケトン65.6質量部、IsoBorMA 36.2質量部、SteMA 13.6質量部、HEMA 24.8質量部を加え、窒素気流下、遮光条件下で25℃、1時間以上攪拌し完溶させた。その後、ジメチル-2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)0.4質量部を加え、攪拌して完溶させた。内温70℃に昇温させた後、内温が65〜72℃の範囲になるように外温を調節しながら、AMPS 3.8質量部、蒸留水11.3質量部、MeOH 3.8質量部を混合した溶液を1時間かけて滴下した。その後の操作は、実施例1−1と同様の方法に行いポリマー溶液を取り出し、各評価を行った。
【0117】
[実施例1−7]
実施例1−2の重合反応において、調製例3で得られたモノマー混合液の代わりに、調製例8で得られたモノマー混合液を用いた以外は、実施例1−2と同様の方法でポリマー溶液を得、各測定を行った。
【0118】
[実施例1−8]
実施例1−3の重合反応において、調製例4で得られたモノマー混合液の代わりに、調製例10で得られたモノマー混合液を使用した以外は、実施例1−3と同様の方法でポリマー溶液を得、各評価を行った。
【0119】
[実施例1−9]
実施例1−3の重合反応において、調製例4で得られたモノマー混合液の代わりに、調製例12で得られたモノマー混合液を使用した以外は、実施例1−3と同様の方法でポリマー溶液を得、各評価を行った。
【0120】
[実施例1−10]
実施例1−3の重合反応において、調製例4で得られたモノマー混合液の代わりに、調製例13で得られたモノマー混合液を使用した以外は、実施例1−3と同様の方法でポリマー溶液を得、各評価を行った。
【0121】
[実施例1−11]
実施例1−3の重合反応において、調製例4で得られたモノマー混合液の代わりに、調製例14で得られたモノマー混合液を使用した以外は、実施例1−3と同様の方法でポリマー溶液を得、各評価を行った。
【0122】
[実施例1−12]
実施例1−3の重合反応において、ジメチル-2,2'-アゾビス(2-メチルプロピオネート)は0.4質量部の代わりに1.6質量部とした以外は、実施例1−3と同様の方法でポリマー溶液を得、各評価を行った。
【0123】
[実施例1−13]
実施例1−12の重合反応において、調製例4で得られたモノマー混合液の代わりに、調製例15で得られたモノマー混合液を使用した以外は、実施例1−12と同様の方法でポリマー溶液を得、各評価を行った。
【0124】
[実施例1−14]
実施例1−12の重合反応において、調製例4で得られたモノマー混合液の代わりに、調製例16で得られたモノマー混合液を使用した以外は、実施例1−12と同様の方法でポリマー溶液を得、各評価を行った。
【0125】
[実施例1−15]
実施例1−12の重合反応において、調製例4で得られたモノマー混合液の代わりに、調製例17で得られたモノマー混合液を使用した以外は、実施例1−12と同様の方法でポリマー溶液を得、各評価を行った。
【0126】
[実施例1−16]
実施例1−12の重合反応において、調製例4で得られたモノマー混合液の代わりに、調製例18で得られたモノマー混合液を使用した以外は、実施例1−12と同様の方法でポリマー溶液を得、各評価を行った。
【0127】
[実施例1−17]
実施例1−12の重合反応において、調製例4で得られたモノマー混合液の代わりに、調製例19で得られたモノマー混合液を使用した以外は、実施例1−12と同様の方法でポリマー溶液を得、各評価を行った。
【0128】
[実施例1−18]
実施例1−12の重合反応において、調製例4で得られたモノマー混合液の代わりに、調製例20で得られたモノマー混合液を使用した以外は、実施例1−12と同様の方法でポリマー溶液を得、各評価を行った。
【0129】
[比較例1−1]
実施例2の重合反応において、調製例3で得られたモノマー混合液の代わりに、比較調製例1で得られたモノマー混合液を用いた以外は、実施例1−2と同様の方法でポリマー溶液を得、各測定を行った。
【0130】
[比較例1−2]
実施例1−3の重合反応において、調製例4で得られたモノマー混合液の代わりに、比較調製例2で得られたモノマー混合液を使用した以外は、実施例1−3と同様の方法でポリマー溶液を得、各物性の評価を行った。
【0131】
[比較例3]
実施例1−2の重合反応において、調製例3で得られたモノマー混合液の代わりに、比較調製例3で得られたモノマー混合液を用いた以外は、実施例1−2と同様の方法でポリマー溶液を得、各測定を行った。
【0132】
【表2】

【0133】
比較例1−2は各モノマーを良好に溶解するジメチルホルムアミドを使用したため、モノマー(AMPS)仕込み比から計算されるスルホン酸(塩)基濃度の理論値とほぼ一致した量のスルホン酸(塩)基が導入されたポリマーを得ることができた。ただしジメチルホルムアミドは安全面で取り扱いに配慮が必要であり、また高沸点であるため除去が難しい。
これに対し実施例1−1〜1−18では、反応溶媒の一部をケトン系溶媒が占め、かつ共存する溶媒(水、メタノール)は取り扱いおよび除去が容易である反応系において重合反応を行いスルホン酸(塩)基を含むビニル系ポリマーを合成することができた。中でも、モノマー混合液も均一で、かつポリマー溶液も均一であった実施例1−4、1−5、1−10〜1−18では、モノマー(AMPS)仕込み比から計算されるスルホン酸(塩)基濃度の理論値とほぼ一致した量のスルホン酸(塩)基が導入されたポリマーを得ることができた。
モノマー混合液の段階でAMPSが析出した実施例1−2、1−7では、AMPSの析出に起因してスルホン酸(塩)基濃度の実測値が理論値よりも低くなったが、ケトン系溶媒中で重合反応を行った比較例1−3と比べて理論値に近い量のスルホン酸(塩)基が導入されたポリマーを得ることができた。実施例1−1〜1−3、1−6、1−8、1−9ではろ過後にポリマー液が白濁したため、白濁の原因となっている析出物を採取してFT−IR解析したところAMPS由来の構造単位が多量に含まれるポリマーであることが確認された。このような析出物は磁気記録媒体において表面平滑性を低下させる原因となるため、仮にこのような析出物が生成された場合には、公知の手法により除去した後に磁気記録媒体作製に使用することが好ましい。
比較例1−1はAMPSをメタノール単独溶媒に添加して調製したモノマー溶液を用いた例であるが、メタノールに対するAMPSの溶解性が著しく低いため、ケトン系溶媒中で重合反応を行った比較例3と同様に、スルホン酸(塩)基濃度の実測値が理論値よりも大幅に低かった。
なお実施例については、ポリマー溶液中のポリマーをNMR解析し、使用した4種のモノマーに由来する構造単位が導入されていることを確認した。
【0134】
3.磁気記録媒体製造の実施例、参考例、比較参考例
【0135】
モノマー2〜4を必須モノマーとして合成される共重合体の具体例としては、以下のビニル系ポリマーを例示することができる。以下において、Mwは質量平均分子量を表し、各構造単位の右側に付した数値は、共重合体中の全重合単位に対する各構造単位のモル比率を表す。
【0136】
【化30】


【0137】
【化31】

【0138】
【化32】

【0139】
上記例示ポリマーの中で、モノマー1〜4から得られたAP−16、AP−26、AP−28、AP−30を含むポリマー溶液を実施例3の方法に従って調製した。調製後にGPC分析を行った結果、残存モノマーおよび残存オリゴマーのピークが観測されなかったことから、各構造単位が仕込み比で導入された共重合体が得られたことを確認した。得られたポリマー溶液を、固形分濃度が30質量%になるように、メチルエチルケトンで調整してから後述の各層形成用塗布液の調製に使用した。
【0140】
上記例示ポリマーの中で、AP−1、AP−3、AP−15、AP−20を反応溶媒としてN−メチルピロリドン(NMP)を用いて合成した。具体的には、攪拌機、還流冷却器を備えた反応器に、対応するモノマーと所定量の重合触媒(ジメチル2,2'−アゾビスイソブチレート)を加え窒素雰囲気下で加熱して反応を完結させた。反応後にGPC分析を行った結果、残存モノマーおよび残存オリゴマーのピークが観測されなかったことから、各構造単位が仕込み比で導入された共重合体が得られたことを確認した。
【0141】
第一の比較ポリマーとして、以下に示す構造単位を有するアクリル系共重合体BP−1(質量平均分子量6.0×105)を、上記方法に準じて合成した。
【0142】
【化33】

【0143】
第二の比較ポリマーとして、以下に示す構造単位を有するアクリル系共重合体BP−2(質量平均分子量8.0×105)を、上記方法に準じて合成した。
【0144】
【化34】

【0145】
第三の比較ポリマーとして、以下に示す構造単位を有するアクリル系共重合体BP−3(質量平均分子量6.0×105)を、上記方法に準じて合成した。下記構造単位の右側に付した数値は、共重合体中の全重合単位に対する各構造単位のモル比率を表す。
【0146】
【化35】

【0147】
[実施例2−1]
(1)磁性層塗布液の調製
強磁性金属粉末:100部
組成 Fe/Co=100/25
Hc 2450Oe(≒195kA/m)
BET法による比表面積 65m2/g
表面処理剤 Al23、SiO2、Y23
粒子サイズ(平均長軸長) 45nm
針状比 5
σs 110emu/g(≒110A・m2/kg)
フェニルホスホン酸:3部
前記方法で調製したアクリル系共重合体AP−16の30質量%溶液:50部
メチルエチルケトン:115部
シクロヘキサノン:150部
α−Al23 モース硬度9(平均粒径0.1μm):15部
カーボンブラック(平均粒径0.08μm):0.5部
【0148】
上記成分をオープンニーダで混練したのち、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散液に下記の成分を加え撹拌した後、超音波処理し、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性層塗布液を調製した。
ブチルステアレート:1.5部
ステアリン酸:0.5部
メチルエチルケトン:50部
シクロヘキサノン:50部
トルエン:3部
ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製コロネート3041):5部
【0149】
(2)非磁性層塗布液の調製
非磁性粉体(αFe23 ヘマタイト):80部
平均長軸長 0.15μm
BET法による比表面積 52m2/g
pH 6
タップ密度 0.8
DBP吸油量 27〜38g/100g、
表面処理剤 Al23、SiO2
カーボンブラック:20部
平均一次粒子径 0.020μm
DBP吸油量 80ml/100g
pH 8.0
BET法による比表面積:250m2/g
揮発分:1.5%
前記方法で調製したアクリル系共重合体AP−16の30質量%溶液:63部
メチルエチルケトン:106部
シクロヘキサノン:150部
【0150】
上記成分をオープンニーダで混練したのち、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散液に下記の成分を加え撹拌した後、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、下層塗布層(非磁性層)用の塗布液を調製した。
ブチルステアレート:1.5部
ステアリン酸:1部
メチルエチルケトン:50部
シクロヘキサノン:50部
トルエン:3部
ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製コロネート3041):5部
【0151】
(3)バックコート層塗布液の調製
カーボンブラック(平均粒径40nm):85部
カーボンブラック(平均粒径100nm):3部
ニトロセルロース:28部
ポリウレタン樹脂:58部
銅フタロシアニン系分散剤:2.5部
ニッポラン2301(日本ポリウレタン工業社製):0.5部
メチルイソブチルケトン:0.3部
メチルエチルケトン:860部
トルエン:240部
【0152】
上記成分をロールミルで予備混練した後サンドミルで分散し、ポリエステル樹脂(東洋紡績株式会社製バイロン500)4部、ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製コロネート3041)14部、α−Al23(住友化学社製)5部を添加、攪拌濾過してバックコート層塗布液を調製した。
【0153】
(4)磁気テープの作製
上記の非磁性層塗布液を、乾燥後の厚さが1.0μmになるように、さらにその直後にその上に磁性層の厚さが0.1μmになるように、厚さ5μmで磁性層塗布面の中心線表面粗さが0.001μmの、予めコロナ処理を施してベース表面を親水性にしたポリエチレンナフタレート樹脂支持体上に同時重層塗布を行い、両層がまだ湿潤状態にあるうちに0.5T(5000G)の磁力をもつコバルト磁石と0.4T(4000G)の磁力をもつソレノイドにより配向させ乾燥させた。その後、予めコロナ処理を施した、上記ベース表面とは反対の面に上記のバックコート層用塗布液を乾燥後の厚さが0.5μmとなるように塗布した後、金属ロールから構成される7段のカレンダーで温度100℃にて分速80m/minで処理を行い、1/2mm幅にスリットして磁気テープを作製した。
【0154】
(実施例2−2〜2−4)
磁性層および非磁性層に使用するポリマー溶液として、前記方法で調製した表3に示すアクリル系共重合体を含むものを使用した点以外、実施例2−1と同様にして実施例2−2〜2−4の磁気テープを作製した。
【0155】
(参考例2−1〜2〜6)
磁性層形成用塗布液調製のために前記方法で調製したアクリル系共重合体AP−16の30質量%溶液:50部およびメチルエチルケトン:115部に代えて、表3に示すアクリル系共重合体:15部およびメチルエチルケトン:150部を使用し、非磁性層形成用塗布液調製のために前記方法で調製したアクリル系共重合体AP−16の30質量%溶液:63部およびメチルエチルケトン:106部に代えて、表3に示すアクリル系共重合体:19部およびメチルエチルケトン:150部を使用した点以外、実施例2−1と同様にして参考例2−1〜2−6の磁気テープを作製した。
【0156】
(比較参考例2−1)
磁性層および非磁性層に使用するアクリル系共重合体の種類を特開平8−67855号公報の実施例1に記載のものに代えたほかは、参考例2−1と同様にして比較参考例2−1の磁気テープを作製した。
【0157】
(比較参考例2−2)
磁性層および非磁性層に使用するアクリル系共重合体の種類を特開2004−295926号公報の実施例1に記載のものに代えたほかは、参考例2−1と同様にして比較参考例2−2の磁気テープを作製した。
【0158】
(比較参考例2−3)
磁性層および非磁性層に使用するアクリル系共重合体の種類を特開平6−111277号公報の実施例1に記載のもの代えたほかは、参考例2−1と同様にして比較参考例2−3の磁気テープを作製した。
【0159】
(比較参考例2−4)
磁性層および非磁性層に使用するアクリル系共重合体の種類を特開2005−310332号公報の実施例1に記載のものに代えたほかは、参考例2−1と同様にして比較参考例2−4の磁気テープを作製した。
【0160】
(比較参考例2−5〜2−7)
磁性層および非磁性層に使用するアクリル系共重合体の種類を表3に示したものに代えたほかは、参考例2−1と同様にして比較参考例2−5〜2−7の磁気テープを作製した。
【0161】
(実施例3−1)
(1)強磁性六方晶フェライト磁性層塗布液の調製
強磁性板状六方晶フェライト粉末:100部
酸素を除く組成(モル比):Ba/Fe/Co/Zn=1/9/0.2/1
Hc:160kA/m(2000Oe)
平均板径:20nm
平均板状比:2.7
BET比表面積:60m2/g
σs:46A・m2/kg(46emu/g)
前記方法で調製したアクリル系共重合体AP−16の30質量%溶液:40部
α−Al23(粒子サイズ0.1μm):8部
カーボンブラック(平均粒径:20nm):0.5部
シクロヘキサノン:82部
【0162】
上記成分をオープンニーダで混練したのち、サンドミルを用いて分散させた。得られた分散液に下記の成分を加え撹拌した後、超音波処理し、1μmの平均孔径を有するフィルターを用いて濾過し、磁性層塗布液を調製した。
ブチルステアレート:2部
ステアリン酸:0.5部
メチルエチルケトン:50部
シクロヘキサノン:50部
トルエン:3部
ポリイソシアネート化合物(日本ポリウレタン工業社製コロネート3041):5部
【0163】
実施例2−1と同様の方法で調製した非磁性層塗布液を、乾燥後の厚さが1.0μmになるように、さらにその直後にその上に上記磁性層塗布液を磁性層の厚さが0.1μmになるように、厚さ5μmで磁性層塗布面の中心線表面粗さが0.001μmの、予めコロナ処理を施してベース表面を親水性にしたポリエチレンナフタレート樹脂支持体上に同時重層塗布を行い、両層がまだ湿潤状態にあるうちに0.5T(5000G)の磁力をもつコバルト磁石と0.4T(4000G)の磁力をもつソレノイドにより配向させた。その後、予めコロナ処理を施した、上記ベース表面とは反対の面に実施例2−1と同様の方法で調製したバックコート層用塗布液を乾燥後の厚さが0.5μmとなるように塗布し、その後金属ロールから構成される7段のカレンダーで温度100℃にて分速80m/minで処理を行い、1/2mm幅にスリットして実施例3−1の磁気テープを作製した。
【0164】
(実施例3−2〜3−4)
ポリマー溶液として、前記方法で調製した表4に示すアクリル系共重合体を含むものを使用した点以外、実施例3−1と同様にして実施例3−2〜3−4の磁気テープを作製した。
【0165】
(参考例3−1〜3−6)
磁性層形成用塗布液調製のために前記方法で調製したアクリル系共重合体AP−16の30質量%溶液:40部およびシクロヘキサノン:82部に代えて、表4に示すアクリル系共重合体:12部およびシクロヘキサノン110部を使用した点以外、実施例3−1と同様にして参考例3−1〜3−6の磁気テープを作製した。
【0166】
(比較参考例3−1)
磁性層および非磁性層に使用するアクリル系共重合体の種類を特開平8−67855号公報の実施例1に記載のものに代えたほかは、参考例3−1と同様にして比較参考例3−1の磁気テープを作製した。
【0167】
(比較参考例3−2)
磁性層および非磁性層に使用するアクリル系共重合体の種類を特開2004−295926号公報の実施例1に記載のものに代えたほかは、参考例3−1と同様にして比較参考例3−2の磁気テープを作製した。
【0168】
(比較参考例3−3)
磁性層および非磁性層に使用するアクリル系共重合体の種類を特開平6−111277号公報の実施例1に記載のもの代えたほかは、参考例3−1と同様にして比較参考例3−3の磁気テープを作製した。
【0169】
(比較参考例3−4)
磁性層および非磁性層に使用するアクリル系共重合体の種類を特開2005−310332号公報の参考例1に記載のものに代えたほかは、参考例3−1と同様にして比較参考例3−4の磁気テープを作製した。
【0170】
(比較参考例3−5〜3−7)
磁性層および非磁性層に使用するアクリル系共重合体の種類を表4に示したものに代えたほかは、参考例3−1と同様にして比較参考例3−5〜3−7の磁気テープを作製した。
【0171】
[測定方法]
<テープの平均表面粗さ>
原子間力顕微鏡(AFM:DIGITAL INSTRUMENT社製のNANOSCOPE III)を用い、コンタクトモードで磁性層面について40μm×40μmの面積を測定し、中心線平均表面粗さ(Ra)を測定した。
【0172】
<電磁変換特性:SN比>
LTO−Gen4ドライブを用いて、記録トラック11.5μm、再生トラック幅5.3μm、線記録密度172kfciと86kfciの信号を記録し、再生信号をスペクトラムアナライザーで周波数分析し、172kfci信号記録時のキャリア信号の出力と、86kfci信号記録時のスペクトル全帯域の積分ノイズとの比をSN比とした。レファレンステープとして富士フイルム製LTO−Gen4テープを用いた。レファレンステープのS/N比を0dBとし、各テープのS/N比を相対値として求めた。S/N比が0dB以上であれば高密度記録用磁気記録媒体として優れた電磁変換特性を有すると判断することができる。
【0173】
<テープ表面にある汚れ量>
Al23/TiC製の7mm×7mmの断面を有する角柱バーのエッジに磁性層面を接触させるように150度の角度でテープを渡し、荷重100g、秒速6mの条件で100mの長さを1パス摺動させて、角柱バーのエッジ部分を顕微鏡にて観察し、汚れの付着状態を評価した。評価は官能評価とし、10段階評価した。10は汚れが少なく、1は最も汚れが多い。
上記方法により評価される汚れは、主に磁性層表面の削れに起因して発生し、評価結果の値が小さいほど磁性層表面が削れ走行耐久性に乏しい。評価値8以上であれば、汚れ(磁性層表面の削れ)が少なく走行耐久性が良好と判定することができる。
【0174】
【表3】

【0175】
【表4】

【0176】
表3および表4に示す結果から、以下の点が確認できる。
(1)モノマー2〜4を必須モノマーとして得られた共重合体を結合剤として用いて形成した参考例の磁気テープは、高い表面平滑性を有していた。これにより、モノマー2〜4を必須モノマーとして得られた共重合体によって微粒子粉末を高度に分散できたことが確認できる。この結果、参考例の磁気テープは優れた電磁変換特性を示した。
(2)参考例の磁気テープは、優れた走行耐久性を実現することができた。
(3)これに対し、従来、磁気記録媒体用結合剤として使用されていたビニル系共重合体を使用した比較参考例2−1〜2−4、比較参考例3−1〜3−4の磁気テープは、表面平滑性、電磁変換特性、走行耐久性のすべての評価項目において、参考例の磁気テープより劣る結果を示した。
(4)比較参考例2−5および比較参考例3−5、比較参考例2−6および比較参考例3−6の磁気テープが、表面平滑性、電磁変換特性、走行耐久性のすべての評価項目において、参考例の磁気テープより劣る結果を示したこと、ならびに、比較参考例2−7および比較参考例3−7の磁気テープが、走行耐久性は参考例と同等の結果を示したものの参考例と比べて表面平滑性および電磁変換特性が劣っていたことから、モノマー2〜4を組み合わせることにより、電磁変換特性と走行耐久性の両立が可能となることが確認できる。
以上の結果から、モノマー2〜4を必須モノマーとして得られた共重合体は、優れた電磁変換特性と走行耐久性とを兼ね備えた磁気記録媒体を作製なビニル系共重合体であることが示された。そして本発明によれば、前述のポリマー溶液調製の実施例で示したように、反応溶媒の一部をケトン系溶媒が占め、かつ共存する溶媒(水、アルコール)は取り扱いおよび除去が容易である反応系において、モノマー2〜4とともにモノマー1を使用して重合反応を行うことができ、これによりモノマー2〜4に由来する構造単位とともに、吸着官能基であるスルホン酸(塩)基を含むビニル系ポリマーを含むポリマー溶液を得ることができる。得られたポリマー溶液は、上記磁気記録媒体の実施例に示すように、そのまま塗布型磁気記録媒体形成用塗布液の調製に用いることができ、これにより表3、4に示すように優れた電磁変換特性と走行耐久性を兼ね備えた磁気記録媒体を得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0177】
本発明は、磁気記録媒体の製造分野に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリマー組成物の製造方法であって、
前記ポリマー組成物は、
一般式(I):
【化1】

[一般式(I)中、Z1はスルホン酸(塩)基を表し、R1は水素原子またはメチル基を表し、X1は酸素原子、硫黄原子または−N(R11)−基を表し、R11は水素原子または置換基を表し、L1は置換基を有していてもよいアルキレン基を表す。]
で表されるモノマー1と、
一般式(II):
【化2】

[一般式(II)中、R2は水素原子、ハロゲン原子またはメチル基を表し、L2は単結合または2価の連結基を表す。]
で表されるモノマー2と、
一般式(III):
【化3】

[一般式(III)中、R3は水素原子、ハロゲン原子、またはメチル基を表し、L3は単結合または2価の連結基を表し、Z3は環状構造を有する置換基を表す。]
で表されるモノマー3と、
一般式(IV):
【化4】

[一般式(IV)中、R4は水素原子、ハロゲン原子、またはメチル基を表し、L4は単結合または2価の連結基を表し、Yは炭素数8以上50以下の炭化水素基を表す。]
で表されるモノマー4と、
を含む原料モノマーの重合反応により得られるポリマーを含み、
モノマー1を水または水とアルコールとの混合溶媒に添加して調製した溶液Aと、モノマー2、3および4をケトン系溶媒に添加して調製した溶液Bとを混合して原料モノマー混合液を調製し、該原料モノマー混合液中で前記重合反応を行うことを特徴とする、前記製造方法。
【請求項2】
モノマー2は、一般式(II-1):
【化5】

[一般式(II)-1中、R2は水素原子またはメチル基を表し、X2は−O−、−S−、または−N(R22)−で表される2価の連結基を表し、R22は水素原子または置換基を有してもよい炭素数1以上8以下のアルキル基を表し、R21は置換基を有してもよい炭素数2以上8以下のアルキレン基または該アルキレン基が連結基を介して複数連結した2価の基を表す。]
で表されるアクリルモノマーである請求項1に記載のポリマー組成物の製造方法。
【請求項3】
モノマー3は、一般式(III-1):
【化6】

[一般式(III)-1中、R3は、水素原子またはメチル基を表し、X3は−O−、−S−、または−N(R31)−で表される2価の連結基を表し、R31は水素原子または置換基を有してもよい炭素数1以上8以下のアルキル基を表し、Z31は脂環式の縮合環基を表す。]
で表されるアクリルモノマーである請求項1または2に記載のポリマー組成物の製造方法。
【請求項4】
モノマー4は、一般式(IV-1):
【化7】

[一般式(IV)-1中、R4は水素原子またはメチル基を表し、X4は−(O)m1−、−(S)m2−または−{N(R41)}m3−で表される2価の連結基を表し、R41は置換基を有してもよい炭素数1以上8以下のアルキル基を表し、nは12以上30以下の整数を表す。]
で表されるアクリルモノマーである請求項1〜3のいずれか1項に記載のポリマー組成物の製造方法。
【請求項5】
前記溶液Aの調製時、モノマー1は析出せず溶解する請求項1〜4のいずれか1項に記載のポリマー組成物の製造方法。
【請求項6】
前記原料モノマー混合液の調製時、前記溶液Aと溶液Bは層分離せず混合する請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリマー組成物の製造方法。
【請求項7】
前記原料モノマー混合液の調製時、モノマー1は析出せず溶解する請求項1〜6のいずれか1項に記載のポリマー組成物の製造方法。
【請求項8】
前記重合反応後に反応液をろ過し不溶物を除去することを更に含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載のポリマー組成物の製造方法。
【請求項9】
モノマー1は、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはその塩である請求項1〜8のいずれか1項に記載のポリマー組成物の製造方法。
【請求項10】
前記溶液Bの調製に使用されるケトン系溶媒は、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンまたはこれらの混合溶媒である請求項1〜9のいずれか1項に記載のポリマー組成物の製造方法。
【請求項11】
前記溶液Aの調製に使用されるアルコールはメタノールである請求項1〜10のいずれか1項に記載のポリマー組成物の製造方法。
【請求項12】
非磁性支持体上に強磁性粉末および結合剤を含む磁性層を有する磁気記録媒体の製造方法であって、
請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法によりポリマー組成物を製造すること、
製造したポリマー組成物を強磁性粉末と混合することにより磁性層形成用塗布液を調製すること、
調製した磁性層形成用塗布液を用いて前記磁性層を形成すること、
を含む磁気記録媒体の製造方法。
【請求項13】
非磁性支持体上に非磁性粉末および結合剤を含む非磁性層と強磁性粉末および結合剤を含む磁性層をこの順に有する磁気記録媒体の製造方法であって、
請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法によりポリマー組成物を製造すること、
製造したポリマー組成物を非磁性粉末と混合することにより非磁性層形成用塗布液を調製すること、
調製した非磁性層形成用塗布液を用いて前記非磁性層を形成すること、
を含む磁気記録媒体の製造方法。

【公開番号】特開2012−207077(P2012−207077A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72196(P2011−72196)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】