ポリマー複合イオン/電子伝導性膜、その製造方法、及び該膜を含む平面型燃料電池コア
本発明は、気密電子伝導性ポリマー部分(12’)と直接的に相互連結される少なくとも2つの気密イオン伝導性ポリマー部分(11’)を含むポリマー複合イオン/電子伝導性膜(10’)に関する。本発明の膜の製造方法、及び当該膜を含む平面型燃料電池コアも開示される。本発明は、固定、運搬、一人で持ち運び可能な、運搬可能な用途のために電力を発生させるための平面型燃料電池の製造のために用いることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン(プロトン又は陰イオン)/電子伝導性複合ポリマー膜、及びこの膜を製造する方法に関する。
【0002】
複合ポリマー膜は、平面型燃料電池コア、特に国際公開第02/054522号[1]下で公開された国際PCT出願に記載された種類の構造を有する電池コア(これは、固定用途、運搬用途、並びに携帯及び運搬可能用途のために数百ミリワット〜数百キロワットの範囲の電力を発生させるために用いられる)の製造において用途を特に見出している。
【0003】
その結果として、本発明は、このような膜を含む平面型燃料電池コアにも関する。
【背景技術】
【0004】
一般に、ほとんどの燃料電池は、2つの電極(アノード及びカソード)と、これら2つの電極間に挿入される電解質とから成る「サンドイッチ」を基礎にして構成される。
【0005】
電極は、活性(触媒)層が堆積される拡散層から一般に成る。電解質は、それ自体、慣用的にAFCと呼ばれるアルカリ燃料電池のもののような液体であるか、又は慣用的にPEMFC(「プロトン交換膜燃料電池」)と呼ばれるプロトン伝導性膜を有する燃料電池のもののような固体であり得る。
【0006】
異なる反応体、即ち燃料、典型的には水素及び酸化剤、典型的には酸素は、2つの電極の各々の外面に到達する。
【0007】
したがって、電極は、電気化学反応(アノードで起こる水素の酸化、及びカソードで起こる水への酸素の還元)の部位であり、ゼロ電流で、2つの電極の端子で、約1Vの電圧をもたらし得る。
【0008】
これらの燃料電池により生じる低電圧は、その個々の電圧が4Vまで上がり得る慣用的バッテリーに比して、それらの主要な不利益条件となる。
【0009】
この問題を克服するために、慣用的に「フィルター・プレス」技法と呼ばれる技法に従って、アノード/電解質/カソード・サンドイッチを各々が含む多数の個々のセルを積層することにより燃料電池を形成することが有用である。
【0010】
しかしながら、この技法は、種々のセル中の気体の不十分な分布や、積層における耐漏出性(leak-tightness)の損失に関連づけられる問題を難点とし、この問題は、積層したセルの数が多い場合に、より大きくなる。
【0011】
このため、Ledjeff等は、米国特許第5,863,672号[2]において、固体ポリマー電解質から成る膜の両側面上のいくつかの電極対を組合せることにより、互いに隣り合って配置され、いくつかの個々のセルをそれぞれ含む1つ以上のステージから成る新規の燃料電池構造を提案しており、当該燃料電池構造はセルの個々の電圧を人工的に増大させることができる。
【0012】
「平面型構造」と呼ばれるこの構造は、一ステージが、同一平面に位置する数個の個々のセルから成るため、互いにずらして配置(offset)される材料の積層により達成され、電子絶縁ガス分配器プレートの使用を要する。
【0013】
特にこのセルの製造の複雑さを考えると、Ledjeff等により提唱されるような平面型構造の原理を論じるが、その製造を有意に簡単にする燃料電池の製造のための方法が、引用文献[1]で提案されている。
【0014】
引用文献[1]で得られる燃料電池のステージ1の横断面図を表わす添付の図1を参照すると、このステージは、
イオン伝導性部分2及び電子伝導性部分3を含み、各電子伝導性部分が2つのイオン伝導性部分の間に位置するが、一対の絶縁壁4によりそれらから分離されている複合膜と、
膜の片側面上の一連のアノード5(各アノードはイオン伝導性膜の部分及び電子伝導性膜の部分の両方を被覆する)と、
アノードが位置する側面と反対のマトリックスの側面上の一連のカソード6(対向側面上に位置するアノード及びカソードは、イオン伝導性膜の同一部分を被覆するが、電子伝導性膜の同一部分を被覆しないよう、これらのカソードは、アノードに対してずらして配置される)と、
アセンブリーの各末端の電子コレクター7と、
膜の全周囲に亘って位置する周縁部シール8と
を含む。
【0015】
この文書によれば、複合膜は、多孔性マトリックスの上及び中に、接合剤(joint material)を堆積して一連の絶縁壁4を形成することにより作製され、これらの壁は、一方では、イオン伝導性物質で充填されるよう意図される第1のマトリックス部分の、他方では、電子伝導性物質で充填されるよう意図される第2のマトリックス部分の境界を定める。次に、イオン伝導性物質は、上記第1の部分上に沈着され、電子伝導性物質は上記第2の部分に沈着される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
一方で、イオン伝導性膜部分と電子伝導性膜部分との間の封止を改良し、他方で、電子伝導値(they)が不十分である場合、これらのブッシングの性能及び加熱の損失をもたらす抵抗の大きな低下に関与し得る「電流ブッシング(current bushing)」で得られる電子伝導値を改良することにより、このセルの電気化学的性能をさらに増大し得るべきであると考えて、引用文献[1]に記載されたような平面型燃料電池において、またこの引用文献で提示された複合膜を用いて得られるものより大きな電気化学的性能をこの燃料電池に付与するに際して用いられるのに適したイオン/電子伝導性複合膜を提供するという目的を本発明人等は設定した。
【0017】
さらに、本発明者等は、実行するのが簡単である方法により、そして産業規模での燃料電池の製造と適合し得るコストでこの複合膜を製造することができるという目的を設定した。
【課題を解決するための手段】
【0018】
これらの目的及び他の目的も本発明によって達成される。まず、本発明は、気密電子伝導性ポリマー部分と直接的に接合される少なくとも2つの気密イオン伝導性ポリマー部分を含むイオン/電子伝導性複合ポリマー膜を提示する。
【0019】
本発明の状況内では、1×10−10cm2/s/Pa未満、有益には1×10−12cm2/s/Pa未満のガス透過性係数を有する場合、ポリマー部分は気密性であると考えられる。
【0020】
本発明によれば、膜のイオン伝導性ポリマー部分は、
*内在性(intrinsically)イオン伝導性ポリマー、
*内在性イオン伝導性を欠き、且つイオン伝導性物質の導入によりイオン伝導性とされるポリマー、又は
*イオン伝導性物質の導入によりイオン伝導性が強化されたその他の内在性イオン伝導性ポリマー
のいずれかで構成されてもよく、それは等しく上記ポリマーの或いは上記物質のイオン伝導がプロトン性又は陰イオン性を呈することができる。
【0021】
膜のイオン伝導性ポリマー部分を構成するポリマーが内在性プロトン伝導性ポリマーである場合には、このポリマーは、ナフィロン(登録商標)(DuPont de Nemours)、アシプレックス−S(登録商標)(Asahi Chemical)又はフレミオン(登録商標)(Dow Chemicals)等のスルホン酸基を有する過フッ素化ポリマー、例えばスルホン化(sulphonated)ポリイミド、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリスルホン及びその誘導体、スルホン化ポリホスファゼン等の文献に記載されたスルホン化ポリマー、並びにポリベンズイミダゾールから特に選択され得る。
【0022】
膜のイオン伝導性ポリマー部分を構成するポリマーが内在性陰イオン伝導性ポリマーである場合には、このポリマーは、陽イオン基を保有するポリマー、例えば、ポリクロロメチルスチレンの第四級化誘導体、ポリアニリンの第四級化誘導体及びポリイミドの第四級化誘導体、並びにポリアリールスルホニウムから特に選択され得る。
【0023】
膜のイオン伝導性ポリマー部分を構成するポリマーが、内在性イオン伝導性を欠き、且つイオン伝導性物質の導入によりイオン伝導性とされるポリマーである場合には、このポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、フルオロポリマー、特にポリテトラフルオロエチレン、並びにテトラフルオロエチレンを基礎にしたコポリマー、例えばポリ(エチレン/テトラフルオロエチレン)、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、並びに熱可塑性エラストマー、例えばポリウレタン及びエチレン/プロピレン/ジエンターポリマーから特に選択され得る。
【0024】
ポリテトラフルオロエチレン又はテトラフルオロエチレンを基礎にしたコポリマーが特に好ましい。
【0025】
これらのポリマー中に導入され得るイオン伝導性物質について言えば、それは特に、上記の内在性イオン伝導性ポリマー、或いはヘテロポリ酸等の非ポリマー性イオン伝導性物質、イオン性液体又は融解塩、例えばアルキルジイミダゾリウム又はアリールイミダゾリウム塩のうちの1つであり得る。
【0026】
本発明によれば、膜の電子伝導性ポリマー部分は、
*内在性電子伝導性ポリマー、
*内在性電子伝導性を欠き、且つ電子伝導性物質の導入により電子伝導性とされるポリマー、又は
*電子伝導性物質の導入により電子伝導性が強化されたその他の内在性電子伝導性ポリマー
のいずれかで構成され得る。
【0027】
有益には、膜の電子伝導性部分は、電子伝導性物質の含有物を含むポリマーから成り、このポリマーはおそらくは、膜のイオン伝導性ポリマー部分を構成するものと同一であるか或いは異なる。
【0028】
したがって、このポリマーは、上記の内在性イオン伝導性ポリマーから特に選択され得る。
【0029】
変更形態として、上記ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性ポリエステル、フルオロポリマー、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン又は熱可塑性エラストマーでもあってもよく、この場合、ポリテトラフルオロエチレン、又はテトラフルオロエチレンを基礎にしたコポリマーが特に好ましい。
【0030】
このポリマー中に存在する電子伝導性物質は、含有物の形態では、任意の、電子伝導性を有することが既知の可能な限り酸化され難い物質、例えば炭素、黒鉛、貴金属(例えば、白金、金及び銀)、並びに遷移元素(例えばCr、Mn、Ni、Co及びFe)とのそれらの合金であり得る。
【0031】
有益には、膜のイオン伝導性ポリマー部分及び電子伝導性ポリマー部分は、同一ポリマーで構成される。
【0032】
この場合、この膜の2つの実施形態、即ち、
*第1の実施形態(ポリマーは、内在性イオン伝導性を欠くポリマーであり、この場合、このポリマーはイオン伝導性ポリマー部分にイオン伝導性物質を含み、電子伝導性物質の含有物を電子伝導性ポリマー部分に含む);及び
*第2の実施形態(ポリマーは内在性イオン伝導性ポリマーであり、この場合、このポリマーは、膜の電子伝導性ポリマー部分に電子伝導性物質の含有物を含む)
が特に好ましい。
【0033】
全ての場合、膜のイオン伝導性ポリマー部分は、好ましくはプロトン伝導性ポリマー部分である。
【0034】
本発明によれば、膜は好ましくは薄いフィルムの形態であり、即ちフィルムは、20〜300ミクロン厚、さらに良好なのは20〜60ミクロン厚である。
【0035】
しかしながら、プリズム型セルかららせん型円筒、また管までの範囲の他の形態が予測され得る。
【0036】
さらに膜は、電子伝導性ポリマー部分と直接的に接合される2つのイオン伝導性ポリマー部分のみで構成され得るが、膜は、より多数のイオン伝導性ポリマー部分を、したがってより多数の電子伝導性ポリマー部分を含むのが好ましい。
【0037】
したがって、膜は、n個の気密イオン伝導性ポリマー部分と、n−1個の気密電子伝導性ポリマー部分(単数又は複数)(ここで、nは2〜100、好ましくは4〜50の範囲の整数である)とを含み、各電子伝導性ポリマー部分は2つのイオン伝導性ポリマー部分の間に挿入される。
【0038】
本発明の別の主題は、上記のような複合ポリマー膜を製造することを可能にする方法である。
【0039】
第1の方法によれば、複合ポリマー膜の製造は、
a)ポリマーから成り、且つ電子伝導性物質で充填されるよう意図された部分と直接的に接合されるイオン伝導体で充填されるよう意図された少なくとも2つの部分を含む多孔性マトリックスの孔中に電子伝導性物質を沈着させること(この沈着は電子伝導性物質で充填されるよう意図された多孔性マトリックスの部分に限定される)、
b)このマトリックス部分を構成するポリマーの軟化及びこのように軟化されたポリマーの変形によるマトリックス部分の孔の遮断を得るための処理を、電子伝導性物質で充填された多孔性マトリックスの部分に適用すること、並びに
c)イオン伝導性物質で充填されるよう意図された多孔性マトリックス部分をイオン伝導性物質で充填すること
を含む。
【0040】
第2の方法によれば、複合ポリマー膜の製造は、
a)ポリマーから成り、且つ電子伝導性物質で充填されるよう意図された部分と直接的に接合されるイオン伝導性物質で充填されるよう意図された少なくとも2つの部分を含む多孔性マトリックスの孔中に電子伝導性物質を沈着させること(この沈着は電子伝導性物質で充填されるよう意図された多孔性マトリックスの部分に限定される)、
b)イオン伝導性物質で充填されるよう意図された多孔性マトリックス部分をイオン伝導性物質で充填すること、並びに
c)このマトリックス部分を構成するポリマーの軟化及びこのように軟化されたポリマーの変形によるこのマトリックス部分の孔の遮断を得るための処理を、電子伝導性物質で充填された多孔性マトリックスの部分に適用すること
を含む。
【0041】
第3の方法によれば、複合ポリマー膜の製造は、
a)ポリマーから成る多孔性マトリックスの孔中に電子伝導性物質を沈着させること、
b)電子伝導性物質で充填された多孔性マトリックスを複数のセグメントに切断すること、
c)少なくとも2つの気密イオン伝導性ポリマーセグメント間に工程b)で得られたセグメントのうちの1つを挿入し、且つこれらのセグメントをしっかり接合することにより複合ポリマー膜を形成すること、並びに
d)このマトリックスセグメントを構成するポリマーの軟化及びこのように軟化されたポリマーの変形によるマトリックスセグメントの孔の遮断を得るための処理を、工程c)で得られた複合ポリマー膜中に存在する電子伝導性物質で充填された多孔性マトリックスのセグメントに適用すること
を含む。
【0042】
第4の方法によれば、複合ポリマー膜の製造は、
a)ポリマーから成る多孔性マトリックスの孔中に電子伝導性物質を沈着させること、
b)このマトリックスを構成するポリマーの軟化及びこのように軟化されたポリマーの変形による当該マトリックスの孔の遮断を得るための処理を多孔性マトリックスに適用すること、
c)工程b)で得られたマトリックスを複数のセグメントに切断すること、並びに
d)少なくとも2つの気密イオン伝導性ポリマーセグメント間に工程c)で得られたこれらのセグメントのうちの1つを挿入し、且つこれらのセグメントをしっかり接合することにより複合ポリマー膜を形成すること
を含む。
【0043】
本発明によれば、上記したばかりの4つの方法において、最も特定的には後者2つにおいて、好ましくは内在性イオン伝導性を欠くポリマー、例えばテフロン(登録商標)型(DuPont de Nemours)のポリテトラフルオロエチレンから成る多孔性マトリックスが用いられる。
【0044】
第5の方法によれば、複合ポリマー膜の製造は、
a)内在性イオン伝導性ポリマーから成り、且つ電子伝導性物質で充填されるよう意図された部分と直接的に接合されるイオン伝導性を保持するよう意図された少なくとも2つの部分を含む多孔性マトリックスの孔中に電子伝導性物質を沈着させること(この沈着は電子伝導性物質で充填されるよう意図された多孔性マトリックスの部分に限定される)、並びに
b)このマトリックスを構成するポリマーの軟化及びこのように軟化されたポリマーの変形によるマトリックスの孔の遮断を得るための処理を多孔性マトリックスに適用すること
を含む。
【0045】
後者の方法は、その簡易性を考慮すると特に好ましい。
【0046】
上記したばかりの方法は全て、
多孔性マトリックスの孔中、又はこのマトリックスの一部分の孔中に電子伝導性物質を沈着することにより、当該マトリックスに又は当該マトリックスの一部分に電子伝導性を付与することから成る操作、及び
このようにして気密性の電子伝導性物質で充填された多孔性マトリックス又は多孔性マトリックスの部分を、このマトリックス又はこのマトリックス部分を構成するポリマーを軟化し、且つこのように軟化されたポリマーの変形により当該マトリックス又はマトリックス部分の孔を遮断することを可能にする処理を適用することにより気密性にすることから成る操作
を含む。
【0047】
本発明によれば、上記の電子伝導性物質のいずれか1つであり得る電子伝導性物質の沈着が、好ましくは薄いフィルムを生成するために慣用的に用いられる真空蒸着技法の1つにより、特に化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、或いは「無電解」又は金属塩の化学的還元法により行われる。
【0048】
上記ポリマーのいずれか1つでもあり得るポリマーの軟化は、それ自体、軟化を引き起こすための、或いはポリマーの融解のためでさえある当業者に既知のあらゆる処理、例えば加熱処理、超音波処理又は高周波放射線処理により達成され得る。
【0049】
理想的には、この処理は、ポリマーをその軟化点とその融点との中間温度にするように適用される。
【0050】
複合ポリマー膜の製造が、イオン伝導性物質で多孔性マトリックス部分を充填する工程を含む場合、この充填は、種々の方法、例えば:
*これらの多孔性マトリックス部分を溶媒中にイオン伝導性物質を含有する溶液で含浸することによって
*これらの多孔性マトリックス部分を溶媒中にイオン伝導性物質の前駆体を含有する溶液で含浸し、次に上記部分に上記イオン伝導性物質へのこの前駆体の転化を誘導するための処理(例えば、加熱処理)を二次的に適用することによって、又は他に
*これらの多孔性マトリックス部分上に、フィルムの形態でイオン伝導性物質を沈着し、次に上記部分にこのフィルムを融解してイオン伝導性物質を上記多孔性マトリックス部分中に浸潤させるための処理(例えば、加熱処理)を二次的に適用することによって
行われ得る。
【0051】
複合ポリマー膜の製造が、少なくとも2つのイオン伝導性ポリマーセグメント間に電子伝導性ポリマーセグメントを挿入する工程、これらのセグメントをしっかり付着させる工程を含場合、イオン伝導性ポリマーセグメント自体は、電子伝導性物質で充填された多孔性マトリックスを形成するポリマーと同一であってもよく又は同一でなくてもよい、イオン伝導性物質で充填することにより予めイオン伝導性にされたポリマーから形成される多孔性マトリックスを、適切な形状及びサイズのセグメントに切断することにより得ることができる。
【0052】
変更形態として、これらのセグメントは、例えば成形によりイオン伝導性ポリマーから形成される一部から成り、それは適切な形状及びサイズのセグメントに予め切断されているということも可能である。
【0053】
セグメントの堅固な付着に関しては、これは特に、ホットプレスにより行われ得る。
【0054】
いずれにせよ、これらの方法により、電子伝導性ポリマー部分(単数又は複数)が、完全気密性と密接に結びついた特に高い電子伝導性(一般的に1S/cmより大きい)を有する複合ポリマー膜が得られる。
【0055】
したがって、本発明による方法は、それらが、平面型燃料電池コア、特に引用文献[1]に記載されたものの型の組成物中に組み込まれるのに、またそれらの特性により、これらの電池の電気化学的性能を改良するのに適した複合ポリマー膜を製造するのを可能にし、一方、もはや絶縁壁対を作製する必要がないように、且つ膜と同時に周縁部シールを統合し得るように、それらの製造を簡素化するため、非常に有益である。
【0056】
したがって、本発明の別の主題は、
上記のような複合ポリマー膜と、
この膜の一側面に配置される複数のアノードと、
複数のアノードが位置する側と反対のこの膜の側面上に配置される複数のカソードと
を含む平面型燃料電池コアである。
【0057】
本発明のその他の特徴及び利点は、本発明によるイオン/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の実施例に関し、且つ添付の図面に言及する以下の本明細書の残りの部分を読めば、より分かりやすく明らかとなるであろう。
【0058】
当然のことながら、これらの実施例は本発明の主題の例証として示されるに過ぎず、如何なる場合にもこの主題を限定するものではない。
【0059】
これらの図面において、複合ポリマー膜の大きさ、また複合ポリマー膜を構成する構成成分の大きさは、明確にするために故意に誇張されている。
【実施例】
【0060】
本発明によるイオン/電子伝導性複合ポリマー膜10’の製造の第1の実施例を模式的に示す図2a〜図2bをまず参照する。
【0061】
横断面として観察される図2dで表わされるこの膜は、3つの気密イオン伝導性ポリマー部分11’及び2つの電子伝導性ポリマー部分12’(これらも気密性である)を含み、各電子伝導性部分12’は2つのイオン伝導性部分11’間に挿入される。
【0062】
この実施例では、内在性イオン伝導性を欠くポリマーから成る多孔性マトリックス、及び
膜のイオン伝導性部分11’を構成し、したがってイオン伝導性物質で充填されるよう意図された3つの第1の部分と、
膜の電子伝導性部分12’を構成し、したがって電子伝導性物質で充填されるよう意図された2つの他の部分と
から成る多孔性マトリックスを処理することにより、膜を製造する。
【0063】
したがって、多孔性マトリックスの形状及び寸法は、膜が提示すべき形状及び寸法に応じて選択されるということは言うまでもない。
【0064】
この特定の場合では、横断面として観察されるこのマトリックス(参照番号10)を示す図2aにより例証されるように、膜はフィルムの形態であり、多孔性マトリックスもフィルムの形態である。
【0065】
第1の工程は、膜10’の電子伝導性部分12’を構成するよう意図された多孔性マトリックス10の部分に電子伝導性物質を沈着することから成る。
【0066】
これを行うために、図2aで観察され得るように、電子伝導性物質で充填することが所望されるマトリックスの部分に応じてその位置及びサイズが選択される2つの開口部16を備えた機械的マスク17で多孔性マトリックスの主側面の片面を被覆した後、電子伝導性物質(Ce)が、例えばCVD、PVD又は「無電解」法により、これらの開口部と向かい合って位置するマトリックスの部分のみに沈着される。次に、このマトリックスは裏返されて、その主側面の他方の側面に同一操作が再度開始される。
【0067】
このようにして、図2bに示したマトリックス10が得られる。
【0068】
第2の工程は、電子伝導性物質を充填されたこのマトリックスの2つの部分12に、これらの部分にのみ、マトリックスを構成するポリマーの軟化、及びこのように軟化されたポリマーの変形によりこのマトリックスの孔の遮断を得ることができるようにする処理を適用することから成る。したがって、これらの部分は気密性とされ、図2cに示したマトリックス10が得られる。
【0069】
図2cで示した第3の工程はそれ自体、膜のイオン伝導性部分11’を構成するよう意図され、且つそれ自体依然として多孔性であるマトリックス10の3つの部分11を、イオン伝導性物質(Ci)で充填することから成る。この充填により、これらの部分は順次、気密性とされる。
【0070】
このようにして、図2dで示した膜10’が得られる。
【0071】
ここで、本発明によるイオン/電子伝導性複合ポリマー膜20’の製造の第2の実施例を模式的に示す図3a〜図3bを参照する。
【0072】
横断面として観察される図3dで表わされるこの膜は、上記の実施例と同様に、2つの気密電子伝導性ポリマー部分22’と接合される3つの気密イオン伝導性ポリマー部分21’を含む。
【0073】
この実施例では、内在性イオン伝導性を欠くポリマーから成る多孔性マトリックスを処理することにより膜を製造し、上記の実施例で記載されたものと同一の工程が反復されるが、但し、最後の2つの工程の順序は逆である。
【0074】
したがって、膜の電子伝導性部分22’を構成するよう意図された多孔性マトリックス20の部分のみに電子伝導性物質を沈着する工程(図3a)後、後半の製造は、
第2の工程に関しては、膜のイオン伝導性部分21’を構成するよう意図されたマトリックス20の3つの部分21をイオン伝導性物質で充填し(図3b)、図3cで示したマトリックスを得ること、及び
第3の工程に関しては、これらのマトリックス部分を構成するポリマーを軟化し、且つこのように軟化されたポリマーの変形によりこれらのマトリックス部分の孔を遮断させるのに適した処理を、電子伝導性物質で充填されたマトリックス20の2つの部分22に適用すること
を有する。
【0075】
このようにして、図3dに示した膜20’が得られる。
【0076】
図4a〜図4dは、本発明によるイオン/電子伝導性複合ポリマー膜36の製造の第3の実施例を模式的に例証する。
【0077】
横断面として観察される図4dで表わされるこの膜は、上記の実施例と同様に、3つの気密イオン伝導性ポリマー部分34及び2つの気密電子伝導性ポリマー部分33を含み、各電子伝導性部分33は2つのイオン伝導性部分34間に挿入される。
【0078】
この実施例では、内在性イオン伝導性を欠くポリマーから成る多孔性マトリックスに電子伝導性物質を沈着し、且つこのマトリックスを切断することにより得られる2つの電子伝導性セグメントを、上記の電子伝導性セグメントとは無関係に得られた3つのイオン伝導性セグメントと組み合わせることにより、複合ポリマー膜を製造する。
【0079】
したがって、この場合、製造されるべき膜に対応する形状及び寸法を多孔性マトリックスが有する必要はない。
【0080】
したがって第1の工程は、図4aで観察され得るように、多孔性マトリックス30のアセンブリー中に電子伝導性物質を沈着することから成る。
【0081】
次いで、第2の工程(図4b)は、電子伝導性物質でこのように充填された多孔性マトリックス30を少なくとも2つのセグメント33に切断することから成る。
【0082】
次に、図4cで示すように、他の場所で得られた3つのイオン伝導性セグメント34間に2つのセグメント33を挿入することにより複合膜35が形成され、これらのセグメントは、例えばホットプレスにより、堅固に付着される。
【0083】
次に、このようにして形成された膜35中に存在する電子伝導性物質で被覆された2つの多孔性マトリックスセグメント33に、これらのマトリックスセグメントを構成するポリマーの軟化及びこのように軟化されたポリマーによる上記マトリックスセグメントの孔の遮断を得ることを可能にする処理が適用される。
【0084】
このようにして、図4dに示した膜36が得られる。
【0085】
図5a〜図5dは、本発明によるイオン/電子伝導性複合ポリマー膜46の製造の第4の実施例を模式的に例証する。
【0086】
横断面として観察される図5dで表わされるこの膜は、上記の実施例と同様に、3つの気密イオン伝導性ポリマー部分44及び2つの気密電子伝導性ポリマー部分43を含み、各電子伝導性部分43は2つのイオン伝導性部分44間に挿入される。
【0087】
この実施例では、上記実施例に記載した工程と同じ工程が反復されるが、但し、最後の3つの工程の順序は逆である。
【0088】
したがって、多孔性マトリックス40に電子伝導性物質を沈着する工程後、膜の製造は、
第2の工程に関しては、マトリックスを構成するポリマーの軟化及びこのように軟化されたポリマーの変形によるこのマトリックスの孔の遮断を得ることを可能にする処理をこの多孔性マトリックスに適用すること(この工程により、図5bに示したマトリックスを得ることが可能となる)、
第3の工程に関しては、このようにして得られたマトリックスを少なくとも2つのセグメント43に切断すること(図5c)、並びに
第4の工程に関しては、他の場所で得られた3つのイオン伝導性セグメント44間に2つのセグメント43を挿入し、且つこれらのセグメントを、例えばホットプレスにより、堅固に付着させることにより膜を形成すること
を有する。
【0089】
このようにして、図5dに示した膜46が得られる。
【0090】
図6a〜図6cは、本発明によるイオン/電子伝導性複合ポリマー膜50’の製造の第5の実施例を模式的に例証する。
【0091】
横断面として観察される図6cで表わされるこの膜は、上記の実施例と同様に、3つの気密イオン伝導性ポリマー部分51’及び2つの電子伝導性ポリマー部分52’(これらも気密性である)を含み、各電子伝導性部分52’は2つのイオン伝導性部分51’間に挿入される。
【0092】
この実施例では、最初の2つの実施例の場合と同様に、3つの第1の部分が膜のイオン伝導性部分51’を構成するよう意図され、2つの他の部分が膜の電子伝導性部分52’を構成するよう意図された多孔性マトリックス(しかしこのマトリックスは最初の2つの実施例に用いられる多孔性マトリックスと異なり、内在性イオン伝導性ポリマーから成る)を処理することにより、膜を製造する。
【0093】
したがって、図6aで観察され得るように、処理は、まず、膜の電子伝導性部分52’を構成するよう意図された多孔性マトリックス50の部分のみに電子伝導性物質を沈着することを包含し、この沈着は、最初の2つの実施例と同様にして行われる。このようにして、3つのイオン伝導性部分51及び2つの電子伝導性部分52を含むマトリックス50(図6b)が得られる。
【0094】
次に、マトリックスを構成するポリマーの軟化及びこのように軟化されたポリマーの変形によるこのマトリックスの孔の遮断を得ることを可能にする処理が、多孔性マトリックスの全体に適用される。したがって、マトリックスの全体が気密性とされ、図6cに示した膜50’が得られる。
【0095】
平面型燃料電池の組成に組み込まれるのに適した電池コア60を模式的に示す(横断面として観察される)図7を参照すると、当該電池コアは、
*図6cに示したものと同一の複合ポリマー膜50’と、
*膜の主側面の片面上の一連のアノード5(各アノードは複合ポリマー膜と表面接触するようこの側面上に配置される)と、
*膜の主側面の他方の面上の一連のカソード6(各カソードは複合ポリマー膜と表面接触するようこの側面上に配置され、互いに対向して位置するアノード及びカソードがイオン伝導性膜の同一部分を被覆するが、電子伝導性膜の同一部分を被覆しないよう、これらのカソードは、アノードに対してずらして配置される)と、
*膜/電極アセンブリーの各末端の電子コレクター7と、
*膜50’の全周囲に亘る周縁部シール8と
を含む。
【0096】
[上記の第2の実施例により製造される複合ポリマー膜を含む電池コアの作製]
フルオルテックス(Fluortex)(登録商標)09−105/32の名称でSefar Fyltisから入手可能なエチレン/テトラフルオロエチレンコポリマーから成る織布(長さ20cm×幅5cm)を多孔性マトリックスとして用いた。
【0097】
機械的マスクを用いて、この織布の2つの部分(各々長さ2.5cm×幅5cmで、互いに5cmの間隔を置く)に金のPVD蒸着により電子伝導性を付与した。
【0098】
まず、100Wの電力の低周波数発生器により発生されるアルゴンプラズマ(圧力1.3Pa)下で直径20cmの金のターゲットを5分間スパッタリングすることにより、1×10−6mbarの圧を有する蒸着チャンバ中のマトリックスの側面の片面上で、このPVD蒸着を行った。
【0099】
次にプラズマを5分間停止した。500nmの蒸着厚を得るためにこのサイクルを4回繰り返し、次に、この織布の他方側面上で同一蒸着を行うために、織布を裏返した。
【0100】
この操作の終了時に、織布は、長さ2.5cm×幅5cmの2つの電子伝導性部分を有した。これらの帯域における織布の伝導性は、インピーダンススペクトロスコピー法により測定した場合、0.5S/cmであった。
【0101】
さらに、230℃の温度に設定された6つの加熱帯域を含むサーモエレクトロン押出機で、ナフィオン(Nafion)(登録商標)前駆体(DuPont de Nemours)の顆粒の押出しにより、この前駆体のフィルムを製造した。押出しダイ(幅20cmのコート・ハンガー型シートダイ)の出口でのカレンダーフレームの使用のため、フィルムは厚みが100ミクロンであった。
【0102】
次にそれらを、電子伝導性とされなかった織布の複数部分の表面上に堆積させた。
【0103】
一軸プレス中で30barの圧力下で5分間、織布を200℃の温度にすると、これにより織布中にプロトン伝導性ポリマーを導入することができる。
【0104】
次に織布の電子伝導性部分を、10MPaの圧力下で2分間、260℃の温度にして、これらの部分において、織布の軟化を誘導することによりそれらの気密性を得た。
【0105】
次に、4時間、80℃の2M水酸化カリウム溶液中にマトリックスを浸漬して、ナフィオン(登録商標)前駆体のスルホニル官能基をスルホン酸官能基に転化した。
【0106】
次に、このようにして得られた複合ポリマー膜の2つの側面上に、ETEK電極(白金負荷0.5mg/cm2)を堆積することにより、燃料電池コアを作製した。50bar下、150℃で3分間、アセンブリーをプレス成形して、電極と膜との間の良好な境界面を確実なものとした。
【0107】
Globtech型検定具(アノードに水素500ml/分注入、カソードに酸素500ml/分注入)でのこの電池コアの電気化学的性能の測定は、その静止電位が2.7Vであり、電流6Aの下でその電圧が1.5Vであるということを示した。
【0108】
[上記の第5の実施例により製造される複合ポリマー膜を含む燃料電池コアの作製]
プロトン伝導性織布(200ミクロン厚で、50×50μm2のメッシュを有する)を、ナフィオン(登録商標)顆粒から製造した。
【0109】
上記と同様の方法で、この織布の2つの部分に電子伝導性を付与した。
【0110】
電子伝導性部分を作製したら、織布の軟化を誘導し、且つその気密性を得るために、30barの圧力下、210℃で5分間、織布全体をホットプレスした。
【0111】
次に4時間、80℃の2M水酸化カリウム溶液中に織布を浸漬して、ナフィオン(登録商標)前駆体のスルホニル官能基をスルホン酸官能基に転化した。
【0112】
次に、このようにして得られた複合ポリマー膜の2つの側面上に、ETEK電極(白金負荷0.5mg/cm2)を堆積することにより、燃料電池コアを作製した。50bar下、150℃で3分間、アセンブリーをプレス成形して、電極と膜との間の良好な境界面を確実なものとした。
【0113】
Globtech型検定具(アノードに水素500ml/分注入、カソードに酸素500ml/分注入)でのこの電池コアの電気化学的性能の測定は、電流6Aの下でその電圧が2.1Vであることを示した。
【0114】
上記の実施例は、如何なる点でも、本発明を限定するものではない。
【0115】
したがって、特に、これらの実施例はすべて、3つのイオン伝導性部分及び2つの電子伝導性部分を含む複合ポリマー膜の製造に関するが、それらの教示は全体的に、様々な数のイオン伝導性部分、したがって様々な数の電子伝導性部分を含む膜の製造に交換可能であるということは言うまでもない。
【0116】
同様に、上記の実施例の教示は、全体的に、フィルムの形態以外の形態である複合ポリマー膜の製造に交換可能である。
【0117】
[引用文献]
[1]国際公開第02/054522号
[2]米国特許第5,863,672号
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】横断面として観察される引用文献[1]による燃料電池の一ステージを模式的に示す図である。
【図2a】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第1の実施例を模式的に示す図である。
【図2b】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第1の実施例を模式的に示す図である。
【図2c】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第1の実施例を模式的に示す図である。
【図2d】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第1の実施例を模式的に示す図である。
【図3a】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第2の実施例を模式的に示す図である。
【図3b】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第2の実施例を模式的に示す図である。
【図3c】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第2の実施例を模式的に示す図である。
【図3d】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第2の実施例を模式的に示す図である。
【図4a】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第3の実施例を模式的に示す図である。
【図4b】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第3の実施例を模式的に示す図である。
【図4c】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第3の実施例を模式的に示す図である。
【図4d】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第3の実施例を模式的に示す図である。
【図5a】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第4の実施例を模式的に示す図である。
【図5b】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第4の実施例を模式的に示す図である。
【図5c】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第4の実施例を模式的に示す図である。
【図5d】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第4の実施例を模式的に示す図である。
【図6a】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第5の実施例を模式的に示す図である。
【図6b】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第5の実施例を模式的に示す図である。
【図6c】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第5の実施例を模式的に示す図である。
【図7】横断面として観察される、平面型燃料電池の組成物中に組み込まれ、また図6cに示したような複合ポリマー膜を含むのに適する電池コアを示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオン(プロトン又は陰イオン)/電子伝導性複合ポリマー膜、及びこの膜を製造する方法に関する。
【0002】
複合ポリマー膜は、平面型燃料電池コア、特に国際公開第02/054522号[1]下で公開された国際PCT出願に記載された種類の構造を有する電池コア(これは、固定用途、運搬用途、並びに携帯及び運搬可能用途のために数百ミリワット〜数百キロワットの範囲の電力を発生させるために用いられる)の製造において用途を特に見出している。
【0003】
その結果として、本発明は、このような膜を含む平面型燃料電池コアにも関する。
【背景技術】
【0004】
一般に、ほとんどの燃料電池は、2つの電極(アノード及びカソード)と、これら2つの電極間に挿入される電解質とから成る「サンドイッチ」を基礎にして構成される。
【0005】
電極は、活性(触媒)層が堆積される拡散層から一般に成る。電解質は、それ自体、慣用的にAFCと呼ばれるアルカリ燃料電池のもののような液体であるか、又は慣用的にPEMFC(「プロトン交換膜燃料電池」)と呼ばれるプロトン伝導性膜を有する燃料電池のもののような固体であり得る。
【0006】
異なる反応体、即ち燃料、典型的には水素及び酸化剤、典型的には酸素は、2つの電極の各々の外面に到達する。
【0007】
したがって、電極は、電気化学反応(アノードで起こる水素の酸化、及びカソードで起こる水への酸素の還元)の部位であり、ゼロ電流で、2つの電極の端子で、約1Vの電圧をもたらし得る。
【0008】
これらの燃料電池により生じる低電圧は、その個々の電圧が4Vまで上がり得る慣用的バッテリーに比して、それらの主要な不利益条件となる。
【0009】
この問題を克服するために、慣用的に「フィルター・プレス」技法と呼ばれる技法に従って、アノード/電解質/カソード・サンドイッチを各々が含む多数の個々のセルを積層することにより燃料電池を形成することが有用である。
【0010】
しかしながら、この技法は、種々のセル中の気体の不十分な分布や、積層における耐漏出性(leak-tightness)の損失に関連づけられる問題を難点とし、この問題は、積層したセルの数が多い場合に、より大きくなる。
【0011】
このため、Ledjeff等は、米国特許第5,863,672号[2]において、固体ポリマー電解質から成る膜の両側面上のいくつかの電極対を組合せることにより、互いに隣り合って配置され、いくつかの個々のセルをそれぞれ含む1つ以上のステージから成る新規の燃料電池構造を提案しており、当該燃料電池構造はセルの個々の電圧を人工的に増大させることができる。
【0012】
「平面型構造」と呼ばれるこの構造は、一ステージが、同一平面に位置する数個の個々のセルから成るため、互いにずらして配置(offset)される材料の積層により達成され、電子絶縁ガス分配器プレートの使用を要する。
【0013】
特にこのセルの製造の複雑さを考えると、Ledjeff等により提唱されるような平面型構造の原理を論じるが、その製造を有意に簡単にする燃料電池の製造のための方法が、引用文献[1]で提案されている。
【0014】
引用文献[1]で得られる燃料電池のステージ1の横断面図を表わす添付の図1を参照すると、このステージは、
イオン伝導性部分2及び電子伝導性部分3を含み、各電子伝導性部分が2つのイオン伝導性部分の間に位置するが、一対の絶縁壁4によりそれらから分離されている複合膜と、
膜の片側面上の一連のアノード5(各アノードはイオン伝導性膜の部分及び電子伝導性膜の部分の両方を被覆する)と、
アノードが位置する側面と反対のマトリックスの側面上の一連のカソード6(対向側面上に位置するアノード及びカソードは、イオン伝導性膜の同一部分を被覆するが、電子伝導性膜の同一部分を被覆しないよう、これらのカソードは、アノードに対してずらして配置される)と、
アセンブリーの各末端の電子コレクター7と、
膜の全周囲に亘って位置する周縁部シール8と
を含む。
【0015】
この文書によれば、複合膜は、多孔性マトリックスの上及び中に、接合剤(joint material)を堆積して一連の絶縁壁4を形成することにより作製され、これらの壁は、一方では、イオン伝導性物質で充填されるよう意図される第1のマトリックス部分の、他方では、電子伝導性物質で充填されるよう意図される第2のマトリックス部分の境界を定める。次に、イオン伝導性物質は、上記第1の部分上に沈着され、電子伝導性物質は上記第2の部分に沈着される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
一方で、イオン伝導性膜部分と電子伝導性膜部分との間の封止を改良し、他方で、電子伝導値(they)が不十分である場合、これらのブッシングの性能及び加熱の損失をもたらす抵抗の大きな低下に関与し得る「電流ブッシング(current bushing)」で得られる電子伝導値を改良することにより、このセルの電気化学的性能をさらに増大し得るべきであると考えて、引用文献[1]に記載されたような平面型燃料電池において、またこの引用文献で提示された複合膜を用いて得られるものより大きな電気化学的性能をこの燃料電池に付与するに際して用いられるのに適したイオン/電子伝導性複合膜を提供するという目的を本発明人等は設定した。
【0017】
さらに、本発明者等は、実行するのが簡単である方法により、そして産業規模での燃料電池の製造と適合し得るコストでこの複合膜を製造することができるという目的を設定した。
【課題を解決するための手段】
【0018】
これらの目的及び他の目的も本発明によって達成される。まず、本発明は、気密電子伝導性ポリマー部分と直接的に接合される少なくとも2つの気密イオン伝導性ポリマー部分を含むイオン/電子伝導性複合ポリマー膜を提示する。
【0019】
本発明の状況内では、1×10−10cm2/s/Pa未満、有益には1×10−12cm2/s/Pa未満のガス透過性係数を有する場合、ポリマー部分は気密性であると考えられる。
【0020】
本発明によれば、膜のイオン伝導性ポリマー部分は、
*内在性(intrinsically)イオン伝導性ポリマー、
*内在性イオン伝導性を欠き、且つイオン伝導性物質の導入によりイオン伝導性とされるポリマー、又は
*イオン伝導性物質の導入によりイオン伝導性が強化されたその他の内在性イオン伝導性ポリマー
のいずれかで構成されてもよく、それは等しく上記ポリマーの或いは上記物質のイオン伝導がプロトン性又は陰イオン性を呈することができる。
【0021】
膜のイオン伝導性ポリマー部分を構成するポリマーが内在性プロトン伝導性ポリマーである場合には、このポリマーは、ナフィロン(登録商標)(DuPont de Nemours)、アシプレックス−S(登録商標)(Asahi Chemical)又はフレミオン(登録商標)(Dow Chemicals)等のスルホン酸基を有する過フッ素化ポリマー、例えばスルホン化(sulphonated)ポリイミド、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリスルホン及びその誘導体、スルホン化ポリホスファゼン等の文献に記載されたスルホン化ポリマー、並びにポリベンズイミダゾールから特に選択され得る。
【0022】
膜のイオン伝導性ポリマー部分を構成するポリマーが内在性陰イオン伝導性ポリマーである場合には、このポリマーは、陽イオン基を保有するポリマー、例えば、ポリクロロメチルスチレンの第四級化誘導体、ポリアニリンの第四級化誘導体及びポリイミドの第四級化誘導体、並びにポリアリールスルホニウムから特に選択され得る。
【0023】
膜のイオン伝導性ポリマー部分を構成するポリマーが、内在性イオン伝導性を欠き、且つイオン伝導性物質の導入によりイオン伝導性とされるポリマーである場合には、このポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性ポリエステル、例えばポリエチレンテレフタレート、フルオロポリマー、特にポリテトラフルオロエチレン、並びにテトラフルオロエチレンを基礎にしたコポリマー、例えばポリ(エチレン/テトラフルオロエチレン)、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン、並びに熱可塑性エラストマー、例えばポリウレタン及びエチレン/プロピレン/ジエンターポリマーから特に選択され得る。
【0024】
ポリテトラフルオロエチレン又はテトラフルオロエチレンを基礎にしたコポリマーが特に好ましい。
【0025】
これらのポリマー中に導入され得るイオン伝導性物質について言えば、それは特に、上記の内在性イオン伝導性ポリマー、或いはヘテロポリ酸等の非ポリマー性イオン伝導性物質、イオン性液体又は融解塩、例えばアルキルジイミダゾリウム又はアリールイミダゾリウム塩のうちの1つであり得る。
【0026】
本発明によれば、膜の電子伝導性ポリマー部分は、
*内在性電子伝導性ポリマー、
*内在性電子伝導性を欠き、且つ電子伝導性物質の導入により電子伝導性とされるポリマー、又は
*電子伝導性物質の導入により電子伝導性が強化されたその他の内在性電子伝導性ポリマー
のいずれかで構成され得る。
【0027】
有益には、膜の電子伝導性部分は、電子伝導性物質の含有物を含むポリマーから成り、このポリマーはおそらくは、膜のイオン伝導性ポリマー部分を構成するものと同一であるか或いは異なる。
【0028】
したがって、このポリマーは、上記の内在性イオン伝導性ポリマーから特に選択され得る。
【0029】
変更形態として、上記ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性ポリエステル、フルオロポリマー、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン又は熱可塑性エラストマーでもあってもよく、この場合、ポリテトラフルオロエチレン、又はテトラフルオロエチレンを基礎にしたコポリマーが特に好ましい。
【0030】
このポリマー中に存在する電子伝導性物質は、含有物の形態では、任意の、電子伝導性を有することが既知の可能な限り酸化され難い物質、例えば炭素、黒鉛、貴金属(例えば、白金、金及び銀)、並びに遷移元素(例えばCr、Mn、Ni、Co及びFe)とのそれらの合金であり得る。
【0031】
有益には、膜のイオン伝導性ポリマー部分及び電子伝導性ポリマー部分は、同一ポリマーで構成される。
【0032】
この場合、この膜の2つの実施形態、即ち、
*第1の実施形態(ポリマーは、内在性イオン伝導性を欠くポリマーであり、この場合、このポリマーはイオン伝導性ポリマー部分にイオン伝導性物質を含み、電子伝導性物質の含有物を電子伝導性ポリマー部分に含む);及び
*第2の実施形態(ポリマーは内在性イオン伝導性ポリマーであり、この場合、このポリマーは、膜の電子伝導性ポリマー部分に電子伝導性物質の含有物を含む)
が特に好ましい。
【0033】
全ての場合、膜のイオン伝導性ポリマー部分は、好ましくはプロトン伝導性ポリマー部分である。
【0034】
本発明によれば、膜は好ましくは薄いフィルムの形態であり、即ちフィルムは、20〜300ミクロン厚、さらに良好なのは20〜60ミクロン厚である。
【0035】
しかしながら、プリズム型セルかららせん型円筒、また管までの範囲の他の形態が予測され得る。
【0036】
さらに膜は、電子伝導性ポリマー部分と直接的に接合される2つのイオン伝導性ポリマー部分のみで構成され得るが、膜は、より多数のイオン伝導性ポリマー部分を、したがってより多数の電子伝導性ポリマー部分を含むのが好ましい。
【0037】
したがって、膜は、n個の気密イオン伝導性ポリマー部分と、n−1個の気密電子伝導性ポリマー部分(単数又は複数)(ここで、nは2〜100、好ましくは4〜50の範囲の整数である)とを含み、各電子伝導性ポリマー部分は2つのイオン伝導性ポリマー部分の間に挿入される。
【0038】
本発明の別の主題は、上記のような複合ポリマー膜を製造することを可能にする方法である。
【0039】
第1の方法によれば、複合ポリマー膜の製造は、
a)ポリマーから成り、且つ電子伝導性物質で充填されるよう意図された部分と直接的に接合されるイオン伝導体で充填されるよう意図された少なくとも2つの部分を含む多孔性マトリックスの孔中に電子伝導性物質を沈着させること(この沈着は電子伝導性物質で充填されるよう意図された多孔性マトリックスの部分に限定される)、
b)このマトリックス部分を構成するポリマーの軟化及びこのように軟化されたポリマーの変形によるマトリックス部分の孔の遮断を得るための処理を、電子伝導性物質で充填された多孔性マトリックスの部分に適用すること、並びに
c)イオン伝導性物質で充填されるよう意図された多孔性マトリックス部分をイオン伝導性物質で充填すること
を含む。
【0040】
第2の方法によれば、複合ポリマー膜の製造は、
a)ポリマーから成り、且つ電子伝導性物質で充填されるよう意図された部分と直接的に接合されるイオン伝導性物質で充填されるよう意図された少なくとも2つの部分を含む多孔性マトリックスの孔中に電子伝導性物質を沈着させること(この沈着は電子伝導性物質で充填されるよう意図された多孔性マトリックスの部分に限定される)、
b)イオン伝導性物質で充填されるよう意図された多孔性マトリックス部分をイオン伝導性物質で充填すること、並びに
c)このマトリックス部分を構成するポリマーの軟化及びこのように軟化されたポリマーの変形によるこのマトリックス部分の孔の遮断を得るための処理を、電子伝導性物質で充填された多孔性マトリックスの部分に適用すること
を含む。
【0041】
第3の方法によれば、複合ポリマー膜の製造は、
a)ポリマーから成る多孔性マトリックスの孔中に電子伝導性物質を沈着させること、
b)電子伝導性物質で充填された多孔性マトリックスを複数のセグメントに切断すること、
c)少なくとも2つの気密イオン伝導性ポリマーセグメント間に工程b)で得られたセグメントのうちの1つを挿入し、且つこれらのセグメントをしっかり接合することにより複合ポリマー膜を形成すること、並びに
d)このマトリックスセグメントを構成するポリマーの軟化及びこのように軟化されたポリマーの変形によるマトリックスセグメントの孔の遮断を得るための処理を、工程c)で得られた複合ポリマー膜中に存在する電子伝導性物質で充填された多孔性マトリックスのセグメントに適用すること
を含む。
【0042】
第4の方法によれば、複合ポリマー膜の製造は、
a)ポリマーから成る多孔性マトリックスの孔中に電子伝導性物質を沈着させること、
b)このマトリックスを構成するポリマーの軟化及びこのように軟化されたポリマーの変形による当該マトリックスの孔の遮断を得るための処理を多孔性マトリックスに適用すること、
c)工程b)で得られたマトリックスを複数のセグメントに切断すること、並びに
d)少なくとも2つの気密イオン伝導性ポリマーセグメント間に工程c)で得られたこれらのセグメントのうちの1つを挿入し、且つこれらのセグメントをしっかり接合することにより複合ポリマー膜を形成すること
を含む。
【0043】
本発明によれば、上記したばかりの4つの方法において、最も特定的には後者2つにおいて、好ましくは内在性イオン伝導性を欠くポリマー、例えばテフロン(登録商標)型(DuPont de Nemours)のポリテトラフルオロエチレンから成る多孔性マトリックスが用いられる。
【0044】
第5の方法によれば、複合ポリマー膜の製造は、
a)内在性イオン伝導性ポリマーから成り、且つ電子伝導性物質で充填されるよう意図された部分と直接的に接合されるイオン伝導性を保持するよう意図された少なくとも2つの部分を含む多孔性マトリックスの孔中に電子伝導性物質を沈着させること(この沈着は電子伝導性物質で充填されるよう意図された多孔性マトリックスの部分に限定される)、並びに
b)このマトリックスを構成するポリマーの軟化及びこのように軟化されたポリマーの変形によるマトリックスの孔の遮断を得るための処理を多孔性マトリックスに適用すること
を含む。
【0045】
後者の方法は、その簡易性を考慮すると特に好ましい。
【0046】
上記したばかりの方法は全て、
多孔性マトリックスの孔中、又はこのマトリックスの一部分の孔中に電子伝導性物質を沈着することにより、当該マトリックスに又は当該マトリックスの一部分に電子伝導性を付与することから成る操作、及び
このようにして気密性の電子伝導性物質で充填された多孔性マトリックス又は多孔性マトリックスの部分を、このマトリックス又はこのマトリックス部分を構成するポリマーを軟化し、且つこのように軟化されたポリマーの変形により当該マトリックス又はマトリックス部分の孔を遮断することを可能にする処理を適用することにより気密性にすることから成る操作
を含む。
【0047】
本発明によれば、上記の電子伝導性物質のいずれか1つであり得る電子伝導性物質の沈着が、好ましくは薄いフィルムを生成するために慣用的に用いられる真空蒸着技法の1つにより、特に化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)、或いは「無電解」又は金属塩の化学的還元法により行われる。
【0048】
上記ポリマーのいずれか1つでもあり得るポリマーの軟化は、それ自体、軟化を引き起こすための、或いはポリマーの融解のためでさえある当業者に既知のあらゆる処理、例えば加熱処理、超音波処理又は高周波放射線処理により達成され得る。
【0049】
理想的には、この処理は、ポリマーをその軟化点とその融点との中間温度にするように適用される。
【0050】
複合ポリマー膜の製造が、イオン伝導性物質で多孔性マトリックス部分を充填する工程を含む場合、この充填は、種々の方法、例えば:
*これらの多孔性マトリックス部分を溶媒中にイオン伝導性物質を含有する溶液で含浸することによって
*これらの多孔性マトリックス部分を溶媒中にイオン伝導性物質の前駆体を含有する溶液で含浸し、次に上記部分に上記イオン伝導性物質へのこの前駆体の転化を誘導するための処理(例えば、加熱処理)を二次的に適用することによって、又は他に
*これらの多孔性マトリックス部分上に、フィルムの形態でイオン伝導性物質を沈着し、次に上記部分にこのフィルムを融解してイオン伝導性物質を上記多孔性マトリックス部分中に浸潤させるための処理(例えば、加熱処理)を二次的に適用することによって
行われ得る。
【0051】
複合ポリマー膜の製造が、少なくとも2つのイオン伝導性ポリマーセグメント間に電子伝導性ポリマーセグメントを挿入する工程、これらのセグメントをしっかり付着させる工程を含場合、イオン伝導性ポリマーセグメント自体は、電子伝導性物質で充填された多孔性マトリックスを形成するポリマーと同一であってもよく又は同一でなくてもよい、イオン伝導性物質で充填することにより予めイオン伝導性にされたポリマーから形成される多孔性マトリックスを、適切な形状及びサイズのセグメントに切断することにより得ることができる。
【0052】
変更形態として、これらのセグメントは、例えば成形によりイオン伝導性ポリマーから形成される一部から成り、それは適切な形状及びサイズのセグメントに予め切断されているということも可能である。
【0053】
セグメントの堅固な付着に関しては、これは特に、ホットプレスにより行われ得る。
【0054】
いずれにせよ、これらの方法により、電子伝導性ポリマー部分(単数又は複数)が、完全気密性と密接に結びついた特に高い電子伝導性(一般的に1S/cmより大きい)を有する複合ポリマー膜が得られる。
【0055】
したがって、本発明による方法は、それらが、平面型燃料電池コア、特に引用文献[1]に記載されたものの型の組成物中に組み込まれるのに、またそれらの特性により、これらの電池の電気化学的性能を改良するのに適した複合ポリマー膜を製造するのを可能にし、一方、もはや絶縁壁対を作製する必要がないように、且つ膜と同時に周縁部シールを統合し得るように、それらの製造を簡素化するため、非常に有益である。
【0056】
したがって、本発明の別の主題は、
上記のような複合ポリマー膜と、
この膜の一側面に配置される複数のアノードと、
複数のアノードが位置する側と反対のこの膜の側面上に配置される複数のカソードと
を含む平面型燃料電池コアである。
【0057】
本発明のその他の特徴及び利点は、本発明によるイオン/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の実施例に関し、且つ添付の図面に言及する以下の本明細書の残りの部分を読めば、より分かりやすく明らかとなるであろう。
【0058】
当然のことながら、これらの実施例は本発明の主題の例証として示されるに過ぎず、如何なる場合にもこの主題を限定するものではない。
【0059】
これらの図面において、複合ポリマー膜の大きさ、また複合ポリマー膜を構成する構成成分の大きさは、明確にするために故意に誇張されている。
【実施例】
【0060】
本発明によるイオン/電子伝導性複合ポリマー膜10’の製造の第1の実施例を模式的に示す図2a〜図2bをまず参照する。
【0061】
横断面として観察される図2dで表わされるこの膜は、3つの気密イオン伝導性ポリマー部分11’及び2つの電子伝導性ポリマー部分12’(これらも気密性である)を含み、各電子伝導性部分12’は2つのイオン伝導性部分11’間に挿入される。
【0062】
この実施例では、内在性イオン伝導性を欠くポリマーから成る多孔性マトリックス、及び
膜のイオン伝導性部分11’を構成し、したがってイオン伝導性物質で充填されるよう意図された3つの第1の部分と、
膜の電子伝導性部分12’を構成し、したがって電子伝導性物質で充填されるよう意図された2つの他の部分と
から成る多孔性マトリックスを処理することにより、膜を製造する。
【0063】
したがって、多孔性マトリックスの形状及び寸法は、膜が提示すべき形状及び寸法に応じて選択されるということは言うまでもない。
【0064】
この特定の場合では、横断面として観察されるこのマトリックス(参照番号10)を示す図2aにより例証されるように、膜はフィルムの形態であり、多孔性マトリックスもフィルムの形態である。
【0065】
第1の工程は、膜10’の電子伝導性部分12’を構成するよう意図された多孔性マトリックス10の部分に電子伝導性物質を沈着することから成る。
【0066】
これを行うために、図2aで観察され得るように、電子伝導性物質で充填することが所望されるマトリックスの部分に応じてその位置及びサイズが選択される2つの開口部16を備えた機械的マスク17で多孔性マトリックスの主側面の片面を被覆した後、電子伝導性物質(Ce)が、例えばCVD、PVD又は「無電解」法により、これらの開口部と向かい合って位置するマトリックスの部分のみに沈着される。次に、このマトリックスは裏返されて、その主側面の他方の側面に同一操作が再度開始される。
【0067】
このようにして、図2bに示したマトリックス10が得られる。
【0068】
第2の工程は、電子伝導性物質を充填されたこのマトリックスの2つの部分12に、これらの部分にのみ、マトリックスを構成するポリマーの軟化、及びこのように軟化されたポリマーの変形によりこのマトリックスの孔の遮断を得ることができるようにする処理を適用することから成る。したがって、これらの部分は気密性とされ、図2cに示したマトリックス10が得られる。
【0069】
図2cで示した第3の工程はそれ自体、膜のイオン伝導性部分11’を構成するよう意図され、且つそれ自体依然として多孔性であるマトリックス10の3つの部分11を、イオン伝導性物質(Ci)で充填することから成る。この充填により、これらの部分は順次、気密性とされる。
【0070】
このようにして、図2dで示した膜10’が得られる。
【0071】
ここで、本発明によるイオン/電子伝導性複合ポリマー膜20’の製造の第2の実施例を模式的に示す図3a〜図3bを参照する。
【0072】
横断面として観察される図3dで表わされるこの膜は、上記の実施例と同様に、2つの気密電子伝導性ポリマー部分22’と接合される3つの気密イオン伝導性ポリマー部分21’を含む。
【0073】
この実施例では、内在性イオン伝導性を欠くポリマーから成る多孔性マトリックスを処理することにより膜を製造し、上記の実施例で記載されたものと同一の工程が反復されるが、但し、最後の2つの工程の順序は逆である。
【0074】
したがって、膜の電子伝導性部分22’を構成するよう意図された多孔性マトリックス20の部分のみに電子伝導性物質を沈着する工程(図3a)後、後半の製造は、
第2の工程に関しては、膜のイオン伝導性部分21’を構成するよう意図されたマトリックス20の3つの部分21をイオン伝導性物質で充填し(図3b)、図3cで示したマトリックスを得ること、及び
第3の工程に関しては、これらのマトリックス部分を構成するポリマーを軟化し、且つこのように軟化されたポリマーの変形によりこれらのマトリックス部分の孔を遮断させるのに適した処理を、電子伝導性物質で充填されたマトリックス20の2つの部分22に適用すること
を有する。
【0075】
このようにして、図3dに示した膜20’が得られる。
【0076】
図4a〜図4dは、本発明によるイオン/電子伝導性複合ポリマー膜36の製造の第3の実施例を模式的に例証する。
【0077】
横断面として観察される図4dで表わされるこの膜は、上記の実施例と同様に、3つの気密イオン伝導性ポリマー部分34及び2つの気密電子伝導性ポリマー部分33を含み、各電子伝導性部分33は2つのイオン伝導性部分34間に挿入される。
【0078】
この実施例では、内在性イオン伝導性を欠くポリマーから成る多孔性マトリックスに電子伝導性物質を沈着し、且つこのマトリックスを切断することにより得られる2つの電子伝導性セグメントを、上記の電子伝導性セグメントとは無関係に得られた3つのイオン伝導性セグメントと組み合わせることにより、複合ポリマー膜を製造する。
【0079】
したがって、この場合、製造されるべき膜に対応する形状及び寸法を多孔性マトリックスが有する必要はない。
【0080】
したがって第1の工程は、図4aで観察され得るように、多孔性マトリックス30のアセンブリー中に電子伝導性物質を沈着することから成る。
【0081】
次いで、第2の工程(図4b)は、電子伝導性物質でこのように充填された多孔性マトリックス30を少なくとも2つのセグメント33に切断することから成る。
【0082】
次に、図4cで示すように、他の場所で得られた3つのイオン伝導性セグメント34間に2つのセグメント33を挿入することにより複合膜35が形成され、これらのセグメントは、例えばホットプレスにより、堅固に付着される。
【0083】
次に、このようにして形成された膜35中に存在する電子伝導性物質で被覆された2つの多孔性マトリックスセグメント33に、これらのマトリックスセグメントを構成するポリマーの軟化及びこのように軟化されたポリマーによる上記マトリックスセグメントの孔の遮断を得ることを可能にする処理が適用される。
【0084】
このようにして、図4dに示した膜36が得られる。
【0085】
図5a〜図5dは、本発明によるイオン/電子伝導性複合ポリマー膜46の製造の第4の実施例を模式的に例証する。
【0086】
横断面として観察される図5dで表わされるこの膜は、上記の実施例と同様に、3つの気密イオン伝導性ポリマー部分44及び2つの気密電子伝導性ポリマー部分43を含み、各電子伝導性部分43は2つのイオン伝導性部分44間に挿入される。
【0087】
この実施例では、上記実施例に記載した工程と同じ工程が反復されるが、但し、最後の3つの工程の順序は逆である。
【0088】
したがって、多孔性マトリックス40に電子伝導性物質を沈着する工程後、膜の製造は、
第2の工程に関しては、マトリックスを構成するポリマーの軟化及びこのように軟化されたポリマーの変形によるこのマトリックスの孔の遮断を得ることを可能にする処理をこの多孔性マトリックスに適用すること(この工程により、図5bに示したマトリックスを得ることが可能となる)、
第3の工程に関しては、このようにして得られたマトリックスを少なくとも2つのセグメント43に切断すること(図5c)、並びに
第4の工程に関しては、他の場所で得られた3つのイオン伝導性セグメント44間に2つのセグメント43を挿入し、且つこれらのセグメントを、例えばホットプレスにより、堅固に付着させることにより膜を形成すること
を有する。
【0089】
このようにして、図5dに示した膜46が得られる。
【0090】
図6a〜図6cは、本発明によるイオン/電子伝導性複合ポリマー膜50’の製造の第5の実施例を模式的に例証する。
【0091】
横断面として観察される図6cで表わされるこの膜は、上記の実施例と同様に、3つの気密イオン伝導性ポリマー部分51’及び2つの電子伝導性ポリマー部分52’(これらも気密性である)を含み、各電子伝導性部分52’は2つのイオン伝導性部分51’間に挿入される。
【0092】
この実施例では、最初の2つの実施例の場合と同様に、3つの第1の部分が膜のイオン伝導性部分51’を構成するよう意図され、2つの他の部分が膜の電子伝導性部分52’を構成するよう意図された多孔性マトリックス(しかしこのマトリックスは最初の2つの実施例に用いられる多孔性マトリックスと異なり、内在性イオン伝導性ポリマーから成る)を処理することにより、膜を製造する。
【0093】
したがって、図6aで観察され得るように、処理は、まず、膜の電子伝導性部分52’を構成するよう意図された多孔性マトリックス50の部分のみに電子伝導性物質を沈着することを包含し、この沈着は、最初の2つの実施例と同様にして行われる。このようにして、3つのイオン伝導性部分51及び2つの電子伝導性部分52を含むマトリックス50(図6b)が得られる。
【0094】
次に、マトリックスを構成するポリマーの軟化及びこのように軟化されたポリマーの変形によるこのマトリックスの孔の遮断を得ることを可能にする処理が、多孔性マトリックスの全体に適用される。したがって、マトリックスの全体が気密性とされ、図6cに示した膜50’が得られる。
【0095】
平面型燃料電池の組成に組み込まれるのに適した電池コア60を模式的に示す(横断面として観察される)図7を参照すると、当該電池コアは、
*図6cに示したものと同一の複合ポリマー膜50’と、
*膜の主側面の片面上の一連のアノード5(各アノードは複合ポリマー膜と表面接触するようこの側面上に配置される)と、
*膜の主側面の他方の面上の一連のカソード6(各カソードは複合ポリマー膜と表面接触するようこの側面上に配置され、互いに対向して位置するアノード及びカソードがイオン伝導性膜の同一部分を被覆するが、電子伝導性膜の同一部分を被覆しないよう、これらのカソードは、アノードに対してずらして配置される)と、
*膜/電極アセンブリーの各末端の電子コレクター7と、
*膜50’の全周囲に亘る周縁部シール8と
を含む。
【0096】
[上記の第2の実施例により製造される複合ポリマー膜を含む電池コアの作製]
フルオルテックス(Fluortex)(登録商標)09−105/32の名称でSefar Fyltisから入手可能なエチレン/テトラフルオロエチレンコポリマーから成る織布(長さ20cm×幅5cm)を多孔性マトリックスとして用いた。
【0097】
機械的マスクを用いて、この織布の2つの部分(各々長さ2.5cm×幅5cmで、互いに5cmの間隔を置く)に金のPVD蒸着により電子伝導性を付与した。
【0098】
まず、100Wの電力の低周波数発生器により発生されるアルゴンプラズマ(圧力1.3Pa)下で直径20cmの金のターゲットを5分間スパッタリングすることにより、1×10−6mbarの圧を有する蒸着チャンバ中のマトリックスの側面の片面上で、このPVD蒸着を行った。
【0099】
次にプラズマを5分間停止した。500nmの蒸着厚を得るためにこのサイクルを4回繰り返し、次に、この織布の他方側面上で同一蒸着を行うために、織布を裏返した。
【0100】
この操作の終了時に、織布は、長さ2.5cm×幅5cmの2つの電子伝導性部分を有した。これらの帯域における織布の伝導性は、インピーダンススペクトロスコピー法により測定した場合、0.5S/cmであった。
【0101】
さらに、230℃の温度に設定された6つの加熱帯域を含むサーモエレクトロン押出機で、ナフィオン(Nafion)(登録商標)前駆体(DuPont de Nemours)の顆粒の押出しにより、この前駆体のフィルムを製造した。押出しダイ(幅20cmのコート・ハンガー型シートダイ)の出口でのカレンダーフレームの使用のため、フィルムは厚みが100ミクロンであった。
【0102】
次にそれらを、電子伝導性とされなかった織布の複数部分の表面上に堆積させた。
【0103】
一軸プレス中で30barの圧力下で5分間、織布を200℃の温度にすると、これにより織布中にプロトン伝導性ポリマーを導入することができる。
【0104】
次に織布の電子伝導性部分を、10MPaの圧力下で2分間、260℃の温度にして、これらの部分において、織布の軟化を誘導することによりそれらの気密性を得た。
【0105】
次に、4時間、80℃の2M水酸化カリウム溶液中にマトリックスを浸漬して、ナフィオン(登録商標)前駆体のスルホニル官能基をスルホン酸官能基に転化した。
【0106】
次に、このようにして得られた複合ポリマー膜の2つの側面上に、ETEK電極(白金負荷0.5mg/cm2)を堆積することにより、燃料電池コアを作製した。50bar下、150℃で3分間、アセンブリーをプレス成形して、電極と膜との間の良好な境界面を確実なものとした。
【0107】
Globtech型検定具(アノードに水素500ml/分注入、カソードに酸素500ml/分注入)でのこの電池コアの電気化学的性能の測定は、その静止電位が2.7Vであり、電流6Aの下でその電圧が1.5Vであるということを示した。
【0108】
[上記の第5の実施例により製造される複合ポリマー膜を含む燃料電池コアの作製]
プロトン伝導性織布(200ミクロン厚で、50×50μm2のメッシュを有する)を、ナフィオン(登録商標)顆粒から製造した。
【0109】
上記と同様の方法で、この織布の2つの部分に電子伝導性を付与した。
【0110】
電子伝導性部分を作製したら、織布の軟化を誘導し、且つその気密性を得るために、30barの圧力下、210℃で5分間、織布全体をホットプレスした。
【0111】
次に4時間、80℃の2M水酸化カリウム溶液中に織布を浸漬して、ナフィオン(登録商標)前駆体のスルホニル官能基をスルホン酸官能基に転化した。
【0112】
次に、このようにして得られた複合ポリマー膜の2つの側面上に、ETEK電極(白金負荷0.5mg/cm2)を堆積することにより、燃料電池コアを作製した。50bar下、150℃で3分間、アセンブリーをプレス成形して、電極と膜との間の良好な境界面を確実なものとした。
【0113】
Globtech型検定具(アノードに水素500ml/分注入、カソードに酸素500ml/分注入)でのこの電池コアの電気化学的性能の測定は、電流6Aの下でその電圧が2.1Vであることを示した。
【0114】
上記の実施例は、如何なる点でも、本発明を限定するものではない。
【0115】
したがって、特に、これらの実施例はすべて、3つのイオン伝導性部分及び2つの電子伝導性部分を含む複合ポリマー膜の製造に関するが、それらの教示は全体的に、様々な数のイオン伝導性部分、したがって様々な数の電子伝導性部分を含む膜の製造に交換可能であるということは言うまでもない。
【0116】
同様に、上記の実施例の教示は、全体的に、フィルムの形態以外の形態である複合ポリマー膜の製造に交換可能である。
【0117】
[引用文献]
[1]国際公開第02/054522号
[2]米国特許第5,863,672号
【図面の簡単な説明】
【0118】
【図1】横断面として観察される引用文献[1]による燃料電池の一ステージを模式的に示す図である。
【図2a】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第1の実施例を模式的に示す図である。
【図2b】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第1の実施例を模式的に示す図である。
【図2c】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第1の実施例を模式的に示す図である。
【図2d】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第1の実施例を模式的に示す図である。
【図3a】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第2の実施例を模式的に示す図である。
【図3b】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第2の実施例を模式的に示す図である。
【図3c】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第2の実施例を模式的に示す図である。
【図3d】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第2の実施例を模式的に示す図である。
【図4a】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第3の実施例を模式的に示す図である。
【図4b】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第3の実施例を模式的に示す図である。
【図4c】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第3の実施例を模式的に示す図である。
【図4d】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第3の実施例を模式的に示す図である。
【図5a】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第4の実施例を模式的に示す図である。
【図5b】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第4の実施例を模式的に示す図である。
【図5c】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第4の実施例を模式的に示す図である。
【図5d】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第4の実施例を模式的に示す図である。
【図6a】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第5の実施例を模式的に示す図である。
【図6b】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第5の実施例を模式的に示す図である。
【図6c】本発明によるイオン伝導性/電子伝導性複合ポリマー膜の製造の第5の実施例を模式的に示す図である。
【図7】横断面として観察される、平面型燃料電池の組成物中に組み込まれ、また図6cに示したような複合ポリマー膜を含むのに適する電池コアを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン/電子伝導性複合ポリマー膜(10’、20’、36、46、50’)であって、気密電子伝導性ポリマー部分(12’、22’、33、43、52’)と直接的に接合される少なくとも2つの気密イオン伝導性ポリマー部分(11’、21’、34、44、51’)を含む複合ポリマー膜。
【請求項2】
前記イオン伝導性ポリマー部分が、内在性イオン伝導性ポリマーから成る請求項1に記載の複合ポリマー膜。
【請求項3】
前記内在性イオン伝導性ポリマーが、スルホン酸基を有する過フッ素化ポリマー、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリスルホン及びその誘導体、スルホン化ポリホスファゼン、並びにポリベンズイミダゾールから選択されるプロトン伝導性ポリマーである請求項2に記載の複合ポリマー膜。
【請求項4】
前記内在性イオン伝導性ポリマーが、陽イオン基を有するポリマー、特にポリクロロメチルスチレンの第四級化誘導体、ポリアニリンの第四級化誘導体及びポリイミドの第四級化誘導体、並びにポリアリールスルホニウムから選択される陰イオン伝導性ポリマーである請求項2に記載の複合ポリマー膜。
【請求項5】
前記イオン伝導性ポリマー部分が、内在性イオン伝導性を欠き、且つイオン伝導性物質の導入によりイオン伝導性とされるポリマーから成る請求項1に記載の複合ポリマー膜。
【請求項6】
内在性イオン伝導性を欠く前記ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性ポリエステル、フルオロポリマー、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン及び熱可塑性エラストマーから選択される請求項5に記載の複合ポリマー膜。
【請求項7】
前記イオン伝導性物質が、内在性イオン伝導性ポリマー又はイオン伝導性非ポリマー物質である請求項5又は6に記載の複合ポリマー膜。
【請求項8】
前記電子伝導性ポリマー部分が、電子伝導性物質の含有物を含むポリマーから成る請求項1に記載の複合ポリマー膜。
【請求項9】
前記電子伝導性ポリマー部分を構成するポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性ポリエステル、フルオロポリマー、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン及び熱可塑性エラストマーから選択される請求項8に記載の複合ポリマー膜。
【請求項10】
前記電子伝導性物質が、炭素、黒鉛、貴金属、並びに貴金属の合金及び遷移元素の合金から選択される請求項8又は9に記載の複合ポリマー膜。
【請求項11】
前記イオン伝導性ポリマー部分及び前記電子伝導性ポリマー部分が、同一のポリマーから成る請求項1に記載の複合ポリマー膜。
【請求項12】
前記ポリマーが内在性イオン伝導性を欠く場合、前記複合ポリマー膜がイオン伝導性ポリマー部分にイオン伝導性物質と、電子伝導性ポリマー部分に電子伝導性物質の含有物とを含む請求項11に記載の複合ポリマー膜。
【請求項13】
前記ポリマーが内在性イオン伝導性ポリマーである場合、前記複合ポリマー膜が電子伝導性ポリマー部分に電子伝導性物質の含有物を含む請求項11に記載の複合ポリマー膜。
【請求項14】
前記イオン伝導性ポリマー部分が、プロトン伝導性ポリマー部分である請求項1〜13のいずれか一項に記載の複合ポリマー膜。
【請求項15】
20〜300ミクロンの厚み、好ましくは20〜60ミクロンの厚みを有するフィルムである複合ポリマー膜。
【請求項16】
n個の気密イオン伝導性ポリマー部分と、n−1個の気密電子伝導性ポリマー部分(単数又は複数)(ここで、nは2〜100、好ましくは4〜50の範囲の整数である)とを含み、各気密電子伝導性ポリマー部分が2つのイオン伝導性ポリマー部分の間に挿入される請求項1〜15のいずれか一項に記載の複合ポリマー膜。
【請求項17】
気密電子伝導性ポリマー部分(12’)と直接的に接合される少なくとも2つの気密イオン伝導性ポリマー部分(11’)を含むイオン/電子伝導性複合ポリマー膜(10’)の製造方法であって、
a)ポリマーから成り、且つ電子伝導性物質で充填されるよう意図された部分(12)と直接的に接合されるイオン伝導体で充填されるよう意図された少なくとも2つの部分(11)を含む多孔性マトリックス(10)の孔中に電子伝導性物質を沈着させること(この沈着は電子伝導性物質で充填されるよう意図された多孔性マトリックスの部分に限定される)、
b)このマトリックス部分を構成するポリマーの軟化及びこのように軟化されたポリマーの変形による前記マトリックス部分の孔の遮断を得るための処理を、電子伝導性物質で充填された多孔性マトリックスの部分に適用すること、並びに
c)イオン伝導性物質で充填されるよう意図された前記多孔性マトリックス部分をイオン伝導性物質で充填すること
を含む方法。
【請求項18】
気密電子伝導性ポリマー部分(22’)と直接的に接合される少なくとも2つの気密イオン伝導性ポリマー部分(21’)を含むイオン/電子伝導性複合ポリマー膜(20’)の製造方法であって、
a)ポリマーから成り、且つイオン伝導性物質で充填されるよう意図された少なくとも2つの部分(21)及び電子伝導性物質で充填されるよう意図された少なくとも1つの部分(22)を含む多孔性マトリックス(20)の孔中に電子伝導性物質を沈着させること(この沈着は電子伝導性物質で充填されるよう意図された多孔性マトリックスの部分に限定される)、
b)イオン伝導性物質で充填されるよう意図された前記多孔性マトリックス部分をイオン伝導性物質で充填すること、並びに
c)このマトリックス部分を構成するポリマーの軟化及びこのように軟化されたポリマーの変形による前記マトリックス部分の孔の遮断を得るための処理を、電子伝導性物質で充填された前記多孔性マトリックスの部分に適用すること
を含む方法。
【請求項19】
気密電子伝導性ポリマー部分(33)と直接的に接合される少なくとも2つの気密イオン伝導性ポリマー部分(34)を含むイオン/電子伝導性複合ポリマー膜(36)の製造方法であって、
a)ポリマーから成る多孔性マトリックス(30)の孔中に電子伝導性物質を沈着させること、
b)電子伝導性物質で充填された前記多孔性マトリックスを複数のセグメント(33)に切断すること、
c)少なくとも2つの気密イオン伝導性ポリマーセグメント(34)間に工程b)で得られた前記セグメントのうちの1つを挿入し、且つこれらのセグメントをしっかり接合することにより複合ポリマー膜を形成すること、並びに
d)このマトリックスセグメントを構成するポリマーの軟化及びこのように軟化されたポリマーの変形による前記マトリックスセグメントの孔の遮断を得るための処理を、工程c)で得られた前記複合ポリマー膜中に存在する電子伝導性物質で充填された前記多孔性マトリックスのセグメントに適用すること
を含む方法。
【請求項20】
気密電子伝導性ポリマー部分(43)と直接的に接合される少なくとも2つの気密イオン伝導性ポリマー部分(44)を含むイオン/電子伝導性複合ポリマー膜(46)の製造方法であって、
a)ポリマーから成る多孔性マトリックス(40)の孔中に電子伝導性物質を沈着させること、
b)このマトリックスを構成するポリマーの軟化及びこのように軟化されたポリマーの変形によるこのマトリックスの孔の遮断を得るための処理を前記多孔性マトリックスに適用すること、
c)工程b)で得られた前記マトリックスを複数のセグメント(43)に切断すること、並びに
d)少なくとも2つの気密イオン伝導性ポリマーセグメント(44)間に工程c)で得られたこれらのセグメントのうちの1つを挿入し、且つこれらのセグメントをしっかり接合することにより複合ポリマー膜を形成すること
を含む方法。
【請求項21】
前記多孔性マトリックスが、内在性イオン伝導性を欠くポリマーから成る請求項17〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
気密電子伝導性ポリマー部分(52’)と直接的に接合される少なくとも2つの気密イオン伝導性ポリマー部分(51’)を含むイオン/電子伝導性複合ポリマー膜(50’)の製造方法であって、
a)内在性イオン伝導性ポリマーから成り、且つ電子伝導性物質で充填されるよう意図された部分(52)と直接的に接合されるイオン伝導性を保持するよう意図された少なくとも2つの部分(51)を含む多孔性マトリックス(50)の孔中に電子伝導性物質を沈着させること(この沈着は電子伝導性物質で充填されるよう意図された前記多孔性マトリックスの部分に限定される)、並びに
b)このマトリックスを構成するポリマーの軟化及びこのように軟化されたポリマーの変形による前記マトリックスの孔の遮断を得るための処理を前記多孔性マトリックスに適用すること
を含む方法。
【請求項23】
前記電子伝導性物質が、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)又は「無電解」法により沈着される請求項17〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記ポリマーを軟化するための前記処理が、加熱処理、超音波処理又は高周波放射線処理である請求項17〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
イオン伝導性物質で充填されるよう意図された前記多孔性マトリックス部分のイオン伝導性物質による充填が、これらの部分を溶媒中に前記イオン伝導性物質を含有する溶液で含浸することにより行われる請求項17又は18に記載の方法。
【請求項26】
イオン伝導性物質で充填されるよう意図された前記多孔性マトリックス部分のイオン伝導性物質による充填が、これらの部分を溶媒中に前記イオン伝導性物質の前駆体を含有する溶液で含浸し、次にこの部分に前記イオン伝導性物質へのこの前駆体の転化を誘導するための処理を二次的に適用することにより行われる請求項17又は18に記載の方法。
【請求項27】
イオン伝導性物質で充填されるよう意図された前記多孔性マトリックス部分のイオン伝導性物質による充填が、これらの多孔性マトリックス部分にフィルムの形態で前記イオン伝導性物質を沈着し、次に前記部分にこのフィルムを融解して前記イオン伝導性物質を前記多孔性マトリックス部分中に浸潤するための処理を二次的に適用することにより行われる請求項17又は18に記載の方法。
【請求項28】
前記イオン伝導性ポリマーセグメントが、内在性イオン伝導性ポリマー、又はイオン伝導性物質の導入によりイオン伝導性がもたらされる、内在性イオン伝導性を欠くポリマーから成る多孔性マトリックスを切断することにより得られる請求項19又は20に記載の方法。
【請求項29】
前記セグメントの前記堅固な付着が、ホットプレスにより行われる請求項19又は20に記載の方法。
【請求項30】
平面型燃料電池コア(60)であって、
請求項1〜16のいずれか一項に記載のイオン/電子伝導性複合ポリマー膜(50’)と、
この膜の一側面に配置される複数のアノード(5)と、
前記複数のアノードが位置する側と反対のこの膜の側面上に配置される複数のカソード(6)と
を含む平面型燃料電池コア。
【請求項1】
イオン/電子伝導性複合ポリマー膜(10’、20’、36、46、50’)であって、気密電子伝導性ポリマー部分(12’、22’、33、43、52’)と直接的に接合される少なくとも2つの気密イオン伝導性ポリマー部分(11’、21’、34、44、51’)を含む複合ポリマー膜。
【請求項2】
前記イオン伝導性ポリマー部分が、内在性イオン伝導性ポリマーから成る請求項1に記載の複合ポリマー膜。
【請求項3】
前記内在性イオン伝導性ポリマーが、スルホン酸基を有する過フッ素化ポリマー、スルホン化ポリイミド、スルホン化ポリエーテルエーテルケトン、スルホン化ポリスルホン及びその誘導体、スルホン化ポリホスファゼン、並びにポリベンズイミダゾールから選択されるプロトン伝導性ポリマーである請求項2に記載の複合ポリマー膜。
【請求項4】
前記内在性イオン伝導性ポリマーが、陽イオン基を有するポリマー、特にポリクロロメチルスチレンの第四級化誘導体、ポリアニリンの第四級化誘導体及びポリイミドの第四級化誘導体、並びにポリアリールスルホニウムから選択される陰イオン伝導性ポリマーである請求項2に記載の複合ポリマー膜。
【請求項5】
前記イオン伝導性ポリマー部分が、内在性イオン伝導性を欠き、且つイオン伝導性物質の導入によりイオン伝導性とされるポリマーから成る請求項1に記載の複合ポリマー膜。
【請求項6】
内在性イオン伝導性を欠く前記ポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性ポリエステル、フルオロポリマー、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン及び熱可塑性エラストマーから選択される請求項5に記載の複合ポリマー膜。
【請求項7】
前記イオン伝導性物質が、内在性イオン伝導性ポリマー又はイオン伝導性非ポリマー物質である請求項5又は6に記載の複合ポリマー膜。
【請求項8】
前記電子伝導性ポリマー部分が、電子伝導性物質の含有物を含むポリマーから成る請求項1に記載の複合ポリマー膜。
【請求項9】
前記電子伝導性ポリマー部分を構成するポリマーが、ポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性ポリエステル、フルオロポリマー、ポリアミド、ポリエーテルエーテルケトン及び熱可塑性エラストマーから選択される請求項8に記載の複合ポリマー膜。
【請求項10】
前記電子伝導性物質が、炭素、黒鉛、貴金属、並びに貴金属の合金及び遷移元素の合金から選択される請求項8又は9に記載の複合ポリマー膜。
【請求項11】
前記イオン伝導性ポリマー部分及び前記電子伝導性ポリマー部分が、同一のポリマーから成る請求項1に記載の複合ポリマー膜。
【請求項12】
前記ポリマーが内在性イオン伝導性を欠く場合、前記複合ポリマー膜がイオン伝導性ポリマー部分にイオン伝導性物質と、電子伝導性ポリマー部分に電子伝導性物質の含有物とを含む請求項11に記載の複合ポリマー膜。
【請求項13】
前記ポリマーが内在性イオン伝導性ポリマーである場合、前記複合ポリマー膜が電子伝導性ポリマー部分に電子伝導性物質の含有物を含む請求項11に記載の複合ポリマー膜。
【請求項14】
前記イオン伝導性ポリマー部分が、プロトン伝導性ポリマー部分である請求項1〜13のいずれか一項に記載の複合ポリマー膜。
【請求項15】
20〜300ミクロンの厚み、好ましくは20〜60ミクロンの厚みを有するフィルムである複合ポリマー膜。
【請求項16】
n個の気密イオン伝導性ポリマー部分と、n−1個の気密電子伝導性ポリマー部分(単数又は複数)(ここで、nは2〜100、好ましくは4〜50の範囲の整数である)とを含み、各気密電子伝導性ポリマー部分が2つのイオン伝導性ポリマー部分の間に挿入される請求項1〜15のいずれか一項に記載の複合ポリマー膜。
【請求項17】
気密電子伝導性ポリマー部分(12’)と直接的に接合される少なくとも2つの気密イオン伝導性ポリマー部分(11’)を含むイオン/電子伝導性複合ポリマー膜(10’)の製造方法であって、
a)ポリマーから成り、且つ電子伝導性物質で充填されるよう意図された部分(12)と直接的に接合されるイオン伝導体で充填されるよう意図された少なくとも2つの部分(11)を含む多孔性マトリックス(10)の孔中に電子伝導性物質を沈着させること(この沈着は電子伝導性物質で充填されるよう意図された多孔性マトリックスの部分に限定される)、
b)このマトリックス部分を構成するポリマーの軟化及びこのように軟化されたポリマーの変形による前記マトリックス部分の孔の遮断を得るための処理を、電子伝導性物質で充填された多孔性マトリックスの部分に適用すること、並びに
c)イオン伝導性物質で充填されるよう意図された前記多孔性マトリックス部分をイオン伝導性物質で充填すること
を含む方法。
【請求項18】
気密電子伝導性ポリマー部分(22’)と直接的に接合される少なくとも2つの気密イオン伝導性ポリマー部分(21’)を含むイオン/電子伝導性複合ポリマー膜(20’)の製造方法であって、
a)ポリマーから成り、且つイオン伝導性物質で充填されるよう意図された少なくとも2つの部分(21)及び電子伝導性物質で充填されるよう意図された少なくとも1つの部分(22)を含む多孔性マトリックス(20)の孔中に電子伝導性物質を沈着させること(この沈着は電子伝導性物質で充填されるよう意図された多孔性マトリックスの部分に限定される)、
b)イオン伝導性物質で充填されるよう意図された前記多孔性マトリックス部分をイオン伝導性物質で充填すること、並びに
c)このマトリックス部分を構成するポリマーの軟化及びこのように軟化されたポリマーの変形による前記マトリックス部分の孔の遮断を得るための処理を、電子伝導性物質で充填された前記多孔性マトリックスの部分に適用すること
を含む方法。
【請求項19】
気密電子伝導性ポリマー部分(33)と直接的に接合される少なくとも2つの気密イオン伝導性ポリマー部分(34)を含むイオン/電子伝導性複合ポリマー膜(36)の製造方法であって、
a)ポリマーから成る多孔性マトリックス(30)の孔中に電子伝導性物質を沈着させること、
b)電子伝導性物質で充填された前記多孔性マトリックスを複数のセグメント(33)に切断すること、
c)少なくとも2つの気密イオン伝導性ポリマーセグメント(34)間に工程b)で得られた前記セグメントのうちの1つを挿入し、且つこれらのセグメントをしっかり接合することにより複合ポリマー膜を形成すること、並びに
d)このマトリックスセグメントを構成するポリマーの軟化及びこのように軟化されたポリマーの変形による前記マトリックスセグメントの孔の遮断を得るための処理を、工程c)で得られた前記複合ポリマー膜中に存在する電子伝導性物質で充填された前記多孔性マトリックスのセグメントに適用すること
を含む方法。
【請求項20】
気密電子伝導性ポリマー部分(43)と直接的に接合される少なくとも2つの気密イオン伝導性ポリマー部分(44)を含むイオン/電子伝導性複合ポリマー膜(46)の製造方法であって、
a)ポリマーから成る多孔性マトリックス(40)の孔中に電子伝導性物質を沈着させること、
b)このマトリックスを構成するポリマーの軟化及びこのように軟化されたポリマーの変形によるこのマトリックスの孔の遮断を得るための処理を前記多孔性マトリックスに適用すること、
c)工程b)で得られた前記マトリックスを複数のセグメント(43)に切断すること、並びに
d)少なくとも2つの気密イオン伝導性ポリマーセグメント(44)間に工程c)で得られたこれらのセグメントのうちの1つを挿入し、且つこれらのセグメントをしっかり接合することにより複合ポリマー膜を形成すること
を含む方法。
【請求項21】
前記多孔性マトリックスが、内在性イオン伝導性を欠くポリマーから成る請求項17〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
気密電子伝導性ポリマー部分(52’)と直接的に接合される少なくとも2つの気密イオン伝導性ポリマー部分(51’)を含むイオン/電子伝導性複合ポリマー膜(50’)の製造方法であって、
a)内在性イオン伝導性ポリマーから成り、且つ電子伝導性物質で充填されるよう意図された部分(52)と直接的に接合されるイオン伝導性を保持するよう意図された少なくとも2つの部分(51)を含む多孔性マトリックス(50)の孔中に電子伝導性物質を沈着させること(この沈着は電子伝導性物質で充填されるよう意図された前記多孔性マトリックスの部分に限定される)、並びに
b)このマトリックスを構成するポリマーの軟化及びこのように軟化されたポリマーの変形による前記マトリックスの孔の遮断を得るための処理を前記多孔性マトリックスに適用すること
を含む方法。
【請求項23】
前記電子伝導性物質が、化学蒸着(CVD)、物理蒸着(PVD)又は「無電解」法により沈着される請求項17〜22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記ポリマーを軟化するための前記処理が、加熱処理、超音波処理又は高周波放射線処理である請求項17〜23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
イオン伝導性物質で充填されるよう意図された前記多孔性マトリックス部分のイオン伝導性物質による充填が、これらの部分を溶媒中に前記イオン伝導性物質を含有する溶液で含浸することにより行われる請求項17又は18に記載の方法。
【請求項26】
イオン伝導性物質で充填されるよう意図された前記多孔性マトリックス部分のイオン伝導性物質による充填が、これらの部分を溶媒中に前記イオン伝導性物質の前駆体を含有する溶液で含浸し、次にこの部分に前記イオン伝導性物質へのこの前駆体の転化を誘導するための処理を二次的に適用することにより行われる請求項17又は18に記載の方法。
【請求項27】
イオン伝導性物質で充填されるよう意図された前記多孔性マトリックス部分のイオン伝導性物質による充填が、これらの多孔性マトリックス部分にフィルムの形態で前記イオン伝導性物質を沈着し、次に前記部分にこのフィルムを融解して前記イオン伝導性物質を前記多孔性マトリックス部分中に浸潤するための処理を二次的に適用することにより行われる請求項17又は18に記載の方法。
【請求項28】
前記イオン伝導性ポリマーセグメントが、内在性イオン伝導性ポリマー、又はイオン伝導性物質の導入によりイオン伝導性がもたらされる、内在性イオン伝導性を欠くポリマーから成る多孔性マトリックスを切断することにより得られる請求項19又は20に記載の方法。
【請求項29】
前記セグメントの前記堅固な付着が、ホットプレスにより行われる請求項19又は20に記載の方法。
【請求項30】
平面型燃料電池コア(60)であって、
請求項1〜16のいずれか一項に記載のイオン/電子伝導性複合ポリマー膜(50’)と、
この膜の一側面に配置される複数のアノード(5)と、
前記複数のアノードが位置する側と反対のこの膜の側面上に配置される複数のカソード(6)と
を含む平面型燃料電池コア。
【図1】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図3d】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図4d】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図5d】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7】
【公表番号】特表2009−505363(P2009−505363A)
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−526489(P2008−526489)
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【国際出願番号】PCT/EP2006/065255
【国際公開番号】WO2007/020242
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(590000514)コミツサリア タ レネルジー アトミーク (429)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年8月11日(2006.8.11)
【国際出願番号】PCT/EP2006/065255
【国際公開番号】WO2007/020242
【国際公開日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【出願人】(590000514)コミツサリア タ レネルジー アトミーク (429)
【Fターム(参考)】
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