説明

ポリ乳酸の溶融結晶化組成物、その成形品並びに成形法

【課題】本発明はずり応力等を伴わない静止場でのポリマーの溶融状態から結晶化温度への降温冷却過程における溶融結晶化であり、最も結晶化(結晶核形成と結晶成長)が起こり難く成形加工が困難な系で、射出成形等に代表される成形加工分野に関係する。すなわち、ポリ乳酸の射出成形等の溶融結晶化を伴う成形加工において、耐熱性と耐衝撃性ともに優れた成形品を大幅なコストアップを伴うことなく効率的に得ることを課題とする。
【解決手段】ポリ乳酸100重量部に対して、ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.3重量部〜5重量部含むことを特徴とするポリ乳酸の溶融結晶化組成物を用いることで上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ乳酸に耐熱性と耐衝撃性を同時に賦与するコストパフォーマンスに優れた溶融結晶化組成物、その成形品並びに成形法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年における地球的規模での温暖化ガスの増加や昨今における原油価格の高騰、さらにはそう遠くない将来における化石資源の枯渇問題は、必然的な流れとして植物などの再生可能資源由来のバイオプラスチックや生分解性プラスチックに対する関心を高めている。代表的な生分解性バイオプラスチックとしては、ポリ乳酸(PLA)系、微生物ポリエステル(PHB)系、でんぷん系やポリブチレンサクシネート(PBS)系などがあるが、それらの中でもポリ乳酸系が最も低コストで、環境低負荷特性や熱的・機械的性質のバランスに優れたものとして近年注目されている。
ところで、熱可塑性プラスチックの基本的な成形加工プロセスとは、融点(熱軟化流動点)以上に加熱したプラスチックに形状を付与しながら一定時間以内に一定温度(通常、室温)以下に冷却・固化させる降温冷却過程(溶融結晶化)である。この間に許容される成形加工時間は成形法により異なるが、これが長引くと生産性に劣り生産コストが高騰し実用的でない。また、冷却・固化後も成形品に粘着感的が残ったり、見かけ上形状は付与されても正規の構造形成がなされず、本来の性能・機能が発現しないケースは好ましくない。また、成形後も通常の室温環境下で徐々に結晶化が進行するものは、成形品の寸法・形状変化や物性の変化を伴い好ましくない。
【0003】
ポリ乳酸はα−オキシ酸である乳酸を基本単位とする重縮合体であり、脂肪族ポリエステルの中では比較的高い融点(Tm)、結晶化温度(Tc)やガラス転移温度(Tg)を有するために、見掛け上は比較的成形加工性に優れる。特にフィルムや繊維の押出成形の場合には、ずり応力下での溶融押出後に延伸・熱処理操作を行うことにより高分子鎖の配向結晶化が起こり、機械的強度やタフネス、耐熱性の向上を図ることができる。しかしながら、射出成形のようにずり応力等の存在しない静止場での延伸操作を伴わない成形工程では、結晶化速度が極めて遅いために結晶化がほとんど進まず、得られる成形品の耐熱性は極めて低いという問題点がある。
ポリ乳酸の結晶化速度を向上させるために、これまで様々な無機系又は有機系結晶核剤(造核剤)が提案されている。下記特許文献に代表例を示す通り、層状ケイ酸塩に代表される粘土鉱物、エチレンビス−12−ヒドロキシステアリン酸アミドのような脂肪酸アミド、銅フタロシアニンやフェニルホスホン酸亜鉛などの有機金属錯体などが挙げられる。これら結晶核剤は成形過程における結晶化速度並びに結晶化度を高め成形品の耐熱性を向上させるには一定の効果を有するが、得られる成形品の耐衝撃性は逆に低下するのが通例である。(例えば、特許文献1〜4参照。)
【0004】
ポリ乳酸の耐熱性以外の性能上のもう一つの大きな欠点は硬くて脆いことであり、ポリ乳酸成形品は耐衝撃性や強靭性(タフネス)に劣ることである。これまでポリ乳酸に柔軟性や耐衝撃性を付与するために、下記特許文献に代表例を示すように、低分子系あるいは高分子系可塑剤を相当量添加することにより改良が試みられてきた。しかしながら、一般的に柔軟性や耐衝撃性は改良されてもTgやTmのような熱的特性が低下したり、耐熱性の指標としての熱変形温度あるいは荷重たわみ温度が低下するのが通例であった。(例えば、特許文献5〜7参照。)
【0005】
すなわち、一般的にプラスチックの耐熱性と耐衝撃性改良技術は逆相関の関係にあり、耐熱性を向上させると耐衝撃性は低下し、一方耐衝撃性を向上させると耐熱性は低下するのが通例であり、ポリ乳酸も例外ではない。従って、ポリ乳酸に耐熱性と耐衝撃性を同時に賦与するためには、ポリ乳酸に結晶化を促進させる結晶核剤と、耐衝撃性を改良する可塑・柔軟剤を、それぞれ別個に相当量添加することがこれまで一部で試みられてきた。しかしながら、この方法は煩雑で多大なコストアップを招くばかりか、それら多種類の添加剤間の相互作用(減殺効果)のために、お互いに足を引っ張り合う関係となり目標とする良好な結果は得られていない。
【0006】
一般的にポリ乳酸のような結晶性高分子化合物の結晶化速度は結晶核形成速度と結晶成長速度に依存するが、この場合の結晶化温度は結晶核形成速度とは負の相関関係(温度が高くなるほど遅くなる)にあるのに対し、結晶成長速度とは正の相関関係(温度が高くなるほど速くなる)にあることが広く知られている。その結果として、一般的に結晶化速度が最大になる結晶化温度が存在する。ポリ乳酸の場合にはこの温度は110℃である。
【0007】
ここで、柔軟性や耐衝撃性を改良するために添加される可塑剤の結晶化に及ぼす作用・効果を考えてみると、系の温度上昇効果と同様に分子運動を活発化することにより結晶成長速度を速くする効果はあっても、逆に結晶核生成速度は遅らせる効果を有するために必ずしも耐熱性の向上にはつながらない。その結果として、耐熱性と耐衝撃性を同時に満足することは基本的に至難の業と考えられてきた。また、これら可塑剤を大量(10〜30%)に添加することにより仮に一定の結晶化促進効果が得られても、その場合には系のTgやTm等の熱的特性がかなり低下するという問題を招来することが知られている。
【0008】
ところで、ポリ乳酸の本来の熱的特性を大きく損なうことなく柔軟性を付与するための可塑剤、それを用いたポリ乳酸組成物、及びこの組成物を加工した可塑性成形物を提供することを目的に、「ポリ乳酸100質量部に対して、ポリグリセリン脂肪酸エステルまたはポリグリセリン縮合ヒドロキシ脂肪酸エステルを1質量部〜20質量部含むことを特徴とする可塑化ポリ乳酸組成物」が出願されている(例えば、特許文献8参照。)。該特許文献においては、請求項7並びに明細書において明らかなように、具体的には「ポリ乳酸組成物をフィルム、シート、または袋に成形してなる可塑性成形物」を提供することにあり、その目的とするところはフィルムやシートのTmやTgをほとんど低下させることなく柔軟性を付与することである。
【0009】
しかしながら、上記ポリ乳酸組成物が射出成形のような溶融結晶化過程で結晶化を促進し、成形品の耐熱性の向上をもたらすことは何ら記述されておらず、示唆もされていない。ここで言うところの耐熱性とは成形品のTmやTgなどの熱的パラメータの高低を指すのではなく、成形品の熱変形温度や荷重たわみ温度で表示される実用上の真の耐熱性である。すなわち耐熱性を支配するのは、言わば結晶部の融点と結晶化度の積に相当すると考えることができる。その結果、別の言い方をすると、たとえ融点が高くとも結晶化度が低いと熱変形温度や荷重たわみ温度などの耐熱性は必然的に低くなる。
【0010】
上記ポリ乳酸組成物をフィルム、シートまたは袋に成形するに際しては、ポリ乳酸組成物を溶融押出後(あるいは同時)に延伸を伴いながら製造加工するいわゆる流動場(ずり応力または伸長応力下)での溶融結晶化とそれに引き続く熱処理による冷結晶化に関わる技術分野に関するものであり、一般的に高分子鎖の結晶核形成と配向結晶化が最も起こりやすい系、言い換えると最も成形加工が容易な系である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開平6−299054号公報
【特許文献2】特開平8−27363号公報
【特許文献3】特開2003−73538号公報
【特許文献4】特開2005−272679号公報
【特許文献5】特開平8−199053号公報
【特許文献6】特開2000−302956号公報
【特許文献7】特開2003−73532号公報
【特許文献8】特開2008−69299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
それに対して、本発明はずり応力等を伴わない静止場でのポリマーの溶融状態から結晶化温度への降温冷却過程における溶融結晶化であり、最も結晶化(結晶核形成と結晶成長)が起こり難く成形加工が困難な系で、射出成形等に代表される成形加工分野に関係する。すでに述べたように、ポリ乳酸は結晶化速度が遅いために射出成形のような系では結晶化が遅々として進まず、その結果として成形品の耐熱性は極めて低く、また耐衝撃性にも劣ることが最大の課題であった。
【課題を解決するための手段】
【0013】
以上の科学的、技術的背景下で、本発明はポリ乳酸用添加剤として特定のポリグリセリン脂肪酸エステル化合物それ自体が、驚くべきことに溶融結晶化過程における結晶化促進と耐衝撃性向上の相乗効果を同時に発現することを初めて見出したことに基づく。本発明の特定のポリグリセリン脂肪酸エステル化合物の結晶化促進作用をより詳細に述べると、上述の結晶成長速度のみならず、通常は逆相関の関係にある結晶核生成速度をも増幅する作用を有することを発見したことに基づく。これは、等温溶融結晶化過程における結晶化開始時間(誘導期間)が、特定のポリグリセリン脂肪酸エステル化合物をごく少量(1%前後)添加するだけで著しく短縮されることから見出された。
上述の結晶核生成の促進機構は必ずしも明らかではないが、特定のポリグリセリン脂肪酸エステル化合物が結晶核剤そのものとして作用しているというよりも、特定のポリグリセリン脂肪酸エステル化合物が適度な非相溶性を有することからポリ乳酸界面に配位し、何らかの結晶核生成の足場を提供し、その結果として結晶核生成を促進しているのではないかと推察される。また、特定のポリグリセリン脂肪酸エステル化合物の適度な可塑剤としての作用が、ポリ乳酸の結晶化促進作用と同時にポリ乳酸界面における衝撃吸収材としての作用を発現しているのではないかと推察される。
こうして、ポリ乳酸に特定のポリグリセリン脂肪酸エステル化合物を少量加えるだけで、その溶融結晶化を伴う射出成形などの成形加工工程でポリ乳酸の耐熱性と耐衝撃性を同時に発現せしめることが初めて可能となった。このような特定のポリグリセリン脂肪酸エステル化合物のポリ乳酸用マルチ機能改質剤としての驚くべき発見は、本発明者の知る限りこれまで報告されていない。
【0014】
本発明においてポリ乳酸に添加されるマルチ機能改質剤としての特定のポリグリセリン脂肪酸エステル化合物はわずか1重量部前後(0.3%〜5%)で有効であり、大幅なコストアップを伴うことなく上記課題を同時に解決することを可能にする。すなわち、これまでのポリ乳酸の射出成形に代表される溶融結晶化においては、結晶核剤や結晶化促進剤、可塑剤、耐衝撃性改良材等の複数の改質剤が相当量添加されていたのに対し、本発明では特定のポリグリセリン脂肪酸エステル化合物1種類を少量加えるのみで結晶化(核形成と結晶成長)速度の大幅な促進による耐熱性の向上と耐衝撃性の改良を同時に達成することが可能である。また、この場合にTmやTgもほとんど低下しないために、熱的特性を損なうことなく耐衝撃性を付与することが可能である。
特定のポリグリセリン脂肪酸エステル化合物の添加量が0.3重量部未満では耐熱性を向上させるための結晶化促進効果が十分でなく、また耐衝撃性改良効果も限定される。一方、添加量が5重量部を超えると一定の耐衝撃性改良効果は見込まれても、耐熱性向上効果が減殺される傾向にあり好ましくない。最適の添加量範囲は0.3重量部〜5重量部であり、特に0.5〜2重量部が最も好ましい。
【0015】
すなわち、本発明は以下の構成から成る。
(1)ポリ乳酸100重量部に対して、ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.3重量部〜5重量部含むことを特徴とするポリ乳酸の溶融結晶化組成物。
(2)ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成成分であるポリグリセリンの平均重合度が2〜40であることを特徴とする前記(1)記載のポリ乳酸の溶融結晶化組成物。
(3)ポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸エステル化率が35%〜70%以上であることを特徴とする前記(1)または(2)記載のポリ乳酸の溶融結晶化組成物。
(4)ポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸エステル化率が50%以上であることを特徴とする前記(1)〜(3)いずれか記載のポリ乳酸の溶融結晶化組成物。
(5)ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成成分である脂肪酸が、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸からなる群から選択される1種または2種以上であることを特徴とする前記(1)〜(4)いずれか記載のポリ乳酸の溶融結晶化組成物。
(6)前記(1)〜(5)いずれか記載のポリ乳酸の溶融結晶化組成物を含有することを特徴とする成形品。
(7)成形品の耐熱性が100℃以上で耐衝撃性が25kJ/m以上であることを特徴とする前記(6)記載の成形品。
(8)成形品の耐熱性が120℃以上で耐衝撃性が28kJ/m以上であることを特徴とする前記(6)記載の成形品。
(9)成形品の融点が163℃以上、ガラス転移点が57℃以上であることを特徴とする前記(6)〜(8)いずれか記載の成形品。
(10)成形品の融点が180℃以上、ガラス転移点が60℃以上であることを特徴とする前記(7)〜(9)いずれか記載の成形品。
(11)ポリ乳酸100重量部に対して、ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.3重量部〜5重量部含むポリ乳酸溶融結晶化組成物の成形方法に関して、該ポリ乳酸溶融結晶化組成物を融点以上に加熱溶融し、次いで60〜130℃の加熱金型内で賦形しながら溶融結晶化させて後、金型内から取り出すことを特徴とする成形法。
(12)成形法が射出成形であることを特徴とする前記(11)記載の成形法。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ポリ乳酸の射出成形等の溶融結晶化を伴う成形加工において、耐熱性と耐衝撃性ともに優れた成形品を大幅なコストアップを伴うことなく効率的に得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明の実施態様について詳細に説明する。
本発明の技術的範囲は下記の実施態様に限定されるものではなく、本発明の骨子や要旨を変更することなく様々に改変し実施することができる。
【0018】
本発明に用いられるポリ乳酸とは天然の有機酸である乳酸(CHCH(OH)COOH)を基本単位とし、複数の乳酸が連なって高分子量となった脂肪族ポリエステルの一種である。ポリ乳酸の原料である乳酸は、植物(例えば、トウモロコシ、キャツサバ、サトウキビ、ビート、サツマイモなど)中に含まれるデンプンなどの多糖類を酵素分解して得られるグルコースなどの糖類を栄養源とし乳酸菌による発酵生産により生産することができる。
【0019】
一般的に高分子量ポリ乳酸を製造するには、先ず乳酸の重縮合により低重合度ポリ乳酸を合成して後、それを解重合して得られるラクチド(環状二量体)を精製後、これを開環重合することにより製造するが、本発明においてはポリ乳酸の製造方法にはよらない。
【0020】
ポリ乳酸を構成する単体としての乳酸は分子中に不斉炭素を有するために、立体構造の異なるL型とD型という二種類の光学異性体が知られている。本発明は、L型またはD型のみ、或いはL型とD型とを任意の比で含むポリ乳酸に対しても用いることができるが、成形加工性や得られる成形品の熱的・機械的性質からしてできるだけL型(またはD型)含量の高いポリ乳酸が望ましい。
【0021】
本発明に用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルとは、ポリグリセリンと脂肪酸とを反応して得られるエステルである。本発明に用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルの構成成分であるポリグリセリンを具体的に示すと、例えば、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ペンタグリセリン、ヘキサグリセリン、ヘプタグリセリン、オクタグリセリン、ノナグリセリン、デカグリセリン、エイコサグリセリン、テトラコンタグリセリン等が挙げられるがこれに限定されるもはではなく、好ましくはジグリセリン、トリグリセリン、ペンタグリセリン、デカグリセリンであり、これらの1種又は2種以上の混合物が利用される。
【0022】
本発明に用いられるポリグリセリン脂肪酸エステルのもう一方の構成成分である脂肪酸は炭素数が上8以上の脂肪酸が用いられる。具体的に示すと、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ノナデカン酸、アラキン酸、ガドレイ酸、エイコサジエン酸、アラキドン酸、べヘン酸、エルカ酸、ドコサジエン酸、リグノセリン酸、イソステアリン酸、リシノレイン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、9−ヒドロキシステアリン酸、10−ヒドロキシステアリン酸、水素添加ヒマシ油脂肪酸(12−ヒドロキシステアリン酸の他に少量のステアリン酸及びパルミチン酸を含有する脂肪酸)等が挙げられ、好ましくは、パルミチン酸、ステアリン酸であり、これらの1種又は2種以上の混合物として利用される。
【0023】
上記ポリグリセリン脂肪酸エステルの製造方法は特に限定するものではないが、上記原料を用いてリン酸、p−トルエンスルホン酸、苛性ソーダ等の触媒の存在下もしくは無触媒で100℃〜300℃、好ましくは120℃〜260℃の範囲で加熱し生成水を系外に除去することによって得られる。反応は不活性ガスの存在下で行うのが好ましい。また、トルエン又はキシレン等の共沸溶剤中で行っても良い。このようにして合成されたポリグリセリン脂肪酸エステルを具体的に示すと、ジグリセリンパルミチン酸エステル、ジグリセリンステアリン酸エステル、ジグリセリンオレイン酸エステル、デカグリセリンパルミチン酸エステル、デカグリセリンステアリン酸エステル、デカグリセリンオレイン酸エステルが挙げられるがこれに限定されるものではなく、これらの1種又は2種以上の混合物が利用される。また、これらのうち特に、ジグリセリンステアリン酸エステル、デカグリセリンステアリン酸エステルが好ましく用いられる。
【0024】
更にこのとき、ポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸エステル化率が35%以上であることが好ましく、50%〜70%であることが更に好ましい。ここで脂肪酸エステル化率が35%未満であるとポリ乳酸との相溶性が増大するために、本発明の目的である結晶化速度の飛躍的な向上による耐熱性付与効果が減殺される。ポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸エステル化率は、次式の通り容易に算出できる。

エステル化率(%)=(構成脂肪酸のmol数/ポリグリセリンの水酸基の数)×100
【0025】
ポリ乳酸と、ポリグリセリン脂肪酸エステルの混合比としては、ポリ乳酸100重量部に対しては、ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.3重量部〜5重量部が好ましく、0.5重量部〜2重量部が更に好ましい。
【0026】
本発明に係るポリ乳酸組成物には、主成分であるポリ乳酸と添加剤としてのポリグリセリン脂肪酸エステルの他に、用途に応じて、本発明の目的を損なわない範囲で、加水分解防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、着色防止剤、アンチブロッキング剤、増粘剤、滑剤、帯電防止剤、防曇剤、紫外線吸収剤、充填剤、顔料、難燃剤等の添加剤を適宜添加することもできる。
本発明に係るポリ乳酸組成物は、ポリ乳酸とポリグリセリン脂肪酸エステル、更に必要に応じて他の添加剤を均一に混合した後、一軸あるいは多軸の押出機を用いて溶融混練する方法等を採用して製造することができる。本発明に係るポリ乳酸組成物の形状としては、特に限定されるものではないが、ペレット状、棒状、粉末状等の形状が好ましい。
【0027】
上記のようにして得られたポリ乳酸組成物は、例えば射出成形機により加熱・加圧下に溶融し加熱金型内に注入後、一定の冷却時間を経て金型内から取り出すことにより耐熱性と耐衝撃性に優れた様々な形状を有するポリ乳酸射出成形品として得ることができる。この場合の金型温度としては、ポリ乳酸の結晶化速度が最大となる110℃近傍にポリマーの実温度がなるように、通常は60℃〜130℃に設定されることが望ましい。最適の金型温度は成形サイクルに応じて、この温度範囲内で適宜選択される。
具体的な射出成形品の例としては、防虫剤、忌避剤、芳香剤、乾燥剤等を入れるプラスチック容器、繰り返し使用が可能なリターナブル食器(お椀、カップ、皿、箸、配膳トレーなど)、菓子やデザート等を入れる使い捨て容器、パソコン、テレビや複写機等の電機・電子・情報機器筐体または部品、携帯電話、ゲーム機や電子書籍等の情報端末筐体または部品、書類ボックス、粘着テープホルダーや名刺入れ等の事務機器筐体、各種自動車内装材部品等を挙げることができる。
【0028】
また、本発明のポリ乳酸組成物はブロー成形に供することもできる。一般的にブロー成形法には押出ブロー成形法と射出ブロー成形法があるが、いずれにおいても耐熱性と耐衝撃性に優れたポリ乳酸系ボトルを製造することができる。具体的な用途としては、シャンプーやオイル、農薬等を入れる各種ボトルとして有用である。
【0029】
さらに、本発明のポリ乳酸組成物は、必要に応じて溶融張力を高める最適の分子・配合設計を施すことにより発泡成形にも供することができる。一般的に発泡成形には押出発泡とビーズ発泡があるが、本発明のポリ乳酸組成物はいずれの基体樹脂としても使用することが可能であり、耐熱性と耐衝撃性に優れたポリ乳酸発泡成形品を得ることができる。具体例としては、熱湯注入や電子レンジ再加熱に耐える各種食品容器(皿、カップ)、電子部品トレー、ディスプレー用ボード・芯材、緩衝材、家電製品梱包材、工業用断熱材、魚箱等を挙げることができる。
以下に、射出成形を代表例として本発明の実施例を説明するが、本発明の技術的範囲は下記実施例によって限定されるものではない。
【実施例】
【0030】
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、表1に示すポリグリセリンと、脂肪酸を混合したものに、リン酸、又は、苛性ソーダを添加し、窒素気流雰囲気下で200〜260℃加熱し、エステル化反応させて得た。
【0031】
ポリ乳酸樹脂としては、重量平均分子量(Mw)=185,000、D異性体含有(共重合)率=0.25%のトヨタ自動車株式会社製のU’z S−17を使用した。
【0032】
実施例1〜13
ポリ乳酸樹脂組成物の調製は上記ポリ乳酸と上記ポリグリセリン脂肪酸エステルを表1に記載の重量割合で配合し、ストランドダイを装着した二軸押出機を使ってシリンダ温度200℃で溶融混練を行った。溶融押し出しされたストランドは水冷後、ペレタイザーでペレット化を行い、その後除湿型乾燥器を使いて50℃で24時間乾燥を行った。
次に、住友重機械工業社製の射出成形機(SE−18S)を使い、上記ペレットを押出機シリンダ温度200℃、金型温度110℃、金型内での冷却時間120秒で、射出成形試験片として引張試験片(全長110mm、ネック部分2×5mm)と多目的試験片(衝撃特性・荷重たわみ・曲げ試験片)(4×10×80mm)を1実施例につき各3片作製した。
金型温度、金型内での冷却時間は、表1記載の条件で試験を行った。
なお、ここで金型内での冷却時間とは、加熱溶融樹脂を金型内に射出注入後、一定時間後に金型を開いて成形品を取り出すまでの時間をいう。
上記射出成形試験片各3片につき下記成形加工適性、熱的・機械的性質の測定を行い、その平均値を
もって評価した。
【0033】
比較例1〜6
比較例1〜6として、上記ポリ乳酸のみのブランク(比較例1)と上記ポリ乳酸に現在最も有力とされているポリ乳酸用の有機系結晶核剤(エコプロモート、日産化学工業製)を表1記載の条件にて射出成形試験片を作製し成形加工適正、熱的・機械的性質の比較検討を行った。
【0034】
【表1】

【0035】
上記射出成形試験片の成形加工適性、熱的・機械的性質の評価は、以下の通り行った。
(1)成形加工適性
一般的に射出成形試験片の作成方法としては、未溶融原料を射出成形機内部で溶融させながら、金型に流し込む(射出)分を自動計量し、計量した組成物を金型に流し込む(射出)。その後、金型内で組成物を110℃まで冷却し保持することで結晶化させ、試験片を得る。バリやヒケの無い外観のきれいな成形良品を得るためには、計量時間設定、射出速度設定等の成形条件を調整する必要がある。成形加工適性の悪い組成物は、それら成形条件の調整に多大な労力を要する。成形条件を調整しながらその条件を決定するまでに、労力を要するものほど、成形加工適性は悪いとした。成形加工適性の評価は、5段階評価とした。最も成形加工適性が良いものを5とし、成形加工適性が悪くなるにしたがって評価値は下がり、最も成形加工適性が悪いものを1とした。製品実用化という観点からは、成形加工適性は3以上である必要がある。
[成形加工適性の評価基準]
5:成形条件の設定が容易なもの
4:成形条件を若干変更する必要があるが、成形が容易なもの
3:成形条件の大幅に変更する必要があるが、成形が可能なもの
2:成形条件を大幅に変更しても、成形が困難なもの
1:成形できないもの
【0036】
(2)耐熱性
耐熱性の指標としての荷重たわみ温度(DTUL)は、東洋精機製作所製3M−2を用い上記射出成形試験片をJISK7191に準じて、曲げ応力0.45MPa下にて測定した。
測定値3点で平均値を算出するが、偏差30以上の測定値は実験誤差として排除した。
【0037】
(3)耐衝撃性
耐衝撃性は、上記射出成形試験片をアイゾット衝撃試験(JIS K7110:プラスチック−アイゾット衝撃強さの試験方法)に供し評価を行った。衝撃試験機はCEAST社製6546(2Jハンマー)を用い、ノッチ無しの衝撃試験片で打撃方向をエッジワイズで行った。
試験片が破壊されなかった場合は、N.B.(ノットブレイク)とした。
【0038】
(4)引張試験
引張強伸度特性はJIS K7161のプラスチックの引張試験方法により評価を行った。具体的には、インストロンジャパン社製万能材料試験機(model5582)を用い、上記射出成形試験片を引張速度10mm/min、つかみ具間距離55mmの条件下で引張試験を行った。なお、引張破断伸度(引張呼びひずみ)はJIS K7161に倣い以下の式により算出した。

引張破断伸度(%)=試験片破断までのつかみ具移動距離(mm)/55(mm)×100
【0039】
(5)曲げ試験
曲げ試験は、インストロン社製INSTRON5582(ロードセル 10kN)を用い、上記射出成形試験片につき曲げ強度と曲げ弾性率を測定することにより評価を行った。曲げ速度は2mm/min、支点間距離は64mmにて実施した。
【0040】
(6)ガラス転移点(Tg)と融点(Tm)
上記射出成形試験片(金型温度:110℃)のガラス転移点(Tg)と融点(Tm)は、JIS K7121(プラスチックの転移温度測定方法)に準拠し、示差走査熱量分析計(理学電機製、XRD−DSCII)を用い、昇温速度10℃/minで測定を行った。
【0041】
(7)相対結晶化度(Xc)
上記射出成形試験片(金型温度:110℃)の結晶化度を正しく推定する方法としては、代表例として既述のポリ乳酸にポリグリセリン脂肪酸エステルを1.0%配合したポリ乳酸組成物(実施例1)と上記ポリ乳酸のみのブランク(比較例1)について、110℃での等温溶融結晶化過程における相対結晶化度Xc(%)を示差走査熱量分析計により測定した。
具体的には示差走査熱量分析計(PERKIN ELMER社製Pyris 1)を用い、試料(試料量8.0mg)を窒素雰囲気下で200℃/minで200℃まで昇温後、その温度で3分間溶融状態を維持した。その後200℃/minで急冷降温し、目的温度(110℃)に到達後の等温溶融結晶化挙動を追跡し、本実施例(並びに比較例)の射出成形金型内での冷却時間に相当する120秒後の相対結晶化度(Xc)を求めた。相対結晶化度Xc(%)は以下の式に表すことができる。
Wc(%)=100(X/X
ここで、Xは結晶化度、Xは十分長い時間後に到達する最大結晶化度である。
【0042】
【表2】

【0043】
【表3】

【0044】
表2において明らかな様に、実施例1〜3、9〜13を比較例1、2と比較すると、ポリ乳酸にポリグリセリン脂肪酸エステルを1%加えた実施例1〜3、9〜13においては、耐熱性の指標としての荷重たわみ温度が最大150℃を超えている(110.5℃〜154.6℃)のに対し、ポリグリセリン脂肪酸エステルを添加しないポリ乳酸のみのブランクである比較例1では60℃に満たず(56.8℃)、これまで最も効果的と見なされてきたポリ乳酸用結晶核剤を1%加えた比較例2でも100℃をわずかに超える(101.7℃)程度である。
【0045】
しかもここで特筆されるべきことは、実施例1〜3、9〜13において比較例1との対比で明らかのように、耐熱性の大幅な向上と同時に耐衝撃性は低下することなくむしろ向上していることである。これは市販の有力な結晶核剤を加えた比較例2で耐熱性がある程度向上したにもかかわらず、耐衝撃性が逆に低下している(一般的に高分子結晶系で通常認められる現象)ことと対照的である。要は、ポリ乳酸に耐熱性と同時に耐衝撃性を向上せしめたポリ乳酸組成物は本発明が初めてあり、本発明者らの知る限りこれまで報告されていない。
上記結果を補強するものとして、表3において実施例1〜3、9〜13の引張試験における破断伸度は比較例2のそれよりも全体的に高い値を示し、比較例1との対比においてもやや高い値を示している。また、実施例1〜3、9〜13の曲げ弾性率は比較例1と比較例2の中間の値をとる。
【0046】
上記代表例として実施例1〜3におけるガラス転移点(Tg)や融点(Tm)についても、ブランクである比較例1や結晶核剤を1%加えた比較例2との対比においても十分に高いレベルにあり、全く同等で有意な低下は認めらない。なお、比較例1のTm:185℃はDSCによる測定(昇温)過程で新たな結晶化並びに再編が起こっていることが明らかとなっているため、本来の射出成形直後の結晶形態(構造、サイズ)を正確に反映していない可能性が大きく参考値と考えるべきである。
【0047】
上記代表例としてポリグリセリン脂肪酸エステルを1%加えた実施例2がブランクである比較例1との対比において、なぜ大幅な耐熱性の向上(荷重たわみ温度:比較例1が56.8℃に対して、実施例2が131.2℃)がもたらされたかを解明するために相対結晶化度Wcを測定した結果、実施例2ではおよそ80%であるのに対し比較例1ではわずか3%であることが明らかとなり、結晶化度の大きな差異が耐熱性の支配的な要因であることが確認された。このようにポリグリセリン脂肪酸エステルを加えた耐熱性(荷重たわみ温度)の大幅な向上は、結晶化速度の大幅に向上による結晶化度の大きな差異に起因することが明らかとなった。
【0048】
実施例4〜6は射出成形の金型温度を100℃とした場合であるが、金型温度が同じ100℃である比較例3〜4との比較において、全体的に耐熱性や耐衝撃性は金型温度が110℃の場合に比べて低下する傾向にあるものの、例えばポリグリセリン脂肪酸エステルを1%加えた実施例5とブランクである比較例3との対比で明らかなように、ポリ乳酸にポリグリセリン脂肪酸エステルを添加することにより有意に耐熱性と耐衝撃性の向上を同時に図ることが可能である。
【0049】
幅広い結晶化温度域を有した方が、製品実用性が高い。実施例2、5、7は射出成形の金型温度を110、100、90℃とした場合であるが、結晶核剤を1%加えた比較例2と比較例4の対比においても、実施例2、5、7の方が耐衝撃性、耐熱性で高い値を示し、幅広い結晶化温度域を有し、且つ有意に耐熱性と耐衝撃性の向上を同時に図ることが可能である。
【0050】
実施例2、12、13は全てポリグリセリンの重合度が10で、且つ、ポリグリセリン脂肪酸エステル添加量1%で、エステル化率が異なるものである。耐熱性でエステル化率50%の実施例13が最も高い値を示し、エステル化率70%の実施例2が続いて高い値を示している。また、実施例2、13は成形加工適性も優れており、製品実用性が高い。
【0051】
実施例2、9、10、11は全てエステル化率が70%で、且つ、ポリグリセリン脂肪酸エステル添加量1%で、ポリグリセリン重合度が異なるものである。
結晶核剤を1%加えた比較例2との対比において、耐衝撃性、耐熱性で実施例2、9、10、11の方が高い値を示している。特に平均重合度2、10の実施例9、2では、耐衝撃性、耐熱性で高い値を示しているのに加えて、成形加工適性も優れており、製品実用性が高い。
【0052】
生産効率を考慮すると、冷却時間が短い方が好ましい。
実施例2、8は射出成形の金型温度は110℃で冷却時間を120、60秒とした場合であるが、冷却時間60秒の実施例8の方が耐衝撃性、耐熱性で低下することなく、むしろ高い値を示している。
結晶核剤を1%加え、冷却時間60秒にした比較例5での対比においても、ポリグリセリン脂肪酸エステルを加えた実施例8の方が耐衝撃性、耐熱性で高い値を示しており、製品実用性が高い。
【産業上の利用可能性】
【0053】
以上本発明により、ポリ乳酸の射出成形等の溶融結晶化を伴う成形加工において、耐熱性と耐衝撃性ともに優れた成形品を大幅なコストアップを伴うことなく効率的に得ることができ、産業上貢献大である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ乳酸100重量部に対して、ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.3重量部〜5重量部含むことを特徴とするポリ乳酸の溶融結晶化組成物。
【請求項2】
ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成成分であるポリグリセリンの平均重合度が2〜40であることを特徴とする請求項1記載のポリ乳酸の溶融結晶化組成物。
【請求項3】
ポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸エステル化率が35%〜70%であることを特徴とする請求項1または2記載のポリ乳酸の溶融結晶化組成物。
【請求項4】
ポリグリセリン脂肪酸エステルの脂肪酸エステル化率が50%以上であることを特徴とする請求項1〜3いずれか記載のポリ乳酸の溶融結晶化組成物。
【請求項5】
ポリグリセリン脂肪酸エステルの構成成分である脂肪酸が、パルミチン酸、ステアリン酸、及びオレイン酸からなる群から選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項1〜4いずれか記載のポリ乳酸の溶融結晶化組成物。
【請求項6】
請求項1〜5いずれか記載のポリ乳酸の溶融結晶化組成物を含有することを特徴とする成形品。
【請求項7】
成形品の耐熱性が100℃以上で耐衝撃性が25kJ/m以上であることを特徴とする請求項6記載の成形品。
【請求項8】
成形品の耐熱性が120℃以上で耐衝撃性が28kJ/m以上であることを特徴とする請求項6記載の成形品。
【請求項9】
成形品の融点が163℃以上、ガラス転移点が57℃以上であることを特徴とする請求項6〜8いずれか記載の成形品。
【請求項10】
成形品の融点が180℃以上、ガラス転移点が60℃以上であることを特徴とする請求項6〜8いずれか記載の成形品。
【請求項11】
ポリ乳酸100重量部に対して、ポリグリセリン脂肪酸エステルを0.3重量部〜5重量部含むポリ乳酸溶融結晶化組成物の成形方法に関して、該ポリ乳酸溶融結晶化組成物を融点以上に加熱溶融し、次いで60〜130℃の加熱金型内で賦形しながら溶融結晶化させて後、金型内から取り出すことを特徴とする成形法。
【請求項12】
成形法が射出成形であることを特徴とする請求項11記載の成形法。

【公開番号】特開2012−117034(P2012−117034A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−137101(P2011−137101)
【出願日】平成23年6月21日(2011.6.21)
【出願人】(000204181)太陽化学株式会社 (244)
【出願人】(504255685)国立大学法人京都工芸繊維大学 (203)
【Fターム(参考)】