説明

ポリ乳酸系延伸積層フィルム

【課題】
無機充填剤を配合したポリ乳酸系延伸積層フィルムの特徴である隠蔽性、化粧性、紫外線カット性を損なわずに、低温ヒートシール性、シール強度に優れ、生分解性を有するポリ乳酸系延伸積層フィルムを提供すること。
【解決手段】
酸化チタンの微粒子及び炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、シリカ、マイカおよびカオリンの群から選ばれる1種類以上の微粒子が配合されたポリ乳酸からなる基材層(I)の少なくとも片面に、特定の脂肪族ポリエステル共重合体(B)97〜5質量%及びポリ乳酸共重合体(C)3〜95質量%との脂肪族ポリエステル組成物(D)((B)と(C)の合計は100質量%である。)からなる被覆層(II)が積層されており、少なくとも一軸方向に延伸されてなることを特徴とするポリ乳酸系延伸積層フィルム。
なし

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ乳酸に炭酸カルシウム等と共に、酸化チタンを配合した系を基材層とし、脂肪族ポリエステル共重合体とポリ乳酸共重合体との組成物を被覆層とする延伸積層フィルムに関する。さらに詳しくは、乳白生分解性フィルムとしての隠蔽性、化粧性、紫外線カット性を備え、低温熱融着性、熱融着強度に優れ、包装用フィルムに好適な延伸積層フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチックフィルムの廃棄処理を容易にする目的で生分解性のあるフィルムが注目され、各種フィルムが開発されて来ている。かかる生分解性フィルムは、土壌中や水中で加水分解や生分解を受け、徐々にフィルムの崩壊や分解が進み、最後には微生物の作用で無害な分解物へと変化するものである。そのようなフィルムとして、芳香族系ポリエステル樹脂やポリ乳酸、ポリブチレンサクシネート等の脂肪族系ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコール、酢酸セルロース、デンプン等から成形したフィルムが知られている。
【0003】
ポリ乳酸延伸フィルムの機械的強度、耐久性、厚み精度を改良する方法としてポリ乳酸に無機充填剤を配合して延伸する方法がある(たとえば、特許文献1参照)。このようにして得られたポリ乳酸延伸フィルムは、上記機械的強度の改良に加えて、隠蔽性、化粧性、紫外線カット性を備えている。しかし得られるフィルムはそのままでは熱融着性(ヒートシール性)がない。
一方、ポリ乳酸二軸延伸フィルムにヒートシール性を付与する方法として、ポリ乳酸からなる二軸延伸フィルムの片面にD−乳酸の含有量が多いポリ乳酸系重合体を積層した二軸延伸フィルム(特開2001−219522公報)が提案されているが、熱融着性は付与されるものの、低温ヒートシール性は不十分である。(特許文献2)
【0004】
【特許文献1】特許第3380407号公報(請求項1)
【特許文献2】特開2001−219522公報(請求項1、段落0024、実施例1〜4)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、無機充填剤を配合した延伸積層フィルムの特徴である隠蔽性、化粧性、紫外線カット性を損なわずに、低温ヒートシール性、シール強度に優れ、生分解性を有する延伸積層フィルムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち、本発明は、酸化チタンの微粒子を3〜20質量%及び炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、シリカ、マイカおよびカオリンの群から選ばれる1種類以上の微粒子を5〜40質量%の割合で配合されたポリ乳酸からなる組成物(A)からなる基材層(I)の少なくとも片面に、融点(Tm)が80〜120℃、結晶化温度(Tc)が35〜75℃及び(Tm)−(Tc)が35〜55℃の範囲にある、脂肪族または脂環式ジカルボン酸成分(b1)、脂肪族または脂環式ジヒドロキシ化合物成分(b2)及び2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分(b3)からなる
脂肪族ポリエステル共重合体(B)97〜5質量%及びポリ乳酸共重合体(C)3〜95質量%
との脂肪族ポリエステル組成物(D)((B)と(C)の合計は100質量%である。)からなる被覆層(II)が積層されており、少なくとも一軸方向に延伸されてなることを特徴とするポリ乳酸系延伸積層フィルムに関する。
【発明の効果】
【0007】
本発明のポリ乳酸系延伸積層フィルムは無機微粒子を配合した延伸積層フィルムの特徴である隠蔽性、化粧性、紫外線カット性を損なわずに、低温ヒートシール性、シール強度に優れ、生分解性を有し、包装用フィルムとして好適に使用し得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明のポリ乳酸系延伸積層フィルムは、基材層(I)の少なくとも片面に、好ましくは両面に被覆層(II)が積層され、少なくとも一軸方向、好ましくは二軸方法に延伸されたポリ乳酸系延伸積層フィルムである。以下に、基材層(I)、被覆層(II)について説明する。
基材層(I)
本発明にかかる基材層(I)は、特定の微粒子が配合されたポリ乳酸の組成物(A)から構成されている。配合される微粒子は酸化チタンの微粒子が3〜20質量%、好ましくは5〜15質量%、及び炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、シリカ、マイカおよびカオリンの群から選ばれる1種類以上の微粒子が5〜40質量%、好ましくは10〜30質量%である。
【0009】
酸化チタンは白色を発色するために用いられる。この配合量が3質量%未満では得られる延伸フィルムの白色発色が不十分で隠蔽性に劣るおそれがある。
また、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、シリカ、マイカおよびカオリンの群から選ばれる1種類以上の微粒子は、ポリ乳酸との界面に剥離を起こし、ボイドを形成するのに用いられる。
これらの酸化チタン以外の微粒子の割合が5質量%未満では延伸時におけるボイドの形成が充分でなく、30質量%より多いと得られる延伸フィルムが脆くなるおそれがある。
また、酸化チタンの平均粒径は0.1〜1μm、中でもは0.15〜0.5μmが好適である。0.1μm未満ではハンドリングが悪く混練時に不均一を起こすおそれがあり、1μmより大きいと得られる延伸フィルムの白色発色が不十分で隠蔽性に劣るおそれがある。
【0010】
酸化チタン以外に配合される微粒子は、炭酸カルシウムまたは硫酸バリウム、タルク、シリカ、マイカ及びおおびカオリンからなる群から選ばれる1種類以上の微粒子である。これらの平均粒径は0.3〜12μmが好ましい。平均粒径が0.3μm未満では延伸時におけるボイドの形成が充分でなく、12μmより大きいと凝集し押出機のメッシュで目詰まりするおそれがある。
【0011】
ポリ乳酸
基材層(I)の組成物(A)に用いられるポリ乳酸は、D−乳酸若しくはL−乳酸の含有量が5質量%未満、好ましくは3質量%未満で、融点が150〜170℃、好ましくは160〜170℃の範囲のものである。このようなポリ乳酸としては、D−乳酸若しくはL−乳酸以外に、乳酸と共重合可能なコモノマーとしては、例えば3−ヒドロキシブチレート、カプロラクトン、グリコール酸などを共重合したものであってもよい。ポリ乳酸としては、MFR(ASTM D−1238による、荷重2160g、温度190℃)が通常、0.1〜100g/10分、好ましくは1〜50g/10分、特に好ましくは2〜10g/10分のものが使用される。
【0012】
これらポリ乳酸の重合法としては、縮合重合、開環重合法など公知のいずれの方法を採用することができる。例えば、縮合重合ではL−乳酸またはD−乳酸あるいはこれらの混合物を直接脱水縮合重合して任意の組成を持ったポリ乳酸を得ることができる。
【0013】
酸化チタン
基材層(I)の組成物(A)に配合される酸化チタンは、その結晶形からアナタース型、ルチル型、ブルカイト型に分類され、これらのいずれも使用することができる。また、平均粒径は0.1〜1μm、中でも0.15〜0.5μmであることが好ましい。また、ポリ乳酸への分散性を工場させるために、表面をアルミナ、シリカ、酸化亜鉛等の酸化物で被覆したり、脂肪族ポリオール等で表面処理を施したものを用いることができる。市販品として、タイペーク〔石原産業(株)製、商品名〕、タイトン〔堺化学工業(株)製、商品名〕等が挙げられる。
基材層(I)に配合される炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、シリカ、マイカおよびカオリンの群から選ばれる1種類以上の微粒子について以下に説明する。
炭酸カルシウム
炭酸カルシウムは、結晶形として、カルサナイト、アラゴナイト、バテライトのいずれも使用でき、平均粒径として0.3〜6μmのものが好ましく用いられる。市販品として、NCC〔日東粉化工業(株)製、商品名〕、サンライト〔竹原化学(株)製、商品名〕等が挙げられる。
【0014】
硫酸バリウム
硫酸バリウムは、重晶石から化学反応により製造した沈降性硫酸バリウムで、平均粒径が0.1〜2μmのものを用いることができる。市販品としては、沈降性硫酸バリウムTH、沈降性硫酸バリウムST〔バライト工業(株)製、商品名〕等が挙げられる。
【0015】
タルク
タルクは、天然に産出する含水ケイ酸マグネシウムで、平均粒径が0.1〜10μmのものを用いることができる。市販品として、PK、LMS〔富士タルク工業(株)製、商品名〕等が挙げられる。
シリカ
シリカは、天然または合成で得られるケイ酸で、平均粒径1〜12μmのものを用いることができる。市販品としては、サイリシア〔富士シリシア化学(株)製、商品名〕、ヒューズレックスクリスタライト〔タツモリ(株)製、商品名〕等が挙げられる。
マイカ
天然マイカや合成マイカなどのいずれも使用することができる。
【0016】
カオリン
カオリンは、天然に産出する含水ケイ酸アルミニウムで、平均粒径が0.5〜10μmのものを用いることができる。また、結晶水を除去したタイプも使用できる。市販品として、NNカチオンクレー〔土屋カチオン工業(株)製、商品名〕、ASP、サテントン〔エンゲルハルト(株)製、商品名〕等が挙げられる。
なお、基材層(I)を構成する組成物(A)は、ポリ乳酸と共に、酸化チタンとそれ以外の無機微粒子を、ヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーミキサー等で混合する方法、混合後更に単軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー等で溶融混練する方法等により得られる。
【0017】
被覆層(II)
本発明の被覆層(II)は、脂肪族ポリエステル共重合体(B)とポリ乳酸共重合体(C)を含む脂肪族ポリエステル組成物(D)からなる。
脂肪族ポリエステル共重合体(B)
脂肪族ポリエステル共重合体(B)は、融点(Tm)が80〜120℃、好ましくは80〜115℃、結晶化温度(Tc)が35〜75℃、好ましくは37〜73℃及び(Tm)−(Tc)が30〜55℃、好ましくは35〜50℃の範囲にある共重合体である。
また、脂肪族ポリエステル共重合体(A)は、脂肪族または脂環式ジカルボン酸成分(a1)、脂肪族または脂環式ジヒドロキシ化合物成分(a2)及び2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分(a3)からなる。
【0018】
脂肪族ポリエステル共重合体(B)の融点(Tm)が80℃未満では、得られるフィルムを被覆層として用いるには融点が低過ぎ、二軸延伸後の熱固定工程で溶融し、その後再結晶する際に表面光沢が失われグロスが低下するおそれがある。また、包装用フィルムとして用いた場合、べたつくおそれがあり、包装適性にも劣るおそれがある。
一方、融点(Tm)が120℃を越えと、熱融着する際の融解する温度が高くなり、ヒートシール性が劣る虞がある。
また、脂肪族ポリエステル共重合体(B)の結晶化温度(Tc)が35℃未満では、結晶化温度が低過ぎ、かかる共重合体を被覆層として含む積層フィルムの延伸原反をキャスト成形で得ようとしても、通常の冷却温度(5〜30℃)では完全に固化せず、得られる延伸原反にニップロール等の押し跡が転写したり、冷却ロールから容易に剥がれず、外観に劣るフィルムとなるおそれがある。
【0019】
さらに、脂肪族ポリエステル共重合体(B)の(Tm)−(Tc)が30℃未満では、得られるフィルムは透明性、ヒートシール性(特にヒートシール強度)に劣るおそれがある。
このような脂肪族ポリエステル共重合体(B)は、好ましくは2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分(a3)の含有量が0.1〜25モル%、より好ましくは1〜10モル%〔脂肪族または脂環式ジカルボン酸成分(a1)、脂肪族または脂環式ジヒドロキシ化合物成分(a2)及び2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分(a3)で、脂肪族または脂環式ジカルボン酸成分(a1)と脂肪族または脂環式ジヒドロキシ化合物成分(a2)モル数量は実質的に等しく、脂肪族または脂環式ジカルボン酸成分(a1)、脂肪族または脂環式ジヒドロキシ化合物成分(a2)及び2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分(a3)のモル数量の合計を100モル%とする。〕の範囲にある。
本発明に係わる脂肪族ポリエステル共重合体(B)のメルトフローレート(MFR:ASTM D−1238、190℃、荷重2160g)は、フィルム形成能がある限り特に限定はされないが、通常0.1〜100g/10分、好ましくは0.2〜50g/10分、さらに好ましくは0.5〜20g/10分の範囲にある。
【0020】
脂肪族または脂環式ジカルボン酸成分(b1)
本発明に係わる脂肪族ポリエステル共重合体(B)を構成する成分である脂肪族または脂環式ジカルボン酸成分(b1)は、特に限定はされないが、通常、脂肪族ジカルボン酸成分は2〜10個の炭素原子(カルボキシル基の炭素も含めて)、好ましくは4〜6個の炭素原子を有する化合物であり、線状であっても枝分れしていてもよい。脂環式ジカルボン酸成分は、通常、7〜10個の炭素原子、特に8個の炭素原子を有するものが好ましい。
また、脂肪族または脂環式ジカルボン酸成分(b1)は、2〜10個の炭素原子を有する脂肪族ジカルボン酸を主成分とする限り、より大きい炭素原子数、例えば30個までの炭素原子を有するジカルボン酸成分を含むことができる。
【0021】
これらの脂肪族または脂環式ジカルボン酸成分(b1)としては、具体的には、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、フマル酸、2,2−ジメチルグルタル酸、スベリン酸、1,3−シクロペンタジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、ジグリコール酸、イタコン酸、マレイン酸および2,5−ノルボルナンジカルボン酸等のジカルボン酸、かかるジカルボン酸のジメチルエステル、ジエチルエステル、ジ−n−プロピルエステル、ジ−イソプロピルエステル、ジ−n−ブチルエステル、ジ−イソブチルエステル、ジ−t−ブチルエステル、ジ−n−ペンチルエステル、ジ−イソペンチルエステルまたはジ−n−ヘキシルエステル等のエステル形成誘導体を例示できる。
これら、脂肪族または脂環式ジカルボン酸あるいはそのエステル形成誘導体は、単独かまたは2種以上からなる混合物として使用することもできる。
脂肪族または脂環式ジカルボン酸成分(b1)としては、特に、コハク酸またはそのアルキルエステルまたはそれらの混合物が好ましい。
【0022】
脂肪族または脂環式ジヒドロキシ化合物成分(b2)
脂肪族ポリエステル共重合体(B)を構成する成分である脂肪族または脂環式ジヒドロキシ化合物成分(b2)は、特に限定はされないが、通常、脂肪族ジヒドロキシ化合物成分であれば、2〜12個の炭素原子、好ましくは4〜6個の炭素原子を有する枝分かれまたは線状のジヒドロキシ化合物、脂環式ジヒドロキシ化合物成分であれば、5〜10個の炭素原子を有する環状の化合物が挙げられる。
これら脂肪族または脂環式ジヒドロキシ化合物成分(b2)としては、具体的には、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−イソブチル−1,3−プロパンジオール、2,2,4−トリメチル−1,6−ヘキサンジオール、とくには、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール及び2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール(ネオペンチルグリコール);シクロペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノール、1,4−シクロヘキサンジメタノール及び2,2,4,4−テトラメチル−1,3−シクロブタンジオール類及びジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びポリオキシエチレングリコール等のポリオキシアルキレングリコール並びにポリテトラヒドロフラン等が例示でき、特には、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びポリオキシエチレングリコール又はこれらの混合物又は異なる数のエーテル単位を有する化合物が挙げられる。脂肪族または脂環式ジヒドロキシ化合物成分は、異なる脂肪族または脂環式ジヒドロキシ化合物の混合物も使用することができる。
脂肪族または脂環式ジヒドロキシ化合物成分(b2)としては1,4−ブタンジオールが好ましい。
【0023】
2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分(b3)
脂肪族ポリエステル共重合体(B)を構成する成分である2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分(b3)は、特に限定はされないが、通常、1〜10個の炭素原子を有する枝分かれまたは線状の二価脂肪族基を有する化合物が挙げられる。
かかる2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分(b3)としては、具体的には、例えば、グリコール酸、L−乳酸、D−乳酸、D,L−乳酸、2−メチル乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、ヒドロキシピバリン酸、ヒドロキシイソカプロン酸、ヒドロキシカプロン酸等、かかる2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸のメチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、ブチルエステル、シクロヘキシルエステル等の2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸エステル形成誘導体を挙げることができる。
【0024】
本発明における脂肪族ポリエステル共重合体(B)は種々公知の方法で製造し得る。具体的な重合方法としては、例えば、特開平8−239461号公報、特開平9−272789号公報に記載されている。又、本発明に係る脂肪族・芳香族ポリエステル(A)としては、例えば、三菱化学株式会社からGS Pla(商品名)として製造・販売されている。
【0025】
ポリ乳酸共重合体(C)
本発明に係わるポリ乳酸共重合体(C)は、D−乳酸を7〜30質量%、好ましくは8〜25質量%含むD−乳酸とL−乳酸の共重合体である。
D−乳酸の含有量が7質量%未満のものは、得られる二軸延伸フィルムの低温ヒートシール性が損なわれるおそれがあり、一方、30重量%を超えるものは成形性が劣るお傾向にある
【0026】
なお、ポリ乳酸共重合体(C)におけるD−乳酸含有量は、クロムバック社製ガスクロマトグラフCP CYCLODEX B 236Mを用いて測定した値である。
ポリ乳酸共重合体(C)は、好ましくはガラス転移点温度(Tg)が58℃未満、更に好ましくは、57.5〜50℃の範囲にある。
ポリ乳酸共重合体(C)の重量平均分子量はフィルム成形能がある限り特に限定はされないが、MFR(ASTM D−1238による、荷重2160g、温度190℃)が、通常、0.1〜100g/10分、好ましくは1〜50g/10分、特に好ましくは2〜10g/10分のものが使用される。
【0027】
脂肪族ポリエステル組成物(D)
脂肪族ポリエステル組成物(D)は、前記の脂肪族ポリエステル共重合体(B)97〜5質量%、好ましくは90〜25質量%、更に好ましくは85〜55質量%と、ポリ乳酸共重合体(C)3〜95質量%、好ましくは10〜75質量%、更に好ましくは15〜45質量%との組成物(脂肪族ポリエステル共重合体(B)とポリ乳酸共重合体(C)の合計を100質量%とする)である。
ポリ乳酸共重合体(C)の量が3質量%未満の組成物(D)を積層フィルムの被覆層(II)に用いた場合には、組成物(A)からなる基材層(I)と組成物(D)からなる被覆層(II)との接着性に劣ることから、充分なヒートシール強度が得られないおそれがある。
【0028】
一方、ポリ乳酸共重合体(C)の量が95質量%を超える組成物は二軸延伸積層フィルムの被覆層(II)に用いても低温シール性、シール強度が改良されないおそれがある。
組成物(D)中のポリ乳酸共重合体(C)の量を15〜45質量%の範囲にした脂肪族ポリエステル組成物を被覆層(II)に用いると、特に透明性、グロス、低温ヒートシール性(低温熱融着性)、ヒートシール強度に優れた二軸延伸積層フィルムが得られる。
脂肪族ポリエステル組成物(D)は、脂肪族ポリエステル共重合体(B)及びポリ乳酸共重合体(C)を夫々上記範囲でヘンシェルミキサー、V−ブレンダー、リボンブレンダー、タンブラーミキサー等で混合する方法、混合後更に単軸押出機、多軸押出機、バンバリーミキサー等で溶融混練する方法等により得られる。
【0029】
本発明の脂肪族ポリエステル組成物(D)には、脂肪族ポリエステル共重合体(B)及びポリ乳酸共重合体(C)を夫々別個に、あるいは組成物(D)を製造する際に、本発明の目的を損なわない範囲で、通常用いられる酸化防止剤、耐候安定剤、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、スリップ剤、耐光安定剤、紫外線吸収剤、蛍光増白剤、抗菌剤、核剤、無機化合物あるいは有機化合物充填材等の添加剤を必要に応じて配合することができる。
また、組成物(A)にも、上記添加剤を必要に応じて配合することができる。例えば、組成物(D)にシリカを0〜1質量%の割合で配合することが望ましい。
【0030】
ポリ乳酸系延伸積層フィルム
本発明のポリ乳酸系延伸積層フィルムは、組成物(A)からなる基材層(I)とその少なくとも片面に積層された組成物(D)からなる被覆層(II)からなり、少なくとも一軸方向、好ましくは二軸方法に延伸された延伸積層フィルムである。延伸は少なくとも一軸方法に1.3〜5倍程度が好適である。
以下、本発明のポリ乳酸系二軸延伸積層フィルムについて説明する。
本発明のポリ乳酸系二軸延伸積層フィルムは、組成物(A)からなる基材層(I)の少なくとも片面に、脂肪族ポリエステル組成物(D)からなる被覆層(II)を有してなる二軸延伸積層フィルムである。本発明の二軸延伸積層フィルムは、隠蔽性、化粧性、紫外線カット性に優れ、且つ表面には、脂肪族ポリエステル組成物(D)から得られる被覆層(II)を有することにより、低温ヒートシール性、シール強度を有する。
ポリ乳酸系二軸延伸積層フィルムの基材層(I)、被覆層(II)の厚さは用途に応じて種々決めることができる。通常は基材層(I)の厚さが5〜500μm、好ましくは10〜200μm、被覆層(II)の厚さが0.1〜10μm、好ましくは0.3〜5μmの範囲にあり、二軸延伸積層フィルムの厚さは5〜500μm、好ましくは10〜200μmの範囲にある。
【0031】
本発明のポリ乳酸系二軸延伸積層フィルムの製造方法として、例えばは以下がある。
すなわち、基材層(I)の組成物(A)と被覆層(II)の組成物(D)を用いて共押出し成形した積層シートを、公知の同時二軸延伸法あるいは逐次二軸延伸法等の二軸延伸成形によりポリ乳酸系二軸延伸積層フィルムとする方法がある。
二軸延伸の条件は、基材層(I)を延伸し得る条件、例えば、逐次二軸延伸法では、縦方向の延伸温度を60〜100℃、延伸倍率を2〜6倍の範囲、横方向の延伸温度を60〜120℃とし、延伸倍率を2〜12倍の範囲にすることが望ましい。
また、同時二軸延伸法では、延伸温度を60〜120℃、延伸倍率を2〜12倍(面倍率で4〜150倍)の範囲にすることが望ましい。
【0032】
二軸延伸後は二軸延伸積層フィルムの用途に応じて種々条件でヒートセット(熱処理)を行うことにより、得られる二軸延伸積層フィルムの熱収縮率を任意の範囲、例えば80℃、15分の条件下における縦方向の熱収縮率を1〜5%、横方向の熱収縮率を5〜10%の範囲に、また100℃、15分の条件下における縦方向の熱収縮率を5〜15%、横方向の熱収縮率を10〜20%の範囲にすることができる。
ポリ乳酸系二軸延伸積層フィルムを製造する方法としては前記共押出し積層シートを延伸せずに、予め前記方法で組成物(A)を用いて二軸延伸フィルムを製造した後、かかる二軸延伸フィルムの基材層(I)の片面あるいは両面に組成物(D)を押出し被覆する方法(押出しラミ法)、あるいは予め脂肪族ポリエステル組成物(D)からなるフィルムを得た後、二軸延伸フィルム基材層(I)と貼り合せる方法(ラミ法)をとり得るが、共押出し積層シートを延伸する方法が、押出しラミ法と比べると一工程で多層にできるのでコストが安く、またラミ法に比べても加工工程が少なく、また熱融着層を例えば0.5〜2μmという厚みまで薄くできるので好ましい。
【0033】
また、二軸延伸積層フィルムを得た後、熱処理を行わないか、あるいは熱処理の条件を種々選択することにより、熱収縮性を備えたポリ乳酸系二軸延伸積層フィルムあるいは熱収縮性を抑えたポリ乳酸系二軸延伸積層フィルムを得ることができる。
【0034】
オーバーラップ包装用フィルム
本発明のポリ乳酸系二軸延伸積層フィルムは、オーバーラップ包装用フィルムとして好適である。本発明のオーバーラップ包装用フィルムは、隠蔽性、化粧性、紫外線カット性に優れ、且つ両表面に、脂肪族ポリエステル組成物(D)から得られる被覆層(II)を有しているので、両表面が低温ヒートシール性、ヒートシール強度を有している。
【0035】
本発明のオーバーラップ包装用フィルムは、さらに運搬に耐え得る耐衝撃性も有しているので、従来のポリオレフィンフィルムからなるオーバーラップ包装用フィルムが用いられている用途、例えば、冷凍食品及びチョコレート、ガム、キャンデー等の菓子類、化粧品等の嗜好品、カセットテープ、ビデオテープ、CD、CDR、DVD、ゲームソフト等の記録材料、およびそれらの集積包装材料等の、箱物包装の包装用フィルムとして好適に使用できる。
【0036】
本発明のポリ乳酸系二軸延伸積層フィルムは、前記用途に限らず、例えば、ラーメン、うどん、そば、焼きそば等の即席カップ麺食品、ヨーグルト、プリン、ゼリー等の乳酸菌飲料のような飲料デザート類カップ食品の個別あるいは複数個等の包装用フィルムに限らず、エアゾール製品、インテリア製品の一般シュリンク包装、缶・瓶詰飲料、調味料などの集積シュリンクパックや、プラスチック容器、ガラス瓶などの胴張りシュリンクラベル、ワイン、ウイスキー等の瓶のキャップシール等、種々の包装用フィルム等に用いることができる。
【実施例】
【0037】
次に実施例により本発明を説明する。
実施例及び比較例等で使用した原料は次の通りである。
(イ)ポリ乳酸(PLAC−A)
D−乳酸含有量:1.9質量%、MFR(温度190℃、荷重2160g):6.7g/10分、融点(Tm):168.0℃、Tg:59.8℃、
密度:1.3g/cm
(ロ)炭酸カルシウム
日東粉化化学工業株式会社製 NCC410
比表面積:13,000(cm/g)、平均粒径:1.71(μm)、比重:2.7
(ハ)酸化チタン
石原産業株式会社製 タイペークPF739
比表面積:10(m/g)、平均粒径:0.21(μm)、比重:4.2
(ニ)シリカ
富士シリシア化学社製、商品名サイリシア730(平均粒径3μm)
(ホ)エルカ酸アミド
チバスペシャリティケミカルズ社製、商品名ATMER SA1753
【0038】
(ヘ)脂肪族ポリエステル共重合体(B)
(i)コハク酸・1,4−ブタンジオール・乳酸ポリエステル共重合体(B−1)
三菱化学社製、商品名 GS−Pla AZ91T MFR(190℃、荷重2160g):4.5g/10分、融点(Tm):108.9℃、結晶化温度(Tc):68.0℃、(Tm)−(Tc):40.9℃、密度:1.3(1.25)g/cm
(ii)コハク酸・1,4−ブタンジオール・ポリエステル共重合体(B−2)
昭和高分子社製、商品名 ビオノーレ#1001 MFR(190℃、荷重2160g):1.5g/10分、融点(Tm):112.6℃、結晶化温度(Tc):86.8℃、(Tm)−(Tc):17.7℃、密度:1.3(1.26)g/cm
(ト)ポリ乳酸共重合体(PLAC−B):
D−乳酸含有量:12.6質量%、MFR(温度190℃、荷重2160g):2.6g/10分、融点(Tm):なし、Tg:56.9℃、密度:1.3g/cm
【0039】
本発明における各種測定方法は以下のとおりである。
(1)光学特性
日本電色工業社製ヘイズメーター300Aを用いて、ヘイズ(HZ:%)、平行光線透過率(PT:%)及びグロス(%)を測定した。測定値は5回の平均値である。
(2)引張り試験
試験片として、フィルムから縦方向(MD)及び横方向(TD)に短冊状フィルム片(長さ:150mm、幅:15mm)を切出し、引張り試験機(オリエンテック社製テンシロン万能試験機RTC-1225)を用い、チャック間距離:100mm、クロスヘッドスピード:300mm/分(但し、ヤング率の測定は5mm/分)の条件で引張試験を行い、破断点における強度(MPa)、伸び(%)、ヤング率(MPa)を求めた。なお、伸度(%)はチャック間距離の変化とした。測定値は5回の平均値である。
【0040】
(3)ヒートシール強度
ポリ乳酸系二軸延伸フィルムの熱融着層面同士を重ね合わせた後に、厚さ12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ社製 商品名 ルミラー)で挟み、テスター産業株式会社製TP−701−B HEATSEALTESTERを用いて、所定の温度で、シール面圧:1kg/cm、時間:0.5秒の条件下で熱融着した。
尚、加熱は上側のみとした。次いで、熱融着した二軸延伸積層フィルムから幅:15mmの試験片を切出し、引張り試験機(オリエンテック社製テンシロン万能試験機RTC-1225)を用いて300mm/分の引張り速度で剥離し、その最大強度を熱融着強度とした。
【0041】
実施例1
<基材層(I)用の組成物(A1)の製造>
PLAC−A:炭酸カルシウム:酸化チタンを70:20:10(質量%の比率)で計量し、二軸押出機を用いて180℃で溶融混練し、組成物(A1)を得た。
<被覆層用の組成物(D1)の製造>
B−1:PLAC−Bを90:10(質量%の比率)で計量し、この混合物100質量部に、平均粒径3μmのシリカ(商品名サイリシア730、富士シリシア化学(株)製)を0.1質量部加え、一軸押出機を用いて180℃で溶融混練して組成物(D1)を得た。
<延伸フィルムの製造>
また、組成物(A1)、組成物(D1)をそれぞれ一軸押出機を用いて、200℃でマルチマニホールド式のT−ダイより200℃で押出して組成物(A1)を基材層(I)とし、さらに組成物(D1)を基材層(I)の両面の被覆層として2種3層の積層フィルムとした。
被覆層/基材層(I)/被覆層を10/80/10の厚み比率となるように溶融樹脂の吐出量を調整した。
【0042】
この溶融押出した共押出シート(400μ)を30℃のキャスティングロールで急冷し、設定温度65℃でMD方向に3.0倍延伸し、次に68℃でTD方向に3.0倍の逐時延伸を行った。更に165℃で雰囲気中で6秒間ヒートセットし、総厚さ45μm(基材層35μm、被覆層各5μm)の三層構成の二軸延伸積層フィルムを得た。フィルムの評価結果を表1に示す。
【0043】
実施例2、比較例1〜5
表1に示す組成の被覆層を用いた他は、実施例1と同様にして、二軸延伸積層フィルムを成形し、物性を評価した。結果を表1に示す。
【0044】
【表1】

【0045】
表1から明らかなように、被覆層として(Tm)−(Tc):40.9℃であるポリエステル共重合体(B−1)とポリ乳酸共重合体(PLAC−B)の組成物を用いた場合(実施例1、2)はヒートシール性に優れた二軸延伸積層フィルムとなる。
一方、被覆層としてポリエステル共重合体(B−1)単体を用いた場合(比較例1)は実施例に比べてヒートシール強度が劣っている。また被覆層としてポリ乳酸共重合体(PLAC−B)単体を用いた場合(比較例2)は、実施例に比べてシール開始温度が高く、シール強度も低く、ヒートシール性に劣ることは明らかである。
更に、ポリエステル共重合体(B−1)に代えて(Tm)−(Tc):17.7℃であるポリエステル共重合体(B−2)を用いた場合(比較例3〜5)は基材層と被覆層の層間強度が小さいためヒートシール強度が小さく、ヒートシール性が劣ることは明らかである。特にポリエステル共重合体(B−2)単体を用いた比較例3は延伸後既に基材層と被覆層の間で剥離を起こしており、多層フィルムの体をなしていなかった。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明の微粒子を配合したポリ乳酸系延伸積層フィルムは、隠蔽性、化粧性、紫外線カット性に優れ、且つヒートシール性を有するので、従来のポリオレフィンフィルムからなる包装用フィルムと同様に包装用フィルムとして好適に使用し得る。
それに加え、本発明のポリ乳酸系延伸積層フィルムは、ポリ乳酸本来の生分解性も有するので、使用済みの包装材料は、食品等の分解される非包装物が付着していてもコンポストとして、ごみの回収、処理が容易になる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化チタンの微粒子を3〜20質量%及び炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、シリカ、マイカおよびカオリンの群から選ばれる1種類以上の微粒子を5〜40質量%の割合で配合されたポリ乳酸からなる組成物(A)からなる基材層(I)の少なくとも片面に、融点(Tm)が80〜120℃、結晶化温度(Tc)が35〜75℃及び(Tm)−(Tc)が35〜55℃の範囲にある、脂肪族または脂環式ジカルボン酸成分(b1)、脂肪族または脂環式ジヒドロキシ化合物成分(b2)及び2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分(b3)からなる脂肪族ポリエステル共重合体(B)97〜5質量%、及びポリ乳酸共重合体(C)3〜95質量%との脂肪族ポリエステル組成物(D)((B)と(C)の合計は100質量%である。)からなる被覆層(II)が積層されており、少なくとも一軸方向に延伸されてなることを特徴とするポリ乳酸系延伸積層フィルム。
【請求項2】
脂肪族ポリエステル共重合体(B)を構成する2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分(b3)が同共重合体(B)に0.1〜25モル%の割合で含まれる〔ただし、脂肪族または脂環式ジカルボン酸成分(b1)、脂肪族または脂環式ジヒドロキシ化合物成分(b2)及び2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分(b3)で、脂肪族または脂環式ジカルボン酸成分(b1)と脂肪族または脂環式ジヒドロキシ化合物成分(b2)のモル数量は実質的に等しく、脂肪族または脂環式ジカルボン酸成分(b1)、脂肪族または脂環式ジヒドロキシ化合物成分(b2)及び2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分(b3)のモル数量の合計を100モル%とする。〕ことを特徴とする請求項1記載のポリ乳酸系延伸積層フィルム。
【請求項3】
2官能脂肪族ヒドロキシカルボン酸成分(b3)が、乳酸である請求項1または2に記載のポリ乳酸系延伸積層フィルム。
【請求項4】
ポリ乳酸共重合体(C)が、D−乳酸を7〜30質量%とL−乳酸を93〜70質量%(D−乳酸とL−乳酸の合計は100質量%である。)の共重合体である請求項1〜3の何れかに記載のポリ乳酸系延伸積層フィルム。
【請求項5】
基材層(I)の両面に被覆層(II)を有する請求項1ないし4のいずれかに記載のポリ乳酸系延伸積層フィルム。
【請求項6】
組成物(B)と組成物(D)をそれぞれ基材層(I)と被覆層(II)として共押出し成形して得られる積層シートを、少なくとも一軸方向に延伸することを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載のポリ乳酸系延伸積層フィルムの製造方法。

【公開番号】特開2006−192806(P2006−192806A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−8393(P2005−8393)
【出願日】平成17年1月14日(2005.1.14)
【出願人】(000220099)東セロ株式会社 (177)
【Fターム(参考)】