説明

ポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法

【課題】 流動性および熱安定性に優れ、なおかつ残留ラクチドの低いポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法を提供する。
【解決手段】 色度測定におけるL値が65.0〜72.0かつ比重1.252〜1.257であるポリ乳酸系樹脂成形体を有機溶剤と接触させる工程(B)を有し、比重1.263〜1.268かつ残モノマー量0.8重量%以下であるポリ乳酸系樹脂成形体を得るポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱安定性に優れたポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ乳酸系樹脂は、自然環境下で分解され、最終的には微生物などにより水と炭酸ガスになる生分解性を有している。そのため、近年環境への意識が高まっているため、注目されている。
【0003】
ポリ乳酸系樹脂の製造方法としては、乳酸、グリコール酸のようなヒドロキシを原料とし、脱水二量化し一旦環状二量体を得た後、Sn系などの触媒存在下で開環溶融重合してポリ乳酸系樹脂を製造し、次いで冷却固化してペレットやフレーク等の形態に成形する製造方法が知られている。このような製造方法をとった場合、重合時に使用した触媒が活性を保ったまま樹脂成形体中に残存し、またモノマーである環状二量体が樹脂成形体に残存する。樹脂成形体中に残存した環状二量体は加水分解によって酸性物質へと変化し、ポリ乳酸系樹脂の加水分解を促進するので、環状二量体が多く含まれている樹脂成形体は熱安定性が低く、その使用用途に大きな制約を受ける。また、樹脂成形体中に残存する触媒が活性を保った状態であると、解重合反応による環状二量体の生成が進行するので、樹脂成形体の熱安定性は低く、その使用用途に大きな制約を受ける。
【0004】
一方、これに対して前記した種類の触媒を用いずにポリ乳酸系樹脂を得る方法が幾つか開示されている。たとえば特許文献1が開示されているが、いずれも得られるポリマーの重量平均分子量は5000〜30000と低く、機械物性及び化学的・物理的性能が不十分なため、その使用用途は著しく制約される。前記したように、十分な分子量を有するポリ乳酸系樹脂の製造においては、製造後に精製をしない限り、活性を保ったままの触媒や環状二量体の混入が避けられないのが現状である。
【0005】
これに対してポリ乳酸系樹脂中の触媒を除去する精製方法に関して幾つかの方法が開示されている。例えば、触媒を含むポリマーを一旦水不混和性有機溶剤に溶解した後、無機酸、水溶性有機酸又は水溶性錯化剤を含む水性層又は水と接触させ、該有機層を分離した後ポリマーを公知の方法で取り出す方法(特許文献2)、該ポリマーを良溶媒に溶解し、沈殿剤を加えることによって生成を行う方法(特許文献3)が知られている。また、ポリ乳酸系樹脂を溶媒に溶解する工程を経ない精製方法としては、有機溶媒と酸性水溶液を混合してペレットのまま洗浄を行う方法(特許文献4)、酸性物質を含まない有機溶剤により洗浄処理を行う方法(特許文献5)が知られている。しかしこれらの方法は工業的に以下の問題点がある。
【0006】
特許文献2においては、有機溶媒に溶解したポリマー溶液と無機酸等の水性層との混合後の分液性が悪く、ポリマーの析出単離が困難である問題点がある。特許文献3においては、析出と同時に精製を行う方法であるが、特殊な設備を必要とする等の問題がある。特許文献4においては触媒の洗浄に強酸を使用するため、酸で腐食しない処理を施した特殊な設備を必要とする問題がある。また、特許文献5においては残存モノマーや残存触媒の他に熱安定性、光安定剤といった各種安定剤まで除去されてしまうため熱安定性が低下し、ポリマーの成型時に熱安定剤をさらに添加しないといけない問題や、洗浄には有機溶剤のみを使用しているため、洗浄を行うペレットが有機溶剤によって膨潤しブロッキングをおこし、釜の内部で攪拌ができない状態となり、取り出しができないといった工業的な問題がある。
【0007】
また、特許文献6においても有機溶剤のみを用いてポリ乳酸系樹脂を精製する方法が提案されているが、この工程において使用されるポリ乳酸系樹脂は精製中の軟化を防ぐために結晶化が進んでいる。結晶化が進行した樹脂は有機溶剤が浸透しにくくなるため、精製のためにはTg以上の高温で有機溶剤と接触させる必要がある。そのため安全性やエネルギー利用の観点から工業的に有利とはいえない方法であった。
【0008】
このようにいずれの方法においても、ポリマー中の触媒を除去するためには特殊な設備が必要な場合や有機溶剤による膨潤といった問題があり、今日まで必ずしも満足する精製方法はなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭61−28521号公報
【特許文献2】特開昭63−145327号公報
【特許文献3】特開昭63−254128号公報
【特許文献4】特開平7−102053号公報
【特許文献5】特開平9−110967号公報
【特許文献6】特開2008−260893号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、流動性および熱安定性に優れ、なおかつ残留ラクチドの低いポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、前記の課題を解決するため鋭意研究した結果、特定の条件で熱処理工程を実施した後に有機溶剤と樹脂成形体を接触させれば前記課題が解決されることを見出し、本発明に到達した。
【0012】
すなわち、本発明の要旨は下記の通りである。
(1) 色度測定におけるL値が65.0〜72.0かつ比重1.252〜1.257であるポリ乳酸系樹脂成形体を有機溶剤と接触させる工程(B)を有し、比重1.263〜1.268かつ残モノマー量0.8重量%以下であるポリ乳酸系樹脂成形体を得るポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法。
(2) 前記色度測定におけるL値が65.0〜72.0かつ比重1.252〜1.257であるポリ乳酸系樹脂成形体が、色度測定におけるL値が45.0〜64.9かつ比重1.252〜1.257であるポリ乳酸系樹脂成形体を熱処理する工程(A)により得られたものである(1)に記載のポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法。
(3) 前記工程(A)の前後のポリ乳酸系樹脂成形体の比重の変化が0.002以下である(2)に記載のポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法。
(4) 前記有機溶剤がケトン類、酢酸アルキルまたはそれらの混合物である(1)〜(3)いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法。
(5) 比重が1.263〜1.268の範囲であり、かつ残モノマー量が0.8重量%以下であるポリ乳酸系樹脂成形体。
【発明の効果】
【0013】
本発明の製造方法により、流動性および熱安定性に優れ、なおかつ残留ラクチドの低いポリ乳酸系樹脂成形体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明におけるポリ乳酸系樹脂成形体とは、本発明におけるポリ乳酸樹脂からなる成形体である。ポリ乳酸系樹脂成形体の形状はいかなる形状であってもよいが、例えば円筒状、球状、鱗片状、針状、破砕状であり、ポリ乳酸系樹脂成形体の集合体が流動性を有する。本発明のポリ乳酸系樹脂成形体の典型的な形状として、直径1〜10mm、高さ1〜20mmの略円柱状、直径0.01〜10mmの略球状を挙げることができる。
【0015】
結晶化が進んでいないポリ乳酸系樹脂成形体は、色度測定におけるL値が45.0〜64.9かつ比重が1.252〜1.257の範囲にある。このようなポリ乳酸系樹脂成形体と有機溶剤を接触させると、ポリ乳酸系樹脂成形体の表面が有機溶剤によって膨潤し、ポリ乳酸系樹脂成形体相互がブロッキングを生じる。このため、有機溶剤接触工程以降におけるポリ乳酸系樹脂成形体の集合体は流動性が失われ、取り扱い困難となってしまうとの問題がある。
【0016】
一方、結晶化が進んでいるポリ乳酸形樹脂成形体は、比重1.263〜1.268の範囲にある。このようなポリ乳酸系樹脂成形体と有機溶剤を接触させると、有機溶剤との接触による樹脂の膨潤やブロッキングは起こらないものの、有機溶剤がポリ乳酸系樹脂中に浸透しにくく、ポリ乳酸樹脂成形体の熱安定性を向上させる効果は発揮されない。
【0017】
これに対し、本発明においては、色度測定におけるL値が65.0〜72.0かつ比重1.252〜1.257であるポリ乳酸系樹脂成形体を有機溶剤と接触させる工程(B)を行なう。L値が65.0〜72.0かつ比重1.252〜1.257であるポリ乳酸系樹脂成形体は、その表面はわずかに結晶化しているが、内部はほぼ結晶化していない。このため、有機溶剤と接触させてもポリ乳酸系樹脂成形体相互のブロッキングが発生せず、ポリ乳酸系樹脂成形体の集合体の流動性が維持される。また、成形体表面は結晶化が進んでいるものの成形体内部は結晶化していないので、有機溶剤がポリ乳酸系樹脂成形体の内部まで浸透し、触媒失活効果とラクチド除去効果が効率よく発揮され、熱安定性に優れるポリ乳酸系樹脂成形体が得られる。
【0018】
工程(B)で使用するL値が65.0〜72.0かつ比重1.252〜1.257であるポリ乳酸系樹脂成形体を得る方法は特に限定されないが、例えば、L値が45.0〜64.9かつ比重1.252〜1.257であるポリ乳酸系樹脂成形体を熱処理する工程(A)によって得ることができる。L値が45.0〜64.9かつ比重1.252〜1.257であるポリ乳酸系樹脂成形体は、成形体表面および内部の両方において結晶化が進んでいない状態であり、これに適度な熱処理を加えることにより、ポリ乳酸系樹脂成型品の表面のみ結晶化を進めることができる。工程(A)における熱処理条件は特に限定されないが、例えば80〜150℃程度の温度で30〜180分程度加熱すればよく、その際の雰囲気は空気であっても窒素等の不活性ガスであってもよい。左記範囲の内外において、より高温であればより短時間、より低温であればより長時間の熱処理が必要にある傾向があり、具体的な熱処理条件の設定は、得られるポリ乳酸樹脂成形体のL値と比重を指標に調整すればよい。また、熱処理を均一に進める観点から、雰囲気およびポリ乳酸系樹脂成形体の一方または双方を流動させることが好ましいが、静置状態で熱処理することも差し支えない。
【0019】
本発明において使用する有機溶剤としては、ポリ乳酸系樹脂を溶解しない有機溶剤であれば使用できるが、乾燥のしやすさから沸点が150℃以下であることが好ましい。また、ラクチドの溶解度が高い有機溶剤であることが好ましい。好ましい有機溶剤の例としては、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、トルエン、アセトニトリル、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル等を挙げることができるが、特に限定されない。これらの有機溶剤は単一で使用しても良いし、二種類以上の混合溶剤として使用してもよい。ポリ乳酸系樹脂成形体に浸透しやすく効果が高いという点から、これらの有機溶剤の中でもアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等の酢酸アルキルの使用が特に好ましい。
【0020】
本発明において使用する有機溶剤の水分含有率は100〜10000ppmの範囲であることが好ましい。水分含有率がこれらの範囲の有機溶剤を使用することで、ポリ乳酸系樹脂へのモノマー除去と触媒失活を効率的に行うことができる。水分含有率が100ppm未満の場合はポリ乳酸系樹脂中に含まれるラクチドは除去できるものの、触媒失活効果が不十分となる場合がある。水分含有率が10000ppmを超える場合は、有機溶剤がポリ乳酸系樹脂へ浸透しにくくなるため、ラクチド除去効果が不十分となる場合がある。
【0021】
ポリ乳酸系樹脂成形体と有機溶剤を接触させる温度と時間は特に限定されないが、たとえば常温付近では0.5〜5時間程度の接触により、ポリ乳酸系樹脂成形体の熱安定性を向上させる効果を発揮することができる。また、接触温度をより低温とする場合にはより長時間の、より高温とする場合はより短時間の接触により、本発明の効果を発揮することができる。但し、接触温度をむやみに高くすると、ポリ乳酸系樹脂成形体相互のブロッキングが生じポリ乳酸系樹脂成形体の集合体の流動性が失われるおそれがあるので、接触温度は50℃以下とすることが好ましく、40℃以下とすることがより好ましく、35℃以下とすることが更に好ましい。
【0022】
工程(B)において、有機溶剤のみ、または有機溶剤とポリ乳酸系樹脂成形体の双方を流動させても良いが、流動させなくてもかまわない。流動させる方法としては、攪拌翼、ポンプ、槽の回転や遥動を挙げることができるが、特に限定されない。有機溶剤のみ、または有機溶剤とポリ乳酸系樹脂成形体の双方を流動させることにより、工程(B)の時間を短縮できる傾向にある。一方、流動させない場合であっても、有機溶剤が徐々にポリ乳酸系樹脂成形体中に浸透していくため、本発明の効果を得ることができる。
【0023】
工程(B)に引き続き、ろ過、篩い分け、遠心分離等の方法により有機溶剤を取り除き、次いで乾燥工程を行うことが好ましい。乾燥工程条件は特に限定されないが、使用する有機溶剤の揮発性を勘案して適宜設定すればよい。典型的には、100〜150℃の温度条件下で2時間以上加熱することが挙げられる。乾燥は常圧下で実施しても良いが、減圧下で行うことがより好ましい。
【0024】
本発明におけるポリ乳酸系樹脂とは、樹脂の化学的な構成単位としてポリ乳酸構造を有するポリマーをいい、例えば、ポリL−乳酸やポリD−乳酸等の乳酸ホモポリマー、L−乳酸及びD−乳酸の少なくとも1種を共重合成分とする乳酸コポリマー、およびポリD,L−乳酸等を挙げることができる。また、本発明の効果を損なわない範囲において、乳酸残基以外の成分を共重合したものであってもかまわない。
【0025】
本発明におけるポリ乳酸系樹脂において、ポリ乳酸系樹脂を構成する乳酸残基以外の成分としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等のポリエーテルポリオール、あるいはポリビニルアルコール、ポリグリセリン、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、アクリル樹脂、ビニル重合体等の側鎖あるいは末端に水酸基を有するポリマー、あるいはグリコリド、ε−カプロラクトン等のカルボン酸エステル基を有し開環重合が可能である環状化合物、あるいはエチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール等のジオール化合物、あるいはラクトース、トレハロース等の糖類、あるいはグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリトリトール等の多価アルコール類等を挙げることができる。公知の開環重合法を利用する場合、前記したヒドロキシル基を含有するポリエーテルポリオール、側鎖あるいは末端に水酸基を有するポリマー、ジオール化合物、糖類、多価アルコール類は開始剤として、前記した環状化合物はモノマー成分としてポリ乳酸系樹脂を重合することができる。
【0026】
本発明におけるポリ乳酸系樹脂は、ポリ乳酸系樹脂を構成する乳酸残基におけるL−乳酸残基とD−乳酸残基のモル比L/Dは100/0〜90/10あるいは0/100〜10/90範囲内であることが好ましく、なおかつポリ乳酸系樹脂全体に対する乳酸残基の重量分率が90%以上であるポリ乳酸系樹脂であることが好ましい。この場合、前記L/Dはより好ましくは100/0〜92/8あるいは0/100〜8/92、更に好ましくは100/0〜95/5あるいは0/100〜5/95である。L−乳酸とD−乳酸のモル比L/Dが100/0〜90/10あるいは0/100〜10/90範囲外である場合、洗浄に使用する有機溶剤に溶解してしまい洗浄が実施できない、あるいは洗浄に使用する有機溶剤に膨潤しブロッキングが生じる、等の問題が生じる場合がある。
【0027】
本発明におけるポリ乳酸系樹脂は、たとえば、公知の重合触媒を使用する従来公知の方法に基づいて製造することができる。たとえば、ヒドロキシ酸の二量体であるラクチドを加熱下で溶融混合し、公知の開環重合触媒を使用して、窒素雰囲気下、加熱開環重合させる方法を採用することができる。このようなラクチドの開環重合反応によるポリ乳酸系樹脂の製造は、工程が簡単であり、高純度生成物が得られ易い点で好ましい。
【0028】
本発明のポリ乳酸系樹脂を製造するに際し、重合後に副生するラクチド量を低減させることを目的に、製造時に有機リン化合物を反応系に添加することができる。有機リン化合物を添加する時期は特に限定されないが、副生するラクチド量を効果的に低減するためには開環重合終了前に該有機リン化合物を添加することが好ましい。また、開環重合開始前に添加することもできる。
【0029】
本発明のポリ乳酸系樹脂を製造する際に用いる重合触媒としては、特に限定されず、例えばオクチル酸スズ、ジブチル酸スズなどのスズ系化合物、アルミニウムアセチルアセトナート、酢酸アルミニウムなどのアルミニウム系化合物、テトライソプロピルチタネート、テトラブチルチタネートなどのチタン系化合物、ジルコニウムイソプロオキシドなどのジルコニウム系化合物、三酸化アンチモンなどのアンチモン系化合物等の乳酸重合に好適な従来公知の触媒が挙げられる。
【0030】
本発明のポリ乳酸系樹脂を製造する際には、ラクチドの開環重合開始剤を用いても良い。開環重合開始剤としては、特に限定されず、例えば脂肪族アルコールのモノ、ジ、および3価以上の多価アルコールのいずれでもよく、また飽和アルコールであっても不飽和アルコールであっても構わない。具体的にはメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、ノナノール、デカノール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール等のモノアルコール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ヘキサンジオール、ノナンジオール、テトラメチレングリコール等のジアルコール、グリセロール、ポリグリセロール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、エリスリトール等の多価アルコールを用いることができる。また、乳酸メチル、乳酸エチル等の乳酸エステルや乳酸カルシウム等の乳酸塩を用いることができる。これらのうちでは特にエチレングリコール、ラウリルアルコール、グリセロール、ポリグリセロールを用いることが好ましい。用いる開環重合開始剤の常圧における沸点が重合温度より低い場合には、加圧下で反応を行う必要がある。用いる開環重合開始剤の量は、目的により異なるが、多すぎると分子量が上がりにくくなる傾向にある。好ましくは全モノマー量100モル%に対して0.01〜1モル%の割合で用いられる。
【0031】
ラクチドの開環重合開始剤として、スルホン酸ナトリウム基などのイオン性基を含有する開始剤を使用することも好ましい実施態様である。イオン性基を含有する開始剤としては、特に限定はされないが、5−ソジウムスルホイソフタル酸ジ(ヒドロキシエチル)エステル(別名:5−スルホイソフタル酸ジエチレングリコールエステルナトリウム塩)、ビス(2−ヒドロキシエチル)−5−スルホイソフタレート・テトラブチルホスホニウムを用いることが好ましい。
【0032】
本発明に用いるポリ乳酸系樹脂の還元粘度は、0.3〜3.0dl/gであることが好ましい。より好ましくは0.35〜2.5dl/g、更に好ましくは0.4〜2.0dl/gである。還元粘度が0.3dl/g未満の場合はポリ乳酸系樹脂の強度が低く、実用に値しない場合がある。また、樹脂中の末端数が多くなるため熱分解を受けやすくなり、精製の効果があまり出ない場合がある。還元粘度が3.0dl/gを超える場合は重合反応中の粘度が高くなり、取り出しが困難になるなど重合工程において問題となる場合がある。
【0033】
本発明に用いるポリ乳酸系樹脂は有機溶剤と接触させて精製を行う前に80〜150℃の温度で30〜180分加熱する熱処理工程を実施する必要がある。この熱処理工程によってポリ乳酸系樹脂と有機溶剤との接触による樹脂の膨潤やブロッキングを防ぐことができる。加熱温度が80℃未満または加熱時間が30分未満の場合は熱処理工程が不十分となり、有機溶剤との接触による樹脂の膨潤やブロッキングが発生する場合がある。加熱温度が150℃を超える場合はポリ乳酸系樹脂が分解するおそれがある。加熱時間が180分を超える場合は、ポリ乳酸系樹脂の熱処理工程中に結晶化が大きく進行し、有機溶剤との接触による樹脂の膨潤やブロッキングは起こらないものの、有機溶剤がポリ乳酸系樹脂中に浸透しにくくなり、十分な精製効果が得られない場合がある。
【0034】
結晶化が進んでいないポリ乳酸系樹脂は、L値が45.0〜64.9かつ比重が1.252〜1.257の範囲である。本発明において、熱処理工程を実施するとポリ乳酸系樹脂が白化し色度測定におけるL値が65.0〜72.0の範囲に上昇する。一般に白化は樹脂の結晶化に伴う現象であるが、本発明の熱処理工程ではポリ乳酸系樹脂の表面はわずかに結晶化するものの、比重は1.252〜1.257の範囲でありほとんど変化していないため、内部はほぼ結晶化していないことが明らかになっている。そのため、有機溶剤と接触させる精製工程においてポリ乳酸系樹脂同士のブロッキングが発生せず、さらに内部が結晶化していないため有機溶剤が十分にポリ乳酸系樹脂中に浸透することができる。
【0035】
使用する有機溶剤としては、ポリ乳酸系樹脂を溶解しない溶剤であれば使用できるが、乾燥のしやすさから沸点が150℃以下であることが好ましい。例としては、トルエン、アセトン、メチルエチルケトン、メタノール、エタノール、テトラヒドロフラン、トルエン、アセトニトリル、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル等があげられるが、特に制限されない。これらの溶剤は単一で使用しても良いし、二種類以上の混合溶剤であってもかまわない。樹脂に浸透しやすく洗浄効果が高いという点から、これらの溶剤の中でアセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル等の酢酸アルキルの使用が特に好ましい。
【0036】
本発明に用いる有機溶剤の水分含有率は100〜10000ppmの範囲であることが好ましい。水分含有率がこれらの範囲の有機溶剤を使用することで、ポリ乳酸系樹脂へのモノマー除去と触媒失活を効率的に行うことができる。水分含有率が100ppm未満の場合はポリ乳酸系樹脂中に含まれるラクチドは除去できるものの、触媒失活効果が不十分となる場合がある。水分含有率が10000ppmを超える場合は、有機溶剤がポリ乳酸系樹脂へ浸透しにくくなるため、精製効果が不十分となる場合がある。
【0037】
本発明に用いるポリ乳酸系樹脂の光学純度は90%以上である事が好ましい。光学純度が90%未満の場合は非晶性樹脂となり、熱処理工程時にブロッキングが発生する場合がある。また、有機溶剤と接触させると溶解し、ブロッキングが発生して洗浄が行えない場合がある。
【0038】
ポリ乳酸系樹脂を洗浄する時間は1時間以上であることが好ましい。1時間未満の場合はポリ乳酸系樹脂に有機溶剤が十分浸透することができず、十分な精製効果が得られない場合がある。
【0039】
有機溶剤中でポリ乳酸系樹脂を洗浄する段階において、より有機溶剤をポリ乳酸系樹脂中に浸透させる目的で攪拌翼等を使用して攪拌しても良いが、攪拌しなくてもかまわない。攪拌をしない場合でも、有機溶剤が徐々にポリ乳酸系樹脂中に浸透していくため、十分な精製効果を得る事ができる。
【0040】
有機溶剤中でポリ乳酸系樹脂を洗浄した後、ろ過により有機溶剤を取り除いてポリ乳酸系樹脂を乾燥させる必要がある。
【0041】
乾燥条件としては、100〜150℃の温度条件下で2時間以上加熱することが好ましい。100℃未満または2時間未満の場合は、有機溶剤の乾燥が不十分となり、ポリ乳酸系樹脂中に大量の有機溶剤が残存する場合がある。また、乾燥温度が150℃を超える場合はポリ乳酸系樹脂が分解する場合があるため、好ましくない。乾燥は常圧下で実施しても良いが、減圧下で行うことがより好ましい。
【実施例】
【0042】
次に本発明を以下の実施例、比較例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。尚、文中に部とあるものは質量部を示す。
【0043】
<樹脂の組成および物性の評価方法>
1.ポリ乳酸系樹脂に対する乳酸残基の重量分率
ポリ乳酸系樹脂15mgを0.5mLの重クロロホルムに溶解し、400MHzの核磁気共鳴(NMR)スペクトル装置(Varian製)を用いて測定を行った。測定条件は、室温、d1=26sである。プロトンの積分値から、乳酸成分の重量割合を計算し、乳酸残基の重量分率として記載した。
【0044】
2.ポリ乳酸系樹脂のL/Dモル比
ポリ乳酸系樹脂のL/Dモル比は、仕込量から求めた。製造工程が不明である樹脂のL/Dモル比は、クロロホルム等の非旋光性の溶剤にポリ乳酸系樹脂を溶解し、旋光度計(例えば堀場製作所SEPA−200)を用いてその溶液の旋光度を求め、ポリL/D乳酸(1/1モル比)とポリL−乳酸および/またはポリD−乳酸の旋光度から作成した検量線と対照することによって決定するものとする。なお、ポリ乳酸系樹脂A〜Eにおいては、仕込量から求めたL/Dモル比と旋光度から求めたL/Dモル比は一致した。
【0045】
3.還元粘度
ポリ乳酸系樹脂0.125gをクロロホルム溶媒25cm3に溶かし、ウベローデ粘度管を用いて25℃で測定した。
【0046】
4.酸価
ポリ乳酸系樹脂0.8gをクロロホルム/メタノール(重量比で3/1)混合溶媒20cm3に溶解し、0.1Nのナトリウムメトキシドメタノール溶液で滴定し、樹脂10g当たりの当量(eq/10g)を求めた。指示薬はフェノールフタレインを用いた。
【0047】
5.ガラス転移温度
樹脂5mgをアルミニウム製サンプルパンに入れて密封し、セイコーインスツルメンツ(株)製示差走査熱量分析計(DSC)DSC−220を用いて、室温から200℃まで、昇温速度10℃/分にて温度を上昇させた後に−50℃まで冷却を行い、その後−50℃から200℃まで、昇温速度10℃/分にて測定した。ガラス転移温度は、ガラス転移温度以下のベースラインの延長線と遷移部における最大傾斜を示す接線との交点の温度で求めた。
【0048】
6.残モノマー量
ポリ乳酸系樹脂15mgを0.5mLの重クロロホルムに溶解し、400MHzの核磁気共鳴(NMR)スペクトル装置(Varian製)を用いてラクチド含有量を測定し、残モノマー量とした。
【0049】
7.TGA分解温度
熱重量分析計(TGA :島津製作所製)を用い、窒素雰囲気中、昇温速度10℃/分において、3%の重量減少量となった温度をTGA分解温度とした。工程(A)後のTGA分解温度と乾燥後のTGA分解温度の差を求め、熱安定性向上の指標とした。
【0050】
8.比重
容量1000mLのメスシリンダーに水を1000mL入れ、温度を30℃に調節し、ポリ乳酸系樹脂2gを加えた。次いで、かき混ぜながら塩化カルシウムを徐々に加え、ポリ乳酸系樹脂が沈降も浮上もせず溶液中に留まる濃度に調整した。比重計を用いてこの溶液の比重を測定し、得られた値をポリ乳酸系樹脂の比重とした。
【0051】
9.結晶化度
結晶化度は、下記の式に従い密度法から求めた。
=ρ(ρ−ρ)/ρ(ρ−ρ
ここで、ρ、ρ、ρはそれぞれ試料、結晶および非晶の密度である。ポリ乳酸系樹脂の結晶の密度ρと非晶の密度ρは、POLYMER HANDBOOK THIRD EDITIONに記載されている値(ρ=1.290、ρ=1.248)を使用した。また、試料の密度は、JIS K7112に記載されている変換式を用いて比重の値から計算により求めた。
【0052】
10.L値
高さ3mm、直径2mmの円柱ペレット状にしたポリ乳酸系樹脂をカラーメーター(東京電色工業社製、TC−1500MC−88)を使用して測定し、明度であるカラーL値を求めた。
【0053】
11.ブロッキング
ポリ乳酸系樹脂成形体と有機溶剤を接触させる工程において、ポリ乳酸系樹脂成形体相互がブロッキングし流動性を失ったものを×とし、ブロッキングが発生せず流動性を保ったものを〇とした。
【0054】
12.残溶剤量評価
乾燥後のポリ乳酸系樹脂成形体15mgを0.5mLの重クロロホルムに溶解し、400MHzの核磁気共鳴(NMR)スペクトル装置(Varian製)を用いて測定を行い、洗浄・乾燥後のポリ乳酸系樹脂の残溶剤量を測定した。
【0055】
13.有機溶剤の水分率
実施例及び比較例で用いた有機溶剤の水分率は、カールフィッシャー法で測定した。アセトンの水分量は3300ppm、メチルエチルケトンの水分量は900ppm、シクロヘキサノンの水分量は1300ppm、酢酸エチルの水分量は1200ppm、トルエンの水分量は300ppmであった。
【0056】
<ポリ乳酸系樹脂およびポリ乳酸系樹脂原料ペレットの製造例>
ポリ乳酸系樹脂Aおよびポリ乳酸系樹脂原料ペレットAの製造例
D−ラクチド400部、エチレングリコール0.3部、開環重合触媒としてオクチル酸錫0.1部、触媒失活剤としてジエチルホスホノ酢酸エチル0.6部を4つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下、180℃で2時間加熱し、開環重合を進め、その後、残留ラクチドを減圧下留去することによりポリ乳酸の主鎖中にエチレングリコール残基を有するポリ乳酸系樹脂Aを得た。次いで、溶融状態のポリ乳酸形樹脂Aをストランド状に吐出して冷水にて急冷し、その後20秒間冷水中で保持した後、カッティングして長さ約3mm、直径約2mmの円柱状のペレットを得た。得られたペレットは常温で24時間風乾してポリ乳酸系樹脂原料ペレットAを得た。ポリ乳酸系樹脂原料ペレットAの組成と物性を表1に示す。
【0057】
ポリ乳酸系樹脂Bおよびポリ乳酸系樹脂原料ペレットBの製造例
L−ラクチド400部、エチレングリコール0.3部、開環重合触媒としてオクチル酸錫0.1部、触媒失活剤としてジエチルホスホノ酢酸エチル0.6部を4つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下、180℃で2時間加熱し、開環重合を進め、その後、残留ラクチドを減圧下留去することによりポリ乳酸の主鎖中にエチレングリコール残基を有するポリ乳酸系樹脂Bを得た。次いで、溶融状態のポリ乳酸形樹脂Aをストランド状に吐出して冷水にて急冷し、その後20秒間冷水中で保持した後、カッティングして長さ約3mm、直径約2mmの円柱状のペレットを得た。得られたペレットは常温で24時間風乾してポリ乳酸系樹脂原料ペレットBを得た。ポリ乳酸系樹脂原料ペレットBの組成と物性を表1に示す。
【0058】
ポリ乳酸系樹脂Cおよびポリ乳酸系樹脂原料ペレットCの製造例
D−ラクチド400部、エチレングリコール0.6部、開環重合触媒としてオクチル酸錫0.1部、触媒失活剤としてジエチルホスホノ酢酸エチル0.6部を4つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下、180℃で2時間加熱し、開環重合を進め、その後、残留ラクチドを減圧下留去することによりポリ乳酸の主鎖中にエチレングリコール残基を有するポリ乳酸系樹脂Cを得た。次いで、溶融状態のポリ乳酸形樹脂Aをストランド状に吐出して冷水にて急冷し、その後20秒間冷水中で保持した後、カッティングして長さ約3mm、直径約2mmの円柱状のペレットを得た。得られたペレットは常温で24時間風乾してポリ乳酸系樹脂原料ペレットCを得た。ポリ乳酸系樹脂原料ペレットCの組成と物性を表1に示す。
【0059】
ポリ乳酸系樹脂Dおよびポリ乳酸系樹脂原料ペレットDの製造例
L−ラクチド400部、エチレングリコール0.8部、開環重合触媒としてオクチル酸錫0.1部、触媒失活剤としてジエチルホスホノ酢酸エチル0.6部を4つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下、180℃で2時間加熱し、開環重合を進め、その後、残留ラクチドを減圧下留去することによりポリ乳酸の主鎖中にエチレングリコール残基を有するポリ乳酸系樹脂Dを得た。次いで、溶融状態のポリ乳酸形樹脂Aをストランド状に吐出して冷水にて急冷し、その後20秒間冷水中で保持した後、カッティングして長さ約3mm、直径約2mmの円柱状のペレットを得た。得られたペレットは常温で24時間風乾してポリ乳酸系樹脂原料ペレットDを得た。ポリ乳酸系樹脂原料ペレットDの組成と物性を表1に示す。
【0060】
ポリ乳酸系樹脂Eおよびポリ乳酸系樹脂原料ペレットEの製造例
L−ラクチド388部、D−ラクチド12部、エチレングリコール0.3部、開環重合触媒としてオクチル酸錫0.1部、触媒失活剤としてジエチルホスホノ酢酸エチル0.6部を4つ口フラスコに仕込み、窒素雰囲気下、180℃で2時間加熱し、開環重合を進め、その後、残留ラクチドを減圧下留去することによりポリ乳酸の主鎖中にエチレングリコール残基を有するポリ乳酸系樹脂Eを得た。次いで、溶融状態のポリ乳酸形樹脂Aをストランド状に吐出して冷水にて急冷し、その後20秒間冷水中で保持した後、カッティングして長さ約3mm、直径約2mmの円柱状のペレットを得た。得られたペレットは常温で24時間風乾してポリ乳酸系樹脂原料ペレットEを得た。ポリ乳酸系樹脂原料ペレットEの組成と物性を表1に示す。
【0061】
【表1】

【0062】
実施例1
ポリ乳酸系樹脂原料ペレットA100部を90℃120分加熱した。ポリ乳酸系樹脂原料ペレットAを空冷した後に4つ口フラスコに仕込み、アセトン150部を加えて30℃で2時間攪拌した。次いで、ろ過により溶剤を取り除き、得られた樹脂ペレットを減圧条件下で130℃で6時間乾燥を行ない、精製ポリ乳酸系樹脂成形体を得た。得られた精製ポリ乳酸系樹脂成形体評価結果を表2に示した。いずれの評価項目についても良好な結果を示した。
【0063】
実施例2〜10、比較例1〜10
実施例1と同様にして、但し、工程条件を表の記載に従って変更して、精製ポリ乳酸系樹脂成形体を製造した。評価結果を表2〜6に示した。
【0064】
【表2】

【0065】
【表3】

【0066】
【表4】

【0067】
【表5】

【0068】
【表6】

【0069】
実施例1〜10、比較例1〜10より明らかなように、本発明の工程(B)を行なうことにより、流動性および熱安定性に優れ、なおかつ残留ラクチドの低いポリ乳酸系樹脂成形体が得られることがわかる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明により、特殊な設備を必要とせずに流動性および熱安定性に優れ、なおかつ残留ラクチドの低いポリ乳酸系樹脂成形体が得ることができ、産業上の利用価値は高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
色度測定におけるL値が65.0〜72.0かつ比重1.252〜1.257であるポリ乳酸系樹脂成形体を有機溶剤と接触させる工程(B)を有し、比重1.263〜1.268かつ残モノマー量0.8重量%以下であるポリ乳酸系樹脂成形体を得るポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法。
【請求項2】
前記色度測定におけるL値が65.0〜72.0かつ比重1.252〜1.257であるポリ乳酸系樹脂成形体が、色度測定におけるL値が45.0〜64.9かつ比重1.252〜1.257であるポリ乳酸系樹脂成形体を熱処理する工程(A)により得られたものである請求項1に記載のポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法。
【請求項3】
前記工程(A)の前後のポリ乳酸系樹脂成形体の比重の変化が0.002以下である請求項2に記載のポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法。
【請求項4】
前記有機溶剤がケトン類、酢酸アルキルまたはそれらの混合物である請求項1〜3いずれかに記載のポリ乳酸系樹脂成形体の製造方法。
【請求項5】
比重が1.263〜1.268の範囲であり、かつ残モノマー量が0.8重量%以下であるポリ乳酸系樹脂成形体。

【公開番号】特開2012−246421(P2012−246421A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−120411(P2011−120411)
【出願日】平成23年5月30日(2011.5.30)
【出願人】(000003160)東洋紡株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】