説明

ポリ乳酸系積層体

【課題】生分解性を有し、且つ耐熱性に優れるポリ乳酸組成物層と紙との積層体を開発することを目的とする。
【解決手段】紙の少なくとも片面に、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を含むポリ乳酸系組成物からなり、DSC測定における150〜200℃の範囲にある吸熱ピークの最大吸熱ピークのピーク高さ(ピーク1)と205〜240℃の範囲にある吸熱ピークの最大吸熱ピークのピーク高さ(ピーク2)とのピーク比(ピーク1/ピーク2)が0.2以下であるポリ乳酸系延伸フィルムが積層されてなることを特徴とするポリ乳酸系積層体に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生分解性を有し、且つ耐熱性に優れるポリ乳酸組成物層と紙との積層体に関する。
【背景技術】
【0002】
紙は本質的に耐水性がないので、牛乳パックや紙コップなどの水分と接触する包装素材や成形素材の分野では紙の表面に、熱可塑性樹脂でラミネートされたポリラミネート紙やポリラミネートされた板紙が使用されている。現在使用されている熱可塑性樹脂はポリエチレン等の汎用樹脂が殆どである。これらの紙積層体は、使用後回収され焼却あるいはリサイクルされている。しかしながら、リサイクルするには積層されたポリエチレンと紙とを剥離する必要があることからその回収には多大な労力を要するのが実情である。また、回収されずに放棄された紙コップ等が路上等に放置されたり、海洋投棄されたりして環境破壊を含めた様々な問題を引き起している。即ち、紙は分解されるがポリエチレン等の熱可塑性樹脂は全くと言ってよい程生分解性が無く、放置された状態で半永久的に残存し、それゆえに様々な問題が発生している。
【0003】
紙の生分解性を損なうことなく、紙に耐水性を付与する方法として、紙の表面にポリ乳酸等の生分解性を有する脂肪族ポリエステルを積層する方法が種々提案されている(例えば、特許文献1;特開平6−255039号公報、特許文献2;特開平4−334448号公報、特許文献3;特開平8−252895号公報)。
【0004】
しかしながら、かかるポリ乳酸等の生分解性ポリエステルは耐熱性が不足することから用途が限られ、耐熱性を有する積層体の開発が望まれている。
【特許文献1】特開平6−255039号公報
【特許文献2】特開平4−334448号公報
【特許文献3】特開平8−252895号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、生分解性を有し、且つ耐熱性に優れるポリ乳酸組成物層と紙との積層体を開発することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、紙の少なくとも片面に、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を含むポリ乳酸系組成物からなり、DSC測定における150〜200℃の範囲にある吸熱ピークの最大吸熱ピークのピーク高さ(ピーク1)と205〜240℃の範囲にある吸熱ピークの最大吸熱ピークのピーク高さ(ピーク2)とのピーク比(ピーク1/ピーク2)が0.2以下であるポリ乳酸系延伸フィルムが積層されてなることを特徴とするポリ乳酸系積層体を提供するものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明のポリ乳酸系積層体は、TMA測定による0.25MPa荷重での5%収縮温度が170℃と、従来のポリ乳酸の溶融温度を越えても熱変形が小さく、しかも生分解性を有している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
<紙>
本発明のポリ乳酸系積層体を構成する成分の一つである紙は、パルプを原料として得られる所謂紙であり、種々公知の紙、例えば、印刷用紙A等の上質印刷紙、セミ上質紙、グラビア用紙等の中級印刷紙などの非塗工印刷用紙;コート紙、アート紙などの塗工印刷用紙;クラフト紙などの未晒包装紙;純白ロール紙などの晒包装紙;食品容器原紙などの加工原紙などの紙;段ボール原紙、白板紙などの板紙などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。本発明に係わる紙は必要に応じて印刷を施してもよい。また貼り合わせる面はシリカ等微細な無機物を塗布することによる表面平滑処理を行ってもよい。
<ポリ−L−乳酸>
本発明のポリ乳酸系積層体を構成する他の成分であるポリ乳酸系組成物の1成分であるポリ−L−乳酸(PLLA)は、L−乳酸を主たる構成成分、好ましくは95モル%以上を含む重合体である。L−乳酸の含有量が95モル%未満の重合体は、後述のポリ−D−乳酸(PDLA)と溶融混練して得られるポリ乳酸系組成物からなる層あるいは当該層を延伸して得られる延伸フィルムの耐熱性が劣る虞がある。
【0009】
PLLAの分子量は後述のポリ−D−乳酸と混合したポリ乳酸系組成物がフィルムなどの層として形成性を有する限り、特に限定はされないが、通常、重量平均分子量(Mw)は6千〜300万、好ましくは6千〜200万の範囲にあるポリ−L乳酸が好適である。重量平均分子量が6千未満のものは得られる延伸フィルムの強度が劣る虞がある。一方、300万を越えるものは溶融粘度が大きくフィルム加工性が劣る虞がある。
<ポリ−D−乳酸>
本発明のポリ乳酸系積層体を構成する他の成分であるポリ乳酸系組成物の1成分であるポリ−D−乳酸(PDLA)は、D−乳酸を主たる構成成分、好ましくは95モル%以上を含む重合体である。D−乳酸の含有量が95モル%未満の重合体は、前述のポリ−L−乳酸と溶融混練して得られるポリ乳酸系組成物からなる層あるいは当該層を延伸して得られる延伸フィルムの耐熱性が劣る虞がある。
【0010】
PDLAの分子量は前述のPLLAと混合したポリ乳酸系組成物がフィルムなどの層として形成性を有する限り、特に限定はされないが、通常、重量平均分子量(Mw)は6千〜300万、好ましくは6千〜200万の範囲にあるポリ−D乳酸が好適である。重量平均分子量が6千未満のものは得られる延伸フィルムの強度が劣る虞がある。一方、300万を越えるものは溶融粘度が大きくフィルム加工性が劣る虞がある。
【0011】
本発明においてPLLA及びPDLAには、本発明の目的を損なわない範囲で、少量の他の共重合成分、例えば、多価カルボン酸若しくはそのエステル、多価アルコール、ヒドロキシカルボン酸、ラクトン類等を共重合させておいてもよい。
多価カルボン酸としては、具体的には、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、スベリン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、セバシン酸、ジグリコール酸、ケトピメリン酸、マロン酸及びメチルマロン酸等の脂肪族ジカルボン酸並びにテレフタル酸、イソフタル酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸等の芳香族ジカルボン酸等が挙げられる。
多価カルボン酸エステルとしては、具体的には、例えば、コハク酸ジメチル、コハク酸ジエチル、グルタル酸ジメチル、グルタル酸ジエチル、アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、ピメリン酸ジメチル、アゼライン酸ジメチル、スベリン酸ジメチル、スベリン酸ジエチル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、デカンジカルボン酸ジメチル、ドデカンジカルボン酸ジメチル、ジグリコール酸ジメチル、ケトピメリン酸ジメチル、マロン酸ジメチル及びメチルマロン酸ジメチル等の脂肪族ジカルボン酸ジエステル並びにテレフタル酸ジメチル及びイソフタル酸ジメチル等の芳香族ジカルボン酸ジエステルが挙げられる。
多価アルコールとしては、具体的には、例えば、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、2−メチル−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ペンタメチレングリコール、へキサメチレングリコール、オクタメチレングリコール、デカメチレングリコール、ドデカメチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール及び分子量1000以下のポリエチレングリコール等が挙げられる。
ヒドロキシカルボン酸としては、具体的には、例えば、グリコール酸、2−メチル乳酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、2−ヒドロキシ−n−酪酸、2−ヒドロキシ−3,3−ジメチル酪酸、2−ヒドロキシ−2−メチル酪酸、2−ヒドロキシ−3−メチル酪酸、ヒドロキシピバリン酸、ヒドロキシイソカプロン酸及びヒドロキシカプロン酸等が挙げられる。
ラクトン類としては、具体的には、例えば、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、β又はγ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、δ−カプロラクトン、ε−カプロラクトン、4−メチルカプロラクトン、3,5,5−トリメチルカプロラクトン、3,3,5−トリメチルカプロラクトン等の各種メチル化カプロラクトン;β−メチル−δ−バレロラクトン、エナントラクトン、ラウロラクトン等のヒドロキシカルボン酸の環状1量体エステル;グリコリド、L−ラクチド、D−ラクチド等の上記ヒドロキシカルボン酸の環状2量体エステル等が挙げられる。
また、本発明に係わるPLLA及びPDLAには、それぞれD−乳酸若しくはL−乳酸を前記範囲以下であれば少量含まれていてもよい。
【0012】
<ポリ乳酸系延伸フィルム>
本発明のポリ乳酸積層体を構成する他の成分であるポリ乳酸系延伸フィルムは、前記ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を含むポリ乳酸系組成物からなり、DSC測定における150〜200℃の範囲にある吸熱ピークの最大吸熱ピークのピーク高さ(ピーク1)と205〜240℃の範囲にある吸熱ピークの最大吸熱ピークのピーク高さ(ピーク2)とのピーク比(ピーク1/ピーク2)が0.2以下、好ましくは0.1以下であることを特徴とするポリ乳酸系延伸フィルムである。
【0013】
本発明に係わるポリ乳酸系延伸フィルムは、前記特性に加え、205〜240℃の範囲にある吸熱ピークの吸熱量(ΔHm)が40J/g以上、より好ましくは50J/g以上であり、DSC測定における吸熱ピーク測定後に、降温した際の発熱量(ΔHc)が40J/g以上、より好ましくは50J/g以上の特性を有する。
【0014】
本発明に係わるポリ乳酸系延伸フィルムは、前記特性に加え、広角X線測定における2θが12度、21度および24度近辺のピーク面積の総和(SSC)が全体の面積に対して20%以上、好ましくは25%以上であり、かつ2θが17度および19度近辺のピーク面積の総和(SPL)が全体の面積に対して5%以下、好ましくは3%以下の特性を有する。
【0015】
かかる広角X線測定における2θが17度および19度近辺のピークはPLLA及びPDLAの結晶に基づくピーク(PPL)であり、12度、21度および24度近辺のピークはPLLAとPDLAとが共結晶した所謂ステレオコンプレックスの結晶に基づくピーク(PSC)である。
【0016】
本発明における広角X線による回折ピーク(2θ)はX線回折装置(株式会社リガク製 自動X線回折装置RINT−2200またはRINT−2500)を用いて測定して検出される回折ピークの角度(度)である。記録紙の基線(強度;0cps)とX線回折強度曲線で囲まれた回折角(2θ)が5〜30度の総面積(全体の面積)を100%とし、結晶に基づく各々の回折ピーク面積は、(SPL)については17度および19度近辺の回折ピーク(2θ)、(SSC)については12度、21度および24度近辺の回折ピーク(2θ)各々の面積を記録紙から切り出し、その重量を測定することにより算出した。また非結晶部分に起因するブロードな部分は(非晶部分)とした。尚、(SPL)、(SSC)を測定する際には非晶部分に伴う回折曲線をベースラインとしてその上の部分を測定した。
【0017】
本発明におけるポリ乳酸系延伸フィルムの熱融解特性は、DSC(示差走査熱量計)として、ティー・エイ・インスツルメント社製 Q100を用い、試料約5mgを精秤し、JIS K 7121及びJIS K 7122に準拠し、窒素ガス流入量:50ml/分の条件下で、0℃から加熱速度:10℃/分で250℃まで昇温して昇温時のDSC曲線を得、得られたDSC曲線から、延伸フィルムの融点(Tm)、205〜240℃の範囲にある吸熱ピークの吸熱量(ΔHm)、150〜200℃の範囲にある吸熱ピークの最大吸熱ピークのピーク高さ(ピーク1)と205〜240℃の範囲にある吸熱ピークの最大吸熱ピークのピーク高さ(ピーク2)とのピーク比(ピーク1/ピーク2)を求めるとともに、250℃に10分間維持した後、冷却速度:10℃/分で0℃まで降温して結晶化させて、降温時のDSC曲線を得、得られたDSC曲線から、延伸フィルムの結晶化の際の発熱量(ΔHc)を求めた。
【0018】
なお、ピーク高さは、65℃〜75℃付近のベースラインと240℃〜250℃付近のベースラインを結ぶことにより得られるベースラインからの高さで求めた。
【0019】
本発明に係わるポリ乳酸系延伸フィルムの厚さは、通常、5〜500μm、好ましくは10〜100μmの範囲にある。
【0020】
本発明に係わるポリ乳酸系延伸フィルムは、必要に応じて、紙あるいは他の層あるいは印刷層との密着性を向上させるために、プライマーコート、コロナ処理、プラズマ処理や火炎処理などを施しても良い。特に、紙と貼り合わせる面にコロナ処理する場合は、38ダイン以上に濡れ調の改質を行うことが望ましく、また必要に応じて帯電防止剤を塗布し表面固有抵抗を1×1013Ω以下にすることが望ましい。
<ポリ乳酸系組成物>
本発明の上記特性を有するポリ乳酸系延伸フィルムを得るには、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を含むポリ乳酸系組成物として、以下の熱融解特性を有するポリ乳酸系組成物を用意して、延伸することが好ましい。
【0021】
本発明に係わるポリ乳酸系組成物は、DSC測定において、ポリ乳酸系組成物を250℃で10分融解させた後に降温した際の発熱量(ΔHc)が好ましくは20J/g以上である熱特性を有することが望ましい。
さらに、本発明に係わるポリ乳酸系組成物は、そのDSCの第2回昇温時の測定(250℃で10分経た後に10℃/分で降温を行い、0℃から再度10℃/分で昇温)において得られたDSC曲線の150〜200℃の範囲にある吸熱ピークの最大吸熱ピークのピーク高さ(ピーク10)と205〜240℃の範囲にある吸熱ピークの最大吸熱ピークのピーク高さ(ピーク20)のピーク比(ピーク10/ピーク20)が好ましくは0.5以下、より好ましくは0.3以下、特に好ましくは0.2以下であるという熱特性を有することが望ましい。これは、この組成物がステレオコンプレックス晶を選択的に形成しているためと考えられる。
ピーク比(ピーク10/ピーク20)が0.5より大きいと、結晶化後にPLLA、PDLA単体結晶の形成量が大きく、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸とが十分に混練されていない虞がある。
ピーク比(ピーク10/ピーク20)が0.5より大きい組成物は結晶化後のα晶(PLLAあるいはPDLAの単独結晶)の形成量が大きいため、延伸しても耐熱性に劣る虞がある。
また、本発明に係わるポリ乳酸系組成物は、DSCの第2回昇温時における205〜240℃の吸熱ピークの吸熱量(ΔHm)が35J/g以上であることが好ましい。
本発明に係わるポリ乳酸系組成物の熱融解特性は、前記ポリ乳酸系延伸フィルムの熱融解特性を求めた方法と同様な方法で、DSC(示差走査熱量計)として、ティー・エイ・インスツルメント社製 Q100を用い、試料約5mgを精秤し、JIS K 7121及びJIS K 7122に準拠して求めた。なお、ポリ乳酸系組成物の熱融解特性は、降温時と第2回昇温時における特性を求めた。
【0022】
本発明に係わるポリ乳酸系組成物は、好ましくは前記PLLAを25〜75重量部、より好ましくは35〜65重量部、特に好ましくは45〜55重量部、その中でも好ましくは47〜53重量部及びPDLAを好ましくは75〜25重量部、より好ましくは65〜35重量部、特に好ましくは55〜45重量部、その中でも好ましくは53〜47重量部(PLLA+PDLA=100重量部)から構成されている、即ち調製されている。
【0023】
本発明に係わるポリ乳酸系組成物は、ポリ−L−乳酸及びポリ−D−乳酸の重量平均分子量が、いずれも6千〜300万の範囲内であり、かつ、ポリ−L−乳酸またはポリ−D−乳酸のいずれか一方の重量平均分子量が3万〜200万であるポリ−L−乳酸及びポリ−D−乳酸から混練により調製することが望ましい。
【0024】
また、本発明に係わるポリ乳酸系組成物は、例えば、これらPLLAとPDLAを、230〜260℃で二軸押出機、二軸混練機、バンバリーミキサー、プラストミルなどで溶融混練することにより得ることができる。
PLLAの量が75〜25重量部、特に65〜35重量部、その中でも特に55重量部を超える組成物及び45重量部未満の組成物は上述の方法で混練しても、得られる組成物を延伸してなるフィルムはα晶の結晶体を含み、耐熱性が不十分となる虞がある。
本発明に係わるポリ乳酸系組成物が耐熱性に優れるのは、当該組成物がステレオコンプレックス構造を形成しており、ステレオコンプレックス構造はPLLAとPDLAの等量から構成されるためであると考えられる。
本発明に係わるポリ乳酸系組成物を得るために、PLLAとPDLAを溶融混練するときの温度は、好ましくは230〜260℃であり、より好ましくは235〜255℃である。溶融混練する温度が230℃より低いとステレオコンプレックス構造物が未溶融で存在する虞があり、260℃より高いとポリ乳酸が分解する虞がある。
【0025】
また、本発明に係わるポリ乳酸系組成物を調製する際に、PLLAとPDLAを十分に溶融混練することが望ましい。溶融混練時間は、用いる溶融混練機にもよるが、通常、5分間以上であればよい。PLLAとPDLAの溶融混練時間をより長くすればするほど、例えば、20分間以上、あるいは30分間以上とすることにより、得られるポリ乳酸系組成物は、DSCの第2回昇温時における205〜240℃の吸熱ピークの吸熱量(ΔHm)が45J/g以上、あるいは50J/g以上となり、150〜200℃の範囲にある吸熱ピークの吸熱量は3.5J/g以下、あるいは0J/gとなり、よりステレオコンプレックスの結晶化が早く、PLLAあるいはPDLAの単独結晶(α晶)が生成し難いポリ乳酸系組成物とすることができる。
【0026】
本発明に係るポリ乳酸系組成物は、ステレオコンプレックスの結晶化が早く、かつステレオコンプレックス結晶化可能領域も大きいので、PLLAあるいはPDLAの単独結晶(α晶)が生成し難いと考えられる。
【0027】
前述のように、本発明に係わるポリ乳酸系組成物は、DSCによる250℃で10分経過後の降温時での測定(10℃/分)において結晶化によるピーク(発熱量ΔHc)が、20J/g以上であるとポリ乳酸系組成物の結晶化が速やかに起こる。
【0028】
また結晶化による発熱量が20J/gより小さいと結晶化速度が小さく、上記混練が十分でない虞がある。
【0029】
本発明に係わるポリ乳酸系組成物の重量平均分子量は特に限定されるものではない。しかしながら、本発明に係わるポリ乳酸系組成物は、重量平均分子量が1万〜150万の範囲にあることが好ましく、さらには重量平均分子量が5万〜50万の範囲にあることが望ましい。重量平均分子量が、上記範囲を高分子側に外れるとステレオコンプレックス化が十分でなく耐熱性が得られない虞があり、また低分子側に外れると得られるポリ乳酸系組成物層の強度が十分でない虞がある。
【0030】
<ポリ乳酸系延伸フィルムの製造方法>
本発明に係わるポリ乳酸系延伸フィルムは、前記ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を含むポリ乳酸系組成物を用いて、押出成形して得られるフィルムあるいはシートを、好ましくは一方向に2倍以上、より好ましくは2〜12倍、さらに好ましくは3〜6倍延伸することにより、耐熱性、透明性に優れる延伸フィルムが得られる。延伸倍率の上限は延伸し得る限り、とくに限定はされないが、通常、12倍を超えるとフィルムが破断したりして、安定して延伸できない虞がある。
【0031】
また、押出成形して得られるフィルムあるいはシートを、好ましくは縦方向に2倍以上及び横方向に2倍以上、より好ましくは縦方向に2〜7倍及び横方向に2〜7倍、さらに好ましくは縦方向に2.5〜5倍及び横方向に2.5〜5倍延伸することにより、耐熱性、透明性に優れる延伸フィルム(二軸延伸フィルム)が得られる。延伸倍率の上限は延伸し得る限り、とくに限定はされないが、通常、7倍を超えるとフィルムが破断したりして、安定して延伸できない虞がある。
【0032】
本発明に係わるポリ乳酸系延伸フィルムは、延伸した後、好ましくは140〜220℃、より好ましくは150〜200℃で、好ましくは1秒以上、より好ましくは3〜60秒熱処理しておくと、更に耐熱性が改良される。
【0033】
<ポリ乳酸系積層体>
本発明のポリ乳酸系積層体は、前記紙の少なくとも片面に、前記熱的特性を有するポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を含むポリ乳酸系組成物からなるポリ乳酸系延伸フィルムが積層されてなる積層体である。
【0034】
<ポリ乳酸系積層体の製造方法>
本発明のポリ乳酸積層体は、前記紙と予め得られた前記ポリ乳酸系延伸フィルムを積層する(貼り合わせる)ことにより、得られる。
【0035】
紙とポリ乳酸系延伸フィルムを積層する際には、接着剤ないし粘着剤により紙と貼り合わせることが出来る。
【0036】
接着剤および粘着剤としては、ビニル系、アクリル系、ポリアミド系、ポリエステル系、ゴム系、ウレタン系などがあり、ごく薄く、少量塗布して貼り合わせることもできる。ラミネート材料からすれば、接着剤ないし粘着剤は少量であるが、これらも生分解性とするのが本来は好ましく、例えば、デンプンなどの炭水化物類、膠、ゼラチン、カゼインなどのたんぱく質類、未加硫天然ゴムなどの天然材料などがある。
本発明のポリ乳酸系積層体の構成は、例えばポリ乳酸系延伸フィルム/紙の2層構成、ポリ乳酸系延伸フィルム/紙/ポリ乳酸系延伸フィルムの3層構成等があるが、特に限定されるものではない。
【0037】
本発明のポリ乳酸系積層体は、袋、箱、皿、トレー、コップ、蓋材などの包装資材分野に好適に用いることができる。紙を部分的に打ち抜いて「窓」を形成し、それに配向ポリ乳酸系重合体フィルムを貼り合わせて内容物透視用の容器とすることもできる。さらには、カレンダー、ポスター、本の表紙などの美麗な外観を必要とする用途;ラベル、ステッカーなどの表示材料;梱包・包装用テープ;各種製品の製造に使用される工程紙などにも好適である。
本発明のポリ乳酸系積層体は従来のポリ乳酸に比べて耐熱性に優れるため、例えば延伸フィルムとして紙に接着剤によるドライラミを施した後に加熱ロールを通した際の延伸フィルム層収縮による反りが小さく、加工適性が優れている。特に生分解性を有する接着剤は現在のところ水系であるため、従来のポリ乳酸より高い耐熱性を求められており、そのような用途にも応えることが出来る。
また本ポリ乳酸系積層体を容器成形し食品容器として使用する際にも、例えば食品を入れて電子レンジで加温した時のポリ乳酸系延伸フィルムの収縮がほとんど起きないため、油分を含んだ食品等従来のポリ乳酸延伸フィルムでは使用できなかった材料も扱える容器としての使用が可能である。
【実施例】
【0038】
次に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限りこれらの実施例に制約されるものではない。
【0039】
実施例、比較例及び参考例で使用したポリ乳酸は次の通りである。
(イ)ポリ−L−乳酸(PLLA―1):
D体量:1.9% Mw:22万(g/モル)、Tm:162.9℃。
(ロ)ポリ−D−乳酸(PURAC社製:PDLA―1):
D体量:100.0% Mw:135万(g/モル)、Tm:180℃。
インヘレント粘度(溶媒;クロロホルム、測定温度;25℃、濃度;0.1g/dl):7.04(dl/g)
【0040】
本発明における測定方法は以下のとおりである。
(1)重量平均分子量(Mw)
試料20mgに、GPC溶離液10mlを加え、一晩静置後、手で緩やかに攪拌した。この溶液を、両親媒性0.45μm―PTFEフィルター(ADVANTEC DISMIC―25HP045AN)でろ過し、GPC試料溶液とした。
測定装置;Shodex GPC SYSTEM−21
解析装置;データ解析プログラム:SIC480データステーションII
検出器;示差屈折検出器(RI)
カラム;Shodex GPC K−G + K−806L + K−806L
カラム温度;40℃
溶離液;クロロホルム
流速;1.0ml/分
注入量;200μL
分子量校正;単分散ポリスチレン
(2)DSC測定
示差走査熱量計(DSC)を用い、前記記載の方法で測定した。
(3)広角X線測定
測定装置:X線回折装置(株式会社リガク製 自動X線回折装置RINT−2200)
反射法
X線ターゲット:Cu K―α
出力:1/40kV×40mA
回転角:4.0°/分
ステップ:0.02°
走査範囲:10〜30°
(4)透明性
日本電色工業社製 ヘイズメーター300Aを用いてフィルムのヘイズ(HZ)及び平行光光線透過率(PT)を測定した。
(5)表面粗さ
株式会社小坂研究所製三次元表面粗さ測定器SE−30Kを用いてポリ乳酸系延伸フィルム表面の中心面平均粗さ(SRa)を測定した。
(6)引張り試験
ポリ乳酸系延伸フィルムからMD方向及びTD方向に、夫々短冊状の試験片(長さ:150mm、幅:15mm)を採取して、引張り試験機(オリエンテック社製テンシロン万能試験機RTC-1225)を使用し、チャック間距離:100mm、クロスヘッドスピード:300mm/分(但し、ヤング率の測定は5mm/分で測定)で、引張り試験を行い、引張強さ(MPa)、伸び(%)及びヤング率(MPa)を求めた。
(7)透湿度(水蒸気透過度)
JIS Z0208 に準拠して求めた。ポリ乳酸系延伸フィルムを採取して、表面積が約100cm2の袋を作り、塩化カルシウムを適量入れた後、密封した。これを40℃、90%RH(相対湿度)の雰囲気中に3日間放置し、重量増加から透湿度(水蒸気透過度)を求めた。
(8)酸素透過度
JIS K7126に基づいて20℃湿度0%RH(相対湿度)の条件で、酸素透過測定器(MOCON社製、OXTRAN2/21 ML)を使用して測定した。
(9)耐熱性
熱分析装置(セイコーインスツルメンツ株式会社製 熱・応用・歪測定装置 TMA/SS120)を用いてフィルムから幅4mmの試験片を切り出し、チャック間5mmで試験片に荷重0.25MPaを掛け、100℃(開始温度)から5℃/分で昇温し、各温度における試験片の変形(伸びまたは収縮)を測定した。

参考例1
PLLA―1:PDLA―2を50:50(重量部)の比で計量し、二軸混練押出機を用い、溶融温度;250℃、混練時間;6分で、溶融混練してポリ乳酸系組成物を得た後、T−ダイシート成形機で、厚さ約300μmのポリ乳酸系組成物からなるシートを得た。かかるポリ乳酸系組成物の熱融解特性を前記記載の方法で測定した。
次に、当該シートをブルックナー社製二軸延伸機で、縦方向に延伸温度;65℃で3倍に、横方向に延伸温度;70℃で3倍に延伸し、テンター内で180℃で約40秒間のヒートセットを行い、ポリ乳酸系延伸フィルムを得た。得られたポリ乳酸系延伸フィルムの物性を前記記載の方法で測定した。測定結果を表1に、熱融解特性を図1及び図2に示す。

参考例2
参考例1で用いたPLLA―1及びPDLA―1に代えて、PLLA―1を単独で用い、二軸延伸フィルムのヒートセットを150℃で約40秒間行う以外は参考例1と同様に行い、PLLA―1のシート及び二軸延伸フィルムを得た。測定結果を表1に、熱融解特性を図3及び図4に示す。
【0041】
【表1】



表1から明らかなように、参考例1で得られたポリ乳酸系組成物からなる二軸延伸フィルムは、熱融解特性において、150〜200℃の範囲の吸熱ピーク(吸熱量)は僅かで、205〜240℃の範囲の吸熱ピークは大きく、吸熱量(ΔHm)も66.1J/gと多く、降温した際の発熱量(ΔHc)も49.7J/gある。また、二軸延伸フィルムの素材となるポリ乳酸系組成物(シート)の熱融解特性は、第1回降温時の発熱量(ΔHc)が20.3J/gと20J/g以上である。第2回昇温時には、150〜200℃の範囲には吸熱ピークはみられず、205〜240℃の範囲の吸熱ピークの吸熱量(ΔHm)は51.0J/gと35J/g以上である。さらに、参考例1で得られたポリ乳酸系組成物からなる二軸延伸フィルムは、透明性、耐熱性に優れ、透湿度及び酸素透過度も低く、バリア性能を有し、広角X線測定における回折ピークは2θが12、21、24度近辺にのみ有し、2θが17、19度近辺には回折ピークは現れなかった。また17、19度近辺のピーク面積(SPL)が全体の面積に対して0%と5%未満であり、2θが12、21、24度近辺のピーク面積(SSC)が全体の面積に対して51%と20%以上であった。
【0042】
それに対し、参考例2で得られたPLLA―1からなる二軸延伸フィルムは、150〜200℃の範囲の吸熱ピークのみで、205〜240℃の範囲の吸熱ピークはなく、降温した際の発熱量(ΔHc)は0.4J/gと参考例1で得られたポリ乳酸系組成物からなる二軸延伸フィルムに比べ少ない。また、二軸延伸フィルムの素材となるPLLA―1(シート)の熱融解特性は、第1回降温時の発熱量(ΔHc)は0であり、第2回昇温時には、205〜240℃の範囲には吸熱ピークはみられず、150〜200℃の範囲のピークのみであり、その吸熱量(ΔHm)は32.1J/gである。さらに、参考例2で得られたPLLA―1からなる二軸延伸フィルムは、透明性は優れるものの、耐熱性、バリア性能に劣るとともに、広角X線測定における回折ピークは2θが17、19度近辺にのみ有し、2θが12、21、24度近辺には回折ピークは現れなかった。また17、19度近辺のピーク面積(SPL)が全体の面積に対して57%と5%を越えており、2θが12、21、24度近辺のピーク面積(SSC)が全体の面積に対して0%と20%未満であった。

実施例1
参考例1で得られたポリ乳酸系二軸延伸フィルムのコロナ処理面(濡れ調は39ダイン)、にウレタン系接着剤(武田薬品工業製:タケラックA310(60%)+タケラックA3(5%)+酢酸エチル(35%))を約7g/m塗布した後にAsukul社製コピー用紙(マルチペーパー スーパーエコノミー A4 厚み約80μm 坪量67g/m)をドライラミネートして70℃のオーブンで20秒乾燥し、更に40℃で24時間のエージングを行い、厚さ100〜110μmのポリ乳酸系延伸フィルムと紙とを積層したポリ乳酸系積層体を得た。ついで、当該ポリ乳酸系積層体を120、140、160℃に加熱した熱ロールに3m/分の速度で通したところ、いずれの温度で通したポリ乳酸系積層体も収縮がなく、美麗であった。

比較例1
参考例2の二軸延伸フィルムの片面にコロナ処理を行い、実施例1と同様な方法で、厚さ100〜110μmの二軸延伸フィルムと紙とを積層した積層体を得た。ついで、当該積層体を120、140、160℃に加熱した熱ロールに3m/分の速度で通したところ、120及び140℃では、延伸フィルムの収縮が大きくカールが生じた。また160℃では加熱ロールに延伸フィルムが融着した。
【産業上の利用可能性】
【0043】
本発明のポリ乳酸系積層体は、TMA測定による0.25MPa荷重での5%収縮温度が170℃と、従来のポリ乳酸の溶融温度である130℃に比べ極めて高く、成形・加工性、製品の耐熱性に優れ、しかも生分解性を有しているので、かかる特性を利用して、袋、箱、皿、トレー、コップ、蓋材などの包装資材分野に好適に用いることができる。さらには、カレンダー、ポスター、本の表紙などの美麗な外観を必要とする用途;ラベル、ステッカーなどの表示材料;梱包・包装用テープ;各種製品の製造に使用される工程紙などにも好適である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は、参考例1の延伸フィルムの第1回昇温のDSC測定のチャートを示す図である。
【図2】図2は、参考例1の延伸フィルムの第1回降温のDSC測定のチャートを示す図である。
【図3】図3は、参考例1の延伸フィルムの第2回昇温のDSC測定のチャートを示す図である。
【図4】図4は、参考例2の延伸フィルムの第1回昇温のDSC測定のチャートを示す図である。
【図5】図5は、参考例2の延伸フィルムの第1回降温のDSC測定のチャートを示す図である。
【図6】図6は、参考例2の延伸フィルムの第2回昇温のDSC測定のチャートを示す図である。
【図7】図7は、参考例1のポリ乳酸系組成物からなるシート(未延伸)の第1回降温のDSC測定のチャートを示す図である。
【図8】図8は、参考例1のポリ乳酸系組成物からなるシート(未延伸)の第2回昇温のDSC測定のチャートを示す図である。
【図9】図9は、参考例2のポリ乳酸系組成物からなるシート(未延伸)の第1回降温のDSC測定のチャートを示す図である。
【図10】図10は、参考例2のポリ乳酸系組成物からなるシート(未延伸)の第2回昇温のDSC測定のチャートを示す図である。
【図11】図11は、参考例1の延伸フィルムの広角X線回折測定結果を示す図である。
【図12】図12は、参考例2の延伸フィルムの広角X線回折測定結果を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙の少なくとも片面に、ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸を含むポリ乳酸系組成物からなり、DSC測定における150〜200℃の範囲にある吸熱ピークの最大吸熱ピークのピーク高さ(ピーク1)と205〜240℃の範囲にある吸熱ピークの最大吸熱ピークのピーク高さ(ピーク2)とのピーク比(ピーク1/ピーク2)が0.2以下であるポリ乳酸系延伸フィルムが積層されてなることを特徴とするポリ乳酸系積層体。
【請求項2】
ポリ乳酸系延伸フィルムが、205〜240℃の範囲にある吸熱ピークの吸熱量が40J/g以上である請求項1に記載のポリ乳酸系積層体。
【請求項3】
ポリ乳酸系延伸フィルムが、DSC測定における吸熱ピーク測定後に、降温した際の発熱量が40J/g以上である請求項1に記載のポリ乳酸系積層体。
【請求項4】
ポリ乳酸系延伸フィルムが、広角X線測定における2θが12度、21度および24度近辺のピーク面積の総和(SSC)が全体の面積に対して20%以上であり、かつ2θが17度および19度近辺のピーク面積の総和(SPL)が全体の面積に対して5%以下である請求項1〜3のいずれかに記載のポリ乳酸系積層体。
【請求項5】
ポリ乳酸系延伸フィルムが、DSC測定において、250℃で10分間経過後に降温した際の発熱量が20J/g以上のポリ乳酸系組成物を延伸してなる請求項1〜4のいずれかに記載のポリ乳酸系積層体。
【請求項6】
ポリ乳酸系延伸フィルムが、DSC測定において、第2回昇温時における150〜200℃の範囲にある吸熱ピークの最大吸熱ピークのピーク高さ(ピーク10)と205〜240℃の範囲にある吸熱ピークの最大吸熱ピークのピーク高さ(ピーク20)とのピーク比(ピーク10/ピーク20)が0.5以下のポリ乳酸系組成物を延伸してなる請求項1〜4のいずれかに記載のポリ乳酸系積層体。
【請求項7】
ポリ乳酸系延伸フィルムが、DSC測定において、第2回昇温時における205〜240℃の範囲にある吸熱ピークの吸熱量が35J/g以上のポリ乳酸系組成物を延伸してなる請求項1〜4のいずれかに記載のポリ乳酸系積層体。
【請求項8】
ポリ乳酸系組成物が、ポリ−L−乳酸75〜25重量部及びポリ−D−乳酸25〜75重量部(ポリ−L−乳酸とポリ−D−乳酸の合計で100重量部)から調製されてなる請求項1〜7のいずれかに記載のポリ乳酸系積層体。
【請求項9】
ポリ乳酸系延伸フィルムが、少なくとも一方向に2倍以上延伸されてなる延伸フィルムからなる層である請求項1〜4のいずれかに記載のポリ乳酸系積層体。
【請求項10】
ポリ乳酸系延伸フィルムが、縦方向に2倍以上及び横方向に2倍以上延伸されてなる延伸フィルムである請求項1〜4のいずれかに記載のポリ乳酸系積層体。
【請求項11】
ポリ乳酸系延伸フィルムが、140〜220℃で1秒以上熱処理してなる請求項10または10に記載のポリ乳酸積層体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2008−62588(P2008−62588A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−244898(P2006−244898)
【出願日】平成18年9月9日(2006.9.9)
【出願人】(000220099)東セロ株式会社 (177)
【Fターム(参考)】