説明

ポリ乳酸類用難燃剤、ポリ乳酸類組成物及びそれを用いた成形体

【課題】ハロゲン系化合物を使用せずに更なる難燃性を向上させるとともに、ポリ乳酸類の欠点である耐衝撃性や耐熱性を改良したポリ乳酸類用難燃剤、該難燃剤を含むポリ乳酸類組成物及びその成形体を提供する。
【解決手段】シリコーン化合物及び/又はシリコーン共重合ポリカーボネートを含むポリカーボネート樹脂99〜50質量%と、無機充填剤1〜50質量%とを含有してなるポリ乳酸類用難燃剤とポリ乳酸類とを配合してポリ乳酸類組成物とし、該組成物を用いて成形体とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコーン化合物及び/又はシリコーン共重合ポリカーボネートを含むポリカーボネート樹脂の特定量と無機充填剤の特定量とを含有してなるポリ乳酸類用難燃剤、該難燃剤をポリ乳酸類に配合してなるポリ乳酸類組成物及びその成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ乳酸類組成物は、微生物に分解・消化可能であるため、廃棄−回収のサイクルを生態系システム中に組み込むことができ、環境への負荷が小さいことから、近年、地球環境への関心が高まるにつれて注目を集めるようになってきており、最近では、特に電気・電子・OA分野においてもその使用が望まれてきている。これらの分野において使用される部品、例えば、パーソナルコンピュータ部品等には、一般に高度な難燃性(UL94V−2からV−0)や耐衝撃性が要求される。このような要求を充たす部品材料として、透明性、硬度、成形性、生分解性等の点で優れるポリ乳酸類組成物が注目されている。
しかしながら、該ポリ乳酸類組成物を前記分野に使用する場合、該組成物の難燃性の向上が困難であるという大きな問題点がある。一般の樹脂組成物の難燃性を向上させる技術は知られているが、ポリ乳酸類組成物の難燃性の向上を可能とする技術、該組成物をエンジニアリングプラスチックとして汎用化可能とする技術は未だ提供されていないのが現状である。
【0003】
ポリ乳酸類組成物に、一般的に使用される難燃剤である、臭素化ビスフェノールAのカーボネート誘導体のオリゴマー乃至ポリマーを配合することにより、該組成物の難燃性を向上させることが考えられる。しかしながら、この場合、該組成物を使用して得た成形体の耐衝撃性が低下してしまい、該成形体に割れ等が生じてしまうという問題がある。また、臭素を含むハロゲン系化合物を難燃剤として配合するため、燃焼時にハロゲンを含むガスが生じ、環境を悪化させるおそれがあるという問題がある。
【0004】
一方、ポリ乳酸類組成物に、燃焼時に有害ガスが発生し難く、耐熱性、安全性等に優れたシリコーン化合物を難燃剤として配合することにより、該組成物の難燃性を向上させることも考えられる。しかしながら、シリコーン化合物を配合する場合、これを単独で添加、配合しただけでは大きな難燃効果が得られないため、一般には多量に添加する必要がある。その結果、該組成物の成形性、混練性等が劣化し、該組成物を使用して得た成形体の耐衝撃性等が劣化することがあり、コスト面でも不利であり、実用的ではないという問題がある。例えば、ポリ乳酸類を含む各種樹脂とシリコーン系分散剤とを含む樹脂組成物が開示されているが(例えば、特許文献1参照)、この場合、前記シリコーン系分散剤を単独で添加するため難燃性向上効果が十分ではなく、また、樹脂の溶液中で前記シリコーン系分散剤をゾルゲル法で作製しつつ相溶させるため、調製が容易でない等の問題がある。
【0005】
ポリ乳酸類は、一般に、脆さや加工性が十分ではなく、工業的な用途が限定されるという問題がある。このポリ乳酸類の脆さを改善するために、従来より様々な検討が行われてきており、その中でもポリマー改質の一般的な方法であって透明性を損なわず柔軟性を付与する方法として、可塑剤の使用が早くから検討されてきた。例えば、ポリ乳酸類に乳酸オリゴマーやラクタイドを添加して柔軟化する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照)。また、ポリ乳酸類と可塑剤とを含む樹脂組成物も開示されている(例えば、特許文献3参照)。また、高分子系可塑剤として、ポリカプロラクトンなどのポリエステル類や、ポリエーテル類が報告されている(例えば、特許文献4参照)。また、ポリエーテル類がポリ乳酸類の可塑剤として有用であることが開示されている(例えば、特許文献5参照)。また、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオールとからなる脂肪族ポリエステルが、ポリ乳酸類を主体とするポリマーの軟質化を目的とする可塑剤として有用であることが開示されている(例えば、特許文献6参照)。また、ポリ乳酸類に低融点のポリエステルを共重合し、更にこれと類似な構造を有するコポリマー又はホモポリマーを添加したポリ乳酸類組成物が開示されている(例えば、特許文献7参照)。また、乳酸系ポリエステルを可塑剤として使用する方法が開示されている(例えば、特許文献8参照)。
【0006】
しかしながら、これらはいずれも樹脂組成物の難燃性向上を考慮しておらず、これらの樹脂組成物に実用性を考慮して難燃剤を添加した場合には、十分な物理的特性、特に耐衝撃性が得られないという問題がある。したがって、ポリ乳酸類は、環境負荷の小さな優れた生分解性樹脂であるにも拘らず、該ポリ乳酸類を使用した樹脂組成物における難燃性と耐衝撃性とを両立させる技術がないため、該樹脂組成物については未だ汎用されるに至っていないのが現状である。
これらの問題点を解決するものとして、ポリ乳酸類とシリコーン系分散剤と乳酸系ポリエステルとを含有してなり、更に必要に応じてその他の成分を含有してなる生分解性樹脂組成物が提案されている(例えば、特許文献9参照)。
しかしながら、難燃性の改良が未だ十分でないばかりではなく、耐衝撃性や耐熱性の改良効果が見られないという問題がある。
【0007】
【特許文献1】特開2000−319532公報
【特許文献2】米国特許第5180765号明細書
【特許文献3】特開平4−335060号公報
【特許文献4】特開平8−199052号公報
【特許文献5】特開平8−283557号公報
【特許文献6】特開平9−137047号公報
【特許文献7】特開2001−335623公報
【特許文献8】特開2002−167497公報
【特許文献9】特開2004−131671公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みて、広く使用されるために、ハロゲン系化合物を使用せずに更なる難燃性を向上させるとともに、ポリ乳酸類の欠点である耐衝撃性や耐熱性を改良したポリ乳酸類用難燃剤、ポリ乳酸類組成物及びその成形体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、前記目的を達成するために鋭意研究を重ねた。その結果、シリコーン化合物及び/又はシリコーン共重合ポリカーボネートを含むポリカーボネート樹脂の特定量と無機充填剤の特定量とを含有してなる難燃剤が、ポリ乳酸類用難燃剤として、上記の目的を達成しうること、そして該難燃剤とポリ乳酸類とを配合してなるポリ乳酸類組成物及びその成形体が上記の目的を達成できることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
【0010】
すなわち、本発明は、下記から構成される。
(1)(a)シリコーン化合物及び/又はシリコーン共重合ポリカーボネートを含むポリカーボネート樹脂99〜50質量%と(b)無機充填剤1〜50質量%を含有することを特徴とするポリ乳酸類用難燃剤。
(2)(a)成分と(b)成分との合計量100質量部当り、(c)エポキシ化合物及び/又はポリテトラフルオロエチレン0.1〜10質量部を含有する前記(1)に記載のポリ乳酸類用難燃剤。
(3)(a)成分のシリコーン化合物がポリオルガノシロキサンである前記(1)又は(2)に記載のポリ乳酸類用難燃剤。
(4)(a)成分のシリコーン共重合ポリカーボネートが、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体である前記(1)又は(2)に記載のポリ乳酸類難燃剤。
(5)ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体におけるポリオルガノシロキサンがポリジメチルシロキサンである前記(4)に記載のポリ乳酸類用難燃剤。
(6)(A)ポリ乳酸類95〜60質量%と、(B)請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリ乳酸類用難燃剤5〜40質量%とを含有することを特徴とするポリ乳酸類組成物。
(7)前記(6)に記載のポリ乳酸類組成物を用いてなる、OA機器、電気・電子機器、機械部品又は自動車部品。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ハロゲン系化合物を使用せずに更なる難燃性を向上させるとともに、ポリ乳酸類の欠点である耐衝撃性や耐熱性を改良したポリ乳酸類用難燃剤、該難燃剤を含み、前記特性を有するポリ乳酸類組成物及びその成形体を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明のポリ乳酸類用難燃剤は、(a)シリコーン化合物及び/又はシリコーン共重合ポリカーボネートを含むポリカーボネート樹脂99〜50質量%と、無機充填剤1〜50質量%とを含有する難燃剤である。
【0013】
(シリコーン化合物)
本発明の難燃剤に(a)成分として用いることのできるシリコーン化合物としては、種々の化合物があるが中でも、官能基含有シリコーン化合物、例えば、官能基を有する(ポリ)オルガノシロキサン類であって、その骨格としては、
式 R10p20qSiO(4-p-q)2(R10は官能基含有基、R20は炭素数1〜12の炭化水素基、0<p≦3、0≦q<3、0<p+q≦3)で表される基本構造を有する重合体、共重合体が好ましい。また、官能基含有基としては、アルコキシ基、アリールオキシ基、ポリオキシアルキレン基、水素基、水酸基、カルボキシル基、シアノール基、アミノ基、メルカプト基、エポキシ基等を含有する基を挙げることができる。本発明においては、複数の官能基含有基を有するシリコーン化合物、異なる官能基含有基を有するシリコーン化合物を併用することもできる。前記官能基含有基を有するシリコーン化合物は、その官能基含有基(R10)/炭化水素基(R20)が、通常0.1〜3、好ましくは0.3〜2程度のものが適当である。これらシリコーン化合物は液状物、パウダー等であるが、溶融混練において分散性の良好なものが好ましい。例えば、室温での動粘度が10〜500,000mm2/秒程度の液状のものが挙げられる。シリコーン化合物が官能基含有基を有する場合には、シリコーン化合物が液状であっても、組成物に均一に分散するとともに、成形時や成形体の表面にブリードすることが少ないといった特徴がある。
これらシリコーン化合物は、1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。シリコーン化合物としては、市販品を使用してもよいし、適宜合成したものを使用してもよい。市販品としては、例えば、KR219,KF99(信越化学工業株式会社製)などを挙げることができる。
【0014】
(シリコーン共重合ポリカーボネート)
本発明の難燃剤に(a)成分として用いることのできるシリコーン共重合ポリカーボネートとしては、好ましくは、下記一般式(1)で表される末端基を有する芳香族ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体、例えば、特開昭50−29695号公報、特開平3−292359号公報、特開平4−202465号公報、特開平8−81620号公報、特開平8−302178号公報および特開平10−7897号公報に開示されている共重合体を挙げることができ、R1はハロゲン原子又は炭素数1〜35のアルキル基であり、このアルキル基は直鎖状のものでも分岐状のものでもよく、結合の位置は、パラ位、メタ位、オルト位のいずれもよいがパラ位が好ましい。また、R1のアルキル基としては炭素数10〜35のアルキル基がより好ましい。aは0〜5の整数である。
【0015】
【化1】

【0016】
該芳香族ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体は、好ましくは、次の一般式(2)で表される構造単位からなる芳香族ポリカーボネート部分と一般式(3)で表される構造単位からなるポリオルガノシロキサン部分を分子内に有する共重合体を挙げることができる。
【0017】
【化2】

【0018】
ここで、R3及びR4は炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を示し、同一でも異なっていてもよい。R5〜R8は炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を示し、好ましくはメチル基である。R5〜R8はそれぞれ同一でも異なっていてもよい。R9は脂肪族または芳香族を含む有機残基を示し、好ましくは、o−アリルフェノール残基、p−ヒドロキシスチレン残基またはオイゲノール残基である。
Zは単結合、炭素数1〜20のアルキレン基または炭素数1〜20のアルキリデン基、炭素数5〜20のシクロアルキレン基または炭素数5〜20のシクロアルキリデン基、あるいは−SO2−、−SO−、−S−、−O−、−CO−結合を示す。好ましくは、Zはイソプロピリデン基である。cおよびdは0〜4の整数で、好ましくは0である。nは1〜500の整数で、好ましくは5〜200である。
【0019】
該芳香族ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体は、例えば、予め製造された芳香族ポリカーボネート部分を構成する芳香族ポリカーボネートオリゴマー(以下、「PCオリゴマー」ということがある。)と、ポリオルガノシロキサン部分を構成する末端にo−アリルフェノール基、p−ヒドロキシスチレン基、オイゲノール残基等の反応性基を有するポリオルガノシロキサン(反応性PORS)とを、塩化メチレン、クロロベンゼン、クロロホルム等の溶媒に溶解させ、二価フェノールの苛性アルカリ水溶液を加え、触媒として、第三級アミン(トリエチルアミン等)や第四級アンモニウム塩(トリメチルベンジルアンモニウムクロライド等)を用い、下記一般式(4)で表されるフェノール化合物からなる一般の末端停止剤の存在下、界面重縮合反応することにより製造することができる。
【0020】
【化3】

(式中、R1、aは一般式(1)と同じである。)
【0021】
上記の末端停止剤としては、具体的には、例えば、フェノール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、p−クミルフェノール、p−ノニルフェノール、p−tert−アミルフェノール、ブロモフェノール、トリブロモフェノール、ペンタブロモフェノール等を挙げることができる。これらのなかでも、環境問題からハロゲンを含まない化合物が好ましい。
【0022】
芳香族ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造に使用されるPCオリゴマーは、例えば塩化メチレンなどの溶媒中で、一般式(5)で表される二価フェノールとホスゲンまたは炭酸エステル化合物等のカーボネート前駆体とを反応させることによって容易に製造することができる。
【0023】
【化4】

(式中、R3、R4、Z、cおよびd、一般式(2)と同じである。)
【0024】
例えば、塩化メチレン等の溶媒中において、二価フェノールとホスゲンのようなカーボネート前駆体との反応により、または二価フェノールとジフェニルカーボネートのようなカーボネート前駆体とのエステル交換反応等によって製造される。
一般式(5)で表される二価フェノールとしては、4,4’−ジヒドロキシジフェニル;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン等のビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロアルカン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド;ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル;ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等を挙げることができる。なかでも、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン[ビスフェノールA]が好ましい。これらの二価フェノールはそれぞれ単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0025】
炭酸エステル化合物としては、ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネートやジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネートを挙げることができる。
【0026】
芳香族ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の製造に供されるPCオリゴマーは、前記の二価フェノールの一種類を用いたホモポリマーであってもよく、また二種以上を用いたコポリマーであってもよい。
さらに、分岐剤である多官能性芳香族化合物を上記二価フェノールと併用して得られる熱可塑性ランダム分岐ポリカーボネートであってもよい。該多官能性芳香族化合物としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、α,α’,α”−トリス(4−ヒドロキシフェニル)−1,3,5−トリイソプロピルベンゼン、1−[α−メチル−α−(4’−ヒドロキシフェニル)エチル]−4−[α’,α’−ビス(4”−ヒドロキシルフェニル)エチル]ベンゼン、フロログルシン、トリメリット酸、イサチンビス(o−クレゾール)等を使用することができる。
【0027】
該芳香族ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体は、上記のように製造することができるが、一般に芳香族ポリカーボネートが副生し、芳香族ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体を含む芳香族ポリカーボネート樹脂として製造される。このような芳香族ポリカーボネート樹脂の全体の粘度平均分子量は10,000〜40,000が好ましく、さらに好ましくは12,000〜30,000である。
なお、上記の方法によって製造される共重合体は、実質的に共重合体分子の片方又は両方に前記一般式(1)で表される末端基を有するものである。
【0028】
本発明の難燃剤において、シリコーン化合物及び/又はシリコーン共重合ポリカーボネートを含有させるポリカーボネートとしては、一般式(6)で表わされる末端基を有する芳香族ポリカーボネート樹脂を挙げることができ、該ポリカーボネート樹脂は、その粘度平均分子量が10,000〜40,000のものが好ましく、さらに好ましくは12,000〜30,000である。一般式(6)において、R2は炭素数1〜35のアルキル基であり、炭素数10〜35のアルキル基がより好ましく、直鎖状のものでも分岐状のものでもよい。また、結合の位置は、パラ位、メタ位、オルト位のいずれもよいがパラ位が好ましい。
【0029】
【化5】

(式中、R2は炭素数1〜35のアルキル基を示し、bは0〜5の整数を示す。)。
【0030】
この一般式(6)で表わされる末端基を有する芳香族ポリカーボネート樹脂は、二価フェノールとホスゲン又は炭酸エステル化合物とを反応させることにより容易に製造することができる。すなわち、例えば、塩化メチレンなどの溶媒中において、トリエチルアミン等の触媒と特定の末端停止剤の存在下、二価フェノールとホスゲンのようなカーボネート前駆体との反応により、または二価フェノールとジフェニルカーボネートのようなカーボネート前駆体とのエステル交換反応等によって製造される。
ここで、二価フェノールとしては、前記の一般式(5)で表される化合物と同じものでもよく、また異なるものでもよい。また、前記の二価フェノールの一種類を用いたホモポリマーでも、二種以上用いたコポリマーであってもよい。さらに、分岐剤である多官能性芳香族化合物を上記二価フェノールと併用して得られる熱可塑性ランダム分岐ポリカーボネートであってもよい。
炭酸エステル化合物としては、ジフェニルカーボネート等のジアリールカーボネートやジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネートが挙げられる。
末端停止剤としては、一般式(6)で表される末端基が形成されるフェノール化合物を使用すればよい。すなわち、次の一般式(7)で表されるフェノール化合物であり、R2、bは一般式(6)のものと同一である。
【0031】
【化6】

【0032】
これらのアルキルフェノールとしては、フェノール、p−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、p−tert−オクチルフェノール、p−クミルフェノール、p−ノニルフェノール、ドコシルフェノール、テトラコシルフェノール、ヘキサコシルフェノール、オクタコシルフェノール、トリアコンチルフェノール、ドトリアコンチルフェノール、テトラトリアコンチルフェノール等を挙げることができる。これらは一種でもよく、二種以上を混合したものでもよい。
また、これらのアルキルフェノールは、効果を損ねない範囲で他のフェノール化合物等を併用しても差し支えない。
なお、上記の方法によって製造される芳香族ポリカーボネートは、実質的に分子の片末端又は両末端に一般式(6)で表される末端基を有するものである。
【0033】
本発明のポリ乳酸類用難燃剤において、上記一般式(6)で表される末端基を有する芳香族ポリカーボネート樹脂の分子末端は、炭素数10〜35のアルキル基であるものがさらに好ましい。分子末端を炭素数10以上のアルキル基にすると、ポリ乳酸類に本発明の難燃剤を添加した場合、流動性が向上する。しかし、分子末端が炭素数35以上のアルキル基では、耐熱性及び耐衝撃性が低下する。
本発明においては、このような芳香族ポリカーボネート樹脂を含有する難燃剤をポリ乳酸類に含有させることにより、耐熱性及び耐衝撃性が上昇する。
【0034】
本発明の難燃剤における(a)成分であるシリコーン化合物及び/又はシリコーン共重合ポリカーボネートの含有量は、難燃剤に対して、(a)成分由来のシリコーン量が通常0.1〜20質量%、好ましくは0.3〜10質量%に調製されたものが好ましい。シリコーン共重合ポリカーボネートを用いる場合は、該シリコーン共重合ポリカーボネート以外にシリコーンを含まないポリカーボネートが含まれているのでこの分はポリカーボネート樹脂として含有量を計算すればよい。
【0035】
(無機充填剤)
本発明の難燃剤に(b)成分として用いる無機充填剤としては、シリカ、タルク、マイカ、ワラストナイト、カオリン、ケイソウ土、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、ガラス繊維、炭素繊維及びチタン酸カリウム等を挙げることができる。これら無機充填剤の中でも、シリカ、タルク及びマイカが特に好ましい。該無機充填剤は、一般に市販されているものを用いることができる。該無機充填剤としては、通常、その平均粒径が0.1〜50μmであるものが用いられるが、平均粒径0.2〜20μmであるものが特に好適に用いられる。
シリカとしては、微細シリカが好ましい。微細シリカは高純度無水シリカであり、好ましくはSiO2>99.5%、平均粒子径が、通常、50nm以下、好ましくは5〜40nm、比表面積が、通常、50〜400m2/g、好ましくは60〜350m2/gのものである。これらはエアロジル、コロイダルシリカとして容易に購入可能である。しかし特に限定されるものではない。微細シリカを樹脂中に微分散させるためにシリカを溶媒などに分散させたものを使用することもできる。この場合の溶媒としては、水、エチレングリコール等が好ましく、この中のシリカの含有量が5〜50質量%程度のものを使用する。
この無機充填剤は、剛性及び更なる難燃性の向上のために添加されるものである。
本発明のポリ乳酸類用難燃剤においては、前記(a)成分と(b)成分の含有割合は、それらの合計量に基づき、(a)成分が99〜50質量%で、(b)成分が1〜50質量%である。(a)成分と(b)成分との含有割合が上記の範囲にあれば、ポリ乳酸類に対する難燃性、耐衝撃性及び耐熱性の付与効果が良好に発揮される。好ましい含有割合は、(a)成分が97〜70質量%で、(b)成分が3〜30質量%である。
【0036】
本発明のポリ乳酸類用難燃剤においては、さらに、前記の(a)成分と(b)成分との合計量100質量部当り、(c)成分として、エポキシ化合物及び/又はポリフルオロエチレンを0.1〜10質量部の割合で含有することができる。(c)成分の含有量が上記範囲にあれば、ポリ乳酸類に対する分散性が良好であるとともに、難燃性及び耐衝撃性の付与効果が向上する。該(c)成分のより好ましい含有量は、0.1〜5質量部である。
エポキシ化合物は、分子内に少なくとも1つ以上のエポキシ基を有する化合物であり、ハロゲンを含まないものが好ましい。具体的には、エポキシ化大豆油、エポキシ化あまに油、エポキシブチルステアレート、エポキシオクチルステアレート、フエニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、p−ブチルフェニルグリシジルエーテル、スチレンオキシド、ネオヘキセンオキシド、アジピン酸ジグリシジルエステル、セバシン酸ジグリシジルエステル、フタル酸ジグリシジルエステル、ビス−エポキシジシクロペンタジエニルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ブタジエンジエポキシド、テトラフェニルエチレンエポキシド、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化スチレン−ブタジエン系共重合体、エポキシ化水素化スチレン−ブタジエン系共重合体、ビスフェノール−A型エポキシ化合物、ビスフェノール−S型エポキシ化合物、フエノールノボラック型エポキシ化合物、レゾルシノール型エポキシ化合物、3,4−エポキシシクロヘキサメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルグリシジルエーテルなどの脂環式エポキシ化合物などを挙げることができる。これらは、単独で用いても、2種以上混合して用いることもできる。中でもビスフェノール−A型エポキシ化合物が好ましい。
【0037】
ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)は、ポリ乳酸類の溶融滴下防止効果を付与するものであり、フィブリル形成能を有するものを用いると、高い難燃性を付与することができる。その平均分子量は500,000以上であることが好ましく、より好ましくは500,000〜10,000,000、さらに好ましくは1,000,000〜10,000,000程度である。
フィブリル形成能を有するPTFEとしては、特に制限はないが、例えば、ASTM規格によりタイプ3に分類されるものを用いることができる。このタイプに分類されるものとしては、具体的には、テフロン6−J(商品名、三井・デュポンフロロケミカル株式会社製)、ポリフロンD−1及びポリフロンF−103(商品名、ダイキン工業株式会社製)等が挙げられる。また、タイプ3以外では、アルゴフロンF5(商品名、モンテフルオス株式会社製)及びポリフロンMPA FA−100(商品名、ダイキン工業株式会社製)等が挙げられる。これらのPTFEは2種以上組み合わせて用いてもよい。上記のようなフィブリル形成能を有するPTFEは、例えば、テトラフルオロエチレンを水性溶媒中で、ナトリウム、カリウムあるいはアンモニウムパーオキシジスルフィドの存在下で、7〜700kPa程度の圧力下、温度0〜200℃程度、好ましくは20〜100℃で重合させることによって得ることができる。
【0038】
(難燃剤の調製)
本発明の難燃剤は、ポリカーボネート樹脂、シリコーン化合物及び/又はシリコーン共重合ポリカーボネート、無機充填剤並びに必要に応じてエポキシ化合物及び/又はポリフルオロエチレンの各所定量を、ヘンシェルミキサー(商品名)、スーパーミキサー、タンブラーミキサー、リボンブレンダー等の通常、熱可塑性樹脂の混合に用いる撹拌混合器を用いて混合したのち、得られた混合物を、例えば、押出機、バンバリーミキサー、ロールなどにより溶融混練することにより調製することができる。生産性の観点から押出機を用いる方法が好ましい。溶融混練時の温度としては、240〜300℃程度であり、好ましくは、250〜290℃程度、より好ましくは260〜280℃程度である。
得られた難燃剤はマスターバッチとしても使用することができる。
【0039】
(ポリ乳酸類組成物)
次に、本発明のポリ乳酸類組成物は、(A)ポリ乳酸類95〜60質量%と、(B)前記本発明のポリ乳酸類用難燃剤5〜40質量%とを含有する組成物である。
(ポリ乳酸類)
本発明の難燃剤が適用できるポリ乳酸類としては、乳酸類の単独重合体及び乳酸類と他のヒドロキシカルボン酸との共重合体を挙げることができる。
ポリ乳酸類単独重合体は、通常ラクタイドと呼ばれる乳酸類の環状二量体から開環重合により合成され、その製造方法は、米国特許第1,995,970号明細書、米国特許第2,362,511号明細書、米国特許第2,683,136号明細書等に開示されている。
また、乳酸類とその他のヒドロキシカルボン酸との共重合体は、通常ラクタイドとヒドロキシカルボン酸の環状エステル中間体から開環重合により合成され、その製造方法は、米国特許第3,635,956号明細書、米国特許第3,797,499号明細書等に開示されている。
開環重合によらず、直接脱水重縮合によりポリ乳酸類を製造する場合には、乳酸類と必要に応じて、他のヒドロキシカルボン酸を、好ましくは有機溶媒、特に、フェニルエーテル系溶媒の存在下で共沸脱水重縮合し、特に好ましくは共沸により留出した溶媒から水を除き、実質的に無水の状態にした溶媒を反応系に戻す方法によって重合することにより、本発明に適した重合度のポリ乳酸類が得られる。
原料の乳酸類としては、L−及びD−乳酸、又はその混合物、乳酸の二量体であるラクタイドのいずれも使用することができる。
また、乳酸類と併用できる他のヒドロキシカルボン酸類としては、グリコール酸、3−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ酪酸、4−ヒドロキシ吉草酸、5−ヒドロキシ吉草酸、6−ヒドロキシカプロン酸などがあり、更に、ヒドロキシカルボン酸の環状エステル中間体、例えば、グリコール酸の二量体であるグリコライドや6−ヒドロキシカプロン酸の環状エステルであるε―カプロラクトンを使用することもできる。
ポリ乳酸類の製造に際し、適当な分子量調節剤、分岐剤、その他の改質剤などを添加することもできる。
また、乳酸類及び共重合体成分としてのヒドロキシカルボン酸類は、いずれも単独で又は2種以上を使用することができ、更に得られたポリ乳酸類を2種以上混合して使用してもよい。
このポリ乳酸類としては、流動性と熱的、機械的物性の点で優れており、分子量の大きいものが好ましく、重量平均分子量3万以上のものが更に好ましい。
【0040】
前記(B)成分の難燃剤の(a)成分として、芳香族ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体を用いる場合、該共重合体中のポリオルガノシロキサンの含有割合は、ポリ乳酸類組成物全体に対して0.1〜4質量%、好ましくは0.3〜2質量%である。ポリ乳酸類組成物中のポリオルガノシロキサンの割合が0.1質量%未満であると難燃性や耐衝撃性が不十分であり、4質量%を超えると耐熱性や難燃性が低下する。ポリオルガノシロキサンは、ポリジメチルシロキサン(PDMS)が特に好ましい。
【0041】
(ポリ乳酸類組成物の製造方法)
本発明のポリ乳酸類組成物を製造する方法は、特に限定されず、ポリ乳酸類及び予め調製された前記難燃剤の所定量を、ヘンシェルミキサー(商品名)、スーパーミキサー、タンブラーミキサー、リボンブレンダー等の通常、熱可塑性樹脂の混合に用いる撹拌混合器を用いて混合したのち、得られた混合物を、例えば、押出機、バンバリーミキサー、ロールなどにより溶融混練する方法を挙げることができる。生産性の観点から押出機を用いる方法が好ましい。溶融混練時の温度としては、上記難燃剤の調製の溶融混練温度と同程度でかまわない。
押出機としては、単軸押出機でもよいが、同方向回転二軸押出機,異方向回転二軸混練機など、二軸スクリューを持つものが好ましい。同方向回転二軸押出機の例としては、日本製鋼所製TEX,CMP−X,CMP−XII、東芝機械製TEM、神戸製鋼所製
KTX,KRUPP WERNER&PFLEIDERER製ZSKなどがその代表例である。異方向回転二軸混練機の例としては、日本製鋼所CIM,CIM−P,CIM−PII、神戸製鋼所FCM,LCM−G,LCM−Hなどを例示することができる。ま
た、これら押出機の複数の組み合せ(二段目が単軸押出機も含む)であるタンデム型押出機を用いることもできる。
また、本発明のポリ乳酸類組成物は、前記難燃剤を予め調製したのち、ポリ乳酸類に混合し、溶融混練させる方法以外に、ポリ乳酸類、シリコーン化合物及び/又はシリコーン共重合ポリカーボネート、ポリカーボネート樹脂、無機充填剤、必要に応じてエポキシ化合物及び/又はポリフルオロエチレンの各所定量を一度に混合し、得られた混合物を溶融、混練する方法で調製してもよい。
【0042】
本発明のポリ乳酸類組成物にはその特徴を損なわない範囲で、酸化防止剤、顔料、核剤、可塑剤、その他の難燃剤、中和剤、紫外線吸収剤、光安定剤、帯電防止剤、防曇剤などを公知の方法に従い適宜添加することができる。
酸化防止剤としては、例えば、フェノール系安定剤,有機ホスファイト系安定剤,チオエーテル系安定剤,ヒンダードアミン系安定剤などが挙げられる。
【0043】
本発明のポリ乳酸類組成物は、射出成形法、押出成形法(フィルム、シート、繊維などに成形する方法)、中空成形法、真空成形法、圧空成形法、発泡成形法などの各種成形法により目的とする各種用途の成形体の製造に供することができる。
本発明のポリ乳酸類組成物は、難燃性が向上し、ポリ乳酸類の欠点である耐衝撃性や耐熱性が改良されているので、各種の分野の成形体の製造に好適に用いることができる。特にOA機器、電気・電子機器、機械部品、自動車部品用に好適に用いることができる。
【実施例】
【0044】
以下に実施例に基づいて本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、組成物の物性は、下記の方法に従って測定した。
(1)IZOD(アイゾット衝撃強度):ASTM D256に準拠、23℃(肉厚1/8インチ)、単位:kJ/m2
(2)難燃性:UL94規格。試験厚さ1.0mmと3.0mm。アンダーライターズラボラトリー・サブジェクト94に従って垂直燃焼試験を行った。
(3)荷重たわみ温度(HDT):ISO 75−2(JIS K7191−1996)に準拠して曲げ応力1.81MPaで測定した。
【0045】
(4)原料
(A)ポリカーボネート−1(PC−1);FN1900A(出光石油化学株式会社製)
(B)シリコーン共重合ポリカーボネート(PC−PDMS):粘度平均分子量は17,000、PDMS(ポリジメチルシロキサン)含有率は4.0質量%。特開2002−12755の製造例4に準拠して調製した。
(C)シリコーン化合物:ビニル基、メトキシ基含有メチルフェニルシリコーンKR219(信越化学工業株式会社製)
(D)シリカ−1:AEROSIL130、平均粒径 17nm(日本エアロジル株式会社製)
(E)タルク:FFR平均粒径 3μm(浅田製粉株式会社製)
(F)エポキシ化合物:エピクロヒドリン4055(大日本インキ化学工業株式会社製)
(G)ポリテトラフルオロエチレン:PTFE(旭ガラスフロロポリマーズ株式会社製、CD076)
(H)ポリ乳酸:レイシアH−100(三井化学株式会社製)
【0046】
実施例1〜4、比較例1〜3、8
後述の表1に記載の配合成分を同表に記載の含有割合に混合し、押出機を用いて設定温度280℃で溶融混練し、ダイスから吐出したストランドを水冷固化し、ストランドカッターを用いてペレタイズしてペレット状のポリ乳酸用難燃剤を得た。
【0047】
実施例5〜9、比較例4〜7、9
後述の表2に記載の配合割合にポリ乳酸及び実施例1〜4、比較例1〜3、8で得られた各難燃剤を同表に記載の割合に配合して混合し、押出機を用いて設定温度280℃で溶融混練し、ダイスから吐出したストランドを水冷固化し、ストランドカッターを用いてペレタイズしてペレット状のポリ乳酸組成物を得た。
得られた組成物を用いて、IZOD衝撃強度、HDT及び難燃性の評価を行った。その結果を表2に示した。同表から明らかなように、本発明の範囲内の組成の難燃剤をポリ乳酸に配合した実施例5〜9の乳酸組成物は難燃性に優れるとともに耐衝撃性、耐熱性にも優れていることが分かる。一方、難燃剤として、シリコーン化合物及び/又はシリコーン共重合ポリカーボネートを使用してない比較例1,2の難燃剤を用いた比較例4,5及びシリコーン共重合ポリカーボネートのみを用いた比較例8の難燃剤を用いた比較例9で得られたポリ乳酸組成物並びに難燃剤を用いない比較例7の乳酸組成物は難燃性を示さないことがわかる。また、無機充填剤の配合量が範囲外の比較例3の難燃剤を用いた比較例6は難燃性及びHDTは改良されているがアイゾット衝撃強度が極めて低いことがわかる。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)シリコーン化合物及び/又はシリコーン共重合ポリカーボネートを含むポリカーボネート樹脂99〜50質量%と、(b)無機充填剤1〜50質量%を含有することを特徴とするポリ乳酸類用難燃剤。
【請求項2】
(a)成分と(b)成分との合計量100質量部当り、(c)エポキシ化合物及び/又はポリテトラフルオロエチレン0.1〜10質量部を含有する請求項1に記載のポリ乳酸類用難燃剤。
【請求項3】
(a)成分のシリコーン化合物がポリオルガノシロキサンである請求項1又は2に記載のポリ乳酸類用難燃剤。
【請求項4】
(a)成分のシリコーン共重合ポリカーボネートが、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体である請求項1又は2に記載のポリ乳酸類用難燃剤。
【請求項5】
ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体におけるポリオルガノシロキサンがポリジメチルシロキサンである請求項4に記載のポリ乳酸類用難燃剤。
【請求項6】
(A)ポリ乳酸類95〜60質量%と、(B)請求項1〜5のいずれか1項に記載のポリ乳酸類用難燃剤5〜40質量%とを含有することを特徴とするポリ乳酸類組成物。
【請求項7】
請求項6に記載のポリ乳酸類組成物を用いてなる、OA機器、電気・電子機器、機械部品又は自動車部品。


【公開番号】特開2006−52239(P2006−52239A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−232640(P2004−232640)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【出願人】(000183646)出光興産株式会社 (2,069)
【Fターム(参考)】