説明

ポリ(アリーレンエーテル)組成物およびそれを製造する方法

樹脂組成物を製造する方法であって、ポリアミド粉末またはポリエステル粉末を含む第1のポリマーをフルオロポリマーとそのフルオロポリマーの軟化温度より低い温度で溶融混合して、第1の溶融ブレンドを形成し;第1の溶融ブレンド中でフルオロポリマーをフィブリル化して、第1の溶融ブレンド中にフィブリル網状構造を形成し;フィブリル網状構造を有する第1の溶融ブレンドと、(i) ポリ(アリーレンエーテル)および相溶化剤または(ii) ポリ(アリーレンエーテル)およびポリ(アリーレン)と相溶化剤との反応生成物とを溶融混合する各工程を含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ(アリーレンエーテル)組成物、そのポリ(アリーレンエーテル)組成物を製造する方法およびポリ(アリーレンエーテル)組成物から製造される物品に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ(アリーレンエーテル)樹脂、例えば、ポリフェニレンエーテル樹脂(PPE)は、それらの加水分解安定性、高寸法安定性、靭性、耐熱性および誘電特性ゆえに、極めて有用な類の高性能エンジニアリングサーモプラスチックである。特性のこのユニークな組み合わせにより、ポリ(アリーレンエーテル)は、広い用途範囲に適した組成物の基礎となり、このことは、当分野で周知である。例えば、ポリ(アリーレンエーテル)ブレンド類は、自動車部品、電気部品、オフィス機器等の分野で広く使用されている。
【0003】
多くのポリ(アリーレンエーテル)樹脂ベースの物品は、射出成形またはその他の成形プロセスによって製造される。良好な機械的特性、例えば、高弾性率を達成するために、種々のアプローチ、例えば、ポリ(アリーレンエーテル)ブレンド類を強化するために充填材を使用するアプローチが試されている。種々のタイプの充填材、例えば、ガラス繊維、アラミド繊維、炭素繊維および種々の粒状充填材が使用されている。しかし、これら充填材の添加は、樹脂の脆性破損をもたらし、樹脂の衝撃強さを低下させかねない。例えば、アラミド充填材の場合におけるように延性の改善が達成される場合、達成される弾性率は、非常に低い。また、充填材の使用は、充填材とポリマーマトリックスとの相溶性が少なくとも一部欠如することにより、加工困難性を示しかねない。このような不相溶性は、また、成形および流動に関連する問題を生じかねない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
当分野における進歩および多くの充填されたポリマー組成物の達成にもかかわらず、改良される特性の組み合わせ、例えば、より高い弾性率、延性の改良、衝撃の改善および/またはメルトフロー特性の改良について引続き要求が存在したままである。また、物品が、良好な耐衝撃性および延性を有することが望ましく、さらに、その他の望ましい特性も喪失しないことが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
樹脂組成物を製造する方法の1つの実施態様は、ポリアミド粉末またはポリエステル粉末を含む第1のポリマーをフルオロポリマーの軟化温度より低い温度でフルオロポリマーと溶融混合(melt mixing)して第1の溶融ブレンドを形成し;第1の溶融ブレンド中でフルオロポリマーをフィブリル化して、第1の溶融ブレンド中にフィブリル網状構造(fibrillar network)を形成し;フィブリル網状構造を有する第1の溶融ブレンドと、(i) ポリ(アリーレンエーテル)および相溶化剤または(ii) ポリ(アリーレンエーテル)およびポリ(アリーレン)と相溶化剤との反応生成物とを溶融混合する各工程を含む。
【0006】
これらの方法に従い製造される組成物もまた開示する。さらに、その組成物で製造される物品もまた開示する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本明細書および特許請求の範囲において、幾つかの用語は、以下の意味を有すると定義されるであろう。
単数形“a”、“an”および“the”は、本文脈中で特に断らない限り、複数の指示物をも包含する。
【0008】
“任意の”または“場合によっては”は、続いて記載される事象または付随的な事柄が生じてもよくまたは生じなくともよいこと;および、その記載がその事象を生ずる例およびその事象が生じない例をも包含することを意味する。
【0009】
本明細書で使用する場合、“組み合わせ”は、混合物、コポリマー、反応生成物、ブレンド、複合物等を包含する。
本明細書で使用する場合、“粉末”は、粒径0.5マイクロメートル〜500マイクロメートルを有する。この範囲内で、粒径は、1マイクロメートル以上、さらにとりわけ、1.5マイクロメートル以上、なおさらにとりわけ、2マイクロメートル以上であってよい。また、この範囲内で、粒径は、200マイクロメートル以下、さらにとりわけ、100マイクロメートル以下、なおさらにとりわけ、50マイクロメートル以下であってよい。粒径は、本明細書で定義する場合、粒子の最大径を称するが、若干の粒子は、材料が特定のメッシュサイズを有する篩を通して篩い分けられる時のように、それより小さいこともありうる。
【0010】
同一の特性を列挙する全ての範囲の端点は、独立に、列挙した端点を組み込み可能でありかつ包含する。
以降にさらに詳細に説明するように、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリ(アリーレンエーテル)と実質的に不混和性のポリマーおよびフィブリルフルオロポリマー網状構造を含む組成物は、フィブリルフルオロポリマー網状構造を含まない組成物と比較したとき、弾性率が高まり、高温安定性が高まり、熱膨張が低下し、破断時の歪がさらに良好に保持される。
【0011】
ポリ(アリーレンエーテル)と実質的に不混和性のポリマー(不混和性ポリマーとも称す)は、ポリアミドまたはポリエステルを含む。ポリ(アリーレンエーテル)および不混和性ポリマーを含む組成物は、2つの異なる相:ポリアミドまたはポリエステル相に分散されるか、または、ポリアミドまたはポリエステル相と共存する(con-continuous)相を含む。2つの相は、標準的な分析技術、例えば、走査電子顕微鏡または透過型電子顕微鏡によって識別することができる。種々のその他の実施態様では、本組成物は、さらに、充填材および耐衝撃性改良剤を含んでもよい。
【0012】
本明細書で使用する場合、“ポリ(アリーレンエーテル)”は、式(I):
【0013】
【化1】

【0014】
[式中、各構造単位について、各Q1およびQ2は、独立に、水素、ハロゲン、第1級または第2級低級アルキル(例えば、1〜7個の炭素原子を含有するアルキル)、フェニル、ハロアルキル、アミノアルキル、アルケニルアルキル、アルキニルアルキル、ヒドロカーボンオキシ、アリールおよびハロゲン原子と酸素原子とが少なくとも2つの炭素原子によって隔てられているハロヒドロカーボンオキシである]
で表される複数の構造単位を含む。幾つかの実施態様では、各Q1は、独立に、アルキルまたはフェニル、例えば、C1-4アルキルであり、各Q2は、独立に、水素またはメチルである。ポリ(アリーレンエーテル)は、典型的には、ヒドロキシ基のオルト位に位置するアミノアルキル含有末端基を有する分子を含むことができる。また、典型的にはテトラメチルジフェノキノン副生物が存在する反応混合物から得られるテトラメチルジフェノキノン(TMDQ)末端基が存在することもしばしばである。
【0015】
ポリ(アリーレンエーテル)は、ホモポリマー、コポリマー、グラフトコポリマー、イオノマーもしくはブロックコポリマー;および、前述の少なくとも1つを含む組み合わせの形態であってもよい。例えば、1つの実施態様では、ポリ(アリーレンエーテル)としては、2,6-ジメチル-1,4-フェニレンエーテル単位;および、場合によっては、それと2,3,6-トリメチル-1,4-フェニレンエーテル単位との組み合わせを含むポリフェニレンエーテル(PPE)が挙げられる。
【0016】
ポリ(アリーレンエーテル)は、モノヒドロキシ芳香族化合物、例えば、2,6-キシレノールおよび2,3,6-トリメチルフェノールの酸化カップリングにより製造することができる。このようなカップリングについては、触媒系が、概して、使用され;触媒系は、重金属化合物、例えば、銅、マンガンまたはコバルト化合物を、通常、種々のその他物質、例えば、第2級アミン、第3級アミン、ハライド;または、前述の2つ以上の組み合わせと組み合わせて含有することができる。
【0017】
官能化前のポリ(アリーレンエーテル)は、単分散ポリスチレン標準、40℃のスチレンジビニルベンゼンゲルおよび濃度1ミリグラム/ミリリットルのクロロホルム中の試料を使用しゲル透過クロマトグラフィーにより測定して、数平均分子量3,000グラム/モル(g/mol)〜40,000g/molおよび重量平均分子量5,000g/mol〜80,000g/molを有することができる。ポリ(アリーレンエーテル)またはポリ(アリーレンエーテル)類の組み合わせは、25℃のクロロホルム中で測定して、初期固有粘度0.25デシリットル/グラム(dl/g)〜0.55デシリットル/グラム(dl/g)を有する。初期固有粘度は、組成物のその他の成分と溶融混合する前のポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度と定義される。当業者であれば理解されるであろうが、ポリ(アリーレンエーテル)の固有粘度は、溶融混合後30%超までであるのがよい。増加のパーセンテージは、(溶融混合後の最終固有粘度−初期固有粘度)/初期固有粘度によって計算することができる。2つの初期固有粘度が使用されるとき、正確な比を決定するには、使用されるポリ(アリーレンエーテル)の正確な固有粘度と所望される極限の物理的特性とに幾分か依存するであろう。
【0018】
本組成物は、ポリ(アリーレンエーテル)を10〜99.5重量パーセント(wt.%)の量含む。この範囲内で、ポリ(アリーレンエーテル)は、20wt.%以上の量、もしくは、さらにとりわけ、25wt.%以上の量、または、なおさらにとりわけ、30wt.%以上の量存在してもよい。また、この範囲内で、ポリ(アリーレンエーテル)は、80wt.%以下の量、もしくは、さらにとりわけ、60wt.%以下の量、または、なおさらにとりわけ、45wt.%以下の量存在するのがよい。重量パーセントは、組成物の総重量に基づく。
【0019】
1つの実施態様では、不混和性のポリマーは、ポリアミドを含む。ポリアミド類は、ナイロンとしても公知であり、アミド基(-C(O)NH-)基の存在を特徴とし、U.S.特許No.4,970,272に記載されている。ポリアミド類の例としては、ナイロン-6;ナイロン-6,6;ナイロン-4;ナイロン-4,6;ナイロン-12;ナイロン-6,10;ナイロン6,9;ナイロン-6,12;非晶質ポリアミド樹脂;トリアミン含量が0.5重量%より低いナイロン6/6Tおよびナイロン6,6/6T;ガラス転移温度105℃を有するPA 11;ガラス転移温度175℃を有するPA 12;ガラス転移温度200℃を有するPA 6/69;および、前述のポリアミド類の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられるが、それらに限定されるものではない。1つの実施態様では、ポリアミドは、ナイロン6およびナイロン6,6を含む。
【0020】
ポリアミド樹脂は、幾つかの数の周知プロセス、例えば、U.S.特許Nos.2,071,250;2,071,251;2,130,523;2,130,948;2,241,322;2,312,966;および、2,512,606に記載されているプロセスによって得ることができる。ポリアミド樹脂は、広範多様な供給元から市販入手可能である。
【0021】
ISO 307に従い96wt.%硫酸中0.5wt.%溶液で測定して、粘度400ミリリットル/グラム(ml/g)までの粘度を有する、もしくは、とりわけ、粘度90ml/g〜350ml/gを有する、または、なおさらにとりわけ、粘度110ml/g〜240ml/gを有するポリアミド樹脂を使用することができる。
【0022】
本組成物は、ポリアミドを10wt.%〜95wt.%の量含む。この範囲内で、ポリアミドは、20wt.%以上の量、もしくは、さらにとりわけ、30wt.%以上の量、または、なおさらにとりわけ、45wt.%以上の量存在してもよい。また、この範囲内で、ポリアミドは、80wt.%以下の量、もしくは、さらにとりわけ、70wt.%以下の量、または、なおさらにとりわけ、50wt.%以下の量存在するのがよい。重量パーセントは、組成物の総重量に基づく。
【0023】
1つの実施態様では、不混和性のポリマーは、ポリエステルを含む。適したポリエステル類としては、式(II):
【0024】
【化2】

【0025】
[式中、各R1は、独立に、2価の脂肪族、脂環式または芳香族炭化水素基またはそれらの混合物であり、各A1は、独立に、2価の脂肪族、脂環式または芳香族基またはそれらの混合物である]
で表される構造単位を含むポリエステル類が挙げられる。式(II)で表される構造を含む、適したポリエステル類の例は、ポリ(アルキレンジカルボキシレート)類;液晶ポリエステル類;ポリアリーレート類;および、ポリエステルコポリマー類、例えば、コポリエステルカーボネート類およびポリエステルアミド類である。また、比較的低レベルのジエポキシまたは多エポキシ化合物で処理されたポリエステル類も含まれる。分岐剤、例えば、3つ以上のヒドロキシル基を有するグリコールまたは三官能性もしくは多官能性カルボン酸が組み込まれた分岐ポリエステル類を使用することも可能である。ポリエステルの三官能性または多官能性エポキシ化合物、例えば、トリグリシジルイソシアヌレートによる処理もまた分岐されたポリエステルを製造するために使用することができる。さらに、組成物の究極の最終使用用途に応じて、ポリエステル上に種々の濃度の酸およびヒドロキシル末端基を有することが望ましい場合もある。
【0026】
1つの実施態様では、少なくとも若干のポリエステルは、求核基、例えば、例として、カルボン酸基を含む。幾つかの例では、酸末端基の数を、典型的には、酸反応性種を使用してポリエステルの30マイクロ当量/グラム未満に低下させることが望ましい。その他の例では、ポリエステルは、比較的高いカルボキル末端基濃度、例えば、ポリエステルの5〜250マイクロ当量/グラム、もしくは、さらにとりわけ、ポリエステルの20〜70マイクロ当量/グラムを有することが望ましい。
【0027】
1つの実施態様では、式(II)中のR1基は、C2-10アルキレン基、C6-10脂環式基またはC6-20芳香族基であり、アルキレン基は、2〜6個、最も多くは、2個又は4個の炭素原子を含有する。式(II)中のA1基は、最も多くは、p-もしくはm-フェニレンまたはそれらの混合物である。このクラスのポリエステル類としては、ポリ(アルキレンテレフタレート類)、ポリ(アルキレンナフタレート類)およびポリアリーレート類が挙げられる。ポリ(アルキレンテレフタレート類)の例としては、ポリ(エチレンテレフタレート)(PET);ポリシクロヘキサンジメタノールテレフタレート(PCT);および、ポリ(ブチレンテレフタレート)(PBT)が挙げられる。ポリ(アルキレンナフタレート)類の例としては、ポリ(ブチレン-2,6-ナフタレート)(PBN)およびポリ(エチレン-2,6-ナフタレート)(PEN)が挙げられる。その他の有用なポリエステルとしては、ポリ(エチレン-コ-シクロヘキサンジメタノールテレフタレート)(PETG)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリ(ジメタノール-1,4-シクロヘキサンジカルボキシレート)(PCCD)およびポリキシレンテレフタレート(PXT)が挙げられる。ポリエステル類は、以下のU.S.特許No.:2,465,319;2,720,502;2,727,881;2,822,348;3,047,539;3,671,487;3,953,394;および、4,128,526により示されているように当分野公知である。
【0028】
本組成物は、ポリエステルを10wt.%〜95wt.%の量含む。この範囲内で、ポリエステルは、20wt.%以上の量、もしくは、さらにとりわけ、40wt.%以上の量、または、なおさらにとりわけ、50wt.%以上の量存在してもよい。また、この範囲内で、ポリエステルは、50wt.%以下の量、もしくは、さらにとりわけ、60wt%以下の量、または、なおさらにとりわけ、75wt.%以下の量存在してもよい。重量パーセントは、組成物の総重量に基づく。
【0029】
不混和性ポリマーの選択に応じて、本組成物は、ポリアミド相溶化剤またはポリエステル相溶化剤を使用して製造することができる。
本明細書で使用するとき、“ポリアミド相溶化剤”という表現は、多官能性化合物を称し、これは、ポリ(アリーレンエーテル)、ポリアミド樹脂またはそれらの両方と相互作用する。ポリアミド相溶化剤とポリ(アリーレンエーテル)との間のこの相互作用は、化学的(例えば、グラフト)および/または物理的(例えば、分散された相の界面特性に影響を及ぼす)であるのがよい。いずれかの例において、生ずる相溶化されたポリ(アリーレンエーテル)/ポリアミド組成物は、とりわけ、衝撃強さの増強、金型ニットライン強さ(mold knit line strength)および/または伸びによって立証されるように、相溶性の改善を示すようである。本明細書で使用する場合、“相溶化されたポリ(アリーレンエーテル)/ポリアミドブレンド”という表現は、上記考察した作用物質(agent)と物理的および/または化学的に相溶化されたそれら組成物;および、U.S.特許No.3,379,792に教示されているように、そのような作用物質と物理的に相溶性であるそれら組成物を称す。
【0030】
1つの実施態様では、ポリアミド相溶化剤は、多官能性化合物を含む。多官能性化合物は、ポリアミド相溶化剤として使用してもよく、3つのタイプを有する。多官能性化合物の第1のタイプは、分子中に、(a) 炭素-炭素二重結合または炭素-炭素三重結合および(b)少なくとも1つのカルボン酸、酸無水物、アミド、エステル、イミド、アミノ、エポキシ、オルトエステルまたはヒドロキシ基の両方を有する多官能性化合物である。このような多官能性化合物の例としては、マレイン酸;無水マレイン酸;フマル酸;グリシジルアクリレート、イタコン酸;アコニット酸;マレイミド;マレイックヒドラジド;ジアミンと無水マレイン酸、マレイン酸、フマル酸から生ずる反応生成物等;無水ジクロロマレイン酸、マレイン酸アミド、不飽和ジカルボン酸類(例えば、アクリル酸、ブテン酸、メタクリル酸、t-エチルアクリル酸、ペンテン酸);デセン酸類、ウンデセン酸、ドデセン酸類、リノール酸等);前述の不飽和カルボン酸類のエステル類、酸アミド類または無水物類;不飽和アルコール類(例えば、アルキルアルコール、クロチルアルコール、メチルビニルカルビノール、4-ペンテン-1-オール、1,4-ヘキサジエン-3-オール、3-ブテン-1,4-ジオール、2,5-ジメチル-3-ヘキセン-2,5-ジオール、および、式CnH2n-5OH、CnH2n-7OHおよびCnH2n-9OH(式中、nは、30以下の正の整数である);上記不飽和アルコール類の-OH基をNH2基で置換して生ずる不飽和アミン類;官能化されたジエンポリマーおよびコポリマー;および、前述の1つ以上を含む組み合わせが挙げられる。1つの実施態様では、ポリアミド相溶化剤は、無水マレイン酸および/またはフマル酸を含む。
【0031】
多官能性相溶化剤の第2のタイプは、(a) 式(OR)(式中、Rは、水素またはアルキル、アリール、アシルまたはカルボニルジオキシ基である)によって表される基および(b) その各々が、同一または異なっていてもよく、カルボン酸、酸ハライド、酸無水物、酸ハライド無水物、エステル、オルトエステル、アミド、イミド、アミノおよびそれらの種々の塩類から選択される少なくとも2つの基の両方を有する特徴がある。典型的なこの類の相溶化剤は、式:
【0032】
【化3】

【0033】
[式中、Rは、2〜20個、もしくは、さらにとりわけ、2〜10個の炭素原子を有する直鎖または分岐鎖飽和脂肪族炭化水素であり;RIは、水素、または、1〜10個の、もしくは、さらにとりわけ、1〜6個の、または、なおさらにとりわけ、1〜4個の炭素原子を有するアルキル、アリール、アシルまたはカルボニルジオキシ基であり、各RIIは、独立に、水素、または、1〜20個の、または、さらにとりわけ、1〜10個の炭素原子を有するアルキルまたはアリール基であり;各RIIIおよびRIVは、独立に、水素、または、1〜10個の、もしくは、さらにとりわけ、1〜6個の、または、なおさらにとりわけ、1〜4個の炭素原子を有するアルキルまたはアリール基であり;mは、1に等しく、(n+s)は、2以上、もしくは、さらにとりわけ、2または3に等しく、nおよびsは、各々、ゼロ以上であり、(ORI)は、カルボニル基に対してアルファまたはベータであり、少なくとも2つのカルボニル基は、2〜6個の炭素原子によって隔てられている]
によって表される脂肪族ポリカルボン酸類;酸エステル類;および、酸アミド類である。明らかなように、RI、RII、RIIIおよびRIVは、それぞれの置換基が6個未満の炭素原子を有するとき、アリールではありえない。
【0034】
適したポリカルボン酸類としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、アガリシン酸が挙げられ;それらの種々の市販形、例えば、例として、無水物および水和された酸類;および、前述の1つ以上を含む組み合わせ等を含む。1つの実施態様では、ポリアミド相溶化剤は、クエン酸を含む。本明細書において有用なエステル類の例としては、例えば、アセチルシトレート、モノ-および/またはジステアリルシトレート等が挙げられる。本明細書において有用な適したアミド類としては、例えば、N,N’-ジエチルクエン酸アミド;N-フェニルクエン酸アミド;N-ドデシルクエン酸アミド;N,N’-ジドデシルクエン酸アミド;および、N-ドデシルリンゴ酸が挙げられる。誘導体としては、アミン類ならびにアルカリおよびアルカリ土類金属塩を含め、それらの塩類が挙げられる。適した塩類の例としては、カルシウムマレート、カルシウムシトレート、カリウムマレートおよびカリウムシトレートが挙げられる。
【0035】
多官能性相溶化剤の第3のタイプは、分子中に、(a) 酸ハライド基および(b) 少なくとも1つのカルボン酸、酸無水物、エステル、エポキシ、オルトエステルまたはアミド基、とりわけ、カルボン酸または酸無水物の両方を有することを特徴とする。この群に入る相溶化剤の例としては、無水トリメリット酸クロライド、クロロホルミル無水コハク酸、クロロホルミルコハク酸、クロロホルミル無水グルタル酸、クロロホルミルグルタル酸、クロロアセチル無水コハク酸、クロロアセチルコハク酸、トリメリット酸クロライドおよびクロロアセチルグルタル酸が挙げられる。1つの実施態様では、ポリアミド相溶化剤は、無水トリメリット酸クロライドを含む。
【0036】
前述のポリアミド相溶化剤は、ポリアミドおよびフルオロポリマーとの溶融ブレンドに先立ち、ポリ(アリーレンエーテル)と溶液中で溶融ブレンドまたは予備反応させられる。使用されるポリアミド相溶化剤の量は、選択される個々の相溶化剤およびそれが加えられる個々の高分子系に依存するであろう。
【0037】
不混和性ポリマーがポリエステルであるとき、本組成物は、また、ポリエステル相溶化剤を含み、これは、高分子相溶化剤である。本明細書および全体を通して使用する場合、高分子相溶化剤は、ポリ(アリーレンエーテル)樹脂、ポリエステル樹脂またはその両方と相互作用する高分子多官能性化合物である。この相互作用は、化学的(例えば、グラフト)および/または物理的(例えば、分散された相の界面特性に影響を及ぼす)であってもよい。相互作用が化学的であるとき、相溶化剤は、組成物が反応生成物を含むように、ポリ(アリーレンエーテル)樹脂、ポリエステル樹脂またはその両方と一部または完全に反応してもよい。高分子相溶化剤の使用は、衝撃強さ、金型ニットライン強さおよび/または伸びの増強によって立証されるように、ポリ(アリーレンエーテル)とポリエステルとの間の相溶性を改善することができる。
【0038】
適した高分子相溶化剤は、エポキシ化合物を含み、それらに限定されるものではないが、ペンダント形(pendant)エポキシ基を有する構造単位を含むコポリマー類が挙げられる。幾つかの実施態様では、適した高分子相溶化剤は、ペンダント形エポキシ基を含む少なくとも1つのモノマーと少なくとも1つのオレフィン性モノマーとから誘導される構造単位を含むコポリマーを含み、ペンダント形エポキシ基を含むモノマーから誘導される含量は、6wt.%以上、もしくは、さらにとりわけ、8wt.%以上、または、なおさらにとりわけ、10wt.%以上である。適した相溶化剤の例としては、グリシジルメタクリレート(GMA)とアルケン類とのコポリマー、GMAとアルケン類およびアクリルエステル類とのコポリマー、GMAとアルケン類およびビニルアセテートとのコポリマーが挙げられるが、それらに限定されるものではない。適したアルケン類は、エチレン、プロピレン、および、エチレンとプロピレンとを含む混合物を含む。適したアクリルエステル類は、アルキルアクリレートモノマー類を含み、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート;および、前述のアルキルアクリレートモノマー類の組み合わせが挙げられるが、それらに限定されるものではない。存在するとき、前記アクリルエステルは、コポリマーに使用されるモノマーの総量に基づき、15wt.%〜35wt.%の量使用することができる。存在するとき、ビニルアセテートは、コポリマーに使用されるモノマーの総量に基づき、4wt.%〜10wt.%の量使用することができる。適した相溶化剤の例は、エチレン-グリシジルアクリレートコポリマー、エチレン-グリシジルメタクリレートコポリマー、エチレン-グリシジルメタクリレート-ビニルアセテートコポリマー、エチレン-グリシジルメタクリレート-アルキルアクリレートコポリマー、エチレン-グリシジルメタクリレート-メチルアクリレートコポリマー、エチレン-グリシジルメタクリレート-エチルアクリレートコポリマーおよびエチレン-グリシジルメタクリレート-ブチルアクリレートコポリマーを含む。
【0039】
適した高分子相溶化剤は、Sumitomo Chemical Co.,Ltd.からの商標名BONDFAST 2C(IGETABOND 2Cとしても公知;これは、94wt.%エチレンおよび6wt.%グリシジルメタクリレートから誘導される構造単位を含むコポリマーである);BONDFAST E(IGETABOND Eとしても公知;これは、88wt.%エチレンおよび12wt.%グリシジルメタクリレートから誘導される構造単位を含むコポリマーである);IGETABOND 2B、7Bおよび20B(これらは、83wt.%エチレン、5wt.%ビニルアセテートおよび12wt.%グリシジルメタクリレートから誘導される構造単位を含むコポリマーである);IGETABOND 7Mおよび20M(これらは、64wt.%エチレン、30wt.%メチルアクリレートおよび6wt.%グリシジルメタクリレートから誘導される構造単位を含むコポリマーである);および、Atofinaからの商標名LOTADER 8840(これは、92wt.%エチレンおよび8wt.%のグリシジルメタクリレートから誘導される構造単位を含むコポリマーである);および、LOTADER 8900(これは、67wt.%エチレン、25wt.%メチルアクリレートおよび8wt.%グリシジルメタクリレートから誘導される構造単位を含むコポリマーである)等を含め市販供給元から入手可能である。前述した相溶化剤の混合物もまた使用することができる。1つの実施態様において、相溶化剤は、最終樹脂組成物の加工温度で実質的に安定である。
【0040】
前述のポリエステル相溶化剤は、組成物に直接加えるか、または、ポリ(アリーレンエーテル)樹脂およびポリエステル樹脂のいずれかまたは両方ならびに組成物の製造に使用されるその他の材料と予備反応させてもよい。使用される相溶化剤の初期量および添加の順序は、選択される個々の相溶化剤および使用されるポリ(アリーレンエーテル)樹脂およびポリエステル樹脂の個々の量に依存しようが、当業者であれば、容易に決定することができるであろう。
【0041】
本組成物は、組成物の総重量に基づき、0.1wt.%〜20wt.%のポリエステル相溶化剤またはポリアミド相溶化剤を含むことができる。この範囲内で、本組成物は、15wt.%以下、もしくは、さらにとりわけ、10wt.%以下、または、なおさらにとりわけ、8wt.%以下の相溶化剤を含んでもよい。また、この範囲内で、組成物は、0.5wt.%以上、もしくは、さらにとりわけ、1wt.%以上含んでもよい。
【0042】
フルオロポリマー成分として使用するのに適したフルオロポリマー類は、混合の間に、少なくともポリ(アリーレンエーテル)とフィブリル化されうる(“フィブリル化可能な(fibrillatable)”)粉末である。“フィブリル化”は、例えば、“ノード(nodes)およびフィブリル,網状構造またはかご様構造を生じさせるためのフルオロポリマーの処理を称す当分野の用語である。適したフルオロポリマー類としては、1つ以上のフッ素化されたアルファ-オレフィンモノマー類から誘導される構造単位、すなわち、水素原子の代わりに少なくとも1つのフッ素原子を含むアルファーオレフィンモノマーを含むホモポリマー類およびコポリマー類が挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0043】
1つの実施態様では、フルオロポリマーは、2つ以上のフッ素化されたアルファ-オレフィン、例えば、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロエチレン等から誘導される構造単位を含む。もう1つの実施態様では、フルオロポリマーは、1つ以上のフッ素化されたアルファ-オレフィンモノマー類;および、フッ素化されたモノマー類、例えば、アルファ-モノエチレン性不飽和共重合可能なモノマー類、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、アクリレートモノマー類(例えば、メチルメタクリレートおよびブチルアクリレート)、ビニルエーテル類(例えば、シクロヘキシルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、n-ブチルビニルエーテル、ビニルエステル類)等と共重合可能な1つ以上の非フッ素化モノエチレン性不飽和モノマー類から誘導される構造単位を含む。フルオロポリマー類の具体的な例としては、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリヘキサフルオロプロピレン、ポリビニリデンフルオライド、ポリクロロトリフルオロエチレン、エチレンテトラフルオロエチレン、フッ素化されたエチレン-プロピレン、ポリビニルフルオライドおよびエチレンクロロトリフルオロエチレンが挙げられる。前述のフルオロポリマー類の少なくとも1つを含む組み合わせもまた使用することができる。
【0044】
1つの実施態様では、フルオロポリマーは、マトリックスポリマーと同一または異なっていでもよい封入ポリマー(以降、“封入されたポリマー”と称す)によって少なくとも一部封入される。特定の理論と結び付ける積もりはないが、封入は、マトリックス内においてフルオロポリマーの分布を促進し、および/または、マトリックス分散された相またはマトリックスと分散された相との両方でフルオロポリマーを相溶化すると考えられる。
【0045】
適した封入ポリマーとしては、ビニルポリマー類、アクリルポリマー類、ポリアクリロニトリル、ポリスチレン類、ポリオレフィン類、ポリエステル類、ポリウレタン類、ポリアミド類、ポリスルホン類、ポリイミド類、ポリエーテルイミド類、ポリフェニレンエーテル類、ポリフェニレンスルフィド類、ポリエーテルケトン類、ポリエーテルエーテルケトン類、ABS樹脂、ポリエーテルスルホン類、ポリ(アルケニル芳香族)ポリマー類、ポリブタジエン、液晶ポリマー類、ポリアセタール類、ポリカーボネート類、ポリフェニレンエーテル類、エチレン-ビニルアセテートコポリマー類、ポリビニルアセテート、液晶ポリマー類、エチレン-テトラフルオロエチレンコポリマー、芳香族ポリエステル類、ポリビニルフルオライド、ポリビニリデンフルオライド、ポリビニリデンクロライド;および、前述のポリマー類の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0046】
封入ポリマー類は、当分野公知の方法、例えば、縮合、付加重合等によりモノマーまたはモノマー混合物の重合により得ることができる。エマルジョン重合、とりわけ、ラジカル重合を使用するのが有効であろう。1つの実施態様では、封入ポリマーは、縮合された芳香族環構造を含有するモノビニル芳香族モノマー類、例えば、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン等から形成される。適したモノビニル芳香族モノマー類の例としては、スチレン、3-メチルスチレン、3,5-ジエチルスチレン、4-n-プロピルスチレン、アルファ-メチルスチレン、アルファ-メチルビニルトルエン、アルファ-クロロスチレン、アルファ-ブロモスチレン、ジクロロスチレン、ジブロモスチレン、テトラ-クロロスチレン等;および、前述の化合物の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。スチレンおよび/またはアルファ-メチルスチレンが、とりわけ、挙げられるであろう。
【0047】
封入ポリマーの形成のために有用なその他のモノマー類としては、モノビニルモノマー類、例えば、イタコン酸、アクリルアミド、N-置換されたアクリルアミドまたはメタクリルアミド、無水マレイン酸、マレイミド、N-アルキル-、アリール-またはハロアリール-置換されたマレイミド、グリシジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。モノマー類のその他の例としては、アクリロニトリル、エタクリロニトリル、メタクリロニトリル、アルファ-クロロアクリロニトリル、ベータ-クロロアクリロニトリル、アルファ-ブロモアクリロニトリル、アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチル(メタ)アクリレート、n-プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等;および、前述のモノマー類の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。
【0048】
前述のモノビニル芳香族モノマー類およびモノビニルモノマー類の混合物は、また、例えば、スチレンとアクリロニトリルの混合物(SAN)を使用することもできる。硬質グラフト相のモノビニル芳香族とモノビニルモノマー類との相対的な比は、フルオロポリマーのタイプ;モノビニル芳香族およびモノビニルモノマーのタイプ;および、封入剤の所望される特性に依存して広範に変化させることができる。封入剤は、概して、モノビニル芳香族モノマーの100wt.%までから、とりわけ、30wt.%〜100wt.%、さらにとりわけ、50wt.%〜90wt.%のモノビニル芳香族モノマー、残りコモノマーから形成されてよく、重量パーセントは、封入剤の総重量に基づく。
【0049】
エラストマーもまた封入ポリマーおよびエラストマー改質されたグラフトコポリマーとして使用することができる。適したエラストマーとしては、例えば、共役ジエンゴム;共役ジエンと50wt.%未満の共重合可能なモノマーとのコポリマー;オレフィンゴム、例えば、エチレンプロピレンコポリマー(EPR)またはエチレン-プロピレン-ジエンモノマーゴム(EPDM);エチレン-ビニルアセテートゴム;シリコーンゴム;エラストマーC1-8アルキル(メタ)アクリレート類;C1-8アルキル(メタ)アクリレートのブタジエンおよび/またはスチレンとのエラストマーコポリマー;または、前述のエラストマー類の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。
【0050】
使用することのできる共役ジエンモノマー類の例は、ブタジエン、イソプレン、1,3-ヘプタジエン、メチル-1,3-ペンタジエン、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、2-エチル-1,3-ペンタジエン;1,3-および2,4-ヘキサジエン類等;並びに、前述の共役ジエンモノマー類の少なくとも1つを含む組み合わせである。具体的な共役ジエンホモポリマー類としては、ポリブタジエンおよびポリイソプレンが挙げられる。
【0051】
共役ジエンゴム類のコポリマー、例えば、共役ジエンおよびそれと共重合可能な1つ以上のモノマー10wt.%までとの水性ラジカルエマルジョン重合によって製造されるコポリマーもまた使用することができる。具体的なコポリマー類としては、スチレンおよびアクリロニトリルが挙げられる。
【0052】
エラストマー封入モノマーとして使用するのに適した(メタ)アクリレートモノマーは、C4-8アルキル(メタ)アクリレート類、特に、C4-6アルキルアクリレート類、例えば、n-ブチルアクリレート、t-ブチルアクリレート、n-プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、2-エチルヘキシルアクリレート等、それらの架橋された粒状エマルジョンホモポリマーまたはコポリマー;および、前述のモノマー類の少なくとも1つを含む組み合わせを含む。C4-8アルキル(メタ)アクリレートモノマーは、場合によっては、15wt.%までのコモノマーの添加において重合させるのがよい。コモノマー類の例としては、ブタジエン、イソプレン、スチレン、メチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、フェネチルメタクリレート、N-シクロヘキシルアクリルアミド、ビニルメチルエーテルまたはアクリロニトリル;および、前述のコモノマー類の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。場合によっては、5wt.%までの多官能性架橋コモノマー、例えば、ジビニルベンゼン;アルキレンジオールジ(メタ)アクリレート類、例えば、グリコールビスアクリレート;アルキレントリオールトリ(メタ)アクリレート類;ポリエステルジ(メタ)アクリレート類;ビスアクリルアミド類;トリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、アリル(メタ)アクリレート、ジアリルマレエート、ジアリルフマレート、ジアリルアジペート;クエン酸のトリアリルエステル類;リン酸のトリアリルエステル類等;および、前述の架橋剤の少なくとも1つを含む組み合わせが存在してもよい。
【0053】
適するエラストマー改質されたグラフトコポリマー類は、(例えば、上記したような)エラストマーポリマーを最初に用意し、フルオロポリマーおよびエラストマーの存在下で硬質相の成分モノマーを重合させて、グラフトコポリマーを得ることによって製造することができる。弾性相(elastomeric phase)は、合計グラフトコポリマーの5wt.%〜95wt.%を生じ、さらにとりわけ、20wt.%〜90wt.%、なおさらにとりわけ、エラストマー改質されたグラフトコポリマーの40wt.%〜85wt.%を生じ、残りは、硬質グラフト相である。存在するエラストマー改質されたポリマーの量に応じて、未グラフト硬質ポリマーまたはコポリマーの別個のマトリックスまたは連続相は、エラストマー改質されたグラフトコポリマーとともに同時に達成することができる。
【0054】
具体的な封入ポリマー類としては、ポリスチレン、ポリスチレンのコポリマー類、ポリ(アルファ-メチルスチレン)、ポリ(アルファ-エチルスチレン)、ポリ(アルファ-プロピルスチレン)、ポリ(アルファ-ブチルスチレン)、ポリ(p-メチルスチレン)、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリル、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ(プロピルアクリレート)およびポリ(ブチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(プロピルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート);ポリブタジエン、ポリブタジエンのプロピレンとのコポリマー、ポリ(ビニルアセテート)、ポリ(ビニルクロライド)、ポリ(ビニリデンクロライド)、ポリ(ビニリデンフルオライド)、ポリ(ビニルアルコール類)、アクリロニトリリル-ブタジエンコポリマーゴム、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS)、ポリ(C4-8アルキルアクリレート)ゴム類、スチレン-ブタジエンゴム類(SBR)、EPDMゴム類、シリコーンゴム;および、前述の封入ポリマー類の少なくとも1つを含む組み合わせが挙げられる。
【0055】
もう1つの実施態様では、封入ポリマーは、SAN、ABSコポリマー類、アルファ-(C1-3)アルキル-スチレン-アクリロニトリルコポリマー類、アルファ-メチルスチレン-アクリロニトリル(AMSAN)コポリマー類、SBR;および、前述の少なくとも1つを含む組み合わせを含む。なおもう1つの実施態様では、封入ポリマーは、SANまたはAMSANである。
【0056】
封入ポリマーの適量は、当業者であれば、以降に定めるガイダンスを使用して、過度の実験をしなくとも決定することができよう。1つの実施態様では、フルオロポリマーが封入されたフルオロポリマー封入ポリマーは、フルオロポリマーが封入されたフルオロポリマー封入ポリマーの総量(すなわち、フルオロポリマー+封入ポリマー(全体))に基づき、1.5wt.%〜98.5wt.%のフルオロポリマーおよび98.5wt.%〜1.5wt.%の封入ポリマーを含む。この範囲内で、フルオロポリマーは、30wt.%以上の量、または、なおさらにとりわけ、40wt.%以上の量存在してもよい。また、この範囲内で、フルオロポリマーは、60wt.%以下の量、もしくは、さらにとりわけ、55wt.%以下の量、または、なおさらにとりわけ、50wt.%以下の量存在してもよい。
【0057】
本組成物は、組成物の総重量に基づき、0.5wt.%〜30wt.%のフルオロポリマーを含むことができる。この範囲内で、フルオロポリマーは、15wt.%以上の量、または、なおさらにとりわけ、20wt.%以上の量存在してもよい。また、この範囲内で、フルオロポリマーは、15wt.%以下の量、もしくは、さらにとりわけ、10wt.%以下の量、または、なおさらにとりわけ、2wt.%以下の量存在してもよい。
【0058】
種々の実施態様では、その他のフィブリル化系は、フルオロポリマー成分に添加するかまたは別個に使用することができる。その他のフィブリル化系としては、液晶ポリマー(LCPs)およびセルロースフィブリルが挙げられるが、それらに限定されるものではない。
【0059】
1つの実施態様では、本組成物は、さらに、高分子組成物に一般的に使用される充填材および固形配合物成分または作用物質を含め充填材を含む。1つの有用なクラスの充填材は、粒状充填材であり、これは、いずれの形状、例えば、球体、板状体、繊維、針状体、フレーク、ウイスカーまたは不規則な形状を有してもよい。
【0060】
適した充填材は、典型的には、平均最長寸法1ナノメートル〜500ナノメートル、とりわけ、10ナノメートル〜100ナノメートルを有する。幾つかの繊維、針状またはウイスカー形状の充填材(例えば、ガラスまたは珪灰石)の平均アスペクト比(長さ:径)は、1.5〜1,000であってよいが、より長い繊維もまた使用することができる。板状充填材(例えば、雲母、タルクまたはカオリン)の平均アスペクト比(同一面積の円の平均直径:平均厚さ)は、5より大、とりわけ、10〜1000、さらにとりわけ、10〜200であってよい。アスペクト比のバイモダール、トリモダールまたはそれより高い混合物も使用することができる。
【0061】
充填材は、充填材がそれと合わされる組成物の少なくとも加工温度でそれらの固体の物理的構造を維持するのに十分な耐熱性を有する限り、天然または合成の無機質または非無機質由来のものであってよい。適した充填材としては、クレー;ナノクレー;カーボンブラック;油を含むか含まない木粉;種々の形態のシリカ(一般的な砂を含め、沈降もしくは水和されたフュームドまたは熱分解法、ガラス質、溶融またはコロイド状シリカ);ガラス;金属;無機酸化物(例えば、周期律表のIb族、IIb族、IIIa族、IIIb族、IVa族、IVb族(炭素を除く)、Va族、VIa族、VIIa族およびVIII族の2、3、4、5および6周期の金属の酸化物);金属類の酸化物(例えば、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、二酸化チタン、ナノスケールの酸化チタン、アルミニウム3水和物、酸化バナジウムおよび酸化マグネシウム);アルミニウムもしくはアンモニウムまたはマグネシウムの水酸化物;アルカリおよびアルカリ土類金属の炭酸塩(例えば、炭酸カルシウム、炭酸バリウムおよび炭酸マグネシウム);三酸化アンチモン;ケイ酸カルシウム;珪藻土;フラー土;多孔質珪藻土;雲母;タルク;天然スレート粉;火山灰;コットンフロック;アスベスト;カオリン;アルカリおよびアルカリ土類金属硫酸塩(例えば、バリウムの硫酸塩および硫酸カルシウム);チタン;ゼオライト;珪灰石;チタンボライド;ホウ酸亜鉛;タングステンカーバイド;フェライト;モリブデンジスルフィド;アスベスト;クリストバル石;ひる石、ベントナイト、モンモリロナイト、Na-モンモリロナイト、Ca-モンモリロナイトを含めアルミノシリケート;水和されたナトリウムカルシウムアルミニウムマグネシウムシリケートヒドロキシド;葉蝋石;マグネシウムアルミニウムシリケート;リチウムアルミニウムシリケート;ジルコニウムシリケート;および、前述の充填材の少なくとも1を含む組み合わせが挙げられる。適した繊維充填材としては、ガラス繊維、玄武岩繊維、アラミド繊維、炭素繊維、カーボンナノ繊維、カーボンナノチューブ、カーボンバッキーボール、超高分子量ポリエチレン繊維、メラミン繊維、ポリアミド繊維、セルロース繊維、金属繊維、チタン酸カリウムウイスカーおよびアルミニウムボレートウイスカーが挙げられる。
【0062】
これらのうち、炭酸カルシウム、タルク、ガラス繊維、炭素繊維、炭酸マグネシウム、雲母、シリコンカーバイド、カオリン、珪灰石、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、チタン、シリカ、カーボンブラック、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム;および、前述の少なくとも1つを含む組み合わせがとりわけ有用である。雲母、タルク、シリコンカーバイド;および、前述の充填材の少なくとも1つを含む組み合わせが特に有用性を有することが見出された。
【0063】
あるいは、または、粒状充填材に加えて、繊維充填材をフィブリル網状構造に配合することもできる。適した繊維充填材としては、例えば、ガラス繊維-炭素繊維、炭素繊維-芳香族ポリイミド(アラミド)繊維、および、芳香族ポリイミド繊維ガラス繊維等が挙げられる。
【0064】
場合によっては、充填材は、界面改質、例えば、充填材と組成物の高分子部分の相溶性を改善するように処理されるのがよく、これにより、解凝集および充填材のポリマー中への均一な分散が促進される。1つの適した界面改質は、カップリング剤の耐久結合であり、これは、続いて、ポリマーに結合される。適当なカップリング剤の使用は、また、プラスチックおよびエラストマーにおいて衝撃特性、引張特性、曲げ特性および/または誘電特性を;塗膜においてフィルム一体性、基材接着力、耐候性および使用寿命を;接着剤およびシーラントにおいて塗被および工具特性、基材接着力、凝集強さおよび使用寿命を改善することもできる。適したカップリング剤としては、シラン類、チタネート類、ジルコネート類、ジルコアルミネート類、カルボキシル化されたポリオレフィン類、クロメート類、塩素化されたパラフィン類、有機ケイ素化合物および反応性セルロース系材料が挙げられる。充填材は、また、金属材料(例えば、金、銅、銀等の)層で一部または完全に塗布して、導電率を高めることができる。
【0065】
本組成物は、充填材を0.5wt.%〜20wt.%の量含む。この範囲内で、充填材は、3wt.%以上の量、もしくは、さらにとりわけ、5wt.%以上の量、または、なおさらにとりわけ、8wt.%以上の量存在してもよい。また、この範囲内で、充填材は、40wt.%以下の量、もしくは、さらにとりわけ、30wt.%以下の量、または、なおさらにとりわけ、20wt.%以下の量存在してもよい。重量パーセントは、組成物の総重量に基づく。
【0066】
1つの実施態様では、本組成物は、さらに、衝撃強さを改善する1つ以上の作用物質、すなわち、耐衝撃性改良剤を含む。耐衝撃性改良剤は、アリールアルキレン繰り返し単位、例えば、典型的には、スチレンブロックである1つまたは2つのアリールアルキレンブロックA(アリールアルキレン繰り返し単位を有するブロック)および典型的にはイソプレンまたはブタジエンブロックであるゴムブロックBを有するA-BジブロックコポリマーおよびA-B-Aトリブロックコポリマーを含有するブロックコポリマーであるのがよい。ブタジエンブロックは、一部または完全に水素化するのがよい。これらジブロックおよびトリブロックコポリマーの混合物も、また、非水素化コポリマー、一部水素化されたコポリマー、完全に水素化されたコポリマー;および、前述の2つ以上の組み合わせの混合物と同様に使用することができる。
【0067】
A-BおよびA-B-Aコポリマーとしては、ポリスチレン-ポリブタジエン、ポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)、ポリスチレン-ポリイソプレン、ポリ(α-メチルスチレン)-ポリブタジエン、ポリスチレン-ポリブタジエン-ポリスチレン(SBS)、ポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン)-ポリスチレン、ポリスチレン-ポリイソプレン-ポリスチレン、およびポリ(アルファ-メチルスチレン)-ポリブタジエン-ポリ(アルファ-メチルスチレン)、ポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン-スチレン)-ポリスチレン等が挙げられるが、それらに限定されるものではない。前述のブロックコポリマーの混合物もまた有用である。このようなA-BおよびA-B-Aブロックコポリマーは、幾つかの供給元、例えば、Phillips Petroleumから商標名SOLPRENEの下、Kraton Polymersから商標名KRATONの下、Dexcoから商標名VECTORの下、旭化成から商標名TUFTECの下、Total Petrochemicalsから商標名FINAPRENEおよびFINACLEARの下、および、クラレから商標名SEPTONの下市販入手可能である。
【0068】
1つの実施態様では、耐衝撃性改良剤は、ポリスチレン-ポリ(エチレン-ブチレン)-ポリスチレン、ポリスチレン-ポリ(エチレン-プロピレン);または、前述の組み合わせを含む。
【0069】
耐衝撃性改良剤のもう1つのタイプは、アリールアルキレン繰り返し単位を本質的に含まず、かつ、カルボン酸、酸無水物、エポキシ、オキサゾリンおよびオルトエステルからなる群より選択される1つ以上の部分を含む。本質的に含まずとは、ブロックコポリマーの総重量に基づき、5重量%未満の量で、もしくは、さらにとりわけ、3重量%未満の量で、なおさらにとりわけ、2重量%未満の量で存在するアリールアルキレン単位を有すると定義される。耐衝撃性改良剤がカルボン酸部分を含むとき、そのカルボン酸部分は、イオン、とりわけ、金属イオン、例えば、亜鉛またはナトリウムで中和するのがよい。それは、アルキレン-アルキル(メタ)アクリレートコポリマーであってよく、アルキレン基は、2〜6個の炭素原子を有してもよく、アルキル(メタ)アクリレートのアルキル基は、1〜8個の炭素原子を有してもよい。このタイプのポリマーは、オレフィン、例えば、エチレンおよびプロピレンを種々の(メタ)アクリレートモノマー類および/または種々のマレイン酸ベースのモノマーと共重合させることによって製造することができる。(メタ)アクリレートという用語は、アクリレートおよびその対応するメタアクリレート類似体の両方を称す。(メタ)アクリレートモノマーという用語には、前述の反応性部分の少なくとも1つを含有するアルキル(メタ)アクリレートモノマー類および種々の(メタ)アクリレートモノマー類が含まれる。
【0070】
1つの実施態様では、コポリマーは、アルキレン成分として、エチレン、プロピレン;または、エチレンおよびプロピレンの混合物から;アルキル(メタ)アクリレートモノマー成分として、ブチルアクリレート、ヘキシルアクリレートまたはプロピルアクリレートおよび対応するアルキル(メチル)アクリレート類から;追加の反応性部分(すなわち、カルボン酸、酸無水物、エポキシ)を提供するモノマー類として、アクリル酸、無水マレイン酸、グリシジルメタアクリレートまたはそれらの組み合わせにより誘導される。
【0071】
第1の耐衝撃性改良剤の例は、ELVALOY PTW、SURLYNおよびFUSABONDを含め種々の供給元から市販入手可能であり、上記例は、全て、DuPontから入手可能である。
前述の耐衝撃性改良剤は、単独でまたは組み合わせにおいて使用することができる。
【0072】
本組成物は、耐衝撃性改良剤または耐衝撃性改良剤の組み合わせを1wt.%〜25wt.%の量含むことができる。この範囲内で、耐衝撃性改良剤は、1.5wt.%以上の量存在してもよく、もしくは、さらにとりわけ、2wt.%以上の量、または、なおさらにとりわけ、4wt.%以上の量存在してもよい。また、この範囲内で、耐衝撃性改良剤は、20wt.%以下の量、もしくは、さらにとりわけ、18wt.%以下の量、または、なおさらにとりわけ、15wt.%以下の量存在してもよい。重量パーセントは、組成物の総重量に基づく。
【0073】
種々の実施態様では、本組成物は、また、少なくとも1つの添加剤、例えば、抗酸化剤、難燃剤、ドリップ抑制剤(drip retardants)、染料、顔料、着色剤、安定剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤;および、前述の少なくとも1つを含む組み合わせの有効量を含むことができる。これらの添加剤は、それらの有効量および配合方法が当分野公知である。添加剤の有効量は、広範に変化させることができるが、それらは、合計で、組成物の総重量の60重量%以上まで存在してもよい。概して、添加剤、例えば、抗酸化剤、難燃剤、ドリップ抑制剤、染料、顔料、着色剤、安定剤、帯電防止剤、可塑剤、滑剤等は、組成物の総重量の0.01wt.%〜5wt.%の量存在するのに対し、小さな粒子の無機充填材およびガラス繊維は、組成物の総重量の1wt.%〜60wt.%を占める。
【0074】
組成物を製造するのに、フルオロポリマーおよび不混和性のポリマーは、各々、粉末形である。不混和性のポリマーが粉末形であるとき、顆粒またはペレット樹脂を使用して製造される組成物と比較して、フルオロポリマーとのより高い接触面積が達成される。樹脂とフルオロポリマーとの間のこの相対的に高い接触面積は、フルオロポリマーにより良好な応力伝達をもたらし、これにより、フルオロポリマーの効率的なフィブリル化をもたらす。フルオロポリマーのフィブリル化は、組成物において三次元フィブリル網状構造を生じさせ、これが耐力構造として作用する。
【0075】
1つの実施態様では、不混和性ポリマーは、フルオロポリマーをフィブリル化させるのに十分に高い粘度を有する。例えば、適した粘度は、剪断速度200sec-1で900パスカル秒(Pas)以上である。特定の理論と結び付けようとする意図はないが、粉末が“計れないほど大きい(infinite)”粘度を示すので、不混和性の粉末の粉末形を非常に粘稠な不混和性ポリマーと比較するとき、より大きいフィブリル化が達成される。
【0076】
1つの実施態様では、フルオロポリマーは、高剪断環境において不混和性ポリマーおよび使用することのできるいずれかのその他の樹脂と溶融混合される。フルオロポリマーを剪断する際、結晶質領域(crystalline domains)は、からみ合い、それらが互いに滑るように過ぎるにつれ、結晶は、その領域から引き離されてフィブリルを生ずる。その領域の残部は、“チャンクス(chunks)”または“ノーズ(nodes)”と称される。
【0077】
1つの実施態様では、本明細書で記載するようにして製造される組成物は、ノードのフィブリルに対する比5以下、もしくは、さらにとりわけ、2以下、なおさらにとりわけ、1以下を有する。
【0078】
所望される剪断作用を達成するための適した混合方法としては、押出混練;ロール混練;または、二本ロール機、Banburyミキサー、1軸スクリューもしくは2軸スクリュー押出機、二枚羽バッチミキサー、垂直シャフトミキサー、遊星形ミキサー、Beckenブレ−ドミキサー、分散ブレードミキサー、シグマミキサーにおける混合;水中翼、タービンブレードもしくはCFインペラーブレードタイプ、静電ミキサー等の装置の連続バッチミキサーにおける混合等;剪断作用の度合いをコントロールしうるものが挙げられるが、それらに限定されるものではない。1つの実施態様では、1軸スクリューまたは2軸スクリュー押出機が使用される。2軸スクリュー押出機は、同速度回転、二重反転、歯車が噛み合う、歯車が噛み合わない回転等であるのがよく、例えば、遊星形歯車押出機レドコ(readco)連続ミキサーが挙げられる。混合は、連続またはバッチプロセスで行うのがよい。溶融ブレンドまたは反応性溶融ブレンドを使用するとき、混合は、概して、実質的に均質な組成物の溶融混合物を生成するのに有効な温度および時間で行い、その温度は、フルオロポリマーの軟化温度未満である。
【0079】
1つの実施態様では、2軸スクリュー押出機は、二葉(two-lobe)押出機である。特定の理論と結び付けようとする意図はないが、三葉(three-lobe)押出機と比較するとき、二葉押出は、大きな自由体積を生ずる。この相対的に大きな自由体積は、結晶質領域が相互に滑るように過ぎてフィブリルを生ずるさらなる空間を可能とする。二葉押出機は、空間の欠如により凝集体を圧潰することなく三次元網状構造を自由に展開させる。さらに、三葉押出機と比較して、二葉押出機では、剪断作用の展開がより小さく、これにより、より低い溶融温度を生ずる。
【0080】
上記考察したように多くの混合方法を使用することができるものの、例示する目的で、いずれの押出機においても発生する剪断応力は、以下の式:
τ=ηγ
[式中、τ=剪断応力;η=溶融物の粘度;γ=剪断速度]
により説明される。既定のスクリュー設計について、剪断速度は、一定のままであり、したがって、溶融物の粘度が増大するにつれて、押出機内の剪断応力は、増加する。粉末、例えば、ポリアミド粉末は、固体の形で“計れないほど大きい(infinite)”粘度を示すであろう。実施例に関してさらに詳細に考察すると、ポリアミドペレットをフルオロポリマー(例えば、PTFE)と溶融混合するとき、フィブリル化されたフルオロポリマーの網状構造は、生じない。特定の理論と結び付けようとする意図はないが、この現象は、溶融されたポリアミドの相対的に低い粘度に帰することができ、これにより、応力をフルオロポリマーに適切に伝達することができず、それを首尾よく剪断できない。
【0081】
1つの実施態様では、ポリ(アリーレンエーテル)は、相溶化剤と予め配合されて、官能化されたポリ(アリーレンエーテル)を形成する。官能化されたポリ(アリーレンエーテル)は、ついで、その他の成分と配合される。特定の理論と結び付けようとする意図はないが、フルオロポリマーがポリ(アリーレンエーテル)とポリアミドまたはポリエステルとの間の相溶性を妨げるものと考えられる。しかし、相溶化剤と予め配合されたポリ(アリーレンエーテル)を使用して製造されるブレンドが相溶化剤と予め配合されたポリ(アリーレンエーテル)を使用しないで製造されるブレンドと比較してフルオロポリマーの分散を改善することが見出された。この分散の改善は、とりわけ、相溶化剤と予め配合されたポリ(アリーレンエーテル)を使用することなく製造される組成物と比較して、弾性率における改善をもたらす。
【0082】
不混和性ポリマーおよびフルオロポリマーは、ポリ(アリーレンエーテル)と相溶化剤の添加前;または、(ポリアリーレンエーテル)とポリ(アリーレンエーテル)および相溶化剤の反応生成物の添加前、すなわち、ポリ(アリーレンエーテル)を最初に加え、ついで、ポリアミドを加えるのと比較して“逆の”順序で、溶融混合装置に導入される。ポリアミドとフルオロポリマーとは、ポリ(アリーレンエーテル)の添加前に溶融混合装置に導入されるので、これは、ポリ(アリーレンエーテル)を加える時に使用される温度と比較して、相対的に低い温度を押出機に使用可能とする。例えば、押出機の最初の6バレルの相対的に低い温度は、フルオロポリマーの剪断作用の増大を可能とする。また、より低い温度を有する初期バレルにより、平衡溶融温度が低くなり、これにより、三次元網状構造の破壊が防止される。
【0083】
組成物が形成された後、それは、典型的には、ストランドに成形され、これを切断して、ペレットを形成する。ストランドの直径およびペレットの長さは、典型的には、微細物(ペレットの50%以下の体積を有する粒子)の生成を防止または低下させ、続く加工、例えば、異形押出において最大効率となるように選択される。ペレット長さの例は、1〜5ミリメートルであり、ペレット直径の例は、1〜5ミリメートルである。
【0084】
1つの実施態様では、不混和性ポリマーおよびフルオロポリマーは、溶融混合されて、フルオロポリマーのフィブリル化された網状構造を含む溶融ブレンドを形成する。生ずる溶融ブレンドは、ストランドに成形することができ、これは、上記考察したように、ペレットに切断される。これらペレットは、その後、官能化されたポリ(アリーレンエーテル)と溶融混合することができ、ポリ(アリーレンエーテル)は、不混和性のポリマーおよびフルオロポリマーのブレンドを含む溶融されたペレットに添加される。もう1つの実施態様では、不混和性ポリマーおよびフルオロポリマーは、溶融されて、第1の溶融ブレンドを形成し、官能化されたポリ(アリーレンエーテル)は、溶融され、第1の溶融ブレンドと混合される。
【0085】
本組成物は、低剪断熱可塑性プロセス、例えば、フィルムおよびシート押出、異形押出、押出成形、圧縮成形およびブロー成形を使用して、物品に変換される。フィルムおよびシート押出プロセスとしては、溶融流延、インフレーションおよびカレンダリングが挙げられるが、それらに限定するものではない。同時押出および貼り合せプロセスを使用して、複合材料多層フィルムまたはシートを形成することができる。追加の特性、例えば、耐引掻性、耐紫外線性、美的アピール等を付与するために、単層または多層の塗膜を、さらに、単層または多層の基材に塗被してもよい。塗膜は、標準的な適用技術、例えば、ローリング、吹きつけ、浸漬、ブラッシングまたは流れ塗を通して適用することができる。
【0086】
延伸されたフィルムは、インフレーションを通してか、または、慣用的な延伸技術を使用し、加熱撓み温度近傍でフィルムを延伸流延またはカレンダリングすることによって製造することができる。例えば、ラジアルストレッチングパントグラフは、多軸同時延伸のため使用することができ;x-y方向ストレッチングパントグラフは、平坦なx-y方向に同時または逐次延伸するために使用することができる。逐次1軸延伸セクションを備えた装置、例えば、縦方向に延伸するための差速度ロールセクションと横方向に延伸するためのテンターフレームセクションとを備えた機械は、また、1軸および2軸延伸を達成するためにも使用することができる。
【0087】
本組成物は、第1の側と第2の側とを有する第1のシートであり、その第1のシートが熱可塑性ポリマーを含み、その第1のシートの第1の側が複数のリブを有する第1の側上に位置する第1のシート;および、第1の側と第2の側とを有する第2のシートであり、その第2のシートが熱可塑性ポリマーを含み、その第2のシートの第1の側が複数のリブを有する第2の側に位置する第2のシートを含み、複数のリブを有する第1の側が、複数のリブを有する第2の側に対向する多壁シートに変換することができる。
【0088】
上記したフィルムおよびシートは、さらに、限定するつもりはないが、例えば、熱成形、真空成形、加圧成形、射出成形および圧縮成形等を含め形成および成形プロセスにより造形された物品に熱可塑性的に加工してもよい。多層造形された物品は、また、以降に記載するように、単層または多層フィルムまたはシート基材上に熱可塑性樹脂を射出成形することによって形成することができる:
1. 例えば、スクリーン印刷または転写染料を使用し、場合によっては、1つ以上の色を表面に有する単層または多層熱可塑性基材を用意する。
【0089】
2. 例えば、三次元形状に形成およびばり取りし、基材の三次元形状に合致する表面を有する金型に基材を嵌合することにより基材を金型の形状に合致させる。
3. 熱可塑性樹脂を基材の背後の金型キャビティに射出して、(i) 恒久的に結合された一体三次元製造物を製造するかまたは(ii) 印刷された基材から射出された樹脂に図柄または美的効果を転写し、印刷された基材を取り出し、かくして、美的効果を成形された樹脂に付与する。
【0090】
当業者であれば、また、限定するわけではないが、例えば、加熱硬化、きめ出し(texturing)、型押し、コロナ処理、フレーム処理、プラズマ処理および真空蒸着を含め一般的な硬化および表面改質プロセスをさらに上記物品に適用して、表面の外観を変化させ、物品に追加の機能性を付与することができることも理解されるであろう。
【0091】
したがって、もう1つの実施態様は、上記組成物から製造される物品、シートおよびフィルムに関する。
物品の例としては、以下の物品の全体および部品が挙げられる:家具;仕切り;コンテナ;鉄道車両、地下鉄車両、バス、トレーラー車両、航空機、自動車およびレクレーション用自動車を含め乗り物の内装;乗り物の外装アクセリー、例えば、屋根のレール;電気器具;料理道具;電子機器;分析装置;窓枠;電線管;フローリング;ベビー用家具および用具;電気通信器具;電子機器装置および部品用の帯電包装;ヘルスケア用品、例えば、病院用ベッドおよび歯科用いす;運動具;モータ用のカバー;ディスプレー用のカバー;ビジネス用の装具部品およびカバー;発光体用カバー;標識用図形;空気処理装置およびカバー;自動車アンダーフード部品。
【0092】
以下、実施例により、本明細書において記載した種々の実施態様を例示するが、これら実施例は、本発明を何等限定するものではない。
【実施例】
【0093】
本明細書において記載する組成物は、WERNER & PFLEIDERER Co.からの同速度で回転する2軸スクリュー6バレル押出機(ZSK-1)で押出した。組成物の成分およびそれらの供給元は、表1に列挙する。重量は、組成物の総重量に関する重量パーセントで表す。成分は、表1において列挙する。
【0094】
引張弾性率および破断点伸びは、1%歪まで引張速度1ミリメートル(mm)/分を、続いて、試料が壊れるまで50mm/分を使用し、室温でISO 527に従って決定した。試料は、295℃に設定されたノズル温度により、290/280/270℃で射出成形した。射出速度は、18〜22mm/秒であり;射出圧力は、50〜60バールに維持し;保持圧力範囲は、45〜55バールであり;保持時間は、8〜12秒で変化させた。冷却時間は、金型温度80〜120℃で20秒であった。引張り試験片は、4mm厚さおよび10mm幅であった。引張弾性率の値は、ギガパスカル(GPa)である。破断点伸びの値は、パーセンテージである。熱膨張係数(CTE)は、ASTM E-831を使用し、測定した。ノッチ付きアイゾッド(衝撃強さ)は、ISO 180に従って決定し、値は、キロジュール/平方メートルである。
【0095】
種々の組成物におけるPTFEのフィブリル化の程度を決定するためのモジュレイテッド示差走査熱量(MDSC)法は、フィブリル化の度合いをモニターするために使用した。TA InstrumentsからのQ1000示差走査熱量計は、ほぼ1〜5mgの試料についてDSCを実施するために使用し、観測値は、320〜360℃近辺(調整範囲)で記録した。330℃近辺のピークが観測され、3つの異なるピークに解析することができ、異なるピーク温度は、PTFEの異なる形に対応する。MDSCからの生のデータを使用して、プロットを作図し、ベースライン調節を通して、明瞭な拡大されたピークを観測した(引算後)。溶融結晶化させたPTFEについて326℃近辺に、フィブリル化したPTFEについて330℃に、本来のPTFE(ノードのPTFE)について338℃にガウス曲線を適合させるように、解析を行った。各曲線下の面積は、特性、例えば、引張弾性率の最適化と強い相関を有することが見出された。特に、ノード:フィブリル比(ノードのフィブリルに対する比)は、338℃ピーク(ノード)および330℃(フィブリル)下の面積に基づき計算することができる。
【0096】
【表1】

【0097】
表2および3にまとめた実施例において、TSANは、ZSK-1押出機のスロートでポリアミド粉末またはポリエステル粉末と合わせた。バレル温度は、230℃に設定し、これは、PTFEの融点よりも低く、PTFEの融点は、325℃であった。トルクは、65%〜70%に維持した。供給速度は、15kg/時に維持した。
【0098】
混合後、組成物は、ペレット化により粒状形態にした。ペレットは、L & T Demag De-Tech 60 T LNC4-E成形機を使用し、引張り試験片に射出成形した。
【0099】
【表2】

【0100】
実施例(本明細書において、Ex.と略記することもある)1〜8は、PTFEを粉末形のポリアミドと溶融混合するのと比較したPTFEをペレット形のポリアミドと溶融混合する効果を示す比較実施例である。実施例1、4および7は、PTFEを含有せず、比較のために有用である。
【0101】
表2から、5-wt.%TSANのポリイミド粉末への包含がその引張弾性率を2.7GPa〜3.4GPasまで26%増大させたことを明瞭に示す。また、熱膨張係数(CTE)は、実施例4および5において示されるように、6.5まで1.4ユニット低下した。また、充填材(タルク)の存在は、さらに、CTEを4.8ユニットまで低下させ、弾性率は、実施例8に示すように、6.0GPaまで増大した。
【0102】
実施例5において、N:F比(NのFに対する比)は、TSANの当量負荷を有するポリアミドペレットから製造される試料における17.5に対抗して0.22である。さらに、タルクのような粒状充填材がポリアミド粉末およびTSANとともに含まれるとき、N:F比は、さらに、0.2まで低下した。より低いノード対フィブリル比は、さらに広範にひろがるフィブリル網状構造を指示する。
【0103】
同程度のフィブリル化は、PBT粉末/TSAN配合物(Ex.11〜15)で観測された。(ZSK-1における)TSANのPBTペレットへの添加に際し、フィブリル化が観測された(Ex.9から10);しかし、伸びの低下もまた記録された。ところが、5wt.%の同じ負荷でのTSANのPBT粉末への添加に際し、弾性率は、PBTがペレット形である時の3.2GPaに対抗して3.4GPaまで増大した。また、伸びは、PBTペレット/TSAN試料についての11.5%と比較して、14.7%に維持された。
【0104】
【表3】

【0105】
表4にまとめた実施例において、組成物は、WERNER & PFLEIDERER Co.からの同速度2軸スクリュー10バレル押出機(ZSK-2)で押出された。TSANは、ZSK-2押出機においてPPE粉末と合わせた。バレル温度は、280℃に設定した。トルクは、65%〜70%に維持した。供給速度は、15kg/時に維持した。
【0106】
混合後、組成物は、ペレット化することにより粒状形態にした。ペレットは、L & T Demag De-Tech 60 T LNC4-E成形機を使用し、引張り試験片に射出成形した。
引張弾性率および破断点伸びは、上記したように室温でISO 527に従って決定した。
【0107】
【表4】

【0108】
PPEがPTFEをフィブリル化するために十分に高い粘度を有するという事実にもかかわらず、TSANの添加に際し、機械的特性の有意な改善はなかった。
PPE加工の間、押出機内の溶融温度は、PPEの剪断加熱により、330℃を上回った。PTFEが325℃で溶融するので、フィブリルは、PPEによる効率的な剪断作用により生じ、溶融され、このことは、機械的特性における増加の欠如に起因すると考えられる。
【0109】
表5において、成分を混合する順序を検討した。三葉押出機を使用したEx.20〜21を除いて、全ての実施例において、二葉押出機を使用した。
【0110】
【表5】

【0111】
実施例20〜34は、少量の標準的な添加剤を含有した。実施例33および34は、ともに、標準的な量のクエン酸と溶融混合したポリ(アリーレンエーテル) (表においてCA func PPEと称す)を使用した。実施例33および34において、ポリアミドは、上流で加え、ポリ(アリーレンエーテル)は、下流で加えた。実施例33は、TSANを含有しない比較実施例である。対照的に、実施例34は、ポリアミドとともに上流で加えられるTSANを含有する。衝撃強さ、引張弾性率および引張伸びにおける有意な増加は、実施例33と比較するとき、実施例34において見られる。
【0112】
例としての実施態様を参考として、本発明を説明してきたが、当業者であれば、種々の変更をなし、等価体は、本発明の範囲から逸脱することなく、その要件について置換することができることは理解されるべきである。また、多くの変更は、個々の状況または材料を本発明の範囲から逸脱させることなく、本発明の教示に適合させることができる。したがって、本発明は、本発明を実施するために考えられる最良の形態として開示した特定の実施態様に限定するのではなく、本発明は、特許請求の範囲の請求項に入る全ての実施態様を包含することを意図するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂組成物を製造する方法であって、
軟化温度を有するフルオロポリマーをフルオロポリマーの軟化温度より低い温度でポリアミド粉末またはポリエステル粉末を含む第1のポリマーと溶融混合して、第1の溶融ブレンドを形成し;
第1の溶融ブレンド中でフルオロポリマーをフィブリル化して、第1の溶融ブレンド中にフィブリル網状構造を形成し;
フィブリル網状構造を有する第1の溶融ブレンドと、(i) ポリ(アリーレンエーテル)および相溶化剤または(ii) ポリ(アリーレンエーテル)およびポリ(アリーレン)と相溶化剤との反応生成物とを溶融混合する;
各工程を含む方法。
【請求項2】
さらに、充填材を第1のブレンドと溶融混合する工程を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
充填材が、炭酸カルシウム、タルク、ガラス繊維、炭素繊維、炭酸マグネシウム、雲母、シリコンカーバイド、カオリン、珪灰石、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、チタン、シリカ、カーボンブラック、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム;および、前述の少なくとも1つを含む組み合わせからなる群より選択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ポリアミドが、ナイロン6を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
フルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレンを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
フィブリル化されたフルオロポリマーが、組成物中に連続網状構造を形成する、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
軟化温度を有するフルオロポリマーをフルオロポリマーの軟化温度より低い温度でポリアミド粉末またはポリエステル粉末を含む第1のポリマーと溶融混合して、第1の溶融ブレンドを形成し;
第1の溶融ブレンド中でフルオロポリマーをフィブリル化して、第1の溶融ブレンド中にフィブリル網状構造を形成し;
フィブリル網状構造を有する第1の溶融ブレンドと、(i) ポリ(アリーレンエーテル)および相溶化剤または(ii) ポリ(アリーレンエーテル)およびポリ(アリーレン)と相溶化剤との反応生成物とを溶融混合する;
各工程を含む方法に従い製造される組成物。
【請求項8】
組成物が、ノードのフィブリルに対する比5以下を有する、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
請求項7に記載の組成物を含む物品。
【請求項10】
樹脂組成物を製造する方法であって、
ポリアミド粉末を含む第1のポリマーをポリテトラフルオロエチレンの軟化温度未満の温度でポリテトラフルオロエチレンと溶融混合して、第1の溶融ブレンドを形成し;
第1の溶融ブレンド中でポリテトラフルオロエチレンをフィブリル化して、第1の溶融ブレンド中にフィブリル網状構造を形成し;
フィブリル網状構造を有する第1の溶融ブレンドと、(i) ポリ(アリーレンエーテル)および相溶化剤または(ii) ポリ(アリーレンエーテル)およびポリ(アリーレン)と相溶化剤との反応生成物とを溶融混合する;
各工程を含む方法。
【請求項11】
さらに、第1の溶融ブレンドと、ポリ(アリーレンエーテル)および相溶化剤またはポリ(アリーレンエーテル)およびポリ(アリーレン)と相溶化剤との反応生成物とを溶融混合する前に、第1の溶融ブレンドからペレットを形成する工程を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
フィブリル化されたポリテトラフルオロエチレンが、組成物中に連続網状構造を形成する、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
さらに、充填材と第1の溶融ブレンドとを溶融混合する工程を含み、充填材が、炭酸カルシウム、タルク、ガラス繊維、炭素繊維、炭酸マグネシウム、雲母、シリコンカーバイド、カオリン、珪灰石、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、チタン、シリカ、カーボンブラック、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム;および、前述の少なくとも1つを含む組み合わせからなる群より選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
請求項10に記載の方法に従い製造される組成物。
【請求項15】
樹脂組成物を製造する方法であって、
ポリエステル粉末を含む第1のポリマーをポリテトラフルオロエチレンの軟化温度未満の温度でポリテトラフルオロエチレンと溶融混合して、第1の溶融ブレンドを形成し;
第1のブレンド中でポリテトラフルオロエチレンをフィブリル化して、第1の溶融ブレンド中にフィブリル網状構造を形成し;
フィブリル網状構造を有する第1の溶融ブレンドと、ポリ(アリーレンエーテル)および相溶化剤またはポリ(アリーレンエーテル)およびポリ(アリーレン)と相溶化剤との反応生成物とを溶融混合する;
各工程を含む方法。
【請求項16】
さらに、第1の溶融ブレンドと、ポリ(アリーレンエーテル)および相溶化剤またはポリ(アリーレンエーテル)およびポリ(アリーレン)と相溶化剤との反応生成物とを溶融混合する前に、第1の溶融ブレンドからペレットを形成する工程を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
フィブリル化されたポリテトラフルオロエチレンが、組成物中に連続網状構造を形成する、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
さらに、充填材と第1の溶融ブレンドとを溶融混合する工程を含み、充填材が、炭酸カルシウム、タルク、ガラス繊維、炭素繊維、炭酸マグネシウム、雲母、シリコンカーバイド、カオリン、珪灰石、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、チタン、シリカ、カーボンブラック、水酸化アンモニウム、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム;および、前述の少なくとも1つを含む組み合わせからなる群より選択される、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
ポリエステルが、ポリ(ブチレンテレフタレート)を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
請求項15に記載の方法に従い製造される組成物。
【請求項21】
請求項20に記載の組成物を含む物品。

【公表番号】特表2009−517529(P2009−517529A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543364(P2008−543364)
【出願日】平成18年11月27日(2006.11.27)
【国際出願番号】PCT/US2006/045346
【国際公開番号】WO2007/064571
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY
【Fターム(参考)】