説明

ポリ(ウレア/ウレタン)を用いた水性分散体を含む物品

連鎖延長剤、硬化剤または架橋剤を加えることを必要としない、安定な水性ポリ(ウレア/ウレタン)ポリマーおよび分散体を製造する。開示されたポリ(ウレア/ウレタン)分散体は、フィルムや手袋のような物品を製造することに使用可能であって、それらの物品は、他の材料から製造した同様の物品に比較して、皮膚に対する化学的、生物学的アレルギー反応の可能性を抑制し、また、改良された破壊抵抗性および引き裂き抵抗性を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、連鎖延長剤、硬化剤または架橋剤の残片を含まないウレタンポリマー、およびそれから製造した水性分散体に関する。水中に分散させたポリウレタン粒子は、フィルムや手袋のような物品を製造することに使用可能であって、それらの物品は、他の材料から製造した同様の物品に比較して、皮膚に対する化学的、生物学的アレルギー反応の可能性を抑制し、また、改良された破壊抵抗性および引き裂き抵抗性を示す。
【0002】
(関連出願の相互参照)
本出願は、米国特許仮出願第60/423,617号(2002年11月4日出願)および米国特許仮出願第60/448,971(2003年2月20日出願)の利益を主張するものであって、それぞれの全てを、あらゆる目的において、本明細書の一部として援用するものとする。
【背景技術】
【0003】
エラストマー材料の製造については、たとえば(非特許文献1)のような文献により、当業者には公知である。多くのエラストマー材料がウレタン結合を含んでいるが、その結合は、ヒドロキシ末端のポリエーテルまたはポリエステルと、ポリイソシアネートとを、モル比約1:1.4から1:2.5(ポリオール対ポリイソシアネート)で反応させることによって調製される。典型的には、それに続けて、得られたイソシアネート末端のプレポリマーをポリアミンと反応させて、高分子量のウレア/ウレタンポリマーとする。少量の単官能アミンを加えて、ポリマーの分子量を調節してもよい。最終的なポリマーの機械的性質は、使用するポリエーテルまたはポリエステルグリコール、ジイソシアネート、ポリアミン、およびモノアミンを選択することによって調節することが可能であり、また機械的性質は、ポリオールとジイソシアネートのモル比を選択することによっても、調節することができる。
【0004】
長鎖のエラストマー性ウレタンポリマー分子は、分子の相互作用が弱い、比較的長いブロックと、相互作用が強い、短いブロックとを含む、実質的に直鎖状のブロックコポリマーである。通常ソフトセグメントと呼ばれる、相互作用が弱いブロックは典型的には、ポリエーテルまたはポリエステルグリコール成分から誘導されるが、それに対して、相互作用が強いブロックは、ポリイソシアネートと連鎖延長剤との反応から得られるもので、ハードセグメントと呼ばれている。鎖伸長反応は通常、イソシアネート末端とポリアミンのアミノ基との間のカップリング反応で、ウレア結合が生成する。したがって、こうして得られるハードセグメントとソフトグメントが組み合わさったポリマーは典型的には、ポリ(ウレア/ウレタン)となる。
【0005】
上述のようなポリマーはこれまでにも、水性ウレタン分散体を調製するために用いられてきた。ウレタン分散体は、たとえば、少量の有機溶媒を用いることも多いが、有機ジイソシアネートまたはポリイソシアネートと、2個以上の活性水素原子を(ヒドロキシ末端またはアミノ末端のいずれかに)有する有機化合物との反応生成物を鎖伸長させることによって、調製することができる。ジイソシアネートを化学量論的に過剰に使用するので、ウレア/ウレタンプレポリマーとすることが可能なその反応生成物は、イソシアネート末端となる。このようなプレポリマーを調製している例は、米国特許公報(特許文献1)、米国特許公報(特許文献2)、米国特許公報(特許文献3)、米国特許公報(特許文献4)、および米国特許公報(特許文献5)、などに記載がある。
【0006】
ウレタン分散体が、たとえばコーティングおよび結合剤(米国特許公報(特許文献6));可撓性のある溶媒バリヤー(米国特許公報(特許文献7));接着剤(米国特許公報(特許文献8));およびフィルム(米国特許公報(特許文献9))などの、種々な材料を調製するために有用であることは、報告されている。フィルムの用途としては、手袋、器官袋(organ bag)、コンドーム、ストーマ用バッグ、などが挙げられる。しかしながら従来からのウレタン分散体は、多くの場合、そのような用途において好適に使用するには、その物理的性質または取扱い面での性質において不十分であるということが、見出されている。さらに、N−メチル−2−ピロリドンのような、ある種の比較的高沸点な溶媒の中に分散させて使用すると、それらの用途のいくつかでは、悪影響が出る可能性もある。
【0007】
芳香族ポリイソシアネート、たとえばトルエンジイソシアネート(TDI)、メチレンジフェニルジイソシアネート(MDI)およびポリメチレンポリフェニルイソシアネート(PMDI)が広く使用されてはいるが、水性ウレタン分散体を調製するためには、脂肪族ポリイソシアネートの方が好まれるという場合もある。たとえば米国特許公報(特許文献10)に開示されているような脂肪族イソシアネートは、プレポリマーを水に分散させた場合には、加水分解に対してはるかに高い安定性を有していると考えられる。そのような場合には、イソシアネートとポリアミンとの間の鎖伸長反応が、より調節されて予測可能な通りに起きると一般に考えられている。
【0008】
しかしながら、水中におけるジイソシアネートのポリアミンとの反応は、拡散律速であると考えられ、したがって、加えたポリアミンの全てが反応で消費されるという保証はない。ポリマー中に未反応のポリアミンがいくらかでも残ると、それが分散体から最終製品の中に持ち込まれてしまう。その製品の目的が、ヒトの皮膚に接触するような用途である場合には、そのような未反応のポリアミン[たとえばエチレンジアミンやその他のジアミンなど、(非特許文献2)(その全てを、あらゆる目的において、本明細書の一部として援用するものとする)に記載されているようなもの]が存在すると、その製品の使用者に皮膚刺激や感作を与える原因となりうる。また、ウレタン分散体の中に未反応のポリアミンが存在すると、その分散体から誘導される各種製品に不快臭が残る原因ともなりうる。
【0009】
天然ゴムラテックスから調製されるフィルムが一般的であり、それらは、快適性と使いやすさの面では望ましい性質を有している。しかし残念なことに、天然ゴムラテックスには、タンパク質や他の物質、たとえば硬化剤に含まれる硫黄なども含まれていて、それらが、皮膚を刺激したり、人によっては激しいアレルギー反応を引き起こしたりする可能性がある。
【0010】
良好な湿度調節性を有する弾性フィルムは、環境、たとえば微生物や化学物質からの保護を与えることができる。特に、化学物質や生物学的薬剤からの危険性がますます高まっている昨今では、そのような材料の必要性が一段と高まっている。最近の事件も、法的な強制によったり、郵政職員が長時間着用できるような、快適な手袋が必要であることを示している。ラテックス手袋は通常、破壊抵抗性が低く、またそれ以上に、ある種の人々にとっては致命的となるアレルギー反応を含めて、さらなる健康上のリスクを有する可能性がある。ニトリル手袋は良好な破壊抵抗性を有してはいるものの、モジュラスが高いために、長時間使用すると疲労の原因となりうる。ポリウレタンエラストマーを、それらの代替え材料として選択することが可能であるが、ポリウレタン手袋のいくつかのものでは、水に漬けたり、アルコールでこすったりすると弱くなることがわかっている。そのことが原因で、そのような手袋は長時間使用することができない。
【0011】
【特許文献1】米国特許第3,178,310号明細書
【特許文献2】米国特許第3,919,173号明細書
【特許文献3】米国特許第4,442,259号明細書
【特許文献4】米国特許第4,444,976号明細書
【特許文献5】米国特許第4,742,095号明細書
【特許文献6】米国特許第4,292,226号明細書
【特許文献7】米国特許第4,431,763号明細書
【特許文献8】米国特許第4,433,095号明細書
【特許文献9】米国特許第4,501,852号明細書
【特許文献10】米国特許第5,494,960号明細書
【特許文献11】米国特許第4,127,513号明細書
【特許文献12】米国特許第4,139,567号明細書
【特許文献13】米国特許第4,153,786号明細書
【特許文献14】米国特許第4,228,272号明細書
【特許文献15】米国特許第4,235,751号明細書
【特許文献16】DE86−3606479号明細書
【特許文献17】DE83−3346136号明細書
【特許文献18】米国特許第3,479,310号明細書
【特許文献19】米国特許第4,303,774号明細書
【特許文献20】米国特許第4,108,814号明細書
【特許文献21】米国特許第3,419,533号明細書
【特許文献22】米国特許第3,412,054号明細書
【特許文献23】米国特許第4,742,095号明細書
【特許文献24】米国特許第4,153,186号明細書
【非特許文献1】カーク・オスマー(Kirk−Othmer)『エンサイクロペディア・オブ・ケミカル・テクノロジー(Encyclopedia of Chemical Technology)』(第4版、第10巻、p.624〜638、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ・インコーポレーテッド(John Wiley & Sons Inc.)、ニューヨーク(New York)、1993)
【非特許文献2】B.K.キム(Kim)、コロイド・アンド・ポリマー・サイエンス(Colloid.Polym.Sci.)、第274巻、p.599〜611、1996
【非特許文献3】J.M.ハモンド(Hammond)ら、ジャーナル・オブ・ポリマー・サイエンス・パート・A(J.Polym.Sci.,Part A)、第9巻、p.295(1971)
【非特許文献4】ホンチー・チャン(Hongzhi Zhang)ら、ジャーナル・オブ・アプライド・ポリマー・サイエンス(J.Appl.Polym.Sci.)第73巻、p.2303(1999)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、分散体から容易に形成し、そして分散体から加工することが可能なウレタンポリマーで、加工した物品の形態において、その使用者にとって有害であったり、不快感を与えたりするような特性を示す可能性が抑制されたウレタンポリマーに対する、必要性が依然として存在する。本願出願人は、ウレタンポリマー中の未反応ポリアミンの濃度を抑制またはゼロとするようにウレタンポリマーを調製すれば、そのものは、分散体から加工するのに有用であり、しかも、皮膚に刺激をもたらしたり、不快臭を発散させたりする傾向がない、ということを見出した。そのため、本願出願人は、ポリアミン連鎖延長剤を使用せずにポリマーを調製することによって、ウレタンポリマーの中の未反応ポリアミン含量を抑制、好ましくはゼロとする方法を提案するにいたった。そのようなポリマーから形成されてフィルムは、水およびいくつかの一般的なアルコール性溶媒、たとえばイソプロパノールに対する有効なバリヤー性と、さらには100%伸びにおいてのモジュラスが低いなどの有用な機械的性質を示すことが見出された。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の1つの実施態様は、ウレア/ウレタンポリマーであって、(a)テトラヒドロフランと、アルキレンオキシドおよび環状アセタールのいずれかまたは両方と、から調製されるヒドロキシ末端コポリマーから誘導される繰り返し単位、および(b)ポリイソシアネートから誘導される繰り返し単位;を含み、
ここで前記ウレア/ウレタンポリマーには、式−R−N(R)−C(O)−N(R)−R−で表されるウレア単位を約2モルパーセント未満で含み;
ここでRは芳香族炭化水素基であり、Rは脂肪族炭化水素基であり、そしてRはH、または式−C(O)−N(R)−R−で表されるアミド基であり;そして
ここで前記テトラヒドロフランは次式で表される。
【0014】
【化1】

【0015】
ここで、Rの内のいずれか1つはC〜Cアルキル基であり、残りのRは水素であることを特徴とする。
【0016】
本発明のまた別な実施態様は、アイオノマー性ウレア/ウレタンポリマーであって、(a)約700〜約1500の分子量を有する脂肪族ポリエーテルポリオールから誘導される繰り返し単位、および(b)ポリイソシアネートから誘導される繰り返し単位、を含み、
ここで前記ウレア/ウレタンポリマーには、式−R−N(R)−C(O)−N(R)−R−で表されるウレア単位を約2モルパーセント未満で含み;
ここでRは芳香族のC〜C20炭化水素基であり、Rは脂肪族のC〜C20炭化水素基であり、そしてRはH、または式−C(O)−N(R)−R−で表されるアミド基であることを特徴とする。
【0017】
本発明のさらなる実施態様は、アイオノマー性ウレア/ウレタンポリマーであって、(a)脂肪族ポリエステルポリオールから誘導される繰り返し単位、および(b)ポリイソシアネートから誘導される繰り返し単位、を含み、
ここで前記ウレア/ウレタンポリマーには、式−R−N(R)−C(O)−N(R)−R−で表されるウレア単位を約2モルパーセント未満で含み、
ここでRはC〜C20の芳香族炭化水素基であり、RはC〜C20の脂肪族炭化水素基であり、そしてRはH、または式C(O)−N(R)−R−で表されるアミド基である。
【0018】
本発明のさらに別な実施態様は、水性ポリウレアウレタン分散体から製造される、手袋のような物品である。それらの物品は、2030psiを超える引張強さ、200ポンド/インチを超える破壊強さ、20N/mmを超える厚みあたりの引き裂き強さを有している。さらに、それらは改良された溶媒抵抗性を示す。
【0019】
本発明のさらに別な実施態様は、それらの物品を製造するためのプロセスであって、(a)型を凝固剤溶液の中に浸漬させ、高温で乾燥させる工程;(b)その凝固剤溶液でコーティングした型を水性ポリウレアウレタン分散体の中に浸漬させ、乾燥させる工程;(c)そのコーティングした型を塩浸出浴に漬ける工程;そして(d)そのコーティングした型を高温で乾燥させ、次いで、型から物品を剥がす工程、が含まれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、安定な水性ポリ(ウレア/ウレタン)分散体の調製法を開示するが、このものは、本明細書においては、時に「ウレタン」ポリマーまたは分散体と呼ばれる材料の中に含まれる。この分散体は、グリコールとしてのポリエーテルホモポリマーおよび/またはコポリマー、またはポリエステルと、芳香族ポリイソシアネートとの使用をベースとするものではあるが、ポリアミンのような典型的な連鎖延長剤、硬化剤または架橋剤を使用する必要はない。この分散プロセスにおいては、エラストマー性ポリウレタンの安定なコロイド粒子が生成し、このものは広い用途を有する。
【0021】
ポリウレタンの水性コロイドを生成させるためには、典型的には、脂肪族ポリイソシアネートが好ましい。(一般論としては、(非特許文献2)を参照されたい)。それらの脂肪族ポリイソシアネートを各種のグリコールと反応させて、オリゴマー性のプレポリマーを形成させ、次いでそれを、当量のジアミンを含む水の中へ分散させる。ジアミンの量は、n−ブチルアミンの逆滴定から計算して求められる、プレポリマー中のNCOパーセントに対して当量で加える。脂肪族ポリイソシアネートは水中でも比較的高い安定性を有しているので、ジアミンがイソシアネートと反応して、ウレア結合を介してプレポリマーの鎖伸長をする。
【0022】
しかしながら、本発明のウレタンポリマーおよびウレタン分散体の中では、イソシアネート基が加水分解されて−NH基が生成することが見出された。次いでそれらの−NH基が他のイソシアネート基と反応して高分子量(たとえば、典型的には100,000を超え、好ましくは200,000を超える、自立性のあるフィルムを形成するに充分な分子量)のポリマーを形成するに充分なウレア結合を生じるが、これが起きるには、(非特許文献2)に記載されているような、エチレンジアミンやその他のジアミンのような一般的なポリアミンを添加する必要もない。このことは重要である、と言うのも、水中におけるイソシアネート基とポリアミンとの反応が拡散律速であって、添加したポリアミンが反応の間に全部消費されるとは考えられないからである。未反応ポリアミンはすべて、さらなる加工の間にもその材料の中に残存し、ある種の製品の最終的な用途において、皮膚刺激や感作性を起こす可能性がある。
【0023】
ポリ(ウレア/ウレタン)を形成させる反応からポリアミン連鎖延長剤を無くすことによって、式−R−N(R)−C(O)−N(R)−R−で表されるウレア単位を、約2モルパーセント未満、好ましくは約1モルパーセント未満、より好ましくは約0.5モルパーセント未満しか含まないポリマーを製造することが可能となるが;ここでRは芳香族炭化水素基であり、Rは脂肪族炭化水素基であり、そしてRはH、または式−C(O)−N(R)−R−で表されるアミド基である。さらなる実施態様においては、ポリマーは上述のようなウレア単位を全く含まないか、または実質的に含まないし、そのようなウレア単位が実質的に含まれずに、ポリマー中の未反応ポリアミンの含量が充分に低くなれば、そのような量のポリアミンが存在していたとしても、製品中における望ましくない臭気や、それから製造したフィルム製品による、ユーザーにとって望ましくない、皮膚反応の原因となることはない。
【0024】
本発明のウレタンポリマーおよび分散体においては、ポリイソシアネートを脂肪族ポリイソシアネートに限定する必要はなく、本発明においては、芳香族ポリイソシアネートも適しているということも見出された。本発明によるイソシアネート末端プレポリマーを調製するために使用するのに好適なポリイソシアネートの例としては、一般式R10(NCO)で表される有機ジイソシアネートがあるが、ここでR10は、有機ジイソシアネートからイソシアネート基を除いて得られる、分子量が約112〜1,000、好ましくは約140〜400の有機基を表す。本発明によるプロセスに好適なジイソシアネートは、上の一般式で示されるものであって、R10が、4〜18個の炭素原子を含む2価の脂肪族炭化水素基、5〜15個の炭素原子を含む2価の脂環式炭化水素基、7〜15個の炭素原子を含む2価の芳香脂肪族炭化水素基、または6〜15個の炭素原子を含む2価の芳香族炭化水素基を表すものである。このプロセスに特に好適な有機ジイソシアネートの例を挙げれば、テトラメチレンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,3−および−1,4−ジイソシアネート、1−イソシアナト−3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネートまたはIPDI)、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)−メタン、1,3−および1,4−ビス(イソシアナトメチル)−シクロヘキサン、ビス−(4−イソシアナト−3−メチル−シクロヘキシル)−メタン、2,4−ジイソシアナトトルエン、2,6−ジイソシアナトトルエン、それらの異性体の混合物、4,4’−ジイソシアナトジフェニルメタンおよびそれと2,4’−および場合によっては2,2’−ジイソシアナトジフェニルメタンとの異性体の混合物、および1,5−ジイソシアナトナフタレンなどがある。当然のことながら、ジイソシアネートの混合物を使用することも可能である。好適なジイソシアネートとしては、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス−(4−イソシアナトシクロヘキシル)−メタン、2,4−および/または2,6−ジイソシアナトトルエン、および4、4’−および/または2,4’−ジイソシアナトジフェニルメタンなどが挙げられる。
【0025】
本発明のウレア/ウレタンポリマーおよび分散体の中では、分散体の形成を促す、極性を有する親水性ソフトセグメントを使用するのが好ましい。1つの実施態様においては、そのようなソフトセグメントは、テトラヒドロフランと、アルキレンオキシドおよび環状アセタールのいずれかまたは両方とから調製される、ヒドロキシ末端コポリマーから形成させることができる。そのようなコポリマーを調製するために使用されるアルキレンオキシドは、アルキレンオキシド環の中に2個または3個の炭素原子を含むものである。アルキレンオキシドは、非置換であっても、あるいは、たとえばアルキル基、アリール基、またはハロゲン原子で置換されていてもよい。そのようなアルキレンオキシドの例としては、エチレンオキシドおよび1,2−プロピレンオキシドがあるが、エチレンオキシド(EO)が好ましい。コモノマーとして使用可能な環状アセタールとしては、次式のような構造として表されるものがある。
【0026】
【化2】

【0027】
ここで、qは2〜4であり、Rはそれぞれ独立して水素またはメチルである。コモノマーとして使用可能なテトラヒドロフランとしては、次式のような構造として表されるものがある。
【0028】
【化3】

【0029】
ここで、Rの内のいずれか1つはC〜Cアルキル基であり、残りのRは水素であることを特徴とする物品。しかしながら、好ましいのはテトラヒドロフラン(THF)で、Rがすべて水素である。
【0030】
アルキレンオキシドおよび/または環状アセタールから誘導されるこのコポリマーの割合は、約20重量パーセントよりは多くするのがよく、約25〜約60重量パーセントであるのが好ましい。このコポリマーは、約1000〜約3500の分子量を有することができるが、約1500〜約2500の分子量であれば好ましい。それらのコポリマーは、トリフルオロビニルスルホン酸、α−フルオロスルホン酸基前駆体を含む直鎖状または分岐鎖状のビニルモノマー、およびペルフルオロアルキルビニルエーテルα−フルオロスルホン酸基前駆体などのモノマーから調製したポリマー触媒を使用するプロセスにより調製することができる。そのプロセスは、温度範囲が室温〜80℃、または5000気圧までの加圧下でさらに高い温度で実施することができる。その反応は、不活性雰囲気たとえば窒素中で実施するのが好ましい。調製したままではそのコポリマーがエステル末端封止されているような場合には、それをアルコール分解させることによって、コポリエーテルグリコールに転換させることもできる。好適なソフトセグメントコポリマー、およびそれらの調製方法については、以下のような文献に記載がある:米国特許公報(特許文献11)、米国特許公報(特許文献12)、米国特許公報(特許文献13)、米国特許公報(特許文献14)および米国特許公報(特許文献15);(特許文献16)および(特許文献17);(非特許文献3);および(非特許文献4)。
【0031】
本発明のまた別な実施態様においては、そのウレア/ウレタンポリマーはアイオノマー性ポリマーであって、そのポリマーおよび分散体のソフトセグメントは、イソシアネート反応性のイオン性の化合物または潜在的にイオン性の化合物と、脂肪族ポリエステルポリオールまたは低分子量脂肪族ポリエーテルポリオールのいずれかとから、誘導することができる。
【0032】
好適なポリエステルポリオールは、脂肪族2価アルコールと脂肪族2塩基性カルボン酸の反応生成物を含むもので、それらの一方または両方が、たとえば、C〜C12の分子であるのがよい。このような目的で使用するのに適した、2価アルコールのその他の例を挙げれば、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、プロピレングリコールおよびネオペンチルグリコール;ポリエーテル化合物たとえば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールおよびポリブチレングリコール;脂環式炭化水素のジオールたとえば、1,3−シクロヘキサンジメタノール、および1,4−シクロヘキサン−ジメタノールなどがある。
【0033】
このような目的で使用するのに適した、ジカルボン酸のその他の例を挙げれば、たとえば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ノルボルナンジカルボン酸、トリシクロデカン−ジカルボン酸、およびペンタシクロドデカンジカルボン酸などの脂肪族ジカルボン酸から誘導されるジカルボン酸単位がある。ポリエステルを調製するために、フリーのジカルボン酸に代えて、対応するジカルボン酸無水物や、ジカルボン酸の低級アルコールエステル、あるいはそれらの混合物を使用することもできる。
【0034】
2価アルコールおよび二酸単位はそれぞれ、ポリエステル樹脂中に約5〜約95モルパーセントの量で含まれていてよい。ポリエステル樹脂の製造プロセスには特には限定はなく、従来のプロセスを適用することができる。プロセスの例としては、エステル交換プロセスのような溶融重合プロセス、直接エステル化プロセス、溶液重合プロセス、および固相重合プロセスなどが挙げられる。
【0035】
有用なポリエステルポリオールは、ヒドロキシル末端の直鎖状ポリエステルで、たとえばユニロイヤル・ケミカル・カンパニー(Uniroyal Chemical Company)のフォムレッツ(Fomrez,登録商標)製品が挙げられる:フォムレッツ(Fomrez,登録商標)G24−56[Mw:2000、ヒドロキシル末端直鎖状ポリエステル、ポリ(エチレン/ブチレンアジペート)グリコール、エチレングリコール/1,4−ブタンジオールをモル比60/40で使用]、フォムレッツ(Fomrez,登録商標)G24−112[Mw:1000、ヒドロキシル末端直鎖状ポリエステル、ポリ(エチレン/ブチレンアジペート)グリコール、エチレングリコール/1,4−ブタンジオールをモル比60/40で使用]、フォムレッツ(Fomrez,登録商標)22−56(Mw:2000、ヒドロキシル末端飽和直鎖状ポリエステル、ポリ(エチレンアジペート)グリコール使用]。したがって、ポリエステルポリオールは、エチレンアジペート、ブチレンアジペート、エチレン/ブチレンアジペート、およびそれらの混合物からなる群より選択される、ジヒドロキシ末端ポリマーとすることができる。
【0036】
好適なポリエーテルポリオールは、式HO−[(CRH)−O−]−Hで表されるようなものであるが、ここでRは水素、ハロゲンまたはC〜Cアルキル基であり;mは3または4;そしてnは、約8〜約20の範囲、より好ましくは約11〜約17の範囲である。それらのポリオールは、約700〜約1500の範囲、好ましくは約900〜約1150の範囲の分子量を有することができる。好適なポリエーテルポリオールとしては、デュポン(DuPont)から市販されている、テレセン(Terethane,登録商標)ブランドのポリテトラメチレンエーテルグリコール(PTMEG)が挙げられる。
【0037】
この実施態様におけるウレタンポリマーは、アイオノマー性と呼べるものであるが、その理由は、それがイオン性の化合物または潜在的にイオン性の化合物を含むからである。このイオン性の化合物または潜在的にイオン性の化合物は、親水性化合物であって、ウレタンポリマーに対してイオン性(たとえば、アニオン性またはカチオン性)の官能性を与え、内部乳化剤として働いて、分散体の生成を促進する。その化合物は、イソシアネート反応性であるが、それはイソシアネート基との反応が可能な少なくとも2個の原子、たとえ酸素または窒素を含むからであり、それから活性水素が、イソシアネート基を含む反応の機構の結果として、除去される。
【0038】
イオン性の基または潜在的にイオン性の基は、ポリ(ウレア/ウレタン)の中に、化学的に組み込む。そのイオン性の基または潜在的にイオン性の基は、イオン性の基の含量が、ポリ(ウレア/ウレタン)の100gあたり、約120ミリ当量まで、好ましくは約10〜80ミリ当量、より好ましくは約10〜60ミリ当量、最も好ましくは約10〜30ミリ当量となるのに充分な量で組み込む。
【0039】
それらの基を組み込むのに好適な化合物としては、(1)イオン性の基または潜在的にイオン性の基を含むモノイソシアネートまたはジイソシアネート、および(2)イソシアネート−重付加反応において単官能または2官能であって、イオン性の基または潜在的にイオン性の基を含む化合物、などが挙げられる。潜在的にイオン性の基またはそれに相当するイオン性の基は、カチオン性であってもアニオン性であってもよいが、アニオン性の基であるのが好ましい。アニオン性の基の例としては、−COOおよび−SOが挙げられる。カチオン性の基の例としては、次式のものがある。
【0040】
【化4】

【0041】
これらのイオン性の基は、対応する、潜在的にイオン性の基を中和することによって形成されるが、その中和はイソシアネート末端プレポリマーを形成させる前であっても、途中であっても、後であってもよい。イソシアネート末端プレポリマーを形成させるより前に、潜在的にイオン性の基を中和させる場合には、そのイオン性の基は直接組み込む。プレポリマーを形成させてから中和をする場合には、潜在的にイオン性の基を組み込む。
【0042】
上述のカルボキシレート、スルホネート、および第4級窒素基を組み込むために好適な化合物は、米国特許公報(特許文献18)、米国特許公報(特許文献19)、および米国特許公報(特許文献20)に記載がある。第3級スルホニウム基を組み込むのに好適な化合物については、米国特許公報(特許文献21)に記載がある。潜在的にイオン性の基をイオン性の基に転化させるための中和剤についても、それらの特許には記載されている。本発明の文脈においては、「中和剤」という用語の意味には、潜在的にイオン性の基をイオン性の基へと転化させるのに有用な、各種タイプの反応剤が含まれている。したがってこの用語には、4級化剤やアルキル化剤も含まれる。
【0043】
イソシアネート末端プレポリマー中に組み込むのに好適なスルホネート基は、米国特許公報(特許文献20)に記載されているジオールスルホネートである。好適なスルホネートとしてはさらに、以下のようなものも含まれる:HN−CH−CH−NH−(CH−SONa(ここでr=2または3);およびHO−CH−CH−C(SONa)H−CH−OH。イソシアネート末端プレポリマー中に組み込むのに好適なカルボキシレート基は、一般式(HO)(COOH)のヒドロキシ−カルボン酸から誘導されるが、ここでRは、1〜12個の炭素原子を含む直鎖状または分岐状の炭化水素基を表し、xおよびyはそれぞれ独立して、1〜3の数を表すことを特徴とする。そのようなヒドロキシ−カルボン酸の例としては、クエン酸や酒石酸が挙げられる。
【0044】
好適な酸は、上述の式で、x=2、y=1のものである。これらのジヒドロキシアルカン酸は、米国特許公報(特許文献22)に開示されている。ジヒドロキシアルカン酸として好適な群は、構造式R−C−(CHOH)−COOHで表されるα,α−ジメチロールアルカン酸であるが、ここでRは水素または1〜8個の炭素原子を含むアルキル基である。最も好ましいジヒドロキシアルカン酸は、2,2’−ジメタノールプロピオン酸(「DMPA」)である。好適なカルボキシレートとしては、さらに、HN−(CH−C(COH)H−NH+塩基、およびHN−CH−CH−NH−CH−CH−CONaなどが挙げられる。
【0045】
上述のものに加え、1個のアルキル基と2個のアルキルオール基を有する第3級アミンのような、カチオン中心も、イオン性の基または潜在的にイオン性の基として使用することができる。
【0046】
潜在的なアニオン性の基をアニオン性の基に転化させるためには、それらをプレポリマーの中に組み込む前、途中、または後のいずれであっても、そのアニオン性の基の対イオンを形成させるための、揮発性、非揮発性いずれかのカチオンを使用する。揮発性のカチオンとは、アニオン性の基の対イオンを形成させるのに使用する塩基性有機化合物の少なくとも約90%が、ポリ(ウレア/ウレタン)分散体から形成されるフィルムを硬化させる場合の条件下で蒸発する、好ましくは塩基性有機化合物の少なくとも約90%が、ポリ(ウレア/ウレタン)分散体から形成されるフィルムを周囲条件下で硬化させる場合に、蒸発するようなものである。非揮発性のカチオンとは、アニオン性の基の対イオンを形成させるのに使用する塩基性有機化合物の少なくとも約90%が、ポリ(ウレア/ウレタン)分散体から形成されるフィルムを硬化させる場合の条件下で蒸発しない、好ましくは塩基性有機化合物の少なくとも約90%が、ポリウレタン−ウレア分散体から形成されるフィルムを周囲条件下で硬化させる場合に、蒸発しないようなものである。揮発性の塩基性有機化合物から形成される対イオンの量が多くなるほど、その水性ポリウレタン−ウレア分散体から調製されるコーティングまたはフィルムの、耐水膨潤性がさらに改良されるが;それに対して、非揮発性のカチオンからの対イオンの量が多くなるほど、その水性ポリウレタン−ウレア分散体から調製されるフィルムまたはコーティングの耐加水分解安定性がさらに改良される。したがって、アニオン性の基の対イオンを形成するのに使用する、揮発性カチオンと非揮発性カチオンの比率を単に調節するだけで、最終的に得られるコーティングまたはフィルムの性質を調節することが可能である。
【0047】
潜在性のアニオン性の基を中和するために好適な、揮発性の塩基性有機化合物としては、第1級、第2級または第3級アミンが挙げられる。それらの中でも、トリアルキル置換した第3級アミンが好ましい。そのようなアミンとしては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリイソプロピルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチル−シクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルステアリルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−メチルピペラジン、N−メチルピロリジン、N−メチルピペリジン、N,N−ジメチル−エタノールアミン、N,N−ジエチル−エタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルアミノプロパノール、2−メトキシエチルジメチルアミン、N−ヒドロキシエチルピペラジン、2−(2−ジメチルアミノエトキシ)−エタノール、および5−ジエチルアミノ−2−ペンタノン、などが挙げられる。最も好ましい第3級アミンは、ツェレウィチノフ試験で求められる活性水素を含まないものであるが、その理由は、活性水素はプレポリマーのイソシアネート基と反応することが可能で、それによってゲル化、不溶性粒子の生成、あるいは連鎖停止反応が起きるからである。
【0048】
塩基としてトリエチルアミンを使用し、酸に対して1当量未満のアミン量で使用すると、臭気の発生を最小限に抑えられるので、推奨できる。分散させる水は通常、酸を中和させるための塩基を1当量未満の量で含み、この1モル水溶液のpHは10を超えない。
【0049】
好適な非揮発性のカチオンとしては、1価の金属、好ましくはアルカリ金属、より好ましくはリチウム、ナトリウムおよびカリウム、最も好ましくはナトリウムが挙げられる。それらのカチオンは、無機塩または有機塩の形で使用してもよく、アニオンが、分散体中に、水素化物、水酸化物、炭酸イオン、重炭酸イオンとして残らないような塩が好ましい。イオン性の基として酸を含有するジオールが使用する場合には、比較的マイルドな無機塩基、たとえばNaHCO、Na(CO、NaAc(ここでAcは酢酸塩を表す)、NaHPOなどが、その分散体を改良するのに役立つ。これらの無機塩基は、臭気が比較的低く、また皮膚刺激性も低い傾向がある。
【0050】
プレポリマーの潜在的なカチオン性またはアニオン性の基を中和すると、それらがプレポリマーに親水性を与え、水中でより安定に分散できるようになる。その中和工程は、(1)プレポリマーの生成より前に、潜在的にイオン性の基を含む成分で処理するか、または(2)プレポリマーの生成の後ではあるが、プレポリマーを分散させるより前に、実施する。中和剤と潜在的にアニオン性の基との間の反応は、約20℃〜約150℃の間で実施できるが、通常は約100℃未満の温度、好ましくは約30℃〜約80℃の間、最も好ましくは約50℃〜約70℃の間の温度で、反応混合物を撹拌しながら実施する。このイオン性の基または潜在的にイオン性の基は、約3〜約5重量パーセントの量で使用するのがよい。
【0051】
イオン性の基および潜在的にイオン性の基についての上述の説明において言及した特許類および、米国特許公報(特許文献23)はそれぞれ、その全てを、あらゆる目的において、本明細書の一部として援用するものとする。
【0052】
本発明のイソシアネート末端プレポリマーは、ポリイソシアネート成分をポリオール成分と、使用する実施態様においては、少なくとも1つのイオン性の基または少なくとも1つの潜在的にイオン性の基を含む成分と、を反応させて調製する。潜在的にイオン性の基とは、中和剤で処理することによって、イオン性の基に転化できるような基のことを言う。イソシアネート基のイソシアネート反応性基に対する比は、当量基準で、約1.1〜3、好ましくは約1.2〜2、最も好ましくは約1.3〜1.5の間に保持する。上述の成分は、イソシアネート末端プレポリマーを製造するのに、同時に反応させても、順に反応させてもよい。同時に反応をさせると、ランダムコポリマーが製造できるし、それに対して順に反応させると、ブロックコポリマーが製造できる。順次のタイプの反応において、イソシアネート反応性水素を含む化合物の添加順序は、極めて重要というほどのものではないが;ただし、それらの化合物の反応の間は、常にイソシアネート基を過剰に存在させて、プレポリマーの分子量を調節し、高粘度となるのを防止するのが、特に好ましい。
【0053】
プレポリマー製造の際の反応温度は通常、約150℃未満、好ましくは約50℃〜約130℃の間に保つ。その反応は、未反応のイソシアネート基含量がその理論値またはそれよりも少し低くなるまで続ける。生成するプレポリマーのフリーイソシアネート含量は、プレポリマーの固形分の重量を基準にして、約1〜約8パーセント、好ましくは約1〜約5パーセント、より好ましくは約2〜約4重量パーセントとする。
【0054】
イソシアネート基とイソシアネート反応性基との間の反応を促進することが知られている、たとえば有機スズ化合物または第3級アミンのような触媒の存在下で、プレポリマー反応を実施することも可能ではあるが、一般には触媒を使用する必要はなく、無触媒で反応を実施する方が好ましいことも多い。
【0055】
1つの実施態様においては、本発明の分散体は、イソシアネートとグリコールとを、窒素雰囲気下、約80℃〜約100℃の温度範囲で数時間撹拌することによってプレポリマーを形成させることにより製造される。分散体混合物に加える剪断速度と剪断力が重要であって、それについては図1に示している。加える剪断力が強すぎると、分散体が不安定となって、分離してしまう可能性がある。2〜5分の混合時間の間に、500〜1700ニュートンの範囲の剪断力を加えるのが一般に好ましい。また別な実施態様においては、一般に2〜7分の混合時間の間に、約19000〜約48000sec−1の範囲の剪断速度を使用することができる。
【0056】
混合時間が終わったら、そのプレポリマーの中の過剰イソシアネートの量を、n−ブチルアミンの逆滴定から計算して求めることができる。その反応生成物を室温にまで冷却してから、場合によっては溶媒[一般に水と混和性のある有機溶媒、たとえばアセトン、メチルエチルケトン(MEK)など]を用いてプレポリマーを希釈して、ほぼ75%重量パーセントの溶液としてもよい。
【0057】
次いでその溶液を、界面活性剤を含む冷却した水溶液にポンプ注入するが、その界面活性剤は、正反対の溶解性挙動を持つ基からなる、すなわち、その分子またはイオンが、溶解している方の相に親和性を有する1つまたは複数の基と、その媒体に反対の挙動を示す1つまたは複数の基を有する分子である。界面活性剤は、その界面活性な部分の電荷に従って分類される。アニオン性界面活性剤においては、この部分が負の電荷を担持し;カチオン性界面活性剤においては、その電荷が正であり;ノニオン性界面活性剤においては、分子には電荷は存在せず、その可溶化効果は、たとえば、ヒドロキシル基または長鎖のエチレンオキシド基によって与えられ;そして両性界面活性剤においては、その可溶化効果は、分子内の正および負、両方の電荷によって与えられる。アニオン性界面活性剤のための、親水性可溶化基の例としては、カルボキシレート、スルホネート、スルフェート(硫酸化アルコールおよび硫酸化アルキルフェノールを含む)、ホスフェート(リン酸エステルを含む)、N−アシルサルコシネート、およびアシル化タンパク水解物などが挙げられる。カチオン性のものは、アミンおよびアンモニウム基によって可溶化される。ポリオキシエチレンに加えて、ノニオン性界面活性剤としては、カルボン酸エステル、アンヒドロソルビトールエステル、脂肪酸のグリコールエステル、アルキルポリグリコシド、カルボン酸アミド、および脂肪酸グルカミドなどが挙げられる。上述の界面活性剤またはその同等物はいずれも好適であるが、特に好適な界面活性剤は、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。界面活性剤の使用量は、約0.1〜約2重量パーセント、好ましくは約0.5〜約1重量パーセントの量である。
【0058】
小さな粒子を形成させるためには、分散温度が重要である。好適な分散温度は約0〜約10℃である。分散体の固形分含量は、約10〜60%、典型的には10〜30%である。
【0059】
最終的な製品は、その固形分含量が、約60重量%まで、好ましくは約10〜60重量%、最も好ましくは約30〜45重量%の、ポリ(ウレア/ウレタン)粒子の安定な水性分散体である。しかしながら、分散体を希釈して、所望する最低の固形分含量にすることは、常に可能である。得られた分散体の固形分含量は、100℃の炉で2時間サンプルを乾燥させ、その乾燥前後の重量を比較することによって、求めることができる。その粒子径は一般に約1.0ミクロン未満、好ましくは約0.01〜0.5ミクロンの間である。平均粒子径は約0.5ミクロン未満、好ましくは0.01〜0.3ミクロンの間とすべきである。粒子径が細かいと、分散粒子の安定性が向上する。
【0060】
充填剤、可塑剤、顔料、カーボンブラック、シリカゾルおよび公知のレベリング剤、濡れ剤、消泡剤、安定剤、およびその他公知の添加剤を、分散体の中に取り入れることもできる。
【0061】
これらの分散体には、織物コーティング、弾性フィルムの製造、繊維サイジングなどのような、広い用途が見出されている。これらの分散体は、所望により、水蒸気透過性のフィルムに加工することもできる。これらの分散体から形成されるフィルムを加工することによって得られる最終用途物品の例としては、医療用、感染予防用、衛生用および保護具など各種用途のための手袋、指サック、コンドーム、ストーマ用バッグ、器官袋(organ bag)などが挙げられる。これらのフィルムを使用した物品は、他の材料から作ったものに比較すると、改良された耐溶媒性を示す。
【0062】
本発明の分散体はさらに、織布および不織布、皮革、紙、木材、金属、セラミックス、石材、コンクリート、瀝青、硬繊維、わら、ガラス、磁器、各種のタイプのプラスチック、帯電防止や防しわ処理をしたガラス繊維をコーティングしたり、含浸させたり;不織布、接着剤、接着促進剤、積層剤、疎水化処理剤(hydrophobizing agent)、可塑剤のためのバインダーとして;たとえば、コルク粉またはおがくず、ガラス繊維、アスベスト、紙様材料、プラスチックまたはゴム廃棄物、セラミック材料などのためのバインダーとして;布地捺染や製紙産業における補助剤として;たとえばガラス繊維のためのサイジング剤としてのポリマー添加剤として;そして皮革の仕上げ剤などに、好適である。
【0063】
この分散体はさらに、最終製品に接合したまま残る多孔質基材、たとえば織布または不織布構造や繊維マット、フェルトまたは不織布、さらには紙ウェブ、発泡シートまたはそぎ皮などにも塗布することができ、それらの吸収作用のために、そのコーティングを直ちに固化させることができる。それに続けて乾燥し、場合によっては高温でプレスをかける。しかしながら、乾燥は、たとえば、金属、ガラス、紙、板紙、セラミック材料、圧延鋼、シリコーンゴム、アルミホイルなど、滑らかな、多孔質または非多孔質材料にも実施することができ、その最終的なシート構造を次いで取り除いて、そのままで使用したり、あるいは、接着、火炎貼り合わせまたはカレンダリングによる反転処理を使用することにより基材に貼り合わせたりすることができる。反転処理による、貼り付けはどのようなタイミングで行ってもよい。
【0064】
これらのポリウレタン分散体は、自動車のシートや市販されている家具に用いられるビニル織物の上へのコーティングにも適している。それらの用途領域では、可塑剤バリヤー効果のような性質、改良された耐摩耗性、良好な耐加水分解性およびUV抵抗性などが重要である。それらは、優れた物性(たとえば靱性)を有し、長期間経過後でもその物性が維持されることが不可欠である、たとえば軍隊での用途のための、ターポリンのような布地のコーティングとしても有用である。
【0065】
本発明のポリマーおよび分散体をフィルムおよび手袋として使用する場合には、これらの原料は、イソプロピルアルコールやN,N−ジメチルアセトアミドのような溶媒に対して、改良された抵抗性を示す。さらに、フィルム材料からの放出ガスが減少するために、これらのフィルムや手袋は一般にクリーンルームで使用することも可能となる。これらのフィルムや手袋は、改良された化学薬品抵抗性や溶媒抵抗性を示すのみならず、改良された破壊抵抗性や引き裂き抵抗性も示すが、それについては以下の実施例で示す。それらの100%伸びのモジュラスが一般に低い(たとえば、約200〜500psi)ので、そのフィルムや手袋は容易に引き延ばすことができる。さらに、永久伸びが低いので、引き延ばした後は元の形状に戻ることができる。手袋の厚みは3〜6ミルの間とするのが好ましいが、他の厚みで使用してもよい。以下に示すデータから、本発明の材料が、他の物品に比較して、より少しの力で延ばすことができ、応力−歪み曲線がより平坦であって、天然ゴムにより似ていることがわかる。
【0066】
本発明のポリ(ウレア/ウレタン)および分散体から調製した手袋は、たとえば、親指と人差し指をイソプロピルアルコールに漬けた後、約30〜約60秒間こすり合わせても、両指の間の接触点で穴が開いたり破れたりして、たとえば皮膚が露出するようなことはない。
【0067】
以下の実施例により本発明を説明するが、それらは本発明を限定するものではない。本発明の顕著な特性を持たない比較例と対照することにより、本発明の特に有利な特徴が明らかになるであろう。
【0068】
特に断らない限り、すべての化学薬品および反応剤は、ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee,WI)のアルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Aldrich Chemical Company)から入手したままのものを使用した。各種の化学薬品および反応剤を、以下に示す略称で呼ぶこととする:
【0069】
【表1】

【0070】
(原料の準備)
ポリ(エチレングリコール−co−THF)は、好適なソフトセグメントコポリマー、およびそれらの調製方法については、以下のような文献のいずれかに開示されている方法により得ることができる:米国特許公報(特許文献11)、米国特許公報(特許文献12)、米国特許公報(特許文献24)、米国特許公報(特許文献14)および米国特許公報(特許文献15);(特許文献16)および(特許文献17);(非特許文献3);および(非特許文献4)。PTMEG−1000およびPTMEG−1800は、デュポン(DuPont)の商品名テラセン(Terathane,登録商標)ポリエーテルグリコールである。すべてのグリコールは、使用前に真空下、90℃で12時間乾燥させた。MDIは50℃に加熱することにより精製した。DMPA、MEK、TEAおよびSDBSは、購入したままで、さらなる精製をすることなく使用した。分散体を製造するために使用したミキサーは、アイカ(IKA,登録商標)ミキサー、モデルT25・ベーシック・SI(BASIC SI)(アイカ・ワークス・インコーポレーテッド(IKA Works,Inc.)製)と、ロス(Ross)ミキサー/エマルジファイヤー、モデルHSM−100LC(チャールス・ロス・アンド・サン・カンパニー(Charles Ross and Son Company)製)であった。アイカ(IKA,登録商標)ミキサーは11,000rpmで運転し、ロス(Ross)ミキサーは7,000〜8,000rpmの間で運転した。
【0071】
(水性ポリウレタン分散体を調製するための一般的手順)
プレポリマーは、MDI、グリコール(および、必要ならばDMPA)を窒素雰囲気下、90℃で3〜5時間混合することにより、調製した。カップリング反応の後に残存している過剰NCOの量は、滴定により求めた。プレポリマーを希釈するために溶媒を使用する場合には、典型的には、反応生成物を室温に冷却してから、75重量%溶液となるように、溶媒を加えた。そのプレポリマーをチューブの中に入れ、界面活性剤と場合によっては塩基を含む冷却水溶液の中に、空気駆動ポンプを用いて、徐々に添加した。その分散体の固形分含量は、約10〜30%である。
【0072】
(手袋の形成方法)
手袋を形成させるために、型を凝固剤溶液の中に浸漬させる。この凝固剤溶液は典型的には、10〜20%のCa(NOと0〜10%のCaCOを含む。次いでその型を100℃で5分間乾燥させる。次いでその型を、10〜50℃の水性ポリウレタン分散体の中に浸漬させてから、10〜40℃に冷却する。次いで、そのコーティングした型を20〜70℃の水の中に浸漬させて、塩浸出を行わせ、さらに、90〜150℃の間の温度で30分間乾燥させる。次いでその手袋を型から剥がす。
【実施例】
【0073】
(実施例1)
156.4g(0.624モル)のMDIを、391g(0.391モル)のPTMEG−1000グリコールおよび19.9g(0.149モル)のDMPA(全体の3.5重量%とする)と、ドライボックス中の3口丸底フラスコ中で混合した。そのフラスコをドラフトの中に移し、オーバーヘッド撹拌器を取り付けた。その混合物を窒素下、90℃で4時間撹拌した。混合物を滴定すると、NCO含量は5.32%であることがわかる。
【0074】
その混合物に200mLのMEKを添加し、MEK中固形分74%の溶液とした。次いでそのグリコール/MEK溶液を、15gのTEAを含む、4Lの2%SDBS溶液(0℃)の中に、コーキングチューブを通して徐々に添加した。TEA対DMPAの比は、1:1であった。ロス(Ross)ミキサーを用いて分散体を製造したが、少量の沈降物が観察された。その沈降物を濾過すると、最終的には固形分含量11.5%の分散体が得られた。その沈降した粒子のサイズをコールター(Coulter)N4MD分析計により測定すると、1063nmであった。得られた物質の分子量をGPC(標準ポリスチレン)を用いて測定すると、237,000であった。
【0075】
(比較例A)
上記実施例3に記載したのと同様にして混合物を製造したが、ただし、SDBS界面活性剤を添加せず、また塩基としては1.7gのNaHCOを使用した。NaHCO対DMPAの比は、1:1である。分散体は得られなかった。
【0076】
同様の混合物をもう一度製造したが、今度は、NaHCO中2重量%のSDBS界面活性剤溶液を加えた。沈降が観察された。その沈降物を濾過すると、固形分含量8.2重量%の分散体が得られた。フィルムはキャスティングできたが、強度が弱かった。
【0077】
(比較例B)
78g(0.624モル)のMDIを、360gのPTMEG−1800グリコールおよび16gのDMPA(全体の3.5重量%とする)と、ドライボックス中の3口丸底フラスコ中で混合した。そのフラスコをドラフトの中に移し、オーバーヘッド撹拌器を取り付けた。その混合物を窒素下、90℃で4時間撹拌した。混合物を滴定すると、NCO含量は5.32%であることがわかる。
【0078】
この混合物に400mLのMEKを添加した。次いで、204gのグリコール/MEK溶液を、2.85gのTEAを含む、1.1Lの2%SDBS溶液(0℃)の中に、コーキングチューブを通して徐々に添加した。TEA対DMPAの比は、1:1である。この混合物からは分散体が得られなかった。
【0079】
同じ手順に従うが、ただし塩基としてNaHCOを使用すると、スポンジ状のポリマーが形成された。
【0080】
(比較例C)
上述の比較例Bに記載の実験を実施したが、ただし、30%EO/THF原料(サンヨー(Sanyo)製)を使用した。2%界面活性剤/TEAを使用した場合には、分散体はまったく得られず、大量の沈降物が認められた。
【0081】
この場合もまた、上の段落に記載した実験を0.5%界面活性剤/NaHCOを用いて実施すると、分散体は認められなかった。大量の沈降物が認められた。
【0082】
(比較例D)
上述の実施例3に記載の手順を実施したが、ただし、1.25%の界面活性剤/NaHCO溶液を使用した。沈降物が観察された。沈降物を濾過した後では、固形分含量が10.1%の分散体が得られた。このフィルムをキャスティングしてから、水を蒸発させた。そのフィルムでは、弾性が不十分であった。
【0083】
(水性分散体から製造した物品の試験結果)
上述の方法により、分散体から製造した手袋の破壊強さを、ASTM試験法F1342に従って測定した。材料の伸びと厚みを測定した。その破壊荷重は、厚み1インチあたりのポンドとして計算した。その結果を次の表1に示す。
【0084】
【表2】

【0085】
本発明により製造した手袋の引き裂き強さを、ASTM試験法D−624−98を用いて試験した。この試験では、ダイを用いてフィルムを切り出し、次いでその試験片をインストロン(Instron,登録商標)ユニットに取り付けて、引き裂き試験を行う。荷重対伸びを記録する。ダイBおよびCを使用した。ダイBのための試験片には、カミソリで切り込みを入れて、引き裂きの開始点を作った。ダイCには、引き裂き開始点として鋭利な90度の角を有しているので、切り込みは入れなかった。試験結果を次の表2に示すが、単位厚みに対する引き裂き強さ(N/mm)で示している。
【0086】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】水性ポリ(ウレア/ウレタン)分散体を製造する場合の、剪断速度(sec−1)と剪断時間(分)の関係をプロットした図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウレア/ウレタンポリマーから調製されるフィルムであって、(a)テトラヒドロフランと、アルキレンオキシドおよび環状アセタールのいずれかまたは両方と、から調製されるヒドロキシ末端コポリマーから誘導される繰り返し単位、および(b)ポリイソシアネートから誘導される繰り返し単位;を含み、
ここで前記ウレア/ウレタンポリマーには、式−R−N(R)−C(O)−N(R)−R−で表されるウレア単位を約2モルパーセント未満で含み;
ここでRは芳香族炭化水素基であり、Rは脂肪族炭化水素基であり、そしてRはH、または式−C(O)−N(R)−R−で表されるアミド基であり;そして
ここで前記テトラヒドロフランは次式で表され、
【化1】

ここで、Rの内のいずれか1つはC〜Cアルキル基であり、残りのRは水素であることを特徴とするフィルム。
【請求項2】
前記ポリイソシアネートが、トルエンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネートおよびポリメチレンポリフェニルイソシアネートからなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記アルキレンオキシドが、1,2−プロピレンオキシドおよびエチレンオキシドからなる群より選択されることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項4】
前記アルキレンオキシドがエチレンオキシドであることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項5】
前記テトラヒドロフランの中のRがそれぞれ水素であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項6】
前記テトラヒドロフランにおけるそれぞれのRが水素であり、前記ヒドロキシ末端コポリマーがアルキレンオキシドから調製され、前記アルキレンオキシドがエチレンオキシドであることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項7】
前記ウレア/ウレタンポリマーが、約1モルパーセント未満の前記記載のウレア単位を含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項8】
前記ウレタンポリマーが、イオン性の化合物または潜在的にイオン性の化合物から誘導される繰り返し単位をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項9】
請求項1に記載のウレア/ウレタンポリマーの水性分散体と界面活性剤とから調製されることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項10】
アイオノマー性のウレア/ウレタンポリマーから調製されるフィルムであって、(a)約700〜約1500の分子量を有する脂肪族ポリエーテルポリオールから誘導される繰り返し単位、および(b)ポリイソシアネートから誘導される繰り返し単位、を含み、
ここで前記ウレア/ウレタンポリマーには、式−R−N(R)−C(O)−N(R)−R−で表されるウレア単位を約2モルパーセント未満で含み;
ここでRは芳香族のC〜C20炭化水素基であり、Rは脂肪族のC〜C20炭化水素基であり、そしてRはH、または式−C(O)−N(R)−R−で表されるアミド基であることを特徴とするフィルム。
【請求項11】
イオン性の化合物または潜在的にイオン性の化合物から誘導される繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項10に記載のフィルム。
【請求項12】
前記イオン性の化合物または潜在的にイオン性の化合物が、一般式(HO)(COOH)のヒドロキシ−カルボン酸を含み、ここでRは、1〜12個の炭素原子を含む直鎖状または分岐状の炭化水素基を表し、xおよびyはそれぞれ独立して、1〜3の数を表すことを特徴とする請求項11に記載のフィルム。
【請求項13】
前記イオン性の化合物または潜在的にイオン性の化合物が、2,2’ジメタノールプロピオン酸を含むことを特徴とする請求項11に記載のフィルム。
【請求項14】
前記ポリイソシアネートが、トルエンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネートおよびポリメチレンポリフェニルイソシアネートからなる群より選択されることを特徴とする請求項10に記載のフィルム。
【請求項15】
前記ポリエーテルポリオールが式HO−[(CRH)−O−]−Hで表され、ここでRは水素、ハロゲン、またはC〜Cアルキルラジカルであり;mは3または4であり;そしてnは約8〜約20の範囲であることを特徴とする請求項10に記載のフィルム。
【請求項16】
が水素であることを特徴とする請求項15に記載のフィルム。
【請求項17】
前記ポリエーテルポリオールが、約900〜約1150の範囲の分子量を有することを特徴とする請求項10に記載のフィルム。
【請求項18】
前記ウレア/ウレタンポリマーが、約1モルパーセント未満の前記記載のウレア単位を含むことを特徴とする請求項10に記載のフィルム。
【請求項19】
請求項10に記載のウレア/ウレタンポリマーの水性分散体と界面活性剤とから調製されることを特徴とする請求項10に記載のフィルム。
【請求項20】
アイオノマー性のウレア/ウレタンポリマーから調製されるフィルムであって、(a)脂肪族ポリエステルポリオールから誘導される繰り返し単位、および(b)ポリイソシアネートから誘導される繰り返し単位、を含み、
ここで前記ウレア/ウレタンポリマーには、式−R−N(R)−C(O)−N(R)−R−で表されるウレア単位を約2モルパーセント未満で含み、
ここでRはC〜C20の芳香族炭化水素基であり、RはC〜C20の脂肪族炭化水素基であり、そしてRはH、または式C(O)−N(R)−R−で表されるアミド基である、ことを特徴とするフィルム。
【請求項21】
イオン性の化合物または潜在的にイオン性の化合物から誘導される繰り返し単位を含むことを特徴とする請求項20に記載のフィルム。
【請求項22】
前記イオン性の化合物または潜在的にイオン性の化合物が、一般式(HO)(COOH)のヒドロキシ−カルボン酸を含み、ここでRは、1〜12個の炭素原子を含む直鎖状または分岐状の炭化水素基を表し、xおよびyはそれぞれ独立して、1〜3の数を表すことを特徴とする請求項21に記載のフィルム。
【請求項23】
前記イオン性の化合物または潜在的にイオン性の化合物が、2,2’ジメタノールプロピオン酸を含むことを特徴とする請求項21に記載のフィルム。
【請求項24】
前記ポリイソシアネートが、トルエンジイソシアネート、メチレンジフェニルジイソシアネートおよびポリメチレンポリフェニルイソシアネートからなる群より選択されることを特徴とする請求項20に記載のフィルム。
【請求項25】
前記ポリエステルポリオールが、エチレンアジペート、ブチレンアジペート、エチレン/ブチレンアジペート、およびそれらの混合物からなる群より選択される、ジヒドロキシ末端ポリマーであることを特徴とする請求項20に記載のフィルム。
【請求項26】
前記ウレア/ウレタンポリマーが、約1モルパーセント未満の前記記載のウレア単位を含むことを特徴とする請求項20に記載のフィルム。
【請求項27】
請求項20に記載のウレア/ウレタンポリマーの水性分散体と界面活性剤とから調製されることを特徴とする請求項20に記載のフィルム。
【請求項28】
手袋の形態に加工されていることを特徴とする請求項1、10および20に記載のフィルム。
【請求項29】
親指と人差し指をイソプロピルアルコールに漬けた後、約30〜約60秒間こすり合わせても、両指の間の接触点で前記手袋に穴が開いたり破れたりすることがないことを特徴とする請求項28に記載の手袋。

【図1】
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【公表番号】特表2006−517986(P2006−517986A)
【公表日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−502274(P2005−502274)
【出願日】平成15年11月4日(2003.11.4)
【国際出願番号】PCT/US2003/035194
【国際公開番号】WO2004/041892
【国際公開日】平成16年5月21日(2004.5.21)
【出願人】(505245302)インヴィスタ テクノロジー エスアエルエル (81)
【Fターム(参考)】