説明

ポリ(シクロヘキサンジメタノールテレフタレート)組成物を含む発光ダイオードアセンブリハウジング

【課題】紫外線または熱安定性に優れた樹脂組成物を提供すること。
【解決手段】二酸化チタンを含有する高温ポリ(1,4−シクロヘキサンジメタノールテレフタレート)組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二酸化チタンを含有するポリ(1,4−シクロヘキサンジメタノールテレフタレート)(PCT)組成物を含む発光ダイオードアセンブリの部品に関する。
【背景技術】
【0002】
発光半導体ダイオード(LED)は、従来の光源と比べて多くの利点のゆえに多くの用途で光源としてますます用いられている。LEDは、一般に、白熱光源および他の光源より大幅により少ない電力を消費し、作動するのに低い電圧を必要とし、機械的衝撃に耐え、低い維持費を必要とし、作動時に最少の熱を発生する。結果として、LEDは多くの用途において白熱光源および他の光源に取って代わり、交通信号、大面積ディスプレイ(ビデオディスプレイを含む)、内部照明および外部照明、携帯電話ディスプレイ、自動車ディスプレイおよびフラッシュライトのような様々な分野で利用されてきた。
【0003】
LEDは、アセンブリ中の部品のような用途において典型的に用いられる。LEDアセンブリは、少なくとも1つのLEDを部分的に取り囲むハウジングとダイオードと電気回路との間の電気結線とを含む。アセンブリは、ハウジングに接着されるレンズであって、LEDを完全にまたは部分的に覆うとともにLEDによって放出される光に焦点を合わせるように作用するレンズを更に含んでもよい。
【0004】
高分子材料は、射出成形することができかなりの設計の融通性を提供するため、LEDハウジングを高分子材料から製造することが望ましいであろう。しかし、有用な高分子組成物は、好ましくは多くの条件を満足させるであろう。多くのLEDアセンブリが高温で作用する還流炉溶接プロセスを用いて回路基板に取り付けられるので、有用な組成物は、溶接条件に耐えるために十分に耐熱性であるとともに溶接プロセス中のハウジング表面の膨れが最少であろう。有用な組成物は、更に好ましくは、ハウジングによって反射される光の量を最大にするために良好な白色度および/または反射率を示し、良好な耐紫外線性、LEDアセンブリの作動温度に対する良好な長期抵抗性を有し、用いられるあらゆるレンズ材料への良好な粘着力を有するであろう。本発明において用いられるポリ(1,4−シクロヘキサンジメタノールテレフタレート)組成物は前述した要件を満足させる。
【0005】
(特許文献1)には、発光ダイオード反射材の製造において有用なポリアミド樹脂組成物が開示されている。しかし、ポリアミドは、紫外線または熱にさらされると良好な保色性をもたないことが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】国際公開第03/085029号パンフレット
【特許文献2】米国特許第4,753,980号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
ポリ(1,4−シクロヘキサンジメタノールテレフタレート)組成物を含む発光ダイオードアセンブリハウジングであって、この組成物が、
(e)約40〜約95重量%のポリ(1,4−シクロヘキサンジメタノールテレフタレート)と、
(f)約5〜約60重量%の二酸化チタンと、
(g)0〜約40重量%の少なくとも1種の無機強化剤または無機充填剤と、
(h)0〜約3重量%の少なくとも1種の酸化安定剤と
を含み、重量%が組成物の全重量を基準にしている、発光ダイオードアセンブリハウジングが本明細書で開示されている。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本明細書において用いられる「発光ダイオードアセンブリ」または「LEDアセンブリ」という用語は、少なくとも1つの発光半導体ダイオード、電気回路にダイオードを接続できる電気結線およびダイオードを部分的に取り囲むハウジングを含むデバイスを意味する。LEDアセンブリは、LEDを完全にまたは部分的に覆うレンズを任意に有してもよい。
【0009】
LEDアセンブリハウジングは二酸チタンを含むポリ(1,4−シクロヘキサンジメタノールテレフタレート)(PCT)組成物を含む。
【0010】
ポリ(1,4−シクロヘキサンジメタノールテレフタレート)(PCT)は、ジオールとジカルボン酸から形成されたポリエステルを意味する。ジオール反復単位の少なくとも約80モル%、より好ましくは少なくとも約90モル%、特に好ましくは全部が1,4−シクロヘキサンジメタノールから誘導され、そして式(I)の反復単位である。
【0011】
【化1】

【0012】
ジカルボン酸反復単位の少なくとも約80モル%、より好ましくは少なくとも約90モル%、特に好ましくは全部がテレフタル酸から誘導され、そして式(II)の反復単位である。
【0013】
【化2】

【0014】
PCTは、ヒドロキシカルボン酸から誘導された1つまたは複数の反復単位10モル%以下(存在する(I)および(II)の合計量を基準にして)も含んでよい。但し、こうした反復単位が存在しないことが好ましい。好ましい特定の1つのPCTはジオール反復単位として(I)を含み、(II)は95モル%のジカルボン酸反復単位であり、他の5モル%のジカルボン酸反復単位はイソフタル酸から誘導され、ヒドロキシカルボン酸から誘導された反復単位は存在しない。PCTは組成物の約40〜約95重量%で、または組成物の全重量を基準にして好ましくは約50〜約85重量%で存在する。
【0015】
組成物は、他の熱可塑性ポリエステル(ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(プロピレンテレフタレート)、ポリ(ブチレンテレフタレート)およびポリ(ナフタレンテレフタレート)など)および液晶ポリエステルなどの他の熱可塑性ポリマー約70%以下または好ましくは約1〜約40重量%を任意に含んでもよい。ここで、重量%はPCTおよび他の熱可塑性ポリマーの合計重量を基準にしている。
【0016】
組成物の中で用いられる二酸化チタンはいかなる種類であってもよいが、好ましくはルチル形態を取っている。二酸化チタンは全組成物の約5〜約60重量%、または好ましくは約15〜約50重量%、あるいはより好ましくは約20〜約40重量%を占める。
【0017】
二酸化チタン粒子の表面は、好ましくは被覆されている。二酸化チタンは、好ましくは最初に無機被膜で、次に無機被膜上に被着される有機被膜で被覆される。二酸化チタン粒子は、当該技術分野で知られている任意の方法を用いて被覆してもよい。好ましい無機被膜は金属酸化物を含む。有機被膜は、カルボン酸、ポリオール、アルカノールアミンおよび/またはケイ素化合物の1つまたは複数を含んでもよい。
【0018】
有機被膜として用いるために適するカルボン酸の例には、アジピン酸、テレフタル酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ポリヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、サリチル酸、リンゴ酸およびマレイン酸が挙げられる。本明細書において用いられる「カルボン酸」という用語はカルボン酸のエステルおよび塩を含む。
【0019】
有機被膜のため適するケイ素化合物の例には、シリケート;オルガノアルコキシシラン、アミノシラン、エポキシシラン、メルカプトシランおよびポリヒドロキシシロキサンを含む有機シランおよび有機シロキサンが挙げられるが、それらに限定されない。適するシランは式RSi(R’)4−X(式中、Rは1〜約20個の炭素原子を有する非加水分解性の脂肪族基、脂環式基または芳香族基であり、R’はアルコキシ基、ハロゲン基、アセトキシ基またはヒドロキシ基などの1つまたは複数の加水分解性基であり、Xは1、2または3である)で表され得る。
【0020】
有機被膜のために適する有用なシランは、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ノニルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、トリデシルトリエトキシシラン、テトラデシルトリエトキシシラン、ペンタデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、ヘプタデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランおよびそれらの2つ以上の組み合わせの1つまたは複数を含む。他の有用なシランにおいて、Rは8〜18個の間の炭素原子を有し、R’はクロロ基、メトキシ基、エトキシ基またはヒドロキシ基の1つまたは複数である。
【0021】
有機被膜が存在するとき、有機被膜は、被覆された二酸化チタンの好ましくは約0.1〜約10重量%、またはより好ましくは約0.5〜約7重量%、あるいはなおより好ましくは約0.5〜約5重量%を占める。
【0022】
適する無機被膜の例には、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウム、リン、亜鉛および希土類元素などの酸化物および含水酸化物を含む金属酸化物および金属含水酸化物が挙げられる。好ましい金属酸化物はアルミナである。
【0023】
無機被膜は、被覆された二酸化チタンの好ましくは約0.25〜約50重量%、またはより好ましくは約1.0〜約25重量%、あるいはなおより好ましくは約2〜約20重量%を占める。
【0024】
組成物は、1つまたは複数の無機強化剤および/または無機充填剤約40重量%以下を任意に含んでもよい。適する強化剤の例には、ガラス繊維および鉱物、特にウォラストナイトなどの繊維状鉱物が挙げられる。充填剤の例には、炭酸カルシウム、タルク、マイカおよびカオリンが挙げられる。強化剤および/または充填剤が存在するとき、強化剤および/または充填剤は、全組成物の好ましくは約1〜約40重量%、またはより好ましくは約1〜約20重量%で存在する。
【0025】
組成物は約15重量%以下の1つまたは複数の高分子強化剤を任意に含有してもよい。この強化剤は、典型的には、PCT(および存在する任意の他のポリマー)と反応できる官能基が結合している一般に200℃未満、好ましくは150℃未満の比較的低い融点を有するエラストマーである。PCTが存在するカルボキシル基およびヒドロキシル基を通常は有するので、これらの官能基は、通常は、カルボキシル基および/またはヒドロキシル基と反応することが可能である。こうした官能基の例には、エポキシ、無水カルボキン酸、ヒドロキシル(アルコール)、カルボキシルおよびイソシアネートが挙げられる。好ましい官能基はエポキシおよび無水カルボキン酸であり、エポキシは特に好ましい。こうした官能基は既に存在するポリマー上に小分子をグラフトすることにより、または高分子強化剤分子を共重合によって製造するときに所望の官能基を含むモノマーを共重合することにより高分子強化剤に通常「結合」される。グラフト化の例として、無水マレイン酸は、ラジカルグラフト化技術を用いて炭化水素ゴム上にグラフトさせてもよい。得られたグラフト化ポリマーは、それに結合されたカルボン酸無水物および/またはカルボキシル基を有する。官能基をポリマーに共重合させている高分子強化剤の例は、適切な官能基を含むエチレンと(メタ)アクリレートモノマーとのコポリマーである。本明細書における(メタ)アクリレートは、アクリレート、メタクリレートまたは2つの混合物のいずれであってもよい。有用な(メタ)アクリレート官能性化合物には、(メタ)アクリル酸、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレートおよび2−イソシアナトエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。エチレンおよび官能性(メタ)アクリレートモノマーに加えて、酢酸ビニル;エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレートおよびシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどの非官能化(メタ)アクリレートエステルなどの他のモノマーをこうしたポリマーに共重合させてもよい。好ましい強化剤には、米国特許公報(特許文献2)にリストされた強化剤が挙げられる。この特許は本明細書に参照により援用する。特に好ましい強化剤は、エチレン、エチルアクリレートまたはn−ブチルアクリレートと、グリシジルアクリレートとのコポリマー(EBAGMAなど)およびエチレン/メチルアクリレートコポリマーである。
【0026】
高分子強化剤が、官能基を含むモノマーから誘導された反復単位約0.5〜約20重量%、好ましくは約1.0〜約15重量%、より好ましくは約7〜約13重量%を含むことが好ましい。官能化モノマーから誘導された反復単位の2種以上が高分子強化剤中に存在してもよい。高分子強化剤の量および/または官能基の量を増やすことにより組成物の靱性を高めることが見出された。しかし、これらの量は、好ましくは、特に最終部品形状を達成する前に組成物が架橋してもよい点まで増やされるべきではない。
【0027】
高分子強化剤はエチレンのコポリマーではない熱可塑性アクリルポリマーであってもよい。熱可塑性アクリルポリマーは、アクリル酸、アクリレートエステル(メチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレートおよびn−オクチルアクリレートなど)、メタクリル酸およびメタクリレートエステル(メチルメタクリレート、n−プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、n−ブチルメタクリレート(BA)、イソブチルメタクリレート、n−アミルメタクリレート、n−オクチルメタクリレートおよびグリシジルメタクリレート(GMA)など)を重合することにより製造される。前述したモノマータイプの1つまたは複数とスチレン、アクリロニトリル、ブタジエンおよびイソプレンなどを重合することにより製造されたコポリマーに加えて、前述したモノマータイプの2つ以上から誘導されたコポリマーも用いてよい。これらのコポリマー中の成分の一部または全部は、好ましくは0℃以下のガラス転移温度を有するべきである。熱可塑性アクリルポリマー強化剤の調製のために好ましいモノマーは、メチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、n−ヘキシルアクリレートおよびn−オクチルアクリレートである。
【0028】
熱可塑性アクリルポリマー強化剤がコア−シェル構造を有することが好ましい。コア−シェル構造は、コア部分が0℃以下のガラス転移温度を有する一方で、シェル部分が好ましくはコア部分のガラス転移温度より高いガラス転移温度を有する構造である。コア部分はシリコーンでグラフトされていてもよい。シェル部分は、シリコーンおよびフッ素などの低表面エネルギー基材でグラフトされていてもよい。表面にグラフトされた低表面エネルギーを有するコア−シェル構造を有するアクリルポリマーは、本発明の組成物の熱可塑性ポリエステルおよび他の成分との混合中または混合後に自己凝集し、組成物中に容易に均一に分散させることが可能である。
【0029】
強化剤が存在するとき、強化剤は、組成物の全重量の好ましくは約0.5〜約15重量%、またはより好ましくは約1〜約10重量%、あるいはなおより好ましくは約1〜約5重量%を占める。
【0030】
組成物は約3重量%以下の1つまたは複数の酸化安定剤を任意に含む。適する酸化安定剤の例には、ホスフィット安定剤およびハイポホスフィット安定剤、ヒンダードフェノール安定剤、ヒンダードアミン安定剤およびチオエステルが挙げられる。酸化安定剤が存在するとき、酸化安定剤は、組成物の全重量の約0.1〜約3重量%、または好ましくは約0.1〜約1重量%、あるいはより好ましくは約0.1〜約0.6重量%を占める。
【0031】
組成物は約3重量%以下の紫外線安定剤またはUV遮断剤を任意に更に含んでもよい。例には、トリアゾールおよびトリアジンが挙げられる。紫外線安定剤が存在するとき、紫外線安定剤は、組成物の全重量の約0.1〜約3重量%、または好ましくは約0.1〜約1重量%、あるいはより好ましくは約0.1〜約0.6重量%を占める。
【0032】
組成物は、ブレンドが均一体を形成するように、高分子成分の全部が互いの内部でよく分散され、非高分子成分の全部がポリマーマトリックス中でよく分散され、ポリマーマトリックスによって結合されている溶融された混合ブレンドである。本発明の高分子成分と非高分子成分を組み合わせるために、いかなる溶融混合方法も用いてよい。例えば、高分子成分および非高分子成分は、単一工程添加を通して一度に、または段階的に例えば、一軸スクリュー押出機または二軸スクリュー押出機、ブレンダー、ニーダーまたはバンバリーミキサなどの溶融ミキサに添加し、その後、溶融混合させてもよい。段階的に高分子成分および非高分子成分を添加する時、高分子成分および/または非高分子成分の一部を最初に添加し、溶融混合し、残りの高分子成分および非高分子成分を後で添加し、よく混合された組成物を得るまで更に溶融混合させる。
【0033】
本発明のLEDアセンブリハウジングはシングルピースの形態を取ってもよいか、または2つ以上のサブパートを組み立てることにより形成させてもよい。本発明のLEDアセンブリハウジングがシングルピースの形態を取るとき、本発明のLEDアセンブリハウジングはPCT組成物から調製される。本発明のLEDアセンブリハウジングが2つ以上のサブパートから形成されるとき、これらのパートの少なくとも1つはPCT組成物から調製される。本発明のLEDアセンブリハウジングが2つ以上のサブパートから形成されるとき、これらのパートの1つまたは複数は、金属、セラミックまたはPCT組成物以外の高分子材料であってもよい。接着させることにより、あるいは金属パートまたは他の高分子パート上に高分子材料をオーバーモールドすることによりサブパートを機械的に接続してもよい。本発明において用いられる組成物から調製されたハウジングまたはハウジングサブパートは、射出成形などの当業者に知られていて、適するいずれかの溶融加工方法によってPCT組成物から成形してもよい。ハウジングは、ハウジングに挿入されたLEDへの電気結線を作るために使用できる金属(銅または銀被覆銅など)リードフレーム上にオーバーモールドしてもよい。
【0034】
ハウジングはLEDを取り囲むハウジングの部分内に好ましくはキャビティを有し、キャビティは外向き方向且つレンズが存在する場合にレンズに向けてLED光を反射するように作用する。キャビティは、円柱状、円錐状、放物線状または他の曲面状であってもよく、好ましくは平滑面を有する。あるいは、キャビティの壁は、ダイオードに平行または実質的に平行であってもよい。レンズは、ダイオードキャビティ上に形成させてもよく、エポキシ材料またはシリコーン材料を含んでもよい。
【0035】
交通信号、大面積ディスプレイ(ビデオディスプレイを含む)、ビデオスクリーン、内部照明および外部照明、携帯電話ディスプレイバックライト、自動車ディスプレイ、車両ブレーキライト、車両ヘッドランプ、ラップトップコンピュータディスプレイバックライト、歩行者床照明、およびフラッシュライトなどの用途において用いられるLEDアセンブリに本発明のハウジングを導入してもよい。
【実施例】
【0036】
約350rpmのスクリュー速度および約330℃の溶融温度を用いて約300℃で運転する55mmニーダー内で表1に示した成分を溶融ブレンドすることにより実施例1〜5および比較例1の組成物を調製した。押出機から出ると、組成物を冷却し、ペレット化した。
【0037】
以下の成分を表1に示している。
PCTはポリ(1,4−シクロヘキサンジメタノールテレフタレート)である。
ポリアミドは、テレフタル酸と、アジピン酸とヘキサメチレンジアミンから製造されたコポリアミドであり、約315℃の融点を有する。
強化剤Aは、テネシー州キングスポートのイーストマン・ケミカル社(Eastman Chemical Co.(Kingsport,TN))によって供給されるEMAC(登録商標)SP2260というエチレンメチルアクリレートコポリマーである。
強化剤Bはエチレン/n−ブチルアクリレート/グリシジルメタクリレートターポリマーである。
潤滑剤は、ノースカロライナ州シャーロットのクラリアント・コーポレーション(Clariant Corp.(Charlotte,NC))によって供給される「リコワックス(Licowax)」(登録商標)PED521である。
安定剤Aはエポキシクレゾールノボラック樹脂である。
安定剤Bはバーゼル(Basel)のチバ(Ciba)によって供給される「イルガフォス(Irgafos)」(登録商標)12である。
酸化防止剤Aはバーゼル(Basel)のチバ(Ciba)によって供給される「イルガノックス(Irganox)」(登録商標)1010である。
酸化防止剤Bはウェストバージニア州パーカーズバーグのG.E.スペシャルティ・ケミカルズ(G.E.Specialty Chemicals(Parkersburg,WV))によって供給される「ウルトラノックス(Ultranox)」(登録商標)626Aである。
酸化防止剤Cはバーゼル(Basel)のチバ(Ciba)によって供給される「イルガノックス(Irganox)」(登録商標)1098である。
ポリ(ブチレンテレフタレート)は本願特許出願人によって供給される「クラスチン(Crastin)」(登録商標)6136である。
二酸化チタンAはミッドランド州ハントバレーのミレニアム・インオーガニック・ケミカルズ(Millenium Inorganic Chemicals(Hunt Valley,MD))によって供給されるRCL4 TiO2である。
二酸化チタンBは本願特許出願人によって供給されるP−150である。
「ゼナイト(Zenite)」(登録商標)6000は本願特許出願人によって供給される液晶ポリエステルである。
ウォラストナイトは、ニューヨーク州ウィルスボロのナイコ・ミネラルズ(Nyco Minerals(Willsboro,NY))によって供給される「ナイド(Nayd)」M200である。
【0038】
100℃のモールド温度を用いてISO方法527−1/2に準拠して組成物をISO引張バーに成形し、同じ方法を用いて引張弾性率を決定した。ノッチ付シャルピー衝撃強度をISO179/1eAに準拠して決定した。結果を表1に示している。
【0039】
ISO11475:2004に準拠する色度計を用い、そして10℃でCIE D65昼光光源を用いて白色度指数を組成物ごとに決定した。150℃、180℃、200℃または230℃で2時間にわたり空気中で熱熟成された引張バー上で測定を行った。結果を表1に示している。より高い数値はより良い白色度を示している。
【0040】
浸漬はんだ付け試験を用いて耐膨れ性を決定した。厚さ0.8mmのバーをUL試験番号UL−94に準拠して成形した。実施例1、2、4および5の組成物の20mm垂直燃焼試験をレスカ社(Rhesca Co.Ltd.)の「ソルダーチェッカー(Solder Checker)」SAT−5100内で15mmの深さに溶融はんだに5秒または10秒にわたり浸漬させた。成形時乾燥状態(DAM)で、または85℃および相対湿度(RH)85%で168時間にわたり状態調節後にバーを用いた。はんだは255、260または265℃の温度であった。はんだから除去されると、バーの表面膨れを検査した。結果を表2に示している。
【0041】
UV線をISO引張バーに照射することにより組成物の色の紫外線(UV)安定性を決定した。アトラス・エレクトリック・デバイシーズ社(ATLAS Electric Devices Co.)によって供給されるテーブルトップ「サンテスト(SUNTEST)」太陽光暴露システムの試験チャンバにサンプルを入れた。試験チャンバ内でサンプルはUV線に直接照射された。1組のサンプルにおいて、300nm未満の波長を有する放射線をカットオフするフィルターを用いてバーに300時間にわたって照射した。サンプルの表面温度は40℃であり、ランプからサンプルまでの距離は22cmであった。第2のサンプル組において、フィルターを用いずにバーに48時間にわたって照射した。サンプルの表面温度は75℃であり、ランプからサンプルまでの距離は4cmであった。第2組の条件はより厳しかった。
【0042】
照射後、「データカラー(DATACOLOR)」色度計を用いて630、520または460nmでの入射放射線の%反射率を測定した。標準として規定された黒色トラップと白色タイルを測定することにより色度計を較正する。結果を表3に示している。より高い%はより良いUV安定性を示している。
【0043】
【表1】

【0044】
【表2】

【0045】
【表3】

【0046】
エポキシレンズを含む発光ダイオードアセンブリハウジングに実施例1〜5および比較例1の組成物を成形する。実施例1〜5の組成物から製造されたハウジングは、ハウジングを回路基板に溶接するときに表面膨れに対する良好な抵抗を有し、エポキシレンズへの良好な粘着力を有する。更に、実施例1〜5の組成物から製造されたハウジングは、比較例1の組成物から製造されたハウジングより、熱にさらされても大幅に改善された色安定性を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)40〜95重量%のポリ(1,4−シクロヘキサンジメタノールテレフタレート)と、
(b)5〜60重量%の二酸化チタンと、
(c)前記ポリ(1,4−シクロヘキサンジメタノールテレフタレート)と反応する官能基が結合しているポリマーと
を含み、重量%が前記組成物の全重量を基準にしていることを特徴とする組成物。
【請求項2】
0.5〜15重量%の(c)ポリマーを含むことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ポリマーに結合している官能基がエポキシ基を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項4】
前記ポリマーに結合している官能基がカルボン酸無水物基、ヒドロキシル基、カルボキシル基またはイソシアネート基を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の組成物。
【請求項5】
前記エポキシ基が前記ポリ(1,4−シクロヘキサンジメタノールテレフタレート)と反応する前記ポリマーにグラフトしていることを特徴とする請求項3に記載の組成物。
【請求項6】
官能基が結合している前記ポリマーがエチレンと(メタ)アクリレートモノマーとのコポリマーを含むことを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
官能基が結合している前記ポリマーがエチレンと、エチルアクリレートまたはn−ブチルアクリレートと、グリシジルメタクリレートとのコポリマーを含むことを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
(a)40〜95重量%のポリ(1,4−シクロヘキサンジメタノールテレフタレート)と、
(b)5〜60重量%の二酸化チタンと、
(c)エチレン/メチルアクリレートコポリマーおよび/またはエチレンと、エチルアクリレートまたはn−ブチルアクリレートと、グリシジルメタクリレートとのコポリマーと
を含み、重量%が前記組成物の全重量を基準にしていることを特徴とする組成物。
【請求項9】
1〜20重量%の1または複数の無機強化剤をさらに含むことを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記無機強化剤がガラス繊維を含むことを特徴とする請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
1〜20重量%の1または複数の無機充填剤をさらに含むことを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項12】
前記無機充填剤がタルクを含むことを特徴とする請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
0.1〜3重量%の酸化安定剤をさらに含むことを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物がポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンテレフタレートまたは液晶ポリエステルをさらに含むことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物が15〜50重量%の二酸化チタンを含むことを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の組成物。

【公開番号】特開2012−136710(P2012−136710A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2012−67633(P2012−67633)
【出願日】平成24年3月23日(2012.3.23)
【分割の表示】特願2008−531234(P2008−531234)の分割
【原出願日】平成18年9月12日(2006.9.12)
【出願人】(500100822)ティコナ・エルエルシー (19)
【Fターム(参考)】