説明

ポリ(トリメチレンテレフタレート)の連続製造

本発明は、ポリ(トリメチレンテレフタレート)の製造のための連続プロセスであって、プロセスから生じる気体状1,3−プロパンジオール副生物をコンデンサ内で凝縮させ、凝縮させた副生物1,3−プロパンジオール中の一切のトリメチレンテレフタレート環式ダイマおよびポリ(トリメチレンテレフタレート)の全量を調節し、凝縮させた副生物の一部をコンデンサに再循環する一方で、別の部分をプロセスに再循環して戻す方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ(トリメチレンテレフタレート)の製造のための連続プロセスであって、プロセスから生じる気体状1,3−プロパンジオール副生物をコンデンサ内で凝縮させ、凝縮させた副生物1,3−プロパンジオール中の一切のトリメチレンテレフタレート環式ダイマおよびポリ(トリメチレンテレフタレート)の全量を調節し、凝縮させた副生物の一部をコンデンサに再循環する一方で、別の部分をプロセスに再循環して戻す方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)は、テレフタル酸(TPA)またはジメチルテレフタレート(DMT)と過剰の1,3−プロパンジオールを高温で反応させて、エステル化生成物を得ることにより製造される。このエステル化生成物を初期縮合に供し、その後、初期縮合生成物を重縮合に供して、ポリ(トリメチレンテレフタレート)を得る。
【0003】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)プロセスにおいて、過剰の1,3−プロパンジオールは、初期縮合段階および重縮合段階から揮発によって除去される。この揮発した副生物1,3−プロパンジオールは、幾つかの追加の副生物、例えば、トリエチレンテレフタレート環式ダイマおよびポリ(トリメチレンテレフタレート)オリゴマーならびに幾つかのカルボニル含有化合物を含有することが知られている。更に、本プロセスのための出発材料がジメチルテレフタレートを含む場合、少量のジメチルテレフタレートさえもが副生物1,3−プロパンジオール中に見られる場合がある。副生物1,3−プロパンジオールの再循環は、効率を改善するとともにプロセスのコストを下げるために望ましい。
【0004】
しかし、ポリ(トリメチレンテレフタレート)を製造するための連続プロセスの運転における最近の経験は、液体副生物1,3−プロパンジオール中の固体副生物がパイプ、熱交換器壁および噴霧ノズルなどの上に徐々に沈殿することを示した。沈殿物は汚れを引き起こす場合があり、それは次により低い1,3−プロパンジオール再循環流量および最終的にスプレーコンデンサの劣った運転をもたらす。再循環系内の固体の蓄積は、短い運転寿命、高い保守頻度ならびに結果として長いダウンタイム、保守コストおよびより低い総合製品収率のゆえにより高いコストにつながる。
【0005】
米国特許第6,353,062号明細書、米国特許第6,538,076号明細書、米国特許出願公開第2003−0220465A1号明細書および米国特許出願公開第2005−0165178A1号明細書には、ビス−ヒドロキシプロピルテレフタレートの重合によるポリ(トリメチレンテレフタレート)を調製するための連続法が開示されている。過剰の1,3−プロパンジオール蒸気はプロセスストリームから除去され、60℃未満、好ましくは50℃未満に冷却された凝縮1,3−プロパンジオールで噴霧されることにより冷却されるスプレーコンデンサによって凝縮させる。凝縮させた1,3−プロパンジオールは、ホットウェルに流れ込み、そこで追加の1,3−プロパンジオールと組み合わされる。ホットウェル内の液体の一部は、凝縮用スプレーとして用いるためにコンデンサの頂上にクーラー(すなわち、熱交換器)を通してポンプで送られる。これらの文書のどれも過剰の1,3−プロパンジオールの再循環を開示していない。
【0006】
米国特許第6,277,947号明細書および米国特許第6,326,456号明細書には、触媒チタン化合物の存在下でのトリメチレングリコールによるテレフタル酸のエステル化、その後の初期縮合および重縮合によってポリ(トリメチレンテレフタレート)を製造する方法が開示されている。エステル化は少なくとも2つの段階で遂行され、ここで、第1の段階において、1.15〜2.5のトリメチレングリコール対テレフタル酸の全モル比、0〜40ppmのチタンの含有率、240〜275℃の温度、1〜3.5バールの圧力が用いられる。少なくとも1つの後続段階において、チタンの含有率は35〜110ppmだけ初期段階より高いように調節される。これらの2つの刊行物は、典型的には加熱されていないテレフタル酸/1,3−プロパンジオールペーストミキサーへの過剰の1,3−プロパンジオールの再循環を開示している。しかし、両方の実施例6、7および8に記載された化学量論は、再循環された1,3−プロパンジオールが定常状態連続プロセスから由来しなかったことを明確に示している。更に、このプロセスは、実施例6および7においてカラー剤としてコバルト化合物を使用することによって示唆されるように、著しい色を有するポリ(トリメチレンテレフタレート)を製造した。
【0007】
1,3−プロパンジオールの再循環のこれらの問題は、回収された副生物1,3−プロパンジオールをうまく再循環するために回収された副生物1,3−プロパンジオールから固体副生物を除去することが必要であるという報告をもたらした(例えば米国特許第6,657,044号明細書参照)。米国特許第6,657,044号明細書には、1,3−プロパンジオールによるテレフタル酸またはジメチルテレフタレートのエステル化によってポリ(トリメチレンテレフタレート)を調製する方法であって、過剰の1,3−プロパンジオールをプロセスに再循環する前に精製することを特徴とする方法が教示されている。1,3−プロパンジオールストリームを沸騰させ、1,3−プロパンジオールを固体および半固体からなる高沸点副生物フラクションから分離する。固体副生物を蒸解するとともにテレフタル酸のエステルに転化する金属触媒の存在下で固体および半固体を加熱する。
【0008】
米国特許第6,245,879号明細書には、ポリ(トリメチレンテレフタレート)プロセスにおいて再使用するためにカルボニル含有1,3−プロパンジオールストリームを精製するための手順が開示されている。
【0009】
米国特許第6,703,478号明細書およびEP−B1245606号には、主たるジカルボン酸成分として芳香族ジカルボン酸と主たるグリコール成分としてエチレングリコール、1,3−プロパンジオールおよび1,4−ブタンジオールからなる群から選択された少なくとも1種のグリコールとを含む芳香族ポリエステルをエステル化反応またはエステル交換反応および重縮合反応を通して連続的に製造するプロセスであって、重縮合反応からの上のグリコールを含有する留出物を少なくともフラッシュ蒸留に供して、エステル化反応またはエステル交換反応に再循環する前に低沸点物質を除去することを特徴とする方法が開示されている。
【0010】
特に初期縮合段階において液体副生物1,3−プロパンジオールからの固体の沈殿による汚れの量を実質的に削減できることが連続ポリ(トリメチレンテレフタレート)重合プロセスに非常に有益であろう。更に、優れた品質のポリ(トリメチレンテレフタレート)製品を同時に得つつ、液体副生物1,3−プロパンジオールを最少の処理でプロセスに再循環できることが有益であろう。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、
(a)(i)高温でのジメチルテレフタレートと過剰の1,3−プロパンジオールのエステル交換反応または(ii)高温でのテレフタル酸と過剰の1,3−プロパンジオールの直接エステル化反応によって、1,3−トリメチレン反復単位とテレフタレート反復単位を含むとともに約1.9〜約3.5の重合度を有するポリ(トリメチレンテレフタレート)オリゴマーを連続的に製造する工程と、
(b)前記ポリ(トリメチレンテレフタレート)オリゴマーを連続的に初期縮合させて、少なくとも約0.23dl/gの固有粘度を有するポリ(トリメチレンテレフタレート)プレポリマーおよび揮発した副生物1,3−プロパンジオールを含む気体状副生物を生成する工程と、
(c)前記ポリ(トリメチレンテレフタレート)プレポリマーを連続的に重合させて、少なくとも約0.55dl/gの固有粘度を有するより高い分子量のポリ(トリメチレンテレフタレート)および揮発した副生物1,3−プロパンジオールを含む追加の気体状副生物を生成する工程と
を含むポリ(トリメチレンテレフタレート)を製造するための連続法であって、
(i)前記気体状副生物を少なくとも1つのスプレーコンデンサ内で凝縮させて、1,3−プロパンジオールと、トリメチレンテレフタレート環式ダイマと任意に(optionally)ポリ(トリメチレンテレフタレート)とを含む副生物固体とを含む凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールを形成し、その後、前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールを少なくとも1つのホットウェル内に集め、
(ii)前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオール中のトリメチレンテレフタレート環式ダイマおよびポリ(トリメチレンテレフタレート)の全量を前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの重量を基準にして少なくとも約0.2重量%上げ、
(iii)前記ホットウェルからの前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの一部を少なくとも1つの熱交換器内で冷却し、その後、少なくとも1つのスプレーコンデンサ内で噴霧して、前記気体状副生物を凝縮させ、
(iv)前記ホットウェルからの精製していない前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの一部を、温度が約150℃以上である1つ以上の場所でのエステル交換反応または直接エステル化反応にフィードバックする方法に関する。
【0012】
代案において、気体状副生物および追加の気体状副生物を少なくとも2つのスプレーコンデンサ内で凝縮させて、1,3−プロパンジオールと、トリメチレンテレフタレート環式ダイマを含む副生物固体とを含む凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールを形成し、その後、前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールを少なくとも1つのホットウェル内に集め、前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの一部を少なくとも2つの熱交換器内で冷却し、その後、少なくとも2つのスプレーコンデンサ内で噴霧して、前記気体状副生物および追加の気体状副生物を凝縮させ、更に、前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオール中のトリメチレンテレフタレート環式ダイマおよびポリ(トリメチレンテレフタレート)の全量を前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの重量を基準にして少なくとも約0.2重量%上げる。
【0013】
好ましい1つの実施形態において、前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールから1,3−プロパンジオールの一部を取り去って、前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオール中のトリメチレンテレフタレート環式ダイマおよびポリ(トリメチレンテレフタレート)の合計百分率を上げることにより、前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオール中のトリメチレンテレフタレート環式ダイマおよびポリ(トリメチレンテレフタレート)の全量を上げる。
【0014】
好ましいもう1つの実施形態において、ポリ(トリメチレンテレフタレート)およびトリメチレンテレフタレート環式ダイマのうちの少なくとも一方を前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールに添加することにより、前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオール中のトリメチレンテレフタレート環式ダイマおよびポリ(トリメチレンテレフタレート)の全量を上げる。
【0015】
第3のより好ましい代案において、気体状副生物を少なくとも1つのスプレーコンデンサ内で凝縮させて、1,3−プロパンジオールと、トリメチレンテレフタレート環式ダイマを含む副生物固体とを含む第1の凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールを形成し、その後、前記第1の凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールを少なくとも1つのホットウェル内に集め、前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの一部を少なくとも1つの熱交換器内で冷却し、その後、少なくとも1つのスプレーコンデンサ内で噴霧して、前記気体状副生物を凝縮させる。追加の気体状副生物を少なくとも1つのスプレーコンデンサ内で凝縮させて、1,3−プロパンジオールと、トリメチレンテレフタレート環式ダイマを含む副生物固体とを含む第2の凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールを形成し、その後、前記第2の凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールを少なくとも1つのホットウェル内に集め、前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの一部を少なくとも1つの熱交換器内で冷却し、その後、少なくとも1つのスプレーコンデンサ内で噴霧して、前記追加の気体状副生物を凝縮させる。前記第1の凝縮させた副生物1,3−プロパンジオール中のトリメチレンテレフタレート環式ダイマおよびポリ(トリメチレンテレフタレート)の全量を前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの重量を基準にして少なくとも約0.2重量%上げる。好ましくは、(a)前記第2の凝縮させた副生物1,3−プロパンジオール中のトリメチレンテレフタレート環式ダイマおよびポリ(トリメチレンテレフタレート)の全量は、前記第1の凝縮させた副生物1,3−プロパンジオール中のトリメチレンテレフタレート環式ダイマおよびポリ(トリメチレンテレフタレート)の全量より多く、(b)前記第2の凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの一部または全部を前記第1の凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールに添加することにより、前記第1の凝縮させた副生物1,3−プロパンジオール中のトリメチレンテレフタレート環式ダイマおよびポリ(トリメチレンテレフタレート)の全量を上げる。
【0016】
好ましい1つの実施形態において、本発明はジメチルテレフタレートと1,3−プロパンジオールのエステル交換反応の使用に関する。もう1つにおいて、本発明はテレフタル酸と1,3−プロパンジオールの直接エステル化反応に関する。
【0017】
好ましい1つの実施形態において、凝縮させた副生物1,3−プロパンジオール中のトリメチレンテレフタレート環式ダイマとポリ(トリメチレンテレフタレート)の全量を前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの重量を基準にして少なくとも約0.2〜約7重量%上げる。好ましいもう1つの実施形態において、凝縮させた副生物1,3−プロパンジオール中のトリメチレンテレフタレート環式ダイマとポリ(トリメチレンテレフタレート)の全量を前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの重量を基準にして少なくとも約0.3〜約5重量%上げる。好ましいなおもう1つの実施形態において、凝縮させた副生物1,3−プロパンジオール中のトリメチレンテレフタレート環式ダイマとポリ(トリメチレンテレフタレート)の全量を前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの重量を基準にして少なくとも約0.2〜約0.7重量%上げる。好ましい更なる実施形態において、凝縮させた副生物1,3−プロパンジオール中のトリメチレンテレフタレート環式ダイマとポリ(トリメチレンテレフタレート)の全量を前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの重量を基準にして少なくとも約0.5重量%上げる。
【0018】
好ましい1つの実施形態において、気体状副生物を少なくとも1つのスプレーコンデンサ内で凝縮させて、1,3−プロパンジオールと、トリメチレンテレフタレート環式ダイマを含む副生物固体とを含む凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールを形成し、その後、前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールを少なくとも1つのホットウェル内に集め、少なくとも1つの熱交換器内で冷却し、更に、前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオール中のトリメチレンテレフタレート環式ダイマおよびポリ(トリメチレンテレフタレート)の全量を前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの重量を基準にして約1.2重量%より多く、好ましくは約1.5重量%より多く維持する。
【0019】
凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールに接触しているパイプ、熱交換器壁およびスプレーノズル上の固体副生物の沈殿による汚れの程度は、前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオール中の固体の量を上げないことを除き同じプロセスで発生する程度より少ない。
【0020】
好ましくは、最終重合装置から取り出されるより高い分子量のポリ(トリメチレンテレフタレート)のハンターbカラーは約11.5未満である。
【0021】
最終重合装置から取り出されるポリ(トリメチレンテレフタレート)は、好ましくは少なくとも0.91dl/g、より好ましくは少なくとも約0.96dl/gの比粘度を有する。
【0022】
好ましくは、少なくとも1つのホットウェルに入る凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの温度は約50℃以下である。すなわち、好ましい1つの実施形態において、気体状副生物を少なくとも1つのスプレーコンデンサ内で凝縮させて、凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールを形成し、その後、少なくとも1つのホットウェルに入る前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの温度が約50℃以下であるような条件下で前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールを少なくとも1つのホットウェル内に集め、前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの一部を少なくとも1つの熱交換器内で冷却し、その後、少なくとも1つのスプレーコンデンサ内で噴霧して、揮発した副生物1,3−プロパンジオールを凝縮させる。好ましくは、少なくとも1つのホットウェルに入る前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールは約45℃以下である。少なくとも1つのホットウェルに入る前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールは、好ましくは少なくとも約30℃、より好ましくは少なくとも約35℃である。固体副生物の沈殿による前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールに接触しているパイプ、熱交換器壁およびスプレーノズル上の汚れの程度は、同じ少なくとも1つのホットウェルに入る前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの温度が少なくとも55℃、好ましくは約55℃であることを除き同じプロセスにより発生する程度より少ない。この比較を行う際に、1つのホットウェルを本発明の温度で運転する場合、比較はこれらの条件下で同じホットウェルを運転するシステムとであるべきであるのに対して、2つ以上のホットウェルを本発明により運転する場合、比較はこの温度で運転される同じホットウェルとであるべきである。
【0023】
好ましくは、追加の気体状副生物を少なくとも1つのスプレーコンデンサ内で凝縮させて、凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの少なくとも1つのストリームを形成し、その後、前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの少なくとも1つのストリームを少なくとも1つのホットウェル内に集め、少なくとも1つのホットウェルに入る前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの温度が約50℃以下であるような条件下で少なくとも1つの熱交換器内で冷却する。好ましくは、少なくとも1つのホットウェルに入る追加の気体状副生物からの前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールは約45℃以下である。少なくとも1つのホットウェルに入る追加の気体状副生物からの前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールは、好ましくは少なくとも約30℃、より好ましくは少なくとも約35℃である。
【0024】
好ましい実施形態において、精製していない凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの一部を、温度が約150℃以上である1つ以上の場所でのエステル交換反応または直接エステル化反応にフィードバックする。好ましくは、(i)気体状副生物を少なくとも1つのスプレーコンデンサ内で凝縮させて、前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの少なくとも1つのストリームを形成し、その後、前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの少なくとも1つのストリームを少なくとも1つのホットウェル内に集め、(ii)少なくとも1つのホットウェルに入る前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの温度は約50℃以下であり、(iii)前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの一部はホットウェルを出て、その後、少なくとも1つの熱交換器内で冷却され、その後、スプレーコンデンサの少なくとも1つの中で噴霧されて、気体状副生物を凝縮させ、そして(iv)精製していない前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの少なくとも75重量%を、温度が約150℃以上である1つ以上の場所でのエステル交換反応または直接エステル化反応にフィードバックする。好ましい1つの実施形態において、エステル交換反応または直接エステル化反応を1つ以上の反応容器内で行い、精製していない前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの少なくとも一部を1つ以上の反応容器の少なくとも1つに直接フィードバックする。
【0025】
好ましいもう1つの実施形態において、(i)エステル交換反応または直接エステル化反応は1つ以上の反応容器内で行われ、(ii)生成物メタノールまたは水およびキャリーオーバー1,3−プロパンジオールは1つ以上の反応容器から気相として除去され、(iii)気相は、カラムを用いて(A)水相またはメタノール相および(B)カラムまたは別個の受理容器の底に凝縮され、その後、1つ以上の反応容器に戻される回収された1,3−プロパンジオール相に分離され、(iv)精製していない凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールは、カラム、カラムの底にある受理容器、または回収された凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールを、カラムから温度が約150℃以上である地点である反応容器にフィードするパイプにフィードされ、好ましくは(i)気相または(ii)回収された1,3−プロパンジオール相にフィードされる。
【0026】
従って、本発明は、連続ポリ(トリメチレンテレフタレート)重合方法であって、特に初期縮合段階における液体副生物1,3−プロパンジオールからの固体の沈殿による汚れの量を実質的に削減する方法を提供する。好ましい実施形態によると、優れた品質のポリ(トリメチレンテレフタレート)生成物を同時に得て、かつ液体副生物1,3−プロパンジオールからの固体の沈殿による汚れの量を実質的に低減する一方で、再循環ストリームの精製なしに液体副生物1,3−プロパンジオールをプロセスに再循環することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本明細書で記載されたすべての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は全体的に本明細書に引用して援用する。別段に定めがない限り、本明細書で用いられるすべての技術用語および科学用語は、本発明が属する当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。不一致の場合、定義を含む本明細書が支配する。
【0028】
明示的に注記された場合を除き、商標は大文字で示している。
【0029】
本明細書で記載された方法および材料に似ているか、または同等の方法および材料を本発明の実施または試験で使用できるけれども、適する方法および材料は本明細書に記載する。
【0030】
別段に指定がない限り、すべての百分率、部、比などは重量基準である。
【0031】
量、濃度あるいは他の値またはパラメータが、範囲、好ましい範囲または好ましい上方値および好ましい下方値の一覧表のいずれかとして与えられる時、これは、範囲が別個に開示されるか否かに関係なく、あらゆる上方範囲限界または好ましい値とあらゆる下方範囲限界または好ましい値のあらゆる対から形成されたすべての範囲を特定的に開示していると理解されるべきである。数値の範囲を本明細書で挙げる場合、別段に指定がない限り、その範囲は、その終点およびその範囲内のすべての整数および端数を含むことを意図している。範囲を定める時に挙げられた特定の値に本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0032】
本明細書で用いる時、「comprises」、「comprising」、「includes」、「including」、「has」、「having」という用語またはそれらのあらゆる変形は、非排他的なinclusionを包含することを意図している。例えば、エレメントの一覧表を含むプロセス、方法、物品または装置はそれらのエレメントのみに必ずしも限定されずに、こうしたプロセス、方法、物品または装置に明示的に記載されていない他のエレメントも固有でない他のエレメントも含んでもよい。更に、そうでないと明示的に指定されない限り、「or」は、非排他的な「or」を意味し、排他的な「or」を意味しない。例えば、条件A or Bは、以下のいずれか1つによって満足される。Aが真(または存在する)およびBが偽(または存在しない)、Aが偽(または存在しない)およびBが真(または存在する)およびAとBの両方が真(または存在する)。
【0033】
「a」または「an」の使用は、本発明のエレメントおよび成分を記載するために用いられる。これは、便宜上のみおよび本発明の一般的感覚を与えるためにのみ行われる。この記載は、1つまたは少なくとも1つを含むように読むべきであり、単数が別段に意図されていることが明らかでない限り、単数は複数も含む。
【0034】
本明細書の材料、方法および実施例は例示のみであり、明細に述べられた場合を除き、限定である意図はない。
【0035】
本発明のプロセスは、ポリ(トリメチレンテレフタレート)の製造のために改善された連続プロセスである。本プロセスは、(a)1,3−トリメチレン反復単位とテレフタレート反復単位とを含み、約1.9〜約3.5の重合度を有するポリ(トリメチレンテレフタレート)オリゴマーを連続的に製造する工程と、(b)オリゴマーを連続的に初期縮合させて、ポリ(トリメチレンテレフタレート)プレポリマーを形成する工程と、(c)ポリ(トリメチレンテレフタレート)プレポリマーを連続的に重合させて、少なくとも約0.55dl/gの固有粘度を有するより高い分子量のポリ(トリメチレンテレフタレート)を形成する工程とを含む。
【0036】
初期縮合のためのフィード材料は、ジメチルテレフタレートと1,3−プロパンジオールからのエステル交換またはテレフタル酸と1,3−プロパンジオールからの直接エステル化のいずれかによって製造してもよい。両方のプロセスは、ビス−3−ヒドロキシプロピルテレフタレート(「モノマー」と呼ばれる)および1.9〜〜約3.5の平均重合度を有する、1,3−プロパンジオールとテレフタル酸の低分子量ポリエステル(「ポリ(トリメチレンテレフタレート)オリゴマー」と呼ばれる)をもたらす。
【0037】
テレフタル酸と1,3−プロパンジオールの直接エステル化のために好ましいプロセスは米国特許第6,887,953号明細書に記載されている。一般に、直接エステル化またはエステル交換は約235℃〜約255℃の温度で行われる。
【0038】
直接エステル化またはエステル交換のための他のプロセスは、例えば、米国特許第6,277,947号明細書、米国特許第6,326,456号明細書および米国特許第6,353,062号明細書に記載されたように知られている。直接エステル化またはエステル交換は、1つの容器または直列の多容器(例えば2または3)を用いるような1つ以上の工程(または容器)内で行うことが可能である。2工程エステル化プロセスにおいて、副生物1,3−プロパンジオールを1方の工程または両方の工程に添加することが可能であるが、好ましくは第1の工程に添加される。
【0039】
エステル化またはエステル交換のためのフィード材料は、1,3−プロパンジオールおよび二酸または二エステル(例えばテレフタル酸またはジメチルテレフタレート)の全モル数を基準にして約0.01〜約0.2モル%の、米国特許出願公開第2006−013573A1号明細書に記載されたような3つ以上のカルボン酸型基またはヒドロキシ基を含む多官能性反応物を含有することが可能である。多官能性反復単位は同じかまたは異なる量で存在することが可能であり、各成分が同じかまたは異なってもよい。
【0040】
存在する場合、多官能性反応物は、好ましくは、少なくとも3個のカルボキシル基を有するポリカルボン酸および少なくとも3個のヒドロキシル基を有するポリオール、またはそれらの混合物からなる群から選択される。多官能性反応物は、好ましくは3〜4個のカルボキシル基、より好ましくは3個のカルボキシル基を有するポリカルボン酸である。多官能性反応物は、3〜4個のヒドロキシル基、より好ましくは3個のヒドロキシル基を有するポリオールである。1つの実施形態において、多官能性反応物は、トリメシン酸、ピロメリット酸、二無水ピロメリット酸、ベンゾフェノン無水テトラカルボン酸、無水トリメリット酸、無水ベンゼンテトラカルボン酸、ヘミメリト酸、トリメリット酸、1,1,2,2−エタンテトラカルボン酸、1,2,2−エタントリカルボン酸、1,3,5−ペンタントリカルボン酸、1,2,3,4−シクロペンタンカルボン酸およびそれらの混合物からなる群から選択されたポリカルボン酸を含む。もう1つの実施形態において、多官能性反応物は、グリセリン、ペンタエリトリトール、2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパンおよびそれらの混合物からなる群から選択されたポリオールを含む。最も好ましくは、多官能性反応物はトリメシン酸を含む。
【0041】
三官能性コモノマー、例えばトリメリット酸も粘度制御のために導入することが可能である。
【0042】
上述したモノマー/オリゴマー混合物をテレフタル酸からの直接エステル化またはジメチルテレフタレートからのエステル交換によって製造するかどうかを問わず、エステル化反応またはエステル交換反応の前に触媒を添加する。エステル交換プロセスにおいて有用な触媒には、チタン、ランタンおよび亜鉛の有機化合物および無機化合物が挙げられる。テトライソプロピルチタネートおよびテトラn−ブチルチタネートなどのチタン触媒は好ましく、最終モノマーの重量を基準にして好ましくは約20〜約200重量ppm、最も好ましくは約50〜約150重量ppmのチタンをもたらすのに十分な量で1,3−プロパンジオールに添加される。これらのレベルは、エステル交換反応において比較的低いレベル(エステル交換からの出口ストリームの全重量を基準にして5重量%未満)の未反応ジメチルテレフタレートをもたらし、初期縮合工程および重縮合工程で合理的な反応速度を与える。
【0043】
直接エステル化プロセスにおいて有用な触媒には、有機チタン化合物および有機錫化合物が挙げられ、それらは、最終ポリマーを基準にして、それぞれ少なくとも約20重量ppmのチタンまたは少なくとも約50重量ppmの錫をもたらすのに十分な量で1,3−プロパンジオールに添加される。
【0044】
追加の触媒は、エステル交換反応または直接エステル化反応の後で且つ初期縮合の前にモノマー/オリゴマー混合物に添加してもよい。
【0045】
モノマー/オリゴマー混合物がテレフタル酸からの直接エステル化またはジメチルテレフタレートからのエステル交換によって製造されるかどうかを問わず、重合度は、好ましくは約1.9〜約3.5である。
【0046】
本発明の好ましい実施形態において、モノマー/オリゴマー混合物は、ポンプを備えた温度制御フィードラインによってエステル交換反応段階または直接エステル化反応段階から初期縮合段階にポンプで送られる。フィードラインにおいて、モノマー/オリゴマー混合物は約215℃〜約250℃の温度で維持される。
【0047】
初期縮合は、1つの容器または直列の多容器(例えば2または3)を用いるような1つ以上の工程(容器)を用いて行うことが可能である。本発明を行うために修正され得る適するプロセスの例は、米国特許第6,277,947号明細書、米国特許第6,326,456号明細書、米国特許第6,353,062号明細書、米国特許第6,538,076号明細書、米国特許出願公開第2003−0220465A1号明細書および米国特許出願公開第2005−0165178A1号明細書に記載されている。
【0048】
初期縮合からの揮発した副生物1,3−プロパンジオールおよび他のあらゆる揮発性副生物は、気体状副生物のストリームとして真空源に接続された蒸気ラインを通して除去され、その後、凝縮させる。
【0049】
初期縮合からの副生物1,3−プロパンジオール蒸気は、典型的には、アクロレインおよびアリルアルコールなどの他の反応副生物を含有する。アクロレインおよびアリルアルコールなどの副生物の産出が最少化されることが望ましい。これらの化合物の両方が非常に毒性であるとともに目および粘膜に刺激を引き起こすからである。
【0050】
固有粘度は分子量の指標である。本明細書で議論される時にしばしば「IV」と呼ばれる固有粘度は、19℃で50/50重量%TFA/CH2Cl2中に0.4%(wt/vol)の濃度で溶解させたポリマーのIVを測定するためにVISCOTEK FORCED FLOW VISCOMETER MODEL Y−900を用いて50重量%のトリフルオロ酢酸、50重量%ジクロロメタン(「TFA/CH2Cl2」)からなる溶媒中で決定される。初期重合からのポリ(トリメチレンテレフタレート)プレポリマーは、少なくとも約0.23dl/g、好ましくは約0.35dl/g以下、より好ましくは約0.25〜約0.30dl/gの固有粘度を好ましくは有する。
【0051】
プレポリマー製品は最終重合段階または重縮合段階にフィードされる。重縮合の主たる目的は、ポリマーの分子鎖長または粘度を上げることである。これは、熱、攪拌、真空および触媒を用いることにより実行される。紡糸運転または他の成形運転の前に更なる処理、例えば固相重合を回避できるように最終ポリマーの分子量が最大化されることが望ましい。
【0052】
重縮合は、1つの容器または直列の多容器(例えば2または3)を用いるような1つ以上の工程(容器)を用いて行うことが可能である。本発明を行うために修正され得る適するプロセスの例は、米国特許第6,277,947号明細書、米国特許第6,326,456号明細書、米国特許第6,353,062号明細書、米国特許第6,538,076号明細書、米国特許出願公開第2003−0220465A1号明細書および米国特許出願公開第2005−0165178A1号明細書に記載されている。重縮合段階における液体反応物の温度は、好ましくは約245℃〜約265℃、より好ましくは約255℃〜約265℃で維持される。圧力は、約0.5〜約3.0mmHg(66〜399Pa)で維持される。最終ポリマーの粘度は、重縮合圧力または他の変数を調節することにより制御してもよい。重縮合段階の滞留時間またはホールドアップ時間は、典型的には約1〜約3時間である。重縮合後のより高い分子量のポリ(トリメチレンテレフタレート)の固有粘度は、少なくとも約0.55、好ましくは少なくとも約0.85、より好ましくは少なくとも約0.91、より好ましくは少なくとも約0.96、最も好ましくは少なくとも約1.0dl/gである。固有粘度は約1.2dl/g以上ほどに高いことが可能であり、典型的には、所望の末端用途に応じて約1.15以下または約1.05dl/gである。
【0053】
1,3−プロパンジオールおよび他の気体状副生物は気体状副生物のストリームとして重縮合中に生成し、その後、凝縮させる。1,3−プロパンジオール蒸気を凝縮させる1つの方法は、初期縮合からの1,3−プロパンジオール蒸気を凝縮させるために上で記載されたスプレーコンデンサに似たスプレーコンデンサによってである。重縮合中に生成した凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールのストリームをホットウェル内に集める。
【0054】
本発明の好ましい実施形態によると、ホットウェル内の凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールのストリームの少なくとも1部、好ましくは副生物1,3−プロパンジオールの少なくとも約75重量%(および100重量%まで)は、温度が約150℃より高い場所での精製のないエステル交換反応または直接エステル化反応にフィードバックしてもよい。「精製のない」という言葉は化学的処理も物理的分離も存在しないことを意味する。例えば、凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールに関して蒸留も固体除去も揮発分除去も存在しないことを意味する。
【0055】
「エステル交換反応または直接エステル化反応にフィードバックする」という言葉は、凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールを(a)反応容器に直接フィードする、(b)凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールをエステル化装置から出てくる気相にフィードする(すなわち、1,3−プロパンジオールから、または塔の底から水またはメタノールを分離するために用いられる塔に)、または(c)反応容器に塔から出る材料をフィードするラインなどの、エステル化またはエステル交換のために用いられる塔および反応容器に接続するあらゆるラインまたは小さい受理容器に、凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールをフィードすることを意味する。凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールを原材料(例えば、新鮮な1,3−プロパンジオール)または第1の反応器に入る原材料のペーストにフィードすることは明確に除かれる。
【0056】
従って、本発明のこの実施形態によると、気体状副生物および追加の気体状副生物を少なくとも2つのスプレーコンデンサ内で凝縮させて(少なくとも1つは初期縮合段階のためのコンデンサであり、少なくとも1つは重縮合段階のためのコンデンサである)、凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの少なくとも2つのストリームを形成し、その後、それらを少なくとも1つのホットウェル内に集める。好ましくは、少なくとも1つのホットウェルは初期縮合段階のために用いられ、少なくとも1つのホットウェルは重縮合段階のために用いられる。しかし、初期縮合段階からの凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールおよび重縮合段階からの凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールのストリームを凝縮後に組み合わせることが可能であり、単一ホットウェル内に集めることが可能である。初期縮合段階からの凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの少なくとも一部をエステル交換反応または直接エステル化反応にフィードバックする。重縮合段階からの凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの少なくとも一部も直接、または初期縮合段階からの凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールと組み合わせた後にエステル交換反応または直接エステル化反応にフィードバックしてよい。
【0057】
最終ポリマーをペレット化してもよいか、または紡糸運転、フィルム形成運転または成形運転などの形成運転に直接フィードしてもよい。本発明のプロセスによって製造されたポリ(トリメチレンテレフタレート)から製造された繊維は、カーペットまたは服飾品の製造を含む種々の織物用途において繊維を有用にする特性を有する。
【0058】
種々の添加剤も本発明のプロセスにおいて用いてよい。これらは、燐酸などの色抑制剤、二酸化チタンなどの艶消剤、可染性調整剤、顔料および白色体質顔料を含んでもよい。別個のエステル交換触媒および重合触媒を用いる場合、燐酸または他の色抑制剤を添加して、エステル交換触媒の発色特性を最少化してもよいか、または妨げてもよい。本発明のプロセスの1つの利点は、燐酸、有機亜燐酸塩、フェノール、アミンなどの色抑制剤または安定剤、およびアクロレインおよびアリルアルコールを還元するため、またはポリマーの色を改善するために用いられるものなどの白色体質顔料を用いることが一般に必要ではないことである。
【0059】
米国特許第6,657,044号明細書および米国特許第6,245,879号明細書で指摘されたように、凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールのストリームは、アクロレインなどの少量のカルボニル化合物および以後「固体副生物」と集合的に記載される少量の固体副生物と半固体副生物を一般に含有する。固体副生物は、トリメチレンテレフタレート環式ダイマとポリ(トリメチレンテレフタレート)オリゴマーとを含むとして特徴付けられてきた。更に、本プロセスのための出発材料がジメチルテレフタレートを含む場合、少量のジメチルテレフタレートさえも回収された1,3−プロパンジオール中に見られる場合がある。
【0060】
米国特許第6,657,044号明細書および米国特許第6,245,879号明細書は、凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールを再循環する時に高品質のポリ(トリメチレンテレフタレート)を得るために、凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールを精製して、カルボニル化合物および固体副生物を除去することが必要であることを更に示している。しかし、本発明のプロセスの好ましい実施形態が、凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールを精製せずにエステル化反応またはエステル交換反応に再循環することを可能にし、繊維用途、フィルム用途および成形用途などの従来の末端使用用途において用いるために適する品質を有するポリ(トリメチレンテレフタレート)をなお製造することが今見出された。実際、精製せずに本発明のプロセスからの再循環1,3−プロパンジオールを用いて調製されたポリ(トリメチレンテレフタレート)製品の粘度と色特性の両方が、同じ方法であるが1,3−プロパンジオールを再循環しないで調製された製品と本質的に同じであることが見出された。
【0061】
米国特許第6,538,076号明細書および米国特許第6,353,062号明細書で開示されたプロセスによるポリ(トリメチレンテレフタレート)の調製のための連続プロセスの長期運転中に、固体副生物の多少の沈殿が起きる場合があることが見出された。これらの沈殿物が、凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールに接触しているパイプ、熱交換器壁およびスプレーノズルなどの上に経時的に蓄積するので、沈殿物は汚れを引き起こす場合があり、それは、より低い流速および後続の真空ロスを伴った起きうる有害なスプレーコンデンサの運転をもたらす。この問題は初期縮合のプロセス段階において最も著しい。結果は、シャットダウンして沈殿した固体を除去する必要性によるダウンタイムの増加である。
【0062】
本発明のプロセスは、副生物固体の有害な沈殿を最少化するか、または排除するための方法を提供し、並びに副生物固体の有害な沈殿を最少化するか、または排除する好ましい実施形態を提供する。
【0063】
本発明によれば、驚くべきことに、凝縮させた副生物1,3−プロパンジオール中の副生物固体レベル、特にトリメチレンテレフタレート環式ダイマおよびポリ(トリメチレンテレフタレート)の量が上昇し、凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの重量を基準にして好ましくは1〜約10重量%のレベルで維持される場合、冷却している熱交換器中のおよびそのダウンストリームの汚れが最少化されることが見出された。この方法は初期縮合工程において汚れを最少化するのに特に有効である。用いられるべきトリメチレンテレフタレート環式ダイマおよびポリ(トリメチレンテレフタレート)の特定の量は、出発材料およびプロセス条件に応じて異なる。例えば、ジメチルテレフタレート(「DMT」)の存在は汚れを増加させ、より高いレベルのトリメチレンテレフタレート環式ダイマおよびポリ(トリメチレンテレフタレート)は、DMTを用いる時に必要であると思われる。DMTは、好ましくは約0.3重量%以下、より好ましくは約0.2重量%以下、最も好ましくは約0.1重量%以下、最も好ましくは0重量%(例えば、テレフタル酸を用いる時)のレベルで初期縮合段階(好ましくは重縮合段階からも)からの凝縮させた副生物1,3−プロパンジオール中に存在する。典型的には、凝縮させた副生物1,3−プロパンジオール中のトリメチレンテレフタレート環式ダイマおよびポリ(トリメチレンテレフタレート)の好ましい全量は、凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの重量を基準にして上昇されて少なくとも約0.2〜約7重量%である。幾つかの状況下で、少なくとも約0.3重量%、少なくとも約0.5重量%、および少なくとも約0.7重量%または少なくとも1重量%などのさらにより多い量は好ましいかもしれない。更に、約6重量%以下、約5重量%以下、約3重量%以下、約2重量%以下および1.5重量%以下のように全量をより少なく上昇させることは好ましいかもしれない。
【0064】
本方法を実施する1つの手段は、(一般に最高レベルの固体を含有する)重縮合ホットウェルからの好ましくは高い固体を含有する凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールを初期縮合ホットウェルに戻して(最後の初期縮合ホットウェルから第1の初期縮合ホットウェルに連続的に)、初期縮合ホットウェル内の固体レベルを上げることが可能である。この点で、重縮合段階からの凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの割合的に少ない量を初期縮合段階からの凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールに添加できるように、気体状副生物1,3−プロパンジオールの約10〜約30倍が重縮合中より初期縮合中に製造されることが注目されるべきである。これは、プロセス中の直接添加を経由することが可能であるか、または重縮合からの凝縮させた副生物の一部または全部を貯蔵し、任意に使用の前にそれを処理することによることが可能である。第2のアプローチは、好ましくは、凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールとトリメチレンテレフタレート環式ダイマの再循環する混合物から1,3−プロパンジオールの一部を濾過し、1,3−プロパンジオールの一部を回収して、得られた再循環する1,3−プロパンジオールの固体含有率を上げることを含む。第3の手段は、細かく粉砕されたポリ(トリメチレンテレフタレート)および/またはトリメチレンテレフタレート環式ダイマを再循環する凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールに添加する。
【0065】
好ましい実施形態において、驚くべきことに、より高い温度での固体の一般により高い溶解度にもかかわらず、凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールをホットウェル内に集め、ホットウェルに入る凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの温度が約50℃以下、好ましくは35〜45℃であるような条件下で熱交換器内で冷却する場合、このプロセスの沈殿および汚れは最少化されることが見出された。これは、このプロセス改善を用いる時、より低い汚れ速度のゆえに運転寿命を数ヶ月だけ延ばすことが可能であることが示された運転において確認された。
【実施例】
【0066】
以下の実施例は本発明を例示する目的で提示し、限定であることを意図していない。すべての部、百分率などは、特に指示がない限り重量による。
【0067】
ポリマーのL、aおよびbカラーの測定は、DP−9000システムを有するHUNTER−LAB LABSCAN XEを用いて行った。DP−9000は、可視スペクトルにわたって反射率値の積分を行って、刊行物CIE15.2およびASTM方法E308で概説されたCIE三刺激X値、Y値、Z値に到達する。三刺激X値、Y値、Z値を用いてハンターL値、a値およびb値を計算する。
【0068】
実施例1〜8および比較例1〜2の手順
実施例1〜8および比較例1〜2は、1,3−プロパンジオールを再循環させる際の重合副生物、主としてトリメチレンテレフタレート環式ダイマの沈殿の量を決定することに関連していた。これらの実施例のために用いた装置を以下に記載する。
【0069】
装置は図1で例示した温度制御循環浴であった。浴1は、1重量%のトリメチレンテレフタレート環式ダイマと混合された約3.5リットルの1,3−プロパンジオールを含有していた。実施例7および8ならびに比較例2の場合、循環浴の出口は、水冷熱交換器の内径0.25インチの直通ガラスチューブ2に結合されていた。第2の循環浴6からの冷水をガラスチューブの外側に沿ってジャケット3に通した。1,3−プロパンジオールとトリメチレンテレフタレート環式ダイマの加熱された混合物を約550cc/分の初期流速で内側ガラスチューブ2を通して循環させた。熱電対4および5をガラスチューブのそれぞれ入口および出口で取り付けた。24時間の連続運転後、内側ガラスチューブを除去し、水でリンスした。リンス後、白色沈殿物の層が内側ガラスチューブの内側に付着していた。
【0070】
運転において、入口と出口の1,3−プロパンジオール/トリメチレンテレフタレート環式ダイマ混合物の温度を監視した。沈殿および汚れが制限流れの点に発生するにつれて、流れの徐々の減少は増加した冷却またはより低い出口温度をもたらした。結果として、試験の初めと終わりとの間の出口温度の差を沈殿の量の目安として採用した。
【0071】
実施例1〜6および比較例1の場合、循環浴の出口は、長さ9.38インチ×内径1インチのガラスチューブ3の内側に挿入された長さ12.5インチ×内径5/32インチのガラスチューブ2に結合されていた。1,3−プロパンジオールとトリメチレンテレフタレート環式ダイマの加熱された混合物を約340cc/分で内側ガラスチューブ2を通して循環させ、第2の循環浴6からの冷水を外側ガラスチューブ3に通した。
【0072】
実施例1〜2および比較例1
これらの実施例は、本発明の好ましい実施形態のようにトリメチレンテレフタレート環式ダイマおよびポリ(トリメチレンテレフタレート)の固体レベルを増加させることの沈殿および汚れに及ぼす影響を例示している。実施例7および8で用いた0.25インチの出口チューブの代わりに5/32インチの出口チューブを用いる装置によりこれらの実施例を行った。これは、実施例3、4、5および6のために用いたのと同じ装置である。
【0073】
これらの実施例のすべてにおいて、低いレベルのジメチルテレフタレート(DMT)を1,3−プロパンジオール混合物中に含めて、ポリ(トリメチレンテレフタレート)の調製ための出発材料としてジメチルテレフタレートを用いる状況を模擬した。これらの実施例で用いたポリ(トリメチレンテレフタレート)は1.02dl/gの固有粘度を有し、凍結粉砕し、実施例2において80メッシュより上に、実施例1において60メッシュと80メッシュの間にスクリーン濾過した。
【0074】
結果を表1に示している。
【0075】
表1

【0076】
実施例1および2は、固体レベルを増加させることにより、すなわち、1重量%のポリ(トリメチレンテレフタレート)の添加によって循環1,3−プロパンジオール中のトリメチレンテレフタレート環式ダイマおよびポリ(トリメチレンテレフタレート)のレベルを増加させることにより、出口温度低下(すなわち、沈殿および汚れが発生する時、制限された流れが増加した冷却またはより大きな出口温度低下を引き起こす)によって測定される沈殿/汚れのレベルを減らすことが可能であったことを実証している。実施例2において、比較例1に関して24時間のみに比べて再循環を65時間にわたり行ったが、これにも関わらず、より低い汚れレベルをもたらしたことに注意されたい。実施例1の場合、再循環を90時間にわたり行い、24時間後に比較例1で観察されたのとおよそ同じ沈殿レベルをもたらした。
【0077】
実施例3〜6
実施例7および8で用いた0.25インチの出口チューブの代わりに5/32インチの出口チューブを用いる装置により、これらの実施例を行った。従って、流れ制限に及ぼす汚れの影響が実施例7および8よりこれらの実施例で大きいことが予想された。結果を表2に示している。
【0078】
表2

【0079】
これらの実施例のより小さい直径のチューブの影響(直径0.25インチのチューブと表3の実施例と比較して)は観察された出口温度低下を多少増加させた。
【0080】
データは、トリメチレンテレフタレート環式ダイマの含有率を増加させることにより、汚れが減少したことを示している。これは温度低下から分かる。
【0081】
データは約50℃以下の温度の使用の利点も示している。実施例3の結果と実施例4および6の結果の比較は、循環温度が約50℃未満であった時、温度低下から明らかなように温度が約50℃であったより沈殿/汚れの量が少ないことを示している。
【0082】
比較例1との実施例3の比較は、少量のジメチルテレフタレートの添加が汚れを促進することを示している。従って、ジメチルテレフタレートの存在なし(実施例3)で許容できた50℃の入口温度は、ジメチルテレフタレートの存在下(比較例1)でより許容できず、ジメチルテレフタレートが存在する時、より低い入口温度またはより高い固体レベル、すなわち、トリメチレンテレフタレート環式ダイマおよびポリ(トリメチレンテレフタレート)のレベルが維持されるべきである。
【0083】
実施例7〜8および比較例2
比較例2において55.2℃、そして実施例7〜8においてそれぞれ45.3および39.7℃の入口温度で内径0.25インチのガラスチューブを通して1,3−プロパンジオールとトリメチレンテレフタレート環式ダイマの混合物を循環させ、よって約50℃以下の入口温度を用いる本発明の好ましい実施形態を記載している。結果を表3に示している。
【0084】
表3

【0085】
熱交換器に入る循環温度が50℃より高い比較例において、24時間後の増加した冷却、すなわち、より低い出口温度から明らかなように沈殿および汚れは制限流れの点に発生した。それに反して、循環温度が約50℃より低かった実施例7〜8において、出口温度の低下は本質的になかった。それは、汚れなし、または最少の汚れを示唆している。これは、凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールを約50℃以下の温度で循環させることを維持すると、トリメチレンテレフタレート環式ダイマの沈殿によって引き起こされる汚れの量を最少化することを示唆している。
【0086】
実施例9
この実施例は、本発明の好ましい実施形態の有利点を実証しており、凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールおよび他の副生物を精製せずにエステル化反応に再循環して戻す連続プロセスにおける高品質のポリ(トリメチレンテレフタレート)の調製を示す。
【0087】
米国特許第3,927,982号明細書に記載されたように設計された自己循環エステル化装置を約245℃および4〜5psig(129〜136kPa)の間のプロセス圧力で運転した。新鮮な1,3−プロパンジオールをフィードしてペーストを作った容量500lb(227kg)のフィードタンクに新鮮な1,3−プロパンジオールを連続的に装填した。約1.5のモル比(35.5kg/hのテレフタル酸および24.4kg/hの1,3−プロパンジオール)での新鮮な1,3−プロパンジオールとテレフタル酸および(最終ポリマーを基準にして)33ppmレベルのTiでのTYZOR(登録商標)TPT触媒を含有するペーストを44.1kg/hr(97lb/hr)のポリマー製造速度でエステル化装置に連続的に注入した。水および他の副生物を1,3−プロパンジオールから分離する蒸留塔に水および1,3−プロパンジオール蒸気を連続的に抽出した。蒸留塔から凝縮させた1,3−プロパンジオールを165℃以上の温度で維持された加熱されたエステル化装置の縮合物レシーバに集めた。米国特許第6,887,953号明細書に記載されたように、レシーバ中の1,3−プロパンジオールをエステル化装置に戻して、約3.0のオリゴマーの重合度を維持した。過剰の1,3−プロパンジオールを新鮮な1,3−プロパンジオールと混合し、その後、フィードしてペーストを作る1,3−プロパンジオールフィードタンクに、約3.0の重合度を維持する必要があった上のレシーバ中の過剰の1,3−プロパンジオールを再循環して戻した。エステル化装置からのオリゴマーを連続的に取り出し、1,3−プロパンジオール中の(最終ポリマーを基準にして、およびTYZOR(登録商標)TPT触媒の形をとった)追加の33ppmのTiおよび34.5mL/分の20重量%TiO2をオリゴマーに注入した後に、オリゴマーを2つの初期縮合容器(直列)および重縮合容器に通した。米国特許第6,538,076号明細書に記載された方法に従ってオリゴマーの処理を実行して、0.90〜0.94dl/gの間の固有粘度(IV)を有するポリ(トリメチレンテレフタレート)を製造した。
【0088】
1,3−プロパンジオール(約8.1kg/h)および他の副生物を連続的に揮発させ、初期縮合容器および重縮合容器から除去した。2つの初期縮合容器からの蒸気をスプレーコンデンサ内で凝縮させ、初期縮合ホットウェル内に集めた。重縮合容器からの蒸気を凝縮させ、隣接した重縮合ホットウェル内に集めた。主として1,3−プロパンジオールを含んでいた液体を初期縮合ホットウェルから重縮合ホットウェルに溢れ出させた。重縮合ホットウェル内の固体(トリメチレンテレフタレート環式ダイマおよびポリ(トリメチレンテレフタレート))は0.80〜2.0重量%の間のレベルで測定された。
【0089】
安定なポリマー製造を確立した後、重縮合ホットウェルからの1,3−プロパンジオールを加熱されたエステル化装置縮合物レシーバに100mL/分(約6.3kg/h)の速度で再循環した。この速度は約77.5%の再循環率に対応する。この再循環方式を6日にわたり維持した。加熱されたエステル化装置縮合物レシーバ内の液体はデモンストレーション全体にわたって透明なままであった。それは、凝縮させた副生物1,3−プロパンジオール中の一切の固体が溶解できたことを示している。
【0090】
ペーストを作るために新鮮な1,3−プロパンジオールのみを用いて、ポリマーのLおよびbのカラーをそれぞれ約83.2および6.5であると測定した。再循環を始めた後、ポリマーのLおよびbのカラーは、それぞれ82.1と7.1に若干のみ変化した。かくして、この方式での初期縮合ホットウェルおよびフィニッシャーホットウェルからの1,3−プロパンジオールの直接再循環は、1,3−プロパンジオールを再循環するための有効な方法を提供して、再循環1,3−プロパンジオールの精製も追加の取扱いも文献で推奨された添加剤もなしに高品質ポリマーを製造した。
【0091】
本発明の実施形態の前述した開示を例示および説明の目的で提示してきた。網羅的であることも、開示された厳密な形に本発明を限定することも意図されていない。本明細書で記載された実施形態の多くの変形および修正は、開示に照らして当業者に対して明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明のプロセス中の固体副生物の沈殿の程度を評価するために用いられる装置の概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(i)高温でのジメチルテレフタレートと過剰の1,3−プロパンジオールのエステル交換反応または(ii)高温でのテレフタル酸と過剰の1,3−プロパンジオールの直接エステル化反応によって、1,3−トリメチレン反復単位とテレフタレート反復単位を含むとともに約1.9〜約3.5の重合度を有するポリ(トリメチレンテレフタレート)オリゴマーを連続的に製造する工程と、
(b)前記ポリ(トリメチレンテレフタレート)オリゴマーを連続的に初期縮合させて、少なくとも約0.23dl/gの固有粘度を有するポリ(トリメチレンテレフタレート)プレポリマーおよび揮発した副生物1,3−プロパンジオールを含む気体状副生物を生成する工程と、
(c)前記ポリ(トリメチレンテレフタレート)プレポリマーを連続的に重合させて、少なくとも約0.55dl/gの固有粘度を有するより高い分子量のポリ(トリメチレンテレフタレート)および揮発した副生物1,3−プロパンジオールを含む追加の気体状副生物を生成する工程と
を含むポリ(トリメチレンテレフタレート)を製造するための連続法であって、
(i)前記気体状副生物を少なくとも1つのスプレーコンデンサ内で凝縮させて、1,3−プロパンジオールと、トリメチレンテレフタレート環式ダイマと任意にポリ(トリメチレンテレフタレート)とを含む副生物固体とを含む凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールを形成し、その後、前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールを少なくとも1つのホットウェル内に集め、
(ii)前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオール中のトリメチレンテレフタレート環式ダイマおよびポリ(トリメチレンテレフタレート)の全量を、前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの重量を基準にして少なくとも約0.2重量%上げ、
(iii)前記ホットウェルからの前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの一部を少なくとも1つの熱交換器内で冷却し、その後、少なくとも1つのスプレーコンデンサ内で噴霧して、前記気体状副生物を凝縮させ、
(iv)前記ホットウェルからの精製していない前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの一部を、温度が約150℃以上である1つ以上の場所でのエステル交換反応または直接エステル化反応にフィードバックする方法。
【請求項2】
前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールから1,3−プロパンジオールの一部を取り去って、前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオール中のトリメチレンテレフタレート環式ダイマおよびポリ(トリメチレンテレフタレート)の全百分率を上げることにより前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオール中のトリメチレンテレフタレート環式ダイマおよびポリ(トリメチレンテレフタレート)の全量を上げる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)およびトリメチレンテレフタレート環式ダイマのうちの少なくとも一方を前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールに添加することにより、前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオール中のトリメチレンテレフタレート環式ダイマおよびポリ(トリメチレンテレフタレート)の全量を上げる、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのホットウェルに入る前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの温度が約50℃以下である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
より高い分子量のポリ(トリメチレンテレフタレート)が少なくとも約0.91dl/gの比粘度を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記気体状副生物および前記追加の気体状副生物を少なくとも2つのスプレーコンデンサ内で凝縮させて、1,3−プロパンジオールと、トリメチレンテレフタレート環式ダイマを含む副生物固体とを含む凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールを形成し、その後、前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールを少なくとも1つのホットウェル内に集め、前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの一部を少なくとも2つの熱交換器内で冷却し、その後、前記少なくとも2つのスプレーコンデンサ内で噴霧して、前記気体状副生物および前記追加の気体状副生物を凝縮させる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記追加の気体状副生物を少なくとも1つのスプレーコンデンサ内で凝縮させて、1,3−プロパンジオールと、トリメチレンテレフタレート環式ダイマを含む副生物固体とを含む第2の凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールを形成し、その後、前記第2の凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールを少なくとも1つのホットウェル内に集め、前記凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの一部を少なくとも1つの熱交換器内で冷却し、その後、少なくとも1つのスプレーコンデンサ内で噴霧し、前記第2の凝縮させた副生物1,3−プロパンジオール中のトリメチレンテレフタレート環式ダイマおよびポリ(トリメチレンテレフタレート)の全量が、第1の凝縮させた副生物1,3−プロパンジオール中のトリメチレンテレフタレート環式ダイマおよびポリ(トリメチレンテレフタレート)の全量よりも多く、前記第2の凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールの一部または全部を前記第1の凝縮させた副生物1,3−プロパンジオールに添加することにより前記第1の凝縮させた副生物1,3−プロパンジオール中のトリメチレンテレフタレート環式ダイマおよびポリ(トリメチレンテレフタレート)の全量を上げる、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
直接エステル化反応を工程(a)で用いる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
エステル交換反応を工程(a)で用いる、請求項1〜7のいずれか1項に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2009−521577(P2009−521577A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547597(P2008−547597)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/048980
【国際公開番号】WO2007/075991
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】