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ポリ(トリメチレンテレフタレート)ステープルファイバの製造方法、およびポリ(トリメチレンテレフタレート)ステープルファイバ、糸および布
説明

ポリ(トリメチレンテレフタレート)ステープルファイバの製造方法、およびポリ(トリメチレンテレフタレート)ステープルファイバ、糸および布

【課題】 織物用途に適した3GTステープルファイバを製造する方法を提供すること。
【解決手段】 本発明は、所望の捲縮度を有するポリトリメチレンテレフタレートステープルファイバを製造する方法に関する。本発明の方法は、(a)デニールと捲縮度の関係を決定すること、および(b)この決定に基づいて選択されたデニールを有するステープルファイバを製造することを含むことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、2000年9月12日に出願された米国仮特許出願第60/231,852号からの優先権を主張し、これを参照により本明細書に組み込む。本出願は、特願2002−527359号の分割出願である。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、ヤーンおよび他の織物の用途に適したポリ(トリメチレンテレフタレート)(「3GT」)捲縮ステープルファイバの製造方法、ステープルファイバ、およびこのステープルファイバから製造されるヤーンおよび布に関する。
【背景技術】
【0003】
(発明の背景)
一般に「ポリアルキレンテレフタレート」と呼ばれるポリエチレンテレフタレート(「2GT」)およびポリブチレンテレフタレート(「4GT」)は、一般的な市販のポリエステルである。ポリアルキレンテレフタレートは、優れた物理的および化学的特性、特に化学的、熱的および光安定性、高融点および高強度を有する。その結果、これらは樹脂、フィルムおよび繊維に広く使用されている。
【0004】
ポリトリメチレンテレフタレート(「3GT」)は、ポリマー主鎖のモノマー成分の1つである1,3−プロパンジオール(PDO)への低コストルートが近年発達したので、繊維としての商業的関心が高まっている。3GTは、大気圧での分散染料可染性、低曲げ弾性率、弾性回復性およびレジリエンスのために繊維形態が長く望まれていた。
【0005】
多くの織物の最終用途では、ステープルファイバが連続フィラメントより好まれる。これらには、衣料品用織物、不織布材料、およびファイバーフィルおよび詰綿用のステープルスパンヤーンが含まれる。これらの最終用途に適したステープルファイバの製造は、特に、カーディングのような下流での加工に必須な満足できる繊維の捲縮を得ることにおいて、および、繊維に十分な靭性(破壊靭性および摩擦抵抗)を付与して、衣料品用の最終用途のための、編成および製織に十分な強度を有するステープルスパンヤーンを製造することにおいて、多くの特別な問題を提起している。コットン系の加工ならびにファイバーフィルおよび不織布用途で広く用いられるステープルファイバである2GTの場合には、繊維生産者等が重合の化学の改良および繊維生産の最適化によってこれらの問題に対処してきた。これは、高性能2GT繊維の生産に適応した改良された紡糸、延伸およびアニーリング方法に繋がっている。カーディングおよびガーネッティングプロセスを用いる商業的製造所での適切な加工性を有する繊維を生成する、改良された3GTステープルファイバプロセスが必要とされている。3GT特有の特性のために、2GTまたは4GT繊維について長年にわたって開発されたこれらの問題に対する解決法は3GT繊維にはしばしば適用することができない。典型的な3GTステープルヤーン紡績プロセスに適応した繊維特性に対するこれらのニーズを以下でさらに説明する。
【0006】
ステープルファイバの下流での加工は、典型的にはコットン系の設備で行われる。このプロセスにはいくつかのステップが含まれ、その多くは高速で行われ、繊維を著しい摩擦にさらすために、繊維の引張特性に関する要求がある。例えば、最初のステップは開繊であり、これは、繊維の大きな束を引張り、分離する目的で、鋭いスチール製の歯列を含むモータ駆動ベルト上で繊維をタンブルさせることによって行われることが多い。次いで、開繊された繊維は強制空気によって運ばれ、典型的には、次いで、頭上配管またはシュートフィーダーのネットワークを通過する。シュートフィーダーはカードを供給する。すなわち、これは、繊維を分離し、これをシート状の層に広げ、次いで、この層をコーミング歯を含む一連のロールに高速で供給する。次いで、カーディングされた材料を、ウェブとして不織布またはファイバーフィルの用途に加工するか、またはスパンヤーンへ変換するためにスライバに変換する。スライバに変換する場合は、次いで高速で延伸して均質性を高める。延伸プロセスは、単位長あたりの重量として定義される線密度を、典型的には5または6分の1に低下させる。次いで、延伸スライバをヤーンに紡績する。スパンヤーンは、多くの商業的な方法によって延伸スライバから紡績することができる。これらには、リング紡績、オープンエンド紡績、エアジェット紡績、ボルテックス紡績などが含まれる。これらの方法は全て、繊維の高速加撚、および最終のヤーンの巻き取りの間に緊張下で接触表面(例えば、ガイドおよびアイレット)上にヤーンを通過させることを含む。
【0007】
上記のスパンヤーンプロセスで許容しうる繊維としての2つの主要な基準がある。第1は、繊維が布および衣料品の用途に好ましい繊度のヤーンを作るのに適していなければならないことである。定義によれば、ステープルヤーンは、撚りおよび繊維対繊維の摩擦だけで束ねられた一連の不連続ステープルファイバからなっているので、これに強度および連続性を付与するためには、一定の最小繊維数、典型的には100〜180本の繊維が織物用のヤーンの断面に必要である。これは、フィラメントあたりの繊維デニール(dpf)の範囲を制限する効果を有し、織物用のヤーンを作るのに有用なデニールの実用的な範囲をフィラメントあたり約3デニール以下に限定する。原則として下限はないが、上記のカーディングプロセスは、フィラメントあたり約0.8デニール未満では正しく行えず、スパンヤーンに対しては全体の実用的なデニール範囲をフィラメントあたり約0.8から約3デニール(約0.9から約3.3dtex)にする。不織布は、典型的には、約1.5から約6dpf(約1.65から約6.6dtex)のステープルファイバを用いる。高デニール繊維は、ファイバーフィルのような織物以外の用途で要求され得、これには、約0.8から約15dpf(約0.88から約16.5dtex)のステープルファイバが用いられる。
【0008】
第2の条件は、所望の織物の最終用途に十分な強度を有する糸、不織布またはファイバーフィル材料の製造時に、繊維が優れた効率(繊維損傷、ネップ形成、および様々な停止が最小)を有するプロセス中を通過するのに重要な一連の物理的特性を有していなければならない。ステープルヤーンについては、これらが編成および製織用の十分な強度を有し、これらが染色および仕上げの間に縞および凹凸を引き起こさない十分な均質性を有することが特に重要である。
【0009】
合成繊維を含むスパンヤーンについては、最も重要なパラメータの1つは、テナシティまたは単位デニールあたりの破断強度のグラムとして定義される繊維の強度である。これは、フィラメントあたり1から3デニールのような低デニールフィラメントの場合に特に重要である。2GTの場合には、デニールあたり4から7グラム(gpd)の繊維テナシティが低デニールのフィラメントで得られる。しかし、3GTの場合には、低デニール領域の典型的なテナシティはデニールあたり3グラム未満である。わずか2〜3グラムの破断強度を有するこれらの繊維は、ステープルの下流での加工にとって望ましくない。
【0010】
リング紡績、オープンエンド紡績、エアジェット紡績またはボルテックス紡績などの紡績技術によって許容しうるステープルヤーンに加工できる、デニールあたり3グラムを超えるテナシティを有する3GTステープルファイバがの必要性がある。他の重要な特性は捲縮テークアップ(crimp take up)である。これは、ステープルファイバの加工、およびステープルファイバから作られる織物およびファイバーフィル製品の特性の両方で重要である。捲縮テークアップは、機械捲縮プロセスによって付与される繊維の弾力性の尺度であり、したがって下流での加工のような取扱いの特徴に影響を与える。
【0011】
3GTの商業的な入手可能性は比較的新しいのに対して、研究は長い間行われてきた。例えば、英国特許明細書第1254826号(特許文献1)は、3GTフィラメントおよびステープルファイバを含めたポリアルキレンフィラメント、ステープルファイバおよびヤーンを記載している。焦点は、カーペットパイルおよびファイバーフィルにある。実施例1の方法を用いて3GT繊維を作った。ここには、フィラメントの束をスタッファボックスクリンパ中に通過させ、これを約150℃の温度に18分間さらすことによって捲縮製品をトウ形状で熱硬化し、この熱硬化されたトウを6インチ(15.24cm)のステープル長に切断することが記載されている。
【0012】
EP1016741(特許文献2)は、改良された白色度、溶融安定性および紡糸安定性を得るために、リン添加剤を使用すること、および特定の3GTポリマーの品質制約剤を使用することを記載している。紡糸および延伸後に調製されたフィラメントおよび短繊維は、90〜200℃で熱処理される。この文献は、高度にテナシティ捲縮された3GTステープルファイバを製造する方法を教示していない。
【0013】
JP11−107081(特許文献3)は、3GTマルチフィラメントヤーンの未延伸繊維を150℃未満の温度、好ましくは110〜150℃で、0.2〜0.8秒間、好ましくは0.3〜0.6秒間弛緩させ、その後このマルチフィラメントヤーンを仮撚することを記載している。この文献は、高度にテナシティ捲縮された3GTステープルファイバを製造する方法を教示していない。
【0014】
JP11−189938(特許文献4)は、3GT短繊維(3〜200mm)の製造を教示し、100〜160℃で0.01から90分間の湿熱処理ステップ、または100〜300℃で0.01から20分間の乾熱処理ステップを記載している。実施例1では、3GTを260℃において、ヤーンの紡糸引取り速度1800m/分で紡糸している。延伸後、この繊維に液浴を用いて150℃で5分間、一定の長さの熱処理を施す。次いで、これを捲縮して切断する。実施例2では、延伸された繊維に200℃で3分間乾熱処理を施す。
【0015】
米国特許第3,584,103号(特許文献5)は、非対称複屈折を有する3GTフィラメントを溶融紡糸する方法を記載している。3GTのらせん状に捲縮された織物繊維が、フィラメントを溶融紡糸してそれらの直径方向に非対称複屈折を持たせること、このフィラメントを延伸してそれらの分子を配向させること、延伸されたフィラメントを一定の長さに保持しながら100〜190℃でアニールすること、およびアニールされたフィラメントを45℃より高い弛緩条件、好ましくは約140℃の弛緩条件で2〜10分間加熱して捲縮を発現させることによって製造される。実施例はいずれも140℃で繊維が弛緩することを示している。
【0016】
上記すべての文献は、その全体を参照により本明細書に組み込む。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【特許文献1】英国特許明細書第1254826号
【特許文献2】EP1016741号
【特許文献3】特開平11−107081号公報
【特許文献4】特開平11−189938号公報
【特許文献5】米国特許第3,584,103号明細書
【特許文献6】米国特許第5,015,789号明細書
【特許文献7】米国特許第5,276,201号明細書
【特許文献8】米国特許第5,284,979号明細書
【特許文献9】米国特許第5,334,778号明細書
【特許文献10】米国特許第5,364,984号明細書
【特許文献11】米国特許第5,364,987号明細書
【特許文献12】米国特許第5,391,263号明細書
【特許文献13】米国特許第5,434,239号明細書
【特許文献14】米国特許第5,510,454号明細書
【特許文献15】米国特許第5,504,122号明細書
【特許文献16】米国特許第5,532,333号明細書
【特許文献17】米国特許第5,532,404号明細書
【特許文献18】米国特許第5,540,868号明細書
【特許文献19】米国特許第5,633,018号明細書
【特許文献20】米国特許第5,633,362号明細書
【特許文献21】米国特許第5,677,415号明細書
【特許文献22】米国特許第5,686,276号明細書
【特許文献23】米国特許第5,710,315号明細書
【特許文献24】米国特許第5,714,262号明細書
【特許文献25】米国特許第5,730,913号明細書
【特許文献26】米国特許第5,763,104号明細書
【特許文献27】米国特許第5,774,074号明細書
【特許文献28】米国特許第5,786,443号明細書
【特許文献29】米国特許第5,811,496号明細書
【特許文献30】米国特許第5,821,092号明細書
【特許文献31】米国特許第5,830,982号明細書
【特許文献32】米国特許第5,840,957号明細書
【特許文献33】米国特許第5,856,423号明細書
【特許文献34】米国特許第5,962,745号明細書
【特許文献35】米国特許第5,990,265号明細書
【特許文献36】米国特許第6,140,543号明細書
【特許文献37】米国特許第6,245,844号明細書
【特許文献38】米国特許第6,255,442号明細書
【特許文献39】米国特許第6,277,289号明細書
【特許文献40】米国特許第6,281,325号明細書
【特許文献41】米国特許第6,066,714号明細書
【特許文献42】EP998440号
【特許文献43】WO00/58393号
【特許文献44】WO01/09073号
【特許文献45】WO01/09069号
【特許文献46】WO01/34693号
【特許文献47】WO00/14041号
【特許文献48】WO01/14450号
【特許文献49】WO98/57913号
【特許文献50】米国特許第3,816,486号明細書
【特許文献51】米国特許第4,639,347号明細書
【特許文献52】米国特許第4,704,329号明細書
【特許文献53】米国特許第4,725,635号明細書
【非特許文献】
【0018】
【非特許文献1】H.L.Traub、「Synthese und textilchemische Eigenshaften des Poly−Trimethyleneterephthalats」、Dissertation Universitat Stuttgart(1994年)
【非特許文献2】S.Schauhoff「New Developments in the Puroduction of Polytrimethylene Terephthalate(PTT)」、Man−Made Fiber Year Book(1996年9月)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
これら文献はいずれも、織物用途に適した3GTステープルファイバ、またはそれらを製造する方法を教示していない。
【課題を解決するための手段】
【0020】
(発明の概要)
本発明は、
(a)ポリトリメチレンテレフタレートを提供すること、
(b)溶融されたポリトリメチレンテレフタレートを245〜285℃の温度でフィラメントに溶融紡糸すること、
(c)このフィラメントを急冷すること、
(d)急冷されたフィラメントを延伸すること、
(e)この延伸された繊維を、機械クリンパを用いてインチあたり8〜30の捲縮(3〜12/cmの捲縮)の捲縮レベルに捲縮すること、
(f)捲縮されたフィラメントを50〜120℃の温度で弛緩させること、および
(g)この弛緩されたフィラメントを、約0.2〜6インチ(約0.5〜約15cm)の長さを有するステープルファイバに切断することを含むポリトリメチレンテレフタレートステープルファイバの製造方法を指向する。
【0021】
弛緩の温度は、好ましくは約105℃以下、さらに好ましくは約100℃以下、最も好ましくは約80℃以下である。弛緩の温度は、好ましくは約55℃以上であり、さらに好ましくは約60℃以上である。
【0022】
弛緩は、捲縮されたフィラメントを非拘束状態で加熱することによって行うことが好ましい。
【0023】
好ましい一実施形態では、延伸されたフィラメントは、捲縮前に85〜115℃でアニールされる。アニーリングは、加熱されたローラを用いて緊張下で行うことが好ましい。好ましくは、得られたステープルファイバは、テナシティが少なくとも4.0グラム/デニール(3.53cN/dtex)以上である。好ましくは、得られたステープルファイバは、55%以下の伸度である。
【0024】
ステープルファイバは、好ましくは、フィラメントあたり0.8〜6デニールである。好ましい一実施形態では、ステープルファイバはフィラメントあたり0.8〜3デニールである。
【0025】
捲縮テークアップ(%)は、繊維の特性の関数であり、好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上、最も好ましくは20%以上であり、好ましくは40%まで、さらに好ましくは60%までである。
【0026】
他の好ましい実施形態では、この方法はアニーリングなしに行われる。得られたステープルファイバは、好ましくは、少なくとも3.5グラム/デニール(3.1cN/dtex)のテナシティを有する。
【0027】
本発明は、アニーリングなしで調製された、インチあたり8から30の捲縮(約3から約12/cmの捲縮)を含む、約0.2から6インチ(約0.5から約15cm)の長さ、3.5グラム/デニール(3.1cN/dtex)以上のテナシティ、および10〜60%の捲縮テークアップを有する、フィラメントあたり0.8から3デニールのポリトリメチレンテレフタレートステープルファイバにも向けられる。
【0028】
本発明はさらに、4.0グラム/デニール(3.53cN/dtex)以上のテナシティを有する、フィラメントあたり0.8から3デニールのポリトリメチレンテレフタレートステープルファイバを指向する。このような繊維は、4.6グラム/デニール(4.1cN/dtex)まで、または、それより高いテナシティを有することができる。これらは、55%以下の伸度を有することが好ましい。
【0029】
さらに、本発明は、織物用のヤーン、および織物または不織布を指向する。記載の繊維は、ファイバーフィル用途にも使用することができる。
【0030】
本発明の方法を用いて、テナシティに優れ、布地の手触りがよりソフトで、繊維の柔軟性が高められ、湿気透過性に優れ、ピリング性能が改良され、伸長性および回復性が改良されたステープルファイバおよびヤーンを製造することができる。好ましい布地は、毛羽状の毛玉(硬い毛玉とは反対の)を有し、これにより毛玉感が減少する。
【0031】
本発明は、本発明の繊維と、綿、2GT、ナイロン、アクリレート、ポリブチレンテレフタレート(4GT)およびその他の繊維とのブレンドにも向けられる。綿、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、アクリレートおよびポリブチレンテレフタレート繊維からなる群から選択される繊維を含むヤーン、不織布、織布および編布が好ましい。
【0032】
本発明は、(a)デニールと捲縮テークアップの関係を決定すること、および(b)その決定に基づいて選択されたデニールを有するステープルファイバを製造することを含む、所望の捲縮テークアップを有するポリトリメチレンテレフタレートステープルファイバを製造する方法にも向けられる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の繊維の捲縮テークアップとデニールの関係を示し、さらに、当分野で公知の先の繊維ではこのような関係が存在しないことを示す散布図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
(発明の詳細な説明)
本発明は、延伸され捲縮されたステープルファイバポリトリメチレンテレフタレート繊維を製造する方法を指向する。
【0035】
本発明で有用なポリトリメチレンテレフタレートは、米国特許第5,015,789号、第5,276,201号、第5,284,979号、第5,334,778号、第5,364,984号、第5,364,987号、第5,391,263号、第5,434,239号、第5,510,454号、第5,504,122号、第5,532,333号、第5,532,404号、第5,540,868号、第5,633,018号、第5,633,362号、第5,677,415号、第5,686,276号、第5,710,315号、第5,714,262号、第5,730,913号、第5,763,104号、第5,774,074号、第5,786,443号、第5,811,496号、第5,821,092号、第5,830,982号、第5,840,957号、第5,856,423号、第5,962,745号、第5,990,265号、第6,140,543号、第6,245,844号、第6,255,442号、第6,277,289号、第6,281,325号、および第6,066,714号(特許文献6〜41)、EP998440(特許文献42)、WO00/58393、01/09073、01/09069、01/34693、00/14041、01/14450、および98/57913(特許文献43〜49)、H.L.Traub、「Synthese und textilchemische Eigenshaften des Poly−Trimethyleneterephthalats」、Dissertation Universitat Stuttgart(1994年)(非特許文献1)、S.Schauhoff「New Developments in the Puroduction of Polytrimethylene Terephthalate(PTT)」、Man−Made Fiber Year Book(1996年9月)(非特許文献2)に記載されているような知られた製造技術(バッチ、連続等)によって製造することができ、これら文献はすべて参照により本明細書の一部とする。本発明のポリエステルとして有用なポリトリメチレンテレフタレートは、商標「ソロナ(Sorona)」としてイー・アイ・デュポン・ドゥ・ヌムール・アンド・カンパニー、ウィルミントン、デラウエア州から市販されている。
【0036】
本発明に適したポリトリメチレンテレフタレートは、極限粘度が0.60デシリットル/グラム(dl/g)以上、好ましくは少なくとも0.70dl/g、さらに好ましくは少なくとも0.80dl/g、最も好ましくは少なくとも0.90dl/gである。一般に、極限粘度は、約1.5dl/g以下、好ましくは1.4dl/g以下、さらに好ましくは1.2dl/g以下、最も好ましくは1.1dl/g以下である。本発明の実行に特に有用なポリトリメチレンテレフタレートホモポリマーは、約225〜231℃の融点を有する。
【0037】
紡糸は、当技術分野でポリエステル繊維に関して記載された従来の技術および設備を用いて、本明細書に記載された好ましいアプローチで行うことができる。例えば、様々な紡糸方法が米国特許第3,816,486号および第4,639,347号(特許文献50〜51)、英国特許明細書第1254826号(特許文献1)、およびJP11−189938(特許文献4)に示されており、これらはすべて参照により本明細書に組み込まれる。
【0038】
紡糸速度は、分あたり600メートル以上であることが好ましく、典型的には分あたり2500メートル以下である。紡糸温度は、一般に245℃以上285℃以下、好ましくは275℃以下である。最も好ましくは、紡糸は約255℃で行われる。
【0039】
紡糸口金は、従来のポリエステルに用いられるタイプの従来の紡糸口金であり、孔サイズ、配置および数は、所望の繊維および紡糸設備に依存する。
【0040】
急冷は、空気または当技術分野で記載された他の流体(例えば窒素)を用いて従来の方法で行うことができる。十字流、放射または他の従来の技術を用いることができる。米国特許第3,584,103号(参照により本明細書に取り込む)に記載の非対称複屈折繊維を実現するための非対称急冷または他の技術は本発明では使用しない。
【0041】
急冷後、標準的技術によって(例えばキスロールを用いて)、従来の紡糸仕上げが施される。
【0042】
溶融紡糸フィラメントはトウカンに集められる。次いで、いくつかのトウカンを一緒に置いて、このフィラメントから大きなトウを形成する。この後、従来の技術を用いて、好ましくは約50〜約120ヤード/分(約46〜約110m/分)でフィラメントを延伸する。延伸比は、好ましくは約1.25〜約4の範囲、さらに好ましくは1.25〜2.5である。延伸は、2段階延伸(例えば、参照により本明細書に取り込む米国特許第3,816,486号(特許文献50)を参照)を用いて行うことが好ましい。
【0043】
従来の技術を用いて延伸中に仕上げ剤を施すことができる。
【0044】
好ましい実施形態によれば、延伸後、捲縮および弛緩前に繊維をアニールする。「アニーリング」は、延伸繊維を緊張下加熱することを意味する。アニーリングは、好ましくは少なくとも約85℃、好ましくは約115℃以下で行われる。最も好ましくは、アニーリングは約100℃で行われる。アニーリングは加熱ローラを用いて行うことが好ましい。これは、米国特許第4,704,329号(特許文献52)に従って飽和蒸気を用いて行うこともでき、この特許を参照により本明細書に取り込まれる。第2の選択肢としてはアニーリングは行わない。
【0045】
従来の機械捲縮技術を用いることができる。スタッファボックスなどの蒸気アシストを有する機械ステープルクリンパが好ましい。
【0046】
従来の技術を用いてクリンパで仕上げを施すことができる。
【0047】
捲縮レベルは、典型的には、インチあたり8捲縮(cpi)(cmあたり3捲縮(cpc))以上、好ましくは10cpi(3.9cpc)以上、最も好ましくは14cpi(5.5cpc)以上であり、典型的には、30cpi(11.8cpc)以下、好ましくは25cpi(9.8cpc)以下、さらに好ましくは20cpi(7.9cpc)以下である。得られる捲縮テークアップ(%)は、繊維の特性の関数であり、好ましくは10%以上、さらに好ましくは15%以上、最も好ましくは20%以上であり、好ましくは40%まで、さらに好ましくは60%までである。
【0048】
本発明者らは、最大の捲縮テークアップを得るためには弛緩温度の低下がきわめて重要であることを見出した。「弛緩」は、フィラメントが自由に縮むことができるように、フィラメントを非拘束状態で加熱することを意味する。弛緩は捲縮後切断前に行う。一般に弛緩は、収縮を除去し、繊維を乾燥させるために行う。代表的な弛緩装置では、繊維をコンベヤベルト上に載せてオーブンの中を通過させる。本発明に有用な弛緩温度の最小値のは40℃であり、これは、より低い温度では、十分な時間内に繊維を乾燥することができないためである。弛緩は、120℃以下の温度であることが好ましく、さらに好ましくは105℃以下、さらに好ましくは100℃以下、さらに好ましくは100℃未満、最も好ましくは80℃未満である。弛緩の温度は、55℃以上であることが好ましく、さらに好ましくは55℃より高く、さらに好ましくは60℃以上、最も好ましくは60℃より高い。弛緩時間は、約60分を超えないことが好ましく、さらに好ましくは、弛緩時間は25分以下である。弛緩時間は、繊維を乾燥させ、繊維を所望の弛緩温度に上げるのに十分長くなければならず、これは、トウデニールのサイズに依存し、少量(例えば、1,000デニール(1,100dtex))を弛緩する場合には数秒とすることができる。商業的な設定では、時間は1分程度の短さにすることができる。好ましくは、フィラメントは、速度50〜200ヤード/分(46〜約183メートル/分)で6〜20分間、または繊維の弛緩および乾燥に適した別の速度でオーブンを通過する。
【0049】
フィラメントは、ピドラーカン(piddler can)に集められ、その後切断およびベール包装を行うことが好ましい。本発明のステープルファイバは、弛緩の後に機械カッターによって切断することが好ましい。繊維は、好ましくは約0.2〜約6インチ(約0.5〜約15cm)、さらに好ましくは約0.5〜約3インチ(約1.3〜約7.6cm)、最も好ましくは約1.5インチ(3.81cm)である。異なる最終用途には、異なるステープル長が好ましいであろう。
【0050】
ステープルファイバは、繊維の損傷のない高速紡糸およびカーディング設備での加工が可能なように、3.0グラム/デニール(g/d)(2.65cN/dtex(cN/dtexへの変換は、工業標準技術であるg/d値に0.883を掛けることを用いて行った。))以上、好ましくは3.0g/d(2.65cN/dtex)より大きいテナシティを有する。延伸および弛緩を行い、アニーリングは行わずに調製されたステープルファイバは、テナシティが、3.0g/d(2.65cN/dtex)より大きく、好ましくは3.1g/d(2.74cN/dtex)以上である。延伸、弛緩、およびアニーリングによって調製されたステープルファイバは、テナシティが、3.5g/d(3.1cN/dtex)より大きく、好ましくは3.6g/d(3.2cN/dtex)以上、さらに好ましくは3.75g/d(3.3cN/dtex)以上、さらに好ましくは3.9g/d(3.44cN/dtex)以上、最も好ましくは4.0g/d(3.53cN/dtex)以上である。6.5g/d(5.74cN/dtex)以上までのテナシティを本発明の方法によって調製することができる。幾つかの最終用途では、5g/d(4.4cN/dtex)までの、好ましくは4.6g/d(4.1cN/dtex)のテナシティが好ましい。テナシティが高いと、織物表面で過剰な繊維のピリングが起こる可能性がある。最も注目すべきことは、これらのテナシティは、55%以下、および通常20%以上の伸び(破断するまでの伸び)で達成できることである。
【0051】
本発明に従って、衣料品(例えば編地および織物)および不織布用に製造された繊維は、典型的には、フィラメントあたり少なくとも0.8デニール(dpf)(0.88デシテックス(dtex))、好ましくは少なくとも1dpf(1.1dtex)、最も好ましくは少なくとも1.2dpf(1.3dtex)である。これらは、好ましくは3dpf(3.3dtex)以下、さらに好ましくは2.5dpf(2.8dtex)以下、最も好ましくは2dpf(2.2dtex)以下である。約1.4dpf(約1.5dtex)が最も好ましい。典型的には、不織布は、約1.5〜約6dpf(約1.65〜約6.6dtex)のステープルファイバを用いる。6dpf(6.6dtex)までのより高いデニールの繊維を使用することができ、さらに高いデニールはファイバーフィルのような織物以外の用途に有用である。
【0052】
ファイバーフィルは、約0.8〜約15dpf(約0.88〜約16.5dtex)のステープルファイバを用いる。ファイバーフィル用に製造された繊維は、典型的には少なくとも3dpf(3.3dtex)、さらに好ましくは少なくとも6dpf(6.6dtex)である。これらは、典型的には、15dpf(16.5dtex)以下、さらに好ましくは9dpf(9.9dtex)以下である。
【0053】
この繊維は、好ましくは少なくとも85重量%、さらに好ましくは90重量%、さらに好ましくは少なくとも95重量%のポリトリメチレンテレフタレートポリマーを含有する。最も好ましいポリマーは、実質的にすべてのポリトリメチレンテレフタレートポリマーと、ポリトリメチレンテレフタレート繊維に用いられる添加剤を含有する。(添加剤には、抗酸化剤、安定剤(例えばUV安定剤)、つや消し剤(例えば、TiO2、硫化亜鉛または酸化亜鉛)、顔料(例えばTiO2など)、難燃剤、静電防止剤、染料、フィラー(炭酸カルシウムなど)、抗菌剤、帯電防止剤、光学的な光沢剤、増量剤、加工助剤、および製造プロセスまたはポリトリメチレンテレフタレートの性能を高める他の化合物が含まれる。)用いる場合は、TiO2は、ポリマーまたは繊維重量の好ましくは少なくとも0.01重量%、さらに好ましくは少なくとも約0.02重量%の量で、かつ、好ましくは約5%重量%まで、さらに好ましくは約3重量%まで、最も好ましくは約2重量%までの量で添加する。曇りのあるポリマーは約2重量%を含有することが好ましく、なかば曇りのあるポリマーは約0.3重量%を含有することが好ましい。
【0054】
本発明の繊維は単成分繊維である。(したがって、2種の異なるタイプのポリマーまたは異なる特性を有する同じポリマー2種を各領域に有する鞘芯型繊維またはサイドバイサイド型繊維のような複合糸は明確に除外される。しかし、繊維に分散されている他のポリマーおよび存在する添加剤は除外しない。)これらは、中実、中空、または複数中空とすることができる。円形繊維または他の形状を製造することができる。
【0055】
ヤーンおよび不織布材料のような最終用途は、典型的には、梱を開き、必要に応じてこれらを他のステープルファイバとブレンドし、これをカーディングすることによって製造される。不織布を作るときは、繊維は標準的な方法(例えば、熱接着、ニードルパンチ法、スパンレース法など)によって接着される。ヤーンを作るときは、カーディングされた材料をスライバとして延伸し、ヤーンに紡績する。次いで、このヤーンを編みまたは織って布にする。
【実施例】
【0056】
(実施例)
(測定および単位)
本明細書において考察する測定は、メートル法単位であるデニールを含む、従来の米国織物単位を使用して行った。他所における慣例的な実務と合致させるため、本明細書では米国単位と共に、対応するメートル法単位をかっこ内に報告している。
【0057】
繊維の特定の特性は、下記に記述するように測定した。
【0058】
(相対粘度)
相対粘度(「LRV」)は、HFIP溶媒(98%試薬等級硫酸100ppmを含有するヘキサフルオロイソプロパノール)中に溶解したポリマーの粘度である。粘度測定装置は、いくつかの商業的販売主(Design Scientific、Cannonなど)から入手可能な毛細管粘度計である。相対粘度はセンチストークスで、25℃におけるHFIP中のポリマーの4.75重量%溶液について、25℃における純粋なHFIPの粘度と比較して測定する。
【0059】
(固有粘度)
固有粘度(IV)は、ASTM D5225−92に基づく自動化方法に従い、50/50重量%トリフルオロ酢酸/塩化メチレン中に0.4グラム/dLの濃度で溶解したポリエステルについて、19℃においてViscotek Forced Flow Viscometer Y900(テキサス州、ヒューストンのViscotek Corporation)で測定した粘度を用いて決定した。
【0060】
(捲縮テークアップ)
繊維のレジリエンスの、一つの目安が、捲縮テークアップ(「CTU」)であり、これは、示された二次捲縮の周波数と振幅が、どれほど良好に繊維にセットされるかを測定する。捲縮テークアップは、伸張された繊維長に対する、捲縮された繊維長に関連し、したがって、捲縮振幅、捲縮周波数、および捲縮の変形に抵抗する能力によって影響される。捲縮テークアップは、下式から計算される:
【0061】
CTU(%)=[100(L1−L2)]/L1
【0062】
上式において、L1は伸張した長さ(添加した荷重0.13±0.02グラム/デニール(0.115±0.018dN/tex)下に30秒間、繊維が懸垂される)を表わし、L2は捲縮された長さ(第1の伸張の後、60秒中止した後、荷重を加えることなく懸垂される同じ繊維の長さ)を表わす。
【0063】
(比較例1)
この比較例は、ポリエチレンテレフタレート(「2GT」)を、典型的な2GT条件を用い加工することに基づいている。2GT繊維、6デニール/フィラメント(6.6dtex)の円形中空繊維を、21.6LRVで、フレークを従来のやり方で297℃において、紡糸速度約748ypm(684m/分)により、約16pph(7kg/時)で144孔の紡糸口金を通過させて溶融押出しし、仕上げを施し、かつ、ヤーンをチューブ上に集めることにより製造した。これらのチューブ上に集めたヤーンを、組み合せてトウとし、約100ypm(91m/分)で従来のやり方で2段階延伸(例えば、米国特許第3816486号(特許文献50)を参照されたい)を用い、大部分水である水浴(希釈した仕上げ剤を含有する)中で延伸した。第1の延伸段階では、45℃の浴中で繊維を1.5倍伸長させた。その後の2.2倍の延伸は、98℃の浴中で実施した。次いで繊維を、従来のやり方で、水蒸気の補助により、従来の機械的ステープルクリンパを用い捲縮させた。繊維は、2つの異なった捲縮レベル、および2つの異なった水蒸気レベルを用い、捲縮させた。次いで繊維は、180℃で、従来のやり方で弛緩させた。捲縮の後、捲縮テークアップ(「CTU」)を測定し、これを下記の第1表に掲げる。
【0064】
【表1】

【0065】
(実施例1(対照−高温弛緩条件))
本実施例は、高い弛緩温度を用いステープルファイバを調製する場合、3GTから作製するステープルファイバが、2GTのステープルファイバよりも著しく低い品質を有することを例示している。3GTの、フィラメント当り6デニール(6.6dtex)の円形中空繊維を、2GTに対する融点の差異により、3GT繊維を265℃で押出した点を除いて、比較例と同一の加工条件を用いて作製した。第1の延伸段階では、繊維を1.2倍伸長させた。3GT繊維の捲縮テークアップを測定し、これを下記の第2表に掲げる。
【0066】
【表2】

【0067】
第1表および第2表に示す結果を比較すると、同様なステープル加工条件下では、高い捲縮温度で作製した3GT繊維が、2GT繊維よりも極めて低い回復性および機械的強度を有することが容易に観察される。これらの性質は多くのステープルファイバ製品には不可欠であり、上記の3GTの結果を一般に、十分とはいえないか、または不満足なものにしている。
【0068】
(比較例2)
この比較例は、3GTについての本発明の加工条件を用い2GTを加工することに基づいている。
【0069】
この例では、約6デニール/フィラメント(6.6dtex)の2GT繊維を、従来のやり方で280℃において、紡糸速度約900ypm(823m/分)により、約92pph(42kg/時)で363孔の紡糸口金、および約900ypm(823m/分)の紡糸速度を用いて、溶融押出しし、チューブ上に集めた。これらのチューブ上に集めた糸を、組み合せてトウとし、約100ypm(91m/分)で従来のやり方で2段階延伸を用い、大部分水である水浴中で延伸した。第1の延伸段階では、40℃の浴中で繊維を3.6倍伸長させた。その後の1.1倍の延伸は、75℃の浴中で実施した。次いで繊維を、従来のやり方で、水蒸気の補助により、従来の機械的ステープルクリンパを用い、捲縮させた。繊維は、約15psi(103kPa)の水蒸気を用い、約12cpi(5c/cm)まで捲縮させた。次いで繊維は、いくつかの温度で、従来のやり方で弛緩させた。捲縮の後測定した捲縮テークアップを、下記の第3表に掲げる。
【0070】
【表3】

【0071】
捲縮テークアップにより測定した2GTの回復は、弛緩温度が上昇すると、わずかに低下した。
【0072】
(実施例2)
この実施例では、3GT繊維、4.0デニール/フィラメント(4.4dtex)の円形繊維を、フレークを従来のやり方で265℃において、紡糸速度約550ypm(503m/分)により、約14pph(6kg/時)で144孔の紡糸口金を通過させて溶融押出しし、仕上げを施し、かつ、糸をチューブ上に集めることにより製造した。これらのチューブ上に集めた糸を組み合せてトウとし、約100ypm(91m/分)で従来のやり方で2段階延伸を用い、大部分水である水浴中で延伸した。第1の延伸段階では、45℃の浴中で繊維を3.6倍伸長させた。その後の1.1倍の延伸は、75℃、または98℃のいずれかの浴中で実施した。次いで繊維を、従来のやり方で、水蒸気の補助により、従来の機械的ステープルクリンパを用い、捲縮させた。繊維は、約15psi(103kPa)の水蒸気を用い、約12cpi(5c/cm)まで捲縮させた。次いで繊維は、いくつかの温度で、従来のやり方で弛緩させた。捲縮の後、捲縮テークアップを測定し、これを下記の第4表に掲げる。
【0073】
【表4】

【0074】
捲縮テークアップにより測定し、第4表に例示している、3GTの回復特性は、弛緩温度が上昇すると、速やかに低下した。この挙動は、弛緩温度が上昇しても、ほんの僅かしか回復性が低下しない第3表に示す2GTの挙動と驚くほど異なっている。第4表に示すように、第2の延伸段階について、浴温度98℃を用いた場合でも、この驚くべき結果が、繰り返された。この実施例はまた、本発明の、より好ましい弛緩温度によって作製した3GT繊維が、2GT繊維を越える優れた特性を有することを示している。
【0075】
(実施例3)
この実施例は、フィラメントのデニールを変化することによる、本発明の3GT繊維について見出された、他の驚くべき相関関係を示している。異なったデニールおよび断面の3GT繊維を、先行する実施例と同様なやり方で作製した。繊維の回復性、すなわち、捲縮テークアップを測定し、下記の第5表に掲げる結果が得られた。参照により本明細書に組み入れている米国特許第4725635号(特許文献53)に記載されるようなシリコーン平滑剤で繊維を処理した。この平滑剤は、一旦トウから水分を駆逐したら、少なくとも4分間保持すると170℃で硬化する。170℃で、繊維の捲縮テークアップは極めて低い。平滑な繊維を作るため、ステープルを100℃で8時間保持して、シリコーン平滑剤仕上げ剤を硬化させた。
【0076】
【表5】

【0077】
第5表に示すように、フィラメントのデニールは、フィラメントの機械的捲縮によって付与されるデニールあたりの一定の負荷の下での伸長からの回復性に直接的な影響を有する。デニールが増加すると、回復性、すなわち、捲縮テークアップがそれと共に増加する。2GTについての同様な試験では、デニールの変化により、回復性にはほとんど影響を示さなかった。この予期しない結果は、図1において、よりよく例示される。図1は、3つの異なる種類の繊維について、デニール/フィラメントに対して捲縮テークアップをプロットしている。繊維Aは、市販の2GT繊維である。繊維Bは、第5表に詳細を示すように、本発明によって作製した繊維である。
【0078】
図1に見られるように、2GT繊維では、デニール/フィラメントが増加しても、回復性にはほとんどまたは全く変化がない。これに反して、本発明の3GT繊維では、デニール/フィラメントが増加すると、回復性における直線的な増加がある。
【0079】
(実施例4)
この実施例は、一連の加工条件下で調製した中間のデニールで円形断面のステープルファイバについての、本発明の好ましい実施形態を示している。
【0080】
固有粘度(IV)1.04のポリトリメチレンテレフタレートを、175℃に加熱した不活性ガス上で乾燥し、次いで、円形断面を付与するように設計した741孔の紡糸口金を通して溶融紡糸し、延伸しないステープルトウとした。紡糸ブロック温度および移送ライン温度は、254℃に維持した。紡糸口金出口で、従来の十字流空気によりスレッドラインを急冷した。急冷したトウに紡糸仕上げを施し、1400ヤード/分(1280メートル/分)で巻き取った。この段階で集めた延伸されないトウは、5.42dpf(5.96dtex)と測定され、破断伸び238%であり、またテナシティ1.93g/デニール(1.7cN/dtex)を有していた。上述のトウ製品は、下に特定される条件下で、延伸し、必要に応じてアニールし、捲縮させ、そして弛緩させた。
【0081】
実施例4A:2段階の延伸−弛緩手順を用いトウを加工した。第1ロールと最終ロールの間で、全体の延伸比を2.10に設定した、2段階の延伸工程でトウ製品を延伸した。この2段階の工程において、全体の延伸の80〜90%を第1段階において室温で行い、次いで、残りの10〜20%の延伸を、90〜100℃に設定した大気圧水蒸気中に繊維を浸漬して行った。トウを従来のスタッファボックスクリンパに供給するとき、引続きトウラインの緊張を維持した。大気圧水蒸気を、捲縮工程の間のトウバンドにも施した。捲縮の後、56℃に加熱したコンベアオーブンで、オーブン内の滞留時間を6分としてトウバンドを弛緩させた。得られたトウを、ステープルファイバに切断し、これは3.17dpf(3.49dtex)を有していた。上述のように延伸比を2.10に設定したが、未延伸トウ(5.42dpf)から最終のステープルの形態(3.17dpf)までのデニールの減少により、真の工程延伸比は1.71と思われる。この差異は、捲縮および弛緩ステップ中における繊維の収縮および弛緩がもたらすものである。ステープル材料の破断伸びは87%、繊維のテナシティは、3.22g/デニール(2.84cN/dtex)であった。繊維の捲縮テークアップは32%、捲縮/インチは10(3.9捲縮/cm)であった。
【0082】
実施例4B:単一の段階の延伸−弛緩手順を用いトウを加工した。トウ製品は、実施例4Aと同様に加工したが、下記を変更している。延伸工程を、単一の段階で実施し、その間90〜100℃における大気圧水蒸気中に繊維を浸漬した。得られたステープルファイバは、3.21dpf(3.53dtex)と測定され、破断伸び88%を有し、また繊維のテナシティは3.03g/デニール(2.7cN/dtex)であった。繊維の捲縮テークアップは32%、捲縮/インチは10(3.9捲縮/cm)であった。
【0083】
実施例4C:2段階の延伸−アニール−弛緩手順を用いトウを加工した。トウ製品は、延伸工程の第2段階において大気圧水蒸気を65℃に加熱した水噴霧に置き換え、またトウを、捲縮段階の前に、緊張させながら一連の加熱ロールに渡って110℃においてアニールした点を除いて、実施例4Aと同様に加工した。弛緩オーブンを、55℃に設定した。得られたステープルファイバは、3.28dpf(3.61dtex)と測定され、破断伸び86%を有し、また繊維のテナシティは3.10g/デニール(2.74cN/dtex)であった。繊維の捲縮テークアップは32%、捲縮/インチは10(3.9捲縮/cm)であった。
【0084】
実施例4D:このトウは、2段階の延伸−アニール−弛緩手順を用いて加工した。トウ製品は、実施例4Cと同様に加工したが、下記を変更している。全体の延伸比を、2.52に設定した。アニール温度を95℃に設定し、弛緩オーブンを、65℃に設定した。得られたステープルファイバは、2.62dpf(2.88dtex)と測定され、破断伸び67%を有し、また繊維のテナシティは3.90g/デニール(3.44cN/dtex)であった。繊維の捲縮テークアップは31%、捲縮/インチは13(5.1捲縮/cm)であった。
【0085】
(実施例5)
この実施例は、低デニールの円形断面ステープルファイバについての本発明の好ましい実施形態を示す。
【0086】
極限粘度(IV=1.04)のポリトリメチレンテレフタレートを、175℃に加熱した不活性ガス上で乾燥し、次いで円形断面を付与するようにデザインされた900孔の紡糸口金から未延伸ステープルトウに溶融紡糸した。スピンブロックおよび移動ラインの温度は254℃に保った。紡糸口金の出口で、スレッドラインを従来の十字流空気で急冷した。急冷されたトウに紡糸仕上げを施し、1600ヤード/分(1460メートル/分)で巻き取った。この段階で集めた未延伸トウは、1.86dpf(2.05dtex)、破断伸度161%であり、2.42g/デニール(2.14cN/dtex)のテナシティを有すると決定された。
【0087】
このトウを2段階の延伸−アニール−弛緩手順を用いて加工した。トウ製品は、第1ロールと最終ロール間の総延伸比を2.39に設定して2段階延伸プロセスによって延伸した。この2段階プロセスでは、第1段階において室温で80〜90%の総延伸を行い、次いで残りの10〜20%の延伸を、65℃に加熱した水スプレー中に繊維を浸漬して行った。このトウを、95℃に加熱した一連の熱ロールで緊張下でアニールした。トウが従来のスタッファボックスクリンパに供給される間、トウラインの張力を連続的に維持した。捲縮プロセス中、常圧蒸気をトウバンドに施した。捲縮の後、65℃に加熱したコンベアオーブンで、オーブンの滞在時間を6分としてトウバンドを弛緩した。得られたステープルファイバは、1.12dpf(1.23dtex)、破断伸度48%であり、繊維テナシティが4.17g/デニール(3.7cN/dtex)であった。この繊維は、捲縮14/インチ(捲縮5.5/cm)で、捲縮テークアップが35%であった。
【0088】
(実施例6)
この実施例は、1段階の延伸−弛緩工程を用いた非アニールステープルファイバの製造を示す。
【0089】
TiO20.27%を含有した極限粘度1.04のポリトリメチレンテレフタレートを、140℃の不活性ガス中で乾燥し、次いで円形の繊維断面を付与するようにデザインされた1176孔の紡糸口金から未延伸ステープルトウに溶融紡糸した。スピンブロックおよび移動ラインの温度は254℃に保った。紡糸口金の出口で、スレッドラインを従来の十字流空気で急冷した。急冷されたトウに紡糸仕上げを施し、これを1400ヤード/分で集めた。この段階で集めた未延伸トウは、5.24dpf(5.76dtex)、破断伸度311%であり、1.57g/デニール(1.39cN/dtex)のテナシティを有すると決定された。
【0090】
トウ製品は、第1ロールと最終ロール間の総延伸比を3.00として1段階延伸プロセスによって延伸した。トウラインの張力を、延伸後連続的に維持し、98℃の水スプレーにトウに施した。次いでトウを従来のスタッファボックスクリンパに供給した。捲縮プロセス中、常圧蒸気および希釈繊維仕上げ剤をトウバンドに施した。捲縮の後、60℃に加熱したコンベアオーブンで、オーブンの滞在時間を6分としてトウバンドを弛緩した。弛緩装置のオーブンの出口で、追加の希釈仕上げ剤を繊維に施し、次いで容器に運び、ステープルに切断した。得られたステープル材料の破断伸度は71.5%であり、繊維テナシティは3.74g/デニール(3.30cN/dtex)であった。この繊維は、捲縮12/インチで、捲縮テークアップが15であった。
【0091】
本発明の実施形態の上記開示は、例示および説明を目的として提示したものである。これは、網羅的であること、または開示された厳密な形態に本発明を限定することを意図したものではない。本明細書に記載された実施形態の多くの変形および修正は、上記開示に照らして当業者には明らかであろう。本発明の範囲は、本明細書の特許請求の範囲、ならびにその等価物によってのみ画定されるものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)デニールと捲縮度の関係を決定すること、および(b)この決定に基づいて選択されたデニールを有するステープルファイバを製造することを含むことを特徴とする、所望の捲縮度を有するポリトリメチレンテレフタレートステープルファイバを製造する方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−144493(P2011−144493A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−66321(P2011−66321)
【出願日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【分割の表示】特願2002−527359(P2002−527359)の分割
【原出願日】平成13年8月27日(2001.8.27)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】