説明

ポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維、それらの製造および使用

【課題】ポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維の紡糸方法、得られた繊維、およびそれらの使用に関する。
【解決手段】(a)約0.05〜約5モル%のテトラメチレンテレフタレート繰り返し単位を含むポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物を提供する工程と、(b)該ポリマー組成物を紡糸して繊維を形成する工程とを含むポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維の製造方法。糸、布(例えば、織布、編布、および不織布)ならびにカーペットだけでなく、約0.05〜約5モル%のテトラメチレンテレフタレート繰り返し単位を含むポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物を含むポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維。約0.05〜約5モル%のテトラメチレンテレフタレート繰り返し単位を含むポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維の紡糸方法、得られた繊維、およびそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)(また「3GT」または「PTT」とも言われる)は、織編物、床材、包装材および他の最終用途での使用向けのポリマーとして最近多くの注目を集めてきた。織編物および床材繊維は優れた物理的および化学的性質を有する。
【0003】
部分延伸ポリエステル糸または紡糸延伸糸から製造されたテクスチャー加工ポリエステル糸は、衣服および室内装飾品(例えば、家具および自動車)用の編布および織布のような多くの織編物用途で(例えば、全布、たて糸、横糸もしくはよこ糸用の糸として、または、例えば、綿、羊毛、レーヨン、アセテート、他のポリエステル、スパンデックスおよび/またはそれらの組合せなどとのブレンド中の2つもしくはそれ以上の糸の1つとして)使用されている。ポリ(エチレンテレフタレート)テクスチャー加工糸がこの目的のために一般に使用されている。ハウエル(Howell)らは、(米国特許公報(特許文献1)で、テクスチャー加工ポリ(トリメチレンテレフタレート)糸およびそれらの便益を記載している。得られた糸は、ポリ(エチレンテレフタレート)糸と比較して、増大した伸縮性、豪華な嵩高さおよび改善された手触りを有する。ハウエルらは、安定な部分延伸ポリ(トリメチレンテレフタレート)糸を2600メートル/分(「m/m」)以下の紡糸速度の方法で製造することを記載しており、そして、より高速で紡糸することが望まれてきた。
【0004】
ポリ(エチレンテレフタレート)条件を用いて安定な部分延伸ポリ(トリメチレンテレフタレート)糸を高速で製造することはうまくいかなかった。紡糸後に、部分延伸糸は典型的にはチューブ、またはパッケージ上へ巻き取られ、次に糸パッケージは、延伸または延伸テクスチャー加工のようなもっと後の加工作業での供給糸としての使用向けに保管されるかまたは販売される。部分延伸糸は、その糸またはパッケージそのものが糸の老化または糸パッケージの倉庫保管もしくは輸送の間に引き起こされる他の損傷のために損傷された場合には、後の延伸または延伸テクスチャー加工工程で使用できない。
【0005】
安定な部分延伸ポリ(エチレンテレフタレート)糸は、約3,500ヤード毎分(「ypm」)(3,200m/m)の速度で典型的には紡糸される。それらは典型的には非常に速く老化しないので、それらは下流の延伸または延伸テクスチャー加工作業に依然として好適である。これまで、この同じ範囲の紡糸速度を用いて安定な部分延伸ポリ(トリメチレンテレフタレート)糸を製造しようとする試みは失敗してきた。生じた部分延伸ポリ(トリメチレンテレフタレート)糸は、それらが長い間に老化と共に結晶化するにつれて約25%以下収縮することが分かった。極端な場合には、収縮が非常に大きいので、チューブが糸の収縮力によって物理的に損傷される。もっと一般的な場合には、収縮は、部分延伸ポリ(トリメチレンテレフタレート)糸を延伸または延伸テクスチャー加工作業での使用に不適当なものにする。かかる場合、パッケージは非常にきつく巻き付けられるようになるので、糸は、それがパッケージからほどかれる時に容易に破断する。
【0006】
部分延伸ポリ(エチレンテレフタレート)糸向けに元々デザインされた装置を用いて部分延伸ポリ(トリメチレンテレフタレート)糸をより低速で紡糸するのは非能率的である。それはまた、紡糸および巻取装置がポリ(トリメチレンテレフタレート)糸を製造するために現在用いられているものよりも高速で作動するようにデザインされているので、問題である。
【0007】
紡糸延伸糸はまたテクスチャー加工糸を製造するためにも使用され、また、紡糸延伸糸をより高速で製造したいという要望もある。
【0008】
実行者がより低速で製造されたものと同じかまたはそれに類似の条件を用いて高速で製造された部分延伸および紡糸延伸ポリ(トリメチレンテレフタレート)糸からテクスチャー加工ポリ(トリメチレンテレフタレート)糸を製造できることもまた非常に望ましい。従って、これらの糸は同じまたは類似の伸びおよび靱性を有するべきである。
【0009】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)フィラメントおよび糸はまた他の目的のためにも製造されてきた。例えば、嵩高加工連続フィラメント(「BCF」)糸、それらの製造、およびそれらの床材での使用が米国特許公報(特許文献2)、米国特許公報(特許文献3)、および米国特許公報(特許文献4)に記載されている。細かいデニール糸が米国特許公報(特許文献5)および米国特許公報(特許文献6)に記載されており、直接使用糸が米国特許公報(特許文献7)に記載されている。(特許文献8)および(特許文献9)に記載されているように、ステープルファイバーはマルチフィラメント糸から製造することができる。他のポリ(トリメチレンテレフタレート)糸およびフィラメントだけでなく、これらの糸をより高速で紡糸することは有利であり得る。それ故、ポリ(トリメチレンテレフタレート)糸および繊維をより高速で紡糸する能力が望まれる。実行者が得られた糸をより低速で製造された糸と同じ条件下で使用できることもまた望まれる。
【0010】
紡糸または他の加工工程で便益を得るための様々な添加剤の使用は、多くの特許に記載されてきた。例えば、参照により本明細書に援用される米国特許公報(特許文献10)は、(a)エチレンテレフタレート、トリメチレンテレフタレートおよびテトラメチレンテレフタレートよりなる群から選択された2つもしくはそれ以上のモノマーの共重合体、および/または(b)エチレンテレフタレート、トリメチレンテレフタレートおよびテトラメチレンテレフタレートの2つもしくはそれ以上のポリマーのブレンドより本質的になるポリエステル・フィラメントから製造された高撚りポリエステル・マルチフィラメント糸を開示している。該特許は、かかる高撚り糸を用いることによって得られた織縮布または編縮布が望ましいペブル構造を有すると述べている。好ましいポリエステルは20重量%〜90重量%のエチレンテレフタレート単位と、80重量%〜10重量%のトリメチレン単位および/またはテトラメチレン単位とからなる。実施例1、2、4および5は、95〜10重量%ポリ(エチレンテレフタレート)および5〜90重量%ポリ(テトラメチレンテレフタレート)のブレンドを示している。実施例6は、95〜10重量%ポリ(エチレンテレフタレート)および5〜90重量%ポリ(トリメチレンテレフタレート)を含む組成物を記載している。この特許は、より高い撚りどめ能力を与えるために、3〜15%の非結晶性ポリマー、好ましくはスチレンポリマーまたはメタクリレートポリマーの使用を記載している。実施例7は、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(テトラメチレンテレフタレート)、およびそれらのブレンドと一緒のポリスチレンの使用を示している。実施例はまた、50重量%ポリ(エチレンテレフタレート)、25重量%ポリ(テトラメチレンテレフタレート)および25重量%ポリ(トリメチレンテレフタレート)を含むブレンドをも示している。
【0011】
米国特許公報(特許文献11)および米国特許公報(特許文献12)は、フィラメント群(I)および(II)より本質的になるポリエステル・マルチフィラメント糸を記載している。フィラメント群(I)は、群ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)およびポリ(テトラメチレンテレフタレート)、および/またはこれらのポリエステルから選択された少なくとも2つのメンバーを含むブレンドおよび/または共重合体から選択されたポリエステルよりなる。フィラメント群(II)は、(a)群ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)およびポリ(テトラメチレンテレフタレート)、および/またはこれらのポリエステルから選択された少なくとも2つのメンバーを含むブレンドおよび/または共重合体から選択されたポリエステルと、(b)スチレン型ポリマー、メタクリレート型ポリマーおよびアクリレート型ポリマーよりなる群から選択された0.4〜8重量%の少なくとも1つのポリマーとよりなる基材よりなる。フィラメントは異なる紡糸口金から押し出すことができるが、好ましくは同じ紡糸口金から押し出される。フィラメントは、それらを混ぜ合わせるためにブレンドされ、次に交絡させられ、そして次に延伸または延伸テクスチャー加工を受けることが好ましい。実施例1は、ポリ(エチレンテレフタレート)およびポリメタクリル酸メチルからのタイプ(II)のフィラメントの製造を示している。実施例3は、70重量%ポリ(エチレンテレフタレート)および1〜6重量%の量での30重量%ポリスチレンからのタイプ(I)フィラメントの製造を示している。ポリ(トリメチレンテレフタレート)は実施例では使用されなかった。
【0012】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)を記載する幾つかの特許文書は、コポリエステルをはじめとする共重合体が製造され得ることを述べている。例えば、米国特許公報(特許文献7)は、ポリ(トリメチレンテレフタレート)が、典型的には約0.5〜約15モル%の範囲で、他の繰り返し単位を含み得ることを述べている。1,4−ブタンジオールのような2〜8個の炭素原子を有するジオールをはじめとする多数の例が示されている。
【0013】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)糸、特に部分延伸糸、紡糸延伸糸、および嵩高加工連続フィラメント糸の製造における、ならびにステープルファイバーの製造における生産性を、フィラメントおよび糸特性の悪化なしに、高速紡糸方法を用いることによって高めることが望ましい。高い伸びとポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマーから製造された糸よりも高い靱性との両方を有する糸を製造することもまた望ましい。より低速で製造されたポリ(トリメチレンテレフタレート)糸向けに用いられるものと同じまたはそれに類似の条件下で、これらの糸がテクスチャー加工糸、布およびカーペットのような製品の製造において有用であることがさらに望ましい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】米国特許第6,287,688号明細書
【特許文献2】米国特許第5,645,782号明細書
【特許文献3】米国特許第5,662,980号明細書
【特許文献4】米国特許第6,242,091号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2001/30377 A1号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2001/53442 A1号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2001/33929 A1号明細書
【特許文献8】国際公開第02/22925号パンフレット
【特許文献9】国際公開第02/22927号パンフレット
【特許文献10】米国特許第4,475,330号明細書
【特許文献11】米国特許第4,454,196号明細書
【特許文献12】米国特許第4,410,473号明細書
【特許文献13】国際公開第01/34693号パンフレット
【特許文献14】PCT/US第02/26916号明細書
【特許文献15】国際公開第01/24693号パンフレット
【特許文献16】米国特許第6,312,805号明細書
【特許文献17】米国特許第6,245,844号明細書
【特許文献18】米国特許第5,015,789号明細書
【特許文献19】米国特許第5,276,201号明細書
【特許文献20】米国特許第5,284,979号明細書
【特許文献21】米国特許第5,334,778号明細書
【特許文献22】米国特許第5,364,984号明細書
【特許文献23】米国特許第5,364,987号明細書
【特許文献24】米国特許第5,391,263号明細書
【特許文献25】米国特許第5,434,239号明細書
【特許文献26】米国特許第5,510,454号明細書
【特許文献27】米国特許第5,504,122号明細書
【特許文献28】米国特許第5,532,333号明細書
【特許文献29】米国特許第5,532,404号明細書
【特許文献30】米国特許第5,540,868号明細書
【特許文献31】米国特許第5,633,018号明細書
【特許文献32】米国特許第5,633,362号明細書
【特許文献33】米国特許第5,677,415号明細書
【特許文献34】米国特許第5,686,276号明細書
【特許文献35】米国特許第5,710,315号明細書
【特許文献36】米国特許第5,714,262号明細書
【特許文献37】米国特許第5,730,913号明細書
【特許文献38】米国特許第5,763,104号明細書
【特許文献39】米国特許第5,774,074号明細書
【特許文献40】米国特許第5,786,443号明細書
【特許文献41】米国特許第5,811,496号明細書
【特許文献42】米国特許第5,821,092号明細書
【特許文献43】米国特許第5,830,982号明細書
【特許文献44】米国特許第5,840,957号明細書
【特許文献45】米国特許第5,856,423号明細書
【特許文献46】米国特許第5,962,745号明細書
【特許文献47】米国特許第5,990,265号明細書
【特許文献48】米国特許第6,235,948号明細書
【特許文献49】米国特許第6,255,442号明細書
【特許文献50】米国特許第6,277,289号明細書
【特許文献51】米国特許第6,281,325号明細書
【特許文献52】米国特許第6,325,945号明細書
【特許文献53】米国特許第6,331,264号明細書
【特許文献54】米国特許第6,335,421号明細書
【特許文献55】米国特許第6,350,895号明細書
【特許文献56】米国特許第6,353,062号明細書
【特許文献57】EP第998 440号明細書
【特許文献58】国際公開第00/14041号パンフレット
【特許文献59】国際公開第01/58981号パンフレット
【特許文献60】国際公開第01/58982号パンフレット
【特許文献61】国際公開第98/57913号パンフレット
【特許文献62】米国特許出願公開第2002/0132962 A1号明細書
【特許文献63】米国特許第3,671,379号明細書
【特許文献64】米国特許第5,798,433号明細書
【特許文献65】米国特許第5,340,909号明細書
【特許文献66】EP第699 700号明細書
【特許文献67】EP第847 960号明細書
【特許文献68】国際公開第00/26301号パンフレット
【特許文献69】米国特許第6,333,106号明細書
【特許文献70】米国特許出願公開2001/30378 A1号明細書
【特許文献71】米国特許第6,109,015号明細書
【特許文献72】米国特許第6,113,825号明細書
【特許文献73】米国特許出願公開第2002/147298 A1号明細書
【特許文献74】国際公開第99/19557号パンフレット
【特許文献75】国際公開第01/68962号パンフレット
【特許文献76】国際公開第01/76923号パンフレット
【特許文献77】EP第1 167 594号明細書
【非特許文献】
【0015】
【非特許文献1】エッチ.エル.トラウブ(H.L.Traub)著、「ポリ−トリメチレンテレフタラートの合成および繊維化学的性質(Synthese und textilchemische Eigenschaften des Poly−Trimethyleneterephthalats)」、シュトットガルト大学学位論文(Dissertation Universitat Stuttgart)(1994年)
【非特許文献2】エス.シャウホッフ(S.Schauhoff)著、「ポリ(トリメチレンテレフタレート)(PTT)の生産における新たな進展(New Developments in the Production of Poly(trimethylene terephthalate)(PTT)」、人造繊維年報(Man−Made Fiber Year Book)(1996年9月)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、(a)約0.05〜約5モル%のテトラメチレンテレフタレート繰り返し単位を含むポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物を提供する工程と、(b)ポリマー組成物を紡糸して繊維を形成する工程とを含むポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維の製造方法に関する。
【0017】
テトラメチレンテレフタレート繰り返し単位は、少なくとも約0.05モル%、好ましくは少なくとも約0.1モル%、より好ましくは少なくとも約0.5モル%、さらにより好ましくは少なくとも約0.6モル%、さらにより好ましくは少なくとも約0.75モル%、さらにより好ましくは少なくとも約0.9モル%、さらにより好ましくは少なくとも約1モル%、さらにより好ましくは1モル%よりも多い、さらにより好ましくは少なくとも約1.5モル%、最も好ましくは1.5モル%よりも多い量でポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物中に存在する。テトラメチレンテレフタレート繰り返し単位は、約5モル%以下、好ましくは5モル%未満、より好ましくは4.5モル%以下、さらにより好ましくは4モル%未満、さらにより好ましくは約3モル%以下、さらにより好ましくは3モル%未満、最も好ましくは約2.5モル%以下の量で存在する。約2モル%のポリ(テトラメチレンテレフタレート)が最も好ましい。それらは、エステル交換から生じたまたはコポリエステルとして添加されたポリ(テトラメチレンテレフタレート)コポリエステルおよび/またはポリ(トリメチレンテレフタレート)中に存在することができる。
【0018】
多くの場合、ポリマーブレンドは、ポリ(テトラメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたは少量の他の繰り返し単位を含むに過ぎないポリマーから調製されるであろう。当該場合には、前述の優先付きで、少なくとも約0.05〜約5モル%の量で添加されているポリ(テトラメチレンテレフタレート)についての言及が適切である。
【0019】
多くの場合には、トリメチレンテレフタレート繰り返し単位がたった1つの他の繰り返し単位または実質的にすべての他のポリマー繰り返し単位であろう。同様に、ポリマーブレンドは、多くの場合、ポリ(トリメチレンテレフタレート)ホモポリマー、または少量の他の繰り返し単位を含むに過ぎないポリマーから調製されるであろう。従って、テトラメチレンテレフタレート単位およびポリ(テトラメチレンテレフタレート)について上に記載されたものに対応した量で存在するトリメチレンテレフタレート単位またはポリ(トリメチレンテレフタレート)について言及することができる。
【0020】
このように、好ましい実施形態では、ポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物は、約95〜約99.95モル%のトリメチレンテレフタレート単位および約5〜約0.05モル%のテトラメチレンテレフタレート繰り返し単位を含む。
【0021】
好ましい実施形態では、ポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物は、ポリ(トリメチレンテレフタレート)および約0.05〜約5モル%のポリ(テトラメチレンテレフタレート)を含む。例えば、ポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物は、約97.5〜約99モル%のポリ(トリメチレンテレフタレート)および約2.5〜約1モル%のポリ(テトラメチレンテレフタレート)を含む。
【0022】
別の好ましい実施形態では、ポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物は、約0.05〜約5モル%のテトラメチレンテレフタレート繰り返し単位を含むポリ(トリメチレンテレフタレート)コポリエステルを含む。
【0023】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物は、下に記載されるように、他のポリマー、共重合体などを含むことができる。それ故、好ましい実施形態では、ポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物は、約70〜約99.95モル%のポリ(トリメチレンテレフタレート)、約5〜約0.05モル%のテトラメチレンテレフタレート繰り返し単位、および任意選択的に29.95モル%の以下の他のポリマー単位を含む。
【0024】
好ましい実施形態では、ポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物はスチレンポリマーをさらに含む。好ましくはスチレンポリマーは、ポリスチレン、アルキルまたはアリール置換ポリスチレンおよびスチレン多成分ポリマーよりなる群から選択され、最も好ましくはポリスチレンである。
【0025】
好ましくはポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物は、ヘキサメチレンジアミン、ポリアミド、艶消剤、核剤、熱安定剤、粘度向上剤、蛍光増白剤、顔料、および酸化防止剤よりなる群から選択された少なくとも1つをさらに含む。
【0026】
好ましい実施形態では、繊維はマルチフィラメント糸の形である。好ましい実施形態では、マルチフィラメント糸は部分延伸糸であり、紡糸工程は、少なくとも約3,000m/mの紡糸速度で紡糸口金を通してポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物を押し出すことを含む。別の好ましい実施形態では、マルチフィラメント糸は、約0.5〜約2.5dpfのフィラメントよりなる部分延伸糸であり、少なくとも約2,500m/mの紡糸速度で紡糸される。これらの方法は好ましくはフィラメントを交絡させるおよび巻き取る工程を含む。さらに別の好ましい実施形態では、本発明は、(a)部分延伸ポリ(トリメチレンテレフタレート)マルチフィラメント糸のパッケージを製造する工程と、(b)パッケージから糸をほどく工程と、(c)多成分フィラメント糸を延伸して延伸糸を形成する工程と、(d)延伸糸を仮撚りテクスチャー加工してテクスチャー加工糸を形成する工程と、(e)糸をパッケージ上へ巻き取る工程とによって製造された、ポリ(トリメチレンテレフタレート)多成分フィラメントを含むポリ(トリメチレンテレフタレート)マルチフィラメント・テクスチャー加工糸に関する。
【0027】
好ましい実施形態では、マルチフィラメント糸は紡糸延伸糸であり、加工は、延伸工程の終わりのローラーで測定される際に、約2,000〜約8,000メートル/分の延伸速度でフィラメントを延伸する工程を含む。紡糸延伸ポリ(トリメチレンテレフタレート)マルチフィラメント糸への多成分フィラメントの加工は、フィラメントを延伸する、アニールする、交絡させる、および巻き取る工程を好ましくは含む。本発明はまた、(a)紡糸延伸ポリ(トリメチレンテレフタレート)マルチフィラメント糸のパッケージを製造する工程と、(b)パッケージから糸をほどく工程と、(c)糸を仮撚りテクスチャー加工してテクスチャー加工糸を形成する工程と、(d)テクスチャー加工糸をパッケージ上へ巻き取る工程とを含む、ポリ(トリメチレンテレフタレート)マルチフィラメント・テクスチャー加工糸の製造方法にも関する。
【0028】
別の好ましい実施形態では、マルチフィラメント糸は嵩高加工連続フィラメント糸であり、加工は、フィラメントを延伸する、アニールする、嵩高加工する、絡み合わせる(それは嵩高加工と一緒に一工程で、または後の別個の工程で実施することができる)、任意選択的に弛緩させる、および巻き取る工程を含む。
【0029】
別の好ましい実施形態では、本方法は、マルチフィラメント糸をステープルファイバーへと切断する工程をさらに含む。
【0030】
さらなる実施形態は、モノフィラメントの製造に関する。
【0031】
本発明は、上の方法によって製造された繊維(例えば、マルチフィラメント糸、ステープル、モノフィラメント)に関する。
【0032】
本発明は、約0.05〜約5モル%のテトラメチレンテレフタレート繰り返し単位を含むポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物を含むポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維に関する。好ましい実施形態では、本発明は、該繊維を含むポリ(トリメチレンテレフタレート)マルチフィラメント糸に関する。本発明はまた、該糸からの布(例えば、織布、編布、および不織布)ならびにカーペットにも関する。
【0033】
本発明はまた、約0.05〜約5モル%のテトラメチレンテレフタレート単位を含むポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物にも関する。
【発明の効果】
【0034】
他の優位点は下に記載される。
【0035】
本発明は、実行者が高速紡糸法を用いることによって、ポリ(トリメチレンテレフタレート)糸の紡糸、特に部分延伸糸、紡糸延伸糸、嵩高加工連続フィラメント糸およびステープルファイバーの製造における生産性を高めることができるようにする。驚くべきことに、得られた糸は、高い伸びとテトラメチレンテレフタレート繰り返し単位なしのまたはより大量のテトラメチレンテレフタレート繰り返し単位を有するポリ(トリメチレンテレフタレート)から製造された糸よりも高い靱性との両方を有する。糸は、テクスチャー加工糸、布(例えば、編布、織布および不織布)およびカーペットのような多くの製品を製造するのに有用である。他の結果は下に記載される。
【発明を実施するための形態】
【0036】
高い紡糸速度で、ポリ(トリメチレンテレフタレート)糸、特に部分延伸糸を製造するための方法が開発された。本発明の利点は、ポリ(トリメチレンテレフタレート)および約0.05〜約5モル%のテトラメチレンテレフタレート繰り返し単位を含むポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物を用いて得られる。
【0037】
そうではないとの表示がない場合、「ポリ(トリメチレンテレフタレート)」(「3GT」または「PTT」)という言及は、ホモポリマーと、少なくとも約70モル%のトリメチレンテレフタレート繰り返し単位を含む共重合体と、少なくとも約70モル%のホモポリマーまたはコポリエステル含むポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物とを包含することを意味する。好ましいポリ(トリメチレンテレフタレート)は、少なくとも85モル%、より好ましくは少なくとも90モル%、さらにより好ましくは少なくとも95モル%または少なくとも98モル%、最も好ましくは約100モル%のトリメチレンテレフタレート繰り返し単位を含む。
【0038】
共重合体の例には、それぞれが2個のエステル形成基を有する3種もしくはそれ以上の反応体を用いて製造されたコポリエステルが挙げられる。例えば、コポリエステルを製造するのに使用されるコモノマーが4〜12個の炭素原子を有する直鎖、環式、および分枝の脂肪族ジカルボン酸(例えば、ブタン二酸、ペンタン二酸、ヘキサン二酸、ドデカン二酸、および1,4−シクロ−ヘキサンジカルボン酸);テレフタル酸以外の8〜12個の炭素原子を有する芳香族ジカルボン酸(例えば、イソフタル酸および2,6−ナフタレンジカルボン酸);2〜8個の炭素原子を有する直鎖、環式、および分枝の脂肪族ジオール(1,3−プロパンジオールおよび1,4−ブタンジオール以外の、例えば、エタンジオール、1,2−プロパンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、および1,4−シクロヘキサンジオール);ならびに4〜10個の炭素原子を有する脂肪族および芳香族エーテルグリコール(例えば、ヒドロキノンビス(2−ヒドロキシエチル)エーテル、またはジエチレンエーテルグリコールをはじめとする、約460よりも下の分子量を有するポリ(エチレンエーテル)グリコール)よりなる群から選択されるコポリ(トリメチレンテレフタレート)を使用することができる。コモノマーは典型的にはコポリエステル中に約0.5〜約15モル%の範囲のレベルで存在し、30モル%以下の量で存在することができる。
【0039】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)は少量の他のコモノマーを含むことができ、かかるコモノマーは通常それらが特性にいかなる有意な悪影響を持たないように選択される。かかる他のコモノマーには、例えば、約0.2〜約5モル%の範囲のレベルでの5−スルホイソフタレート−ナトリウムが含まれる。非常に少量の三官能性コモノマー、例えば、トリメリット酸を粘度調節のために組み入れることができる。
【0040】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)はまた、(特許文献13)または(特許文献14)に記載されているように酸染色できるポリエステル組成物でもあり得る。(特許文献15)のポリ(トリメチレンテレフタレート)は、酸染色できるおよび酸染色されたポリエステル組成物の酸染色性を増進するのに有効な量で第二級アミンまたは第二級アミン塩を含む。好ましくは、第二級アミン単位は少なくとも約0.5モル%、より好ましくは少なくとも1モル%の量でポリマー組成物中に存在する。第二級アミン単位は、組成物の重量を基準にして、好ましくは約15モル%以下、より好ましくは約10モル%以下、最も好ましくは5モル%以下の量でポリマー組成物中に存在する。(特許文献14)の酸染色できるポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物は、ポリ(トリメチレンテレフタレート)および第三級アミンをベースとする高分子添加物を含む。該高分子添加物は、(i)トリアミン含有第二級アミンまたは第二級アミン塩単位と(ii)1種もしくは複数種の他のモノマーおよび/またはポリマー単位とから製造される。好ましい一高分子添加物は、ポリ−イミノ−ビスアルキレン−テレフタルアミド、−イソフタルアミドおよび−1,6−ナフタルアミド、ならびにそれらの塩よりなる群から選択されたポリアミドを含む。本発明で有用なポリ(トリメチレンテレフタレート)はまた陽イオン的にも染色できるか、または米国特許公報(特許文献16)に記載されているもののような染色された組成物、および染色された組成物もしくは染料含有組成物であり得る。
【0041】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)は、30モル%以下の他のポリマーとブレンドすることができる。例は、上に記載されたもののような他のジオールから製造されたポリエステルである。他の高分子添加物を、強度を改善するために、後の押出加工を促進するまたは他の便益を提供するために添加することができる。例えば、ヘキサメチレンジアミンを、強度および加工性を増やすために約0.5〜約5モル%という少量で本発明の酸染色できるポリエステル組成物に添加することができる。ナイロン6またはナイロン6−6のようなポリアミドを、強度および加工性を増やすために約0.5〜約5モル%という少量で本発明の酸染色できるポリエステル組成物に添加することができる。核剤、好ましくは0.005〜2重量%の、テレフタル酸モノナトリウム塩、ナフタレンジカルボン酸モノナトリウム塩およびイソフタル酸モノナトリウム塩よりなる群から選択されたジカルボン酸のモノ−ナトリウム塩を、米国特許公報(特許文献17)に記載されているように核剤として添加することができる。好ましいポリ(トリメチレンテレフタレート)は、少なくとも85モル%、より好ましくは少なくとも90モル%、さらにより好ましくは少なくとも95または少なくとも98モル%、最も好ましくは約100モル%のポリ(トリメチレンテレフタレート)ポリマーを含む。
【0042】
本発明のポリ(トリメチレンテレフタレート)の固有粘度は少なくとも約0.70dl/g、好ましくは少なくとも約0.80dl/g、より好ましくは少なくとも約0.90dl/g、最も好ましくは少なくとも約1.0dl/gである。本発明のポリエステル組成物の固有粘度は好ましくは約2.0dl/g以下、より好ましくは1.5dl/g以下、最も好ましくは約1.2dl/g以下である。
【0043】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)およびポリ(トリメチレンテレフタレート)の好ましい製造技術は、米国特許公報(特許文献18)、米国特許公報(特許文献19)、米国特許公報(特許文献20)、米国特許公報(特許文献21)、米国特許公報(特許文献22)、米国特許公報(特許文献23)、米国特許公報(特許文献24)、米国特許公報(特許文献25)、米国特許公報(特許文献26)、米国特許公報(特許文献27)、米国特許公報(特許文献28)、米国特許公報(特許文献29)、米国特許公報(特許文献30)、米国特許公報(特許文献31)、米国特許公報(特許文献32)、米国特許公報(特許文献33)、米国特許公報(特許文献34)、米国特許公報(特許文献35)、米国特許公報(特許文献36)、米国特許公報(特許文献37)、米国特許公報(特許文献38)、米国特許公報(特許文献39)、米国特許公報(特許文献40)、米国特許公報(特許文献41)、米国特許公報(特許文献42)、米国特許公報(特許文献43)、米国特許公報(特許文献44)、米国特許公報(特許文献45)、米国特許公報(特許文献46)、米国特許公報(特許文献47)、米国特許公報(特許文献48)、米国特許公報(特許文献17)、米国特許公報(特許文献49)、米国特許公報(特許文献50)、米国特許公報(特許文献51)、米国特許公報(特許文献16)、米国特許公報(特許文献52)、米国特許公報(特許文献53)、米国特許公報(特許文献54)、米国特許公報(特許文献55)および米国特許公報(特許文献56)、(特許文献57)、(特許文献58)、(特許文献59)、(特許文献60)、および(特許文献61)、(非特許文献1)、(非特許文献2)ならびに米国特許公報(特許文献62)に記載されている。本発明のポリエステルとして有用なポリ(トリメチレンテレフタレート)は、商標ソロナ(Sorona)で、デラウェア州ウィルミントン(Wilmington,Delaware)の本願特許出願人から商業的に入手可能である。
【0044】
本発明は、ポリ(トリメチレンテレフタレート)およびポリ(テトラメチレンテレフタレート)(「4GT」)のポリマーブレンドであるポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物を調製することによって好ましくは行われる。ポリ(テトラメチレンテレフタレート)は、糸製造方法をさらに改善するために使用される。
【0045】
テトラメチレンテレフタレート繰り返し単位は、少なくとも約0.05モル%、好ましくは少なくとも約0.1モル%、より好ましくは少なくとも約0.5モル%、さらにより好ましくは少なくとも約0.6モル%、さらにより好ましくは少なくとも約0.75モル%、さらにより好ましくは少なくとも約0.9モル%、さらにより好ましくは少なくとも約1モル%、さらにより好ましくは1モル%よりも多い、さらにより好ましくは少なくとも約1.5モル%、最も好ましくは1.5モル%よりも多いポリ(テトラメチレンテレフタレート)の量でポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物中に存在する。テトラメチレンテレフタレート繰り返し単位は、約5モル%以下、好ましくは5モル%未満、より好ましくは4.5モル%以下、さらにより好ましくは4モル%未満、さらにより好ましくは約3モル%以下、さらにより好ましくは3モル%未満、最も好ましくは約2.5モル%以下のポリ(テトラメチレンテレフタレート)の量で存在する。約2モル%のポリ(テトラメチレンテレフタレート)が最も好ましい。それらは、ポリ(テトラメチレンテレフタレート)および/またはエステル交換から生じたまたは添加されたポリ(トリメチレンテレフタレート)コポリエステルの形であることができる。
【0046】
多くの場合、ポリマーブレンドは、ポリ(テトラメチレンテレフタレート)ホモポリマーまたは少量の他の繰り返し単位を含むに過ぎないポリマーから調製されるであろう。当該場合には、前述の優先付きで、少なくとも約0.05〜約5モル%の量で添加されているポリ(テトラメチレンテレフタレート)についての言及が適切である。
【0047】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)およびポリ(テトラメチレンテレフタレート)は、熱でエステル交換を受けることができ、その結果、ポリ(テトラメチレンテレフタレート)の幾らかまたはすべてがポリ(トリメチレンテレフタレート)と反応してコポリエステルを形成するであろう。それ故、生じた生成物は、上に記載された範囲内の量(例えば、約0.05〜約5モル%)でテトラメチレンテレフタレート繰り返し単位を含むポリ(トリメチレンテレフタレート)コポリエステルとして記載することができる。
【0048】
トリメチレンまたはテトラメチレンテレフタレート繰り返し単位のモル百分率について言及する場合、言及は繰り返し単位のブロックよりもむしろ個々の繰り返し単位についてである。
【0049】
任意の商業的に入手可能なポリ(テトラメチレンテレフタレート)が本発明で有用であるはずである。好ましいポリ(テトラメチレンテレフタレート)は約0.6〜約1.5dl/gの固有粘度を有する。
【0050】
最も重要な因子は組成物中のテトラメチレンテレフタレート繰り返し単位の総数であるので、ポリ(テトラメチレンテレフタレート)もまた、ポリ(トリメチレンテレフタレート)について上に記載されたような他の繰り返し単位を含むことができる。
【0051】
トリメチレンテレフタレート繰り返し単位対テトラメチレンテレフタレート繰り返し単位の分子量比は0.94である。それ故、テトラメチレンテレフタレート繰り返し端の重量%は、モル%に0.94を乗じることによって計算することができる。
【0052】
本発明はまた、約0.05〜約5モル%のテトラメチレンテレフタレート単位を、好ましくはポリ(トリメチレンテレフタレート)/ポリ(テトラメチレンテレフタレート)ブレンドに関して上に記載された量で含むポリ(トリメチレンテレフタレート)コポリエステルから出発して実施することもできる。
【0053】
ここで、「コポリエステル」は、全部のトリメチレンテレフタレート繰り返し単位およびテトラメチレンテレフタレート繰り返し単位が本明細書に記載された範囲にあるという条件で、2種もしくはそれ以上の成分を有することができるポリエステルに関して用いられる。コポリエステルは、ブロックまたはランダム・コポリエステルであることができ、公知の重縮合技術によって製造することができる。
【0054】
好ましい実施形態では、繊維はスチレンポリマー入りで製造される。「スチレンポリマー」とは、ポリスチレンおよびその誘導体を意味する。好ましくはスチレンポリマーは、ポリスチレン、アルキルまたはアリール置換ポリスチレンおよびスチレン多成分ポリマーよりなる群から選択される。ここで、「多成分」には、共重合体、三元重合体、四元重合体など、およびブレンドが含まれる。
【0055】
より好ましくはスチレンポリマーは、ポリスチレン、α−メチルスチレン、p−メトキシスチレン、ビニルトルエン、ハロスチレンおよびジハロスチレン(好ましくはクロロスチレンおよびジクロロスチレン)から製造されたアルキルまたはアリール置換ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体およびブレンド、スチレン−アクリロニトリル共重合体およびブレンド、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン三元重合体およびブレンド、スチレン−ブタジエン−スチレン三元重合体およびブレンド、スチレン−イソプレン共重合体、三元重合体およびブレンド、ならびにそれらのブレンドまたは混合物よりなる群から選択される。さらにより好ましくは、スチレンポリマーは、ポリスチレン、メチル、エチル、プロピル、メトキシ、エトキシ、プロポキシおよびクロロ置換ポリスチレン、またはスチレン−ブタジエン共重合体、ならびにそれらのブレンドおよび混合物よりなる群から選択される。なおいっそうより好ましくは、スチレンポリマーは、ポリスチレン、α−メチル−ポリスチレン、ならびにスチレン−ブタジエン共重合体およびそのブレンドよりなる群から選択される。最も好ましくは、スチレンポリマーはポリスチレンである。
【0056】
スチレンポリマーの数平均分子量は、少なくとも約5,000、好ましくは少なくとも50,000、より好ましくは少なくとも約75,000、さらにより好ましくは少なくとも約100,000、最も好ましくは少なくとも約120,000である。スチレンポリマーの数平均分子量は、好ましくは約300,000以下、より好ましくは約200,000以下、最も好ましくは約150,000以下である。
【0057】
有用なポリスチレンは、アイソタクチック、アタクチック、またはシンジオタクチックであり得るが、アタクチック高分子量ポリスチレンが好ましい。本発明で有用なスチレンポリマーは、ダウ・ケミカル社(Dow Chemical Co.)(ミシガン州、ミッドランド(Midland,MI))、バスフ(BASF)(ニュージャージー州マウント・オリーブ(Mount Olive,NJ))およびシグマ−アルドリッチ(Sigma−Aldrich)(ミズーリ州セントルイス(Saint Louis,MO))をはじめとする多数の供給業者から商業的に入手可能である。
【0058】
好ましい一実施形態では、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、ポリ(テトラメチレンテレフタレート)および、任意選択的にスチレンポリマーのような他の成分は溶融ブレンドされ、次に押し出され、ペレットへと切断される。(「ペレット」はこの点では総称的に用いられ、形状にかかわらず用いられ、その結果、それは時々「チップ」、「フレーク」などと呼ばれる製品を含むために用いられる。)次にペレットは再溶融され、フィラメントへと押し出される。用語「混合物」は、再溶融前のペレットを言うのに用いられ、用語「ブレンド」は、一度それらが再溶融されたものを言うのに用いられる。フィラメントの様々な製造方法が混合物またはブレンドに添加されているアイテムを必要とし得ることは容易に理解されるであろうが、本明細書に記載されるポリ(トリメチレンテレフタレート)、ポリ(テトラメチレンテレフタレート)、スチレンポリマーおよび他のアイテムの相対的重量についての議論を考えるに当たっては、同じ百分率が混合物およびブレンドの両方に適用され、それ故、幾つかの設備では百分率は変わり得るが、ポリマーの比は同じままであるべきである。便宜上、具体的な言及が再溶融前の混合物についてである場合を除いて、言及は本明細書ではブレンド中のポリマーの量についてであろう。
【0059】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物は、好ましくは(ポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物中のポリマーの)少なくとも約70重量%、より好ましくは少なくとも約80重量%、さらにより好ましくは少なくとも85重量%、より好ましくは少なくとも約90重量%、最も好ましくは少なくとも約95重量%、および幾つかの場合さらにより好ましくは少なくとも98重量%のポリ(トリメチレンテレフタレート)およびポリ(テトラメチレンテレフタレート)、および/またはコポリエステルを含む。それは、好ましくは約99.9%以下のポリ(トリメチレンテレフタレート)およびポリ(テトラメチレンテレフタレート)、および/またはコポリエステルを含む。
【0060】
好ましい一実施形態では、ポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物は、ポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物中のポリマーの、好ましくは少なくとも約0.1重量%、より好ましくは少なくとも約0.5%重量のスチレンポリマーを含む。それは、ポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物中のポリマーの、好ましくは約10重量%以下、より好ましくは約5重量%以下、さらにより好ましくは約2重量%以下、最も好ましくは約1.5重量%以下のスチレンポリマーを含む。多くの場合、ポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物中のポリマーの約0.8重量%〜約1重量%スチレンポリマーが好ましい。2つもしくはそれ以上のスチレンポリマーを使用することができるので、スチレンポリマーという言及は少なくとも1つのスチレンポリマーを意味し、言及される量はポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物中に使用されたスチレンポリマーの総量についての表示である。
【0061】
艶消剤、熱安定剤、粘度向上剤、蛍光増白剤、顔料、および酸化防止剤をはじめとする添加剤を使用することができる。米国特許公報(特許文献63)、米国特許公報(特許文献64)および米国特許公報(特許文献65)、(特許文献66)および(特許文献67)、ならびに(特許文献68)に記載されているような、TiO2または他の顔料を添加することができる。
【0062】
本発明の一利点は、添加剤を、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、ポリ(テトラメチレンテレフタレート)、コポリエステルと一緒に、または1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオールもしくは他のキャリヤーもしくはスラリーを用いることをはじめとする別のやり方で添加できることである。
【0063】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物は、物理的ブレンドおよび溶融ブレンドをはじめとする任意の公知の技術によって提供することができる。それらは多くの異なる方法でブレンドすることができる。例えば、それらは、(a)加熱し、同時に混合する、(b)加熱前に別個の装置中でプレミックスする、または(c)加熱し、次に混合することができる。好ましい一実施形態では、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、ポリ(テトラメチレンテレフタレート)および、任意選択的にスチレンポリマーは溶融ブレンドされ、配合される。より具体的には、それらは混合され、ブレンドを形成するのに十分な温度で加熱され、そして冷却時に、ブレンドはペレットのような造形品へと成形される。混合、加熱および成形は、押出機、バンバリー(Banbury)ミキサーなどのような当該目的のためにデザインされた従来装置によって実施することができる。別のアプローチには、トランスファー・ライン射出によってポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物を調製することが含まれる。好適なブレンディングのためには、温度は各成分の融点よりも上であるが、最低分解温度よりも下であるべきであり、従ってポリ(トリメチレンテレフタレート)およびポリスチレンの任意の特定組成物に対して調節されなければならない。本発明の特定のポリスチレン組成物に依存して、温度は典型的には約200℃〜約270℃の範囲にあり、最も好ましくは少なくとも約250℃、そして好ましくは約260℃以下である。
【0064】
「繊維」とは、連続フィラメント、モノフィラメント、ステープルなどのような繊維として当該技術で認められているアイテムを言う。繊維は円形であることができ、または八葉形、三角形、サンバースト(またソルとしても知られる)、スカラップ卵形、三葉形、テトラ−チャネル(また四チャネルとしても知られる)、スカラップ・リボン、リボン、星形などのような他の形状を有することができる。それらは中実、中空またはマルチ中空であることができる。それらは、布、カーペット(嵩高加工連続フィラメントおよびステープルから)、および他の製品を製造するのに使用することができる。布には、編布、織布および不織布が含まれる。
【0065】
繊維は同一繊維または多成分繊維であってもよい。「同一繊維」とは、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、および/またはコポリエステルを含む繊維を言う。
【0066】
スチレンポリマーが使用される場合、繊維は多成分または二成分繊維である。「多成分繊維」とは、連続のポリマー相と繊維の全体にわたって分散された1つもしくは複数の不連続のポリマー相とを有する繊維を意味する。スチレンポリマーは不連続相を形成し、フィラメントの全体にわたって高度に分散している。スチレンポリマーは、繊維の全体にわたって実質的に一様に分散されていると見ることができる。「二成分」は、二つとないポリマー相がポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物およびスチレンポリマーであるケースを言うのに用いられる。
【0067】
使用される場合、スチレンポリマーはポリ(トリメチレンテレフタレート)ポリマー・マトリックスの全体にわたって高度に分散される。好ましくは、分散されたスチレンポリマーは、約1,000nm未満、より好ましくは約500nm未満、さらにより好ましくは約200nm未満、最も好ましくは約100nm未満の平均断面サイズを有し、断面は約1nmほどに小さいものであり得る。「断面サイズ」とは、フィラメントの放射画像から測定された時のサイズを言う。
【0068】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)の部分延伸糸は、米国特許公報(特許文献1)および米国特許公報(特許文献69)、ならびに米国特許公報(特許文献70)に記載されている。ポリ(トリメチレンテレフタレート)フィラメントを紡糸する、交絡させるおよび巻き取る工程を含む部分延伸糸の製造の基本工程はそれらの明細書に記載されている。本発明は、それらの工程または部分延伸ポリエステル糸の製造に通常用いられる他の工程を用いて行うことができるが、より高速で本方法を実施するという利点を提供する。
【0069】
好ましくは、紡糸前に組成物は、任意のスチレンポリマーだけでなく、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、ポリ(テトラメチレンテレフタレート)、および/またはコポリエステルのそれぞれの融点よりも上の温度に加熱され、紡糸口金を通して、および約235℃〜約295℃、好ましくは少なくとも約250℃、そして好ましくは約290℃以下、最も好ましくは約270℃以下の温度で組成物を押し出す。
【0070】
部分延伸糸はマルチフィラメント糸である。該糸(また「束」としても知られる)は好ましくは少なくとも約10、さらにより好ましくは少なくとも約25フィラメントを含み、そして典型的には約150もしくはそれ以上以下、好ましくは約100以下、より好ましくは約80以下のフィラメントを含むことができる。34、48、68または72フィラメントを含む糸が普通である。糸は典型的には少なくとも約5、好ましくは少なくとも約20、好ましくは少なくとも約50、そして約1,500もしくはそれ以上以下、好ましくは約250以下の総合デニールを有する。
【0071】
フィラメントは好ましくは少なくとも約0.5dpf、より好ましくは少なくとも約1dpf、そして約10dpfもしくはそれ以上以下、より好ましくは約7dpf以下である。典型的なフィラメントは約3〜約7dpfであり、細かいフィラメントは約0.5〜約2.5dpfである。
【0072】
紡糸速度は約1,800〜約8,000メートル/分(「m/m」)もしくはそれ以上に及ぶことができ、好ましくは少なくとも約2,000m/m、より好ましくは少なくとも約2,500m/m、最も好ましくは少なくとも約3,000m/mである。本発明の一利点は、ポリ(トリメチレンテレフタレート)の部分延伸糸をポリ(エチレンテレフタレート)の部分延伸糸を紡糸するのに以前に用いられた装置で紡糸できることであり、その結果、紡糸速度は好ましくは約4,000m/m以下、より好ましくは約3,500m/m以下である。ポリ(トリメチレンテレフタレート)の部分延伸糸を紡糸するためにしばしば用いられる約3,200m/mという紡糸速度が好ましい。
【0073】
本発明は、主として典型的な約3〜約7dpfのフィラメントに関して議論される。細かいフィラメントに対する紡糸速度はより低い。例えば、細かいフィラメントのポリ(トリメチレンテレフタレート)マルチフィラメント糸は現在2,000m/m未満で紡糸されているが、本発明ではそれらは約2,500m/mもしくはそれ以上のような、より高速で紡糸することができる。
【0074】
部分延伸糸は通常パッケージ上に巻き取られ、布を製造するのに使用するかまたはテクスチャー加工糸のような他のタイプの糸へとさらに加工することができる。それらはまた、布の製造またはさらなる加工の前に缶中に保管することもでき、またはパッケージもしくは他の保管を形成することなしに直接使用することもできる。
【0075】
紡糸延伸糸(また「十分に延伸された糸」としても知られる)もまた本発明を用いて有利に製造することもできる。ポリ(トリメチレンテレフタレート)フィラメントを紡糸する工程、延伸する工程、任意選択的におよび好ましくはアニールする工程、任意選択的に交錯させる工程、および巻き取る工程をはじめとする紡糸延伸糸の好ましい製造工程は、ポリ(エチレンテレフタレート)糸を製造するために用いられるものに似ている。
【0076】
本発明の一利点は、本発明のポリマーが使用されない場合よりも高速で本方法を実施できることである。
【0077】
本発明の別の利点は、紡糸延伸糸を、ポリ(トリメチレンテレフタレート)それだけでよりも高い延伸比を用いて製造できることである。これは、標準よりも低い紡糸速度を用い、次に以前に用いられた速度で延伸することによって行うことができる。本方法を実施する場合、以前に遭遇したよりも破断が少ない。
【0078】
好ましくは、紡糸前にポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物は、任意のスチレンポリマーだけでなく、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、ポリ(テトラメチレンテレフタレート)および/またはコポリエステルのそれぞれの融点よりも上の温度に加熱され、紡糸口金を通して、および約235℃〜約295℃、好ましくは少なくとも約250℃、そして好ましくは約290℃以下、最も好ましくは約270℃以下の温度で組成物を押し出す。
【0079】
これらの糸もまたマルチフィラメント糸である。糸(また「束」としても知られる)は好ましくは少なくとも約10、さらにより好ましくは少なくとも約25フィラメントを含み、典型的には約150もしくはそれ以上以下、好ましくは約100以下、より好ましくは約80フィラメント以下を含むことができる。34、48、68または72フィラメントを含む糸が普通である。糸は典型的には少なくとも約5、好ましくは少なくとも約20、好ましくは少なくとも約50、そして約1,500もしくはそれ以上以下、好ましくは約250以下の総合デニールを有する。
【0080】
フィラメントは好ましくは少なくとも約0.1dpf、より好ましくは少なくとも約0.5dpf、より好ましくは少なくとも約0.8dpf、そして約10dpfもしくはそれ以上以下、より好ましくは約5dpf以下、最も好ましくは約3dpf以下である。
【0081】
延伸比は少なくとも1.01、好ましくは少なくとも約1.2、より好ましくは少なくとも約1.3である。延伸比は好ましくは約5以下、より好ましくは約3以下、最も好ましくは約2.5以下である。
【0082】
延伸速度(延伸工程の終わりのローラーで測定される際に)は約2,000メートル/分(m/m)もしくはそれ以上に及ぶことができ、好ましくは少なくとも約3,000m/m、より好ましくは少なくとも約3,200m/m、そして好ましくは約8,000m/m以下、より好ましくは約7,000m/m以下である。
【0083】
紡糸延伸糸は通常パッケージ上に巻き取られ、布を製造するのに使用するか、またはテクスチャー加工糸のような他のタイプの糸へとさらに加工することができる。それらはまた、布の製造またはさらなる加工の前に缶中に保管することもでき、またはパッケージもしくは他の保管を形成することなしに直接使用することもできる。
【0084】
テクスチャー加工糸は、部分延伸糸または紡糸延伸糸から製造することができる。主な相違は、部分延伸糸は延伸を通常必要とするが、紡糸延伸糸は既に延伸されていることである。
【0085】
米国特許公報(特許文献1)および米国特許公報(特許文献69)、ならびに米国特許公報(特許文献70)は、部分延伸糸からテクスチャー加工糸を製造する基本工程を記載している。本発明は、それらの工程または部分延伸ポリエステル糸の製造に通常用いられる他の工程を用いて行うことができる。基本工程には、パッケージから糸をほどく工程、延伸する工程、撚る工程、ヒートセットする工程、撚りをもどす工程、およびパッケージ上へ巻き取る工程が含まれる。テクスチャー加工は、仮撚りテクスチャー加工として一般に知られている方法によって撚る、ヒートセットする、および撚りをもどすことによって捲縮を与える。仮撚りテクスチャー加工は、過度の糸およびフィラメント破損を避けるために注意深く制御される。
【0086】
米国特許公報(特許文献1)および米国特許公報(特許文献69)、ならびに米国特許公報(特許文献70)に記載されている摩擦仮撚りに好ましい方法は、部分延伸糸を140℃〜220℃の温度に加熱する工程と、撚り挿入装置とヒーターの入口との間の領域で糸が約46°〜52°の撚り角度を有するように撚り挿入装置を用いて糸を撚る工程と、巻取機に糸を巻き取る工程とを含む。
【0087】
紡糸延伸糸から製造される場合、本方法は、延伸が非常に低レベルまで減らされる(例えば、延伸比は1.01ほどに低いことができる)ことを除いて同じものである。
【0088】
これらのマルチフィラメント糸(また「束」としても知られる)は、部分延伸糸およびそれらがそれから製造される紡糸延伸糸と同じ数のフィラメントを含む。従って、それらは好ましくは少なくとも約10、さらにより好ましくは少なくとも約25フィラメントを含み、典型的には約150もしくはそれ以上以下、好ましくは約100以下、より好ましくは約80以下のフィラメントを含むことができる。糸は典型的には少なくとも約1、より好ましくは少なくとも20、好ましくは少なくとも約50、そして約1,500もしくはそれ以上以下、好ましくは約250以下の総合デニールを有する。
【0089】
フィラメントは好ましくは少なくとも約0.1dpf、より好ましくは少なくとも約0.5dpf、より好ましくは少なくとも約0.8dpf、そして約10もしくはそれ以上以下、より好ましくは約5dpf以下、最も好ましくは約3dpf以下である。
【0090】
部分延伸糸から製造される場合、延伸比は少なくとも1.01、好ましくは少なくとも約1.2、より好ましくは少なくとも約1.3である。延伸比は好ましくは約5以下、より好ましくは約3以下、最も好ましくは約2.5以下である。延伸速度は(延伸工程の終わりのローラーで測定される際に)約50〜約1,200メートル/分(m/m)もしくはそれ以上に及ぶことができ、好ましくは少なくとも約300m/m、および好ましくは約1,000m/m以下である。
【0091】
紡糸延伸糸から製造される場合、速度は(繊維が接触する第1ゴデットで測定したところでは)約50〜約1,200メートル/分(m/m)もしくはそれ以上に及ぶことができ、好ましくは少なくとも約300m/m、そして好ましくは約800m/m以下である。
【0092】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)嵩高加工連続フィラメント(「BCF」)糸およびそれらの製造は、米国特許公報(特許文献2)、米国特許公報(特許文献71)および米国特許公報(特許文献72)、米国特許公報(特許文献73)、ならびに(特許文献74)に記載されている。BCF糸は、織編物だけでなく、すべてのタイプのカーペットを製造するのに使用される。本発明の組成物は、それらの製造の紡糸速度を改善するために使用することができる。
【0093】
嵩高加工連続フィラメントの製造に含まれる好ましい工程には、紡糸する工程(例えば、フィラメントを押し出す、冷却するおよび(紡糸仕上剤を)コーティングする工程)と、約80〜約200℃で、および約3〜約5、好ましくは少なくとも約3.4、そして好ましくは約4.5以下の延伸比で(好ましくは加熱ロール、加熱ピンまたは熱媒補助(例えば、スチームまたは空気)で)一段または多段延伸する工程と、約120〜約200℃の温度でアニールする工程と、嵩高加工する工程と、(嵩高加工と共に1工程でまたは次の別個の工程で実施することができる)絡み合わせる工程と、任意選択的に弛緩させる工程と、次の使用のためにパッケージ上にフィラメントを巻き取る工程とが含まれる。
【0094】
嵩高加工連続フィラメント糸は、周知技術を用いてカーペットにすることができる。典型的には、多数の糸が一緒にケーブル撚りされ、オートクレーブ、スエッセンまたはスーパーバ(Suessen or Superba)(登録商標)のような装置中でヒートセットされ、次に一次基布中へ房付けされる。ラテックス接着剤および二次基布が次に付けられる。
【0095】
本発明の別の利点は、より高い紡糸速度の使用のために延伸比を低くする必要がないことである。すなわち、ポリ(トリメチレンテレフタレート)配向は、紡糸速度が増やされた時に通常増加する。より高い配向では、延伸比は通常減らされる必要がない。本発明では、ポリ(トリメチレンテレフタレート)配向が低くされ、その結果実行者はより低い延伸比を用いることを要求されない。
【0096】
ステープルファイバーおよび製品は、(特許文献75)、(特許文献76)、(特許文献8)、および(特許文献9)に記載されている方法を用いて製造することができる。ポリ(トリメチレンテレフタレート)ステープルファイバーは、該組成物を(任意のスチレンポリマーと)約245〜約285℃の温度でフィラメントへと溶融紡糸し、フィラメントを急冷し、急冷フィラメントを延伸し、延伸フィラメントを捲縮し、そしてフィラメントを、好ましくは約0.2〜約6インチ(約0.5〜約15cm)の長さを有するステープルファイバーへと切断することによって製造することができる。
【0097】
好ましい一方法は(a)ポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物(任意のスチレンポリマー入り)を提供する工程と、(b)溶融したポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物を約245〜約285℃の温度でフィラメントへと溶融紡糸する工程と、(c)フィラメントを急冷する工程と、(d)急冷フィラメントを延伸する工程と、(e)延伸フィラメントを、機械的捲縮機を用いて約8〜約30捲縮毎インチ(約3〜約12捲縮/cm)の捲縮レベルで捲縮する工程と、(f)約50〜約120℃の温度で捲縮フィラメントを弛緩させる工程と、(g)弛緩フィラメントを、約0.2〜約6インチ(約0.5〜約15cm)の長さを好ましくは有するステープルファイバーへと切断する工程とを含む。本方法の好ましい一実施形態では、延伸フィラメントは捲縮前に約85〜約115℃でアニールされる。好ましくは、アニーリングは加熱ローラーを用いて張力下で実施される。別の好ましい実施形態では、延伸糸は捲縮前にアニールされない。
【0098】
ステープルファイバーは、織編用糸および織編物または不織布を製造するのに有用であり、繊維充填材用途およびカーペット製造にも使用することができる。
【0099】
本発明はまた、モノフィラメントを製造するのに用いることもできる。好ましくはモノフィラメントは10〜200dpfである。モノフィラメント、モノフィラメント糸およびそれらの使用は、米国特許公報(特許文献65)および(特許文献77)に記載されている。本発明は主としてマルチフィラメント糸に関して記載されているが、本明細書に記載される優位点はモノフィラメントに提供できることが理解されるべきである。
【0100】
1紡糸口金を用いて2つ以上のタイプの糸を製造することは可能であるが、本発明は1紡糸口金を用いて1タイプのフィラメントを紡糸することによって好ましくは行われる。
【0101】
本発明はまた、上に記載されたポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物にも関する。繊維で有用であることに加えて、かかる組成物はまた、フィルム、フィルム層、ボトル、シート、エンジニアリング・ポリマー成分などのような他の造形品でも有用である。
【実施例】
【0102】
次の実施例は、本発明を例示する目的のために提示され、限定することを意図するものではない。すべての部、百分率などは、特に明記しない限り重量による。
【0103】
(固有粘度)
固有粘度(IV)は、米国材料試験協会(ASTM)D5225−92に準拠した自動化方法に従って19℃で0.4グラム/dL濃度で50/50重量%トリフルオロ酢酸/塩化メチレンに溶解したポリ(トリメチレンテレフタレート)またはポリ(テトラメチレンテレフタレート)についてヴィスコテック強制流動粘度計(Viscotek Forced Flow Viscometer)Y900(テキサス州ヒューストンのヴィスコテック・コーポレーション(Viscotek Corporation,Houston,TX))で測定した粘度を用いて測定した。これらの測定したIV値を、ASTM D4603−96に従って60/40重量%フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタン中で手動で測定したIV値と相関させた。
【0104】
(靱性および破断伸び)
次の実施例で報告するポリ(トリメチレンテレフタレート)糸の物理的性質は、インストロン社(Instron Corp.)引張試験機、モデルNo.1122を用いて測定した。より具体的には、破断伸びEb、および靱性はASTM D−2256に従って測定した。
【0105】
(リーソナ(Leesona)かせ収縮試験)
周知のリーソナかせ収縮試験を、テクスチャー加工糸の嵩高さを測定するために用いた。先ず、必要とされるラップの数を、次式を用いて求めた。
ラップの数=12,500デニール/(糸デニール×2)
次に、上の方程式から求めたラップの数を用いてかせをリール上に巻き付け、リールの円周を最終計算での使用のために測定した。次に、20グラム重りをかせからつるし、かせをリールから取り外した。(かせを弛緩させなかった。)かせを20グラム張力下で依然としてつるしたまま、それを180°Fで10分間水の容器中に完全に浸漬した。かせを水の容器から取り出し(重りを取り除くことなく)、2分後に20グラム重りを付けたままかせの長さを測定した。かせ収縮を、式:
パーセントかせ収縮=(LO−LF)×100/LO
(ここで、LO=かせの元の長さ(リールの1/2円周)、およびLF=ホットトリートメント後の重りが付いた状態の最終長さである)を用いて計算した。
【0106】
(ポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物)
ポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物を、1.02のIVを有するソロナ(Sorona)(登録商標)セミ−ダル・ポリ(トリメチレンテレフタレート)(CPポリマー)ペレット(デラウェア州ウィルミントンの本願特許出願人から入手可能な)(ポリ(トリメチレンテレフタレート))からそれだけで(対照)またはクラスチン(Crastin)(登録商標)6129ポリ(テトラメチレンテレフタレート)(デラウェア州ウィルミントンの本願特許出願人)入りで調製した。
【0107】
スチレンポリマーは、7.5g/10分のメルトインデックス(ASTM1238、200℃/5kg)、107℃の軟化点(ASTM−D1525)、83,000のMn(ASTM D5296−97)を有するシグマ−アルドリッチ43,010−2であった。
【0108】
次の手順を用いた。
(手順A)
ポリ(トリメチレンテレフタレート)ペレットを、30ミリメートル(mm)のバレル直径のおよびMJM−4スクリュー付きの通常のスクリュー再溶融配合機(ニュージャージー州ラムゼイのヴェルナー・アンド・プフライデラー社(Werner & Pfleiderer Corp.,Ramsey,NJ))を用いてポリ(テトラメチレンテレフタレート)および、任意選択的にポリスチレンと配合した。押出ダイは、ダイ入口にスクリーン・フィルター付きで直径が3/16インチ(4.76mm)であった。
【0109】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)ペレットを、15mm中空オーガーおよび25mmチューブ付きケイ−トロン(K−tron)5200供給機(ニュージャージー州ピットマンのケイ−トロン・インターナショナル社(K−Tron International,Inc.,Pitman,NJ))を用いてスクリュー・スロート中へ供給した。名目上ベースポリマー供給速度は、用いた重量%に依存した。
【0110】
ポリ(テトラメチレンテレフタレート)ペレットおよび、使用する場合には、ポリスチレン(PS)ペレットをまた、二軸P1スクリュー付きケイ−トロンT−20供給機を用いてスクリュー・スロート中へ供給した。たった1つの螺旋状供給スクリューを用いた。典型的には押出機スロートで真空にひいた。
【0111】
配合機のバレル区分を次の温度に保持した。第1加熱バレル区分はスイッチを切った。第2および第3区分は170℃に設定した。残りの11区分は200℃に設定した。スクリューは225回転毎分(「rpm」)に設定し、押出ダイで250℃の溶融温度をもたらした。
【0112】
押出物は水浴中へ流れ込み、配合ポリマーをモノフィラメントへと凝固させた。次に、フィラメントを2mm長さペレットへと薄切りにするカッターに入る前に2セットのエア・ナイフがフィラメントを脱水した。
【0113】
(手順B)
ごま塩状ブレンドを、ポリ(トリメチレンテレフタレート)、ポリ(テトラメチレンテレフタレート)および、使用する場合には、ポリスチレン・ペレットからペレットの混合物を調製しそれらを溶融することによって調製した。それらは配合されなかった。
【0114】
(手順C)
手順AおよびBからのペレット(または対照例ではポリ(トリメチレンテレフタレート)ペレット)を120℃で最小16時間乾燥するために真空オーブン中に入れた。乾燥ペレットをオーブンから取り出し、窒素で覆われた室温に維持した供給ホッパー中へ速やかに投入した。ペレットを100グラム毎分(gpm)で二軸スクリュー再溶融機に供給した。バレル加熱区分は、ゾーン1については240℃、ゾーン2〜5については265℃、ゾーン7〜8については268℃に設定した。ポンプ・ブロックは268℃であり、パック・ボックスヒーターは268℃であった。
【0115】
(実施例1−部分延伸糸製造)
部分延伸糸を、手順BおよびCに従って調製したポリ(トリメチレンテレフタレート)ごま塩状ブレンドまたはそれだけから通常の紡糸技術を用いて紡糸した。手順AおよびCを用いて調製したこの組成物を、273℃に維持したサンド・フィルター紡糸パックおよび34の円形穴紡糸口金(0.012インチ(0.3mm)直径および0.022インチ(0.56mm)毛管深さ穴)を通して押し出した。紡糸口金を出たフィラメント流れを21℃の空気で急冷し、束に集中させ、紡糸仕上剤を塗布した。下の表に示した表面下速度の転送ロールが糸束を交絡ジェットへ、そして次に下の表に示した速度で作動する巻取機上へ配送した。紡糸条件および得られた部分延伸糸の特性を表1に示す。
【0116】
【表1】

【0117】
本発明前は、ポリ(トリメチレンテレフタレート)部分延伸糸は、延伸テクスチャー加工作業に好適であるためには低速(約2,500m/m)で紡糸されなければならなかった。表1のデータは、本発明の部分延伸糸がかなりより高い紡糸速度で製造した時に延伸テクスチャー加工に好適であることを示す。
【0118】
3つの対照試料は、増大した紡糸および巻取速度では靱性が増加するにつれて破断伸びが下がることを示す。より高速で製造した製品は、延伸テクスチャー加工作業に十分に好適ではなかった。ポリ(テトラメチレンテレフタレート)の添加で、より高速で紡糸した部分延伸糸が延伸テクスチャー加工作業に好適な特性を有した。最も注目に値することには、本発明の糸は対照試料よりも高い靱性を有した。これは予期されなかった。結果として、本発明を用いると、部分延伸糸は、より高速で製造することができ、それらが延伸テクスチャー加工または他の下流工程に、特により高い靱性または糸強度が望ましい場合に、十分に適していることを意味するより高い靱性を有する。さらに、本発明は、それがそのためにデザインされたより高速でポリ(エチレンテレフタレート)部分延伸糸を製造するためにデザインされた装置の使用を可能にする。
【0119】
(実施例2−部分延伸糸製造)
部分延伸糸を様々なスチレンポリマー入りで多様な条件下に製造できることを実証するために、手順Aに従って調製したブレンドから実施例2に記載するように糸を紡糸した。
【0120】
【表2】

【0121】
表2のデータは、改善された部分延伸糸がポリ(テトラメチレンテレフタレート)入りで、ならびにポリ(テトラメチレンテレフタレート)およびスチレンポリマー入りでより高速で製造できることを示す。
【0122】
(実施例3−延伸テクスチャー加工)
この実施例は、本発明に従って製造した糸が次の延伸テクスチャー加工作業で有用であることを示す。
【0123】
延伸テクスチャー加工条件は、参照により本明細書に援用される米国特許公報(特許文献1)の図5に示された装置を用いた摩擦仮撚りテクスチャー加工方法を用いる。実施例3に記載するように製造した部分延伸糸を、それらがヒーターを通過する時に約180℃の温度に加熱し、それらが冷却プレート上方を通る時にポリ(トリメチレンテレフタレート)のガラス転移温度よりも下の温度に冷却した。巻取速度は500m/mであった。
【0124】
残りの延伸テクスチャー加工プロセス条件および生じた延伸テクスチャー加工ポリ(トリメチレンテレフタレート)糸の特性を下の表3に示す。この表では、延伸比は延伸ロールの速度対供給ロールの速度の比として示す。
【0125】
【表3】

【0126】
表3のデータは、本発明に従って製造した部分延伸糸から製造したテクスチャー加工糸が対照試料から製造したポリ(トリメチレンテレフタレート)糸に匹敵する特性を有することを示す。このデータは、より低速で紡糸されたポリ(トリメチレンテレフタレート)部分延伸糸で用いられるものと類似の条件下で本発明の部分延伸糸からテクスチャー加工糸を製造可能であることを示す。
【0127】
(実施例4−紡糸延伸糸)
紡糸延伸糸をポリ(トリメチレンテレフタレート)(「3GT」)/ポリ(テトラメチレンテレフタレート)(「4GT」)ペレット・ブレンドからスピニング・ユニットで製造した。その結果を次の表にまとめる。
【0128】
【表4】

【0129】
本発明の実施形態の上述の開示は、例示および説明の目的のために提示されてきた。包括的であることまたは開示された厳密な形に本発明を限定することは意図されない。本明細書に記載された実施形態の多くの変形および修正は、本開示に鑑みて当業者には明らかであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)(i)ポリ(トリメチレンテレフタレート)、ポリ(テトラメチレンテレフタレート)、および.05〜2.5モル%のテトラメチレンテレフタレート繰り返し単位を含むポリ(トリメチレンテレフタレート)コポリマーを含むポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物であって、該組成物中のテトラメチレンテレフタレート繰り返し単位の総数が0.05〜2.5モル%である組成物、または
(ii)0.05〜2.5モル%のテトラメチレンテレフタレート繰り返し単位を含むポリ(トリメチレンテレフタレート)コポリマー、
を提供する工程と、
(b)前記(i)または(ii)を、少なくとも2500m/分の紡糸速度で紡糸して繊維を形成する工程と
を含むことを特徴とするポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維の製造方法。
【請求項2】
前記ポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物がスチレンポリマーをさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スチレンポリマーは、ポリスチレン、アルキル置換ポリスチレン、アリール置換ポリスチレン及びスチレン多成分ポリマーからなる群から選択されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物が、ヘキサメチレンジアミン、ポリアミド、艶消剤、核剤、熱安定剤、粘度向上剤、蛍光増白剤、顔料、および酸化防止剤よりなる群から選択された少なくとも一つの成分をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記繊維が、マルチフィラメント糸の形であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
請求項5に記載の方法であって、
(a)部分延伸ポリ(トリメチレンテレフタレート)マルチフィラメント糸のパッケージを製造する工程であって、前記マルチフィラメント糸が部分延伸糸である工程と、
(b)パッケージから糸をほどく工程と、
(c)多成分フィラメント糸を延伸して延伸糸を形成する工程と、
(d)延伸糸を仮撚りテクスチャー加工してテクスチャー加工糸を形成する工程と、
(e)糸をパッケージ上へ巻き取る工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項7】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維の製造方法であって、
前記繊維はマルチフィラメント糸の形であり、
前記マルチフィラメント糸は0.5〜2.5dpfのフィラメントよりなる部分延伸糸であり、
前記方法は、
(a)(i)ポリ(トリメチレンテレフタレート)、ポリ(テトラメチレンテレフタレート)、および.05〜2.5モル%のテトラメチレンテレフタレート繰り返し単位を含むポリ(トリメチレンテレフタレート)コポリマーを含むポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物であって、該組成物中のテトラメチレンテレフタレート繰り返し単位の総数が0.05〜2.5モル%である組成物、または
(ii)0.05〜2.5モル%のテトラメチレンテレフタレート繰り返し単位を含むポリ(トリメチレンテレフタレート)コポリマー、
を提供する工程と、
(b)前記(i)または(ii)を、少なくとも2500m/分の紡糸速度で紡糸して繊維を形成する工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項8】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)繊維の製造方法であって、
前記繊維はマルチフィラメント糸の形であり、
前記マルチフィラメント糸は0.5〜2.5dpfのフィラメントよりなる紡糸延伸糸であり、
前記方法は、
(a)(i)ポリ(トリメチレンテレフタレート)、ポリ(テトラメチレンテレフタレート)、および.05〜2.5モル%のテトラメチレンテレフタレート繰り返し単位を含むポリ(トリメチレンテレフタレート)コポリマーを含むポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物であって、該組成物中のテトラメチレンテレフタレート繰り返し単位の総数が0.05〜2.5モル%である組成物、または
(ii)0.05〜2.5モル%のテトラメチレンテレフタレート繰り返し単位を含むポリ(トリメチレンテレフタレート)コポリマー、
を提供する工程と、
(b)前記(i)または(ii)を紡糸して繊維を形成する工程と、
(c)延伸工程の終わりのローラーで測定される際に、2000〜8000m/分の延伸速度でフィラメントを延伸する工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項9】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)マルチフィラメント・テクスチャー加工糸の製造方法であって、
(a)請求項8に記載の方法により紡糸延伸ポリ(トリメチレンテレフタレート)マルチフィラメント糸のパッケージを製造する工程と、
(b)パッケージから糸をほどく工程と、
(c)延伸糸を仮撚りテクスチャー加工してテクスチャー加工糸を形成する工程と、
(d)糸をパッケージ上へ巻き取る工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項10】
請求項5に記載の方法であって、前記マルチフィラメント糸は嵩高加工連続フィラメント糸であり、加工は、フィラメントを延伸する、アニールする、嵩高加工する、嵩高加工と一緒に一工程で、または後の別個の工程で実施して絡み合わせる、任意選択的に弛緩させる、および巻き取る工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
ポリ(トリメチレンテレフタレート)糸の製造方法であって、
(a)(i)ポリ(トリメチレンテレフタレート)、ポリ(テトラメチレンテレフタレート)、および.05〜2.5モル%のテトラメチレンテレフタレート繰り返し単位を含むポリ(トリメチレンテレフタレート)コポリマーを含むポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物であって、該組成物中のテトラメチレンテレフタレート繰り返し単位の総数が0.05〜2.5モル%である組成物、または
(ii)0.05〜2.5モル%のテトラメチレンテレフタレート繰り返し単位を含むポリ(トリメチレンテレフタレート)コポリマー、
を提供する工程と、
(b)前記(i)または(ii)を、少なくとも2500m/分の紡糸速度で紡糸して繊維を形成する工程と、
(c)前記繊維から糸を形成する工程と
を含むことを特徴とする方法。
【請求項12】
カーペットの製造方法であって、
(a)(i)ポリ(トリメチレンテレフタレート)、ポリ(テトラメチレンテレフタレート)、および.05〜2.5モル%のテトラメチレンテレフタレート繰り返し単位を含むポリ(トリメチレンテレフタレート)コポリマーを含むポリ(トリメチレンテレフタレート)組成物であって、該組成物中のテトラメチレンテレフタレート繰り返し単位の総数が0.05〜2.5モル%である組成物、または
(ii)0.05〜2.5モル%のテトラメチレンテレフタレート繰り返し単位を含むポリ(トリメチレンテレフタレート)コポリマー、
を提供する工程と、
(b)前記(i)または(ii)を、少なくとも2500m/分の紡糸速度で紡糸して繊維を形成する工程と、
(c)前記繊維から糸を形成する工程と、
(d)前記糸からカーペットを形成する工程と
を含むことを特徴とする方法。

【公開番号】特開2009−287162(P2009−287162A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−191957(P2009−191957)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【分割の表示】特願2004−521485(P2004−521485)の分割
【原出願日】平成15年6月23日(2003.6.23)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】