説明

ポリ(メタ)アクリレートグラフトポリラクトンポリマーの製造方法

本発明は、ポリ(メタ)アクリレートグラフトポリラクトンポリオールの製造方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ(メタ)アクリレートグラフトポリラクトンポリオールの製造方法に関する。本発明によるポリマー構造は、ポリラクトン側鎖を有するポリ(メタ)アクリレート主鎖を有する。前記側鎖の合成は、ラクトンの開環重合によってポリ(メタ)アクリレート主鎖に存在する求核性基にグラフト化しながら行われる。本発明による方法では、このグラフト化反応は、出発物質として使用されるポリ(メタ)アクリレートが完全にラクトンと反応しているほど著しく進行する。本方法は、未反応のラクトンを除去するための別の精製工程が不要であることによって際立っている。
【0002】
ポリエステルおよびポリ(メタ)アクリレートの組合せを基礎とするポリマー構造の合成は、すでに1960年代半ば以降から工業的研究のテーマである。このような材料の潜在的な適用は、この場合例えば分散剤(例えばEP1555174を参照)、含浸剤(GB1,007,723)、被覆用結合剤(例えばDE2006630、JP09216921またはDE4345086に記載)または接着材料(例えばDE2006630において)を含んでいる。ポリ(メタ)アクリレートおよびポリエステルのねらい通りの組合せの可能性は、多様である。例えば、DE4427227からポリエステル主鎖および(メタ)アクリレート側鎖からなる系は公知である。
【0003】
ラクトンからポリエステルへの開環重合は先行技術であり、例えばMacromolecules 2002、35、1504〜1512およびMacromol. Chem.Phys.2001、202、2963〜2970に記載されている。
【0004】
ポリ(メタ)アクリレート主鎖およびポリエステル側鎖を持つポリマー構造を製造するために、種々の方法を取ることができる。
【0005】
EP1227113は、ヒドロキシル官能性でモノマーのアクリレート化合物、例えばヒドロキシエチルアクリレートによるε−カプロラクトンの開環重合を記載している。この反応の生成物は、その後別の不飽和化合物と例えばラジカル共重合されうる。ただし、この方法は少量のε−カプロラクトンによって実施することができるにすぎない。
【0006】
EP1464674は同様に、ε−カプロラクトン変性ビニルモノマーのラジカル重合によって、ポリ(メタ)アクリレート主鎖およびポリエステル側鎖を有する櫛形ポリマーを製造することを開示している。これは、ヒドロキシ(メタ)アクリレート、例えばヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等を用いる開環オリゴマー化によって得ることができるε−カプロラクトンオリゴマーである。ε−カプロラクトン変性されたビニルモノマーは、例えばDaicel Chemical IndustriesによってPlaccel Fという商標名で商業的に販売されている。この方法は費用がかかり、従ってコストが大きい。マクロモノマーの精製は、非常に費用がかかる。また、相応のマクロモノマーが、カプロラクトン繰り返し単位の最大数10で非常に限られて得られるにすぎないことも明らかになっている。
【0007】
更なる方法(例えばJP06206974において)は、まずε−カプロラクトンをホモポリマーにし、その後ジイソシアネートもしくはポリイソシアネートを用いてポリアクリレートポリオールに結合することである。このようにして、定義される生成物はホモポリマーの割合が低い状態で得ることができる。この方法の欠点は、個々のポリマーブロックを別々に製造し、イソシアネート成分を用いてこれらを引き続き結合することによって発生するプロセス工学の費用が高いことである。さらにイソシアネートの取り扱いは、毒物学的観点で問題になる。
【0008】
EP281095は、主鎖および側鎖の同時重合を記載している。この場合、求核官能性を持ち、主鎖の合成中に成長しながらラクトンの開環によって側鎖合成を開始するアクリレートモノマーが利用される。
しかし、これは、多数の種々の成分、例えば純粋なアクリレートポリマー等を含有する生成物混合物を生じさせる制御できない方法である。このことから当業者には、ラクトンのイオン重合の条件のもとで、インサイチュで実施されたフリーラジカル重合は、生成物の部分ゲル化等の副反応をもたらすに違いないことが必然的に明らかである。しかし、このような架橋は、わずかしか発生しない場合でさえも生成物の後処理には大きな欠点である。さらに、前記方法は有機溶剤の中で実施され、これは(得られるポリマーの更なる使用に応じて)前記溶剤を除去するための追加費用を意味しうる。
【0009】
これに対して本発明の目的は、定義された(メタ)アクリレート主鎖以外にポリラクトン側鎖を持つ、ゲル化してないグラフトコポリマーをねらい通りに合成することである。
【0010】
驚くべきことに、求核性基を有するポリ(メタ)アクリレートへのラクトンの開環重合によって、ポリラクトン側鎖およびポリ(メタ)アクリレート主鎖を有するポリヒドロキシル構造を得られることが判明した。
【0011】
それに応じて、本発明の第1の対象は、温度160℃以上および圧力10mbar以下で、触媒の添加下での、ラクトンのポリ(メタ)アクリレートへの開環重合を含むポリ(メタ)アクリレートグラフトポリラクトンポリマーの製造方法であり、その際前記ポリ(メタ)アクリレートは求核性基を有するものである。
【0012】
本発明による方法は、容易に実施できること、および本方法の実施時にゲル化または望まざる架橋は起こらないという利点がある。本方法は、未反応のラクトンを除去するための別の精製工程が不要であることによって際立っている。
【0013】
ポリ(メタ)アクリレートという表現は、ポリアクリレートもポリメタクリレートまたはアクリレートおよびメタクリレートからなるコポリマーも表している。ポリ(メタ)アクリレート主鎖は、モノマーもしくはモノマー混合物を基礎とし、その際該モノマーもしくはモノマー混合物は特に求核性基を有するモノマーを含む。相応するモノマーは、メタクリレートもしくはアクリレートの群から選択することができる。好ましくは、前記求核性基はヒドロキシル基、アミノ基および/またはメルカプト基を含む基から選択される。特に好ましくは、前記求核性基はヒドロキシル基である。
【0014】
特に好ましくは、前記求核性基は、OH基を有するモノマーの共重合によって、本発明によって使用されるポリ(メタ)アクリレートに導入される。特に好ましくは、OH官能基を有するアクリレートもしくはメタクリレートである。好ましい例として、ヒドロキシエチルメタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、ヒドロキシプロピルメタクリレート、ヒドロキシプロピルアクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレートおよび2,3−ジヒドロキシプロピルメタクリルレートが挙げられる。
【0015】
本発明によるポリ(メタ)アクリレート主鎖にある求核性基を有するモノマーの含有率は、ポリ(メタ)アクリレート主鎖の合成のためのモノマーの総質量に対して0.1%〜10質量%の範囲にあり、好ましくは0.1%〜5.0質量%、特に好ましくは1.0%〜2.5質量%である。
【0016】
使用されるポリ(メタ)アクリレートプレポリマーは、好ましくはOH価 5mg KOH/g〜40mg KOH/g、特に好ましくは10mg KOH/g〜35mg KOH/gおよび殊に好ましくは15mg KOH/g〜30mg KOH/gを有する。水酸基価(OH価)は、DIN53240−2に従って測定される。
【0017】
前記求核性基を有する構成要素に加えて、本発明によって使用されるポリ(メタ)アクリレートは、(メタ)アクリレートの群、例えばC原子1〜40個を有する直鎖状、分枝状または脂環式アルコールのアルキル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート;アリール(メタ)アクリレート、例えばそれぞれ置換されていない、または1〜4回に置換されたアリール基を有していてよいベンジル(メタ)アクリレートまたはフェニル(メタ)アクリレート;別の芳香族置換された(メタ)アクリレート、例えばナフチル(メタ)アクリレート;C原子5〜80個を有するエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールまたはそれらの混合物のモノ(メタ)アクリレート、例えばテトラヒドロフルフリルメタクリレート、メトキシ(m)エトキシエチルメタクリレート、1−ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシメチルメタクリレート、ベンジルオキシメチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、2−ブトキシエチルメタクリレート、2−エトキシエチルメタクリレート、アリルオキシメチルメタクリレート、1−エトキシブチルメタクリレート、1−エトキシエチルメタクリレート、エトキシメチルメタクリレート、ポリ(エチレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレートおよびポリ(プロピレングリコール)メチルエーテル(メタ)アクリレート等から選択されるモノマーで構成される。
【0018】
前記(メタ)アクリレート以外に、重合されるべき組成物は、更なる不飽和モノマーも有することができ、これらは前記(メタ)アクリレートと一緒に、およびラジカル重合を用いて共重合可能である。これに含まれるのは、なかんずく1−アルケン、例えば1−ヘキセン、1−ヘプテン、分枝アルケン、例えばビニルシクロヘキサン、3,3−ジメチル−1−プロペン、3−メチル−1−ジイソブチレン、4−メチル−1−ペンテン、アクリロニトリル、ビニルエステル、例えば酢酸ビニル、スチレン、ビニル基にアルキル置換基を有する置換スチレン、例えばα−メチルスチレンおよびα−エチルスチレン、環上に1個または複数個のアルキル置換基を有する置換スチレン、例えばビニルトルエンまたはp−メチルスチレン、ハロゲン化スチレン、例えばモノクロロスチレン、ジクロロスチレン、トリブロモスチレンおよびテトラブロモスチレン;複素環式化合物、例えば2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、2−メチル−5−ビニルピリジン、3−エチル−4−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニルピリジン、ビニルピリミジン、9−ビニルカルバゾール、3−ビニルカルバゾール、4−ビニルカルバゾール、2−メチル−1−ビニルイミダゾール、ビニルオキソラン、ビニルフラン、ビニルチオフェン、ビニルチオラン、ビニルチアゾール、ビニルオキサゾールおよびイソプレニルエーテル等;酸および酸誘導体、例えば(メタ)アクリル酸、無水マレイン酸、マレインイミド、メチルマレインイミド、およびジエン、例えばジビニルベンゼン等である。さらに前記モノマーは同様に、置換基の中にヒドロキシ官能基および/またはアミノ官能基および/またはメルカプト官能基を有することができる。このようなモノマーは、例えばビニルピペリジン、1−ビニルイミダゾール、N−ビニルピロリドン、2−ビニルピロリドン、N−ビニルピロリジン、3−ビニルピロリジン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルブチロラクタム、水素化ビニルチアゾールおよび水素化ビニルオキサゾールである。特に好ましくは、ビニルエステル、ビニルエーテル、フマル酸エステル、マレイン酸エステル、スチレンまたはアクリロニトリルが使用される。
【0019】
本発明によるポリ(メタ)アクリレートプレポリマーは、好ましくは分子量Mw 1000〜200000g/molを有する。特に好ましくは分子量Mw 5000〜100000g/molであり、殊に好ましくは分子量Mw 10000〜50000g/molである。
【0020】
質量平均分子量Mwは、RI検出器を備えるゲル浸透クロマトグラフィーを用いて、標準ポリスチレンに対する溶離液としてテトラヒドロフランによってDIN55672−1に従って測定される。
【0021】
具体的にはポリ(メタ)アクリレートプレポリマーは、割合および組成に応じて好適には所望の技術的機能を顧慮して選択される。
【0022】
本発明によって使用されるポリ(メタ)アクリレートプレポリマーは、塊状重合、乳化重合、懸濁重合、ミニ懸濁重合もしくはマイクロ懸濁重合、または溶液重合を用いて製造することができる。使用される重合方法は、フリーラジカル重合または制御ラジカル重合であってよい。制御ラジカル重合法の例は、「ニトロキシド媒介重合(Nitroxide mediated polymerization)」(NMP)および「可逆的付加開裂連鎖移動(reversible addition−fragmentation chain transfer)」(RAFT)重合である。
【0023】
使用されるべきラジカル開始剤は、選択される重合法もしくは重合技術による。それぞれ使用されるべき開始剤は、当業者に公知である、もしくは当業者に一般に公知の高分子文献に記載されている。例として、フリーラジカル溶液重合または懸濁重合においては一般にアゾ化合物、例えばAIBN等または過酸エステル、例えばtert−ブチルペルオクトエートもしくは過酸化ラウリル等がラジカル開始剤として使用される。
【0024】
場合によりポリ(メタ)アクリレートプレポリマーの所望の分子量を調整するために、さらに調整剤を一緒に使用することができる。調整剤として例えば硫黄調整剤、特にメルカプト基を含有する調整剤、例えばドデシルメルカプタンが好適である。調整剤の濃度は一般に、総重合体に対して0.1質量%〜2.0質量%である。
【0025】
本発明によるポリ(メタ)アクリレートグラフトポリラクトンポリマーは、重合反応のための確立された技術を用いて製造することができる。この製造は、溶液中または溶融物中で、使用されるポリ(メタ)アクリレートの求核性基へのラクトンの開環重合によって行うことができる。好ましくは、この製造は溶融物中で温度160℃以上および圧力10mbar以下で行われ、好ましくは170〜210℃および圧力5mbar以下で、殊に好ましくは170〜190℃および圧力3mbar以下で、触媒の添加下で行われる。
【0026】
グラフト化反応のためのラクトンとして基本的にあらゆるラクトン、例えばγ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、炭酸テトラメチレン、3−オキサ−ε−カプロラクトン、1,4−ジオキサン−2−オンを使用することができる。好ましくは、β−プロピオラクトンならびにβ−ブチロラクトンが使用され、特に好ましくはε−カプロラクトンが使用される。
【0027】
好適な触媒の例は、ポリ縮合反応においてもポリエステルの合成のために使用される化合物またはそれらの混合物である。これらの例は、好ましくは金属化合物またはそれらの混合物、特にマグネシウム、アルミニウム、チタン、アンチモン、ビスマスおよびスズを基礎とし、例えばチタン酸ブチルおよび酢酸アンチモン(III)である。殊に好ましくは、スズを含有する触媒が好適であり、例えばモノブチルスズオキシド、ブチルスズ−トリス−2−エチルヘキサノエートおよびスズオクトエートである。
【0028】
本方法の1つの実施態様において、反応媒質に溶剤、例えば芳香族炭化水素またはそれらの混合物および/またはケトン、例えばシクロヘキサノン、イソブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルヘプチルケトン等が添加される。本方法の特に好ましい実施態様においては、溶剤なしで作業する。これは、反応の真空段階の間に廃溶剤が発生せず、製造されるべき生成物のために反応空間を最大限に利用でき、かつ別の後処理工程が不要であるため有利である。本発明による方法は、バッチ法でまたは連続的に、例えば押出機において実施することができる。
【0029】
ポリ(メタ)アクリレートグラフトポリラクトンポリマーに、加工助剤または添加物、例えば酸化防止剤等を供しても、供さなくてもどちらでもよい。
【0030】
本発明によるポリ(メタ)アクリレートグラフトポリラクトンポリマーは、好ましくは質量平均分子量Mw 2000〜250000g/mol、好ましくは7000〜150000g/mol、ならびに殊に好ましくは12000〜75000g/molを有する。
質量平均分子量Mwは、RI検出器を備えるゲル浸透クロマトグラフィーを用いて、標準ポリスチレンに対する溶離液としてテトラヒドロフランを用いてDIN55672−1に従って測定される。
【0031】
本発明の更なる対象は、本発明による方法によって得られるポリ(メタ)アクリレートグラフトポリラクトンポリマーである。
【0032】
本発明による方法によって得られるポリ(メタ)アクリレートグラフトポリラクトンポリマーは、多分子指数(PMI)8以下を有し、酸価が5mg KOH/g以下(DIN EN ISO2114に従って測定)であり、特に単峰性のモル質量分布によって際立っている。
【0033】
平均分子量の比 Mw/Mnは、多分子指数と呼ばれる。本発明において本発明によって得られるポリマーは、PMIが8以下、好ましくは6以下および特に好ましくは4以下を有する。
【0034】
本発明による方法によって得られるポリ(メタ)アクリレートグラフトポリラクトンポリマーは、未反応のラクトンがほぼ含まれていないという利点がある。好ましくは、本発明による生成物は、未反応のラクトンを含有しない。
【0035】
本発明によるポリ(メタ)アクリレートグラフトポリラクトンポリマーについて、広範囲な適用分野が生じる。これらの適用例の選択は、本発明によるポリマーの使用を制限するには適当ではない。これらの例は、前記ポリマーの広範囲な使用可能性を表すことのみに無作為に用いられるべきである。例えば、本発明による合成ポリマーは、ホットメルト接着材料、接着材料、シール材料、ヒートシール材料において、高分子類縁反応のためにまたは後続コポリマーの合成のために使用される。ポリマーは、化粧適用のための配合物において、被覆材において、ワニスにおいて、分散剤として、ポリマー添加剤として、または梱包においても使用することができる。前記適用における本発明によるポリ(メタ)アクリレートグラフトポリラクトンポリマーの使用は、同じく本発明の対象である。
【0036】
更なる実施態様がなくても、当業者が前記記載を極めて広範囲において利用できることを出発点とする。従って、好ましい実施態様および例は、もっぱら記載されたものとして解釈されるべきであり、決して何らかの方法において限定的な開示として解釈されるべきではない。本発明を実施例をもとにして以下に詳しく説明する。本発明の別の実施態様は類似の方法で得られる。
【0037】
実施例
生成物特性化のための一般データ:
下表に表示された多分子指数PMIのための値は、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いて測定される。この場合、PMI=Mw/Mn=質量平均分子量/数平均分子量である。あらゆる試料のゲル浸透クロマトグラフィーの特性化は、溶離液であるテトラヒドロフラン中でDIN55672−1に従って行われる。
Mn(RI)=数平均分子量(GPC、RI検出)、g/molで表示
Mw(RI)=質量平均分子量(GPC、RI検出)、g/molで表示
Mp(RI)=ピーク最大値における分子量(GPC、RI検出)、g/molで表示。
【0038】
相転移温度(例えばガラス転移温度Tg)は、DSCを用いてDIN EN ISO11357−1に従って測定され、℃で表示される。表示された値は、2回目の加熱サイクルから読み取った。
水酸基価(OH価)、mg KOH/gで表示、はDIN53240−2に従って測定される。
酸価、mg KOH/gで表示、はDIN EN ISO2114に従って測定される。
【0039】
例1:ポリ(メタ)アクリレートプレポリマーの製造
接続された温度自動調節器、還流冷却器、回転翼撹拌器および内部温度計を備えた二重壁容器に、酢酸ブチル 245g、メチルメタクリレート 120gおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレート 2.5gを装入する。該混合物を105℃まで加熱し、引き続きn−ドデシルメルカプタン 3.1g(酢酸ブチル 10mlに溶かして)を添加する。開始は、過安息香酸tert−ブチル 3.7gを添加することによって行われる。20分間撹拌した後、酢酸ブチル 50g、過安息香酸tert−ブチル 8.2g、n−ドデシルメルカプタン 9.7g、メチルメタクリレート 361gおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレート 7.5gからなる混合物を4時間かけて計量供給する。計量供給を終えた後、105℃で更に2時間、引き続き90℃で2時間撹拌する。最後に、前記溶剤を留去する。得られた生成物は、表1に記載の特性を有する。
【0040】
例2:ポリ(メタ)アクリレートプレポリマーの製造
接続された温度自動調節器、還流冷却器、回転翼撹拌器および内部温度計を備える二重壁容器に、酢酸ブチル 245g、メチルメタクリレート 114gおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレート 8.6gを装入する。該混合物を105℃まで加熱し、引き続きn−ドデシルメルカプタン 2.4g(酢酸ブチル 10mlに溶かして)を添加する。開始は、過安息香酸tert−ブチルを添加することによって行われる。20分間撹拌した後、酢酸ブチル 50g、過安息香酸tert−ブチル 6.6g、n−ドデシルメルカプタン 7.3g、メチルメタクリレート 343gおよび2−ヒドロキシエチルメタクリレート 25.8gからなる混合物を4時間かけて計量供給する。計量供給を終えた後、105℃でさらに2時間、引き続き90℃で2時間撹拌する。最後に、前記溶剤を留去する。得られた生成物は表1に記載の特性を有する。
【0041】
【表1】

【0042】
例3:本発明によるポリ(メタ)アクリレートグラフトポリラクトンポリマーの製造
連結管を備える1000mlの三口フラスコに、保護ガス雰囲気の下でε−カプロラクトン 250gを装入し、50℃まで加熱する。その後、170℃まで更に加熱する間に例1のプレポリマーの250gを添加する。添加し終えた後、ブチルスズ−トリス−2−エチルヘキサノエート 0.05gが添加され、同じ温度で更に2時間撹拌する。引き続き真空にする(3mbar未満)。3時間後、無色の生成物が得られる。特性値は表2から読み取ることができる。
【0043】
例4:本発明によるポリ(メタ)アクリレートグラフトポリラクトンポリマーの製造
連結管を備える1000mlの三口フラスコに、保護ガス雰囲気の下でε−カプロラクトン 250gを装入し、50℃まで加熱する。その後、180℃まで更に加熱する間に例2のプレポリマーの250gを添加する。添加し終えた後、前記温度でブチルスズ−トリス−2−エチルヘキサノアート 0.05gを添加し、さらに3時間撹拌する。引き続き真空(3mbar未満)にする。3時間後、無色の生成物が得られる。特性値は表2から読み取ることができる。
【0044】
比較例 V1:ポリ(メタ)アクリレートとε−カプロラクトンとの反応
連結管を備える1000mlの三口フラスコに、保護ガス雰囲気の下でε−カプロラクトン 300gを装入し、50℃まで加熱する。その後、150℃まで更に加熱する間に例1のプレポリマーの300gを添加する。添加し終えた後、さらに2時間撹拌する。引き続き前記温度でブチルスズ−トリス−2−エチルヘキサノアート 0.06gを添加し、真空(3mbar未満)にする。3時間後、無色の生成物が得られる。特性値は表2から読み取ることができる。
【0045】
比較例 V2:ポリ(メタ)アクリレートとε−カプロラクトンとの反応
連結管を備える1000mlの三口フラスコに、保護ガス雰囲気の下でε−カプロラクトン 150gを装入し、50℃まで加熱する。その後、150℃まで更に加熱する間に例2のプレポリマーの450gを添加する。添加し終えた後、前記温度でブチルスズ−トリス−2−エチルヘキサノアート 0.06gを添加し、さらに2時間撹拌する。引き続き、圧力を15mbarまで下げる。3時間後、混濁した生成物が得られる。特性値は表2から読み取ることができる。
【0046】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ(メタ)アクリレートグラフトポリラクトンポリマーの製造方法であって、温度160℃以上および圧力10mbar以下で、触媒の添加下で、求核性基を有するポリ(メタ)アクリレートへのラクトンの開環重合を含むポリ(メタ)アクリレートグラフトポリラクトンポリマーの製造方法。
【請求項2】
前記ポリ(メタ)アクリレートが少なくとも部分的に求核性基を有するモノマーを基礎とすることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記求核性基が、ヒドロキシル基、酸基、アミノ基および/またはメルカプト基を含む基から選択されていることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
官能基を有するモノマーの含有率が、ポリエステルアクリレートグラフトコポリマーにおけるポリ(メタ)アクリレートの割合に対して、0.1〜10質量%の範囲にあることを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
前記求核性基がヒドロキシル基であることを特徴とする請求項1から4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
ラクトンとしてε−カプロラクトンが使用されることを特徴とする請求項1から5までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
触媒として金属化合物が使用されることを特徴とする請求項1から6までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記開環重合が溶液中または溶融物中で行われることを特徴とする請求項1から7までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
温度160℃以上および圧力10mbar以下で、触媒の添加下で、求核性基を有するポリ(メタ)アクリレートへのラクトンの開環重合によって得られるポリ(メタ)アクリレートグラフトポリラクトンポリマー。
【請求項10】
ポリ(メタ)アクリレートグラフトポリラクトンポリマーが、PMI 8以下を有することを特徴とする請求項9に記載のポリ(メタ)アクリレートグラフトポリラクトンポリマー。
【請求項11】
ポリ(メタ)アクリレートグラフトポリラクトンポリマーが、酸価5mg KOH/g以下を有することを特徴とする請求項9または10に記載のポリ(メタ)アクリレートグラフトポリラクトンポリマー。
【請求項12】
請求項9から11までのいずれか1項に記載のポリ(メタ)アクリレートグラフトポリラクトンポリマーを、ホットメルト接着材料、接着材料、シール材料、ヒートシール材料において、高分子類縁反応のためにまたは後続コポリマーの合成のために、化粧適用のための配合物において、被覆材において、ワニスにおいて、分散剤として、ポリマー添加剤としてまたは梱包において用いる使用。

【公表番号】特表2013−514394(P2013−514394A)
【公表日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−543577(P2012−543577)
【出願日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際出願番号】PCT/EP2010/068202
【国際公開番号】WO2011/073006
【国際公開日】平成23年6月23日(2011.6.23)
【出願人】(501073862)エボニック デグサ ゲーエムベーハー (837)
【氏名又は名称原語表記】Evonik Degussa GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1−11, D−45128 Essen, Germany
【Fターム(参考)】