説明

ポリ3−ヒドロキシブチレート系複合体

【課題】 低反発で環境負荷の少ないポリ3−ヒドロキシブチレート系複合体を提供する。
【解決手段】 ポリ3−ヒドロキシブチレート系重合体及びイソシアネート化合物、好ましくは、m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネートからなる群より選択される1種以上のイソソアネート化合物、を配合し混合・加熱してなるポリ3−ヒドロキシブチレート系複合体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリ3−ヒドロキシブチレート系重合体及びイソシアネート化合物からなることから環境負荷の少なく低反発性を示すポリ3−ヒドロキシブチレート系複合体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ポリオールとイソシアネート化合物からなるポリウレタンは、寝具、家具、車両、土木、建築用等の発泡体、塗料、接着剤、シーリング材、弾性繊維等の幅広い用途で使用されている。しかし、これらのポリウレタンは架橋体であるため再生利用が困難であったり、将来の枯渇が懸念されている石油資源に依存しているという課題がある。
【0003】
一方、ポリ乳酸、ポリ3−ヒドロキシブチレート系重合体等の植物由来のバイオマスポリマーは、カーボンニュートラルの観点から大気中の二酸化炭素を増やさないことや、廃棄しても生分解されるため近年注目を集めている。
【0004】
そこで、植物由来の原料を利用したポリウレタンへの期待が高まっており、両末端に水酸基を持つ変性ポリ3−ヒドロキシブチレートの製造方法が提案されており(例えば特許文献1参照。)、さらに生分解性を有し、十分な耐熱性を有するものとして変性ポリ3−ヒドロキシブチレート、ポリオール、ジイソシアネートからなる生分解性ポリエステルポリウレタンが提案されている(例えば特許文献2参照。)。
【0005】
また、耐衝撃性に優れると共に、高い結晶化速度を有するものとしてポリ3−ヒドロキシブチレート系重合体及び/又はポリ乳酸と、ポリウレタンからなる樹脂組成物が提案されている(例えば特許文献3参照。)。
【0006】
【特許文献1】特開平08−003294号公報
【特許文献2】特開平09−208652号公報
【特許文献3】特開2005−232229号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に提案の製造方法は、石油資源由来のβ−ブチロラクトンを開環重合した変性ポリ3−ヒドロキシブチレートの製造方法に関するものであり、植物由来のものではない上に、複合体とすること等についてなんら提案がなされていないものである。また、特許文献2に提案の生分解性ポリエステルポリウレタン及び特許文献3に提案の樹脂組成物は、柔軟性を有するポリウレタンを必須とすることからポリ3−ヒドロキシブチレートの優れた特性である高硬度という特性が低下するという課題を有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、ポリ3−ヒドロキシブチレート系重合体及びイソシアネート化合物からなるポリ3−ヒドロキシブチレート系複合体が、環境負荷が少なく低反発性に優れることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0009】
すなわち、本発明は、ポリ3−ヒドロキシブチレート系重合体及びイソシアネート化合物を混合・加熱してなるポリ3−ヒドロキシブチレート系複合体に関するものである。
【0010】
以下に、本発明を詳細に説明する。
【0011】
本発明に用いるポリ3−ヒドロキシブチレート系重合体は、ポリ3−ヒドロキシブチレート系重合体の範疇に属するものであれば如何なるものでもよく、例えばポリ3−ヒドロキシブチレート単独重合体、3−ヒドロキシブチレート/3−ヒドロキシブチレート以外のヒドロキシアルカノエート共重合体、等が挙げられ、共重合体である場合の3−ヒドロキシブチレート以外のヒドロキシアルカノエートとしては、例えば3−ヒドロキシプロピオネート、3−ヒドロキシバレレート、3−ヒドロキシヘキサノエート、3−ヒドロキシヘプタノエート、3−ヒドロキシオクタノエート、3−ヒドロキシノナノエート、3−ヒドロキシデカノエート、3−ヒドロキシウンデカノエート、4−ヒドロキシブチレート、ヒドロキシラウリレートが挙げられる。中でも、耐熱性に優れるポリ3−ヒドロキシブチレート系複合体となることからポリ3−ヒドロキシブチレート単独重合体、3−ヒドロキシブチレート/3−ヒドロキシバレレート共重合体、3−ヒドロキシブチレート/4−ヒドロキシブチレート共重合であることが好ましい。また、ポリ3−ヒドロキシブチレート系重合体中の3−ヒドロキシブチレート以外のヒドロキシアルカノエートの共重合成分量としては、0〜20モル%であることが好ましく、特に0〜10モル%がより好ましい。
【0012】
また、本発明に用いるポリ3−ヒドロキシブチレート系重合体は、機械的強度に優れるポリ3−ヒドロキシブチレート系複合体となることから、クロロホルムに溶解し、ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー(以下、GPCと記す。)で測定した標準ポリスチレン換算の数平均分子量300〜500000であることが好ましく、特に500〜200000であることが好ましい。
【0013】
ポリ3−ヒドロキシブチレート系重合体は、市販品として入手することが可能である。また、その製造方法としては、例えば米国特許4477654号公報、国際公開特許94/11519号公報、米国特許5502273号公報に記載されている方法等により入手することも可能である。
【0014】
本発明に用いるイソシアネート化合物としては、イソシアネート基2個以上を有するものであり、例えばジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート、m−またはp−フェニレンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、m−又はp−キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、メチルシクロヘキサンジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート、1−クロロフェニレン−2,4−ジイソシアネート、メチレンビスフェニレン−4,4’−ジイソシアネート、リジンジイソシアネート、4,4’−メチレンビスシクロヘキシルジイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート,リジンエステルトリイソシアネート,4−イソシアネートメチル−1,8−オクタメチルジイソシアネート等のトリイソシアネート類;ジイソシアネートのイソシアヌレート変性体、ビュレット変性体、アロファネート変性体、アダクト体;ポリフェニルメタンポリイソシアネート等が挙げられ、これらは単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。
【0015】
これらイソシアネート化合物のうち、得られるポリ3−ヒドロキシブチレート系複合体が特に硬度及び低反発性に優れることからm−またはp−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,4−または2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネートが好適に使用される。
【0016】
また、イソシアネート化合物の添加量は、特に硬度及び低反発性に優れるポリ3−ヒドロキシブチレート系複合体が得られることからポリ3−ヒドロキシブチレート系重合体100重量部に対して3〜100重量部であることが好ましく、特に5〜50重量部であることが好ましい。
【0017】
本発明のポリ3−ヒドロキシブチレート系複合体は、ポリ3−ヒドロキシブチレート系重合体及びイソシアネート化合物を混合・加熱してなるものであり、該混合・加熱を行うことによりポリ3−ヒドロキシブチレート系重合体とイソシアネート化合物との反応が促進され、低反発性に優れたポリ3−ヒドロキシブチレート系複合体となるものである。ここで、混合・加熱を行わなかった場合、ポリ3−ヒドロキシブチレート系重合体とイソシアネート化合物との反応が行われず、該ポリ3−ヒドロキシブチレート系複合体を得ることができない。そして、加熱する際の温度としては、50〜200℃が好ましく、特に80〜150℃であることが好ましい。
【0018】
また、本発明のポリ3−ヒドロキシブチレート系複合体は、ポリ3−ヒドロキシブチレート系重合体及びイソシアネート化合物の反応時に触媒を用いて得られたものであることが好ましく、該触媒としては特に限定はなく公知のものを用いることができ、例えばマグネシウム、カルシウム、亜鉛、カドミウム、錫、鉛、チタン、ゲルマニウム、アンチモン、マンガン等の単体金属、有機金属化合物、有機酸塩、金属アルコキシド、金属酸化物、アミン化合物等を挙げることができ、具体的にはトリエチルアミン,トリエチレンジアミン,N−メチルモルホリン等のアミン系触媒又はテトラメチル錫,テトラオクチル錫,ジメチルジオクチル錫,トリエチル錫塩化物,ジブチル錫ジアセテート,ジブチル錫ジラウレート等の錫系触媒、酢酸カルシウム、酸化鉛、酸化ゲルマニウム、酸化アンチモン、チタニウム(IV)ブトキシド,チタニウム(IV)メトキシド等のチタン酸エステル等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
【0019】
本発明のポリ3−ヒドロキブチレート系複合体は、本発明の目的を逸脱しないことを限度として多少のポリオールを配合してなるものであってもよく、その際のポリ3−ヒドロキシブチレート系重合体は、予めポリオールを加熱・混合したものであることが好ましい。
【0020】
該ポリオールとしては、水酸基2個以上を有するものであれば特に制限は無く、例えば短鎖ポリオール、ポリエステル系ポリオール、ポリエーテル系ポリオール、ポリカーボネート系ポリオール、ビニル系ポリオール、ジエン系ポリオール、ひまし油系ポリオール、シリコーン系ポリオール、ポリオレフィン系ポリオール、ダイマー酸系ポリオール、大豆油系ポリオールまたはこれらの共重合体等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
【0021】
これらのうち得られるポリ3−ヒドロキシブチレート系複合体が低反発性に優れることから短鎖ポリオール、ポリエーテル系ポリオールが好ましい。
【0022】
短鎖ポリオールとしては、脂肪族,脂環式,芳香族,置換脂肪族若しくは複素環式のジヒドロキシ化合物、トリヒドロキシ化合物又はテトラヒドロキシ化合物等で、例えば1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ブテンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,10−デカメチレンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−メチル−1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ビス(β−ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、p−キシレンジオール、ジヒドロキシエチルテトラヒドロフタレート、トリメチロールプロパン、グリセリン、2−メチルプロパン−1,2,3−トリオール、1,2,6−ヘキサントリオール等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
【0023】
ポリエステル系ポリオールは、例えばジカルボン酸と前記の短鎖ポリオールを縮合重合することによって得られる。このときジカルボン酸成分としてはコハク酸、グルタール酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン酸、フタル酸、イソフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
【0024】
ポリエステル系ポリオールを得る別の方法として、β−プロピオラクトン、ビバロラクトン、δ−バレロラクトン、β−メチル−δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、メチル−ε−カプロラクトン、ジメチル−ε−カプロラクトン、トリメチル−ε−カプロラクトン等のラクトン化合物の1種または2種以上を、前記の短鎖ポリオール成分から選ばれる1種または2種以上のヒドロキシ化合物と共に反応せしめる方法によることも可能である。
【0025】
ポリエーテル系ポリオールとしては、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン等の環状エーテルの1種または2種以上を、前記の短鎖ポリオールから選ばれるヒドロキシ化合物の1種または2種以上と共に反応せしめる方法により得られたものが使用でき、例えばポリ(オキシエチレン)ポリオール、ポリ(オキシプロピレン)ポリオール、ポリ(オキシテトラメチレン)ポリオール、ポリ(オキシヘキサメチレン)ポリオール、エチレンオキシドとプロピレンオキシドの共重合体ポリオール、エチレンオキシドとテトラヒドロフランの共重合体ポリオール、ポリ(プロピレンオキシド)のエチレンオキシド付加重合体ポリオール等が挙げられ、これらの1種または2種以上が使用できる。
【0026】
ポリカーボネート系ポリオールとしては、前記の短鎖ポリオールから選ばれるヒドロキシ化合物の1種または2種以上と、ジアリルカーボネート、ジアルキルカーボネートまたはエチレンカーボネートからエステル交換法によって得られたものが使用でき、例えば、ポリ(1,6−ヘキサメチレンカーボネート)、ポリ(2,2’−ビス(4−ヒドロキシヘキシル)プロパンカーボネート)等が工業的に生産されている。ポリカーボネートポリオールを得る別の方法としては、いわゆるホスゲン法によることもできる。
【0027】
その他、β−ヒドロキシエチルアクリレート、β−ヒドロキシエチルメタクリレート等のヒドロキシ基を持つ(メタ)アクリル単量体と(メタ)アクリル酸エステルとの共重合によって得られる(メタ)アクリル系ポリオール等のビニル系ポリオール;ポリ(1,4−ブタジエン)、ポリ(1,2−ブタジエン)、ポリイソプレン等よりなるジエン系ポリオール;ポリプロピレングリコールリシノレート等のひまし油系ポリオール、シリコーン系ポリオール又はポリジエンを水素添加したポリオレフィン;エチレン、プロピレン、イソブチレン等のオレフィン類の単独重合体;ランダム共重合体;交互共重合体;ブロック共重合体等のポリオレフィン系ポリオール;トール油脂肪酸を二量化させて得られたダイマー酸からなるダイマー酸系ポリオール;大豆油のヒドロキシ化合物からなる大豆油系ポリオール等も使用することができる。
【0028】
また、本発明のポリ3−ヒドロキシブチレート系複合体は、耐熱性、特に耐熱変色性を向上させるため安定剤を添加してもよく、該安定剤としては、例えばリン化合物、ヒンダードフェノール系化合物、ヒドロキシジオキサホスフェピン系化合物、ヒドロキシアクリレート系化合物、硫黄含有化合物、スズ系化合物、ラクトン系化合物、ヒドロキシルアミン系化合物、ビタミンE系化合物、アリルアミン系化合物、アミン−ケトン系化合物、芳香族第二級アミン系化合物、モノフェノール系化合物、ビスフェノール系化合物、ポリフェノール系化合物、ベンツイミダゾール系化合物、ジチオカルバミン酸系化合物、チオウレア系化合物、有機チオ酸系化合物等が挙げられ、該安定剤の添加量は特に制限なくポリ3−ヒドロキシブチレート系重合体100重量部に対し、0.0001〜10重量部が好ましく用いられる。
【0029】
本発明のポリ3−ヒドロキシブチレート系複合体には、例えば染料、有機顔料、無機顔料、可塑剤、紫外線吸収剤、発泡剤、結晶核剤、離型剤、加水分解防止剤、帯電防止剤、防曇剤、防徽剤、防錆剤、イオントラップ剤、難燃剤、難燃助剤等の公知の添加剤を加えることができる。
【0030】
本発明のポリ3−ヒドロキシブチレート系複合体は、例えば自動車用,鉄道用,産業機械用,建築土木用等の防振ゴム、防舷材、金属をはじめとする各種素材のライニング、化粧板、インナボックス、鞄、静電防止シート,ルーフィング用シート等のシート、キャップ、トレイ、カップ、フレキシブルコンテナ、スポーツ床、フェンス用緩衝ゴム、舗装用ブロック、免震ゴム、手すり、滑り止め、スペーサー、ハンドレール、プラ磁石、ゴム磁石、電線、コード、キャスター、クッション、ブッシュ、ブーツ類、グロメット、インシュレーター、ストッパー、ジョイント、制振ゴム、ゴムスイッチ、ソケット、玩具、靴、足ゴム、チューブ、工業部品等、ゴルフクラブ,テニスラケット,スキーポール等のグリップ部分、シート,キーボード等の保護カバー、電気部品、電子部品、半導電フィルム、帯電防止フィルム、医薬フィルム等のフィルム、タイヤ、精密機器、精密加工機類の振動吸収材、スポーツ用品、日用雑貨、座席シート、シフトノブ、ステアリング等の自動車内装部品、泥はね防止マット等の自動車外装部品等の自動車用部品;コピー機、ファックス機、複合機、プリンター等のオフィス用機器;等に使用できる。
【発明の効果】
【0031】
本発明のポリ3−ヒドロキシブチレート系複合体は低反発で環境負荷が少ないので、各種用途としての展開に適したものである。
【実施例】
【0032】
以下、本発明を実施例によって詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。尚、用いた試薬等は断りのない限り市販品を用いた。
【0033】
評価・分析に用いた機器及び方法を以下に示す。
【0034】
〜ポリ3−ヒドロキシブチレート系重合体の重量平均分子量の測定〜
ポリ3−ヒドロキシブチレート系重合体を60℃のクロロホルムに2時間溶解して得られた溶解成分のみを用いて、GPCによる分子量測定を行った。尚、重量平均分子量は標準ポリスチレン(東ソー(株)製)を用いて、ポリスチレン換算で求めた。測定条件を以下に示す。
機種:商品名HLC8020GPC(東ソー(株)製)
溶媒:クロロホルム
サンプル溶解条件:60℃、2時間
カラム温度:40℃
測定濃度:50mg/50ml
注入量:100μl
カラム:(商品名)TSKgel GMHHR−H(東ソー(株)製)2本
〜反発弾性の測定〜
JIS K 6301に従い、得られたシートを6枚重ねてリュプケ式反ぱつ弾性試験機にて測定した。
【0035】
実施例1
ポリ3−ヒドロキシブチレート単独重合体(Tianan Biologic Material社製、商品名ENMAT200;重量平均分子量660000)100重量部に対し、触媒としてジブチル錫ジラウレート0.015重量部をバッチ型ミキサー(東測精密工業(株)製、1リットル二軸混練装置)に入れ、180℃で20分間加熱溶融混合した後、イソシアネート化合物としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(日本ポリウレタン(株)製、商品名コロネートHX)10重量部を加え、さらに180℃で10分間混合を行った後、厚さ2mmのシート状の金型に入れて100℃で2時間放置しシートを得た。得られたシートを用いて反発弾性を測定したところ20%であった。
【0036】
実施例2
ポリ3−ヒドロキシブチレート単独重合体(Tianan Biologic Material社製、商品名ENMAT200;重量平均分子量660000)100重量部に対し、1,4−ブタンジオール10重量部及びジブチル錫ジラウレート0.015重量部をバッチ型ミキサー(東測精密工業(株)製、1リットル二軸混練装置)に入れ、180℃で20分間加熱溶融混合した後、イソシアネート化合物としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(日本ポリウレタン(株)製、商品名コロネートHX)25重量部を加え、さらに180℃で10分間混合を行った後、厚さ2mmのシート状の金型に入れて100℃で1時間放置しシートを得た。得られたシートを用いて反発弾性を測定したところ10%であった。
【0037】
実施例3
ポリ3−ヒドロキシブチレート単独重合体(Tianan Biologic Material社製、商品名ENMAT200;重量平均分子量660000)100重量部に対し、ポリ(オキシテトラメチレン)ポリオール(保土谷化学工業(株)製、商品名PTG−1000SN;数平均分子量=1038)15重量部及びジブチル錫ジラウレート0.015重量部をバッチ型ミキサー(東測精密工業(株)製、1リットル二軸混練装置)に入れ、180℃で20分間加熱溶融混合した後、イソシアネート化合物としてヘキサメチレンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(日本ポリウレタン(株)製、商品名コロネートHX)20重量部を加え、さらに180℃で10分間混合を行った後、厚さ2mmのシート状の金型に入れて100℃で1時間放置しシートを得た。得られたシートを用いて反発弾性を測定したところ15%であった。
【0038】
比較例1
ポリ3−ヒドロキシブチレート単独重合体(Tianan Biologic Material社製、商品名ENMAT200;重量平均分子量660000)を圧縮成形機を用いて厚さ2mmのシートに圧縮成形した。得られたシートを用いて反発弾性を測定したところ44%であった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリ3−ヒドロキシブチレート系重合体及びイソシアネート化合物を混合・加熱してなることを特徴とするポリ3−ヒドロキシブチレート系複合体。
【請求項2】
ポリ3−ヒドロキシブチレート系重合体100重量部に対し、イソシアネート化合物5〜50重量部を配合し混合・加熱してなることを特徴する請求項1に記載のポリ3−ヒドロキシブチレート系複合体。
【請求項3】
m−フェニレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4’−ジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート及びヘキサメチレンジイソシアネートからなる群より選択される1種以上のイソシアネート化合物であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリ3−ヒドロキシブチレート系複合体。
【請求項4】
さらにテトラメチル錫,テトラオクチル錫,ジメチルジオクチル錫,トリエチル錫塩化物,ジブチル錫ジアセテート,ジブチル錫ジラウレートからなる群より選択される触媒を加えて混合・加熱してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリ3−ヒドロキシブチレート系複合体。
【請求項5】
予め単鎖ポリオール又はポリエーテル系ポリオールを加熱溶融混合したポリ3−ヒドロキシブチレート系重合体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のポリ3−ヒドロキシブチレート系複合体。

【公開番号】特開2009−1705(P2009−1705A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−164922(P2007−164922)
【出願日】平成19年6月22日(2007.6.22)
【出願人】(000003300)東ソー株式会社 (1,901)
【Fターム(参考)】