説明

ポンプの不快要素の低減

飲料調製マシン1用のポンプ800は、ポンプ流入口810と、ポンプ流出口820と、液体を加圧し、ポンプ流入口からポンプ流出口まで循環させるための液体駆動部815、816と、液体駆動部をポンプ流出口に流体連通において連結している下流側ポンプ導管870、871、872とを有する。下流側ポンプ導管は、減衰され、加圧された液体を、液体駆動部からポンプ流出口を通して循環させるように、液体駆動部によって発生した液体の振動をポンプ流出口の上流側において減衰させるための液体ダンパ860を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に、飲料調製マシンの振動ポンプによって発生した不快要素の低減に関する。
【0002】
本明細書において、「飲料」は、茶、コーヒー、熱いまたは冷たいチョコレート飲料、ミルク、スープ、ベビーフードなどの任意の液状食品を含むこと意図している。「カプセル」は、封入容器内に予め小分けにされた任意の飲料原料を含むことを意図している。ここで、封入容器は、例えばプラスチック製容器、アルミニウム製容器、再利用可能容器および/または生分解可能容器などの、特に密閉容器であり、任意の材料からなり、飲料原料を含有する軟質のポッドもしくは硬質のカートリッジを含む任意の形状かつ構造からなる。
【背景技術】
【0003】
飲料調製マシンは長年にわたり公知である。例えば、米国特許第5,943,472号明細書は、エスプレッソマシンの水リザーバと湯分配チャンバまたは蒸気分配チャンバとの間の水循環システムについて開示している。この循環システムは、バルブと、金属製の加熱管と、ポンプとを含む。これらは互いに連結され、かつ締結用カラーを用いて接合された種々のシリコーンホースによりリザーバに連結されている。飲料マシンに適したポンプが、例えば、米国特許第2,715,868号明細書、米国特許第5,392,694号明細書、米国特許第5,992,298号明細書、米国特許第6,554,588号明細書、国際公開第2006/032599号パンフレットおよび国際公開第2009/150030号パンフレットに開示されている。
【0004】
例えば、米国特許第2,715,868号明細書では、抽出チャンバ内において、水を抽出チャンバに案内し、カートリッジ内を通すことによってカートリッジ内に供給された飲料原料を抽出するための飲料調製マシンについて開示している。ポンプは回転式のものであり、加圧液体を抽出チャンバに移動させるためにポンプチャンバ内において動作する羽根を有する。
【0005】
米国特許第5,392,694号明細書では、マシンのハウジング内に取り付けられているピストンポンプを備えたエスプレッソマシンについて開示している。ポンプは往復動ピストンを有する。往復動ピストンはピストンと係合した連接棒を有する偏心駆動部によって作動する。
【0006】
米国特許第5,992,298号明細書では、可動式または片持式で吊された振動ポンプを備えた飲料調製マシンについて開示している。ヒータの石灰化を低減するという観点においてヒータを振動させるために振動がインラインヒータに伝達される。
【0007】
米国特許第6,554,588号明細書では、エスプレッソマシンにおいて使用するのに適した振動ポンプのための複合ピストンについて開示している。
【0008】
一般に、そのような装置のポンプの動作中、駆動される部品、例えば、ポンプチャンバ内に収容されたポンプのピストンまたはいくつかの羽根の振動または回転運動のために振動が生じる。これら振動は、その後、装置のハウジングに伝達され、飲料調製装置の品質または操作感にマイナスに影響するおそれがある。さらに、振動が、装置のハウジング内に収容された他の構成要素にマイナスに影響するおそれがある。
【0009】
この問題に対処するため、国際公開第2006/032599号パンフレットにおいて、間隔をおいて配置されたサスペンダを用いて飲料調製マシン内にポンプを吊すことが提案されている。国際公開第2009/150030号パンフレットにおいては、ポンプを弾性ばね板支持部、例えば、蛇腹形の弾性支持部材によって支持することが提案されている。国際出願PCT/EP10/050099号明細書では別の減衰ポンプの支持について提案している。
【0010】
依然、飲料調製マシンにおけるポンプの動作によって発生した不快要素を低減する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の好ましい目的は、不快要素抑制装置、特に騒音抑制装置を備えるポンプを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
したがって、本発明は飲料調製マシン用のポンプに関する。ポンプは、ポンプ流入口と、ポンプ流出口と、液体を加圧し、ポンプ流入口からポンプ流出口まで循環させるための液体駆動部と、液体駆動部をポンプ流出口に流体連通で連結する下流側ポンプ導管とを有する。
【0013】
通常、液体駆動部は、ポンプ流入口とポンプ流出口とに流体連通したポンプチャンバを備える。例えば、液体駆動部は往復動ポンプピストンを備える。往復動ポンプピストンは、ポンプチャンバ内に収容され、液体を加圧し、ポンプ流入口からポンプチャンバを通してポンプ流出口に循環させ、そこから出す。任意選択で、力をピストンに作用させるためのピストンばねがポンプチャンバに設けられる。ピストンを駆動するための電磁ソレノイドをポンプチャンバの周辺に、例えばポンプハウジング内に設けることができる。ソレノイドによる作動によって、ポンプチャンバ内におけるピストンの軸方向の往復運動が可能となる。振動は、通常、ポンプ内の往復動ピストンの動作によって発生する。往復動ピストンを含むポンプチャンバを備えたポンプ駆動部を有するポンプの説明が、参照によって本明細書中に組み込まれる国際公開第2009/150030号パンフレットに開示されている。その代わりに、ポンプチャンバ内において特定の周波数で回転し、一致する周波数の振動を発生させる駆動要素を備えた回転式ポンプを有することも可能である。
【0014】
ポンプの動作によって発生した振動は、特に、ポンプの構造部品、例えば、ポンプ流入口と流出口とを含むポンプハウジングに伝達される。ポンプの振動の伝播を低減または抑制するため、ポンプは、機械的な連結部構成を減衰することによってマシン、例えば、飲料調製マシン内に取り付けてもよい。これについては、例えば、国際公開第2009/150030号パンフレットおよび国際出願PCT/EP10/050099号明細書において教示され、これらは参照によって本明細書中に組み込まれる。
【0015】
本発明によれば、下流側ポンプ導管は、液体駆動部によって発生したこの液体の振動をポンプ流出口の上流側において減衰するための液体ダンパを備える。これは、減衰され、加圧された液体を、液体駆動部からポンプ流出口を通して循環させるためである。そのような振動は、通常、ポンプの動作中に発生する。
【0016】
したがって、ポンプの振動抑制装置がポンプ内部流体路に、例えば導管、例えばダクトに沿って直に取り付けられている。ポンプ内部流体路はポンプ駆動部からポンプ流出口まで延びている。ポンプの振動抑制装置は、ポンプ駆動部、例えば、特定の周波数で往復動するピストン、または液体に対して特定の周波数で回転し、その中に一致する振動を発生させる回転式駆動要素の動作によって送られる液体に直に発生した振動を低減するために取り付けられる。したがって、ポンプ流出口によって送達される液体に振動がない、またはポンプ駆動部によって液体に付与された振動の規模と比較して小さい規模で振動するように、液体の振動を減衰するための、ポンプと一体化した振動抑制装置が配置される。通常、液体はポンプ駆動部の振動周波数に一致する周波数で振動する。
【0017】
ポンプによって循環される液体によるポンプ下流側の液体路ならびにそのような流体路に機械的に連結された部品に振動が伝達されることによって発生した不快要素および特に騒音は、ポンプ自体の内部にある流体路の構成によって抑制される、すなわち阻止される、または少なくとも低減されることになる。流体路に機械的に連結された部品には、例えば、インライン式のヒータなどのヒータおよび/または淹出ユニットおよび/またはポンプを含む飲料調製マシンなどのマシンのハウジングがある。
【0018】
さらに、一体型の流体振動抑制装置をポンプに設けることによって、外部流体ダンパは必要なくなる。これによって、そのようなポンプを含む流体回路が、大きさ、構成要素の数および組み立て工程の点において簡略化される。特に、コストと流体が漏れるリスクが増す追加の流体コネクタは必要ない。さらに、ポンプによって送達される液体の振動エネルギを減衰するための、ポンプの流出口に連結された減衰路、特に、ループおよび/または変形路は必要ない。ポンプの流出口は、剛性液体案内部、例えばダクトに連結してもよい。案内部は、短い場合であっても、ポンプによって送達される液体を介して振動が大きく伝播することはない、または振動の伝播を少なくとも大幅に低減する。
【0019】
当然、そのような液体振動抑制装置を備えたポンプは、減衰用の機械的な連結部構成によって飲料調製マシンなどのマシンに取り付けてもよい。これは、ポンプ流出口によって送達される液体を介した振動の伝播を抑制することに加えて、ポンプ構造を介してマシンに振動が伝播することを抑制するためである。
【0020】
通常、下流側ポンプ導管は液体ダンパによって境界が定められた液体減衰領域を備える。液体ダンパは、液体減衰領域の境界を定め、特に減衰領域を封止する可撓性膜を備えてもよい。例えば、可撓性膜は、シリコーン、ゴム、TPEの少なくとも1つで作成される。可撓性膜は50〜90の範囲のショア硬さを有してもよい。
【0021】
例えば、5〜25バールの圧力で、30〜1000ml/分の範囲、特に50〜750ml/分、例えば60〜600ml/分の流量を有する飲料調製マシン用のポンプの場合、例えばシリコンまたはゴムの膜は押し出された液体の流れにさらされる動作領域を有してもよい。この動作領域は、5〜30mmの範囲、例えば10〜25mmの直径および0.5〜2mmの範囲の厚さを有する。
【0022】
一実施形態においては、液体ダンパは可撓性膜によって液体減衰領域から分離された気体空洞部、特に空気空洞部を備える。通常、空洞は密閉される、または空洞の内部と外部との間において交換される気体を、流量を低減させて減衰させるために外部環境と連通している小さな導管を有する。したがって、可撓性膜の振動変形は膜によって境界が定められ、かつ膜の動きによって圧縮および膨張している、密閉された、またはほぼ密閉された気体空洞部の体積によって減衰されうる。液体ダンパは、気体空洞部の境界を定めるキャップ、特に、ねじ状のキャップおよび/または取り外し可能なキャップを備えてもよい。キャップは、任意選択で、ポンプハウジング内に固定されている。キャップは、可撓性膜を液体減衰領域に固定するように配置することができる。接着、溶接、圧力ばめのような他のキャップアセンブリ手段、例えばキャップのハウジング内への圧入が考えられる。キャップは、また、下流側ポンプ導管および/またはポンプハウジングと一体的に形成してもよい。
【0023】
そのようなキャップおよび膜の構成によって、例えば、キャップをねじ止めすることおよび/または膜を流体路に押し込むことによるポンプへの組み付けが簡単になるという利点が得られる。
【0024】
キャップはガラス繊維強化ポリアミドおよび/または金属で作成してもよい。
【0025】
下流側ポンプ導管は、液体案内領域、例えばダクト部を備えてもよい。液体案内領域は、案内領域によって案内される液体が液体ダンパにより遮断され、方向を変えるように、液体を液体駆動部から直接液体減衰領域に、液体ダンパに対して案内する。液体案内領域および液体減衰領域は、30〜150度の範囲、特に60〜120度の範囲、例えば75〜105度、任意選択で85〜95度の角度を成すように、それぞれの流れの方向を画定してもよい。したがって、加圧されて循環され、案内領域から送達される液体は、そのような液体の流れを遮断する液体ダンパによって、液体が有する振動エネルギが伝達され、放散されるように、液体ダンパにあたるように案内されうる。
【0026】
下流側ポンプ導管は、液体を液体減衰領域からポンプ流出口まで案内する液体方向転換領域、例えばダクトまたは導管部を備えてもよい。したがって、液体の流れは液体ダンパから逆戻りしてもよい。
【0027】
液体方向転換領域および液体減衰領域は、30〜150度の範囲、特に60〜120度の範囲、例えば75〜105度、任意選択で85〜95度の角度を成すように、それぞれの流れの方向を画定する。
【0028】
例えば、液体減衰領域は、液体案内領域によって液体ダンパ上に送達される液体の流れを受け、液体の流れを液体方向転換領域に送達する。案内領域と、減衰領域と、方向転換領域は、減衰領域を案内領域と方向転換領域との間に有する略U形またはV形であってもよい。
【0029】
ポンプ駆動部とポンプ流出口との間の液体路のそのような幾何学的形状によって空間要件および流体機能の組み込みが最適になる。
【0030】
一実施形態において、下流側ポンプ導管は、液体駆動部からポンプ流出口に延びている剛性部材、特に、剛性一体型部材と、剛性部材の少なくとも一部にわたって延びている液体ダンパとで作成されている。この構成においては、剛性部材と液体ダンパは共同して下流側ポンプ導管を含む。例えば、ポンプは、この剛性部材と一体であり、任意選択で、液体駆動部を含むポンプハウジングを有する。
【0031】
液体ダンパは、特に、ポンプ駆動部がほぼ一定の周波数の振動または限られた周波数範囲の振動を発生させる場合、ポンプ駆動部によって付与される液体の振動の周波数に調整することができる。例えば、液体駆動部は、ポンプ流出口に案内される液体に振動周波数を付与するように配置することができる。液体ダンパは前記振動周波数と大幅に異なる共振周波数を有する。
【0032】
通常、膜は、その変化の振幅を少なくとも20%、特に少なくとも50%、例えば少なくとも75%低減するために、振動液体の周波数およびエネルギに調整することができる。例えば、ポンプの液体駆動部によって液体を10〜20バールの範囲の平均圧力まで加圧してもよい。液体駆動部によって発生した非減衰振動の総振幅は例えば平均振幅の30〜60%に対応する。例えば、液体の10バールの平均加圧では3〜6バールの圧力振動を含みうる。すなわち、この液体の圧力は4〜16バールから7〜13バールまで振動させることができる。20バールの平均加圧では、6〜12バールの非減衰振動を含みうる。例えば、この液体の圧力は14〜26バールから8〜32バールまで振動させることができる。そのような瞬間圧力変化は液体を介して伝播するため、減衰すべきである。本発明のポンプ一体型のダンパによって、そのような圧力がポンプの流出口を通過してポンプを出る前に大幅に低下してもよい。例えば、30%〜75%またはさらには85%低下してもよい。
【0033】
本発明は、また、上述のようなポンプを備える飲料調製マシンに関する。
【0034】
例えば、飲料調製マシンは、マシンハウジングと、使用中振動し、かつハウジング内に取り付けられているポンプと、ポンプから他のマシン部品に振動が伝達されることを防止または低減するためのポンプの外部ダンパとを備える。外部ダンパは、ハウジング内においてポンプが上に取り付けられるばねまたは別の可撓性要素、例えば、弦巻減衰ばねを備えてもよい。
【0035】
飲料調製モジュールは以下の構成要素のうちの1つ以上を備えてもよい。
a)この飲料の原料、特に、カプセル内に供給された予め小分けにされた原料を受けるための、および水などの流入する液体を前記原料中から飲料流出口まで案内するための淹出ユニット、
b)サーモブロックのような、淹出ユニットに供給されるべきこの液体の流れを加熱するためのインラインヒータ、
c)インラインヒータにこの液体を押し出すための上述のポンプ、
d)この液体を液体のタンクのような液体の源から飲料流出口に案内するための1つまたは複数の流体連結部材、
e)インターフェースを介して使用者から命令を受け取るための、およびインラインヒータおよびポンプを制御するための、特にプリント回路基板(PCB)を備える電気制御ユニット、
f)淹出ユニット、インラインヒータ、ポンプ、液体リザーバ、原料収集部、この液体の流れ、この液体の圧力、この液体の温度の特性から選択される少なくとも1つの動作特性を検出するための、およびそのような特性(複数)を制御ユニットに伝達するための1つまたは複数の電気センサ。
【0036】
ヒータはサーモブロックまたはオンデマンドヒータ(ODH)、例えば、欧州特許第1 253 844号明細書、欧州特許第1 380 243号明細書および欧州特許第1 809 151号明細書に開示される種類のODHであってもよい。
【0037】
参照によって本明細書中に組み込まれる国際公開第2009/130099号パンフレットに開示されているように、構成要素は、完全に自動的に、または実質的に自動的に組み立てられてもよい。
【0038】
ポンプは、電気接続部を介して制御ユニットに電気的に接続することができる。電気接続部は、振動を伝達しない、またはそのような振動を大幅に低減する。例えば、ポンプは可撓性ケーブルまたはワイヤにより連結されている。制御ユニットはPCBを含んでもよい。電気接続部は振動を低減する可撓性ケーブルまたはワイヤを備える。可撓性ケーブルまたはワイヤはその両端がPCBに予め取り付けられ、PCBの着脱可能な部分に予め取り付けられたこれら端部の1つが、ポンプに電気的に接続し、ポンプに電力を供給するためのコネクタを形成する。着脱可能なPCB部には電気接続ストリップを設けてもよい。例えば、コネクタはプラグである。コネクタをPCBの着脱可能な部分として形成すると自動組立が容易になる。つまり、可撓性ケーブルであるにもかかわらず、その取り外し前にコネクタの位置がPCBに対して完全に定められるため、後に続くポンプへの自動連結のために、自動組立システムによって容易につかみ、取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明による飲料調製マシンの内部構造を示す。
【図2】図1に示したマシンにおけるポンプの固定をより詳細に示す。
【図3】図1および図2に示したポンプの斜視図である。
【図4】本発明による振動抑制装置を図示する、図3に示したポンプの一部の断面図である。
【図5】本発明による液体ダンパを有する/有しない動作中のポンプの流出口における液体の圧力を時間ベースで測定したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0040】
ここで概略図を参照して本発明について説明する。
【0041】
図1は、飲料調製マシン1の種々の部品を示す。一般に、この種の飲料調製マシンはコーヒー、茶および/またはスープを含む他の熱い飲料および同様の調製食品を調整するのに適している。淹出チャンバに循環する液体の圧力は、例えば、約10〜20バールに達してもよい。飲料調製マシン1の種々の部品およびその組み立てについては全般的に国際公開第2009/130099号パンフレットに開示され、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0042】
図1は、本発明による飲料調製マシン1に見られてもよい内部構造の全体図を全体として提供する。図2は、飲料調製マシン1内に取り付けられたポンプ800の特定の実施形態をより詳細に示す。図3および図4は本発明によるポンプ800の一実施形態をより詳細に示す。
【0043】
飲料マシンハウジング1000に取り付けられた構成要素を飲料調製マシン1の一部の斜視図において示す。ハウジング1000は、例えば、欧州特許第1 867 260号明細書に開示されている種類の使用済みカプセル収集部およびドリップトレイ機構を受容するための空洞1050の境界を定める。マシン1の後部は水タンクを受容するように配置されている。この種のマシンの水タンク、カプセル収集部およびドリップトレイ収集部の外形図は国際公開第2010/015427号パンフレットに示されている。
【0044】
例えば、飲料マシンハウジング1000は2つの半シェル部、例えば、一般的なクラムシェルで形成されており、その1つがハウジング1000に入る内部構成要素のアセンブリおよび飲料マシン1のモジュールのための受容支持部として機能する。したがって、組み立て時、すべての内部構成要素およびモジュールが1つの半シェル部内に配置され、かつ連結されてもよい。構成要素間およびモジュール間の連結はシェルへの組み付け前および/または組み付け中に実施してもよい。すべての内部構成要素およびモジュールが半シェル部に配置され、かつ連結されると、マシンハウジング1000が、特に、第2の半シェル部を第1の半シェル部に留めることによっておよび/またははめ込むことによって、第2の半シェル部により閉じられる。構成要素およびモジュールは、好ましくは、留め、はめ込み、締め、押し込み、またはハウジング1000に一致する内部幾何学的形状、特にハウジングの壁および隔壁内における構成要素およびモジュールの他のあらゆる幾何学的な固定によってマシンハウジング1000内に固定される。したがって、内部構成要素およびモジュールをマシンハウジング1000内に固定するために、ねじ、リベット、接着剤、溶接または機械的アセンブリおよび/またはほとんど分解されない連結のための他の複雑な連結部をわずかしかまたはまったく必要としない。これは組み立てならびに後に起こりうる飲料調製マシン1の保守および/または整備を大幅に簡略化する。
【0045】
マシン1は、調整されるべき飲料の原料、特に、当技術分野において公知のカプセル内に供給される予め小分けにされた原料を受けるための淹出ユニット500を有する。淹出ユニット500は水などの入ってくる液体の流れを、原料を通し、飲料流出口510に案内するように構成されている。この種の淹出ユニットの例は国際公開第2005/004683号パンフレット、国際公開第2007/135135号パンフレット、国際公開第2007/135136号パンフレットおよび国際公開第2009/043630号パンフレットに開示されており、これらは本明細書中に組み込まれる。
【0046】
さらに、飲料調製マシン1は、サーモブロック600のような、淹出ユニット500に供給されるべき液体の流れを加熱するためのインラインヒータを有する。液体は、流体コネクタ700上に取り付けられたリザーバの形態の液体源から、ヒータ600を通り、ポンプ800を通過して送られる。これらはすべて相互連結している。適切なサーモブロックヒータが、例えば、参照によって本明細書中に組み込まれる国際公開第2009/043865号パンフレットに開示されている。例えば、国際公開第2009/043851号パンフレットに開示されているようなインスタントヒータまたは国際公開第2006/029763号パンフレットに開示されているようなオンデマンドヒータを使用することも可能である。これらは参照によって本明細書中に組み込まれる。
【0047】
したがって、飲料調製マシンは、液体をリザーバコネクタ700から飲料流出口510まで案内するための種々の連結部材、特に、チューブもしくはダクトまたは導管5’、5’’、200を備えた他の部材を有する。
【0048】
ハウジング1000内に取り付けられ、同じ参照符号が同じ要素を示す図2および図3にさらに詳細に示す振動ポンプ800は、飲料調製マシンに一般に使用されている種類のポンプである。振動ポンプによって、循環する液体に信頼性の高い圧力の形態が提供される。特に、ポンプ800は、例えば、エスプレッソコーヒーを調製するためのコーヒーマシンにおいて、水を、低圧のシステムから必要とされるより高圧のシステムに送る。
【0049】
図1および図2に示すように、ポンプ800から飲料調製マシンの他の部品への振動の伝達を最小にするため、ポンプ800は、ポンプの外部ダンパとして機能するばね850、特に弦巻ばね上に取り付けられている。
【0050】
飲料調製マシンを制御するため、マシンは、インターフェース2bを介して使用者から命令を受け取るとともにインラインヒータ600およびポンプ800を制御するために、PCBを収容するPCBハウジング3によって遮蔽された電気制御ユニット2を備える。
【0051】
ポンプ800は、安全ヒューズ806と、制御ユニット2に電気的に接続された電気コネクタ805とを有する。好ましくは、制御ユニット2への電気接続によって、振動が伝達されるわけでも、振動が大幅に低減されるわけでもない。例えば、ポンプ800は可撓性ケーブルまたはワイヤによって制御ユニット2に接続されている。例えば、そのような電気接続部は、両端がPCBに予め取り付けられ、これら端部の1つがPCBの着脱可能な部分に予め取り付けられた可撓性ケーブルまたはワイヤを備える。PCBの着脱可能な部分は、例えば、プラグまたはソケットのような、ポンプ800に電気的に接続し、かつ動力を供給するためのコネクタを形成する電気接続ストリップが設けられた部分である。その代わりに、ケーブルは、ポンプコネクタ805およびPCBに直接はんだ付けされるか、溶接されるかであってもよい。
【0052】
PCBハウジング3は、ハウジング3内に固定されたPCB上に直接組み付けられ、かつハウジング3の外側に延びている流体回路5内に連結された流量計95を収容するための開口部3cを有する。
【0053】
飲料調製マシン1は、淹出ユニット500、インラインヒータ600、液体リザーバ、空洞1050内の原料収集部、ポンプ800、液体の流れ、液体の圧力、液体の温度の特性から選択される少なくとも1つの動作特性を検出し、そのような特性を制御ユニット2に伝達するための1つまたは複数の電気センサ、例えば、流量計95を有する。
【0054】
同じく図1に示すのは、制御ユニット2に連結された親スイッチ2aおよび電源に接続するための電気コード2cである。
【0055】
図1および図2において見られるように、低圧システム5’、5’’によって、水タンクコネクタ700と、流量計95と、ポンプ800との間にリンクが設けられる。水タンクコネクタ700は低圧水循環システムの管5’、5’’に連結されている。この管は水リザーバ(図示せず)をポンプ800に連結している。コネクタ700から下流側には、流量計95が管状部5’と5’’との間に配置されている。流量計95は、管5’、5’’と一体である中間管流出口5a’と中間管流入口5a’’との中間にある管5’、5’’の中間部に連結されている。
【0056】
実際、管5’、5’’、管のタンクコネクタ700、管5’、5’’の中間流出口5a’および中間流入口5a’’ならびに流出口5b’’は、参照部品を設けることにより自動的に扱うのに適するようにした単一の構成要素を形成してもよい。実際、例えばシリコンで作成された可撓性のある非弾性管状部5’、5’’を使用する可能性があるにもかかわらず、端部部分700、5b’’および中間部分5a’、5a’’を、飲料調製マシン1内においてそれらを全自動で扱うとともに組み立てるために、例えば、振動ボウルを使用することによって自動的に配向し、空間的に参照してもよい。
【0057】
これら低圧管部品とポンプ支持部材との一体化によって飲料調製マシンの独立部品の数が削減されるため、これにより全体的な部品数の削減につながる。その結果、飲料調製装置の組み立てが改良され、コストが削減されて、人の介入を必要としない自動組立工程につながる。
【0058】
加えて、コネクタの数が減少するため、漏れが生じるおそれのある弱い部分を排除することにより、システムの一体化および信頼性の向上が達成される。水タンクコネクタ700とポンプ800との間に組み込んだ流量計95の配置は任意である。流量計をポンプの下流側、インライン式の水ヒータの前または後に設けてもよい。
【0059】
ポンプ800は飲料調製マシンの分野において公知の種類の振動ポンプとすることができる。例えば、ポンプピストン815がポンプチャンバ816内に可動的に取り付けられている。好ましくは、力をピストン815に作用させるためのばねをポンプチャンバ816内に設けてもよい。さらに、ピストン815を駆動するための電磁ソレノイドをポンプチャンバ816の周縁部に設けることができる。ソレノイドは、通常、外部ポンプハウジング802内に収容されている。したがって、ソレノイドによる作動によりポンプチャンバ816内におけるピストン815の軸方向の往復運動が可能となる。ポンプチャンバ816がポンプ800の液体流入口810(図2に点線で示す)および液体流出口820を介して連結されている。ポンプのピストン815は、通常、ボアを含む。このボアは、ピストン815の往復運動中、液体をポンプ800の液体流入口810から液体流出口820に押し出すためにバルブによって選択的に閉じることができる。流入口810は、ポンプ800と流体回路5’、5’’との間に水密に封止された連結を設けるために、例えばシリコンで作成された管5’、5’’の流出口5b’’に圧力ばめされた外側が鋸歯状の連結部を有する。
【0060】
好ましくは、ポンプ800の往復動ピストン815は一般に減衰ばね850の軸方向に動くように配置されている。弦巻減衰ばね850は、ポンプ底部部分810、特にポンプ流入口のまわりに軸方向に突出している。したがって、ポンプ底部部分810は管流出口5b’’を介して管5’、5’’に連結されたポンプ流入口(図2に点線で示す)を形成してもよい。弦巻減衰ばね850はポンプ流入口810のまわりと管5’、5’’のまわりに軸方向に突出している。ポンプ流入口810が流出口5b’’に連結されると、ばね850はポンプ800の端に取り付けることができるようになっている。
【0061】
弦巻減衰ばね850は内部座1010によって支持されている。ばね座1010は減衰ばね850を支持している底部突起1011と、減衰ばねを所定の位置に維持している周辺側壁1012とを備える。内部ばね座1010は底部開口部1013の境界を定めている。底部開口部1013を通って流出口5b’’が突出している。
【0062】
内部ばね座1010はハウジング1000と一体化している、又は、ハウジング1000に固定されている。通常、座部1010はハウジング1000とともに成形することができる。
【0063】
減衰ばね850は、外部ポンプ部分、特にポンプ底部部分810または管流出口5b’’のような、減衰ばね850に連結された構成要素を保持するため、および案内するために配置されている。これは、ポンプ800が振動している場合、外部ポンプ部分またはそれに連結された構成要素の摩擦のない動きを可能にするためである。
【0064】
特に、ばね850は、ポンプ流入口810と管流出口5b’’とをハウジング1000と座部1010とから間隔を空けて配置する。これは、使用中、ポンプ800が振動している場合、ばね850に保持されたこれら部品の摩擦のない往復運動を可能にするためである。
【0065】
さらに、ポンプ800のバランスをとるため、滑り軸受1015が設けられている。これは、ポンプ800を保持および案内するため、また、振動している場合、ポンプ800の動きを可能にするためである。この軸受は、特に、例えばハウジング1000の半シェル部の要素を向かい合わせることによりハウジング1000の1つまたは複数の内壁によって形成された滑り軸受である。滑り軸受1015は、ポンプ800の上部、特にポンプ流出口820を保持するため、および案内するために配置されている。
【0066】
当然、滑り軸受1015を、例えば、第2の減衰ばねと交換することも可能である。第2の減衰ばねは、減衰ばね850と同じ種類のものであり、ポンプ800の上部部分、例えばポンプ流出口820の近傍に連結される。またはさらには、1つの減衰ばねを使用し、底部部分、例えば流入口810を自身で自由に可動させるか、管5’、5’’の流出口5b’’とともに可動させることも可能である。
【0067】
アセンブリ200は、ポンプ流出口820を連結するためのコネクタを備える。類似する剛性のある管状システムを、同様に、ポンプの上流側に設けてもよい(図示せず)。そのようなコネクタは国際公開第2009/130099号パンフレットに詳細に開示されている。
【0068】
したがって、ポンプ800の動作から生じる振動を、流体導管またはパイプに大きく伝達することなくこの連結部において吸収してもよい。さらに、流出口820のコネクタにおける弾性封止部材により、振動伝達の抑制がさらに強化される。
【0069】
ポンプの下流側から、飲料調製マシン、特にヒータ600への振動伝達をさらに抑制するため、チューブ200とヒータ600の流入口との間に類似の連結部を設けることができる。
【0070】
図3および図4に示すように、ポンプ800は、ポンプ流入口810およびポンプ流出口820を支持している内部ポンプハウジング801と、外部ハウジング802とを有する。内部ポンプハウジング801は、液体を加圧し、ポンプ流入口810から、下流側ポンプ導管870、871、872を通してポンプ流出口820まで循環させるための液体駆動部815、816を含む。液体駆動部はポンプチャンバ816を備える。ポンプチャンバ816は、周辺電磁ソレノイド(図示せず)とピストン戻りばね(図示せず)とによって駆動する往復動ポンプピストン815を収容している。ソレノイドは外部ポンプハウジング802内に収容されている。液体駆動部815、816は、ポンプ流入口810とポンプ流出口820とに流体連通しているポンプチャンバ816を備える。ポンプピストン815はチャンバ816内において往復運動し、液体を加圧して、ポンプ流入口810からポンプチャンバ816を通してポンプ流出口820に循環させる。
【0071】
本発明によれば、下流側ポンプ導管870、871、872は、液体駆動部815、816、特にピストン815によって発生した液体の振動を上流側ポンプ流出口820において減衰するための液体ダンパ860を備える。これは、減衰された、液体駆動部815、816により加圧された液体を、ポンプ流出口820を通して循環させるためである。
【0072】
下流側ポンプ導管870、871、872は、液体ダンパ860によって境界が定められた液体減衰領域870を備える。液体ダンパ860は、液体減衰領域870の境界を定める可撓性膜861を備える。可撓性膜861はシリコーン、ゴムまたはTPEで作成してもよく、50〜90の範囲のショア硬さを有してもよい。
【0073】
下流側ポンプ導管870、871、872は液体案内領域871をさらに備える。液体案内領域871は、案内領域871によって案内された液体が液体ダンパ860、特に膜861によって方向を変えるように、液体を、液体駆動部から液体減衰領域870に、液体ダンパ860に案内する。
【0074】
図4に示すように、領域871を循環する加圧された液体が領域871の下流側端部に面した液体ダンパ860に垂直にぶつかるように、領域871における全体的な流れの方向は領域870における全体的な流れの方向に対して少なくともほぼ垂直である。さらに、下流側ポンプ導管870、871、872は、液体を液体減衰領域からポンプ流出口820まで案内する液体方向転換領域872を含む。方向転換領域872に対して例えば垂直な角度の二次方向転換領域873が方向転換領域872と流出口820との間に設けられている。
【0075】
チャンバ816を出る液体の振動エネルギを液体ダンパ860によって最適に吸収および放散することができるように、案内領域871と、減衰領域870と、方向転換領域872は略U形の構成である。したがって、方向転換領域872、873に沿って流れ、流出口820を通過してポンプ800を出る液体から、液体駆動部815、816によって液体に付与された振動エネルギが、液体ダンパ860によって少なくとも部分的に解放される。
【0076】
液体ダンパ860は、液体減衰領域870から可撓性膜861によって分離された気体空洞部862、特に空気空洞部をさらに含む。液体ダンパ860は、気体空洞部862の境界を定めるキャップ865、特に、ねじ状の取り外し可能なキャップを有する。可撓性膜861は周辺部分861’に沿って封止され、キャップ865によって液体減衰領域870に押されている。
【0077】
図4に示すように、下流側ポンプ導管870、871、872は、液体駆動部815、816からポンプ流出口820まで延びている剛性一体型部材801と、剛性部材801の少なくとも一部にわたって延びている液体ダンパ860とで作成されている。剛性部材801および液体ダンパ860は共に下流側ポンプ導管870、871、872を含む。さらに、ポンプハウジング801はこの剛性部材と一体化しており、液体駆動部815、816を含んでもよい。ポンプソレノイド(図示せず)が外部ハウジング802とポンプハウジング801との間に収容されている。
【0078】
液体駆動部815、816はチャンバ816からポンプ流出口820に案内される液体と、振動周波数と大幅に異なる共振周波数を有する液体ダンパ860とに振動周波数を付与するために配置されている。
【0079】
したがって、ポンプ800には、使用中、その液体駆動部815、816によって発生した振動の伝播を抑制するための改良型の減衰システムが取り付けられている。一方、ポンプ800の構造部品において発生した振動は減衰され、ポンプ800の外部にある可撓性の機械的な連結部構成によって、ポンプ800を超えて伝播されることが抑制される。可撓性の機械的な連結部構成には、特に、減衰ばね850および/またはポンプ流入口および流出口のための減衰流体連結部を含む。その一方で、ポンプ800によって加圧され、循環された液体において発生した振動はポンプ800内部の液体ダンパ860によって減衰される。いくつかの用途および/またはより好適でない実施形態では、ポンプ800外部に減衰機構を設けず、ポンプ内部流体ダンパ860のみを設けることが可能である。
数値例
【0080】
図5は、同一の液体駆動部、動力、流体導管断面を有する3つのポンプの流出口において液体の圧力値を並列測定した3つの組I、II、IIIを示す。換言すると、ポンプは、水などの液体を加圧し、ポンプ中に循環させ、ポンプから出すために、230V/50Hzの電源により動力を供給される同一の振動ピストンおよびソレノイドを有していた(したがって、液体駆動部によって液体に発生した振動は50Hzの周波数を示した)。3つのポンプは、同一の流体回路、すなわち、液体ダンパ860がある場合はそれを除いて直径2mmの流入口および流出口ダクトを有していた。
【0081】
圧力測定は1秒に1000回というペースで実施した。各ポンプについて0.2秒の時間間隔にわたり測定した圧力を図5に示す。
【0082】
第1の(比較の)ポンプは液体ダンパを有していなかった。このポンプはその流出口において曲線Iで示される最大圧力振幅、すなわち、振動約7〜18バールまたは平均圧力レベル約12.5バール、全体的な振動の振幅約11バール(全体的な振幅が平均圧力のほぼ100%に一致する)を示した。
【0083】
第2のポンプ800は直径約10mm、厚さ1.5mmの減衰膜861で形成された液体ダンパ860を有していた。膜861は、ほぼ大気圧の、容量0.3cmを有する空気空洞部862と組み合わされた。このポンプ800は、その流出口820において、曲線IIで示される中間の圧力振幅を示した。すなわち、振動約8〜17バールまたは平均圧力レベル約12.5バール、全体的な振動の振幅約9バール(全体的な振幅は平均圧力の約75%に一致する)であった。
【0084】
液体ダンパのないポンプと比較すると、この圧力振幅の小さな削減は2バールに相当し、結果として生じるポンプの騒音除去にすでに多大な影響を及ぼす可能性がある。これは、特に、騒音が人間の耳によって直線的に認識されないためである。
【0085】
第3のポンプ800は直径約25mm、厚さ1.5mmの減衰膜861で形成された液体ダンパ860を有していた。膜861は、ほぼ大気圧の、容量1cmを有する空気空洞部862と組み合わされた。第3のポンプは、その流出口820において、曲線IIIで示される小さな圧力振幅を示した。すなわち、振動約10〜15バールまたは平均圧力レベル約12.5バール、全体的な振動の振幅約5バール(全体的な振幅は平均圧力の約40%に一致する)であった。
【0086】
液体ダンパのないポンプと比較すると、この圧力振幅の大幅な削減は6バールに相当し、結果として生じるポンプの騒音および不快要素の低減に多大な影響を及ぼす。第3のポンプの使用による騒音および不快要素の低減量は第2のポンプの使用による低減量よりもかなり大きい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプ流入口(810)と、ポンプ流出口(820)と、液体を加圧し、前記ポンプ流入口から前記ポンプ流出口まで循環させるための液体駆動部(815、816)と、前記液体駆動部を前記ポンプ流出口に流体連通で連結している下流側ポンプ導管(870、871、872)と、を備える飲料調製マシン(1)用のポンプ(800)において、
前記下流側ポンプ導管が、減衰され、加圧された前記液体を、前記液体駆動部から前記ポンプ流出口を通して循環させるように、前記液体駆動部によって発生した前記液体の振動を前記ポンプ流出口の上流側において減衰させるための液体ダンパ(860)を備えることを特徴とする、ポンプ。
【請求項2】
前記液体駆動部(815、816)が、
前記ポンプ流入口(810)と前記ポンプ流出口(820)とに、前記下流側ポンプ導管(870、871、872)を介して流体連通しているポンプチャンバ(816)と、
特に、
前記ポンプチャンバ(816)内に収容され、液体を加圧し、前記ポンプ流入口(810)から前記ポンプチャンバ(816)を通して前記ポンプ流出口(820)まで循環させるための往復動ポンプピストン(815)と、
任意選択で、力を前記ピストンに作用させるために前記ポンプチャンバに設けられたピストンばねと、
前記ピストンを駆動するために、特に前記ポンプチャンバの前記周辺に設けられた電磁ソレノイドと、
を備え、
前記電磁ソレノイドによる作動によって、前記ポンプチャンバ内における前記ピストンの軸方向の往復運動が可能となる、請求項1に記載のポンプ。
【請求項3】
前記下流側ポンプ導管(870、871、872)が、前記液体ダンパ(860)によって境界が定められた液体減衰領域(870)を備える、請求項1または2に記載のポンプ。
【請求項4】
前記液体ダンパ(860)が、前記液体減衰領域(870)の境界を定める可撓性膜(861)を備え、任意選択で、前記可撓性膜(861)がシリコーン、ゴム、TPEの少なくとも1つからなる、および/または50〜90の範囲のショア硬さを有する、請求項3に記載のポンプ。
【請求項5】
前記液体ダンパ(860)が、前記可撓性膜(861)によって前記液体減衰領域(870)から分離された気体空洞部(862)、特に、空気空洞部を備える、請求項3または4に記載のポンプ。
【請求項6】
前記液体ダンパ(860)が、前記気体空洞部(862)の境界を定めるキャップ(865)、特に、ねじ状のキャップおよび/または取り外し可能なキャップを備える、請求項5に記載のポンプ。
【請求項7】
前記キャップ(865)がポンプハウジング(801)内に固定されている、請求項6に記載のポンプ。
【請求項8】
前記キャップ(865)が前記可撓性膜(861)を前記液体減衰領域(870)に固定するように配置されている、請求項6または7に記載のポンプ。
【請求項9】
前記案内領域によって案内される液体が前記液体ダンパによって方向を変えるように、前記下流側ポンプ導管(870、871、872)が、液体を前記液体駆動部(815、816)から前記液体減衰領域(870)に、前記液体ダンパ(860)に対して案内する液体案内領域(871)を備える、請求項3〜8のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項10】
前記液体案内領域(871)および前記液体減衰領域(870)が、30〜150度の範囲、特に60〜120度の範囲、例えば75〜105度、例えば85〜95度の角度を成すように、それぞれの流れの方向を画定する、請求項9に記載のポンプ。
【請求項11】
前記下流側ポンプ導管が、液体を前記液体減衰領域(870)から前記ポンプ流出口(820)まで案内する液体方向転換領域(872)を備える、請求項3〜10のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項12】
前記液体方向転換領域(872)および前記液体減衰領域(870)が、30〜150度の範囲、特に60〜120度の範囲、例えば75〜105度、例えば85〜95度の角度を成すように、それぞれの流れの方向を画定する、請求項11に記載のポンプ。
【請求項13】
前記下流側ポンプ導管(870、871、872)が、剛性部材(801)、特に、前記液体駆動部(815、816)から前記ポンプ流出口(820)まで延びている剛性一体型部材と、前記剛性部材(801)の少なくとも一部にわたって延在している前記液体ダンパ(860)とで形成されており、前記剛性部材と前記液体ダンパが共同して前記下流側ポンプ導管(870、871、872)を含む、請求項1〜12のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項14】
前記剛性部材と一体化し、任意選択で、前記液体駆動部(815、816)を含むポンプハウジング(801)を備える、請求項13に記載のポンプ。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれかに定義されるポンプ(800)を備える飲料調製マシン(1)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−521031(P2013−521031A)
【公表日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−555434(P2012−555434)
【出願日】平成23年3月4日(2011.3.4)
【国際出願番号】PCT/EP2011/053251
【国際公開番号】WO2011/107574
【国際公開日】平成23年9月9日(2011.9.9)
【出願人】(599132904)ネステク ソシエテ アノニム (637)
【Fターム(参考)】