説明

ポンプディスペンサ及びそのバルブアセンブリ

【課題】改善した注出バルブを有するポンプディスペンサ及びバルブアセンブリを提供する。
【解決手段】排出ヘッド(10)を持つポンプディスペンサ用の注出口型バルブ(18)は、排出ヘッド(10)の開口(24)内に取り付けて液状製品を排出し、リテーナ(26)により排出ヘッド(10)内に保持した注出バルブ(22)を含む。注出バルブ(22)は一端にスリット(38)、反対側他端にオリフィス(50)を含む。スリット(38)に互いに直接に係合し且つこの係合を解除して、スリット閉位置及びスリット開位置をそれぞれ形成するスリットリップ(39,41)を持つ。注出バルブ(22)は、液状製品からの圧力によりスリットが開く材料で形成し、スリットが開位置にあるときにスリットを通じて液状製品の排出し、スリット(38)が閉位置にあるときにはスリットを通じた液状製品の排出を阻止するスリット(38)の閉鎖を許容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポンプディスペンサの改良、特に、改良注出口型バルブアセンブリを備えたポンプディスペンサ及びそのバルブアセンブリに関し、これらは、排出通路内での液状製品の乾燥を阻止すべく、排出通路を迅速に遮断可能な気密注出口を形成するエラストマ製の一方向弁を含んでいる。
【背景技術】
【0002】
公知の手動操作型のポンプディスペンサは特に、個人用ケア製品を分配するために構成されており、個人用ケア製品は糊状又はゲル状の形態である。このポンプディスペンサは典型的に入口及び出口逆止弁の双方を有し、これら逆止弁は各ピストン吸引ストローク中、ポンプ室内への液状製品の流入と、各ポンプ圧縮ストローク中、ポンプ室からの液状製品の排出をそれぞれ制御する。
【0003】
このようなポンプディスペンサは長期の使用期間に亘り、液状製品を調量した分量毎に分配するうえで利点のあるものである。しかしながら、入手可能な多くのポンプディスペンサの場合、その長期の使用はその排出ヘッドの出口や出口に通じる通路内にて液状製品の蓄積や乾燥を頻繁にもたらし、このような蓄積及び乾燥は操作上及び衛生上の双方の観点から回避しなければならない。
【0004】
通常のポンプディスペンサに関する製品の蓄積及び乾燥の不具合を処理するため、排出ヘッドの出口に通じる通路をシールする幾つかのバルブ構成を備えたポンプディスペンサが提案されている。このようなポンプディスペンサは特許文献1,2に代表される。
【特許文献1】米国特許第5,186,368号明細書
【特許文献2】米国特許第5,447,258号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1,2のバルブ構成は、通常のポンプディスペンサのバルブ構成に関して改良されているものの、我々の観点からみて、なお問題を含んでいる。
特に、特許文献1の図4及び図6を参照すれば、エラストマからなるバルブはシャッタ1として言及されており、このシャッタ1はポンプヘッド2の一端に形成された接続管(図6参照)を覆うように接続管に被せて取り付けられている。シャッタ1は、接続管の前側周縁及び側周面に沿って接続管に係合する。ポンプヘッド2はシャッタ1の側壁11に対し、第1面に亘って密着状態に接触して配置され、第1面は側壁11の内部を越えるだけ延びており、そして、更に、ポンプヘッド2は端壁10の内面210iに密着状態で接触して配置されている。この組付け要件は、シャッタ1及び接続管の液密な係合を可能にする。
【0006】
特許文献1のバルブ構成の記載から明らかなように、バルブアセンブリは、ポンプヘッド2における接続管上へシャッタ1の取り付けが有効ではないため、繰り返して使用される間、シャッタ1が正規位置から容易に外れてしまう不具合をもたらす。このような位置ずれ傾向は、シャッタ1がポンピング中、高圧の糊状製品を晒されるときに顕著となる。更に、シャッタ1は一体構造であるため、ポンプヘッドに対する取り付けを改善するために強化することができず、そして、スリットの開閉に十分な弾性が必要であるために、シャッタ1は所定の程度だけ硬化させ得るに過ぎない。
【0007】
特許文献2のバルブ構成に関し、特許文献1の図1を参照すれば、バルブアセンブリは第1及び第2弁体7,11を含み、これら弁体排出ヘッド内にて、ストッパ22により部分的に保持されている。特に、弁体11は排出ヘッド内にて係合部分8により保持されており、この係合部分8はその一方の側の突起3a及び他方の側の止め面22bと接触して配置されている。弁体7,11は、(開口部10を示す)位置10にて互いの係合により作動し、位置10にて、弁体11は弁体7の軸6に液密に係合して配置されている。従って、排出ヘッド20の押し下げ中、液状製品はパイプ2から弁体11と軸6との間の空間内に流入する。十分な押下圧が生起されたとき、弁体11は径方向に拡張し、開口部10と軸6との間の接触を破り、液状製品の排出を許容する。排出ヘッド20への押し下げが解除されたとき、弁体11の開口部10は出口をシールするように軸6との接触状態に復帰する。
【0008】
特許文献2のバルブ構成の記載から明らかなように、特許文献2のバルブアセンブリは、出口通路を効果的にシールするために、少なくとも3つの構成要素、即ち、弁体7,11及びストッパ22を含む点で不具合を有する。更に、弁体7,11及びストッパ22は比較的複雑な構成である。その製造の観点からみて、しばしば何万個も製造されるポンプディスペンサにとっての1つの構成要素の追加は、比較的複雑な型の準備とともに、最終製品の全体コストを大きく上昇させることになる。更に、上述の議論から明らかなように、特許文献2のバルブアセンブリは、ディスペンサの使用初期の段階にて出口通路の適切なシールを提供するものの、特許文献2のポンプディスペンサの長期の使用は、開口部6と軸6との間への液状製品の蓄積に起因し、排出ヘッドの出口にて液状製品の蓄積や乾燥を常にもたらす。
【0009】
特許文献1,2と同様に、米国特許第6,497,346, 6,065,642, 5,377,877のバルブ構成は、複雑な作動や組み立て、そして、排出ヘッドへの不適正な取り付けに起因した問題を有する。
それ故、本発明の目的は、改善したエラストマ製の注出バルブを有するポンプディスペンサを提供することにあり、本発明の注出バルブは、簡単且つ経済的な製造や組み立が容易となるとともに、その寿命に亘って排出ヘッドへの取り付けが確実になり、そして、注出バルブのスリットを開くのに要求される圧力に拘わらず、排出ヘッドに対して位置ずれの可能性が減少されるか、又は、その位置ずれが事実上無くなり、構造的にもしっかりし、且つ作動上でも効果的なものとなる。また、本発明の目的は、分配されるべき液状製品の粘度に拘わらず、各ピストン吸引ストローク中、排出流路をシールするために迅速に応答する注出口のためのバルブアセンブリを提供することにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0010】
本発明は、改良した変形可能な注出バルブとの組み合わせを提供することで、従来技術でのポンプディスペンサの問題を解決し、そして、その不具合及び欠点を解消するものであり、ここでの注出バルブはポンプディスペンサの製造及び組み立ての双方を容易にし、ポンプディスペンサの寿命に亘り、注出バルブのスリットを開くのに要求される圧力に拘わらず排出ヘッドに対する取り付けを確実に維持し且つ排出された液状製品の代表的な品質を維持可能とする。
【0011】
本発明は、手動のポンプディスペンサを提供し、このポンプディスペンサは排出ヘッドを含み、排出ヘッドは圧力及び復帰ストロークの往復動が可能である。ポンプディスペンサは、注出口型のバルブアセンブリを含み、このバルブアセンブリは排出ヘッドの開口内に位置付けられている。バルブアセンブリは、各圧力ストローク中、排出ヘッドの開口に流体的に連通する通路を通じて液状製品の排出を許容し、排出ヘッドの開口内にリテーナより実質的に保持された注出バルブを含んでいる。注出バルブは、リテーナの開口内に配置され、その一端にスリット、そして、反対側の他端にオリフィスを含んでいる。スリットは複数のスリットリップを含み、これらスリットリップは互いに対する直接係合及び非係合より、スリット閉位置及びスリット開位置をそれぞれ形成する。注出バルブは、各圧力ストローク中、液状製品からの圧力によりスリットの所定の開きを許容する材料から形成され、これにより、スリットがスリット開位置にあるときにはスリットを通じて液状製品の排出を許容し、スリットがスリット閉位置にあるときには前記スリットを通じた前記液状製品の排出を阻止するためにスリットの迅速な閉塞を許容する。
【0012】
上述のポンプディスペンサのため、注出バルブにおけるスリット付きの一端は、リテーナの開口を通じて排出ヘッドの外側の輪郭面から突出し、リテーナの開口内にて液状製品の蓄積を阻止する。リテーナは、リテーナと排出ヘッドとの間にこれらの密嵌係合を提供するため、環状溝内に配置された環状リブを備えることにより排出ヘッド内に注出バルブを固定的に保持する。リテーナはその内端にフランジを含み、このフランジは、排出ヘッドの開口内にて注出バルブを固定的に保持するため、注出バルブの他端に隣接して設けられた補完フランジに係合可能となっている。注出バルブは、スリットに向けて先細状をなすテーパ部分を含んでいる。リテーナの開口は、リテーナの開口内に注出バルブを固定的に保持するため、注出バルブのテーパ部分と同様な補完テーパを含んでいる。注出バルブは、シリコーン及び熱可塑性のエラストマの少なくとも一方から形成されている。
【0013】
更に、本発明は、圧力及び戻りストロークの往復動が可能な排出ヘッドを含む手動のポンプディスペンサのための注出口型バルブアセンブリを提供する。このバルブアセンブリは、排出ヘッドの開口内に位置付けられている。バルブアセンブリは、各圧力ストローク中、記排出ヘッドの開口に流体的に連通した通路を通じて液状製品の注ぎ出しを許容し、リテーナにより排出ヘッドの開口内にて実質的に保持された注出バルブを含んでいる。注出バルブはリテーナの開口内に配置されて、その一端にスリット及び反対側の他端にオリフィスを含んでいる。スリットは複数のスリットリップを含み、これらスリットリップは、スリット閉位置を形成するために互いに直接に係合可能であるとともにスリット開位置を形成するために互いに係合解除可能である。注出バルブは、各圧力ストローク中、液状製品からの圧力によりスリットの所定の開きを許容する材料から形成され、これにより、スリットがスリット開位置にあるときにはスリットを通じて液状製品の排出を許容し、スリットがスリット閉位置にあるときにはスリットを通じた液状製品の排出を阻止するためにスリットの迅速な閉塞を許容する。
【0014】
上述のバルブアセンブリのために、注出バルブにおけるスリット付きの一端は、リテーナの開口を通じて排出ヘッドの外側の輪郭面から突出し、リテーナの開口内にて液状製品の蓄積を阻止する。リテーナは、リテーナと排出ヘッドとの間にこれらの密嵌係合を提供するため、環状溝内に配置された環状リブを備えることにより排出ヘッド内に注出バルブを固定的に保持する。リテーナはその内端にフランジを含み、このフランジは、排出ヘッドの開口内にて注出バルブを固定的に保持するため、注出バルブの他端に隣接して設けられた補完フランジに係合可能となっている。注出バルブは、スリットに向けて先細状をなすテーパ部分を含む。リテーナの開口は、リテーナの開口内に注出バルブを固定的に保持するため、注出バルブのテーパ部分と同様な補完テーパを含んでいる。注出バルブは、シリコーン及び熱可塑性のエラストマの少なくとも一方から形成されている。
【0015】
更にまた、本発明は、排出ヘッドを含んだポンプディスペンサのための注出口型バルブアセンブリを提供する。このバルブアセンブリは、排出ヘッドの開口内に位置付けられ、前記排出ヘッドの前記開口に流体的に連通した通路を通じて液状製品の排出を許容し、リテーナにより排出ヘッドの開口内にて実質的に保持された注出バルブを含んでいる。注出バルブはリテーナの開口内に配置されて、その一端にスリット及び反対側の他端にオリフィスを含んでいる。スリットは複数のスリットリップを含み、これらスリットリップは、スリット閉位置を形成するために互いに直接に係合可能であるとともにスリット開位置を形成するために互いに係合解除可能である。注出バルブは、液状製品からの圧力によりスリットの所定の開きを許容する材料から形成され、これにより、スリットがスリット開位置にあるときにはスリットを通じて液状製品の排出を許容し、スリットがスリット閉位置にあるときにはスリットを通じた液状製品の排出を阻止するためにスリットの迅速な閉塞を許容する。
【0016】
上述のバルブアセンブリのため、注出バルブにおけるスリット付きの一端は、リテーナの開口を通じて排出ヘッドの外側の輪郭面から突出し、リテーナの開口内にて液状製品の蓄積を阻止する。リテーナは、リテーナと排出ヘッドとの間にこれらの密嵌係合を提供するため、環状溝内に配置された環状リブを備えることにより排出ヘッド内に注出バルブを固定的に保持する。リテーナはその内端にフランジを含み、このフランジは、排出ヘッドの開口内にて注出バルブを固定的に保持するため、注出バルブの他端に隣接して設けられた補完フランジに係合可能となっている。注出バルブは、スリットに向けて先細状をなすテーパ部分を含む。リテーナの開口は、リテーナの開口内に注出バルブを固定的に保持するため、注出バルブのテーパ部分と同様な補完テーパを含んでいる。注出バルブは、シリコーン及び熱可塑性のエラストマの少なくとも一方から形成されている。
【0017】
本発明の付加的な特徴、利点及び実施例は、詳細な説明、図面及び特許請求の範囲に記載されているか、これらを考慮すれば明らかなとなる。更に、上述した発明の概要及び以下の詳細な説明の両方は例示的なものであって、請求された発明の範囲を制限するものでもない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図面を参照すれば、幾つかの図を通じて同様且つ対応する部位には同様な参照符号が付されている。図1において、排出ヘッドは参照符号10で示され、前記特許文献2に開示されたタイプに代表されるような手動操作型ポンプディスペンサに使用される。ここで、特に特許文献2が参照して組み込まれる。
簡単に説明すれば、特許文献2のディスペンサはポンプハウジングを含み、このポンプハウジングはポンプシリンダを形成する。このポンプシリンダはポンプピストンを有し、ポンプピストンはポンプシリンダ内に往復動可能に配置されている。ポンプハウジングはその上端にて開口し、通常の容器閉塞体により支持されている。容器閉塞体は内部に螺子が切られたキャップの形態をなし、容器の内部にてポンプハウジングを支持し、所望の最容器から液状製品を分配するように構成されている。ポンプピストンの上端に(押下ベース20として構成された)排出ヘッドが支持されており、この排出ヘッドは本発明の排出ヘッド10と同様なものである。
【0019】
図1〜図3を参照すれば、排出ヘッド10はオリフィス状のスリット38を含み、このスリット38は適切な通路14,16を介し、周囲の雰囲気中に液状製品を分配するための中空のピストンロッド19に連通している。排出ヘッド10の上面20は、ポンプピストンを往復動させるため、指での押下圧を受けるべく適合したものとなっている。
図1及び図2に示されるように、排出ヘッド10は注出口型のバルブアセンブリ18を備え、このバルブアセンブリ18は注出バルブ22を含む。注出バルブ22はリテーナ26により排出ヘッド10の開口24内に保持されている。図示の実施例において、図1及び図2の比較から明らかなように、開口24は略楕円の外側輪郭を有し(図1)、そして略矩形の内側輪郭を有する(図2)。更に、開口24はその内部にて注出バルブ22及びリテーナ26を位置合わせして保持するために複数の整合保持手段を含んでいる。図示の実施例において、整合保持手段は溝28を含んでおり、この溝28内にリテーナ26の周方向のリブ30が嵌合され、これにより、リテーナ26と排出ヘッド10との間の密嵌係合が可能となっている。明らかなように、リブ30と溝28との係合は、排出ヘッド10の開口24内でのリテーナ26の位置合わせを容易にする。更に、整合保持手段は円錐状リブ32を含み、この円錐状リブ32は注出バルブ22内の補完関係にある溝34内に突出している。本発明の分野に関わる当業者にとって明らかなように、本発明の範囲から逸脱するとことなく、整合保持手段の代替手段を提供することができる。例えば、排出ヘッド10に密嵌されるリテーナ26に代えて、リテーナ26は排出ヘッド10の開口24内に摩擦的に嵌合されるか、又は、他の方式にて結合される。
【0020】
図2及び図3に示されているように、注出バルブ22は略テーパ状の排出部分36及び保持部分37を含み、一体に形成されている。排出部分36はスリット38を含み、このスリット38は通常、注出バルブ22における材料の弾性特性に起因して閉位置に位置付けられているが、公知のように排出ヘッド10の作動時には開位置に位置付けられる。スリット38は、上側及び下側のスリットリップ39,41を含み、これらストリップリッド39,41は互いに直接に係合してスリット閉鎖状態(図3の状態を参照)を形成し、その係合が解除されてスリット開状態を形成する。注出バルブ22は、通路16に対して流体を連通させるためのオリフィス50を更に含む。排出バルブ配置される。注出バルブ22は、図示されているように弾性材料又は弾性変形可能な他の材料から形成され、ポンプ作動中、スリット38に要求される開閉を可能にする。更に、スリット38は直線状のスリットとして示されているが、スリット38を通過する排出量の制御を可能にするため、スリット38は他の形状(即ち、星形や円弧形状等)にも容易に形成することができる。
【0021】
図2及び図3を参照すれば、簡単に上述した如く、リテーナ26は略楕円形状の外面40を含み、この外面40は排出ヘッド10の対応する開口42内に円滑に嵌合する大きさとなっている。リテーナ26はリアフランジ44を更に含み、このリアフランジ44は排出ヘッド10の前側の開口24内にて注出バルブ22をしっかりと保持するため、注出バルブ22の補完フランジ46と噛み合う。リテーナ26には内側テーパ開口48が設けられており、この内側テーパ開口48は注出バルブ22における排出部分36のテーパ角と同一のテーパ角を有する。
【0022】
図2の実施例は、排出部分36の外面と内側テーパ開口48の内面47との間に小さな公差49を示しているものの、当業者にとって明らかなように、注出バルブ22及び内側テーパ開口48が互いに密嵌する大きさを有するものことに留意すべきである。リテーナ26は開口24内での注出バルブ22の適切な保持を提供するため、プラスチック(即ち、ポリエチレン、ポリプロピレン等)又は他の硬質材料から形成されている。
【0023】
図2に示されるようにして組み付けされたリテーナ26及び注出バルブ22によれば、リテーナ26の外面40から距離Dだけ、注出バルブ22のヘッドを僅かに下流に延出させていることが明らかとなる。このような外面40からの延出は、注出バルブ22の露出部分52が外面40から所定距離を存して液状製品を排出させることを可能にし、従って、隣接したリテーナ26の内側テーパ開口48内への液状製品の蓄積を防止する。
【0024】
当業者は、注出バルブ22における排出部分36の外面及びリテーナ26における内側テーパ開口48の内面を逆テーパにしても、ディスペンサの全てのタイプにおいて同様に機能し、そして、分配される液状製品の圧力が極端に高く且つ繰り返して加えられても、注出バルブ22に不所望なずれが生じることなく、注出バルブ22が正規の位置に確実に保持されることを理解する。
【0025】
図1〜図3を参照しながら、排出ヘッド10の作動を詳細に説明する。
詳しくは、排出ヘッド10のポンプに注液され、ポンプ室が空気及び/又は液蒸気の残留量とともに分配すべき液状製品で満たされたとき、排出ヘッド10への指による押下圧はその作動ストロークのためにポンプピストンの下降運動を開始させる。このような作動ストロークの初期期間中、主排出弁(図示しない)はポンプばねの上向きの圧力により閉位置に保持される。しかしながら、ポンプピストンの下降運動が継続すると、主排出弁が開かれ、液状製品は中空のピストンロッド19、通路14,16及びスリット38を通じて排出される。
【0026】
この後、排出ヘッド10への指により押下圧が解除されたとき、ポンプピストンはポンプばねに蓄えられたエネルギにより、その上昇ストロークを開始する。ポンプピストンの上昇運動はポンプ室内の圧力降下を生起し、次の下降ストロークのための準備として、ポンプ室内に浸液チューブを経て液状製品を吸い込ませる。上昇ストローク中、スリット38は閉位置に維持されている。
【0027】
図1〜図3を参照して、排出ヘッド10の組立を説明する。
特に、排出ヘッド10を組み立てるため、注出バルブ22は排出ヘッド10内の開口24内に配置される。この後、開口24内にて、リテーナ26が既に配置された注出バルブ22と密嵌される。代替的には、図3に示されるように、注出バルブ22及びリテーナ26は、開口24内へ注出バルブ22の挿入に先立ち、リテーナ26の内側テーパ開口48内に注出バルブ22が配置されたバルブアセンブリとして組み付けられ、この後、バルブアセンブリが排出ヘッド10の開口内24内に挿入される。何れの場合にも、排出ヘッド10内に注出バルブ22を保持するための簡単且つ有効な手段が提供される。
【0028】
従って、本発明のバルブアセンブリは従来技術のものより優れた幾つかの利点を提供する。例えば、注出バルブ22及びリテーナ26を含むバルブアセンブリ18は、ポンプディスペンサの組み立てを容易にして、排出ヘッド10におけるノズルの端部に更に確実に配置され、排出ヘッド10に対して正規の位置から注出バルブ22が外れてしまう可能性を低減するか、又は、事実上無くす。出荷中や不使用の間、スリット38は周囲の雰囲気から通路14を効果的にシールし、通路14からの液状製品の漏れを防止するとともに、通路14内での液状製品の乾燥を防止する。また、本発明のバルブアセンブリは、通常のバルブアセンブリに関して明らかなように、注出バルブ22を正規の位置に保持するために注出バルブ22と排出ヘッド10との間にて働く如何なる手段を必要とせず、このような手段は排出ヘッドに対する正規位置からの注出バルブの外れを防止するうえで、多くの場合、不適切である。更に、通常のバルブアセンブリに対し、本発明のバルブアセンブリは、排出ヘッドに対してシールされるべきエラストマバルブの特定部分を要求することがなく、リテーナ26の密嵌係合時に、要求されるシールを簡単に提供する。更に、バルブアセンブリは2つの部品、即ち、注出バルブ22及びリテーナ26のみを含むだけであり、これら注出バルブ22及びリテーナ26は製造上の観点からみて、頗るコスト的に有効なポンプディスペンサを提供する。
【0029】
上述したように、本発明の範囲から逸脱することなくバルブアセンブリに対して種々の変更を加えることができる。例えば、図3には単一の出口となるスリット38が示されているが、液状製品の注出断面積を変更するため、複数のスリット38を用いることができる。更に、ここでは手動操作型のポンプディスペンサのためのバルブアセンブリが図示されているが、本発明に関わる当業者にとって、バルブアセンブリが圧搾型や、非手動操作型のポンプディスペンサ、即ち、手でもって変形可能な側壁又は壁部分を有するディスペンサ又は液状製品を排出するためのポンプモータを有するディスペンサにも同様に使用可能であることは明らかである。また、バルブアセンブリはポンプディスペンサ内に備えられた別個の排出弁とともに使用されるものとして記載されているが、バルブアセンブリはポンプディスペンサ内に備えられた別個の排出弁に加えて、又は、その代わりに容易に使用可能であることに留意すべきであり、このことは当業者にとって明らかである。
【0030】
ここでは、図面を参照して本発明の実施例が記載されているが、本発明は実施例に制約されるものでなく、添付の特許請求の範囲に規定された発明の範囲及び要旨から逸脱することなく、当業者により種々の変形が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】注出口型のバルブアセンブリを示した本発明のポンプディスペンサの斜視図である。
【図2】図1中の2−2線に沿いポンプディスペンサを部分的に破断し、リテーナ及びエラストマからなる注出バルブを含むバルブアセンブリ内の特徴を示す図である。
【図3】リテーナ及び注出バルブを示した図1のバルブアセンブリの分解斜視図である。
【符号の説明】
【0032】
10 排出ヘッド
14,16 通路
18 バルブアセンブリ
22 注出バルブ
24 開口
26 リテーナ
32 円錐状リブ(環状リブ)
34 溝(環状溝)
36 排出部分(テーパ部分)
38 スリット
39,41 スリットリップ
44 リアフランジ
46 補完フランジ
47 面(補完テーパ)
48 内側テーパ開口(開口)
50 オリフィス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力及び復帰ストロークの往復動が可能な排出ヘッドを含む手動のポンプディスペンサであって、
前記排出ヘッドの開口内に位置付けられ、前記各圧力ストローク中に前記排出ヘッドの前記開口に流体的に連通した通路を通じて液状製品の注ぎ出しを許容する注出口型のバルブアセンブリを備え、
前記バルブアセンブリは、リテーナにより前記排出ヘッドの前記開口内にて実質的に保持された注出バルブを含み、
前記注出バルブは前記リテーナの開口内に配置されて、その一端にスリット及び反対側の他端にオリフィスを含み、
前記スリットは、スリット閉位置を形成するために互いに直接に係合可能であるとともにスリット開位置を形成するために互いに係合解除可能な複数のスリットリップを含み、
前記注出バルブは、前記各圧力ストローク中、前記液状製品からの圧力により前記スリットの所定の開きを許容する材料から形成され、これにより、前記スリットが前記スリット開位置にあるときには前記スリットを通じて液状製品の排出を許容し、前記スリットが前記スリット閉位置にあるときには前記スリットを通じた前記液状製品の排出を阻止するために前記スリットの迅速な閉塞を許容する、ポンプディスペンサ。
【請求項2】
前記注出バルブにおける前記スリット付きの前記一端は、前記リテーナの前記開口を通じて前記排出ヘッドの外側の輪郭面から突出し、前記リテーナの前記開口内にて前記液状製品の蓄積を阻止する、請求項1のポンプディスペンサ。
【請求項3】
前記リテーナは、前記リテーナと前記排出ヘッドとの間にこれらの密嵌係合を提供するため、環状溝内に配置された環状リブを備えることにより前記排出ヘッド内に前記注出バルブを固定的に保持する、請求項1のポンプディスペンサ。
【請求項4】
前記リテーナはその内端にフランジを含み、このフランジは、前記排出ヘッドの前記開口内にて前記注出バルブを固定的に保持するため、前記注出バルブの他端に隣接して設けられた補完フランジに係合可能である、請求項1のポンプディスペンサ。
【請求項5】
前記注出バルブは、前記スリットに向けて先細状をなすテーパ部分を含み、前記リテーナの前記開口は、前記リテーナの前記開口内に前記注出バルブを固定的に保持するため、前記注出バルブの前記テーパ部分と同様な補完テーパを含む、請求項1のポンプディスペンサ。
【請求項6】
前記注出バルブは、シリコーン及び熱可塑性のエラストマの少なくとも一方から形成されている、請求項1のポンプディスペンサ。
【請求項7】
圧力及び戻りストロークの往復動が可能な排出ヘッドを含んだ手動のポンプディスペンサのための注出口型バルブアセンブリであって、
前記バルブアセンブリは、前記排出ヘッドの開口内に位置付けられ、前記各圧力ストローク中に前記排出ヘッドの前記開口に流体的に連通した通路を通じて液状製品の注ぎ出しを許容し、
前記バルブアセンブリは、リテーナにより前記排出ヘッドの前記開口内にて実質的に保持された注出バルブを含み、
前記注出バルブは前記リテーナの開口内に配置されて、その一端にスリット及び反対側の他端にオリフィスを含み、
前記スリットは、スリット閉位置を形成するために互いに直接に係合可能であるとともにスリット開位置を形成するために互いに係合解除可能な複数のスリットリップを含み、
前記注出バルブは、前記各圧力ストローク中、前記液状製品からの圧力により前記スリットの所定の開きを許容する材料から形成され、これにより、前記スリットが前記スリット開位置にあるときには前記スリットを通じて液状製品の排出を許容し、前記スリットが前記スリット閉位置にあるときには前記スリットを通じた前記液状製品の排出を阻止するために前記スリットの迅速な閉塞を許容する、バルブアセンブリ。
【請求項8】
前記注出バルブにおける前記スリット付きの前記一端は、前記リテーナの前記開口を通じて前記排出ヘッドの外側の輪郭面から突出し、前記リテーナの前記開口内にて前記液状製品の蓄積を阻止する、請求項7のバルブアセンブリ。
【請求項9】
前記リテーナは、前記リテーナと前記排出ヘッドとの間にこれらの密嵌係合を提供するため、環状溝内に配置された環状リブを備えることにより前記排出ヘッド内に前記注出バルブを固定的に保持する、請求項7のバルブアセンブリ。
【請求項10】
前記リテーナはその内端にフランジを含み、このフランジは、前記排出ヘッドの前記開口内にて前記注出バルブを固定的に保持するため、前記注出バルブの他端に隣接して設けられた補完フランジに係合可能である、請求項7のバルブアセンブリ。
【請求項11】
前記注出バルブは、前記スリットに向けて先細状をなすテーパ部分を含み、前記リテーナの前記開口は、前記リテーナの前記開口内に前記注出バルブを固定的に保持するため、前記注出バルブの前記テーパ部分と同様な補完テーパを含む、請求項7のバルブアセンブリ。
【請求項12】
前記注出バルブは、シリコーン及び熱可塑性のエラストマの少なくとも一方から形成されている、請求項7のバルブアセンブリ。
【請求項13】
排出ヘッドを含んだポンプディスペンサのための注出口型バルブアセンブリであって、このバルブアセンブリは前記排出ヘッドの開口内に位置付けられ、前記排出ヘッドの前記開口に流体的に連通した通路を通じて液状製品の排出を許容し、
前記バルブアセンブリは、リテーナにより前記排出ヘッドの前記開口内にて実質的に保持された注出バルブを含み、
前記注出バルブは前記リテーナの開口内に配置されて、その一端にスリット及び反対側の他端にオリフィスを含み、
前記スリットは、スリット閉位置を形成するために互いに直接に係合可能であるとともにスリット開位置を形成するために互いに係合解除可能な複数のスリットリップを含み、
前記注出バルブは、前記各圧力ストローク中、前記液状製品からの圧力により前記スリットの所定の開きを許容する材料から形成され、これにより、前記スリットが前記スリット開位置にあるときには前記スリットを通じて液状製品の排出を許容し、前記スリットが前記スリット閉位置にあるときには前記スリットを通じた前記液状製品の排出を阻止するために前記スリットの迅速な閉塞を許容する、バルブアセンブリ。
【請求項14】
前記注出バルブにおける前記スリット付きの前記一端は、前記リテーナの前記開口を通じて前記排出ヘッドの外側の輪郭面から突出し、前記リテーナの前記開口内にて前記液状製品の蓄積を阻止する、請求項13のバルブアセンブリ。
【請求項15】
前記リテーナは、前記リテーナと前記排出ヘッドとの間にこれらの密嵌係合を提供するため、環状溝内に配置された環状リブを備えることにより前記排出ヘッド内に前記注出バルブを固定的に保持する、請求項13のバルブアセンブリ。
【請求項16】
前記リテーナはその内端にフランジを含み、このフランジは、前記排出ヘッドの前記開口内にて前記注出バルブを固定的に保持するため、前記注出バルブの他端に隣接して設けられた補完フランジに係合可能である、請求項13のバルブアセンブリ。
【請求項17】
前記注出バルブは、前記スリットに向けて先細状をなすテーパ部分を含み、前記リテーナの前記開口は、前記リテーナの前記開口内に前記注出バルブを固定的に保持するため、前記注出バルブの前記テーパ部分と同様な補完テーパを含む、請求項13のバルブアセンブリ。
【請求項18】
前記注出バルブは、シリコーン及び熱可塑性のエラストマの少なくとも一方から形成されている、請求項13のバルブアセンブリ。
【請求項19】
前記リテーナは硬質なプラスチックから形成されている、請求項13のバルブアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−306501(P2006−306501A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−115358(P2006−115358)
【出願日】平成18年4月19日(2006.4.19)
【出願人】(505037062)サン−ゴバン カルマー インコーポレイテッド (3)
【氏名又は名称原語表記】SAINT−GOBAIN CALMAR INC.
【住所又は居所原語表記】2300−B Pellisier Place, City of Industry, California 90601,U.S.A.
【Fターム(参考)】