説明

ポンプ付き二連式容器

【課題】部品の変更や交換を行うことなく、異なる混合方法を選択することができると共に、混合状態を調整しつつ内容物を容易に取り出すことが可能なポンプ付き二連式容器を提供する。
【解決手段】胴体11cの下端に開口部を有し、内側に摺動可能な中皿12を配置することで口部11aに通じる充填空間R0を増減可能な容器10と、仕切壁を有し2つの口部が並列に装着されるベース13と、ヘッド15aにより駆動されるポンプ15と、回転可能なキャップ14とを備え、筒状部13dと筒状部14cとの間を液密に保持することで、ポンプ吸入口Aに通じる第1空間R1が形成されると共に、第2空間R2と第1空間との間を開閉する通路Pが形作られる溝及びスリットを設けることで、少なくとも一方の中皿の押し込みにより、異なる容器10に充填された内容物C1,C2が第1空間を介して流通することで内容物の混合を可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、2つの容器に個別に充填された内容物を混合可能なポンプ付き二連式容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の二連式容器としては、例えば、胴体の下端に開口部を有しその内側に摺動可能な中皿を配置することで口部に通じる充填空間を増減可能な容器と、当該容器の口部に通じる開口部が形成された仕切壁を有し2つの当該容器が並列に装着されるベースとを備え、2つの容器の内側に配置された中皿を同時に押し込むことによって、異なる容器に充填された内容物がベースの内側で混合された後、当該ベースの注出口を通して外界に取り出されるものがある(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−150229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の二連式容器は、2つの中皿が同時に押し込むことで内容物の混合を実現するため、その混合方法が一義的に決められているに過ぎないため、異なる混合方法を選択したいときには適用できない。このため、異なる混合方法を選択するときには、二連式容器の構成部品を変更又は交換し、或いは、二連式容器そのものを交換する必要がある。
【0005】
また、上述の二連式容器は、内容物を混合させる工程と、その後の内容物を取り出す工程とが、中皿の動きに同期して行われるため、混合状態を調整しつつ内容物を取り出すことが困難である。
【0006】
本発明の目的とするところは、部品の変更や交換を行うことなく、異なる混合方法を選択することができると共に、混合状態を調整しつつ内容物を容易に取り出すことが可能なポンプ付き二連式容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のポンプ付き二連式容器は、胴体の下端に開口部を有し当該開口部を通してその内側に摺動可能な中皿を配置することで口部に通じる充填空間を増減可能な容器と、当該容器の口部に通じる開口部が形成された仕切壁を有し2つの当該口部が並列に装着されるベースと、ヘッドの押し下げ及び復帰の繰り返しにより駆動されるポンプを有し、ベースから起立する装着筒との間を液密に保持しつつ当該装着筒に装着されるキャップとを備え、
ベースとキャップとの間に、ポンプの吸入口に通じると共に、少なくとも一方の容器の内側に配置された中皿の押し込みにより、異なる容器に充填された内容物が流通することで内容物の混合を可能にする空間を設けたことを特徴とするものである。
【0008】
本発明に従えば、キャップを、ベースの装着筒との間を液密に保持しつつ当該装着筒の周りを回転可能なものとする一方、
第1空間を、ベースの仕切壁から起立する筒状部と、キャップから垂下する筒状部との間を液密に保持することで、その内側に形成すると共に、
2つの筒状部にそれぞれ、キャップの回転位置に応じて当該筒状部の相互間に、ベースの筒状部とキャップとで取り囲まれた第2空間と第1空間との間を開閉する通路が形作られる溝及びスリットを設け、更に、
仕切壁に形成した一方の容器に通じる開口部を、第1空間に通じさせる第1の開口部とすると共に、仕切壁に形成した他方の容器に通じる開口部を、第2空間に通じさせる第2の開口部とすることができる。
【0009】
また、本発明に従えば、キャップを、ベースの装着筒との間を液密に保持しつつ当該装着筒の周りを回転可能なものとする一方、
第1空間を、ベースの仕切壁から起立する筒状部と、キャップから垂下する筒状部との間を液密に保持することで、その内側に形成すると共に、
2つの筒状部にそれぞれ、キャップの回転位置に応じて当該筒状部の相互間に、ベースの筒状部とキャップとで取り囲まれた第2空間と第1空間との間を開閉する通路が形作られる溝及びスリットを設け、更に、
仕切壁に形成した2つの容器に通じる開口部をそれぞれ、第2空間に通じさせる開口部とすることもできる。
【0010】
更に、ベースに2つの口部を装着させるのに際しては、2つの容器を別体として構成することも、一体として構成することもできる。本発明に従えば、容器を透視可能な材質で構成することができる。透視可能な材質としては、例えば、透明又は半透明の材質からなるものが挙げられる。
【発明の効果】
【0011】
本発明では、ベースとキャップとの間に、ポンプの吸入口に通じると共に、少なくとも一方の容器の内側に配置された中皿の押し込みにより、異なる容器に充填された内容物が流通することで内容物の混合を可能にする第1空間を設けることで、2つの容器の内容物を自由に流通させることができる。これにより、ポンプを操作すれば、好みに応じた混合物を取り出すことができる。
【0012】
例えば、ベースの仕切壁から起立する筒状部と、キャップから垂下する筒状部との間を液密に保持することで、その内側にポンプの吸入口に通じる第1空間が形成されると共に、2つの筒状部にそれぞれ、キャップの回転位置に応じて当該筒状部の相互間に、ベースの筒状部とキャップとで取り囲まれた第2空間と第1空間との間を開閉する通路が形作られる溝及びスリットを設ける。
【0013】
このとき、仕切壁に形成した一方の容器に通じる開口部を第1空間に通じさせる第1の開口部とすると共に、仕切壁に形成した他方の容器に通じる開口部を第2空間に通じさせる第2の開口部とすれば、キャップの回転によって第2空間と第1空間との間の通路が閉じられるときには、一方の容器の口部のみが第1空間に通じるので、ヘッドの押し下げ及び復帰を繰り返してポンプを駆動させると、一方の容器の内容物のみをヘッドに形成した注出口から取り出すことができる。この場合、例えば、容器に充填された内容物が色彩の異なるものであると、取り出される内容物の色彩はいずれか一方の内容物の色彩を呈する。
【0014】
これに対し、キャップの回転によって第2空間と第1空間との間の通路が開かれるときには、2つの容器の口部の両方が第1空間に通じるので、ヘッドの押し下げ及び復帰を繰り返してポンプを駆動させると、2つの容器に充填された内容物を第1の空間で混合させながらヘッドに形成した注出口から取り出すことができる。この場合、例えば、容器に充填された内容物が色彩の異なるものであると、取り出される内容物の色彩は2つの内容物の色彩が交じり合った色彩を呈する。
【0015】
加えて、キャップの回転によって第2空間と第1空間との間の通路が開かれるときに、少なくとも一方の容器に配置された中皿を押し込めば、この一方の容器に充填された内容物が第1空間を介して他方の容器に向かって流通することで、他方の容器に充填された内容物との混合が可能になる。
【0016】
中皿の押し込みは、少なくとも1度であればよいが、その後、他方の容器に配置された中皿を押し込めば、この他方の容器で混合された内容物が第1空間を介して再び一方の容器に向かって流通することで、内容物の混合が更に良好になる。即ち、一方の容器に配置された中皿の押し込みと、他方の容器に配置された中皿の押し込みとを繰り返せば、内容物の混合状態を好みに応じて調整することができる。
【0017】
これにより、ヘッドの押し下げ及び復帰を繰り返してポンプを駆動させると、使用者の好みに応じて調整された混合物をヘッドに形成した注出口から取り出すことができる。この場合、例えば、容器に充填された内容物が色彩の異なるものであると、取り出される内容物の色彩は、2つの内容物の色彩が交じり合った色彩を呈するものの、中皿を操作しない場合に比べて、より複雑な色彩を呈する。この複雑な色彩は、中皿を操作する回数が多い程、複雑な色彩を呈する。
【0018】
或いは、ベースの仕切壁から起立する筒状部と、キャップから垂下する筒状部との間を液密に保持することで、その内側にポンプの吸入口に通じる第1空間が形成されると共に、2つの筒状部にそれぞれ、キャップの回転位置に応じて当該筒状部の相互間に、ベースの筒状部とキャップとで取り囲まれた第2空間と第1空間との間を開閉する通路が形作られる溝及びスリットを設けたとき、仕切壁に形成した2つの容器に通じる開口部をそれぞれ第2空間に通じさせる開口部とすれば、キャップの回転によって第2空間と第1空間との間の通路が開かれるときには、2つの容器の口部の両方が第1空間に通じるので、ヘッドの押し下げ及び復帰を繰り返してポンプを駆動させると、2つの容器に充填された内容物を第1の空間で混合させながらヘッドに形成した注出口から取り出すことができる。この場合も、例えば、容器に充填された内容物が色彩の異なるものであると、取り出される内容物の色彩は2つの内容物の色彩が交じり合った色彩を呈する。
【0019】
加えて、少なくとも一方の容器に配置された中皿を押し込めば、この一方の容器に充填された内容物が第1空間を介して他方の容器に向かって流通することで、他方の容器に充填された内容物との混合が可能になる。
【0020】
この場合も、中皿の押し込みは、少なくとも1度であればよいが、その後、他方の容器に配置された中皿を押し込めば、この他方の容器で混合された内容物が第1空間を介して再び一方の容器に向かって流通することで、内容物の混合が更に良好になる。即ち、この場合も、一方の容器に配置された中皿の押し込みと、他方の容器に配置された中皿の押し込みとを繰り返せば、内容物の混合状態を好みに応じて調整することができる。
【0021】
これにより、ヘッドの押し下げ及び復帰を繰り返してポンプを駆動させると、使用者の好みに応じて調整された混合物をヘッドの注出口から取り出すことができる。この場合も、例えば、容器に充填された内容物が色彩の異なるものであると、取り出される内容物の色彩は、2つの内容物の色彩が交じり合った色彩を呈するものの、中皿を操作しない場合に比べて、より複雑な色彩を呈する。この複雑な色彩も、中皿を操作する回数が多い程、複雑な色彩を呈する。
【0022】
これに対し、キャップの回転によって第2空間と第1空間との間の通路が閉じられるときには、中皿の押し込みは許容されるものの、ヘッドの押し下げ及び復帰を繰り返してポンプを駆動させても、内容物や混合物は一切ヘッドの注出口から取り出されない。これにより、ヘッドを誤って操作しても、内容物や混合物は誤って取り出されることなく済む。
【0023】
加えて、本発明は、ヘッドの押し下げ及び復帰を繰り返してポンプを駆動させることにより内容物や混合物を取り出す構成であるため、中皿を押し込んで内容物を混合させる工程と、その後の内容物を取り出す工程とを中皿の動きと無関係に行うことができる。これにより、本発明によれば、上述のとおり、混合状態を調整しつつ内容物を取り出すことができる。
【0024】
即ち、本発明によれば、容器相互間での内容物の流通や、通路の切り替えにより、混合させる量やスピードを切り替えることができる。これにより、ヘッドから取り出される混合物は、混合させる量やスピードによって、ストライプ模様やマーブル模様等、色彩を徐々に変化させ、或いは、急速に変化させることで、自在な変色が可能になる。
【0025】
従って、本発明によれば、部品の変更や交換を行うことなく、異なる混合方法を選択することができると共に、混合状態を調整しつつ内容物を容易に取り出すことが可能なポンプ付き二連式容器を提供することができる。
【0026】
また、容器を透視可能な材質で構成すれば、内容物の状態を目視することができるので、上述した効果に加え、視覚的な効果をも併せて高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1の形態にあって、内容物の混合が行われる前の状態を一部断面で示す側面図である。
【図2】(a)〜(c)はそれぞれ、同形態にて、第2空間と第1空間との間を開閉する通路を形成する筒状部の組み付け状態を示す要部斜視図、ベースの仕切壁から起立する筒状部を示す要部斜視図及び、キャップから垂下する筒状部を示す要部斜視図である。
【図3】(a),(b)はそれぞれ、同形態にて、ベースとキャップとの間に形成された通路が閉じられた状態及び開かれた状態を一部断面で示す要部拡大側面図である。
【図4】同形態にて、内容物の混合が行われる過程を一部断面で示す側面図である。
【図5】同形態にて、ヘッドを操作したことで、混合物が取り出される過程を一部断面で示す側面図である。
【図6】本発明の第2の形態にあって、内容物の混合が行われる前の状態を一部断面で示す側面図である。
【図7】(a),(b)はそれぞれ、同形態にて、ベースとキャップとの間に形成された通路が閉じられた状態及び開かれた状態を一部断面で示す要部拡大側面図である。
【図8】同形態にて、内容物の混合が行われる過程を一部断面で示す側面図である。
【図9】同形態にて、ヘッドを操作したことで、混合物が取り出される過程を一部断面で示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、図面を参照して、本発明の一形態を詳細に説明する。
【0029】
図1〜5に示す本発明の第1の形態であるポンプ付き二連式容器100のうち、符号10は、中空の容器本体11と、この容器本体11の内側に摺動可能に配置された中皿12とを有する容器である。容器本体11は、口部11aと肩部11bを介して一体に繋がる胴体11cと、胴体11cに固定される底部11dからなる。底部11dは、その下端に開口部A1を有し当該開口部A1を通してその内側に摺動可能に配置された中皿12を進退させることで、口部11aに通じる充填空間R0を増減させることができる。
【0030】
なお、本形態では、2つの容器10を一体に連結することで、2つの口部11aを有する一体物の容器として構成しているが、2つの容器10をそれぞれ、別体として構成することも可能である。
【0031】
符号13は、口部11aに通じる開口部A2,A3が形成された仕切壁13aを有し2つの口部11aがそれぞれ並列に装着されるベースである。仕切壁13aからは、2つの装着筒13b1が垂下し、この装着筒13b1がそれぞれ、口部11aにアンダーカット嵌合されることで、2つの口部11aはそれぞれ、ベース13に装着される。また、ベース13は、装着筒13b1と共に、口部11aを挟持するシール筒13b2を有する。これにより、口部11aはそれぞれ、ベース13に対して液密に保持される。
【0032】
符号14は、ポンプ15を有し、ベース13を基点に軸線O周りに回転可能なキャップである。キャップ14は、ベース13から起立する装着筒13cを取り囲み、当該装着筒13cに対して回転可能にアンダーカット嵌合される装着筒14a1を有する。
【0033】
また、キャップ14は、その装着筒14a1と共に、ベース側の装着筒13cを挟持するシール筒14a2を有する。これにより、キャップ14は、ベース側の装着筒13cとの間を液密に保持しつつ当該装着筒13cの周りを回転することができる。
【0034】
符号15は、ヘッド15aを有し、キャップ14に固定されるポンプである。ポンプ15は、ヘッド15aの押し下げ及び復帰の繰り返しにより駆動されるポンプ本体15bを有する。ポンプ本体15bの構成としては、例えば、図1に示すように、シリンダ15c内にプランジャやピストン等が内蔵された既存のものが挙げられる。
【0035】
また、本形態では、ベース13の仕切壁13aから筒状部13dが一体に起立する。また、これに対応するように、キャップ14からも、筒状部14cが一体に垂下する。筒状部14cは、筒状部13dの外周面13fを取り囲む内周面14fを有し、筒状部13dとの間を液密に保持する。これにより、筒状部13dの内側には、ポンプ15の吸入口A4に通じる第1空間R1が形成される。
【0036】
加えて、本形態では、筒状部13dには、図2(a)に示すように、その上端に開放される2つのスリットSが形成されている。また、これに対応するように、筒状部14cの内周面14fには、図2(b)に示すように、その下端に開放される2つの溝Gが形成されている。これにより、キャップ14を回転させると、その回転位置に応じて筒状部13d,14cの相互間に、図3等に示すように、筒状部13dとキャップ14とで取り囲まれた第2空間R2と第1空間R1との間を開閉する通路Pが形作られる。
【0037】
更に、本形態では、仕切壁13aに形成した一方の開口部A2を第1空間R1に通じさせる第1の開口部とすると共に、仕切壁13aに形成した他方の開口部A3を第2空間に通じさせる第2の開口部(A3)とする。
【0038】
本形態では、ベース13の仕切壁13aから起立する筒状部13dと、キャップ14から垂下する筒状部14cとの間を液密に保持することで、その内側にポンプ15の吸入口A4に通じる第1空間R1が形成されると共に、2つの筒状部13d,14cにそれぞれ、キャップ14の回転位置に応じて当該筒状部13d,14cの相互間に、ベース13の筒状部13dとキャップ14とで取り囲まれた第2空間R2と第1空間R1との間を開閉する通路Pが形作られる溝G及びスリットSを設けている。
【0039】
このため、本形態の如く、仕切壁13aに形成した一方の容器10に通じる開口部A2を第1空間R1に通じさせる第1の開口部とすると共に、仕切壁13aに形成した他方の容器10に通じる開口部A3を第2空間R2に通じさせる第2の開口部とすれば、キャップ14の回転によって第2空間R2と第1空間R1との間の通路Pが閉じられるときには、図1や図3(a)に示すように、一方の容器10の口部11aのみが第1空間R1に通じるので、ヘッド15aの押し下げ及び復帰を繰り返してポンプ15を駆動させると、一方の容器10の内容物C1のみをヘッド15aに形成した注出口A5から取り出すことができる。この場合、例えば、容器10に充填された内容物C1,C2が色彩の異なるものであると、取り出される色彩は内容物C1,C2のいずれか一方の色彩を呈する。
【0040】
これに対し、図3(b)等に示すように、キャップ14の回転によって第2空間R2と第1空間R1との間の通路Pが開かれるときには、2つの容器10の口部11aの両方が第1空間R1に通じるので、ヘッド15aの押し下げ及び復帰を繰り返してポンプ15を駆動させると、2つの容器10に充填された内容物C1,C2を第1の空間R1で混合させながらヘッド15aに形成した注出口A5から取り出すことができる。この場合、例えば、容器10に充填された内容物C1,C2が色彩の異なるものであると、取り出される混合物C3の色彩は2つの内容物C1,C2の色彩が交じり合った色彩を呈する。
【0041】
加えて、キャップ14の回転によって第2空間R2と第1空間R1との間の通路Pが開かれるときに、少なくとも、例えば、図4に示すように、一方の容器10に配置された中皿12を押し込めば、この一方の容器10に充填された内容物C1が第1空間R1を介して他方の容器10に向かって流通することで、他方の容器10に充填された内容物C2との混合が可能になる。
【0042】
なお、符号20は、中皿12の押し込みを行うための押圧棒である。押圧棒20は、開口部A1を貫通して中皿12を押し込むロッド21に把手22を設けてなる。但し、中皿12の押し込みを行うための手段はこれに限定されるものではない。
【0043】
中皿12の押し込みは、上述のように、少なくとも1度であればよいが、その後、他方の容器10に配置された中皿12を押し込めば、この他方の容器10で混合された内容物C3(C1+C2)が第1空間R1を介して再び一方の容器10に向かって流通することで、内容物C1,C2の混合が更に良好になる。即ち、一方の容器10に配置された中皿12の押し込みと、他方の容器10に配置された中皿12の押し込みとを繰り返せば、内容物C1,C2の混合状態を好みに応じて調整することができる。
【0044】
これにより、ヘッド15aの押し下げ及び復帰を繰り返してポンプ15を駆動させると、図5に示すように、使用者の好みに応じて調整された混合物C3をヘッド15aに形成した注出口A5から取り出すことができる。この場合も、例えば、容器10に充填された内容物C1,C2が色彩の異なるものであると、取り出される混合物C3の色彩は、2つの内容物C1,C2の色彩が交じり合った色彩を呈するものの、中皿12を操作しない場合に比べて、より複雑な色彩を呈する。この複雑な色彩は、中皿12を操作する回数が多い程、複雑な色彩を呈する。
【0045】
加えて、本形態では、ヘッド15aの押し下げ及び復帰を繰り返してポンプ15を駆動させることにより内容物C1,C2や混合物C3を取り出す構成であるため、中皿12を押し込んで内容物C1,C2を混合させる工程と、その後の内容物C1,C2を取り出す工程とを中皿12の動きと無関係に行うことができる。これにより、本形態によれば、上述のとおり、混合状態を調整しつつ内容物C1,C2を取り出すことができる。
【0046】
従って、本形態によれば、部品の変更や交換を行うことなく、異なる混合方法を選択することができると共に、混合状態を調整しつつ内容物C1,C2を容易に取り出すことが可能なポンプ付き二連式容器を提供することができる。
【0047】
次に、図6〜9には、本発明の第2の形態であるポンプ付き二連式容器200を示す。 本形態では、仕切壁13aに形成した2つの容器10に通じる開口部をそれぞれ第2空間R2に通じさせる第2の開口部A3とする。
【0048】
本形態も、第1の形態と同様、ベース13の仕切壁13aから起立する筒状部13dと、キャップ14から垂下する筒状部14cとの間を液密に保持することで、その内側にポンプ15の吸入口A4に通じる第1空間R1が形成されると共に、2つの筒状部13d,14cにそれぞれ、キャップ14の回転位置に応じて当該筒状部13d,14cの相互間に、ベース13の筒状部13dとキャップ14とで取り囲まれた第2空間R2と第1空間R1との間を開閉する通路Pが形作られる溝G及びスリットSを設けている。
【0049】
このため、本形態の如く、仕切壁13aに形成した2つの容器10に通じる開口部をそれぞれ第2空間R2に通じさせる開口部A3とすれば、キャップ12の回転によって第2空間R2と第1空間R1との間の通路Pが開かれるときには、2つの容器10の口部11aの両方が第1空間R1に通じるので、ヘッド15aの押し下げ及び復帰を繰り返してポンプ15を駆動させると、2つの容器10に充填された内容物C1,C2を第1の空間R1で混合させながらヘッド15aに形成した注出口A5から取り出すことができる。この場合も、例えば、容器10に充填された内容物C1,C2が色彩の異なるものであると、取り出される混合物C3の色彩は2つの内容物C1,C2の色彩が交じり合った色彩を呈する。
【0050】
加えて、少なくとも、図8に示すように、一方の容器10に配置された中皿12を押し込めば、この一方の容器10に充填された内容物C1が第1空間R1を介して他方の容器10に向かって流通することで、他方の容器10に充填された内容物C2との混合が可能になる。
【0051】
この場合も、中皿12の押し込みは、少なくとも1度であればよいが、その後、他方の容器10に配置された中皿12を押し込めば、この他方の容器10で混合された内容物C3(C1+C2)が第1空間R1を介して再び一方の容器10に向かって流通することで、内容物C1,C2の混合が更に良好になる。即ち、この場合も、一方の容器10に配置された中皿12の押し込みと、他方の容器10に配置された中皿12の押し込みとを繰り返せば、内容物C1,C2の混合状態を好みに応じて調整することができる。
【0052】
これにより、ヘッド15aの押し下げ及び復帰を繰り返してポンプ15を駆動させると、使用者の好みに応じて調整された混合物をヘッド15aの注出口A5から取り出すことができる。この場合も、例えば、容器10に充填された内容物C1,C2が色彩の異なるものであると、取り出される混合物C3の色彩は、2つの内容物C1,C2の色彩が交じり合った色彩を呈するものの、中皿12を操作しない場合に比べて、より複雑な色彩を呈する。この複雑な色彩も、中皿12を操作する回数が多い程、複雑な色彩を呈する。
【0053】
これに対し、キャップ14の回転によって第2空間R2と第1空間R1との間の通路Pが閉じられるときには、中皿12の押し込みは許容されるものの、ヘッド15aの押し下げ及び復帰を繰り返してポンプ15を駆動させても、内容物C1,C2や混合物C3は一切ヘッド15aの注出口A5から取り出されない。これにより、ヘッド15aを誤って操作しても、内容物C1,C2や混合物C3は誤って取り出されることなく済む。
【0054】
加えて、本形態も、第1の形態と同様、ヘッド15aの押し下げ及び復帰を繰り返してポンプ15を駆動させることにより内容物C1,C2や混合物C3を取り出す構成であるため、中皿12を押し込んで内容物C1,C2を混合させる工程と、その後の内容物C1,C2を取り出す工程とを中皿12の動きと無関係に行うことができる。これにより、本形態によれば、上述のとおり、混合状態を調整しつつ内容物C1,C2を取り出すことができる。
【0055】
即ち、本形態によれば、容器10の相互間での内容物C1,C2の流通や、通路Pの切り替えにより、混合させる量やスピードを切り替えることができる。これにより、ヘッド15aから取り出される混合物C3は、混合させる量やスピードによって、ストライプ模様やマーブル模様等、色彩を徐々に変化させ、或いは、急速に変化させることで、自在な変色が可能になる。
【0056】
従って、本形態によっても、部品の変更や交換を行うことなく、異なる混合方法を選択することができると共に、混合状態を調整しつつ内容物C1,C2を容易に取り出すことが可能なポンプ付き二連式容器を提供することができる。
【0057】
また、本発明に従えば、上述の第1の形態及び第2の形態はいずれも、容器10の胴体11bを透視可能な透明又は半透明の材質で構成することができる。この場合、内容物C1,C2の状態を目視することができるので、上述した効果に加え、視覚的な効果をも併せて高めることができる。
【0058】
上述したところは、本発明の一形態を示したに過ぎず、特許請求の範囲内において、種々の変更を加えることができる。例えば、本発明に係る、溝G及びスリットSは、互いに入れ替えて構成することができる。また、本発明に係るポンプは、ヘッドの押し下げ及び復帰の繰り返しにより駆動されるものであれば、本形態のようなプランジャタイプのポンプに限定されるものではない。また、上述の各形態に採用された各構成はそれぞれ、互いに適宜組み合わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明としては、例えば、化粧料や液体洗剤等を内容物する容器として採用することができる。また、本発明に従えば、2つの内容物を混合により取り出すことを前提するものに限定されることなく、同種の内容物を混合により取り出すものとしてもよい。
【符号の説明】
【0060】
10 容器
11 容器本体
11a 口部
11b 肩部
11c 胴体
11d 底部
12 中皿
13 ベース
13a1 ベース側装着筒
13a2 ベース側シール筒
14 キャップ
14a1 キャップ側装着筒
14a2 キャップ側シール筒
15 ポンプ
15a ヘッド
15b ポンプ本体
15c ポンプシリンダ
100 ポンプ付き二連式容器
200 ポンプ付き二連式容器
1 中皿押し下げ用開口部
2 第1開口部
3 第2開口部
4 ポンプ吸入口
5 注出口
1,C2 内容物
3 混合物
G 溝
P 通路
1 第1空間
2 第2空間
S スリット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
胴体の下端に開口部を有し当該開口部を通してその内側に摺動可能な中皿を配置することで口部に通じる充填空間を増減可能な容器と、当該容器の口部に通じる開口部が形成された仕切壁を有し2つの当該口部が並列に装着されるベースと、ヘッドの押し下げ及び復帰の繰り返しにより駆動されるポンプを有し、ベースから起立する装着筒との間を液密に保持しつつ当該装着筒に装着されるキャップとを備え、
ベースとキャップとの間に、ポンプの吸入口に通じると共に、少なくとも一方の容器の内側に配置された中皿の押し込みにより、異なる容器に充填された内容物が流通することで内容物の混合を可能にする空間を設けたことを特徴とするポンプ付き二連式容器。
【請求項2】
請求項1において、キャップを、ベースの装着筒との間を液密に保持しつつ当該装着筒の周りを回転可能なものとする一方、
第1空間を、ベースの仕切壁から起立する筒状部と、キャップから垂下する筒状部との間を液密に保持することで、その内側に形成すると共に、
2つの筒状部にそれぞれ、キャップの回転位置に応じて当該筒状部の相互間に、ベースの筒状部とキャップとで取り囲まれた第2空間と第1空間との間を開閉する通路が形作られる溝及びスリットを設け、更に、
仕切壁に形成した一方の容器に通じる開口部を、第1空間に通じさせる第1の開口部とすると共に、仕切壁に形成した他方の容器に通じる開口部を、第2空間に通じさせる第2の開口部としたことを特徴とするポンプ付き二連式容器。
【請求項3】
請求項1において、キャップを、ベースの装着筒との間を液密に保持しつつ当該装着筒の周りを回転可能なものとする一方、
第1空間を、ベースの仕切壁から起立する筒状部と、キャップから垂下する筒状部との間を液密に保持することで、その内側に形成すると共に、
2つの筒状部にそれぞれ、キャップの回転位置に応じて当該筒状部の相互間に、ベースの筒状部とキャップとで取り囲まれた第2空間と第1空間との間を開閉する通路が形作られる溝及びスリットを設け、更に、
仕切壁に形成した2つの容器に通じる開口部をそれぞれ、第2空間に通じさせる開口部としたことを特徴とするポンプ付き二連式容器。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項において、容器を透視可能な材質で構成したことを特徴とするポンプ付き二連式容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−274999(P2010−274999A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−131599(P2009−131599)
【出願日】平成21年5月29日(2009.5.29)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】