説明

ポンプ式製品用の内容物収容容器ならびに、この内容物収容容器を備えたポンプ式製品

【課題】ポンプ式製品用の内容物収容容器に関して、容器本体の少量残留内容物の効率的な放出動作を確実化し、また当該放出動作における利用者にとっての利便化を図る。
【解決手段】容器本体1の底面側部分に、吸上げパイプ5の下端側流入口5aと当接して傾動可能な底板部材2を設けた。底板部材2の周囲には容器本体1の内周面と密接して下端側領域1fへの内容物流入を阻止する環状シール部3が設けられている。下面中央の球状垂下部2cが鞘状支持部1cで保持された底板部材2は平面360度の任意の角度方向に傾動する。内容物補充後の開口首部1aに内容物放出機構6を取り付けると、底板部材2は吸上げパイプ5の先端部分の押圧作用により傾動して流入口5aが傾動底板部材の最下縁部分に位置するので、容器本体内容物が少なくなった段階でも利用者は容器本体1を傾けるなどしなくても略最後の内容物まで放出することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞘状の容器本体に内容物を収容した状態で、容器本体上側開口部に、吸上げパイプを含む内容物放出機構が取り付けられるポンプ式製品用の内容物収容容器などに関する。
【0002】
特に、内容物を収容する容器本体の底部とは別の底板部材を、内容物放出機構が容器本体上側開口部に取り付けられるときに吸上げパイプの下端側流入口と当接して、その当接側が下方に傾き、かつ、この傾き状態において当該下端側流入口が当該底板部材の上面下側縁部分に位置するかたちで、配設したものである。
【0003】
すなわち、
(11)内容物補充後の容器本体上側開口部に内容物放出機構を取り付ける際に、その一部である吸上げパイプの下端部分の押圧作用により、容器本体底部とは別体の底板部材を傾けて、
(12)容器本体の内容物が少なくなった段階でも、傾き後の底板部材より上方の容器本体内部の低位置部分に存在するいわば最終残留内容物が、吸上げパイプを介して効率的に外部空間域に放出される、
ようにしたポンプ式製品用の内容物収容容器である。
【0004】
ポンプ式製品の使用にともないその容器本体の内容物が少なくなって十分に放出されなくなると、利用者は通常、製品全体を斜めにして容器本体底部の一部に低位置部分を確保することにより、容器本体の残留内容物を当該低位置部分に集めて効率的に放出しようとしている。
【0005】
本発明は、この容器本体底部における残留内容物集約用の低位置部分が、製品全体を斜めにするといった利用者の特別の意識的な操作に基づいて設定されるのではなく、ポンプ式製品の内容物の充填作業(補充作業)に基づいていわば強制的に設定されるようにしたものである。
【0006】
なお、この容器本体低位置部分の設定動作は、製品購入利用者の容器本体への内容物補充作業後の内容物放出機構取付けの他、製造ラインでの容器本体への内容物注入作業後の内容物放出機構取付けの際にも生じる。
【背景技術】
【0007】
従来、ポンプ式製品の容器本体の底面部分に残留する少量内容物を、内容物放出操作にともないできるだけ吸上げパイプからハウジング内へ流入させて、次回の放出対象内容物とするようにした内容物放出機構が提案されている(特許文献1参照)。
【0008】
この内容物放出機構では、吸上げパイプ下端の流入口部分に錘を付けており、内容物が少なくなって十分に放出されなくなったときに利用者がポンプ式製品全体を傾けると、当該重りも、製品傾動後の容器本体底部の下端側部分に移動するようになっている。
【0009】
すなわち、略水平状態の容器本体を傾けることにより生じて、容器本体の底部および下端側内周面それぞれの一部からなる最下位置側領域に、少量の残留内容物と、錘付きの吸上げパイプ流入口とを、いわばまとめている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2001−205146号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
提案済みの上記内容物放出機構は、容器本体内部に存在する少量の残留内容物および錘付きの吸上げパイプ流入口をともに、傾動後の容器本体の最下位置側領域に移動させている。
【0012】
そして、少量の残留内容物の移動領域に吸上げパイプ流入口を錘でいわば強制的に位置させることにより、当該残留内容物は無駄なく効率的に外部空間域へと放出されえるといった利点を備えている。
【0013】
ただ上述の内容物放出機構は、内容物放出量が少なくなったと感じる利用者にポンプ式製品の全体を傾けるという操作をいわば強いることを前提にしたものであり、利用者側の使い勝手の点で改善の余地を残していた。
【0014】
本発明は、ポンプ式製品の場合、容器本体内部の収容内容物が減って十分な放出動作がおこなわれなくなると、エアゾール式製品の場合と違って、
(21)吸上げパイプやネジキャップを含む内容物放出機構の単位で容器本体から取り外し、内容物を補充した後、再度この内容物放出機構を容器本体の開口首部に取り付け、
(22)この取付けに際し、吸上げパイプの全体がいわば下動してその先端側の流入口は容器本体の内底面に当接する、
ことに着目したものである。
【0015】
すなわち、容器本体自体の内底面とは別に傾動可能な底板部材を設け、内容物補充後に内容物放出機構が容器本体に取り付けられるとき下動する吸上げパイプの流入口の押圧作用で当該底板部材を積極的に傾けることにより、吸上げパイプ流入口が、最終的に傾斜後の底板部材の最下位置側領域に設定されるようにしている。
【0016】
このように本発明は、利用者がポンプ式製品を傾けて容器本体の内底面全体を斜めに設定したのと等価な傾斜底面状態を、内容物放出機構の容器本体(開口首部)への取付け作業といわば連動するかたちで自動設定し、これにより容器本体の少量残留内容物の効率的な放出動作の確実化、また当該放出動作における利用者にとっての利便化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、以上の課題を次のようにして解決する。
(1)容器本体(例えば後述の容器本体1)に内容物を収容した状態で、その上側開口部(例えば後述の開口首部1a)に、吸上げパイプ(例えば後述の吸上げパイプ5)を含む内容物放出機構(例えば後述の内容物放出機構6)が取り付けられるポンプ式製品用の内容物収容容器において、
前記容器本体の底面側部分に配設されて、前記内容物放出機構が前記上側開口部に取り付けられるときに、前記吸上げパイプの下端側流入口(例えば後述の流入口5a)と当接してこの当接側が下方に傾く底板部材(例えば後述の底板部材2,2')と、
前記底板部材を傾動可能な状態で支持する底板部材支持部(例えば後述の鞘状支持部1c,環状受け部分1d,流体収納袋状部4)と、
前記底板部材と前記容器本体の底面(例えば後述の内底面1b)との間の内容物収容対象外の容器本体下端側領域(例えば後述の下端側領域1f)に、前記内容物が流入することを防ぐための内容物流入阻止部(例えば後述の環状シール部3,流体収納袋状部4)と、を有し、
前記底板部材は、
前記取付け後の傾き状態のとき、前記吸上げパイプの下端側流入口が当該底板部材の上面下側縁部分に位置する態様で配設される、
ものを用いる。
(2)上記(1)において、
前記底板部材支持部(例えば後述の鞘状支持部1c,環状受け部分1d)は、
前記容器本体の底面中央部分に設けられて、前記底板部材の前記下方への傾き動作の中心として作用する、
ものを用いる。
(3)上記(2)において、
前記内容物流入阻止部は、
前記底板部材の側面部分に、前記容器本体の内周面部分と当接する態様で設けられたシール作用部(例えば後述の環状シール部3)である、
ものを用いる。
(4)上記(2)において、
前記内容物流入阻止部は、
前記容器本体下端側領域に配設された変形可能な流体収納袋状部(例えば後述の流体収納袋状部4)である、
ものを用いる。
(5)上記(1)において、
前記底板部材支持部および前記内容物流入阻止部はそれぞれ、
前記容器本体下端側領域に配設された変形可能な共通の流体収納袋状部(例えば後述の流体収納袋状部4)である
ものを用いる。
【0018】
本発明は、以上の構成からなるポンプ式製品用の内容物収容容器および、この内容物収容容器を備えたポンプ式製品を対象としている。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、以上の課題解決手段により、容器本体の少量残留内容物の効率的な放出動作の確実化、また当該放出動作における利用者にとっての利便化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】容器本体の主領域に内容物を補充しただけで、まだ開口首部に内容物放出機構を取り付けていない内容物補充終了状態(その1)を示す説明図である。
【図2】容器本体の主領域に内容物を補充しただけで、まだ開口首部に内容物放出機構を取り付けていない内容物補充終了状態(その2)を示す説明図である。
【図3】図1の容器本体の開口首部に内容物放出機構を取り付けた後の静止モードを示す説明図である。
【図4】図2の容器本体の開口首部に内容物放出機構を取り付けた後の静止モードを示す説明図である。
【図5】図3のポンプ式製品の容器本体(主領域)の内容物が、少なくなって当該主領域の下側部分のみに残留している状態を示す説明図である。
【図6】図5の少量内容物のポンプ式製品においてスパウトが押圧操作されたときの内容物放出状態を示す説明図である。
【図7】利用者のスパウト押圧操作解除にともなって次回放出内容物が容器本体からハウジングへ流入する状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1〜図7に基づいて本発明の実施形態を説明する。
【0022】
以上の図で用いるアルファベット付き参照番号の構成要素(例えば開口首部1a)は原則として、当該参照番号の数字部分の構成要素(例えば容器本体1)の一部であることを示している。
【0023】
図1〜図7において、
1は横方向断面が円形状であって、周知のポンプ作用により外部空間域に放出される内容物を収容する容器本体,
1aは当該容器本体の開口首部(上側開口部),
1bは当該容器本体の内底面(底面),
1cは内底面1bの中央部分に形成されて、後述の底板部材2をその平面360度の任意の角度方向に傾動可能な状態で保持する鞘状支持部(底板部材支持部),
1dは鞘状支持部1cの上端側内周面の周方向全体に形成されて、後述の底板部材2の球状垂下部2cを当接支持する環状受け部分(底板部材支持部),
1eは容器本体1の内部空間域であって、後述の底板部材2,2'の上面2aの上方に設定される内容物収容対象の主領域,
1fは容器本体1の内部空間域であって、内底面1bと後述の底板部材2,2'の下面2bとの間に生成される内容物収容対象外の下端側領域,
をそれぞれ示している。
【0024】
また、
2は容器本体1の鞘状支持部1cに、上記任意の角度方向に傾動可能な形で保持された円板状の底板部材(図1,図3,図5〜図7参照),
2'容器本体1の下端側領域1fに設けられた後述の流体収納袋状部4に、上記任意の角度方向に傾動可能な形で保持された円板状の底板部材(図2,図4参照),
2aは底板部材2,2'の上面,
2bは底板部材2,2'の下面,
2cは底板部材2の下面2bの中央部分に形成されて、鞘状支持部1cの環状受け部分1dに当接支持されることにより当該底板部材のいわば傾動中心として作用する球状垂下部(図1,図3,図5〜図7参照),
をそれぞれ示している。
【0025】
また、
3は容器本体1の内周面と密接するかたちで底板部材2の側面部分に設けられて、容器本体の下端側領域1fへの内容物流入を阻止するための環状シール部(内容物流入阻止部,シール作用部:図1,図3,図5〜図7参照),
4は容器本体1の下端側領域1fに例えば一部が内底面1bに固定された状態で配設されて、底板部材2'を支持し、かつ、当該下端側領域への内容物流入を阻止するための変形可能な流体収納袋状部(底板部材支持部,内容物流入阻止部:図2,図4参照),
5は容器本体1の主領域1eの内容物の通路部として作用する吸上げパイプ,
5aは当該吸上げパイプが容器本体1の内部にセットされた状態で、傾動した底板部材2,2'の上面下側縁部分に位置する流入口,
をそれぞれ示している。
【0026】
また、
6は吸上げパイプ5を含む周知のポンプタイプの内容物放出機構,
6aは吸上げパイプ5の上端部分が取り付けられて、当該吸上げパイプから流入済みの次回放出対象の内容物を収容する筒状のハウジング,
6bはハウジング6aの内周面下側部分の環テーパ状部にいわば載置されて弁作用を呈する吸込弁(ボール弁),
6cはその下側部分がハウジング6aの内部に配設されて内容物放出用の吐出弁作用を呈する鞘状のステム,
6dはステム6cの外周面下側部分に形成された吐出弁作用部としての環状起立部,
6eはハウジング6aの下側内部空間域に配設されてステム6cを上方向に付勢するコイルスプリング,
6fはハウジング6aの上側内部空間域に配設されてステム6cの環状起立部6dとの開閉作用を呈する環状の吐出弁,
6gは上面側の押圧操作部および外部空間域への内部通路域を備えたスパウト
6hはステム6cの上端側外周面とスパウト6gの下端側内周面とに嵌合する筒状部であって、その中間内周面に内容物通過部を備え、かつ吐出弁6fの上動位置を規定する筒状連結部,
6jは筒状連結部6hの中間内周面に形成された内容物通過用の縦溝状部,
6kはハウジング6aなどを取り付けた状態で、開口首部1aの外周面とのネジ結合作用によって容器本体1に取り付けられる環状のネジキャップ,
をそれぞれ示している。
【0027】
また、
Aはスパウト6gの押圧操作にともなう内容物放出径路(図6参照:ハウジング6a−開状態の環状起立部6d,吐出弁6fの間−筒状連結部6hの縦溝状部6j−筒状連結部6hの上側内部通路域−スパウト6gの内部通路域−外部空間域),
Bはスパウト6gの押圧操作解除にともなう次回放出内容物のハウジング流入径路(図7参照:容器本体1−吸上げパイプ5−開状態の吸込弁6b−ハウジング6a),
をそれぞれ示している。
【0028】
ここで、容器本体1,底板部材2,2',流体収納袋状部4,吸上げパイプ5,ハウジング6a,ステム6c,吐出弁6f,スパウト6g,ネジキャップ6kはそれぞれ、ポリプロピレン,ポリエチレン,ポリアセタール,ナイロン,ポリブチレンテレフタレートなどからなるプラスチック製のものである。
【0029】
環状シール部3はゴム製や合成樹脂製のものであり、吸込弁6bおよびコイルスプリング6eは金属製や合成樹脂製のものである。
【0030】
なお、流体収納袋状部4は任意の気体,液体を収納し、その形が底板部材2'の傾動にともなって変化するものである。
【0031】
図示のポンプ式製品用の内容物放出機構の基本的特徴は、
(21)容器本体1の環状受け部分1dで底板部材2の球状垂下部2cを支持し(図1,図3,図5〜図7参照)、または流体収納袋状部4で底板部材2'の下面2bの略全体を支持して(図2,図4参照)、当該底板部材が任意の方向に傾動できるように設定し、
(22)ポンプ式製品の製造作業者や利用者が、内容物収容済みの容器本体1の開口首部1aに内容物放出機構6(ネジキャップ6k)を取り付ける際に、吸上げパイプ5の下端側の流入口5aの部分で底板部材2,2'の一部を押し下げて傾動させ、
(23)この底板部材2,2'の最終傾動状態において、吸上げパイプ5の流入口5aが当該底板部材の上面下側縁部分に配設される、
ことなどである。
【0032】
このような基本的特徴を有する内容物放出機構は、容器本体1の残留内容物が少なくなった段階でも、当該容器本体の主領域1eの低位置側部分に存在する内容物を外部空間域へ効率的に放出することができる。
【0033】
図1および図2は、容器本体1の主領域1eに内容物を補充しただけで、まだ開口首部1aに内容物放出機構6を取り付けていない内容物補充終了状態を示している。
【0034】
このとき、
(31)底板部材2,2'は、その上の主領域1eの全体に補充された内容物の重みにより略水平状態に設定され、
(32)図2の容器本体1の下端側領域1fに設けられた流体収納袋状部4は、内底面1bの任意の径方向に略一様な厚み状態に設定されている。
【0035】
図3および図4は、図1,図2の容器本体1の開口首部1aに内容物放出機構6が取り付けられた後の静止モードを示している。
【0036】
このとき、
(41)底板部材2,2'は、内容物放出機構6を開口首部1aに取り付ける際の吸上げパイプ5の押圧作用により傾動して、図示左端側縁部分が最下部となる状態に設定され、
(42)吸上げパイプ5の流入口5aが底板部材2,2'の当該最下部の縁部分に位置しており、
(43)図4の容器本体1の下端側領域1fに設けられた流体収納袋状部4は、その厚みが、内底面1bの図示左端部分から図示右端部分に向かって順次大きくなるかたちに設定されている。
【0037】
??
なお、吸上げパイプ5は、その下側部分が緩い円弧状に曲がった剛性状のものであって、内容物放出機構6(ネジキャップ6k)を開口首部1aに取り付ける際、
(51)先ず底板部材2,2'の上面2aの任意部分(中心以外の部分)に流入口5aが当接し、
(52)続いて下動する吸上げパイプ5の流入口5aが底板部材2,2'の上面2aを押圧することにより、当該底板部材は、その球状垂下部2cを中心に押圧される部分が下方となるかたちで傾き、
(53)図3,図4で示すように、吸上げパイプ5は、流入口5aが底板部材2,2'の上面2aの最下部分(縁部分)と容器本体1の内周面とに略当接した状態に移行する。
【0038】
なお、吸上げパイプ5はいくらかの弾性変形性状も備えており、ネジキャップ6kを容器本体1の開口首部1aへ取り付ける最終段階途中で上記(53)の当接状態に移行すると、当該吸上げパイプの中間部分が図示右方向に膨らむ。このとき上記(53)の当接状態は保持されたままである。
【0039】
図5は、図3のポンプ式製品の容器本体(主領域)の内容物が、少なくなって当該主領域の下側部分のみに残留した状態を示している。
【0040】
なお、図示省略したが図4の流体収納袋状部4を設けたポンプ式製品においても、その使用を重ねるといずれ、図5と同様の内容物残留状態になるのは勿論である。
【0041】
少量となった残留内容物は、傾いた底板部材2,2'の上面2aの下側縁部分が最も深くなる、すなわち吸上げパイプ5の流入口5aの部分が最も深くなるかたちで存在している。
【0042】
図6は、図5の内容物収容状態のポンプ式製品においてスパウト6gが押圧操作されたときの内容物放出状態を示している。
【0043】
なお、図示省略したが図4の流体収納袋状部4を設けたポンプ式製品においても、スパウト6gの押圧操作により図5と同様の内容物放出状態に移行するのは勿論である。
【0044】
このスパウト6gの押圧操作にともなって概略、以下のような周知のポンプ作動状態へと移行する。
【0045】
すなわち、
(61)スパウト6gと一体の筒状連結部6hおよびステム6cがコイルスプリング6eの上方向への弾性力に抗する形で押し下げられ、
(62)ステム6cが下動するのにともない、内容物貯留用のハウジング6aの容積が小さくなってそこでの収容内容物の圧力が大きくなり、
(63)この圧力増加のため、吐出弁6fはステム6cとの関係で相対的に上昇してその弁作用部と当該ステムの環状起立部6dとのそれまでの閉状態が開状態へと変化し、かつ、吸込弁6bは閉状態を維持し、
(64)この「吐出弁:開,吸込弁:閉」状態でのステム6cのさらなる下動に基づいて圧力が大きくなったハウジング6aの収容内容物は、
図示矢印Aで示すように「ハウジング6a−開状態の環状起立部6d,吐出弁6fの間−筒状連結部6hの縦溝状部6j−筒状連結部6hの上側内部通路域−スパウト6gの内部通路域」を経て、外部空間域に放出される。
【0046】
図7は、利用者のスパウト押圧操作解除にともなって次回放出内容物が容器本体1からハウジング6aへ流入する状態を示している。
【0047】
なお、この流入状態が図4の流体収納袋状部4を設けたポンプ式製品においても生じるのは勿論である。
【0048】
スパウト6gの押圧操作解除にともない、ステム6cがコイルスプリング6eの弾性作用で上動すると、
(71)それまで開いていたステム6cの環状起立部6dと吐出弁6fとの間が閉じ、
(72)ハウジング6aの内部空間域は、その容積が増加して容器本体1の内部に対し負圧になるので、吸込弁6bが上昇してその受け部(ハウジング6aの一部)から離間し、
(73)その結果、容器本体1の内容物が、図示矢印Bで示すように「容器本体1−吸上げパイプ5−開状態の吸込弁6b」を経て、ハウジング6aの内部空間域に流入する。
【0049】
なお、このハウジング内部空間域への内容物流入に起因する容器本体1の内部の負圧化を防止するため、外気が、ハウジング6aの周知の孔部から容器本体内部に流入するのは勿論である。
【0050】
以上のハウジング内部への内容物流入および容器本体内部への外気流入により、ポンプ式製品は静止モードへと移行して、次のスパウト押圧操作にともなう内容物放出作動のいわば待機状態となる。
【0051】
本発明が以上の実施形態に限定されないことは勿論であり例えば、
(81)図1,図3,図5〜図7で示した、底板部材2の球状垂下部2cを容器本体1の鞘状支持部1c,環状受け部分1dで保持して支持する場合に、例えばドーナツ形状の流体収納袋状部4を内底面1bに配設する、
(82)図2,図4および上記(81)のそれぞれにおける流体収納袋状部4として、複数の任意の個数からなるものを用いる、
(83)底板部材2,2'の上面2aをいわば上に凸の曲面形状に設定する、
(84)底板部材2,2'の平面形状を容器本体1の横方向断面形状に対応させた任意の形状に設定する、
(85)球状垂下部2cに代えて底板部材2とは別体のボール状部材を用い、当該底板部材の下面中央部分に当該ボール状部材の窪み状受け部を設ける、
ようにしてもよい。
【0052】
本発明が適用されるポンプ式製品としては、石けん,消毒剤,乳液、ヘアスタイリングフォーム,洗剤,シャンプー,リンス,洗浄剤,清掃剤,制汗剤,冷却剤,筋肉消炎剤,ヘアスタイリング剤,ヘアトリートメント剤,染毛剤,育毛剤,化粧品,シェービングフォーム,食品,液滴状のもの(ビタミンなど),医薬品,医薬部外品,塗料,園芸用剤,忌避剤(殺虫剤),クリーナー,消臭剤,洗濯のり,ウレタンフォーム,消火器,接着剤,潤滑剤などの各種用途のものがある。
【0053】
容器本体に収納する内容物は、液状,クリーム状,ゲル状など種々の形態のものを用いることができ、内容物に配合される成分としては例えば、粉状物,油成分,アルコール類,界面活性剤,高分子化合物,各用途に応じた有効成分,水などが挙げられる。
【0054】
粉状物としては、金属塩類粉末,無機物粉末や樹脂粉末などを用いる。例えば、タルク,カオリン,アルミニウムヒドロキシクロライド(アルミ塩),アルギン酸カルシウム,金粉,銀粉,雲母,炭酸塩,硫酸バリウム,セルロース,これらの混合物などを用いる。
【0055】
油成分としては、シリコーン油,パーム油,ユーカリ油,ツバキ油,オリーブ油,ホホバ油,パラフィン油,ミリスチン酸,パルミチン酸,ステアリン酸,リノール酸,リノレン酸などを用いる。
【0056】
アルコール類としては、エタノールなどの1価の低級アルコール,ラウリルアルコールなどの1価の高級アルコール,エチレングリコール,グリセリン,1,3−ブチレングリコールなどの多価アルコールなどを用いる。
【0057】
界面活性剤としては、ラウリル硫酸ナトリウムなどのアニオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンオレイルエーテルなどの非イオン性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインなどの両性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウムなどのカチオン性界面活性剤などを用いる。
【0058】
高分子化合物としては、メチルセルロース,ゼラチン,デンプン,カゼイン,ヒドロキシエチルセルロース,キサンタンガム,カルボキシビニルポリマーなどを用いる。
【0059】
各用途に応じた有効成分としては、サリチル酸メチル,インドメタシンなどの消炎鎮痛剤、安息香酸ナトリウム,クレゾールなどの除菌剤、ヒレスロイド,ジエチルトルアミドなどの害虫忌避剤、酸化亜鉛などの制汗剤、カンフル,メントールなどの清涼剤、エフェドリン,アドレナリンなどの抗喘息薬、スクラロース,アスパルテームなどの甘味料、エポキシ樹脂,ウレタンなどの接着剤や塗料、パラフェニレンジアミン,アミノフェノールなどの染料,リン酸二水素アンモニウム,炭酸水素ナトリウム・カリウムなどの消火剤などを用いる。
【0060】
さらに、上記内容物以外の、懸濁剤,紫外線吸収剤,乳化剤,保湿剤,酸化防止剤、金属イオン封鎖剤なども用いることができる。
【符号の説明】
【0061】
1:容器本体
1a:開口首部
1b:内底面
1c:鞘状支持部
1d:環状受け部分
1e:内容物収容対象の主領域
1f:内容物収容対象外の下端側領域
【0062】
2:円板状の底板部材(図1,図3,図5〜図7)
2':円板状の底板部材(図2,図4)
2a:上面
2b:下面
2c:球状垂下部(図1,図3,図5〜図7)
【0063】
3:環状シール部(図1,図3,図5〜図7)
4:流体収納袋状部(図2,図4)
5:吸上げパイプ
5a:流入口
【0064】
6:吸上げパイプ5を含む周知のポンプタイプの内容物放出機構
6a:ハウジング
6b:吸込弁(ボール弁)
6c:鞘状のステム
6d:吐出弁作用部としての環状起立部
6e:コイルスプリング
6f:吐出弁
6g:スパウト
6h:筒状連結部
6j:縦溝状部
6k:ネジキャップ
【0065】
A:内容物放出径路(図6)
B:次回放出内容物のハウジング流入径路(図7)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体に内容物を収容した状態で、その上側開口部に、吸上げパイプを含む内容物放出機構が取り付けられるポンプ式製品用の内容物収容容器において、
前記容器本体の底面側部分に配設されて、前記内容物放出機構が前記上側開口部に取り付けられるときに、前記吸上げパイプの下端側流入口と当接してこの当接側が下方に傾く底板部材と、
前記底板部材を傾動可能な状態で支持する底板部材支持部と、
前記底板部材と前記容器本体の底面との間の内容物収容対象外の容器本体下端側領域に、前記内容物が流入することを防ぐための内容物流入阻止部と、を有し、
前記底板部材は、
前記取付け後の傾き状態のとき、前記吸上げパイプの下端側流入口が当該底板部材の上面下側縁部分に位置する態様で配設されている、
ことを特徴とするポンプ式製品用の内容物収容容器。
【請求項2】
前記底板部材支持部は、
前記容器本体の底面中央部分に設けられて、前記底板部材の前記下方への傾き動作の中心として作用する、
ことを特徴とする請求項1記載のポンプ式製品用の内容物収容容器。
【請求項3】
前記内容物流入阻止部は、
前記底板部材の側面部分に、前記容器本体の内周面部分と当接する態様で設けられたシール作用部である、
ことを特徴とする請求項2記載のポンプ式製品用の内容物収容容器。
【請求項4】
前記内容物流入阻止部は、
前記容器本体下端側領域に配設された変形可能な流体収納袋状部である、
ことを特徴とする請求項2記載のポンプ式製品用の内容物収容容器。
【請求項5】
前記底板部材支持部および前記内容物流入阻止部はそれぞれ、
前記容器本体下端側領域に配設された変形可能な共通の流体収納袋状部である、
ことを特徴とする請求項1記載のポンプ式製品用の内容物収容容器。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の内容物収容容器を備え、かつ、その中に放出対象内容物が収容されている、
ことを特徴とするポンプ式製品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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