説明

ポンプ施設

【課題】電装機器の冷却効率を高めることができるポンプ施設を提供する。
【解決手段】本発明に係るポンプ施設は、水槽1内の液体を汲み上げるポンプPと、ポンプPを駆動する電動機Mおよび内燃機関Eと、電動機Mの回転速度を制御する回転速度制御装置3を含む電装機器7と、ポンプP、電動機M、内燃機関E、および電装機器7の一部を収容するポンプ室9と、電装機器7の他の部分を収容する電気室8と、ポンプ室9を換気する換気設備40と、電気室8を換気する換気設備10とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電装機器を冷却する冷却システムを備えたポンプ施設に関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来のポンプ施設を示す模式図である。図1に示すように、ポンプ施設は、一般に、水槽1内の水を汲み上げる複数のポンプPと、これらのポンプPを駆動する駆動源としての電動機Mと、電動機Mに電力を供給する電装機器100とを備えている。電装機器100は、配電装置および制御装置を含む機器である。より具体的には、配電装置は、受配電盤や変圧器などであり、制御装置は、電動機Mの始動、停止(通常停止、故障時の緊急停止など)などの運転を制御する制御盤や、電動機Mの回転速度を制御するための回転速度制御装置(インバータ装置、セルビウス装置等)などである。
【0003】
これらの電装機器100は、電気室101内に設置されている。この電気室101には、電装機器100から発せられる熱を電気室101の外部に逃すための換気設備が備えられている。より具体的には、電気室101の壁には換気ファン110と排気孔(がらり)111が設けられている。換気ファン110が回転すると、空気が電気室101内に導入され、同時に排気孔111から空気が外部に排出される。
【0004】
この種のポンプ施設は、通常複数のポンプを備えており、必要とされる排水量に応じて稼働するポンプの台数が決定される。したがって、常に全てのポンプが稼働されるわけではなく、そのうちのいくつかは稼働されない場合もある。しかしながら、換気設備は、全てのポンプが稼働されている状況下で十分な冷却能力を発揮するように設計されている。このため、ポンプの稼働率に対して換気設備は過剰な冷却能力を有しているといえ、結果としてポンプ施設全体の効率を低下させている。
【0005】
上記課題を解決するために、電気室101に複数の換気ファンを設け、稼働している電装機器100に合わせた台数の換気ファンを駆動させる方法もある。しかしながら、換気ファンの台数が多くなることで、換気設備としての必要スペースが大きくなるとともに、初期費用が高価になるという問題があった。さらに、冷却のための空気の流量および排気孔111が大きくなると、電気室101内に塵埃や雨水が入り込みやすくなり、精密機器である電装機器100が故障するおそれがある。特に、インバータ装置やセルビウス装置などの回転速度制御装置は塵埃に弱く、塵埃によってこれらの装置が故障することがあった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上述した従来の問題点に鑑みてなされたもので、電装機器の冷却効率を高めることができ、かつ塵埃や雨水による電装機器への悪影響を防止することができるポンプ施設を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、水槽内の液体を汲み上げるポンプと、前記ポンプを駆動する電動機および内燃機関と、前記電動機の回転速度を制御する回転速度制御装置を含む電装機器と、前記ポンプ、前記電動機、前記内燃機関、および前記電装機器の一部を収容するポンプ室と、前記電装機器の他の部分を収容する電気室と、前記ポンプ室を換気する換気設備と、前記電気室を換気する換気設備とを備えたことを特徴とするポンプ施設である。
【0008】
本発明の一参考例は、水槽内の液体を汲み上げるポンプと、前記ポンプを駆動する電動機と、前記電動機の回転速度を制御する回転速度制御装置を含む電装機器と、前記電装機器の一部を囲むユニットルームと、前記液体を用いて前記ユニットルーム内の空気を冷却する冷却システムとを備えたことを特徴とするポンプ施設である。
【0009】
本参考例の好ましい態様は、前記冷却システムは、前記ポンプにより汲み上げられる液体を用いて前記ユニットルーム内の空気を冷却することを特徴とする。
本参考例の好ましい態様は、前記冷却システムは、前記液体と前記ユニットルーム内の空気との間で熱交換を行う熱交換器を有することを特徴とする。
本参考例の好ましい態様は、前記ユニットルームにより囲まれている前記電装機器の一部は、前記回転速度制御装置であることを特徴とする。
【0010】
本参考例の好ましい態様は、前記ユニットルーム内には、空気を攪拌するためのファンが備えられていることを特徴とする。
本参考例の好ましい態様は、前記ユニットルームには開閉自在なパネルが取り付けられていることを特徴とする。
【0011】
本発明の他の参考例は、水槽内の液体を汲み上げる第1のポンプおよび第2のポンプと、前記第1のポンプおよび前記第2のポンプをそれぞれ駆動する第1の電動機および第2の電動機と、前記第1の電動機および前記第2の電動機の回転速度をそれぞれ制御する第1の回転速度制御装置および第2の回転速度制御装置と、前記第1の回転速度制御装置の少なくとも一部を囲む第1のユニットルームと、前記第2の回転速度制御装置の少なくとも一部を囲む第2のユニットルームと、前記第1のポンプから吐き出された前記液体を用いて前記第1のユニットルーム内の空気を冷却する第1の熱交換器と、前記第2のポンプから吐き出された前記液体を用いて前記第2のユニットルーム内の空気を冷却する第2の熱交換器とを備えたことを特徴とするポンプ施設である。
【0012】
本発明のさらに他の参考例は、水槽内の液体を汲み上げるポンプと、前記ポンプを駆動する電動機および内燃機関と、前記電動機の回転速度を制御する回転速度制御装置を含む電装機器と、前記ポンプ、前記電動機、および前記内燃機関を収容するポンプ室と、前記ポンプ室と仕切り壁を介して隣接する電気室と、前記ポンプ室を換気する換気設備と、前記電気室を換気する換気設備とを備え、前記電装機器の一部は、前記ポンプ室内に配置されており、前記電装機器の他の部分は、前記電気室内に配置されていることを特徴とするポンプ施設である。
本参考例の好ましい態様は、前記ポンプ室内に配置されている前記電装機器の一部と、前記電気室内に配置されている前記電装機器の他の部分は、前記仕切り壁を挟むように該仕切り壁に接触していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、電動機の運転時に稼動し内燃機関の運転時にはほとんど稼動しない電装機器の一部をポンプ室内に配置することにより、ポンプ室の換気設備の冷却能力を有効に利用することができる。その結果、ポンプ施設全体としての冷却効率を上げることができる。
本参考例によれば、電装機器の一部をユニットルーム内に収容し、ユニットルーム内の空気を水槽内の液体を利用して冷却することにより、冷却効率を高めることができる。また、塵埃などに弱い電装機器の一部(例えば回転速度制御装置)をユニットルームで囲むことにより、塵埃や雨水から電装機器を保護することができ、これにより信頼性の高いポンプ施設を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】従来のポンプ施設を示す模式図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るポンプ施設を示す模式図である。
【図3】第1のユニットルームの内部を示す模式図である。
【図4】図4(a)は第1のユニットルームの変形例を示す側面図であり、図4(b)は図4(a)に示す第1のユニットルームの斜視図である。
【図5】本発明の他の実施形態に係るポンプ施設を示す模式図である。
【図6】本発明の他の実施形態に係るポンプ施設を示す模式図である。
【図7】電装機器の好ましい配置を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
図2は本発明の一実施形態に係るポンプ施設を示す模式図である。図2に示すように、このポンプ施設は、水槽1内の液体(例えば水)を汲み上げる第1のポンプP1および第2のポンプP2と、これら第1および第2のポンプP1,P2をそれぞれ駆動する第1の電動機M1および第2の電動機M2と、第1および第2の電動機M1,M2の回転速度をそれぞれ制御する第1の回転速度制御装置3Aおよび第2の回転速度制御装置3Bと、これら第1および第2の回転速度制御装置3A,3Bに接続された配電装置4と、配電装置4に接続された運転制御装置5とを備えている。配電装置4は図示しない電源に接続されている。
【0016】
第1および第2の回転速度制御装置3A,3Bは、インバータ装置、セルビウス装置等などの装置である。配電装置4は、受配電盤や変圧器などから構成される装置である。運転制御装置5は、第1および第2の電動機M1,M2の始動、停止(通常停止、故障時の緊急停止など)などの運転を制御する制御盤である。これらの第1の回転速度制御装置3A、第2の回転速度制御装置3B、配電装置4、および運転制御装置5は、第1の電動機M1および第2の電動機M2に電力を供給する電装機器7を構成する。
【0017】
電装機器7は、電気室8内に設置されている。ポンプP1,P2および電動機M1,M2は電気室8の外に設置されている。電気室8には、電装機器7から発せられる熱を電気室8の外部に逃すための換気設備10が備えられている。より具体的には、電気室8の壁には換気ファン(吸気ファン)11と排気孔(がらり)12が設けられている。換気ファン11が回転すると、空気が電気室8内に導入され、同時に排気孔12から空気が外部に排出される。これら換気ファン11および排気孔12のサイズは、図1に示す従来のポンプ施設に設けられている換気ファン110および排気孔111よりも小さくなっている。
【0018】
第1の回転速度制御装置3Aは第1のユニットルーム16Aに囲まれており、同様に、第2の回転速度制御装置3Bは第2のユニットルーム16Bに囲まれている。これらのユニットルーム16A,16Bは、密閉された空間をその内部に形成する構造体である。ユニットルーム16A,16Bはいずれも電気室8内に配置されている。なお、第1の回転速度制御装置3Aの一部のみを第1のユニットルーム16Aで囲んでもよく、第2の回転速度制御装置3Bの一部のみを第2のユニットルーム16Bで囲んでもよい。
【0019】
第1および第2のポンプP1,P2は、立軸ポンプまたは横軸ポンプであり、水槽1の上方に設置されている。ポンプP1,P2の吸い込み口は水槽1内に位置している。第1および第2の電動機M1,M2は、それぞれ第1および第2のポンプP1,P2に連結されている。第1および第2のポンプP1,P2の吐き出し口には、吐出弁20A,20Bを有する吐き出し管21A,21Bがそれぞれ接続されている。第1のポンプP1に接続される吐き出し管21Aには第1の管内クーラ24Aが取り付けられており、第2のポンプP2に接続される吐き出し管21Bには第2の管内クーラ24Bが取り付けられている。これら第1および第2の管内クーラ24A,24Bは熱交換器である。第1および第2の管内クーラ24A,24Bには循環液(例えば水)が流れる循環管25A,25Bがそれぞれ接続されている。第1の管内クーラ24Aでは、吐き出し管21Aを流れる液体と循環管25Aを流れる循環液との間で熱交換が行われ、同様に、第2の管内クーラ24Bでは、吐き出し管21Bを流れる液体と循環管25Bを流れる循環液との間で熱交換が行われる。第1および第2の管内クーラ24A,24Bとしては、実公平7−29406号公報に開示されている管内クーラを用いることができる。
【0020】
第1および第2のユニットルーム16A,16B内にはそれぞれ第1の熱交換器30Aおよび第2の熱交換器30Bが配置されている。第1の熱交換器30Aと第1の管内クーラ24Aとは、上述した循環管25Aによって接続されており、循環液(通常は循環水)は第1の管内クーラ24Aと第1の熱交換器30Aとの間を循環するようになっている。同様に、第2の熱交換器30Bと第2の管内クーラ24Bとは、上述した循環管25Bによって接続されており、循環液(通常は循環水)は第2の管内クーラ24Bと第2の熱交換器30Bとの間を循環するようになっている。
【0021】
第1の熱交換器30Aは、第1のポンプP1から吐き出された液体によって冷却された循環液と第1のユニットルーム16A内の空気との間で熱交換を行い、第2の熱交換器30Bは、第2のポンプP2から吐き出された液体によって冷却された循環液と第2のユニットルーム16B内の空気との間で熱交換を行う。このように、第1の熱交換器30Aおよび第2の熱交換器30Bは、循環液を介して(すなわち間接的に)水槽1の液体とユニットルーム16A,16B内の空気との間で熱交換を行う。このような構成によれば、第1および第2のユニットルーム16A,16B内に配置されている第1の回転速度制御装置3Aおよび第2の回転速度制御装置3Bは、第1および第2のユニットルーム16A,16B内の空気を媒介として、水槽1からの液体により冷却される。
【0022】
図3は第1のユニットルーム16Aの内部を示す模式図である。なお、図3は第1のユニットルーム16Aの内部構造を示しているが、第2のユニットルーム16Bも同様の内部構造を有している。図3に示すように、ユニットルーム16A内には内部空気を攪拌するファン31が設けられている。より詳しくは、ファン31は熱交換器30Aの近傍に配置され、熱交換器30Aによって冷却された空気をユニットルーム16A内で循環させるようになっている。回転速度制御装置3Aは分割された複数のセルから構成されており、冷却された空気はこれらセルに接触しながらセルの間を通過する。
【0023】
第1および第2の回転速度制御装置3A,3Bは、それぞれ第1および第2のポンプP1,P2によって汲み上げられた液体によって冷却される。言い換えれば、第1および第2の回転速度制御装置3A,3Bは、それぞれ第1および第2のポンプP1,P2の運転に連動して冷却される。例えば、第2のポンプP2が運転されないときは、対応する第2の熱交換器30Bは冷却効果を発揮せず、第2の回転速度制御装置3Bは冷却されない。しかしながら、第2のポンプP2が停止中のときは、対応する第2の回転速度制御装置3Bは熱を発しないので、第2の回転速度制御装置3Bを冷却する必要がない。また、第1および第2のポンプP1,P2の回転速度が低いときは、第1および第2の管内クーラ24A,24Bの冷却能力が低くなるが、電動機M1,M2の所要動力も少なくなる(電動機の所要動力は回転速度の3乗の割合で低下する)。結果として回転速度制御装置3A,3Bの発熱量も低下するため、必要な冷却能力は保たれる。
【0024】
このように、本実施形態の冷却システムによれば、ポンプP1,P2の運転状況に応じて回転速度制御装置3A,3Bの発熱量が変化するが、それに追従して管内クーラ24A,24Bの冷却能力も変化するので、冷却バランスのとれた冷却効率のよいポンプ施設とすることができる。また、今まで利用することがなかった、ポンプP1,P2に汲み上げられる液体の冷却能力を利用して電装機器7を冷却するので、従来のポンプ施設に比べて、電気室8に設けられた換気ファン11および排気孔12のサイズを小さくすることができ、設備費用を削減することができる。また、換気設備10の開口面積が小さくなるので、塵埃や雨水の電気室8内への侵入を防止することができる。さらに、換気ファン11の所要電力も低減することができる。加えて、ユニットルーム(パーティション)16A,16Bは、塵埃から回転速度制御装置3A,3Bを守ることができ、かつユニットルーム16A,16B内の空気を清浄に保つことができる。このような構成により、回転速度制御装置3A,3Bへの塵埃の侵入を多重に防止し、塵埃に起因する回転速度制御装置3A,3Bの故障をほぼ確実に防止することができ、信頼性の高いポンプ施設とすることができる。なお、回転速度制御装置3A,3Bの具体例としては、インバータ装置やセルビウス装置が挙げられる。
【0025】
なお、第1および第2のポンプP1,P2に汲み上げられた液体の一部を、図示しない導管を通じてそれぞれ第1および第2の熱交換器30A,30Bに直接導いてもよい。この場合でも、ユニットルーム16A,16B内の空気を介して第1および第2の回転速度制御装置3A,3Bを液体により冷却することができる。上述した実施形態は2台のポンプを備えたポンプ施設であるが、1台のポンプまたは3台以上のポンプを備えたポンプ施設にも本発明を適用することができる。いずれの場合も、電装機器の一部をユニットルームで囲み、ポンプから吐き出された液体を利用してユニットルーム内の空気を冷却することができる。なお、変圧器などから構成される配電装置4をユニットルーム内に配置してもよい。
【0026】
次に、第1および第2のユニットルーム16A,16Bの変形例について説明する。なお、第1のユニットルーム16Aと第2のユニットルーム16Bは同一の構成を有しているので、以下、第1のユニットルーム16Aについて説明する。図4(a)は第1のユニットルーム16Aの変形例を示す側面図であり、図4(b)は図4(a)に示す第1のユニットルーム16Aの斜視図である。図4(a)および図4(b)に示すように、ユニットルーム16Aには、回転速度制御装置3Aに隣接してパネル33が取り付けられている。このパネル33はユニットルーム16Aの壁の一部を構成しており、折り畳み式の構造を有している。パネル33は扉として機能し、パネル33を開くことにより作業員が回転速度制御装置3Aにアクセスできるようになっている。作業員は、パネル33を通じて回転速度制御装置3Aを管理し、また回転速度制御装置3Aの搬入出を行うことができる。
【0027】
図5は本発明の他の実施形態に係るポンプ施設を示す模式図である。なお、上述の実施形態と同一の要素には同一の符号を付して、その重複する説明を省略する。
図5に示すように、水槽1内には第1の補助ポンプaP1および第2の補助ポンプaP2が配置されている。本実施形態では、第1のポンプP1および第2のポンプP2に汲み上げられた液体ではなく、これらの第1の補助ポンプaP1および第2の補助ポンプaP2に汲み上げられた液体を用いて第1および第2のユニットルーム16A,16B内の空気を冷却する。
【0028】
第1および第2の補助ポンプaP1,aP2は、水槽1内の液体を第1の電動機M1および第2の電動機M2に移送してこれら電動機M1,M2を冷却するために設けられている。すなわち、回転速度制御装置3A,3Bにより可変速運転する電動機M1,M2の回転速度が低いときは、それらの回転軸と一体に回転する冷却ファン(図示せず)によっては十分な冷却効果が得られない。そこで、第1の補助ポンプaP1および第2の補助ポンプaP2によって水槽1内の液体を第1および第2の電動機M1,M2に供給し、液体により第1および第2の電動機M1,M2を冷却する。
【0029】
第1の補助ポンプaP1および第2の補助ポンプaP2に汲み上げられた液体の一部は、循環管35A,35Bを通じて上述した第1の熱交換器30Aおよび第2の熱交換器30Bに移送されるようになっている。第1の熱交換器30Aは、水槽1からの液体と第1のユニットルーム16A内の空気との間で熱交換を行い、第2の熱交換器30Bは、水槽1からの液体と第2のユニットルーム16B内の空気との間で熱交換を行う。なお、この例では、水槽1内の液体を用いて電動機M1,M2およびユニットルーム16A,16B内の空気を冷却しているが、水槽1とは別に設けられた水槽内の液体や他の液体供給源からの液体などを用いてもよい。
【0030】
図6は本発明の他の実施形態に係るポンプ施設を示す模式図である。なお、上述の実施形態と同一の要素には同一の符号を付して、その重複する説明を省略する。
図6に示す実施形態では、1台のポンプPが設けられており、このポンプPの駆動源として電動機Mと内燃機関Eが用いられている。内燃機関Eの具体例としては、レシプロエンジンやガスタービンエンジンなどが挙げられる。ポンプPには、上述の実施形態と同様に、吐出弁20を有する吐き出し管21が接続されている。
【0031】
ポンプP、電動機M、および内燃機関Eはポンプ室9に収容されている。ポンプ室9と電気室8は互いに隣接しており、仕切り壁37によって互いに隔離されている。電動機Mに電力を供給する電装機器7(すなわち、回転速度制御装置3、配電装置4、および運転制御装置5)の一部は、ポンプ室9内に配置されており、他の部分は電気室8内に配置されている。図6に示す例では、電動機Mの回転速度を制御する回転速度制御装置3がポンプ室9に配置されているが、変圧器などから構成される配電装置4をポンプ室9に配置してもよい。
【0032】
図6に示すように、ポンプ室9の壁には、換気ファン(排気ファン)41および空気取り入れ孔42を有する換気設備40が設けられている。換気ファン41が回転すると、ポンプ室9内の空気が外部に排出され、同時に空気取り入れ孔42から空気がポンプ室9内に流入する。内燃機関Eの運転中は、燃料を燃焼するための酸素源として空気が必要であり、さらに燃焼により内燃機関Eが高温となる。このため、ポンプ室9に設けられている換気設備40(換気ファン41および空気取り入れ孔42)は、電気室8に設けられている換気設備10よりも大型である。なお、ポンプ室9に設けられている換気ファン41は吸気ファンであってもよい。
【0033】
本実施形態では、送液目的に応じて内燃機関Eまたは電動機MのいずれかがポンプMの駆動源として選択される。例えば、河川浄化を目的とした常用揚水を行う場合は電動機Mが使用され、降雨時の浸水対策(治水)などの非常時の河川排水を行う場合は内燃機関Eが使用される。本実施形態のように駆動源として内燃機関Eおよび電動機Mが設けられている場合、ポンプ室9の換気設備40の冷却能力(換気能力)は、発熱が多く燃焼用空気が必要な内燃機関Eに依存して決定される。このため、ポンプ室9の換気設備40は、電動機Mにとっては過剰な冷却能力を有しているといえる。したがって、電動機Mの運転時に稼動し内燃機関Eの運転時にはほとんど稼動しない電装機器7の一部をポンプ室9内に配置することにより、ポンプ室9の換気設備40の冷却能力を有効に利用することができる。その結果、ポンプ施設全体としての冷却効率を上げることができる。
【0034】
図6に示すように、回転速度制御装置3がポンプ室9内に配置されるときは、ポンプ室9内の塵埃が回転速度制御装置3内に侵入しないように、ポンプ室9の一部を塵埃フィルタ45で区画し、区画された空間内に回転速度制御装置3を配置することが好ましい。また、ポンプ室9内に配置されている電装機器7の一部と、電気室8内に配置されている電装機器7の他の部分とは、仕切り壁37に接触していることが好ましい。より具体的には、ポンプ室9内に配置されている電装機器7の一部と、電気室8内に配置されている電装機器7の他の部分は、仕切り壁37を挟むように配置されていることが好ましい。例えば、図7に示すように、ポンプ室9内に配置されている回転速度制御装置3と、電気室8内に配置されている配電装置4は、仕切り壁37を挟むように配置されていることが好ましい。このような配置とすることにより、電気室8とポンプ室9との間に架かる配線を簡略化することができる。
【0035】
なお、本実施形態は異なる駆動源に連結された複数のポンプをポンプ室9に設置した場合にも適用することができる。例えば、内燃機関に連結された第1のポンプと、電動機に連結された第2のポンプとをポンプ室9内に設置してもよい。この場合も、第1のポンプと第2のポンプは、送液目的に応じて選択的に運転される。
【0036】
上述した実施形態は、本発明が属する技術分野における通常の知識を有する者が本発明を実施できることを目的として記載されたものである。上記実施形態の種々の変形例は、当業者であれば当然になしうることであり、本発明の技術的思想は他の実施形態にも適用しうることである。したがって、本発明は、記載された実施形態に限定されることはなく、特許請求の範囲によって定義される技術的思想に従った最も広い範囲とすべきである。
【符号の説明】
【0037】
1 水槽
3,3A,3B 回転速度制御装置
4 配電装置
5 運転制御装置
7 電装機器
8 電気室
9 ポンプ室
10 換気設備
11 換気ファン
12 排気孔
16A,16B ユニットルーム
20,20A,20B 吐出弁
21,21A,21B 吐き出し管
24A,24B 管内クーラ
25A,25B 循環管
30A,30B 熱交換器
31 ファン
33 パネル
35A,35B 循環管
37 仕切り壁
40 換気設備
41 換気ファン
42 空気取り入れ孔
45 塵埃フィルタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水槽内の液体を汲み上げるポンプと、
前記ポンプを駆動する電動機および内燃機関と、
前記電動機の回転速度を制御する回転速度制御装置を含む電装機器と、
前記ポンプ、前記電動機、前記内燃機関、および前記電装機器の一部を収容するポンプ室と、
前記電装機器の他の部分を収容する電気室と、
前記ポンプ室を換気する換気設備と、
前記電気室を換気する換気設備とを備えたことを特徴とするポンプ施設。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2013−53629(P2013−53629A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−249978(P2012−249978)
【出願日】平成24年11月14日(2012.11.14)
【分割の表示】特願2008−205133(P2008−205133)の分割
【原出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】