説明

ポンプ混合吐出装置

【課題】 使用直前に所望の特性を有する内容物に調製することのできるポンプ混合吐出装置を提供すること。
【解決手段】 第1の内容物を収容し、かつ上方に開口する開口部を備えた容器と、破断すると貫通孔が生じるように押圧により破断可能に形成された破断部、及びその破断部により囲繞される領域に立設されたシート破り手段を備えて、前記開口部に装着された閉鎖部と、
容器内の第1の内容物を外部に送り出す流路を備え、前記閉鎖部を覆うように前記容器の開口部に装着されてなる上下動可能な操作ヘッドと、
前記操作ヘッドに備えられ、内部に第2の内容物を収容し、前記シート破り手段により破られることができるシートを装着した下端開口部を備えた第2容器と、
を有することを特徴とするポンプ混合吐出装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ポンプ混合吐出装置に関し、さらに詳しくは、内部に収容されている液体を液状又H泡状に噴出させることができる操作ヘッドを使用時の初回に操作することにより、内部に充填された流体と第2成分とを簡単に混合することのできるポンプ混合吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
シャンプー、ハンドソープ及びシェービング剤等の流体を泡状で、霧状で、又は液状で吐出させることのできる各種のポンプ吐出装置が、種々の名称にて、例えば実用新案登録第2605714号、実用新案登録第2605495号、実用新案登録第2604433号等、及び実公平06−42760号、実公平06−39809号、実公平6−34858号、実開平6−70854号等にて提案されている。
【0003】
これらポンプ吐出装置は、液体等の内容物を収容した容器本体と、この容器本体の上部に装着され、上下動させることにより内容物を外部に放出する操作ヘッドとを備えてなる構造を有する。
【0004】
ポンプ吐出装置の一例として特許文献1には、例えば、「容器口部に冠着した蓋体に固定された同心の空気用シリンダと液用シリンダとから成る二重シリンダに、該二重シリンダ内をそれぞれ軸方向に上下動し且つスプリングの弾性により上方へ付勢されている大径の空気用ピストンと小径の液用ピストンとから成るピストン体を内設して空気室と液室とを形成させ、該空気室と該液室とを連通させる混合室を両室の上方に設けると共に該混合室と該両室とをそれぞれ連通させる空気通路及び液通路をそれぞれ空気用ピストン内及び液用ピストン内に設け、該混合室の下流側の泡通路を横断してシート状の多孔体を配設し、該液室下端には容器底部まで延びる吸液管を取付けると共に該液室内が負圧時に開口する第1逆止弁を設け、前記空気用ピストンには前記空気室が負圧時に開口して空気室外の空気を吸引する第2逆止弁を設けると共に外周面の下部に前記空気用シリンダの内面を上下に摺動する環状の摺動シール部を設け、該摺動シール部が摺動する前記空気用シリンダの摺動シリンダ部の上部に、容器のヘッドスペース部内へ空気を導入する空気孔を設け、前記ピストン体の上部を前記蓋体を貫通して上方に延出させると共に該ピストン体の上端には泡通路を有するノズル体を固着させた該ノズル体が前記スプリングの弾性に抗して蓋体に係合可能なポンプ式泡出し容器において、前記ピストン体の内部に形成される液通路内に、該ピストン体の上下動に伴って強制的に所定量上下動させられる棒状弁体を設け、しかも前記液室内には前記液通路内に密嵌入できる上部円筒部を有すると共に内面側で該棒状弁体と係合して該棒状弁体の上下動する量を制限する筒状係止体を設けることによって、該捧状弁体は、前記ピストン体が上限位置まで上昇している時には、その上部で前記液通路の前記混合室側出口を閉鎖すると共にその下部で前記筒状係止体と係合して上動を阻止され、また前記ノズル体が前記蓋体に係合し、前記ピストン体が下限位置まで下降している時には、前記液用ピストンの前記液通路を形成する部分に密嵌入した前記筒状係止体の上部円筒部内に密嵌入して下動を阻止されていると共に前記液通路を閉鎖し、さらに前記ピストン体が下降中には、前記液通路及び前記液通路の前記混合室側出口の閉鎖を解除する様になっており、また前記空気用ピストンの外周部には、前記摺動シール部の上方に所定間隔を置いて前記摺動シリンダ部の空気孔を閉鎖し得る大きさ及び形状の環状シール部を設けると共に前記摺動シール部を該空気孔を閉鎖し得る大きさ及び形状のものと成し、しかも前記所定間隔は、前記ピストン体が上限位置まで上昇している時には、前記空気用ピストン下部の前記摺動シール部が前記空気孔を閉鎖し、一方、前記ノズル体が蓋体に係合し、前記ピストン体が下限位置まで下降している時には、前記空気用ピストン上部の前記環状シール部が前記空気孔を閉鎖する様になる間隔であり、さらに前記空気用シリンダの前記摺動シリンダ部の上方部分には、前記ピストン体が上限位置と下限位置との間の少なくとも一定範囲の位置にある時に、前記空気用ピストン上部の前記環状シール部との間で空気が通過し得る間隙を形成する空気通路形成部が設けられていることを特徴とするポンプ式泡出し容器。」が提案されている(特許文献1参照)。
【0005】
【特許文献1】実開平6−70854号(請求項1、段落番号[0043]、図1〜図3)
【0006】
今までのこのようなポンプ吐出装置は、容器本体内に収容された内容物を単に泡状、霧状、又は液状で吐出する機能を有するという、共通する機能を有していた。
【0007】
しかるに、近年においては、このようなポンプ吐出装置を最初に使用する直前に、複数の成分を混合して所望の調製を行い、このような調製が行われた内容物を吐出することのできるポンプ吐出装置が望まれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この発明は、このような従来の問題点を解消し、使用直前に内容物の調製を行うことのできる混合調製型の吐出ポンプすなわちポンプ混合吐出装置を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するための手段は、
第1の内容物を収容し、かつ上方に開口する開口部を備えた容器と、
破断すると貫通孔が生じるように押圧により破断可能に形成された破断部、及びその破断部により囲繞される領域に立設されたシート破り手段を備えて、前記開口部を閉鎖する閉鎖部と、
容器内の第1の流体を外部に送り出す流路を備え、前記閉鎖部を覆うように前記容器の開口部に装着されてなる上下動可能な操作ヘッドと、
前記操作ヘッドに備えられ、内部に第2の内容物を収容し、前記シート破り手段により破られることができるシートを装着した下端開口部を備えた第2容器と、
を有することを特徴とするポンプ混合吐出装置である。
【発明の効果】
【0010】
この発明に係るポンプ混合吐出装置においては、容器内に第1の内容物が収容され、第2容器に第2の内容物が収容される。第1の内容物及び第2の内容物は、それらを混合することにより所期の性質、特性、形態を有する内容物例えば第1の内容物と第2の内容物との混合物、及び第1の内容物中の成分と第2の内容物中の成分とが反応して新生の反応生成物を含有する反応生成物、第1の内容物と第2の内容物とを混合することにより特定の色、味、香り、粘度等を有する新生の内容物等が形成されることができる限り、その性質、種類、内容等については制限がない。
【0011】
この発明に係るポンプ混合吐出装置は、次のように作用する。操作ヘッドを下降させると、この操作ヘッドに追随して、又は連動して第2容器も下降する。第2容器の下端開口部にはシートが装着されているので、第2容器が下降することにより、前記シートがシート破り手段に向かって進行する。第2容器が下降していくとついには、前記シート破り手段により前記シートが破られる。第2容器がさらに下降していくと、第2容器の下端部が破断部を下方に押圧することとなり、第2容器の押圧力により破断部が破断する。破断部の破断により形成された貫通孔及び破られたシートから、第2容器の第2の内容物が容器内にある第1の内容物に落下する。落下した第2容器の第2の内容物と容器内にもとから存在する第1の内容物とは、自然拡散により混合し、またはこのポンプ混合吐出装置全体を振盪することにより混合される。混合により、単なる混合物又は反応生成物等が形成される。
【0012】
混合後に、前記操作ヘッドを上下動させると、操作ヘッドから容器内に通じている流路を通って容器内で混合されて得られた内容物が、操作ヘッドから吐出される。操作ヘッドから吐出される内容物は、このポンプ混合吐出装置の構造によって又は内容物自体の性質によって、例えば霧状、液状、泡状、ペースト状等の形態となる。
【0013】
この発明によると、操作ヘッドの上下動と言う簡単な操作により、容器内に収容されている第1の内容物と第2容器に収容されている第2の内容物とを混合することができ、したがって混合してから日持ちのしない内容物、混合してから所定時間内に使用することが望まれる内容物等を吐出することのできるポンプ混合吐出装置を、提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
この発明に係るポンプ混合吐出装置は、容器と操作ヘッドと閉鎖部と第2容器とを備える。
【0015】
<容器>
この容器は、上端に開口部を備え、内部に例えば液状、乳化状、又は微細な固形分を液体に分散してなる懸濁状を呈する第1の内容物を収容することのできる形状に形成されてなる。この容器の形状は、例えば上方に開口する開口部と中心軸に直交する断面形状が底面から開口部までが同じに形成されてなる筒体本体とその底部とを有してなる有底筒状体、底部とその底部の中心を通る中心軸線に直交する断面形状が底部から所定の高さまで同じであるように形成された筒体本体と、その筒体本体から先すぼまり状に断面形状が縮小していくように形成された肩部と、その肩部の上部に頸部に形成された、底面よりも小さな面積を以て開口する開口部とを有してなる有底筒状体等を挙げることができる。このような容器の形状は一例であって、スプレー容器、ノズル容器等々の名称で知られている容器の形状をそのままこの発明における容器の形状に採用することができる。この容器を形作る材質としては、合成樹脂、金属、ガラス、陶器等を挙げることができ、透明材質及び不透明材質にこだわらない。前記内容物としては、化粧用、医療用、又は工業用の各種液体、各種乳液、又は各種懸濁液等の流体を挙げることができる。
【0016】
<操作ヘッド>
前記操作ヘッドは、前記容器の開口部に装着可能に、かつ上下動可能に形成される。この操作ヘッドは、前記容器内に収容されている内容物を外部に吐出するノズルを備えたノズル体と、前記容器内に収容されている内容物を前記ノズルに導入する流路とを備える。この操作ヘッドにおける流路は、前記容器の内容物を前記ノズルに導出することができる構成を採用する限り、各種の構成を取り得る。
【0017】
この操作ヘッドを上下動可能にする機構は、例えば筒体の底部付近に一端が配置される流路を結合するノズル体を上下動させることにより、内容物を吸引し、ノズルから内容物を吐出することのできる機構であれば各種の機構を採用することができる。簡単な機構としては、ノズルに至る流路の途中に、ピストンとこのピストンを嵌合するシリンダーと、ノズルを下降させるとシリンダー内の内容物をシリンダーからノズルへと排出し、ノズルを上昇させると閉鎖する排出弁と、ノズルを下降させると閉鎖し、ノズルを上昇させるとシリンダー内に内容物を吸引する吸引弁とを備えてなるポンプ機構を挙げることができ、また、ノズルに至る流路の途中に、ピストンとこのピストンを嵌合するシリンダーと、ノズルを下降させるとシリンダー内の内容物をシリンダーからノズルへと排出し、ノズルを上昇させると閉鎖する排出弁と、ノズルを下降させると閉鎖し、ノズルを上昇させるとシリンダー内に内容物を吸引する吸引弁と、ノズルを下降させるとシリンダー内の内容物と空気とを混合して泡を形成する泡形成部とを備えてなる泡形成ポンプ機構等を挙げることができる。
【0018】
<第2容器>
この操作ヘッドには第2容器が設けられる。第2容器は、操作ヘッドの上下動に追随して上下動することができるように、操作ヘッドの適宜の部署に設けられる。第2容器は、第2の内容物を収容する。この第2の内容物は、容器内に収容されている流体つまり第1の内容物と混合されて使用に適する内容物となり得る流体である。この第2の内容物は、溶液、乳化液及び懸濁液等の液体であっても、流動性を有する微少粉末及び顆粒物であっても、よく、第2容器から容器内に落下移動可能で流動性を有すればよい。第2容器は下方に開口部をする有底筒状の容器本体と、前記開口部にこれを閉鎖するように取り付けられたシートとを有する。このシートは、後述するシート破り手段により容易に破られることのできる材料、例えばアルミ箔等の金属箔、紙、プラスチックシート、これらを用いた複合材料等により形成されることができる。第2容器の内容積は、この第2容器に収容される第2の内容物の種類、筒体内の第1の内容物と混合することにより生成しようとする内容物の種類及び特性等に応じて適宜に決定される。
【0019】
<閉鎖部>
前記閉鎖部は、前記容器の開口部を閉鎖するように、前記開口部に装着される。開口部を閉鎖すると称しても完全に開口部を閉塞することを意味するものではなく、前記操作ヘッドにおけるノズルにこの容器内の第1の内容物を流通させることができるように形成され、この容器を転倒させたときに前記容器内の内容物が容器外に流出乃至漏出しないように形成されている限り、閉鎖されていると言える。この閉鎖部は、シート破り手段と破断部とを有する。前記シート破り手段は、操作ヘッドの下降と共に下降してくる第2容器におけるシートを突き刺し、又は切り裂きするなどして前記シートを破ることができるように形成され、例えば、前記第2容器における開口部を閉鎖するシートに対して鋭利な刃を有する錐状、三角錘状、四角錐状、剣先状等の刃先を有する穿孔体に形成される。このシート破り手段は、第2容器の開口部に張設されたシートをできるだけ大きく破ることができるように、形成されているのが好ましい。前記破断部は、押圧力により破断して閉鎖部に貫通孔を形成することのできる部位である。この破断部としては、閉鎖部に円形に形成された、又は波線で円形に形成された薄肉部を挙げることができる。このような破断部により囲繞される領域であって前記第2容器におけるシートに臨む位置に、前記シート破り手段が設けられる。なお、この閉鎖部には操作ヘッドにおける流路が貫通して、その流路の下端が容器の内容物に少なくとも接する部位、例えば底部分にまで達している。
【0020】
<作用>
以上構成のポンプ混合吐出装置は、以下のように作用する。初期状態として、このポンプ混合吐出装置は、以下のようになっている。
すなわち、このポンプ混合吐出装置は、操作ヘッドを上にした立設状態にある。以下においては、ポンプ混合吐出装置が立設状態にあるとして、説明をする。容器内に第1の内容物が収容され、容器の上方に位置する開口部には閉鎖部が装着され、また、前記開口部には操作ヘッドが装着され、操作ヘッドにおける流路は前記閉鎖部を貫通してその一端が容器の底部付近に至り、操作ヘッドには開口部が下方に向くように、かつ前記閉鎖部に設けられた破断部で囲繞される領域に設けられたシート破り手段に前記開口部が臨むように、第2容器が装備され、この第2容器内には第2の流体が収容される。
【0021】
操作ヘッドを押すことにより操作ヘッドを下降させる。操作ヘッドが下降すると、第2容器も下降する。第2容器が下降すると、その開口部が下降してシート破り手段に接近する。第2容器がなおも下降すると、シート破り手段によりシートが破られ、第2容器の押圧力により破断部が破断して閉鎖部に貫通孔が形成される。破られたシートの破れ穴から第2容器内の第2の内容物が前記破れ穴及び貫通孔を通過して、容器内の第1の内容物に落下する。第1の内容物に落下した第2の内容物は、自然拡散により第1の内容物と混合する。迅速な混合を所望する場合には、ポンプ混合吐出装置全体を強制的に振盪すると第1の内容物と第2の内容物とが速やかに混合する。
【実施例】
【0022】
以下、この発明の一例であるポンプ混合吐出装置を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は、この発明に係るポンプ混合吐出装置の部分断面図である。なお、図1において、左半分が操作ヘッドを押圧する前の状態を示し、右半分が操作ヘッドを押圧した後の状態を示している。
【0024】
このポンプ混合吐出装置1は、上端に開口部を有する容器2と、容器2の前記開口部に装着される閉鎖部3と、前記容器2の前記開口部に装着される操作ヘッド4とを有する。なお、5で示すのは、容器2に装着された操作ヘッド4を覆蓋するオーバーキャップである。
【0025】
<容器>
容器2は、例えば透明樹脂製であり、円筒形状を有している。この容器2の中に、第1の内容物が収容されている。容器2における円筒状周壁の外側面には、雄ネジ6が形成される。この容器2の開口部には開口蓋部7が装着される。開口蓋部7は、中心部に貫通孔8を有するキャップ頂部9とそのキャップ頂部9の縁辺から円筒状に形成された周側部10とを有する。この周側部10の内周面には、前記雄ネジ6に螺合可能な雌ネジ11が設けられる。前記雄ネジ6と雌ネジ11とを螺合させることにより、容器2の開口部に開口蓋部7が脱落不能に装着される。
【0026】
キャップ頂部9の端縁部から下降する周側部の直径を開口蓋部7の下端面から立ち上がる周側部の直径よりも小さくすることによりこの開口蓋部7の周側部10の途中に形成される水平環状の段差部に、前記オーバーキャップ5の下端部を当接すること、及び開口蓋部7のキャップ頂部9の縁辺から前記段差部にまで至る周側部に前記オーバーキャップ5の内周面が密接対応することとによって、この開口蓋部7にオーバーキャップ5が装着される。
【0027】
<閉鎖部>
前記閉鎖部3は、円筒状に形成された空気用シリンダ12と、前記空気用シリンダ12の内径よりも小さな内径を有する液体用シリンダ13とを有する。この空気用シリンダ12の底部は、前記円筒状の空気用シリンダ12の下端部と前記液体用シリンダ13の上端から下降する環状の筒状体14の下端部とで囲繞される環状底部15となっている。
【0028】
この環状底部15にはさらに円筒状に下方に突出する円筒状突出部16が形成される。この円筒状突出部16の底部は円形の底面を有する。この円筒状突出部16の底部であって、容器2の内部に面する表面には、環状の溝である破断部17が形成される。この円筒状突出部16の底部における、前記筒体2の内部に面する表面とは反対側の表面であって、前記破断部17で囲繞される領域に、シート破り手段の一例であるところの、円柱体をその軸線に対して斜めに切ってなる斜行面を上にして立設形成されるシート破り刃18が立設形成されている。なお、19で示されるのは、前記円筒状突出部16の筒状内壁面に装着されたところの、筒状のガイドである。
【0029】
空気用シリンダ12の開口端縁近傍の内周面には、後述する空気用シリンダ摺動シール部20の上昇を規制することができるように、環状係止部21が形成されてなる。環状係止部21は、空気用シリンダ12の中心軸方向に向かって突出して環状に形成されてなる。また、空気用シリンダ12の開口端縁側壁面には、空気が流通する貫通孔22が形成されている。
【0030】
前記環状の筒状体14の上端と液体用シリンダ13の上端とが一体に結合され、前記筒状体14の上端と液体用シリンダ13の上端とが折り返すように連続している。この筒状体14の上端と液体用シリンダ13の上端とには、これらを嵌め込むようにストッパ23が装着される。
【0031】
なお、23で示すのは、前記空気用シリンダ12と前記筒状体14との間に装着された円筒状のガイド筒である。このガイド筒23の空気用シリンダ12側にある下端部は、前記円筒状突出部16に装着されたガイド19の脱落を防止する。
【0032】
前記液体用シリンダ13は、前記円筒状突出部16の底部よりもさらに下方に長く延在し、かつ略円筒状に形成される。
【0033】
前記液体用シリンダ13は、その下端部に縮径する開口部24が開口する。その開口部24の内部には、吸引弁ボール25が収容される。
【0034】
このように、この閉鎖部3は、筒状に形成された空気用シリンダ12の上端縁に外側にわずかに広がるように形成されたフランジ26が容器2の開口端部と開口蓋部7とで挟み込まれることにより容器2の開口部に装着され、容器2の開口部が、前記空気用シリンダ12、環状底部15、円筒状突出部16及び液体用シリンダ13により、閉鎖される。
【0035】
<操作ヘッド>
前記操作ヘッド4は、前記容器2の中心軸線に対して略斜め上方に向けて開口してそこから泡状物を吐出するノズル27、及びこのノズル27を支持するように円筒状に形成されたノズル本体28を備えたノズルヘッド29と、外側ステム30と、内側ステム31とを有する。
【0036】
前記ノズル本体28は、外部筒体32と内部筒体33とを備える。外部筒体32の下端部が貫通孔8に挿入される。内部筒体33は外部筒体32の内部に筒状に形成される。前記外部筒体32の下端部に、エアーパケット34が装着される。
【0037】
このエアーパケット34は、中央に開口する中央開口部を有する筒状装着部35と、この筒状装着部35の外周に設けた環状の装着溝36と、この装着溝36から外側に広がる円盤状の平面部37と、この平面部37の端縁部から下方に向けて延在する筒状部38とを有して形成される。前記平面部37の直径は、前記貫通孔8の直径よりも大きく設計されている。したがって、操作ヘッド4を組み立てた場合に、このエアーパケット34が前記貫通孔8から抜け出ることがなく、また、この操作ヘッド4を上下動させた場合に、前記平面部37がキャップ頂部9の内部天井面に当接することにより、操作ヘッド4の上昇が規制されるようになっている。筒状部38の外周面には、空気用シリンダ摺動シール部20が設けられる。この空気用シリンダ摺動シール部20は、前記筒状部38の外周面を囲繞一巡する環状に形成され、外周面が凹状に形成されている。この空気用シリンダー摺動シール部20は、弁作用を有していて、操作ヘッド4を下降させると凹状に形成された外周面が空気用シリンダ12の内周面に密着して空気用シリンダ12の内周面と空気用シリンダ摺動シール部20とを気密にシールする。
【0038】
前記外側ステム30は、一端つまり図1においては上端が前記ノズル本体28における内部筒体33に挿入固定される筒状体であり、その筒状体の中間部に、環状に半径方向に突出するように形成された環状鍔部39を有する。この外側ステム30は、内部筒体33の下端開口部に筒状装着部35を挿入すると共に前記内部筒体33の下端部を装着溝36に挿入するようにして、この内部筒体33の開口部にエアーパケット34を挿入し、次いで前記内部筒体33の下端開口部に外側ステム30の上端部を挿入し、内部筒体33の内周面に設けられた環状凹部40に外側ステム30の上端部外周に設けられた環状凸部41を嵌め合うことにより、エアーパケット34を内部筒体33の下端部と環状鍔部39で挟み込むようにして、ノズル本体28とエアーパケット34と外側ステム30とを一体に結合する。
【0039】
この外側ステム30の上端近傍の外周面には、通気孔42が穿設される。この通気孔42が穿設されている位置よりもわずかに下方となる位置であって、その外側ステム30の内周面に、下側に向かう傾斜面を有する弁座43が設けられ、この弁座43に吐出弁ボール44が上下動可能に装填される。
【0040】
この外側ステム30の内部であって、前記吐出弁ボール44の装填位置よりも上方には、液体と空気とを混合して形成される泡をさらにきめ細かで均一な泡に形成する泡調製部48が装填されている。
【0041】
この外側ステム30の下端部は、ストッパ23により形成される円形の開口部に挿入される。
【0042】
この外側ステム30の下端部の開口部からその内部には、円筒状の内側ステム31の下端部が一部露出する程度に、この内側ステム31が挿入される。外側ステム30の下端部外周面には、液体用シリンダ摺動シール部45が装着される。この液体用シリンダ摺動シール部45は、内側ステム31の下端外周面を囲繞一巡する環状に形成され、外周面が凹状に形成されている。この液体用シリンダ摺動シール部45は、弁作用を有していて、操作ヘッド4を下降させると凹状に形成された外周面が液体用シリンダ13の内周面に密着して液体用シリンダ13の内周面と液体用シリンダ摺動シール部45とを気密にシールする。
【0043】
前記液体用シリンダ13の内部であって、この外側ステム30の下端部と液体用シリンダ13の下部に装填されている吸引弁ボール25との間には、付勢部材例えばコイルスプリング46が取り付けられている。
【0044】
このような構造を有する操作ヘッド4においては、液体用シリンダ13の内壁面、吸引弁ボール25、液体用シリンダ摺動シール部45、内側ステム31の内壁面及び吐出弁ボール44によりポンプ室が形成される。
【0045】
<第2容器>
前記第2容器47は、上端を閉鎖し、下端部を斜めに切って開口する開口部を有する円筒状をなす。この第2容器47は、その下端部の下方にシート破り刃18が位置するように、前記外側ステム30の中間部外周面に取り付けられた保持部材49に懸垂状に保持される。
【0046】
この第2容器47には、第2の内容物が充填され、前記斜めに切られた開口部がシートたとえばアルミ箔50が張設される。
【0047】
<作用>
このポンプ混合吐出装置1は、以下のように作用する。
【0048】
操作ヘッド4を押し下げると、外側ステム30が下降し、下降する外側ステム30の環状鍔部39に押されて保持部材49に懸垂保持された第2容器47が、シート破り刃18に向かって下降する。操作ヘッド4の下降が継続すると、第2容器47の下端開口部に張設されたアルミ箔50がシート破り刃18により突き刺される。操作ヘッド4の下降がさらに継続すると、第2容器47の下端開口部が破断部17に押圧力を加え、第2容器47の下降の継続によりついには前記破断部17が破断して円形の貫通孔が円筒状突出部16の底面に形成される。第2容器47の下降がさらに継続すると第2容器47の下端部が前記貫通孔を貫通して容器2の内部に突出する。
【0049】
第2容器47の下端開口部がシート破り刃18により破られて開口しているので、第2容器47内の第2の内容物が容器2内に収容されている流体に混合されて、使用に供される内容物が調製される。
【0050】
容器2内で第2の内容物と流体との混合を円滑に行うために、必要におうじてこのポンプ混合吐出装置1を振盪する。
【0051】
操作ヘッド4を押し下げ続けているときには、コイルスプリング46が吸引ボール25を開口部24における弁座に押しつけているので、この開口部24は閉鎖状態になっている。
【0052】
次いで、操作ヘッド4を押圧している力を除く。そうすると、コイルスプリング46の付勢力により、操作ヘッド4が上昇する。ポンプ室内が負圧になるので吐出ボール44が弁座43に密着し、吸引弁ボール25が遊動するので、ポンプ室内に、前記内容物が開口部24から流入する。操作ヘッド4が上昇しきると、ポンプ室内に内容物が充満する。
【0053】
再度に操作ヘッド4を押し下げると、コイルスプリング46の付勢力により吸引弁ボールが弁座に押しつけられるので開口部24が閉鎖状態になる一方、ポンプ室内の容積が縮小するからポンプ室内の内容物が吐出弁ボール44を押し上げて泡調製部48へと浸入する。操作ヘッド4の押し下げにより、空気用シリンダ12の内周面、エアーパケット34の内側面及び外側ステム30の外周面により囲繞される空間の容積が縮小するので、この空間内の空気が通気孔42を通じて泡調製部48に噴出することになる。
【0054】
泡調製部48では内容物と空気とが混合されてさらに細かくて均一な泡が調製されて、ノズル27から泡が噴出する。
【0055】
このように、このポンプ吐出混合装置1によると、使用直前に、操作ヘッド4の押圧操作により第2容器47に収容されている第2の内容物と容器2内に収容されている流体とが混合されて、使用に供される内容物の調製が簡単に行われることになる。
【0056】
したがって、このポンプ吐出混合装置1を用いると、出荷時から使用時までの時間が長いことによって品質及び特性等が変化乃至劣化するような内容物を使用直前に、調製することができる。したがってこの発明によると、品質及び特性等の変化乃至劣化することがなく、新鮮な内容物を吐出することのできる装置としてこのポンプ吐出混合装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】図1は、この発明に係るポンプ混合吐出装置の一例を示す断面説明図である。
【符号の説明】
【0058】
1 ポンプ混合吐出装置
2 容器
3 閉鎖部
4 操作ヘッド
5 オーバーキャップ
6 雄ネジ
7 開口蓋部
8 貫通孔
9 キャップ頂部
10 周側部
11 雌ネジ
12 空気用シリンダ
13 液体用シリンダ
14 筒状体
15 環状底部
16 円筒状突出部
17 破断部
18 シート破り刃
19 ガイド
20 空気用シリンダ摺動シール部
21 環状係止部
22 貫通孔
23 ストッパ
24 開口部
25 吸引弁ボール
26 フランジ
27 ノズル
28 ノズル本体
29 ノズルヘッド
30 外側ステム
31 内側ステム
32 外部筒体
33 内部筒体
34 エアーパケット
35 筒状装着部
36 装着溝
37 平面部
38 筒状部
39 環状鍔部
40 環状凹部
41 環状凸部
42 通気孔
43 弁座
44 吐出弁ボール
45 液体用シリンダ摺動シール部
46 コイルスプリング
47 第2容器
48 泡調製部
49 保持部材
50 アルミ箔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の内容物を収容し、かつ上方に開口する開口部を備えた容器と、破断すると貫通孔が生じるように押圧により破断可能に形成された破断部、及びその破断部により囲繞される領域に立設されたシート破り手段を備えて、前記開口部に装着された閉鎖部と、
容器内の第1の内容物を外部に送り出す流路を備え、前記閉鎖部を覆うように前記容器の開口部に装着されてなる上下動可能な操作ヘッドと、
前記操作ヘッドに備えられ、内部に第2の内容物を収容し、前記シート破り手段により破られることができるシートを装着した下端開口部を備えた第2容器と、
を有することを特徴とするポンプ混合吐出装置。



【図1】
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【公開番号】特開2007−14917(P2007−14917A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−201167(P2005−201167)
【出願日】平成17年7月11日(2005.7.11)
【出願人】(591038668)プレスコ株式会社 (8)
【Fターム(参考)】