説明

ポンプ装置

【課題】 ポンプの吐出側にオリフィスを設ける際に部品点数を低減できるポンプ装置を提供すること。
【解決手段】 吐出弁構成体は、弁体と、該弁体が着座するシート面および流体が流通するシート孔を備えたシート部材と、弁体を前記シート部材に付勢する弾性体と、内部に前記弁体と弾性体を収容するための収容孔を備えたソケット部材と、を有し、ソケット部材に収容孔から外部へ連通するオリフィス通路を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の技術としては、下記の特許文献1に記載の技術が開示されている。この公報には、ポンプの吐出側に逆止弁、緩衝室、絞りが設けられたものが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−56205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の技術では、逆止弁とは別部材により絞り(オリフィス通路)を形成しているため、部品点数が多くなる問題があった。
本発明は上記問題に着目してなされたもので、その目的とするところは、ポンプの吐出側にオリフィスを設ける際に部品点数を低減できるポンプ装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため本願発明では、吐出弁構成体は、弁体と、該弁体が着座するシート面および流体が流通するシート孔を備えたシート部材と、弁体を前記シート部材に付勢する弾性体と、内部に前記弁体と弾性体を収容するための収容孔を備えたソケット部材と、を有し、ソケット部材に収容孔から外部へ連通するオリフィス通路を設けた。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、オリフィス通路を吐出弁構成体と一体化できるため、部品点数を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施例1のブレーキ液圧制御装置の液圧回路図である。
【図2】実施例1のハウジングの斜視図である。
【図3】実施例1のハウジングの斜視図である。
【図4】実施例1のハウジングの正面図である。
【図5】実施例1のポンプユニットおよび吐出弁構成体の斜視図である。
【図6】実施例1のポンプユニットおよび吐出弁構成体をハウジングに収容した状態の断面図である。
【図7】実施例1のオリフィス通路付近の拡大断面図である。
【図8】実施例2のポンプユニットおよび吐出弁構成体をハウジングに収容した状態の断面図である。
【図9】他の実施例のハウジングの正面図である。
【図10】他の実施例のハウジングの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〔実施例1〕
[ブレーキ液圧回路の構成]
図1は、ブレーキ液圧制御装置1の液圧回路図である。液圧回路は、マスタシリンダM/CとホイルシリンダW/Cとの間に設けられた液圧制御ユニット2内に形成されている。
このブレーキ液圧制御装置1は、コントローラからのVehicle Dynamics Control(以下VDC)、Anti-lock Brake System(以下ABS)の要求液圧に応じて液圧制御を行う。ブレーキ液圧制御装置1においては、P系統のブレーキ液圧回路3PとS系統のブレーキ液圧回路3Sの2系統からなる、X配管と呼ばれる配管構造となっている。P系統には、左前輪のホイルシリンダW/C(FL)、右後輪のホイルシリンダW/C(RR)が接続されており、S系統には、右前輪のホイルシリンダW/C(FR)、左後輪のホイルシリンダW/C(RL)が接続されている。各ホイルシリンダW/Cは、ホイルシリンダポート4FL,4FR,4RL,4RRに接続されている。ポンプユニット25はP系統、S系統それぞれに、回転式のギヤポンプPPとギヤポンプPSとが設けられたタンデムギヤポンプである。
マスタシリンダM/Cは、マスタシリンダポート5P,5Sを介して液路17P,17Sにおいて接続されている。この液路17とポンプユニット25の吸入側とは、液路23P,23Sによって接続されている。液路17P上であって、マスタシリンダポート5Pと、液路23Pとの接続部との間にはマスタシリンダ圧センサ15が設けられている。
【0009】
ポンプユニット25の吐出側と各ホイルシリンダW/Cとは、液路20P,20Sによって接続されている。この各液路20上には、各ホイルシリンダW/Cに対応する常開型のソレノイドバルブである増圧バルブ7FL,7FR,7RL,7RRが設けられている。また各液路20上であって、各増圧バルブ7とポンプユニット25との間にはチェックバルブ11P,11Sおよびオリフィス通路64P,64Sが設けられている。各チェックバルブ11は、ポンプユニット25から増圧バルブ7へ向かう方向へのブレーキ液圧の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。また各液路20上であって、各増圧バルブ7とポンプユニット25との間には吐出圧センサ16P,16Sが設けられている。
更に各液路20には、各増圧バルブ7を迂回する液路22FL,22FR,22RL,22RRが設けられており、液路22には、チェックバルブ10FL,10FR,10RL,10RRが設けられている。この各チェックバルブ10は、ホイルシリンダW/Cからポンプユニット25へ向かう方向へのブレーキ液圧の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
【0010】
マスタシリンダM/Cと液路20とは液路19P,19Sによって接続されており、液路20と液路19とはポンプユニット25と増圧バルブ7との間において合流している。この各液路19上には、常開型のソレノイドバルブであるゲートアウトバルブ6P,6Sが設けられている。また各液路19には、各ゲートアウトバルブ6を迂回する液路18P,18Sが設けられており、この液路18には、チェックバルブ9P,9Sが設けられている。この各チェックバルブ9は、マスタシリンダM/C側からホイルシリンダW/Cへ向かう方向へのブレーキ液圧の流れを許容し、反対方向の流れを禁止する。
ポンプユニット25の吸入側にはリザーバ13P,13Sが設けられており、このリザーバ13とポンプユニット25とは液路21P,21Sによって接続されている。リザーバ13の出入口にはチェックバルブ14P,14Sが設けられている。
ホイルシリンダW/Cとリザーバ13とは液路24P,24Sによって接続されており、各液路24にそれぞれ、常閉型のソレノイドバルブである減圧バルブ8FL,8FR,8RL,8RRが設けられている。
【0011】
[ハウジングの構成]
液圧制御ユニット2の液路はハウジング26内に穿設され、またバルブ、ポンプユニット等はハウジング26に収容されている。図2、図3はハウジング26の斜視図である。図2はハウジング26にモータMを取り付けた状態の図、図3はハウジング26からモータMを取り外した図である。図4はハウジング26の正面図である。図4はハウジング26からモータMを取り外した図である。
以下の説明では、図2、図3、図4においてマスタシリンダポート5が開口している面を前面26a、前面26aの背面を後面26b、ホイルシリンダポート4が開口している面を上面26c、上面26cの背面を下面26d、前面26aに対して左側の側面を左側面26e、前面26aに対して右側の側面を右側面26fと記載する。
ハウジング26は略直方体であり、前面26a側にモータMが取り付けられ、後面26b側にゲートアウトバルブ6、増圧バルブ7、減圧バルブ8の各ソレノイドバルブ群、及びこれらソレノイドバルブ群を駆動する電気ユニットが取り付けられる。電気ユニットとは、車両に取り付けられた車輪速センサ等の入力信号に応じて所定の演算を行う基板を備えたものであり、ソレノイドバルブに取り付けられたソレノイドや、モータMに所定の電気信号を出力する。この電気ユニットはユニットケース27内に収容されている。ハウジング26には、前面26aと後面26bとを貫通する電源孔28が形成されており、この電源孔28にモータMの電極を差し込むことで、電気ユニットとモータMとを接続している。
【0012】
ハウジング26には、各ソレノイドバルブ群が圧入もしくはカシメにより取り付けられるバルブ取り付け用の孔と、各ポートや各ソレノイドバルブ群との間を接続する複数の液路と、ホイルシリンダW/CおよびマスタシリンダM/Cと接続するホイルシリンダポート4、マスタシリンダポート5とリザーバ13を配置する空孔等が形成されている。これら各孔、液路孔等はハウジング26の外側から各面に対してドリル等により穿設される。
前面26aの上面26c側には、マスタシリンダポート5が形成されている。
ポンプユニット25は、ハウジング26の前面26aから後面26bにかけて貫通する、略円柱状の収容孔30に収容されている。収容されたポンプユニット25の後面26b側はポンプカバー29(図5参照)がハウジング26に対してネジ止めされ、前面26a側は収容孔30の開口部の全周を変形させたカシメ部31によって固定されている。
またハウジング26の左側面26eから右側面26fにかけて収容孔30と略直交するように吐出弁装着孔32が形成され、この吐出弁装着孔32にポンプユニット25の吐出側に接続する吐出弁構成体33が収容されている。
【0013】
[ポンプユニットの構成]
図5はポンプユニット25および吐出弁構成体33の斜視図である。また図6はポンプユニット25および吐出弁構成体33をハウジング26に収容した状態の断面図である。
ポンプユニット25は、ポンプハウジング34、センタプレート35およびポンプカバー36を有している。ポンプハウジング34、センタプレート35およびポンプカバー36はいずれも外形は略円柱状に形成されている。ポンプハウジング34、センタプレート35およびポンプカバー36は順に軸方向に組み合わされている。
ポンプハウジング34には有底状の中空部が形成されており、この中空部とセンタプレート35との間の空間内にギヤポンプPPを収容している。ポンプカバー36も有底状の中空部が形成されており、この中空部とセンタプレート35との間の空間内にギヤポンプPSを収容している。ギヤポンプPは一対のギヤが噛み合った外接ギヤポンプであり、一対のギヤが回転することによりブレーキ液を圧送する。
【0014】
ポンプハウジング34の外周にはOリング溝37a、Oリング溝37bが形成され、ポンプカバー36の外周にはOリング溝37cが形成されている。各Oリング溝37は、ポンプユニット25の軸方向に対して隔離して形成されており、Oリング38a,38b,38cが取付けられている。
ポンプハウジング34のOリング38aとOリング38bとの間には、円周上に低圧室溝39Pが形成されている。またポンプユニット25をハウジング26の収容孔30に収装した際に、収容孔30内周であって低圧室溝39Pに対面する位置に低圧室溝40Pが形成されている。ポンプハウジング34の低圧室溝39P、収容孔30の低圧室溝40P、Oリング38a、Oリング38bによって隔離される空間が吸入室41Pとして形成されている。
センタプレート35の外周には円周上に低圧室溝39Sが形成されている。またポンプユニット25をハウジング26の収容孔30に収装した際に、収容孔30内周であって低圧室溝39Sに対面する位置に低圧室溝40Sが形成されている。センタプレート35の低圧室溝39S、収容孔30の低圧室溝40S、Oリング38b、Oリング38cによって隔離される空間が吸入室41Sとして形成されている。またセンタプレート35内部には、吐出通路56P,56Sが穿設されている。吐出通路56Pは後述する吐出空間49Pに開口し、吐出通路56Sは後述する吐出空間49Sに開口している。
【0015】
ギヤポンプPP,PSはサイドプレート42P,42Sと、シールブロック43P,43Sと、駆動・従動一対の外接ギヤ44P,44Sを有している。サイドプレート42P,42Sと、シールブロック43P,43Sとの間に吸入部45P,45Sが形成されている。シールブロック43Pとポンプハウジング34との間には、Oリング46Pが設けられている。シールブロック43Sとセンタプレート35との間には、Oリング46Sが設けられている。
外接ギヤ44P,44Sの駆動側は駆動軸47に連結されている。この駆動軸47は、サイドプレート42P,42S、シールブロック43P,43S、センタプレート35、ポンプハウジング34を貫通し、モータMの回転軸に接続されている。
ポンプハウジング34、センタプレート35、サイドプレート42P、シールブロック43Pとで形成される空間よって吐出室49Pが形成されている。また、ポンプカバー36、センタプレート35、サイドプレート42S、シールブロック43Sとで形成される空間よって吐出室49Sが形成されている。
ポンプハウジング34には、ギヤポンプPPの吸入部45Pと吸入室41Pとを連通する吸入通路48Pが形成されている。またセンタプレート35には、ギヤポンプPSの吸入部45Sと吸入室41Sとを連通する吸入通路48Sが形成されている。
【0016】
[吐出弁構成体]
吐出弁構成体33P,33Sは、チェックバルブ11P,11Sとオリフィス通路64P,64Sが組み込まれている。この吐出弁構成体33P,33Sは、ハウジング26の左側面26eから右側面26fにかけて収容孔30と略直交するように形成された吐出弁装着孔32P,32Sに収容されている。
吐出弁構成体33は、連通部材50P,50Sと、ソケット部材51P,51Sと、弁体52P,52Sと、シート部材53P,53Sと、コイルスプリング54P,54Sとから形成されている。
連通部材50には内部を軸方向に貫通する貫通路55P,55Sが形成されている。連通部材50の一端側はセンタプレート35に挿入されて、貫通路55が吐出通路56に連通している。連通部材50の一端側の外周にはOリング57P,57Sが装着されている。また連通部材50の他端側はハウジング26の吐出弁装着孔32に挿入されている。連通部材50の他端側の外周にはOリング58P,58Sが装着されている。
【0017】
ソケット部材51には一端側が開口した収容孔59P,59Sが形成され、収容孔59の外周は円筒壁63P,63Sを形成している。収容孔59には順にコイルスプリング54、弁体52が収容され、シート部材53が圧入されている。シート部材53には、シート部材53を軸方向に貫通するシート孔60P,60Sが形成されており、シート孔60の他端側開口部はシート面65P,65Sを構成している。コイルスプリング54は、収容孔59の底部66と弁体52との間に縮設されており、弁体52をシート面65に着座する方向に付勢している。
ソケット部材51はハウジング26の吐出弁装着孔32に挿入されて、吐出弁装着孔32のハウジング26外周側開口部の孔縁をカシメたカシメ部61P,61Sにより固定されている。シート部材53を取り付けたソケット部材51および連通部材50を吐出弁装着孔32に挿入した状態で、シート部材53のシート孔60と連通部材50の貫通孔55とが連通している。
ソケット部材51の円筒壁63にはオリフィス通路64P,64Sが形成されている。オリフィス通路64は、円筒壁63にシート面65の半径方向に向かって形成されている。図7はオリフィス通路64付近の拡大断面図である。オリフィス通路64は、円筒壁63の外周側に形成された大径部64aと、円筒壁63の内周側に大径部64aと連続して形成され、大径部64aより小径の小径部64bから形成されている。小径部64bの直径は0.5[mm]、軸方向長さは0.3[mm]に形成されている。
ソケット部材51の円筒壁63の一端側は、オリフィス通路64が形成されている部分よりも大径に形成されており、その外周にはOリング62P,62Sが装着されている。
ここでは、連通部材50とソケット部材51は別体に形成している。連通部材50とソケット部材51は別体に形成することにより、収容孔59の軸方向長さの誤差によるガタを吸収することができる。しかし、連通部材50とソケット部材51を一体にしてもガタを十分に吸収できるときには、連通部材50とソケット部材51を一体に形成するようにしても良い。つまり、連通部材50はソケット部材51の一部とみなして良い。
【0018】
[作用]
(ギヤポンプ駆動時のブレーキ液の流れ)
ギヤポンプPが駆動すると、吸入通路48から吸入部45にブレーキ液が供給される。吸入部45に供給されたブレーキ液は、ギヤポンプPの一対のギヤにより圧送されて吐出室49に吐出される。吐出室49は吐出圧の脈動を抑えるダンパ室として作用する。吐出室49に吐出されたブレーキ液は吐出通路56、貫通孔55(連通部材50)、シート孔60(シート部材53)を経て弁体52まで送られる。ブレーキ液は、コイルスプリング54に抗して弁体52を開弁しオリフィス通路64を通過する。オリフィス通路64によって吐出圧の脈動を抑制している。
(吐出弁構成体とオリフィス通路の一体化)
従来、吐出弁構成体とオリフィス通路とは別体に形成されていた。そのため部品点数が多くなる問題があった。
そこで実施例1では、吐出弁構成体33のソケット部材51にオリフィス通路64を設けることとした。よって、オリフィス通路64を吐出弁構成体33と一体化できるため、部品点数を低減することができる。
【0019】
(ハウジングの小型化)
実施例1では、ソケット部材51の円筒壁63にオリフィス通路64を形成することとした。
吐出弁構成体33は、ポンプユニット25を収容する収容孔30に対して略直交するように形成された吐出弁装着孔32に装着されている。ハウジング26の左右方向厚さはポンプユニット25の径と吐出弁構成体33の軸方向長さで決まる。すなわち、ハウジング26の厚みは吐出弁構成体33に対して左右方向には余裕がない。
オリフィス通路64をソケット部材51の底部66に形成することもできるが、ソケット部材51の軸方向外側に液路を形成する必要があり、ハウジング26の左右方向厚さを増す必要がある。実施例1では、ソケット部材51の円筒壁63にオリフィス通路64を形成しているため、ソケット部材51の径方向外側に液路を形成すれば良く、ハウジング26の厚さを増やす必要がない。よって、ハウジング26の大型化を避けることができる。
(吐出通路短縮化)
実施例1では、オリフィス通路64をシート面65の半径方向位置に形成するようにした。よって、シート面65を通過したブレーキ液はすぐにオリフィス通路64に流入することができる。
(ポンプの静粛性)
実施例1では、外接式のギヤポンプPを用いた。ギヤポンプPはプランジャポンプに比べて静粛性を高めることができる。
(脈動抑制)
実施例1では、ギヤポンプPから吐出されたブレーキ液は吐出室49を経て吐出弁構成体33へ流れるようにした。よって、吐出室49がダンパ室として作用するため液圧の脈動を抑制することができる。
【0020】
〔効果〕
実施例1の効果を以下に列記する。
(1)回転式のギヤポンプPを内蔵したハウジング26と、ハウジング26に形成された吐出弁装着孔32と、吐出弁装着孔32内に装着され、ギヤポンプPから吐出した流体を外部へ吐出するための吐出弁構成体33と、を備え、吐出弁構成体33は、弁体52と、弁体52が着座するシート面65および流体が流通するシート孔60を備えたシート部材と、前記弁体を前記シート部材53に付勢するコイルスプリング54(弾性体)と、内部に弁体52とコイルスプリング54を収容するための収容孔59を備えたソケット部材51と、を有し、ソケット部材51に収容孔59から外部へ連通するオリフィス通路64を設けた。
よって、オリフィス通路64を吐出弁構成体33と一体化できるため、部品点数を低減することができる。
(2)ソケット部材51は円筒壁63を備え、オリフィス通路64を円筒壁63に形成した。
よって、ハウジング26の大型化を避けることができる。
(3)オリフィス通路64を、シート面65の半径方向位置に形成した。
よって、シート面65を通過したブレーキ液はすぐにオリフィス通路64に流入することができる。
(4)ギヤポンプPを、外接ギヤポンプとした。
よって、静粛性を高めることができる。
(5)ギヤポンプPは、一対のギヤから圧送された流体が流入する吐出室49を備え、流体を吐出室49から吐出弁構成体33へ流れるようにした。
よって、吐出室49がダンパ室として作用するため液圧の脈動を抑制することができる。
【0021】
[実施例2]
実施例1ではオリフィス通路64をソケット部材51の円筒壁63に形成していたが、実施例2では連通部材50にオリフィス通路64を形成するようにした。
以下の説明では、実施例1と同じ構成については同一の符号を付して説明を省略し、実施例1と異なる部分についてのみ説明する。
図8はポンプユニット25および吐出弁構成体33をハウジング26に収容した状態の断面図である。図8に示すように、連通部材50の一方側端部にオリフィス通路64を形成するようにした。これにより、ギヤポンプPの吐出空間49と弁体52との間にオリフィス通路64を形成することができる。
〔効果〕
実施例2の効果について、以下に説明する。
(6)連通路50(ソケット部材)であって、ギヤポンプP(回転式ポンプ)と弁体52との間にオリフィス通路64を設けた。
よって、オリフィス通路64を連通路50と一体化できるため、部品点数を低減することができる。
【0022】
〔他の実施例〕
以上、本発明を実施例1ないし実施例3に基づいて説明してきたが、各発明の具体的な構成は各実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等があっても、本発明に含まれる。
図9、図10はハウジング26の正面図である。実施例1および実施例2では、ポンプユニット25をハウジング26に固定するために、収容孔30の開口部の全周を変形させたカシメ部31を形成していた。例えば、図9に示すようにカシメ部31を2ヶ所形成するようにしても良いし、図10に示すようにカシメ部31を3ヶ所形成するようにしても良い。
【0023】
〔請求項以外の技術的思想〕
更に、上記実施例から把握しうる請求項以外の技術的思想について、以下にその効果と共に記載する。
(イ)請求項2に記載のポンプ装置において、
前記シート部材は前記ソケット部材の円筒壁の内周に圧入されていることを特徴とするポンプ装置。
よって、シート部材をソケット部材に締結部材を用いることなく固定することができる。
(ロ)請求項6に記載のポンプ装置において、
前記ソケット部材を、前記ハウジングの前記吐出弁装着孔の孔縁を組成変形させて固定したことを特徴とするポンプ装置。
よって、吐出弁構成体をハウジングに締結部材を用いることなく固定することができる。
(ハ)請求項7に記載のポンプ装置において、
前記円筒壁は、前記ソケット部材を前記吐出弁装着孔に液密にするためのシールリングが装着され、前記オリフィス通路が形成されている部分の径より大径のシール溝装着部を備えたことを特徴とするポンプ装置。
よって、オリフィス通路とハウジングとの間に、ブレーキ液が流れる液路を形成することができる。
(ニ)請求項2に記載のポンプ装置において、
前記オリフィス通路は直径が大きな大径通路とそれに連続し大径通路より直径が小さな小径通路とで構成されていることを特徴とするポンプ装置。
よって、オリフィス通路の一部を小径通路とすることにより、オリフィス通路を通過するブレーキ液の液圧の低下を抑制しつつ、液圧の脈動を抑制することができる。
【0024】
(ホ)請求項9に記載のポンプ装置において、
前記小径通路の直径は、軸方向長さよりも大きいことを特徴とするポンプ装置。
よって、小径通路の軸方向長さを短くすることにより、オリフィス通路を通過するブレーキ液の液圧の低下を抑制しつつ、液圧の脈動を抑制することができる。
(ヘ)請求項10に記載のポンプ装置において、
小径通路の直径が0.5[mm]、軸方向長さが0.3[mm]であることを特徴とするポンプ装置。
よって、小径通路の軸方向長さを短くすることにより、オリフィス通路を通過するブレーキ液の液圧の低下を抑制しつつ、液圧の脈動を抑制することができる。
(ト)回転式ポンプを内蔵したハウジングと、
前記ハウジングに形成され、前記回転ポンプから圧送されたブレーキ液を吐出する吐出弁構成体が装着される吐出弁構成体装着孔と、
を備え、
前記吐出弁構成体は、弁体と、前記弁体が着座するシート面および流体が流通するシート孔を備えたシート部材と、前記弁体を前記シート部材に付勢するコイルスプリングと、内部に前記弁体と前記コイルスプリングを収容するための収容孔を備えたソケット部材と、を有し、
前記ソケット部材に前記収容孔内から外部へ連通する通路を設け、
前記通路にオリフィスを形成したことを特徴とするポンプ装置。
よって、オリフィス通路を吐出弁構成体と一体化できるため、部品点数を低減することができる。
【0025】
(チ)請求項12に記載のポンプ装置において、
前記ソケット部材は円筒壁を備え、
前記通路は前記円筒壁の半径方向に沿って形成されていることを特徴とするポンプ装置。
よって、シート面を通過したブレーキ液はすぐに通路に流入することができる。
(リ)請求項12に記載のポンプ装置において、
前記通路は前記シート面の半径方向位置に形成されていることを特徴とするポンプ装置。
よって、シート面を通過したブレーキ液はすぐに通路に流入することができる。
(ヌ)請求項12に記載のポンプ装置において、
前記収容孔は有底であって、前記収容孔の底部と前記吐出弁との間に前記コイルスプリングを縮設し、
前記シート部材は前記ソケット部材の円筒壁の内周に圧入されていることを特徴とするポンプ装置。
よって、シート部材をソケット部材に締結部材を用いることなく固定することができる。
【0026】
(ル)請求項12に記載のポンプ装置において、
前記回転ポンプは外接ギヤポンプであり、一対のギヤから圧送された流体が流入する吐出室を備え、前記流体は前記吐出室から前記吐出弁構成体へ流れることを特徴とするポンプ装置。
よって、吐出室がダンパ室として作用するため液圧の脈動を抑制することができる。
(ヲ)請求項16に記載のポンプ装置において、
前記吐出室によってダンパ室を構成していることを特徴とするポンプ装置。
よって、吐出室がダンパ室として作用するため液圧の脈動を抑制することができる。
(ワ)請求項12に記載のポンプ装置において、
前記通路は、直径が大きな大径通路と、該大径通路に連続し前記オリフィスとしての前記大径通路より直径が小さな小径通路とで構成されていることを特徴とするポンプ装置。
よって、オリフィス通路の一部を小径通路とすることにより、オリフィス通路を通過するブレーキ液の液圧の低下を抑制しつつ、液圧の脈動を抑制することができる。
【0027】
(カ)外接ギヤポンプを内蔵したハウジングと、
前記ハウジングに形成され、前記回転ポンプから圧送されたブレーキ液を吐出する吐出弁構成体が装着される吐出弁構成体装着孔と、
を備え、
前記吐出弁構成体は、弁体と、前記弁体が着座するシート面および流体が流通するシート孔を備えたシート部材と、前記弁体をシート部材に付勢するコイルスプリングと、内部に前記弁体と前記コイルスプリングを収容するための収容孔と、円筒壁と、を有するソケット部材と、を有し、
前記ソケット部材の円筒壁に前記収容孔内から外部へ連通する通路を設け、前記通路にオリフィス部を形成したことを特徴とするポンプ装置。
よって、オリフィス通路を吐出弁構成体と一体化できるため、部品点数を低減することができる。
(ヨ)請求項19に記載のポンプ装置において、
前記外接ギヤポンプは、一対のギヤから圧送された流体が流入する吐出室を備え、前記流体は前記吐出室から前記吐出弁構成体へ流れることを特徴とするポンプ装置。
よって、吐出室がダンパ室として作用するため液圧の脈動を抑制することができる。
(タ)回転式ポンプを内蔵したハウジングと、
前記ハウジングに形成された吐出弁装着孔と、
前記吐出弁装着孔内に装着され、前記ポンプから吐出した流体を外部へ吐出するための吐出弁構成体と、
を備え、
前記吐出弁構成体は、弁体と、前記弁体が着座するシート面および流体が流通するシート孔を備えたシート部材と、前記弁体を前記シート部材に付勢する弾性体と、内部に前記弁体と前記弾性体を収容するための収容孔を備えたソケット部材と、を有し、
前記ソケット部材であって、前記回転式ポンプと前記弁体との間にオリフィス通路を設けたことを特徴とするポンプ装置。
よって、オリフィス通路を吐出弁構成体と一体化できるため、部品点数を低減することができる。
【符号の説明】
【0028】
26 ハウジング
32 吐出弁装着孔
33 吐出弁構成体
49 吐出室
50 連通路(ソケット部材)
51 ソケット部材
52 弁体
54 コイルスプリング(弾性体)
59 収容孔
60 シート孔
64 オリフィス通路
65 シート面
PP,PS ギヤポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転式ポンプを内蔵したハウジングと、
前記ハウジングに形成された吐出弁装着孔と、
前記吐出弁装着孔内に装着され、前記ポンプから吐出した流体を外部へ吐出するための吐出弁構成体と、
を備え、
前記吐出弁構成体は、弁体と、該弁体が着座するシート面および流体が流通するシート孔を備えたシート部材と、前記弁体を前記シート部材に付勢する弾性体と、内部に前記弁体と前記弾性体を収容するための収容孔を備えたソケット部材と、を有し、
前記ソケット部材に前記収容孔から外部へ連通するオリフィス通路を設けたことを特徴とするポンプ装置。
【請求項2】
請求項1に記載のポンプ装置において、
前記ソケット部材は円筒壁を備え、
前記オリフィス通路は前記円筒壁に形成されていることを特徴とするポンプ装置。
【請求項3】
請求項2に記載のポンプ装置において、
前記オリフィス通路は、前記シート面の半径方向位置に形成されていることを特徴とするポンプ装置。
【請求項4】
請求項3に記載のポンプ装置において、
前記回転式ポンプは外接ギヤポンプであることを特徴とするポンプ装置。
【請求項5】
請求項4に記載のポンプ装置において、
前記外接ギヤポンプは、一対のギヤから圧送された流体が流入する吐出室を備え、前記流体は前記吐出室から前記吐出弁構成体へ流れることを特徴とするポンプ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−112012(P2013−112012A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257178(P2011−257178)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(509186579)日立オートモティブシステムズ株式会社 (2,205)
【Fターム(参考)】