説明

ポンプ輸送されるアルコール性フォーム

本発明は、成分:a)フォーム組成物の全体量に対して少なくとも52〜99質量%以下のアルコールまたはアルコール混合物、b)界面活性剤または界面活性剤混合物、c)少なくとも1つのポリアルキレングリコール、d)場合によっては少なくとも1つのフォーム安定剤ならびにe)場合によっては他の化粧用の助剤、添加剤および/または作用物質および/または水を含有し、但し、この場合成分b)の表面張力は、成分a)の表面張力の±15dyn/cmの範囲にあるかまたは成分a)の表面張力に相当し、成分a)〜f)の総和は、フォーム組成物の全体量に対して100質量%であるものとし消毒のためのアルコール性フォーム組成物、殊にポンプ輸送によるフォーム調製物ならびに消毒剤としての前記アルコール性フォーム組成物の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アルコール性フォーム組成物、殊にポンプ輸送されるフォームおよび消毒剤としての該アルコール性フォーム組成物の使用に関する。
【0002】
消毒剤は、病原微生物、例えば細菌類、ウィルス、胞子、真菌類等の防除に使用され、該消毒剤の使用は、数多くの範囲で断念することができないかまたは該消毒剤の使用は、数多くの国において明らかに立法機関による要求がなされている。
【0003】
通常、消毒剤は、その使用分野に相応して分類されており、使用目的に応じて、傷口、皮膚、大便および痰を消毒するため、ならびに器具を消毒するための防腐薬、洗濯物消毒剤および表面消毒剤、殊に皮膚消毒剤および手消毒剤は、区別される。
【0004】
前記の消毒剤の使用分野は、医学的に必要であり、この消毒剤は、病院内での感染予防、医師および歯科医師の実務、公共の範囲、例えば学校、幼稚園および看護施設、例えば老人ホーム、療養所等に使用されるが、しかも、感染が拡がりうる運動場ならびに別の範囲にも使用される。食品工業および製薬工業における消毒剤の使用と共に、一般に仕事場または住居での該消毒剤の使用を挙げることができるだけでなく、サービス業の施設、例えばランドリーおよび台所での該消毒剤の使用を挙げることができ、この場合これらランドリーおよび台所での製品は、直接に患者または使用者に供給される。
【0005】
前記の使用分野の1つ以上に対するかかる消毒剤の作用の検出は、該薬剤の先行する試験後に、例えばドイツ連邦共和国におけるドイツ衛生学および微生物学学会(DGHM)の指導要綱またはフランス国の規格統一協会AFNOR(Association Francaise de Normalisation)の指導要綱から確認される規格化された試験方法に基づいて行なわれる。例示的には、次の規格が指摘される:
DIN EN 1040 化学的消毒剤および防腐薬(基礎試験)、
DINEN 1276 化学的消毒剤および防腐薬、食品、工業界、家庭および公共施設の範囲内での殺菌作用、
DIN EN 1499 消毒剤による手洗い、
DINEN 1500 衛生上の手の消毒、
DINEN 12054 化学的消毒剤および防腐薬、衛生学的および外科的な手の消毒および手洗いのための製品−殺菌作用、
DIN EN 12791 外科的な手の消毒剤、
AFNOR T 72 300 水中に混合された液体として使用される防腐薬および消毒剤の殺菌作用、
AFNOR T 72 170 妨害物質の存在での殺菌作用、
NF EN 1040 防腐薬および化学的消毒剤の殺菌作用、
NF EN 1275 防腐薬および化学的消毒剤の殺真菌作用。
【0006】
更に、医薬品として法律的に規制された認可方法および登録方法に基づく防腐薬。
【0007】
例えば、ドイツ連邦共和国特許出願公開第4328828号明細書の記載から確認することができるように、手の消毒を実施するための種々の方法が存在する。このドイツ連邦共和国特許出願公開明細書中には、ドイツにおける通常のアルコールによる手の消毒ならびに洗浄による手の消毒(手洗い法)が明らかに記載されている。なかんずく手の消毒に定められている製品は、規格を満たすことに応じて証明書が発行されかつDGHMの消毒剤リスト中の調製物として受け入れて貰う場合に、少なくとも上記規格に記載された最少要求を満足させなければならない。
【0008】
市場で入手可能な消毒剤、殊に皮膚および手の消毒剤は、通常、アルコールまたはアルコールと皮膚上でのアルコール成分の蒸発後に留まる場合による手入れ作用物質、例えば非揮発性の抗菌作用を有する物質および/または通常の皮膚手入れ剤と場合による他の助剤との混合物からなる。単にアルコール成分を抗菌作用を有する物質として使用する場合には、前記薬剤中のアルコール含量は、アルコールの一部分が蒸発した場合でも消毒作用が保証されるように選択することができる。これに関連して、これが、少なくとも52質量%のアルコール含量を有するエタノール性組成物の場合であることは公知である。
【0009】
殊に、必要とされる消毒剤量がしばしば皮膚上または手の上で均一に分布され得ずかつアルコール水溶液も極めて簡単に手から滴下してしまうので投与が困難であることに基づく、皮膚および手の消毒のための適用の際のアルコール性消毒液の欠点に関連して、このような消毒液には、濃稠化剤が添加されており、前記消毒液の粘度は、上昇される。この場合には、公知技術水準として、例示的に速乾性の消毒剤組成物が対象である欧州特許第0604848号明細書を挙げることができる。濃稠化剤としては、カルボキシビニルポリマーとヒドロキシプロピルメチルセルロースとの組合せ物が記載されており、この場合この消毒剤組成物中の両成分の全質量は、3質量%以下である。
【0010】
更に、公知技術水準において、例えば米国特許第4956170号明細書中に記載されているように、湿分保持剤および皮膚手入れ剤を含有する、皮膚および手の消毒のための抗菌性のアルコール性ゲル組成物は、公知である。これに関連して、架橋され部分中和されたアクリル酸ポリマーまたは中和されたアクリル酸ポリマーは、濃稠化剤として使用される。これに関連して、抗菌剤としては、アルコール、例えばエタノール、イソプロピルアルコールまたはその混合物60〜75質量%が使用される。前記組成物中に含有されている軟化剤(緩和薬)、殊にワセリンおよび化粧調製物中で使用されうる別の鉱油製品ならびに化粧品において、しかし、消毒剤においても使用が懸念される他の疎水性内容物質に関連して、高いアルコール含量を有するアルコール性ゲル組成物中のかかる内容物質を前記ゲルの安定性のために使用することは、極めて不利であることが見出された。それというのも、このゲルは、貯蔵の際に時間の経過中に粘度、ひいては安定性を失い、前記組成物は潮解するからである。一般に、ゲルの安定性は、アルコール含量が増大するにつれて、殊に60質量%を上廻るアルコール含量の際に被害を受けることが確認された。
【0011】
殊に、唯一の作用成分としてのアルコールを有するゲル組成物中のかかる高いアルコール含量は、このような薬剤が手の消毒のための消毒剤としても公式に証明されうるようにするためには、断念することができない。
【0012】
ドイツ連邦共和国特許第10132382号明細書には、他の付加的な抗菌性の添加剤等なしに規格
DIN EN 1499消毒による手の洗浄、
DIN EN 1500衛生学的な手の消毒
を満たしかつさらにB型肝炎効果を有する、手入れ成分を有する消毒による手の手入れゲルの製造を可能にする、高いアルコール含量を有する、安定した消毒作用を有する皮膚および手の手入れゲルを製造するための簡単で経済的な製造方法が記載されている。殊に、消毒剤の滴下傾向に関連して、液状の形での消毒剤の適用よりもゲルの形での消毒剤の適用が優先されていることが示されているとしても、それにも拘わらず、このような消毒作用を有するアルコール性ゲル組成物は、患者の皮膚の均一な湿潤、ひいては確実な消毒効果を保証するために、皮膚上への塗布の際にゲル構造を失なうに相違ないという欠点を有する。
【0013】
更に、公知技術水準において、主に病院の衛生設備、医師および歯科医師の実務、学校、幼稚園および看護施設、例えば老人ホーム、療養所等で見出すことができる、市場で入手可能なポンプ輸送によるフォーム系により放出される、アルコール性の清浄化フォーム組成物は、公知である。しかし、このようなフォーム組成物のアルコール含量は、単に40質量%である。それというのも、よりいっそう高いアルコール含量の場合には、フォームの不安定性が増大するからである。これは、アルコール性ゲルと比較してなお良好な取り扱い可能性を有するフォームによる好ましい適用形は、これまでなお、従来市場で入手可能であった製品の僅かなアルコール含量のために消毒剤、殊に皮膚および手の消毒に当てはまらなかったという理由とみなすことができる。
【0014】
従って、本発明の課題は、殊にポンプ輸送によるフォームとして通常のポンプ輸送によるフォーム系により消毒の目的のため、特に皮膚および手の消毒のために使用者に放出されうるアルコール性フォーム組成物を提供することであった。この場合、ポンプ輸送によるフォーム系により放出されるアルコール性フォームは、確実な消毒、殊に皮膚および手の消毒を保証するために、少なくとも52質量%のアルコール含量、殊にアルコール65質量%を有するアルコール性フォームを放出することができるように安定化されているはずである。
【0015】
この課題は、成分
a)フォーム組成物の全体量に対して少なくとも52〜99質量%以下のアルコールまたはアルコール混合物、
b)界面活性剤または界面活性剤混合物、
c)少なくとも1つのポリアルキレングリコール、
d)場合によっては少なくとも1つのフォーム安定剤、
e)場合によっては他の化粧用の助剤、添加剤および/または作用物質ならびに水
を含有し、この場合成分b)の表面張力は、成分a)の表面張力の±15dyn/cmの範囲にあるかまたは成分a)の表面張力に相当し、成分a)〜f)の総和は、フォーム組成物の全体量に対して100質量%である、消毒のためのアルコール性フォーム組成物、殊にポンプ輸送によるフォーム調製物によって解決される。
【0016】
特に皮膚および手の消毒に適しているかかるアルコール性フォーム組成物がフォーム組成物の全体量に対して少なくとも52質量%でフォームとして通常のポンプ輸送によるフォーム系により、フォームが高いアルコール含量のために組成物中で崩壊することなく、放出されることができることは、全く驚異的なことであった。殊に、このように高いアルコール含量の場合には、このようなフォーム組成物のアルコール成分が50質量%より高いアルコール含量の際に単に溶剤として作用し、それによって界面活性剤の界面活性効果およびそれと関連した、界面活性剤のフォーム能が減少されることが予想できたであろう。しかしながら、このようなことは、観察されなかった。むしろ、本発明によるフォーム組成物で通常のポンプ輸送によるフォーム系において消毒の目的のための安定した嵩高のフォームを製造することができることが判明した。
【0017】
本発明によれば、好ましくは成分b)の表面張力は、20dyn/cm以上ないし40dyn/cmの範囲内にある。
【0018】
特に、本発明によるアルコール性フォーム組成物は、成分a)として一般式
R−OH
〔式中、Rは、1〜8個の炭素原子を有する脂肪族の線状または分枝鎖状の炭化水素基を表わす〕で示される、本発明によるフォーム中に単独でかまたは混合物で含有されていてよいアルコールを含有する。
【0019】
この場合、例示的にメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、イソブチルアルコール、第三ブチルアルコール、アミルアルコール1−、2−、3−ペンタノールまたはネオペンチルアルコールならびに1−ヘキサノールを挙げることができ、この場合エタノールは、成分a)として特に好ましい。
【0020】
好ましくは、本発明によるフォーム組成物は、エタノールを少なくとも52〜99質量%、特に55〜96質量%、殊に60質量%超または65質量%超含有する。消毒効果に関連して、本発明によるアルコール性フォームがアルコールを80質量%を上廻ってまたは90質量%を上廻って含有しうることは、特に好ましい。
【0021】
成分b)として、本発明によるフォーム組成物は、それぞれ界面活性剤または界面活性剤混合物を、フォーム組成物中に含有されている界面活性剤または界面活性剤混合物の表面張力が成分a)、即ちアルコール成分の表面張力の±15dyn/cmの範囲にあるかまたは成分a)の表面張力に相当するように含有することができる。
【0022】
前記の条件を満たす全ての界面活性剤または界面活性剤混合物は、本発明によるフォーム組成物の成分b)として適している。界面活性剤または界面活性剤混合物の全体量は、フォーム組成物の全体量に対して0.5〜20質量%、特に1〜10質量%、特に有利に2〜5質量%である。
【0023】
このような界面活性剤は、なかんずくシリコーン化合物、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、環状シリコーンならびにアミノ変性シリコーン化合物、脂肪酸変性シリコーン化合物、アルコール変性シリコーン化合物、ポリエーテル変性シリコーン化合物、エポキシ変性シリコーン化合物、フルオロ変性シリコーン化合物、グリコシド変性シリコーン化合物および/またはアルキル変性シリコーン化合物である。本発明によれば、シリコーン化合物として好ましいのは、Goldschmidt AG社, Essen在から商品名ABI L(登録商標)で入手可能なポリシロキサン−ポリエーテル−コポリマー[INCI(CFTA):Dimethicone Copolyol ジメチコンコポリオール]、殊に製品シリーズB 88のポリシロキサン−ポリエーテル−コポリマー、例えばABIL(登録商標)B 8843、ABILOB 8851、ABIL(登録商標)B 8852、ABIL(登録商標)B 8863、ABIL(登録商標)88183およびABIL(登録商標)B 88184である。特に好ましくは、本発明によるフォーム組成物は、ポリシロキサン−ポリエーテル−コポリマーを成分b)として含有し、この場合このコポリマーは、商品名ABIL(登録商標)B 8832(Bis−PEG/PPG-20/20 Dimethicone)で入手可能である。
【0024】
他の適当な界面活性剤または界面活性剤混合物としては、単独でか、しかし種々のフルオロ界面活性剤の混合物として、殊にポリシロキサン−ポリエーテル−コポリマーとの混合物として本発明によるフォーム中に成分b)として含有されていてよいフルオロ界面活性剤の群を挙げることができる。このような適当な界面活性剤は、例えばテトラアルキルアンモニウムペルフルオロアルキルスルホネート、特に商品名フルオロ界面活性剤(Fluortensid)FT−248で商業的に入手可能であるテトラエチルアンモニウムペルフルオロオクタンスルホネートである。
【0025】
更に、本発明によるフォーム組成物は、成分c)として少なくとも1つのポリアルキレングリコールを含有し、このポリアルキレングリコールは、特にフォーム組成物の全体量に対して0.01〜3質量%、殊に0.01〜0.2質量%、特に有利に0.05〜0.2質量%の量で含有されていてよい。本発明によれば、好ましいポリアルキレングリコールは、殊に100000〜8000000の分子量を有するポリエチレンオキシド−ホモポリマーであり、このホモポリマーは、商標Polyox(登録商標)の市販製品、例えばPolyox(登録商標)WSR N−10、Polyox(登録商標)WSR N−80(PEG-5M)、Polyox(登録商標)WSR N−750(PEG-7M)、Polyox(登録商標)WSR N−3000(PEG-14M)、Polyox(登録商標)WSR 1105、Polyox(登録商標)WSR N−12K、Polyox(登録商標)WSR N−60K(PEG-45M)およびPolyox(登録商標)WSR−301として商業的に入手可能である。
【0026】
本発明によるフォーム組成物は、フォーム組成物の全体量に対して0.01〜20質量%、特に0.01〜10質量%、特に有利に0.05〜3質量%を成分d)としてフォーム中に含有している、場合によっては少なくとも1つのフォーム安定剤を含有していてよい。適当なフォーム安定剤は、例えば多糖類、殊にキサンタン−ゴム、グアールーグアール、寒天、アルギネートおよびチロース、セルロースエーテル、例えばカルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、セルロース混合エーテル、例えばカルボキシメチルヒドロキシエチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、メトキシヒドロキシアルキルセルロース、メチルヒドロキシアルキルセルロース、例えばメチルヒドロキシエチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシブチルセルロースである。本発明によれば、好ましいのは、アルキルセルロース、殊にメチルセルロースおよびエチルセルロースであり、これらは、商業的にMethocel(登録商標)またはEthocel(登録商標)の商品名で商業的に入手可能である。
【0027】
本発明によるアルコール性フォームは、水と共に、場合によっては助剤、添加剤および/または作用物質、例えば染料、溶解助剤、錯形成剤、金属イオン封鎖剤、光保護フィルターまたは香料または芳香剤、pH調整剤、安定剤、特にセテアリールアルコールおよび/または水素化ヒマシ油、例えばトリヒドロキシステアリン、保存剤、酸化防止剤および/または油性または水性の手入れ成分を成分e)として、フォームの全体量に対して特に0.05〜5質量%の通常量で含有することができる。成分e)の前記の場合による成分は、通常、フォームの全体量に対して0〜5質量%の量で含有されていてよく、この場合当業者は、成分e)の質量含量をフォーム形成を損なわないように選択する。
【0028】
本発明の1つの好ましい実施態様において、本発明によるフォームは、エタノール55〜96質量%、シリコーン界面活性剤としてのビス−PEG/PPG−20/20ジメチコン1〜10質量%、安定剤としてのエチルセルロース−ポリマー0.00〜3質量%、殊に0.05〜3質量%、特に0.05〜2質量%を、PEG 7M−PEG 45Mから選択されたPEG−ポリマーと組合せて含有し、それによって通常のポンプ輸送によるフォーム系中で、卓越した安定性を有する、極めて良好に消毒作用を有するフォームが得られる。
【0029】
本発明によるアルコール性フォームは、特に有利に消毒剤として、例えば傷口、皮膚、大便および痰を消毒するため、ならびに器具を消毒するための防腐薬として、洗濯物消毒剤および表面消毒剤としてならびに本発明により特に有利に皮膚消毒剤および手消毒剤として使用されてよい。
【0030】
本発明によるフォーム中での非揮発性の抗菌作用を有する物質の可能な場合による添加は、殊にアルコール成分の消毒特性を強化するために使用される。しかし、これは、どの使用分野に本発明によるフォームが定められるかに依存する。
【0031】
特に単独でかまたは多数の消毒作用物質との組合せ物として本発明によるフォーム中に含有されていてよい、場合により使用すべき抗菌作用を有する物質としては、殊に転化セッケン、例えばカチオン界面活性剤、第四級アンモニウム化合物等、ベンズアルコニウムクロリドまたはベンズエトニウムクロリド、ビグアニド化合物、例えばクロロヘキシジン塩、フェノール化合物、クレゾール、ペルオキソ化合物、ヨード化合物、例えばポリビドン−ヨード、有機酸等を挙げることができる。
【0032】
フェノール化合物、クレゾール、ペルオキソ化合物、ヨード化合物、例えばポリビドン−ヨード、有機酸等を挙げることができる(この部分重複)。
【0033】
それにも拘わらず、このような抗菌作用を有する物質の添加は、不要である。それというのも、本発明によるフォームは、前記のように高いアルコール含量を有し、したがってアルコール成分だけが消毒作用物質として使用されるからである。
【0034】
場合によっては本発明によるフォーム中に、殊に本発明によるフォームの使用のために皮膚および手の消毒剤として含有されていてよい手入れ作用物質および/または湿分保持作用物質は、フォームのアルコール成分の蒸発後に皮膚上に残留する本発明による作用物質、例えば通常の皮膚手入れ剤、例えばデクスパンテノール、グリセリン、1,2−プロパンジオール、ソルビトール、1,3−ブチレングリコール、ポリエチレングリコールおよび別のポリアルコール、ヒアルロン酸、尿素、カミツレエキス(Kamillenextrakte)、アルコキシル化セチルアルコールおよび/または非揮発性の抗菌作用を有する物質である。
【0035】
本発明によるフォーム中の高いアルコール含量は、皮膚および手の消毒剤としての使用の際に塗布で前記の高いアルコール含量で治療された患者の皮膚をからからに乾燥させる作用を有するので、少なくとも1つの皮膚手入れ剤および/または湿分保持作用物質の使用は、このような消毒剤の頻繁な適用に関連して日々の実地において実際に不可欠のことである。
【0036】
更に、皮膚および手の消毒のための本発明によるフォームを使用することにとって好ましいのは、特にフォームの全体量に対して0.01〜5質量%の量での天然の植物性タンニンの成分、例えばハゴロモグサ(Frauenmantelkraut)(Alchemilla xanthochlora, Rosaceae)、トルメンチルラ(Tormentill)の根茎(Potentilla erecta, Rosaceae)、カシの樹皮(Quercus petraeaおよびQuercus robur, Fagaceae)、ラタニア(Ratanhia)の根(Krameria lappacea syn K. triandra, Krameriaceae)、マンクサの葉(Hamamelis virginiana, Hamamelidaceae)およびブルーベリー(Vaccinium myrtillus, Ericaceae)および天然または合成のタンニン、例えばNa−ビクロロフェニルスルファミンであり、この場合マンクサの葉(Hamamelis virginiana)は、タンニンとして特に好ましい。
【0037】
本発明によるフォームは、高いアルコール含量にも拘わらず極めて良好な安定性を示し、したがって当該の本発明によって、殊に皮膚および手の消毒のために安定した消毒作用を有するフォームが調達され、この場合このフォームは、他の付加的な抗菌作用を有する添加剤等なしに規格DIN EN 1499消毒による手の洗浄、DIN EN 1500衛生上の手の消毒を満たし、さらにB型肝炎効果を有する。殊に、最後のB型肝炎効果は、特に好ましい。それというのも、B型肝炎ウィルス、例えばAIDS(Acquired Immune Deficiency Syndrome)の拡大の原因となるHIVウィルスを媒介させるが、しかし、HIVウィルスよりも安定であり、感染性であるからである。従って、B型肝炎の媒介に抗する予防手段は、HIVウィルスに対して予防的である(1987年4月30日付けのDeutsches Aerzteblatt 84, Heft 18, 第B874頁参照)。
【0038】
本発明によるフォームは、該フォームの全体量に対してアルコール含量を70体積%超または65質量%超、少なくとも52質量%有することができるので、それによって"剥き出しの"、即ち"被覆されていない"ウィルス、例えばポリオウィルスおよびアデノウィルスに抗するウィルス活性も存在し、そのためにこのようなアルコール性フォームは、殊に皮膚の消毒のための適用形として特に重要である。
【0039】
また、更に好ましくは、本発明によるフォームは、殊にポンプ輸送によるフォームとして通常のポンプ輸送によるフォーム系により、消毒の目的のため、特に皮膚および手の消毒のために使用者に引き渡されてよく、殊にその理由は、このようなポンプ輸送によるフォームは、通常エーロゾルをベースとするフォームよりも安価であり、簡単に製造されるからである。この場合には、例示的に市場で入手できる、Airspray社(オランダ国)、Keltec社(オランダ国)、Ophardt社(ドイツ国)およびSupermatic社(スイス国)ならびにBrightwell社(イギリス国)のポンプ輸送によるフォーム系を挙げることができる。
【0040】
本発明による好ましいフォーム組成物(質量%での全ての記載、フォーム組成物の全体量に対する):
【表1】

【0041】
皮膚および手の消毒のための本発明による好ましいフォーム組成物(質量%での全ての記載、フォーム組成物の全体量に対する):
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分
a)フォーム組成物の全体量に対して少なくとも52〜99質量%以下のアルコールまたはアルコール混合物、
b)界面活性剤または界面活性剤混合物、
c)少なくとも1つのポリアルキレングリコール、
d)場合によっては少なくとも1つのフォーム安定剤ならびに
e)場合によっては他の化粧用の助剤、添加剤および/または作用物質および/または水
を含有し、この場合成分b)の表面張力は、成分a)の表面張力の±15dyn/cmの範囲にあるかまたは成分a)の表面張力に相当し、成分a)〜f)の総和は、フォーム組成物の全体量に対して100質量%である、消毒のためのアルコール性フォーム組成物、殊にポンプ輸送によるフォーム調製物。
【請求項2】
成分b)の表面張力が20dyn/cm以上ないし40dyn/cm以下である、請求項1記載のアルコール性フォーム組成物。
【請求項3】
成分a)として一般式
R−OH
〔式中、Rは、1〜8個の炭素原子を有する脂肪族の線状または分枝鎖状の炭化水素基を表わす〕で示されるアルコールまたはアルコール混合物がフォーム中に含有されている、請求項1または2記載のアルコール性フォーム組成物。
【請求項4】
メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール(イソプロピルアルコール)、1−ブタノール、イソブチルアルコール、第三ブチルアルコール、アミルアルコール1−、2−、3−ペンタノールまたはネオペンチルアルコールおよび1−ヘキサノールまたはこれらの混合物が成分a)としてフォーム中に含有されている、請求項1から3までのいずれか1項に記載のアルコール性フォーム組成物。
【請求項5】
フォーム組成物の全体量に対してエタノール少なくとも52〜99質量%以下が単独でかまたは成分a)の一部分としてフォーム中に含有されている、請求項1から4までのいずれか1項に記載のアルコール性フォーム組成物。
【請求項6】
フォーム組成物の全体量に対してエタノール少なくとも80質量%または90質量%が成分a)としてフォーム中に含有されている、請求項1から5までのいずれか1項に記載のアルコール性フォーム組成物。
【請求項7】
フォーム組成物の全体量に対して界面活性剤または界面活性剤混合物0.5〜20質量%が成分b)としてフォーム中に含有されている、請求項1から6までのいずれか1項に記載のアルコール性フォーム組成物。
【請求項8】
成分b)として少なくとも1つのシリコーン界面活性剤またはフルオロ界面活性剤、またはフルオロ界面活性剤とシリコーン界面活性剤との混合物がフォーム中に含有されている、請求項1から7までのいずれか1項に記載のアルコール性フォーム組成物。
【請求項9】
フォーム組成物の全体量に対して少なくとも1つのポリアルキレングリコール0.01〜3質量%が成分c)としてフォーム中に含有されている、請求項1から8までのいずれか1項に記載のアルコール性フォーム組成物。
【請求項10】
フォーム組成物の全体量に対して少なくとも1つのフォーム安定剤0.01〜10質量%が成分d)としてフォーム中に含有されている、請求項1から9までのいずれか1項に記載のアルコール性フォーム組成物。
【請求項11】
消毒剤としての請求項1から10までのいずれか1項に記載のアルコール性フォーム組成物の使用。
【請求項12】
傷口、皮膚、大便および痰を消毒するため、ならびに器具を消毒するための防腐薬としての請求項1から10までのいずれか1項に記載のアルコール性フォーム組成物の使用。
【請求項13】
洗濯物消毒剤および表面消毒剤としての請求項1から10までのいずれか1項に記載のアルコール性フォーム組成物の使用。
【請求項14】
皮膚および手の消毒剤としての請求項1から10までのいずれか1項に記載のアルコール性フォーム組成物の使用。

【公表番号】特表2008−524295(P2008−524295A)
【公表日】平成20年7月10日(2008.7.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547328(P2007−547328)
【出願日】平成17年12月20日(2005.12.20)
【国際出願番号】PCT/EP2005/013742
【国際公開番号】WO2006/066888
【国際公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【出願人】(500001596)シュトックハウゼン ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (7)
【氏名又は名称原語表記】Stockhausen GmbH
【住所又は居所原語表記】Baekerpfad 25, D−47805 Krefeld, Germany
【Fターム(参考)】