説明

ポンプ

【課題】ステムB2内に嵌着したピストンロッド30の上端部に設けた逆止弁用の弁座32とで逆止弁74を形成する逆止弁用の弁部73を上端部に設けポペット弁体Cを備え、逆止弁用の弁座が逆止弁用の弁部の圧接力に充分対応することができる優れたポンプを提案する。
【解決手段】逆止弁用の弁部73に対する逆止弁用の弁座32の圧接部位の上端縁が、逆止弁用の弁座32の外周上端縁と同じか又は下方に位置することで、逆止弁用の弁体の圧接力に充分対向でき、逆止弁用の弁部が逆止弁用の弁座を変形させたり、逆止弁用の弁座に対する逆止弁用の弁体の食いつきを生じることがなく、その結果作動噴出部Bの押し下げが重くなる等の不都合を防止した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポンプに関し、詳しくは、シリンダ内にポペット弁体を備えたポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
シリンダ内にポペット弁体を装着したポンプが種々提案されている。(例えば、特許文献1を参照)
【0003】
上記ポペット弁体は、ステム内に上端部を相対上下動が可能に嵌入した棒状をなし、上端部に形成した逆止弁用の弁部と、ステム内に突設した逆止弁用の弁座とで逆止弁を形成している。また、下端部に形成した吸込み弁用の弁部とシリンダ内下端部の吸込み弁用の弁座とで吸込み弁を形成している。
【0004】
更に、逆止弁用の弁部を筒状に形成するとともに、ステムの下端部内面に嵌着した筒状のピストンロッドの上端部に逆止弁用の弁座を形成している。そして、作動噴出部の押し下げ時にはポペット弁体が下降するとともに、ステムに対して相対上昇して吸込み弁を閉塞し、作動噴出部の上昇時にはポペット弁体が上昇するとともに、ステムに対して所定位置まで相対下降して逆止弁が閉じる如く構成している。
【0005】
この様なポペット弁体を備えたポンプに於いて、図6に示す如く、上記逆止弁用の弁座32A を、外周上端部にアールを形成したピストンロッド30A の内周上端部のコーナー部分に形成しており、外面を圧接した逆止弁用の弁部73A とで逆止弁74A を構成している。
【0006】
尚、この様なポペット弁体を使用しているポンプとしては、液用のシリンダを備えた固定吸引部と、液用のシリンダ内を摺動する液用のピストンを備えた作動噴出部とを備え、作動噴出部の上下動によりシリンダ内に液を吸上げるとともに、作動噴出部の噴出口より噴出する液用のポンプが挙げられる。また、その他に、空気用シリンダ及び液用シリンダを備えた固定吸引部と、各シリンダ内を摺動する空気用ピストン及び液用のピストンを備えた作動噴出部とを備え、作動噴出部を上下動させることにより各シリンダ内の空気と液とを合流させて気泡させ、泡として噴出するフォーマーポンプ形態のものなどがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−208786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記従来のポペット弁体を利用した逆止弁にあっては、上記した如く、ピストンロッドの外周上端部に組み付けの良さを目的としてアールを形成しており、また、その内周上端部のコーナー部分を、ポペット弁体上端部に設けた筒状をなす逆止弁用の弁部外面を圧接させることで逆止弁を構成しており、弁座と弁部との接触が線接触形態を採っている。ピストンロッドはその機能上比較的軟らかい材質で形成されているのが一般的であり、この様な構成では逆止弁用の弁部の圧接力が弁座に勝ってしまう虞があった。
【0009】
本発明は上記した点に鑑みてなされたもので、逆止弁用の弁部の圧接力に充分対応することができ、その結果、逆止弁用の弁部が逆止弁用の弁座を変形させたり、逆止弁用の弁部の食い込みにより作動噴出部の押し込みが重くなる等の不都合を生じることのない優れたポンプを提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
第1の手段として、以下の通り構成した。即ち、下端に吸込み弁用の弁座23を設けたシリンダ21を備えてなる固定吸引部Aと、シリンダ21内を摺動するピストンB1を備えるとともに、上方付勢状態で上下動可能に装着した作動噴出部Bと、作動噴出部Bを構成するステムB2内に上端部を相対上下動が可能に嵌入するとともに、ステムB2内に突設した逆止弁用の弁座32とで逆止弁74を形成する逆止弁用の弁部73を上端部に設け、且つ、吸込み弁用の弁座23とで吸込み弁72を形成する吸込み弁用の弁部71を下端部に設けた棒状のポペット弁体Cとを備え、逆止弁用の弁部73を筒状に形成するとともに、ステムB2の下端部内面に嵌着した筒状のピストンロッド30の上端部に逆止弁用の弁座32を設け、作動噴出部Bの押し下げ時にはポペット弁体Cが下降するとともに、ステムB2に対して相対上昇して吸込み弁72を閉塞し、作動噴出部Bの上昇時にはポペット弁体Cが上昇するとともに、ステムB2に対して所定位置まで相対下降して逆止弁74が閉じ、作動噴出部Bの上下動によりシリンダ21内に液を吸上げるとともに、作動噴出部Bの噴出口60より噴出するポンプに於いて、逆止弁用の弁部73に対する逆止弁用の弁座32の圧接部位の上端縁が、逆止弁用の弁座32の外周上端縁と同じか又は下方に位置することを特徴とする。
【0011】
第2の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段に於いて、逆止弁用の弁部73に対する逆止弁用の弁座32の圧接部位を上方へ拡がる第1テ−パ面33として構成するとともに、逆止弁用の弁部73の外面に逆止弁用の弁座32の第1テ−パ面33に圧接する第2テ−パ面75を形成した。
【0012】
第3の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段又は第2の手段のいずれか一つの手段に於いて、逆止弁用の弁座32の上面に、逆止弁用の弁座32の外周上端縁を一端縁として山状に突出する断面形状の突条部34を突周設した。
【0013】
第4の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第3の手段のいずれか一つの手段に於いて、固定吸引部Aは液用のシリンダ21の上部に空気用シリンダ20を連設し、作動噴出部Bは、ピストンB1の他に空気用シリンダ20内を摺動する空気用ピストンB3を備え、作動噴出部Bの上下動によりシリンダ21内液と空気用シリンダ20内の空気を合流させて気泡させ、噴出口60より泡として噴出するフォーマーポンプとして構成した。
【0014】
第5の手段として、以下の通り構成した。即ち、前記第1の手段乃至第3の手段のいずれか一つの手段に於いて、作動噴出部Bの上下動により液用のシリンダ21内の液を噴出口60より噴出する液用のポンプとして構成した。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、逆止弁用の弁部73に対する逆止弁用の弁座32の圧接部位の上端縁が、逆止弁用の弁座32の外周上端縁と同じか又は下方に位置するため、逆止弁用の弁部73の圧接力が働く方向に於ける逆止弁用の弁座32外面とステムB2内面との間に隙間がなく、その結果、逆止弁用の弁座32の変形がおこるのを極力防止でき、逆止弁用の弁部73が逆止弁用の弁座32に食い込んで作動噴出部Bの押し下げが重くなる等の不都合を防止できる効果がある。
【0016】
また、逆止弁用の弁部73に対する逆止弁用の弁座32の圧接部位を上方へ拡がる第1テ−パ面33として構成するとともに、逆止弁用の弁部73の外面に逆止弁用の弁座32の第1テ−パ面33に圧接する第2テ−パ面75を形成した場合には、逆止弁用の弁部73と逆止弁用の弁座32との当接,離脱が円滑に行えるため、上記食い込みを更に確実に防止できる利点がある。
【0017】
逆止弁用の弁座32の上面に、逆止弁用の弁座32の外周上端縁を一端縁として山状に突出する断面形状の突条部34を突周設した場合には、上記した効果に加えて、ピストンロッド30のステムB2への組み付け操作が円滑に行える利点を兼ね備える。
【0018】
固定吸引部Aはシリンダ21の上部に空気用シリンダ20を連設し、作動噴出部Bは、ピストンB1の他に空気用シリンダ20内を摺動する空気用ピストンB3を備え、作動噴出部Bの上下動によりシリンダ21内液と空気用シリンダ20内の空気を合流させて気泡させ、噴出口60より泡として噴出する如く構成した場合には、上記効果に加え、泡を噴出するタイプのフォーマーポンプに対しての適用が可能である。
【0019】
作動噴出部Bの上下動により液用のシリンダ21内の液を噴出口60より噴出する液用のポンプとして構成した場合には、上記効果に加え、液を噴出するタイプの液用のポンプに対しての適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ポンプの縦断面図である。(実施例1)
【図2】ポンプ操作時の縦断面図である。(実施例1)
【図3】ポンプの要部拡大断面図である。(実施例1)
【図4】ポンプの縦断面図である。(実施例2)
【図5】ポンプの要部拡大断面図である。(実施例2)
【図6】従来のポンプの要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の形態を図面を参照して説明する。
【0022】
図1乃至図3はポンプ1の一例を示すもので、本例では泡を噴出するフォーマーポンプの形態を採っており、ポンプ1は、固定吸引部Aと、作動噴出部Bと、ポペット弁体Cとを備えている。
【0023】
固定吸引部Aは、装着キャップA1と、シリンダ部材A2とを備えている。
【0024】
装着キャップA1は、ポンプ1を容器体100 に固定するためのもので、容器体100 の口頸部101 外周に嵌合させる周壁10の上端縁より、中央に作動噴出部Bを貫通させる窓孔を開口した頂壁11を延設し、窓孔周縁部より上方へガイド筒12を立設している。
【0025】
シリンダ部材A2は、上端を装着キャップA1に固定した大径の空気用シリンダ20の下部に、小径の液用のシリンダ21を同心円状に延設している。
【0026】
液用のシリンダ21は、空気用シリンダ20の底壁部内周縁に周壁部の上端縁を連結して下方へ垂設し、周壁部の下端縁より中央を開口したテーパ状の底壁部22を延設し、底壁部22の上面を吸込み弁用の弁座23として構成している。また、底壁部22の中央開口縁より下方へパイプ嵌合筒24を一体に垂設している。パイプ嵌合筒24には吸い上げ用のパイプ25の上端を嵌着し、その下端を容器体100 内下端部に垂下させている。更に、液用のシリンダ21内面の底壁部22外縁部から周壁部下端部に至る部分に、周方向複数の係止リブ26を突設している。各係止リブ26の上下中間部には上向き段部を設けている。
【0027】
作動噴出部Bは、シリンダ部材A2に対して上方付勢状態で上下動可能に組み付けしたもので、液用のピストンB1と、ステムB2と、空気用ピストンB3と、噴出ヘッドB4とを備えている。
【0028】
液用のピストンB1はステムB2内下部に嵌着したピストンロッド30の下端外周より外方へ上下スカート状の摺動部31を突設し、摺動部31を液用のシリンダ21内周に液密摺動可能に嵌合させている。また、ピストンロッド30の上端部はステムB2内の上下方向中間部に於いて逆止弁用の弁座32を形成している。尚、逆止弁用の弁座32に関しては後述する。そして、液用のピストンB1のピストンロッド30下面と各係止リブ26の上向き段部との間にコイルスプリングsを介在させて作動噴出部Bを常時上方へ付勢させている。
【0029】
ステムB2は、上下端を開口した筒状をなし、液用のシリンダ21に摺動する液用のピストンB1を下部外周に突設するとともに、空気用シリンダ20内を摺動する空気用ピストンB3を外周上部に連係させて、液用のシリンダ21内及び空気用シリンダ20内を上下動可能に装着されている。ステムB2内上部には、フランジ状をなす吐出弁用の弁座を形成し、玉状弁体とで吐出弁40を形成しており、また、吐出弁用の弁座の下面から逆止弁用の弁座32の直上までの間に周方向複数の摺動リブ41を突設している。更に、外面上部にはフランジ状に突設した空気吐出弁用の弁座42を突設しており、その上方の筒壁外周には周方向複数の縦突条を突設している。
【0030】
空気用ピストンB3は、内周縁の筒状弁部50をステムB2外周に小幅の上下動が可能に嵌合させ、筒状弁部50外周より延設した階段状壁部を介して、空気用シリンダ20の内周に液密摺動可能に嵌合した上下スカート状の摺動部51を延設して構成している。筒状弁部50はステムB2外周の縦突条外面に上下動可能に嵌合させている。また、後述する如く、ステムB2の外周上端部には、内周下端部に環状凹部を周設した縦筒の下端部を嵌合しており、筒状弁部50はその環状凹部頂面と、空気吐出弁用の弁座42との間を上下動可能に装着しており、空気吐出弁用の弁座42とで空気吐出弁52を構成している。この空気吐出弁52は、図1に示す作動噴出部Bが最上方へ押し上げられている場合には閉塞しており、作動噴出部Bを押し下げた際には開弁し、更に、押し下げ状態から上方付勢力により上昇する際には閉塞する如く構成している。また、空気用ピストンB3の階段状壁部には外気を導入するための外気導入弁を設けている。外気導入弁53は、下降した作動噴出部Bが上昇する際に空気用シリンダ20内が負圧となることがで開弁し、外気を導入する。
【0031】
噴出ヘッドB4は、ステムB2の外周上端部に嵌合させた縦筒を頂板裏面より垂設し、頂板周縁部からは外側垂壁部を垂設し、また、縦筒と外側垂壁部との中間に内側垂壁部を垂設しており、更に、縦筒の上端に基端を開口して、内側垂壁部、外側垂壁部を貫通して前方へ突設したノズルを延設し、その先端に噴出口60を開口している。また、縦筒の内周下端部には環状凹部を凹設しており、また、縦筒内周のステムB2直上部に、下部を縮径した隔壁用の筒部材61を嵌着している。そして、環状凹部からステムB2と縦筒との間を通り、筒部材61下方のステムB2内に連通する空気通路を設けており、筒部材61と吐出弁40との間に気液混合室を画成している。
【0032】
また、気液混合室下流には起泡部材62を設けている。この場合の起泡部材62は、メッシュを張設した筒体を一対用意して、メッシュが上端及び下端になる如く筒部材内に嵌着させて構成している。
【0033】
ポペット弁体Cは、下端部外面に、それぞれ液用のシリンダ21の係止リブ26間に位置させる、周方向複数の係止突部70を突設しており、液用のシリンダ21内からステムB2内下部に至る長さを有している。また下端部には、下面周縁部をテーパ状に形成した、吸込み弁用の弁部71を設けており、吸込み弁用の弁座23とで吸込み弁72を形成している。そして、吸込み弁用の弁座23と吸込み弁用の弁部71下面が当接する位置から、各係止突部70がコイルスプリングs下面に当接する位置までの上下動が可能に装着している。各係止突部70上方は、下部を大径部に上部を小径部に形成しており、小径部の上端はテーパ筒状に拡開する逆止弁用の弁部73に構成し、この逆止弁用の弁部73と逆止弁用の弁座32とで逆止弁74を形成している。大径部の外周には周方向複数の凹溝を縦設しており、小径部外周には周方向複数の縦突条を突設している。
【0034】
本発明では、逆止弁用の弁部73に対する逆止弁用の弁座32の圧接部位の上端縁が、逆止弁用の弁座32の外周上端縁と同じか又は下方に位置する如く構成している。本例では、図3に拡大図で示す如く、逆止弁用の弁部73に対する逆止弁用の弁座32の圧接部位として、内周上端部を上方へ拡がる第1テ−パ面33として構成している。この場合の第1テ−パ面33の上端縁は逆止弁用の弁座32の外周上端縁と略同じレベルに位置している。尚、上記した如く、逆止弁用の弁部73に対する逆止弁用の弁座32の圧接部位の上端縁が、逆止弁用の弁座32の外周上端縁と同じか又は下方に位置するものであれば良く、従って、逆止弁用の弁座32の外周上端縁が前記圧接部位の上端縁より上方レベルにあっても良く、その場合には、例えば、逆止弁用の弁座32の内側上端部に段差を設けた等の環状欠損部を形成し、その下方の内面上端部を前記圧接部位として形成すれば良い。
【0035】
一方、本例ではポペット弁体Cの上端に形成された逆止弁用の弁部73は筒状に形成されていて、その外面に第1テ−パ面33と圧接する上方へ拡がる第2テ−パ面75を設けている。この第1テ−パ面33に対する第2テ−パ面75との圧接により逆止弁用の弁部73の逆止弁用の弁座32への圧接応力を分散させて逆止弁用の弁座32の変形をより緩和する如く構成している。各テ−パ面の面積等はポンプの大きさ等により適宜選択すれば良いが、第1テ−パ面33の面積より第2テ−パ面75の面積を大きくすることで、両者の圧接をより安定的に担保できる。
【0036】
また、本例では、逆止弁用の弁座32の上面に、逆止弁用の弁座32の外周上端縁を一端縁として山状に突出する断面形状の突条部34を突周設している。これによりピストンロッド30をステムB2下端より嵌入する際に突条部34が案内となり、ピストンロッド30の軸心のずれがあっても容易な嵌入が可能となる如く構成している。尚、突条部34の外周縁はピストンロッド30の外周上端縁より延設されているため、上記した逆止弁用の弁座32の圧接部位の上端縁と逆止弁用の弁座32の外周上端縁との関係を崩すことはない。
【0037】
尚、図中Dはガイド筒12外周に着脱可能に装着したスペーサーを示し、噴出ヘッドB4の内側垂下壁下面に当接して作動噴出部Bの押し下げを防止する。
【0038】
上記したポンプ1は、図1の状態からスペーサーDを外して噴出ヘッドB4を押し下げると、空気用ピストンB3がステムB2に対して相対的に上昇して空気吐出弁52が開き、下降する空気用ピストンB3により空気用シリンダ20内の空気が加圧されて空気通路を介して気液混合室内に導入される。
【0039】
一方、ステムB2が下降してポペット弁体Cを押し下げるとともに、吸込み弁用の弁部71が吸込み弁用の弁座23に当接して吸込み弁72を閉じた後は逆止弁用の弁部73が摺動リブ41の内面を摺動してポペット弁体CがステムB2に対して相対的に上昇し、この際逆止弁74が開く。そして、液用のシリンダ21内の加圧液を吐出弁40を介して気液混合室に導入させ、ここで気液を混合する。気液混合室で混合された気液は、起泡部材62を通過して発泡し、噴出口60より泡として噴出される。
【0040】
噴出ヘッドB4の押圧を解除すると、コイルスプリングsの付勢力により作動噴出部Bが上昇し、その際空気用ピストンB3がステムB2に対して相対的に下降して空気吐出弁52が閉じ、空気用シリンダ20内の負圧化によって外気導入弁53が開いて外気が空気用シリンダ20内に導入される。一方、ステムB2の上昇によりポペット弁体Cは、逆止弁用の弁部73と各摺動リブ41の摩擦力で上昇し、吸込み弁72が開いて負圧化した液用のシリンダ21内に容器体100 内の液が導入され、その際吐出弁40は閉じる。ポペット弁体Cはその係止突部70がコイルスプリングsの下面に当接するまで上昇するが、その後はステムB2に対して、逆止弁用の弁部73が逆止弁用の弁座32に当接するまで相対的に下降する。
【0041】
尚、上記実施例ではフォーマーポンプ形態のポンプに関して説明したが、これに限らず、上端部を逆止弁用の弁部73に構成したポペット弁体Cと、ステムB2内周下端部に嵌着したピストンロッド30の上端部に設けた逆止弁用の弁座32とを備えたものであれば、一般的に使用されている液を噴出する液用のポンプであっても採用できる。
【0042】
図4及び図5は液用のポンプの形態を採ったポンプ1を示し、本例に於ける固定吸引部Aは、装着キャップA1と、シリンダ部材A2とを備えている。
【0043】
装着キャップA1は、容器体100 の口頸部101 外周に嵌合させる周壁10の上端縁よりフランジ状の頂壁11を延設している。
【0044】
シリンダ部材A2は、液用のシリンダ21の上端部に補助キャップ27を嵌着し、補助キャップ27の外周下面と、液用のシリンダ21の外周上部に突設したフランジとの間に装着キャップA1のフランジ状の頂壁11の内縁部を回動可能に挿入装着させ、また、フランジを口頸部101 上面にパッキンを介して載置している。また、図1の例と同様に液用のシリンダ21の周壁部の下端縁より中央を開口したテーパ状の底壁部22を延設し、底壁部22の上面を吸込み弁用の弁座23として構成し、同様のパイプ嵌合筒24及びパイプ25を設け、周方向複数の係止リブ26を設けている。
【0045】
作動噴出部Bは、シリンダ部材A2に対して上方付勢状態で上下動可能に組み付けしたもので、液用のピストンB1と、ステムB2と、噴出ヘッドB4とを備えている。
【0046】
液用のピストンB1はステムB2内下部に嵌着したピストンロッド30の下端外周より外方へ上下スカート状の摺動部31を突設し、摺動部31を液用のシリンダ21内周に液密摺動可能に嵌合させている。また、ピストンロッド30の上端部はステムB2内の上下方向中間部に於いて逆止弁用の弁座32を形成している。尚、逆止弁用の弁座32に関しては後述する如く、上記図1の場合と基本的に同様である。そして、液用のピストンB1のピストンロッド30下面と各係止リブ26の上向き段部との間にコイルスプリングsを介在させて作動噴出部Bを常時上方へ付勢させている。
【0047】
ステムB2は、上下端を開口した筒状をなし、液用のシリンダ21に摺動する液用のピストンB1を下部外周に突設するとともに、液用のシリンダ21内を上下動可能に装着されている。ステムB2内上部には、フランジ状をなす吐出弁用の弁座を形成し、玉状弁体とで吐出弁40を形成している。
【0048】
噴出ヘッドB4は、ステムB2の外周上端部に嵌合させた縦筒を頂板裏面より垂設し、縦筒の上端に基端を開口して、前方へ突設したノズルを延設し、その先端に噴出口60を開口している。
【0049】
ポペット弁体Cは、下端部外面に、それぞれ液用のシリンダ21の係止リブ26間に位置させる、周方向複数の係止突部70を突設しており、液用のシリンダ21内からステムB2内下部に至る長さを有している。また下端部には、下面周縁部をテーパ状に形成した吸込み弁用の弁部71を設けており、吸込み弁用の弁座23とで吸込み弁72を形成している。そして、吸込み弁用の弁座23と吸込み弁用の弁部71下面が当接する位置から、各係止突部70がコイルスプリングs下面に当接する位置までの上下動が可能に装着している。
【0050】
また、ポペット弁体Cは、下部を中空の大径部に上部を小径部に形成しており、小径部の上端はテーパ筒状に拡開する逆止弁用の弁部73に構成し、この逆止弁用の弁部73と逆止弁用の弁座32とで逆止弁74を形成している。また、小径部外周には周方向複数の摺動リブ76を突設している。図1の例では摺動リブ41をステムB2内面に突設して逆止弁用の弁部73と摺動可能に構成しているが、本例では、ポペット弁体Cの外面に摺動リブ76を周方向複数突設して、逆止弁用の弁座32と摺動可能に構成している。
【0051】
本例に於ける逆止弁74を構成する逆止弁用の弁座32及び逆止弁用の弁部73の構成は、逆止弁用の弁部73の中央部に棒部が起立している点、及び逆止弁用の弁座32が下降した際にポペット弁体Cの外面の摺動リブ76と摺動する点以外は、図5に示す如く、基本的に図1の例と同様である。
【0052】
上記した液用のポンプ1は、図4の状態から噴出ヘッドB4を押し下げるとステムB2が下降し、それに伴って逆止弁用の弁座32外周がポペット弁体C外周の摺動リブ76上端部と係合してポペット弁体Cを押し下げ、吸込み弁用の弁部71が吸込み弁用の弁座23に当接して吸込み弁72を閉じる。その後、逆止弁用の弁座32が摺動リブ76の内面を摺動してポペット弁体CがステムB2に対して相対的に上昇し、この際逆止弁74が開く。そして、液用のシリンダ21内の加圧液が吐出弁40を介して噴出口60より噴出される。
【0053】
噴出ヘッドB4の押圧を解除すると、コイルスプリングsの付勢力により作動噴出部Bが上昇し、その際ステムB2の上昇によりポペット弁体Cは、逆止弁用の弁座32と各摺動リブ76間の摩擦力で上昇し、吸込み弁72が開いて負圧化した液用のシリンダ21内に容器体100 内の液が導入される。その際吐出弁40は閉じる。ポペット弁体Cはその係止突部70がコイルスプリングsの下面に当接するまで上昇するが、その後は逆止弁用の弁座32が逆止弁用の弁部73に当接するまでステムB2に対して相対的に下降する。
【符号の説明】
【0054】
1…ポンプ
A…固定吸引部
A1…装着キャップ
10…周壁,11…頂壁、12…ガイド筒
A2…シリンダ部材
20…空気用シリンダ,21…液用のシリンダ,22…底壁部,23…吸込み弁用の弁座, 24…パイプ嵌合筒,25…パイプ,26…係止リブ,27…補助キャップ
B…作動噴出部
B1…液用のピストン
30…ピストンロッド,31…摺動部,32…逆止弁用の弁座,33…第1テ−パ面
34…突条部
B2…ステム
40…吐出弁,41…摺動リブ,42…空気吐出用の弁座
B3…空気用ピストン
50…筒状弁部,51…摺動部,52…空気吐出弁,53…外気導入弁
B4…吐出ヘッド
60…吐出口,61…筒部材,62…起泡部材
C…ポペット弁体
70…係止突部,71…吸込み弁用の弁部,72…吸込み弁,73…逆止弁用の弁部,
74…逆止弁,75…第2テ−パ面,76…摺動リブ
D…スペーサー
s…コイルスプリング
100 …容器体
101 …口頸部



【特許請求の範囲】
【請求項1】
下端に吸込み弁用の弁座23を設けたシリンダ21を備えてなる固定吸引部Aと、シリンダ21内を摺動するピストンB1を備えるとともに、上方付勢状態で上下動可能に装着した作動噴出部Bと、作動噴出部Bを構成するステムB2内に上端部を相対上下動が可能に嵌入するとともに、ステムB2内に突設した逆止弁用の弁座32とで逆止弁74を形成する逆止弁用の弁部73を上端部に設け、且つ、吸込み弁用の弁座23とで吸込み弁72を形成する吸込み弁用の弁部71を下端部に設けた棒状のポペット弁体Cとを備え、逆止弁用の弁部73を筒状に形成するとともに、ステムB2の下端部内面に嵌着した筒状のピストンロッド30の上端部に逆止弁用の弁座32を設け、作動噴出部Bの押し下げ時にはポペット弁体Cが下降するとともに、ステムB2に対して相対上昇して吸込み弁72を閉塞し、作動噴出部Bの上昇時にはポペット弁体Cが上昇するとともに、ステムB2に対して所定位置まで相対下降して逆止弁74が閉じ、作動噴出部Bの上下動によりシリンダ21内に液を吸上げるとともに、作動噴出部Bの噴出口60より噴出するポンプに於いて、逆止弁用の弁部73に対する逆止弁用の弁座32の圧接部位の上端縁が、逆止弁用の弁座32の外周上端縁と同じか又は下方に位置することを特徴とするポンプ。
【請求項2】
逆止弁用の弁部73に対する逆止弁用の弁座32の圧接部位を上方へ拡がる第1テ−パ面33として構成するとともに、逆止弁用の弁部73の外面に逆止弁用の弁座32の第1テ−パ面33に圧接する第2テ−パ面75を形成した請求項1記載のポンプ。
【請求項3】
逆止弁用の弁座32の上面に、逆止弁用の弁座32の外周上端縁を一端縁として山状に突出する断面形状の突条部34を突周設した請求項1又は請求項2のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項4】
固定吸引部Aは液用のシリンダ21の上部に空気用シリンダ20を連設し、作動噴出部Bは、ピストンB1の他に空気用シリンダ20内を摺動する空気用ピストンB3を備え、作動噴出部Bの上下動によりシリンダ21内液と空気用シリンダ20内の空気を合流させて気泡させ、噴出口60より泡として噴出するフォーマーポンプとして構成した請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のポンプ。
【請求項5】
作動噴出部Bの上下動により液用のシリンダ21内の液を噴出口60より噴出する液用のポンプとして構成した請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−207525(P2011−207525A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−78549(P2010−78549)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】