ポータブルコンピューティングシステム
マルチパートコンピュータ筐体が説明される。マルチパートコンピュータ筐体は、構造支持層及び本体を少なくとも含む。本体は、軽量の可撓性材料から形成された外側層と、外側層に装着された内側層とを少なくとも含む。内側層は構造支持層に結合されることにより、内側層と構造支持層との間に荷重経路を形成する。マルチパートコンピュータ筐体に加えられた荷重は、構造支持層に至る荷重経路を介して外側層に実質的に影響を及ぼすことなく伝達される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にポータブルコンピューティングデバイスに関する。特に本発明は、ポータブルコンピューティングデバイスの筐体及びポータブルコンピューティングデバイスを組み立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デザインや重さを含めた、ポータブルコンピューティングデバイスの外観は、ポータブルコンピューティングデバイスに対するユーザの全体的な印象に寄与するため、そのポータブルコンピューティングデバイスのユーザにとって重要である。ポータブルコンピューティングデバイスの組み立ての堅牢性が優れていれば、ポータブルコンピューティングデバイスの総耐用年数が延び、ユーザにとってのデバイスの価値が上がることになるので、ポータブルコンピューティングデバイスの組み立ての良否もまたユーザにとって重要である。
【0003】
ポータブルコンピューティングデバイスに関する設計上の課題の1つは、種々の内部部品を収納するために使用される筐体の設計である。設計上のこの問題が起こるのは、一般に、一層の軽量化及び薄型化、強度の向上、及び見た目の美しさの向上などと始めとした複数の相反する要求を含んだいくつかの設計目標が設定されるからである。より軽量な筐体の実現にはより薄いプラスチック構造とより少ない締結具を用いるのが常套手段だが、それによって筐体は撓みやすくなり、使用時に座屈及び屈曲を生じやすくなる。一方、強度及び剛性の向上した筐体の実現にはより厚いプラスチック構造とより多くの締結具を用いるのが常套手段であり、筐体は厚く、かつ重くなる傾向にある。重量の増加は残念ながらユーザの不満を招き、屈曲は内部の部品を損傷させるおそれがある。
【0004】
更に、多くのポータブルコンピューティングデバイスにおいて、筐体は、別々の箇所でねじ、ボルト、リベット又は他の締結具によって固定された複数の部品を有する機械的構造体である。例えば、筐体は、互いの上部をねじ止めされた上部ケーシング及び下部ケーシングを有するのが一般的である。通常、この技法は筐体の構造を複雑にし、また、部品の係合面に望ましくない亀裂、継目、隙間又は破断ができかつ筐体の面に沿って締結具が配置されているために、美観の上で問題があった。例えば、上部ケーシング及び下部ケーシングを使用する場合、筐体全体を取り巻く接合線(mating line)が形成される。そればかりでなく、組み立ては長い時間を要する煩雑な処理である。例えば、多くの場合、組み立てに際してそれら2つの部品を位置決めしかつ各締結具を装着するのに相当の時間を費やさなければならない。更に、組み立て者が特殊な工具を揃えたり、一般的な技術を習得したりすることが必要となることも多い。
【0005】
もう1つの問題点は、ポータブルコンピューティングデバイス内部に構造体を装着する技術である。従来、構造体は、ケーシングのうち一方(上部ケーシング又は下部ケーシング)に配置され、かつ、ねじ、ボルト、リベットなどの締結具によってケーシングの一方に取り付けられていた。すなわち構造体は、ケーシングの上に複数の層としてサンドイッチのように配置され、その後ケーシングに固定される。この方法には、先に述べたのと同様、組み立てが長い時間を要しかつ煩雑であるという欠点がある。
【0006】
従って、外観に優れ軽量で耐久性に優れ、しかも環境に優しいポータブルコンピューティングデバイスの筐体を提供することは有益だろう。また、そのようなポータブルコンピューティングデバイスの組み立て方法を提供することも有益だろう。
【発明の概要】
【0007】
本明細書は、ポータブルコンピューティングデバイスの用途に使用するのに適する軽量で視覚的に継目のない筐体を提供するシステム、方法及び装置に関する種々の実施形態を説明する。
【0008】
コンピューティングデバイスが開示される。コンピューティングデバイスは、軽量可撓性材料から形成された一体形の継目なし筐体を少なくとも含む。継目なし筐体は、少なくとも1つのユーザインタフェースが配置された上部と、上部と一体形成された本体とを含む。コンピューティングデバイスは、一体形の継目なし筐体に旋回可能に接続された可動上面カバーを更に含む。説明される実施形態において、可動上面カバー及び継目なし筐体は、可動上面カバーが筐体上部と接触する状態で閉じられた場合に一つの連続した形状として見えるように成形される。
【0009】
マルチパートコンピュータ筐体が開示される。マルチパートコンピュータ筐体は、構造体支持層及び一つの継目なし本体を少なくとも含む。一つの継目なし本体には、視認できる締結具を有さない。本体は、軽量可撓性材料から形成された外側層と、外側層に取り付けられ、コンピュータ筐体に加えられた荷重を伝達しかつ分散するように構成された内側層とを少なくとも含む。説明される実施形態において、コンピュータ筐体に加えられた荷重が外側層に実質的な影響を及ぼすことなく内側層から支持層へ伝達されるよう、内側層は支持層に物理的に接続される。
【0010】
1つの態様において、マルチパートコンピュータ筐体はPCABSなどのプラスチックである。
【0011】
別の実施形態において、ポータブルコンピュータの内部部品を編成する方法が開示される。実質的に非耐荷重材料である材料から形成され、耐荷重動作部品を少なくとも1つ含む複数の動作部品を内包するように構成されたコンピュータ筐体を提供する工程と、コンピュータ筐体の内面に少なくとも1つの構造部材を装着する工程と、少なくとも1つの構造部材に耐荷重動作部品を装着する工程と、少なくとも1つの構造部材及び耐荷重動作部品を結合することにより、コンピュータ筐体に加えられた荷重をコンピュータ筐体に実質的に影響を及ぼすことなく構造支持層へ伝達するための経路である荷重経路を形成する工程とを少なくとも実行することにより、方法を実施できる。
【0012】
1つの態様において、内側フレームの少なくとも一部分は、少なくともアルミニウム、マグネシウム又はその合金を含む金属から形成される。
【0013】
ポータブルコンピュータが開示される。ポータブルコンピュータは、柔軟な非耐荷重材料から形成され、かつ外観に優れた形状及び外観に優れた表面特徴を有する筐体を少なくとも含む。筐体の内面に装着された荷重分散・荷重伝達内骨格構造と、金属から形成された内骨格構造に機械的に結合され、かつ筐体に加えられた荷重が筐体に実質的に影響を及ぼすことなく内骨格構造により構造支持層へ伝達されるように、ポータブルコンピュータを構造支持しかつ電気的接地点を形成する構造支持層と、構造支持層の外面に装着され、筐体に適応した外観を有しかつ筐体との間に筐体の外観を維持する接合部を形成する保護層とを含む。ポータブルコンピュータは、支持内側フレームを有する上面カバーと、ヒンジ構造を介して内骨格構造に回動可能に結合された内側フレームにより支持されたディスプレイと、ヒンジ構造を内包するように構成されたヒンジ構造筐体とを更に含む。説明される実施形態において、ヒンジ構造筐体は、上面カバーと一体に形成されかつ上面カバーが閉じた状態にある場合にユーザに見える背面部分と、背面部分に接合された場合、上面カバーが閉じた位置にあるときは接合により形成された継目がユーザに見えずかつ上面カバーが開いた位置にあるときは継目が保護層により形成される継目と整列するように、ジッパーロック構造を介して背面部分に取り外し可能に装着されたカバー部分とを少なくとも含む。
【0014】
軽量ポータブルコンピュータが更に開示される。軽量ポータブルコンピュータは筐体本体を少なくとも含む。筐体本体は、外側層と、外側層に装着された内側層とを含むことができる。説明される実施形態において、外側層は軽量で外観のよい材料から形成される。ポータブルコンピュータは構造支持層を更に含むことができ、内側層がポータブルコンピュータに加えられた荷重を外側層に実質的に影響を及ぼすことなく構造支持層へ伝達するように、構造支持層は内側層に装着される。ポータブルコンピュータは内側層で筐体本体に回動可能に結合された内側フレームを有する上部を更に含み、上部の荷重は内側フレームにより内側層を介して構造支持層へ伝達される。上部は内側フレームに装着された外観の優れた外側シェルを有する。
【0015】
1つの態様において、ポータブルコンピュータは構造支持層の外面に装着された保護層を更に含む。上部、筐体本体及び保護層は、ポータブルコンピュータがユーザの目に触れる締結具を含まない一体輪郭形状を有する外観を呈するように協調的な構成を有する。
【0016】
本明細書は、ポータブルコンピューティングデバイスの用途に使用するための筐体構造のシステム、方法及び装置に関する種々の実施形態を説明する。1つの態様において、内側金属フレームに接合されたプラスチックカバーを利用するディスプレイ筐体が説明される。プラスチックカバーは、液体接着剤などの種々の接着剤を使用して内側金属フレームに接合される。プラスチックカバーと金属フレームとの熱膨張率の不一致のような熱サイクルの問題を考慮に入れるために、複数の種類の接着剤が使用できる。それらの接着剤は、高温で永久変形を引き起こす可能性があるボンドスリップを防止するように選択される。特定の実施形態において、ある特定の領域で金属内側フレームをプラスチックカバーに接合するために強力(VHB)接着材料が使用でき、他の領域では液体接着剤が使用される。
【0017】
別の態様において、プラスチックカバーに使用される材料は光を透過できる。ディスプレイ筐体の場合、ディスプレイのバックライトのような光源から放射される光を阻止するようにプラスチックカバーを被覆する方法が説明される。プラスチックカバーの表面のある特定の領域では光を阻止し被膜のない領域では光を透過できるように、被覆方法はプラスチックカバーの一部にのみ適用される。例えば、プラスチックカバー上でロゴが照明された状態で見えるように、ロゴ部分を被覆せずに残せる。被膜のない領域と被膜領域との間の境界に沿ったシャドーイング効果を防止するために、3層被覆方式が採用される。
【0018】
軽量で強度が高く、信頼性及び外観に優れ、特徴のあるポータブルコンピューティングデバイスを提供することは、本発明の利点の1つである。そのようなポータブルコンピューティングデバイスは、電気的接地全体及び音声システムに関しては性能を維持しつつ、全体又は大部分がプラスチック又は他の非導電性材料から形成された外側筐体を有することができる。これは、電気部品を接地しかつ音源及び他の音響素子をポータブルコンピューティングデバイス内部に配置するための1つ以上の代替可能な方法を少なくとも使用することによって実現可能である。効果的な音声システム構造は、音声がキーボードアセンブリのキー及び/又は筐体の間の間隙を通って誘導されるようにキーボードアセンブリの下方に1つ以上の音源を位置決めすることを含むことができる。効率のよい接地システム構造は、主ロジックボードをRF放射又は妨害から遮蔽又は隔離する作用も有する縮小された接地領域を含むことができる。
【0019】
種々の実施形態において、ポータブルコンピューティングデバイスは、実質的に非導電性の外側筐体と、既存の構造に代わる電気的接地システム構造及び音声システム構造とを有する。ポータブルコンピューティングデバイスは、主ロジックボード、キーボードアセンブリ、キーボードアセンブリの下方に配置された音源及び音源に電気的に結合されたイコライザを有することができ、各部品は汎用接地構造に電気的に結合される。音源は、キーボードアセンブリを通過しかつキーボードのキーと外側筐体との間の間隙を通過して伝播される音波を放射できる。イコライザの設定は、それらの音声伝達経路に沿った音波の音声吸収特性及び音声増幅特性を考慮に入れるように選択される。汎用接地構造は、電気的に相互結合されかつ各々がポータブルコンピューティングデバイス全体より相当に小型である複数の個別の接地部品を含むことができる。複数の個別の接地部品は、主ロジックボードの周囲の電磁波シールド、ポータブルコンピューティングデバイスの上面カバーを下部本体に物理的に結合する背面ブラケット、主ロジックボードに近接して配置された金属バックプレート及び/又は主ロジックボードを貫通するように配置されかつ金属バックプレートを電磁波シールドと結合する複数の導電ピンを含むことができる。
【0020】
種々の一般的実施形態において、ラップトップコンピュータ又は他のポータブルコンピューティングデバイスは、外側筐体と、外側筐体内部に配置されかつ主処理部が結合されている主ロジックボードと、外側筐体内部に主ロジックボードから離間して配置された1つ以上の追加の電動部品と、電気的に相互結合された複数の個別の接地部品を有する汎用接地構造とを含むことができる。外側筐体の全体又は大部分は、熱可塑性材料などの1つ以上の非導電性材料から形成される。汎用接地構造は、主ロジックボード及び1つ以上の追加の電動部品の各々に電気的に結合される。更に、個別の接地部品の各々は、コンピューティングデバイス全体より相当に小型にでき、かつ個別の接地部品のうち少なくとも1つの接地部品は、主ロジックボードの周囲に電磁波シールドを更に形成される。
【0021】
いくつかの実施形態において、電磁波シールドは、主ロジックボードよりわずかに大きいサイズの金属ファラデーケージから構成される。更に、接地部品のうち1つは、ポータブルコンピューティングデバイスの上面カバーをポータブルコンピューティングデバイスの下部本体に結合しかつ上面カバーと下部本体との間で物理的負荷を伝達する背面ブラケットを備えることができる。更に、接地部品のうち1つは、金属バックプレートを備えることができ、この金属バックプレートは、金属バックプレートと別の電磁波シールドとの間に主ロジックボードが位置するように配置される。また、金属バックプレートは、主ロジックボードを貫通するように配置された複数の導電ピンを介して電磁波シールドに電気的及び機械的に結合される。
【0022】
種々の一般的実施形態において、ポータブルコンピュータの音声システムが説明される。音声システムは、キーボードの下方に配置された1つ以上の音源から音声を誘導するように構成される。更に聞き取りやすい音質を提供するために、音源にイコライザが設けられる。イコライザ設定は、キーボードに対する音源の位置決めに関する音声伝達経路と関連する音声増幅特性及び音声吸収特性、並びにキーボードの構造設計及びポータブルコンピューティングデバイスの筐体への組み込み状態を考慮に入れるように選択される。
【0023】
種々の詳細な実施形態において、音声システムは、3つの音源、2つの圧電スピーカ及び電磁駆動式コーン形スピーカを含む。各音源は、ポータブルコンピュータと関連するキーボードの間隙を通して音声を誘導する。特定の一実施形態において、ワイヤレスカードを保持しかつワイヤレスカードへの接続を可能にするように更に構成された部品にコーン形スピーカは組み込まれる。この部品は、コーン形スピーカから放射されるある特定の周波数を増強するように設計されたチャンバを含む。
【0024】
一実施形態において、マルチパートコンピュータ筐体が説明される。マルチパートコンピュータ筐体は、保護カバー層により被覆された構造支持層を有する底部ケースを少なくとも含む。一実施形態において、保護カバー層は、熱可塑性エラストマーから形成されかつ構造支持層の縁部を包むように巻き付けられる。柔軟なテクスチャを有する保護カバー層は、外観に優れかつ感触もよい人目を引くカバー層を形成する。構造支持層は、アルミニウムのように軽量ではあるが、耐久性に優れた材料から形成される。
【0025】
底部ケースを製造する方法が開示される。方法は、テクスチャ化面を形成するようにアルミニウムシートをエッチングする工程と、高い表面エネルギーを発生するためにテクスチャ化アルミニウムを陽極酸化する工程と、高い表面エネルギーを有するテクスチャ化アルミニウムに接着剤接合膜を塗布する工程と、事前接合されたアルミニウムシートを覆うように熱可塑性エラストマー層をオーバーモールディングする工程とにより実施できる。
【0026】
広い意味で言えば、本明細書において説明される実施形態は、ポータブルコンピューティングデバイスに埋め込み可能な軽量小型で充電容量の大きいバッテリアセンブリに関する。
【0027】
一実施形態において、バッテリアセンブリは、可撓性材料から形成された筐体を有するポータブルコンピューティングデバイスに埋め込まれる。説明される実施形態において、バッテリ筐体は、複数のバッテリ素子を保護しかつバッテリを筐体に固定するためのコネクタを形成するように構成された上部を含む一体の部材から形成される。バッテリ筐体は、上部と一体に形成されかつ上部の下縁部から延出する片持ち梁部を更に含むことができ、片持ち梁部は、バッテリ筐体の撓みに対する耐性を向上するように構成される。バッテリアセンブリは、片持ち梁部及びバッテリ素子のうち少なくともいくつかのバッテリ素子に強力接着剤を介して装着された軽量最小Zスタックインパクト底面層を更に含むことができる。軽量の底面層は、バッテリアセンブリのZスタックに実質的に影響を及ぼさない厚さを有する。
【0028】
可撓性材料から形成されたコンピュータ筐体を有するポータブルコンピュータにバッテリアセンブリを埋め込む方法が開示される。方法は、複数のバッテリセルを内包するように構成された一体形バッテリ筐体を含むバッテリアセンブリを受け入れる工程を少なくとも実行するように実施される。バッテリ筐体は、湾曲した横断面形状を有する正面部分と、上部と、片持ち梁部と、最小Zインパクト保護層とを含むように形成される。説明される実施形態において、バッテリ筐体の撓みに対する耐性を向上するために、片持ち梁部は上部の下縁部と一体に形成される。保護層は強力接着剤を介して片持ち梁部及びバッテリセルに装着される。少なくとも、コンピュータ筐体に装着されかつ正面部分の湾曲した横断面形状に対応する形状を有する正面フレームに正面部分を隙間なく嵌合することにより、バッテリアセンブリはコンピュータ筐体に挿入される。次に、保護層がコンピュータ筐体の内面と接触する状態になるように、バッテリアセンブリはコンピュータ筐体の内面に配置される。このように、コンピュータ筐体はバッテリセルに対する保護の大半を担うことになる。その後、バッテリアセンブリの正面部分は正面フレームに固定される。
【0029】
いくつかの実施形態において、筐体の背面部分に装着された背面フレームにバッテリアセンブリの背面が固定される。これにより、コンピュータ筐体に加えられた荷重は、コンピュータ筐体に実質的に影響を及ぼすことなく、正面フレーム及び背面フレームに結合された構造支持層へ荷重経路を介して伝達される。
【0030】
コンピューティングデバイスが開示される。コンピューティングデバイスは、可撓性筐体と、荷重伝達内側フレームと、筐体及び内側フレームを機械的に結合するように構成された荷重吸収層と、荷重伝達内側フレームに結合された構造支持層と、荷重伝達内側フレームに機械的に結合されたバッテリアセンブリとを少なくとも含み、可撓性筐体に荷重が加えられた場合、加えられた荷重は、可撓性筐体に実質的に影響を及ぼすことなく荷重経路を介して構造支持層へ伝達される。この荷重経路はバッテリアセンブリを含む。
【0031】
説明される実施形態の他の態様及び利点は、説明される実施形態の原理を例によって示す添付の図面と関連させて以下の詳細な説明を読むことにより明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】説明される実施形態に係るポータブルコンピュータを支持するのに適するマルチパート筐体を示す図である。
【図2】説明される実施形態に係るポータブルコンピュータを支持するのに適するマルチパート筐体を示す図である。
【図3】説明される実施形態に係るポータブルコンピュータを支持するのに適するマルチパート筐体を示す図である。
【図4】説明される実施形態に係るポータブルコンピュータを支持するのに適するマルチパート筐体を示す図である。
【図5】説明される実施形態に係るポータブルコンピュータを支持するのに適するマルチパート筐体を示す図である。
【図6】説明される実施形態に係るポータブルコンピュータを支持するのに適するマルチパート筐体を示す図である。
【図7】開いた状態にあるポータブルコンピューティングデバイスを示す右側正面向き斜視図である。
【図8】説明される実施形態に係るポータブルコンピューティングデバイスを含む左側面図である。
【図9】閉じた状態にあるポータブルコンピューティングデバイスを示す平面図である。
【図10】閉じた状態にあるポータブルコンピューティングデバイス示す正面図である。
【図11】図7〜図10に示されるポータブルコンピューティングデバイスを示す内部図である。
【図12】説明される実施形態に係るポータブルコンピューティングデバイスの上部部分アセンブリを示す図である。
【図13】説明される実施形態に係る荷重吸収装着部材を示す詳細図である。
【図14】説明される実施形態に係る荷重吸収装着部材を示す詳細図である。
【図15】説明される実施形態に係るクラッチバレルアセンブリを示す横断面図である。
【図16】説明される実施形態に係るクラッチバレルアセンブリを示す横断面図である。
【図17】説明される実施形態に係るクラッチバレルアセンブリを示す横断面図である。
【図18】状態指示ランプ(SIL)の一実施形態を示す図である。
【図19】磁力モジュール(MPM)の一実施形態を示す図である。
【図20】一実施形態に係るカメラアセンブリを示す平面図である。
【図21】カメラアセンブリと整列された組み立て後のディスプレイを示す横断面図である。
【図22】説明される実施形態に係るホール効果センサを示す図である。
【図23】典型的な主ロジックボード上における図22に示されるホール効果センサの場所を示す図である。
【図24】典型的なポータブルコンピューティングシステムにおける図22及び図23に示されるホール効果センサの場所を示す図である。
【図25】説明される実施形態に係るポータブルコンピュータシステムの内部部品を編成する処理を詳細に示すフローチャートである。
【図26】開いた状態にあるポータブルコンピューティングデバイスを示す右側正面向き斜視図である。
【図27】閉じた構成のポータブルコンピューティングデバイスを示す斜視図である。
【図28】ポータブルコンピューティングデバイスの正面図及びディスプレイ筐体の一部の横断面図である。
【図29】ディスプレイ筐体カバーを内側フレームに接合する接合方法を示すブロック図である。
【図30】ディスプレイ筐体カバーの被覆方法を示すブロック図である。
【図31】ディスプレイ筐体カバーの照明部分と関連する被覆方法の被膜層を示す図である。
【図32】ディスプレイ筐体を組み立てる方法を示すフローチャートである。
【図33】本発明の一実施形態に係る開いた状態にある例示的なポータブルコンピューティングデバイスを示す右側正面向き斜視図である。
【図34】本発明の一実施形態に係る音声信号が複数の音源からキーボードを介して放射される図1の例示的なポータブルコンピューティングデバイスを示す右側正面向き斜視図である。
【図35】本発明の一実施形態に係る音源が下方に配設されている例示的なキーボードアセンブリを示す側断面図である。
【図36】本発明の一実施形態に係る例示的な音声システムを示すブロック図である。
【図37】本発明の一実施形態に係るワイヤレスカード及び音源を支援するように構成されたポータブルコンピューティングデバイスの例示的な内部部品を示す側立面図である。
【図38】本発明の一実施形態に係るポータブルコンピューティングデバイスの本体の内部に装着された例示的な内部部品を示す平面図である。
【図39】本発明の一実施形態に係る非導電性外側筐体を有する一部解体された状態のポータブルコンピューティングデバイスの例示的な電気的接地構造全体を示す右側正面向き斜視図である。
【図40A】本発明の一実施形態に係る一部解体された状態の図7の例示的なポータブルコンピューティングデバイスの本体を示す底面図である。
【図40B】本発明の一実施形態に係る一部解体された状態の図7の例示的なポータブルコンピューティングデバイスの本体を示す平面図である。
【図41】本発明の一実施形態に係る図7の例示的なポータブルコンピューティングデバイスの背面ブラケット及び周囲領域を示す拡大側横断面図である。
【図42A】本発明の一実施形態に係る図7の例示的なポータブルコンピューティングデバイスの蓋を示す正面図である。
【図42B】本発明の一実施形態に係る図7の例示的なポータブルコンピューティングデバイスの蓋を示す側横断面図である。
【図42C】本発明の一実施形態に係る図7の例示的なポータブルコンピューティングデバイスのディスプレイクラッチアセンブリを示す拡大側横断面図である。
【図43】ポータブルコンピュータ筐体の底部ケースの層を示す展開斜視図である。
【図44】図49に示される底部ケースの一実施形態を製造する方法を示すフローチャートである。
【図45】例示的なリサイクルコードが裏返しに印刷されているアルミニウム構造支持層を示す平面図である。
【図46】例示的なリサイクルコードが正しい向きで印刷されている構造支持層から剥ぎ取られた保護カバー層の内面を示す平面図である。
【図47】閉じた状態にあるポータブルコンピューティングデバイスを示す平面図である。
【図48】閉じた状態にあるポータブルコンピューティングデバイスを示す正面図である。
【図49】実施形態に係る筐体を示す図である。
【図50】上述の実施形態に係る軽量ポータブルコンピュータに埋め込まれた図49に示されるバッテリを示す図である。
【図51】上述の実施形態に係るポータブルコンピューティングシステムを示す図である。
【図52】上述の実施形態に係る正面フレームに装着されたバッテリカバーを示す横断面図である。
【図53】上述の実施形態に係るバッテリアセンブリを示す斜視図である。
【図54】上述の実施形態に係るバッテリアセンブリを示す横断面図である。
【図55】上述の実施形態に係る処理を詳細に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
添付の図面と関連させて以下の詳細な説明を読むことにより、実施形態は容易に理解されるだろう。図面中、同一の図中符号は、同様の構造部品を示す。
以下、添付の図面に示される典型的な実施形態を詳細に参照する。以下の説明は、それらの実施形態を1つの好適な実施形態に限定することを意図しないことを理解すべきである。以下の説明は、添付の特許請求の範囲により定義される実施形態の趣旨の範囲の中に含まれる代替構成、変形及び均等物を含むことを意図する。
【0034】
コンピュータ筐体
以下の説明は、ラップトップコンピュータ、ネットブックコンピュータ、タブレットコンピュータなどのポータブルコンピューティングデバイスに適するマルチパート筐体に関する。マルチパート筐体は構造支持層を含むことができる。構造支持層は強度及び耐久性に優れ、しかも軽量である材料から形成される。そのような材料は複合材料及び/又はアルミニウムなどの金属を含むことができる。アルミニウムは、構造支持層として選択されるのに適するいくつかの特性を有する。例えば、アルミニウムは、適切な電気的接地を実現できる良導体であり、容易に機械加工できかつ周知の冶金特性を有する。更に、アルミニウムは、反応性の低さや、ポータブルコンピュータがWiFi、AM/FMなどのRF能力を有する場合には不可欠の必要条件である非磁性という特徴を有する。構造支持層を保護すると共に、外観に優れた仕上がり(視覚及び触覚の双方で)を実現するために、構造支持層の外面に保護層が配置される。筐体の美観を向上しかつポータブルコンピュータの外面を保護するために、保護層は、構造支持層の縁部を包むように延出できる。保護層は、例えばTPUなどの熱可塑性エラストマーから形成される。
【0035】
マルチパート筐体は本体を更に含むことができる。本体は、コンピュータアセンブリを支持すると共に、ポータブルコンピューティングデバイスに加えられた荷重を伝達しかつ分散する内側層により支持された外側層を含むことができる。外側層は軽量であるが耐久性に優れた材料から形成される。そのような材料は、例えば流動性が高く、ポータブルデバイスに適用されるのに適する強靭性及び耐熱性を示すPCABSとしても知られるポリカーボネートとアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)の混合物を含むことができる。内側層は、複合材料、プラスチック、もしくはマグネシウム又はマグネシウム合金などの金属から形成される。内側層は、構造支持層に直接結合されることにより、内側層と構造支持層との間に荷重経路を形成できる。これにより、ポータブルコンピューティングデバイスに加えられた荷重は内側層を通して分散しかつ外側層に実質的に影響を及ぼすことなく荷重経路に沿って構造支持層へ伝達できる。外側層は荷重耐性を有する必要がないので、従来のポータブルコンピュータ筐体で使用するには不適切であったプラスチックのような、可撓性であるが外観のよい材料から外側層を形成できる。
【0036】
内側層が金属製であるか又は少なくとも導電性である実施形態において、内側層及び構造支持層は、一体構造として良好な電気的接地平面又は電気的接地点を形成できる。外側層としてプラスチック又は他の非導電性材料を選択すると、外側層では接地を提供できないため、これは特に重要な特徴であるということができる。更に、ポータブルコンピューティングデバイス内では動作部品が互いにごく近接して配置されるので、RF妨害を非常に受けやすいワイヤレス回路のような回路から、RFの大放射源(主ロジックボード、すなわちMLBなど)を隔離することが極めて望ましい。そこで、内側層は構造支持層と組み合わされて、WiFi回路などのRF妨害を受けやすいコンピュータアセンブリ内の他の部品からMLBを電磁的に隔離するために使用できる金属フレームを含むことができる。
【0037】
本質的に外側層は荷重から隔離されるので、外側層を形成するために使用される材料を広範囲に選択できる。従って、従来のコンピュータ筐体で現実に可能である優れた外観や手触りをはるかに超えるレベルのポータブルコンピュータを製造できる。例えば、外側層は、軽量プラスチックから形成できかつどのような形状(アンダーカット形状)にも成形可能である。外側層は、まったくとはいえないが実質的にポータブルコンピュータを構造支持しないので、外側層は多様な形状で形成することができる。例えば、ユーザには実質的に切れ目なしの一体の形状に見えるように、外側層は連続するスプライン輪郭を示すことができる。更に、ポータブルラップトップコンピュータの全体的な美観を損ねると考えられる外側の締結具は不要になるので、外側層により示される全体的な見かけや感触は、単純な連続した形状の1つとすることができる。
【0038】
前述のように、外側層はいかなる実体的な荷重も伝達しないので、追加の支持構造を必要としないいくつかの幅広の開口部が外側層に形成することができる。そのような開口部は、内部回路にアクセスするために使用可能なポートの形をとることができる。例えば、ポートは、外部回路を接続するケーブル(USB、イーサネット、FireWireなど)を受け入れるためのデータポートを含むことができる。開口部は、音声回路、ビデオディスプレイ回路、給電入力端子などに対するアクセスも可能にする。
【0039】
ポータブルコンピュータは可動カバーを更に含むことができる。可動カバーは外側層を支持する内側フレームを含むことができる。内側フレームは、本体の内側層とまったく同様に可動カバーに加えられた荷重を分散しかつ伝達することができる。説明される実施形態において、内側フレームは、強度が高く、軽量でかつ導電性である材料から形成できる。そのような材料は、例えばマグネシウム及び/又はマグネシウム合金を含むことができる。内側フレームを本体の内側層に結合することにより、内側フレームは構造支持層に至る荷重経路の一部になることができる。従って、すべて内側フレームに沿って分散しかつ筐体の内側層を介して構造支持層へ可動カバーに加えられた荷重又は可動カバーにより発生された荷重を伝達できる。例えば、可動カバーは、本体の一部分を露出するために開くことができかつ本体のその部分を隠すために閉じることができる蓋の形をとることができる。ヒンジなどのコネクタを使用して内側フレームを本体の内側層に結合することにより、内側フレームは荷重経路の一部になることができる。従って、蓋が開かれた(又は閉じられた)場合などに蓋に加えられた荷重は、例えば荷重経路に沿って蓋から構造支持層へ伝達される。
【0040】
上記の実施形態及び他の実施形態を図1〜図25を参照して以下に説明する。しかし、図1〜図25に関して以下に提示される詳細な説明は単に説明を目的としており、それらの限られた実施形態を超えた範囲を有することは当業者には容易に理解されるだろう。
【0041】
図1〜図5は、説明される実施形態に係るマルチパート筐体100(以下の説明中、単に筐体という)の種々の構成を示す。筐体100は、コンピュータアセンブリを内包しかつ支持するために使用される。コンピュータアセンブリは、コンピューティングシステムの動作中に使用される主ロジックボード(MLB)、ハードディスクドライブ(HDD)、光ディスクドライブ(ODD)などの複数の動作部品を含むことができる。コンピューティングシステムはデスクトップ又はポータブルであってもよいが、以下に説明される実施形態はポータブルコンピューティングシステムに関し、それにより普遍性が損なわれることはまったくない。
【0042】
筐体100は構造支持層102を含むことができる。構造支持層102は、金属(打ち抜き加工で形成されるアルミニウムなど)のような材料又は複合材料から形成される。筐体100は本体104を更に含むことができる。本体104は、外側層108に装着された荷重伝達・荷重分散内側層106を含むことができる。外側層108は、優れた外観を呈するように選択された材料から形成でき、応力又は何らかの大きな荷重に耐える性能はそれほど求められない。これは、少なくとも、筐体100に加えられる実質的にすべての荷重を内側層106が伝達するように設計できるという理由によるものである。従って、内側層106から外側層108への荷重の伝達を抑止するように、内側層106と外側層108は互いに装着される。例えば、内側層106及び外側層108は、のりなどの接着剤110を使用して一体に装着される。尚、形成される接着剤接合部が内側層106の荷重伝達特性及び荷重分散特性を妨げないように接着剤は選択されるべきである。
【0043】
図2に示されるように、内側層106は構造支持層102と機械的に結合される。この結合により、内側層106に加えられた実質的にすべての荷重を外側層108に過度の荷重を与えることなく構造支持層102へ伝達できるように、内側層106は構造支持層102に至る荷重経路を形成できる。従って、筐体100に加えられる実質的にすべての荷重が外側層108をバイパスしかつ外側層108を隔離させるように荷重経路112を介して構造支持層102へ伝達可能であるという意味で、外側層108は荷重から隔離されていると考えてよい。構造支持層102の外面に保護層114が配置される。保護層114は、例えば耐食性を有し、かつ見た目や感触もよいTPUを含むTPEなどの弾性材料から形成される。保護層114は構造支持層102の縁部を包むように延出できる。構造支持層102/保護層114が内側層106に機械的に結合される場合、筐体100の見た目の一体性を維持できる接合部が保護層114と外側層108との間に形成される。
【0044】
図3は、本体104と、本体と一体に形成されかつコンピュータアセンブリを収納するのに適する筐体118を形成する上部116とを有する筐体100の一実施形態を示す。コンピュータアセンブリは、ラップトップコンピュータ又は他のポータブルコンピューティングデバイスに適合する動作部品に対応可能である。ラップトップコンピュータの場合、図4に示されるように回動コネクタ122により筐体118に可動蓋120が回動可能に装着される。これにより、蓋120が開いた状態にある場合(キーボード及び/又はタッチパッドなどの上面124の機能が見える場合)、筐体118の上面124を見通すことができ、蓋120が閉じられると上面124は見えなくなる。図示される実施形態において、蓋120は化粧外面128を支持する荷重伝達内側フレーム126を含むことができる。内側フレーム126は、蓋120がLED、LCDなどのディスプレイデバイスを含むような状況で特に効果的である。蓋120が内側層106に機械的に結合されることにより、外側層108に実質的に荷重を与えることなく蓋120から荷重経路112に沿って構造支持層102へ蓋120に加わるすべての荷重(例えば、筐体118に対して蓋120を開閉した場合など)を伝達できる。
【0045】
図5は、組み立て作業中に部品を受け入れるのに適する向きで筐体118を示す図である。この向きにあるとき、構造支持層102は存在しないので、部品を筐体118に挿入しかつ内側層106に固定でき及び/又は内側層106の一部にすることができる。内側層106は、実質的に荷重を伝達しない接着剤110を介して外側層108に装着される。組み立て中、開口部130を通して種々の動作部品が筐体118に挿入されかつ内側層106に装着される。尚、筐体118内部で荷重を伝達しかつ分散させる内側層106の能力を最適にするように、ポータブルコンピューティングデバイスの機能レイアウトが利用される。一実施形態において、筐体118は、動作部品及びそれらに含まれる対応する構造特性に基づいて複数の領域に分割される。例えば、筐体118がラップトップコンピュータに対応する場合、筐体118は、タッチパッド又はトラックパッドに従ってユーザインタフェースなどの機能に対応するのに適する正面部分132を有すると考えられる。ユーザインタフェース自体は、タッチパッドの上面124に形成される開口部に装着された対応するフレーム構造134により構造支持される。ユーザインタフェースを適切に支持するために、フレーム構造134は、アルミニウム、マグネシウム及び/又はマグネシウム合金の形をとる金属などの強度の高い剛性材料から形成される。内側層106の正面フレーム136にフレーム構造134を組み込むことにより、正面部分132の相対的な剛性を向上しかつ正面フレーム136の荷重伝達能力を向上するために、フレーム構造134の本来の剛性及び強度を利用できる。同様に、筐体118は、例えば以下に更に詳細に説明されるキーボードと背面フレーム140との間の接合部を形成するために感熱支柱が溶融されるように熱カシメ処理を使用して上面124の開口部に組み込まれるキーボードなどの他の機能に対応できる背面部分138を有すると考えられる。しかし、キーボードはユーザに見えるので、通常、キーボードは外側層108の材料に類似する材料から形成される。従って、キーボードの材料は荷重を伝達又は分散するのには適さない。そこで、背面フレーム140の構造の設計に際しては、キーボードに依存して相当に大きな荷重を伝達することはできないということを考慮に入れなければならない。
【0046】
組み立て終了後、例えば構造支持層102を内側層106と接触させることにより、筐体118内部で組み立てられた部品を被覆するために構造支持層102が使用される。このように、複数の結合箇所142でねじ、リベットなどを含む締結具を介して内側層106を構造支持層102に結合することにより、荷重経路112が形成される。尚、特定の構造に応じて、どのような数の締結具及び/又はどのような種類の締結具の組み合わせが使用される。内側層106を構造支持層102に固定することにより、結合箇所142の締結具は外側層108に実質的に荷重を与えることなく、内側層106から荷重経路112を介して「紙面上方へ向かう」ようにZ方向に構造支持層102へ荷重Lの成分を伝達するために使用される。
【0047】
従って、筐体118に挿入された部品の荷重搬送特性又は荷重伝達特性並びに固有の剛性又は何らかの方法により向上された剛性を考慮に入れることにより、荷重を伝達しかつ/又は分散する内側層106の能力を向上できる。例えば、図6は、耐荷重部品及び非耐荷重部品を含む特定の1組の動作部品に従って荷重の伝達及び荷重の分散の双方に関して性能を向上させた内側層106を有する筐体118の一実施形態を示す。正面フレーム136は、タッチパッドフレーム134を含むように構成される。タッチパッドを構造支持するために、タッチパッドフレーム134は、外側層108に堅固(例えば、のりを使用して)に装着され、正面フレーム136の一部として、タッチパッドフレーム134は、筐体118における荷重の伝達を補助できる。従って、このような構造を使用しない場合には必要になると考えられる部品の分の重量が加わることなく、タッチパッドフレーム134の固有の剛性が外側層108の剛性に加算される。更に、タッチパッドフレーム134は、正面フレーム136の一部として装着部材144(非耐荷重部品148を外側層108に装着するために使用される)と耐荷重部品150との間で荷重Lを移行させるためにブリッジ部材146を使用して装着部材144(同様に正面フレーム136の一部である)と関連して作用する。正面フレーム136に対する荷重(荷重Lなど)又は背面フレーム140に対する荷重から非耐荷重部品148を実質的に隔離することができる荷重隔離コネクタ152を使用して、非耐荷重部品148は装着部材144に結合される。以下に更に詳細に説明される特定の一実施形態において、荷重隔離コネクタ152はスロットとピンの構造の形をとることができる。更に、装着部材144は結合箇所142において締結具を介して構造支持層102に結合されるので、装着部材144は、XY平面で荷重を伝達するのに加えて荷重Lのz成分Lzを構造支持層102へ直接伝達できる。
【0048】
耐荷重部品150は、構造支持層102に直接装着されると共に、正面フレーム136にも直接装着されて本質的に正面フレーム136の一部になることができる。耐荷重部品150は、荷重伝達コネクタ154で背面フレーム140に更に結合される。説明される実施形態において、背面フレーム140は、撓むことが許容されないMLBなどの部品を少なくとも機械的に支持するために使用可能な背面部分138に配置された軽量化金属板の形をとることができる。背面フレーム140は、のりなどの接着剤を使用して筐体118に直接装着される。尚、キーボードを筐体118に挿入する間に熱カシメで溶融可能な支柱を配置することにより、キーボードを支持するために背面フレーム140が使用される。耐荷重部品150は構造支持層102及び背面フレーム140に直接結合可能であるので、耐荷重部品150は、X方向、Y方向及びZ方向に空間的に荷重を分散できる。例えば、荷重Lは3つの空間成分{LxLyLz}に分割され、各成分は他の2つの成分とは無関係に伝達可能である。すなわち、荷重成分Lxは、耐荷重部品150により荷重成分Lyとは無関係に伝達可能である。例えば、荷重成分Lyは、コネクタ154を介して荷重成分Lxとは無関係に背面フレーム140へ伝達可能である。同様に、荷重成分Lzは、締結具142を介していずれかの荷重成分Lx又はLyとは無関係に構造支持層102へ伝達されることが可能である。
【0049】
背面フレーム140は、マグネシウム又はマグネシウム合金の形の金属のような強い剛性の材料から形成される。背面フレーム140は、大きな撓みが許容されない主ロジックボード、すなわちMLBのような部品を支持できる。背面フレーム140は、コネクタ154を介して耐荷重部品150から受け取った荷重を分散しかつコネクタ152の荷重隔離機能を支援できる。いくつかの実施形態において、背面フレーム140は、外側層108に製造された外部機能を支持するように構成される。例えば、外側層108の開口部156は、データポート、給電ポートなどの場合によっては相対的に広い離間間隔が必要になるポートへのアクセスを可能にするために使用される。局所バイパス構造158を形成することにより、開口部156は荷重から保護され、それにより、外側層108を補強する必要はまったくなくなる。
【0050】
背面フレーム140とは別の背面ブラケット160により、背面部分138が更に支持可能である。背面ブラケット160は、筐体118に対する追加支持を含めて多くの目的で利用される。説明される実施形態において、この追加支持は、背面ブラケット158が片持ち梁部として作用することによって実現される。従って、背面ブラケット160は、マグネシウム又はマグネシウム合金のような金属などの強度に優れた軽量の弾性材料から形成される。更に、背面ブラケット160は、分散されずに背面フレーム140に加わった場合には背面フレーム140と筐体118との接合部に悪影響を及ぼすおそれがある狭い領域に集中する荷重の分散を促進できる。例えば、背面ブラケット160の本体から延出する背面ブラケット160の一部であるコネクタ162で、蓋120は内側層106に結合される。このように本体から延出することで、蓋120が開閉される場合に受ける非常に集中した荷重を消散しかつ分散する効果が得られる。背面ブラケット160は、いくつかの装着箇所で荷重伝達型コネクタ154を使用して背面フレーム140に装着されると共に、結合箇所142で適切な締結具を使用して構造支持層102に装着される。このように、背面ブラケット160は、荷重の集中を最小限に抑え、筐体118内部における荷重の分散を補助しかつ筐体118の剛性を向上できる。
【0051】
図7及び図8は、ポータブルコンピューティングデバイス200の開いた状態の種々の斜視図を示し、図9及び図10は、ポータブルコンピューティングデバイス200の閉じた状態の種々の図を示す。
【0052】
図7は、開いた状態にあるポータブルコンピューティングデバイス200を示す右側正面向き斜視図である。ポータブルコンピューティングデバイス200は、外側層202を有する本体と、保護層207を含むディスプレイ206を有する上面カバー204とを含むことができる。デバイスを閉じた位置から開いた位置に保つために、また開いた位置から元の閉じた位置に戻すために、ユーザは、ディスプレイクラッチ(図示せず)によって上面カバー204を動かすことができる。ディスプレイ206は、グラフィカルユーザインタフェース、写真などの静止画像並びにムービーなどのビデオメディアアイテムのような視覚コンテンツを表示できる。ディスプレイ206は、液晶ディスプレイ(LCD)、OLEDなどの何らかの適切な技術を使用して画像を表示できる。ポータブルコンピューティングデバイス200は、上面カバー204に配置された画像取り込みデバイス208を更に含むことができる。画像取り込みデバイス208は、静止画像及びビデオ画像の双方を取り込むように構成される。
【0053】
適切な弾性材料から形成されたディスプレイトリム(又はベゼル)210は、上面カバー204内部の構造部品(図示せず)により支持可能であるが、化粧背面カバー211には装着されない。ディスプレイトリム210を構造部品に直接装着しないことにより、化粧背面カバー211とディスプレイトリム210とを適切に位置合わせすることができる。ディスプレイトリム210は、動作部品及び構造部品を隠すと共に、ユーザの注意をディスプレイ206の機能領域(active area)に向けることによりディスプレイ206全体の外観を向上できる。上面カバー204は、ディスプレイクラッチアセンブリ(クラッチバレルにより隠されている)とも呼ばれるヒンジアセンブリを使用して外側層202に結合される。このヒンジアセンブリ自体は、荷重経路を介して構造支持層212に結合される。構造支持層212は、複合材料又はアルミニウムなどの金属から形成される。構造支持層212は、目を引くと共に感触もよい耐久性に優れた保護材料から形成された保護層214により被覆される。保護層214は、外側層202と共にTPU継目215を形成するために構造支持層212の縁部を包むように延出するTPUから形成される。TPU継目315は、外側層202の形状が連続しているという見た目を維持することができる。
【0054】
外側層202は、タッチパッド216及びキーボード218のような複数のユーザ入力デバイスを含むことができる。キーボード218は複数のキーパッド220を含むことができ、各キーパッド220には、特定のキーパッドと関連するキー入力をユーザが識別できるようにするための記号が刻印されている。キーボード218は、キーストロークと呼ばれる指の動きを利用してキーパッドごとに個別のユーザ入力を受信するように構成される。説明される実施形態において、ポータブルコンピューティングデバイス200の耐用年数の中でキーストロークが絶えず加えられても消滅しない極めて明瞭で丈夫な刻印を形成するように、各キーパッドの記号はレーザーエッチングにより形成される。タッチパッド216はユーザの指のジェスチャーを受信するように構成される。指のジェスチャーには、2本以上の指が同時に加えるタッチイベントが含まれる。ジェスチャーは撫でる又は軽く叩くなどの1本指によるタッチイベントを更に含むことができる。
【0055】
外側層202は、ユーザがポータブルコンピューティングデバイス200の電源をオン/オフするのを助けるように構成された電源ボタン222を更に含むことができる。音声入力デバイス224は、音声などの可聴入力を受信するために使用される。状態指示ランプ(SIL)226は、ユーザに情報を提供するために使用される。そのような情報は、例えばポータブルコンピューティングデバイス200の動作状態に関連可能である。外側層202は、光の大部分を透過できる半透明プラスチック材料から形成されるので(ライトブリードと呼ばれる)、SIL226は、SIL226の透明発光部分の幾何学形状により限定された光を除くすべての光をほぼ排除するように構成される。外側層202は、筐体202の中に実装された動作回路をアクセスするために使用される開口部を更に含むことができる。例えばディスクスロット228は、コンパクトディスク(CD)及び/又はデジタルバーサタイルディスク(DVD)などのディスク媒体を差し込むために使用される。通例、外側層202は、ポータブルコンピューティングデバイスの動作時にユーザから見て前方に位置する前方部分230と、後方に位置する後方部分232とに分割されると考えてよい。従って、タッチパッド216は前方部分230に位置すると考えてよく、キーボード218は後方部分232に位置すると考えてよい。
【0056】
図8を参照すると、図8はポータブルコンピューティングデバイス200の左側面図を示し、特に複数のポート234を更に詳細に示す。外側層202は大きな荷重を支えることがないので、ポートを収容するために使用される筐体202の開口部は、追加の支持構造を必要とすることなく相対的に広い間隔で配置される。例えば、外側層202に形成されかつイーサネットポート238に接続されるイーサネットケーブルを受け入れるために使用される開口部236は、標準形イーサネットケーブルアダプタを受け入れるように相対的に大きくなければならない。電源コネクタソケット242を受け入れるために使用される開口部240についても同じことが言える。尚、電源コネクタソケット242を受け入れるために、開口部240は高い縦横比を有していなければならない。電源コネクタアダプタソケット242は、電源プラグと電源コネクタソケット242との整列を容易にする相対的に広いプラットホーム244又はメサを含むので、特に高い縦横比が必要とされる。他の開口には、USBポート250及び252にそれぞれ接続されるUSBケーブルアダプタを受け入れるために使用される開口部246及び248がある。オーディオジャック254、FireWire(登録商標)ポート256、ビデオポート258及びオプションのポート260が更に含まれる。場合によっては、オプションのポート260は、当該技術では周知であるKensingtonロックに従ったロックキーを受け入れるのに適するロックポートとして使用される。いずれにしても、外部のユーザがオプションのポート260を使用してポータブルコンピューティングデバイス200の内部を見るのを防止するために、内部を見えにくくするためのゴムなどの弾性材料から形成されたキャップがオプションのポート260の内側に装着される。
【0057】
図9及び図10は、閉じた状態のポータブルコンピューティングデバイス200の平面図及び正面図である。詳細には、図8は、ポータブルコンピューティングデバイス200の形状が一様であることを示す。このような形状の連続性は、上面カバー204、外側層202、構造支持層212及び保護層214の間の連続するラインにより明らかである。
【0058】
図11及び図12は、ポータブルコンピューティングシステム200を示す種々の図である。詳細には、図11は、種々の動作部品及び構造部品の配置並びにそれらの部品の相互関係を明示する図6に示されるようなポータブルコンピューティングシステム200を示す図である。従って、非耐荷重部品148は、装着部材144を介して外側層202に結合されたハードディスクドライブ(HDD)1102の形をとることができる。装着部材144はブリッジ構造146を介して耐荷重部品150に結合される。説明される実施形態において、耐荷重部品150は埋め込みバッテリアセンブリ1104の形をとることができる。バッテリアセンブリ1104は、筐体118からバッテリアセンブリ1104を取り外すのを補助するために使用されるプルタブ1106を含むことができる。外側層202に更なる剛性を与えるために、バッテリ本体1108(バッテリアセンブリ1104と関連するバッテリセルを内包しかつ支持するために使用される)は、外側層202に機械的に結合されることにより外側層202の剛性を更に向上させる形態及び組成を有することができる。バッテリ本体1108は、構造支持層102が取り除かれた場合に更に密接に一体的に嵌合しかつすっきりして人目を引く外観を呈するように、本体202の内面の形状に適応する形状を有することができる。
【0059】
穴1110のうち少なくともいくつかは、装着部材1112を介して構造支持層102に結合可能な部材(図6のコネクタ142に対応する)を受け入れるのに適する。バッテリ本体1108は、バッテリアセンブリ1104を背面フレーム1116に結合可能な締結具(図6に示される荷重伝達コネクタ154に対応する)を受け入れることができる穴1114を含むことができる。装着部材1112は、装着部材1112を介してバッテリアセンブリ1104を内側層106に固定できる締結具(図6に示される締結具142のような)を受け入れるように配置された穴1118を更に含むことができる。このように、バッテリアセンブリ1104は、どのような空間座標であっても荷重Lの伝達及び分散を補助できる。例えば、バッテリアセンブリ1104は、空間座標{Lx,Ly,Lz}を有する荷重Lを構造支持層102(Lx)、内側層106(Ly)又は背面フレーム1116(Lz)へ伝達できる。
【0060】
背面フレーム1116は、アルミニウム、マグネシウム又はマグネシウム合金などの軽量の導電性材料から形成される。打ち抜きなどの何らかの数の技術を使用して背面フレーム1116に複数の穴1120を形成することにより、背面フレーム1116を更に軽量化できる。複数の穴1120は、背面フレーム1116の強度又は撓みが実質的に又はまったく許容されない部品を支持する背面フレーム1116の能力に実質的に影響を及ぼすことなく、背面フレーム1116を軽量化できる。撓みが許容されない部品には、主ロジックボード(MLB)1122が含まれる。MLB1120上には、表面実装されているために又は他の理由によって撓みによる損傷を受けやすい相対的に多数の個別の素子があるので、MLB1122は堅固に支持されていなければならない。背面フレーム1116に装着されかつ背面フレーム1116により支持される他の部品には、ファン1124、光ディスクドライブ1126及びフレックス1130を介してMLB1122に電気的に接続された一体形音声/ワイヤレスカード1128がある。尚、図示される実施形態における一体形ワイヤレス音声カード1128は、背面フレーム1116に直接装着されるのではなく、光ディスク1132などの光媒体を受け入れるために使用されるODD1126の一部である金属プラットホームに載置される。金属プラットホームは、支持体を形成するだけではなく、ディスプレイ接地ワイヤ1134を接続可能な電気的接地点を形成できる。構造支持層102との電気的接触を成立させるために、接地ピン(ポゴピンと呼ばれる場合もある)1136が使用される。このように、MLB1122上の種々の素子により発生されるRFエネルギーを封じ込めるRFシールドを形成できる。更に、このRFシールドは、一体形ワイヤレス/音声カード1128の無線性能に重大な影響を及ぼすRF漏れ及びRF妨害から一体形ワイヤレス/音声カード1128などの回路を保護できる。
【0061】
背面ブラケット1138は、マグネシウム又はマグネシウム合金などの軽量で強度に優れた金属から形成できかつ背面フレーム1116及び構造支持層102に結合できる。背面ブラケット1138は、外側層202を更に機械的に支持する片持ち梁として機能できる。更に、背面ブラケット1138は、筐体118と外部環境との間の空気の流通を容易にすると同時に、外部から筐体118の内部構造を見えにくくする通気口のような構造を含むように構成される。背面ブラケット1138は内側層106の一部となることもでき、それにより上面カバー204からコネクタ1140(図6のコネクタ154に対応する)の場所にあるディスプレイクラッチ(図示せず)を介して背面フレーム1116及びコネクタ1110へ荷重を伝達できる。説明される実施形態において、背面ブラケット1138は、コネクタ1146(図6のコネクタ162に対応する)を介して背面ブラケット1138を背面フレーム1116に直接結合することにより片持ち梁として作用する延出部分1144を含むことができる。これにより、カバー210を開閉する場合に発生される荷重のような局所に集中した荷重を、このような構造が採用されない場合より広い背面フレーム1116の領域にわたり分散できる。局所に集中した荷重をこのように分散させることにより、背面フレーム1116と背面フレーム1116が装着されている外側層202との間の接着剤接合部は悪影響を受けにくくなる。背面ブラケット1138は、コネクタ1148(図6のコネクタ154に対応する)の場所でも背面フレーム1116に装着される。背面フレーム1138は、構造支持層102に至る接地経路を形成する電気接点1150を更に含むことができる。
【0062】
構造音響製品を提供することと関連してポータブルコンピューティングデバイス200の外観を向上するために、目に見える継目は、一般に望ましくないと思われる。継目の外観がよくないことに加えて、継目には塵や埃が溜まりやすく、構造の一体性を損ねるという問題を引き起こす場合もある。従って、継目が見た目に与える影響をなくすか又は少なくとも軽減しようとする試みとして、閉じた状態の場合にディスプレイクラッチ継目1154が通常はユーザの目に触れないようにディスプレイクラッチバレル1152を実現することが含まれる。更に、ディスプレイクラッチ継目1154は、TPU継目215と位置合わせできる。このようにすると、ポータブルコンピューティングデバイス200を底面から見た場合に、ディスプレイクラッチ継目1154とTPU継目215は一体であるように見える。クラッチバレル1152は、他の部品を支援できる回路を含むことができる。例えば、クラッチバレル1152は、一体形ワイヤレス/音声カード1128により使用されるRFアンテナを含むことができる。それらの回路に対する操作を容易にするために、クラッチバレル1152は、ジッパーのように操作することにより着脱できるクラッチバレルカバー1156を含むことができる。尚、クラッチバレル1152については、以下に更に詳細に説明する。
【0063】
ポータブルコンピューティングデバイス200は、Z方向への動きは制限するが、XY平面では差し込み後の調整のために十分な動きを可能にするようにCCD1126などの部品を装着できる制限Zスタック装着部材1158のような他の装着部材を更に含むことができる。荷重吸収部材1160(更に特定した例は、図6に示される荷重吸収装着部材152)は、荷重吸収装着部材152と関連して、HDD1102などの非耐荷重部品を背面フレーム1116及び内側層106にそれぞれ装着するために使用される。
【0064】
図12は、説明される実施形態に係るポータブルコンピューティングデバイス200の上面部分アセンブリ1200を示す図である。上面部分アセンブリ1200は、圧電音声変換器及び吸引板1204を配置するのに適する設置用パッド1202を含む。
【0065】
図13及び図14は、説明される実施形態に係る荷重吸収装着部材1160及び152を示す。前述のように、荷重吸収装着部材は、HDD1102などの非耐荷重部品を内側層106に装着するために使用される。この点に関して、装着部材152は、非耐荷重部品に装着される取り付け支柱を受け入れるように構成された開口部1302を含むことができる。あらゆる衝撃を隔離しかつ/又は吸収するために、開口部1302は、取り付け支柱を堅固に支持するように構成された支持構造1304により取り囲まれる。支持構造1304は、硬質プラスチックなどの材料から形成されかつ開口部1302から発生する(例えば、取り付け支柱からの)点荷重を伝達しかつ分散するように形成される。この点荷重は、支持構造1304から、軟質プラスチックの形をとる荷重(又は衝撃)吸収材料1306へ分散される。このように、支持構造1304で受け取られた点荷重を荷重吸収材料1306により分散しかつ吸収できる。
【0066】
図14に示されるように非耐荷重部品を取り付けるために、非耐荷重部品の一方の側にある取り付け支柱1308は、開口部1302に十分深く差し込まれる。次に、非耐荷重部品は、装着部材1160の受け入れ部分1310の中まで押し下げられる。説明される実施形態において、受け入れ部分1310は、装着部材152と本質的に同一の材料から形成される。装着部材152は、荷重吸収部分又は衝撃吸収部分1314の中にありかつ非耐荷重部品の他方の側に配置された取り付け支柱1308を受け入れるような大きさに形成された上向きの半円形支持部分1312を有する。取り付け支柱1308が支持部分1312に差し込まれた後、相補形の係止部分1318を有する上部係止部分1316が受け入れ部分1310に配置される。受け入れ部分1310に適正に配置されると、係止部分1316は、取り付けピン1318を所定の場所に係止できる。このようにして、取り付け支柱は所定の場所に実質的に係止され、受け入れ部分の衝撃又は荷重(点荷重の形をとることもある)を係止部分1314によりすべて「拡散」できる。
【0067】
図15〜図17は、上面カバー204、特に、ディスプレイクラッチアセンブリ1500の特定の実施形態を示す種々の図である。図15は、ディスプレイ206(ディスプレイ保護カバー207は「A」横断面に更に明瞭に示される)及びベゼル209を際立たせた上面カバー204の正面図である。ディスプレイクラッチアセンブリ1500は、コネクタ1140及び1110(先に図11を参照して説明された)でディスプレイ内側フレームを背面ブレース1138及び背面フレーム1116に結合できるコネクタ1502と関連可能である。ディスプレイクラッチアセンブリ1500は、背面カバー211の延出部分1504の中に一部内包される。その後、ディスプレイクラッチアセンブリ1500は、複数のコネクタを使用して延出部分1504とクラッチバレル1506とを接合することにより完全に内包することができ、これにより、クラッチバレル界面(clutch barrel reveal)1508と呼ばれる継目が形成される。見た目のよさに加えて、上面カバー204が閉じた位置にある場合、クラッチバレル線1508はユーザの目に触れにくい。更に、上面カバー204が開いた位置にある場合、クラッチバレル界面1508は継目215と一線に並ぶので、通常の操作使用時には容易にユーザの目に触れるとは考えられない部分ではあるが、一体的であるという印象を与える。
【0068】
図16に更に詳細に示されるように、ディスプレイクラッチアセンブリ1500は、複数の電気部品(RFアンテナなど)を内包し、従って目に触れないように隠すことができる。更に、延出部分1504は、上面カバー204が長く中断なく続いているという印象を与える。すなわち、上面カバー204の梁高さ「h」は、約hだけ増し、それにより、上面カバー204に更なる剛性が与えられる。クラッチバレル1506は、延出部分1504の貫通孔1514と関連してクラッチバレル1506を上面カバー204に固定するために使用可能な複数のスナップコネクタ1512を含むことができる。例えば、クラッチバレル1506は、縁部1516を支持体1508に装着することによりディスプレイベゼル206に固定され、その後、スナップコネクタ1512を貫通孔1514に挿入することにより延出部分1504に固定される。
【0069】
図17は、クラッチバレル1506の詳細図であり、特に、クラッチバレル1506を上面カバー204に固定するために延出部分1506のスナップコネクタ1512と組み合わせて使用されるクラッチバレル1506の貫通孔1514を示す拡大内部図である。クラッチバレル1506は、対応するスナップコネクタ1512をそれぞれ受け入れることができる複数の貫通孔1514を含むことができる。これにより、クラッチバレル1506を上面カバー204に固定結合することができ、更に、ジッパーが使用されているので、必要に応じてクラッチバレル1506と上面カバー204との間の「ジッパーを開く」ことにより、クラッチバレル1506を容易に取り外すことができる。このジッパー操作は、スナップコネクタを対応する貫通孔から引き上げて順次解放することにより実現される。このため、上面カバー204とクラッチバレル1506が接合されている場合、その接合部の強度は、単独結合の強度にスナップ結合の総数を乗算した強度にほぼ等しい。従って、そのようなスナップ結合部を相対的に多数設けることにより、単独結合の強度をはるかに超える強力な接合が得られる。しかし、ジッパーを使用する場合、一度に1つの結合部を順次外していくことにより、クラッチバレル1506を簡単かつ容易に取り外せる。
【0070】
図18は、SIL226の一実施形態を示す。SIL226は、透明プラスチックから成る第1の層1802と、透明プラスチックから成る第2の層1804とを有する積層構造1800の形をとることができ、各層は入射する光の実質的にすべてを透過できる。プラスチック層間に濾光媒体1806が配置される。濾光媒体1806は、SIL226により放射される所望の光の色に対応する色を有するインクの形をとることができる。説明される実施形態において、インクは、ポータブルコンピューティングデバイス200全体の見た目と調和した色とすることができる。インク1806は、第2のプラスチック層により透過されたすべての光が本質的にインクと同一の色、この場合は実質的に白色であるように、第1のプラスチック層と第2のプラスチック層との間を通る光をカラーフィルタリングできる。インク1806は、プラスチック層を一体に接合するように作用する。積層構造1800の両側に第3の層としてインク層1808が配置される。第3のインク層は、層1806と実質的に同一である。第3のインク層は、ユーザが見た場合にSIL226により放射される光を一様に見せる働きをする。外側層202へ光が逃げるのを防止するために、第3のインク層の上に、第4の層として光吸収材料の層1810が配置される。第4の層は、ユーザに気づかれることなく光を吸収する色、例えば灰色又は何らかの適切な色とすることができる。
【0071】
図19は、ポータブルコンピューティングデバイス200と共に使用するのに適する磁力モジュール(MPM)1900を示す。電源ケーブルをポータブルコンピューティングデバイス200に繰り返し結合することによる外側層202の損傷を回避するために、電源コネクタ224は、複数の電源コネクタを更に支持できる位置合わせ部分を含むように形成される。電源コネクタは、外部電源からポータブルコンピューティングデバイス200へ電力を導通するために使用される。説明される実施形態において、位置合わせ部材1902があるため、電源コネクタ244は、接続を行うために電源アダプタの相補形コネクタが電源コネクタ244に向かって差し込まれようとする場合に相補形コネクタを案内できる。この案内によって、電源コネクタ244と電源アダプタとの接続を助けるように、電源コネクタ244は、電源アダプタと位置合わせされる。位置合わせ部材1902の一例は、ペデスタル1904の面取り縁部である。電源コネクタ244に向かって加えられる力(ユーザ及び対向する磁気コネクタの磁力により加えられる)とペデスタル1904の面取り縁部との組み合わせによって、電源アダプタのコネクタをペデスタル1904と適正に位置合わせできる。従って、電源コネクタ244及び電源アダプタコネクタの双方の電気コネクタ1906も適正に位置合わせされる。
【0072】
図20は、説明される実施形態に係るカメラモジュール2000の斜視図である。カメラモジュール2000は、カメラ印刷回路基板(PCB)2002、レンズホルダ2004、カメラレンズ2006、カメラLED指示器2008及びデータ送信コネクタ2010を含むことができる。位置合わせ部材2012は、位置合わせピンの位置合わせ及び受け入れを助ける面取りされた内面形状を有することができる。更に、一方の側がPCB2002の底面と接触するフォーム材料又は他の適切な材料から形成されかつ別の側は上面カバー204の内側フレームなどの支持構造と接触している支持パッド2014が示される。支持パッド2014は、支持構造に形成されたカメラアセンブリ凹部へのカメラアセンブリ2000の挿入を補助できる。
【0073】
図21は、上面カバー204に組み込まれたカメラアセンブリ2000を示す切り取り側面図である。説明される実施形態において、フレーム2102は、プラスチック製である筐体2104を支持するように構成されたマグネシウム又はマグネシウム合金から形成される。カメラアセンブリ2000は、カメラアセンブリ2000を受け入れるような大きさ及び場所でフレーム2102に形成された凹部2106の中に配置される。カメラアセンブリ2000を差し込みかつ適正に位置合わせするために、特に、カメラレンズ2008をベゼル2110のレンズ開口部2108に差し込みかつ適正に位置合わせするために、ベゼル2110内面に配置されたベゼル・筐体位置合わせ支柱2112が対応する受け入れアセンブリ2114に差し込まれかつ結合される。説明される実施形態において、受け入れアセンブリ2114は、筐体2104から始まりかつ位置合わせ支柱2112を受け入れるような大きさに形成された管状本体2116を有することができる。組み立て中、本体2116をフレーム位置合わせ穴2118に差し込むことにより、筐体2104はフレーム2102に装着される。筐体2104がフレーム2102に固定取り付けされた後、位置合わせ支柱2112を受け入れアセンブリ2114の対応する開いた端部に差し込み、更に本体2116に差し込むことにより、筐体2104と位置合わせされた状態でベゼル2110はフレーム2102に装着される。しかし、位置合わせ支柱2112は、ベゼル・カメラ位置合わせ支柱2120ほど長くない。そのため、位置合わせ支柱2112は、位置合わせ支柱2120と位置合わせ部材2012との係合より前の時点で受け入れアセンブリ2114と係合できる。位置合わせ部材2012は面取りされているため、位置合わせ支柱2120と位置合わせ部材2012との係合は、カメラレンズ2006の位置とベゼル2110のレンズ開口部2122の位置との間にずれがあった場合にカメラアセンブリ2000を動かすという効果を有する。これにより、カメラレンズ2006とレンズ開口部2122との位置合わせミスを効率よくかつ容易に排除できる。
【0074】
図22は、説明される実施形態に係るホール効果センサ(HES)アセンブリ2200を示す全体切り取り斜視図である。HESアセンブリ2200は、ホール効果センサ2202、PCBアセンブリ2204及び電気コネクタ2206を含むことができる。PCBアセンブリ2204の上部を露出したままにしかつHESアセンブリ2200をマザーボードの電気コネクタに電気的に接続するために電気コネクタ2206を十分に残すように、圧縮整形ブート2208がホール効果センサ2200の大部分を内包できる。説明される実施形態において、HESアセンブリ2200は、両面接着テープの形をとる接着剤層2210を使用して、マザーボード又は他のそのようなPCBに向けて表面実装される。更に、HESアセンブリ2200は、フレックス又は他の間接コネクタの必要なく、電気コネクタ2206を介してマザーボードの素子に電気的に接続される。これにより、組み立てに費やされる費用を削減できかつ時間を短縮できる。
【0075】
図23は、説明される実施形態に係る(MLB1116のような)典型的なマザーボード2300の全体図である。HES2200は、ライザーボード2302を介してマザーボード2300に実装される。ライザーボード2302は、一般に組み立てに要する費用が安くかつ部品又はモジュールを相対的に容易に実装できる。一実施形態において、HESアセンブリ2200は、コネクタ2206を使用することによりライザーボード2302に装着される。HESアセンブリ2200をマザーボード2300に装着するためにコネクタ2206を使用する方法は、HESアセンブリ2200をマザーボード2300にはんだ付けする方法又はフレックス回路網を使用する方法より効率がよくかつ廉価である。ブート2208及び接着剤2210は、一体となってHESアセンブリ2200を所定の場所に固定維持するように作用する。組み立てが容易になることに加えて、ライザーボード2302は主筐体の上面に近接しているので、HESアセンブリ2200がディスプレイ筐体の磁石の検出する感度は更に高くなる。
【0076】
図24は、説明される実施形態に係るソースマグネット2402とホール効果センサ2202との近接関係を示す閉じた位置にある典型的なポータブルコンピュータ2400の半透明側面図である。マザーボード2300に対してホール効果センサ2202の位置を高くすることにより、ソースマグネット2402とホール効果センサ2202との離間距離を従来通りに装着されたホール効果センサの場合より短縮できる。ソースマグネット2402とホール効果センサ2202との離間距離を短縮することにより、より感度が高いセンサ、従って、より高価でかつ/又はより強力なソースマグネットに依存することなく、ホール効果センサ2202の相対感度を向上できる。
【0077】
図25は、説明される実施形態に係る処理2500を詳細に示すフローチャートである。処理2500は、実質的に耐荷重性ではない材料から形成された筐体を有するシステムにおける荷重分散及び荷重伝達を向上できる。そのような材料には、例えばラップトップなどのポータブルコンピュータで使用される材料として周知のPCABSのようなプラスチックがある。しかし、処理2500は、筐体に実質的に影響を及ぼすことなく荷重を分散しかつ荷重を構造支持層へ伝達するように構成された内側層を利用することにより、非耐荷重筐体を荷重から隔離できるコンピュータフレームワークを提供する。
【0078】
処理2500は、少なくとも次に示す工程を実行することにより実施される。2502において、コンピュータ筐体が受け入れ可能である。コンピュータ筐体は、実質的に非耐荷重性であるPCABSのような材料から形成される。そのため、筐体2502は、多様な形状を有することができかつ音声回路、USB回路などの内部回路への操作を容易にする複数の開口部を有することができる。2504において、コンピュータ筐体内部に挿入されるべきコンピュータアセンブリに基づいて、耐荷重性の内部部品及び非耐荷重性の内部部品が識別される。耐荷重性とは、内部部品がその構造的一体性又は動作の一貫性に実質的に影響を受けることなく荷重を受け入れることができるという意味である。例えば、剛性でありかつ撓みに耐える形状を有する埋め込みバッテリは、耐荷重性であると考えられる。非耐荷重性とは、内部部品がその構造的一体性又は動作の一貫性に実質的に影響を受けることなく荷重を受け入れることができないという意味である。ハードディスクドライブ(HDD)は、相対的に剛性でありかつ撓みに耐えられるが、ドライブ、特に、非固体形メモリのR/W回路網に荷重が加えられると悪影響を受ける可能性があるので、非耐荷重部品の一例であると考えられる。更に、いくつかの部品は、撓むことが許容されないと考えられるので、どのような撓みも回避するように支持されなければならない。そのような部品には、プリント回路基板に表面実装された素子を含む素子のアセンブリ、又は、例えば主ロジックボード、すなわちMLBを含むPCBなどがある。
【0079】
非耐荷重内部部品及び耐荷重内部部品(並びに撓みが許容されない部品)が識別された後、2506において、内側層が構成される。内側層は、筐体に実質的に影響を及ぼすことなく荷重を分散しかつ荷重を伝達するために使用される。説明される実施形態において、例えば、内側層の構成要素又は各部分に悪影響を及ぼす可能性がある非常に集中した荷重を消散するために、荷重は内側層の中で分散される。例えば、ディスプレイカバーの開閉操作から発生する非常に集中した荷重は、支持構造と筐体との間の接着剤接合部を損傷させるおそれがある。2508において、内側層は筐体に装着される。通常、内側層は、内側層から筐体への荷重の伝達を容易に行わせずかつ内側層の荷重伝達特性及び荷重分散特性に実質的に影響を及ぼさないのりのような接着剤を使用して装着される。
【0080】
2510において、内側層は構造支持層に結合される。構造支持層は、アルミニウムなどの金属から形成される。これにより、2514において、2512で受け取られたあらゆる荷重を、筐体に実質的に影響を及ぼすことなく内側層により分散できかつ構造支持層へ伝達できる。
【0081】
説明された実施形態の種々の態様、実施形態、実現形態又は特徴は、個別に使用されるが、組み合わせて使用されてもよい。説明された実施形態の種々の態様は、ソフトウェア、ハードウェア又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより実現可能である。説明された実施形態は、組み立て作業を制御するためのコンピュータ可読媒体のコンピュータ可読コードとして又は筐体を製造するために使用される製造ラインを制御するためのコンピュータ可読媒体のコンピュータ可読コードとして実現される。コンピュータ可読媒体は、後にコンピュータシステムにより読み取り可能なデータを記憶できるどのようなデータ記憶装置であってもよい。コンピュータ可読媒体は、例えば読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、CD‐ROM、DVD、磁気テープ、光データ記憶装置及び搬送波を含む。コンピュータ可読コードが配信方式で記憶されかつ実行されるようにネットワーク結合されたコンピュータシステムを介して、コンピュータ可読媒体が配信されてもよい。
【0082】
ディスプレイ筐体
次に、添付の図面に示される代表的な実施形態を詳細に参照する。以下の説明が本発明の実施形態を好適な一実施形態に限定することを意図しないことを理解すべきである。以下の説明は、添付の特許請求の範囲により定義される説明される実施形態の趣旨の範囲の中に含まれる代替構成、変形及び同等物をすべて含むことを意図する。
【0083】
以下の説明は、ラップトップコンピュータ、ネットブックコンピュータ、タブレットコンピュータなどのポータブルコンピューティングデバイス、特にラップトップコンピュータのディスプレイ筐体カバーに適するマルチパート筐体に関する。図26に関して、ポータブルコンピューティングデバイスの概要を説明する。特定の実施形態において、ディスプレイ筐体は、金属製内側フレームに接合されたプラスチックカバーを有することができる。材料の熱膨張率の相違を考慮に入れてカバーを金属フレームに接合する接合方法は、図2〜図4に関して先に説明した。ディスプレイ筐体カバーの照明部分を形成する方法及び装置は、図31及び図32に関して以下に説明される。本発明のそれらの実施形態及び他の実施形態は、図26〜図32を参照して以下に説明される。しかし、本発明は、それらの限られた実施形態を超えた範囲を有するので、図26〜図32に関して以下に提示される詳細な説明が説明を目的とするにすぎないことは当業者には容易に理解されるだろう。
【0084】
図26は、開いた状態のポータブルコンピューティングデバイス200を示す右側正面向き斜視図である。ポータブルコンピューティングデバイス200は、本体202と、ディスプレイ206を有するディスプレイ筐体204とを含むことができる。本体は、ポータブルコンピューティングデバイスに加えられた荷重を伝達しかつ分散することができる内側層により支持された化粧外側層を含むことができる。外側層は軽量であるが耐久性のある材料から形成される。そのような材料は、例えばポータブルデバイスに適用されるのに適する高い流動性、優れた強靭性及び耐熱性を示すポリカーボネートとアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)との混合物、すなわちPCABSを含む。内側層は、マグネシウム又はマグネシウム合金などの金属から形成される。
【0085】
ディスプレイ筐体204は、ユーザにより閉じた位置から図示されるような開いた位置へ移動可能である。ディスプレイ206は、グラフィカルユーザインタフェース、写真のような静止画像並びにムービーのようなビデオメディアコンテンツなどの視覚コンテンツを表示できる。ディスプレイ206は、液晶ディスプレイ(LCD)、OLEDなどの何らかの適切な技術を使用して画像を表示できる。ポータブルコンピューティングデバイス200は、ディスプレイ筐体204に配置された画像取り込みデバイス208を更に含むことができる。適切な柔軟材料(compliant material)から形成されたコンプライアントディスプレイトリム210は、ディスプレイ筐体204内部の構造部品(図示せず)により支持されるが、ディスプレイ筐体204のディスプレイ筐体カバー211に装着される。
【0086】
ディスプレイ筐体204は、荷重経路を介して構造支持層212に結合されたヒンジアセンブリ(クラッチバレル213により隠されている)を使用して本体202に結合される。本体202は、タッチパッド216及びキーボード218などの複数のユーザ入力デバイスを含むことができる。キーボード218は、特定のキーパッドと関連するキー入力をユーザに識別させるための記号がそれぞれ刻印されている複数のキーパッド220を含むことができる。タッチパッド216は、ユーザの指の動きを感知するように構成される。
【0087】
本体202は、ユーザがポータブルコンピューティングデバイス200をオン/オフするのを助けるように構成された電源ボタン222を更に含むことができる。音声入力デバイス224は、音声のような可聴入力を受信するためにマイクロホンとして使用される。状態指示ランプ(SIL)226は、ユーザに情報を提供するために使用される。本体202は、筐体202内部に実装された動作回路をアクセスするために使用される開口部を更に含むことができる。例えば、ディスクスロット228は、コンパクトディスク(CD)及び/又はデジタルバーサタイルディスク(DVD)などのディスク媒体を差し込むために使用される。
【0088】
ディスプレイ筐体204は、ディスプレイ206の上方に2組の磁性ラッチ242を含む。磁性ラッチ242は、本体202の金属板244と整列するように構成される。ポータブルコンピューティングデバイス200が閉じた状態にある場合、磁性ラッチ242は金属板244と整列する。ラッチ242と鋼板244との相互磁気作用は、ポータブルコンピューティングデバイスを閉じた状態に保つのを助ける力を発生する。
【0089】
図27は、閉じた状態のポータブルコンピューティングデバイス200を示す斜視図である。図26に関して説明したように、ポータブルコンピューティングデバイス200は、本体202及びディスプレイ筐体204を含む。閉じた状態にある場合、ディスプレイ筐体のディスプレイ筐体カバー211は見えている。本実施形態において、ポータブルコンピューティングデバイス200は、本体202とディスプレイ筐体204が接合されるヒンジ側250を含む。ヒンジ側250の反対側に、ディスプレイ筐体204と同一の長さ254の開放側252がある。図26に示されるようにディスプレイ206及びキーボード218を露出させるために、ディスプレイ筐体204の開放側252を本体202から持ち上げることができる。
【0090】
図28は、ポータブルコンピューティングデバイス200の正面図及びディスプレイ筐体204の一部の横断面270を示す。横断面270に示されるように、ディスプレイ筐体カバー211は、ある種のプラスチックなどのディスプレイ筐体材料272から形成される。ディスプレイ筐体カバー211は、主に化粧面という性質を有するので、他の部品がディスプレイ筐体204の構造上の剛性の大半を担う。一実施形態において、構造上の剛性を実現するために、ディスプレイ筐体カバー211は内側フレーム276に接合される。内側フレーム276はマグネシウム合金などの金属で形成できる。
【0091】
ディスプレイ筐体カバー211は、締結具(例えば、ねじ)、接着剤又は他の種類の接合剤の組み合わせを使用して、276で示されるような内側フレームに接合される。一実施形態において、内部横断面270に示されるように、ディスプレイ筐体カバー材料272は、主に接着層274を使用して内側フレームに接合される。特定の一実施形態において、プラスチックディスプレイ筐体カバーは、ねじなどの締結具を使用せずに、接着層のみを使用して金属内側フレームに接合される。接着層276に関する更なる詳細を含めて、ディスプレイ筐体カバー材料272を内側フレーム276に接合するための接合方法は、図28に関して説明される。
【0092】
先に「背景技術」の章で説明したように、動作中のポータブルコンピューティングデバイスは、広範囲の温度にさらされる可能性がある。例えば、車内に放置されたデバイスは、夜間には氷点を相当に下回る温度にさらされる場合もあり、65℃という高い温度にさらされる場合もある。しかし、製造中、ポータブルコンピューティングデバイス200の種々の部品は、デバイス200がさらされると思われる動作温度範囲に十分含まれる周囲温度で組み立てられる。従って、デバイスの試作品の組み立てが終了した後、熱サイクル中に加えられるあらゆる熱応力に適切に耐えられるか否かを判定するために、ある温度範囲でデバイスを熱サイクルにさらすことができる。
【0093】
例えば、熱サイクルの一例として、高温の日中の車内に放置されたデバイスをシミュレートするために、車載エアコンで調整された温度をシミュレートするように約15〜25℃の温度のような周囲温度で平衡状態に到達する環境にデバイスを置き、次に、エアコンを止めた状態で炎天下の車のダッシュボードにデバイスを置いた場合をシミュレートするように空調温度からある一定期間にわたり温度を上げ、その後、ある最終温度、例えば45〜65℃の温度でデバイスを平衡状態に到達させる。必要に応じて、デバイスを空調温度に戻すなど、デバイスの冷却をシミュレートできる。また、必要に応じて、他の同一のサイクル条件を使用して、この熱サイクルを繰り返すことができる(例えば、デバイスを、車内で熱せられた状態から取り出して、氷点を相当に下回る冬場夜間の温度に置いてもよいだろう)。従って、上記の温度範囲は単に例示を目的としているにすぎない。デバイスを熱サイクルにさらした後、熱サイクル中に加えられた熱応力の結果としていずれかの部品が損傷又は変形したか否かを判定するために、デバイスを検査できる。
【0094】
図28に戻ると、特定の一実施形態において、プラスチックディスプレイ筐体カバー211は、液体2成分エポキシなどの液体接着剤を使用して金属フレームに接合される。この接着剤の2つの成分は混合された場合に反応し、その後接合部は硬化する。硬化中、液体接着剤は硬くなる。液体接着剤は、価格、環境への影響及び塗布しやすさを考慮して選択される。特定の実施形態において、272のようなディスプレイ筐体材料の熱膨張率は、内側フレーム276の材料の熱膨張率より大きいと考えられる。例えば、一実施形態において、ディスプレイ筐体材料の熱膨張率は内側フレームの熱膨張率の約3倍である。
【0095】
ディスプレイ筐体204の設計中、液体接着剤を使用してディスプレイ筐体カバーの試作品を内側フレームに接合しかつ動作温度の上限をシミュレートした熱サイクルにさらした。ディスプレイ筐体カバー材料の熱膨張率は内側フレームの熱膨張率より大きいので、加熱時、ディスプレイ筐体材料は、内側フレームより速く延伸し、この延伸速度の不一致は、図28に図中符号266で示すような輪郭形状の歪みを発生させる。ポータブルディスプレイ筐体204の開放側252の長さ254に沿った高さ258、すなわち歪みの量が示される。開放側252の長さ254に沿ったたわみ特性266において、たわみ特性266の中央部は角部より大きく歪む傾向を示すので、下方へ湾曲した形状になる。一例として、中央部の歪みの最大高さは1〜6mmになる。ヒンジ側では、このような量の歪みの発生をヒンジ機構が抑止する。
【0096】
前述のように、動作温度上限まで加熱された後、デバイスは平衡温度に到達し、その後、再び冷却される。冷却後、試作品についてたわみ特性264が観測された。輪郭264において、角部は中央部より大きく歪んでいる。図28に示されるように、このような輪郭264となる理由の1つは、試作品が試験された高温では、液体接着剤により硬化後に形成された接合部が軟化して、内側フレーム276とディスプレイ筐体カバー材料272との間にボンドスリップが発生したことである。ボンドスリップは、2つの材料の膨張率が等しくないことによって発生した接着層274の熱応力を解放する。ボンドスリップの発生後、新たな接合場所が形成される。冷却されると、この接合部が再び硬化し、新たな接合場所は264のようなたわみ特性を形成させる。
【0097】
上述の特性は単なる例である。試験条件が異なれば、異なるたわみ特性が得られる。例えば、液体接着剤の接合部が高温で十分に軟化していれば、重力の作用によってボンドスリップが起こると考えられる。例えば、デバイスが側面を下にして放置されるか又は傾斜面に置かれることにより、内側フレームは、ディスプレイ筐体カバーに対して滑る可能性がある。この種のスリップは、冷却時とは異なるたわみ特性を形成するだろう。詳細には、たわみ特性は、開放側の長さ254に沿って非対称になるだろう。高温条件の下で接合部が軟化していた場合に、デバイスを落とすか又は振動させるなどにより突然力が加わった場合、別の滑り機構が作用するだろう。
【0098】
冷却後にディスプレイ筐体カバーが歪んだままになり、加熱前の状態には戻らないために、図28に示されるようなたわみ特性264は、美観上望ましくない。更に、図1を参照して説明した磁性ラッチに関して、このたわみ特性264は、ラッチ領域260及び262における磁性ラッチの係止の完全性を損ねる場合がある。磁性ラッチの係止の完全性が損なわれるのは、磁性ラッチとそれに関連するラッチ板との離間距離の関数としてラッチとラッチ板との間の磁力が指数関数的に減少するためである。すなわち、歪むことによって、磁性ラッチとラッチ板との離間距離が増すので、特性264に関して係止の完全性が損なわれるのである。
【0099】
ディスプレイ筐体カバー204などの部品が加熱、冷却された後、その部品は実質的に元の形状に戻ることが望ましい。更に、200のようなポータブルコンピューティングデバイスの温度が上昇した後も、ラッチの係止の完全性が維持されることが望ましい。これらの必要に対応する接合方法は、図4に関して説明された。
【0100】
図29は、ディスプレイ筐体カバー211を内側フレーム276に接合するための接合方法を示すブロック図である。ディスプレイ筐体カバーは、ディスプレイ筐体204の部品である。図29には、ディスプレイ筐体カバー211のヒンジ側250及び開放側252が示される。図示されるように、内側フレーム276は、ディスプレイ筐体カバー211の内面に接合される。内側フレーム276は、その周囲に沿って多様な形状及び厚さを有することができるが、図示の便宜上、簡略化して示されている。更に、内側フレームは、切欠き部分及び種々の装着箇所を含むことができる。
【0101】
接着剤の組み合わせを含む接合方法が内側フレーム276の周囲に沿って示される。接着剤は、内側フレーム276とディスプレイ筐体カバー211との間にそれら2つの部品を接合する接着層274を形成する。本実施形態において、2つの接着剤は、内側フレーム276の周囲に沿った種々の場所で使用される。第1の接着剤290はドット模様により示され、第2の接着剤292は破線により示される。
【0102】
特定の一実施形態において、第1の接着剤は、液体の状態で塗布された後に硬化する2成分エポキシを使用できる。第2の接着剤292は、ポータブル筐体デバイスが試験される高い動作温度で、第2の接着剤が接合の完全性を維持するように選択される。熱サイクルの間に2つの材料の間で第2の接着剤により実現される接合の完全性が維持される場合、2つの材料の膨張率の相違によって発生する熱応力は、ボンドスリップにより解放されずに、接合部にそのまま残る。
【0103】
第2の接着剤292は、開放側252の内側フレームの角部に近接する場所に塗布され、第1の接着剤は他の領域で使用される。ヒンジ側において、ヒンジ機構はボンドスリップを防止するか又は最小限に抑えるので、この領域では第1の接着剤290を使用できる。開放側252の2つの角部の間の領域では、第1の接着剤290を使用できる。第1の接着剤290により形成される接合部が高い動作温度で軟化した場合、第1の接着剤により形成される接合部におけるボンドスリップを最小限に抑えるために、第2の接着剤292により形成される接合部が十分な量の熱応力を蓄積するので、第1の接着剤290を使用できるのである。
【0104】
第2の接着剤292の面積は、選択された最大熱応力から誘起されるボンドスリップを防止しかつ熱サイクル中の接合の完全性を維持するように選択される。一実施形態において、第2の接着剤として、強力(VHB)両面テープが使用される。金属をプラスチックに接合するためのVHBテープは、3M(登録商標)(ミネソタ州ミネアポリス)などの多くのメーカーから市販されている。このテープは、150℃までの温度で接合の完全性を維持するように設計される。
【0105】
他の実施形態において、金属フレームなどの内側フレーム276をプラスチック筐体などのディスプレイカバー筐体211に接合するために1種類の接着剤が使用される。例えば、一実施形態において、適切な接合を確保するために、周囲全体又は周囲の十分な部分にVHBテープが使用される。別の実施形態において、液体で塗布されかつポータブル筐体カバーが受ける熱応力の下で接合を維持する接着剤が使用される。更に、内側フレーム及びディスプレイカバーの材料の熱特性が更に密接に整合している場合、熱応力を減少できるので、液体の形で塗布される接着剤のような1種類の接着剤を使用可能である。
【0106】
図29に関して説明した接合方法を使用することのいくつかの利点は次の通りである。第1の利点は、加熱され、次に冷却された場合に、ディスプレイ筐体カバーが実質的に加熱前の元の形状に戻るように接合方法を設定できることである。第2の利点は、高温で、ディスプレイ筐体カバーの開放側の長さに沿って、開放側の角部は、図28のたわみ特性264及び266によりそれぞれ示されるように中央部に対して上に向かって歪むのではなく、下に向かって歪むことである。すなわち、ディスプレイ筐体カバーが歪んだとしても、デバイスのラッチの完全性を維持できる。
【0107】
図30は、ディスプレイ筐体カバー211の被覆方法を示すブロック図である。いくつかの実施形態において、ディスプレイ筐体カバー211の一部は照明される。例えば、ロゴ300を含む領域280を照明することが望まれる場合がある。ディスプレイ筐体カバーの複数の領域が照明でき、本発明は、ロゴの周囲のような1つの照明領域に限定されない。更に、ロゴ以外の形状が照明される。
【0108】
一実施形態において、ロゴ300の光源として、ディスプレイのバックライト291が使用される。バックライト291は、小型蛍光灯、1列に配列されたLEDのアレイ又はLEDタイルを含むが、それらに限定されない種々の照明機構から発生できる。他の実施形態において、バックライト291以外の光源が使用される。複数の切り抜き領域に対して、複数の光源が使用されるが、バックライト291のような1つの光源が使用される。
【0109】
特定の一実施形態において、切り抜き領域280は、ディスプレイ筐体カバー211にロゴ300の形状で形成される。切り抜き領域280の周囲の領域301は、隆起部分を形成するように凹部になっている。隆起部分は、切り抜き領域280に挿入される差し込み部分又は他の充填材を支持できる。他の実施形態において、切り抜き領域は使用されず、ディスプレイ筐体カバーの一部が被覆されないまま残すことができる。例えば、被覆されない領域はロゴ300の形状となることができる。ディスプレイ筐体カバーが光を透過する場合、被覆されていない領域は、ディスプレイのバックライトのような光源により照明される。
【0110】
ディスプレイ筐体カバー211の内面は2つの層で被覆される。まず、白色層が塗布され、次に、白色層の上に第2の灰色層が塗布される。塗料は、前述のようにプラスチックであるディスプレイ筐体カバー材料に適合しかつ遮光特性を有するように選択される。2つの被膜層は切り抜き領域280の縁部に塗布される。切り抜き領域280の縁部からディスプレイ筐体カバーの外周付近の何らかの領域に至る部分を含むが、それに限定されないディスプレイ筐体カバー211の一部分に、初めの2つの層が塗布される(複数の切り抜き領域が使用される場合、初めの2つの塗料層は、それらの切り抜き領域の各々の縁部に沿って延出できる)。初めの2つの被膜層で被覆されたディスプレイ筐体カバーの部分は、内側被覆領域290と呼ばれる。
【0111】
切り抜き領域を取り囲むいずれかの領域で、初めの2つの層の上に第3の被膜層が塗布される。一実施形態において、第3の層は、切り抜き領域280の周囲の円形領域299に塗布される。第3の被膜層は、切り抜き領域280の周囲の凹部領域301に挿入材料又は充填材が挿入される前又は挿入された後に塗布される。第3の被膜層は、ロゴ300に近接して起こるシャドーイング効果を低減するために塗布される。
【0112】
図31は、ディスプレイ筐体カバー211の照明部分と関連する被覆方法の被膜層を示す図である。図30に示される切り抜き領域280のような切り抜き領域の周囲の横断面が示される。種々の層の厚さは典型的な厚さではなく、単に例示を目的として示されているにすぎない。ディスプレイ筐体カバー211は、ディスプレイ筐体カバー材料272から形成されかつ外側化粧面282及び内面281を有すると説明される。光源286は挿入部材287を照明するための光を発生できる。
【0113】
前述のように、白色層で形成できるが、それに限定されない第1の被膜283は化粧面281の内面に塗布される。次に、灰色層で形成できるが、それに限定されない第2の被膜284は白色層の上面に塗布される。それらの被膜は、挿入部材287により境界を規定される切抜き領域の縁部に塗布される。いくつかの実施形態において、ユーザの目に見える挿入部材287の外面は、化粧面282から突出していてもよく、化粧面282と同一平面にあってもよいが、化粧面282に対して窪んでいてもよく、それらの構造の組み合わせが使用されてもよい。層284に第3の被膜層285が塗布される。この層は、図30に示される299のように、挿入部材287の周囲のいずれかの領域に塗布される。一実施形態において、第3の層は、挿入部材287及び挿入部材287を取り囲む領域を覆うように塗布される。
【0114】
特定の実施形態において、第1の被膜層283及び第2の被膜層284は、図31に示されるように挿入部材287の縁部に塗布される。この構成は、外側から見た場合に挿入部材に対して1つの照明効果を生み出す。別の実施形態において、挿入部材287に近接する場所で、第3の被膜285は、第1の被膜層及び第2の被膜層が挿入部財287と接触しないように第1の被膜層及び/又は第2の被膜層の縁部を被覆できる。例えば、切り抜き領域の縁部の周囲で、第3の被膜層のみが挿入部材287と接触するように、第1の被膜層及び第2の被膜層は第3の被膜層により被覆される。
【0115】
第1の被膜層、第2の被膜層及び第3の被膜層の色は、単に例として挙げられているに過ぎず、先に白色層の使用を説明したが、白色、灰色には限定されない。一般に、第1の被膜283の色は、ディスプレイ筐体材料272の色又は外観を維持又は向上するように選択される。第1の被膜は、ディスプレイ筐体の外側にある光源から放射されてディスプレイ筐体材料を透過する光を吸収又は反射することにより、ディスプレイ筐体材料の色又は外観を維持又は向上できる。第1の被膜の吸収特性及び反射特性は波長によって異なる。
【0116】
特定の一実施形態において、第1の被膜の被膜色は、ディスプレイ筐体材料272の色に応じて選択される。例えば、ほぼ白色であるディスプレイ筐体材料の場合、白色の第1の被膜が使用される。しかし、青色などの別の色のディスプレイ筐体材料の場合、青色被膜のような別の色の第1の被膜のほうがディスプレイ筐体材料の色又は外観をよく維持又は向上できることもある。
【0117】
第2の被膜284は、ディスプレイ筐体の内側にある光源からの光の透過を調整しかつ第1の被膜の色に適応するように選択される。第2の被膜の色は灰色に限定されず、他の色の被膜が使用される。第3の被膜285は、ディスプレイ筐体の外側から見た場合のロゴなどのディスプレイ筐体カバーの照明部分の色及び外観を調整するように選択され、また、他の2つの被膜層に適応するように選択される。第3の被膜285は、ディスプレイ筐体の外側にある光源から透過される光及びディスプレイ筐体の内側にある光源から透過される光に作用する。例えば、第3の被膜は、ディスプレイ筐体の外側にある光源から挿入部材287を介して透過される光に作用しかつディスプレイ筐体の内側に配置されたディスプレイに使用されるバックライトから透過される光に作用する。
【0118】
第3の被膜は、特定の波長の光を吸収及び/又は反射することにより、ロゴなどのディスプレイ筐体カバーの照明部分の見かけの色を変化させる。例えば、ディスプレイ筐体カバーの照明部分の色を緑色にするために、緑色の第3の被膜が選択される。別の例として、先に説明したように、第3の被膜の色は、ディスプレイ筐体カバーの照明部分の周囲のシャドーイング効果を排除するように選択される。
【0119】
図32は、ディスプレイ筐体を組み立てる方法400を示すフローチャートである。402において、ディスプレイ筐体カバー及び内側フレームが提供される。ディスプレイ筐体カバーはプラスチックから形成されかつ内側フレームは、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム又はマグネシウム合金などの金属から形成される。ディスプレイ筐体カバーは、挿入部材を受け入れるように構成された1つ以上の開口部又は穴を含むことができる。特定の実施形態において、それらの開口部又は穴は、照明されるロゴを構成するために使用される。
【0120】
ディスプレイ筐体カバーは、外側化粧面及び内面を有すると説明される。ディスプレイ筐体カバーは光を透過できる。化粧面の見かけを変化させるために、1つ以上の被膜層が内面に塗布される。例えば、被膜層は、ディスプレイ筐体カバーの外側にある光源からディスプレイ筐体カバーを介して透過される光を吸収又は反射できるが、被膜層は、ディスプレイ筐体カバーの内側にある光源からの光を吸収又は反射できる。被膜層による光の吸収及び反射によって、ディスプレイ筐体カバーの外側化粧面の見え方が変化する。
【0121】
404において、ディスプレイ筐体カバーの第1の領域に第1の被膜層が塗布される。一実施形態において、第1の被膜層は白色塗料などの白色層で形成できる。406において、第1の被膜層を覆うように第2の被膜層が塗布される。一実施形態において、第2の被膜層は灰色塗料で形成できる。
【0122】
408において、第2の被膜層に第3の被膜層が塗布される。特定の一実施形態において、第3の被膜層は、第2の被膜層が塗布されている領域より狭い領域に塗布することができる。例えば、第3の被膜層は、おおよそ、ディスプレイ筐体の内側に配置された光源からの照明を受ける領域に塗布することができる。
【0123】
特定の実施形態において、ディスプレイ筐体カバーは、隆起部分により取り囲まれた1つ以上の開口部を含む。隆起部分は開口部を被覆する挿入部材を支持する。1つ以上の開口部はロゴの形状とすることができる。挿入部材はディスプレイ筐体カバーの内側から照明される。
【0124】
初めの2つの被膜層は、ディスプレイ筐体カバーの1つ以上の開口部の縁部まで塗布される。次に、挿入部材が1つ以上の開口部に差し込まれた後、ディスプレイ筐体カバーの内面を形成する挿入部材の一部分及び挿入部材を取り囲む第2の被膜層の領域に第3の被膜層が塗布される。
【0125】
一実施形態において、408で、内側フレームに第1の接着剤が塗布される。第1の接着剤は液体の状態で塗布される2成分エポキシを使用できる。410において、内側フレームに第2の接着剤が塗布される。第2の接着剤は強力接着剤を使用できる。第2の接着剤は両面テープとして提供される。412において、第1の接着剤及び第2の接着剤を使用して、内側フレームはディスプレイ筐体カバーに接合される。他の実施形態において、第1の接着剤及び第2の接着剤がディスプレイ筐体カバーに塗布された後、内側フレームが第1の接着剤及び第2の接着剤に接合される。また、第1の接着剤が内側フレームに塗布されかつ第2の接着剤がディスプレイ筐体カバーに塗布され、逆に、第1の接着剤はディスプレイ筐体カバーに塗布されかつ第2の接着剤は内側フレームに塗布される。その後、2つの部品が一体に接合される。
【0126】
電気的接地及び音声システム構造
更に図33を参照すると、複数の音源からキーボードを介して音声信号が放射される例示的なポータブルコンピューティングデバイスが右側正面向き斜視図で示される。ポータブルコンピューティングデバイスで実行可能な種々のアプリケーションと関連する音楽及び音声のような音声信号をユーザに供給するために、1つ以上の音源が設けられる。1つ以上の音源は、本体202の内部に配置される。音声信号350を放射するそれらの音源は、図34に例示のために示されるが、必要に応じて、音源の数はそれより少なくてもよいし、多くてもよいことが容易に理解されるだろう。
【0127】
一実施形態において、キー352のようなキーを含めて、キーボード218のキーの間の間隙を通して、本体202内部で発生された音声信号をポータブルコンピューティングデバイス202から伝播させることができる。他の実施形態において、本体の内部から外部への音声伝播経路を形成するために、本体202の他の開口部が使用される。例えば、以下に図6に関して説明されるように、本体202の内部から音声信号を伝播するために、プロセッサの空冷のために使用される通気口が使用される。
【0128】
音声信号を伝播する経路として、キーボード218のキーの間の間隙を使用することの利点の1つは、音声伝播を実現するために本体202に別の部材を追加する必要がないことである。音声伝播のために形成される専用の開口部がないので、より外観がよいと考えられる構造を得ることができる。更に、本体202を機械加工する工程の数が減るので、製造コストも削減できる。また、専用開口部がないので、本体202内部に収納されている電気部品に悪影響を及ぼす可能性がある塵芥の侵入口をなくすことができる。
【0129】
図35は、キーボードアセンブリの下方に配設された音源を有する例示的なキーボードアセンブリ378を示す横断面図である。図35は、キーボード基板378に装着された支持構造376に取り付けられたキー368を含む。キー368は、キー368の上面に力を加えることによりキーボード基板に向かって操作される。キー368の操作に対応するために、本体202の外側層366に、キー368よりわずかに大きい開口部が形成される。
【0130】
一実施形態において、キーボードアセンブリ基板378の下方に音源310が配設される。図示の便宜上、音源310は基板382に配置されるように示されるが、配置場所はそれに限定されない。例えば、一実施形態において、音源310は、図34に示されるように別の部品に装着されるのではなく、基板378に一体に組み込まれるか又は基板378の上面に装着されるなどして、キーボードアセンブリに組み込まれる。更に、音源は、キーボード218の種々のキーの下方に配置されるが、特定のキーの場所には限定されない。
【0131】
一実施形態において、音源は、ほぼキーボードの「F6」キーの下方に配置されるが、この場所には限定されない。キーボードを利用しているユーザの手が音声を吸収してしまうのを避けるために、キーボードの周辺にあるキーなどの頻繁に使用されないキーの下方に音源を配置することが望ましい。例えば、音源がファンクションキーの下方などのキーボードの上部付近に配置された場合、通常の動作中、ユーザの手はこの位置より下の位置にあるのが普通である。
【0132】
音源310がキーボードアセンブリの下方に装着された場合、音源により発生された音声信号がキーボード基板380を介して伝播するための音声伝送経路を形成するために、キーボードアセンブリの基板378は、音源の上方に配置される開口部380を含むことができる。音声信号とは、310のような音源により発生される音波のことである。種々の実施形態において、複数の小さな開口部又は1つの大きな開口部などの1つ以上の開口部がキーボード基板380を貫通するように形成される。
【0133】
特定の一実施形態において、音源310から放射される1つ以上の音声信号周波数を増強(例えば、増幅)するために、管などの空気のチャンバ308が音源310に接続される。チャンバの一端は、音源から発生される音声信号を受け取り、チャンバを通過して音声信号が伝播される間、高調波を発生することなどにより、1つ以上の音声信号周波数が増強される。チャンバ308の大きさ及び寸法は、音源310の周波数応答を所望の程度に向上するように選択される。一実施形態において、チャンバ308の大きさは、音源310の周波数応答における低い音声信号周波数を増強するように選択される。種々の実施形態において、音源の周波数応答を変化させるように構成された1つ以上のチャンバを有する音源310が使用されるが、音源310はそのようなチャンバを含まない。
【0134】
チャンバ308は出口ポート370を含む。出口ポート370は、チャンバ308から放射される音声信号を変化させることができるメッシュカバーなどのカバーを含むことができる。音源310のドライバは、放射される音声信号(種々の周波数の音波)の主方向384がキー368の底部に向かうような構成を有するものとして示される。図示されるように、出口ポート370は、放射音波の主方向が音源310のドライバの方向に対して垂直な方向となるような向きを有する。
【0135】
一般に、放射音源及びチャンバ308の出口ポート370の主方向は、ポータブルコンピューティングデバイスの種々の内部部品の実装によって規定されるか又は内部部品の実装に役立つあらゆる音声伝送経路を利用できる向きに設定され、キーボードの下方の場所に限定されない。例えば、一実施形態において、音源310の主方向はキーボード218を通過する方向であるが、チャンバ308と関連する出口ポートは、本体202の片面に配置された主ロジックボードに対して空気の循環及び冷却を実行するために使用される通気口と位置合わせされる。更に、ディスプレイを含めてポータブルコンピューティングデバイス200の可動部分に1つ以上の音源が配置される。
【0136】
更に別の実施形態において、310のような音源は、出口ポート370を有するチャンバに結合される。音源310のドライバ及び出口ポート370から放射される音声信号の主方向は、所望の音声伝送経路を利用するように選択されかつ互いに対してどのような向きに設定される。例として、出口ポート370は、音源310のドライバとほぼ同一の方向に音声信号を放射するように向きを設定することができ、主に逆方向(例えば、キー368から離間する方向)に音声信号を放射するように向きを設定することができる。あるいは、出口ポート370は、(図示されるように)音源310に対して垂直な方向に音声信号を誘導できる。
【0137】
図35において、音源310のドライバから放射される音声信号の主方向384は、間隙364の整列方向と平行でありかつ音源310のドライバの上面及びキー368の上面に対して垂直である。他の実施形態において、主方向384は他の方向とすることができる。例えば、音源310の主方向384が間隙364の方向と平行ではなくなるように、音源310のドライバは傾斜される。詳細には、より多くの音声をポータブルコンピューティングデバイスのユーザに供給できるように、主方向384はタッチパッド216(図33に示される)に向かって傾斜される。
【0138】
図35において、音源310から音声信号又は音波が放射された後、音波は、ポータブルコンピューティングデバイスの本体202内部の種々の経路を介して伝播できる。例えば、音波は、音源310のドライバから音源310の基板384とキーボードアセンブリの基板378との間の間隙372を通り、キーボードアセンブリの基板378の1つ以上の開口部380を通り、キーボードアセンブリの基板380と本体202の外側層366との間の間隙374を通る経路に沿って伝播し、368のようなキーと本体の外側層366との間の364のような間隙の間を通って本体202から放射される。音源から放射された音波の一部は、音源310から本体202の内部を通過して本体202の外側へ伝播される間に吸収及び/又は反射され、これにより、音源310から放射されるある特定の周波数に関して音声レベルが増/減される。更に、音波の種々の高調波が発生される場合がある。それらの高調波は望ましくない振動又は雑音を発生する可能性がある。
【0139】
ある特定の音波が本体202を介して伝播される間に受ける影響の量は、音波の周波数、伝送経路に沿った種々の部品の材料が周波数の関数として吸収又は反射する音声エネルギーの量などの種々の部品の材料特性、間隙372及び374などの層の間隔、364のようなキーと筐体及びキー368の外側層366との間隔並びに基板378の開口部の大きさ及び数によって異なる。従って、音源310が本体202に装着された場合に自立構成で測定される音源310の周波数応答は、音源310が本体202内部に装着された場合にキーボード218の上方のいずれかの箇所で測定される音源310の周波数応答とはまったく異なる可能性がある。
【0140】
いくつかの実施形態において、ポータブルコンピューティングデバイス200のユーザにより検出される音質のような、本体の外側で検出される音源310からの音声の音質を改善するために、ポータブルコンピューティングデバイス200の本体202内部に装着される音源310のドライバへ送出される電気信号にイコライザが適用される。イコライザは、音源310の周波数応答が変化するように適用される。イコライザを適用すると、音源310から音楽のような音声が出力された場合、振幅は、ある特定の周波数で増加し、他の周波数では減少する。
【0141】
次に図36を参照すると、本発明の一実施形態に係る例示的な音声システムのブロック図が示される。音声システム390は、391のような1つ以上の音源と、イコライザ362を含む音声信号処理部360とを含むことができる。音源は、電気信号を空気などの媒体を介して伝播される音波に変換する1つ以上の電気音響変換器を含むスピーカを使用できる。スピーカの変換器部分は、ドライバと呼ばれる。電磁相互作用により駆動されるコーン形ダイアフラム及び電気の印加に応答して振動する圧電材料は、本明細書において説明される音声システム390と共に利用可能な変換器の種類の2つの例である。音声信号処理部360は、デジタルフォーマットなどの特定のフォーマットで符号化された音声データをポータブルコンピューティングデバイスと共に使用される310のような音源の特定の構造に適合する電気信号に変換するハードウェア及び/又はソフトウェアの種々の組み合わせを表できる。
【0142】
特定のフォーマットで符号化された音声データが音源により受信される信号に変換される間のいずれかの時点で、音源に対する電気信号が変化されるように、イコライザ362が適用される。391のような音源からの音声がポータブルコンピューティングデバイスの本体202の外側で検出される場合に、音源から更に聞き取りやすい美しい音質が発生されるようにイコライザ362が適用される。また、音源の通常の動作から発生する望ましくない振動及びうなり音を減少するために、イコライザ362のいくつかの機能が適用される。音源並びにその音源と関連しかつ音源が本体202に装着される場所によって異なる音声伝達経路の周波数応答を考慮に入れるために、異なる音源に対して異なるイコライザが使用される。
【0143】
他の実施形態において、音楽又はある種の音楽のような種々の音声データに対して異なるイコライザが使用される。特定の一実施形態において、出力中の音声データの種類が検出され、その種類の音声データを考慮に入れるように、音源と関連するイコライザが調整される。別の実施形態において、特定の音源に対応する362のようなイコライザは、キーボードが能動的に使用されているか否かの判定に応じて動的に調整される。ユーザがキーボードの上に手を置くことにより、スピーカを通して伝送される音源からの音声の検出音質が変化する。更に、キーボードを介する音声の伝送により、特定のユーザにとっては望ましくないキーボードの感触が生じる場合もある。そこで、キーボードが能動的に使用されている場合にキーボードを介して音声を伝送している391のような特定の音源に対して362のようなイコライザを変化させることが望ましい。
【0144】
図37は、ワイヤレスカード(図示せず)及び音源310を支持するように構成されたポータブルコンピューティングデバイス200の内部部品302を示す図である。内部部品302は、プラスチックなどの材料から形成される。特定の実施形態において、内部部品302は、ねじなどの締結具を挿入できる2つの装着箇所316a及び316bを含む。内部部品の底面は面314により示される。底面314とは反対の側の部品302の上面にワイヤレスカードの接続部を差し込むことができるようにするために、底面314に切欠き部分311が形成される。図37には、3箇所の接続を可能にする切欠き部分311が示される。底面は、底面314を貫通する別の切欠き部分312a及び底面314のスロット312bを含む。
【0145】
スロット312bは、リボンケーブルを通すための経路を形成し、切欠き部分312aを通してリボンケーブルをワイヤレスカードに装着できる。内部部品302はスピーカ310を含む。特定の一実施形態において、スピーカは電磁相互作用により駆動されるコーン形ドライバを含む。出口ポート306を有するチャンバ308はスピーカ310に音響結合される。チャンバ308の大きさは、低周波数応答のようなスピーカ310の周波数応答を向上するように選択される。本実施形態において、チャンバ308の大きさは、ワイヤレスカードがあることによって制限される。ワイヤレスカードの挿入によって、チャンバ308の可能な長さ、すなわちスピーカから出口ポート306までの距離が制限される。管308は必ずしも矩形でなくてもよく、いくつかの実施形態において、湾曲した形状であってもよい。
【0146】
図38に目を移すと、ポータブルコンピューティングデバイス200の本体202の部分301の中に装着された例示的な内部部品302が平面図で示される。図38において、本体202の下面カバーは取り除かれている。本体202の反対側は、キーボードアセンブリのキーの操作を可能にするための開口部を含む。内部部品302は部分301の中に挿入された位置で示される。部品は構造補強材330に隣接して配置される。
【0147】
内部部品302は、スピーカ310が反対側のキーボードを通して音声を誘導するように配置される。一実施形態において、前述のように、スピーカはキーボードの「F6」キーの下方に配置される。出口ポート306は、チャンバ308からの音声が部分301の後側332に向かって誘導されるように配置される。この後側とは、ポータブルコンピューティングデバイスの本体202及びディスプレイ部分がヒンジを介して一体に結合されかつポータブルコンピューティングデバイスを冷却するために空気を循環させるポートを含むことができる場所である。チャンバ308からの音声はそれらのポートのうち1つ以上から放射される。
【0148】
図38に示されるように、ワイヤレスカード324は内部部品302に差し込まれる。図示されるように、2つのコネクタ326a及び326bがワイヤレスカードに接続される。更に、ワイヤレスカード324及び主ロジックボード303に接続されたリボンラインコネクタ322も示される。図示されるように、2つの追加のスピーカ304a及び304bが本体202の部分301に装着される。一実施形態において、スピーカ304a及び304bは圧電スピーカを使用できる。特定の一実施形態において、スピーカ304a及び304bは、反対側のキーボードを通して音声を誘導するように配置される。この構成では、ユーザがキーボードを見ている場合、スピーカ310、304a及び304bはユーザに見えなくてもよい。前述のように、スピーカの数はこれより多くてもよいが、少なくてもよく、スピーカのうちいくつか又はすべてのスピーカは同様にキーボードの下方に配置されることが理解されるだろう。
【0149】
電気的接地システム構造
次に、互いに置き換えて使用可能な電気的接地構造に関する特定の例を提示する。詳細には、以下に示される互いに置き換えて使用可能な電気的接地構造は、導電性ではない外側筐体を使用するポータブルコンピューティングデバイスに特に有用であることがわかる。前述のように、そのようなポータブルコンピューティングデバイスは、例えば、ラップトップコンピュータ、ネットブックコンピュータ、タブレットコンピュータなどを含むことができる。以下の互いに置き換えて使用可能な電気的接地構造は、先に詳細に説明された種々の音声システムの構造部品とは別に利用されるが、それらの構造部品に加えて利用されることが理解されるだろう。いくつかの構成において、1つ以上の部品は、電気的接地構造及び音声システム構造の双方に関して機能を実行できる。
【0150】
一般に、提示される例は、筐体又は外側筐体のすべてをポータブルコンピューティングデバイスのファラデーシールド全体として及び/又は接地平面として使用するという従来の方法を回避できる。これは、筐体又は外側筐体の全体又は大部分が熱可塑性材料又は他の非導電性材料から形成されている場合に特に効果的である。複数の狭い局所接地領域及びEMI/RFシールドをポータブルコンピューティングデバイスの内部に適用できる。デバイス全体に対して総接地平面又は汎用接地構造を形成するために、そのような狭い局所接地領域は互いに電気的に結合される。更に、局所接地領域のうち1つ以上及び/又はそれらの領域の間の電気的カップラは、特に構造支持体、ヒンジ、ブラケット及びクラッチなどのポータブルコンピューティングデバイスの1つ以上の追加機能を実現できる。
【0151】
図39には、非導電性外側筐体を有する一部解体された状態のポータブルコンピューティングデバイスの例示的な電気的接地構造の全体が右側正面向き斜視図で示される。ポータブルコンピューティングデバイス200は、例えばラップトップコンピュータとすることができかつ前述のように本体202と、ディスプレイ206を有する可動蓋204とを含むことができる。ポータブルコンピューティングデバイス200の多くの追加機能及び部品は先に詳細に説明された通りであるので、電気的接地システム構造に関連する場合を除き、ここでは詳細な説明を省略する。図示の便宜上、特にキーボード、タッチパッド及びディスプレイ画面を含めてコンピューティングデバイス200のいくつかの部品は図7から取り除かれている。汎用接地構造400は、ポータブルコンピューティングデバイス200の総接地平面を構成し、この総接地平面は、複数の個別の接地部品401から構成される。個別の接地部品401はポータブルコンピューティングデバイスの種々の領域に局所的に割り当てられ、かつデバイス全体に対して汎用接地平面が形成されるように、種々の電気コネクタにより互いに電気的に結合される。
【0152】
局所接地領域から成る個別の接地部品は、例えばバックプレート410、MLBフレーム420、背面ブラケット430及びディスプレイシャシ440を含むことができる。デバイスの総接地平面を形成するように種々の個別の局所接地部品を結合するために使用可能な電気コネクタは、例えばMLB403、複数の接地ピン415、複数の背面ブラケットタブ435、ディスプレイシャシ配線445及びリボンラインコネクタ424を含むことができる。リボンラインコネクタ424は、ディスプレイクラッチアセンブリ450に結合された音声部品402に結合される。汎用接地構造400の一部として更に別の個別の接地部品が存在するか又は指定されてもよいが、接地部品の数は減らされること及び上述の例示的な電気コネクタのうちいずれかのような種々の電気コネクタは、他の大きさで形成されるか、配列を変更されるか又は汎用接地構造中の個別の接地部品自体として指定されてもよいことが容易に理解されるだろう。同様に、汎用接地構造400の種々の個別の局所接地部品を互いに結合するために、更に別の電気コネクタが使用されてもよいが、電気コネクタの数は減らされる。
【0153】
導電性外側筐体から構成される従来の1つの接地平面の代わりに、複数の局所接地領域を設けることにより実現できる利点の1つは、特定の部品に要求される接地条件に関して適切に焦点を絞って接地できるため、材料コストを削減できることである。他の機能を実現する1つ以上の既存の部品を汎用接地構造400の一部として利用することにより、更なるコスト削減を実現できる。これにより、ある特定の部品の何らかの設計変更及び/又は設計の拡張が必要になる場合もあるが、汎用接地平面を形成するためだけに金属構造又は他の導電性構造を追加することに依存する必要性は全体として少なくなるか又はまったくなくなる。特に、種々の狭い局所接地領域が形成され、それらの領域は、いずれも従来のように筐体又は外側筐体ほど大きいということはない。
【0154】
次に図40A及び40Bを参照すると、図39の例示的なポータブルコンピューティングデバイスの本体が一部解体された状態で底面図及び平面図によりそれぞれ示される。種々の個別の接地部品、電気コネクタ及び他のデバイス部品の更なる詳細は、底部筐体が取り除かれている図40A及びキーボード、タッチパッド及び上部筐体が取り除かれている図40Bから明らかである。例示の便宜上、本体202の内部にある種々の部品を明示するために、図40Aでは外側筐体の底部は取り除かれている。従って、図40Aには、外側筐体の底部及びそれに結合されたバックプレート410は示されていない。図40Aは、デバイス200の底面から本体202を見通しているので、バックプレート410は図40Aの紙面の高さにほぼ位置することが理解されるだろう。図示されるように、ポータブルコンピューティングデバイス200は、特に主ロジックボード(「MLB」)403、バッテリアセンブリ404、ハードディスクドライブ(「HDD」)405、ファン406、光ディスクドライブ(「ODD」)407及び音声部品402などの多数の典型的な電気部品を有することができる。いくつかの部品は、耐荷重能力及び電気的接地能力を提供できることが容易に理解されるだろう。
【0155】
前述のように、スペースの制約を最小限に抑え、接地平面を形成するという目的のためだけに金属を追加使用することを避けかつデバイスの全部品の数を減らすことにより簡素化を図るように、個別の局所接地部品のうちいくつか及び/又はそれらの素子の間の電気コネクタは、ポータブルコンピューティングデバイスの追加機能を実現できる。例えば、バックプレート410は、汎用接地構造400の一部を形成する個別の局所接地部品であるが、外側筐体201を装着しかつ外側筐体201を支持することができる内側構造部品として機能できる。前述のように、外側筐体201は、本発明に係る多様な外観及びテクスチャのうちいずれかを有する多様な非導電性材料のうちいずれか1つ、例えば熱可塑性材料から形成される。従って、バックプレート410は、構造上、信頼性が不足すると思われる外側筐体201を構造支持しかつ外側筐体201に剛性を与える。すなわち、バックプレート410は、先の「外側筐体」の章で述べられた構造支持層として使用されてもよい。上記のすべての機能条件に適合するように、バックプレート410は、例えばアルミニウム、鋼、マグネシウム又はマグネシウム合金などの適切な金属から形成される。
【0156】
MLBフレーム420は、ポータブルコンピューティングデバイス200の複数の機能を実行する個別の局所接地部品の別の例である。すなわち、MLB403、ファン406及びMLB403に実装又は結合された多数の電気部品などの電気部品に対して個別の局所接地部品を形成するのに加えて、MLBフレーム420は、MLB403を支持しかつ構造上の剛性を向上する働きをする。表面実装されていること又は他の理由により撓みによって損傷されやすいMLB403の個々の素子の数が多いので、MLB403は堅固に支持されなければならない。MLBフレームはそのような支持機能を実現するように特定して設計される。MLBフレーム420に装着されかつMLBフレーム420により物理的に支持されることが可能な他の部品には、特にファン406、光ディスクドライブ407及び音声部品402などがある。前述のように、音声部品402は、MLB403に電気的に接続されかつフレックスコネクタ又はリボンラインコネクタ424を介してMLBフレーム420にも電気的に接続される一体形音声/ワイヤレスカードを備えることができる。MLBフレーム420へのそのような接続は、例えばフレックスコネクタ又はリボンラインコネクタ424の中央部がMLBフレームの壁縁部と接触する接地点425で行われる。MLB420が接地を実現できるその他の部品には、MLB403に結合される何らかの数のI/Oポートが含まれる。
【0157】
更に別の機能として、MLBフレーム420は、MLB403に対してRF遮蔽又はEMI遮蔽を実現できる。MLBフレーム420はあらゆる方向からMLB403を取り囲む必要がないので、MLBフレーム420とバックプレート410との組み合わせによって、そのようなRF遮蔽又はEMI遮蔽を効果的に得ることができる。いくつかの実施形態において、MLBフレーム420及びバックプレート410は、MLBフレーム403に対して局所ファラデーケージとして作用するように組み合わされるが、MLBフレームとバックプレートとの組み合わせは、MLBとポータブルコンピューティングデバイス200の他の場所に配置された1つ以上の他の部品との間の雑音をすべて隔離するために、少なくともEMIシールドを形成するのが好ましい。詳細には、RF遮蔽の面で、MLBフレーム420及び/又はバックプレート410は、MLB403と、例えばディスプレイ筐体及び/又はディスプレイクラッチアセンブリに埋め込まれたアンテナなどのポータブルコンピューティングデバイス200の何らかの無線アンテナとの間の雑音又は干渉を遮蔽できる。MLBフレーム420とバックプレート410との間の接地ピン415のような電気コネクタは、それらの部品の組み合わせ汎用接地平面特性及び/又はEMI遮蔽特性を更に向上してもよい。
【0158】
MLBフレーム420は、適切な選択肢の中でも、アルミニウム、マグネシウム又はマグネシウム合金などの強度及び剛性に優れた軽量の導電性材料から形成される。いくつかの実施形態において、マグネシウム合金が使用される。前述のように、MLBフレーム420は、MLB403のように大きな撓みが許容されない種々の部品を構造支持しかつその剛性を向上できる。更に、MLBフレーム420は、種々の構造コネクタを介するなどして、1つ以上の耐荷重部品から受け取られた荷重を分散できる。いくつかの実施形態において、MLBフレーム420は、非導電性外側筐体に製造された外部機能部材を支持するように構成される。例えば、外側筐体の種々の開口部は、相対的に広いスパンで形成されなければならない場合もあるデータポート、給電ポートなどのポートに対する操作を可能にするために使用される。
【0159】
いくつかの実施形態において、MLBフレーム420は、矩形の箱の5つの面を有することができ、MLB403はその中に配設されかつ開いた第6の面は組み立て後にバックプレート410により被覆される。いくつかの実施形態において、MLBフレーム420は、余分な材料が浪費されないようにMLB403よりわずかに大きいサイズを有することができる。これにより、MLBフレーム420、更にはポータブルコンピューティングデバイス200全体の費用の削減及び軽量化を実現できる。いくつかの実施形態において、MLBフレーム420は、ポータブルコンピューティングデバイス200内部の1つ以上の他の電気部品に対して構造支持及び/又は電気的接地を実現するために使用される1つ以上の延出部分と一体に形成されてもよい。例えば、MLBフレーム420の側方延出部分は、MLB403からMLB403を横切るようにODD407の上方へ延出し、本体202の外側筐体の反対側の側壁に到達できる。そのような側方延出部分は穴を含んでもよく、例えば更なる隔離及び支持を実現するために、MLBフレーム420には、MLB403とODD407との間に中央壁が設けられてもよい。
【0160】
MLBフレーム420は軽量であるのが好ましいが、いくつかの適切な技術のうち打ち抜きなどのいずれかの技術を使用して、MLBフレーム420を貫通する複数の穴422を形成することにより、MLBフレーム420を更に軽量化できる。複数の穴422は、MLBフレーム420の強度又はMLB403のように撓むことがほぼ又はまったく許されない部品を支持するMLBフレーム420の能力に実質的に影響を及ぼすことなく、MLBフレーム420の重量を減少できる。更に、MLBフレーム420から大量の材料が取り除かれるにもかかわらず最大限のEMI遮蔽が実現されるように、複数の穴422は特定のパターンで配列される。そのような穴の形成又は材料の除去により形成されかつ信頼性の高いEMIシールドを実現するパターンがどのようなものであるかは、当業者には容易に理解されるだろう。また、そのような適切なパターンは、MLBフレーム420の穴422に使用されてもよい。
【0161】
前述のように、バックプレート410及びMLBフレーム420などの電気的に別個である接地部品を結合するために、多様な電気コネクタを使用可能である。例えば、バックプレート410とMLBフレーム420とを結合するために、MLB403及び/又は複数の接地ピン415が利用される。他の電気コネクタが同一の目的のために使用されることは言うまでもない。汎用接地構造400全体を形成する過程の一部として、別の間接的な経路によりバックプレート410とMLBフレーム420とが電気的に結合されてもよい。バックプレート410及び/又はMLBフレーム420を背面ブラケット430及び/又はディスプレイシャシ440などの1つ以上の他の個別の局所接地部品に接続するために、更に別の電気コネクタが使用される。例えば、複数の背面ブラケットタブ435が背面ブラケット430をMLBフレーム420に電気的に結合することができ、ディスプレイシャシ配線445は、例えばディスプレイクラッチアセンブリ450を介してディスプレイシャシ440を背面ブラケット430に結合できる。更に、ディスプレイクラッチアセンブリ450に結合されている音声部品402に結合されたリボンラインコネクタ424は、MLBフレーム420をディスプレイシャシ配線445に電気的に接続し、更にはディスプレイシャシ440に接続できる。
【0162】
いくつかの実施形態において、音声部品402を含む一体形ワイヤレス/音声カードは、MLBフレーム420に直接装着されず、例えば光媒体を受け入れるために使用可能なODD407の一部である金属プラットホーム又は金属ウィングに載置される。金属プラットホームは、支持の目的に使用されるのに加えて、ディスプレイシャシ配線445を接続できるシャシ接地点を形成できる。前述のように、MLB403などを介してMLBフレーム420とバックプレート410との電気的接触を実現するために、接地ピン415が使用される。接地ピン415は、MLBフレーム420とバックプレート410との間でMLB403自体からは電気的に隔離された直接接点として作用してもよい。あるいは、1つ以上の接地ピン415は、MLB403の種々の接地領域に対して1つ以上の直接接点を形成できる。接地ピン415は、例えばポゴピンとすることができるが、他の適切な種類の接地ピンが使用されてもよい。
【0163】
このように、MLBフレーム420、バックプレート410及び接地ピン415は組み合わされて、MLB403の種々の素子から発生されるRFエネルギーを封じ込めることができる効果的なEMIシールド又はRFシールドを形成できる。更に、このRFシールドは、一体形ワイヤレス/音声カードの無線性能に重大な影響を及ぼすRF漏れ及びRF干渉から一体形ワイヤレス/音声カード又は他の音声部品402などの回路を保護できる。
【0164】
次に図41を参照すると、図をわかりやすくするために、背面ブラケット及びそれを取り囲む領域が拡大側断面図で示される。多機能個別接地部品の更に別の例として、背面ブラケット430は、1つ以上の関連する電気部品に対して局所接地を実現すると共に、種々の場所で構造全体を支持しかつポータブルコンピューティングデバイス200の本体202と蓋204との間の機械的相互作用を補助できる。種々の実施形態において、背面ブラケット430は本体202及び蓋204に関して片持ち梁として作用する。従って、背面ブラケット430は、マグネシウム又はマグネシウム合金などの強度に優れた軽量の弾性材料から形成される。更に、背面ブラケット430は、MLBフレーム420に加えられた後に分散されないと、MLBフレーム420と外側筐体との間の接合に悪影響を及ぼす可能性がある極めて集中した荷重の分散を補助できる。
【0165】
更に、背面ブラケット430は、ポータブルコンピューティングデバイスの外側筐体と外部環境との間の空気の流通を容易にすると同時に、ポータブルコンピューティングデバイスの内部を外側から覗きにくくする通気口のような構造436を含むように形成される。また、背面ブラケット430は、蓋204からディスプレイクラッチ450を介して本体206へ、更にはMLBフレーム420及び/又はバックプレート410へ機械的荷重を伝達するように構成される。背面ブラケット430は個別の局所接地構造を形成するが、背面ブラケット430及びMLBフレーム420という2つの個別の接地構造がポータブルコンピューティングデバイス200の汎用接地構造の一部として直接電気的に接続されるように、背面ブラケット430は、MLBフレーム420に直接接触する複数の背面ブラケットタブ435を更に有することができる。背面ブラケットタブ435は、背面ブラケット430の一部として一体に形成され、例えば背面ブラケット430の製造中に背面ブラケット430に特別に機械加工された面取り接点とすることができる。
【0166】
ディスプレイシャシ440も個別の局所接地部品として機能してよい。個別の接地部品410、420及び430とは異なり、ディスプレイシャシは、ポータブルコンピューティングデバイス200の本体202ではなく、蓋204に配置される。図42Aは、図39の例示的なポータブルコンピューティングデバイスの蓋204を正面図で示し、図42Bは、蓋を側横断面図で示す。本発明のポータブルコンピューティングデバイスの蓋204は、ディスプレイ画面206、ディスプレイカバー207及び周囲を取り囲むベゼル209と、ディスプレイシャシ440及びディスプレイクラッチアセンブリ450とを含むことができる。ディスプレイシャシ440は、本質的には、ディスプレイ画面206の背面とデバイスの外側筐体との間に挟まれた金属又は他の導電性材料から成る板又は薄い部品とすることができる。いくつかの実施形態において、ディスプレイシャシ440は、ディスプレイ画面206の外側縁部の背後に及び/又はそれに沿って配置されたフレームを形成することができ、このフレームには中央部分が欠けている。ディスプレイシャシ440は、本質的には、ディスプレイ、アンテナ及び蓋204の内側に含まれる他のすべての電気部品に対して局所接地点として作用する。
【0167】
例えば、蓋204が直立位置にある場合、ディスプレイ画面206と関連するドライバ又は他のプリント回路基板(図示せず)は、蓋204の底部に又はその付近に位置することができ、そのような電気部品はその場所でディスプレイシャシ440に結合される。給電線、接地線及び他の使用可能な電気配線は、蓋204から、例えばクラッチコネクタ452の場所又はその付近で本体202に接続してもよい。そのような配線には、ディスプレイシャシ440を背面ブラケット430の1つ以上の接点に接続する働きをするディスプレイシャシ配線445が含まれる。1つ以上のディスプレイクラッチアセンブリブラケット又はコネクタは、ディスプレイシャシ配線445と背面ブラケット430の接点とを中継する働きをしてもよい。言うまでもなく、各部品はそのような中継部品を含めてすべて導電性であり、電気的経路に含まれるそのような部品は、すべてデバイスの接地平面又は汎用接地構造400の一部である。
【0168】
上述の本体202の種々の個別の局所接地部品及びコネクタと同様に、蓋204で見られる電気的接地構造の種々の部品も、接地以外の機能性を実現できる。例えば、ディスプレイクラッチアセンブリ450は、適切なコネクタの場所でMLBフレーム420及び/又は背面ブラケット430に機械的に結合しかつMLBフレーム420及び/又は背面ブラケット430に荷重を伝達するクラッチコネクタ452を含むことができる。ディスプレイクラッチアセンブリ450は、蓋204の一部である背面部分456を有するディスプレイクラッチバレル454の中に収納される。背面部分456は、ディスプレイクラッチカバー458に接合されることにより、ディスプレイクラッチ継目459を形成できる。説明される実施形態において、ポータブルコンピューティングデバイス200、特にその上面カバー204が閉じた位置にある場合、後から見てもディスプレイクラッチ継目459はユーザの目に触れない。更に、上面カバー204が開いた位置にある場合、クラッチバレル継目459は、関連するTPU継目(図示せず)と整列するので、そのような継目領域でも一体であるという印象を与え、通常の操作で使用する場合には目に触れないと予測される。
【0169】
図42Cに更に詳細に横断面で示されるように、ディスプレイクラッチアセンブリ450は、多数の電気部品及び機械部品を内包し、それにより、部品がユーザの目に触れないようにする。例えば、ディスプレイクラッチアセンブリ450は、RFアンテナ460、並びに構造コネクタ部品及びスナップコネクタ部品などの種々の機械部品を内包できる。RFアンテナ460は、ディスプレイシャシ460に電気的に結合されると共に、蓋204及び本体202に含まれる個別の局所接地構造を接続するディスプレイシャシ配線445に電気的に結合される。ディスプレイクラッチバレル継目459は、上面カバー204が長く中断されずに続いているように見せる場所に配置できる。背面部分456は、ディスプレイクラッチカバー458を背面部分456に固定するために使用される複数のスナップコネクタ457を含むことができる。
【0170】
ポータブルコンピュータ筐体
図43を参照して、底部ケース300を製造する方法を説明する。以下に、図44に示される工程800〜820を参照してアルミニウム仕上げ処理を説明する。工程800において、構造支持層212を形成するために、アルミニウムのシートが打ち抜き加工される。一実施形態において、構造支持層212を形成するために、5052‐H32アルミニウムシートが打ち抜き加工される。アルミニウムは、従来のラップトップの筐体のようにかさばることなく強度を与えることができる。一実施形態によれば、構造支持層212は約1mmの厚さとすることができる。いくつかの実施形態において、構造支持層212は、約0.8mm程度の厚さとすることができる。当業者には理解されるだろうが、アルミニウムは耐久性に優れているが軽量の材料である。従って、薄型軽量のポータブルコンピューティングデバイスの美観と感触のよさを維持するために、構造支持層212の基本材料としてアルミニウムを使用できる。アルミニウムは、過酷な使用に耐えることができる耐久性に優れた材料であるが、ポータブルコンピューティングデバイス200の内部部品を更に保護しかつ底部ケース300の外面を保護するために、アルミニウムの構造支持層212を覆うように保護層214が塗布される。
【0171】
本実施形態によれば、工程810においてテクスチャ化面を形成するために、打ち抜きアルミニウム構造支持層212は、まず、化学的にエッチングされる。一実施形態において、エッチングによりアルミニウム面にサテンのような仕上がりを実現するために、アンモニウムフッ素酸によるエッチングが使用される。一実施形態によれば、構造支持層のテクスチャ化面は、約120〜140ピーク/cmをピークカウント数として、約0.5〜0.5μmの算術平均表面粗さRaを有するようにエッチングされる。次に、工程820において、高い表面エネルギーを発生するために、テクスチャ化アルミニウムベースは陽極酸化される。一実施形態において、脱イオン水との間の接触角度が約30未満になるように、テクスチャ化アルミニウムベースは陽極酸化される。陽極酸化処理により、高い表面エネルギーを有するアルミニウム構造支持層212の面が形成される。陽極酸化による通常の流出物は、他の製品を製造するために再利用可能でありかつ産業廃水処理にも使用可能であるので、陽極酸化は、かなり環境に優しい金属仕上げ処理である。
【0172】
一実施形態によれば、陽極酸化されたアルミニウム構造支持層212は、その上に接着剤層213が塗布されるまでシーリングされない。陽極酸化中に形成された孔を塞ぐために、通常、陽極酸化アルミニウムは化学シーリング処理により処理される。シーリング処理によって陽極酸化アルミニウムは洗浄しやすくなりかつ退色しにくくなるので、孔のシーリングは望ましい。更に、表面の孔には塵や汚染物質が溜まりやすいので、シーリング処理は、環境の中に存在する有害な汚染物質から陽極酸化アルミニウムを保護することにもなる。しかし、典型的なシーリング処理は表面エネルギーを低下し、その結果、アルミニウム面は接着剤をはじくようになってしまうので、高い表面エネルギーを有する面を残すために、本実施形態において、陽極酸化構造支持層212は化学的にシーリングされるのではない。高い表面エネルギーを持つ面が接着剤を引き寄せやすいことは、当業者には理解されるだろう。構造支持層212の陽極酸化アルミニウム面の高い表面エネルギーは、テクスチャ化面と組み合わされて、構造支持層212に塗布される接着剤層213の接合強さを向上する。
【0173】
次に、工程830及び840を参照して、オーバーモールディング処理を説明する。本実施形態によれば、工程830において、シーリングされていない多孔質陽極酸化アルミニウム構造支持層の面に接着剤層213が塗布される。表面の孔が接合面の面積を拡大し、それにより、接合強さを向上することは理解されるだろう。接着剤層213は構造支持層212の全面に塗布される。接着剤は、ポリエステル熱接合膜のように高い接合強さを有する熱可塑性接合膜から形成される。接着剤は高い初期接合強さを有することが望ましい。すなわち、接着剤は約1秒未満で接合を完成でき、この初期接合は時間の経過に伴って強くなる必要はない。高い初期接合強さを有することが重要であるのは、時間の経過に伴って接合が強くなるような接着剤を使用すると、保護層214が構造支持層212に堅固に接着されないおそれがあるからである。接着剤層は、ドイツのTesa SEから市販されているTesa 8464熱接合膜とすることができる。一実施形態において、接着剤層213は約0.1mmの厚さを有することができる。
【0174】
一実施形態によれば、工程840において、保護層214を形成するために、構造支持層212の上の接着剤層213を覆うようにTPE材料がオーバーモールディングされる。事前に接着剤層213が接合されていたアルミニウム構造支持層212に保護層214をオーバーモールディングできるように、事前接合アルミニウム構造支持層212は射出成形ツールに挿入される。別の実施形態によれば、保護層214を形成するために、構造支持層212の上の接着剤層213を覆うようにシリコーン材料が圧縮成形される。
【0175】
当業者には理解されるだろうが、射出成形機において溶融TPEペレットをツールに注入することにより、TPEはオーバーモールディングされる。オーバーモールディングとは、材料(例えば、TPE)が基板を覆うように成形される射出成形処理である。TPEは、容易に成形可能な材料である。本実施形態において、TPEは、事前に接着剤層213が接合されていた構造支持層212を覆うように成形される。射出成形が迅速で経済的な処理であることは当業者には認められている。従来の熱可塑性材料の押し出し成形又は射出成形に通常使用されていた機器及び方法は、通常TPEにも適している。更に、TPEは加硫を必要としないので、費用の削減及び時間短縮にもなる。
【0176】
一実施形態によれば、接着剤層213は、その後の射出成形処理の間に保護層214としてTPE材料が注入される際の温度より低い融点を有する。接着剤層213はTPEの注入温度より低い融点を有するので、TPEの射出成形中に、接着剤とTPEは十分に混合され、強力な化学的接合を形成する。一実施形態によれば、TPEは約245℃で注入され、接着剤膜は、約160℃〜180℃の融点を有しかつ約130℃〜150℃で凝固する。接着剤膜213は急速に冷却するので、構造支持層212と保護層214との接合は急速に硬化する。一実施形態において、成形型の中における滞留時間は約15秒である。一実施形態において、TPE材料は約230℃〜245℃の範囲の融点を有する。TPEの融点が高すぎる場合(例えば、約260℃)、接合強さが実際に損なわれ、最大で約40%が失われる可能性があることは理解されるだろう。
【0177】
別の実施形態において、TPE保護層214は、のりなどの接着剤を使用してアルミニウム構造支持層212に簡単に接着可能である。しかし、TPEをオーバーモールディングするほうが、底部ケース300の外観及び感触はよくなる。アルミニウムなどの金属はTPEの注入温度では溶融しないので、TPEを金属に直接オーバーモールディングする方法は問題が多いと思われる。通常、金属を前処理せずにTPEを金属に直接オーバーモールディングする処理を実現するのは容易ではない。前述のように、アルミニウムの表面をエッチングしかつ高い表面エネルギーを有する多孔質の面を形成するために陽極酸化することにより、アルミニウムは前処理される。
【0178】
一実施形態によれば、アルミニウム構造支持層212は、テクスチャ化面を形成するためにエッチングされかつ高い表面エネルギーを発生するために陽極酸化される。本実施形態において、TPEから形成可能である保護カバー層214は、高い表面エネルギーを有するシーリングされていない陽極酸化アルミニウム面に接着剤層なしで直接オーバーモールディングされる。
【0179】
あるいは、前述のように、接着剤層213が使用される。本実施形態において、アルミニウム構造支持層212は、テクスチャを形成するためにエッチングされ、高い表面エネルギーを発生するために陽極酸化されかつ接着剤層213を事前に接合される。この接着剤層213は、化学的接合を実現するためのオーバーモールディング処理の間にTPEと十分に混合される。
【0180】
事前接合アルミニウムを覆うようにTPEをオーバーモールディングすることにより、TPEとアルミニウムとの間に化学的接合が実現されるので、保護層214と構造支持層212との間に障害点が形成される可能性は減少するか又はまったくなくなる。接着が不十分であると、保護層214の構造支持層212からの離脱及び剥離のような欠陥が発生する。全面にわたる化学的接合は、ラップトップコンピュータの耐用年数の間のアルミニウム構造支持層212からのTPE保護層214の分離を防止するのに効果的である。ポータブルコンピュータの底部ケース300は、通常操作によって大きな影響を受け、過酷な使用状況に置かれる場合さえあるので、構造支持層212と保護層214とのそのように強力な接合は特に重要である。更に、強力な化学的接合は、従来の仕上げ処理の間に発生していたTPE保護層214の構造支持層212からの剥離も防止する。一実施形態によれば、保護層214は約1mmの厚さを有する。従って、底部ケース300全体の厚さは約2.1mm以下である。
【0181】
アルミニウムとTPEの収縮率は異なるので、耐久性及び美観に優れた底部ケース300を実現するために、保護層214と構造支持層212との間の強力な接合が重要であることは理解されるだろう。すなわち、温度が低下した場合、アルミニウムとTPEは異なる速度で収縮する。アルミニウムは金属であるので、TPEとは異なる熱膨張率(CTE)を有する。TPEは、アルミニウムとは異なるCTEを有しかつ注入時にアルミニウムより高い温度(約245℃)を有するので、TPEは著しく大きく収縮する。前述のように、通常、TPE材料は約245℃の温度で注入され、アルミニウムは約50℃に保たれる。射出成形処理後、材料はほぼ室温まで冷却し、冷却時にTPEは収縮するが、アルミニウムは同一の速度では収縮しない。オーバーモールディングされたTPEが収縮し、初期時間(例えば、24〜36時間)にわたりアルミニウム上の所定の場所に保持されていない場合、材料の収縮率が異なることによって問題が起こる可能性がある。材料が異なる速度で収縮すると、保護層214と構造支持層212との接合が脆弱になり、取り付け穴のような要素が整列しなくなる(すなわち、同心ではなくなる)こともある。従って、アルミニウムとTPE材料とを強力に接合させることが望ましい。この強力な接合は、前述のような接着剤による化学的接合により実現される。
【0182】
TPEは、ゴム状材料とプラスチック材料の利点を共に示すため、保護カバー層214の材料として望ましい。保護カバー層214としてTPEを使用することにより、色合わせのために大半の種類の染料でTPEを容易に着色できるので、底部ケース300の外観を向上できる。例えば、化粧外側層202などの別の部品の色に適合するように、保護カバー層214のTPEを容易に着色できる。更に、TPE保護カバー層214は、シーリングされていない陽極酸化アルミニウム構造支持層212を塵芥及び他の汚染物質から保護するためのウェザーシールとして機能できる。TPEは、コンピュータの内部部品を衝撃から保護するのにも効果的である。
【0183】
柔らかな感触及び握りやすさなどのある特定の特性をTPEに与えるために、コンパウンダが取り入れられる。ユーザが握るか又は他の方法により取り扱うポータブルコンピュータなどの製品については、特に、消費者にとって魅力である柔軟な感触を有するようにTPEが形成される。一実施形態において、TPEは、オランダのDSM Engineering Plastics B.V.より市販されているTPC‐ET熱可塑性コポリエステルエラストマーのArnitel(登録商標)EM460を使用できる。柔らかなテクスチャと組み合わされた良好な機械的特性を有する外観に優れた面を形成するために、TPEは、事前に着色されかつアルミニウム構造支持層212を覆うようにオーバーモールディングされる。一実施形態において、TPE保護カバー層214は、約1.2〜1.6μmの算術平均表面粗さRa及び、約6〜9μmの輪郭曲線の最大高さRzを有する。
【0184】
化学的にではなく、物理的に架橋されたTPE材料は、処理が容易でありかつ再利用可能であるので、環境に優しい材料である。TPEは、プラスチックと同様に、成形され、押し出し成形されかつ再利用される。従って、TPE層をアルミニウム構造支持層212から剥ぎ取ることにより、TPE保護カバー層214を再利用できる。通常、再利用可能な部品には、リサイクルコードが刻印又は印字される。ポータブルコンピュータ筐体の外側の美観を維持するために、そのようなリサイクルコードは、底部ケース300の保護カバー層214の外面を含めて筐体の外側に印字されるべきではない。しかし、保護カバー層214はオーバーモールディングされるので、リサイクルコードを内面に直接印字又は刻印することは不可能である。そこで、一実施形態によれば、保護カバー層214がオーバーモールディングされる前に、保護カバー層214の材料に対応するリサイクルコードは、アルミニウム構造支持層212に逆の向きで(例えば、裏返しに)印字されるか、又は接着剤層213に正しい向きで印字される。接着剤層213がアルミニウム構造支持層212に事前に接合される前に、図45に示されるように、国際規格機構(ISO)仕様に従って、保護カバー層214のTPEとして適切である「>TPC‐ET<」とラベル付けされたリサイクルコード4550が正しい向きで接着剤層213に印字される。リサイクルコードが印字された事前接合構造支持層212を覆うように保護カバー層214がオーバーモールディングされた後、リサイクルコード4550のインクの一部は、保護カバー層214の内面に転写される。インクは、TPE材料に対して親和性を有しかつTPE保護カバー層214がアルミニウム構造支持層212から除去されるか又は剥ぎ取られる場合にTPEと共に剥離することが理解されるだろう。TPE保護カバー層214が除去されるか又は剥ぎ取られた後、リサイクルコード4550は、図46に示されるように、TPE保護カバー層214の内面に正しく読める形で現れる。図45は、保護カバー層214が剥ぎ取られた後にリサイクルコード4550が裏返しに印字されている構造支持層212を示すことが理解されるだろう。
【0185】
一実施形態によれば、図43に示されるように、保護カバー層214の縁部分215は、構造支持層212の縁部を越えて縁部を包み込むように構成される。ポータブルコンピュータ筐体の組み立てが完了した時点で、保護カバー層214の縁部は、構造支持層212の縁部を包み込みかつ化粧外側層202の下方に押し込まれることにより、本質的に途切れることのないスプライン輪郭の形状を呈しているので、ユーザの目にはわからない。保護層214は外側層202と共にシールを形成できる。このシールは、外部環境の汚染物質からの保護を実現すると共に、外側層202を一体の形状であるように見せる。更に、保護外側層214の縁部が外側層202の下方に巻き込まれているので、シールは保護外側層214の剥離又は他の損傷を防止する働きもする。
【0186】
外側層202は、タッチパッド216及びキーボード218などのいくつかのユーザ入力デバイスを含むことができる。キーボード218は複数のキーパッド220を含むことができ、特定のキーパッドと関連するキー入力をユーザに識別させるために、各キーには記号が刻印又はエッチングされている。外側層202は、ユーザがポータブルコンピューティングデバイス200の電源をオン/オフするのを助けるように構成された電源ボタン222を更に含むことができる。音声入力デバイス224は、音声などの可聴入力を受信するためのマイクロホンとして使用される。状態指示ランプ(SIL)226は、ユーザに情報を提供するために使用される。そのような情報は、例えばポータブルコンピューティングデバイス200の動作状態に関連可能である。外側層202は、光の大部分を透過できる半透明プラスチック材料から形成されるので(ライトブリードと呼ばれる)、SIL226は、SIL226の幾何学的輪郭形状により限定される光を除くほぼすべての光を排除するように構成される。外側層202は、筐体202内部に実装された動作回路を操作するために使用される開口部を更に含むことができる。例えば、ディスクスロット228は、コンパクトディスク(CD)及び/又はデジタルバーサタイルディスク(DVD)などのディスク媒体を差し込むために使用される。通例、外側層202は、ポータブルコンピューティングデバイスの操作中にユーザから見た場合に前方部分230及び後方部分232に分割されると考えられる。すなわち、タッチパッド216は前方部分230に配置されていると考えられてもよく、キーボード218は後方部分232に配置されていると考えられる。
【0187】
図47及び図48は、閉じた状態のポータブルコンピューティングデバイス200をそれぞれ示す平面図及び正面図である。詳細には、図47及び図48は、ポータブルコンピューティングデバイス200の形状が一様であることを示す。この形状の連続性は、蓋206、外側層202、構造支持層212及び保護層214の間の線が連続していることにより明らかである。
【0188】
バッテリ
広い意味で言えば、説明される実施形態は、ラップトップコンピュータなどのポータブルコンピューティングデバイスに埋め込むことが可能なバッテリアセンブリに関する。バッテリアセンブリは、大きな充電容量を有するにもかかわらず、ポータブルコンピュータの薄型形状を維持しつつ、ラップトップコンピュータの筐体内部に他の回路網を十分に組み込める小型構造である。更に、小型コンピューティングデバイスにバッテリアセンブリを埋め込み、正規修理技術者以外の者がコンピューティングデバイスの内部にタッチすることを実質的に不可能にすることにより、バッテリアセンブリは小型コンピューティングデバイスと一体の一部分であると考えることができるので、小型コンピューティングデバイスの筐体はバッテリアセンブリを更に保護する働きもする。小型コンピューティングデバイスの筐体内部で利用可能なスペースの制限領域内に嵌合するように、バッテリアセンブリがカスタマイズされる。詳細には、必要に応じてバッテリアセンブリを更に小型化することにより、薄型形状を維持しつつ、小型コンピューティングデバイスに更に多くの動作部品を組み込むことができる。
【0189】
更に、バッテリアセンブリは、剛性を向上する形状を有するバッテリ筐体に内包されたバッテリセル、すなわちコアパックを含むことができる。バッテリ筐体の少なくとも一部は、バッテリアセンブリと接触するコンピュータ筐体の内側部分の形状に適応する形状を有することができる。バッテリアセンブリは、コンピュータアセンブリの中に落とし込まれた後、ダイビングインと呼ばれる動きによってコンピュータ筐体の対応する内側部分にごく近接する場所に配置される。これにより、コンピュータ筐体の可撓性を向上できるように、バッテリ筐体とコンピュータ筐体とは一体に結合される。従って、コンピュータ筐体を形成するために使用される材料の剛性のみに依存する必要がないので、可撓性でありかつコンピュータアセンブリの支持及び保護に使用するには不適切であると従来は考えられていたプラスチックなどの材料からコンピュータ筐体を形成することが可能である。
【0190】
一実施形態において、バッテリ筐体は、バッテリ筐体の上面カバーの底部の長さに沿って一体に形成された片持ち梁部を有する一体の筐体である(「C」の文字に似た横断面形状を呈する)。片持ち梁部は、大きな慣性モーメントを有し、従って従来の片持ち梁部なしのバッテリ筐体と比較して湾曲に対する耐性が高い。更に、バッテリ筐体は、PCABSのような硬質で耐久性のある材料から一体に形成されるので、のり又は他の接着剤は使用されない。そのため、バッテリ筐体を脆弱にするか又はバッテリ筐体の構造の一体性を損なうおそれがある継目又は他の接合部は存在しない。バッテリアセンブリは埋め込まれるので、コンピュータ筐体の底部カバーを取り外した場合、バッテリ筐体の上部のみが露出される。従って、バッテリ筐体の底部は、コンピュータ筐体により保護され、薄い保護層のみが必要とされる。保護層は、テープなどのVHB(強力)接着剤のような接着剤を使用して片持ち梁部及びコアパックに装着される。保護層はマイラー(登録商標)などの軽量かつ柔軟な材料から形成される。更に、保護層は薄いので、バッテリアセンブリのZスタックにほとんど又はまったく影響を及ぼさない。
【0191】
図49は、説明される実施形態に係る筐体1700を示す。筐体1700は、コンピュータアセンブリを収納するのに適する筐体1702を形成できる。詳細には、図17は、部品実装作業中にコンピュータアセンブリを形成するために使用される部品を受け入れるのに適する向きで筐体1702を示す。コンピュータアセンブリは、コンピューティングシステムの動作に使用される主ロジックボード(MLB)、ハードディスクドライブ(HDD)、光ディスクドライブ(ODD)などの複数の動作部品を含むことができる。コンピューティングシステムはラップトップ又はポータブルとすることができ、本明細書の以下の説明中、説明される実施形態はポータブルコンピューティングシステムに関するが、それにより一般性が損なわれることはまったくない。筐体1700は、製品が完成した後に筐体1702を被覆するので図49には示されていない構造支持層を含むことができる。通常、構造支持層は、筐体1702への動作部品の実装が完了した後に初めて内側層1704に結合される。
【0192】
しかし、コンピュータアセンブリの組み立てが完了した後、例えば構造支持層を内側層1704と接触させることにより、構造支持層は、筐体1702の中で組み立てられた部品を被覆するために使用される。その後、内側層1704は、複数の結合箇所1706で、ねじ、リベットなどを含む締結具を介して構造支持層に物理的に結合される。尚、特定の構造に応じて、どのような数の締結具及び/又はどのような種類の締結具の組み合わせが使用されることは言うまでもない。内側層1704を構造支持層に堅固に固定することにより、結合箇所1706の締結具は、外側層1708に実質的に影響を及ぼすことなく荷重Lを内側層1704から構造支持層へ伝達するために使用される。外側層1708は、内側層1704に加わった荷重を吸収することにより又は別の方法によりその荷重が外側層1708へ伝達されるのを阻止できる接着剤1710を介して内側層1704に装着されかつ内側層1704により支持される。これにより、外側層1708は、内側層1704に加わった荷重の影響を本質的に受けなくなるので、外側層1708を内側層1704から音響的に隔離することが可能になる。
【0193】
内側層1704は、外側層1708に影響を及ぼすことなく構造支持層へ荷重を伝達するために使用される。このため、荷重を搬送するのに特に適してはいないか又は従来の技術ではコンピュータ筐体として使用するのに適さないと考えられていた軽量プラスチックなどの材料から外側層1708を形成できる。従って、必要な安定性を与えるために、構造支持層は金属(打ち抜き作業で形成されたアルミニウムなど)又は複合材料のような材料から形成することができ、一方、外側層1708は耐荷重構造部品として作用する能力より外観のよさを重視して選択された材料から形成される。これにより、外側層1708を形成するために使用可能な材料の選択範囲を広げることができる。製品の設計に際しては、従来のコンピュータ筐体で現実に可能な外観及び感触をはるかに超える外観及び感触を有するポータブルコンピュータを実現できる。例えば、外側層1708は、軽量プラスチックから形成されかつ同様に多様に選択できる任意の形状(アンダーカット形状など)に成形される。例えば、外側層1708は、実質的に途切れることのない1つの形状にユーザには見えるように連続スプライン輪郭の形状を呈できる。外側層1708は、例えばPCABSのようなプラスチックから形成される。
【0194】
尚、荷重を伝達しかつ分散する内側層1704の能力を向上するために、ポータブルコンピューティングデバイスの機能レイアウトが使用される。一実施形態において、筐体1702は、動作部品及び各動作部品の構造特性に基づいていくつかの領域に分割されると考えられる。例えば、筐体1702がラップトップコンピュータに対応する場合、筐体1702は、タッチパッド又はトラックパッドのようなユーザインタフェースなどの機能を収容するのに適する前方部分1712と、例えばキーボードを収納するための後方部分1714とを有すると考えられる。タッチパッドは、対応するフレーム構造1716により構造支持され、キーボードは背面フレーム1718により支持される。それらのフレーム構造1716及び背面フレーム1718は、例えば接着剤を使用して筐体1700にそれぞれ装着される。フレーム構造1716及び背面フレーム1718は、共にアルミニウム、マグネシウム及び/又はマグネシウム合金の形の金属などの強度に優れた剛性材料から形成される。
【0195】
内部部品のうちいくつかは耐荷重部品が使用でき、他の部品は非耐荷重部品を使用できる。本明細書では、説明の便宜上、耐荷重部品は、動作特性又は構造特性に実質的に影響を及ぼすことなく外部荷重を受け入れることができる部品であると考えられる。逆に、非耐荷重部品は、外部荷重を搬送した場合に形態又は機能に悪影響を受ける確率が高い。例えば、ハードディスクドライブ(HDD)は、加えられる荷重の影響を非常に受けやすいので、外部荷重から保護されなければならない。場合によっては、内側層1704の荷重処理能力を向上しかつ外側層1708の剛性を増補するための部品が使用される。
【0196】
図50は、説明される実施形態に係るポータブルコンピュータ1800を示す図である。ポータブルコンピュータ1800は、筐体1702の内部に配置されたコンピュータアセンブリを含むことができる。コンピュータアセンブリは、ポータブルコンピュータ1800の機能を実現するために協働できる種々の動作部品を含むことができる。更に、動作部品のうちいくつかの部品は、設計に従った機能を実行するのに加えて荷重を伝達しかつ分散する内側層1704の能力を向上しかつ外側層1708の剛性を増補するために使用される。例えば、耐荷重部品1802を使用して、前方部分1712と後方部分1714との間に荷重経路が形成される。例えば、耐荷重内部部品1802は、コネクタ1804を使用して内側層1704に装着されかつコネクタ1806を使用して背面フレーム1718に装着される。これにより、コネクタ1804を介して構造支持層へ荷重Lを伝達しかつ/又はコネクタ1806を介して背面フレーム1718へ荷重Lを伝達することが可能になる。例えば、荷重Lは3つの空間成分{Lx,Ly,Lz}を有すると考えられる。空間成分Lzは、コネクタ1804を介して構造支持層へ伝達され、空間成分Lyは、コネクタ1806を介して背面フレーム1718へ伝達される。耐荷重部品とは異なり、非耐荷重部品1808は、荷重吸収コネクタ1810を介して内側層1704及び背面フレーム1718に装着される。荷重吸収コネクタ1810は、何らかの数及び種類の軟質プラスチックなどの荷重吸収材料を使用して、非耐荷重部品1808を荷重から隔離するために使用される。
【0197】
背面フレーム1718は、主ロジックボード(MLB)1812などの部品を支持するために使用される。MLB1812などの部品は、1つには、デバイスを実装するためのプリント回路基板(すなわち、PCB)の湾曲又は撓みの影響を受けやすい相対的に多数の表面実装デバイスを含んでいるために、大きく撓むことが許されない。背面フレーム1718は、荷重吸収接着剤1710などの接着剤を使用して外側層1708に装着される。
【0198】
図51は、図18に一般化して示されるポータブルコンピュータ1800の特定の一実施形態に係るポータブルコンピュータ1900を示す。ポータブルコンピュータ1900は複数の動作部品を含むことができる。それらの動作部品の一部は、荷重隔離コネクタ1906を介して正面フレーム1904に装着されたハードディスクドライブ、すなわちHDD1902のような非耐荷重部品を使用できる。例えば、MLB1908、ファン1910及び光ディスク1914を受け入れるように構成された光ディスクドライブ(ODD)1912のように大きな湾曲又は撓みが許されない部品は、背面フレーム1916に装着される。背面フレーム1916は、マグネシウム又はマグネシウム合金などの金属から形成される。バッテリアセンブリ1918は、複数のバッテリセル及び関連回路を内包しかつ支持するバッテリ筐体1920を含むことができる。更に、バッテリアセンブリ1918は、バッテリアセンブリ1918をポータブルコンピュータ1900から取り出すのを助けるために使用されるプルタブ1922を含むことができる。尚、バッテリアセンブリ1918の構造の一体性及び外部荷重を処理する能力を向上するために、バッテリ筐体1920は、PCABSのようなプラスチックなどの材料から一体に形成される。バッテリアセンブリ1918は、外側層1922に機械的に結合可能であり、それにより外側層1922の剛性を向上できる形態及び組成を有することができる。更に、バッテリアセンブリ1918は、背面フレーム1916と正面フレーム1904との間の荷重経路の一部として形成される。
【0199】
バッテリアセンブリ1918は、適切な締結具を使用してコネクタ1924の場所で背面フレーム1916に装着される。図19に示される特定の実施形態において、バッテリアセンブリ1918を背面フレーム1916に装着するために使用される締結具は、前述の不正変更防止締結具104の形をとることができる。バッテリアセンブリ1918は、装着部材1928に配置されたコネクタ1926の場所で、ねじなどの適切な締結具を使用して正面フレーム1904に装着される。この場合、バッテリ筐体1920は、バッテリアセンブリ1918を正面フレーム1904に固定するために使用される締結具を受け入れるように適切に構成された穴又はボスを含むことができる。ねじを締め付けると、バッテリアセンブリ1918はZ方向に動くので、装着部材1928と係合する適切な形状の凹部がバッテリ筐体1920に形成される。この動きによって、制限Z形コネクタ1930(ロリポップコネクタとも呼ばれる)は、構造支持層の内面に形成された対応する隆起部分と結合する位置まで移動する。
【0200】
バッテリアセンブリ1918は、コネクタ1924で不正変更防止締結具を締め付けることにより背面フレーム1916に固定される。バッテリアセンブリ1918は、装着部材1928のコネクタ1926で締結具を締め付けることにより正面フレーム1904に固定される。次に、構造支持層は、コネクタ1934でねじなどの締結具を使用することにより、正面フレーム1904及び背面フレーム1916に固定される。これにより、バッテリアセンブリ1918があらゆる空間座標で荷重Lを伝達しかつ分散するのを容易にすることができる。例えば、バッテリアセンブリ1918は、荷重経路の一部として、空間座標{Lx,Ly,Lz}を有する荷重Lをコネクタ1934及び1930の締結具を介して構造支持層へ伝達するか(Lz)又はコネクタ1924の締結具を使用して背面フレーム1916へ伝達する(Ly)のを助けることができる。挿入後、バッテリアセンブリ1918は、装着部材1928に含まれるコネクタ1926及び背面フレーム1912で、コネクタ1924の締結具を介して正面フレーム1904に固定される。更に、正面フレーム1904の内面の輪郭形状に適応するようにバッテリ筐体1920を形成することにより、更に密接で一体的な嵌合及び更に美しく人目を引く外観が得られる。
【0201】
バッテリアセンブリ1918は、構造支持層が取り除かれた場合に、バッテリ筐体1920が外部環境にさらされるようにポータブルコンピュータ1900内部に配置される。従って、バッテリ筐体1920は、高衝撃プラスチック又は他の適切な頑健さを有するが軽量である材料のような耐久性のある材料から形成される。例えば、バッテリ筐体1920は、PCABSなどの射出成形プラスチックで形成できる。いくつかの実施形態において、バッテリ筐体1920は、約0.35〜1.3mmの範囲の厚さを有することができ、公称厚さは約0.65mmである。バッテリ筐体1920の耐久性のある材料は、バッテリセルを偶発的な損傷から保護することができる。
【0202】
図52に更に詳細に示されるように、バッテリ筐体1920は、正面フレーム1904の輪郭形状(アンダーカット形状など)に適応する外側形状を有する正面部分を有することができ、正面フレーム1904自体は、外側層1922の内面の形状に適応する形状をとることができる。例えば、バッテリ筐体1920は、正面フレーム1904の内面に適応し、従って正面フレーム1904の内面に嵌合するような形状に形成された正面部分1932を有することができる。正面フレーム1904は、外側層1922の内面により規定される形状に嵌合できる。従って、バッテリアセンブリ1918を筐体1702の中に落とし入れ、次にダイビングのような動きを利用して所定の場所に配置することにより、バッテリアセンブリ1918を装着できる。これにより、正面部分1932は、正面フレーム1904の内面により形成された受け入れスペースに差し込まれ、次に背面フレーム1916に隣接する所定の場所まで押し下げられる。正面フレーム1904と正面部分1932とが互いに適応する形状を有することにより実現されるこの密接な嵌合は、はるかに厳密な嵌合及びはるかに美しい外観を提供する。更に、正面フレーム1916が外側層1922に形成された凹部に挿入されることにより、正面フレーム1904は外側層1922の一部になるので、外側層1922の構造的安定性を向上できる。このように、重量を増す必要なくバッテリアセンブリ1918及び正面フレーム1904の双方の剛性を外側層1922の剛性に付加できる。
【0203】
図53及び図54は、説明される実施形態に係るバッテリアセンブリ1918を示す種々の斜視図及び横断面図である。図53は、一体のバッテリ筐体1920を示すバッテリアセンブリ1918の横断面図である。図示されるように、バッテリ筐体1920は、バッテリセル(又はコアパック)2104が入っていない場合でもバッテリ筐体1920の剛性を向上できる片持ち梁として作用するような形状に形成された部分2102を含む「C」字形横断面を有する。しかし、C字形部分2102により支持されかつ保護層2114により規定されるVHBを使用して所定の場所に接着された筐体2106の中にバッテリセル2104が挿入されると、バッテリアセンブリの剛性は大幅に向上する。バッテリアセンブリ1918は、正面フレーム1904及び背面フレーム1916の双方に結合される。これにより、バッテリアセンブリは、外側層1922の剛性を相当に向上できると共に、正面フレーム1904、背面フレーム1916及び構造支持層の間の荷重Lの伝達を十分に助けることができる。
【0204】
凹部2108は、バッテリアセンブリを正面フレーム1904に固定するために使用されるねじなどの締結具を受け入れるボス2110を含むことができる。前述のように、凹部2108は、締結具が締め付けられた場合にバッテリ筐体1920の上面2112がZ方向に動くことができるように装着部材1928を受け入れるような形状に形成される。バッテリアセンブリ1918の底部2112は外側層1922により保護されるので、バッテリアセンブリ1918の底部2112に保護層2114を設けることにより、バッテリアセンブリ1918のZスタックは維持される。保護層2114はマイラーなどの薄く軽量の材料から形成される。バッテリアセンブリ1918の底部は上面ケースにより保護されるので、保護層2114をコアパック2104及びC字形部分2102に装着するためにVHB(強力)接着剤が使用される。
【0205】
図54は、バッテリアセンブリ1918の平面図を示す。一実施形態によれば、バッテリアセンブリ1918の中の1つ以上のバッテリセルは、薄型のコンピュータ筐体の中に嵌合するようにカスタマイズされた大きさ及び形状を有することができる。従来のバッテリアセンブリの厚さは、通常バッテリアセンブリに収納される円筒形リチウムイオン電池の直径によって決まる。また、従来のバッテリアセンブリでは、円筒形電池の間の空間が無駄になっている。しかし、本実施形態によれば、電池の間に無駄な空間がないようにバッテリセルはカスタマイズされかつ各セルの厚さは、バッテリアセンブリ1918内部の指定のスペースに嵌合するようにカスタマイズされるので、バッテリセルが更に薄型になってもバッテリセル全体のボリュームは維持される。
【0206】
図55は、可撓性材料から形成されたコンピュータ筐体を有するポータブルコンピュータにバッテリアセンブリを埋め込む方法2300を詳細に示すフローチャートである。方法2300は、少なくとも次の工程を実行することにより実施される。2302において、複数のバッテリセルを内包するように構成された一体形バッテリ筐体を備えるバッテリアセンブリを受け入れる。バッテリ筐体は、湾曲した横断面形状を有する正面部分と、上部と、片持ち梁部と、最小Zインパクト保護層とを有し、片持ち梁部は上部の下縁部に沿って一体に形成されかつバッテリ筐体の撓みに対する耐性を向上するように構成され、保護層は、強力接着剤を介して片持ち梁部及びバッテリセルに装着される。2304において、コンピュータ筐体に装着された正面フレームに正面部分を隙間なく嵌合することにより、バッテリアセンブリはコンピュータ筐体に挿入される。正面フレームは正面部分の湾曲した横断面形状に適応する形状を有する。2306において、コンピュータ筐体がバッテリセルに対して与えられる保護の相当の部分を担うように保護層がコンピュータ筐体の内面と接触して配置されるように、バッテリアセンブリはコンピュータ筐体の内面に配置される。2308において、コンピュータ筐体に加えられた荷重が、バッテリアセンブリを含む荷重経路を介して、コンピュータ筐体に実質的に影響を及ぼすことなく、コンピュータ筐体に結合された構造支持層へ伝達されるように、バッテリアセンブリの正面部分は正面フレームに固定される。
【0207】
上述の実施形態の利点は数多くある。種々の態様、実施形態又は実現形態は、以下に示す利点のうち1つ以上を提供する。1つの利点は、承認されたユーザ以外の者がバッテリアセンブリを操作するのが容易ではないということである。バッテリアセンブリは、固有の剛性をほとんど又はまったく持たないコンピュータ筐体の剛性を増補するような形状に形成される。これにより、プラスチックなどの軽量の材料をコンピュータ筐体に使用できる。
【0208】
説明された実施形態の多くの特徴及び利点は、以上の説明から明らかであり、添付の特許請求の範囲は、そのような特徴及び利点をすべて含むことを意図する。更に、多くの変形及び変更は、当業者には容易に着想されるので、本発明は、図示されかつ説明された厳密な構成及び動作に限定されるべきではない。従って、すべての適切な変形及び均等物は、本発明の範囲内に含まれるとみなされる。
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にポータブルコンピューティングデバイスに関する。特に本発明は、ポータブルコンピューティングデバイスの筐体及びポータブルコンピューティングデバイスを組み立てる方法に関する。
【背景技術】
【0002】
デザインや重さを含めた、ポータブルコンピューティングデバイスの外観は、ポータブルコンピューティングデバイスに対するユーザの全体的な印象に寄与するため、そのポータブルコンピューティングデバイスのユーザにとって重要である。ポータブルコンピューティングデバイスの組み立ての堅牢性が優れていれば、ポータブルコンピューティングデバイスの総耐用年数が延び、ユーザにとってのデバイスの価値が上がることになるので、ポータブルコンピューティングデバイスの組み立ての良否もまたユーザにとって重要である。
【0003】
ポータブルコンピューティングデバイスに関する設計上の課題の1つは、種々の内部部品を収納するために使用される筐体の設計である。設計上のこの問題が起こるのは、一般に、一層の軽量化及び薄型化、強度の向上、及び見た目の美しさの向上などと始めとした複数の相反する要求を含んだいくつかの設計目標が設定されるからである。より軽量な筐体の実現にはより薄いプラスチック構造とより少ない締結具を用いるのが常套手段だが、それによって筐体は撓みやすくなり、使用時に座屈及び屈曲を生じやすくなる。一方、強度及び剛性の向上した筐体の実現にはより厚いプラスチック構造とより多くの締結具を用いるのが常套手段であり、筐体は厚く、かつ重くなる傾向にある。重量の増加は残念ながらユーザの不満を招き、屈曲は内部の部品を損傷させるおそれがある。
【0004】
更に、多くのポータブルコンピューティングデバイスにおいて、筐体は、別々の箇所でねじ、ボルト、リベット又は他の締結具によって固定された複数の部品を有する機械的構造体である。例えば、筐体は、互いの上部をねじ止めされた上部ケーシング及び下部ケーシングを有するのが一般的である。通常、この技法は筐体の構造を複雑にし、また、部品の係合面に望ましくない亀裂、継目、隙間又は破断ができかつ筐体の面に沿って締結具が配置されているために、美観の上で問題があった。例えば、上部ケーシング及び下部ケーシングを使用する場合、筐体全体を取り巻く接合線(mating line)が形成される。そればかりでなく、組み立ては長い時間を要する煩雑な処理である。例えば、多くの場合、組み立てに際してそれら2つの部品を位置決めしかつ各締結具を装着するのに相当の時間を費やさなければならない。更に、組み立て者が特殊な工具を揃えたり、一般的な技術を習得したりすることが必要となることも多い。
【0005】
もう1つの問題点は、ポータブルコンピューティングデバイス内部に構造体を装着する技術である。従来、構造体は、ケーシングのうち一方(上部ケーシング又は下部ケーシング)に配置され、かつ、ねじ、ボルト、リベットなどの締結具によってケーシングの一方に取り付けられていた。すなわち構造体は、ケーシングの上に複数の層としてサンドイッチのように配置され、その後ケーシングに固定される。この方法には、先に述べたのと同様、組み立てが長い時間を要しかつ煩雑であるという欠点がある。
【0006】
従って、外観に優れ軽量で耐久性に優れ、しかも環境に優しいポータブルコンピューティングデバイスの筐体を提供することは有益だろう。また、そのようなポータブルコンピューティングデバイスの組み立て方法を提供することも有益だろう。
【発明の概要】
【0007】
本明細書は、ポータブルコンピューティングデバイスの用途に使用するのに適する軽量で視覚的に継目のない筐体を提供するシステム、方法及び装置に関する種々の実施形態を説明する。
【0008】
コンピューティングデバイスが開示される。コンピューティングデバイスは、軽量可撓性材料から形成された一体形の継目なし筐体を少なくとも含む。継目なし筐体は、少なくとも1つのユーザインタフェースが配置された上部と、上部と一体形成された本体とを含む。コンピューティングデバイスは、一体形の継目なし筐体に旋回可能に接続された可動上面カバーを更に含む。説明される実施形態において、可動上面カバー及び継目なし筐体は、可動上面カバーが筐体上部と接触する状態で閉じられた場合に一つの連続した形状として見えるように成形される。
【0009】
マルチパートコンピュータ筐体が開示される。マルチパートコンピュータ筐体は、構造体支持層及び一つの継目なし本体を少なくとも含む。一つの継目なし本体には、視認できる締結具を有さない。本体は、軽量可撓性材料から形成された外側層と、外側層に取り付けられ、コンピュータ筐体に加えられた荷重を伝達しかつ分散するように構成された内側層とを少なくとも含む。説明される実施形態において、コンピュータ筐体に加えられた荷重が外側層に実質的な影響を及ぼすことなく内側層から支持層へ伝達されるよう、内側層は支持層に物理的に接続される。
【0010】
1つの態様において、マルチパートコンピュータ筐体はPCABSなどのプラスチックである。
【0011】
別の実施形態において、ポータブルコンピュータの内部部品を編成する方法が開示される。実質的に非耐荷重材料である材料から形成され、耐荷重動作部品を少なくとも1つ含む複数の動作部品を内包するように構成されたコンピュータ筐体を提供する工程と、コンピュータ筐体の内面に少なくとも1つの構造部材を装着する工程と、少なくとも1つの構造部材に耐荷重動作部品を装着する工程と、少なくとも1つの構造部材及び耐荷重動作部品を結合することにより、コンピュータ筐体に加えられた荷重をコンピュータ筐体に実質的に影響を及ぼすことなく構造支持層へ伝達するための経路である荷重経路を形成する工程とを少なくとも実行することにより、方法を実施できる。
【0012】
1つの態様において、内側フレームの少なくとも一部分は、少なくともアルミニウム、マグネシウム又はその合金を含む金属から形成される。
【0013】
ポータブルコンピュータが開示される。ポータブルコンピュータは、柔軟な非耐荷重材料から形成され、かつ外観に優れた形状及び外観に優れた表面特徴を有する筐体を少なくとも含む。筐体の内面に装着された荷重分散・荷重伝達内骨格構造と、金属から形成された内骨格構造に機械的に結合され、かつ筐体に加えられた荷重が筐体に実質的に影響を及ぼすことなく内骨格構造により構造支持層へ伝達されるように、ポータブルコンピュータを構造支持しかつ電気的接地点を形成する構造支持層と、構造支持層の外面に装着され、筐体に適応した外観を有しかつ筐体との間に筐体の外観を維持する接合部を形成する保護層とを含む。ポータブルコンピュータは、支持内側フレームを有する上面カバーと、ヒンジ構造を介して内骨格構造に回動可能に結合された内側フレームにより支持されたディスプレイと、ヒンジ構造を内包するように構成されたヒンジ構造筐体とを更に含む。説明される実施形態において、ヒンジ構造筐体は、上面カバーと一体に形成されかつ上面カバーが閉じた状態にある場合にユーザに見える背面部分と、背面部分に接合された場合、上面カバーが閉じた位置にあるときは接合により形成された継目がユーザに見えずかつ上面カバーが開いた位置にあるときは継目が保護層により形成される継目と整列するように、ジッパーロック構造を介して背面部分に取り外し可能に装着されたカバー部分とを少なくとも含む。
【0014】
軽量ポータブルコンピュータが更に開示される。軽量ポータブルコンピュータは筐体本体を少なくとも含む。筐体本体は、外側層と、外側層に装着された内側層とを含むことができる。説明される実施形態において、外側層は軽量で外観のよい材料から形成される。ポータブルコンピュータは構造支持層を更に含むことができ、内側層がポータブルコンピュータに加えられた荷重を外側層に実質的に影響を及ぼすことなく構造支持層へ伝達するように、構造支持層は内側層に装着される。ポータブルコンピュータは内側層で筐体本体に回動可能に結合された内側フレームを有する上部を更に含み、上部の荷重は内側フレームにより内側層を介して構造支持層へ伝達される。上部は内側フレームに装着された外観の優れた外側シェルを有する。
【0015】
1つの態様において、ポータブルコンピュータは構造支持層の外面に装着された保護層を更に含む。上部、筐体本体及び保護層は、ポータブルコンピュータがユーザの目に触れる締結具を含まない一体輪郭形状を有する外観を呈するように協調的な構成を有する。
【0016】
本明細書は、ポータブルコンピューティングデバイスの用途に使用するための筐体構造のシステム、方法及び装置に関する種々の実施形態を説明する。1つの態様において、内側金属フレームに接合されたプラスチックカバーを利用するディスプレイ筐体が説明される。プラスチックカバーは、液体接着剤などの種々の接着剤を使用して内側金属フレームに接合される。プラスチックカバーと金属フレームとの熱膨張率の不一致のような熱サイクルの問題を考慮に入れるために、複数の種類の接着剤が使用できる。それらの接着剤は、高温で永久変形を引き起こす可能性があるボンドスリップを防止するように選択される。特定の実施形態において、ある特定の領域で金属内側フレームをプラスチックカバーに接合するために強力(VHB)接着材料が使用でき、他の領域では液体接着剤が使用される。
【0017】
別の態様において、プラスチックカバーに使用される材料は光を透過できる。ディスプレイ筐体の場合、ディスプレイのバックライトのような光源から放射される光を阻止するようにプラスチックカバーを被覆する方法が説明される。プラスチックカバーの表面のある特定の領域では光を阻止し被膜のない領域では光を透過できるように、被覆方法はプラスチックカバーの一部にのみ適用される。例えば、プラスチックカバー上でロゴが照明された状態で見えるように、ロゴ部分を被覆せずに残せる。被膜のない領域と被膜領域との間の境界に沿ったシャドーイング効果を防止するために、3層被覆方式が採用される。
【0018】
軽量で強度が高く、信頼性及び外観に優れ、特徴のあるポータブルコンピューティングデバイスを提供することは、本発明の利点の1つである。そのようなポータブルコンピューティングデバイスは、電気的接地全体及び音声システムに関しては性能を維持しつつ、全体又は大部分がプラスチック又は他の非導電性材料から形成された外側筐体を有することができる。これは、電気部品を接地しかつ音源及び他の音響素子をポータブルコンピューティングデバイス内部に配置するための1つ以上の代替可能な方法を少なくとも使用することによって実現可能である。効果的な音声システム構造は、音声がキーボードアセンブリのキー及び/又は筐体の間の間隙を通って誘導されるようにキーボードアセンブリの下方に1つ以上の音源を位置決めすることを含むことができる。効率のよい接地システム構造は、主ロジックボードをRF放射又は妨害から遮蔽又は隔離する作用も有する縮小された接地領域を含むことができる。
【0019】
種々の実施形態において、ポータブルコンピューティングデバイスは、実質的に非導電性の外側筐体と、既存の構造に代わる電気的接地システム構造及び音声システム構造とを有する。ポータブルコンピューティングデバイスは、主ロジックボード、キーボードアセンブリ、キーボードアセンブリの下方に配置された音源及び音源に電気的に結合されたイコライザを有することができ、各部品は汎用接地構造に電気的に結合される。音源は、キーボードアセンブリを通過しかつキーボードのキーと外側筐体との間の間隙を通過して伝播される音波を放射できる。イコライザの設定は、それらの音声伝達経路に沿った音波の音声吸収特性及び音声増幅特性を考慮に入れるように選択される。汎用接地構造は、電気的に相互結合されかつ各々がポータブルコンピューティングデバイス全体より相当に小型である複数の個別の接地部品を含むことができる。複数の個別の接地部品は、主ロジックボードの周囲の電磁波シールド、ポータブルコンピューティングデバイスの上面カバーを下部本体に物理的に結合する背面ブラケット、主ロジックボードに近接して配置された金属バックプレート及び/又は主ロジックボードを貫通するように配置されかつ金属バックプレートを電磁波シールドと結合する複数の導電ピンを含むことができる。
【0020】
種々の一般的実施形態において、ラップトップコンピュータ又は他のポータブルコンピューティングデバイスは、外側筐体と、外側筐体内部に配置されかつ主処理部が結合されている主ロジックボードと、外側筐体内部に主ロジックボードから離間して配置された1つ以上の追加の電動部品と、電気的に相互結合された複数の個別の接地部品を有する汎用接地構造とを含むことができる。外側筐体の全体又は大部分は、熱可塑性材料などの1つ以上の非導電性材料から形成される。汎用接地構造は、主ロジックボード及び1つ以上の追加の電動部品の各々に電気的に結合される。更に、個別の接地部品の各々は、コンピューティングデバイス全体より相当に小型にでき、かつ個別の接地部品のうち少なくとも1つの接地部品は、主ロジックボードの周囲に電磁波シールドを更に形成される。
【0021】
いくつかの実施形態において、電磁波シールドは、主ロジックボードよりわずかに大きいサイズの金属ファラデーケージから構成される。更に、接地部品のうち1つは、ポータブルコンピューティングデバイスの上面カバーをポータブルコンピューティングデバイスの下部本体に結合しかつ上面カバーと下部本体との間で物理的負荷を伝達する背面ブラケットを備えることができる。更に、接地部品のうち1つは、金属バックプレートを備えることができ、この金属バックプレートは、金属バックプレートと別の電磁波シールドとの間に主ロジックボードが位置するように配置される。また、金属バックプレートは、主ロジックボードを貫通するように配置された複数の導電ピンを介して電磁波シールドに電気的及び機械的に結合される。
【0022】
種々の一般的実施形態において、ポータブルコンピュータの音声システムが説明される。音声システムは、キーボードの下方に配置された1つ以上の音源から音声を誘導するように構成される。更に聞き取りやすい音質を提供するために、音源にイコライザが設けられる。イコライザ設定は、キーボードに対する音源の位置決めに関する音声伝達経路と関連する音声増幅特性及び音声吸収特性、並びにキーボードの構造設計及びポータブルコンピューティングデバイスの筐体への組み込み状態を考慮に入れるように選択される。
【0023】
種々の詳細な実施形態において、音声システムは、3つの音源、2つの圧電スピーカ及び電磁駆動式コーン形スピーカを含む。各音源は、ポータブルコンピュータと関連するキーボードの間隙を通して音声を誘導する。特定の一実施形態において、ワイヤレスカードを保持しかつワイヤレスカードへの接続を可能にするように更に構成された部品にコーン形スピーカは組み込まれる。この部品は、コーン形スピーカから放射されるある特定の周波数を増強するように設計されたチャンバを含む。
【0024】
一実施形態において、マルチパートコンピュータ筐体が説明される。マルチパートコンピュータ筐体は、保護カバー層により被覆された構造支持層を有する底部ケースを少なくとも含む。一実施形態において、保護カバー層は、熱可塑性エラストマーから形成されかつ構造支持層の縁部を包むように巻き付けられる。柔軟なテクスチャを有する保護カバー層は、外観に優れかつ感触もよい人目を引くカバー層を形成する。構造支持層は、アルミニウムのように軽量ではあるが、耐久性に優れた材料から形成される。
【0025】
底部ケースを製造する方法が開示される。方法は、テクスチャ化面を形成するようにアルミニウムシートをエッチングする工程と、高い表面エネルギーを発生するためにテクスチャ化アルミニウムを陽極酸化する工程と、高い表面エネルギーを有するテクスチャ化アルミニウムに接着剤接合膜を塗布する工程と、事前接合されたアルミニウムシートを覆うように熱可塑性エラストマー層をオーバーモールディングする工程とにより実施できる。
【0026】
広い意味で言えば、本明細書において説明される実施形態は、ポータブルコンピューティングデバイスに埋め込み可能な軽量小型で充電容量の大きいバッテリアセンブリに関する。
【0027】
一実施形態において、バッテリアセンブリは、可撓性材料から形成された筐体を有するポータブルコンピューティングデバイスに埋め込まれる。説明される実施形態において、バッテリ筐体は、複数のバッテリ素子を保護しかつバッテリを筐体に固定するためのコネクタを形成するように構成された上部を含む一体の部材から形成される。バッテリ筐体は、上部と一体に形成されかつ上部の下縁部から延出する片持ち梁部を更に含むことができ、片持ち梁部は、バッテリ筐体の撓みに対する耐性を向上するように構成される。バッテリアセンブリは、片持ち梁部及びバッテリ素子のうち少なくともいくつかのバッテリ素子に強力接着剤を介して装着された軽量最小Zスタックインパクト底面層を更に含むことができる。軽量の底面層は、バッテリアセンブリのZスタックに実質的に影響を及ぼさない厚さを有する。
【0028】
可撓性材料から形成されたコンピュータ筐体を有するポータブルコンピュータにバッテリアセンブリを埋め込む方法が開示される。方法は、複数のバッテリセルを内包するように構成された一体形バッテリ筐体を含むバッテリアセンブリを受け入れる工程を少なくとも実行するように実施される。バッテリ筐体は、湾曲した横断面形状を有する正面部分と、上部と、片持ち梁部と、最小Zインパクト保護層とを含むように形成される。説明される実施形態において、バッテリ筐体の撓みに対する耐性を向上するために、片持ち梁部は上部の下縁部と一体に形成される。保護層は強力接着剤を介して片持ち梁部及びバッテリセルに装着される。少なくとも、コンピュータ筐体に装着されかつ正面部分の湾曲した横断面形状に対応する形状を有する正面フレームに正面部分を隙間なく嵌合することにより、バッテリアセンブリはコンピュータ筐体に挿入される。次に、保護層がコンピュータ筐体の内面と接触する状態になるように、バッテリアセンブリはコンピュータ筐体の内面に配置される。このように、コンピュータ筐体はバッテリセルに対する保護の大半を担うことになる。その後、バッテリアセンブリの正面部分は正面フレームに固定される。
【0029】
いくつかの実施形態において、筐体の背面部分に装着された背面フレームにバッテリアセンブリの背面が固定される。これにより、コンピュータ筐体に加えられた荷重は、コンピュータ筐体に実質的に影響を及ぼすことなく、正面フレーム及び背面フレームに結合された構造支持層へ荷重経路を介して伝達される。
【0030】
コンピューティングデバイスが開示される。コンピューティングデバイスは、可撓性筐体と、荷重伝達内側フレームと、筐体及び内側フレームを機械的に結合するように構成された荷重吸収層と、荷重伝達内側フレームに結合された構造支持層と、荷重伝達内側フレームに機械的に結合されたバッテリアセンブリとを少なくとも含み、可撓性筐体に荷重が加えられた場合、加えられた荷重は、可撓性筐体に実質的に影響を及ぼすことなく荷重経路を介して構造支持層へ伝達される。この荷重経路はバッテリアセンブリを含む。
【0031】
説明される実施形態の他の態様及び利点は、説明される実施形態の原理を例によって示す添付の図面と関連させて以下の詳細な説明を読むことにより明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】説明される実施形態に係るポータブルコンピュータを支持するのに適するマルチパート筐体を示す図である。
【図2】説明される実施形態に係るポータブルコンピュータを支持するのに適するマルチパート筐体を示す図である。
【図3】説明される実施形態に係るポータブルコンピュータを支持するのに適するマルチパート筐体を示す図である。
【図4】説明される実施形態に係るポータブルコンピュータを支持するのに適するマルチパート筐体を示す図である。
【図5】説明される実施形態に係るポータブルコンピュータを支持するのに適するマルチパート筐体を示す図である。
【図6】説明される実施形態に係るポータブルコンピュータを支持するのに適するマルチパート筐体を示す図である。
【図7】開いた状態にあるポータブルコンピューティングデバイスを示す右側正面向き斜視図である。
【図8】説明される実施形態に係るポータブルコンピューティングデバイスを含む左側面図である。
【図9】閉じた状態にあるポータブルコンピューティングデバイスを示す平面図である。
【図10】閉じた状態にあるポータブルコンピューティングデバイス示す正面図である。
【図11】図7〜図10に示されるポータブルコンピューティングデバイスを示す内部図である。
【図12】説明される実施形態に係るポータブルコンピューティングデバイスの上部部分アセンブリを示す図である。
【図13】説明される実施形態に係る荷重吸収装着部材を示す詳細図である。
【図14】説明される実施形態に係る荷重吸収装着部材を示す詳細図である。
【図15】説明される実施形態に係るクラッチバレルアセンブリを示す横断面図である。
【図16】説明される実施形態に係るクラッチバレルアセンブリを示す横断面図である。
【図17】説明される実施形態に係るクラッチバレルアセンブリを示す横断面図である。
【図18】状態指示ランプ(SIL)の一実施形態を示す図である。
【図19】磁力モジュール(MPM)の一実施形態を示す図である。
【図20】一実施形態に係るカメラアセンブリを示す平面図である。
【図21】カメラアセンブリと整列された組み立て後のディスプレイを示す横断面図である。
【図22】説明される実施形態に係るホール効果センサを示す図である。
【図23】典型的な主ロジックボード上における図22に示されるホール効果センサの場所を示す図である。
【図24】典型的なポータブルコンピューティングシステムにおける図22及び図23に示されるホール効果センサの場所を示す図である。
【図25】説明される実施形態に係るポータブルコンピュータシステムの内部部品を編成する処理を詳細に示すフローチャートである。
【図26】開いた状態にあるポータブルコンピューティングデバイスを示す右側正面向き斜視図である。
【図27】閉じた構成のポータブルコンピューティングデバイスを示す斜視図である。
【図28】ポータブルコンピューティングデバイスの正面図及びディスプレイ筐体の一部の横断面図である。
【図29】ディスプレイ筐体カバーを内側フレームに接合する接合方法を示すブロック図である。
【図30】ディスプレイ筐体カバーの被覆方法を示すブロック図である。
【図31】ディスプレイ筐体カバーの照明部分と関連する被覆方法の被膜層を示す図である。
【図32】ディスプレイ筐体を組み立てる方法を示すフローチャートである。
【図33】本発明の一実施形態に係る開いた状態にある例示的なポータブルコンピューティングデバイスを示す右側正面向き斜視図である。
【図34】本発明の一実施形態に係る音声信号が複数の音源からキーボードを介して放射される図1の例示的なポータブルコンピューティングデバイスを示す右側正面向き斜視図である。
【図35】本発明の一実施形態に係る音源が下方に配設されている例示的なキーボードアセンブリを示す側断面図である。
【図36】本発明の一実施形態に係る例示的な音声システムを示すブロック図である。
【図37】本発明の一実施形態に係るワイヤレスカード及び音源を支援するように構成されたポータブルコンピューティングデバイスの例示的な内部部品を示す側立面図である。
【図38】本発明の一実施形態に係るポータブルコンピューティングデバイスの本体の内部に装着された例示的な内部部品を示す平面図である。
【図39】本発明の一実施形態に係る非導電性外側筐体を有する一部解体された状態のポータブルコンピューティングデバイスの例示的な電気的接地構造全体を示す右側正面向き斜視図である。
【図40A】本発明の一実施形態に係る一部解体された状態の図7の例示的なポータブルコンピューティングデバイスの本体を示す底面図である。
【図40B】本発明の一実施形態に係る一部解体された状態の図7の例示的なポータブルコンピューティングデバイスの本体を示す平面図である。
【図41】本発明の一実施形態に係る図7の例示的なポータブルコンピューティングデバイスの背面ブラケット及び周囲領域を示す拡大側横断面図である。
【図42A】本発明の一実施形態に係る図7の例示的なポータブルコンピューティングデバイスの蓋を示す正面図である。
【図42B】本発明の一実施形態に係る図7の例示的なポータブルコンピューティングデバイスの蓋を示す側横断面図である。
【図42C】本発明の一実施形態に係る図7の例示的なポータブルコンピューティングデバイスのディスプレイクラッチアセンブリを示す拡大側横断面図である。
【図43】ポータブルコンピュータ筐体の底部ケースの層を示す展開斜視図である。
【図44】図49に示される底部ケースの一実施形態を製造する方法を示すフローチャートである。
【図45】例示的なリサイクルコードが裏返しに印刷されているアルミニウム構造支持層を示す平面図である。
【図46】例示的なリサイクルコードが正しい向きで印刷されている構造支持層から剥ぎ取られた保護カバー層の内面を示す平面図である。
【図47】閉じた状態にあるポータブルコンピューティングデバイスを示す平面図である。
【図48】閉じた状態にあるポータブルコンピューティングデバイスを示す正面図である。
【図49】実施形態に係る筐体を示す図である。
【図50】上述の実施形態に係る軽量ポータブルコンピュータに埋め込まれた図49に示されるバッテリを示す図である。
【図51】上述の実施形態に係るポータブルコンピューティングシステムを示す図である。
【図52】上述の実施形態に係る正面フレームに装着されたバッテリカバーを示す横断面図である。
【図53】上述の実施形態に係るバッテリアセンブリを示す斜視図である。
【図54】上述の実施形態に係るバッテリアセンブリを示す横断面図である。
【図55】上述の実施形態に係る処理を詳細に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
添付の図面と関連させて以下の詳細な説明を読むことにより、実施形態は容易に理解されるだろう。図面中、同一の図中符号は、同様の構造部品を示す。
以下、添付の図面に示される典型的な実施形態を詳細に参照する。以下の説明は、それらの実施形態を1つの好適な実施形態に限定することを意図しないことを理解すべきである。以下の説明は、添付の特許請求の範囲により定義される実施形態の趣旨の範囲の中に含まれる代替構成、変形及び均等物を含むことを意図する。
【0034】
コンピュータ筐体
以下の説明は、ラップトップコンピュータ、ネットブックコンピュータ、タブレットコンピュータなどのポータブルコンピューティングデバイスに適するマルチパート筐体に関する。マルチパート筐体は構造支持層を含むことができる。構造支持層は強度及び耐久性に優れ、しかも軽量である材料から形成される。そのような材料は複合材料及び/又はアルミニウムなどの金属を含むことができる。アルミニウムは、構造支持層として選択されるのに適するいくつかの特性を有する。例えば、アルミニウムは、適切な電気的接地を実現できる良導体であり、容易に機械加工できかつ周知の冶金特性を有する。更に、アルミニウムは、反応性の低さや、ポータブルコンピュータがWiFi、AM/FMなどのRF能力を有する場合には不可欠の必要条件である非磁性という特徴を有する。構造支持層を保護すると共に、外観に優れた仕上がり(視覚及び触覚の双方で)を実現するために、構造支持層の外面に保護層が配置される。筐体の美観を向上しかつポータブルコンピュータの外面を保護するために、保護層は、構造支持層の縁部を包むように延出できる。保護層は、例えばTPUなどの熱可塑性エラストマーから形成される。
【0035】
マルチパート筐体は本体を更に含むことができる。本体は、コンピュータアセンブリを支持すると共に、ポータブルコンピューティングデバイスに加えられた荷重を伝達しかつ分散する内側層により支持された外側層を含むことができる。外側層は軽量であるが耐久性に優れた材料から形成される。そのような材料は、例えば流動性が高く、ポータブルデバイスに適用されるのに適する強靭性及び耐熱性を示すPCABSとしても知られるポリカーボネートとアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)の混合物を含むことができる。内側層は、複合材料、プラスチック、もしくはマグネシウム又はマグネシウム合金などの金属から形成される。内側層は、構造支持層に直接結合されることにより、内側層と構造支持層との間に荷重経路を形成できる。これにより、ポータブルコンピューティングデバイスに加えられた荷重は内側層を通して分散しかつ外側層に実質的に影響を及ぼすことなく荷重経路に沿って構造支持層へ伝達できる。外側層は荷重耐性を有する必要がないので、従来のポータブルコンピュータ筐体で使用するには不適切であったプラスチックのような、可撓性であるが外観のよい材料から外側層を形成できる。
【0036】
内側層が金属製であるか又は少なくとも導電性である実施形態において、内側層及び構造支持層は、一体構造として良好な電気的接地平面又は電気的接地点を形成できる。外側層としてプラスチック又は他の非導電性材料を選択すると、外側層では接地を提供できないため、これは特に重要な特徴であるということができる。更に、ポータブルコンピューティングデバイス内では動作部品が互いにごく近接して配置されるので、RF妨害を非常に受けやすいワイヤレス回路のような回路から、RFの大放射源(主ロジックボード、すなわちMLBなど)を隔離することが極めて望ましい。そこで、内側層は構造支持層と組み合わされて、WiFi回路などのRF妨害を受けやすいコンピュータアセンブリ内の他の部品からMLBを電磁的に隔離するために使用できる金属フレームを含むことができる。
【0037】
本質的に外側層は荷重から隔離されるので、外側層を形成するために使用される材料を広範囲に選択できる。従って、従来のコンピュータ筐体で現実に可能である優れた外観や手触りをはるかに超えるレベルのポータブルコンピュータを製造できる。例えば、外側層は、軽量プラスチックから形成できかつどのような形状(アンダーカット形状)にも成形可能である。外側層は、まったくとはいえないが実質的にポータブルコンピュータを構造支持しないので、外側層は多様な形状で形成することができる。例えば、ユーザには実質的に切れ目なしの一体の形状に見えるように、外側層は連続するスプライン輪郭を示すことができる。更に、ポータブルラップトップコンピュータの全体的な美観を損ねると考えられる外側の締結具は不要になるので、外側層により示される全体的な見かけや感触は、単純な連続した形状の1つとすることができる。
【0038】
前述のように、外側層はいかなる実体的な荷重も伝達しないので、追加の支持構造を必要としないいくつかの幅広の開口部が外側層に形成することができる。そのような開口部は、内部回路にアクセスするために使用可能なポートの形をとることができる。例えば、ポートは、外部回路を接続するケーブル(USB、イーサネット、FireWireなど)を受け入れるためのデータポートを含むことができる。開口部は、音声回路、ビデオディスプレイ回路、給電入力端子などに対するアクセスも可能にする。
【0039】
ポータブルコンピュータは可動カバーを更に含むことができる。可動カバーは外側層を支持する内側フレームを含むことができる。内側フレームは、本体の内側層とまったく同様に可動カバーに加えられた荷重を分散しかつ伝達することができる。説明される実施形態において、内側フレームは、強度が高く、軽量でかつ導電性である材料から形成できる。そのような材料は、例えばマグネシウム及び/又はマグネシウム合金を含むことができる。内側フレームを本体の内側層に結合することにより、内側フレームは構造支持層に至る荷重経路の一部になることができる。従って、すべて内側フレームに沿って分散しかつ筐体の内側層を介して構造支持層へ可動カバーに加えられた荷重又は可動カバーにより発生された荷重を伝達できる。例えば、可動カバーは、本体の一部分を露出するために開くことができかつ本体のその部分を隠すために閉じることができる蓋の形をとることができる。ヒンジなどのコネクタを使用して内側フレームを本体の内側層に結合することにより、内側フレームは荷重経路の一部になることができる。従って、蓋が開かれた(又は閉じられた)場合などに蓋に加えられた荷重は、例えば荷重経路に沿って蓋から構造支持層へ伝達される。
【0040】
上記の実施形態及び他の実施形態を図1〜図25を参照して以下に説明する。しかし、図1〜図25に関して以下に提示される詳細な説明は単に説明を目的としており、それらの限られた実施形態を超えた範囲を有することは当業者には容易に理解されるだろう。
【0041】
図1〜図5は、説明される実施形態に係るマルチパート筐体100(以下の説明中、単に筐体という)の種々の構成を示す。筐体100は、コンピュータアセンブリを内包しかつ支持するために使用される。コンピュータアセンブリは、コンピューティングシステムの動作中に使用される主ロジックボード(MLB)、ハードディスクドライブ(HDD)、光ディスクドライブ(ODD)などの複数の動作部品を含むことができる。コンピューティングシステムはデスクトップ又はポータブルであってもよいが、以下に説明される実施形態はポータブルコンピューティングシステムに関し、それにより普遍性が損なわれることはまったくない。
【0042】
筐体100は構造支持層102を含むことができる。構造支持層102は、金属(打ち抜き加工で形成されるアルミニウムなど)のような材料又は複合材料から形成される。筐体100は本体104を更に含むことができる。本体104は、外側層108に装着された荷重伝達・荷重分散内側層106を含むことができる。外側層108は、優れた外観を呈するように選択された材料から形成でき、応力又は何らかの大きな荷重に耐える性能はそれほど求められない。これは、少なくとも、筐体100に加えられる実質的にすべての荷重を内側層106が伝達するように設計できるという理由によるものである。従って、内側層106から外側層108への荷重の伝達を抑止するように、内側層106と外側層108は互いに装着される。例えば、内側層106及び外側層108は、のりなどの接着剤110を使用して一体に装着される。尚、形成される接着剤接合部が内側層106の荷重伝達特性及び荷重分散特性を妨げないように接着剤は選択されるべきである。
【0043】
図2に示されるように、内側層106は構造支持層102と機械的に結合される。この結合により、内側層106に加えられた実質的にすべての荷重を外側層108に過度の荷重を与えることなく構造支持層102へ伝達できるように、内側層106は構造支持層102に至る荷重経路を形成できる。従って、筐体100に加えられる実質的にすべての荷重が外側層108をバイパスしかつ外側層108を隔離させるように荷重経路112を介して構造支持層102へ伝達可能であるという意味で、外側層108は荷重から隔離されていると考えてよい。構造支持層102の外面に保護層114が配置される。保護層114は、例えば耐食性を有し、かつ見た目や感触もよいTPUを含むTPEなどの弾性材料から形成される。保護層114は構造支持層102の縁部を包むように延出できる。構造支持層102/保護層114が内側層106に機械的に結合される場合、筐体100の見た目の一体性を維持できる接合部が保護層114と外側層108との間に形成される。
【0044】
図3は、本体104と、本体と一体に形成されかつコンピュータアセンブリを収納するのに適する筐体118を形成する上部116とを有する筐体100の一実施形態を示す。コンピュータアセンブリは、ラップトップコンピュータ又は他のポータブルコンピューティングデバイスに適合する動作部品に対応可能である。ラップトップコンピュータの場合、図4に示されるように回動コネクタ122により筐体118に可動蓋120が回動可能に装着される。これにより、蓋120が開いた状態にある場合(キーボード及び/又はタッチパッドなどの上面124の機能が見える場合)、筐体118の上面124を見通すことができ、蓋120が閉じられると上面124は見えなくなる。図示される実施形態において、蓋120は化粧外面128を支持する荷重伝達内側フレーム126を含むことができる。内側フレーム126は、蓋120がLED、LCDなどのディスプレイデバイスを含むような状況で特に効果的である。蓋120が内側層106に機械的に結合されることにより、外側層108に実質的に荷重を与えることなく蓋120から荷重経路112に沿って構造支持層102へ蓋120に加わるすべての荷重(例えば、筐体118に対して蓋120を開閉した場合など)を伝達できる。
【0045】
図5は、組み立て作業中に部品を受け入れるのに適する向きで筐体118を示す図である。この向きにあるとき、構造支持層102は存在しないので、部品を筐体118に挿入しかつ内側層106に固定でき及び/又は内側層106の一部にすることができる。内側層106は、実質的に荷重を伝達しない接着剤110を介して外側層108に装着される。組み立て中、開口部130を通して種々の動作部品が筐体118に挿入されかつ内側層106に装着される。尚、筐体118内部で荷重を伝達しかつ分散させる内側層106の能力を最適にするように、ポータブルコンピューティングデバイスの機能レイアウトが利用される。一実施形態において、筐体118は、動作部品及びそれらに含まれる対応する構造特性に基づいて複数の領域に分割される。例えば、筐体118がラップトップコンピュータに対応する場合、筐体118は、タッチパッド又はトラックパッドに従ってユーザインタフェースなどの機能に対応するのに適する正面部分132を有すると考えられる。ユーザインタフェース自体は、タッチパッドの上面124に形成される開口部に装着された対応するフレーム構造134により構造支持される。ユーザインタフェースを適切に支持するために、フレーム構造134は、アルミニウム、マグネシウム及び/又はマグネシウム合金の形をとる金属などの強度の高い剛性材料から形成される。内側層106の正面フレーム136にフレーム構造134を組み込むことにより、正面部分132の相対的な剛性を向上しかつ正面フレーム136の荷重伝達能力を向上するために、フレーム構造134の本来の剛性及び強度を利用できる。同様に、筐体118は、例えば以下に更に詳細に説明されるキーボードと背面フレーム140との間の接合部を形成するために感熱支柱が溶融されるように熱カシメ処理を使用して上面124の開口部に組み込まれるキーボードなどの他の機能に対応できる背面部分138を有すると考えられる。しかし、キーボードはユーザに見えるので、通常、キーボードは外側層108の材料に類似する材料から形成される。従って、キーボードの材料は荷重を伝達又は分散するのには適さない。そこで、背面フレーム140の構造の設計に際しては、キーボードに依存して相当に大きな荷重を伝達することはできないということを考慮に入れなければならない。
【0046】
組み立て終了後、例えば構造支持層102を内側層106と接触させることにより、筐体118内部で組み立てられた部品を被覆するために構造支持層102が使用される。このように、複数の結合箇所142でねじ、リベットなどを含む締結具を介して内側層106を構造支持層102に結合することにより、荷重経路112が形成される。尚、特定の構造に応じて、どのような数の締結具及び/又はどのような種類の締結具の組み合わせが使用される。内側層106を構造支持層102に固定することにより、結合箇所142の締結具は外側層108に実質的に荷重を与えることなく、内側層106から荷重経路112を介して「紙面上方へ向かう」ようにZ方向に構造支持層102へ荷重Lの成分を伝達するために使用される。
【0047】
従って、筐体118に挿入された部品の荷重搬送特性又は荷重伝達特性並びに固有の剛性又は何らかの方法により向上された剛性を考慮に入れることにより、荷重を伝達しかつ/又は分散する内側層106の能力を向上できる。例えば、図6は、耐荷重部品及び非耐荷重部品を含む特定の1組の動作部品に従って荷重の伝達及び荷重の分散の双方に関して性能を向上させた内側層106を有する筐体118の一実施形態を示す。正面フレーム136は、タッチパッドフレーム134を含むように構成される。タッチパッドを構造支持するために、タッチパッドフレーム134は、外側層108に堅固(例えば、のりを使用して)に装着され、正面フレーム136の一部として、タッチパッドフレーム134は、筐体118における荷重の伝達を補助できる。従って、このような構造を使用しない場合には必要になると考えられる部品の分の重量が加わることなく、タッチパッドフレーム134の固有の剛性が外側層108の剛性に加算される。更に、タッチパッドフレーム134は、正面フレーム136の一部として装着部材144(非耐荷重部品148を外側層108に装着するために使用される)と耐荷重部品150との間で荷重Lを移行させるためにブリッジ部材146を使用して装着部材144(同様に正面フレーム136の一部である)と関連して作用する。正面フレーム136に対する荷重(荷重Lなど)又は背面フレーム140に対する荷重から非耐荷重部品148を実質的に隔離することができる荷重隔離コネクタ152を使用して、非耐荷重部品148は装着部材144に結合される。以下に更に詳細に説明される特定の一実施形態において、荷重隔離コネクタ152はスロットとピンの構造の形をとることができる。更に、装着部材144は結合箇所142において締結具を介して構造支持層102に結合されるので、装着部材144は、XY平面で荷重を伝達するのに加えて荷重Lのz成分Lzを構造支持層102へ直接伝達できる。
【0048】
耐荷重部品150は、構造支持層102に直接装着されると共に、正面フレーム136にも直接装着されて本質的に正面フレーム136の一部になることができる。耐荷重部品150は、荷重伝達コネクタ154で背面フレーム140に更に結合される。説明される実施形態において、背面フレーム140は、撓むことが許容されないMLBなどの部品を少なくとも機械的に支持するために使用可能な背面部分138に配置された軽量化金属板の形をとることができる。背面フレーム140は、のりなどの接着剤を使用して筐体118に直接装着される。尚、キーボードを筐体118に挿入する間に熱カシメで溶融可能な支柱を配置することにより、キーボードを支持するために背面フレーム140が使用される。耐荷重部品150は構造支持層102及び背面フレーム140に直接結合可能であるので、耐荷重部品150は、X方向、Y方向及びZ方向に空間的に荷重を分散できる。例えば、荷重Lは3つの空間成分{LxLyLz}に分割され、各成分は他の2つの成分とは無関係に伝達可能である。すなわち、荷重成分Lxは、耐荷重部品150により荷重成分Lyとは無関係に伝達可能である。例えば、荷重成分Lyは、コネクタ154を介して荷重成分Lxとは無関係に背面フレーム140へ伝達可能である。同様に、荷重成分Lzは、締結具142を介していずれかの荷重成分Lx又はLyとは無関係に構造支持層102へ伝達されることが可能である。
【0049】
背面フレーム140は、マグネシウム又はマグネシウム合金の形の金属のような強い剛性の材料から形成される。背面フレーム140は、大きな撓みが許容されない主ロジックボード、すなわちMLBのような部品を支持できる。背面フレーム140は、コネクタ154を介して耐荷重部品150から受け取った荷重を分散しかつコネクタ152の荷重隔離機能を支援できる。いくつかの実施形態において、背面フレーム140は、外側層108に製造された外部機能を支持するように構成される。例えば、外側層108の開口部156は、データポート、給電ポートなどの場合によっては相対的に広い離間間隔が必要になるポートへのアクセスを可能にするために使用される。局所バイパス構造158を形成することにより、開口部156は荷重から保護され、それにより、外側層108を補強する必要はまったくなくなる。
【0050】
背面フレーム140とは別の背面ブラケット160により、背面部分138が更に支持可能である。背面ブラケット160は、筐体118に対する追加支持を含めて多くの目的で利用される。説明される実施形態において、この追加支持は、背面ブラケット158が片持ち梁部として作用することによって実現される。従って、背面ブラケット160は、マグネシウム又はマグネシウム合金のような金属などの強度に優れた軽量の弾性材料から形成される。更に、背面ブラケット160は、分散されずに背面フレーム140に加わった場合には背面フレーム140と筐体118との接合部に悪影響を及ぼすおそれがある狭い領域に集中する荷重の分散を促進できる。例えば、背面ブラケット160の本体から延出する背面ブラケット160の一部であるコネクタ162で、蓋120は内側層106に結合される。このように本体から延出することで、蓋120が開閉される場合に受ける非常に集中した荷重を消散しかつ分散する効果が得られる。背面ブラケット160は、いくつかの装着箇所で荷重伝達型コネクタ154を使用して背面フレーム140に装着されると共に、結合箇所142で適切な締結具を使用して構造支持層102に装着される。このように、背面ブラケット160は、荷重の集中を最小限に抑え、筐体118内部における荷重の分散を補助しかつ筐体118の剛性を向上できる。
【0051】
図7及び図8は、ポータブルコンピューティングデバイス200の開いた状態の種々の斜視図を示し、図9及び図10は、ポータブルコンピューティングデバイス200の閉じた状態の種々の図を示す。
【0052】
図7は、開いた状態にあるポータブルコンピューティングデバイス200を示す右側正面向き斜視図である。ポータブルコンピューティングデバイス200は、外側層202を有する本体と、保護層207を含むディスプレイ206を有する上面カバー204とを含むことができる。デバイスを閉じた位置から開いた位置に保つために、また開いた位置から元の閉じた位置に戻すために、ユーザは、ディスプレイクラッチ(図示せず)によって上面カバー204を動かすことができる。ディスプレイ206は、グラフィカルユーザインタフェース、写真などの静止画像並びにムービーなどのビデオメディアアイテムのような視覚コンテンツを表示できる。ディスプレイ206は、液晶ディスプレイ(LCD)、OLEDなどの何らかの適切な技術を使用して画像を表示できる。ポータブルコンピューティングデバイス200は、上面カバー204に配置された画像取り込みデバイス208を更に含むことができる。画像取り込みデバイス208は、静止画像及びビデオ画像の双方を取り込むように構成される。
【0053】
適切な弾性材料から形成されたディスプレイトリム(又はベゼル)210は、上面カバー204内部の構造部品(図示せず)により支持可能であるが、化粧背面カバー211には装着されない。ディスプレイトリム210を構造部品に直接装着しないことにより、化粧背面カバー211とディスプレイトリム210とを適切に位置合わせすることができる。ディスプレイトリム210は、動作部品及び構造部品を隠すと共に、ユーザの注意をディスプレイ206の機能領域(active area)に向けることによりディスプレイ206全体の外観を向上できる。上面カバー204は、ディスプレイクラッチアセンブリ(クラッチバレルにより隠されている)とも呼ばれるヒンジアセンブリを使用して外側層202に結合される。このヒンジアセンブリ自体は、荷重経路を介して構造支持層212に結合される。構造支持層212は、複合材料又はアルミニウムなどの金属から形成される。構造支持層212は、目を引くと共に感触もよい耐久性に優れた保護材料から形成された保護層214により被覆される。保護層214は、外側層202と共にTPU継目215を形成するために構造支持層212の縁部を包むように延出するTPUから形成される。TPU継目315は、外側層202の形状が連続しているという見た目を維持することができる。
【0054】
外側層202は、タッチパッド216及びキーボード218のような複数のユーザ入力デバイスを含むことができる。キーボード218は複数のキーパッド220を含むことができ、各キーパッド220には、特定のキーパッドと関連するキー入力をユーザが識別できるようにするための記号が刻印されている。キーボード218は、キーストロークと呼ばれる指の動きを利用してキーパッドごとに個別のユーザ入力を受信するように構成される。説明される実施形態において、ポータブルコンピューティングデバイス200の耐用年数の中でキーストロークが絶えず加えられても消滅しない極めて明瞭で丈夫な刻印を形成するように、各キーパッドの記号はレーザーエッチングにより形成される。タッチパッド216はユーザの指のジェスチャーを受信するように構成される。指のジェスチャーには、2本以上の指が同時に加えるタッチイベントが含まれる。ジェスチャーは撫でる又は軽く叩くなどの1本指によるタッチイベントを更に含むことができる。
【0055】
外側層202は、ユーザがポータブルコンピューティングデバイス200の電源をオン/オフするのを助けるように構成された電源ボタン222を更に含むことができる。音声入力デバイス224は、音声などの可聴入力を受信するために使用される。状態指示ランプ(SIL)226は、ユーザに情報を提供するために使用される。そのような情報は、例えばポータブルコンピューティングデバイス200の動作状態に関連可能である。外側層202は、光の大部分を透過できる半透明プラスチック材料から形成されるので(ライトブリードと呼ばれる)、SIL226は、SIL226の透明発光部分の幾何学形状により限定された光を除くすべての光をほぼ排除するように構成される。外側層202は、筐体202の中に実装された動作回路をアクセスするために使用される開口部を更に含むことができる。例えばディスクスロット228は、コンパクトディスク(CD)及び/又はデジタルバーサタイルディスク(DVD)などのディスク媒体を差し込むために使用される。通例、外側層202は、ポータブルコンピューティングデバイスの動作時にユーザから見て前方に位置する前方部分230と、後方に位置する後方部分232とに分割されると考えてよい。従って、タッチパッド216は前方部分230に位置すると考えてよく、キーボード218は後方部分232に位置すると考えてよい。
【0056】
図8を参照すると、図8はポータブルコンピューティングデバイス200の左側面図を示し、特に複数のポート234を更に詳細に示す。外側層202は大きな荷重を支えることがないので、ポートを収容するために使用される筐体202の開口部は、追加の支持構造を必要とすることなく相対的に広い間隔で配置される。例えば、外側層202に形成されかつイーサネットポート238に接続されるイーサネットケーブルを受け入れるために使用される開口部236は、標準形イーサネットケーブルアダプタを受け入れるように相対的に大きくなければならない。電源コネクタソケット242を受け入れるために使用される開口部240についても同じことが言える。尚、電源コネクタソケット242を受け入れるために、開口部240は高い縦横比を有していなければならない。電源コネクタアダプタソケット242は、電源プラグと電源コネクタソケット242との整列を容易にする相対的に広いプラットホーム244又はメサを含むので、特に高い縦横比が必要とされる。他の開口には、USBポート250及び252にそれぞれ接続されるUSBケーブルアダプタを受け入れるために使用される開口部246及び248がある。オーディオジャック254、FireWire(登録商標)ポート256、ビデオポート258及びオプションのポート260が更に含まれる。場合によっては、オプションのポート260は、当該技術では周知であるKensingtonロックに従ったロックキーを受け入れるのに適するロックポートとして使用される。いずれにしても、外部のユーザがオプションのポート260を使用してポータブルコンピューティングデバイス200の内部を見るのを防止するために、内部を見えにくくするためのゴムなどの弾性材料から形成されたキャップがオプションのポート260の内側に装着される。
【0057】
図9及び図10は、閉じた状態のポータブルコンピューティングデバイス200の平面図及び正面図である。詳細には、図8は、ポータブルコンピューティングデバイス200の形状が一様であることを示す。このような形状の連続性は、上面カバー204、外側層202、構造支持層212及び保護層214の間の連続するラインにより明らかである。
【0058】
図11及び図12は、ポータブルコンピューティングシステム200を示す種々の図である。詳細には、図11は、種々の動作部品及び構造部品の配置並びにそれらの部品の相互関係を明示する図6に示されるようなポータブルコンピューティングシステム200を示す図である。従って、非耐荷重部品148は、装着部材144を介して外側層202に結合されたハードディスクドライブ(HDD)1102の形をとることができる。装着部材144はブリッジ構造146を介して耐荷重部品150に結合される。説明される実施形態において、耐荷重部品150は埋め込みバッテリアセンブリ1104の形をとることができる。バッテリアセンブリ1104は、筐体118からバッテリアセンブリ1104を取り外すのを補助するために使用されるプルタブ1106を含むことができる。外側層202に更なる剛性を与えるために、バッテリ本体1108(バッテリアセンブリ1104と関連するバッテリセルを内包しかつ支持するために使用される)は、外側層202に機械的に結合されることにより外側層202の剛性を更に向上させる形態及び組成を有することができる。バッテリ本体1108は、構造支持層102が取り除かれた場合に更に密接に一体的に嵌合しかつすっきりして人目を引く外観を呈するように、本体202の内面の形状に適応する形状を有することができる。
【0059】
穴1110のうち少なくともいくつかは、装着部材1112を介して構造支持層102に結合可能な部材(図6のコネクタ142に対応する)を受け入れるのに適する。バッテリ本体1108は、バッテリアセンブリ1104を背面フレーム1116に結合可能な締結具(図6に示される荷重伝達コネクタ154に対応する)を受け入れることができる穴1114を含むことができる。装着部材1112は、装着部材1112を介してバッテリアセンブリ1104を内側層106に固定できる締結具(図6に示される締結具142のような)を受け入れるように配置された穴1118を更に含むことができる。このように、バッテリアセンブリ1104は、どのような空間座標であっても荷重Lの伝達及び分散を補助できる。例えば、バッテリアセンブリ1104は、空間座標{Lx,Ly,Lz}を有する荷重Lを構造支持層102(Lx)、内側層106(Ly)又は背面フレーム1116(Lz)へ伝達できる。
【0060】
背面フレーム1116は、アルミニウム、マグネシウム又はマグネシウム合金などの軽量の導電性材料から形成される。打ち抜きなどの何らかの数の技術を使用して背面フレーム1116に複数の穴1120を形成することにより、背面フレーム1116を更に軽量化できる。複数の穴1120は、背面フレーム1116の強度又は撓みが実質的に又はまったく許容されない部品を支持する背面フレーム1116の能力に実質的に影響を及ぼすことなく、背面フレーム1116を軽量化できる。撓みが許容されない部品には、主ロジックボード(MLB)1122が含まれる。MLB1120上には、表面実装されているために又は他の理由によって撓みによる損傷を受けやすい相対的に多数の個別の素子があるので、MLB1122は堅固に支持されていなければならない。背面フレーム1116に装着されかつ背面フレーム1116により支持される他の部品には、ファン1124、光ディスクドライブ1126及びフレックス1130を介してMLB1122に電気的に接続された一体形音声/ワイヤレスカード1128がある。尚、図示される実施形態における一体形ワイヤレス音声カード1128は、背面フレーム1116に直接装着されるのではなく、光ディスク1132などの光媒体を受け入れるために使用されるODD1126の一部である金属プラットホームに載置される。金属プラットホームは、支持体を形成するだけではなく、ディスプレイ接地ワイヤ1134を接続可能な電気的接地点を形成できる。構造支持層102との電気的接触を成立させるために、接地ピン(ポゴピンと呼ばれる場合もある)1136が使用される。このように、MLB1122上の種々の素子により発生されるRFエネルギーを封じ込めるRFシールドを形成できる。更に、このRFシールドは、一体形ワイヤレス/音声カード1128の無線性能に重大な影響を及ぼすRF漏れ及びRF妨害から一体形ワイヤレス/音声カード1128などの回路を保護できる。
【0061】
背面ブラケット1138は、マグネシウム又はマグネシウム合金などの軽量で強度に優れた金属から形成できかつ背面フレーム1116及び構造支持層102に結合できる。背面ブラケット1138は、外側層202を更に機械的に支持する片持ち梁として機能できる。更に、背面ブラケット1138は、筐体118と外部環境との間の空気の流通を容易にすると同時に、外部から筐体118の内部構造を見えにくくする通気口のような構造を含むように構成される。背面ブラケット1138は内側層106の一部となることもでき、それにより上面カバー204からコネクタ1140(図6のコネクタ154に対応する)の場所にあるディスプレイクラッチ(図示せず)を介して背面フレーム1116及びコネクタ1110へ荷重を伝達できる。説明される実施形態において、背面ブラケット1138は、コネクタ1146(図6のコネクタ162に対応する)を介して背面ブラケット1138を背面フレーム1116に直接結合することにより片持ち梁として作用する延出部分1144を含むことができる。これにより、カバー210を開閉する場合に発生される荷重のような局所に集中した荷重を、このような構造が採用されない場合より広い背面フレーム1116の領域にわたり分散できる。局所に集中した荷重をこのように分散させることにより、背面フレーム1116と背面フレーム1116が装着されている外側層202との間の接着剤接合部は悪影響を受けにくくなる。背面ブラケット1138は、コネクタ1148(図6のコネクタ154に対応する)の場所でも背面フレーム1116に装着される。背面フレーム1138は、構造支持層102に至る接地経路を形成する電気接点1150を更に含むことができる。
【0062】
構造音響製品を提供することと関連してポータブルコンピューティングデバイス200の外観を向上するために、目に見える継目は、一般に望ましくないと思われる。継目の外観がよくないことに加えて、継目には塵や埃が溜まりやすく、構造の一体性を損ねるという問題を引き起こす場合もある。従って、継目が見た目に与える影響をなくすか又は少なくとも軽減しようとする試みとして、閉じた状態の場合にディスプレイクラッチ継目1154が通常はユーザの目に触れないようにディスプレイクラッチバレル1152を実現することが含まれる。更に、ディスプレイクラッチ継目1154は、TPU継目215と位置合わせできる。このようにすると、ポータブルコンピューティングデバイス200を底面から見た場合に、ディスプレイクラッチ継目1154とTPU継目215は一体であるように見える。クラッチバレル1152は、他の部品を支援できる回路を含むことができる。例えば、クラッチバレル1152は、一体形ワイヤレス/音声カード1128により使用されるRFアンテナを含むことができる。それらの回路に対する操作を容易にするために、クラッチバレル1152は、ジッパーのように操作することにより着脱できるクラッチバレルカバー1156を含むことができる。尚、クラッチバレル1152については、以下に更に詳細に説明する。
【0063】
ポータブルコンピューティングデバイス200は、Z方向への動きは制限するが、XY平面では差し込み後の調整のために十分な動きを可能にするようにCCD1126などの部品を装着できる制限Zスタック装着部材1158のような他の装着部材を更に含むことができる。荷重吸収部材1160(更に特定した例は、図6に示される荷重吸収装着部材152)は、荷重吸収装着部材152と関連して、HDD1102などの非耐荷重部品を背面フレーム1116及び内側層106にそれぞれ装着するために使用される。
【0064】
図12は、説明される実施形態に係るポータブルコンピューティングデバイス200の上面部分アセンブリ1200を示す図である。上面部分アセンブリ1200は、圧電音声変換器及び吸引板1204を配置するのに適する設置用パッド1202を含む。
【0065】
図13及び図14は、説明される実施形態に係る荷重吸収装着部材1160及び152を示す。前述のように、荷重吸収装着部材は、HDD1102などの非耐荷重部品を内側層106に装着するために使用される。この点に関して、装着部材152は、非耐荷重部品に装着される取り付け支柱を受け入れるように構成された開口部1302を含むことができる。あらゆる衝撃を隔離しかつ/又は吸収するために、開口部1302は、取り付け支柱を堅固に支持するように構成された支持構造1304により取り囲まれる。支持構造1304は、硬質プラスチックなどの材料から形成されかつ開口部1302から発生する(例えば、取り付け支柱からの)点荷重を伝達しかつ分散するように形成される。この点荷重は、支持構造1304から、軟質プラスチックの形をとる荷重(又は衝撃)吸収材料1306へ分散される。このように、支持構造1304で受け取られた点荷重を荷重吸収材料1306により分散しかつ吸収できる。
【0066】
図14に示されるように非耐荷重部品を取り付けるために、非耐荷重部品の一方の側にある取り付け支柱1308は、開口部1302に十分深く差し込まれる。次に、非耐荷重部品は、装着部材1160の受け入れ部分1310の中まで押し下げられる。説明される実施形態において、受け入れ部分1310は、装着部材152と本質的に同一の材料から形成される。装着部材152は、荷重吸収部分又は衝撃吸収部分1314の中にありかつ非耐荷重部品の他方の側に配置された取り付け支柱1308を受け入れるような大きさに形成された上向きの半円形支持部分1312を有する。取り付け支柱1308が支持部分1312に差し込まれた後、相補形の係止部分1318を有する上部係止部分1316が受け入れ部分1310に配置される。受け入れ部分1310に適正に配置されると、係止部分1316は、取り付けピン1318を所定の場所に係止できる。このようにして、取り付け支柱は所定の場所に実質的に係止され、受け入れ部分の衝撃又は荷重(点荷重の形をとることもある)を係止部分1314によりすべて「拡散」できる。
【0067】
図15〜図17は、上面カバー204、特に、ディスプレイクラッチアセンブリ1500の特定の実施形態を示す種々の図である。図15は、ディスプレイ206(ディスプレイ保護カバー207は「A」横断面に更に明瞭に示される)及びベゼル209を際立たせた上面カバー204の正面図である。ディスプレイクラッチアセンブリ1500は、コネクタ1140及び1110(先に図11を参照して説明された)でディスプレイ内側フレームを背面ブレース1138及び背面フレーム1116に結合できるコネクタ1502と関連可能である。ディスプレイクラッチアセンブリ1500は、背面カバー211の延出部分1504の中に一部内包される。その後、ディスプレイクラッチアセンブリ1500は、複数のコネクタを使用して延出部分1504とクラッチバレル1506とを接合することにより完全に内包することができ、これにより、クラッチバレル界面(clutch barrel reveal)1508と呼ばれる継目が形成される。見た目のよさに加えて、上面カバー204が閉じた位置にある場合、クラッチバレル線1508はユーザの目に触れにくい。更に、上面カバー204が開いた位置にある場合、クラッチバレル界面1508は継目215と一線に並ぶので、通常の操作使用時には容易にユーザの目に触れるとは考えられない部分ではあるが、一体的であるという印象を与える。
【0068】
図16に更に詳細に示されるように、ディスプレイクラッチアセンブリ1500は、複数の電気部品(RFアンテナなど)を内包し、従って目に触れないように隠すことができる。更に、延出部分1504は、上面カバー204が長く中断なく続いているという印象を与える。すなわち、上面カバー204の梁高さ「h」は、約hだけ増し、それにより、上面カバー204に更なる剛性が与えられる。クラッチバレル1506は、延出部分1504の貫通孔1514と関連してクラッチバレル1506を上面カバー204に固定するために使用可能な複数のスナップコネクタ1512を含むことができる。例えば、クラッチバレル1506は、縁部1516を支持体1508に装着することによりディスプレイベゼル206に固定され、その後、スナップコネクタ1512を貫通孔1514に挿入することにより延出部分1504に固定される。
【0069】
図17は、クラッチバレル1506の詳細図であり、特に、クラッチバレル1506を上面カバー204に固定するために延出部分1506のスナップコネクタ1512と組み合わせて使用されるクラッチバレル1506の貫通孔1514を示す拡大内部図である。クラッチバレル1506は、対応するスナップコネクタ1512をそれぞれ受け入れることができる複数の貫通孔1514を含むことができる。これにより、クラッチバレル1506を上面カバー204に固定結合することができ、更に、ジッパーが使用されているので、必要に応じてクラッチバレル1506と上面カバー204との間の「ジッパーを開く」ことにより、クラッチバレル1506を容易に取り外すことができる。このジッパー操作は、スナップコネクタを対応する貫通孔から引き上げて順次解放することにより実現される。このため、上面カバー204とクラッチバレル1506が接合されている場合、その接合部の強度は、単独結合の強度にスナップ結合の総数を乗算した強度にほぼ等しい。従って、そのようなスナップ結合部を相対的に多数設けることにより、単独結合の強度をはるかに超える強力な接合が得られる。しかし、ジッパーを使用する場合、一度に1つの結合部を順次外していくことにより、クラッチバレル1506を簡単かつ容易に取り外せる。
【0070】
図18は、SIL226の一実施形態を示す。SIL226は、透明プラスチックから成る第1の層1802と、透明プラスチックから成る第2の層1804とを有する積層構造1800の形をとることができ、各層は入射する光の実質的にすべてを透過できる。プラスチック層間に濾光媒体1806が配置される。濾光媒体1806は、SIL226により放射される所望の光の色に対応する色を有するインクの形をとることができる。説明される実施形態において、インクは、ポータブルコンピューティングデバイス200全体の見た目と調和した色とすることができる。インク1806は、第2のプラスチック層により透過されたすべての光が本質的にインクと同一の色、この場合は実質的に白色であるように、第1のプラスチック層と第2のプラスチック層との間を通る光をカラーフィルタリングできる。インク1806は、プラスチック層を一体に接合するように作用する。積層構造1800の両側に第3の層としてインク層1808が配置される。第3のインク層は、層1806と実質的に同一である。第3のインク層は、ユーザが見た場合にSIL226により放射される光を一様に見せる働きをする。外側層202へ光が逃げるのを防止するために、第3のインク層の上に、第4の層として光吸収材料の層1810が配置される。第4の層は、ユーザに気づかれることなく光を吸収する色、例えば灰色又は何らかの適切な色とすることができる。
【0071】
図19は、ポータブルコンピューティングデバイス200と共に使用するのに適する磁力モジュール(MPM)1900を示す。電源ケーブルをポータブルコンピューティングデバイス200に繰り返し結合することによる外側層202の損傷を回避するために、電源コネクタ224は、複数の電源コネクタを更に支持できる位置合わせ部分を含むように形成される。電源コネクタは、外部電源からポータブルコンピューティングデバイス200へ電力を導通するために使用される。説明される実施形態において、位置合わせ部材1902があるため、電源コネクタ244は、接続を行うために電源アダプタの相補形コネクタが電源コネクタ244に向かって差し込まれようとする場合に相補形コネクタを案内できる。この案内によって、電源コネクタ244と電源アダプタとの接続を助けるように、電源コネクタ244は、電源アダプタと位置合わせされる。位置合わせ部材1902の一例は、ペデスタル1904の面取り縁部である。電源コネクタ244に向かって加えられる力(ユーザ及び対向する磁気コネクタの磁力により加えられる)とペデスタル1904の面取り縁部との組み合わせによって、電源アダプタのコネクタをペデスタル1904と適正に位置合わせできる。従って、電源コネクタ244及び電源アダプタコネクタの双方の電気コネクタ1906も適正に位置合わせされる。
【0072】
図20は、説明される実施形態に係るカメラモジュール2000の斜視図である。カメラモジュール2000は、カメラ印刷回路基板(PCB)2002、レンズホルダ2004、カメラレンズ2006、カメラLED指示器2008及びデータ送信コネクタ2010を含むことができる。位置合わせ部材2012は、位置合わせピンの位置合わせ及び受け入れを助ける面取りされた内面形状を有することができる。更に、一方の側がPCB2002の底面と接触するフォーム材料又は他の適切な材料から形成されかつ別の側は上面カバー204の内側フレームなどの支持構造と接触している支持パッド2014が示される。支持パッド2014は、支持構造に形成されたカメラアセンブリ凹部へのカメラアセンブリ2000の挿入を補助できる。
【0073】
図21は、上面カバー204に組み込まれたカメラアセンブリ2000を示す切り取り側面図である。説明される実施形態において、フレーム2102は、プラスチック製である筐体2104を支持するように構成されたマグネシウム又はマグネシウム合金から形成される。カメラアセンブリ2000は、カメラアセンブリ2000を受け入れるような大きさ及び場所でフレーム2102に形成された凹部2106の中に配置される。カメラアセンブリ2000を差し込みかつ適正に位置合わせするために、特に、カメラレンズ2008をベゼル2110のレンズ開口部2108に差し込みかつ適正に位置合わせするために、ベゼル2110内面に配置されたベゼル・筐体位置合わせ支柱2112が対応する受け入れアセンブリ2114に差し込まれかつ結合される。説明される実施形態において、受け入れアセンブリ2114は、筐体2104から始まりかつ位置合わせ支柱2112を受け入れるような大きさに形成された管状本体2116を有することができる。組み立て中、本体2116をフレーム位置合わせ穴2118に差し込むことにより、筐体2104はフレーム2102に装着される。筐体2104がフレーム2102に固定取り付けされた後、位置合わせ支柱2112を受け入れアセンブリ2114の対応する開いた端部に差し込み、更に本体2116に差し込むことにより、筐体2104と位置合わせされた状態でベゼル2110はフレーム2102に装着される。しかし、位置合わせ支柱2112は、ベゼル・カメラ位置合わせ支柱2120ほど長くない。そのため、位置合わせ支柱2112は、位置合わせ支柱2120と位置合わせ部材2012との係合より前の時点で受け入れアセンブリ2114と係合できる。位置合わせ部材2012は面取りされているため、位置合わせ支柱2120と位置合わせ部材2012との係合は、カメラレンズ2006の位置とベゼル2110のレンズ開口部2122の位置との間にずれがあった場合にカメラアセンブリ2000を動かすという効果を有する。これにより、カメラレンズ2006とレンズ開口部2122との位置合わせミスを効率よくかつ容易に排除できる。
【0074】
図22は、説明される実施形態に係るホール効果センサ(HES)アセンブリ2200を示す全体切り取り斜視図である。HESアセンブリ2200は、ホール効果センサ2202、PCBアセンブリ2204及び電気コネクタ2206を含むことができる。PCBアセンブリ2204の上部を露出したままにしかつHESアセンブリ2200をマザーボードの電気コネクタに電気的に接続するために電気コネクタ2206を十分に残すように、圧縮整形ブート2208がホール効果センサ2200の大部分を内包できる。説明される実施形態において、HESアセンブリ2200は、両面接着テープの形をとる接着剤層2210を使用して、マザーボード又は他のそのようなPCBに向けて表面実装される。更に、HESアセンブリ2200は、フレックス又は他の間接コネクタの必要なく、電気コネクタ2206を介してマザーボードの素子に電気的に接続される。これにより、組み立てに費やされる費用を削減できかつ時間を短縮できる。
【0075】
図23は、説明される実施形態に係る(MLB1116のような)典型的なマザーボード2300の全体図である。HES2200は、ライザーボード2302を介してマザーボード2300に実装される。ライザーボード2302は、一般に組み立てに要する費用が安くかつ部品又はモジュールを相対的に容易に実装できる。一実施形態において、HESアセンブリ2200は、コネクタ2206を使用することによりライザーボード2302に装着される。HESアセンブリ2200をマザーボード2300に装着するためにコネクタ2206を使用する方法は、HESアセンブリ2200をマザーボード2300にはんだ付けする方法又はフレックス回路網を使用する方法より効率がよくかつ廉価である。ブート2208及び接着剤2210は、一体となってHESアセンブリ2200を所定の場所に固定維持するように作用する。組み立てが容易になることに加えて、ライザーボード2302は主筐体の上面に近接しているので、HESアセンブリ2200がディスプレイ筐体の磁石の検出する感度は更に高くなる。
【0076】
図24は、説明される実施形態に係るソースマグネット2402とホール効果センサ2202との近接関係を示す閉じた位置にある典型的なポータブルコンピュータ2400の半透明側面図である。マザーボード2300に対してホール効果センサ2202の位置を高くすることにより、ソースマグネット2402とホール効果センサ2202との離間距離を従来通りに装着されたホール効果センサの場合より短縮できる。ソースマグネット2402とホール効果センサ2202との離間距離を短縮することにより、より感度が高いセンサ、従って、より高価でかつ/又はより強力なソースマグネットに依存することなく、ホール効果センサ2202の相対感度を向上できる。
【0077】
図25は、説明される実施形態に係る処理2500を詳細に示すフローチャートである。処理2500は、実質的に耐荷重性ではない材料から形成された筐体を有するシステムにおける荷重分散及び荷重伝達を向上できる。そのような材料には、例えばラップトップなどのポータブルコンピュータで使用される材料として周知のPCABSのようなプラスチックがある。しかし、処理2500は、筐体に実質的に影響を及ぼすことなく荷重を分散しかつ荷重を構造支持層へ伝達するように構成された内側層を利用することにより、非耐荷重筐体を荷重から隔離できるコンピュータフレームワークを提供する。
【0078】
処理2500は、少なくとも次に示す工程を実行することにより実施される。2502において、コンピュータ筐体が受け入れ可能である。コンピュータ筐体は、実質的に非耐荷重性であるPCABSのような材料から形成される。そのため、筐体2502は、多様な形状を有することができかつ音声回路、USB回路などの内部回路への操作を容易にする複数の開口部を有することができる。2504において、コンピュータ筐体内部に挿入されるべきコンピュータアセンブリに基づいて、耐荷重性の内部部品及び非耐荷重性の内部部品が識別される。耐荷重性とは、内部部品がその構造的一体性又は動作の一貫性に実質的に影響を受けることなく荷重を受け入れることができるという意味である。例えば、剛性でありかつ撓みに耐える形状を有する埋め込みバッテリは、耐荷重性であると考えられる。非耐荷重性とは、内部部品がその構造的一体性又は動作の一貫性に実質的に影響を受けることなく荷重を受け入れることができないという意味である。ハードディスクドライブ(HDD)は、相対的に剛性でありかつ撓みに耐えられるが、ドライブ、特に、非固体形メモリのR/W回路網に荷重が加えられると悪影響を受ける可能性があるので、非耐荷重部品の一例であると考えられる。更に、いくつかの部品は、撓むことが許容されないと考えられるので、どのような撓みも回避するように支持されなければならない。そのような部品には、プリント回路基板に表面実装された素子を含む素子のアセンブリ、又は、例えば主ロジックボード、すなわちMLBを含むPCBなどがある。
【0079】
非耐荷重内部部品及び耐荷重内部部品(並びに撓みが許容されない部品)が識別された後、2506において、内側層が構成される。内側層は、筐体に実質的に影響を及ぼすことなく荷重を分散しかつ荷重を伝達するために使用される。説明される実施形態において、例えば、内側層の構成要素又は各部分に悪影響を及ぼす可能性がある非常に集中した荷重を消散するために、荷重は内側層の中で分散される。例えば、ディスプレイカバーの開閉操作から発生する非常に集中した荷重は、支持構造と筐体との間の接着剤接合部を損傷させるおそれがある。2508において、内側層は筐体に装着される。通常、内側層は、内側層から筐体への荷重の伝達を容易に行わせずかつ内側層の荷重伝達特性及び荷重分散特性に実質的に影響を及ぼさないのりのような接着剤を使用して装着される。
【0080】
2510において、内側層は構造支持層に結合される。構造支持層は、アルミニウムなどの金属から形成される。これにより、2514において、2512で受け取られたあらゆる荷重を、筐体に実質的に影響を及ぼすことなく内側層により分散できかつ構造支持層へ伝達できる。
【0081】
説明された実施形態の種々の態様、実施形態、実現形態又は特徴は、個別に使用されるが、組み合わせて使用されてもよい。説明された実施形態の種々の態様は、ソフトウェア、ハードウェア又はハードウェアとソフトウェアの組み合わせにより実現可能である。説明された実施形態は、組み立て作業を制御するためのコンピュータ可読媒体のコンピュータ可読コードとして又は筐体を製造するために使用される製造ラインを制御するためのコンピュータ可読媒体のコンピュータ可読コードとして実現される。コンピュータ可読媒体は、後にコンピュータシステムにより読み取り可能なデータを記憶できるどのようなデータ記憶装置であってもよい。コンピュータ可読媒体は、例えば読み取り専用メモリ、ランダムアクセスメモリ、CD‐ROM、DVD、磁気テープ、光データ記憶装置及び搬送波を含む。コンピュータ可読コードが配信方式で記憶されかつ実行されるようにネットワーク結合されたコンピュータシステムを介して、コンピュータ可読媒体が配信されてもよい。
【0082】
ディスプレイ筐体
次に、添付の図面に示される代表的な実施形態を詳細に参照する。以下の説明が本発明の実施形態を好適な一実施形態に限定することを意図しないことを理解すべきである。以下の説明は、添付の特許請求の範囲により定義される説明される実施形態の趣旨の範囲の中に含まれる代替構成、変形及び同等物をすべて含むことを意図する。
【0083】
以下の説明は、ラップトップコンピュータ、ネットブックコンピュータ、タブレットコンピュータなどのポータブルコンピューティングデバイス、特にラップトップコンピュータのディスプレイ筐体カバーに適するマルチパート筐体に関する。図26に関して、ポータブルコンピューティングデバイスの概要を説明する。特定の実施形態において、ディスプレイ筐体は、金属製内側フレームに接合されたプラスチックカバーを有することができる。材料の熱膨張率の相違を考慮に入れてカバーを金属フレームに接合する接合方法は、図2〜図4に関して先に説明した。ディスプレイ筐体カバーの照明部分を形成する方法及び装置は、図31及び図32に関して以下に説明される。本発明のそれらの実施形態及び他の実施形態は、図26〜図32を参照して以下に説明される。しかし、本発明は、それらの限られた実施形態を超えた範囲を有するので、図26〜図32に関して以下に提示される詳細な説明が説明を目的とするにすぎないことは当業者には容易に理解されるだろう。
【0084】
図26は、開いた状態のポータブルコンピューティングデバイス200を示す右側正面向き斜視図である。ポータブルコンピューティングデバイス200は、本体202と、ディスプレイ206を有するディスプレイ筐体204とを含むことができる。本体は、ポータブルコンピューティングデバイスに加えられた荷重を伝達しかつ分散することができる内側層により支持された化粧外側層を含むことができる。外側層は軽量であるが耐久性のある材料から形成される。そのような材料は、例えばポータブルデバイスに適用されるのに適する高い流動性、優れた強靭性及び耐熱性を示すポリカーボネートとアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)との混合物、すなわちPCABSを含む。内側層は、マグネシウム又はマグネシウム合金などの金属から形成される。
【0085】
ディスプレイ筐体204は、ユーザにより閉じた位置から図示されるような開いた位置へ移動可能である。ディスプレイ206は、グラフィカルユーザインタフェース、写真のような静止画像並びにムービーのようなビデオメディアコンテンツなどの視覚コンテンツを表示できる。ディスプレイ206は、液晶ディスプレイ(LCD)、OLEDなどの何らかの適切な技術を使用して画像を表示できる。ポータブルコンピューティングデバイス200は、ディスプレイ筐体204に配置された画像取り込みデバイス208を更に含むことができる。適切な柔軟材料(compliant material)から形成されたコンプライアントディスプレイトリム210は、ディスプレイ筐体204内部の構造部品(図示せず)により支持されるが、ディスプレイ筐体204のディスプレイ筐体カバー211に装着される。
【0086】
ディスプレイ筐体204は、荷重経路を介して構造支持層212に結合されたヒンジアセンブリ(クラッチバレル213により隠されている)を使用して本体202に結合される。本体202は、タッチパッド216及びキーボード218などの複数のユーザ入力デバイスを含むことができる。キーボード218は、特定のキーパッドと関連するキー入力をユーザに識別させるための記号がそれぞれ刻印されている複数のキーパッド220を含むことができる。タッチパッド216は、ユーザの指の動きを感知するように構成される。
【0087】
本体202は、ユーザがポータブルコンピューティングデバイス200をオン/オフするのを助けるように構成された電源ボタン222を更に含むことができる。音声入力デバイス224は、音声のような可聴入力を受信するためにマイクロホンとして使用される。状態指示ランプ(SIL)226は、ユーザに情報を提供するために使用される。本体202は、筐体202内部に実装された動作回路をアクセスするために使用される開口部を更に含むことができる。例えば、ディスクスロット228は、コンパクトディスク(CD)及び/又はデジタルバーサタイルディスク(DVD)などのディスク媒体を差し込むために使用される。
【0088】
ディスプレイ筐体204は、ディスプレイ206の上方に2組の磁性ラッチ242を含む。磁性ラッチ242は、本体202の金属板244と整列するように構成される。ポータブルコンピューティングデバイス200が閉じた状態にある場合、磁性ラッチ242は金属板244と整列する。ラッチ242と鋼板244との相互磁気作用は、ポータブルコンピューティングデバイスを閉じた状態に保つのを助ける力を発生する。
【0089】
図27は、閉じた状態のポータブルコンピューティングデバイス200を示す斜視図である。図26に関して説明したように、ポータブルコンピューティングデバイス200は、本体202及びディスプレイ筐体204を含む。閉じた状態にある場合、ディスプレイ筐体のディスプレイ筐体カバー211は見えている。本実施形態において、ポータブルコンピューティングデバイス200は、本体202とディスプレイ筐体204が接合されるヒンジ側250を含む。ヒンジ側250の反対側に、ディスプレイ筐体204と同一の長さ254の開放側252がある。図26に示されるようにディスプレイ206及びキーボード218を露出させるために、ディスプレイ筐体204の開放側252を本体202から持ち上げることができる。
【0090】
図28は、ポータブルコンピューティングデバイス200の正面図及びディスプレイ筐体204の一部の横断面270を示す。横断面270に示されるように、ディスプレイ筐体カバー211は、ある種のプラスチックなどのディスプレイ筐体材料272から形成される。ディスプレイ筐体カバー211は、主に化粧面という性質を有するので、他の部品がディスプレイ筐体204の構造上の剛性の大半を担う。一実施形態において、構造上の剛性を実現するために、ディスプレイ筐体カバー211は内側フレーム276に接合される。内側フレーム276はマグネシウム合金などの金属で形成できる。
【0091】
ディスプレイ筐体カバー211は、締結具(例えば、ねじ)、接着剤又は他の種類の接合剤の組み合わせを使用して、276で示されるような内側フレームに接合される。一実施形態において、内部横断面270に示されるように、ディスプレイ筐体カバー材料272は、主に接着層274を使用して内側フレームに接合される。特定の一実施形態において、プラスチックディスプレイ筐体カバーは、ねじなどの締結具を使用せずに、接着層のみを使用して金属内側フレームに接合される。接着層276に関する更なる詳細を含めて、ディスプレイ筐体カバー材料272を内側フレーム276に接合するための接合方法は、図28に関して説明される。
【0092】
先に「背景技術」の章で説明したように、動作中のポータブルコンピューティングデバイスは、広範囲の温度にさらされる可能性がある。例えば、車内に放置されたデバイスは、夜間には氷点を相当に下回る温度にさらされる場合もあり、65℃という高い温度にさらされる場合もある。しかし、製造中、ポータブルコンピューティングデバイス200の種々の部品は、デバイス200がさらされると思われる動作温度範囲に十分含まれる周囲温度で組み立てられる。従って、デバイスの試作品の組み立てが終了した後、熱サイクル中に加えられるあらゆる熱応力に適切に耐えられるか否かを判定するために、ある温度範囲でデバイスを熱サイクルにさらすことができる。
【0093】
例えば、熱サイクルの一例として、高温の日中の車内に放置されたデバイスをシミュレートするために、車載エアコンで調整された温度をシミュレートするように約15〜25℃の温度のような周囲温度で平衡状態に到達する環境にデバイスを置き、次に、エアコンを止めた状態で炎天下の車のダッシュボードにデバイスを置いた場合をシミュレートするように空調温度からある一定期間にわたり温度を上げ、その後、ある最終温度、例えば45〜65℃の温度でデバイスを平衡状態に到達させる。必要に応じて、デバイスを空調温度に戻すなど、デバイスの冷却をシミュレートできる。また、必要に応じて、他の同一のサイクル条件を使用して、この熱サイクルを繰り返すことができる(例えば、デバイスを、車内で熱せられた状態から取り出して、氷点を相当に下回る冬場夜間の温度に置いてもよいだろう)。従って、上記の温度範囲は単に例示を目的としているにすぎない。デバイスを熱サイクルにさらした後、熱サイクル中に加えられた熱応力の結果としていずれかの部品が損傷又は変形したか否かを判定するために、デバイスを検査できる。
【0094】
図28に戻ると、特定の一実施形態において、プラスチックディスプレイ筐体カバー211は、液体2成分エポキシなどの液体接着剤を使用して金属フレームに接合される。この接着剤の2つの成分は混合された場合に反応し、その後接合部は硬化する。硬化中、液体接着剤は硬くなる。液体接着剤は、価格、環境への影響及び塗布しやすさを考慮して選択される。特定の実施形態において、272のようなディスプレイ筐体材料の熱膨張率は、内側フレーム276の材料の熱膨張率より大きいと考えられる。例えば、一実施形態において、ディスプレイ筐体材料の熱膨張率は内側フレームの熱膨張率の約3倍である。
【0095】
ディスプレイ筐体204の設計中、液体接着剤を使用してディスプレイ筐体カバーの試作品を内側フレームに接合しかつ動作温度の上限をシミュレートした熱サイクルにさらした。ディスプレイ筐体カバー材料の熱膨張率は内側フレームの熱膨張率より大きいので、加熱時、ディスプレイ筐体材料は、内側フレームより速く延伸し、この延伸速度の不一致は、図28に図中符号266で示すような輪郭形状の歪みを発生させる。ポータブルディスプレイ筐体204の開放側252の長さ254に沿った高さ258、すなわち歪みの量が示される。開放側252の長さ254に沿ったたわみ特性266において、たわみ特性266の中央部は角部より大きく歪む傾向を示すので、下方へ湾曲した形状になる。一例として、中央部の歪みの最大高さは1〜6mmになる。ヒンジ側では、このような量の歪みの発生をヒンジ機構が抑止する。
【0096】
前述のように、動作温度上限まで加熱された後、デバイスは平衡温度に到達し、その後、再び冷却される。冷却後、試作品についてたわみ特性264が観測された。輪郭264において、角部は中央部より大きく歪んでいる。図28に示されるように、このような輪郭264となる理由の1つは、試作品が試験された高温では、液体接着剤により硬化後に形成された接合部が軟化して、内側フレーム276とディスプレイ筐体カバー材料272との間にボンドスリップが発生したことである。ボンドスリップは、2つの材料の膨張率が等しくないことによって発生した接着層274の熱応力を解放する。ボンドスリップの発生後、新たな接合場所が形成される。冷却されると、この接合部が再び硬化し、新たな接合場所は264のようなたわみ特性を形成させる。
【0097】
上述の特性は単なる例である。試験条件が異なれば、異なるたわみ特性が得られる。例えば、液体接着剤の接合部が高温で十分に軟化していれば、重力の作用によってボンドスリップが起こると考えられる。例えば、デバイスが側面を下にして放置されるか又は傾斜面に置かれることにより、内側フレームは、ディスプレイ筐体カバーに対して滑る可能性がある。この種のスリップは、冷却時とは異なるたわみ特性を形成するだろう。詳細には、たわみ特性は、開放側の長さ254に沿って非対称になるだろう。高温条件の下で接合部が軟化していた場合に、デバイスを落とすか又は振動させるなどにより突然力が加わった場合、別の滑り機構が作用するだろう。
【0098】
冷却後にディスプレイ筐体カバーが歪んだままになり、加熱前の状態には戻らないために、図28に示されるようなたわみ特性264は、美観上望ましくない。更に、図1を参照して説明した磁性ラッチに関して、このたわみ特性264は、ラッチ領域260及び262における磁性ラッチの係止の完全性を損ねる場合がある。磁性ラッチの係止の完全性が損なわれるのは、磁性ラッチとそれに関連するラッチ板との離間距離の関数としてラッチとラッチ板との間の磁力が指数関数的に減少するためである。すなわち、歪むことによって、磁性ラッチとラッチ板との離間距離が増すので、特性264に関して係止の完全性が損なわれるのである。
【0099】
ディスプレイ筐体カバー204などの部品が加熱、冷却された後、その部品は実質的に元の形状に戻ることが望ましい。更に、200のようなポータブルコンピューティングデバイスの温度が上昇した後も、ラッチの係止の完全性が維持されることが望ましい。これらの必要に対応する接合方法は、図4に関して説明された。
【0100】
図29は、ディスプレイ筐体カバー211を内側フレーム276に接合するための接合方法を示すブロック図である。ディスプレイ筐体カバーは、ディスプレイ筐体204の部品である。図29には、ディスプレイ筐体カバー211のヒンジ側250及び開放側252が示される。図示されるように、内側フレーム276は、ディスプレイ筐体カバー211の内面に接合される。内側フレーム276は、その周囲に沿って多様な形状及び厚さを有することができるが、図示の便宜上、簡略化して示されている。更に、内側フレームは、切欠き部分及び種々の装着箇所を含むことができる。
【0101】
接着剤の組み合わせを含む接合方法が内側フレーム276の周囲に沿って示される。接着剤は、内側フレーム276とディスプレイ筐体カバー211との間にそれら2つの部品を接合する接着層274を形成する。本実施形態において、2つの接着剤は、内側フレーム276の周囲に沿った種々の場所で使用される。第1の接着剤290はドット模様により示され、第2の接着剤292は破線により示される。
【0102】
特定の一実施形態において、第1の接着剤は、液体の状態で塗布された後に硬化する2成分エポキシを使用できる。第2の接着剤292は、ポータブル筐体デバイスが試験される高い動作温度で、第2の接着剤が接合の完全性を維持するように選択される。熱サイクルの間に2つの材料の間で第2の接着剤により実現される接合の完全性が維持される場合、2つの材料の膨張率の相違によって発生する熱応力は、ボンドスリップにより解放されずに、接合部にそのまま残る。
【0103】
第2の接着剤292は、開放側252の内側フレームの角部に近接する場所に塗布され、第1の接着剤は他の領域で使用される。ヒンジ側において、ヒンジ機構はボンドスリップを防止するか又は最小限に抑えるので、この領域では第1の接着剤290を使用できる。開放側252の2つの角部の間の領域では、第1の接着剤290を使用できる。第1の接着剤290により形成される接合部が高い動作温度で軟化した場合、第1の接着剤により形成される接合部におけるボンドスリップを最小限に抑えるために、第2の接着剤292により形成される接合部が十分な量の熱応力を蓄積するので、第1の接着剤290を使用できるのである。
【0104】
第2の接着剤292の面積は、選択された最大熱応力から誘起されるボンドスリップを防止しかつ熱サイクル中の接合の完全性を維持するように選択される。一実施形態において、第2の接着剤として、強力(VHB)両面テープが使用される。金属をプラスチックに接合するためのVHBテープは、3M(登録商標)(ミネソタ州ミネアポリス)などの多くのメーカーから市販されている。このテープは、150℃までの温度で接合の完全性を維持するように設計される。
【0105】
他の実施形態において、金属フレームなどの内側フレーム276をプラスチック筐体などのディスプレイカバー筐体211に接合するために1種類の接着剤が使用される。例えば、一実施形態において、適切な接合を確保するために、周囲全体又は周囲の十分な部分にVHBテープが使用される。別の実施形態において、液体で塗布されかつポータブル筐体カバーが受ける熱応力の下で接合を維持する接着剤が使用される。更に、内側フレーム及びディスプレイカバーの材料の熱特性が更に密接に整合している場合、熱応力を減少できるので、液体の形で塗布される接着剤のような1種類の接着剤を使用可能である。
【0106】
図29に関して説明した接合方法を使用することのいくつかの利点は次の通りである。第1の利点は、加熱され、次に冷却された場合に、ディスプレイ筐体カバーが実質的に加熱前の元の形状に戻るように接合方法を設定できることである。第2の利点は、高温で、ディスプレイ筐体カバーの開放側の長さに沿って、開放側の角部は、図28のたわみ特性264及び266によりそれぞれ示されるように中央部に対して上に向かって歪むのではなく、下に向かって歪むことである。すなわち、ディスプレイ筐体カバーが歪んだとしても、デバイスのラッチの完全性を維持できる。
【0107】
図30は、ディスプレイ筐体カバー211の被覆方法を示すブロック図である。いくつかの実施形態において、ディスプレイ筐体カバー211の一部は照明される。例えば、ロゴ300を含む領域280を照明することが望まれる場合がある。ディスプレイ筐体カバーの複数の領域が照明でき、本発明は、ロゴの周囲のような1つの照明領域に限定されない。更に、ロゴ以外の形状が照明される。
【0108】
一実施形態において、ロゴ300の光源として、ディスプレイのバックライト291が使用される。バックライト291は、小型蛍光灯、1列に配列されたLEDのアレイ又はLEDタイルを含むが、それらに限定されない種々の照明機構から発生できる。他の実施形態において、バックライト291以外の光源が使用される。複数の切り抜き領域に対して、複数の光源が使用されるが、バックライト291のような1つの光源が使用される。
【0109】
特定の一実施形態において、切り抜き領域280は、ディスプレイ筐体カバー211にロゴ300の形状で形成される。切り抜き領域280の周囲の領域301は、隆起部分を形成するように凹部になっている。隆起部分は、切り抜き領域280に挿入される差し込み部分又は他の充填材を支持できる。他の実施形態において、切り抜き領域は使用されず、ディスプレイ筐体カバーの一部が被覆されないまま残すことができる。例えば、被覆されない領域はロゴ300の形状となることができる。ディスプレイ筐体カバーが光を透過する場合、被覆されていない領域は、ディスプレイのバックライトのような光源により照明される。
【0110】
ディスプレイ筐体カバー211の内面は2つの層で被覆される。まず、白色層が塗布され、次に、白色層の上に第2の灰色層が塗布される。塗料は、前述のようにプラスチックであるディスプレイ筐体カバー材料に適合しかつ遮光特性を有するように選択される。2つの被膜層は切り抜き領域280の縁部に塗布される。切り抜き領域280の縁部からディスプレイ筐体カバーの外周付近の何らかの領域に至る部分を含むが、それに限定されないディスプレイ筐体カバー211の一部分に、初めの2つの層が塗布される(複数の切り抜き領域が使用される場合、初めの2つの塗料層は、それらの切り抜き領域の各々の縁部に沿って延出できる)。初めの2つの被膜層で被覆されたディスプレイ筐体カバーの部分は、内側被覆領域290と呼ばれる。
【0111】
切り抜き領域を取り囲むいずれかの領域で、初めの2つの層の上に第3の被膜層が塗布される。一実施形態において、第3の層は、切り抜き領域280の周囲の円形領域299に塗布される。第3の被膜層は、切り抜き領域280の周囲の凹部領域301に挿入材料又は充填材が挿入される前又は挿入された後に塗布される。第3の被膜層は、ロゴ300に近接して起こるシャドーイング効果を低減するために塗布される。
【0112】
図31は、ディスプレイ筐体カバー211の照明部分と関連する被覆方法の被膜層を示す図である。図30に示される切り抜き領域280のような切り抜き領域の周囲の横断面が示される。種々の層の厚さは典型的な厚さではなく、単に例示を目的として示されているにすぎない。ディスプレイ筐体カバー211は、ディスプレイ筐体カバー材料272から形成されかつ外側化粧面282及び内面281を有すると説明される。光源286は挿入部材287を照明するための光を発生できる。
【0113】
前述のように、白色層で形成できるが、それに限定されない第1の被膜283は化粧面281の内面に塗布される。次に、灰色層で形成できるが、それに限定されない第2の被膜284は白色層の上面に塗布される。それらの被膜は、挿入部材287により境界を規定される切抜き領域の縁部に塗布される。いくつかの実施形態において、ユーザの目に見える挿入部材287の外面は、化粧面282から突出していてもよく、化粧面282と同一平面にあってもよいが、化粧面282に対して窪んでいてもよく、それらの構造の組み合わせが使用されてもよい。層284に第3の被膜層285が塗布される。この層は、図30に示される299のように、挿入部材287の周囲のいずれかの領域に塗布される。一実施形態において、第3の層は、挿入部材287及び挿入部材287を取り囲む領域を覆うように塗布される。
【0114】
特定の実施形態において、第1の被膜層283及び第2の被膜層284は、図31に示されるように挿入部材287の縁部に塗布される。この構成は、外側から見た場合に挿入部材に対して1つの照明効果を生み出す。別の実施形態において、挿入部材287に近接する場所で、第3の被膜285は、第1の被膜層及び第2の被膜層が挿入部財287と接触しないように第1の被膜層及び/又は第2の被膜層の縁部を被覆できる。例えば、切り抜き領域の縁部の周囲で、第3の被膜層のみが挿入部材287と接触するように、第1の被膜層及び第2の被膜層は第3の被膜層により被覆される。
【0115】
第1の被膜層、第2の被膜層及び第3の被膜層の色は、単に例として挙げられているに過ぎず、先に白色層の使用を説明したが、白色、灰色には限定されない。一般に、第1の被膜283の色は、ディスプレイ筐体材料272の色又は外観を維持又は向上するように選択される。第1の被膜は、ディスプレイ筐体の外側にある光源から放射されてディスプレイ筐体材料を透過する光を吸収又は反射することにより、ディスプレイ筐体材料の色又は外観を維持又は向上できる。第1の被膜の吸収特性及び反射特性は波長によって異なる。
【0116】
特定の一実施形態において、第1の被膜の被膜色は、ディスプレイ筐体材料272の色に応じて選択される。例えば、ほぼ白色であるディスプレイ筐体材料の場合、白色の第1の被膜が使用される。しかし、青色などの別の色のディスプレイ筐体材料の場合、青色被膜のような別の色の第1の被膜のほうがディスプレイ筐体材料の色又は外観をよく維持又は向上できることもある。
【0117】
第2の被膜284は、ディスプレイ筐体の内側にある光源からの光の透過を調整しかつ第1の被膜の色に適応するように選択される。第2の被膜の色は灰色に限定されず、他の色の被膜が使用される。第3の被膜285は、ディスプレイ筐体の外側から見た場合のロゴなどのディスプレイ筐体カバーの照明部分の色及び外観を調整するように選択され、また、他の2つの被膜層に適応するように選択される。第3の被膜285は、ディスプレイ筐体の外側にある光源から透過される光及びディスプレイ筐体の内側にある光源から透過される光に作用する。例えば、第3の被膜は、ディスプレイ筐体の外側にある光源から挿入部材287を介して透過される光に作用しかつディスプレイ筐体の内側に配置されたディスプレイに使用されるバックライトから透過される光に作用する。
【0118】
第3の被膜は、特定の波長の光を吸収及び/又は反射することにより、ロゴなどのディスプレイ筐体カバーの照明部分の見かけの色を変化させる。例えば、ディスプレイ筐体カバーの照明部分の色を緑色にするために、緑色の第3の被膜が選択される。別の例として、先に説明したように、第3の被膜の色は、ディスプレイ筐体カバーの照明部分の周囲のシャドーイング効果を排除するように選択される。
【0119】
図32は、ディスプレイ筐体を組み立てる方法400を示すフローチャートである。402において、ディスプレイ筐体カバー及び内側フレームが提供される。ディスプレイ筐体カバーはプラスチックから形成されかつ内側フレームは、アルミニウム、アルミニウム合金、マグネシウム又はマグネシウム合金などの金属から形成される。ディスプレイ筐体カバーは、挿入部材を受け入れるように構成された1つ以上の開口部又は穴を含むことができる。特定の実施形態において、それらの開口部又は穴は、照明されるロゴを構成するために使用される。
【0120】
ディスプレイ筐体カバーは、外側化粧面及び内面を有すると説明される。ディスプレイ筐体カバーは光を透過できる。化粧面の見かけを変化させるために、1つ以上の被膜層が内面に塗布される。例えば、被膜層は、ディスプレイ筐体カバーの外側にある光源からディスプレイ筐体カバーを介して透過される光を吸収又は反射できるが、被膜層は、ディスプレイ筐体カバーの内側にある光源からの光を吸収又は反射できる。被膜層による光の吸収及び反射によって、ディスプレイ筐体カバーの外側化粧面の見え方が変化する。
【0121】
404において、ディスプレイ筐体カバーの第1の領域に第1の被膜層が塗布される。一実施形態において、第1の被膜層は白色塗料などの白色層で形成できる。406において、第1の被膜層を覆うように第2の被膜層が塗布される。一実施形態において、第2の被膜層は灰色塗料で形成できる。
【0122】
408において、第2の被膜層に第3の被膜層が塗布される。特定の一実施形態において、第3の被膜層は、第2の被膜層が塗布されている領域より狭い領域に塗布することができる。例えば、第3の被膜層は、おおよそ、ディスプレイ筐体の内側に配置された光源からの照明を受ける領域に塗布することができる。
【0123】
特定の実施形態において、ディスプレイ筐体カバーは、隆起部分により取り囲まれた1つ以上の開口部を含む。隆起部分は開口部を被覆する挿入部材を支持する。1つ以上の開口部はロゴの形状とすることができる。挿入部材はディスプレイ筐体カバーの内側から照明される。
【0124】
初めの2つの被膜層は、ディスプレイ筐体カバーの1つ以上の開口部の縁部まで塗布される。次に、挿入部材が1つ以上の開口部に差し込まれた後、ディスプレイ筐体カバーの内面を形成する挿入部材の一部分及び挿入部材を取り囲む第2の被膜層の領域に第3の被膜層が塗布される。
【0125】
一実施形態において、408で、内側フレームに第1の接着剤が塗布される。第1の接着剤は液体の状態で塗布される2成分エポキシを使用できる。410において、内側フレームに第2の接着剤が塗布される。第2の接着剤は強力接着剤を使用できる。第2の接着剤は両面テープとして提供される。412において、第1の接着剤及び第2の接着剤を使用して、内側フレームはディスプレイ筐体カバーに接合される。他の実施形態において、第1の接着剤及び第2の接着剤がディスプレイ筐体カバーに塗布された後、内側フレームが第1の接着剤及び第2の接着剤に接合される。また、第1の接着剤が内側フレームに塗布されかつ第2の接着剤がディスプレイ筐体カバーに塗布され、逆に、第1の接着剤はディスプレイ筐体カバーに塗布されかつ第2の接着剤は内側フレームに塗布される。その後、2つの部品が一体に接合される。
【0126】
電気的接地及び音声システム構造
更に図33を参照すると、複数の音源からキーボードを介して音声信号が放射される例示的なポータブルコンピューティングデバイスが右側正面向き斜視図で示される。ポータブルコンピューティングデバイスで実行可能な種々のアプリケーションと関連する音楽及び音声のような音声信号をユーザに供給するために、1つ以上の音源が設けられる。1つ以上の音源は、本体202の内部に配置される。音声信号350を放射するそれらの音源は、図34に例示のために示されるが、必要に応じて、音源の数はそれより少なくてもよいし、多くてもよいことが容易に理解されるだろう。
【0127】
一実施形態において、キー352のようなキーを含めて、キーボード218のキーの間の間隙を通して、本体202内部で発生された音声信号をポータブルコンピューティングデバイス202から伝播させることができる。他の実施形態において、本体の内部から外部への音声伝播経路を形成するために、本体202の他の開口部が使用される。例えば、以下に図6に関して説明されるように、本体202の内部から音声信号を伝播するために、プロセッサの空冷のために使用される通気口が使用される。
【0128】
音声信号を伝播する経路として、キーボード218のキーの間の間隙を使用することの利点の1つは、音声伝播を実現するために本体202に別の部材を追加する必要がないことである。音声伝播のために形成される専用の開口部がないので、より外観がよいと考えられる構造を得ることができる。更に、本体202を機械加工する工程の数が減るので、製造コストも削減できる。また、専用開口部がないので、本体202内部に収納されている電気部品に悪影響を及ぼす可能性がある塵芥の侵入口をなくすことができる。
【0129】
図35は、キーボードアセンブリの下方に配設された音源を有する例示的なキーボードアセンブリ378を示す横断面図である。図35は、キーボード基板378に装着された支持構造376に取り付けられたキー368を含む。キー368は、キー368の上面に力を加えることによりキーボード基板に向かって操作される。キー368の操作に対応するために、本体202の外側層366に、キー368よりわずかに大きい開口部が形成される。
【0130】
一実施形態において、キーボードアセンブリ基板378の下方に音源310が配設される。図示の便宜上、音源310は基板382に配置されるように示されるが、配置場所はそれに限定されない。例えば、一実施形態において、音源310は、図34に示されるように別の部品に装着されるのではなく、基板378に一体に組み込まれるか又は基板378の上面に装着されるなどして、キーボードアセンブリに組み込まれる。更に、音源は、キーボード218の種々のキーの下方に配置されるが、特定のキーの場所には限定されない。
【0131】
一実施形態において、音源は、ほぼキーボードの「F6」キーの下方に配置されるが、この場所には限定されない。キーボードを利用しているユーザの手が音声を吸収してしまうのを避けるために、キーボードの周辺にあるキーなどの頻繁に使用されないキーの下方に音源を配置することが望ましい。例えば、音源がファンクションキーの下方などのキーボードの上部付近に配置された場合、通常の動作中、ユーザの手はこの位置より下の位置にあるのが普通である。
【0132】
音源310がキーボードアセンブリの下方に装着された場合、音源により発生された音声信号がキーボード基板380を介して伝播するための音声伝送経路を形成するために、キーボードアセンブリの基板378は、音源の上方に配置される開口部380を含むことができる。音声信号とは、310のような音源により発生される音波のことである。種々の実施形態において、複数の小さな開口部又は1つの大きな開口部などの1つ以上の開口部がキーボード基板380を貫通するように形成される。
【0133】
特定の一実施形態において、音源310から放射される1つ以上の音声信号周波数を増強(例えば、増幅)するために、管などの空気のチャンバ308が音源310に接続される。チャンバの一端は、音源から発生される音声信号を受け取り、チャンバを通過して音声信号が伝播される間、高調波を発生することなどにより、1つ以上の音声信号周波数が増強される。チャンバ308の大きさ及び寸法は、音源310の周波数応答を所望の程度に向上するように選択される。一実施形態において、チャンバ308の大きさは、音源310の周波数応答における低い音声信号周波数を増強するように選択される。種々の実施形態において、音源の周波数応答を変化させるように構成された1つ以上のチャンバを有する音源310が使用されるが、音源310はそのようなチャンバを含まない。
【0134】
チャンバ308は出口ポート370を含む。出口ポート370は、チャンバ308から放射される音声信号を変化させることができるメッシュカバーなどのカバーを含むことができる。音源310のドライバは、放射される音声信号(種々の周波数の音波)の主方向384がキー368の底部に向かうような構成を有するものとして示される。図示されるように、出口ポート370は、放射音波の主方向が音源310のドライバの方向に対して垂直な方向となるような向きを有する。
【0135】
一般に、放射音源及びチャンバ308の出口ポート370の主方向は、ポータブルコンピューティングデバイスの種々の内部部品の実装によって規定されるか又は内部部品の実装に役立つあらゆる音声伝送経路を利用できる向きに設定され、キーボードの下方の場所に限定されない。例えば、一実施形態において、音源310の主方向はキーボード218を通過する方向であるが、チャンバ308と関連する出口ポートは、本体202の片面に配置された主ロジックボードに対して空気の循環及び冷却を実行するために使用される通気口と位置合わせされる。更に、ディスプレイを含めてポータブルコンピューティングデバイス200の可動部分に1つ以上の音源が配置される。
【0136】
更に別の実施形態において、310のような音源は、出口ポート370を有するチャンバに結合される。音源310のドライバ及び出口ポート370から放射される音声信号の主方向は、所望の音声伝送経路を利用するように選択されかつ互いに対してどのような向きに設定される。例として、出口ポート370は、音源310のドライバとほぼ同一の方向に音声信号を放射するように向きを設定することができ、主に逆方向(例えば、キー368から離間する方向)に音声信号を放射するように向きを設定することができる。あるいは、出口ポート370は、(図示されるように)音源310に対して垂直な方向に音声信号を誘導できる。
【0137】
図35において、音源310のドライバから放射される音声信号の主方向384は、間隙364の整列方向と平行でありかつ音源310のドライバの上面及びキー368の上面に対して垂直である。他の実施形態において、主方向384は他の方向とすることができる。例えば、音源310の主方向384が間隙364の方向と平行ではなくなるように、音源310のドライバは傾斜される。詳細には、より多くの音声をポータブルコンピューティングデバイスのユーザに供給できるように、主方向384はタッチパッド216(図33に示される)に向かって傾斜される。
【0138】
図35において、音源310から音声信号又は音波が放射された後、音波は、ポータブルコンピューティングデバイスの本体202内部の種々の経路を介して伝播できる。例えば、音波は、音源310のドライバから音源310の基板384とキーボードアセンブリの基板378との間の間隙372を通り、キーボードアセンブリの基板378の1つ以上の開口部380を通り、キーボードアセンブリの基板380と本体202の外側層366との間の間隙374を通る経路に沿って伝播し、368のようなキーと本体の外側層366との間の364のような間隙の間を通って本体202から放射される。音源から放射された音波の一部は、音源310から本体202の内部を通過して本体202の外側へ伝播される間に吸収及び/又は反射され、これにより、音源310から放射されるある特定の周波数に関して音声レベルが増/減される。更に、音波の種々の高調波が発生される場合がある。それらの高調波は望ましくない振動又は雑音を発生する可能性がある。
【0139】
ある特定の音波が本体202を介して伝播される間に受ける影響の量は、音波の周波数、伝送経路に沿った種々の部品の材料が周波数の関数として吸収又は反射する音声エネルギーの量などの種々の部品の材料特性、間隙372及び374などの層の間隔、364のようなキーと筐体及びキー368の外側層366との間隔並びに基板378の開口部の大きさ及び数によって異なる。従って、音源310が本体202に装着された場合に自立構成で測定される音源310の周波数応答は、音源310が本体202内部に装着された場合にキーボード218の上方のいずれかの箇所で測定される音源310の周波数応答とはまったく異なる可能性がある。
【0140】
いくつかの実施形態において、ポータブルコンピューティングデバイス200のユーザにより検出される音質のような、本体の外側で検出される音源310からの音声の音質を改善するために、ポータブルコンピューティングデバイス200の本体202内部に装着される音源310のドライバへ送出される電気信号にイコライザが適用される。イコライザは、音源310の周波数応答が変化するように適用される。イコライザを適用すると、音源310から音楽のような音声が出力された場合、振幅は、ある特定の周波数で増加し、他の周波数では減少する。
【0141】
次に図36を参照すると、本発明の一実施形態に係る例示的な音声システムのブロック図が示される。音声システム390は、391のような1つ以上の音源と、イコライザ362を含む音声信号処理部360とを含むことができる。音源は、電気信号を空気などの媒体を介して伝播される音波に変換する1つ以上の電気音響変換器を含むスピーカを使用できる。スピーカの変換器部分は、ドライバと呼ばれる。電磁相互作用により駆動されるコーン形ダイアフラム及び電気の印加に応答して振動する圧電材料は、本明細書において説明される音声システム390と共に利用可能な変換器の種類の2つの例である。音声信号処理部360は、デジタルフォーマットなどの特定のフォーマットで符号化された音声データをポータブルコンピューティングデバイスと共に使用される310のような音源の特定の構造に適合する電気信号に変換するハードウェア及び/又はソフトウェアの種々の組み合わせを表できる。
【0142】
特定のフォーマットで符号化された音声データが音源により受信される信号に変換される間のいずれかの時点で、音源に対する電気信号が変化されるように、イコライザ362が適用される。391のような音源からの音声がポータブルコンピューティングデバイスの本体202の外側で検出される場合に、音源から更に聞き取りやすい美しい音質が発生されるようにイコライザ362が適用される。また、音源の通常の動作から発生する望ましくない振動及びうなり音を減少するために、イコライザ362のいくつかの機能が適用される。音源並びにその音源と関連しかつ音源が本体202に装着される場所によって異なる音声伝達経路の周波数応答を考慮に入れるために、異なる音源に対して異なるイコライザが使用される。
【0143】
他の実施形態において、音楽又はある種の音楽のような種々の音声データに対して異なるイコライザが使用される。特定の一実施形態において、出力中の音声データの種類が検出され、その種類の音声データを考慮に入れるように、音源と関連するイコライザが調整される。別の実施形態において、特定の音源に対応する362のようなイコライザは、キーボードが能動的に使用されているか否かの判定に応じて動的に調整される。ユーザがキーボードの上に手を置くことにより、スピーカを通して伝送される音源からの音声の検出音質が変化する。更に、キーボードを介する音声の伝送により、特定のユーザにとっては望ましくないキーボードの感触が生じる場合もある。そこで、キーボードが能動的に使用されている場合にキーボードを介して音声を伝送している391のような特定の音源に対して362のようなイコライザを変化させることが望ましい。
【0144】
図37は、ワイヤレスカード(図示せず)及び音源310を支持するように構成されたポータブルコンピューティングデバイス200の内部部品302を示す図である。内部部品302は、プラスチックなどの材料から形成される。特定の実施形態において、内部部品302は、ねじなどの締結具を挿入できる2つの装着箇所316a及び316bを含む。内部部品の底面は面314により示される。底面314とは反対の側の部品302の上面にワイヤレスカードの接続部を差し込むことができるようにするために、底面314に切欠き部分311が形成される。図37には、3箇所の接続を可能にする切欠き部分311が示される。底面は、底面314を貫通する別の切欠き部分312a及び底面314のスロット312bを含む。
【0145】
スロット312bは、リボンケーブルを通すための経路を形成し、切欠き部分312aを通してリボンケーブルをワイヤレスカードに装着できる。内部部品302はスピーカ310を含む。特定の一実施形態において、スピーカは電磁相互作用により駆動されるコーン形ドライバを含む。出口ポート306を有するチャンバ308はスピーカ310に音響結合される。チャンバ308の大きさは、低周波数応答のようなスピーカ310の周波数応答を向上するように選択される。本実施形態において、チャンバ308の大きさは、ワイヤレスカードがあることによって制限される。ワイヤレスカードの挿入によって、チャンバ308の可能な長さ、すなわちスピーカから出口ポート306までの距離が制限される。管308は必ずしも矩形でなくてもよく、いくつかの実施形態において、湾曲した形状であってもよい。
【0146】
図38に目を移すと、ポータブルコンピューティングデバイス200の本体202の部分301の中に装着された例示的な内部部品302が平面図で示される。図38において、本体202の下面カバーは取り除かれている。本体202の反対側は、キーボードアセンブリのキーの操作を可能にするための開口部を含む。内部部品302は部分301の中に挿入された位置で示される。部品は構造補強材330に隣接して配置される。
【0147】
内部部品302は、スピーカ310が反対側のキーボードを通して音声を誘導するように配置される。一実施形態において、前述のように、スピーカはキーボードの「F6」キーの下方に配置される。出口ポート306は、チャンバ308からの音声が部分301の後側332に向かって誘導されるように配置される。この後側とは、ポータブルコンピューティングデバイスの本体202及びディスプレイ部分がヒンジを介して一体に結合されかつポータブルコンピューティングデバイスを冷却するために空気を循環させるポートを含むことができる場所である。チャンバ308からの音声はそれらのポートのうち1つ以上から放射される。
【0148】
図38に示されるように、ワイヤレスカード324は内部部品302に差し込まれる。図示されるように、2つのコネクタ326a及び326bがワイヤレスカードに接続される。更に、ワイヤレスカード324及び主ロジックボード303に接続されたリボンラインコネクタ322も示される。図示されるように、2つの追加のスピーカ304a及び304bが本体202の部分301に装着される。一実施形態において、スピーカ304a及び304bは圧電スピーカを使用できる。特定の一実施形態において、スピーカ304a及び304bは、反対側のキーボードを通して音声を誘導するように配置される。この構成では、ユーザがキーボードを見ている場合、スピーカ310、304a及び304bはユーザに見えなくてもよい。前述のように、スピーカの数はこれより多くてもよいが、少なくてもよく、スピーカのうちいくつか又はすべてのスピーカは同様にキーボードの下方に配置されることが理解されるだろう。
【0149】
電気的接地システム構造
次に、互いに置き換えて使用可能な電気的接地構造に関する特定の例を提示する。詳細には、以下に示される互いに置き換えて使用可能な電気的接地構造は、導電性ではない外側筐体を使用するポータブルコンピューティングデバイスに特に有用であることがわかる。前述のように、そのようなポータブルコンピューティングデバイスは、例えば、ラップトップコンピュータ、ネットブックコンピュータ、タブレットコンピュータなどを含むことができる。以下の互いに置き換えて使用可能な電気的接地構造は、先に詳細に説明された種々の音声システムの構造部品とは別に利用されるが、それらの構造部品に加えて利用されることが理解されるだろう。いくつかの構成において、1つ以上の部品は、電気的接地構造及び音声システム構造の双方に関して機能を実行できる。
【0150】
一般に、提示される例は、筐体又は外側筐体のすべてをポータブルコンピューティングデバイスのファラデーシールド全体として及び/又は接地平面として使用するという従来の方法を回避できる。これは、筐体又は外側筐体の全体又は大部分が熱可塑性材料又は他の非導電性材料から形成されている場合に特に効果的である。複数の狭い局所接地領域及びEMI/RFシールドをポータブルコンピューティングデバイスの内部に適用できる。デバイス全体に対して総接地平面又は汎用接地構造を形成するために、そのような狭い局所接地領域は互いに電気的に結合される。更に、局所接地領域のうち1つ以上及び/又はそれらの領域の間の電気的カップラは、特に構造支持体、ヒンジ、ブラケット及びクラッチなどのポータブルコンピューティングデバイスの1つ以上の追加機能を実現できる。
【0151】
図39には、非導電性外側筐体を有する一部解体された状態のポータブルコンピューティングデバイスの例示的な電気的接地構造の全体が右側正面向き斜視図で示される。ポータブルコンピューティングデバイス200は、例えばラップトップコンピュータとすることができかつ前述のように本体202と、ディスプレイ206を有する可動蓋204とを含むことができる。ポータブルコンピューティングデバイス200の多くの追加機能及び部品は先に詳細に説明された通りであるので、電気的接地システム構造に関連する場合を除き、ここでは詳細な説明を省略する。図示の便宜上、特にキーボード、タッチパッド及びディスプレイ画面を含めてコンピューティングデバイス200のいくつかの部品は図7から取り除かれている。汎用接地構造400は、ポータブルコンピューティングデバイス200の総接地平面を構成し、この総接地平面は、複数の個別の接地部品401から構成される。個別の接地部品401はポータブルコンピューティングデバイスの種々の領域に局所的に割り当てられ、かつデバイス全体に対して汎用接地平面が形成されるように、種々の電気コネクタにより互いに電気的に結合される。
【0152】
局所接地領域から成る個別の接地部品は、例えばバックプレート410、MLBフレーム420、背面ブラケット430及びディスプレイシャシ440を含むことができる。デバイスの総接地平面を形成するように種々の個別の局所接地部品を結合するために使用可能な電気コネクタは、例えばMLB403、複数の接地ピン415、複数の背面ブラケットタブ435、ディスプレイシャシ配線445及びリボンラインコネクタ424を含むことができる。リボンラインコネクタ424は、ディスプレイクラッチアセンブリ450に結合された音声部品402に結合される。汎用接地構造400の一部として更に別の個別の接地部品が存在するか又は指定されてもよいが、接地部品の数は減らされること及び上述の例示的な電気コネクタのうちいずれかのような種々の電気コネクタは、他の大きさで形成されるか、配列を変更されるか又は汎用接地構造中の個別の接地部品自体として指定されてもよいことが容易に理解されるだろう。同様に、汎用接地構造400の種々の個別の局所接地部品を互いに結合するために、更に別の電気コネクタが使用されてもよいが、電気コネクタの数は減らされる。
【0153】
導電性外側筐体から構成される従来の1つの接地平面の代わりに、複数の局所接地領域を設けることにより実現できる利点の1つは、特定の部品に要求される接地条件に関して適切に焦点を絞って接地できるため、材料コストを削減できることである。他の機能を実現する1つ以上の既存の部品を汎用接地構造400の一部として利用することにより、更なるコスト削減を実現できる。これにより、ある特定の部品の何らかの設計変更及び/又は設計の拡張が必要になる場合もあるが、汎用接地平面を形成するためだけに金属構造又は他の導電性構造を追加することに依存する必要性は全体として少なくなるか又はまったくなくなる。特に、種々の狭い局所接地領域が形成され、それらの領域は、いずれも従来のように筐体又は外側筐体ほど大きいということはない。
【0154】
次に図40A及び40Bを参照すると、図39の例示的なポータブルコンピューティングデバイスの本体が一部解体された状態で底面図及び平面図によりそれぞれ示される。種々の個別の接地部品、電気コネクタ及び他のデバイス部品の更なる詳細は、底部筐体が取り除かれている図40A及びキーボード、タッチパッド及び上部筐体が取り除かれている図40Bから明らかである。例示の便宜上、本体202の内部にある種々の部品を明示するために、図40Aでは外側筐体の底部は取り除かれている。従って、図40Aには、外側筐体の底部及びそれに結合されたバックプレート410は示されていない。図40Aは、デバイス200の底面から本体202を見通しているので、バックプレート410は図40Aの紙面の高さにほぼ位置することが理解されるだろう。図示されるように、ポータブルコンピューティングデバイス200は、特に主ロジックボード(「MLB」)403、バッテリアセンブリ404、ハードディスクドライブ(「HDD」)405、ファン406、光ディスクドライブ(「ODD」)407及び音声部品402などの多数の典型的な電気部品を有することができる。いくつかの部品は、耐荷重能力及び電気的接地能力を提供できることが容易に理解されるだろう。
【0155】
前述のように、スペースの制約を最小限に抑え、接地平面を形成するという目的のためだけに金属を追加使用することを避けかつデバイスの全部品の数を減らすことにより簡素化を図るように、個別の局所接地部品のうちいくつか及び/又はそれらの素子の間の電気コネクタは、ポータブルコンピューティングデバイスの追加機能を実現できる。例えば、バックプレート410は、汎用接地構造400の一部を形成する個別の局所接地部品であるが、外側筐体201を装着しかつ外側筐体201を支持することができる内側構造部品として機能できる。前述のように、外側筐体201は、本発明に係る多様な外観及びテクスチャのうちいずれかを有する多様な非導電性材料のうちいずれか1つ、例えば熱可塑性材料から形成される。従って、バックプレート410は、構造上、信頼性が不足すると思われる外側筐体201を構造支持しかつ外側筐体201に剛性を与える。すなわち、バックプレート410は、先の「外側筐体」の章で述べられた構造支持層として使用されてもよい。上記のすべての機能条件に適合するように、バックプレート410は、例えばアルミニウム、鋼、マグネシウム又はマグネシウム合金などの適切な金属から形成される。
【0156】
MLBフレーム420は、ポータブルコンピューティングデバイス200の複数の機能を実行する個別の局所接地部品の別の例である。すなわち、MLB403、ファン406及びMLB403に実装又は結合された多数の電気部品などの電気部品に対して個別の局所接地部品を形成するのに加えて、MLBフレーム420は、MLB403を支持しかつ構造上の剛性を向上する働きをする。表面実装されていること又は他の理由により撓みによって損傷されやすいMLB403の個々の素子の数が多いので、MLB403は堅固に支持されなければならない。MLBフレームはそのような支持機能を実現するように特定して設計される。MLBフレーム420に装着されかつMLBフレーム420により物理的に支持されることが可能な他の部品には、特にファン406、光ディスクドライブ407及び音声部品402などがある。前述のように、音声部品402は、MLB403に電気的に接続されかつフレックスコネクタ又はリボンラインコネクタ424を介してMLBフレーム420にも電気的に接続される一体形音声/ワイヤレスカードを備えることができる。MLBフレーム420へのそのような接続は、例えばフレックスコネクタ又はリボンラインコネクタ424の中央部がMLBフレームの壁縁部と接触する接地点425で行われる。MLB420が接地を実現できるその他の部品には、MLB403に結合される何らかの数のI/Oポートが含まれる。
【0157】
更に別の機能として、MLBフレーム420は、MLB403に対してRF遮蔽又はEMI遮蔽を実現できる。MLBフレーム420はあらゆる方向からMLB403を取り囲む必要がないので、MLBフレーム420とバックプレート410との組み合わせによって、そのようなRF遮蔽又はEMI遮蔽を効果的に得ることができる。いくつかの実施形態において、MLBフレーム420及びバックプレート410は、MLBフレーム403に対して局所ファラデーケージとして作用するように組み合わされるが、MLBフレームとバックプレートとの組み合わせは、MLBとポータブルコンピューティングデバイス200の他の場所に配置された1つ以上の他の部品との間の雑音をすべて隔離するために、少なくともEMIシールドを形成するのが好ましい。詳細には、RF遮蔽の面で、MLBフレーム420及び/又はバックプレート410は、MLB403と、例えばディスプレイ筐体及び/又はディスプレイクラッチアセンブリに埋め込まれたアンテナなどのポータブルコンピューティングデバイス200の何らかの無線アンテナとの間の雑音又は干渉を遮蔽できる。MLBフレーム420とバックプレート410との間の接地ピン415のような電気コネクタは、それらの部品の組み合わせ汎用接地平面特性及び/又はEMI遮蔽特性を更に向上してもよい。
【0158】
MLBフレーム420は、適切な選択肢の中でも、アルミニウム、マグネシウム又はマグネシウム合金などの強度及び剛性に優れた軽量の導電性材料から形成される。いくつかの実施形態において、マグネシウム合金が使用される。前述のように、MLBフレーム420は、MLB403のように大きな撓みが許容されない種々の部品を構造支持しかつその剛性を向上できる。更に、MLBフレーム420は、種々の構造コネクタを介するなどして、1つ以上の耐荷重部品から受け取られた荷重を分散できる。いくつかの実施形態において、MLBフレーム420は、非導電性外側筐体に製造された外部機能部材を支持するように構成される。例えば、外側筐体の種々の開口部は、相対的に広いスパンで形成されなければならない場合もあるデータポート、給電ポートなどのポートに対する操作を可能にするために使用される。
【0159】
いくつかの実施形態において、MLBフレーム420は、矩形の箱の5つの面を有することができ、MLB403はその中に配設されかつ開いた第6の面は組み立て後にバックプレート410により被覆される。いくつかの実施形態において、MLBフレーム420は、余分な材料が浪費されないようにMLB403よりわずかに大きいサイズを有することができる。これにより、MLBフレーム420、更にはポータブルコンピューティングデバイス200全体の費用の削減及び軽量化を実現できる。いくつかの実施形態において、MLBフレーム420は、ポータブルコンピューティングデバイス200内部の1つ以上の他の電気部品に対して構造支持及び/又は電気的接地を実現するために使用される1つ以上の延出部分と一体に形成されてもよい。例えば、MLBフレーム420の側方延出部分は、MLB403からMLB403を横切るようにODD407の上方へ延出し、本体202の外側筐体の反対側の側壁に到達できる。そのような側方延出部分は穴を含んでもよく、例えば更なる隔離及び支持を実現するために、MLBフレーム420には、MLB403とODD407との間に中央壁が設けられてもよい。
【0160】
MLBフレーム420は軽量であるのが好ましいが、いくつかの適切な技術のうち打ち抜きなどのいずれかの技術を使用して、MLBフレーム420を貫通する複数の穴422を形成することにより、MLBフレーム420を更に軽量化できる。複数の穴422は、MLBフレーム420の強度又はMLB403のように撓むことがほぼ又はまったく許されない部品を支持するMLBフレーム420の能力に実質的に影響を及ぼすことなく、MLBフレーム420の重量を減少できる。更に、MLBフレーム420から大量の材料が取り除かれるにもかかわらず最大限のEMI遮蔽が実現されるように、複数の穴422は特定のパターンで配列される。そのような穴の形成又は材料の除去により形成されかつ信頼性の高いEMIシールドを実現するパターンがどのようなものであるかは、当業者には容易に理解されるだろう。また、そのような適切なパターンは、MLBフレーム420の穴422に使用されてもよい。
【0161】
前述のように、バックプレート410及びMLBフレーム420などの電気的に別個である接地部品を結合するために、多様な電気コネクタを使用可能である。例えば、バックプレート410とMLBフレーム420とを結合するために、MLB403及び/又は複数の接地ピン415が利用される。他の電気コネクタが同一の目的のために使用されることは言うまでもない。汎用接地構造400全体を形成する過程の一部として、別の間接的な経路によりバックプレート410とMLBフレーム420とが電気的に結合されてもよい。バックプレート410及び/又はMLBフレーム420を背面ブラケット430及び/又はディスプレイシャシ440などの1つ以上の他の個別の局所接地部品に接続するために、更に別の電気コネクタが使用される。例えば、複数の背面ブラケットタブ435が背面ブラケット430をMLBフレーム420に電気的に結合することができ、ディスプレイシャシ配線445は、例えばディスプレイクラッチアセンブリ450を介してディスプレイシャシ440を背面ブラケット430に結合できる。更に、ディスプレイクラッチアセンブリ450に結合されている音声部品402に結合されたリボンラインコネクタ424は、MLBフレーム420をディスプレイシャシ配線445に電気的に接続し、更にはディスプレイシャシ440に接続できる。
【0162】
いくつかの実施形態において、音声部品402を含む一体形ワイヤレス/音声カードは、MLBフレーム420に直接装着されず、例えば光媒体を受け入れるために使用可能なODD407の一部である金属プラットホーム又は金属ウィングに載置される。金属プラットホームは、支持の目的に使用されるのに加えて、ディスプレイシャシ配線445を接続できるシャシ接地点を形成できる。前述のように、MLB403などを介してMLBフレーム420とバックプレート410との電気的接触を実現するために、接地ピン415が使用される。接地ピン415は、MLBフレーム420とバックプレート410との間でMLB403自体からは電気的に隔離された直接接点として作用してもよい。あるいは、1つ以上の接地ピン415は、MLB403の種々の接地領域に対して1つ以上の直接接点を形成できる。接地ピン415は、例えばポゴピンとすることができるが、他の適切な種類の接地ピンが使用されてもよい。
【0163】
このように、MLBフレーム420、バックプレート410及び接地ピン415は組み合わされて、MLB403の種々の素子から発生されるRFエネルギーを封じ込めることができる効果的なEMIシールド又はRFシールドを形成できる。更に、このRFシールドは、一体形ワイヤレス/音声カードの無線性能に重大な影響を及ぼすRF漏れ及びRF干渉から一体形ワイヤレス/音声カード又は他の音声部品402などの回路を保護できる。
【0164】
次に図41を参照すると、図をわかりやすくするために、背面ブラケット及びそれを取り囲む領域が拡大側断面図で示される。多機能個別接地部品の更に別の例として、背面ブラケット430は、1つ以上の関連する電気部品に対して局所接地を実現すると共に、種々の場所で構造全体を支持しかつポータブルコンピューティングデバイス200の本体202と蓋204との間の機械的相互作用を補助できる。種々の実施形態において、背面ブラケット430は本体202及び蓋204に関して片持ち梁として作用する。従って、背面ブラケット430は、マグネシウム又はマグネシウム合金などの強度に優れた軽量の弾性材料から形成される。更に、背面ブラケット430は、MLBフレーム420に加えられた後に分散されないと、MLBフレーム420と外側筐体との間の接合に悪影響を及ぼす可能性がある極めて集中した荷重の分散を補助できる。
【0165】
更に、背面ブラケット430は、ポータブルコンピューティングデバイスの外側筐体と外部環境との間の空気の流通を容易にすると同時に、ポータブルコンピューティングデバイスの内部を外側から覗きにくくする通気口のような構造436を含むように形成される。また、背面ブラケット430は、蓋204からディスプレイクラッチ450を介して本体206へ、更にはMLBフレーム420及び/又はバックプレート410へ機械的荷重を伝達するように構成される。背面ブラケット430は個別の局所接地構造を形成するが、背面ブラケット430及びMLBフレーム420という2つの個別の接地構造がポータブルコンピューティングデバイス200の汎用接地構造の一部として直接電気的に接続されるように、背面ブラケット430は、MLBフレーム420に直接接触する複数の背面ブラケットタブ435を更に有することができる。背面ブラケットタブ435は、背面ブラケット430の一部として一体に形成され、例えば背面ブラケット430の製造中に背面ブラケット430に特別に機械加工された面取り接点とすることができる。
【0166】
ディスプレイシャシ440も個別の局所接地部品として機能してよい。個別の接地部品410、420及び430とは異なり、ディスプレイシャシは、ポータブルコンピューティングデバイス200の本体202ではなく、蓋204に配置される。図42Aは、図39の例示的なポータブルコンピューティングデバイスの蓋204を正面図で示し、図42Bは、蓋を側横断面図で示す。本発明のポータブルコンピューティングデバイスの蓋204は、ディスプレイ画面206、ディスプレイカバー207及び周囲を取り囲むベゼル209と、ディスプレイシャシ440及びディスプレイクラッチアセンブリ450とを含むことができる。ディスプレイシャシ440は、本質的には、ディスプレイ画面206の背面とデバイスの外側筐体との間に挟まれた金属又は他の導電性材料から成る板又は薄い部品とすることができる。いくつかの実施形態において、ディスプレイシャシ440は、ディスプレイ画面206の外側縁部の背後に及び/又はそれに沿って配置されたフレームを形成することができ、このフレームには中央部分が欠けている。ディスプレイシャシ440は、本質的には、ディスプレイ、アンテナ及び蓋204の内側に含まれる他のすべての電気部品に対して局所接地点として作用する。
【0167】
例えば、蓋204が直立位置にある場合、ディスプレイ画面206と関連するドライバ又は他のプリント回路基板(図示せず)は、蓋204の底部に又はその付近に位置することができ、そのような電気部品はその場所でディスプレイシャシ440に結合される。給電線、接地線及び他の使用可能な電気配線は、蓋204から、例えばクラッチコネクタ452の場所又はその付近で本体202に接続してもよい。そのような配線には、ディスプレイシャシ440を背面ブラケット430の1つ以上の接点に接続する働きをするディスプレイシャシ配線445が含まれる。1つ以上のディスプレイクラッチアセンブリブラケット又はコネクタは、ディスプレイシャシ配線445と背面ブラケット430の接点とを中継する働きをしてもよい。言うまでもなく、各部品はそのような中継部品を含めてすべて導電性であり、電気的経路に含まれるそのような部品は、すべてデバイスの接地平面又は汎用接地構造400の一部である。
【0168】
上述の本体202の種々の個別の局所接地部品及びコネクタと同様に、蓋204で見られる電気的接地構造の種々の部品も、接地以外の機能性を実現できる。例えば、ディスプレイクラッチアセンブリ450は、適切なコネクタの場所でMLBフレーム420及び/又は背面ブラケット430に機械的に結合しかつMLBフレーム420及び/又は背面ブラケット430に荷重を伝達するクラッチコネクタ452を含むことができる。ディスプレイクラッチアセンブリ450は、蓋204の一部である背面部分456を有するディスプレイクラッチバレル454の中に収納される。背面部分456は、ディスプレイクラッチカバー458に接合されることにより、ディスプレイクラッチ継目459を形成できる。説明される実施形態において、ポータブルコンピューティングデバイス200、特にその上面カバー204が閉じた位置にある場合、後から見てもディスプレイクラッチ継目459はユーザの目に触れない。更に、上面カバー204が開いた位置にある場合、クラッチバレル継目459は、関連するTPU継目(図示せず)と整列するので、そのような継目領域でも一体であるという印象を与え、通常の操作で使用する場合には目に触れないと予測される。
【0169】
図42Cに更に詳細に横断面で示されるように、ディスプレイクラッチアセンブリ450は、多数の電気部品及び機械部品を内包し、それにより、部品がユーザの目に触れないようにする。例えば、ディスプレイクラッチアセンブリ450は、RFアンテナ460、並びに構造コネクタ部品及びスナップコネクタ部品などの種々の機械部品を内包できる。RFアンテナ460は、ディスプレイシャシ460に電気的に結合されると共に、蓋204及び本体202に含まれる個別の局所接地構造を接続するディスプレイシャシ配線445に電気的に結合される。ディスプレイクラッチバレル継目459は、上面カバー204が長く中断されずに続いているように見せる場所に配置できる。背面部分456は、ディスプレイクラッチカバー458を背面部分456に固定するために使用される複数のスナップコネクタ457を含むことができる。
【0170】
ポータブルコンピュータ筐体
図43を参照して、底部ケース300を製造する方法を説明する。以下に、図44に示される工程800〜820を参照してアルミニウム仕上げ処理を説明する。工程800において、構造支持層212を形成するために、アルミニウムのシートが打ち抜き加工される。一実施形態において、構造支持層212を形成するために、5052‐H32アルミニウムシートが打ち抜き加工される。アルミニウムは、従来のラップトップの筐体のようにかさばることなく強度を与えることができる。一実施形態によれば、構造支持層212は約1mmの厚さとすることができる。いくつかの実施形態において、構造支持層212は、約0.8mm程度の厚さとすることができる。当業者には理解されるだろうが、アルミニウムは耐久性に優れているが軽量の材料である。従って、薄型軽量のポータブルコンピューティングデバイスの美観と感触のよさを維持するために、構造支持層212の基本材料としてアルミニウムを使用できる。アルミニウムは、過酷な使用に耐えることができる耐久性に優れた材料であるが、ポータブルコンピューティングデバイス200の内部部品を更に保護しかつ底部ケース300の外面を保護するために、アルミニウムの構造支持層212を覆うように保護層214が塗布される。
【0171】
本実施形態によれば、工程810においてテクスチャ化面を形成するために、打ち抜きアルミニウム構造支持層212は、まず、化学的にエッチングされる。一実施形態において、エッチングによりアルミニウム面にサテンのような仕上がりを実現するために、アンモニウムフッ素酸によるエッチングが使用される。一実施形態によれば、構造支持層のテクスチャ化面は、約120〜140ピーク/cmをピークカウント数として、約0.5〜0.5μmの算術平均表面粗さRaを有するようにエッチングされる。次に、工程820において、高い表面エネルギーを発生するために、テクスチャ化アルミニウムベースは陽極酸化される。一実施形態において、脱イオン水との間の接触角度が約30未満になるように、テクスチャ化アルミニウムベースは陽極酸化される。陽極酸化処理により、高い表面エネルギーを有するアルミニウム構造支持層212の面が形成される。陽極酸化による通常の流出物は、他の製品を製造するために再利用可能でありかつ産業廃水処理にも使用可能であるので、陽極酸化は、かなり環境に優しい金属仕上げ処理である。
【0172】
一実施形態によれば、陽極酸化されたアルミニウム構造支持層212は、その上に接着剤層213が塗布されるまでシーリングされない。陽極酸化中に形成された孔を塞ぐために、通常、陽極酸化アルミニウムは化学シーリング処理により処理される。シーリング処理によって陽極酸化アルミニウムは洗浄しやすくなりかつ退色しにくくなるので、孔のシーリングは望ましい。更に、表面の孔には塵や汚染物質が溜まりやすいので、シーリング処理は、環境の中に存在する有害な汚染物質から陽極酸化アルミニウムを保護することにもなる。しかし、典型的なシーリング処理は表面エネルギーを低下し、その結果、アルミニウム面は接着剤をはじくようになってしまうので、高い表面エネルギーを有する面を残すために、本実施形態において、陽極酸化構造支持層212は化学的にシーリングされるのではない。高い表面エネルギーを持つ面が接着剤を引き寄せやすいことは、当業者には理解されるだろう。構造支持層212の陽極酸化アルミニウム面の高い表面エネルギーは、テクスチャ化面と組み合わされて、構造支持層212に塗布される接着剤層213の接合強さを向上する。
【0173】
次に、工程830及び840を参照して、オーバーモールディング処理を説明する。本実施形態によれば、工程830において、シーリングされていない多孔質陽極酸化アルミニウム構造支持層の面に接着剤層213が塗布される。表面の孔が接合面の面積を拡大し、それにより、接合強さを向上することは理解されるだろう。接着剤層213は構造支持層212の全面に塗布される。接着剤は、ポリエステル熱接合膜のように高い接合強さを有する熱可塑性接合膜から形成される。接着剤は高い初期接合強さを有することが望ましい。すなわち、接着剤は約1秒未満で接合を完成でき、この初期接合は時間の経過に伴って強くなる必要はない。高い初期接合強さを有することが重要であるのは、時間の経過に伴って接合が強くなるような接着剤を使用すると、保護層214が構造支持層212に堅固に接着されないおそれがあるからである。接着剤層は、ドイツのTesa SEから市販されているTesa 8464熱接合膜とすることができる。一実施形態において、接着剤層213は約0.1mmの厚さを有することができる。
【0174】
一実施形態によれば、工程840において、保護層214を形成するために、構造支持層212の上の接着剤層213を覆うようにTPE材料がオーバーモールディングされる。事前に接着剤層213が接合されていたアルミニウム構造支持層212に保護層214をオーバーモールディングできるように、事前接合アルミニウム構造支持層212は射出成形ツールに挿入される。別の実施形態によれば、保護層214を形成するために、構造支持層212の上の接着剤層213を覆うようにシリコーン材料が圧縮成形される。
【0175】
当業者には理解されるだろうが、射出成形機において溶融TPEペレットをツールに注入することにより、TPEはオーバーモールディングされる。オーバーモールディングとは、材料(例えば、TPE)が基板を覆うように成形される射出成形処理である。TPEは、容易に成形可能な材料である。本実施形態において、TPEは、事前に接着剤層213が接合されていた構造支持層212を覆うように成形される。射出成形が迅速で経済的な処理であることは当業者には認められている。従来の熱可塑性材料の押し出し成形又は射出成形に通常使用されていた機器及び方法は、通常TPEにも適している。更に、TPEは加硫を必要としないので、費用の削減及び時間短縮にもなる。
【0176】
一実施形態によれば、接着剤層213は、その後の射出成形処理の間に保護層214としてTPE材料が注入される際の温度より低い融点を有する。接着剤層213はTPEの注入温度より低い融点を有するので、TPEの射出成形中に、接着剤とTPEは十分に混合され、強力な化学的接合を形成する。一実施形態によれば、TPEは約245℃で注入され、接着剤膜は、約160℃〜180℃の融点を有しかつ約130℃〜150℃で凝固する。接着剤膜213は急速に冷却するので、構造支持層212と保護層214との接合は急速に硬化する。一実施形態において、成形型の中における滞留時間は約15秒である。一実施形態において、TPE材料は約230℃〜245℃の範囲の融点を有する。TPEの融点が高すぎる場合(例えば、約260℃)、接合強さが実際に損なわれ、最大で約40%が失われる可能性があることは理解されるだろう。
【0177】
別の実施形態において、TPE保護層214は、のりなどの接着剤を使用してアルミニウム構造支持層212に簡単に接着可能である。しかし、TPEをオーバーモールディングするほうが、底部ケース300の外観及び感触はよくなる。アルミニウムなどの金属はTPEの注入温度では溶融しないので、TPEを金属に直接オーバーモールディングする方法は問題が多いと思われる。通常、金属を前処理せずにTPEを金属に直接オーバーモールディングする処理を実現するのは容易ではない。前述のように、アルミニウムの表面をエッチングしかつ高い表面エネルギーを有する多孔質の面を形成するために陽極酸化することにより、アルミニウムは前処理される。
【0178】
一実施形態によれば、アルミニウム構造支持層212は、テクスチャ化面を形成するためにエッチングされかつ高い表面エネルギーを発生するために陽極酸化される。本実施形態において、TPEから形成可能である保護カバー層214は、高い表面エネルギーを有するシーリングされていない陽極酸化アルミニウム面に接着剤層なしで直接オーバーモールディングされる。
【0179】
あるいは、前述のように、接着剤層213が使用される。本実施形態において、アルミニウム構造支持層212は、テクスチャを形成するためにエッチングされ、高い表面エネルギーを発生するために陽極酸化されかつ接着剤層213を事前に接合される。この接着剤層213は、化学的接合を実現するためのオーバーモールディング処理の間にTPEと十分に混合される。
【0180】
事前接合アルミニウムを覆うようにTPEをオーバーモールディングすることにより、TPEとアルミニウムとの間に化学的接合が実現されるので、保護層214と構造支持層212との間に障害点が形成される可能性は減少するか又はまったくなくなる。接着が不十分であると、保護層214の構造支持層212からの離脱及び剥離のような欠陥が発生する。全面にわたる化学的接合は、ラップトップコンピュータの耐用年数の間のアルミニウム構造支持層212からのTPE保護層214の分離を防止するのに効果的である。ポータブルコンピュータの底部ケース300は、通常操作によって大きな影響を受け、過酷な使用状況に置かれる場合さえあるので、構造支持層212と保護層214とのそのように強力な接合は特に重要である。更に、強力な化学的接合は、従来の仕上げ処理の間に発生していたTPE保護層214の構造支持層212からの剥離も防止する。一実施形態によれば、保護層214は約1mmの厚さを有する。従って、底部ケース300全体の厚さは約2.1mm以下である。
【0181】
アルミニウムとTPEの収縮率は異なるので、耐久性及び美観に優れた底部ケース300を実現するために、保護層214と構造支持層212との間の強力な接合が重要であることは理解されるだろう。すなわち、温度が低下した場合、アルミニウムとTPEは異なる速度で収縮する。アルミニウムは金属であるので、TPEとは異なる熱膨張率(CTE)を有する。TPEは、アルミニウムとは異なるCTEを有しかつ注入時にアルミニウムより高い温度(約245℃)を有するので、TPEは著しく大きく収縮する。前述のように、通常、TPE材料は約245℃の温度で注入され、アルミニウムは約50℃に保たれる。射出成形処理後、材料はほぼ室温まで冷却し、冷却時にTPEは収縮するが、アルミニウムは同一の速度では収縮しない。オーバーモールディングされたTPEが収縮し、初期時間(例えば、24〜36時間)にわたりアルミニウム上の所定の場所に保持されていない場合、材料の収縮率が異なることによって問題が起こる可能性がある。材料が異なる速度で収縮すると、保護層214と構造支持層212との接合が脆弱になり、取り付け穴のような要素が整列しなくなる(すなわち、同心ではなくなる)こともある。従って、アルミニウムとTPE材料とを強力に接合させることが望ましい。この強力な接合は、前述のような接着剤による化学的接合により実現される。
【0182】
TPEは、ゴム状材料とプラスチック材料の利点を共に示すため、保護カバー層214の材料として望ましい。保護カバー層214としてTPEを使用することにより、色合わせのために大半の種類の染料でTPEを容易に着色できるので、底部ケース300の外観を向上できる。例えば、化粧外側層202などの別の部品の色に適合するように、保護カバー層214のTPEを容易に着色できる。更に、TPE保護カバー層214は、シーリングされていない陽極酸化アルミニウム構造支持層212を塵芥及び他の汚染物質から保護するためのウェザーシールとして機能できる。TPEは、コンピュータの内部部品を衝撃から保護するのにも効果的である。
【0183】
柔らかな感触及び握りやすさなどのある特定の特性をTPEに与えるために、コンパウンダが取り入れられる。ユーザが握るか又は他の方法により取り扱うポータブルコンピュータなどの製品については、特に、消費者にとって魅力である柔軟な感触を有するようにTPEが形成される。一実施形態において、TPEは、オランダのDSM Engineering Plastics B.V.より市販されているTPC‐ET熱可塑性コポリエステルエラストマーのArnitel(登録商標)EM460を使用できる。柔らかなテクスチャと組み合わされた良好な機械的特性を有する外観に優れた面を形成するために、TPEは、事前に着色されかつアルミニウム構造支持層212を覆うようにオーバーモールディングされる。一実施形態において、TPE保護カバー層214は、約1.2〜1.6μmの算術平均表面粗さRa及び、約6〜9μmの輪郭曲線の最大高さRzを有する。
【0184】
化学的にではなく、物理的に架橋されたTPE材料は、処理が容易でありかつ再利用可能であるので、環境に優しい材料である。TPEは、プラスチックと同様に、成形され、押し出し成形されかつ再利用される。従って、TPE層をアルミニウム構造支持層212から剥ぎ取ることにより、TPE保護カバー層214を再利用できる。通常、再利用可能な部品には、リサイクルコードが刻印又は印字される。ポータブルコンピュータ筐体の外側の美観を維持するために、そのようなリサイクルコードは、底部ケース300の保護カバー層214の外面を含めて筐体の外側に印字されるべきではない。しかし、保護カバー層214はオーバーモールディングされるので、リサイクルコードを内面に直接印字又は刻印することは不可能である。そこで、一実施形態によれば、保護カバー層214がオーバーモールディングされる前に、保護カバー層214の材料に対応するリサイクルコードは、アルミニウム構造支持層212に逆の向きで(例えば、裏返しに)印字されるか、又は接着剤層213に正しい向きで印字される。接着剤層213がアルミニウム構造支持層212に事前に接合される前に、図45に示されるように、国際規格機構(ISO)仕様に従って、保護カバー層214のTPEとして適切である「>TPC‐ET<」とラベル付けされたリサイクルコード4550が正しい向きで接着剤層213に印字される。リサイクルコードが印字された事前接合構造支持層212を覆うように保護カバー層214がオーバーモールディングされた後、リサイクルコード4550のインクの一部は、保護カバー層214の内面に転写される。インクは、TPE材料に対して親和性を有しかつTPE保護カバー層214がアルミニウム構造支持層212から除去されるか又は剥ぎ取られる場合にTPEと共に剥離することが理解されるだろう。TPE保護カバー層214が除去されるか又は剥ぎ取られた後、リサイクルコード4550は、図46に示されるように、TPE保護カバー層214の内面に正しく読める形で現れる。図45は、保護カバー層214が剥ぎ取られた後にリサイクルコード4550が裏返しに印字されている構造支持層212を示すことが理解されるだろう。
【0185】
一実施形態によれば、図43に示されるように、保護カバー層214の縁部分215は、構造支持層212の縁部を越えて縁部を包み込むように構成される。ポータブルコンピュータ筐体の組み立てが完了した時点で、保護カバー層214の縁部は、構造支持層212の縁部を包み込みかつ化粧外側層202の下方に押し込まれることにより、本質的に途切れることのないスプライン輪郭の形状を呈しているので、ユーザの目にはわからない。保護層214は外側層202と共にシールを形成できる。このシールは、外部環境の汚染物質からの保護を実現すると共に、外側層202を一体の形状であるように見せる。更に、保護外側層214の縁部が外側層202の下方に巻き込まれているので、シールは保護外側層214の剥離又は他の損傷を防止する働きもする。
【0186】
外側層202は、タッチパッド216及びキーボード218などのいくつかのユーザ入力デバイスを含むことができる。キーボード218は複数のキーパッド220を含むことができ、特定のキーパッドと関連するキー入力をユーザに識別させるために、各キーには記号が刻印又はエッチングされている。外側層202は、ユーザがポータブルコンピューティングデバイス200の電源をオン/オフするのを助けるように構成された電源ボタン222を更に含むことができる。音声入力デバイス224は、音声などの可聴入力を受信するためのマイクロホンとして使用される。状態指示ランプ(SIL)226は、ユーザに情報を提供するために使用される。そのような情報は、例えばポータブルコンピューティングデバイス200の動作状態に関連可能である。外側層202は、光の大部分を透過できる半透明プラスチック材料から形成されるので(ライトブリードと呼ばれる)、SIL226は、SIL226の幾何学的輪郭形状により限定される光を除くほぼすべての光を排除するように構成される。外側層202は、筐体202内部に実装された動作回路を操作するために使用される開口部を更に含むことができる。例えば、ディスクスロット228は、コンパクトディスク(CD)及び/又はデジタルバーサタイルディスク(DVD)などのディスク媒体を差し込むために使用される。通例、外側層202は、ポータブルコンピューティングデバイスの操作中にユーザから見た場合に前方部分230及び後方部分232に分割されると考えられる。すなわち、タッチパッド216は前方部分230に配置されていると考えられてもよく、キーボード218は後方部分232に配置されていると考えられる。
【0187】
図47及び図48は、閉じた状態のポータブルコンピューティングデバイス200をそれぞれ示す平面図及び正面図である。詳細には、図47及び図48は、ポータブルコンピューティングデバイス200の形状が一様であることを示す。この形状の連続性は、蓋206、外側層202、構造支持層212及び保護層214の間の線が連続していることにより明らかである。
【0188】
バッテリ
広い意味で言えば、説明される実施形態は、ラップトップコンピュータなどのポータブルコンピューティングデバイスに埋め込むことが可能なバッテリアセンブリに関する。バッテリアセンブリは、大きな充電容量を有するにもかかわらず、ポータブルコンピュータの薄型形状を維持しつつ、ラップトップコンピュータの筐体内部に他の回路網を十分に組み込める小型構造である。更に、小型コンピューティングデバイスにバッテリアセンブリを埋め込み、正規修理技術者以外の者がコンピューティングデバイスの内部にタッチすることを実質的に不可能にすることにより、バッテリアセンブリは小型コンピューティングデバイスと一体の一部分であると考えることができるので、小型コンピューティングデバイスの筐体はバッテリアセンブリを更に保護する働きもする。小型コンピューティングデバイスの筐体内部で利用可能なスペースの制限領域内に嵌合するように、バッテリアセンブリがカスタマイズされる。詳細には、必要に応じてバッテリアセンブリを更に小型化することにより、薄型形状を維持しつつ、小型コンピューティングデバイスに更に多くの動作部品を組み込むことができる。
【0189】
更に、バッテリアセンブリは、剛性を向上する形状を有するバッテリ筐体に内包されたバッテリセル、すなわちコアパックを含むことができる。バッテリ筐体の少なくとも一部は、バッテリアセンブリと接触するコンピュータ筐体の内側部分の形状に適応する形状を有することができる。バッテリアセンブリは、コンピュータアセンブリの中に落とし込まれた後、ダイビングインと呼ばれる動きによってコンピュータ筐体の対応する内側部分にごく近接する場所に配置される。これにより、コンピュータ筐体の可撓性を向上できるように、バッテリ筐体とコンピュータ筐体とは一体に結合される。従って、コンピュータ筐体を形成するために使用される材料の剛性のみに依存する必要がないので、可撓性でありかつコンピュータアセンブリの支持及び保護に使用するには不適切であると従来は考えられていたプラスチックなどの材料からコンピュータ筐体を形成することが可能である。
【0190】
一実施形態において、バッテリ筐体は、バッテリ筐体の上面カバーの底部の長さに沿って一体に形成された片持ち梁部を有する一体の筐体である(「C」の文字に似た横断面形状を呈する)。片持ち梁部は、大きな慣性モーメントを有し、従って従来の片持ち梁部なしのバッテリ筐体と比較して湾曲に対する耐性が高い。更に、バッテリ筐体は、PCABSのような硬質で耐久性のある材料から一体に形成されるので、のり又は他の接着剤は使用されない。そのため、バッテリ筐体を脆弱にするか又はバッテリ筐体の構造の一体性を損なうおそれがある継目又は他の接合部は存在しない。バッテリアセンブリは埋め込まれるので、コンピュータ筐体の底部カバーを取り外した場合、バッテリ筐体の上部のみが露出される。従って、バッテリ筐体の底部は、コンピュータ筐体により保護され、薄い保護層のみが必要とされる。保護層は、テープなどのVHB(強力)接着剤のような接着剤を使用して片持ち梁部及びコアパックに装着される。保護層はマイラー(登録商標)などの軽量かつ柔軟な材料から形成される。更に、保護層は薄いので、バッテリアセンブリのZスタックにほとんど又はまったく影響を及ぼさない。
【0191】
図49は、説明される実施形態に係る筐体1700を示す。筐体1700は、コンピュータアセンブリを収納するのに適する筐体1702を形成できる。詳細には、図17は、部品実装作業中にコンピュータアセンブリを形成するために使用される部品を受け入れるのに適する向きで筐体1702を示す。コンピュータアセンブリは、コンピューティングシステムの動作に使用される主ロジックボード(MLB)、ハードディスクドライブ(HDD)、光ディスクドライブ(ODD)などの複数の動作部品を含むことができる。コンピューティングシステムはラップトップ又はポータブルとすることができ、本明細書の以下の説明中、説明される実施形態はポータブルコンピューティングシステムに関するが、それにより一般性が損なわれることはまったくない。筐体1700は、製品が完成した後に筐体1702を被覆するので図49には示されていない構造支持層を含むことができる。通常、構造支持層は、筐体1702への動作部品の実装が完了した後に初めて内側層1704に結合される。
【0192】
しかし、コンピュータアセンブリの組み立てが完了した後、例えば構造支持層を内側層1704と接触させることにより、構造支持層は、筐体1702の中で組み立てられた部品を被覆するために使用される。その後、内側層1704は、複数の結合箇所1706で、ねじ、リベットなどを含む締結具を介して構造支持層に物理的に結合される。尚、特定の構造に応じて、どのような数の締結具及び/又はどのような種類の締結具の組み合わせが使用されることは言うまでもない。内側層1704を構造支持層に堅固に固定することにより、結合箇所1706の締結具は、外側層1708に実質的に影響を及ぼすことなく荷重Lを内側層1704から構造支持層へ伝達するために使用される。外側層1708は、内側層1704に加わった荷重を吸収することにより又は別の方法によりその荷重が外側層1708へ伝達されるのを阻止できる接着剤1710を介して内側層1704に装着されかつ内側層1704により支持される。これにより、外側層1708は、内側層1704に加わった荷重の影響を本質的に受けなくなるので、外側層1708を内側層1704から音響的に隔離することが可能になる。
【0193】
内側層1704は、外側層1708に影響を及ぼすことなく構造支持層へ荷重を伝達するために使用される。このため、荷重を搬送するのに特に適してはいないか又は従来の技術ではコンピュータ筐体として使用するのに適さないと考えられていた軽量プラスチックなどの材料から外側層1708を形成できる。従って、必要な安定性を与えるために、構造支持層は金属(打ち抜き作業で形成されたアルミニウムなど)又は複合材料のような材料から形成することができ、一方、外側層1708は耐荷重構造部品として作用する能力より外観のよさを重視して選択された材料から形成される。これにより、外側層1708を形成するために使用可能な材料の選択範囲を広げることができる。製品の設計に際しては、従来のコンピュータ筐体で現実に可能な外観及び感触をはるかに超える外観及び感触を有するポータブルコンピュータを実現できる。例えば、外側層1708は、軽量プラスチックから形成されかつ同様に多様に選択できる任意の形状(アンダーカット形状など)に成形される。例えば、外側層1708は、実質的に途切れることのない1つの形状にユーザには見えるように連続スプライン輪郭の形状を呈できる。外側層1708は、例えばPCABSのようなプラスチックから形成される。
【0194】
尚、荷重を伝達しかつ分散する内側層1704の能力を向上するために、ポータブルコンピューティングデバイスの機能レイアウトが使用される。一実施形態において、筐体1702は、動作部品及び各動作部品の構造特性に基づいていくつかの領域に分割されると考えられる。例えば、筐体1702がラップトップコンピュータに対応する場合、筐体1702は、タッチパッド又はトラックパッドのようなユーザインタフェースなどの機能を収容するのに適する前方部分1712と、例えばキーボードを収納するための後方部分1714とを有すると考えられる。タッチパッドは、対応するフレーム構造1716により構造支持され、キーボードは背面フレーム1718により支持される。それらのフレーム構造1716及び背面フレーム1718は、例えば接着剤を使用して筐体1700にそれぞれ装着される。フレーム構造1716及び背面フレーム1718は、共にアルミニウム、マグネシウム及び/又はマグネシウム合金の形の金属などの強度に優れた剛性材料から形成される。
【0195】
内部部品のうちいくつかは耐荷重部品が使用でき、他の部品は非耐荷重部品を使用できる。本明細書では、説明の便宜上、耐荷重部品は、動作特性又は構造特性に実質的に影響を及ぼすことなく外部荷重を受け入れることができる部品であると考えられる。逆に、非耐荷重部品は、外部荷重を搬送した場合に形態又は機能に悪影響を受ける確率が高い。例えば、ハードディスクドライブ(HDD)は、加えられる荷重の影響を非常に受けやすいので、外部荷重から保護されなければならない。場合によっては、内側層1704の荷重処理能力を向上しかつ外側層1708の剛性を増補するための部品が使用される。
【0196】
図50は、説明される実施形態に係るポータブルコンピュータ1800を示す図である。ポータブルコンピュータ1800は、筐体1702の内部に配置されたコンピュータアセンブリを含むことができる。コンピュータアセンブリは、ポータブルコンピュータ1800の機能を実現するために協働できる種々の動作部品を含むことができる。更に、動作部品のうちいくつかの部品は、設計に従った機能を実行するのに加えて荷重を伝達しかつ分散する内側層1704の能力を向上しかつ外側層1708の剛性を増補するために使用される。例えば、耐荷重部品1802を使用して、前方部分1712と後方部分1714との間に荷重経路が形成される。例えば、耐荷重内部部品1802は、コネクタ1804を使用して内側層1704に装着されかつコネクタ1806を使用して背面フレーム1718に装着される。これにより、コネクタ1804を介して構造支持層へ荷重Lを伝達しかつ/又はコネクタ1806を介して背面フレーム1718へ荷重Lを伝達することが可能になる。例えば、荷重Lは3つの空間成分{Lx,Ly,Lz}を有すると考えられる。空間成分Lzは、コネクタ1804を介して構造支持層へ伝達され、空間成分Lyは、コネクタ1806を介して背面フレーム1718へ伝達される。耐荷重部品とは異なり、非耐荷重部品1808は、荷重吸収コネクタ1810を介して内側層1704及び背面フレーム1718に装着される。荷重吸収コネクタ1810は、何らかの数及び種類の軟質プラスチックなどの荷重吸収材料を使用して、非耐荷重部品1808を荷重から隔離するために使用される。
【0197】
背面フレーム1718は、主ロジックボード(MLB)1812などの部品を支持するために使用される。MLB1812などの部品は、1つには、デバイスを実装するためのプリント回路基板(すなわち、PCB)の湾曲又は撓みの影響を受けやすい相対的に多数の表面実装デバイスを含んでいるために、大きく撓むことが許されない。背面フレーム1718は、荷重吸収接着剤1710などの接着剤を使用して外側層1708に装着される。
【0198】
図51は、図18に一般化して示されるポータブルコンピュータ1800の特定の一実施形態に係るポータブルコンピュータ1900を示す。ポータブルコンピュータ1900は複数の動作部品を含むことができる。それらの動作部品の一部は、荷重隔離コネクタ1906を介して正面フレーム1904に装着されたハードディスクドライブ、すなわちHDD1902のような非耐荷重部品を使用できる。例えば、MLB1908、ファン1910及び光ディスク1914を受け入れるように構成された光ディスクドライブ(ODD)1912のように大きな湾曲又は撓みが許されない部品は、背面フレーム1916に装着される。背面フレーム1916は、マグネシウム又はマグネシウム合金などの金属から形成される。バッテリアセンブリ1918は、複数のバッテリセル及び関連回路を内包しかつ支持するバッテリ筐体1920を含むことができる。更に、バッテリアセンブリ1918は、バッテリアセンブリ1918をポータブルコンピュータ1900から取り出すのを助けるために使用されるプルタブ1922を含むことができる。尚、バッテリアセンブリ1918の構造の一体性及び外部荷重を処理する能力を向上するために、バッテリ筐体1920は、PCABSのようなプラスチックなどの材料から一体に形成される。バッテリアセンブリ1918は、外側層1922に機械的に結合可能であり、それにより外側層1922の剛性を向上できる形態及び組成を有することができる。更に、バッテリアセンブリ1918は、背面フレーム1916と正面フレーム1904との間の荷重経路の一部として形成される。
【0199】
バッテリアセンブリ1918は、適切な締結具を使用してコネクタ1924の場所で背面フレーム1916に装着される。図19に示される特定の実施形態において、バッテリアセンブリ1918を背面フレーム1916に装着するために使用される締結具は、前述の不正変更防止締結具104の形をとることができる。バッテリアセンブリ1918は、装着部材1928に配置されたコネクタ1926の場所で、ねじなどの適切な締結具を使用して正面フレーム1904に装着される。この場合、バッテリ筐体1920は、バッテリアセンブリ1918を正面フレーム1904に固定するために使用される締結具を受け入れるように適切に構成された穴又はボスを含むことができる。ねじを締め付けると、バッテリアセンブリ1918はZ方向に動くので、装着部材1928と係合する適切な形状の凹部がバッテリ筐体1920に形成される。この動きによって、制限Z形コネクタ1930(ロリポップコネクタとも呼ばれる)は、構造支持層の内面に形成された対応する隆起部分と結合する位置まで移動する。
【0200】
バッテリアセンブリ1918は、コネクタ1924で不正変更防止締結具を締め付けることにより背面フレーム1916に固定される。バッテリアセンブリ1918は、装着部材1928のコネクタ1926で締結具を締め付けることにより正面フレーム1904に固定される。次に、構造支持層は、コネクタ1934でねじなどの締結具を使用することにより、正面フレーム1904及び背面フレーム1916に固定される。これにより、バッテリアセンブリ1918があらゆる空間座標で荷重Lを伝達しかつ分散するのを容易にすることができる。例えば、バッテリアセンブリ1918は、荷重経路の一部として、空間座標{Lx,Ly,Lz}を有する荷重Lをコネクタ1934及び1930の締結具を介して構造支持層へ伝達するか(Lz)又はコネクタ1924の締結具を使用して背面フレーム1916へ伝達する(Ly)のを助けることができる。挿入後、バッテリアセンブリ1918は、装着部材1928に含まれるコネクタ1926及び背面フレーム1912で、コネクタ1924の締結具を介して正面フレーム1904に固定される。更に、正面フレーム1904の内面の輪郭形状に適応するようにバッテリ筐体1920を形成することにより、更に密接で一体的な嵌合及び更に美しく人目を引く外観が得られる。
【0201】
バッテリアセンブリ1918は、構造支持層が取り除かれた場合に、バッテリ筐体1920が外部環境にさらされるようにポータブルコンピュータ1900内部に配置される。従って、バッテリ筐体1920は、高衝撃プラスチック又は他の適切な頑健さを有するが軽量である材料のような耐久性のある材料から形成される。例えば、バッテリ筐体1920は、PCABSなどの射出成形プラスチックで形成できる。いくつかの実施形態において、バッテリ筐体1920は、約0.35〜1.3mmの範囲の厚さを有することができ、公称厚さは約0.65mmである。バッテリ筐体1920の耐久性のある材料は、バッテリセルを偶発的な損傷から保護することができる。
【0202】
図52に更に詳細に示されるように、バッテリ筐体1920は、正面フレーム1904の輪郭形状(アンダーカット形状など)に適応する外側形状を有する正面部分を有することができ、正面フレーム1904自体は、外側層1922の内面の形状に適応する形状をとることができる。例えば、バッテリ筐体1920は、正面フレーム1904の内面に適応し、従って正面フレーム1904の内面に嵌合するような形状に形成された正面部分1932を有することができる。正面フレーム1904は、外側層1922の内面により規定される形状に嵌合できる。従って、バッテリアセンブリ1918を筐体1702の中に落とし入れ、次にダイビングのような動きを利用して所定の場所に配置することにより、バッテリアセンブリ1918を装着できる。これにより、正面部分1932は、正面フレーム1904の内面により形成された受け入れスペースに差し込まれ、次に背面フレーム1916に隣接する所定の場所まで押し下げられる。正面フレーム1904と正面部分1932とが互いに適応する形状を有することにより実現されるこの密接な嵌合は、はるかに厳密な嵌合及びはるかに美しい外観を提供する。更に、正面フレーム1916が外側層1922に形成された凹部に挿入されることにより、正面フレーム1904は外側層1922の一部になるので、外側層1922の構造的安定性を向上できる。このように、重量を増す必要なくバッテリアセンブリ1918及び正面フレーム1904の双方の剛性を外側層1922の剛性に付加できる。
【0203】
図53及び図54は、説明される実施形態に係るバッテリアセンブリ1918を示す種々の斜視図及び横断面図である。図53は、一体のバッテリ筐体1920を示すバッテリアセンブリ1918の横断面図である。図示されるように、バッテリ筐体1920は、バッテリセル(又はコアパック)2104が入っていない場合でもバッテリ筐体1920の剛性を向上できる片持ち梁として作用するような形状に形成された部分2102を含む「C」字形横断面を有する。しかし、C字形部分2102により支持されかつ保護層2114により規定されるVHBを使用して所定の場所に接着された筐体2106の中にバッテリセル2104が挿入されると、バッテリアセンブリの剛性は大幅に向上する。バッテリアセンブリ1918は、正面フレーム1904及び背面フレーム1916の双方に結合される。これにより、バッテリアセンブリは、外側層1922の剛性を相当に向上できると共に、正面フレーム1904、背面フレーム1916及び構造支持層の間の荷重Lの伝達を十分に助けることができる。
【0204】
凹部2108は、バッテリアセンブリを正面フレーム1904に固定するために使用されるねじなどの締結具を受け入れるボス2110を含むことができる。前述のように、凹部2108は、締結具が締め付けられた場合にバッテリ筐体1920の上面2112がZ方向に動くことができるように装着部材1928を受け入れるような形状に形成される。バッテリアセンブリ1918の底部2112は外側層1922により保護されるので、バッテリアセンブリ1918の底部2112に保護層2114を設けることにより、バッテリアセンブリ1918のZスタックは維持される。保護層2114はマイラーなどの薄く軽量の材料から形成される。バッテリアセンブリ1918の底部は上面ケースにより保護されるので、保護層2114をコアパック2104及びC字形部分2102に装着するためにVHB(強力)接着剤が使用される。
【0205】
図54は、バッテリアセンブリ1918の平面図を示す。一実施形態によれば、バッテリアセンブリ1918の中の1つ以上のバッテリセルは、薄型のコンピュータ筐体の中に嵌合するようにカスタマイズされた大きさ及び形状を有することができる。従来のバッテリアセンブリの厚さは、通常バッテリアセンブリに収納される円筒形リチウムイオン電池の直径によって決まる。また、従来のバッテリアセンブリでは、円筒形電池の間の空間が無駄になっている。しかし、本実施形態によれば、電池の間に無駄な空間がないようにバッテリセルはカスタマイズされかつ各セルの厚さは、バッテリアセンブリ1918内部の指定のスペースに嵌合するようにカスタマイズされるので、バッテリセルが更に薄型になってもバッテリセル全体のボリュームは維持される。
【0206】
図55は、可撓性材料から形成されたコンピュータ筐体を有するポータブルコンピュータにバッテリアセンブリを埋め込む方法2300を詳細に示すフローチャートである。方法2300は、少なくとも次の工程を実行することにより実施される。2302において、複数のバッテリセルを内包するように構成された一体形バッテリ筐体を備えるバッテリアセンブリを受け入れる。バッテリ筐体は、湾曲した横断面形状を有する正面部分と、上部と、片持ち梁部と、最小Zインパクト保護層とを有し、片持ち梁部は上部の下縁部に沿って一体に形成されかつバッテリ筐体の撓みに対する耐性を向上するように構成され、保護層は、強力接着剤を介して片持ち梁部及びバッテリセルに装着される。2304において、コンピュータ筐体に装着された正面フレームに正面部分を隙間なく嵌合することにより、バッテリアセンブリはコンピュータ筐体に挿入される。正面フレームは正面部分の湾曲した横断面形状に適応する形状を有する。2306において、コンピュータ筐体がバッテリセルに対して与えられる保護の相当の部分を担うように保護層がコンピュータ筐体の内面と接触して配置されるように、バッテリアセンブリはコンピュータ筐体の内面に配置される。2308において、コンピュータ筐体に加えられた荷重が、バッテリアセンブリを含む荷重経路を介して、コンピュータ筐体に実質的に影響を及ぼすことなく、コンピュータ筐体に結合された構造支持層へ伝達されるように、バッテリアセンブリの正面部分は正面フレームに固定される。
【0207】
上述の実施形態の利点は数多くある。種々の態様、実施形態又は実現形態は、以下に示す利点のうち1つ以上を提供する。1つの利点は、承認されたユーザ以外の者がバッテリアセンブリを操作するのが容易ではないということである。バッテリアセンブリは、固有の剛性をほとんど又はまったく持たないコンピュータ筐体の剛性を増補するような形状に形成される。これにより、プラスチックなどの軽量の材料をコンピュータ筐体に使用できる。
【0208】
説明された実施形態の多くの特徴及び利点は、以上の説明から明らかであり、添付の特許請求の範囲は、そのような特徴及び利点をすべて含むことを意図する。更に、多くの変形及び変更は、当業者には容易に着想されるので、本発明は、図示されかつ説明された厳密な構成及び動作に限定されるべきではない。従って、すべての適切な変形及び均等物は、本発明の範囲内に含まれるとみなされる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軽量の可撓性材料から形成された一体かつ継目のない筐体であって、
上部と、
前記上部と一体形成された本体部と、
前記一体かつ継目のない筐体に旋回可能に接続された可動上面カバーと、
を有し、前記可動上面カバー及び前記継目なし筐体は、前記可動上面カバーが前記上部と接触する状態で閉じられた際に1つの連続した形状に見えるように成形される筐体を有することを特徴とするコンピューティングデバイス。
【請求項2】
前記上部は少なくとも1つのユーザインタフェースを含み、前記筐体はプラスチックから形成されることを特徴とする請求項1記載のコンピューティングデバイス。
【請求項3】
前記筐体はコンピュータ組立体を内包かつ支持し、前記コンピュータ組立体は前記コンピューティングデバイスについて規定された一式の機能を提供するように動作可能な複数の部品を含むことを特徴とする請求項1記載のコンピューティングデバイス。
【請求項4】
前記本体部は、前記動作可能な複数の部品のうち少なくとも1つにアクセスするために使用されるコネクタを受け入れるための幅広サイズの少なくとも1つの非補強開口部を有することを特徴とする請求項3記載のコンピューティングデバイス。
【請求項5】
前記コネクタはUSBコネクタであることを特徴とする請求項4記載のコンピューティングデバイス。
【請求項6】
底部カバーであって、前記筐体に加えられた荷重が前記筐体に実質的に影響を及ぼすことなく前記底部カバーに伝達されるような構造支持構造を前記コンピューティングデバイスに提供するように配置された底部カバーをさらに有することを特徴とする請求項1記載のコンピューティングデバイス。
【請求項7】
構造支持層をさらに備え、かつ前記一体かつ継目のない筐体は視認できる締結具を有しておらず、前記一体かつ継目のない筐体は、
軽量の可撓性材料から形成された外側層と、
前記外側層に装着され、前記筐体に加えられた荷重を伝達しかつ分散するように構成された内側層とをさらに備え、前記内側層は、前記荷重が前記外側層に実質的に影響を及ぼすことなく前記内側層から前記支持層へ伝達されるように前記支持層に物理的に接続されることを特徴とする請求項1記載のコンピューティングデバイス。
【請求項8】
前記内側層は、前記内側層に加えられた荷重から前記外側層を保護する接着剤を使用して前記外側層に装着されることを特徴とする請求項7記載のコンピューティングデバイス。
【請求項9】
前記マルチパートコンピュータ筐体が実質的に連続的な断面形状を有することを特徴とする請求項7記載のコンピューティングデバイス。
【請求項10】
前記内側層は前記外側層の内面形状に適応するように装着された複数の構造部材を含むことを特徴とする請求項7記載のコンピューティングデバイス。
【請求項11】
前記内側層は前記複数の構造部材のうち少なくとも1つに装着された少なくとも1つの耐荷重部品を含み、前記耐荷重部品は前記荷重を伝達しかつ分散するために前記内側層と協調することを特徴とする請求項10記載のコンピューティングデバイス。
【請求項12】
前記内側層は少なくとも1つの非耐荷重部品を含み、前記非耐荷重部品は、前記非耐荷重部品を前記荷重から保護する荷重緩和コネクタを介して前記複数の構造部材のうち少なくとも1つの構造部材に装着されることを特徴とする請求項11記載のコンピューティングデバイス。
【請求項13】
前記マルチパートコンピュータ筐体はPCABSを含むプラスチックから形成されることを特徴とする請求項7記載のコンピューティングデバイス。
【請求項14】
ポータブルコンピュータであって、
非耐荷重材料から形成され、美的に魅力のある形状および美的な表面特徴を有する筐体と、
前記筐体の内面に装着された荷重分散及び荷重伝達内骨格構造と、
前記内骨格構造に機械的に結合され、前記ポータブルコンピュータ及び電気的接地点を構造支持する金属製の構造支持層であって、前記筐体に加えられた荷重が前記筐体に実質的に影響を及ぼすことなく前記内骨格構造により前記構造支持層へ伝達される構造支持層と、
前記構造支持層の外面に装着され、前記筐体に従った外観を有し、かつ前記筐体との間に前記筐体の外観を保護する接合部を形成する保護層と、
内側支持フレームを有する上面カバーと、
前記内側フレームにより支持されるディスプレイであって、前記内側フレームは、ヒンジ構造を通じて前記内骨格構造に旋回可能に接続されるディスプレイと、
前記ヒンジ構造を内包するように構成されたヒンジ構造筐体と、
を備え、
前記ヒンジ構造筐体は、
前記上面カバーが閉じた状態にある場合にユーザから視認でき、かつ前記上面カバーと一体形成された背面部分と、
ジッパーロック構造を介して前記背面部分に取り外し可能に装着されたカバー部分であって、前記背面部分に装着されている場合、前記上面カバーが閉じた位置にある際には前記装着で形成される継目が前記ユーザから視認できず、前記上面カバーが開いた位置にある際には前記形成される継目が前記保護層及び前記筐体により形成される継目と整列するように装着されたカバー部分とを備えることを特徴とするポータブルコンピュータ。
【請求項15】
前記筐体はPCABSを含むプラスチックから形成されることを特徴とする請求項14記載のポータブルコンピュータ。
【請求項16】
前記内骨格構造は少なくともフレーム部材及び耐荷重動作部品を含み、前記耐荷重動作部品は前記耐荷重動作部品の動作特性又は構造特性に実質的に影響を及ぼすことなく前記荷重を分散しかつ伝達するように構成され、前記耐荷重動作部品は前記筐体に加えられた荷重が前記フレーム部材により前記耐荷重動作部品へ伝達されるように前記フレーム部材に装着され、前記耐荷重動作部品はその荷重を前記構造支持層へ伝達することを特徴とする請求項14記載のポータブルコンピュータ。
【請求項17】
ポータブルコンピュータ用のディスプレイ筐体であって、
ディスプレイと、
前記ディスプレイの少なくとも背面を覆うディスプレイ筐体カバーと、
前記ディスプレイの前記背面と前記ディスプレイ筐体カバーとの間に配置された光源と、
前記ディスプレイ筐体カバーに構造的剛性を与えるために、前記ディスプレイ筐体カバーに接着された内側フレームと、
前記ディスプレイ筐体カバーを前記内側フレームに接着する第1の接着剤と、
前記ディスプレイ筐体カバーを前記内側フレームに接合する第2の接着剤と、
を備え、
前記第2の接着剤は、前記ディスプレイ筐体の熱サイクル動作中、前記第1の接着剤を使用して形成された前記内側フレームと前記ディスプレイ筐体カバーとの間の接合部におけるボンドスリップを防止することを特徴とするポータブルコンピュータ用のディスプレイ筐体。
【請求項18】
前記光源は1つ以上のLED素子を備えることを特徴とする請求項17記載のディスプレイ筐体。
【請求項19】
前記光源は前記ディスプレイのためのバックライトであることを特徴とする請求項17記載のディスプレイ筐体。
【請求項20】
前記光源が発光している際に前記ディスプレイ筐体カバーの一部が照明されて見えるように、前記ディスプレイ筐体カバーの前記一部が、前記光源で発生される光を透過することを特徴とする請求項17記載のディスプレイ筐体。
【請求項21】
前記内側フレームはマグネシウムを含むことを特徴とする請求項17記載のディスプレイ筐体。
【請求項22】
前記ディスプレイ筐体カバーはプラスチックを含むことを特徴とする請求項17記載のディスプレイ筐体。
【請求項23】
前記第2の接着剤は強力接着剤を含むことを特徴とする請求項17記載のディスプレイ筐体。
【請求項24】
前記第1の接着剤は、塗布中は液体である2成分エポキシであることを特徴とする請求項17記載のディスプレイ筐体。
【請求項25】
前記第2の接着剤は両面に強力接着剤が塗布された両面テープを含むことを特徴とする請求項17記載のディスプレイ筐体。
【請求項26】
前記ディスプレイ筐体カバーはヒンジ側と開放側を備え、前記ディスプレイ筐体カバーは前記開放側の角に近接した場所で、強力接着剤である前記第2の接着剤を使用して前記内側フレームに接合されることを特徴とする請求項17記載のディスプレイ筐体。
【請求項27】
前記ディスプレイ筐体カバーはヒンジ側及び開放側を備え、前記内側フレームは、前記開放側の各終端に近接した場所で前記第2の接着剤を使用して前記ディスプレイ筐体カバーに接合され、かつ前記開放側の中央に近接した場所で前記第1の接着剤を使用して前記ディスプレイ筐体カバーに接合されることを特徴とする請求項17記載のディスプレイ筐体。
【請求項28】
前記ディスプレイ筐体カバーは、ヒンジ側、開放側及び、前記ヒンジ側と前記開放側とを接続する2つの隣接する側部を備え、前記2つの隣接する側部の各々において、前記ヒンジ側に近接する第1の端部で前記内側フレームを前記ディスプレイ筐体カバーに接合するために前記第1の接着剤が使用され、前記開放側に近接する第2の端部で前記内側フレームを前記ディスプレイ筐体カバーに接合するために前記第2の接着剤が使用されることを特徴とする請求項17記載のディスプレイ筐体。
【請求項29】
ヒンジ側及び開放側を備えるディスプレイ筐体カバー及び、前記開放側の各端部に近接する内側フレームを提供する工程と、
液体として塗布される第1の接着剤を前記内側フレームの第1の部分に塗布する工程と、
強力接着剤である第2の接着剤を前記開放側の各端部に近接する前記内側フレームの第2の部分に塗布する工程と、
前記第1の接着剤と前記第2の接着剤とを使用して、前記内側フレームを前記ディスプレイ筐体カバーに接合する工程と、
を有し、
前記第2の接着剤は、前記内側フレームと前記ディスプレイ筐体カバーとの間に前記第1の接着剤を使用して形成される接合におけるボンドスリップが前記ディスプレイ筐体の熱サイクル動作中に発生することを防止することを特徴とする方法。
【請求項30】
前記ディスプレイ筐体カバーの内面の第1の領域に第1の被膜層を塗布する工程と、
前記第1の被膜層の上に第2の被膜層を塗布する工程と、
前記第2の被膜層上の第2の領域であって、前記第1の領域より狭く、かつ前記ディスプレイ筐体に内包された光源により照明される前記ディスプレイ筐体カバーの部分を取り囲む第2の領域に第3の被膜層を塗布する工程と、
をさらに有することを特徴とする請求項29記載の方法。
【請求項31】
ポータブルコンピューティングデバイスであって、
複数の内部部品を内包しかつ支持するように構成され、1以上の非導電性熱可塑性材料を主成分とする外側筐体と、
前記外側筐体の内部に配置され、主処理部が結合されている主ロジックボードと、
前記外側筐体に物理的に結合されるとともに前記主ロジックボードに電気的に結合された複数のキーを含むキーボードアセンブリと、
前記筐体の内部であって前記キーボードアセンブリの下方に配置された音源であって、前記キーボードアセンブリ及び、前記複数のキーと前記外側筐体との間隙を通る音声伝送経路を介して主に伝播される音波を放射するように構成された音源と、
前記音源へ送出される電気信号を調整するように構成されたイコライザであって、前記音声伝送経路における音波の音声吸収特性及び音声増幅特性を考慮して1つ以上の設定が選択されるイコライザと、
前記主ロジックボード、前記キーボードアセンブリ、前記音源及び前記イコライザの各々に電気的に結合された汎用接地構造であって、前記汎用接地構造が電気的に相互結合された複数の個別の接地部品を含み、前記個別の接地部品の各々が前記ポータブルコンピューティングデバイス全体と比較して相当に小型であり、第1の接地部品が前記主ロジックボードの周囲に電磁波シールドを形成し、第2の接地部品が金属バックプレートを有し、該金属バックプレートは前記個別の第1の接地部品と該金属バックプレートの間に前記主ロジックボードが位置するように配置され、前記第2の接地部品が前記主ロジックボードを貫通して配置された複数の導電ピンを介して前記第1の接地部品に電気的及び機械的に結合される汎用接地構造と、
を備えることを特徴とするポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項32】
前記ポータブルコンピューティングデバイスはラップトップコンピュータであることを特徴とする請求項31記載のポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項33】
前記第1の接地部品は前記主ロジックボードよりわずかに大きいサイズの金属ファラデーケージを有することを特徴とする請求項31記載のポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項34】
前記キーボードアセンブリは前記複数のキーが取り付けられた基板を含み、前記基板は、前記音源に近接して配置され前記音波が前記基板を通過できるように構成された1つ以上の開口部を備えることを特徴とする請求項31記載のポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項35】
前記音源は前記筐体の内部に固定されるように構成された部品の基板に固定され、前記部品はワイヤレスカードに対応するスロットを含むことを特徴とする請求項31記載のポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項36】
ポータブルコンピューティングデバイスであって、
複数の内部部品を内包しかつ支持するように構成され、1つ以上の非導電性材料を主成分として形成される外側筐体と、
前記外側筐体の内部に配置され、かつ主処理部が結合されている主ロジックボードと、
前記外側筐体の内部に前記主ロジックボードから離間して配置された1つ以上の追加の電動部品と、
前記主ロジックボード及び前記1つ以上の追加の電動部品の各々に電気的に結合された汎用接地構造であって、前記汎用接地構造が電気的に相互結合された複数の個別の接地部品を含み、前記個別の接地部品の各々が前記コンピューティングデバイス全体より相当に小型であり、前記個別の接地部品のうち少なくとも1つが前記主ロジックボードの周囲に電磁波シールドをさらに形成する汎用接地構造と、
を備えることを特徴とするポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項37】
前記ポータブルコンピューティングデバイスはラップトップコンピュータであり、前記外側筐体は熱可塑性材料を主成分として形成されることを特徴とする請求項36記載のポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項38】
前記電磁波シールドは前記主ロジックボードよりわずかに大きいサイズの金属ファラデーケージであることを特徴とする請求項36記載のポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項39】
前記複数の個別の接地部品は背面ブラケットを含み、前記背面ブラケットは、前記ポータブルコンピューティングデバイスの上面カバーを前記ポータブルコンピューティングデバイスの下部本体に結合し、前記上面カバーと前記下部本体との間で物理的負荷を伝達することを特徴とする請求項36記載のポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項40】
前記複数の個別の接地部品は金属バックプレートを含み、前記金属バックプレートは、前記金属バックプレートと前記個別の電磁波シールドとの間に前記主ロジックボードが位置するように配置され、前記金属バックプレートは、前記主ロジックボードを貫通するように配置された複数の導電ピンを介して前記電磁波シールドに電気的及び機械的に結合されることを特徴とする請求項36記載のポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項41】
非導電性外側筐体を有するラップトップコンピュータの電気的接地システムであって、
前記外側筐体の内部に配置され、かつ主処理部が結合されている主ロジックボードと、
前記外側筐体の内部に前記主ロジックボードから離間して配置された1つ以上の追加の電動部品と、
前記主ロジックボード及び前記1つ以上の追加の電動部品の各々に電気的に結合された汎用接地構造であって、電気的に相互結合された複数の個別の接地部品を含み、前記個別の接地部品の各々が前記外側筐体より相当に小型であり、前記個別の接地部品のうち少なくとも1つの接地部品が前記主ロジックボードの周囲に電磁波シールドをさらに形成する汎用接地構造と、
を備えることを特徴とする電気的接地システム。
【請求項42】
前記複数の個別の接地部品は背面ブラケットを含み、前記背面ブラケットは、前記ポータブルコンピューティングデバイスの上面カバーを前記ポータブルコンピューティングデバイスの下部本体に結合し、前記上面カバーと前記下部本体との間で物理的負荷を伝達することを特徴とする請求項41記載の電気的接地システム。
【請求項43】
前記複数の個別の接地部品は金属バックプレートを含み、前記金属バックプレートは、前記金属バックプレートと前記個別の電磁波シールドとの間に前記主ロジックボードが位置するように配置され、前記金属バックプレートは、前記主ロジックボードを貫通するように配置された複数の導電ピンを介して前記電磁波シールドに電気的及び機械的に結合されることを特徴とする請求項41記載の電気的接地システム。
【請求項44】
筐体に結合された複数のキーを含むキーボードアセンブリと、
前記筐体の内部であって前記キーボードアセンブリの下方に配置された音源であって、前記キーボードアセンブリ及び、前記複数のキーと前記筐体との間の間隙を通る音声伝送経路を介して主に伝播される音波を放射するように構成された音源と、
前記音源へ送出される電気信号を調整するように構成されたイコライザであって、前記音声伝送経路における音波の音声吸収特性及び音声増幅特性を考慮して1つ以上のイコライザ設定が選択されるイコライザと、
を備えることを特徴とするポータブルコンピュータ用の音声システム。
【請求項45】
前記キーボードアセンブリは前記複数のキーが取り付けられた基板を含み、前記基板は、前記音源に近接して配置され前記音波が前記基板を通過できるように構成された1つ以上の開口部を備えることを特徴とする請求項44記載の音声システム。
【請求項46】
前記音源に音響結合された出口ポート及び入口ポートを含むチャンバをさらに備え、前記チャンバの寸法は、前記音源から放射される1つ以上の周波数の周波数応答を向上するように選択されることを特徴とする請求項44記載の音声システム。
【請求項47】
前記チャンバは主に前記音源の主方向とは異なる方向に音波を誘導することを特徴とする請求項46記載の音声システム。
【請求項48】
前記チャンバは、前記筐体の内部を冷却するための空気の循環を発生させる1つ以上のポートを通して音声を誘導するように構成された出口ポートを含むことを特徴とする請求項46記載の音声システム。
【請求項49】
前記音源は、コーン形電磁駆動ドライバ又は圧電ドライバ、もしくはその双方を備えることを特徴とする請求項44記載の音声システム。
【請求項50】
前記音源は、前記筐体の内部であって、前記キーボードアセンブリの下方に配置された3つ以上の個別の音源をさらに備えることを特徴とする請求項44記載の音声システム。
【請求項51】
第1のイコライザ設定は前記音声伝送経路で吸収される第1の周波数の音波の音圧レベルを増加し、第2のイコライザ設定は前記音声伝送経路で吸収される第2の周波数の音波の音圧レベルを減少することを特徴とする請求項44記載の音声システム。
【請求項52】
第1のイコライザ設定は前記筐体内部に望ましくない振動を発生させる音波の周波数の音圧レベルを減少することを特徴とする請求項44記載の音声システム。
【請求項53】
前記音源は前記筐体内部に固定されるように構成された部品の基板に固定され、前記部品はワイヤレスカードに対応するスロットを含むことを特徴とする請求項44記載の音声システム。
【請求項54】
複数の内部部品を内包しかつ支持するように構成され、かつ1つ以上の非導電性材料を主成分として形成された外側筐体と、
前記外側筐体の内部に配置され、かつ主処理部が結合されている主ロジックボードと、
前記外側筐体に結合された複数のキーを含むキーボードアセンブリと、
前記外側筐体の内部であって、前記キーボードアセンブリの下方に配置され、前記キーボードアセンブリ及び前記キーと前記筐体との間の間隙を通過する音声伝送経路を介して伝播される音波を放射するように構成された少なくとも1つの音源と、
前記音源へ送出される電気信号を調整するように構成されたイコライザであって、前記音声伝送経路における音波の音声吸収特性及び音声増幅特性を考慮して1つ以上のイコライザ設定が選択されるイコライザと、
を備えることを特徴とするラップトップコンピュータ。
【請求項55】
前記キーボードアセンブリは前記複数のキーが取り付けられた基板を含み、前記基板は、前記音源に近接して配置されかつ前記音波が前記基板を通過できるように構成された1つ以上の開口部を備えることを特徴とする請求項54記載のラップトップコンピュータ。
【請求項56】
前記音源に音響結合された出口ポート及び入口ポートを含むチャンバをさらに備え、前記チャンバの寸法は、前記音源から放射される1つ以上の周波数の周波数応答を向上するように選択されることを特徴とする請求項54記載のラップトップコンピュータ。
【請求項57】
前記少なくとも1つの音源は、前記外側筐体の内部であって、前記キーボードアセンブリの下方に配置された3つ以上の個別の音源を備えることを特徴とする請求項54記載のラップトップコンピュータ。
【請求項58】
多孔質テクスチャ化面を有する陽極酸化構造支持層と、
前記構造支持層の上に形成されかつ熱可塑性エラストマー又はシリコーン材料から形成された保護カバー層と、
を備えることを特徴とするマルチパートコンピュータ筐体。
【請求項59】
前記多孔質テクスチャ化面は高い表面エネルギーを有することを特徴とする請求項58記載のコンピュータ筐体。
【請求項60】
前記多孔質テクスチャ化面は脱イオン水との間に約30未満の接触角を有することを特徴とする請求項59記載のコンピュータ筐体。
【請求項61】
前記構造支持層はアルミニウムから形成されることを特徴とする請求項58記載のコンピュータ筐体。
【請求項62】
前記保護カバー層は前記構造支持層を覆うようにオーバーモールディングされた熱可塑性エラストマーから形成されることを特徴とする請求項58記載のコンピュータ筐体。
【請求項63】
前記保護カバー層は前記構造支持層を覆うように圧縮成形されたシリコーン材料から形成されることを特徴とする請求項58記載のコンピュータ筐体。
【請求項64】
前記構造支持層と前記保護カバー層との間に接着剤層をさらに備えることを特徴とする請求項58記載のコンピュータ筐体。
【請求項65】
前記保護カバー層は、前記構造支持層の全面を被覆しかつ前記構造支持層の縁部に沿って延出することを特徴とする請求項58記載のコンピュータ筐体。
【請求項66】
前記構造支持層にリサイクルコードが裏返しに印刷され、前記リサイクルコードは前記保護カバー層に相当することを特徴とする請求項58記載のコンピュータ筐体。
【請求項67】
前記構造支持層に前記接着剤層が接合される前に前記接着剤層にリサイクルコードが正しい向きで印刷され、前記リサイクルコードは前記保護カバー層に相当することを特徴とする請求項66記載のコンピュータ筐体。
【請求項68】
コンピュータ筐体の少なくとも一部分を製造する方法であって、
テクスチャ化面を有するアルミニウムベースを提供する工程と、
前記アルミニウムベースを陽極酸化することにより、前記アルミニウムベース上に高い表面エネルギーを発生する工程と、
高い表面エネルギーを有する前記陽極酸化されたアルミニウムベースに接着剤層を塗布する工程と、
前記接着剤層の上に熱可塑性エラストマー層を塗布する工程と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項69】
前記熱可塑性エラストマーは前記接着剤層を覆うようにオーバーモールディングされることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項70】
前記接着剤層は射出成形処理中に前記熱可塑性エラストマー層が射出される温度より低い融点を有することを特徴とする請求項69記載の方法。
【請求項71】
テクスチャ化面を有する前記アルミニウムベースを提供する前記工程は、前記アルミニウムベースを化学的にエッチングする工程を有することを特徴とする請求項69記載の方法。
【請求項72】
前記接着剤層は熱可塑性接着膜であることを特徴とする請求項69記載の方法。
【請求項73】
前記接着剤層は、前記高い表面エネルギーを有する陽極酸化アルミニウムベースが射出成形ツール内に配置される前に前記陽極酸化アルミニウムベースに接合されることを特徴とする請求項72記載の方法。
【請求項74】
前記熱可塑性エラストマー層は前記アルミニウムベースの縁部を包むように形成されることを特徴とする請求項69記載の方法。
【請求項75】
コンピュータ筐体の少なくとも一部分を製造する方法であって、
エッチング面を有するアルミニウムシートを提供する工程と、
前記アルミニウムシート上に高い表面エネルギーを発生するために前記アルミニウムシートを陽極酸化する工程であって、前記エッチング面が脱イオン水に対して約30未満の接触角を有するように陽極酸化する工程と、
前記陽極酸化された高い表面エネルギーを有するアルミニウムシートの全面に熱可塑性エラストマー層を直接塗布する工程と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項76】
前記エッチング面は約0.5〜0.6μmの表面粗さRaを有することを特徴とする請求項75記載の方法。
【請求項77】
前記陽極酸化されたアルミニウムシートと前記熱可塑性エラストマー層との間に接着剤膜が配置されるように、前記熱可塑性エラストマー層を塗布する前に前記アルミニウムシートに接着剤膜を事前接合する工程をさらに有することを特徴とする請求項75記載の方法。
【請求項78】
前記塗布する工程は、射出成形機において前記熱可塑性エラストマー層をオーバーモールディングする工程を有し、前記接着剤膜は、前記熱可塑性エラストマー層がオーバーモールディングされる温度より低い融点を有することを特徴とする請求項77記載の方法。
【請求項79】
前記塗布する工程は、射出成形機において前記熱可塑性エラストマー層をオーバーモールディングする工程を有することを特徴とする請求項75記載の方法。
【請求項80】
コンピュータ筐体の少なくとも一部分を製造する方法であって、
テクスチャ化面を有するアルミニウムベースを提供する工程と、
前記アルミニウムベースを陽極酸化することにより、前記アルミニウムベース上に高い表面エネルギーを発生する工程と、
前記陽極酸化された高い表面エネルギーを有するアルミニウムベースに接着剤層を塗布する工程と、
前記接着剤層の上にシリコーン層を塗布する工程と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項81】
前記塗布する工程は前記シリコーン層を圧縮成形する工程を有することを特徴とする請求項80記載の方法。
【請求項82】
前記エッチング面は約0.5〜0.6μmの表面粗さRaを有することを特徴とする請求項80記載の方法。
【請求項83】
前記陽極酸化されたアルミニウムシートと前記シリコーン層との間に接着剤膜が配置されるように、前記シリコーン層を塗布する前に前記アルミニウムシートに接着剤膜を事前接合する工程をさらに有することを特徴とする請求項80記載の方法。
【請求項84】
軽量の材料から形成された筐体を有するポータブルコンピューティングデバイスに埋め込み可能な軽量で充電容量の大きいバッテリアセンブリであって、
内部に含まれるバッテリ部品を構造支持するように構成され、耐久性のある材料から形成された一体形バッテリ筐体を備え、
前記一体形バッテリ筐体は、
複数のバッテリ部品を保護しかつ前記バッテリを前記筐体に固定するためのコネクタを形成するように構成された上部と、
前記上部と一体に形成されかつ前記上部の下縁部に沿って延出し、前記バッテリ筐体の撓みに対する耐性を向上する片持ち梁部と、
前記片持ち梁部及び前記バッテリ部品のうち少なくともいくつかのバッテリ部品に強力接着剤を介して装着され、かつ前記バッテリアセンブリのZスタックに実質的に影響を与えない厚さを有する軽量最小Zスタックインパクト底面層と、
を備えることを特徴とするバッテリアセンブリ。
【請求項85】
前記バッテリアセンブリの外部回路を前記バッテリアセンブリの内部回路及びバッテリセルと電気的に接続するように構成された電気コネクタをさらに備えることを特徴とする請求項84記載のバッテリアセンブリ。
【請求項86】
前記最小Zスタックインパクト底面層は約0.1mmの厚さを有することを特徴とする請求項85記載のバッテリアセンブリ。
【請求項87】
前記最小Zスタックインパクト底面層はマイラー(登録商標)を有することを特徴とする請求項86記載のバッテリアセンブリ。
【請求項88】
前記保護層はステンレス鋼を有することを特徴とする請求項87記載のバッテリアセンブリ。
【請求項89】
前記強力接着剤はVHBであることを特徴とする請求項88記載のバッテリアセンブリ。
【請求項90】
前記コンピュータ筐体は前記コンピュータ筐体の内面に装着された複数のフレーム部材を含むことを特徴とする請求項85記載のバッテリアセンブリ。
【請求項91】
前記複数のフレーム部材は背面フレームを含むことを特徴とする請求項90記載のバッテリアセンブリ。
【請求項92】
前記背面フレームを介して前記バッテリアセンブリを前記コンピュータ筐体に固定するために使用される前記コネクタのうち少なくとも1つのコネクタは、不正変更防止締結具であることを特徴とする請求項91記載のバッテリアセンブリ。
【請求項93】
可撓性材料から形成されたコンピュータ筐体を有するポータブルコンピュータにバッテリアセンブリを埋め込む方法であって、
複数のバッテリセルを内包するように構成された一体形バッテリ筐体を備えるバッテリアセンブリであって、前記バッテリ筐体が湾曲した横断面形状を有する正面部分と、上部と、片持ち梁部と、最小Zインパクト保護層とを含むように形成され、前記片持ち梁部が前記上部の下縁部に沿って一体に形成されかつ前記バッテリ筐体の撓みに対する耐性を向上するように構成され、前記保護層が強力接着剤を介して前記片持ち梁部及び前記バッテリセルに装着される前記バッテリアセンブリを受け入れる工程と、
前記コンピュータ筐体に装着されかつ前記正面部分の前記湾曲した横断面形状に対応する形状を有する正面フレームに前記正面部分を隙間なく嵌合させ、
前記保護層が前記コンピュータ筐体の内面と接触する状態に配置されることにより、前記バッテリセルに対して実現される保護の大部分を前記コンピュータ筐体が担うように、前記バッテリアセンブリを前記コンピュータ筐体の前記内面に配置することにより、前記バッテリアセンブリを前記コンピュータ筐体に挿入する工程と、
前記コンピュータ筐体に加えられた荷重が前記コンピュータ筐体に実質的に影響を及ぼすことなく、前記コンピュータ筐体に接続された構造支持層に至る前記バッテリアセンブリを含む荷重経路を介して伝達されるように、前記バッテリアセンブリの前記正面部分を前記正面フレームに固定する工程と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項94】
所望の機能性を実現する複数の動作部品を備えかつ前記動作部品のうち少なくとも1つの動作部品は非耐荷重部品であるコンピュータアセンブリを、前記コンピュータ筐体に挿入する工程をさらに有することを特徴とする請求項93記載の方法。
【請求項95】
前記コンピュータアセンブリを前記フレームに装着する工程と、
前記バッテリアセンブリを少なくとも1つの動作部品に電気的に結合する工程と、
をさらに有することを特徴とする請求項93記載の方法。
【請求項96】
前記少なくとも1つの非耐荷重部品は、少なくとも1つの荷重吸収コネクタを介して前記フレームに装着されることを特徴とする請求項95記載の方法。
【請求項97】
前記バッテリアセンブリは、ユーザが少なくとも1つの不正変更防止締結具を無断で意図的に操作するのを防止するように前記コンピュータアセンブリを前記フレームに装着するために使用される少なくとも1つの不正変更防止締結具を受け入れるように構成された少なくとも1つの特別の形状の凹部を含むことを特徴とする請求項95記載の方法。
【請求項98】
前記バッテリアセンブリは背面を含み、前記筐体は支持背面フレームが装着されている背面部分を含み、
前記方法は、前記バッテリアセンブリの前記背面を前記背面フレームに固定する工程をさらに有し、
前記コンピュータ筐体に加えられた荷重は、前記正面フレーム及び前記背面フレームに結合された構造支持層に至る前記バッテリアセンブリを含む荷重経路を介して、前記コンピュータ筐体に実質的に影響を及ぼすことなく伝達されることが可能であることを特徴とする請求項95記載の方法。
【請求項99】
コンピューティングデバイスであって、
可撓性筐体と、
荷重伝達内側フレームと、
前記筐体及び前記内側フレームを機械的に結合するように構成された荷重吸収層と、
前記荷重伝達内側フレームに結合された構造支持層と、
前記荷重伝達内側フレームに機械的に結合されたバッテリアセンブリと、
を備え、前記可撓性筐体に荷重が加えられた場合、前記加えられた荷重は、前記構造支持層に至る前記バッテリアセンブリを含む荷重経路を介して前記可撓性筐体に実質的に影響を及ぼすことなく伝達されることを特徴とするコンピューティングデバイス。
【請求項100】
前記バッテリアセンブリは、
一体形バッテリ筐体を備え、前記筐体は、
上部と、
前記上部の下方部分と一体に形成されかつ前記一体形バッテリ筐体の剛性を向上する片持ち梁部と、
前記片持ち梁部の少なくとも底部及び前記片持ち梁部に装着された最小Zスタックインパクト保護層と、
を備えることを特徴とする請求項99記載のコンピューティングデバイス。
【請求項101】
前記バッテリアセンブリは、カスタマイズされたツールによってのみ操作可能である少なくとも1つの不正変更防止締結具により前記内側フレームに装着されることを特徴とする請求項100記載のコンピューティングデバイス。
【請求項102】
前記バッテリアセンブリは、前記少なくとも1つの不正変更防止締結具に対する意図的な操作がカスタマイズされたツールによってのみ可能になるように前記少なくとも1つの不正変更防止締結具を受け入れるように構成された少なくとも1つの特別な形状の凹部を含むことを特徴とする請求項101記載のコンピューティングデバイス。
【請求項1】
軽量の可撓性材料から形成された一体かつ継目のない筐体であって、
上部と、
前記上部と一体形成された本体部と、
前記一体かつ継目のない筐体に旋回可能に接続された可動上面カバーと、
を有し、前記可動上面カバー及び前記継目なし筐体は、前記可動上面カバーが前記上部と接触する状態で閉じられた際に1つの連続した形状に見えるように成形される筐体を有することを特徴とするコンピューティングデバイス。
【請求項2】
前記上部は少なくとも1つのユーザインタフェースを含み、前記筐体はプラスチックから形成されることを特徴とする請求項1記載のコンピューティングデバイス。
【請求項3】
前記筐体はコンピュータ組立体を内包かつ支持し、前記コンピュータ組立体は前記コンピューティングデバイスについて規定された一式の機能を提供するように動作可能な複数の部品を含むことを特徴とする請求項1記載のコンピューティングデバイス。
【請求項4】
前記本体部は、前記動作可能な複数の部品のうち少なくとも1つにアクセスするために使用されるコネクタを受け入れるための幅広サイズの少なくとも1つの非補強開口部を有することを特徴とする請求項3記載のコンピューティングデバイス。
【請求項5】
前記コネクタはUSBコネクタであることを特徴とする請求項4記載のコンピューティングデバイス。
【請求項6】
底部カバーであって、前記筐体に加えられた荷重が前記筐体に実質的に影響を及ぼすことなく前記底部カバーに伝達されるような構造支持構造を前記コンピューティングデバイスに提供するように配置された底部カバーをさらに有することを特徴とする請求項1記載のコンピューティングデバイス。
【請求項7】
構造支持層をさらに備え、かつ前記一体かつ継目のない筐体は視認できる締結具を有しておらず、前記一体かつ継目のない筐体は、
軽量の可撓性材料から形成された外側層と、
前記外側層に装着され、前記筐体に加えられた荷重を伝達しかつ分散するように構成された内側層とをさらに備え、前記内側層は、前記荷重が前記外側層に実質的に影響を及ぼすことなく前記内側層から前記支持層へ伝達されるように前記支持層に物理的に接続されることを特徴とする請求項1記載のコンピューティングデバイス。
【請求項8】
前記内側層は、前記内側層に加えられた荷重から前記外側層を保護する接着剤を使用して前記外側層に装着されることを特徴とする請求項7記載のコンピューティングデバイス。
【請求項9】
前記マルチパートコンピュータ筐体が実質的に連続的な断面形状を有することを特徴とする請求項7記載のコンピューティングデバイス。
【請求項10】
前記内側層は前記外側層の内面形状に適応するように装着された複数の構造部材を含むことを特徴とする請求項7記載のコンピューティングデバイス。
【請求項11】
前記内側層は前記複数の構造部材のうち少なくとも1つに装着された少なくとも1つの耐荷重部品を含み、前記耐荷重部品は前記荷重を伝達しかつ分散するために前記内側層と協調することを特徴とする請求項10記載のコンピューティングデバイス。
【請求項12】
前記内側層は少なくとも1つの非耐荷重部品を含み、前記非耐荷重部品は、前記非耐荷重部品を前記荷重から保護する荷重緩和コネクタを介して前記複数の構造部材のうち少なくとも1つの構造部材に装着されることを特徴とする請求項11記載のコンピューティングデバイス。
【請求項13】
前記マルチパートコンピュータ筐体はPCABSを含むプラスチックから形成されることを特徴とする請求項7記載のコンピューティングデバイス。
【請求項14】
ポータブルコンピュータであって、
非耐荷重材料から形成され、美的に魅力のある形状および美的な表面特徴を有する筐体と、
前記筐体の内面に装着された荷重分散及び荷重伝達内骨格構造と、
前記内骨格構造に機械的に結合され、前記ポータブルコンピュータ及び電気的接地点を構造支持する金属製の構造支持層であって、前記筐体に加えられた荷重が前記筐体に実質的に影響を及ぼすことなく前記内骨格構造により前記構造支持層へ伝達される構造支持層と、
前記構造支持層の外面に装着され、前記筐体に従った外観を有し、かつ前記筐体との間に前記筐体の外観を保護する接合部を形成する保護層と、
内側支持フレームを有する上面カバーと、
前記内側フレームにより支持されるディスプレイであって、前記内側フレームは、ヒンジ構造を通じて前記内骨格構造に旋回可能に接続されるディスプレイと、
前記ヒンジ構造を内包するように構成されたヒンジ構造筐体と、
を備え、
前記ヒンジ構造筐体は、
前記上面カバーが閉じた状態にある場合にユーザから視認でき、かつ前記上面カバーと一体形成された背面部分と、
ジッパーロック構造を介して前記背面部分に取り外し可能に装着されたカバー部分であって、前記背面部分に装着されている場合、前記上面カバーが閉じた位置にある際には前記装着で形成される継目が前記ユーザから視認できず、前記上面カバーが開いた位置にある際には前記形成される継目が前記保護層及び前記筐体により形成される継目と整列するように装着されたカバー部分とを備えることを特徴とするポータブルコンピュータ。
【請求項15】
前記筐体はPCABSを含むプラスチックから形成されることを特徴とする請求項14記載のポータブルコンピュータ。
【請求項16】
前記内骨格構造は少なくともフレーム部材及び耐荷重動作部品を含み、前記耐荷重動作部品は前記耐荷重動作部品の動作特性又は構造特性に実質的に影響を及ぼすことなく前記荷重を分散しかつ伝達するように構成され、前記耐荷重動作部品は前記筐体に加えられた荷重が前記フレーム部材により前記耐荷重動作部品へ伝達されるように前記フレーム部材に装着され、前記耐荷重動作部品はその荷重を前記構造支持層へ伝達することを特徴とする請求項14記載のポータブルコンピュータ。
【請求項17】
ポータブルコンピュータ用のディスプレイ筐体であって、
ディスプレイと、
前記ディスプレイの少なくとも背面を覆うディスプレイ筐体カバーと、
前記ディスプレイの前記背面と前記ディスプレイ筐体カバーとの間に配置された光源と、
前記ディスプレイ筐体カバーに構造的剛性を与えるために、前記ディスプレイ筐体カバーに接着された内側フレームと、
前記ディスプレイ筐体カバーを前記内側フレームに接着する第1の接着剤と、
前記ディスプレイ筐体カバーを前記内側フレームに接合する第2の接着剤と、
を備え、
前記第2の接着剤は、前記ディスプレイ筐体の熱サイクル動作中、前記第1の接着剤を使用して形成された前記内側フレームと前記ディスプレイ筐体カバーとの間の接合部におけるボンドスリップを防止することを特徴とするポータブルコンピュータ用のディスプレイ筐体。
【請求項18】
前記光源は1つ以上のLED素子を備えることを特徴とする請求項17記載のディスプレイ筐体。
【請求項19】
前記光源は前記ディスプレイのためのバックライトであることを特徴とする請求項17記載のディスプレイ筐体。
【請求項20】
前記光源が発光している際に前記ディスプレイ筐体カバーの一部が照明されて見えるように、前記ディスプレイ筐体カバーの前記一部が、前記光源で発生される光を透過することを特徴とする請求項17記載のディスプレイ筐体。
【請求項21】
前記内側フレームはマグネシウムを含むことを特徴とする請求項17記載のディスプレイ筐体。
【請求項22】
前記ディスプレイ筐体カバーはプラスチックを含むことを特徴とする請求項17記載のディスプレイ筐体。
【請求項23】
前記第2の接着剤は強力接着剤を含むことを特徴とする請求項17記載のディスプレイ筐体。
【請求項24】
前記第1の接着剤は、塗布中は液体である2成分エポキシであることを特徴とする請求項17記載のディスプレイ筐体。
【請求項25】
前記第2の接着剤は両面に強力接着剤が塗布された両面テープを含むことを特徴とする請求項17記載のディスプレイ筐体。
【請求項26】
前記ディスプレイ筐体カバーはヒンジ側と開放側を備え、前記ディスプレイ筐体カバーは前記開放側の角に近接した場所で、強力接着剤である前記第2の接着剤を使用して前記内側フレームに接合されることを特徴とする請求項17記載のディスプレイ筐体。
【請求項27】
前記ディスプレイ筐体カバーはヒンジ側及び開放側を備え、前記内側フレームは、前記開放側の各終端に近接した場所で前記第2の接着剤を使用して前記ディスプレイ筐体カバーに接合され、かつ前記開放側の中央に近接した場所で前記第1の接着剤を使用して前記ディスプレイ筐体カバーに接合されることを特徴とする請求項17記載のディスプレイ筐体。
【請求項28】
前記ディスプレイ筐体カバーは、ヒンジ側、開放側及び、前記ヒンジ側と前記開放側とを接続する2つの隣接する側部を備え、前記2つの隣接する側部の各々において、前記ヒンジ側に近接する第1の端部で前記内側フレームを前記ディスプレイ筐体カバーに接合するために前記第1の接着剤が使用され、前記開放側に近接する第2の端部で前記内側フレームを前記ディスプレイ筐体カバーに接合するために前記第2の接着剤が使用されることを特徴とする請求項17記載のディスプレイ筐体。
【請求項29】
ヒンジ側及び開放側を備えるディスプレイ筐体カバー及び、前記開放側の各端部に近接する内側フレームを提供する工程と、
液体として塗布される第1の接着剤を前記内側フレームの第1の部分に塗布する工程と、
強力接着剤である第2の接着剤を前記開放側の各端部に近接する前記内側フレームの第2の部分に塗布する工程と、
前記第1の接着剤と前記第2の接着剤とを使用して、前記内側フレームを前記ディスプレイ筐体カバーに接合する工程と、
を有し、
前記第2の接着剤は、前記内側フレームと前記ディスプレイ筐体カバーとの間に前記第1の接着剤を使用して形成される接合におけるボンドスリップが前記ディスプレイ筐体の熱サイクル動作中に発生することを防止することを特徴とする方法。
【請求項30】
前記ディスプレイ筐体カバーの内面の第1の領域に第1の被膜層を塗布する工程と、
前記第1の被膜層の上に第2の被膜層を塗布する工程と、
前記第2の被膜層上の第2の領域であって、前記第1の領域より狭く、かつ前記ディスプレイ筐体に内包された光源により照明される前記ディスプレイ筐体カバーの部分を取り囲む第2の領域に第3の被膜層を塗布する工程と、
をさらに有することを特徴とする請求項29記載の方法。
【請求項31】
ポータブルコンピューティングデバイスであって、
複数の内部部品を内包しかつ支持するように構成され、1以上の非導電性熱可塑性材料を主成分とする外側筐体と、
前記外側筐体の内部に配置され、主処理部が結合されている主ロジックボードと、
前記外側筐体に物理的に結合されるとともに前記主ロジックボードに電気的に結合された複数のキーを含むキーボードアセンブリと、
前記筐体の内部であって前記キーボードアセンブリの下方に配置された音源であって、前記キーボードアセンブリ及び、前記複数のキーと前記外側筐体との間隙を通る音声伝送経路を介して主に伝播される音波を放射するように構成された音源と、
前記音源へ送出される電気信号を調整するように構成されたイコライザであって、前記音声伝送経路における音波の音声吸収特性及び音声増幅特性を考慮して1つ以上の設定が選択されるイコライザと、
前記主ロジックボード、前記キーボードアセンブリ、前記音源及び前記イコライザの各々に電気的に結合された汎用接地構造であって、前記汎用接地構造が電気的に相互結合された複数の個別の接地部品を含み、前記個別の接地部品の各々が前記ポータブルコンピューティングデバイス全体と比較して相当に小型であり、第1の接地部品が前記主ロジックボードの周囲に電磁波シールドを形成し、第2の接地部品が金属バックプレートを有し、該金属バックプレートは前記個別の第1の接地部品と該金属バックプレートの間に前記主ロジックボードが位置するように配置され、前記第2の接地部品が前記主ロジックボードを貫通して配置された複数の導電ピンを介して前記第1の接地部品に電気的及び機械的に結合される汎用接地構造と、
を備えることを特徴とするポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項32】
前記ポータブルコンピューティングデバイスはラップトップコンピュータであることを特徴とする請求項31記載のポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項33】
前記第1の接地部品は前記主ロジックボードよりわずかに大きいサイズの金属ファラデーケージを有することを特徴とする請求項31記載のポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項34】
前記キーボードアセンブリは前記複数のキーが取り付けられた基板を含み、前記基板は、前記音源に近接して配置され前記音波が前記基板を通過できるように構成された1つ以上の開口部を備えることを特徴とする請求項31記載のポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項35】
前記音源は前記筐体の内部に固定されるように構成された部品の基板に固定され、前記部品はワイヤレスカードに対応するスロットを含むことを特徴とする請求項31記載のポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項36】
ポータブルコンピューティングデバイスであって、
複数の内部部品を内包しかつ支持するように構成され、1つ以上の非導電性材料を主成分として形成される外側筐体と、
前記外側筐体の内部に配置され、かつ主処理部が結合されている主ロジックボードと、
前記外側筐体の内部に前記主ロジックボードから離間して配置された1つ以上の追加の電動部品と、
前記主ロジックボード及び前記1つ以上の追加の電動部品の各々に電気的に結合された汎用接地構造であって、前記汎用接地構造が電気的に相互結合された複数の個別の接地部品を含み、前記個別の接地部品の各々が前記コンピューティングデバイス全体より相当に小型であり、前記個別の接地部品のうち少なくとも1つが前記主ロジックボードの周囲に電磁波シールドをさらに形成する汎用接地構造と、
を備えることを特徴とするポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項37】
前記ポータブルコンピューティングデバイスはラップトップコンピュータであり、前記外側筐体は熱可塑性材料を主成分として形成されることを特徴とする請求項36記載のポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項38】
前記電磁波シールドは前記主ロジックボードよりわずかに大きいサイズの金属ファラデーケージであることを特徴とする請求項36記載のポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項39】
前記複数の個別の接地部品は背面ブラケットを含み、前記背面ブラケットは、前記ポータブルコンピューティングデバイスの上面カバーを前記ポータブルコンピューティングデバイスの下部本体に結合し、前記上面カバーと前記下部本体との間で物理的負荷を伝達することを特徴とする請求項36記載のポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項40】
前記複数の個別の接地部品は金属バックプレートを含み、前記金属バックプレートは、前記金属バックプレートと前記個別の電磁波シールドとの間に前記主ロジックボードが位置するように配置され、前記金属バックプレートは、前記主ロジックボードを貫通するように配置された複数の導電ピンを介して前記電磁波シールドに電気的及び機械的に結合されることを特徴とする請求項36記載のポータブルコンピューティングデバイス。
【請求項41】
非導電性外側筐体を有するラップトップコンピュータの電気的接地システムであって、
前記外側筐体の内部に配置され、かつ主処理部が結合されている主ロジックボードと、
前記外側筐体の内部に前記主ロジックボードから離間して配置された1つ以上の追加の電動部品と、
前記主ロジックボード及び前記1つ以上の追加の電動部品の各々に電気的に結合された汎用接地構造であって、電気的に相互結合された複数の個別の接地部品を含み、前記個別の接地部品の各々が前記外側筐体より相当に小型であり、前記個別の接地部品のうち少なくとも1つの接地部品が前記主ロジックボードの周囲に電磁波シールドをさらに形成する汎用接地構造と、
を備えることを特徴とする電気的接地システム。
【請求項42】
前記複数の個別の接地部品は背面ブラケットを含み、前記背面ブラケットは、前記ポータブルコンピューティングデバイスの上面カバーを前記ポータブルコンピューティングデバイスの下部本体に結合し、前記上面カバーと前記下部本体との間で物理的負荷を伝達することを特徴とする請求項41記載の電気的接地システム。
【請求項43】
前記複数の個別の接地部品は金属バックプレートを含み、前記金属バックプレートは、前記金属バックプレートと前記個別の電磁波シールドとの間に前記主ロジックボードが位置するように配置され、前記金属バックプレートは、前記主ロジックボードを貫通するように配置された複数の導電ピンを介して前記電磁波シールドに電気的及び機械的に結合されることを特徴とする請求項41記載の電気的接地システム。
【請求項44】
筐体に結合された複数のキーを含むキーボードアセンブリと、
前記筐体の内部であって前記キーボードアセンブリの下方に配置された音源であって、前記キーボードアセンブリ及び、前記複数のキーと前記筐体との間の間隙を通る音声伝送経路を介して主に伝播される音波を放射するように構成された音源と、
前記音源へ送出される電気信号を調整するように構成されたイコライザであって、前記音声伝送経路における音波の音声吸収特性及び音声増幅特性を考慮して1つ以上のイコライザ設定が選択されるイコライザと、
を備えることを特徴とするポータブルコンピュータ用の音声システム。
【請求項45】
前記キーボードアセンブリは前記複数のキーが取り付けられた基板を含み、前記基板は、前記音源に近接して配置され前記音波が前記基板を通過できるように構成された1つ以上の開口部を備えることを特徴とする請求項44記載の音声システム。
【請求項46】
前記音源に音響結合された出口ポート及び入口ポートを含むチャンバをさらに備え、前記チャンバの寸法は、前記音源から放射される1つ以上の周波数の周波数応答を向上するように選択されることを特徴とする請求項44記載の音声システム。
【請求項47】
前記チャンバは主に前記音源の主方向とは異なる方向に音波を誘導することを特徴とする請求項46記載の音声システム。
【請求項48】
前記チャンバは、前記筐体の内部を冷却するための空気の循環を発生させる1つ以上のポートを通して音声を誘導するように構成された出口ポートを含むことを特徴とする請求項46記載の音声システム。
【請求項49】
前記音源は、コーン形電磁駆動ドライバ又は圧電ドライバ、もしくはその双方を備えることを特徴とする請求項44記載の音声システム。
【請求項50】
前記音源は、前記筐体の内部であって、前記キーボードアセンブリの下方に配置された3つ以上の個別の音源をさらに備えることを特徴とする請求項44記載の音声システム。
【請求項51】
第1のイコライザ設定は前記音声伝送経路で吸収される第1の周波数の音波の音圧レベルを増加し、第2のイコライザ設定は前記音声伝送経路で吸収される第2の周波数の音波の音圧レベルを減少することを特徴とする請求項44記載の音声システム。
【請求項52】
第1のイコライザ設定は前記筐体内部に望ましくない振動を発生させる音波の周波数の音圧レベルを減少することを特徴とする請求項44記載の音声システム。
【請求項53】
前記音源は前記筐体内部に固定されるように構成された部品の基板に固定され、前記部品はワイヤレスカードに対応するスロットを含むことを特徴とする請求項44記載の音声システム。
【請求項54】
複数の内部部品を内包しかつ支持するように構成され、かつ1つ以上の非導電性材料を主成分として形成された外側筐体と、
前記外側筐体の内部に配置され、かつ主処理部が結合されている主ロジックボードと、
前記外側筐体に結合された複数のキーを含むキーボードアセンブリと、
前記外側筐体の内部であって、前記キーボードアセンブリの下方に配置され、前記キーボードアセンブリ及び前記キーと前記筐体との間の間隙を通過する音声伝送経路を介して伝播される音波を放射するように構成された少なくとも1つの音源と、
前記音源へ送出される電気信号を調整するように構成されたイコライザであって、前記音声伝送経路における音波の音声吸収特性及び音声増幅特性を考慮して1つ以上のイコライザ設定が選択されるイコライザと、
を備えることを特徴とするラップトップコンピュータ。
【請求項55】
前記キーボードアセンブリは前記複数のキーが取り付けられた基板を含み、前記基板は、前記音源に近接して配置されかつ前記音波が前記基板を通過できるように構成された1つ以上の開口部を備えることを特徴とする請求項54記載のラップトップコンピュータ。
【請求項56】
前記音源に音響結合された出口ポート及び入口ポートを含むチャンバをさらに備え、前記チャンバの寸法は、前記音源から放射される1つ以上の周波数の周波数応答を向上するように選択されることを特徴とする請求項54記載のラップトップコンピュータ。
【請求項57】
前記少なくとも1つの音源は、前記外側筐体の内部であって、前記キーボードアセンブリの下方に配置された3つ以上の個別の音源を備えることを特徴とする請求項54記載のラップトップコンピュータ。
【請求項58】
多孔質テクスチャ化面を有する陽極酸化構造支持層と、
前記構造支持層の上に形成されかつ熱可塑性エラストマー又はシリコーン材料から形成された保護カバー層と、
を備えることを特徴とするマルチパートコンピュータ筐体。
【請求項59】
前記多孔質テクスチャ化面は高い表面エネルギーを有することを特徴とする請求項58記載のコンピュータ筐体。
【請求項60】
前記多孔質テクスチャ化面は脱イオン水との間に約30未満の接触角を有することを特徴とする請求項59記載のコンピュータ筐体。
【請求項61】
前記構造支持層はアルミニウムから形成されることを特徴とする請求項58記載のコンピュータ筐体。
【請求項62】
前記保護カバー層は前記構造支持層を覆うようにオーバーモールディングされた熱可塑性エラストマーから形成されることを特徴とする請求項58記載のコンピュータ筐体。
【請求項63】
前記保護カバー層は前記構造支持層を覆うように圧縮成形されたシリコーン材料から形成されることを特徴とする請求項58記載のコンピュータ筐体。
【請求項64】
前記構造支持層と前記保護カバー層との間に接着剤層をさらに備えることを特徴とする請求項58記載のコンピュータ筐体。
【請求項65】
前記保護カバー層は、前記構造支持層の全面を被覆しかつ前記構造支持層の縁部に沿って延出することを特徴とする請求項58記載のコンピュータ筐体。
【請求項66】
前記構造支持層にリサイクルコードが裏返しに印刷され、前記リサイクルコードは前記保護カバー層に相当することを特徴とする請求項58記載のコンピュータ筐体。
【請求項67】
前記構造支持層に前記接着剤層が接合される前に前記接着剤層にリサイクルコードが正しい向きで印刷され、前記リサイクルコードは前記保護カバー層に相当することを特徴とする請求項66記載のコンピュータ筐体。
【請求項68】
コンピュータ筐体の少なくとも一部分を製造する方法であって、
テクスチャ化面を有するアルミニウムベースを提供する工程と、
前記アルミニウムベースを陽極酸化することにより、前記アルミニウムベース上に高い表面エネルギーを発生する工程と、
高い表面エネルギーを有する前記陽極酸化されたアルミニウムベースに接着剤層を塗布する工程と、
前記接着剤層の上に熱可塑性エラストマー層を塗布する工程と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項69】
前記熱可塑性エラストマーは前記接着剤層を覆うようにオーバーモールディングされることを特徴とする請求項10記載の方法。
【請求項70】
前記接着剤層は射出成形処理中に前記熱可塑性エラストマー層が射出される温度より低い融点を有することを特徴とする請求項69記載の方法。
【請求項71】
テクスチャ化面を有する前記アルミニウムベースを提供する前記工程は、前記アルミニウムベースを化学的にエッチングする工程を有することを特徴とする請求項69記載の方法。
【請求項72】
前記接着剤層は熱可塑性接着膜であることを特徴とする請求項69記載の方法。
【請求項73】
前記接着剤層は、前記高い表面エネルギーを有する陽極酸化アルミニウムベースが射出成形ツール内に配置される前に前記陽極酸化アルミニウムベースに接合されることを特徴とする請求項72記載の方法。
【請求項74】
前記熱可塑性エラストマー層は前記アルミニウムベースの縁部を包むように形成されることを特徴とする請求項69記載の方法。
【請求項75】
コンピュータ筐体の少なくとも一部分を製造する方法であって、
エッチング面を有するアルミニウムシートを提供する工程と、
前記アルミニウムシート上に高い表面エネルギーを発生するために前記アルミニウムシートを陽極酸化する工程であって、前記エッチング面が脱イオン水に対して約30未満の接触角を有するように陽極酸化する工程と、
前記陽極酸化された高い表面エネルギーを有するアルミニウムシートの全面に熱可塑性エラストマー層を直接塗布する工程と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項76】
前記エッチング面は約0.5〜0.6μmの表面粗さRaを有することを特徴とする請求項75記載の方法。
【請求項77】
前記陽極酸化されたアルミニウムシートと前記熱可塑性エラストマー層との間に接着剤膜が配置されるように、前記熱可塑性エラストマー層を塗布する前に前記アルミニウムシートに接着剤膜を事前接合する工程をさらに有することを特徴とする請求項75記載の方法。
【請求項78】
前記塗布する工程は、射出成形機において前記熱可塑性エラストマー層をオーバーモールディングする工程を有し、前記接着剤膜は、前記熱可塑性エラストマー層がオーバーモールディングされる温度より低い融点を有することを特徴とする請求項77記載の方法。
【請求項79】
前記塗布する工程は、射出成形機において前記熱可塑性エラストマー層をオーバーモールディングする工程を有することを特徴とする請求項75記載の方法。
【請求項80】
コンピュータ筐体の少なくとも一部分を製造する方法であって、
テクスチャ化面を有するアルミニウムベースを提供する工程と、
前記アルミニウムベースを陽極酸化することにより、前記アルミニウムベース上に高い表面エネルギーを発生する工程と、
前記陽極酸化された高い表面エネルギーを有するアルミニウムベースに接着剤層を塗布する工程と、
前記接着剤層の上にシリコーン層を塗布する工程と、
を備えることを特徴とする方法。
【請求項81】
前記塗布する工程は前記シリコーン層を圧縮成形する工程を有することを特徴とする請求項80記載の方法。
【請求項82】
前記エッチング面は約0.5〜0.6μmの表面粗さRaを有することを特徴とする請求項80記載の方法。
【請求項83】
前記陽極酸化されたアルミニウムシートと前記シリコーン層との間に接着剤膜が配置されるように、前記シリコーン層を塗布する前に前記アルミニウムシートに接着剤膜を事前接合する工程をさらに有することを特徴とする請求項80記載の方法。
【請求項84】
軽量の材料から形成された筐体を有するポータブルコンピューティングデバイスに埋め込み可能な軽量で充電容量の大きいバッテリアセンブリであって、
内部に含まれるバッテリ部品を構造支持するように構成され、耐久性のある材料から形成された一体形バッテリ筐体を備え、
前記一体形バッテリ筐体は、
複数のバッテリ部品を保護しかつ前記バッテリを前記筐体に固定するためのコネクタを形成するように構成された上部と、
前記上部と一体に形成されかつ前記上部の下縁部に沿って延出し、前記バッテリ筐体の撓みに対する耐性を向上する片持ち梁部と、
前記片持ち梁部及び前記バッテリ部品のうち少なくともいくつかのバッテリ部品に強力接着剤を介して装着され、かつ前記バッテリアセンブリのZスタックに実質的に影響を与えない厚さを有する軽量最小Zスタックインパクト底面層と、
を備えることを特徴とするバッテリアセンブリ。
【請求項85】
前記バッテリアセンブリの外部回路を前記バッテリアセンブリの内部回路及びバッテリセルと電気的に接続するように構成された電気コネクタをさらに備えることを特徴とする請求項84記載のバッテリアセンブリ。
【請求項86】
前記最小Zスタックインパクト底面層は約0.1mmの厚さを有することを特徴とする請求項85記載のバッテリアセンブリ。
【請求項87】
前記最小Zスタックインパクト底面層はマイラー(登録商標)を有することを特徴とする請求項86記載のバッテリアセンブリ。
【請求項88】
前記保護層はステンレス鋼を有することを特徴とする請求項87記載のバッテリアセンブリ。
【請求項89】
前記強力接着剤はVHBであることを特徴とする請求項88記載のバッテリアセンブリ。
【請求項90】
前記コンピュータ筐体は前記コンピュータ筐体の内面に装着された複数のフレーム部材を含むことを特徴とする請求項85記載のバッテリアセンブリ。
【請求項91】
前記複数のフレーム部材は背面フレームを含むことを特徴とする請求項90記載のバッテリアセンブリ。
【請求項92】
前記背面フレームを介して前記バッテリアセンブリを前記コンピュータ筐体に固定するために使用される前記コネクタのうち少なくとも1つのコネクタは、不正変更防止締結具であることを特徴とする請求項91記載のバッテリアセンブリ。
【請求項93】
可撓性材料から形成されたコンピュータ筐体を有するポータブルコンピュータにバッテリアセンブリを埋め込む方法であって、
複数のバッテリセルを内包するように構成された一体形バッテリ筐体を備えるバッテリアセンブリであって、前記バッテリ筐体が湾曲した横断面形状を有する正面部分と、上部と、片持ち梁部と、最小Zインパクト保護層とを含むように形成され、前記片持ち梁部が前記上部の下縁部に沿って一体に形成されかつ前記バッテリ筐体の撓みに対する耐性を向上するように構成され、前記保護層が強力接着剤を介して前記片持ち梁部及び前記バッテリセルに装着される前記バッテリアセンブリを受け入れる工程と、
前記コンピュータ筐体に装着されかつ前記正面部分の前記湾曲した横断面形状に対応する形状を有する正面フレームに前記正面部分を隙間なく嵌合させ、
前記保護層が前記コンピュータ筐体の内面と接触する状態に配置されることにより、前記バッテリセルに対して実現される保護の大部分を前記コンピュータ筐体が担うように、前記バッテリアセンブリを前記コンピュータ筐体の前記内面に配置することにより、前記バッテリアセンブリを前記コンピュータ筐体に挿入する工程と、
前記コンピュータ筐体に加えられた荷重が前記コンピュータ筐体に実質的に影響を及ぼすことなく、前記コンピュータ筐体に接続された構造支持層に至る前記バッテリアセンブリを含む荷重経路を介して伝達されるように、前記バッテリアセンブリの前記正面部分を前記正面フレームに固定する工程と、
を有することを特徴とする方法。
【請求項94】
所望の機能性を実現する複数の動作部品を備えかつ前記動作部品のうち少なくとも1つの動作部品は非耐荷重部品であるコンピュータアセンブリを、前記コンピュータ筐体に挿入する工程をさらに有することを特徴とする請求項93記載の方法。
【請求項95】
前記コンピュータアセンブリを前記フレームに装着する工程と、
前記バッテリアセンブリを少なくとも1つの動作部品に電気的に結合する工程と、
をさらに有することを特徴とする請求項93記載の方法。
【請求項96】
前記少なくとも1つの非耐荷重部品は、少なくとも1つの荷重吸収コネクタを介して前記フレームに装着されることを特徴とする請求項95記載の方法。
【請求項97】
前記バッテリアセンブリは、ユーザが少なくとも1つの不正変更防止締結具を無断で意図的に操作するのを防止するように前記コンピュータアセンブリを前記フレームに装着するために使用される少なくとも1つの不正変更防止締結具を受け入れるように構成された少なくとも1つの特別の形状の凹部を含むことを特徴とする請求項95記載の方法。
【請求項98】
前記バッテリアセンブリは背面を含み、前記筐体は支持背面フレームが装着されている背面部分を含み、
前記方法は、前記バッテリアセンブリの前記背面を前記背面フレームに固定する工程をさらに有し、
前記コンピュータ筐体に加えられた荷重は、前記正面フレーム及び前記背面フレームに結合された構造支持層に至る前記バッテリアセンブリを含む荷重経路を介して、前記コンピュータ筐体に実質的に影響を及ぼすことなく伝達されることが可能であることを特徴とする請求項95記載の方法。
【請求項99】
コンピューティングデバイスであって、
可撓性筐体と、
荷重伝達内側フレームと、
前記筐体及び前記内側フレームを機械的に結合するように構成された荷重吸収層と、
前記荷重伝達内側フレームに結合された構造支持層と、
前記荷重伝達内側フレームに機械的に結合されたバッテリアセンブリと、
を備え、前記可撓性筐体に荷重が加えられた場合、前記加えられた荷重は、前記構造支持層に至る前記バッテリアセンブリを含む荷重経路を介して前記可撓性筐体に実質的に影響を及ぼすことなく伝達されることを特徴とするコンピューティングデバイス。
【請求項100】
前記バッテリアセンブリは、
一体形バッテリ筐体を備え、前記筐体は、
上部と、
前記上部の下方部分と一体に形成されかつ前記一体形バッテリ筐体の剛性を向上する片持ち梁部と、
前記片持ち梁部の少なくとも底部及び前記片持ち梁部に装着された最小Zスタックインパクト保護層と、
を備えることを特徴とする請求項99記載のコンピューティングデバイス。
【請求項101】
前記バッテリアセンブリは、カスタマイズされたツールによってのみ操作可能である少なくとも1つの不正変更防止締結具により前記内側フレームに装着されることを特徴とする請求項100記載のコンピューティングデバイス。
【請求項102】
前記バッテリアセンブリは、前記少なくとも1つの不正変更防止締結具に対する意図的な操作がカスタマイズされたツールによってのみ可能になるように前記少なくとも1つの不正変更防止締結具を受け入れるように構成された少なくとも1つの特別な形状の凹部を含むことを特徴とする請求項101記載のコンピューティングデバイス。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40A】
【図40B】
【図41】
【図42A】
【図42B】
【図42C】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【図2】
【図3】
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【図5】
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【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40A】
【図40B】
【図41】
【図42A】
【図42B】
【図42C】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図48】
【図49】
【図50】
【図51】
【図52】
【図53】
【図54】
【図55】
【公表番号】特表2013−508818(P2013−508818A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534337(P2012−534337)
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/052563
【国際公開番号】WO2011/047094
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【公序良俗違反の表示】
特許法第64条第2項第4号の規定により図面の一部または全部を不掲載とする。
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
2.FireWire
【出願人】(503260918)アップル インコーポレイテッド (568)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月13日(2010.10.13)
【国際出願番号】PCT/US2010/052563
【国際公開番号】WO2011/047094
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【公序良俗違反の表示】
特許法第64条第2項第4号の規定により図面の一部または全部を不掲載とする。
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.イーサネット
2.FireWire
【出願人】(503260918)アップル インコーポレイテッド (568)
【Fターム(参考)】
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