説明

ポータブルナビゲーション装置

【課題】ユーザは運動負荷と標高値の抽出条件に基づいて抽出された複数の経路候補の中から自分の嗜好にあった経路を選択する。
【解決手段】ポータブルナビゲーション装置1は、道路地図上の各地点の標高値をノードデータ内に含む地図データを記憶部11に記憶している。ポータブルナビゲーション装置1の制御部10は、記憶部11に記憶した地図データに基づいて、出発地から目的地までの経路を複数個探索し運動負荷および標高値に基づいて、複数の経路の中から経路候補を抽出する。制御部10は、抽出された経路候補を表示モニタ12に表示し、ユーザに表示された経路候補の中から経路案内用の経路を選択させ、選択された経路に基づいて経路案内させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポータブルナビゲーション装置に関する。
【背景技術】
【0002】
サイクリングやランニング等の運動時に利用可能なナビゲーション装置が知られている。たとえば、特許文献1には、探索された経路に沿って運動したときに消費されるカロリーを算出し、カロリー消費量が目標値を超える経路が探索された場合にその経路を推奨経路とするポータブルナビゲーションシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−292505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運動によって所定のカロリーを消費するためには、運動強度の低い運動を長時間行ってもよいし、運動強度の高い運動を相対的に短い時間行ってもよい。サイクリング等の運動にあっては、起伏の小さい経路を長時間走行することによっても所定のカロリーを消費することができるし、起伏の大きい経路を相対的に短い時間走行することによっても所定のカロリーを消費することができる。いずれの経路による運動を希望するかは個々のユーザによって異なっており、運動に関するユーザの嗜好に適合した経路を選択可能にすることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
運動するユーザを経路案内するポータブルナビゲーション装置であって、道路地図に関する地図データを記憶する地図データ記憶手段と、道路地図上の各地点における標高値を記憶する標高値記憶手段と、地図データに基づいて、出発地から目的地までの経路を複数個探索する経路探索手段と、経路を走行したときの運動負荷と、経路に含まれる各地点の標高値に基づいて、複数の経路の中から1または2以上の経路候補を抽出する経路候補抽出手段と、経路候補抽出手段により抽出された経路候補を表示画面に表示する経路候補表示手段と、経路候補表示手段により表示画面に表示された経路候補の中からユーザが選択した経路に基づいて経路案内する経路案内手段と、備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ユーザは運動負荷と標高値の抽出条件に基づいて抽出された複数の経路候補の中から自分の嗜好にあった経路を選択することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態によるポータブルナビゲーション装置の一構成例を示すブロック図である。
【図2】経路候補を抽出するための設定画面の一例である。
【図3】経路候補の標高変化を表示した画面の一例である。
【図4】経路候補を道路地図上に表示した画面の一例である。
【図5】運動結果を表示した画面の一例である。
【図6】本発明の一実施形態によるポータブルナビゲーション装置が実行するナビゲーション処理に関するフローチャートの一例である。
【図7】本発明の一実施形態によるポータブルナビゲーション装置が経路候補を表示する処理に関するフローチャートである。
【図8】本発明の一実施形態によるポータブルナビゲーション装置が経路候補を表示する処理に関するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施の形態によるポータブルナビゲーション装置について、図を用いて説明する。本発明の一実施の形態によるポータブルナビゲーション装置は、サイクリングやジョギングなどの運動を行うユーザに適用できるが、以下では説明の簡略化のためユーザは自転車に乗った運動を行うものとする。
【0009】
図1は、ポータブルナビゲーション装置1の構成を示すブロック図である。ポータブルナビゲーション装置1は、制御部10と、記憶部11と、表示モニタ12と、スピーカ13と、GPS受信部14と、入力装置15とを備える。ポータブルナビゲーション装置1は、自転車やユーザの身体に装着された運動負荷測定装置2と有線または無線で接続される。運動負荷測定装置2とは、たとえばサイクルコンピュータであって、自転車の走行速度や、走行距離、積算距離、走行時間、ケイデンス(ペダルを回す速さ)、ユーザの心拍数、消費カロリーなどを測定し、ポータブルナビゲーション装置1へそれらの測定結果を送信することができる。
【0010】
制御部10は、マイクロプロセッサ、各種周辺回路、RAM、ROMなどによって構成される。制御部10は、ポータブルナビゲーション装置1の各構成を制御して経路探索処理や、経路案内処理などの処理を実行する。
【0011】
記憶部11は、フラッシュメモリなどの不揮発性の記憶部材である。記憶部11には、地図データ、アイコン等の各種画像データ、音声データ、ユーザが予め入力した体重などの個人情報などが記憶されている。
【0012】
記憶部11に記憶されている地図データには、地図表示用データ、経路探索用データ、施設データなどが含まれる。地図表示データは、表示モニタ12に道路地図を表示するためのデータである。経路探索用データは、経路探索処理に用いるデータである。施設データは、コンビニエンスストアや、レストラン、駐輪所、公衆便所などの施設に関するデータであって、各施設の種類や、名称、位置情報などを少なくとも記憶している。
【0013】
経路探索用データには、ノードデータとリンクデータが含まれる。ノードデータは、道路地図上にある交差点などの地点を表すノードに関するデータである。二つのノード間の道路は、リンクとしてデータ化されている。このリンクに関するデータがリンクデータである。リンクデータには、その端点であるノードの情報と、リンク長と、リンクコストと、そのリンクに対応する道路の周囲環境(山、海岸、農村、市街地、都市部など)に関する情報が含まれる。また、ノードデータには、各ノードが表す地点の座標や、標高値、ノードから延在するリンクに関する情報、信号機の有無を表す信号機情報などが記憶されている。
【0014】
表示モニタ12は、たとえば液晶モニタであって、ポータブルナビゲーション装置1の各種操作メニューや、経路候補表示画面、経路案内処理における案内用の画面などを表示する。スピーカ13は、経路案内処理における音声案内や、各種楽曲などを音声出力することができる。
【0015】
GPS受信部14は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信し制御部10へ出力する。GPS信号には、GPS衛星に搭載された原子時計からの時刻データなどが含まれている。制御部10は、GPS信号に含まれる時刻データを利用して、ポータブルナビゲーション装置1の現在位置や現在時刻を算出することができる。
【0016】
入力装置15は、各種スイッチ類や、操作パネル、表示モニタ12と一体化されたタッチパネルなどで構成される。ユーザは、入力装置15を用いてポータブルナビゲーション装置1を操作したり、情報を入力することができる。
【0017】
ポータブルナビゲーション装置1の制御部10は、記憶部11に記憶された経路探索用データに基づいて、出発地から目的地までの経路を複数探索する。制御部10は、探索した経路の中から、ユーザにより予め設定された条件に合致する経路を1または2以上抽出する。以降、この経路の抽出に用いた条件のことを候補抽出条件と称する。また、制御部10が抽出した候補抽出条件に合致する経路のことを案内経路候補と称する。
【0018】
図2は、ユーザが候補抽出条件の設定に用いる設定画面の一例である。設定画面20は、表示モニタ12に表示される。設定画面20には、標高差設定部21と、運動負荷設定部22と、到着時刻設定部23と、最大候補数設定部24と、設定完了ボタン25とが表示されている。ユーザは、入力装置15を利用して設定画面20の各部に標高差や、運動負荷、到着時刻、最大候補数などの候補抽出条件を入力し、設定することができる。
【0019】
標高差設定部21には、ユーザが標高差に関する設定に用いるボタンが表示されている。標高差設定部21には、「大」、「小」、および「オフ」という三つのボタンが表示されている。ユーザは、たとえばタッチパネル等の入力装置15を用いて三つのボタンのいずれかを選択することができる。
【0020】
ユーザが入力装置15を使って「大」ボタンを選択した場合、経路に含まれるノードの標高値が他の経路と比べて相対的に大きく変化する経路が案内経路候補として抽出される。たとえば、複数の経路のそれぞれに含まれるノードの標高値について最大値と最小値を抽出し、その差が相対的に大きい経路を案内経路候補として抽出する。また、経路に含まれるノードの標高値について分散の値を算出し、その分散の値が大きいものを抽出してもよい。
【0021】
ユーザが入力装置15を用いて「小」ボタンを選択したときは、経路に含まれるノードの標高値が相対的に小さく変化する経路が案内経路候補として抽出される。ユーザが入力装置15を用いて「オフ」ボタンが選択したときは、標高差を条件とした案内経路候補の抽出を行わない。
【0022】
運動負荷設定部22には、ユーザが運動負荷に関する設定に用いるボタンが表示されている。運動負荷設定部22には、「大」、「小」、および「オフ」という三つのボタンが表示されている。ユーザは、たとえばタッチパネル等の入力装置15を用いて三つのボタンのいずれかを選択することができる。
【0023】
ユーザが入力装置15を用いて「大」ボタンを選択した場合、経路に沿って走行したときの運動負荷が大きいもの、すなわち消費カロリーが大きいものが案内経路候補として抽出される。案内経路候補ごとの消費カロリーは、METs(Metabolic Equivalents)法などの公知な方法に基づいて推定できる。たとえば、下記の数式(1)により消費カロリーを推定できる。なお、数式(1)中のMETs数は、運動の種類や運動時の平均時速ごとに予め定められた定数である。ユーザの体重は記憶部11に記憶されている。運動時間は、各案内経路候補の経路長をMETs数に対応付けられた平均時速で除した結果を用いればよい。
消費カロリー[kcal]=1.05×ユーザの体重[kg]×METs数×運動時間[h] ・・・(1)
【0024】
ユーザが入力装置15を用いて「小」ボタンを選択した場合は、経路に沿って走行したときの運動負荷が小さいもの、すなわち消費カロリーが小さいものが案内経路候補として抽出される。ユーザが入力装置15を用いて「オフ」ボタンを選択したときは、運動負荷を条件とした案内経路候補の抽出を行わない。
【0025】
到着時刻設定部23は、ユーザが到着時刻に関する設定を行うために用いる。到着時刻設定部23には、「指定する」と「指定しない」という二つのボタンが表示されている。ユーザが入力装置15を使って「指定する」ボタンを選択し、その下の入力欄231に到着希望時刻を入力した場合、その時刻までに到着可能な経路が案内経路候補として抽出される。ユーザが「指定しない」を選択した場合は、到着希望時刻の設定を行わない。
【0026】
最大候補数設定部24には、ユーザが抽出する案内経路候補の候補数の上限を設定するためのボタンが表示されている。最大候補数設定部24には、「5個」、「10個」、および「20個」という三つのボタンが表示されている。ユーザが入力装置15を使って「5個」ボタンを選択すると、抽出される案内経路候補の個数は最大5個となる。同様に「10個」ボタンが選択されたときは、抽出される案内経路候補の個数は最大10個となる。「20個」ボタンについては、抽出される案内経路候補の個数は最大20個となる。
【0027】
ユーザが入力装置15を使って設定完了ボタン25を選択すると、設定画面20による候補抽出条件の設定が完了する。設定された候補抽出条件は、記憶部11に記憶される。そして、記憶部11に記憶された候補抽出条件に基づいて、経路探索処理により探索された複数の経路の中から案内経路候補が抽出される。
【0028】
ポータブルナビゲーション装置1は、抽出された案内経路候補を図3や図4のように表示モニタ12に表示し、経路案内用の経路をユーザに選択させる。図3に示す案内経路候補の表示方法では、案内経路候補の標高変化を折れ線グラフで表示し、経路の起伏について大小や多寡を画像表示する。このような案内経路候補の表示方法を、標高変化表示型と称する。図4に示す案内経路候補の表示方法では、案内経路候補を道路地図に重ねて表示する。図4の案内経路候補の表示方法を地図表示型と称する。ユーザは、二つの表示方法を切り替えながら所望の経路を一つ選択することができる。
【0029】
図3は、標高変化表示型の経路候補表示画面の一例である。図3に示す標高変化表示型の経路候補表示画面では、抽出された案内経路候補のうち候補抽出条件に比較的合致していた案内経路候補Aと案内経路候補Bとが表示されている。案内経路候補Aの表示領域31aには、案内経路候補Aにおいて通過するノードの標高値の変化を表す折れ線グラフ300aが表示されている。案内経路候補Aの表示領域31aの横軸は経路長を表し、縦軸は標高値を表す。表示領域31aの左端は出発地を表し、右端は目的地を表す。折れ線グラフ300aは、案内経路候補Aにおいて通過する各ノードを出発地からの距離と、その標高値とに基づいてプロットし、プロットした点と点の間に線分を描くことにより描画される。出発地から各ノードまでの距離は、出発地から通過するリンクのリンク長から算出できる。
【0030】
折れ線グラフ300aの上には、二つの信号機アイコン301と、山道表示アイコン302が表示されている。折れ線グラフ300aの下には、案内経路候補Aの経路長310aが「14km」と表示されている。信号機アイコン301は、案内経路候補A上に信号機のある交差点があることを示す。信号機の有無は、ノードデータに含まれる信号機情報に基づいて判断される。山道表示アイコン302は、案内経路候補A上のそのアイコンがあるリンクに対応する道路の周囲環境が山道であることを示す。道路の周囲環境が山道か否かはリンクデータに含まれる道路の周囲環境に関する情報に基づいて判断される。
【0031】
案内経路候補Bの表示領域31bには、案内経路候補Aの表示領域31aと同様に、案内経路候補Bにおいて通過するノードの標高値の変化を表す折れ線グラフ300bが表示されている。折れ線グラフ300bの上には、五つの信号機アイコン301と、公衆便所アイコン303と、コンビニエンスストアアイコン304とが表示されている。折れ線グラフ300bの下には、案内経路候補Bの経路長310bが「30km」と表示されている。公衆便所アイコン303とコンビニエンスストアアイコン304とは、施設データに基づいて表示されるものであって、案内経路候補Bから所定の距離の範囲内(たとえば50m)に公衆便所やコンビニエンスストアがある場合に折れ線グラフ300b上の対応する位置に表示される。折れ線グラフ300bに含まれるリンクは、それに対応する道路の周囲が市街地であって、山道表示アイコン302のようなアイコンが表示されていない。
【0032】
図3には、案内経路候補Bの表示領域31bの下に次候補ボタン32と、地図表示ボタン33と、決定ボタン34とが表示されている。ユーザが入力装置15を用いて次候補ボタン32を選択すると、表示モニタ12に表示する案内経路候補が他の案内経路候補に切り替わる。ユーザが入力装置15を用いて地図表示ボタン33を選択すると、経路候補表示画面が標高変化表示型から地図表示型に切り替わる。
【0033】
ユーザは、入力装置15を用いて表示モニタ12に表示されている案内経路候補の中から経路案内用の経路を一つ選択することができる。選択されている案内経路候補は、ユーザが入力装置15を用いて決定ボタン34を選択すると、経路案内用の経路として決定する。
【0034】
図4は、地図表示型の経路候補表示画面の一例である。図4に示す地図表示型の経路候補表示画面には、出発地Sと目的地Dとを含む道路地図40が表示されている。図4に示す地図表示型の経路候補表示画面では、候補抽出条件に基づいて抽出された案内経路候補のうち案内経路候補Aと案内経路候補Bとが道路地図40に重なるように表示されている。案内経路候補Aがユーザに選択されており、実線で表示されている。一方、ユーザに選択されていない案内経路候補Bは点線で表示されている。道路地図40は、出発地Sと、目的地Dと、表示中の案内経路候補Aと、表示中の案内経路候補Bとを同時に表示できる最大の縮尺で表示される。道路地図は、地図データに含まれる地図表示用データに基づいて表示される。
【0035】
図4では、道路地図40の下に次候補ボタン41と、標高表示ボタン42と、決定ボタン43とが表示されている。ユーザが入力装置15を用いて次候補ボタン41を選択すると、表示モニタ12に表示する案内経路候補が他の案内経路候補に切り替わる。ユーザが入力装置15を用いて標高表示ボタン42を選択すると、経路候補表示画面が地図表示型から標高変化表示型に切り替わる。
【0036】
ユーザは、入力装置15を用いて表示モニタ12に表示されている案内経路候補の中から経路案内用の経路を一つ選択することができる。選択されている案内経路候補は、ユーザが入力装置15を用いて決定ボタン43を選択すると、経路案内用の経路として決定する。
【0037】
いずれかの経路候補表示画面に表示された案内経路候補の中から、ユーザが経路案内用の経路を選択すると、ポータブルナビゲーション装置1は当該経路に基づいた経路案内を開始する。制御部10は、選択された経路に基づいた経路案内を開始するとき、運動負荷測定装置2による運動負荷の測定を開始する。そして、ユーザが目的地に到着したとき、運動負荷測定装置2から運動負荷の測定結果を取得する。たとえば、ユーザの心拍数や、消費カロリー、ケイデンスなどの情報を取得する。そして、運動負荷測定装置2から取得した情報を基に運動結果に関する情報を表示モニタ12に表示する。
【0038】
図5は、ポータブルナビゲーション装置1の表示モニタ12に運動結果に関する情報を表示した画面の一例である。図5には、ユーザが経路案内を受けて走行した経路の走行距離に関する走行距離表示51と、当該経路における最大の標高値と最小の標高値の差に関する標高差表示52と、ユーザが当該経路に沿って走行していた間の心拍数の最大値に関する運動心拍数表示53と、ユーザが当該経路に沿って走行することによって消費したカロリーに関する消費カロリー表示54と、ユーザが当該経路に沿って走行していた間のケイデンスの最大値に関するケイデンス表示55とが表示されている。
【0039】
走行距離表示51に表示される情報と、標高差表示52に表示される情報は、ユーザが経路案内用に選択した経路に含まれるリンクとノードの情報から算出される。たとえば、走行距離表示51は、当該経路に含まれるリンクのリンク長の総和を算出すればよい。標高差表示52は、当該経路に含まれるノードの標高値のうち最大値と最小値とを抽出してその差を算出すればよい。
【0040】
運動心拍数表示53に表示される情報は、運動負荷測定装置2が測定したユーザの心拍数に基づいたものとすればよい。消費カロリー表示54に表示される情報は、運動負荷測定装置2が測定した消費カロリーに基づいてもよいし、前述したMETs法で推定した値を表示してもよい。ケイデンス表示55に表示される情報は、運動負荷測定装置2が測定したケイデンスを表示すればよい。
【0041】
図6は、上記で説明したポータブルナビゲーション装置1が実行する処理に関するフローチャートの一例である。ステップS100では、ポータブルナビゲーション装置1の制御部10は、出発地と目的地の設定を行う。たとえば、GPS受信部14が受信したGPS信号に基づいて制御部10が算出したポータブルナビゲーション装置1の現在位置を出発地とすればよい。また目的地は、入力装置15を用いてユーザに指定させればよい。たとえば、記憶部11に記憶された施設データの中から入力装置15を用いて選択させればよい。また、記憶部11に記憶された地図表示用データに基づいて表示モニタ12に表示された道路地図の中から入力装置15を用いてユーザに指定させてもよい。
【0042】
ステップS200では、制御部10は、表示モニタ12に図2の設定画面を表示し、ユーザに候補抽出条件を設定させる。設定された候補抽出条件は、ポータブルナビゲーション装置1の記憶部11に記憶される。
【0043】
ステップS300では、制御部10は、ステップS100で設定した出発地から目的地までの経路を複数探索する。複数の経路の探索は、ダイクストラ法などの公知技術を利用すればよい。
【0044】
ステップS400では、制御部10は、ステップS300において探索された各経路について、標高の変化を表す情報と、運動負荷を算出する。ステップS500では、制御部10は、ステップS400で算出した標高変化および運動負荷に基づいて、ステップS300で探索された経路の中からステップS200で設定された候補抽出条件に合致した案内経路候補を抽出する。
【0045】
ステップS600では、ステップS500で抽出した案内経路候補を、図3や図4のような経路候補表示画面に表示し、ユーザに経路案内用の経路を選択させる。ステップS700では、ステップS600で選択された経路案内用の経路に従って、経路案内を行う。ステップS800では、運動負荷測定装置2から取得した情報などに基づいて、図5のように運動結果に関する情報を表示する。
【0046】
図7および図8は、図6のステップS600において制御部10が実行する処理に関するフローチャートの一例である。図7のステップS601では、制御部10は、ステップS500で抽出した案内経路候補のそれぞれに含まれるリンクのリンクデータを抽出する。ステップS602では、制御部10は、各案内経路候補に含まれるリンクの端点にあたるノードの位置情報と標高値をノードデータから抽出する。ステップS603では、ステップS601で抽出されたリンクデータからリンクが表す道路の周囲環境に関する情報を抽出する。ステップS604では、各案内経路候補に含まれるリンクの端点にあたる各ノードについて信号機情報を参照し、信号機があるノードを抽出する。ステップS605では、制御部10は、各案内経路候補から所定の距離の範囲内に存在する施設の施設情報を施設データの中から抽出する。
【0047】
ステップS606では、制御部10は、図3のような標高変化型の経路候補表示画面を表示モニタ12に表示する。制御部10は、ステップS602で抽出した各ノードの標高値と、出発地からの距離とに基づいて、ステップS500で抽出した案内経路候補のうち所定数(図3の例では二つ)の案内経路候補について、各案内経路候補の表示領域31a、31bに案内経路候補の標高の変化を表す折れ線グラフ300a、300bをそれぞれ表示する。このとき、ステップS603で抽出した道路の周囲環境に関する情報に基づいて、折れ線の表示態様を変更する。たとえば、道路の周囲環境が山道のときは山道表示アイコン302を表示したり、線の太さを太くする。また、道路の周囲環境が海岸のときは線色を変更した上で海岸用の表示アイコンを表示する。さらに、ステップS604の抽出結果に基づいて、信号機があるノードに関しては信号機アイコン301を折れ線グラフ上に表示する。さらに、ステップS605で抽出した施設を表すアイコンを折れ線上の対応する位置に表示する。
【0048】
ステップS607では、制御部10は、地図表示ボタン33が選択されたか否かを判定する。制御部10は、地図表示ボタンが選択された場合は処理を図8のステップS610に進め、選択されていない場合はステップS608に進める。ステップS608では、制御部10は、決定ボタン34が選択されたか否かを判定する。制御部10は、決定ボタン34が選択されて経路案内用の経路が決定した場合は図7の処理を終了し、決定ボタン34が選択されていない場合は処理をステップS609に進める。ステップS609では、制御部10は、次候補ボタン32が選択されたか否かを判定する。制御部10は、次候補ボタン32が選択された場合は処理をステップS606に戻して次の案内経路候補について標高変化型の経路候補表示画面を表示し、選択されていない場合は処理をステップS607に戻す。
【0049】
図8のステップS610では、制御部10は、ステップS500で抽出した案内経路候補のうち所定数(図4の例では二つ)の案内経路候補を表示対象として、出発地と目的地と当該表示対象の案内経路候補とがすべて表示できる地図の縮尺を決定する。ステップS611では、制御部10は、図4のような地図表示型の経路候補表示画面を表示モニタ12に表示する。制御部10は、ステップS610で決定した地図の縮尺で出発地と目的地と表示対象の案内経路候補(案内経路候補Aおよび案内経路候補B)とがすべて表示できる道路地図(道路地図40)を表示モニタ12に表示する。そして、制御部10は、その道路地図に重なるように表示対象の案内経路候補を表示する。
【0050】
ステップS612では、制御部10は、標高表示ボタン42が選択されたか否かを判定する。標高表示ボタン42が選択された場合は処理を図7のステップS602に戻し、標高表示ボタン42が選択されていない場合は処理をステップS613に進める。ステップS613では、制御部10は、決定ボタン43が選択されたか否かを判定する。決定ボタン43が選択されて経路案内用の経路が決定した場合は図8の処理を終了し、決定ボタン43が選択されていない場合は処理をステップS614に進める。ステップS614では、制御部10は、次候補ボタン41が選択されたか否かを判定する。次候補ボタン41が選択された場合は処理をステップS610に戻し、次の案内経路候補について地図の縮尺を決定して地図表示型の経路候補表示画面を表示する。一方、次候補ボタン41が選択されていない場合は処理をステップS612に戻す。
【0051】
以上で説明した実施の形態によれば、次の作用効果を奏する。
本発明の一実施形態によるポータブルナビゲーション装置1は、道路地図上の各地点の標高値をノードデータ内に含む地図データを記憶する記憶部11を備える。ポータブルナビゲーション装置1の制御部10は、記憶部11に記憶した地図データに基づいて、出発地から目的地までの経路を複数個探索し運動負荷および標高値に基づいて、複数の経路の中から案内経路候補を抽出する。ポータブルナビゲーション装置1の制御部10は、抽出された案内経路候補を表示モニタ12に表示し、ユーザに表示された案内経路候補の中から経路案内用の経路を選択させ、選択された経路に基づいて経路案内させる。このようにすることで、ユーザは複数の案内経路候補の中から自分の嗜好にあった運動ができる経路を選択することができる。
【0052】
また、図3に示すように、案内経路候補の経路長を横軸とし標高値を縦軸とした折れ線で案内経路候補を表示することにより、案内経路候補に含まれる起伏等をユーザに視覚的に確認させることができる。
【0053】
さらに、図3に示すように、案内経路候補を表す折れ線の各線分の表示態様を道路の周囲環境に基づいて変更することにより、案内経路候補がどのような場所を通過するものなのかについてユーザに確認させることができる。また、案内経路候補の上にコンビニエンスストア等の施設の情報を表示することにより、ユーザが休憩することができる場所について情報を提供することができる。
【0054】
以上で説明した実施の形態は、以下のように変形して実施できる。
〔1〕上記の実施形態では、ユーザは自転車に乗った運動を行うものとしたが、ジョギングなど他の運動に対しても適用できる。この場合、運動負荷測定装置2はサイクルコンピュータではなく、歩数計や心拍計などとすればよい。
【0055】
〔2〕各ノードの標高値に関する情報は、標高データとして地図データとは別に記憶することにしてもよい。このとき、識別番号等を用いて地図データの各ノードと標高データに記憶された標高値とが一対一に対応付くようにする。道路の周囲環境に関する情報や、信号機情報なども同様である。
【0056】
〔3〕図3に例示した標高変化表示型の経路候補表示画面では、各案内経路候補の折れ線グラフ300a、300bの下に経路長310a、310bを表示した。経路長を表示する場所は折れ線の下に限定しない。また、経路長以外にも、推定された消費カロリーや、経路長やリンクコストから算出される到着予定時刻などを表示することにしてもよい。
【0057】
〔4〕図3に例示した標高変化表示型の経路候補表示画面では、各案内経路候補を折れ線グラフ300a,300bで表示した。しかし、その表示方法は、図3に例示したものに限定しない。たとえば、折れ線グラフの角を丸めた曲線で表示してもよいし、折れ線グラフの近似関数を算出してその近似関数が表す曲線を表示してもよい。また、折れ線グラフではなく棒グラフで表示してもよい。
【0058】
〔5〕上記の実施形態では、図3の標高変化表示型の経路候補表示画面と、図4の地図表示型の経路候補表示画面とを、地図表示ボタン33および標高表示ボタン42で切り替えることとした。しかし、標高変化表示型の経路候補表示画面と、地図表示型の経路候補表示画面とを、同時に一つの画面に表示することにしてもよい。また、標高変化表示型と地図表示型の経路候補表示画面は、少なくとも片方を表示することができればよい。
【0059】
以上で説明した実施の形態および各種変形例は、発明の特徴が損なわれない限り、組み合わせて実行してよい。また、以上で説明した各実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されない。
【符号の説明】
【0060】
1 ポータブルナビゲーション装置
2 運動負荷測定装置
10 制御部
11 記憶部
12 表示モニタ
13 スピーカ
14 GPS受信部
15 入力装置
20 設定画面
300a,300b 折れ線グラフ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
運動するユーザを経路案内するポータブルナビゲーション装置であって、
道路地図に関する地図データを記憶する地図データ記憶手段と、
前記道路地図上の各地点における標高値を記憶する標高値記憶手段と、
前記地図データに基づいて、出発地から目的地までの経路を複数個探索する経路探索手段と、
前記経路を走行したときの運動負荷と、前記経路に含まれる各地点の前記標高値に基づいて、前記複数の経路の中から1または2以上の経路候補を抽出する経路候補抽出手段と、
前記経路候補抽出手段により抽出された経路候補を表示画面に表示する経路候補表示手段と、
前記経路候補表示手段により前記表示画面に表示された経路候補の中から前記ユーザが選択した経路に基づいて経路案内する経路案内手段と、
を備えることを特徴とするポータブルナビゲーション装置。
【請求項2】
請求項1に記載のポータブルナビゲーション装置において、
前記経路候補表示手段は、前記経路候補抽出手段により抽出された経路候補について、走行距離と標高値との関係を表すグラフを表示することを特徴とするポータブルナビゲーション装置。
【請求項3】
請求項2に記載のポータブルナビゲーション装置において、
前記地図データ記憶手段は、道路の周囲環境に関する情報を記憶する道路環境記憶手段と、
前記経路候補抽出手段により抽出された経路候補に含まれる各道路の周囲環境に関する情報を前記道路環境記憶手段から抽出する道路環境抽出手段とをさらに備え、
前記経路候補表示手段は、前記道路環境抽出手段により抽出された道路の周囲環境に関する情報に基づいて、前記グラフの各線分の表示態様を決定し、前記グラフを表示することを特徴とするポータブルナビゲーション装置。
【請求項4】
請求項2または3に記載のポータブルナビゲーション装置において、
前記道路地図内に存在する施設に関する情報を記憶する施設情報記憶手段と、
前記経路候補抽出手段により抽出された経路候補から所定の距離の範囲内に存在する前記施設を前記施設情報記憶手段から抽出する施設情報抽出手段をさらに備え、
前記経路候補表示手段は、前記施設情報抽出手段により抽出された施設を表す記号を前記グラフ上に表示することを特徴とするポータブルナビゲーション装置。
【請求項5】
請求項1から4に記載のポータブルナビゲーション装置において、
前記経路候補表示手段は、前記経路候補抽出手段により抽出された経路候補を、前記道路地図に重ねて表示することを特徴とするポータブルナビゲーション装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−189415(P2012−189415A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−52576(P2011−52576)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】