説明

ポール

【課題】ポール基礎部分を支持する基礎部材との付着による一体性に優れたポールを提供する。
【解決手段】表面凹凸タイプのポール11は、コンクリート製のポール本体12の基礎部分の外周面に、ポール本体12の基礎部分を支持する根巻きコンクリートなどの基礎部材14に対しせん断抵抗力を増加させる抵抗力増加手段としての凹凸部15を成型したものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配電用電柱、送電用電柱、電灯電話用、アンテナ支持用、防球ネット支持用、防砂ネット支持用、掲揚塔用などに用いられるポールに関する。
【背景技術】
【0002】
ポールの地中部では、転倒に対する抵抗力を高める為に、図9(a)に示されるようにポール1の基礎部分に根巻きコンクリート2を打設する方法や、図9(b)に示されるように下部基礎体3にポール1を嵌合させ、その隙間をコンクリートまたはモルタル4で充填する方法がある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実公平7−38586号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポール1の長さが長尺になるにつれ、暴風等による繰り返し荷重が増加することで、その作用によるゆるみや抜けが起こる恐れがある。そこで、根巻きコンクリート2や下部基礎体3と、ポール1との付着による一体性を増す必要がある。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みなされたもので、ポール基礎部分を支持する基礎部材との付着による一体性に優れたポールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載された発明は、ポール本体の基礎部分に、この基礎部分を支持する基礎部材に対しせん断抵抗力を増加させる抵抗力増加手段を設けた構成のポールである。
【0007】
請求項2に記載された発明は、請求項1記載のポールにおける抵抗力増加手段を、ポール本体の外周面に設けられた凹凸部とした構成である。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の発明によれば、ポール本体の基礎部分に抵抗力増加手段を設け、基礎部材に対しせん断抵抗力を増加させるので、ポール本体に作用する繰り返し荷重によるゆるみ、抜けに対する抵抗力が大きくなり、ポール本体の基礎部分を支持する基礎部材との付着による一体性に優れた構造を提供できる。
【0009】
請求項2記載の発明によれば、ポール本体の外周面の凹凸部は、型枠のみで容易に形成でき、抵抗力増加手段を安価に設置できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係るポールの第1実施の形態を示す断面図である。
【図2】同上ポールの第2実施の形態を示す断面図である。
【図3】同上ポールの第3実施の形態を示す要部断面図である。
【図4】同上ポールの第4実施の形態を示す要部断面図である。
【図5】同上ポールの第5実施の形態を示す要部断面図である。
【図6】同上ポールの第6実施の形態を示す要部断面図である。
【図7】同上ポールの第7実施の形態を示す要部断面図である。
【図8】同上ポールの第8実施の形態を示す要部断面図である。
【図9】(a)は、従来のポールに根巻きコンクリートを施工した例の断面図、(b)は、従来のポールを下部基礎体に施工した例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を、図1乃至図8の各図に示された種々の実施の形態に基いて詳細に説明する。
【0012】
図1に示された表面凹凸タイプのポール11は、コンクリート製のポール本体12における基礎部分の外周面であって少なくともポール設置面13より下側に、ポール本体12の基礎部分を支持する根巻きコンクリートなどの基礎部材14に対しせん断抵抗力を増加させる抵抗力増加手段としての凹凸部15を成型したものである。
【0013】
なお、ポール設置面13は、必ずしも地表面ではなく、根巻きコンクリートを打設する場合は根巻きコンクリート上端面をポール設置面とし、下部基礎体を設置する場合は、下部基礎体の上端面をポール設置面とする。
【0014】
この凹凸部15は、ポール製造用の遠心成型機にセットされる型枠にゴム板等の成形材を取付けたり、型枠自体を加工することで成型する。
【0015】
例えば、型枠に凸部状のゴム板等の成形材を取付けたり、型枠自体に凸部を加工することでコンクリート外周面に環状または螺旋状の凹部16を付ける。
【0016】
同様に、図2に示された表面凹凸タイプのポール21は、コンクリート製のポール本体22における基礎部分の外周面であって少なくともポール設置面23より下側に、ポール本体22の基礎部分を支持する根巻きコンクリートなどの基礎部材24に対しせん断抵抗力を増加させる抵抗力増加手段としての凹凸部25を成型したものである。
【0017】
この凹凸部25は、ポール製造用の遠心成型機にセットされる型枠にゴム板等の成形材を取付けたり、型枠自体に凹溝を加工することで、コンクリート外周面に環状または螺旋状の凸部26を付ける。
【0018】
そして、これらの図1および図2に示された実施の形態によれば、ポール本体12,22の基礎部分の外周面に、根巻きコンクリートなどの基礎部材14,24に対しせん断抵抗力を増加させる抵抗力増加手段としての凹凸部15,25を設けたので、基礎部材14,24とポール本体12,22との接触面積が大きくなり、基礎部材14,24とポール本体12,22との接触部分でのせん断抵抗力を向上させることができ、ポール本体12,22に作用する繰り返し荷重によるゆるみ、抜けに対する抵抗力が大きくなり、ポール本体12,22を支持する基礎部材との付着による一体性に優れた構造を提供できるとともに、ポール本体12,22の外周面の凹凸部15,25は、型枠のみで容易に形成でき、抵抗力増加手段を安価に設置できる。
【0019】
また、図3に示された鋼板・リング筋溶接タイプのポール31は、コンクリート製のポール本体32における基礎部分の外周部分であって少なくともポール設置面33より下側に、ポール本体32の基礎部分を支持する基礎部材34に対しせん断抵抗力を増加させる抵抗力増加手段としての鋼板・リング筋35を設置したものである。
【0020】
この鋼板・リング筋35は、ポール製造用の遠心成型機に型枠とともに鋼板36をセットして、コンクリート成型時にポール本体32の外周面に鋼板36を埋め込むように取付け、脱型後その鋼板36にリング筋37を溶接する。
【0021】
そして、ポール本体32の基礎部分の外周面側に、根巻きコンクリートなどの基礎部材34に対しせん断抵抗力を増加させる抵抗力増加手段としての鋼板・リング筋35を一体的に設けたので、基礎部材34とポール本体32の外周面側との接触面積が大きくなり、基礎部材34とポール本体32の外周面側との接触部分でのせん断抵抗力を向上させることができ、ポール本体32に作用する繰り返し荷重によるゆるみ、抜けに対する抵抗力が大きくなり、ポール本体32の外周面側を支持する基礎部材34との付着による一体性に優れた構造を提供できるとともに、ポール本体32に埋め込まれた鋼板36に溶接されたリング筋37は、運搬時に障害物と干渉しにくいため、運搬時の取扱いが容易になる。
【0022】
また、図4に示された縞鋼板タイプのポール41は、コンクリート製のポール本体42における基礎部分の外周部分であって少なくともポール設置面43より下側に、ポール本体42の基礎部分を支持する基礎部材44に対しせん断抵抗力を増加させる抵抗力増加手段としての縞鋼板45を設置したものである。
【0023】
この縞鋼板45は、鋼板本体46の表面に縞模様部47が凸状に加工されたものであり、ポール製造用の遠心成型機に型枠とともにこの縞鋼板45をセットして、コンクリート成型時にポール本体42の外周面に、この縞鋼板45を埋め込むように取付ける。
【0024】
そして、ポール本体42の基礎部分の外周面側に、根巻きコンクリートなどの基礎部材44に対しせん断抵抗力を増加させる抵抗力増加手段としての縞鋼板45を一体的に設けたので、根巻きコンクリートなどの基礎部材44とポール本体42の外周面側との接触面積が大きくなり、基礎部材44とポール本体42の外周面側との接触部分でのせん断抵抗力を向上させることができ、ポール本体42に作用する繰り返し荷重によるゆるみ、抜けに対する抵抗力が大きくなり、ポール本体42の外周面側を支持する基礎部材44との付着による一体性に優れた構造を提供できるとともに、従来の型枠内に縞鋼板45をセットするのみで、抵抗力増加手段を容易に形成できる。
【0025】
また、図5に示された突起付き管嵌合タイプのポール51は、テーパが付けられたコンクリート製のポール本体52における基礎部分の外周面であって少なくともポール設置面53より下側に、ポール本体52の基礎部分を支持する基礎部材54に対しせん断抵抗力を増加させる抵抗力増加手段としての突起付きテーパ管55を嵌着したものである。
【0026】
この突起付きテーパ管55は、ポール本体52と同一勾配のテーパが付けられたテーパ鋼管56の外周面に、多数の突起57が加工されたものであり、脱型後のポール本体52または施工前のポール本体52の外周面にこの突起付きテーパ管55をポール先端から挿入し嵌着させる。
【0027】
そして、ポール本体52の基礎部分の外周面側に、根巻きコンクリートなどの基礎部材54に対しせん断抵抗力を増加させる抵抗力増加手段としての突起付きテーパ管55を一体的に嵌着したので、根巻きコンクリートなどの基礎部材54とポール本体52の外周面側との接触面積が大きくなり、基礎部材54とポール本体52の外周面側との接触部分でのせん断抵抗力を向上させることができ、ポール本体52に作用する繰り返し荷重によるゆるみ、抜けに対する抵抗力が大きくなり、ポール本体52の外周面側を支持する基礎部材54との付着による一体性に優れた構造を提供できるとともに、突起付きテーパ管55は、既存のポールにも容易に後付けできる。
【0028】
また、図6に示された洗出しタイプのポール61は、コンクリート製のポール本体62における基礎部分の外周面であって少なくともポール設置面63より下側に、ポール本体62の基礎部分を支持する基礎部材64に対しせん断抵抗力を増加させる抵抗力増加手段としての洗出し粗面65を形成したものである。
【0029】
この洗出し粗面65の形成方法は、ポール製造用の型枠内面に凝結遅延剤を塗布しておいて、この凝固遅延剤を型枠内で養生されたコンクリート製のポール本体62の外周面に浸透させ、脱型後にジェット水等により凝結遅延剤を塗布した非凝固箇所のモルタル分を除去することで、ポール本体62の外周面の骨材を剥き出しの状態にして、洗出し粗面65を形成する。
【0030】
そして、ポール本体62の基礎部分の外周面に、根巻きコンクリートなどの基礎部材64に対しせん断抵抗力を増加させる抵抗力増加手段としての洗出し粗面65を設けたので、基礎部材64とポール本体62との接触面積が大きくなり、基礎部材64とポール本体62との接触部分でのせん断抵抗力を向上させることができ、ポール本体62に作用する繰り返し荷重によるゆるみ、抜けに対する抵抗力が大きくなり、ポール本体62を支持する基礎部材64との付着による一体性に優れた構造を提供できるとともに、従来の型枠を用いても、その型枠に凝結遅延剤を塗布するのみで、洗出し粗面65を容易に形成できる。
【0031】
なお、ポール成形後にサンドブラストを実施して、洗出し粗面を形成する方法も適用できる。
【0032】
また、図7に示された棒状部材を挿入するタイプのポール71は、コンクリート製のポール本体72における基礎部分の少なくともポール設置面73より下側に、ポール本体72の基礎部分を支持する根巻きコンクリートなどの基礎部材74に対しせん断抵抗力を増加させる抵抗力増加手段としての棒状部材75を、ポール本体72の直径方向に挿入したものである。
【0033】
この棒状部材75の場合は、ポール製造用の遠心成型機に型枠をセットする際に棒状部材挿入用の開口部を成型するための棒状部材挿入用開口部成型部材76を設置し、ポール製造時にポール本体72の直径方向に相互に対向する開口部77を設け、脱型後これらの開口部77に棒状部材75を挿入する。
【0034】
そして、ポール本体72の基礎部分の外周面から、根巻きコンクリートなどの基礎部材74に対しせん断抵抗力を増加させる抵抗力増加手段としての棒状部材75を一体的に突出させたので、基礎部材74とポール本体72の外周面との間でのせん断抵抗力を向上させることができ、ポール本体72に作用する繰り返し荷重によるゆるみ、抜けに対する抵抗力が大きくなり、ポール本体72を支持する基礎部材74との付着による一体性に優れた構造を提供できるとともに、棒状部材75の突出長さをせん断抵抗力に応じて任意に選択できる。
【0035】
棒状部材には、異形鉄筋やL型鋼などが適用できる。
【0036】
また、図8に示されたボルト・インサートタイプのポール81は、コンクリート製のポール本体82における基礎部分の少なくともポール設置面83より下側に、複数のボルト固定用インサート84を設置して、これらのボルト固定用インサート84に、ポール本体82の基礎部分を支持する基礎部材85に対しせん断抵抗力を増加させる抵抗力増加手段としての複数のボルト86を取付けたものである。
【0037】
このボルト・インサート構造のポール81は、ポール製造用の遠心成型機に型枠をセットする際に複数のボルト固定用インサート84も設置して、ポール製造時にコンクリート製のポール本体82内に複数のボルト固定用インサート84を埋め込み、脱型後、各インサート84のそれぞれにボルト86を取り付ける。
【0038】
そして、ポール本体82の基礎部分の外周面から、根巻きコンクリートなどの基礎部材85に対しせん断抵抗力を増加させる抵抗力増加手段としての複数のボルト86を一体的に突出させたので、根巻きコンクリートなどの基礎部材85とポール本体82の外周面との間でのせん断抵抗力を向上させることができ、ポール本体82に作用する繰り返し荷重によるゆるみ、抜けに対する抵抗力が大きくなり、ポール本体82を支持する基礎部材85との付着による一体性に優れた構造を提供できるとともに、ボルト86の突出長さをせん断抵抗力に応じて任意に選択できる。
【0039】
このように、各図に示された各実施の形態によれば、繰り返し荷重によるゆるみ、抜けに対する各ポールの抵抗力が大きくなり、一体性に優れた構造のポールを提供できる。
【0040】
なお、各ポールにおけるポール本体は、コンクリート製に限定されない。例えば、図3に示されたリング筋溶接タイプのポール31、図5に示された突起付き管嵌合タイプのポール51、図7に示された棒状部材を挿入するタイプのポール71は、ポール本体が鋼管製の場合にも適用できる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明は、ポールの製造業、販売業または施工業などにおいて利用可能である。
【符号の説明】
【0042】
11,21,31,41,51,61,71,81 ポール
12,22,32,42,52,62,72,82 ポール本体
13,23,33,43,53,63,73,83 ポール設置面
14,24,34,44,54,64,74,85 基礎部材
15 抵抗力増加手段としての凹凸部
25 抵抗力増加手段としての凹凸部
35 抵抗力増加手段としての鋼板・リング筋
45 抵抗力増加手段としての縞鋼板
55 抵抗力増加手段としての突起付きテーパ管
65 抵抗力増加手段としての洗出し粗面
75 抵抗力増加手段としての棒状部材
86 抵抗力増加手段としてのボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポール本体の基礎部分に、この基礎部分を支持する基礎部材に対しせん断抵抗力を増加させる抵抗力増加手段を設けた
ことを特徴とするポール。
【請求項2】
抵抗力増加手段は、ポール本体の外周面に設けられた凹凸部である
ことを特徴とする請求項1記載のポール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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