説明

マイクロ−RNAおよびその前駆体にハイブリダイズしうる核酸を用いるエリスロポエチンの増加

特定のmiRNA分子をターゲティングする核酸に関連する方法および組成物を開示する。これらの核酸は、たとえばEPOの発現および/または分泌を増大させ、貧血症、血友病および/または鎌状赤血球症を含めた種々の疾病状態を処置する方法に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の引照
[0001] 本出願は、35 U.S.C.§119のもとに米国仮特許出願番号60/977,017、2007年10月2日出願に基づく優先権を主張し、これを本明細書に援用する。
【背景技術】
【0002】
[0002] マイクロRNA(miRNA)は、特定のメッセージをターゲティングしてそれらの翻訳を阻害することによるRNA干渉(RNAi)機序によって遺伝子発現を調節する。miRNAをコードする遺伝子は、プロセシングされたmiRNA分子より長い。miRNAは、細胞核内でまず一次転写体、すなわちpri−miRNAとして転写され、そしてプロセシングされてpre−miRNAとして知られる短い約70ヌクレオチドのステム−ループ構造体になる。このプロセシングは、ヒトにおいては、マイクロプロセッサー複合体として知られるタンパク質複合体により行われ、これはヌクレアーゼであるドローシャ(Drosha)および二本鎖RNA結合タンパク質DGCR8を含む。これらのpre−miRNAが、次いで細胞質内でエンドヌクレアーゼであるダイサー(Dicer)との相互作用によりTRBPの補助でプロセシングされて、成熟miRNAになる;これによりRNA誘導サイレンシング複合体(RNA−induced silencing complex)(RISC)の形成も開始される。この複合体は、miRNA発現およびRNA干渉のため見られる遺伝子サイレンシングに関与する。この経路は、植物においてはそれらがドローシャホモログを欠如するためわずかに異なる。代わりに、ダイサーホモログが単独で幾つかのプロセシング段階に作用する。
【0003】
[0003] ドローシャによる効率的なpri−miRNAのプロセシングには、ヘアピン分子の3’末端および5’末端の両方が延長した一本鎖RNAの存在が必要である。ドローシャ複合体は、末端ループからほぼ2らせん回転、基本セグメントからほぼ1回転離れた位置でRNA分子を開裂させる。分析された大部分の分子において、この領域には非対合ヌクレオチドが含まれ、より下流および上流の領域と比較してデュプレックスの自由エネルギーが比較的高い。生成したpre−miRNAは短いヘアピンループ構造をもち、エクスポーチン5(Exportin 5)により、補因子Ran、すなわちGTPアーゼからの補助で、細胞質へ輸出される(Gwizdek et al., J. Biol. Chem. 278, 5505-8 (2003); Lund et al., Science 303, 95-8 (2004); Bohnsack et al., RNA 10, 185-91 (2004))。
【0004】
[0004] ダイサーがpre−miRNAのステム−ループを細胞質において開裂すると、2つの相補的な短いRNA分子が形成されるが、5’末端の安定性に基づいて一方のみがRISC複合体中に統合される。パッセンジャー鎖として知られる残りの鎖は分解される。活性RISC中に統合された後、miRNAはそれらに相補的なmRNA分子と塩基対合し、miRNAとこのターゲットmRNAの間の相補性の程度に応じて、鍵となる2つの機序のうちの1つにより転写体の発現のダウンレギュレーションを誘導する。動物においては、miRNAとそれらのターゲットmRNAの間の対合は通常は完全でない;ただし、完全またはほぼ完全な認識が存在する幾つかの例外がある(Yekta et al., Science 304, 594-6 (2004); Mansfield et al. Nat Genet 36, 1079-83 (2004))。miRNAとターゲットの間の相補性が完全またはほぼ完全であれば、mRNAの開裂はRISCにおいてAgo2タンパク質により供給されるエンドヌクレアーゼ(スライサー(slicer))活性によって仲介される。miRNAが不完全な塩基対合によりそれらのターゲットに結合する場合、miRNAが結合したメッセージは、リボソームは枯渇しているがヌクレアーゼに富むP−ボディーまたはプロセシングボディーとして知られる細胞質フォーカスへ向かう可能性がある(Parker et al., Nature Structural & Molecular Biology 11, 121-12 (2004))。P−ボディーはこれらのメッセージの分解中心または貯蔵溜めとして作用し、そこではそれらの翻訳が阻害される。
【0005】
[0005] 現在までに500近いmiRNAがヒトにおいて同定されている(Griffiths-Jones, S. Nucleic Acids Res 32, D109-11 (2004))。バイオインフォーマティクス方法により、これらのmiRNAは少なくとも30%のヒト転写体を調節しうると推定されている(Lewis, et al. Cell, 2005.120(1): p. 15-20)。その結果、miRNAは、調節異常が種々の疾病状態をもたらす可能性のある多くの生物学的プロセスにおいて重要な役割を果たす潜在性をもつ。多くの生物学的プロセスにおけるそれらの役割を解明するための実験的証拠が蓄積しつつある。これらの寄与により、miRNAは療法介入のための有望なクラスのターゲットとなっている。しかし、きわめて多くの生物学的プロセスにおいて個々のmiRNAが果たす特異的な役割について現在の理解が欠けていることが、miRNAのターゲティングを混乱させている。
【0006】
[0006] エリスロポエチン(EPO)は、赤血球前駆細胞を赤血球に成熟させるのに関係する糖タンパク質ホルモンである。それは循環中の赤血球のレベルを調節するのに必須である。天然のエリスロポエチンは、胎児生活中は肝臓により、および成体の腎臓により産生される。EPOは血液中を循環し、骨髄における赤血球の産生を刺激する。貧血症はほぼ常に、腎損傷の結果、腎臓からのエリスロポエチン産生が減少したことが原因である。エリスロポエチンをコードする遺伝子で形質転換した宿主細胞からのタンパク質生成物の発現を伴う遺伝子工学技術により産生された組換えエリスロポエチンは、慢性腎不全から起きる貧血症の処置に使用した場合に有効であることが認められた。
【0007】
[0007] 血管内皮増殖因子(VEGF)は、血管形成の正のレギュレーターである。Hua et al., MiRNA-Directed Regulation of VEGF and Other Angiogenic Factors under Hypoxia, PloS ONE 1(1): e116, 1-13, 2 (2006)。VEGFは血管内皮細胞に対して特異性の高いマイトジェンである。Neufeld, Cohen et al., Vascular Endothelial Growth Factor (VEGF) and Its Receptors, FASEB J. 13, 9-22 (1999)。
【0008】
[0008] ヒトの尿中に存在するエリスロポエチンは普通は低レベルであるが、再生不良性貧血に罹患している個体は上昇した尿エリスロポエチンレベルを示す。Miyake et al., J. Biol. Chem., 252, 5558 (1977)によるヒトの尿のエリスロポエチンの精製には、出発材料として再生不良性貧血の個体からの尿が用いられた。しかし、現在までに尿エリスロポエチンが療法上有用であることは示されていない。
【0009】
[0009] エリスロポエチンをコードする遺伝子の同定、クローニングおよび発現がU.S.Pat.No.4,703,008(Lin)に記載されている。細胞培地からの組換えエリスロポエチンの精製方法の記載は、U.S.Pat.No.4,667,016(Laiら)に含まれる。組換えプラスミド上にエリスロポエチン遺伝子を含む哺乳動物細胞宿主からの生物活性組換えエリスロポエチンの発現および回収は、療法用途に適切な量のエリスロポエチンを初めて入手可能にした。さらに、遺伝子配列が分かったこと、およびより多量の精製タンパク質の入手が可能になったことによって、このタンパク質の作用様式がより良く理解されるようになった。
【0010】
[0010] 療法におけるEPOの有益性が知られているので、EPOの発現またはEPOの分泌を増大させる方法はEPO療法を必要とする患者にとって著しく有益であろう。本明細書に記載する方法および組成物は、当技術分野におけるこれらおよび他の要望に対処する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】U.S.Pat.No.4,703,008
【特許文献2】U.S.Pat.No.4,667,016
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】Gwizdek et al., J. Biol. Chem. 278, 5505-8 (2003)
【非特許文献2】Lund et al., Science 303, 95-8 (2004)
【非特許文献3】Bohnsack et al., RNA 10, 185-91 (2004)
【非特許文献4】Yekta et al., Science 304, 594-6 (2004)
【非特許文献5】Mansfield et al. Nat Genet 36, 1079-83 (2004)
【非特許文献6】Parker et al., Nature Structural & Molecular Biology 11, 121-12 (2004)
【非特許文献7】Griffiths-Jones, S. Nucleic Acids Res 32, D109-11 (2004)
【非特許文献8】Lewis, et al. Cell, 2005.120(1): p. 15-20
【非特許文献9】PloS ONE 1(1): e116, 1-13, 2 (2006)
【非特許文献10】FASEB J. 13, 9-22 (1999)
【非特許文献11】J. Biol. Chem., 252, 5558 (1977)
【発明の概要】
【0013】
[0021] 特定のmiRNAおよびその前駆体にハイブリダイズするように設計された核酸配列は、選択した遺伝子の発現、たとえば限定ではないが細胞におけるエリスロポエチン(“EPO”)の発現および/または分泌を増大させ、その必要がある患者において貧血症、血友病および鎌状赤血球症などの疾患を処置し、ならびに赤血球形成を増大させ、あるいはエリスロポエチンレベルを上昇させるのに有用であることが見いだされた。
【0014】
[0022] 1観点においては、EPOの発現および/または分泌を増大させるための方法が提供される。この方法は、RNA分子にハイブリダイズしうる、RNA分子に対してアンチセンスである、RNA分子に対して実質的に相補的である、および/またはSEQ ID NO:1〜38(本明細書中で“抗−miRNA核酸配列”とも言う)のうちの1つの6核酸塩基(nucleobase)(またはヌクレオチド)以上の配列に対して少なくとも70%の配列同一性を備えた配列(たとえば近接配列)をもつ核酸を、細胞に導入することを含む。表3に示すように、SEQ ID NO:1〜38の核酸配列はSEQ ID NO:39〜77のターゲットmiRNA配列にハイブリダイズする。
【0015】
[0023] 前記のRNA分子は、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−191(SEQ ID NO:42)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−520−f(SEQ ID NO:44)、miR−520−g,h(SEQ ID NO:45)、miR−524(SEQ ID NO:46)、miR−198(SEQ ID NO:47)、miR−299−3p(SEQ ID NO:48)、miR−299−5p(SEQ ID NO:49)、miR−498(SEQ ID NO:50)、miR−518−f(SEQ ID NO:51)、let−7−a−1,2,3(SEQ ID NO:52)、let−7−b,c(SEQ ID NO:53)、let−7−g−I(SEQ ID NO:54)、miR−7−1,2,3(SEQ ID NO:55)、miR−9−1,2,3(SEQ ID NO:56)、miR−30−d(SEQ ID NO:57)、miR−34−b(SEQ ID NO:58)、miR−98(SEQ ID NO:59)、miR−128−a,b(SEQ ID NO:60)、miR−132(SEQ ID NO:61)、miR−133−a,b,1,2(SEQ ID NO:62)、miR−216(SEQ ID NO:63)、miR−448(SEQ ID NO:64)、miR−452(SEQ ID NO:65)、miR−491(SEQ ID NO:66)、miR−497(SEQ ID NO:67)、miR−520−b,c(SEQ ID NO:68)、miR−130−a,b(SEQ ID NO:69)、miR−142−5p(SEQ ID NO:70)、miR−193−b(SEQ ID NO:71)、miR−509(SEQ ID NO:72)、miR−523(SEQ ID NO:73)、miR−525(SEQ ID NO:74)、miR−526−a(SEQ ID NO:75)、miR−526−c(SEQ ID NO:76)、miR−518−b(SEQ ID NO:77)、およびその前駆体から選択されるmiRNA配列を含むことができる。ターゲットmiRNAとして作動する成熟miRNAの配列については表3を参照。
【0016】
[0024] 他の観点においては、対象において赤血球形成を増大させ、対象においてEPOレベルを上昇させ、またはその必要がある対象を貧血症、血友病または鎌状赤血球症について処置するための方法が提供される。この方法は、RNA分子にハイブリダイズしうる、RNA分子に対してアンチセンスである、RNA分子に対して実質的に相補的である、および/またはSEQ ID NO:1〜38のうちの1つの6核酸塩基(またはヌクレオチド)以上の配列に対して少なくとも70%の配列同一性を備えた配列(たとえば近接配列)をもつ、有効量の核酸を、対象に投与することを含む。このRNA分子は、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−191(SEQ ID NO:42)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−520−f(SEQ ID NO:44)、miR−520−g,h(SEQ ID NO:45)、miR−524(SEQ ID NO:46)、miR−198(SEQ ID NO:47)、miR−299−3p(SEQ ID NO:48)、miR−299−5p(SEQ ID NO:49)、miR−498(SEQ ID NO:50)、miR−518−f(SEQ ID NO:51)、let−7−a−1,2,3(SEQ ID NO:52)、let−7−b,c(SEQ ID NO:53)、let−7−g−I(SEQ ID NO:54)、miR−7−1,2,3(SEQ ID NO:55)、miR−9−1,2,3(SEQ ID NO:56)、miR−30−d(SEQ ID NO:57)、miR−34−b(SEQ ID NO:58)、miR−98(SEQ ID NO:59)、miR−128−a,b(SEQ ID NO:60)、miR−132(SEQ ID NO:61)、miR−133−a,b,1,2(SEQ ID NO:62)、miR−216(SEQ ID NO:63)、miR−448(SEQ ID NO:64)、miR−452(SEQ ID NO:65)、miR−491(SEQ ID NO:66)、miR−497(SEQ ID NO:67)、miR−520−b,c(SEQ ID NO:68)、miR−130−a,b(SEQ ID NO:69)、miR−142−5p(SEQ ID NO:70)、miR−193−b(SEQ ID NO:71)、miR−509(SEQ ID NO:72)、miR−523(SEQ ID NO:73)、miR−525(SEQ ID NO:74)、miR−526−a(SEQ ID NO:75)、miR−526−c(SEQ ID NO:76)、miR−518−b(SEQ ID NO:77)、およびその前駆体から選択されるmiRNA配列を含むことができる。他の観点においては、少なくとも90%のロックされた核酸(locked nucleic acid)ユニットをもつ核酸が提供される。この核酸は、RNA分子にハイブリダイズすることができ、RNA分子に対してアンチセンスであり、RNA分子に対して実質的に相補的であり、および/またはSEQ ID NO:1〜38のうちの1つの6核酸塩基(またはヌクレオチド)以上の配列に対して少なくとも70%の配列同一性を備えた配列(たとえば近接配列)をもつ。このRNA分子は、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−191(SEQ ID NO:42)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−520−f(SEQ ID NO:44)、miR−520−g,h(SEQ ID NO:45)、miR−524(SEQ ID NO:46)、miR−198(SEQ ID NO:47)、miR−299−3p(SEQ ID NO:48)、miR−299−5p(SEQ ID NO:49)、miR−498(SEQ ID NO:50)、miR−518−f(SEQ ID NO:51)、let−7−a−1,2,3(SEQ ID NO:52)、let−7−b,c(SEQ ID NO:53)、let−7−g−I(SEQ ID NO:54)、miR−7−1,2,3(SEQ ID NO:55)、miR−9−1,2,3(SEQ ID NO:56)、miR−30−d(SEQ ID NO:57)、miR−34−b(SEQ ID NO:58)、miR−98(SEQ ID NO:59)、miR−128−a,b(SEQ ID NO:60)、miR−132(SEQ ID NO:61)、miR−133−a,b,1,2(SEQ ID NO:62)、miR−216(SEQ ID NO:63)、miR−448(SEQ ID NO:64)、miR−452(SEQ ID NO:65)、miR−491(SEQ ID NO:66)、miR−497(SEQ ID NO:67)、miR−520−b,c(SEQ ID NO:68)、miR−130−a,b(SEQ ID NO:69)、miR−142−5p(SEQ ID NO:70)、miR−193−b(SEQ ID NO:71)、miR−509(SEQ ID NO:72)、miR−523(SEQ ID NO:73)、miR−525(SEQ ID NO:74)、miR−526−a(SEQ ID NO:75)、miR−526−c(SEQ ID NO:76)、miR−518−b(SEQ ID NO:77)、およびその前駆体から選択されるmiRNA配列を含むことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】[0011] 図1は、miRNA前駆体のターゲット領域の例を示す。
【図2】[0012] 図2は、Kelly細胞において、記載したマイクロRNAをターゲティングする400nMの濃度の核酸のスクリーニングに際して収集したデータを示す。
【図3】[0012] 図3は、Kelly細胞において、記載したマイクロRNAをターゲティングする400nMの濃度の核酸のスクリーニングに際して収集したデータを示す。
【図4】[0012] 図4は、Kelly細胞において、記載したマイクロRNAをターゲティングする400nMの濃度の核酸のスクリーニングに際して収集したデータを示す。
【図5】[0012] 図5は、Kelly細胞において、記載したマイクロRNAをターゲティングする400nMの濃度の核酸のスクリーニングに際して収集したデータを示す。
【図6】[0012] 図6は、Kelly細胞において、記載したマイクロRNAをターゲティングする400nMの濃度の核酸のスクリーニングに際して収集したデータを示す。
【図7】[0013] 図7は、Kelly細胞において、記載したマイクロRNAをターゲティングする40nMの濃度の核酸のスクリーニングに際して収集したデータを示す。
【図8】[0014] 図8は、Kelly細胞において、記載したマイクロRNAをターゲティングする20nMの濃度の核酸のスクリーニングに際して収集したデータを示す。
【図9】[0014] 図9は、Kelly細胞において、記載したマイクロRNAをターゲティングする20nMの濃度の核酸のスクリーニングに際して収集したデータを示す。
【図10】[0015] 図10は、HEPG2細胞において、記載したマイクロRNAをターゲティングする20nMの濃度の核酸のスクリーニングに際して収集したデータを示す。
【図11】[0016] 図11は、抗−miR−103−1,2(SEQ ID NO:78)または抗−miR−524(SEQ ID NO:79)の1回量を静脈内投与した後のラットの血漿中におけるVEGF量(ng/ml)の増加を示す。
【図12】[0017] 図12は、抗−miR−103−1,2(SEQ ID NO:78)または抗−miR−524(SEQ ID NO:79)の1回量を静脈内投与した後のラットの血漿中におけるVEGF量(ng/ml)の増加を示す。
【図13】[0018] 図13Aは被験化合物により誘導されたEPOの量に関して3匹の試験動物の平均を示し、図13Bは個々の試験動物についてのデータを示す。図13Cは被験化合物により誘導されたVEGFの量に関して3匹の試験動物の平均を示し、図13Dは個々の試験動物についてのデータを示す。データは、VEGFまたはEPOのngについての曲線下面積(AUC)に時間(168時間)を掛けたものとしてper/ml基準で提示される。“A”はリン酸緩衝化生理食塩水対照であり;“B”は20mg/kgの抗−miR−524(SEQ ID NO:79)であり;“C”は10mg/kgの抗−miR−103−1,2(SEQ ID NO:78)であり;“D”は20mg/kgの抗−miR−103−1,2(SEQ ID NO:78)である。
【図14】[0019] 図14Aは、個々の動物における20mg/kg用量の抗−miR−103−1,2(SEQ ID NO:78)についての経時的な血漿クリアランスを示す。図14Bは、個々の動物における20mg/kg用量の抗−miR−524(SEQ ID NO:79)についての経時的な血漿クリアランスを示す。
【図15】[0020] 図15Aは表記した投与量(mpk=キログラム当たりの抗−miRNA核酸の投与量ミリグラム)における投与後168時間目の組織中の抗−miR−103−1,2(SEQ ID NO:78)のng/mgを示し、図15Bは抗−miR−524(SEQ ID NO:79)のng/mgを示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
I.定義
[0025] 本明細書中で用いる“核酸”は、一本鎖、二本鎖、または多重鎖DNA、RNAおよびその誘導体を意味する。ある態様において、核酸は一本鎖である。修飾には、追加の電荷、分極率、水素結合、静電相互作用および官能基を含む他の化学基を核酸に付与するものを含めることができる。そのような修飾には、下記のものが含まれるが、これらに限定されない:ホスホジエステル基の修飾(たとえばホスホロチオエート、メチルホスホネート)、糖の2’−位の修飾、ピリミジンの5−位の修飾、プリンの8−位の修飾、環外アミンにおける修飾、4−チオウリジンの置換、5−ブロモまたは5−ヨード−ウラシルの置換;主鎖の修飾、メチル化、異例の塩基対合組合わせ、たとえばイソ塩基であるイソシチジンおよびイソグアニジンなど。修飾には3’および5’の修飾、たとえばキャッピング部分も含めることができる。2’デオキシ核酸リンカーはいずれか適切な長さの二価核酸および/またはヌクレオチド間結合であり、それらにおいてヌクレオチドは2’デオキシヌクレオチドである。“核酸塩基”は、ハイブリダイゼーション(塩基対合)に関係する核酸の部分(1以上)を表わし、窒素塩基、たとえばシトシン、グアニン、アデニン、チミン、ウラシル、およびその誘導体を含むが、これらに限定されない。本明細書中で用いる“核酸ユニット”は、核酸の部分であって、ヌクレオチド間結合により互いに結合しておりかつ核酸塩基(たとえばヌクレオシド)を含む部分を表わす。
【0019】
[0026] ある核酸化合物は、溶媒和していない形態または溶媒和した形態(水和した形態を含む)で存在することができる。一般に、溶媒和した形態は溶媒和していない形態と均等である。ある核酸化合物は、複数の結晶形態または非晶質形態で存在する場合がある。一般に、本明細書中に提供する方法が意図する用途にとって、すべての物理的形態が均等である。
【0020】
[0027] ある核酸化合物は、不斉炭素原子(光学中心)または二重結合をもつ場合がある;ラセミ体、ジアステレオマー、幾何異性体および個々の異性体。
[0028] 本発明の核酸化合物は、それらの化合物を構成する1以上の原子において自然界にはない割合の同位体原子を含むこともできる。たとえば、それらの化合物を放射性同位体、たとえばトリチウム(H)、ヨウ素−125(125I)または炭素−14(14C)で放射性標識することができる。
【0021】
[0029] 本明細書中で特定のmiRNAに関して用いる用語“miRNA前駆体”または“その前駆体”は、細胞におけるプロセシングによってその特定のmiRNAになるいずれかの前駆体を広く表わす。したがってこの用語には、対応するpri−miRNA、pre−miRNA、またはそのバリアントが含まれる。ある態様において、前駆体は対応するpri−miRNAまたはpre−miRNAである。pre−miRNA配列は、たとえば45〜90、60〜80または60〜70ヌクレオチドを含むことができる。pre−miRNAの配列は、miRNA配列全体を含むか、あるいはpri−miRNAの5’および3’−末端から0〜160ヌクレオチドを除いたpri−miRNAの配列であってもよい。pre−miRNAの配列は、ヘアピンループの配列を含むことができる。pri−miRNA配列は、45〜250、55〜200、70〜150または80〜100ヌクレオチドを含むことができる。pri−miRNAの配列は、pre−miRNA、または後記の表3に示すmiRNAを含むことができる。pri−miRNAは、ヘアピン構造(たとえば37〜50ヌクレオチド)を含むこともできる。たとえば、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)とmiR−107(SEQ ID NO:41)は同じ一次配列をもつ(表3を参照)が、異なる前駆体をもつ可能性がある。
【0022】
[0030] 用語“ハイブリダイゼーション”または“ハイブリダイズしうる”は、核酸の相補鎖の対合を表わし、三本鎖核酸ハイブリダイゼーションも含まれる。対合の機序は水素結合を伴い、これは核酸の鎖の相補的ヌクレオシドまたはヌクレオチド塩基(核酸塩基)間のワトソン−クリック型、フーグスティーン型または逆フーグスティーン型の水素結合であってもよい。たとえば、アデニンとチミンは水素結合の形成により対合する相補的核酸塩基である。水素結合は種々の環境下で起きる可能性がある。
【0023】
[0031] “特異的にハイブリダイズしうる”もしくは“に特異的にハイブリダイズする”という句また他の類似の句は、核酸とmiRNAまたはmiRNA前駆体が会合してmiRNAまたはmiRNA前駆体の正常な機能に干渉する(たとえば活性を変化させ、機能を撹乱し、またはmiRNAもしくはmiRNA前駆体のレベルを変調させることによる)ことを表わす。核酸がmiRNAまたはmiRNA前駆体に“特異的にハイブリダイズしうる”場合、特異的ハイブリダイゼーションを望む条件下で(たとえば、インビボアッセイまたは療法処置の場合は生理的条件下で、またインビトロアッセイの場合は標準的なアッセイ条件下で)、その核酸が、意図するmiRNAまたはmiRNA前駆体以外の核酸配列に非特異的に結合するのを避けるのに十分な程度の相補性がある。その核酸の配列は、特異的にハイブリダイズしうるそれのターゲットmiRNAまたはmiRNA前駆体の配列に対して100%相補的である必要はない。さらにその核酸は、介在または隣接セグメントがハイブリダイゼーションに関係しない状態で、miRNAまたはmiRNA前駆体の1以上のセグメントにわたってハイブリダイズしてもよい(たとえばバルジ(bulge)、ループ構造またはヘアピン構造)。
【0024】
[0032] 用語“緊縮ハイブリダイゼーション条件”または“緊縮条件”は、核酸がmiRNAまたはmiRNA前駆体にハイブリダイズして安定な複合体(たとえばデュプレックス)を形成するけれども他の配列へのハイブリダイゼーションは最小数である条件を表わす。複合体の安定性は、塩濃度と温度の関数である(参照:たとえばSambrook et al., Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2d Ed. (Cold Spring Harbor Laboratory, (1989);本明細書に援用する)。核酸をmiRNAまたはmiRNA前駆体にハイブリダイズさせるために用いる緊縮レベルは、当業者が容易に変更できる。“低い緊縮ハイブリダイゼーション条件”という句は、10%ホルムアミド、5倍Denhart溶液、6倍SSPE、0.2%SDS、42℃でのハイブリダイゼーション、続いて1倍SSPE、0.2%SDS、50℃での洗浄に等しい条件を表わす。Denhart溶液およびSSPEは、他の適切なハイブリダイゼーション緩衝液と同様に当業者に周知である(参照:たとえばSambrook et al.)。用語“中等度の緊縮ハイブリダイゼーション条件”は、50%ホルムアミド、5倍Denhart溶液、5倍SSPE、0.2%SDS、42℃でのハイブリダイゼーション、続いて0.2倍SSPE、0.2%SDS、60℃での洗浄に等しい条件を表わす。用語“高い緊縮ハイブリダイゼーション条件”は、50%ホルムアミド、5倍Denhart溶液、5倍SSPE、0.2%SDS、42℃でのハイブリダイゼーション、続いて0.2倍SSPE、0.2%SDS、65℃での洗浄に等しい条件を表わす。
【0025】
[0033] 本明細書中で用いる“相補的”は、2つの核酸塩基が厳密に対合する能力(たとえばA対T(またはU)、およびG対C)を表わし、核酸またはmiRNAもしくはmiRNA前駆体中でそれら2つが存在する場所には関係ない。たとえば、核酸の特定の位置にある核酸塩基がmiRNAまたはmiRNA前駆体の特定の位置にある核酸塩基と水素結合しうる場合、その核酸とそのmiRNAまたはmiRNA前駆体のと間のその水素結合の位置は相補的位置であるとみなされる。各分子中の十分な数の相補的位置が互いに水素結合しうる核酸塩基で占められている場合、その核酸とそのmiRNAまたはmiRNA前駆体は互いに“実質的に相補的”である。したがって、用語“実質的に相補的である”は、核酸とmiRNAまたはmiRNA前駆体との間で安定かつ特異的な結合が起きるのに十分な数の核酸塩基にわたる十分な程度の厳密な対合を示すために用いられる。したがって“実質的に相補的である”という句は、核酸とmiRNAまたはmiRNA前駆体をアラインさせた場合に安定かつ特異的な結合が起きるのであれば、それらの間に1以上の不適性塩基対があってもよいことを意味する。用語“不適性塩基対”は、核酸中の核酸塩基と、それとアラインさせるmiRNAまたはmiRNA前駆体中の核酸塩基とが、相補的ではない部位を表わす。核酸が核酸の全長にわたってmiRNAまたはmiRNA前駆体に完全に相補的である場合、その核酸とそのmiRNAまたはmiRNA前駆体は互いに“完全に相補的”である。
【0026】
[0034] 一般に、5’から3’方向に記載してターゲット核酸の対応領域の逆方向相補体を含む場合、核酸はこのmiRNAまたはmiRNA前駆体に対して“アンチセンス”である。“アンチセンス化合物”は、当技術分野で、ターゲットにハイブリダイズした際にターゲット化合物のレベル、発現または機能を調節することができるという制限をさらに含むと定義される場合もしばしばある。
【0027】
[0035] 本明細書中で用いる“配列同一性”または“同一性”は、2配列中において、特定した比較ウインドウにわたって最大の対応が得られるようにアラインさせた場合に同じである核酸塩基を表わす。本明細書中で用いる“配列同一性のパーセント”は、比較ウインドウ全体にわたって最適状態にアラインさせた2配列を比較することにより決定された数値を意味する;その際、比較ウインドウ中の配列の一部は、それら2配列の最適アラインメントを得るために基準配列(付加または欠失を含まないもの)と比較した付加または欠失(すなわちギャップ)を含むことができる。このパーセントは、両配列中に同一の核酸塩基またはアミノ酸残基が存在する位置の数を決定して適正対合位置の数を求め、この適正対合位置の数を比較ウインドウ中の位置の総数で割り、その答えに100を掛けて配列同一性のパーセントを求めることにより計算される。
【0028】
[0036] 用語“医薬的に許容できる塩類”は、本明細書に記載する化合物にみられる個々の置換基に応じて比較的無毒性の酸または塩基を用いて調製した有効化合物の塩類を含むものとする。核酸化合物が相対的に酸性の官能基を含む場合、中性形のそのような化合物をそのままでまたは適切な不活性溶媒中で、十分な量の目的塩基と接触させることにより、塩基付加塩を得ることができる。医薬的に許容できる塩基付加塩の例には、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アンモニウム塩、有機アミノ塩、もしくはマグネシウム塩、または類似の塩類が含まれる。核酸化合物が相対的に塩基性の官能基を含む場合、中性形のそのような化合物をそのままでまたは適切な不活性溶媒中で、十分な量の目的酸と接触させることにより、酸付加塩を得ることができる。医薬的に許容できる酸付加塩の例には、無機酸から誘導されるもの、たとえば塩酸、臭化水素酸塩、硝酸塩、炭酸塩、炭酸一水素塩、リン酸塩、リン酸一水素塩、リン酸二水素塩、硫酸塩、硫酸一水素塩、ヨウ化水素酸塩、または亜リン酸塩など、および比較的無毒性の有機酸、たとえば酢酸、プロピオン酸、イソ酪酸、マレイン酸、マロン酸、安息香酸、コハク酸、スベリン酸、フマル酸、乳酸、マンデル酸、フタル酸、ベンゼンスルホン酸、p−トリルスルホン酸、クエン酸、酒石酸、メタンスルホン酸などから誘導されるものが含まれる。アミノ酸の塩類、たとえばアルギン酸塩など、およびグルクロン酸またはガラクツロン酸などの有機酸の塩類も含まれる(参照:たとえばBerge et al., “Pharmaceutical Salts”, J. Pharm. Sci., 1977, 66, 1-19)。特定の核酸化合物は塩基性および酸性の両方の官能基を含み、これによりこれらの化合物は塩基付加塩または酸付加塩のいずれにも変換できる。
【0029】
[0037] 常法により塩を塩基または酸と接触させ、そして親化合物を単離することにより、中性形の核酸化合物を再生できる。親形の化合物は、特定の物理的特性、たとえば極性溶媒中での溶解度において種々の塩形と異なる。
【0030】
[0038] 塩形のほかに、プロドラッグ形の核酸化合物が提供される。本明細書に記載する核酸のプロドラッグは、生理的状態で容易に化学変化を受ける化合物である。さらに、プロドラッグは化学的または生化学的方法によりエクスビボ環境で核酸に変換できる。たとえば、プロドラッグを適切な酵素または化学薬品と共に経皮パッチ溜めに入れた場合、徐々に核酸に変換させることができる。
【0031】
[0039] 用語“処置”は、傷害、病理または状態の処置または改善における成功の指標を表わし、これにはいずれかの客観的または主観的パラメーターが含まれる:たとえば、寛解;緩解;症状を軽減し、または傷害、病理もしくは状態を患者にとってより耐容しうるものにする;退行または衰退の速度を低下させる;変性の最終点をより衰弱度の低いものにする;患者の身体または精神の健康状態を向上させる。症状の処置または改善は、客観的または主観的パラメーターに基づくことができる;これには、身体検査、神経精神医学的検査、および/または精神医学的評価の結果が含まれる。
【0032】
[0040] 用語“貧血症”は、赤血球および/またはヘモグロビンが欠乏し、その結果、血液が組織へ酸素を伝達する能力が低下していることを表わす。これには、ホストの状態、たとえば腎機能の低下または喪失(たとえば慢性腎不全、急性腎不全、および終末期腎疾患)、骨髄抑制療法、たとえば化学療法または抗ウイルス薬(たとえばAZT)、非骨髄性癌の進行、およびウイルス感染症(たとえばHIV)などから生じる貧血症が含まれる。
【0033】
[0041] 本明細書中で用いる“併用療法”または“補助療法”は、本発明の薬物を必要とする患者がその疾患に対して本発明の核酸と併せて他の薬物で処置され、または他の薬物を投与されることを意味する。この併用療法は、患者をまず一方の薬物で処置し、次いで他方の薬物で処置する逐次療法であってもよく、あるいは2種類の薬物を同時に投与してもよい。
【0034】
[0042] “患者”は哺乳動物対象(たとえばヒト)を表わす。
II.概説
[0043] 一部は、EPOの発現および/または分泌の低下に関係する特定のmiRNAを同定したことに基づく、種々の方法および組成物を本明細書に提示する。同定したこれらのmiRNAにハイブリダイズし、したがってEPOなどのタンパク質の発現および/または分泌を増大させることができる抗−miRNA核酸は、貧血症などの特定の疾病状態を処置する際に有用である。EPOの発現および/または分泌の低下に関係することが見いだされたmiRNAには、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−191(SEQ ID NO:42)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−520−f(SEQ ID NO:44)、miR−520−g,h(SEQ ID NO:45)、miR−524(SEQ ID NO:46)、miR−198(SEQ ID NO:47)、miR−299−3p(SEQ ID NO:48)、miR−299−5p(SEQ ID NO:49)、miR−498(SEQ ID NO:50)、miR−518−f(SEQ ID NO:51)、let−7−a−1,2,3(SEQ ID NO:52)、let−7−b,c(SEQ ID NO:53)、let−7−g−I(SEQ ID NO:54)、miR−7−1,2,3(SEQ ID NO:55)、miR−9−1,2,3(SEQ ID NO:56)、miR−30−d(SEQ ID NO:57)、miR−34−b(SEQ ID NO:58)、miR−98(SEQ ID NO:59)、miR−128−a,b(SEQ ID NO:60)、miR−132(SEQ ID NO:61)、miR−133−a,b,1,2(SEQ ID NO:62)、miR−216(SEQ ID NO:63)、miR−448(SEQ ID NO:64)、miR−452(SEQ ID NO:65)、miR−491(SEQ ID NO:66)、miR−497(SEQ ID NO:67)、miR−520−b,c(SEQ ID NO:68)、miR−130−a,b(SEQ ID NO:69)、miR−142−5p(SEQ ID NO:70)、miR−193−b(SEQ ID NO:71)、miR−509(SEQ ID NO:72)、miR−523(SEQ ID NO:73)、miR−525(SEQ ID NO:74)、miR−526−a(SEQ ID NO:75)、miR−526−c(SEQ ID NO:76)、miR−518−b(SEQ ID NO:77)、およびその前駆体のmiRNA配列を含むmiRNA分子が含まれる。成熟miRNAの配列については表3を参照。
【0035】
[0044] 本明細書には、これらのmiRNAにハイブリダイズし、したがってそれらの活性を阻害することができる、特定の配列および化学構造をもつ核酸、たとえば本明細書中に多様に定めるSEQ ID NO:1〜38を開示する。これらの核酸を含有する医薬組成物も提供される。これらの核酸および組成物を用いて、細胞におけるEPOの発現および/または細胞からのEPOタンパク質の分泌を増大させ、ならびに貧血症、血友病もしくは鎌状赤血球症を処置し、赤血球形成を増大させ、および/または赤血球レベルを上昇させることができる。
【0036】
III.EPOの発現または分泌の増大
[0045] 細胞によるEPOの発現および/または分泌を増大させるための方法は、RNA分子にハイブリダイズしうる核酸を細胞に導入することを含み、そのような核酸を本明細書中では抗−miRNA核酸とも言う。
【0037】
[0046] ターゲットRNA分子は、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−191(SEQ ID NO:42)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−520−f(SEQ ID NO:44)、miR−520−g,h(SEQ ID NO:45)、miR−524(SEQ ID NO:46)、miR−198(SEQ ID NO:47)、miR−299−3p(SEQ ID NO:48)、miR−299−5p(SEQ ID NO:49)、miR−498(SEQ ID NO:50)、miR−518−f(SEQ ID NO:51)、let−7−a−1,2,3(SEQ ID NO:52)、let−7−b,c(SEQ ID NO:53)、let−7−g−I(SEQ ID NO:54)、miR−7−1,2,3(SEQ ID NO:55)、miR−9−1,2,3(SEQ ID NO:56)、miR−30−d(SEQ ID NO:57)、miR−34−b(SEQ ID NO:58)、miR−98(SEQ ID NO:59)、miR−128−a,b(SEQ ID NO:60)、miR−132(SEQ ID NO:61)、miR−133−a,b,1,2(SEQ ID NO:62)、miR−216(SEQ ID NO:63)、miR−448(SEQ ID NO:64)、miR−452(SEQ ID NO:65)、miR−491(SEQ ID NO:66)、miR−497(SEQ ID NO:67)、miR−520−b,c(SEQ ID NO:68)、miR−130−a,b(SEQ ID NO:69)、miR−142−5p(SEQ ID NO:70)、miR−193−b(SEQ ID NO:71)、miR−509(SEQ ID NO:72)、miR−523(SEQ ID NO:73)、miR−525(SEQ ID NO:74)、miR−526−a(SEQ ID NO:75)、miR−526−c(SEQ ID NO:76)、miR−518−b(SEQ ID NO:77)、およびその前駆体から選択されるmiRNA配列を含むことができる。ある態様において、RNA分子は、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−191(SEQ ID NO:42)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−520−f(SEQ ID NO:44)、miR−520−g,h(SEQ ID NO:45)、miR−524(SEQ ID NO:46)、miR−198(SEQ ID NO:47)、miR−299−3p(SEQ ID NO:48)、miR−299−5p(SEQ ID NO:49)、miR−498(SEQ ID NO:50)、miR−518−f(SEQ ID NO:51)、let−7−a−1,2,3(SEQ ID NO:52)、let−7−b,c(SEQ ID NO:53)、let−7−g−I(SEQ ID NO:54)、miR−7−1,2,3(SEQ ID NO:55)、miR−9−1,2,3(SEQ ID NO:56)、miR−30−d(SEQ ID NO:57)、miR−34−b(SEQ ID NO:58)、miR−98(SEQ ID NO:59)、miR−128−a,b(SEQ ID NO:60)、miR−132(SEQ ID NO:61)、miR−133−a,b,1,2(SEQ ID NO:62)、miR−216(SEQ ID NO:63)、miR−448(SEQ ID NO:64)、miR−452(SEQ ID NO:65)、miR−491(SEQ ID NO:66)、miR−497(SEQ ID NO:67)、miR−520−b,c(SEQ ID NO:68)、miR−130−a,b(SEQ ID NO:69)、miR−142−5p(SEQ ID NO:70)、miR−193−b(SEQ ID NO:71)、miR−509(SEQ ID NO:72)、miR−523(SEQ ID NO:73)、miR−525(SEQ ID NO:74)、miR−526−a(SEQ ID NO:75)、miR−526−c(SEQ ID NO:76)、miR−518−b(SEQ ID NO:77)から選択されるmiRNA配列を含むことができる。これらの成熟miRNAの配列については表3を参照。
【0038】
[0047] ある態様において、RNA分子は、let−7−a−1,2,3(SEQ ID NO:52)、let−7−b,c(SEQ ID NO:53)、let−7−g−I(SEQ ID NO:54)、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−128−a,b(SEQ ID NO:60)、miR−191(SEQ ID NO:42)、miR−299−5p(SEQ ID NO:49)、miR−30−d(SEQ ID NO:57)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−34−b(SEQ ID NO:58)、miR−520−g,h(SEQ ID NO:45)、miR−524(SEQ ID NO:46)、miR−7−1,2,3(SEQ ID NO:55)、miR−9−1,2,3(SEQ ID NO:56)、miR−98(SEQ ID NO:59)、およびその前駆体から選択されるmiRNAを含むことができる。RNA分子は、let−7−a−1,2,3(SEQ ID NO:52)、let−7−b,c(SEQ ID NO:53)、let−7−g−I(SEQ ID NO:54)、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−128−a,b(SEQ ID NO:60)、miR−191(SEQ ID NO:42)、miR−30−d(SEQ ID NO:57)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−34−b(SEQ ID NO:58)、miR−520−g,h(SEQ ID NO:45)、miR−524(SEQ ID NO:46)、miR−7−1,2,3(SEQ ID NO:55)、miR−9−1,2,3(SEQ ID NO:56)、およびその前駆体から選択されるmiRNAを含むこともできる。RNA分子は、let−7−a−1,2,3(SEQ ID NO:52)、let−7−b,c(SEQ ID NO:53)、let−7−g−I(SEQ ID NO:54)、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−30−d(SEQ ID NO:57)、miR−34−b(SEQ ID NO:58)、miR−524(SEQ ID NO:46)、miR−7−1,2,3(SEQ ID NO:55)、miR−9−1,2,3(SEQ ID NO:56)、およびその前駆体から選択されるmiRNAを含むこともできる。RNA分子は、let−7−g−I(SEQ ID NO:54)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−34−b(SEQ ID NO:58)、およびその前駆体から選択されるmiRNAを含むこともできる。ある態様において、RNA分子はmiR−103−1,2(SEQ ID NO:40)またはその前駆体を含む。
【0039】
[0048] 他の態様において、RNA分子は、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−191(SEQ ID NO:42)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−520−f(SEQ ID NO:44)、miR−520−g,h(SEQ ID NO:45)、miR−524(SEQ ID NO:46)、miR−198(SEQ ID NO:47)、miR−299−3p(SEQ ID NO:48)、miR−299−5p(SEQ ID NO:49)、miR−498(SEQ ID NO:50)、miR−518−f(SEQ ID NO:51)、およびその前駆体から選択されるmiRNAを含むことができる。RNA分子は、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−191(SEQ ID NO:42)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−520−f(SEQ ID NO:44)、miR−520−g,h(SEQ ID NO:45)、miR−524(SEQ ID NO:46)、またはその前駆体を含むこともできる。ある態様において、RNA分子は、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−524(SEQ ID NO:46)、またはその前駆体を含むことができる。RNA分子は、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−524(SEQ ID NO:46)、またはその前駆体;miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−191(SEQ ID NO:42)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−524(SEQ ID NO:46)、またはその前駆体;miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、またはその前駆体;miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−198(SEQ ID NO:47)、miR−299−3p(SEQ ID NO:48)、miR−299−5p(SEQ ID NO:49)、miR−498(SEQ ID NO:50)、miR−518−f(SEQ ID NO:51)、またはその前駆体;miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−299−5p(SEQ ID NO:49)、またはその前駆体;あるいは単にmiR−337(SEQ ID NO:43)またはその前駆体を含むこともできる。
【0040】
[0049] EPOの発現および/または分泌の増大は、本発明の核酸の不存在下での細胞によるEPOの発現および/または分泌に対して相対的なものである。したがって、有効量の核酸を細胞に導入すると、細胞によるEPOの発現および/または分泌が増大する。
【0041】
[0050] 本発明の核酸の配列は、それが特定のmiRNAもしくはmiRNA前駆体またはその領域もしくはセグメントにハイブリダイズするように設計することができる。したがって“ターゲティング”には、ターゲットmiRNAまたはmiRNA前駆体における、目的とする作用、たとえばレベル、発現または機能の調節が生じるような相互作用が起きるための少なくとも1つのターゲット領域、セグメント、または部位の決定が含まれる。本明細書中で用いる用語“領域”または“ターゲット領域”は、ターゲットmiRNAまたはmiRNA前駆体の、少なくとも1つの同定可能な配列、構造、機能または特性をもつ部分と定義される。
【0042】
[0051] ある態様において、核酸は、ターゲットmiRNAのいずれか適切な部分内の単一の連続領域にハイブリダイズするように設計される。図1Aおよび図1Bを参照。この近接領域は、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21ヌクレオチドの長さであってもよい。他の態様においては、単一の核酸がターゲットmiRNAまたはmiRNA前駆体の2つの異なる近接領域にハイブリダイズするように設計される。図1Aの核酸(e)を参照。
【0043】
[0052] たとえば、いずれか特定の理論により束縛されるわけではないが、pre−miRNAのループの一部とステムの一部をターゲティングすることにより、ダイサーによるpre−miRNAのプロセシングを遮断するように核酸を設計することができる(参照:たとえば図1Aの核酸(a)および(b))。他の態様においては、ステムの一部とステムの基底部における一本鎖RNAのいずれかの部分の一部とをターゲティングすることにより、ドローシャによるpri−miRNAのプロセシングを遮断するように核酸を設計することができる(参照:たとえば図1Aの核酸(c)および(d))。いずれか特定の理論により束縛されるわけではないが、エクスポーチンによる細胞質へのpre−miRNAの輸出は、pre−miRNAをターゲティングすることにより遮断できる。ある態様においては、pri−miRNA配列中のステムの基底部の2つの不連続延長配列をターゲティングすることにより、ドローシャによるプロセシングを遮断するように核酸を設計することができる(参照:たとえば図1Aの核酸(e))。他の態様においては、miRNA前駆体のステム部分をターゲティングするように核酸を設計することができる(参照:たとえば図1Bの核酸(f))。したがって、核酸がmiRNAにハイブリダイズしうると述べた場合、それは核酸がたとえば図1Aおよび図1Bに示すいずれかのコンフィギュレーションでハイブリダイズしうることを意味する。
【0044】
[0053] mRNA結合に関与する、miRNAのいかなる部分をターゲティングすることもできる。ある態様においては、miRNAの5’末端から最初の6、7または8ヌクレオチドをターゲティングすることができる。ターゲットmiRNAまたはその前駆体上において核酸がハイブリダイズするそのような位置を“適切なターゲットセグメント”と言うことができる。本明細書中で用いる用語“適切なターゲットセグメント”は、核酸がターゲティングするターゲット領域の少なくとも6、7または8ヌクレオチドの部分と定義される。1以上のターゲット領域が同定されると、そのターゲットに対して十分に相補的になるように、すなわち目的とする効果を与える(たとえばEPOの発現および/または分泌を増大させる)のに十分なほど良好にかつ十分な特異性でハイブリダイズするように、核酸を設計する。
【0045】
[0054] ある態様においては、1以上の抗−miRNA核酸を第1のmiRNAターゲットにターゲティングさせ、かつ1以上の追加の抗−miRNA核酸を第2のmiRNAターゲットにターゲティングさせることができる。あるいは、組成物は、同じmiRNAターゲットの異なる領域、セグメントまたは部位にターゲティングする2以上の抗−miRNA核酸を含有することができる。2以上の組み合わせた抗−miRNA化合物を一緒に、または逐次、使用できる。
【0046】
[0055] 他の態様において、核酸は少なくとも一部はmiRNAのシード領域(seed region)をターゲティングするように設計される。したがって、この態様において、ターゲット領域はmiRNAのシード領域の少なくとも一部または全体を含む。本明細書中で用いる用語“シード領域”は、miRNA配列の5’末端のヌクレオチドであって、一般にmiRNAファミリーに共通であるヌクレオチドを表わす。特定のmiRNAについてシード領域の例を後記の表3に示す(下線を施した部分を参照)。特定の態様において、シード領域はmiRNA配列内の3、4、5、6、7、8、9または10個の連続ヌクレオチドを含む。一般に、miRNAのシード領域はmiRNA配列内の6、7または8個の連続ヌクレオチドである。たとえば、miRNA配列のシード領域はmiRNA配列の5’末端からヌクレオチド1〜7、1〜8、2〜7、2〜8、1〜9、1〜10、2〜9、2〜10、3〜10、または4〜12であってもよい。ある態様において、miRNA配列のシード領域は、有利にはmiRNA配列の5’末端からヌクレオチド1〜7、1〜8、2〜7、または2〜8と包括的に定めることができる。SEQ ID NO:39〜77のターゲットmiRNA配列について例示シード領域(下線を施した)を示す表3を参照。
【0047】
[0056] 本明細書に記載する方法(たとえば、EPOの発現および/または分泌を増大させる方法、ならびに貧血症、血友病および鎌状赤血球症などの疾病状態を処置する方法)は、RNA分子にハイブリダイズしうる、RNA分子に対してアンチセンスである、RNA分子に対して実質的に相補的である、および/またはSEQ ID NO:1〜38(本明細書中で“抗−miRNA核酸配列”とも言う)のうちの1つの6核酸塩基(またはヌクレオチド)以上の配列に対して少なくとも70%の配列同一性を備えた配列(たとえば近接配列)をもつ核酸の使用を含む。SEQ ID NO:1〜38の完全配列については表2を参照。RNA分子は、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−191(SEQ ID NO:42)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−520−f(SEQ ID NO:44)、miR−520−g,h(SEQ ID NO:45)、miR−524(SEQ ID NO:46)、miR−198(SEQ ID NO:47)、miR−299−3p(SEQ ID NO:48)、miR−299−5p(SEQ ID NO:49)、miR−498(SEQ ID NO:50)、miR−518−f(SEQ ID NO:51)、let−7−a−1,2,3(SEQ ID NO:52)、let−7−b,c(SEQ ID NO:53)、let−7−g−I(SEQ ID NO:54)、miR−7−1,2,3(SEQ ID NO:55)、miR−9−1,2,3(SEQ ID NO:56)、miR−30−d(SEQ ID NO:57)、miR−34−b(SEQ ID NO:58)、miR−98(SEQ ID NO:59)、miR−128−a,b(SEQ ID NO:60)、miR−132(SEQ ID NO:61)、miR−133−a,b,1,2(SEQ ID NO:62)、miR−216(SEQ ID NO:63)、miR−448(SEQ ID NO:64)、miR−452(SEQ ID NO:65)、miR−491(SEQ ID NO:66)、miR−497(SEQ ID NO:67)、miR−520−b,c(SEQ ID NO:68)、miR−130−a,b(SEQ ID NO:69)、miR−142−5p(SEQ ID NO:70)、miR−193−b(SEQ ID NO:71)、miR−509(SEQ ID NO:72)、miR−523(SEQ ID NO:73)、miR−525(SEQ ID NO:74)、miR−526−a(SEQ ID NO:75)、miR−526−c(SEQ ID NO:76)、miR−518−b(SEQ ID NO:77)、およびその前駆体から選択されるmiRNA配列を含むことができる。特定の態様において、核酸はSEQ ID NO:1〜38のうちの1つの6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21核酸塩基の配列に対して少なくとも70%の配列同一性をもつ配列を含むか、またはそれからなる。これらの核酸は、細胞におけるEPOの発現および/または分泌を、これらの核酸の不存在下に対して相対的に増大させることができる。核酸の能力を調べるのに適切なアッセイ法を後記のセクションVIおよびVIIIに提示する。“核酸塩基の配列”は、関連SEQ ID NO内の連続核酸塩基を表わす。たとえば、核酸はSEQ ID NO:1〜38のうちのいずれか1つと、またはSEQ ID NO:1〜38のうちの1つの6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19もしくは20核酸塩基の配列に対して、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性をもつ配列を含むか、またはそれからなることができる。ある態様において、核酸は抗−miRNA配列(たとえばSEQ ID NO:1〜38のうちの1つ)と100%の配列同一性をもつ配列を含むか、またはそれからなる。
【0048】
[0057] ある態様において、核酸は少なくとも12核酸塩基の長さである。他の態様において、核酸は少なくとも15核酸塩基の長さである。核酸は22核酸塩基未満の長さであってもよい。たとえば、ある態様において核酸は7〜21核酸塩基の長さである。他の態様において、核酸は8から21まで、9から21まで、10から21まで、11から21まで、12から21まで、13から21まで、14から21まで、15から21まで、16から21まで、17から21まで、または18から21までの核酸塩基の長さである。ある態様において、核酸は7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21核酸塩基の長さである。
【0049】
[0058] ターゲティングされるRNA分子とそれぞれの核酸である抗−miRNA配列の間の一定の相関性を表2に示す。たとえば、表2に示すように、ある態様においてRNA分子は、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−191(SEQ ID NO:42)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−520−f(SEQ ID NO:44)、miR−520−g,h(SEQ ID NO:45)、miR−524(SEQ ID NO:46)、miR−198(SEQ ID NO:47)、miR−299−3p(SEQ ID NO:48)、miR−299−5p(SEQ ID NO:49)、miR−498(SEQ ID NO:50)、miR−518−f(SEQ ID NO:51)、let−7−a−1,2,3(SEQ ID NO:52)、let−7−b,c(SEQ ID NO:53)、let−7−g−I(SEQ ID NO:54)、miR−7−1,2,3(SEQ ID NO:55)、miR−9−1,2,3(SEQ ID NO:56)、miR−30−d(SEQ ID NO:57)、miR−34−b(SEQ ID NO:58)、miR−98(SEQ ID NO:59)、miR−128−a,b(SEQ ID NO:60)、miR−132(SEQ ID NO:61)、miR−133−a,b,1,2(SEQ ID NO:62)、miR−216(SEQ ID NO:63)、miR−448(SEQ ID NO:64)、miR−452(SEQ ID NO:65)、miR−491(SEQ ID NO:66)、miR−497(SEQ ID NO:67)、miR−520−b,c(SEQ ID NO:68)、miR−130−a,b(SEQ ID NO:69)、miR−142−5p(SEQ ID NO:70)、miR−193−b(SEQ ID NO:71)、miR−509(SEQ ID NO:72)、miR−523(SEQ ID NO:73)、miR−525(SEQ ID NO:74)、miR−526−a(SEQ ID NO:75)、miR−526−c(SEQ ID NO:76)、miR−518−b(SEQ ID NO:77)、およびその前駆体からなる群から選択される配列を含むmiRNA(およびその前駆体)であり、核酸はそれぞれSEQ ID NO:1〜38またはそれらのうちの1つに含まれる核酸塩基配列に対して少なくとも70%の配列同一性をもつ配列を含むか、またはそれからなる。当業者は、SEQ ID NO:2がmiR−103−1,2(SEQ ID NO:40)およびmiR−107(SEQ ID NO:41)の両方をターゲティングすることを認識するであろう。したがって、そのSEQ ID NOの数は対応するmiRNAの数より1つ少ない。
【0050】
[0059] 表2に示す相関性の他の態様において、核酸は7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21核酸塩基の配列を含むか、またはそれからなり、それぞれの核酸SEQ ID NO:1〜38との少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性をもつ。表2に示す相関性のさらに他の態様において、RNA分子は前記に示したmiRNAリストの態様のうちの1つから選択されるmiRNAである。たとえば、表2に示す相関性の他の態様において、RNA分子はmiR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−191(SEQ ID NO:42)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−520−f(SEQ ID NO:44)、miR−520−g,h(SEQ ID NO:45)、miR−524(SEQ ID NO:46)、miR−198(SEQ ID NO:47)、miR−299−3p(SEQ ID NO:48)、miR−299−5p(SEQ ID NO:49)、miR−498(SEQ ID NO:50)、miR−518−f(SEQ ID NO:51)、およびその前駆体から選択されるmiRNAを含むことができ、それぞれの核酸は前文に示した適切な数の核酸塩基および適切な配列同一性をもつ。
【0051】
[0060] 核酸は、SEQ ID NO:1〜38のいずれか1つから8核酸塩基(またはヌクレオチド)より多くは相異しない配列を含むことができる。他の態様において、核酸は、SEQ ID NO:1〜38のいずれか1つから5、6または7核酸塩基(またはヌクレオチド)より多くは相異しない配列を含むことができる。他の態様において、核酸は、SEQ ID NO:1〜38のいずれか1つから1、2、3または4核酸塩基(またはヌクレオチド)より多くは相異しない配列を含むことができる。
【0052】
[0061] ある態様において、核酸はVEGFの発現を最小限に抑え、一方ではEPOの発現および/または分泌を増大させるように選択される。たとえば、ある態様において抗−miRNA核酸は下記の配列をもつことができる:SEQ ID NO:4、これはmiR−337(SEQ ID NO:43)にハイブリダイズしてその活性に拮抗する;SEQ ID NO:8、これはmiR−198(SEQ ID NO:47)にハイブリダイズしてその活性に拮抗する;SEQ ID NO:9、これはmiR−299−3p(SEQ ID NO:48)にハイブリダイズしてその活性に拮抗する;SEQ ID NO:10、これはmiR−299−5p(SEQ ID NO:49)にハイブリダイズしてその活性に拮抗する;SEQ ID NO:11、これはmiR−498(SEQ ID NO:50)にハイブリダイズしてその活性に拮抗する;SEQ ID NO:12、これはmiR−518−f(SEQ ID NO:51)にハイブリダイズしてその活性に拮抗する;またはそれらの前駆体にハイブリダイズしてその活性に拮抗する。したがって、それぞれの対応する核酸はSEQ ID NO:4およびSEQ ID NO 8〜12であってよく、その際それぞれの核酸は前記に示した適切な数の核酸塩基および適切な配列同一性をもつ。
【0053】
[0062] 前記のように、本発明の核酸は緊縮条件下で前記のRNA分子にハイブリダイズすることができる。ある態様において、核酸は低い緊縮ハイブリダイゼーション条件下でRNA分子にハイブリダイズする。他の態様において、核酸は中等度の緊縮ハイブリダイゼーション条件下でRNA分子にハイブリダイズする。他の態様において、核酸は高い緊縮ハイブリダイゼーション条件下でRNA分子にハイブリダイズする。
【0054】
[0063] ある態様において、核酸はmiRNAまたはmiRNA前駆体に対して実質的に相補的である。核酸は、miRNAまたはmiRNA前駆体の中のターゲット領域(たとえばシード領域)に対して少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、または少なくとも85%の配列相補性であってもよい。他の態様において、核酸はmiRNAまたはmiRNA前駆体の中のターゲット領域(たとえばシード領域)に対して少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、または少なくとも94%の配列相補性を含む。他の態様において、核酸はmiRNAまたはmiRNA前駆体の中のターゲット領域(たとえばシード領域)に対して少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、または少なくとも99%の配列相補性を含む。たとえば、その核酸塩基20のうち18がターゲット領域(たとえばシード領域)に対して相補的である核酸は、90パーセントの相補性になるであろう。核酸がmiRNAまたは前駆体に対して実質的に相補的である場合、残りの非相補的な核酸塩基はクラスター形成しているか、または相補的な核酸塩基間に散在することができ、互いに、または相補的な核酸塩基と、隣接している必要はない。したがって、長さ22核酸塩基であり、6つの非相補的な核酸塩基をもち、それらがターゲットmiRNAまたはmiRNA前駆体と完全相補性である2領域でフランキングされている核酸は、全体としてそのmiRNAまたはmiRNA前駆体と72.7%の相補性をもつであろう。miRNAまたはmiRNA前駆体のある領域との核酸の相補性パーセントは、当技術分野で既知のBLASTプログラム(basic local alignment search tools)およびPowerBLASTプログラム(Altschul et al., J. Mol. Biol., 1990, 215, 403-410; Zhang and Madden, Genome Res., 1997, 7, 649-656)を用いて日常的に判定できる。ある態様において、核酸はmiRNAまたはmiRNA前駆体に対して完全に相補的である。
【0055】
[0064] 核酸を細胞に導入するためのいずれか適切な方法を使用できる。適切な方法の例には、たとえば細胞トランスフェクション法、たとえば化学的、生物学的または機械的手段が含まれる。認められている方法には、エレクトロポレーション、ウイルスベクターの使用、リポフェクション、遺伝子銃、およびマイクロインジェクションが含まれる。
【0056】
[0065] この方法は、いずれか適切な細胞、たとえば植物または動物の細胞を用いて実施できる。ある態様において、細胞は哺乳動物細胞、たとえばヒト細胞である。細胞はHepG2またはKelly細胞であってもよい。したがって、ある態様において、核酸を細胞に導入する方法はインビトロで実施される。細胞に導入されると、本発明の核酸はEPOの発現および/または分泌をインサイチューで増大させる。
【0057】
IV.対象の処置方法
[0066] その必要がある対象において貧血症、血友病または鎌状赤血球症を処置し、対象において赤血球形成を増大させ、EPOレベルを上昇させるための、多様な方法も提供される。これらの方法には、RNA分子にハイブリダイズしうる、RNA分子に対してアンチセンスである、RNA分子に対して実質的に相補的である、および/またはSEQ ID NO:1〜38のうちの1つの6核酸塩基(またはヌクレオチド)以上の配列に対して少なくとも70%、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%の配列同一性をもつ、有効量の抗−miRNA核酸を対象に投与することが含まれる。これらの方法において、ターゲティングされるRNA分子、およびターゲティングされるRNA分子にハイブリダイズさせるために用いられる核酸は、前記のものと同じである。したがって、セクションIIIに記載したものと同じ核酸の配列、長さその他の特性が、対象において貧血症、血友病または鎌状赤血球症を処置し、赤血球形成を増大させ、EPOレベルを上昇させるための方法に同等に適用される。
【0058】
[0067] 有効量は、記載した目的の達成、たとえば貧血症、血友病または鎌状赤血球症を処置し、赤血球形成を増大させ、EPOレベルを上昇させるのに有効な量である。ある態様において、有効量は治療に有効な量または予防に有効な量である。“治療に有効な量”は、疾病状態(たとえば貧血症)または症状、特に疾病状態に関連する状態または症状を治療するのに十分な量、あるいは疾病状態またはいかなるものであっても疾病状態に関連する他の望ましくない何らかの症状の進行を阻止、阻害、遅延または回復させるのに十分な量である。“予防に有効な量”は、対象に投与した場合に意図する予防効果をもつ量、たとえば特定の疾病状態の開始(または再発)を阻止もしくは遅延させ、または特定の疾病状態もしくは疾病の特定の症状の開始(または再発)の可能性を少なくする量である。完全な予防効果が必ずしも1回量の投与により起きる必要はなく、一連の用量の投与後に初めて起きてもよい。したがって、予防に有効な量は1回以上の投与で投与することができる。
【0059】
[0068] SEQ ID NO:1〜38の核酸配列は、表3に従ってSEQ ID NO:39〜77のターゲットmiRNA配列にハイブリダイズする。したがって、核酸SEQ ID NO:1はmiR−100(SEQ ID NO:39)にハイブリダイズし、核酸SEQ ID NO:2はmiR−103−1,2(SEQ ID NO:40)にハイブリダイズするなど(本明細書中に多様に記載したとおり)。
【0060】
[0069] 前記のセクションにおいて考察したRNA分子にハイブリダイズする抗−miRNA核酸分子の態様が、貧血症、血友病または鎌状赤血球症を処置する方法に同等に適用される。たとえば、ある態様において、RNA分子は、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−191(SEQ ID NO:42)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−520−f(SEQ ID NO:44)、miR−520−g,h(SEQ ID NO:45)、miR−524(SEQ ID NO:46)、miR−198(SEQ ID NO:47)、miR−299−3p(SEQ ID NO:48)、miR−299−5p(SEQ ID NO:49)、miR−498(SEQ ID NO:50)、miR−518−f(SEQ ID NO:51)、およびその前駆体から選択されるmiRNAを含むことができる。他の態様において、RNA分子は、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−191(SEQ ID NO:42)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−520−f(SEQ ID NO:44)、miR−520−g,h(SEQ ID NO:45)、miR−524(SEQ ID NO:46)、およびその前駆体から選択されるmiRNAを含むことができる。RNA分子は、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−524(SEQ ID NO:46)、およびその前駆体を含むこともできる。RNA分子は、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−524(SEQ ID NO:46)、およびその前駆体を含むこともできる。RNA分子は、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−191(SEQ ID NO:42)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−524(SEQ ID NO:46)、およびその前駆体を含むこともできる。RNA分子は、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、およびその前駆体を含むこともできる。RNA分子は、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−198(SEQ ID NO:47)、miR−299−3p(SEQ ID NO:48)、miR−299−5p(SEQ ID NO:49)、miR−498(SEQ ID NO:50)、miR−518−f(SEQ ID NO:51)、およびその前駆体を含むこともできる。RNA分子は、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−299−5p(SEQ ID NO:49)、およびその前駆体を含むこともできる。RNA分子は、miR−337(SEQ ID NO:43)であってもよい。
【0061】
[0070] 本発明の核酸は、RNA分子にハイブリダイズすることができ、RNA分子に対してアンチセンスであり、RNA分子に対して実質的に相補的であり、および/またはSEQ ID NO:1〜38のうちの1つの6核酸塩基(またはヌクレオチド)以上の配列に対して少なくとも70%の配列同一性を備えた配列をもつ。SEQ ID NO:1〜38の配列については表2を参照。RNA分子の態様に関して、前記のセクションIIIにおいて考察した核酸の態様が、対象において貧血症、血友病または鎌状赤血球症を処置し、EPOレベルを上昇させ、赤血球形成を増大させる方法に同等に適用される。したがって、たとえば、核酸は、SEQ ID NO:1〜38のうちのいずれか1つ内の6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または21核酸塩基の配列との少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性をもつことができる。あるいは、核酸は、SEQ ID NO:1〜38のうちのいずれか1つから8核酸塩基(またはヌクレオチド)より多くは相異しない配列を含むか、またはそれからなることができる。他の態様において、核酸は、SEQ ID NO:1〜38のうちのいずれか1つから5、6または7核酸塩基(またはヌクレオチド)より多くは相異しない配列を含むことができる。他の態様において、核酸は、SEQ ID NO:1〜38のうちのいずれか1つから1、2、3または4核酸塩基(またはヌクレオチド)より多くは相異しない配列を含むことができる。
【0062】
[0071] 本発明の核酸は、貧血症、血友病および鎌状赤血球症の処置に有効ないずれか適切な方法で投与することができる。したがって、たとえば、投与は経口、直腸、局所、非経口もしくは静脈内への投与、または注入によるものであってもよい。有効量を適用する方法は、処置される障害または疾患によっても異なる。適用を容易にするための適切なキャリヤー、追加の化合物もしくは化合物類、または希釈剤を配合した核酸を静脈内、皮下または筋肉内へ投与することによる非経口処置は、本発明の核酸を対象に投与するのに適切な別法である。
【0063】
[0072] 本発明の核酸を、併用療法に使用するための他の有効薬剤と組み合わせる(たとえば共投与する)ことができる。たとえば、ある態様においては、本発明の核酸を他の貧血症、血友病および鎌状赤血球症の療法と組み合わせる。たとえば、本明細書に記載する核酸と併用できる他の療法には、核酸を適切な薬剤、たとえば鉄、HIVの処置に使用する薬剤(たとえばAZT)、貧血症に使用する薬剤、癌の処置に使用する薬剤(たとえばシスプラチン)、高血圧症および血栓性事象に使用する薬剤と共投与することが含まれる。
【0064】
[0073] 核酸の有効性は既知の細胞系を用いてインビトロおよびインビボの両方で日常的なスクリーニングにより確認できることを、当業者は認識しているであろう。細胞系はアメリカン・ティッシュー・タイプ・カルチャー(American Tissue Type Culture)または他の研究室から入手できる。
【0065】
[0074] 本明細書に記載する方法および組成物は、ヒトを含む哺乳動物について実施するエリスロポエチン療法において、哺乳動物におけるEPOに起因するいずれかまたはすべての作用を発現させるために使用するのに適切である;たとえば、哺乳動物における網状赤血球応答の刺激、鉄動態作用(たとえば血漿鉄ターンオーバー作用および骨髄通過時間作用)の発現、赤血球質量の変化、ヘモグロビンC合成の刺激(参照:Eschbach, et al.、前掲)、組織の保護作用(たとえば心臓の保護)、およびヘマトクリットレベルの上昇。本発明の生成物で処置しうるクラスの対象には、一般に輸血を必要とする患者が含まれ、これには外傷被害者、外科処置患者、腎疾患患者(透析患者を含む)、および血液組成に影響を及ぼす多様な障害、たとえば血友病、鎌状赤血球症、生理的貧血症などを伴う患者が含まれる。EPO療法の採用により輸血療法の必要性を最小限に抑えられることは、感染因子の伝播を減らす結果になると期待される。これらの方法および組成物は、低酸素環境条件下にある個体の酸素運搬能を増大させ、おそらく有益な心血管効果をもたらすのにも有用である。
【0066】
[0075] したがって本発明の方法および組成物は、赤血球産生を刺激し、低下した赤血球レベルを補正するために使用できる。最も一般的には、赤血球レベルは貧血症のため低下する。本発明により処置しうる状態には、腎機能の低下または喪失(たとえば慢性腎不全、急性腎不全、および終末期腎疾患)に関連する貧血症、骨髄抑制療法、たとえば化学療法または抗ウイルス薬(たとえばAZT)に関連する貧血症、非骨髄性癌の進行に関連する貧血症、およびウイルス感染症(たとえばHIV)に関連する貧血症が含まれる。他の点では健康な個体において貧血を生じる可能性のある状態、たとえば外科処置中に予想される血液喪失も処置できる。本発明の核酸は、随時の(緊急ではない、elective)心臓以外、血管以外の外科処置を受ける予定の貧血症患者の処置に使用して、同種輸血の必要性を減らすこともできる。一般に、rHuEPOおよび/またはNESPで処置しうる状態はいずれも、本明細書に記載する方法および組成物を用いて処置することもできる。
【0067】
V.核酸および一般的な核酸合成
A.核酸のタイプ
[0076] 本発明の核酸を修飾して、ヌクレアーゼに対する核酸の安定性を高め、ハイブリダイゼーション安定性を高め、またはmiRNAもしくはmiRNA前駆体の機能の阻害を高めることができる。ある態様において、核酸は、天然または非修飾核酸中にみられる標準的なホスホジエステル結合に対する修飾を含む。リン原子を含む修飾された核酸主鎖(ヌクレオチド間結合)には、たとえば下記のものが含まれる:ホスホロチオエート、キラルホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホトリエステル、アミノアルキルホスホトリエステル、メチルその他のアルキルホスホネート:3’−アルキレンホスホネート、5’−アルキレンホスホネートおよびキラルホスホネートを含む、ホスフィネート、ホスホルアミデート:3’−アミノホスホルアミデートおよびアミノアルキルホスホルアミデートを含む、チオノホスホルアミデート、チオノアルキルホスホネート、チオノアルキルホスホトリエステル、セレノホスフェートおよびボラノホスフェートであって、普通の3’−5’結合をもつもの、これらの2’−5’結合類似体、ならびに1以上のヌクレオチド間結合が3’−3’、5’−5’、または2’−2’結合である逆転極性をもつもの。前記のリン含有結合については後記およびたとえばU.S.Pat.No.3,687,808;4,469,863;4,476,301;5,023,243;5,177,196;5,188,897;5,264,423;5,276,019;5,278,302;5,286,717;5,321,131;5,399,676;5,405,939;5,453,496;5,455,233;5,466,677;5,476,925;5,519,126;5,536,821;5,541,306;5,550,111;5,563,253;5,571,799;5,587,361;5,194,599;5,565,555;5,527,899;5,721,218;5,672,697および5,625,050中に、より詳細に考察されており、これらのそれぞれを本明細書に援用する。ある態様において、核酸はホスホロアミデート、ホスホロチエート(phosphorothiate)、ホスホロジチオエート、ボラノホスフェート、アルキルホスホネート、およびメチリンメチルイミノ(methylinemethylimino)から選択される1以上の修飾されたヌクレオチド間またはヌクレオシド間結合を含む。メチリンメチルイミノヌクレオシド間結合の詳細な記述については、U.S.Pat.No.5,378,825、5,386,023、5,489,677、5,602,240および5,610,289を参照;これらのそれぞれを本明細書に援用する。標準的なホスホジエステル結合または1以上の異なる修飾されたヌクレオチド間またはヌクレオシド間結合を含む適切な混合主鎖核酸結合が、本明細書に記載する方法に有用である。
【0068】
[0077] 本発明の核酸は、ロックされた核酸ユニット、2’−O−アルキルリボ核酸ユニット(2’−O−メチルリボ核酸ユニットおよび2’O−メトキシ−エチルリボ核酸ユニットを含む)、2’アルキルリボ核酸ユニット、2’アミンリボ核酸ユニット、ペプチド核酸ユニット、2’フルオロ−リボ核酸ユニット、モルホリノ核酸ユニット、シクロヘキサン核酸ユニット、またはトリシクロ核酸ユニットから選択される修飾された核酸ユニットを含むこともできる。修飾された核酸ユニットに関する、より詳細な情報については、U.S.App.No.2005/0182005を参照;これを本明細書に援用する。ある態様において、核酸はロックされた核酸(すなわち、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%のロックされた核酸ユニットを含む核酸)、2’−O−メチルリボ核酸(すなわち、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の2’−O−メチル核酸ユニットを含む核酸)、または2’−メトキシ−エチルリボ核酸(すなわち、少なくとも90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%または100%の2’−O−メトキシ−エチルリボ核酸ユニットを含む核酸)である。ある態様において、核酸は、ロックされた核酸、2’−O−メチルリボ核酸、または混合型の核酸−ロックされた核酸(すなわち、少なくとも50%のロックされた核酸ユニットを含み、残りのユニットはリボ核酸ユニットまたはデオキシリボ核酸ユニットである核酸)である。さらに他の態様において、核酸は、ロックされた核酸、または混合型の核酸−ロックされた核酸である。
【0069】
[0078] ある態様においては、少なくとも80%、85%、または90%のロックされた核酸ユニットをもつ核酸が提供される。ある関連態様において、残りのユニットはリボ核酸ユニットまたはデオキシリボ核酸ユニット、一般にリボ核酸ユニットである。他の態様において、核酸は少なくとも80%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、または99%のロックされた核酸ユニットを含む。これらの核酸は、RNA分子にハイブリダイズすることができ、RNA分子に対してアンチセンスであり、RNA分子に対して実質的に相補的であり、および/またはSEQ ID NO:1〜38のうちの1つの6核酸塩基(またはヌクレオチド)以上の配列に対して少なくとも70%の配列同一性を備えた配列をもつ。RNA分子は、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−191(SEQ ID NO:42)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−520−f(SEQ ID NO:44)、miR−520−g,h(SEQ ID NO:45)、miR−524(SEQ ID NO:46)、miR−198(SEQ ID NO:47)、miR−299−3p(SEQ ID NO:48)、miR−299−5p(SEQ ID NO:49)、miR−498(SEQ ID NO:50)、miR−518−f(SEQ ID NO:51)、let−7−a−1,2,3(SEQ ID NO:52)、let−7−b,c(SEQ ID NO:53)、let−7−g−I(SEQ ID NO:54)、miR−7−1,2,3(SEQ ID NO:55)、miR−9−1,2,3(SEQ ID NO:56)、miR−30−d(SEQ ID NO:57)、miR−34−b(SEQ ID NO:58)、miR−98(SEQ ID NO:59)、miR−128−a,b(SEQ ID NO:60)、miR−132(SEQ ID NO:61)、miR−133−a,b,1,2(SEQ ID NO:62)、miR−216(SEQ ID NO:63)、miR−448(SEQ ID NO:64)、miR−452(SEQ ID NO:65)、miR−491(SEQ ID NO:66)、miR−497(SEQ ID NO:67)、miR−520−b,c(SEQ ID NO:68)、miR−130−a,b(SEQ ID NO:69)、miR−142−5p(SEQ ID NO:70)、miR−193−b(SEQ ID NO:71)、miR−509(SEQ ID NO:72)、miR−523(SEQ ID NO:73)、miR−525(SEQ ID NO:74)、miR−526−a(SEQ ID NO:75)、miR−526−c(SEQ ID NO:76)、miR−518−b(SEQ ID NO:77)、およびその前駆体から選択されるmiRNA配列を含むことができる。核酸が規定したパーセントのロックされた核酸ユニットを含む場合、そのパーセントはロックされた核酸ユニットの数を核酸ユニットの総数で割り、100%を掛けたものである。ある態様においては、1、2、3、4または5つの核酸ユニット(たとえばヌクレオチド)を除いて、核酸内のすべての核酸ユニットがロックされた核酸ユニットである。ある態様において、ヌクレオチド間結合はホスホジエステル結合またはホスホロチオエート結合である。ロックされた核酸ユニットではない核酸はいずれも、リボ核酸ユニット、デオキシリボ核酸ユニット、および2’−O−メチル核酸ユニットから選択できる。核酸は前記のセクションIIIに記載した適切な長さのいずれであってもよい(たとえば、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20または21核酸塩基の長さ)。ある態様において、核酸は、SEQ ID NO:1〜38のうちのいずれか1つとの、またはSEQ ID NO:1〜38のうちの1つの6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19または20核酸塩基の配列に対する、少なくとも75%、少なくとも80%、少なくとも85%、少なくとも90%、少なくとも91%、少なくとも92%、少なくとも93%、少なくとも94%、少なくとも95%、少なくとも96%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、または100%の配列同一性をもつ。
【0070】
[0079] 本発明の核酸は、核酸の能動もしくは受動輸送、局在化またはコンパートメント形成を促進する、結合またはコンジュゲートした1以上の部分をもつことができる。細胞内局在化には、核、核小体または細胞質内への局在化が含まれるが、これらに限定されない。コンパートメント形成には、核、核小体、ミトコンドリアを含めた細胞コンパートメントへの核酸化合物の何らかの指向性移動、または細胞膜中への埋込みが含まれるが、これらに限定されない。
【0071】
[0080] 本発明の核酸に加えることができる置換のひとつは、得られる核酸の活性、細胞内分布または細胞による取込みを増大させる1以上の部分またはコンジュゲートの結合を伴う。1態様において、そのような修飾された核酸は、コンジュゲート基をヒドロキシル基またはアミノ基などの官能基に共有結合させることにより製造される。コンジュゲート基には、インターカレーター、レポーター分子、ポリアミン、ポリアミド、ポリエチレングリコール、ポリエーテル、オリゴマーの薬力学的特性を高める基、およびオリゴマーの薬物動態特性を高める基が含まれる。一般的なコンジュゲート基には、コレステロール類、炭水化物、脂質、リン脂質、ビオチン、フェナジン、フォレート、フェナントリジン、アントラキノン、アクリジン、フルオレセイン類、ローダミン類、クマリン類、および色素が含まれる。薬力学的特性を高める基には、オリゴマーの取込みを改善し、分解に対するオリゴマーの抵抗性を増大させ、および/またはRNAとのハイブリダイゼーションを増強する基が含まれる。薬物動態特性を高める基には、オリゴマーの取込み、分布、代謝または排出を改善する基が含まれる。代表的なコンジュゲート基は、国際特許出願PCT/US92/09196、1992年10月23日出願に開示されており、その開示内容全体を本明細書に援用する。コンジュゲート部分には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:脂質部分、たとえばコレステロール部分(Letsinger et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1989, 86, 6553-6556)、コール酸(Manoharan et al., Bioorg. Med. Chem. Let., 1994, 4, 1053-1060)、チオエーテル、たとえばヘキシル−S−トリチルチオール(Manoharan et al., Ann. N. Y. Acad. Sci., 1992, 660, 306-309; Manoharan et al., Bioorg. Med. Chem. Let., 1993, 3, 2765-2770)、チオコレステロール(Oberhauser et al., Nucl. Acids Res., 1992, 20, 533-538)、脂肪族鎖、たとえばドデカンジオールまたはウンデシル残基(Saison-Behmoaras et al., EMBO J., 1991, 10, 1111-1118; Kabanov et al., FEBS Lett., 1990, 259, 327-330; Svinarchuk et al., Biochimie, 1993, 75, 49-54)、リン脂質、たとえばジ−ヘキサデシル−rac−グリセロールもしくはトリエチルアンモニウム1,2−ジ−O−ヘキサデシル−rac−グリセロ−3−H−ホスホネート(Manoharan et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36, 3651-3654; Shea et al., Nucl. Acids Res., 1990, 18, 3777-3783)、ポリアミンもしくはポリエチレングリコール鎖(Manoharan et al., Nucleosides & Nucleotides, 1995, 14, 969-973)、またはアダマンタン酢酸(Manoharan et al., Tetrahedron Lett., 1995, 36, 3651-3654)、パルミチル部分(Mishra et al., Biochim. Biophys. Acta, 1995, 1264, 229-237)、またはオクタデシルアミンもしくはヘキシルアミノ−カルボニル−オキシコレステロール部分(Crooke et al., J. Pharmacol. Exp. Ther., 1996, 277, 923-937)。
【0072】
[0081] 本発明の核酸を、たとえば下記の有効薬物にコンジュゲートさせることもできる:アスピリン、ワルファリン、フェニルブタゾン(phenylbutazone)、イブプロフェン(ibuprofen)、スプロフェン(suprofen)、フェンブフェン(fenbufen)、ケトプロフェン(ketoprofen)、(S)−(+)−プラノプロフェン((S)−(+)−pranoprofen)、カルプロフェン(carprofen)、ダンシルサルコシン(dansylsarcosine)、2,3,5−トリヨード安息香酸、フルフェナム酸(flufenamic acid)、フォリン酸(folinic acid)、ベンゾチアジアジド(benzothiadiazide)、クロロチアジド(chlorothiazide)、ジアゼピン類、インドメタシン(indomethicin)、バルビツレート(barbiturate)、セファロスポリン、サルファ剤、抗糖尿病薬、抗菌薬または抗生物質。核酸−薬物コンジュゲートおよびそれらの製造は米国特許出願No.09/334,130(1999年6月15日出願)に記載されており、これの全体を本明細書に援用する。
【0073】
[0082] そのような核酸コンジュゲートの製造を教示した代表的な米国特許には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:U.S.Pat.No.4,828,979;4,948,882;5,218,105;5,525,465;5,541,313;5,545,730;5,552,538;5,578,717,5,580,731;5,580,731;5,591,584;5,109,124;5,118,802;5,138,045;5,414,077;5,486,603;5,512,439;5,578,718;5,608,046;4,587,044;4,605,735;4,667,025;4,762,779;4,789,737;4,824,941;4,835,263;4,876,335;4,904,582;4,958,013;5,082,830;5,112,963;5,214,136;5,082,830;5,112,963;5,214,136;5,245,022;5,254,469;5,258,506;5,262,536;5,272,250;5,292,873;5,317,098;5,371,241,5,391,723;5,416,203,5,451,463;5,510,475;5,512,667;5,514,785;5,565,552;5,567,810;5,574,142;5,585,481;5,587,371;5,595,726;5,597,696;5,599,923;5,599,928および5,688,941;これらのそれぞれをあらゆる目的で本明細書に援用する。
【0074】
[0083] 核酸は1以上の安定化基をもつように修飾することもでき、これらを一般に核酸の一方または両方の末端に結合させて、たとえばヌクレアーゼ安定性などの特性を向上させる。安定化基にはキャップ構造が含まれる。“キャップ構造または末端キャップ部分”とは、核酸のいずれかの末端に組み込まれた化学修飾を意味する(参照:たとえばWincottら,WO 97/26270;本明細書に援用する)。これらの末端修飾は、末端核酸分子をもつ核酸をエキソヌクレアーゼ分解から保護し、細胞内での送達および/または局在化を補助することができる。キャップは5’−末端(5’−キャップ)または3’−末端(3’−キャップ)に存在することができ、あるいは両方の末端に存在することができる。二本鎖核酸については、キャップはいずれの鎖の一方または両方の末端にも存在することができる。限定ではない例において、5’−キャップには下記のものが含まれる:逆方向脱塩基残基(inverted abasic residue)(部分)、4’,5’−メチレンヌクレオチド;1−(ベータ−D−エリスロフラノシル)ヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、炭素環式ヌクレオチド;1,5−アンヒドロヘキシトールヌクレオチド;L−ヌクレオチド;アルファ−ヌクレオチド;修飾塩基ヌクレオチド;ホスホロジチオエート結合;トレオ−ペントフラノシルヌクレオチド;非環式3’,4’−セコヌクレオチド;非環式3,4−ジヒドロキシブチルヌクレオチド;非環式3,5−ジヒドロキシペンチルリウクレオチド(acyclic 3,5−dihydroxypentyl riucleotide)、3’−3’−逆方向ヌクレオチド部分;3’−3’−逆方向脱塩基部分;3’−2’−逆方向ヌクレオチド部分;3’−2’−逆方向脱塩基部分;1,4−ブタンジオールホスフェート;3’−ホスホルアミデート;ヘキシルホスフェート;アミノヘキシルホスフェート;3’−ホスフェート;3’−ホスホロチオエート;ホスホロジチオエート;または架橋もしくは非架橋メチルホスホネート部分(参照:たとえばWincottら,PCT公開No.WO 97/26270;本明細書に援用する)。
【0075】
[0084] 有用な3’−キャップ構造には、たとえば下記のものが含まれる:4’,5’−メチレンヌクレオチド;1−(ベータ−D−エリスロフラノシル)ヌクレオチド;4’−チオヌクレオチド、炭素環式ヌクレオチド;5’−アミノ−アルキルホスフェート;1,3−ジアミノ−2−プロピルホスフェート、3−アミノプロピルホスフェート;6−アミノヘキシルホスフェート;1,2−アミノドデシルホスフェート;ヒドロキシプロピルホスフェート;1,5−アンヒドロヘキシトールヌクレオチド;L−ヌクレオチド;アルファ−ヌクレオチド;修飾塩基ヌクレオチド;ホスホロジチオエート;トレオ−ペントフラノシルヌクレオチド;非環式3’,4’−セコヌクレオチド;3,4−ジヒドロキシブチルヌクレオチド;3,5−ジヒドロキシペンチルヌクレオチド,5’−5’−逆方向ヌクレオチド部分;5’−5’−逆方向脱塩基部分;5’−ホスホルアミデート;5’−ホスホロチオエート;1,4−ブタンジオールホスフェート;5’−アミノ;架橋および/または非架橋5’−ホスホルアミデート、ホスホロチオエートおよび/またはホスホロジチオエート、架橋または非架橋メチルホスホネートおよび5’−メルカプト部分(これ以上の詳細については、Beaucage and Tyer, 1993, Tetrahedron 49, 1925を参照;本明細書に援用する)。ヌクレアーゼ安定性を付与するために核酸の一方または両方の末端をキャッピングするために使用できる他の3’および5’−安定化基には、WO 03/004602、2003年1月16日公開に開示されるものが含まれる。
【0076】
B.一般的な核酸合成
[0085] 修飾および非修飾ヌクレオシドのオリゴマー化は、文献方法に従って実施される:適宜、DNA様化合物について(参照:たとえばProtocols for Oligonucleotides and Analogs, Ed. Agrawal (1993), Humana Press)および/またはRNA様化合物について(参照:たとえばScaringe, Methods (2001), 23, 206-217; Gait et al., Applications of Chemically synthesized RNA in RNA:Protein Interactions, Ed. Smith (1998), 1-36; Gallo et al., Tetrahedron (2001), 57, 5707-5713)の合成。さらに、核酸の合成についてのプロトコルの若干例を以下に示す。
【0077】
[0086] RNAは本明細書に記載する方法により合成でき、あるいは種々のRNA合成企業(たとえばDharmacon Research Inc.(Lafayette,CO))から購入できる。
【0078】
[0087] 使用する個々のプロトコルに関係なく、本明細書中で用いる核酸は周知の固相合成法によって簡便かつ日常的に製造できる。そのような合成のための装置は、たとえばApplied Biosystems(カリフォルニア州フォスター・シティー)を含めた幾つかの業者により販売されている。当技術分野で既知のそのような合成のための他のいずれかの手段を、さらに、または代わりに使用できる。
【0079】
[0088]アミダイトおよびそれらの中間体を含めた下記の化合物は、U.S.Pat.No.6,426,220および公開PCT WO 02/36743の記載に従って製造できる;5’−O−ジメトキシトリチル−チミジン:5−メチル dCアミダイトの中間体、5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−5−メチルシチジン:5−メチル−dCアミダイトの中間体、5’−O−ジメトキシトリチル−2’−デオキシ−N−ベンゾイル−5−メチルシチジン:5−メチル dCアミダイトの前中間体、(5’−O−(4,4’−ジメトキシトリフェニルメチル)−2’−デオキシ−N−ベンゾイル−5−メチルシチジン−3’−O−イル)−2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト(5−メチル dCアミダイト)、2’−フルオロデオキシアデノシン、2’−フルオロデオキシグアノシン、2’−フルオロウリジン、2’−フルオロデオキシシチジン、2’−O−(2−メトキシエチル)修飾アミダイト、2’−O−(2−メトキシエチル)−5−メチルウリジン中間体、5’−O−DMT−2’−O−(2−メトキシエチル)−5−メチルウリジン前中間体、(5’−O−(4,4’−ジメトキシトリフェニルメチル)−2’−O−(2−メトキシエチル)−5−メチルウリジン−3’−O−イル)−2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト(MOE Tアミダイト)、5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−(2−メトキシエチル)−5−メチルシチジン中間体、5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−(2−メトキシエチル)−N−ベンゾイル−5−メチル−シチジン前中間体、(5’−O−(4,4’−ジメトキシトリフェニルメチル)−2’−O−(2−メトキシエチル)−N−ベンゾイル−5−メチルシチジン−3’−O−イル)−2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト(MOE 5−Me−Cアミダイト)、(5’−O−(4,4’−ジメトキシトリフェニルメチル)−2’−O−(2−メトキシエチル)−N−ベンゾイルアデノシン−3’−O−イル)−2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト(MOE Aアミダイト)、(5’−O−(4,4’−ジメトキシトリフェニルメチル)−2’−O−(2−メトキシエチル)−N−イソブチリルグアノシン−3’−O−イル)−2−シアノエチル−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト(MOE Gアミダイト)、2’−O−(アミノオキシエチル)ヌクレオシドアミダイトおよび2’−O−(ジメチルアミノオキシエチル)ヌクレオシドアミダイト、2’−(ジメチルアミノオキシエトキシ)ヌクレオシドアミダイト、5’−O−tert−ブチルジフェニルシリル−O−2’−アンヒドロ−5−メチルウリジン、5’−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2’−O−(2−ヒドロキシエチル)−5−メチル−ウリジン、2’−O−((2−フタルイミドキシ)エチル)−5’−t−ブチルジフェニルシリル−5−メチルウリジン、5’−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2’−O−((2−ホルムアドキシミノオキシ)エチル)−5−メチルウリジン、5’−O−tert−ブチルジフェニルシリル−2’−O−(N,N ジメチルアミノオキシエチル)−5−メチルウリジン、2’−O−(ジメチルアミノオキシエチル)−5−メチルウリジン、5’−O−DMT−2’−O−(ジメチルアミノオキシエチル)−5−メチルウリジン、5’−O−DMT−2’−O−(2−N,N−ジメチルアミノオキシエチル)−5−メチルウリジン−3’−((2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)、2’−(アミノオキシエトキシ)ヌクレオシドアミダイト、N−イソブチリル−6−O−ジフェニルカルバモイル−2’−O−(2−エチルアセチル)−5’−O−(4,4’−ジメトキシトリチル)グアノシン−3’−((2−シアノエチル)−N,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト)、2’−ジメチルアミノエトキシエトキシ(2’−DMAEOE)ヌクレオシドアミダイト、2’−O−(2(2−N,N−ジメチルアミノエトキシ)エチル)−5−メチルウリジン、5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−(2(2−N,N−ジメチルアミノエトキシ)−エチル))−5−メチルウリジンおよび5’−O−ジメトキシトリチル−2’−O−(2(2−N,N−ジメチルアミノエトキシ)−エチル−))−5−メチルウリジン−3’−O−(シアノエチル−N,N−ジイソプロピル)ホスホルアミダイト。
【0080】
[0089] 非置換および置換ホスホジエステル(P=O)核酸は、自動核酸合成装置(Applied Biosystems model 394)で標準的なホスホルアミダイト化学を用いてヨウ素による酸化により合成できる。一般に、核酸を固体支持体(たとえば制御ポアガラスカラム)から開裂させ、濃水酸化アンモニウム中で脱ブロックし、次いでNHOAcを用いてエタノールで沈殿させることにより回収できる。合成された核酸をエレクトロスプレー質量分析(分子量測定)およびキャピラリーゲル電気泳動により分析することができる。
【0081】
[0090] ホスホロチオエート(P=S)は、下記の点を除いてホスホジエステル核酸と同様に合成できる:チエーション(thiation)は、ホスファイト結合の酸化のためにアセトニトリル中の10% w/v 3,H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン1,1−ジオキシド溶液を用いて行われる。このチエーション反応工程時間を180秒に延長し、その前に普通のキャッピング工程を行なう。固体支持体から開裂させ、濃水酸化アンモニウム中、適切な温度で脱ブロックした後、エタノールを用いて1M NHOAc溶液から沈殿させることにより核酸を回収できる。ホスフィネート核酸は、U.S.Pat.No.5,508,270の記載に従って製造でき、これを本明細書に援用する。
【0082】
[0091] アルキルホスホネート核酸は、U.S.Pat.No.4,469,863の記載に従って製造でき、これを本明細書に援用する。
[0092] 3’−デオキシ−3’−メチレンホスホネート核酸は、U.S.Pat.No.5,610,289または5,625,050の記載に従って製造でき、これらを本明細書に援用する。
【0083】
[0093] ホスホルアミダイト核酸は、U.S.Pat.No.5,256,775またはU.S.Pat.No.5,366,878の記載に従って製造でき、これらを本明細書に援用する。
【0084】
[0094] アルキルホスホノチオエート核酸は、公開PCT出願PCT/US94/00902およびPCT/US93/06976(それぞれWO 94/17093およびWO 94/02499として公開)の記載に従って製造でき、これらを本明細書に援用する。
【0085】
[0095] 3’−デオキシ−3’−アミノホスホルアミダイト核酸は、U.S.Pat. No.5,476,925の記載に従って製造でき、これを本明細書に援用する。
[0096] ホスホトリエステル核酸は、U.S.Pat.No.5,023,243の記載に従って製造でき、これを本明細書に援用する。
【0086】
[0097] ボラノホスフェート核酸は、U.S.Pat.No.5,130,302および5,177,198の記載に従って製造でき、これらの両方を本明細書に援用する。
[0098] メチレンメチルイミノ結合オリゴヌクレオシド(MMI結合オリゴヌクレオシドとしても認識される)、メチレンジメチルヒドラゾ結合オリゴヌクレオシド(MDH結合オリゴヌクレオシドとしても認識される)、およびメチレンカルボニルアミノ結合オリゴヌクレオシド(アミド−3結合オリゴヌクレオシドとしても認識される)、およびメチレンアミノカルボニル結合オリゴヌクレオシド(アミド−4結合オリゴヌクレオシドとしても認識される)、ならびに、たとえば交互にMMIとP=OまたはP=S結合をもつ混合主鎖核酸は、U.S.Pat.No.5,378,825、5,386,023、5,489,677、5,602,240および5,610,289の記載に従って製造でき、これらのすべてを本明細書に援用する。
【0087】
[0099] ホルムアセタールおよびチオホルムアセタール結合オリゴヌクレオシドは、U.S.Pat.No.5,264,562および5,264,564の記載に従って製造でき、これらを本明細書に援用する。
【0088】
[00100] エチレンオキシド結合オリゴヌクレオシドは、U.S.Pat.No.5,223,618の記載に従って製造でき、これを本明細書に援用する。
[00101] 一般に、RNA合成化学は、肝要な中間反応における種々の保護基の選択的取込みに基づく。当業者は有機合成における保護基の使用を理解しているであろうが、有用なクラスの保護基にはシリルエーテルが含まれる。特に、嵩高いシリルエーテルは5’−ヒドロキシルの保護のために、2’−ヒドロキシル上の酸不安定オルトエステル保護基と組み合わせて使用できる。その際、この一組の保護基は、標準的な固相合成法で用いられる。他のすべての合成工程の後、最後に酸不安定オルトエステル保護基を除去することが重要である。さらに、合成に際して初期にシリル保護基を使用すると希望する時点で確実に容易に除去でき、2’−ヒドロキシルが不都合に脱保護されることがない。
【0089】
[00102] 異なる方法で除去できかつ異なる化学的不安定性にすることができる保護基による2’−ヒドロキシルの保護と組み合わせた5’−ヒドロキシルの逐次保護のためのこの操作に従って、RNA核酸を合成することができる。
【0090】
[00103] RNA核酸は段階方式で合成できる。この方法では、固体支持体に結合した核酸に各ヌクレオチドを逐次(3’−から5’−方向へ)付加する。鎖の3’−末端の第1ヌクレオシドを固体支持体に共有結合させる。ヌクレオチド前駆体リボヌクレオシドホスホルアミダイト、および活性化剤を添加し、この第2塩基を第1ヌクレオシドの5’−末端に結合させることができる。支持体を洗浄し、いずれかの未反応5’−ヒドロキシル基を無水酢酸でキャッピングして、5’−アセチル部分を得ることができる。次いでこの結合を酸化して、より安定な最終目的P(V)結合にする。ヌクレオチド付加サイクルの終了時に、5’−シリル基をフッ化物で開裂させる。このサイクルを後続のヌクレオチドそれぞれについて繰り返す。合成後、ホスフェート上のメチル保護基をDMF中の1Mジナトリウム−2−カルバモイル−2−シアノエチレン−1,1−ジチオレート3水和物(SNa)により開裂させることができる。この脱保護溶液を、固体支持体に結合した核酸から水により洗浄除去する。次いで支持体を水中の40%メチルアミンで処理する。これによりRNA核酸を溶液中へ放出させ、環外アミンを脱保護し、そして2’−基を修飾する。この段階で核酸をアニオン交換HPLCにより分析することができる。
【0091】
[00104] 2’−オルトエステル基は除去すべき最後の保護基にすることができる。Dharmacon Research,Inc.(コロラド州ラファイエット)が開発したエチレングリコールモノアセテートオルトエステル保護基は、有用なオルトエステル保護基の一例であり、これは下記の重要な特性をもつ。それはヌクレオシドホスホルアミダイト合成および核酸合成の条件に対しては安定である。しかし、核酸合成の後、核酸をメチルアミンで処理すると、これにより核酸が固体支持体から開裂するだけでなく、オルトエステルからアセチル基も除去される。オルトエステル上に生じる2−エチル−ヒドロキシル置換基は、アセチル化された前駆体より電子求引性が低い可能性がある。その結果、この修飾オルトエステルは酸触媒加水分解に対して、より不安定になる。具体的には、開裂速度はアセチル基が除去された後に約10倍速くなる。このため、このオルトエステルは核酸合成に適合するのに十分な安定性をもち、なおかつ、その後修飾されると最終RNA核酸生成物に適合する比較的緩和な水性条件下で脱保護を行なうことができる。
【0092】
[00105] さらに、RNA合成方法は当技術分野で周知である(Scaringe, S. A. Ph.D. Thesis, University of Colorado, 1996; Scaringe, S. A., et al., J. Am. Chem. Soc., 1998, 120, 11820-11821; Matteucci, M. D. and Caruthers, M. H. J. Am. Chem. Soc., 1981, 103, 3185-3191; Beaucage, S. L. and Caruthers, M. H. Tetrahedron Lett., 1981, 22, 1859-1862; Dahl, B. J., et al., Acta Chem. Scand,. 1990, 44, 639-641; Reddy, M. P., et al., Tetrahedron Lett., 1994, 25, 4311-4314; Wincott, F. et al., Nucleic Acids Res., 1995, 23, 2677-2684; Griffin, B. E., et al., Tetrahedron, 1967, 23, 2301-2313; Griffin, B. E., et al., Tetrahedron, 1967, 23, 2315-2331)。
【0093】
[0100] 少なくとも1つの2’−O−保護ヌクレオシドを含む核酸を製造することもできる。2’−O−保護ヌクレオシドを取り込ませ、適切に脱保護した後、取り込ませた位置においてリボヌクレオシドに変換することができる。最終核酸中の2−リボヌクレオシドユニットの数および位置は、いずれかの部位における1つから変動させることができ、あるいはこの方法を用いて完全2’−OH修飾核酸まで製造することができる。核酸の合成に従うすべての2’−O−保護基が本発明に含まれる。
【0094】
[0101] 一般に、保護されたヌクレオシドを、たとえばスクシネートリンカーにより固体支持体に付着させる。次いでこの核酸を、5’−末端ヒドロキシル基の脱保護、追加ヌクレオシドユニットの結合、キャッピングおよび酸化(あるいは硫化)の反復サイクルにより延長する。比較的頻繁に用いられる合成方法においては、アンモニア溶液で処理することにより、ホスフェート保護基および環外アミノ保護基の除去と共に、完成した核酸を固体支持体から開裂させる。次いで普通は、2’−ヒドロキシル基の保護のために用いたより特殊な保護基のためにさらに脱保護工程が必要であり、これによって完全に脱保護された核酸が得られるであろう。
【0095】
[0102] 有効な2’−O−保護基は、2’−O−位置に一般に選択的に導入でき、合成後に不都合な副生物の形成なしに容易に除去できる。この保護基は、オリゴリボヌクレオチド合成に必要な普通の脱保護、結合およびキャッピングの工程に対して通常は不活性である。保護基の例には、下記のものが含まれる:テトラヒドロピラン−1−イル、4−メトキシテトラヒドロピラン−4−イル、ピペリジン誘導体(たとえばFpmp)(Reese et al., Tetrahedron Lett., 1986, (27), 2291)、標準的な5’−DMT(ジメトキシトリチル)基、t−ブチルジメチルシリル基(Ogilvie et al., Tetrahedron Lett., 1974, 2861; Hakimelahi et al., Tetrahedron Lett., 1981, (22), 2543; およびJones et al., J. Chem. Soc. Perkin I., 2762)、フッ化物不安定および光不安定な保護基(たとえば2−(ニトロベンジル)オキシ)メチル(nbm)保護基(Schwartz et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 1992, (2), 1019))、ホルムアルデヒドアセタール誘導2’−O−保護基、2’−O−アルキル化ヌクレオシドホスホルアミダイト:2’−O−((トリイソプロピルシリル)オキシ)メチル(2’−O-CH−O−−Si(iPr)TOM)、フッ化物不安定5’−O−保護基(非−酸不安定)および酸不安定2’−O−保護基(Scaringe, Stephen A., Methods, 2001, (23) 206-217)。特に有用な保護スキームは、5’−O−シリルエーテル−2’−ACE(5’−O−ビス(トリメチルシロキシ)シクロドデシルオキシシリルエーテル(DOD)−2’−O−ビス(2−アセトキシエトキシ)メチル(ACE)である。この方法は、RNA/DNA合成に日常的には用いられないある異なる試薬が必要な点で改変されたホスホルアミダイト合成法を採用する。
【0096】
[0103] 商業的に用いられるRNA合成方法には、5’−O−DMT−2’−O−t−ブチルジメチルシリル(TBDMS)、5’−O−DMT−2’−O−(1(2−フルオロフェニル)−4−メトキシピペリジン−4−イル)(FPMP)、2’−O−((トリイソプロピルシリル)オキシ)メチル(2’−O−CH−O−Si(iPr)(TOM)、および5’−O−シリルエーテル−2’−ACE(5’−O−ビス(トリメチルシロキシ)シクロドデシルオキシシリルエーテル(DOD)−2’−O−ビス(2−アセトキシエトキシ)メチル(ACE)が含まれる。現在RNA製品を提供している幾つかの主要な企業の現在のリストには、Pierce Nucleic Acid Technologies、Dharmacon Research Inc.、Ameri Biotechnologies Inc.、およびIntegrated DNA Technologies,Inc.が含まれる。
【0097】
[0104] 核酸は、96ウェルフォーマットで96の配列を同時に組み立てることができる自動合成装置での固相P(III)ホスホルアミダイト化学によっても合成できる。ホスホジエステルヌクレオチド間結合は、水性ヨウ素による酸化により得ることができる。ホスホロチオエートヌクレオチド間結合は、無水アセトニトリル中の3,H−1,2ベンゾジチオール−3−オン1,1ジオキシド(Beaucage試薬)を用いる硫化により形成できる。標準的な塩基保護したベータ−シアノエチルジイソプロピルホスホルアミダイトは、業者(たとえばPE−Applied Biosystems,カリフォルニア州フォスター・シティー、またはPharmacia,ニュージャージー州ピスカッタウェイ)から購入できる。標準的ではないヌクレオシドは、標準法または特許方法により合成できる。それらを塩基保護したベータ−シアノエチルジイソプロピルホスホルアミダイトとして使用できる。
【0098】
[0105] リン原子を含まない修飾核酸の主鎖(ヌクレオシド間結合)は、短鎖アルキルまたはシクロアルキルヌクレオシド間結合、混合型のヘテロ原子およびアルキルまたはシクロアルキルヌクレオシド間結合、あるいは1以上の短鎖ヘテロ原子または複素環式ヌクレオシド間結合により形成された主鎖をもつ。これらには、モルホリノ結合(一部はヌクレオシドの糖部分から形成);シロキサン主鎖;スルフィド、スルホキシドおよびスルホン主鎖;ホルムアセチルおよびチオホルムアセチル主鎖;メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチル主鎖;リボアセチル主鎖;アルケン含有主鎖;スルファメート主鎖;メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノ主鎖;スルホネートおよびスルホンアミド主鎖;アミド主鎖;ならびに混合したN、O、SおよびCH成分部分をもつ他のものが含まれる。
【0099】
[0106] 前記のオリゴヌクレオシドの製造を教示する代表的な米国特許には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:U.S.Pat.No.5,034,506;5,166,315;5,185,444;5,214,134;5,216,141;5,235,033;5,264,562;5,264,564;5,405,938;5,434,257;5,466,677;5,470,967;5,489,677;5,541,307;5,561,225;5,596,086;5,602,240;5,610,289;5,602,240;5,608,046;5,610,289;5,618,704;5,623,070;5,663,312;5,633,360;5,677,437;5,792,608;5,646,269および5,677,439;これらのそれぞれを本明細書に援用する。
【0100】
[0107] 本明細書に提示する方法に従う他のグループの核酸には、核酸模倣体が含まれる。核酸に適用した模倣体という用語は、フラノース環のみまたはフラノース環とヌクレオチド間結合の両方を新規な基で交換することができる核酸を含むものとし、フラノース環のみの交換を当技術分野で糖代替(sugar surrogate)とも言う。複素環式塩基部分または修飾された複素環式塩基部分は、適切なターゲット核酸とのハイブリダイゼーションのために維持されている。卓越したハイブリダイゼーション特性をもつことが示されているそのような核酸模倣化合物のひとつは、ペプチド核酸(PNA)と言われている。PNA核酸において、核酸の糖−主鎖はアミド含有主鎖、特にアミノエチルグリシン主鎖で交換されている。核酸塩基を保持し、主鎖のアミド部分のアザ窒素原子に直接または間接的に結合させることができる。PNA核酸の製造を教示する代表的な米国特許にはU.S.Pat.No.5,539,082;5,714,331;および5,719,262が含まれるが、これらに限定されない;これらのそれぞれを本明細書に援用する。PNA核酸の考察は、Nielsen et al., Science, 1991, 254, 1497-1500中にある。
【0101】
[0108] 使用できる他の核酸模倣体には、二環式である糖部分をもつことにより糖のコンホメーション形状がロックされるヌクレオシドが含まれる。そのようなヌクレオチドの一例は、4’−CH−−O−2’橋をもつ二環式糖部分である。2’−O−−がメチレン基により4’炭素に結合している(参照:米国特許出願公開No.2003/0087230)。このキシロ(xylo)類似体も製造されている(参照:米国特許出願公開No.2003/0082807)。ロックされた核酸(LNA)の橋は4’−(−CH−)−O−2’であってもよく、ここでnは1または2である(Kanekoら,米国特許出願公開No.US 2002/0147332、Singh et al., Chem. Commun., 1998, 4, 455-456、同様にU.S.Pat.No.6,268,490および6,670,461ならびに米国特許出願公開No.US 2003/0207841も参照されたい)。しかし、ロックされた核酸という用語は、より全般的な意味で、ロックされたコンホメーションをもついかなる二環式糖部分をも記述するために使用できる。
【0102】
[0109] LNAを含む有効かつ無毒性のアンチセンス核酸が記載されている(Wahlestedt et al., Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A., 2000, 97, 5633-5638.)。LNAモノマーであるアデニン、シトシン、グアニン、5−メチル−シトシン、チミンおよびウラシルの合成および製造、ならびにそれらのオリゴマー化、ならびに核酸認識特性が記載されている(Koshkin et al., Tetrahedron, 1998, 54, 3607-3630)。LNAおよびその製造もWO 98/39352およびWO 99/14226に記載されている。LNAの最初の類似体であるホスホロチオエート−LNAおよび2’−チオ−LNAも製造されている(Kumar et al., Bioorg. Med. Chem. Lett., 1998, 8, 2219-2222)。核酸ポリメラーゼに対する基質としてのオリゴデオキシリボヌクレオチドデュプレックスを含むロックされたヌクレオシド類似体の調製も記載されている(Wengelら、PCT国際特許出願WO 98−DK393 19980914)。さらに、2’−アミノ−LNA、すなわちハンドルをもつコンホメーション制限された新規な高親和性の核酸類似体の合成が当技術分野で記載されている(Singh et al., J. Org. Chem., 1998, 63, 10035-10039)。さらに、2’−アミノ−および2’−メチルアミノ−LNAが製造され、それらと相補的なRNA鎖およびDNA鎖とのデュプレックスの熱安定性がこれまでに報告されている。米国特許出願No.20050261218も参照されたい。
【0103】
VI.アッセイ法
[0110] SEQ ID NO:1〜38の抗−miRNA核酸は、VEGFおよびEPOなどの遺伝子の数を増加させるアッセイに使用できる。次いでこれらのアッセイを用いてEPOのアゴニストおよびアンタゴニストをスクリーニングすることができる。
【0104】
[0111] 他の態様において、抗−miRNA核酸がRNA分子にハイブリダイズしてEPOなど種々の遺伝子の発現および/または分泌を増大させる能力を、当技術分野で周知の本明細書に記載するアッセイ法を用いて容易に調べることができる。
【0105】
[0112] たとえば、EPOの発現および/または分泌が増大するかを調べるためのあるアッセイにおいては、検出可能なレベルのEPOを発現する細胞を用いる。この検出可能なEPOを修飾して、イメージベースの計測器プラットフォームを用いて検出しうるようにすることができる。たとえば、蛍光タンパク質タグを含む組換えEPOタンパク質を発現するように細胞を設計することができる。あるいは、検出可能な抗−EPO抗体を用いてEPOレベルを検出することができる。この抗体は、蛍光性または化学発光性のタグを含むことができる。実施例3を参照。
【0106】
[0113] 種々の特性をもつ多数の蛍光タンパク質が市販されている。重要な考慮事項は、そのタンパク質の蛍光特性が検出装置に適合し、したがってプラットフォームの光源によって効果的に励起され、かつ発光波長を検出することが可能でなければならないということである。蛍光タンパク質をターゲットタンパク質トランスロケーションのマーカーとして使用する場合、蛍光タンパク質自体がEPOの発現および/または分泌を指令しないことが重要である。必要な分子数を最小限にするために、蛍光タンパク質は試験条件下で強い蛍光をもつべきである。哺乳動物細胞においては、増強グリーン蛍光タンパク質(Enhanced Green Fluorescent Protein)(EGFP)が望ましい場合がある。組換えEPOの検出に適切なイメージベースの計測器プラットフォームには、GE Healthcare IN Cell 3000、Cellomics ArrayScan、Evotec Opera、CompuCyte ICyte、Molecular Devices Discovery 1、BD Biosciences Atto Pathfinder HT、その他を含めることができる。主要なイメージングプラットフォームの製造業者はそれらの計測器と共に標準的なアルゴリズムを提供している。あるいは、プログラミング専門知識をもつ利用者はMATLABなどのプログラムを用いて特注アルゴリズムを作成することができる。
【0107】
[0114] ある態様においては、細胞を核酸で一過性トランスフェクションする。使用する核酸の濃度は細胞系毎に異なる。特定の細胞系に最適な核酸濃度を判定するためには、それらの細胞をある濃度範囲の陽性対照核酸で処理する。
【0108】
[0115] 細胞ベースのアッセイには、全細胞または細胞画分を使用できる。本明細書に開示する方法およびアッセイ法に従って使用できる細胞タイプの例には、たとえば当技術分野で既知のKelly細胞、HepG2細胞、肝細胞、腎細胞、および脾細胞、または他のいずれか適切な細胞が含まれる。
【0109】
[0116] RNA分子への核酸のハイブリダイゼーションをインビトロで検出するのに有用な多様なアッセイ法が当技術分野で既知である。ハイブリダイゼーションアッセイ法には、たとえばノーザンブロット法およびRNアーゼ保護アッセイ法、およびサザンブロット法が含まれる。核酸またはRNA分子をいずれか適切な検出可能な部分、たとえば放射性同位体、蛍光色素、化学発光性マーカー、ビオチン、または分析法により検出しうる当技術分野で既知の他の検出可能な部分で標識することができる。バイオチップを用いるハイスループット法は、大きな母集団の核酸をスクリーニングするために使用できる。バイオチップは、核酸またはRNA分子が付着した固体支持体を含むことができる。付着した化合物は、支持体上の空間的に規定されたアドレスに位置することができる。1より多い核酸またはRNA分子配列を使用できる。当業者に認識されるように、核酸またはRNA分子を多様な方法でバイオチップに付着させることができる。
【0110】
VII.医薬組成物
[0117] 本発明の核酸は、有効量を医薬的に許容できる適切な希釈剤またはキャリヤーに添加することにより、医薬組成物中に使用できる。これらの核酸は場合により予防的に使用できる。得られた医薬組成物を用いて、その必要がある対象において貧血症、血友病または鎌状赤血球症を処置し、対象において赤血球形成を増大させ、EPOレベルを上昇させることができる。したがって、本発明の核酸は、対象において貧血症、血友病または鎌状赤血球症を処置し、赤血球形成を増大させ、EPOレベルを上昇させるための医薬の製造に使用できる。
【0111】
[0118] 本明細書に多様に定めた核酸、およびその組成物は、取込み、分布および/または吸収を補助するために、他の分子、分子構造体、または化合物の混合物、たとえばリポソーム、受容体ターゲティング分子、経口用、直腸用、局所用その他の配合物に、混合、封入、コンジュゲートその他の形で会合させることもできる。そのような取込み、分布および/または吸収を補助する配合物の製造を教示する代表的な米国特許には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:U.S.Pat.No.5,108,921;5,354,844;5,416,016;5,459,127;5,521,291;5,543,158;5,547,932;5,583,020;5,591,721;4,426,330;4,534,899;5,013,556;5,108,921;5,213,804;5,227,170;5,264,221;5,356,633;5,395,619;5,416,016;5,417,978;5,462,854;5,469,854;5,512,295;5,527,528;5,534,259;5,543,152;5,556,948;5,580,575;および5,595,756;これらのそれぞれを本明細書に援用する。
【0112】
[0119] 医薬組成物は、局所または全身のいずれの処置を希望するか、および処置すべき領域に応じて、多数の方法で投与することができる。投与は局所(眼および粘膜を含む;膣および直腸送達が含まれる)、肺、たとえば散剤またはエアゾール剤の吸入または吹入によるもの、これはネブライザーによるものを含む;気管内、鼻内、上皮および経皮)、経口または非経口であってもよい。非経口投与には、静脈内、動脈内、皮下、腹腔内もしくは筋肉内への注射もしくは注入;または頭蓋内、たとえばクモ膜下もしくは脳室内への投与が含まれる。局所投与のための医薬組成物および配合物には、経皮パッチ、軟膏剤、ローション剤、クリーム剤、ゲル剤、点滴剤、坐剤、噴霧剤、液剤および散剤を含めることができる。一般的な医薬用キャリヤー、水性、粉末または油性の基剤、増粘剤などが必要または望ましい場合がある。コーティングしたコンドーム、手袋なども有用な可能性がある。
【0113】
[0120] 対象は動物またはヒトであってよい。動物対象は哺乳動物、たとえばマウス、ラット、イヌ、モルモット、サル、ヒト以外の霊長類、ネコまたはブタであってもよい。ヒト以外の霊長類には、サルおよびチンパンジーが含まれる。適切な動物対象は、実験動物、たとえばマウス、ラット、マウス、ラット、イヌ、サル、ヒト以外の霊長類、ネコまたはブタであってもよい。
【0114】
[0121] ある態様においては、核酸を対象に経口投与経路で投与することができる。経口用核酸組成物は、1種類以上の“粘膜透過増強剤”を含むことができ、これらは“吸収増強剤”または単に“透過増強剤”としても知られる。したがって、ある態様は、少なくとも1種類の核酸を少なくとも1種類の透過増強剤と組み合わせたものを含む。一般に透過増強剤は、目的とする投与様式に関連する粘膜、たとえば腸上皮膜を通した薬物の輸送を容易にする物質である。したがって、1種類以上の核酸の取込みを増強し、その化合物の活性を妨害しない、1種類以上の透過増強剤を選択することが望ましい;この方法で、毒性、刺激またはアレルギー反応など許容できない副作用なしに、その化合物を動物の体内へ導入することができる。特定の薬物の生物学的利用能を改善するために、特定の透過増強剤が用いられている。参照:Muranishi, Crit. Rev. Ther. Drug Carrier Systems, 1990, 7, 1、およびLee et al., Crit. Rev. Ther. Drug Carrier Systems, 1991, 8, 91。
【0115】
[0122] 非経口性ではない核酸および組成物を投与するための経口用組成物は、錠剤、カプセル剤、シロップ液剤、軟ゲル剤、坐剤および浣腸剤など、種々の剤形で配合できるが、これらに限定されない。用語“消化管送達(alimentary delivery)”には、たとえば経口、直腸、内視鏡、および舌下/口腔内投与が含まれる。これらの投与様式に共通の要件は、こうして投与した核酸(1以上)が消化管の一部または全体にわたって吸収されること、および効果的に粘膜透過される必要があることである。
【0116】
[0123] 経口核酸組成物に添加しうる他の賦形剤には、サーファクタント(または“界面活性剤”)が含まれる;これらは、水溶液に溶解すると溶液の表面張力または水溶液と他の液体との間の界面張力を低下させて、消化管粘膜および他の上皮膜を通した核酸の吸収を増大させる化学物質である。サーファクタントには、胆汁酸塩および脂肪酸のほか、たとえばラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテルおよびポリオキシエチレン−20−セチルエーテル(Lee et al., Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1991, page 92);ならびにペルフルオロ化学物質エマルジョン、たとえばFC−43(Takahashi et al., J. Pharm. Phamacol., 1988, 40, 252)が含まれる。
【0117】
[0124] ある態様において、経口送達用の核酸組成物は少なくとも2つの識別される相を含み、これらの相には粒子、カプセル、ゲル−カプセル、マイクロスフェアなどが含まれる。各相は、1種類以上の核酸、透過増強剤、サーファクタント、生体接着剤、発泡剤、または他の佐剤、賦形剤もしくは希釈剤を含有することができる。ある態様において、1つの相は少なくとも1種類の核酸および少なくとも1種類の透過増強剤を含む。ある態様において、第1相は少なくとも1種類の核酸および少なくとも1種類の透過増強剤を含み、一方、第2相は少なくとも1種類の透過増強剤を含む。ある態様において、第1相は少なくとも1種類の核酸および少なくとも1種類の透過増強剤を含み、一方、第2相は少なくとも1種類の透過増強剤を含み、核酸を実質的に含まない。ある態様において、少なくとも1つの相には少なくとも1種類の分解遅延剤、たとえばその相の内容物の放出を遅らせるコーティングまたはマトリックスが配合されている。ある態様において、第1相は少なくとも1種類の核酸、少なくとも1種類の透過増強剤を含み、一方、第2相は少なくとも1種類の透過増強剤および放出遅延剤を含む。具体的な態様において、経口核酸組成物は、核酸および透過増強剤を含有する粒子を含む第1相、ならびに放出遅延剤でコーティングされかつ透過増強剤を含有する粒子を含む第2相を含む。
【0118】
[0125] 多様な胆汁酸塩が、薬物の取込みおよび生物学的利用能を高める透過増強剤としても機能する。胆汁の生理的役割には、脂質および脂溶性ビタミンの分散および吸収を容易にすることが含まれる(Brunton, Chapter 38 In: Goodman & Gilman 's The Pharmacological Basis of Therapeutics, 9th Ed., Hardman et al., eds., McGraw-Hill, New York, N.Y., 1996, pages 934-935)。多様な天然の胆汁酸塩およびそれらの合成誘導体が、透過増強剤として作用する。したがって、用語“胆汁酸塩”には、天然の胆汁成分のいずれか、およびそれらの合成誘導体のいずれかが含まれる。胆汁酸塩には、たとえば下記のものが含まれる:コール酸(またはそれの医薬的に許容できるナトリウム塩であるコール酸ナトリウム)、デヒドロコール酸(デヒドロコール酸ナトリウム)、デオキシコール酸(デオキシコール酸ナトリウム)、グルコール酸(glucholic acid)(グルコール酸ナトリウム)、グリコール酸(glycholic acid)(グリコール酸ナトリウム)、グリコデオキシコール酸(グリコデオキシコール酸ナトリウム)、タウロコール酸(taurocholic acid)(タウロコール酸ナトリウム)、タウロデオキシコール酸(タウロデオキシコール酸ナトリウム)、ケノデオキシコール酸(chenodeoxycholic acid)(CDCA、ケノデオキシコール酸ナトリウム)、ウルソデオキシコール酸(ursodeoxycholic acid)(UDCA)、タウロ−24,25−ジヒドロ−フシジン酸ナトリウム(sodium tauro−24,25−dihydro−fusidate)(STDHF)、グリコジヒドロフシジン酸ナトリウム、およびポリオキシエチレン−9−ラウリルエーテル(POE)(Lee et al., Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1991, page 92; Swinyard, Chapter 39 : Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Ed., Gennaro, ed., Mack Publishing Co., Easton, Pa., 1990, pages 782-783; Muranishi, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1990, 7, 1; Yamamoto et al., J. Pharm. Exp. Ther., 1992, 263, 25; Yamashita et al., J. Pharm. Sci., 1990, 79, 579)。
【0119】
[0126] 他の賦形剤には、キレート化剤、すなわち金属イオンをそれとの錯体を形成することにより溶液から除去して、消化管および他の粘膜を通した核酸の吸収を増強する化合物が含まれる。キレート化剤は、透過増強剤としてのそれらの使用に関して、DNアーゼ阻害剤としても作用する追加の利点をもつ;解明されている大部分のDNAヌクレアーゼは触媒作用のために二価金属イオンを必要とし、したがってキレート化剤により阻害されるからである(Jarrett, J. Chromatogr., 1993, 618, 315)。キレート化剤には下記のものが含まれるが、これらに限定されない:エチレンジアミン四酢酸二ナトリウム(EDTA)、クエン酸、サリチレート(たとえば、サリチル酸ナトリウム、5−メトキシサリチレートおよびホモバニレート)、コラーゲンのN−アシル誘導体、ベータ−ジケトン類のラウレス−9およびN−アミノアシル誘導体(エナミン類)(Lee et al., Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1991, page 92; Muranishi, Critical Reviews in Therapeutic Drug Carrier Systems, 1990, 7, 1; Buur et al., J. Control Rel., 1990, 14, 43)。
【0120】
[0127] ある経口核酸組成物は、配合物中にキャリヤー化合物をも含有する。本明細書中で用いる“キャリヤー化合物”または“キャリヤー”は、核酸またはその類似体を表わすことができ、それらは不活性(すなわち、それ自体は生物活性をもたない)であってもよく、あるいは輸送、認識または経路の活性化もしくは仲介のために必要であってもよく、あるいはたとえば生物活性核酸の分解または循環からのそれの除去を促進することによって、生物活性をもつ核酸の生物学的利用能を低下させる核酸としてインビボプロセスにより認識される。核酸とキャリヤー化合物の共投与(一般に、過剰の後者の物質と共に)は、肝臓、腎臓、または他の循環外溜めにおいて回収される核酸の量を実質的に減少させることができる;これは、おそらく共通の受容体に対するキャリヤー化合物と核酸の間の競合によるものであろう。たとえば、肝臓組織における部分ホスホロチオエート核酸の回収は、それをポリイノシン酸、デキストラン硫酸、ポリシチジン酸、または4−アセトアミド−4’イソチオシアノ−スチルベン−2,2’−ジスルホン酸と共投与すると、低下させることができる(Miyao et al., Antisense Res. Dev., 1995, 5, 115; Takakura et al., Antisense & Nucl. Acid Drug Dev., 1996, 6, 177)。
【0121】
[0128] “医薬用キャリヤー”または“賦形剤”は、1種類以上の核酸を動物に送達するための、医薬的に許容できる溶剤、懸濁化剤、または薬理学的に不活性な他のいずれかのビヒクルであってもよい。賦形剤は液体または固体であってよく、計画している投与様式を考慮して、その医薬組成物の核酸および他の成分と組み合わせた際に目的とする嵩、稠度などを提供するように選択される。一般的な医薬用キャリヤーには下記のものが含まれるが、これらに限定されない:結合剤(たとえばα化トウモロコシデンプン、ポリビニルピロリドンまたはヒドロキシプロピルメチルセルロースなど);増量剤(たとえば乳糖および他の糖類、微結晶性セルロース、ペクチン、ゼラチン、硫酸カルシウム、エチルセルロース、ポリアクリレートまたはリン酸水素カルシウムなど);滑沢剤(たとえばステアリン酸マグネシウム、タルク、シリカ、コロイド状二酸化ケイ素、ステアリン酸、ステアリン酸金属塩、水素化植物油、トウモロコシデンプン、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなど);崩壊剤(たとえばデンプン、グリコール酸デンプンナトリウム、EXPLOTAB);および湿潤剤(たとえばラウリル硫酸ナトリウムなど)。
【0122】
[0129] 局所その他の投与のために、核酸および組成物をリポソームに封入するか、またはリポソーム、特にカチオン性リポソームに、複合体形成させることができる。あるいは、それらを脂質、特にカチオン性脂質に、複合体形成させることができる。局所配合物は米国特許出願No.09/315,298、1999年5月20日出願に詳述されており、これの全体を本明細書に援用する。
【0123】
[0130] 他の態様において、核酸組成物は、第1のmiRNAターゲットをターゲティングする1種類以上の抗−miRNA核酸および組成物、ならびに第2のmiRNAターゲットをターゲティングする1種類以上の追加の核酸を含有することができる。あるいは組成物は、同じmiRNAターゲットの異なる領域、セグメントまたは部位をターゲティングする2種類以上の核酸および組成物を含有することができる。組み合わせた2種類以上の化合物を一緒に、または逐次、使用できる。
【0124】
[0131] 医薬組成物を、それが身体によってより容易に分散または可溶化されるように微細化または粉末化することができる。たとえばハンマーミルまたはこれに類する摩砕装置を用いて薬物を摩砕または微粉砕するための方法は当技術分野で周知である。
【0125】
[0132] 内部投与に適切な剤形(組成物)は、単位当たり約1.0ミリグラムから約5000ミリグラムまでの有効成分を含有する。これらの医薬組成物中に、有効成分は組成物の総重量を基準として約0.5〜約95重量%の量で存在することができる。投与量を表わすための他の慣例は、体表面積(BSA)平方メートル当たりのmg(mg/m)によるものである。一般に、成人は約1.75mのBSAをもつであろう。患者の体重に基づいて、この用量を1回量または多数回量で、毎日もしくは毎週数回、投与することができる。療法有効量に達するために複数の投与単位を必要とする場合がある。たとえば、剤形が1000mgであり、患者の体重が40kgである場合、1個の錠剤またはカプセル剤はその患者に25mg/kgの量を供給するであろう。80kgの患者には12.5mg/kgの量を供給するにすぎないであろう。
【0126】
[0133] 一般的な指針として、ヒトには約0.25ミリグラム(mg)/キログラム(kg)(体重)の少量から約600mg/kg(体重)までの用量が療法有効量として適切である。特定の態様においては、約1mg/kgから約600mg/kg(体重)までを用いる。他の態様には、50mg/kgから約600mg/kg(体重)まで、100mg/kgから約600mg/kg(体重)まで、200mg/kgから約600mg/kg(体重)まで、300mg/kgから約500mg/kg(体重)までの用量範囲が含まれる。ある態様においては、約400mg/kg(体重)の用量が用いられる。
【0127】
[0134] 静脈内の場合、一定速度での注入期間中、特定の投与速度は約1mg/kg/分から約1000mg/kg/分までの範囲であってよい。医薬組成物は1日量を1回で投与でき、あるいは1日量全体を1日2、3または4回の分割量で投与してもよい。核酸は一般に1日1回以上の基準で、または週1〜3回、投与される。
【0128】
[0135] 医薬組成物は、医薬と組み合わせて使用できるいずれか一般的な手段で、個々の療法薬として、または他の療法薬と組み合わせて投与できる。
[0136] 他の観点においては、医薬キットが提供される。この医薬キットは、たとえば貧血症、血友病もしくは鎌状赤血球症の処置に有用であり、療法有効量の核酸を含む医薬組成物を収容する1以上の容器を含む。そのようなキットは、当業者に自明のとおり、さらに所望により1以上の種々の一般的な医薬キット構成要素、たとえば1種類以上の医薬的に許容できるキャリヤーを入れた容器、追加の容器などを含むことができる。投与すべき成分の量、投与のための指針、および/または成分を混合するための指針を示す印刷した指示書も、挿入物またはラベルとしてキットに収容することができる。本明細書に記載する方法を実施する際には特定した物質および条件が重要であるけれども、特定していない物質および条件は、実現される方法の有益性をそれらが妨げない限り除外されないことを理解すべきである。
【0129】
[0137] 本明細書中で用いる用語および表現は記述のための用語として用いられ、限定のためのものではなく、したがってそのような用語および表現を用いる際に、提示および記載した特徴またはその一部の均等物を除外する意図はない;特許請求の範囲に記載した本発明の範囲内で多様な改変が可能であることを認識すべきである。さらに、適切であれば、本発明の範囲から逸脱することなく、本発明のいずれかの態様の1以上の特徴を本発明の他のいずれかの態様の1以上の特徴と組み合わせることができる。
【実施例】
【0130】
VIII.実施例
実施例1:インビトロでの抗−miRNAのスクリーニングおよび分析
[0138] 以下の実施例は、本明細書に開示する技術の特定の態様を説明するためのものにすぎず、本発明の範囲を限定するためのものではない。
【0131】
[0139] ロックされた核酸(LNA)ホスホルアミダイトを用いて、288の配列特異的な抗−miRNA核酸のライブラリーを合成した。ヌクレオチド間ホスホジエステル結合を含むLNAオリゴヌクレオチドの合成のために用いた一般法を以下に示す。LNA合成は、Sigma−Proligo(登録商標)から購入したLNAホスホルアミダイトを用いて下記の固相合成装置のうちのひとつで実施された:Applied Biosystems(登録商標)モデルABI 3900またはABI 394またはMerMase−12。ヌクレオチド間ホスホジエステル結合を形成するための脱保護/活性化/結合および酸化の反復サイクルを用いて、オリゴヌクレオチド鎖を3’−dT−カラム支持体上で構築した。最終結合の後、C−18カラム支持体上での固相抽出による後続の精製を容易にするために、5’−ジメトキシトリチル保護基をそのまま残した。369のヒトmiRNA配列のコレクションをターゲティングするために、完全塩基対合により抗−miRNA核酸ライブラリーを設計した(参照:表1;http://microrna.sanger.ac.uk/cgi-bin/sequences/mirna_summary.pl?org=hsa)。LNA化学基をもつ核酸配列は、それらの相補的miRNA配列に対する高親和性の結合をもたらし、かつこのクラスのmiRNAアンタゴニストにヌクレアーゼ安定性をもたらす。これらのLNAベースの抗−miRNA核酸ライブラリーを既知のヒトmiRNAの約80%にターゲティングさせた。
【0132】
[0140] DSMZ(German Collection of Microorganisms and Cell Cultures)、ドイツ、ブラウンシュバイヒから入手したKelly細胞を用いる細胞ベースの表現型スクリーニングのために、これらのLNAベースの抗−miRNA核酸を96ウェルプレートに並べた。
【0133】
【表1−1】

【0134】
【表1−2】

【0135】
[0141] 神経芽細胞腫の細胞系Kellyを低酸素条件下で刺激してEPOを分泌させることができる。転写因子HIFがこの細胞系においてEPOの分泌に関与することは、HIF−プロリルヒドロキシラーゼ、すなわちHIF中の特定のプロリン残基をヒドロキシル化することにより酸化する酵素をダウンレギュレートし、結果的に起きるプロテアソームによる分解を阻止した際に、正常酸素条件下でEPOを産生しうることにより支持される。HIFの安定化は、上流プロモーターエレメント中にHIF結合部位を含む多数の遺伝子のアップレギュレーションをもたらす。特に、HIFにより制御される遺伝子にはエリスロポエチン(EPO)および血管内皮増殖因子(VEGF)が含まれる。
【0136】
[0142] Kelly細胞においてEPO産生を刺激する、HIF−プロリルヒドロキシラーゼ2に対するsiRNA(siPHD2)を用いて、マイクロRNA干渉スクリーニングのためのアッセイ条件を最適化した。これにより、20nMのsiPHD2 siRNAでトランスフェクションした約60,000個のKelly細胞について、72時間後にバックグラウンドより約1500倍高いウインドウが同定された。これらの条件をスクリーニングに用い、その際siPHD2を陽性対照とした。
【0137】
[0143] 10%のウシ胎仔血清および非必須アミノ酸を補充したDMEM中において37℃および5%COで増殖させたKelly細胞を、トランスフェクションの前日に96ウェル培養プレートに約60,000個/ウェルの密度で播種した。LNAベースmiRNA干渉ライブラリーの各プレートを二つ組のKelly細胞プレート(dupulicate Kelly cell plates)上で、0.24%のLipofectamine2000を用いて製造業者の指示に従ってトランスフェクションした。EPOおよびVEGFのレベルをMSD ELISAアッセイにより測定した。要約すると、トランスフェクションの72時間後に採集した細胞培養上清を用いて、EPOおよびVEGFの産生を測定した。これらのサイトカインを、Meso Scale Discovery(MSD;メリーランド州ガイザースバーグ)からのエレクトロ−化学発光マルチプレックスシステムSector 2400イメージャーにより定量した。上清を、EPOおよびVEGFに対する抗体でプレコーティングした96プレート内でインキュベートした。結合したサイトカインを、スルホ−タグ(sulfo−tag)(MSD商品)とコンジュゲートした第2の捕獲用抗体で、エレクトロルミネセンス信号を用いて検出した。EPOおよびVEGF標準品の系列希釈液を各スクリーニングプレートに含めた。
【0138】
[0144] この初期スクリーニングにより、400nMの濃度でEPOの発現および/または分泌を増大させる一次LNA配列が同定された。図2〜6を参照。この最初の400nMスクリーニングにおいて、各プレートの平均の平均値より1標準偏差(STDV)高い信号を与えるLNAを陽性ヒットと表示した。陽性ヒットと同定された核酸の抗−miRNA部分を表2に示す。合成に際してデオキシチミジン(dT)カラムを用いたため、この実施例1で同定された核酸は、表2に示す配列とそれらの配列の3’末端にあるデオキシ−Tからなる。SEQ ID No:1〜38自体がこの3’dTを含まないこと、および前記のセクションI〜VIIでSEQ ID No:1〜38のうちのひとつについて主張または言及した場合にその核酸配列にこの3’dTは含まれないものとすることを、当業者は直ちに認識するであろう。ターゲットmiRNAの配列を表3に示す。
【0139】
【表2】

【0140】
【表3−1】

【0141】
【表3−2】

【0142】
[0145] 後続のスクリーニングにおいて、400nMスクリーニングで一次ヒットとして表示されたLNA配列を、100nM、40nMおよび20nMでトランスフェクションした。図7、8および9を参照。図8には、下記の表4においてVEGFよりEPOを優先的に増大させる選択したマイクロRNAについての結果を示す。Kelly細胞について20nMスクリーニングにおける特定のLNA配列を、次いでHEPG2細胞において試験した。結果を図10に示す。
【0143】
【表4】

【0144】
実施例2:インビボでの抗−miRNAの試験
インビボでの抗−miRNA核酸配列の試験を実施して、EPOおよびVEGFなどの遺伝子をダウンレギュレートするmiRNAを阻害することによる遺伝子調節の概念の証拠を確立した。この試験では、2種類のmiRNA配列miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)およびmiR−524(SEQ ID NO:46)をインビボで、下記に示すそれらの相補的抗−miRNA配列によりターゲティングした。
【0145】
【表5】

【0146】
これらのmiRNAはそれらの5’シード領域が17−nt抗−miRNA配列によりターゲティングされた。上に示した抗−miRNA配列は完全にホスホロチオエート化され(で示す)、下記のとおり化学修飾されていた:太字のヌクレオチドはLNA修飾をもち、斜体のヌクレオチドは2’−OMe修飾をもつ。エキソヌクレアーゼによるヌクレアーゼ開裂を阻止するために逆方向デオキシチミジン残基を3’末端に取り込ませ、小文字tにより示す。
【0147】
LNA−修飾された抗−miRNA配列を、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)中に配合し、静脈内注射(尾静脈)により約200〜225gの体重の雌Sprague−Dawleyラットに投与した。実験計画はグループ当たり3匹を含む4グループからなっていた:
グループA: PBSビヒクル対照
グループB: 抗−miR−524 20mg/kg
グループC: 抗−miR−103−1,2 10mg/kg
グループD: 抗−miR−103−1,2 20mg/kg
抗−miRNA配列を投与する3日前に血液試料を採取して(150〜200uL/時点)、EPOおよびVEGFのベースラインレベルを確認した。抗−miRNA配列を1回投与した。投与後、4、6、8、24、48、72、96および168時間目に血液試料をEDTAマイクロテイナー(microtainer)中へ採集した。確立されているプロトコル、アッセイキット、およびMeso Scale Discovery(商標)(メリーランド州ガイザースバーグ)からの計測器を用いて、血漿VEGFレベル(ng/ml)を測定した。miRNAまたは対照を投与したラットからの血漿試料につき、Scale Discoveryマウス/ラット血清/血漿低酸素パネルアッセイ(Meso Scale Discovery,メリーランド州ガイザースバーグ,カタログ番号K11123C−3)を行なった。このアッセイは、ラットの血漿中EPOについて16pg/mlから10,000pg/mlまで直線的動態範囲を示し、一般的な定量下限は約10pg/mlであった。血漿中のVEGFの直線的動態範囲は60pg/mlから10,000pg/mlまでであり、一般的な定量下限は約40pg/mlであった。このアッセイは、製造業者の指示に従って実施された。要約すると、試料または校正物質(25uL)をまず希Hアッセイ緩衝液中に2倍希釈し、次いで25uLを各ウェルに添加した。プレートを室温で撹拌しながら2時間インキュベートし、次いで300μLのPBSで3回、Biotek ELx405マイクロプレート洗浄機(BioTek Instruments,バーモント州ウィノースキー)を用いて洗浄した。次いで25μlのSULFO−TAG抗マウス/ラットEPO抗体プラスSULFO−TAG抗マウス/ラットVEGF抗体(抗体希釈剤GF1中に希釈)を添加し、プレートを室温で撹拌しながら2時間インキュベートした。プレートを再び300μLのPBSで3回洗浄した後、150μLのRead Buffer Tを添加した。プレートを直ちにMSD SECTOR Imager 6000(Meso Scale Discovery,メリーランド州ガイザースバーグ)で読み取った。バックグラウンド信号を差し引き、ラットのEPOおよびVEGF標準曲線の内挿から循環EPOおよびVEGFの濃度を求めた。Graphpad Prism 5.01で分析を行なった。
【0148】
注目すべきことに、抗−miR−103−1,2(SEQ ID NO:78)および抗−miR−524(SEQ ID NO:79)両配列について、1回の静脈内投与により2時間以内にラット血漿中のVEGFの増加が生じた。図11は、VEGFのng/mlを投与後の時間数との関係で示す。抗−miR−103−1,2(SEQ ID NO:78)に対しては、VEGFの刺激/安定化の増大により測定して明らかな用量応答がある。VEGFレベルは経時的に減衰し、24時間以内にバックグラウンドレベルに達した。図12は、経時的なEPOレベル(ng/ml)の変化を示す。
【0149】
図13Aは誘導されたEPOの量(3匹の試験動物の平均)を示し、図13Bは個々の試験動物について誘導されたEPOの量を示す。図13Cは誘導されたVEGFの量(3匹の試験動物の平均)を示し、図13Dは個々の試験動物について誘導されたVEGFの量を示す。データは、VEGFまたはEPOのngについての曲線下面積(AUC)に時間(168時間)を掛けたものとしてper/ml基準で提示される。“A”はリン酸緩衝化生理食塩水対照であり;“B”は20mg/kgの抗−miR−524(SEQ ID NO:79)であり;“C”は10mg/kgの抗−miR−103−1,2(SEQ ID NO:78)であり;“D”は20mg/kgの抗−miR−103−1,2(SEQ ID NO:78)である。EPOに関するインビボデータは統計的にアッセイのノイズを上回って有意ではないと判定されたが、VEGF誘導に関するインビボデータは統計的に有意であり、インビトロで観察された結果(前記)と一致する。これらの実験は、抗−miRNA核酸が適正な条件下では(インビトロ分析により示すように)VEGFおよびEPOなどの選択した遺伝子を増加および/または安定化させることができるという仮説の証明を提供する。
【0150】
血漿薬物レベルについての薬物動態試験を各時点で測定した。さらに、組織試料を投与後168時間目に採取し、その後の分析のために液体窒素中で瞬間凍結した。組織試料には、肝臓、腎臓、脾臓、心臓および骨髄が含まれていた。
【0151】
血漿および組織試料中のmiRnaレベルを標準ELISA法により分析した。要約すると、標準的な96−ウェルELISAプレートをストレプトアビジン溶液でコーティングした(たとえば、50mMトリス緩衝液、pH8.0、または他の適切な緩衝液中に希釈した、2.5μg/mlの市販ストレプトアビジン)。プレートをシールし、2〜8℃で一夜インキュベートした。プレートを標準法により洗浄した。約150μlのI−Block(商標)(Applied Biosystems,カリフォルニア州フォスター・シティー)を各ウェルに添加した。プレートをシールし、室温で1〜2時間インキュベートし、次いで洗浄した。系列希釈した組織溶解液および血漿試料をプレートに添加し、室温で1時間インキュベートした。プレートを洗浄し、ビオチニル化した捕獲用オリゴ(分析される抗−miRNA配列の一部に対して相補的であるオリゴ)およびジゴキシン標識した検出用オリゴ(分析される抗−miRNA配列の一部に対して相補的であるが、捕獲用オリゴとはオーバーラップしないオリゴ)を適切な緩衝液中に希釈し、適宜なウェルに添加し、室温で約1時間インキュベートした。プレートを洗浄し、標準品および試料(すなわち測定すべき抗−miRNAを含有するもの)を添加し、室温で約1時間インキュベートした。プレートを洗浄し、抗ジゴキシンポリクローナル抗体を適切な緩衝液、たとえば1×PBS(リン酸緩衝化生理食塩水)中に希釈し、プレートに添加し、室温で約1時間インキュベートした。プレートを洗浄し、Pierce Protein Research Product’s Femto SuperSignal(登録商標)ELISA(Thermo Fisher Scientific,イリノイ州ロックフォード)からの標準試薬およびプロトコルを用いて基質を調製し、プレートに添加し、発生した信号を分析した。
【0152】
図14Aは、個々の動物について20mg/kg用量の抗−miR−103−1,2(SEQ ID NO:78)の血漿クリアランスng/mlを、投与後の時間数に対して示す。図14Bは、個々の動物について20mg/kg用量の抗−miR−524(SEQ ID NO:79)の血漿クリアランスng/mlを投与後の時間数に対して示す。図15Aは表記した投与量(mpk=キログラム当たりの抗−miRNA核酸の投与量ミリグラム)における投与後168時間目の組織中の抗−miR−103−1,2(SEQ ID NO:78)のng/mgを示し、図15Bは抗−miR−524(SEQ ID NO:79)のng/mgを示す。
【図1A】

【図1B】

【図13A】

【図13B】

【図13C】

【図13D】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞によるエリスロポエチンの発現または分泌を増大させる方法であって、RNA分子にハイブリダイズしうる核酸を細胞に導入することを含む方法:
(a)RNA分子は、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−191(SEQ ID NO:42)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−520−f(SEQ ID NO:44)、miR−520−g,h(SEQ ID NO:45)、miR−524(SEQ ID NO:46)、miR−198(SEQ ID NO:47)、miR−299−3p(SEQ ID NO:48)、miR−299−5p(SEQ ID NO:49)、miR−498(SEQ ID NO:50)、miR−518−f(SEQ ID NO:51)、let−7−a−1,2,3(SEQ ID NO:52)、let−7−b,c(SEQ ID NO:53)、let−7−g−I(SEQ ID NO:54)、miR−7−1,2,3(SEQ ID NO:55)、miR−9−1,2,3(SEQ ID NO:56)、miR−30−d(SEQ ID NO:57)、miR−34−b(SEQ ID NO:58)、miR−98(SEQ ID NO:59)、miR−128−a,b(SEQ ID NO:60)、miR−132(SEQ ID NO:61)、miR−133−a,b,1,2(SEQ ID NO:62)、miR−216(SEQ ID NO:63)、miR−448(SEQ ID NO:64)、miR−452(SEQ ID NO:65)、miR−491(SEQ ID NO:66)、miR−497(SEQ ID NO:67)、miR−520−b,c(SEQ ID NO:68)、miR−130−a,b(SEQ ID NO:69)、miR−142−5p(SEQ ID NO:70)、miR−193−b(SEQ ID NO:71)、miR−509(SEQ ID NO:72)、miR−523(SEQ ID NO:73)、miR−525(SEQ ID NO:74)、miR−526−a(SEQ ID NO:75)、miR−526−c(SEQ ID NO:76)、miR−518−b(SEQ ID NO:77)、およびその前駆体からなる群から選択される;
(b)核酸は、(i)緊縮条件下で該RNA分子にハイブリダイズするか、あるいは(ii)SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7 SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:37、またはSEQ ID NO:38との少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む。
【請求項2】
核酸が、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7 SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:37、またはSEQ ID NO:38と4核酸塩基より多くは相異しない配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
核酸が、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7 SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:37、またはSEQ ID NO:38との100%の配列同一性を有する配列を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
細胞が腎細胞、肝細胞、脾細胞、または骨髄細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
細胞が腎細胞である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
細胞がヒト腎細胞である、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
細胞が臓器の一部を形成している、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
臓器が腎臓、肝臓、または脾臓である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
臓器が腎臓である、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
RNA分子が、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−191(SEQ ID NO:42)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−520−f(SEQ ID NO:44)、miR−520−g,h(SEQ ID NO:45)、miR−524(SEQ ID NO:46)、miR−198(SEQ ID NO:47)、miR−299−3p(SEQ ID NO:48)、miR−299−5p(SEQ ID NO:49)、miR−498(SEQ ID NO:50)、miR−518−f(SEQ ID NO:51)、およびその前駆体からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
RNA分子が、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−191(SEQ ID NO:42)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−520−f(SEQ ID NO:44)、miR−520−g,h(SEQ ID NO:45)、miR−524(SEQ ID NO:46)、およびその前駆体からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
RNA分子が、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−524(SEQ ID NO:46)、およびその前駆体からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
RNA分子が、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−524(SEQ ID NO:46)、およびその前駆体からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
RNA分子が、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−191(SEQ ID NO:42)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−524(SEQ ID NO:46)、およびその前駆体からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
RNA分子が、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、およびその前駆体からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
RNA分子が、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−198(SEQ ID NO:47)、miR−299−3p(SEQ ID NO:48)、miR−299−5p(SEQ ID NO:49)、miR−498(SEQ ID NO:50)、miR−518−f(SEQ ID NO:51)、およびその前駆体からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
RNA分子が、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−299−5p(SEQ ID NO:49)、およびその前駆体からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
RNA分子がmiR−337(SEQ ID NO:43)およびその前駆体である、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
核酸が少なくとも12核酸塩基の長さである、請求項1に記載の方法。
【請求項20】
核酸が12〜30核酸塩基の長さである、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
核酸が、ホスホロアミデート、ホスホロチエート(phosphorothiate)、ホスホロジチオエート、ボラノホスフェート、アルキルホスホネート、およびメチリンメチルイミノ(methylinemethylimino)からなる群から選択される修飾されたヌクレオチド間結合を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
核酸が、ロックされた核酸ユニット、2’−O−アルキルリボ核酸ユニット、2’アミンリボ核酸ユニット、ペプチド核酸ユニット、2’フルオロ−リボ核酸ユニット、モルホリノ核酸ユニット、シクロヘキサン核酸ユニット、およびトリシクロ核酸ユニットからなる群から選択される修飾された核酸ユニットを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
核酸が、ロックされた核酸ユニット、2’−O−メチルリボ核酸ユニット、および2’O−メトキシ−エチルリボ核酸ユニットからなる群から選択される修飾された核酸ユニットを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項24】
核酸が、ロックされた核酸、2’−O−メチルリボ核酸、または混合型の核酸−ロックされた核酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項25】
核酸が、ロックされた核酸、または混合型の核酸−ロックされた核酸である、請求項1に記載の方法。
【請求項26】
対象において赤血球形成を増大させ、対象においてエリスロポエチンレベルを上昇させ、またはその必要がある対象を貧血症、血友病もしくは鎌状赤血球症について処置するための方法であって、RNA分子にハイブリダイズしうる有効量の核酸を対象に投与することを含む方法:
(a)RNA分子は、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−191(SEQ ID NO:42)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−520−f(SEQ ID NO:44)、miR−520−g,h(SEQ ID NO:45)、miR−524(SEQ ID NO:46)、miR−198(SEQ ID NO:47)、miR−299−3p(SEQ ID NO:48)、miR−299−5p(SEQ ID NO:49)、miR−498(SEQ ID NO:50)、miR−518−f(SEQ ID NO:51)、let−7−a−1,2,3(SEQ ID NO:52)、let−7−b,c(SEQ ID NO:53)、let−7−g−I(SEQ ID NO:54)、miR−7−1,2,3(SEQ ID NO:55)、miR−9−1,2,3(SEQ ID NO:56)、miR−30−d(SEQ ID NO:57)、miR−34−b(SEQ ID NO:58)、miR−98(SEQ ID NO:59)、miR−128−a,b(SEQ ID NO:60)、miR−132(SEQ ID NO:61)、miR−133−a,b,1,2(SEQ ID NO:62)、miR−216(SEQ ID NO:63)、miR−448(SEQ ID NO:64)、miR−452(SEQ ID NO:65)、miR−491(SEQ ID NO:66)、miR−497(SEQ ID NO:67)、miR−520−b,c(SEQ ID NO:68)、miR−130−a,b(SEQ ID NO:69)、miR−142−5p(SEQ ID NO:70)、miR−193−b(SEQ ID NO:71)、miR−509(SEQ ID NO:72)、miR−523(SEQ ID NO:73)、miR−525(SEQ ID NO:74)、miR−526−a(SEQ ID NO:75)、miR−526−c(SEQ ID NO:76)、miR−518−b(SEQ ID NO:77)、およびその前駆体からなる群から選択される;
(b)核酸は、(i)緊縮条件下で該RNA分子にハイブリダイズするか、あるいは(ii)SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7 SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:37、またはSEQ ID NO:38との少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含む。
【請求項27】
核酸が、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7 SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:37、またはSEQ ID NO:38と4核酸塩基より多くは相異しない配列を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
核酸が、SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7 SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:37、またはSEQ ID NO:38との100%の配列同一性を有する配列を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
対象が哺乳動物である、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
対象がヒトである、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
RNA分子が、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−191(SEQ ID NO:42)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−520−f(SEQ ID NO:44)、miR−520−g,h(SEQ ID NO:45)、miR−524(SEQ ID NO:46)、miR−198(SEQ ID NO:47)、miR−299−3p(SEQ ID NO:48)、miR−299−5p(SEQ ID NO:49)、miR−498(SEQ ID NO:50)、miR−518−f(SEQ ID NO:51)、およびその前駆体からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
RNA分子が、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−191(SEQ ID NO:42)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−520−f(SEQ ID NO:44)、miR−520−g,h(SEQ ID NO:45)、miR−524(SEQ ID NO:46)、およびその前駆体からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
RNA分子が、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−524(SEQ ID NO:46)、およびその前駆体からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
RNA分子が、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−524(SEQ ID NO:46)、およびその前駆体からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項35】
RNA分子が、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−191(SEQ ID NO:42)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−524(SEQ ID NO:46)、およびその前駆体からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項36】
RNA分子が、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、およびその前駆体からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項37】
RNA分子が、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−198(SEQ ID NO:47)、miR−299−3p(SEQ ID NO:48)、miR−299−5p(SEQ ID NO:49)、miR−498(SEQ ID NO:50)、miR−518−f(SEQ ID NO:51)、およびその前駆体からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項38】
RNA分子が、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−299−5p(SEQ ID NO:49)、およびその前駆体からなる群から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項39】
RNA分子がmiR−337(SEQ ID NO:43)およびその前駆体である、請求項26に記載の方法。
【請求項40】
核酸が少なくとも12核酸塩基の長さである、請求項26に記載の方法。
【請求項41】
核酸が12〜30核酸塩基の長さである、請求項26に記載の方法。
【請求項42】
核酸が、ホスホロアミデート、ホスホロチエート、ホスホロジチオエート、ボラノホスフェート、アルキルホスホネート、およびメチリンメチルイミノからなる群から選択される修飾されたヌクレオチド間結合を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項43】
核酸が、ロックされた核酸ユニット、2’−O−アルキルリボ核酸ユニット、2’アミンリボ核酸ユニット、ペプチド核酸ユニット、2’フルオロ−リボ核酸ユニット、モルホリノ核酸ユニット、シクロヘキサン核酸ユニット、およびトリシクロ核酸ユニットからなる群から選択される修飾された核酸ユニットを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項44】
核酸が、ロックされた核酸ユニット、2’−O−メチルリボ核酸ユニット、および2’O−メトキシ−エチルリボ核酸ユニットからなる群から選択される修飾された核酸ユニットを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
核酸が、ロックされた核酸、2’−O−メチルリボ核酸、または混合型の核酸−ロックされた核酸である、請求項26に記載の方法。
【請求項46】
核酸が、ロックされた核酸、または混合型の核酸−ロックされた核酸である、請求項26に記載の方法。
【請求項47】
少なくとも90%のロックされた核酸ユニットを含む核酸であって、該核酸は、(i)緊縮条件下でRNA分子にハイブリダイズするか、あるいは(ii)SEQ ID NO:1、SEQ ID NO:2、SEQ ID NO:3、SEQ ID NO:4、SEQ ID NO:5、SEQ ID NO:6、SEQ ID NO:7 SEQ ID NO:8、SEQ ID NO:9、SEQ ID NO:10、SEQ ID NO:11、SEQ ID NO:12、SEQ ID NO:13、SEQ ID NO:14、SEQ ID NO:15、SEQ ID NO:16、SEQ ID NO:17、SEQ ID NO:18、SEQ ID NO:19、SEQ ID NO:20、SEQ ID NO:21、SEQ ID NO:22、SEQ ID NO:23、SEQ ID NO:24、SEQ ID NO:25、SEQ ID NO:26、SEQ ID NO:27、SEQ ID NO:28、SEQ ID NO:29、SEQ ID NO:30、SEQ ID NO:31、SEQ ID NO:32、SEQ ID NO:33、SEQ ID NO:34、SEQ ID NO:35、SEQ ID NO:36、SEQ ID NO:37、またはSEQ ID NO:38との少なくとも70%の配列同一性を有する配列を含み、該RNA分子は、miR−100(SEQ ID NO:39)、miR−103−1,2(SEQ ID NO:40)、miR−107(SEQ ID NO:41)、miR−191(SEQ ID NO:42)、miR−337(SEQ ID NO:43)、miR−520−f(SEQ ID NO:44)、miR−520−g,h(SEQ ID NO:45)、miR−524(SEQ ID NO:46)、miR−198(SEQ ID NO:47)、miR−299−3p(SEQ ID NO:48)、miR−299−5p(SEQ ID NO:49)、miR−498(SEQ ID NO:50)、miR−518−f(SEQ ID NO:51)、let−7−a−1,2,3(SEQ ID NO:52)、let−7−b,c(SEQ ID NO:53)、let−7−g−I(SEQ ID NO:54)、miR−7−1,2,3(SEQ ID NO:55)、miR−9−1,2,3(SEQ ID NO:56)、miR−30−d(SEQ ID NO:57)、miR−34−b(SEQ ID NO:58)、miR−98(SEQ ID NO:59)、miR−128−a,b(SEQ ID NO:60)、miR−132(SEQ ID NO:61)、miR−133−a,b,1,2(SEQ ID NO:62)、miR−216(SEQ ID NO:63)、miR−448(SEQ ID NO:64)、miR−452(SEQ ID NO:65)、miR−491(SEQ ID NO:66)、miR−497(SEQ ID NO:67)、miR−520−b,c(SEQ ID NO:68)、miR−130−a,b(SEQ ID NO:69)、miR−142−5p(SEQ ID NO:70)、miR−193−b(SEQ ID NO:71)、miR−509(SEQ ID NO:72)、miR−523(SEQ ID NO:73)、miR−525(SEQ ID NO:74)、miR−526−a(SEQ ID NO:75)、miR−526−c(SEQ ID NO:76)、miR−518−b(SEQ ID NO:77)、およびその前駆体からなる群から選択される核酸。
【請求項48】
請求項47に記載の核酸および医薬的に許容できる賦形剤を含む医薬組成物。
【請求項49】
貧血症、血友病または鎌状赤血球症を処置する医薬の製造のための、請求項47に記載の核酸の使用。
【請求項50】
貧血症、血友病または鎌状赤血球症を処置する医薬の製造のための、請求項47に記載の核酸の使用。
【請求項51】
貧血症、血友病または鎌状赤血球症に使用するための、請求項47に記載の核酸。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【公表番号】特表2010−539978(P2010−539978A)
【公表日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−527987(P2010−527987)
【出願日】平成20年10月1日(2008.10.1)
【国際出願番号】PCT/US2008/011409
【国際公開番号】WO2009/045469
【国際公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【出願人】(500203709)アムジェン インコーポレイテッド (76)
【Fターム(参考)】