説明

マイクロカプセル封入着色剤を含む局所適用のための組成物

1つ又は複数の活性物質及び1つ又は複数のマイクロカプセル封入着色剤を含み、皮膚への適用時に、組成物が、前記組成物からの活性物質の皮膚上への送達を示す変色効果を提供し、且つ/又は皮膚に視覚的な美的効果を与える、局所適用のための色変化性の化粧用又は治療用組成物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロカプセル封入顔料を含む皮膚/局所適用のための組成物に関する。このような組成物は、皮膚に適用すると、前記組成物に含まれる活性物質の皮膚への送達を示す色変化及び視覚的な美的効果を生じる。
【背景技術】
【0002】
種々の着色剤を含む局所適用のための組成物は、当技術分野で周知である。皮膚への適用における保護された着色剤を使用するという以前の試みは、大部分、メークアップ、リップスティック、ブラッシュ及びパウダー製品などの疎水性又は固形の装飾化粧品に焦点を合わせたものであった。
【0003】
米国特許第5,320,835号及び第5,382,433号は、着色ベース相、着色剤を含むマイクロカプセル、及び前記ベース相中に分散した着色剤捕捉基質粒子を含む化粧用組成物を開示している。カプセル封入着色剤は、化粧用配合物に機械的作用が加わると、ベース相中に放出され、ベース相の色の中で強い色調を作り出すと言われているが、その一方で着色剤捕捉基質粒子は、放出された着色剤を捕捉し、且つ、ベース相の色の中にかすかな色調を作り出す。強い色調とかすかな色調との複合的効果が、機械的作用が加わると再生可能な一連の範囲の色調をベース相において作り出す。カプセル封入された顔料は、コアセルベーション法によって作られる。国際特許WO 98/5002は、マイクロカプセル封入された物質のザラザラ感を最小限にするために揮発性溶媒を更に含む、類似の色持続性ベース化粧用配合物を開示している。放出されたカプセル封入顔料により得られる色は、組成物自体の色と全く同一である。放出は、最初のベース色の強度更新をもたらす。
【0004】
米国特許第5,380,485号は、着色剤と結合したポリマーで被覆された微粒子フィラーを含む着色化粧用組成物、及び装飾化粧品におけるその応用を開示している。
【0005】
米国特許出願公開第2005/0031558号及び第2005/0276774号は、ポリマー基質、好ましくは、長期使用下においてさえも捕捉された着色剤を全く放出させることのない架橋ポリマー基質内にマイクロカプセル封入された別個の着色剤の耐破砕性の混合物を含むマイクロ粒子を含有するパーソナルケア又は化粧用組成物を開示している。基質ポリマーは、カプセル封入着色剤の混合物が化粧品自体の着色及び化粧用組成物の適用時に皮膚の着色を提供するように、好ましくは透明又は半透明である。米国特許出願公開第2005/0276774号において開示のマイクロ粒子は、基質全体に分布する二次粒子(すなわち、基質ポリマーのそれとは異なる疎水性ポリマー)を更に含む。
【0006】
米国特許出願公開第2005/0265938号は、異なる顔料タイプ及びキャリヤーを含む装飾カラー化粧用組成物であって、前記異なる顔料タイプが、キャリヤーの中で、個別のカプセル(シリカカプセル又はミセル)中に物理的に相互に分離されている組成物を開示している。顔料は、分離した状態を維持し、且つ、最終製品中及び皮膚上においてはっきり認識できる。組成物の色は、異なる顔料の相対量によって決まり、皮膚への適用時にその色を維持する。
【0007】
米国特許出願公開第2006/0093564号は、皮膚に適用すると、小球内に充填された着色剤が皮膚に放出されるような、着色剤を封じ込んだ破裂性小球を含む着色化粧用組成物を開示している。空になった小球は更に、吸収機能を発揮する;すなわち、皮脂又は汗などの皮膚滲出物の収集装置として働く。
【0008】
米国特許第4,756,906号は、第一の着色剤及び第一の着色剤とは異なる溶媒和された第二の着色剤を含むマイクロカプセルを含む装飾的化粧用組成物を開示している。マイクロカプセルの破砕時に、カプセル封入顔料が組成物中に添加され、それにより組成物のカラー特性を変化させる。
【0009】
米国特許第6,309,655号は、自己発熱成分(水と接触させると熱を発生する)、並びに非水溶性ポリマー及び着色剤を含む自己表示性崩壊顆粒を含むノンオイルベースの無水化粧用組成物を開示している。着色剤は、物理的操作下で顆粒から放出されて、色変化を提供し、それが使用者に適用時間の長さ及び効果的な混合の指標を与える。
【0010】
米国特許第6,733,766号は、水により活性化されて視覚的色彩を発現する非カプセル封入着色剤、及び油溶性キャリヤーを含む、実質的な乾燥組成物を開示している。着色剤は、キャリヤーに不溶であり、視覚的色彩は、着色剤が乾燥した状態では組成物に付与されることはない。組成物に水を添加することにより、色変化が活性化され、したがって組成物の濡れが示される。
【0011】
米国特許出願公開第2006/0057084号は、アニオン性ポリマー、及び任意選択で、ポリマーと非共有結合的に、好ましくはイオン的に(例えば、塩形成)、結合している表面処理された非カプセル封入金属酸化物着色剤を含む、カラー凝集体を含む色変化組成物を開示している。化学的エネルギーが凝集体に加わると、着色剤がアニオン性ポリマーから解離して、適用位置において組成物に視覚的色変化を引き起こす。
【0012】
米国特許出願公開第2006/0067896号は、顕色剤(color−triggering developer)を含むサンスクリーン配合物、及び組成物の皮膚への適用後に顕色剤と反応して、色を生じることができるカラー前駆物質を含む配合物であるマーキング組成物を含む相補性試薬の自己表示性サンスクリーン又はサンブロックシステムを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
pH変化、せん断力、光、熱などの外的誘因に応答して色の変化を提供する化粧品に対する関心は増大している。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、1つ又は複数の活性物質及び1つ又は複数のマイクロカプセル封入着色剤及び任意選択の1つ又は複数の非カプセル封入着色剤を含み、皮膚への適用時に、組成物が、前記組成物からの活性物質の皮膚への送達を示す変色効果を提供し、且つ/又は皮膚に視覚的な美的効果を与える、スキンケアのための色変化組成物に関する。
【0015】
本発明の組成物は、局所適用のためのものであり、スキンケアのための化粧用又は治療用組成物であってよい。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明は、局所使用のための生物学的に及び/又は治療的に活性な物質を含む機能性/多機能性色変化化粧用組成物であって、適用時、例えば皮膚に擦り込むと、直ちに且つ不可逆的にその色を変化させる組成物に関する。この色の変化は、組成物で覆われた皮膚領域において起こり、適用皮膚領域への活性物質の送達を表示する。更に、色の変化は、視覚的な美的効果を生じる。
【0017】
色の変化は、着色剤含有のマイクロカプセルにより提供され、マイクロカプセルは、物理的力の適用により破砕すると、捕捉された着色剤を組成物中に放出し、それにより組成物の色を変化させる。擦り込むなどの機械的作用は、局所組成物を広げ、その皮膚への浸透を容易にする。組成物の即時的な色の変化は、所望の美容的効果及び、更に、使用者が所望の生物学的及び/又は治療的活性成分を適用した皮膚領域を評価することを可能にする。
【0018】
本明細書において使用する用語「機能性」及び「多機能性効果」は、化粧品、或いは皮膚に対して根本的な美容的又は装飾的効果を超える健康的利益を提供することができる化粧用組成物において、活性物質によってもたらされる効果を言う。
【0019】
本明細書において使用する用語「マイクロカプセル」は、壁形成性物質として働くポリマーのシェル及びカプセル封入された物質、例えばマイクロカプセルのコア内に位置する活性物質又は着色剤からなる球状マイクロ粒子を言う。マイクロカプセルは、ポリマー中に分散する活性物質の球状の均一顆粒からなるマイクロスフィアとは区別され、厳密には球状で空の粒子である。
【0020】
用語「単層マイクロカプセル」は、単一のポリマーシェル及びマイクロカプセルのコア内に位置するカプセル封入着色剤又は活性物質からなるマイクロカプセルを言う。
【0021】
用語「インナーコアマイクロカプセル」は、上記に定義の単層マイクロカプセルが単層又は多層マイクロカプセル内に位置している場合の単層マイクロカプセルを言う。
【0022】
用語「二層マイクロカプセル」は、第一のポリマーシェルと同一であっても異なっていてもよい第二のポリマーシェルによって被覆されたインナーコアマイクロカプセルからなるマイクロカプセルを言う。
【0023】
用語「多層マイクロカプセル」は、インナーコアマイクロカプセル及び1つ又は複数のアウターポリマーシェルからなるマイクロカプセルを言う。多層マイクロカプセルの1つ又は複数のアウターシェル及びインナーコアマイクロカプセルの単一層は、同一又は異なる壁形成性ポリマー(単数又は複数)を含んでよい。
【0024】
用語「壁形成性ポリマー」は、本明細書に定義のポリマー又は2つ以上の異なるポリマーの組合せであって、マイクロカプセルの外壁又は層又はシェルの一要素を形成するポリマーを言う。
【0025】
用語「ポリマーシェル」は、壁形成性ポリマー及び、任意選択で、可塑剤及び/又は鉱物などの追加の成分を含む、ポリマー層を言う。用語「ポリマー可塑剤シェル」は、可塑剤を含むポリマーシェルを言う。用語「ポリマー鉱物シェル」は、鉱物を含むポリマーシェルを言う。
【0026】
用語「複合二層」又は「複合多層マイクロカプセル」は、本明細書において、インナー又はアウターシェルがポリマー鉱物シェルであるマイクロカプセルを言う。
【0027】
用語「着色剤」、「着色成分」及び「顔料」は、本明細書において、交換可能に使用され、周知のFD&C又はD&C染料のいずれかから選択される合成又は天然染料などの有機顔料、金属酸化物などの無機顔料、或いはレーキ及びこれらのあらゆる組合せ(混合物)を言う。好ましい実施形態において、着色成分は、無機顔料、より好ましくは金属酸化物である。
【0028】
用語「活性剤(active agent)」、「活性成分(active)」、「活性成分(active ingredient)」、又は「活性物質(active substance)」は、本明細書において、交換可能に使用され、1つ又は複数の生物学的及び/又は治療的活性を有してよい天然又は合成物質を言う。これら用語はまた、香料及び芳香成分並びに冷却及び暖化剤をも含む。
【0029】
用語「治療的薬剤」は、本明細書において、本発明の化粧用組成物に1つ又は複数の治療的特性を付与する天然又は合成物質を言う。
【0030】
用語「天然抽出物」は、本明細書において、いかなる有意な化学的変化をも経ていない、植物由来の成分を言う。この用語は、精油などの植物油を含む。
【0031】
用語「局所適用」及び「皮膚適用」は、本明細書において、交換可能に使用され、皮膚への外的適用を言う。
【0032】
用語「局所適用のための組成物」は、スキンケア、皮膚への栄養補給、サンケア、ベビーケアを意図された、軟膏、ペースト、クリーム、ゲル、又はローションなどのあらゆる形態の組成物、皮膚適用のための医薬用組成物並びに類似の組成物を含む。
【0033】
したがって、一態様において、本発明は、1つ又は複数の活性物質及び1つ又は複数のマイクロカプセル封入着色剤及び任意選択の1つ又は複数の非カプセル封入着色剤を含み、皮膚への適用時に、組成物が、前記組成物からの活性物質の皮膚への送達を示す変色効果を提供し、且つ/又は皮膚に視覚的な美的効果を与えるスキンケアのための色変化化粧用組成物を提供する。
【0034】
本発明に基づき有用である着色剤は、油溶性又は油分散性であるか又は水への溶解性に乏しいものであってよい。典型的に適切な着色剤には、有機及び無機顔料、レーキ、天然及び合成染料及びこれらのあらゆる組合せが含まれる。
【0035】
いくつかの好ましい実施形態において、着色成分は、例えば、これらに限定するものではないが、酸化鉄、二酸化チタン(TiO)、低次酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、酸化セリウム、酸化ニッケル、酸化クロム(クロムグリーン)、酸化亜鉛、及び複合金属酸化物などの金属酸化物等の無機顔料;水酸化カルシウム、水酸化鉄、水酸化アルミニウム、水酸化クロム、水酸化マグネシウム及び複合金属水酸化物などの金属水酸化物;他の着色剤、例えばフェロシアン化第二鉄アンモニウム、プルシアンブルー、硫化鉄、マンガンバイオレット、カーボンブラック、マイカ、カオリン及びこれらの混合物などである。
【0036】
より好ましい実施形態において、無機顔料は、酸化鉄、二酸化チタン、酸化亜鉛、酸化/水酸化クロム、及びこれらの混合物から選択される。より好ましい一実施形態において、着色成分は、3つの主要な色、すなわち赤、黄又は黒のいずれか1つの酸化鉄、最も好ましくはこれらの混合物である。任意選択で、着色剤は、あらゆる所望の最終色又は色の色調を組成物に提供する目的で、酸化鉄の混合物の他に、二酸化チタンを含んでよい。好ましくは、二酸化チタンは、例えば、これらに限定するものではないが、アナターゼ、板チタン石又はルチル、或いはこれらの混合物などの鉱物形態のいずれか1つの形態で使用される。
【0037】
もう1つの実施形態において、着色剤は、金属塩、例えばアルミニウム、カルシウム又はバリウム塩、による天然又は合成染料の沈降反応によって生成されたレーキ有機顔料である。これら顔料は、油分散性であり、化粧品において広く使用されている。本発明の目的に有用なレーキ顔料の例には、インジゴレーキ、カーマインレーキ、周知のFD&C及びD&C染料シリーズのレーキ、例えばD&Cレッド21アルミニウムレーキ、D&Cレッド7カルシウムレーキが含まれるが、これらに限定されるものではない。好ましい実施形態において、着色剤は、カーマインレーキである。
【0038】
もう1つの実施形態において、着色成分は、天然又は合成の有機染料、例えば、D&C及びFD&Cシリーズの周知の芳香族アゾ、インジゴイド、トリフェニルメタン、アントラキノン及びキサンチン染料である。
【0039】
本発明によれば、組成物中の少なくとも1つの着色剤は、マイクロカプセル封入されており、追加の着色剤は、マイクロカプセル封入されていても非カプセル封入であってもよい。
【0040】
本発明の色変化組成物は、1つのタイプの顔料のみ又は2つ以上の顔料の混合物を含むマイクロカプセルを含んでよく、2つ以上の顔料は、個々にカプセル封入されているか、且つ/或いは1つ又は複数の着色剤の混合物が単層、二層又は多層マイクロカプセルのコア中に包含されていてもよい。所望のカラー効果又は色変化を生じるために顔料及び顔料の組合せをどのように選択するかを、当業者なら知っているであろう。
【0041】
活性物質は、有機物質でも無機物質でも、天然物質でも合成物質でもよく、例えば、これらに限定されることはないが、ビタミン、天然抽出物、精油、揮発性の天然又は合成化合物を含め合成によって調製若しくは天然供給源から分離された個々の化合物、及び局所適用のための医薬成分であってよい。
【0042】
活性物質は、生物学的及び/又は治療的活性又はスキンケアにとって不可欠な多様な活性を有する。1つ又は複数の機能性/多機能性活性物質は、湿潤剤、治癒/再生/再活性化剤、色素沈着軽減/美白/明色化剤、抗酸化/ラジカル捕捉剤、冷却/鎮静剤、暖化剤、麻酔剤、サンスクリーン/サンブロック剤、サンレスタンニング剤、抗生物質、抗セルライト剤、角質溶解剤、抗真菌剤、抗乾癬剤、抗炎症剤、抗菌剤、収斂剤、消毒剤、忌避剤、クモ状静脈軽減剤、抗酒さ/抗クーペローズ剤、抗アクネ剤、香料/香気成分又は熱性疱疹の処置のための薬剤から選択される。
【0043】
活性物質は、マイクロカプセル封入されていても非カプセル封入であってもよい。好ましくは、感受性の又は不安定な活性物質は、マイクロカプセル封入される。例えば、ビタミン、油、天然抽出物、精油、香料などの香気剤、並びに抗生物質などの局所適用のための薬剤などの活性物質は、マイクロカプセル封入され、且つ、効果的に単層マイクロカプセル内に保護される。より好ましくは、ビタミン、天然抽出物、精油、天然供給源から分離された個々の化合物及び局所適用のための治療用薬剤などの活性物質は、二層又は多層マイクロカプセル封入される。
【0044】
一実施形態において、皮膚にとって有益な特性を有する活性物質は、精油を始め、局所適用に使用されるあらゆるハーブ抽出物又は植物油などの天然抽出物である。ハーブ抽出物又は植物油は、好ましくはマイクロカプセル封入される。
【0045】
好ましいハーブ抽出物及び植物油には:チロシナーゼ及びメラニン合成を阻害することで知られており、加齢によるしみ、妊娠期間中の色素沈着、炎症後色素沈着過剰の処置に有用な美白及び抗しみ剤であるカンゾウ根抽出物;カプセル封入されたときにその最高の抗酸化活性を維持するような抗酸化/フリーラジカル捕捉、サンスクリーン/サンブロック、及び抗真菌剤であるブドウ種子抽出物;保湿、鎮静、抗酸化/フリーラジカル捕捉及び抗炎症剤であるボラージ油;湿潤、抗炎症剤であるホホバ油;保湿、鎮静、再生/再活性化及び抗酸化/フリーラジカル捕捉剤である月見草油;安定な高濃度マルチビタミン及びカロチノイドを含有し、皮膚再生剤、鎮静及び抗炎症剤として有益であるヒッポファエ/シーバックソーン油;アクネ、乾癬、膣炎などの処置に有用な天然の抗菌、消毒、抗真菌、治癒/再生/再活性化及び抗炎症剤であるティーツリー油;治癒/再生/再活性化剤として有用なニンジン種子抽出物及び油;抗酸化剤として有用なチャノキ(Camellia Sinensis)葉抽出物(緑茶又は紅茶);緩和及び鎮静特性並びに抗炎症効果を提供するカモミール油;優れた抗酸化及び抗炎症特性を有するショウガ油;鎮静、抗真菌及び抗炎症特性を提供するユーカリシトリオドラ(Eucalyptus Citriodora)油;並びにこれらの混合物が含まれるが、これらに限定されるものではない。
【0046】
他の実施形態において、皮膚にとって有益な特性を有する活性物質は、ビタミン、例えば、ビタミンA、B、C、D、E、F、K、P、又はこれらの混合物である。好ましい実施形態において、本発明の組成物は、1つ又は複数の下記のビタミン:皮膚再生、美白/明色化、角質溶解、抗アクネ、抗乾癬及び抗炎症剤として有用なビタミンA(遊離の形態でレチノールとして又はエステルの形態でパルミチン酸レチノールとして);抗酸化/フリーラジカル捕捉、美白/明色化、及び抗乾癬剤として有用なビタミンC(アスコルビン酸)及びその誘導体;抗酸化/フリーラジカル捕捉、及び抗炎症剤として有用なビタミンE(好ましくは、α−トコフェロールとして);不飽和リノール及びα−リノレン脂肪酸の混合物であり、必須脂肪酸(EFA)としても知られ、皮膚の健康にとって不可欠であり、且つ、保湿、冷却/鎮静、抗酸化/フリーラジカル捕捉及び抗炎症剤として機能するビタミンF;最も活性な天然フラボノイドの1つであり、抗酸化/フリーラジカル捕捉、抗セルライト及び抗炎症剤であるルチン(ケルセチン−3−ルチノシド又はビタミンP1)及びルチン無水物を含むマイクロカプセルを含む。
【0047】
更なる一実施形態において、活性物質は、例えばエリスロマイシン、アジスロマイシン又はクラリスロマイシンなどであるが、これらに限定されるものではない抗生物質、或いは、下記に定義することになる保湿剤、美白/明色化剤、色素沈着軽減剤、抗酸化/フリーラジカル捕捉剤、冷却/鎮静剤、角質溶解剤、収斂剤、治癒/再生/再活性化剤、活力回復剤、抗セルライト剤、クモ状静脈軽減剤、抗アクネ剤及び抗乾癬剤のいずれかから選択される皮膚適用に適した医薬成分である。
【0048】
その機能性に基づき、本発明の組成物において使用する活性物質は、下記のカテゴリー:
(i)湿潤又は保湿剤、例えば、これらに限定するものではないが、月見草油、ボラージ油、ホホバ油、アロエベラジェル、ビタミンF、パンテノール、及びこれらの混合物;
(ii)治癒/再活性化/再生剤、例えば、これらに限定するものではないが、ヒッポファエ(シーバックソーン)油、ティーツリー油、ビタミンA、アラントイン及び誘導体、カロチノイド、ニンジン種子抽出物及び油、パチュリー精油、並びにこれらの混合物;
(iii)色素沈着軽減(美白)/明色化剤、例えば、これらに限定するものではないが、カンゾウ(Glycyrrhiza Glabra)根抽出物、アルブチン、コウジ酸、ハイドロキノン、サリチル酸などのβ−ヒドロキシ酸、α−ヒドロキシ酸、ビタミンC及び誘導体、並びにこれらの混合物;
(iv)抗酸化/フリーラジカル捕捉剤、例えば、これらに限定するものではないが、ビタミンE、トコトリエノール、トコフェロール、ビタミンF、ビタミンC及びこれらの誘導体、ルチン、レスベラトロール及びその誘導体、チャノキ(Camellia Sinensis)葉抽出物(緑茶又は紅茶)、ブドウ種子抽出物、月見草油、ボラージ油、ショウガ精油、クルクミン、キトサン、カロチノイド、及びこれらの混合物;
(v)冷却及び鎮静剤、例えば、これらに限定するものではないが、メントール、アロエベラ(Aloe Barbadensis)葉抽出物、カンファー、サリチル酸メチル、乳酸メンチル、アラントイン、ビサボロール、カモミール抽出物及び精油、月見草油、ボラージ油、ユーカリシトリオドラ精油、パチュリー精油、パンテノール、及びこれらの混合物;
(vi)暖化剤、例えば、これらに限定するものではないが、黒コショウ抽出物及び精油、パプリカ(レッドペッパー)抽出物、シナモン抽出物及び精油、ショウガ根抽出物及び精油、ゼオライト;並びにこれらの混合物;
(vii)麻酔剤、例えば、これらに限定するものではないが、アロエベラ(Aloe Barbadensis;Aroe vera)ジェル、ベンゾカイン、リドカイン、ジブカイン、プラモキシン、テトラカイン、カンファー、レゾルシノール及びこれらの混合物;
(viii)サンスクリーン/サンブロック剤、例えば、これらに限定するものではないが、p−アミノ安息香酸(PABA)及びそのエステル、ベンザルフタリド、ベンゾフェノン、シンナメート、エトクリレン、オクトクリレン、サリシレート、ブドウ種子抽出物、二酸化チタン、酸化亜鉛、並びにこれらの混合物;
(ix)サンレスタンニング剤、例えば、これらに限定するものではないが、1,3−ジヒドロキシアセトン、メラニン、マハカンニ(mahakanni)、エリスルロース、5−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、及びこれらの混合物;
(x)局所適用のための抗生物質、例えば、これらに限定するものではないが、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン及びクリンダマイシン;
(xi)抗セルライト剤、例えば、これらに限定するものではないが、ルチン水和物、キサンチン、カフェイン、テオフィリン、テオブロミン、アミノフィリン、及びこれらの混合物;
(xii)アクネ、疣贅及び他の皮膚疾患の処置に有用な角質溶解剤、例えば、これらに限定するものではないが、サリチル酸及び他のβ−ヒドロキシ酸、グリコール酸などのα−ヒドロキシ酸、過酸化ベンゾイル、イオウ、イソトレチノイン、トレチノイン、アミノレブリン酸、フルオロウラシル、ポドフィロトキシン、ポドフィルム、プロピレングリコール、フィチン酸、及びこれらの混合物;
(xiii)抗菌剤、例えば、これらに限定するものではないが、抗生物質、カモミール精油;
(xiv)抗真菌剤、例えば、これらに限定するものではないが、ティーツリー油、ブドウ種子抽出物、ユーカリシトリオドラ精油、ウルソル酸、精油、アムホテリシン、イタコナゾール、フルコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、モルホリン、ウンデシレン酸、及びこれらの混合物;
(xv)抗アクネ剤、例えば、これらに限定するものではないが、過酸化ベンゾイル、トレチノイン、イソトレチノイン、カモミール精油、及びこれらの混合物;
(xvi)抗乾癬剤、例えば、これらに限定するものではないが、レチノイド、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD3及びこれらの類似体、エルゴカルシフェロール、カロチノイド、アンスラリン、メトロニダゾール、タザロテン、シクロスポリン、ピロガロール、アラントイン、並びにこれらの混合物;
(xvii)抗炎症剤、例えば、これらに限定するものではないが、ビタミンF、ビタミンE、カロチノイド、ビタミンA、不飽和脂肪酸、ルチン、バイオフラボノイド、ヒッポファエ(シーバックソーン)油、オリーブ油、サリシン、ショウガ根抽出物及び精油、ホホバ油、カモミール精油、ユーカリシトリオドラ精油、ウルソル酸、トリアムシノロン、コルチゾン、プレドニゾン、コルトドキソン、フルセトニド、メドリゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベタメタゾン及びこれらのエステル、クロコルテロン、デシノロン、デソニド、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルシノニド、フルコルトロン、パラメタゾン、デキサメタゾン、フルロアンドレノロンアセトニド、アセトニド、ジクロリゾン、並びにこれらの混合物;
(xviii)収斂剤、例えば、これらに限定するものではないが、ハマメリス(Hamamalis Virginiana)、セイヨウノコギリソウ(Achillea millefolium)、ローズウッド油、ベンゾイン、硫酸アルミニウム及び他のアルミニウム塩、サリチル酸、酸化亜鉛、並びにこれらの混合物;
(xix)消毒剤、例えば、これらに限定するものではないが、ハチミツ、クルクミン、カプタン、クロルヘキシジン及びその誘導体、ヘキサクロロフェン、トリクロサン、トリアセチン、ウスニン酸ナトリウム、イオウ、並びにこれらの混合物;
(xx)忌避剤、例えば、これらに限定するものではないが、精油、ピレスリン、ペルメスリン、バイオレスメチン、ジメチルフタレート、及びこれらの混合物;
(xxi)抗酒さ剤、例えば、これらに限定するものではないが、ビタミンK、イオウ、マリーゴールド油、ルチン、バイオフラボノイド、及びこれらの混合物;
(xxii)アシクロビル、抗ヒスタミン薬、局所麻酔剤、抗ウイルス活性を有する精油、及びこれらの混合物を含むが、これらに限定するものではない、熱性疱疹(口唇ヘルペス及び帯状疱疹)の局所処置にとって有益な活性物質;並びに
(xxiii)ラベンダー、ネロリ香油、カモミール精油、ショウガ精油、パチュリー精油、ユーカリシトリオドラ精油、ローズマリー精油、ビャクダン精油、ティーツリー油、及びこれらの混合物を含むが、これらに限定するものではない、香料/香気成分
に分類されうる。
【0049】
最も好ましい冷却剤は、化粧用配合物に爽快感、冷却効果、鎮静特性及び短時間の癒し感を与えるマイクロカプセル封入メントールである。本発明に基づき、10%のメントールを含むマイクロカプセルが、サンスクリーン製品、クーリングアフターサンローション、鎮静クリーム及びリフレッシングプレ−及びアフターシェーブ製品から選択されるスキンケア製品に使用される。
【0050】
サンスクリーンは、光老化及び皮膚癌の防止のために使用される重要なスキンケア製品である。サンスクリーンには2つのグループがある:約320から400nmの波長範囲のUV放射をブロックするUVAサンスクリーン、及び290から320nmの範囲の放射をブロックするUVBサンスクリーンである。UVA及びUVBタイプのサンスクリーン活性成分の混合物を含むサンスクリーン組成物は、2から50のSPF(紫外線防御係数(sun protection factor))を提供することができる。
【0051】
本発明は、Personal Care Products Council (旧Cosmetic, Toiletry and Fragrances Association, CTFA)及び米国食品医薬品局(FDA)により認可された活性物質及び着色剤を包含することを意図している。更に、化粧品業界の要件に従って、本発明のマイクロカプセルは、エタノールを含まない。
【0052】
本発明に基づき、いかなる適切なマイクロカプセル封入方法をも使用することができる。最も好ましい実施形態において、マイクロカプセル封入の方法は、米国特許第6,932,984号及び米国特許出願第11/208,007号(公開US 2006/0051425)に記載の通り、溶媒除去法に基づいており、両文書とも、参照することにより、本明細書中にあたかも完全に開示されているかのように、本書に組み込まれる。この方法は、多方面での適用可能性があり、化粧品及び医薬品産業において油溶性及び油分散性物質並びに水への溶解性に乏しい物質のカプセル封入に適用することができる。
【0053】
したがって、本発明の組成物において使用される、単層又は多層マイクロカプセルは、そのコア中に1つ又は複数の着色剤或いは1つ又は複数の活性成分をカプセル封入し、且つ、同一又は異なる壁形成性ポリマーの1つ又は複数のシェルを含み、下記のステップを含む方法によって生成される:
(a)下記を含む有機溶液を調製するステップ;(i)そこに溶解又は分散している活性成分/着色剤;(ii)ポリアクリレート、ポリメタクリレート、低分子量(約15,000 D)ポリ(メチルメタクリレート)−コ−(メタクリル酸)(1:0.16)、ポリ(エチルアクリレート)−コ−(メチルメタクリレート)−コ−(トリメチルアンモニウム−エチルメタクリレートクロリド)(1:2:0.1)、ポリ(ブチルメタクリレート)−コ−(2−ジメチルアミノエチルメタクリレート)−コ−(メチルメタクリレート)(1:2:1)、ポリ(スチレン)−コ−(無水マレイン酸)、オクチルアクリルアミド、セルロースエーテル、セルロースエステルのコポリマー及びポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール)−ブロック−ポリ(エチレングリコール)からなる群から選択される壁形成性ポリマー;(iii)部分的に水と混和し、且つ、(i)及び(ii)の物質を溶解又は分散させることができる種類の有機溶媒;並びに、任意選択で、(iv)抗酸化剤、可塑剤又は両者;
(b)前記有機溶媒で飽和され、乳化剤を含む、水性連続相を調製するステップ;
(c)攪拌しながら、(a)の有機溶液又はディスパージョンを(b)の水性連続相に注ぎ込み、エマルションを形成するステップ;
(d)エマルションからの有機溶媒の抽出を開始するために過剰量の水を(c)で得られたエマルションに添加し、溶媒をインキュベートすることによって抽出を継続し、したがって固体単層マイクロカプセル(以下「コアマイクロカプセル」)の形成を促進するステップ;
(e)コアマイクロカプセルを分離し、水又はアルコール水溶液で洗って乾燥し、このように単層マイクロカプセルを得るステップ;及び、任意選択で、
(f)(e)の乾燥したコア単層マイクロカプセルの表面を、コア表面の形態を変化させて、その比表面積を増大し追加のポリマーシェルの接着を容易にする物質で処理することによって多層マイクロカプセルを形成し、二層マイクロカプセルを形成するためにステップ(a)から(e)までを繰り返すか、又はコアマイクロカプセルを取り囲む2つ以上の追加の層を加えるためにステップ(a)から(f)までを繰り返しそれに続いて(a)から(e)までを1回又は複数回繰り返すステップ。
【0054】
本発明のカプセル封入の方法は、製造工程及び長期の保管の間、カプセル封入着色剤の本来の色を遮蔽し、劣化に弱い物質の安定性を増大し、カプセル封入された物質の組成物中への望ましくない放出を防止する。
【0055】
着色剤のカプセル封入は、化粧品の製造及び長期保管の間、顔料の望ましくない再凝集を防止する。着色剤のカプセル封入はまた、互いに不相容性であって、直接の接触はおそらくは有害であろう活性成分と着色剤の、単一の組成物への配合をも可能にする。更に、着色剤のマイクロカプセル封入は、本発明の組成物の調製のために通常の装置を使用することを可能にする、なぜなら製造工程中の装置の着色が全く起こらないからである。
【0056】
本発明の着色剤又は活性成分を含む適切なマイクロカプセルは、膨潤することが可能でなければならないが、同時にカプセル壁の不浸透性を維持し、且つカプセル封入された物質の配合物中への放出を防止しなければならない。これらのマイクロカプセルは、その内容物を放出するために、皮膚上での非常にわずかな擦り又は押付けによって破砕するほど十分に柔弱でなくてはならないが、それでも、マイクロカプセルの分離、乾燥又は篩過の間にシェルの破壊及び内容物の顕在化を回避するのに十分な耐久性がなくてはならない。
【0057】
本発明の組成物を適用している消費者は、異なる感覚的シグナル:適用時の組成物の色の変化によって与えられる視覚/視感的シグナル、マイクロカプセル封入された香料/香気成分の放出により与えられる嗅覚/臭気的シグナル、及びマイクロカプセル封入された冷却又は暖化剤の送達によって与えられる皮膚感覚を介して適用前後の違いを感じることができる。
【0058】
多層マイクロカプセルは、同一又は異なる壁形成性ポリマー又はシェル形成性ポリマーによって形成されてよいが、これらは全て同一の物理的機械的性質を有し、水にも油にも不溶であり、温度安定性があり、取り扱われる間、脆弱ではなく且つ、破裂性ではない。このようなマイクロカプセルは、色及び悪臭の遮蔽、並びに不安定、感受性及び/又は揮発性物質の保護において効果的である。
【0059】
単層マイクロカプセル封入による保護/遮蔽効果は、カプセル封入される物質の化学構造、分子量及び物理的性質に依存する。いくつかの着色剤及び活性物質に関して、単層マイクロカプセル封入は、十分な遮蔽効果及び/又は劣化からの保護を提供しないであろう。そのような物質に関しては、二層又は多層マイクロカプセル封入を使用する。
【0060】
好ましい一実施形態において、マイクロカプセルは、着色剤又は活性成分を含むインナーコア及び同一又は異なる壁形成性ポリマーの1つ又は複数のアウターシェルからなる、70μm未満のサイズの複合二層又は多層化球状粒子である。
【0061】
より好ましい一実施形態において、ポリマーシェルは、マイクロカプセルの物理的特性及び弾力性のレベルを制御するために、トリカプリリン、トリラウリン、トリパルミチン、トリアセチン、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、ミリスチン酸イソプロピル、パラフィン油、又はこれらの混合物などの可塑剤を含む。
【0062】
ここから調製される組成物及び化粧品は、所望の初期色をその適用前に製品に与えるために、非カプセル封入形態の追加の天然又は合成染料を含んでよい。この初期色は、カプセル封入着色剤の放出時に皮膚上で最終的に発現する色とは全く異なっていてよい。
【0063】
本発明の色変化組成物は、局所適用のための組成物の製造技術分野において既知の従来の手順で調製されてよい。一実施形態において、組成物は、適切なカプセル封入着色剤及びカプセル封入されているか又は非カプセル封入である活性物質の、スキンケア処方中への単純な物理的混合によって調製される。
【0064】
より好ましい一実施形態において、化粧用組成物は、少なくとも3つの個別にマイクロカプセル封入された着色剤、好ましくは金属酸化物、より好ましくは酸化鉄の混合によって調製され、前記着色剤はそれぞれ、少なくとも1つの主要な着色剤を含む。
【0065】
本発明の色変化化粧用及び治療用組成物は、上記に挙げた着色剤及び活性成分の他に、当技術分野において周知の添加剤、例えば乳化剤、エモリエント、増粘剤、界面活性剤、キレート化剤、ゲル化剤、脱イオン水、防腐剤、湿潤剤、粘稠要素、香料、美的状態向上剤、皮膚浸透性向上剤、角質剥離剤、潤滑剤、pH調節剤などを含んでよい。
【0066】
本発明の色変化化粧用組成物は、水中油型、油中水中油型、油中水型、又は水中油中水型エマルション、水性配合物又は無水配合物として処方されてよい。
【0067】
本発明の化粧用及び治療用組成物は、好ましくはクリーム、ローション、ゲル、ミルク、バーム、マスク又はメークアップ製品の形態である。好ましい一実施形態において、製品は、クリーム、より好ましくはフェイシャルクリーム、バーム又は水中油型エマルションであるローションである。もう1つの好ましい実施形態において、製品はマスクである。
【0068】
本発明のより好ましい実施形態において、化粧用又は治療用組成物は、多機能性の活性を有し、例えばボディスキンケア、フェイシャルスキンケア、ベビーケア、サンスクリーンケア、アフターサン、サンレスタンニング、美白、アフターシェーブ、抗アクネ、昆虫忌避、抗セルライト及び制汗組成物から選択されるが、これらに限定されるものではない。
【0069】
好ましい一実施形態において、多機能性色変化サンスクリーン/サンブロック組成物は、製品の適用及び抗酸化活性の色による表示効果を有する。旧タイプのサンスクリーン/サンブロック組成物は、UV光防御を主要な遮蔽性として提供する。今日のサンスクリーンは、2つの防御メカニズム:すなわちUV光線のフィルタリング及び活性酸素種(ROS)を消去する抗酸化活性を第二の遮蔽性として提供するバランスの取れたサンスクリーン防御システムである。適用時の皮膚上での破砕したマイクロカプセルからの着色剤の非遅延性放出及びカラー色調の広がりは、適用した望ましい皮膚領域全てがサンスクリーンで被覆され、UV放射から防御されることを保証する。本発明の多機能性色変化サンスクリーン組成物を適用すると、既知のサンスクリーン/サンブロック製品の特徴である適用皮膚領域の不快な白色化を防止する。更に、本発明は、有機UV吸収剤などの比較的不安定な活性成分に高い安定性を与え、適用すると直ちに、生き生きしたタン/ブロンズの皮膚色調という美的利点を提供する。更に、マイクロカプセル封入された無機顔料は、UV吸収剤として働く無機顔料、特に、光路長を増大させる酸化鉄、二酸化チタン及び酸化亜鉛などの金属酸化物着色剤の能力により放射防御の効率を劇的に増大する。UV吸収剤としてのマイクロカプセル封入された着色料の作用は、UV光に透明なポリマーの使用により可能になる。
【0070】
この特定の実施形態において、多機能性色変化サンスクリーン組成物は、1つ又は複数、好ましくは3つ以上の着色剤、好ましくは個別にマイクロカプセル封入された着色剤、並びにマイクロカプセル封入又は非カプセル封入形態のサンスクリーン剤、好ましくは有機及び無機サンスクリーン剤の両者、抗酸化/ラジカル捕捉剤及び湿潤剤を含み、ここで、着色剤は、酸化鉄、二酸化チタン、低次酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、酸化セリウム、酸化ニッケル若しくは酸化亜鉛、又は複合酸化物、より好ましくは、赤酸化鉄、黄酸化鉄又は黒酸化鉄から選択される酸化鉄、或いはこれらの混合物から選択される主要な金属酸化物である。マイクロカプセル封入着色剤は、全体として、組成物全量の1重量%から10重量%、好ましくは3重量%から7重量%の範囲の量で存在し;サンスクリーン剤は、5重量%から50重量%、好ましくは10重量%から40重量%の範囲の量で存在し;湿潤剤は、0.5重量%から5重量%、好ましくは1重量%から3重量%の範囲の量で存在し;且つ、抗酸化剤は、0.1重量%から1重量%、好ましくは0.2重量%から0.5重量%の範囲の量で存在する。
【0071】
より好ましい一実施形態において、本発明の多機能性色変化サンスクリーン/サンブロック組成物は、個別にマイクロカプセル封入された3つの主要な酸化鉄着色剤、すなわち黄、赤及び黒酸化鉄着色剤、非カプセル封入サンスクリーン剤の二酸化チタン、酸化亜鉛、及びホモサレート、マイクロカプセル封入された抗酸化剤のビタミンE、並びに湿潤及び鎮静剤であるボラージ油及びアラントインを含む多機能性の高SPF(45)サンスクリーン/サンブロック組成物である。
【0072】
もう1つの好ましい実施形態において、本発明は、冷却、鎮静、及び美的作用に伴う即時的な色表示効果をもたらす多機能性色変化アフターサン/アフタータンニング組成物を提供する。アフターサン製品は、日焼けによって起こる痛み及び不快感に対する癒しを与え、且つ、皮膚水分量の損失を補わなくてはならない。アフターサン組成物に、皮膚神経の苛立ちを和らげて痛みを癒す局所麻酔剤、皮膚の水分バランスを修復する湿潤剤、及び日焼けした皮膚領域に心地よい冷却感を与える冷却及び鎮静活性成分が含まれるのは、一般的慣行である。多機能性色変化アフターサン/アフタータンニング組成物は、色による表示効果に加えて、コンシーリング効果及び日焼けした皮膚の赤味掛かった領域に健康的な皮膚色調の外観を与える。
【0073】
この特定の実施形態によれば、多機能性アフターサンローション組成物は、1つ又は複数、好ましくは3つの着色剤、より好ましくは個別にマイクロカプセル封入された3つの着色剤、並びに湿潤剤、再活性化剤、冷却剤、鎮静麻酔剤又は抗酸化/フリーラジカル捕捉剤から選択されるマイクロカプセル封入又は非カプセル封入形態の1つ又は複数の活性成分を含む。マイクロカプセル封入された着色剤は、組成物全量の2重量%から8重量%、好ましくは3重量%から5重量%の範囲の量で存在し;湿潤剤は、0.5重量%から5重量%、好ましくは1重量%から3重量%の範囲の量で存在し;再活性化剤は、2重量%から10重量%、好ましくは3重量%から8重量%の範囲の量で存在し;冷却剤は、0.02重量%から0.2重量%、好ましくは0.05重量%から0.15重量%の範囲の量で存在し;且つ、抗酸化剤は、0.1重量%から0.5重量%、好ましくは0.2重量%から0.3重量%の範囲の量で存在する。
【0074】
より好ましい一実施形態において、本発明のアフターサン組成物は、個別にマイクロカプセル封入された3つの主要な酸化鉄着色剤、すなわち黄、赤及び黒酸化鉄着色剤、マイクロカプセル封入された再活性化剤のヒッポファエ油、マイクロカプセル封入された抗酸化剤のビタミンE及びブドウ種子抽出物、並びにマイクロカプセル封入された冷却/鎮静剤のメントールを含む多機能性アフターサンローションである。
【0075】
更に好ましい一実施形態において、本発明は、即時的な「夏の」皮膚色調をもたらす多機能性色変化サンレスタンニング組成物を提供する。サンレスタンニング組成物の一般的な目的は、サンタン色調の所望の色合いを皮膚に与え、皮膚を保湿し、且つ日焼けから守ることである。既知の組成物のタンニング効果は、実際は、製品の皮膚への適用後のある一定の時間においてのみ観察される。本発明の色変化サンレスタンニング組成物は、即時的な所望のサンタンスキンの色調を顔にも身体にも提供し、湿潤剤及びUV吸収剤などの皮膚に有益な他の活性成分が同時に送達されたことをはっきりと示す。サンレスタンニング組成物がサンスクリーン剤を含む場合、皮膚の着色された領域は、これらの適用皮膚領域がUV光から防御されていることを示している。
【0076】
この特定の実施形態によれば、多機能性色変化サンレスタンニング組成物は、1つ又は複数、好ましくは3つの着色剤、より好ましくは個別にマイクロカプセル封入された3つの着色剤、並びに、サンレスタンニング剤、湿潤剤、抗酸化剤、又はサンスクリーン剤から選択されるマイクロカプセル封入又は非カプセル封入形態の1つ又は複数の活性成分を含む。サンレスタンニング剤は、組成物全量の2重量%から8重量%、好ましくは3重量%から5重量%の範囲の量で存在し;マイクロカプセル封入された着色剤は、全体として、2重量%から8重量%、好ましくは5重量%から7重量%の範囲の量で存在し;湿潤剤は、0.5重量%から5重量%、好ましくは1重量%から3重量%の範囲の量で存在し;抗酸化剤/フリーラジカル捕捉剤は、0.1重量%から0.5重量%、好ましくは0.2重量%から0.3重量%の範囲の量で存在し;且つ、サンスクリーン剤は、2重量%から6重量%、好ましくは3重量%から5重量%の範囲の量で存在する。
【0077】
より好ましい一実施形態において、本発明の多機能性色変化サンレスタンニング組成物は、個別にマイクロカプセル封入された3つの主要な酸化鉄着色剤、すなわち黄、赤及び黒酸化鉄着色剤、非カプセル封入サンレスタンニング剤の1,3−ジヒドロキシアセトン(DHA)、及びマイクロカプセル封入された抗酸化剤のビタミンE、湿潤剤のボラージ油及びビタミンF、並びにサンスクリーン剤であるオクチルメトキシシンナメートを含むサンレスタンボディローションである。
【0078】
もう1つの好ましい実施形態において、本発明は、活性成分の送達の色による表示並びにメークアップ作用をもたらす多機能性抗老化スキンケアを提供する。抗老化スキンケア製品は、皮膚の美しさを維持することを目的とし、それは主として長期間にわたり若々しい外観及び均一な色調の引き締まった皮膚を維持することに相当する。これらの製品は、保護、再生、湿潤、バランスの取れた状態での皮膚の維持又は損なわれた皮膚の状態を改善するなどの皮膚に対する多数の種々の活性による利益を主張している。本発明の抗老化組成物の適用直後の原位置における色調の発現は、所望の健康的で均一な皮膚の色調を、メークアップを追加的に使用することなく提供する。
【0079】
この特定の実施形態によれば、色変化抗老化組成物は、1つ又は複数、好ましくは3つの着色剤、より好ましくは個別にマイクロカプセル封入された3つの着色剤、並びに1つ又は複数のマイクロカプセル封入された又は非カプセル封入である湿潤剤、再活性化/再生剤、抗酸化剤、又はサンスクリーン剤を含む。マイクロカプセル封入された着色剤は、全体として、組成物全量の1重量%から6重量%、好ましくは2重量%から5重量%の範囲の量で存在し;湿潤剤は、2重量%から10重量%、好ましくは4重量%から7重量%の範囲の量で存在し;再活性化剤は、0.1重量%から2重量%、好ましくは0.25重量%から1重量%の範囲の量で存在し;抗酸化剤は、0.1重量%から0.5重量%、好ましくは0.2重量%から0.3重量%の範囲の量で存在し;且つ、サンスクリーン剤は、2重量%から10重量%、好ましくは5重量%から7重量%の範囲の量で存在する。
【0080】
より好ましい実施形態において、色変化抗老化スキンケア組成物は、個別にマイクロカプセル封入された3つの主要な酸化鉄着色剤、すなわち黄、赤及び黒酸化鉄着色剤、マイクロカプセル封入された湿潤剤の月見草油、マイクロカプセル封入されたビタミンA、マイクロカプセル封入された抗酸化剤、非カプセル封入湿潤剤のアラントイン、並びにサンスクリーン剤のアボベンゾンを含む多機能性フェイシャルクリームである。
【0081】
もう1つの好ましい実施形態において、色変化組成物は、皮膚に強力な湿潤、再生及び再活性化効果を与える活性成分を含む多機能性フェイスマスク組成物である。フェイスマスク組成物は、マイクロカプセル封入された有機着色剤のD&Cグリーン6及び/又は3つの酸化鉄顔料、マイクロカプセル封入された活力回復剤のレチノール、抗酸化剤のビタミンE、収斂剤のハマメリス蒸留物、再活性化/再生剤のオタネニンジン(Panax Ginseng)根抽出物、並びに湿潤剤のビタミンFを含んでよい。
【0082】
更にもう1つの好ましい実施形態において、本発明は、美白活性成分の皮膚への送達の色による表示を提供し、更にメークアップ作用も提供する多機能性色変化美白/明色化スキンケア組成物を提供する。皮膚におけるメラニンの過剰産生及び蓄積は、長期にわたる太陽光暴露に関連し、顔、背中、腕、手及び脚における暗く、不規則な皮膚色及び加齢によるしみとして顕在化する色素沈着過剰を引き起こすことがある。皮膚の美白/明色化剤は、チロシナーゼ活性及びメラニン合成を阻害することにより皮膚を明色化する。一般に、皮膚美白製品は、夜間のみに適用可能である。そうでない場合、美白剤が皮膚に光感作を起こす可能性があるために完全なUV光の防御が必要である。本発明の多機能性美白組成物は、サンスクリーン剤及び抗酸化剤によってもたらされるUV光防御、及び色素沈着皮膚領域に対するマスキング効果、及び更に適用皮膚領域への活性成分の送達を示す色による表示効果により、日中及び屋外活動の間に適用することが可能である。
【0083】
この特定の実施形態によれば、色変化美白組成物は、1つ又は複数、好ましくは3つの着色剤、より好ましくは個別にマイクロカプセル封入された3つの着色剤、マイクロカプセル封入された美白/明色化剤、及びマイクロカプセル封入又は非カプセル封入形態の湿潤剤、再活性化剤、抗酸化剤、及びサンスクリーン剤を含む。マイクロカプセル封入された着色剤は、全体として、1重量%から10重量%、好ましくは4重量%から7重量%の範囲の量で存在し;マイクロカプセル封入された美白/明色化剤は、0.05重量%から0.5重量%、好ましくは0.1重量%から0.3重量%の範囲の量で存在し;マイクロカプセル封入されたフリーラジカル捕捉剤は、0.03重量%から0.5重量%、好ましくは0.06重量%から0.3重量%の範囲の量で存在し;且つ、サンスクリーン剤は、2重量%から20重量%、好ましくは5重量%から12重量%の範囲の量で存在する。
【0084】
より好ましい実施形態において、色変化美白/明色化組成物は、個別にマイクロカプセル封入された3つの主要な酸化鉄着色剤、すなわち黄、赤及び黒酸化鉄着色剤、マイクロカプセル封入された美白剤のカンゾウ根抽出物、マイクロカプセル封入された抗酸化剤のブドウ種子抽出物又はビタミンE、及び非カプセル封入サンスクリーン剤のSolaveil CT−200を含む多機能性フェイシャルホワイトニングクリームである。
【0085】
更にもう1つの好ましい実施形態において、本発明は、色による表示効果、調色/コンシーリング効果、並びに湿潤、再生、鎮静、冷却及び抗炎症効果を有する多機能性色変化アフターシェーブ組成物を提供する。したがって、本発明の多機能性アフターシェーブ組成物は、所望の健康的外観の皮膚を提供し、皮膚の痒み及び発赤を改善し、且つ微細な切り傷及び瘢痕の治癒を助ける。
【0086】
好ましい一実施形態において、色変化アフターシェーブ組成物は、1つ又は複数、好ましくは3つの着色剤、より好ましくは個別にマイクロカプセル封入された3つの着色剤、及びマイクロカプセル封入又は非カプセル封入形態の湿潤剤、再活性化/再生剤、冷却/鎮静剤、及び抗炎症剤を含む。マイクロカプセル封入された着色剤は、組成物全量の0.5重量%から5重量%、好ましくは1重量%から3重量%の範囲の量で存在し;マイクロカプセル封入された湿潤剤、再活性化剤、栄養付与剤、及び再生剤は、0.2重量%から3重量%、好ましくは0.5重量%から1重量%の範囲の量で存在し;マイクロカプセル封入された鎮静/冷却剤は、0.02重量%から0.2重量%、好ましくは0.05重量%から0.1重量%の範囲の量で存在し;マイクロカプセル封入された抗炎症剤は、0.2重量%から1重量%、好ましくは0.5重量%から0.8重量%の範囲の量で存在する。
【0087】
より好ましい実施形態において、色変化アフターシェーブ組成物は、個別にマイクロカプセル封入された3つの主要な酸化鉄着色剤、すなわち黄、赤及び黒酸化鉄着色剤、及びマイクロカプセル封入された湿潤剤のボラージ油、再活性化/再生剤のヒッポファエ油、冷却/鎮静剤のメントール、及び抗炎症剤のティーツリー油を含む多機能性鎮静アフターシェーブバームである。
【0088】
更にもう1つの好ましい実施形態において、本発明は、装飾的多機能性色変化組成物、より好ましくは湿潤、サンスクリーン及び抗酸化活性と相まって、所望の均一な皮膚色を提供する多機能性メークアップを提供する。この特定の実施形態によれば、装飾的組成物は、少なくとも3つの個別にマイクロカプセル封入された着色剤、マイクロカプセル封入又は非カプセル封入形態の湿潤剤、抗酸化剤、及びサンスクリーン剤を含む。マイクロカプセル封入された着色剤は、組成物全量の2重量%から10重量%、好ましくは3重量%から8重量%の範囲の量で存在し;湿潤剤は、2重量%から8重量%、好ましくは4重量%から7重量%の範囲の量で存在し;抗酸化剤は、0.01重量%から0.1重量%、好ましくは0.01重量%から0.05重量%の範囲の量で存在し;サンスクリーン剤は、2重量%から10重量%、好ましくは5重量%から7重量%の範囲の量で存在する。
【0089】
更に好ましい一実施形態において、本発明は、1つ又は複数、好ましくは3つの着色剤、より好ましくは個別にマイクロカプセル封入された3つの着色剤の混合物を含み、各着色剤が主要な着色剤である多機能性色変化皮膚医薬用組成物に関する。このような組成物は、治療用薬剤送達及び放出の色による表示を提供し、且つ任意選択で、例えば発赤などの皮膚疾患をマスキングすることによって、調色/コンシーリング効果を更に提供する。医薬用組成物は、熱性疱疹(口唇ヘルペス)、湿疹、乾癬、皮膚のしみ、アクネ、帯状疱疹、吹き出物、セルライト、静脈瘤、クモ状静脈、酒さの処置のため及び毛細血管の強化のためのマイクロカプセル封入された並びに非カプセル封入の抗生物質、抗ウイルス剤、抗真菌剤、一般用消毒剤、局所麻酔剤、角質溶解剤、ステロイド剤、非ステロイド抗炎症剤及び抗ヒスタミン剤を含んでよい。多機能性色変化医薬用組成物は、追加のサンスクリーン/サンブロック製品を適用する必要なしにUV照射からの防御を更に提供してよく、且つ適用時に直ちに皮膚に健康的な外観を与える。治療的及び装飾的作用の両者を有するこのような皮膚用製品は、ティーンエージャーがこれらを使用するのを促進する。
【0090】
この特定の実施形態によれば、多機能性色変化局所医薬用組成物は、1つ又は複数の個別にマイクロカプセル封入された着色剤、マイクロカプセル封入された又は非カプセル封入である治療用薬剤、例えば、抗生物質、更に湿潤剤、鎮静剤、抗酸化剤、及びサンスクリーン剤から選択されるマイクロカプセル封入された又は非カプセル封入の活性成分を含む。マイクロカプセル封入された着色剤は、組成物全量の3重量%から10重量%、好ましくは5重量%から8重量%の範囲の量で存在し;抗生物質は、0.05重量%から0.2重量%、好ましくは0.1重量%から0.15重量%の範囲の量で存在し;湿潤剤は、1重量%から5重量%、好ましくは2重量%から3重量%の範囲の量で存在し;抗酸化/ラジカル捕捉剤は、0.1重量%から0.5重量%、好ましくは0.2重量%から0.5重量%の範囲の量で存在し;サンスクリーン剤は、2重量%から10重量%、好ましくは5重量%から7重量%の範囲の量で存在し;且つ、鎮静剤は、0.2重量%から1重量%、好ましくは0.4重量%から0.7重量%の範囲の量で存在する。
【0091】
より好ましい一実施形態において、本発明は、1つ又は複数のマイクロカプセル封入着色剤、好ましくはコンシーリング効果をもたらす緑色の着色剤、及び任意選択で、個別にマイクロカプセル封入された3つの主要な酸化鉄着色剤、すなわち黄、赤及び黒酸化鉄着色剤を含み、且つ更に抗アクネ治療薬剤であるサリチル酸(非カプセル封入の)、マイクロカプセル封入されたアジスロマイシン、角質溶解剤のビタミンA、抗酸化剤のビタミンE、及び冷却/鎮静剤のメントール、非カプセル封入サンスクリーン剤であるベンゾフェノン−3、及び湿潤剤であるアロエベラジェルを含む、色変化多機能性抗アクネフェイスクリームを提供する。
【0092】
もう1つの好ましい一実施形態において、本発明は、治療用ルチン水和物(ビタミンP)の送達及び放出を色により表示する効果を有する多機能性色変化抗セルライト組成物であり、更にわずかなコンシーリング効果も提供する。より好ましい一実施形態において、組成物は、2つ以上、好ましくは3つの着色剤、より好ましくは3つの個別にマイクロカプセル封入された着色剤、マイクロカプセル封入されたルチン水和物、及びマイクロカプセル封入又は非カプセル封入形態の湿潤剤、及び抗酸化剤を含む。サンスクリーン剤、収斂剤及び再活性化剤など、皮膚にとって有益な他の活性成分もまた配合されてよい。マイクロカプセル封入された着色剤は、組成物全量の3重量%から8重量%、好ましくは4重量%から7重量%の範囲の量で存在し;ルチン水和物は、0.05重量%から0.3重量%、好ましくは0.1重量%から0.2重量%の範囲の量で存在し;湿潤剤は、1重量%から5重量%、好ましくは2重量%から3重量%の範囲の量で存在し;抗酸化/フリーラジカル捕捉剤は、0.1重量%から0.5重量%、好ましくは0.2重量%から0.5重量%の範囲の量で存在する。
【0093】
最も好ましい実施形態において、上記の色変化組成物は、個別にマイクロカプセル封入された3つの主要な酸化鉄着色剤、すなわち黄、赤及び黒酸化鉄着色剤、及びマイクロカプセル封入されたルチン水和物、抗酸化剤である緑茶抽出物、角質溶解剤のアラントイン、収斂剤のハマメリス、再活性化剤のオタネニンジン根抽出物及び湿潤剤であるビタミンFを含む多機能性抗セルライトクリームである。
【0094】
本発明は、次に下記の非限定的な実施例によって例証されることになる。
【実施例】
【0095】
活性物質の濃度は、マイクロカプセル封入されているものもいないものも、組成物全体に対する重量パーセントで算出する。マイクロカプセル封入された着色剤の濃度は、封入済みマイクロカプセルの組成物全体に対する重量パーセントで算出する。
【0096】
物質
下記のマイクロカプセル封入された物質を、Tagra Biotechnologies Ltd., Netanya, Israelより得た:黄酸化鉄(YellowCap1);赤酸化鉄(RedCap1);黒酸化鉄(BlackCap1);フェロシアン化第二鉄アンモニウム(BlueCap);パルミチン酸レチノール − ビタミンA(Tagravit A2);レチノール(Tagravit R);遊離α−トコフェロール − ビタミンE(Tagravit E1);遊離形態のリノール酸及びリノレン酸の無臭混合物(Tagravit F1);マイクロキャップ被覆(micro−capped masked)カモミール油(Tagrol CM1);マイクロキャップ被覆ショウガ油(Tagrol GN1);マイクロキャップ被覆ユーカリシトリオドラ(Eucalyptus Citriodora)油(Tagrol EC1);無臭月見草油(Tagrol EPO1);ボラージ油(Tagrol B1);ヒッポファエ/シーバックソーン油(Tagrol H1);ティーツリー油(Tagrol TTO1);メントール(Tagrol Ment1);マイクロカプセル封入ブドウ種子抽出物(Tagranat GS1);マイクロカプセル封入ルチン水和物(Tagranat Rutin1);カンゾウ(Tagranat Licorice1)。これらのマイクロカプセル封入活性成分は、米国特許公開第2006/0051425号に記載の通り調製され、Tagra Biotechnologies Ltd.により市販されている。
【0097】
(例1)
酸化鉄の複合二層マイクロカプセルの調製
第一に、2gのEudragit RS PO(Degussa)を15mlの酢酸エチルに10分間攪拌しながら溶解して、ポリマー−可塑剤シェルで被覆した酸化鉄顔料を含むインナーコアを調製した。次いで、トリカプリリン、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、ミリスチン酸イソプロピル又はこれらの混合物から選択される2gの可塑剤を5分間攪拌しながら加え、それに続いて、15分間攪拌しながら、4gの酸化鉄顔料(黄酸化鉄/水酸化鉄、黒酸化鉄、赤酸化鉄又はこれらの混合物から選択)を添加した。得られたサスペンジョンを予め15mlの酢酸エチルで飽和した0.5gのPVAを含む90mlの水で乳化した。このサスペンジョンを、攪拌しながら900mlの水の中に注ぎ込み10〜15分間インキュベートして、酢酸エチルを抽出し、マイクロカプセルを形成させた。得られたコアマイクロカプセルを沈降によって分離し、水で洗って30℃以下の温度で乾燥して自由に流動するパウダーを得た。
【0098】
第二の段階において、6gのインナーコアマイクロカプセルを、その外側表面を修飾するために0.01gのジオキソシリコン(Aerosil 200, Degussa AG)とともに粉末にした。
【0099】
第三の段階において、1gのEudragit RS POを15mlの酢酸エチルに5〜10分間攪拌しながら溶解して、ポリマー−鉱物ディスパージョンを調製した。次いで、トリカプリリン、クエン酸トリエチル、ミリスチン酸イソプロピル又はこれらの混合物から選択される2gの可塑剤を5分間攪拌しながら加え、それに続いて、アナターゼ、ルチル、板チタン石の形態の二酸化チタン、窒化ホウ素のα−修飾物、ケイ酸マグネシウム、カリウム、ナトリウム、マグネシウムヒドロアルミノシリケート、ミリスチン酸マグネシウム又はこれらの混合物から選択される11gの鉱物を加えた。使用される好ましい鉱物は、通常、平坦な黒鉛六方晶構造(h−BN、α−BN又はg−BN修飾)を有する粒子サイズ(D50)10μm未満の柔らかい固体潤滑剤である窒化ホウ素(「ホワイトグラファイト」)であった。
【0100】
得られたディスパージョンを、超音波で3分間処理した。次いで、6gの粉末化修飾インナーコアマイクロカプセルを5分間攪拌しながら、ディスパージョンに徐々に加えた。均一なサスペンジョンが得られたら、それを予め11mlの酢酸エチルで飽和した0.5gのPVAを含む84mlの水の中で乳化した。得られたサスペンジョンを攪拌しながら840mlの水に注ぎ込み、3〜5分間インキュベートして、酢酸エチルを抽出し、二層マイクロカプセルを形成させる。複合二層マイクロカプセルの自由流動パウダーとしての分離は、第一段階において記載の通りに実施した。このようにして得られた二層マイクロカプセルの外径は、40〜60μmの範囲である。顕微鏡解析により、複合二層マイクロカプセルは、滑らかな表面を有する白色球状粒子であることが明らかになった。この結果は、アウターシェルは、配合された顔料の色を完全にマスクしたことを示している。
【0101】
(例2)
高SPF多機能性サンスクリーン組成物の調製
UVB/UVAからの皮膚の防御のためのSPF45を作り出す、無機及び有機サンスクリーン剤の組合せを含む多機能性高SPF(sun protection factor)サンスクリーン組成物を、表1に収載の成分を使用して下記の通りに調製した:A相の成分を表の順序で混合し、70℃まで加熱した。B相の成分を混ぜ合わせ、70℃まで加熱した。A相をB相に攪拌しながらゆっくりと加え、温度を70℃に維持しながら更に5分間混合を続けた。次いで、攪拌しながら、混合物をゆっくりと45℃まで冷却した。C相(香料)を45℃で加えた。温度が40℃に低下したら、均一な配合物になるまでゆっくりと攪拌しながらD相の成分を1つずつ加えた。完全な分布を達成するまで穏やかに攪拌しながらE相の成分を40℃で1つずつ加えた。穏やかに攪拌しながら、組成物をゆっくりと室温まで冷却した。
【0102】
【表1】

【0103】
得られたサンスクリーンクリームは白色であり、皮膚上に優しく塗り付けると、直ちに色が変化し明るいサンタン色調になった。
【0104】
(例3)
色変化アフターサンローションの調製
冷却、湿潤、治癒及び明るい美的効果を日焼けした皮膚にもたらす多機能性アフターサンローション組成物を表2に収載の成分を使用して下記の通りに調製した:A相の成分を表の順序で混合し、75℃まで加熱した。B相の成分を混ぜ合わせ、80℃に加熱した。B相をA相にホモジナイズしながらゆっくりと加えた。75〜80℃の温度で、ホモジナイゼーションを更に5分間続けた。次いで混合物を、休みなく攪拌しながらゆっくりと45℃まで冷却し、C相(香料)を加えた。休みなく攪拌しながら40℃でD相の成分を1つずつ加えた。E相の成分を室温で予めわずかに混合し、完全な分布を達成するまで穏やかに攪拌しながら40℃でゆっくりと混合物に加えた。F相のマイクロカプセル封入させた着色剤を徐々に、且つゆっくりと1つずつ加え、均一な組成物が得られるまで穏やかに攪拌した。穏やかに攪拌しながら、組成物をゆっくりと室温まで冷却した。
【0105】
【表2】

【0106】
(例4)
色変化サンレスタンニングローションの調製
サンレスタンニング剤及び皮膚の湿潤、保護及び再活性化のための活性成分を含む多機能性色変化サンレスタンニングボディローションを表3に収載の成分を使用して下記の通りに調製した:A相の成分を表の順序で混合し、75℃まで加熱した。B相の成分を混ぜ合わせ80℃に加熱した。B相をA相にホモジナイズしながらゆっくりと加えた。75〜80℃の温度で、ホモジナイゼーションを更に5分間続けた。混合物を攪拌しながらゆっくりと45℃まで冷却し、次いでC相(香料)を加えた。D相の成分を混ぜ合わせ、相が透明になるまで休みなく攪拌しながら最高で35〜40℃までゆっくりと加温した。調製したD相を混合物に、攪拌しながら、35〜40℃の温度で加えた。完全な分布を達成するまで穏やかに攪拌しながらE相の成分を40℃で1つずつゆっくりとエマルションに加えた。均一な組成物が得られるまで40℃で穏やかに混合しながらF相の成分を次いで1つずつ徐々に加えた。穏やかに攪拌しながら、組成物をゆっくりと室温まで冷却した。
【0107】
得られた色変化サンレスタンニングボディローションは、白色であり、皮膚上に優しく塗り付けると、直ちに色が変化してブロンズのサンタン色調を適用した皮膚領域に与えた。
【0108】
【表3】

【0109】
(例5)
色変化鎮静アフターシェーブバームの調製
皮膚の湿潤、鎮静/冷却、保護及び再活性化が可能な活性成分を含む多機能性色変化鎮静アフターシェーブバームを表4に収載の成分を使用して下記の通りに調製した:A相の成分を表の順序で混合し、80℃まで加熱した。B相の成分を混ぜ合わせ80℃に加熱した。次いで、A相をB相にホモジナイズしながらゆっくりと加えた。75〜80℃の温度で、混合を更に15分間続け、次いで混合物を混合しながらゆっくりと40℃まで冷却した。アルミニウムスターチオクテニルサクシネートをグリセリンにスラリー化してC相を調製し、40℃でA相及びB相の混合物に加えた。次いで、40℃で同一の温度を維持しながらフェノキシエタノールを加え生成したエマルションを十分に混合した。混合しながらD相(香料)を加えた。均一な組成物が得られるまで穏やかに攪拌しながらE相の成分を40℃で1つずつゆっくりと加えた。穏やかに攪拌しながら、組成物をゆっくりと室温まで冷却した。
【0110】
得られたアフターシェーブバームは、白色であり、皮膚上に優しく塗り付けると、直ちに色が変化して、均一で、自然な皮膚の色調を適用した皮膚領域に与えた。
【0111】
【表4】

【0112】
(例6)
色変化美白フェイスクリームの調製
太陽光、加齢、及び妊娠による皮膚の色素沈着の色素沈着軽減又は美白/明色化及びきわめて強力な抗酸化/フリーラジカル捕捉特性を与えることが可能な活性成分を含む多機能性美白フェイスクリームを表5に収載の活性成分から下記の通りに調製した:(Solaveil CT 200及びDC 345 Fluid以外の)A相の成分を混合し、75〜80℃に加熱した。次いでサンスクリーン剤Solaveil CT 200を、他の全ての成分が溶融したところで混合物に加えた。B相を下記の通り調製した:Alphantaを水に加え、混合物を45〜50℃に加熱し、次いでグリセリン及びキサンタンガムを混合し、攪拌しながら温水に加える。攪拌を更に20〜30分間続けて、同じ温度を維持し、次いで混合物を75〜80℃にゆっくりと加熱した。中程度の攪拌下でA相をB相に加え、次いでDC 345 Fluidを加え、生成したA相及びB相の混合物を更に5分間ホモジナイズした。得られたエマルションをゆっくりと攪拌しながら40〜45℃に冷却した。C相の成分を混ぜ合わせ45℃に加熱し、次いで、A相及びB相の混合物に加え、更に5分間混合した。Kemaben 2(D相)(ジアゾリジニルウレア、メチルパラベン、プロピルパラベン、プロピレングリコールの混合物)を絶え間なく混合しながら45℃でエマルションに加えた。香料(E相)を同じ温度で加え、混合を更に15分間継続し、均一な組成物が得られるまで40〜45℃の温度を維持した。組成物のpHは、NaOH 20〜25%溶液を用いて約7.0に調節した。F相の成分を混ぜ合わせ、完全な分布が達成されるまで、穏やかに混合しながら、ゆっくりと且つ徐々に配合物に配合した。組成物を穏やかに混合しながら室温までゆっくりと冷却した。
【0113】
得られた美白/明色化フェイスクリームは、白色であった。クリームを暗色のしみで覆われている皮膚領域に優しく塗り付けると、クリームの色が変化して、しみをコンシールし、且つ、均一な色調を適用した皮膚領域に与えた。
【0114】
【表5】

【0115】
(例7)
色変化抗アクネフェイスクリームの調製
アクネの発疹を抑制する活性成分を含む多機能性色変化抗アクネフェイスクリームを表6に収載の成分から下記の通りに調製した:A相の成分を混ぜ合わせ、70〜75℃に加熱しながら、15分間混合した。B相の成分を混ぜ合わせ、75〜80℃に加熱した。両方の相がそれぞれの温度に達した後に、B相をA相にホモジナイズしながら加えた。ホモジナイゼーションを更に15分間続け、次いでエマルションを40〜45℃まで冷却した。C相の成分を混ぜ合わせて約40℃の温度で、A相及びB相の混合物に加えた。D相の成分を室温で混ぜ合わせて、サリチル酸が完全に溶解するまで攪拌した。D相を、A、B及びC相の混合物に室温で穏やかに攪拌しながら加えた。E相を予め混合しておき、室温でその他の配合物に加えた。配合物を更に5〜10分間、実質的に均一な組成物が得られるまで、混合した。F相のマイクロカプセル封入された成分を徐々に1つずつ加え、成分の完全な分布が得られるまで、組成物を穏やかに混合した。
【0116】
得られた抗アクネクリームは、皮膚に優しく塗り付けると、直ちにその色が変化し、ナチュラルからわずかにタンニングした皮膚の色調になり、ダメージを受けている皮膚領域を効果的且つ均一に覆い隠した。
【0117】
【表6】

【0118】
(例8)
色変化抗セルライトボディクリームの調製
皮膚の肌理及び外観を改善することができる活性成分を含む多機能性色変化抗セルライトボディクリームを表7に収載の成分から下記の通りに調製した:A相の成分を混ぜ合わせ、75℃に加熱した。B相の成分を混ぜ合わせ、80℃に加熱した。B相をA相にホモジナイズしながらゆっくりと加えた。ホモジナイゼーションは75〜80℃の温度で更に5分間続けた。エマルションを混合しながらゆっくりと50℃まで冷却した。香料(C相)を混合しながら、50℃で加えた。混合物を冷却し、40℃で激しく混合しながら、D相の成分を1つずつ加えた。混合は、均一な濃度が得られるまで続けた。穏やかにゆっくりと完全な分布が得られるまで混合しながら、E相の成分を40℃で徐々に、1つずつ加えた。組成物をゆっくりと穏やかに攪拌しながら冷却した。
【0119】
得られた白色の抗セルライトボディクリームは、セルライト領域に優しく塗り付けると、その色が変化し、セルライトの兆候をマスクし、適用領域に均一でナチュラルな皮膚の色調を与えた。
【0120】
【表7】

【0121】
(例9)
色変化抗老化フェイスクリームの調製
湿潤、活力回復、再生、再活性化及び顔の皮膚の老化プロセスからの防御が可能な活性成分を含む多機能性抗老化フェイスクリーム組成物を下記の表8に収載の成分から調製した:A相の成分を混ぜ合わせ、75℃に加熱した。B相の成分を混ぜ合わせ、80℃に加熱した。B相をA相にホモジナイズしながらゆっくりと加えた。ホモジナイゼーションは75〜80℃の温度で更に5分間続けた。次いで、混合物を60℃に冷却し、同じ温度(60℃)で更に5分間ホモジナイズしながら、C相を加えた。D相の成分を、穏やかに攪拌しながらゆっくりと加えた。攪拌は、D相のキャリヤー中への完全な分散が得られるまで続け、生成した混合物を放冷した。香料(E相)を攪拌しながら、45℃で加えた。温度が40℃まで下がったとき、F相の成分を1つずつ加えた。ゆっくりとした穏やかな混合を、配合物が実質的に均一になるまで続けた。G相のマイクロカプセル封入された着色剤を1つずつ徐々に加え、ゆっくりとした混合を完全な分布が達成されるまで続けた。組成物を穏やかに攪拌しながら室温まで冷却した。
【0122】
得られた抗老化フェイスクリームは白色であった。皮膚領域に優しく塗り付けると、クリームの色が変化し、適用した皮膚領域に均一な色調及びナチュラルな皮膚の色調を与えた。
【0123】
【表8】

【0124】
(例10)
色変化フェイスマスクの調製
強力な湿潤、再生及び再活性化効果を皮膚に与えることができる活性成分を含む色変化フェイスマスクを下記の表9に収載の成分から調製した:A相及びB相をそれぞれ、85℃に加熱した。次いで、B相をA相に加え、80〜85℃で、10〜15分間ホモジナイズした。エマルションを約40℃に冷却し、ホモジナイズしながら、約40℃の温度を維持して、C相及びD相の成分を、1つずつ加えた。次いで完全な分布が得られるまで約40℃の温度で穏やかに混合しながら、E相の成分を配合物に徐々に、1つずつ加えた。均一な組成物が得られるまで穏やかに攪拌しながら、組成物を室温まで冷却した。
【0125】
【表9】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つ又は複数の活性物質及び1つ又は複数のマイクロカプセル封入着色剤及び任意選択の1つ又は複数の非カプセル封入着色剤を含み、皮膚への適用時に、組成物が、前記組成物からの活性物質の皮膚への送達を示す変色効果を提供し、且つ/又は皮膚に視覚的な美的効果を与える、スキンケアのための色変化組成物。
【請求項2】
着色剤が、有機顔料、無機顔料、レーキ、天然又は合成染料或いはこれらの混合物から選択される、請求項1に記載の色変化組成物。
【請求項3】
前記着色剤が、金属酸化物、好ましくは酸化鉄、酸化チタン、酸化クロム、酸化亜鉛及び複合金属酸化物;金属水酸化物、例えば水酸化カルシウム、水酸化鉄、水酸化アルミニウム、水酸化クロム、水酸化マグネシウム及び複合金属水酸化物など;他の着色剤、例えばフェロシアン化第二鉄アンモニウム、プルシアンブルー、硫化鉄、マンガンバイオレット、カーボンブラック、マイカ、カオリンなど;レーキ有機顔料、例えば、インジゴレーキ、カーマインレーキ、D&Cレッド21アルミニウムレーキ、D&Cレッド7カルシウムレーキなどのFD&C及びD&C染料シリーズのレーキ;或いは、D&C及びFD&Cシリーズの芳香族アゾ、インジゴイド、トリフェニルメタン、アントラキノン又はキサンチン染料から選択される天然又は合成有機染料から選択される、請求項2に記載の色変化組成物。
【請求項4】
1つ又は複数のマイクロカプセル封入された着色剤が、個々に又は着色剤の混合物として、単層、二層又は多層マイクロカプセルのコアにカプセル封入されている、請求項1から3までのいずれか一項に記載の色変化組成物。
【請求項5】
マイクロカプセルが、二層又は多層であり、且つ、1つ又は複数の着色剤を含むコアが、同一又は異なる壁形成性ポリマーの2つ以上のシェルによって囲まれている、請求項4に記載の色変化組成物。
【請求項6】
前記組成物が、皮膚への適用時に、消費者への感覚的シグナルである、目的とする視覚的効果を提供する、請求項1に記載の色変化組成物。
【請求項7】
スキンケアのための1つ又は複数の活性物質が、マイクロカプセル封入形態又は非カプセル封入形態にあって、且つ、皮膚への適用時に、前記組成物が、皮膚上の適用領域への1つ又は複数の活性物質の送達の指標である変色効果を提供する、請求項1から6までのいずれか一項に記載の色変化組成物。
【請求項8】
スキンケアのための1つ又は複数の活性物質が、ビタミン、天然抽出物、天然供給源から合成によって調製若しくは分離された個々の化合物、揮発性の天然又は合成化合物、精油、及び局所適用のための医薬成分から選択される、請求項7に記載の色変化組成物。
【請求項9】
スキンケアのための1つ又は複数の活性物質が、機能性又は多機能性の効果を提供し、且つ、それら活性物質が、湿潤剤、治癒/再生/再活性化剤、色素沈着軽減/美白/明色化剤、抗酸化/ラジカル捕捉剤、冷却/鎮静剤、暖化剤、麻酔剤、サンスクリーン/サンブロック剤、サンレスタンニング剤、抗生物質、抗セルライト剤、角質溶解剤、抗真菌剤、抗乾癬剤、抗炎症剤、抗菌剤、収斂剤、消毒剤、忌避剤、クモ状静脈軽減剤、抗酒さ/抗クーペローズ剤、抗アクネ剤、香料/香気成分又は熱性疱疹の処置のための薬剤から選択される、請求項7又は8に記載の色変化組成物。
【請求項10】
スキンケアのための1つ又は複数の活性物質が、
(i)湿潤又は保湿剤、例えば、これらに限定するものではないが、月見草油、ボラージ油、ホホバ油、アロエベラジェル、ビタミンF、パンテノール、及びこれらの混合物;
(ii)治癒/再生/再活性化剤、例えば、これらに限定するものではないが、ヒッポファエ(シーバックソーン)油、ティーツリー油、ビタミンA、アラントイン及び誘導体、カロチノイド、ニンジン種子抽出物及び油、パチュリー精油、並びにこれらの混合物;
(iii)色素沈着軽減(美白)/明色化剤、例えば、これらに限定するものではないが、カンゾウ(Glycyrrhiza glabra)根抽出物、アルブチン、コウジ酸、ハイドロキノン、サリチル酸などのβ−ヒドロキシ酸、α−ヒドロキシ酸、ビタミンC及び誘導体、並びにこれらの混合物;
(iv)抗酸化/フリーラジカル捕捉剤、例えば、これらに限定するものではないが、ビタミンE、トコトリエノール、トコフェロール、ビタミンF、ビタミンC及びこれらの誘導体、ルチン、レスベラトロール及びその誘導体、チャノキ(Camellia Sinensis)葉抽出物(緑茶又は紅茶)、ブドウ種子抽出物、月見草油、ボラージ油、ショウガ精油、クルクミン、キトサン、カロチノイド、及びこれらの混合物;
(v)冷却及び鎮静剤、例えば、これらに限定するものではないが、メントール、アロエベラ(Aloe Barbadensis)葉抽出物、カンファー、サリチル酸メチル、乳酸メンチル、アラントイン、ビサボロール、カモミール抽出物及び精油、月見草油、ボラージ油、ユーカリシトリオドラ(Eucalyptus Citriodora)精油、パチュリー精油、パンテノール、及びこれらの混合物;
(vi)暖化剤、例えば、これらに限定するものではないが、黒コショウ抽出物及び精油、パプリカ(レッドペッパー)抽出物、シナモン抽出物及び精油、ショウガ根抽出物及び精油、ゼオライト;並びにこれらの混合物;
(vii)麻酔剤、例えば、これらに限定するものではないが、アロエベラ(Aloe Barbadensi;Aloe vera)、ベンゾカイン、リドカイン、ジブカイン、プラモキシン、テトラカイン、カンファー、レゾルシノール及びこれらの混合物;
(viii)サンスクリーン/サンブロック剤、例えば、これらに限定するものではないが、p−アミノ安息香酸(PABA)及びそのエステル、ベンザルフタリド、ベンゾフェノン、シンナメート、エトクリレン、オクトクリレン、サリシレート、ブドウ種子抽出物、二酸化チタン、酸化亜鉛、並びにこれらの混合物;
(ix)サンレスタンニング剤、例えば、これらに限定するものではないが、1,3−ジヒドロキシアセトン、メラニン、マハカンニ、エリスルロース、5−ヒドロキシ−1,4−ナフトキノン、及びこれらの混合物;
(x)局所適用のための抗生物質、例えば、これらに限定するものではないが、エリスロマイシン、クラリスロマイシン、アジスロマイシン及びクリンダマイシン;
(xi)抗セルライト剤、例えば、これらに限定するものではないが、ルチン水和物、キサンチン、カフェイン、テオフィリン、テオブロミン、アミノフィリン、及びこれらの混合物;
(xii)アクネ、疣贅及び他の皮膚疾患の処置に有用な角質溶解剤、例えば、これらに限定するものではないが、サリチル酸及び他のβ−ヒドロキシ酸、グリコール酸などのα−ヒドロキシ酸、過酸化ベンゾイル、イオウ、イソトレチノイン、トレチノイン、アミノレブリン酸、フルオロウラシル、ポドフィロトキシン、ポドフィルム、プロピレングリコール、フィチン酸、及びこれらの混合物;
(xiii)抗菌剤、例えば、これらに限定するものではないが、抗生物質、カモミール精油;
(xiv)抗真菌剤、例えば、これらに限定するものではないが、ティーツリー油、ブドウ種子抽出物、ユーカリシトリオドラ(Eucalyptus Citriodora)精油、ウルソル酸、精油、アムホテリシン、イタコナゾール、フルコナゾール、ケトコナゾール、ミコナゾール、モルホリン、ウンデシレン酸、及びこれらの混合物;
(xv)抗アクネ剤、例えば、これらに限定するものではないが、過酸化ベンゾイル、トレチノイン、イソトレチノイン、カモミール精油、及びこれらの混合物;
(xvi)抗乾癬剤、例えば、これらに限定するものではないが、レチノイド、ビタミンA、ビタミンC、ビタミンD3及びこれらの類似体、エルゴカルシフェロール、カロチノイド、アンスラリン、メトロニダゾール、タザロテン、シクロスポリン、ピロガロール、アラントイン、並びにこれらの混合物;
(xvii)抗炎症剤、例えば、これらに限定するものではないが、ビタミンF、ビタミンE、カロチノイド、ビタミンA、不飽和脂肪酸、ルチン、バイオフラボノイド、ヒッポファエ(シーバックソーン)油、オリーブ油、サリシン、ショウガ根抽出物及び精油、ホホバ油、カモミール精油、ユーカリシトリオドラ(Eucalyptus Citriodora)精油、ウルソル酸、トリアムシノロン、コルチゾン、プレドニゾン、コルトドキソン、フルセトニド、メドリゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベタメタゾン及びこれらのエステル、クロコルテロン、デシノロン、デソニド、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルシノニド、フルコルトロン、パラメタゾン、デキサメタゾン、フルロアンドレノロンアセトニド、アセトニド、ジクロリゾン、並びにこれらの混合物;
(xviii)収斂剤、例えば、これらに限定するものではないが、ハマメリス(Hamamalis virginiana)、セイヨウノコギリソウ(Achillea millefolium)、ローズウッド油、ベンゾイン、硫酸アルミニウム及び他のアルミニウム塩、サリチル酸、酸化亜鉛、並びにこれらの混合物;
(xix)消毒剤、例えば、これらに限定するものではないが、ハチミツ、クルクミン、カプタン、クロルヘキシジン及びその誘導体、ヘキサクロロフェン、トリクロサン、トリアセチン、ウスニン酸ナトリウム、イオウ、並びにこれらの混合物;
(xx)忌避剤、例えば、これらに限定するものではないが、精油、ピレスリン、ペルメスリン、バイオレスメチン、ジメチルフタレート、及びこれらの混合物;
(xxi)抗酒さ剤、例えば、これらに限定するものではないが、ビタミンK、イオウ、マリーゴールド油、ルチン、バイオフラボノイド、及びこれらの混合物;
(xxii)アシクロビル、抗ヒスタミン薬、局所麻酔剤、抗ウイルス活性を有する精油、及びこれらの混合物を含むが、これらに限定するものではない、熱性疱疹(口唇ヘルペス及び帯状疱疹)の局所処置にとって有益な活性物質;並びに
(xxiii)ラベンダー、ネロリ香油、カモミール精油、ショウガ精油、パチュリー精油、ユーカリシトリオドラ(Eucalyptus Citriodora)精油、ローズマリー精油、ビャクダン精油、ティーツリー油、及びこれらの混合物を含むが、これらに限定するものではない、香料/香気成分;
から選択される、請求項9に記載の色変化組成物。
【請求項11】
水中油型、油中水中油型、油中水型、若しくは水中油中水型エマルション、水性配合物又は無水配合物として処方された、請求項1から10までのいずれか一項に記載の色変化組成物。
【請求項12】
ボディスキンケア、フェイシャルスキンケア、ベビーケア、サンスクリーンケア、アフターサン、サンレスタンニング、美白、アフターシェーブ、抗アクネ、忌避、抗セルライト及び制汗のための組成物の群から選択される多機能性組成物である、請求項11に記載の色変化性の化粧用又は治療用組成物。
【請求項13】
酸化鉄、二酸化チタン、低次酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化コバルト、酸化セリウム、酸化ニッケル若しくは酸化亜鉛、又は複合酸化物、好ましくは、赤酸化鉄、黄酸化鉄又は黒酸化鉄から選択される酸化鉄、或いはこれらの混合物から選択される、好ましくは個別にマイクロカプセル封入された1つ又は複数、好ましくは3つ以上の着色剤、並びに、サンスクリーン剤、好ましくは有機及び無機サンスクリーン剤の両者、抗酸化/ラジカル捕捉剤及び湿潤剤から選択される1つ又は複数のマイクロカプセル封入又は非カプセル封入活性成分を含むサンスクリーン/サンブロック組成物である、請求項12に記載の多機能性の色変化性化粧用組成物。
【請求項14】
1つ又は複数、好ましくは3つの着色剤、より好ましくは個別にマイクロカプセル封入された3つの主要な酸化鉄着色剤、すなわち黄、赤及び黒酸化鉄着色剤、並びにサンレスタンニング剤、湿潤剤、抗酸化剤又はサンスクリーン剤から選択される1つ又は複数のマイクロカプセル封入又は非カプセル封入活性成分を含むサンレスタンニング組成物である、請求項12に記載の多機能性の色変化性化粧用組成物。
【請求項15】
1つ又は複数、好ましくは3つの着色剤、より好ましくは個別にマイクロカプセル封入された3つの主要な酸化鉄着色剤、すなわち黄、赤及び黒酸化鉄着色剤、並びに湿潤剤、再活性化剤、冷却剤、鎮静剤、麻酔剤又は抗酸化/フリーラジカル捕捉剤から選択されるマイクロカプセル封入又は非カプセル封入形態の1つ又は複数の活性成分を含むアフターサン/アフタータンニング組成物である、請求項12に記載の多機能性の色変化性化粧用組成物。
【請求項16】
1つ又は複数、好ましくは3つの着色剤、より好ましくは個別にマイクロカプセル封入された3つの主要な酸化鉄着色剤、すなわち黄、赤及び黒酸化鉄着色剤、並びに湿潤剤、再活性化/再生剤、抗酸化剤及びサンスクリーン剤から選択される1つ又は複数のマイクロカプセル封入又は非カプセル封入活性成分を含む抗老化フェイシャルクリームである、請求項12に記載の多機能性の色変化性化粧用組成物。
【請求項17】
1つ又は複数、好ましくは3つの着色剤、より好ましくは個別にマイクロカプセル封入された3つの主要な酸化鉄着色剤、すなわち黄、赤及び黒酸化鉄着色剤、並びに湿潤剤、再活性化剤、抗酸化剤、及びサンスクリーン剤から選択される1つ又は複数のマイクロカプセル封入又は非カプセル封入活性成分を含む美白/明色化スキンケア組成物である、請求項12に記載の多機能性の色変化性化粧用組成物。
【請求項18】
1つ又は複数、好ましくは3つの着色剤、より好ましくは個別にマイクロカプセル封入された3つの主要な酸化鉄着色剤、すなわち黄、赤及び黒酸化鉄着色剤、並びに湿潤剤、再活性化/再生剤、冷却/鎮静剤、及び抗炎症剤から選択される1つ又は複数の任意選択でマイクロカプセル封入活性成分を含むアフターシェーブ組成物である、請求項12に記載の多機能性の色変化性化粧用組成物。
【請求項19】
1つ又は複数の個別にマイクロカプセル封入された着色剤、並びに活力回復剤、抗酸化剤、収斂剤、再活性化/再生剤及び湿潤剤から選択される1つ又は複数の任意選択でマイクロカプセル封入活性成分を含むフェイスマスクである、請求項12に記載の多機能性の色変化性化粧用組成物。
【請求項20】
1つ又は複数の個別にマイクロカプセル封入された着色剤、並びに、抗生物質、角質溶解剤、湿潤剤、冷却/鎮静剤、抗酸化剤及びサンスクリーン剤などの抗アクネ治療薬から選択される1つ又は複数の任意選択でマイクロカプセル封入された活性成分を含む抗アクネ組成物である、請求項12に記載の多機能性の色変化性治療用組成物。
【請求項21】
1つ又は複数、好ましくは3つの着色剤、より好ましくは個別にマイクロカプセル封入された3つの主要な酸化鉄着色剤、すなわち黄、赤及び黒酸化鉄着色剤、並びに、ルチン水和物、湿潤剤、抗酸化/フリーラジカル捕捉剤、サンスクリーン剤、収斂剤及び再活性化剤から選択される1つ又は複数の任意選択でマイクロカプセル封入活性成分を含む抗セルライト組成物である、請求項12に記載の多機能性の色変化性治療用組成物。
【請求項22】
クリーム、ローション、ゲル、ミルク、バーム、マスク又はメークアップパーソナルケア製品の形態である、請求項1から21までのいずれか一項に記載の色変化組成物。

【公表番号】特表2011−519969(P2011−519969A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−509081(P2011−509081)
【出願日】平成21年5月12日(2009.5.12)
【国際出願番号】PCT/IL2009/000478
【国際公開番号】WO2009/138978
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(505391584)タグラ バイオテクノロジーズ リミテッド (3)
【Fターム(参考)】