説明

マイクロキャビティ・ガモット・サブ画素を有するOLEDデバイス

OLEDデバイスであって、発光画素アレイを含み、各画素が、光を生成する1つ以上の発光層を含む有機層と、離間した電極とを有するサブ画素を含み、そして、色ガモットを画定する色を生成する3つ以上のガモット・サブ画素と、該ガモット・サブ画素によって生成される色ガモット内の光を生成する1つ以上のサブ画素とがあり;そして該ガモット・サブ画素のうちの1つ以上が、マイクロキャビティを形成する機能を発揮するリフレクターと半透明リフレクターとを含む、OLEDデバイス。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロキャビティ(微小共振器)有機エレクトロルミネッセント(EL)デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
有機発光デバイス又は(OLED)としても知られたフルカラー有機エレクトロルミネッセント(EL)が、新しいタイプのフラットパネル・ディスプレイとして明示されている。最もシンプルな形態において、有機ELデバイスは、正孔注入のためのアノード、電子注入のためのカソード、及びこれらの電極間にサンドイッチされた、発光をもたらす電荷再結合を支援するための有機EL媒質とから成っている。有機ELデバイスの一例は同一譲受人の米国特許第4,356,429号明細書に記載されている。例えばテレビ、コンピューター・モニター、携帯電話ディスプレイ又はデジタル・カメラ・ディスプレイとして有用であるような画素化ディスプレイ・デバイスを構成するために、個々の有機EL要素は、マトリックス・パターンを成す画素アレイとして配列することができる。マルチカラー・ディスプレイを製造するためには、画素はさらに、サブ画素に分けられて配列され、それぞれのサブ画素は異なる色を発光する。この画素マトリックスは、シンプルなパッシブ・マトリックス又はアクティブ・マトリックス駆動スキームを用いて電気的に駆動することができる。パッシブ・マトリックスの場合、有機EL層は、行及び列を成して配列された2組の直交方向の電極の間にサンドイッチされる。パッシブ・マトリックスで駆動される有機ELデバイスの例は、同一譲受人の米国特許第5,276,380号明細書に開示されている。アクティブ・マトリックス形態の場合、各画素は、複数の回路素子、例えばトランジスター、キャパシター、及び信号線によって駆動される。このようなアクティブ・マトリックス有機ELデバイスの例は、米国特許第5,550,066号明細書(同一譲受人);同第6,281,634号明細書及び同第6,456,013号明細書に提供されている。
【0003】
フルカラーOLEDデバイスも当業者に知られている。典型的なフルカラーOLEDデバイスは、赤、緑及び青の色の3つのサブ画素を有する画素から構成されている。このような配列はRGB構成として知られている。RGB構成の例は、米国特許第6,281,634号明細書に開示されている。フルカラー有機エレクトロルミネッセント(EL)デバイスについても最近記載されており、これらのデバイスは、赤、緑、青及び白の色である4つのサブ画素を有する画素から構成されている。このような配列は、RGBW構成として知られている。RGBWデバイスの例は、同一譲受人の米国特許出願公開第2002/0186214号明細書に開示されている。RGBWデバイスにおいて、高効率白色発光画素を使用することにより、デジタル画像内容の一部を表示する。このことは、同様のOLED材料から構成されたRGBに比べて電力消費量を改善する。しかし、赤、緑及び青のサブ画素は、このような構成において効率を改善しない。従って、純粋な赤、純粋な青、又は純粋な緑の色であるデジタル画像内容のいずれの部分、例えば多くのパーソナル・デジタル・アシスタント(PDA)、携帯電話、又はデジタル・カメラの用途において一般に使用されるアイコンやツールバーを表示する際にも、節電は達成されない。さらに、第4のサブ画素を加える結果、同等のRGBデバイスと単位面積当たり同じ総数のサブ画素に合わせ、そして同じデバイス画素分解能を達成するために、赤、緑及び青の全てのサブ画素を小さくしなければならない。その結果、純粋な赤、純粋な青、又は純粋な緑の内容に対して同じ明るさを表示するために、連携する赤、緑及び青のサブ画素の単位面積当たりの電流密度を増大させなければならない。OLEDデバイスは、電流密度が増大するにつれてより急速に劣化し、又は効率が低下することが知られている。RGBWディスプレイの場合、その結果として、純粋な赤、純粋な緑、又は純粋な青であり、しかも頻繁に現れる内容、例えばアイコンやツールバーが、同等のRGBディスプレイよりも急速に画像焼き付きを引き起こすおそれがあり、従ってデバイス態様寿命が低減される。
【0004】
従って、赤、緑及び青のサブ画素の効率及び耐用寿命が改善されたRGBWデバイスが望まれる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ガモット・サブ画素の効率を実質的に改善することができる、ガモット・サブ画素とガモット内サブ画素とを備えた画素を有するOLEDディスプレイ・デバイスを利用することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、OLEDデバイスであって:
(a)発光画素アレイを含み、各画素が、光を生成する1つ以上の発光層を含む有機層と、離間した電極とを有するサブ画素を含み、そして、色ガモットを画定する色を生成する3つ以上のガモット・サブ画素と、該ガモット・サブ画素によって生成される色ガモット内の光を生成する1つ以上のサブ画素とがあり;そして、
(b)該ガモット・サブ画素のうちの1つ以上が、マイクロキャビティを形成する機能を発揮するリフレクターと半透明リフレクターとを含む、
OLEDデバイスによって達成される。
【発明の効果】
【0007】
マイクロキャビティ構造を有するガモット・サブ画素を構成することにより、本発明は、改善された効率及び耐用寿命を提供する。更なる利点は、全てのサブ画素のために共通のOLED有機層を使用して、このようなデバイスを構成することができ、サブ画素を形成するために精密なパターニングが必要とされないことである。更なる利点は、カラーフィルター要素の必要なしにこのようなデバイスを構成することができ、これによりコストが下がることである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
RGBWディスプレイは、電力消費を改善するためにガモット内発光を利用するタイプのディスプレイの一例である。このようなディスプレイ・デバイスは、4種以上の異なる色のサブ画素を有する画素を使用することによって、色画像を表示することができる。サブ画像のうちの3つ以上は、異なる色を発するガモット・サブ画素である。これらのガモット・サブ画素はディスプレイの色ガモットを画定する。例えば、ガモット・サブ画素は、赤、緑又は青の色の光を発することができる。ガモット・サブ画素のうちの2つ又は3つ以上を種々の強度まで照射することにより、他の色を発生させることができる。これらの新しい色はガモット内色である。このようなディスプレイ・デバイスはまた、ガモット内サブ画素である1つ以上の付加的なサブ画素を有する。このガモット内サブ画素は、ガモット内色の光、例えば白を発光する。白という用語は本発明においては、見る者にほぼ白として知覚される任意の発光を示すために使用される。これらのガモット内サブ画素は一般には、ガモット・サブ画素よりも効率的である。図1はRGBWデバイスのための画素構造の例を示す。
【0009】
図1aは、RGBWデバイス画素20のストライプ・パターン形態を示す。画素20は、ガモット・サブ画素21a, 21b及び21c並びにガモット内画素21dを含む。これらのサブ画素は例えば、それぞれ赤(R)、緑(R)、青(B)及び白(W)の色を有することができる。
【0010】
図1bは、RGBWデバイス画素20の象限パターン形態を示す。画素20は、ガモット・サブ画素21a, 21b及び21c並びにガモット内画素21dを含む。これらのサブ画素は例えば、それぞれ赤(R)、緑(R)、青(B)及び白(W)の色を有することができる。
【0011】
図1cは、RGBWデバイス画素20の別のパターン形態を示す。画素20は、ガモット・サブ画素21a, 21b及び21c並びにガモット内画素21dを含む。これらのサブ画素は例えば、それぞれ赤(R)、緑(R)、青(B)及び白(W)の色を有することができる。
【0012】
図1dは、RGBWデバイス画素20の別のパターン形態を示す。画素20は、ガモット・サブ画素21a, 21b及び21c並びにガモット内画素21dを含む。これらのサブ画素は例えば、それぞれ赤(R)、緑(R)、青(B)及び白(W)の色を有することができる。
【0013】
他のRGBWパターンを本発明に適用することもできる。さらに、5つ以上のサブ画素を有するパターンを適用することもできる。上述の例では、サブ画素は、所定の順序で配列されているように示されているが、サブ画素は、種々異なる順序を有する別の実施態様で配列させることもできる。さらに、サブ画素は、全ての同じサイズ及び形状であるものとして示されているが、当業者には明らかなように、他の実施態様において、サイズ及び形状が異なるサブ画素を有することもできる。
【0014】
このタイプのディスプレイは、従来型のOLEDディスプレイよりも効率的である。なぜならば、ガモット内サブ画素は、ガモット・サブ画素のうちの1つ以上よりも高い効率を有する傾向があるからである。典型的には、ガモット内サブ画素は、ガモット・サブ画素の全てよりも効率的である。異なる色光を発するように構成された別個のOLED材料を使用して、各サブ画素を製作することができる。しかし好ましい形態は、共通の広帯域、又は全てのサブ画素に共通の白色の発光OLED材料を使用する。広帯域又は白色の発光OLED材料を使用することにより、画素毎にOLEDをパターニングする必要が排除される。この場合、サブ画素のうちのいくつかのためにカラーフィルターを使用することにより、広帯域又は白色の発光を個々の色に変換することができる。例えば、赤、緑及び青のカラーフィルターをRGBWデバイスのガモット・サブ画素において使用することにより、赤、緑及び青色を形成することができ、ガモット内サブ画素はフィルタリングされないまま白を発光する。ガモット内サブ画素はフィルターを有する必要がないので、ガモット・サブ画素よりも効率的である。
【0015】
図2は、本発明によるデバイスの1画素の断面図を示す。このデバイスは例えば、3つのガモット・サブ画素21a、21b及び21c、及び1つのガモット内サブ画素21dを備えたストライプ・パターンを有する。これらのサブ画素は、ガモット色を有する光30a、30b及び30cを発し、そしてガモット内色を有する光30dを発する。図2に示されたデバイスは、アクティブ・マトリックス回路110を有するアクティブ・マトリックスであることが示されているが、しかしアクティブ・マトリックス回路を有しないパッシブ・マトリックスである別の実施態様を本発明に適用することもできる。図2はまた、底部発光型の形態、すなわち、基板の方向において光(30a、30b、30c及び30d)が抽出される形態を示している。ガモット・サブ画素21a、21b及び21cは、マイクロキャビティ構造を使用して形成される。マイクロキャビティ構造は、リフレクター及び半透明リフレクターを使用して形成される。有機EL媒質は、リフレクターと半透明リフレクターとの間に形成される。リフレクターと半透明リフレクターとの間の層は、光キャビティを形成する。この場合、光キャビティは所望の波長で共鳴するように、厚さ及び屈折率で調節される。マイクロキャビティ構造の例は、米国特許第6,406,801号明細書、同第5,780,174号明細書、及びJP第11288786号に示されている。高反射性のリフレクターのための好ましい材料は、Ag、Al、Au又はこれらの材料のうちの1種又は2種以上から成る合金を含む。半透明リフレクターは部分反射性であり、且つ部分透過性である。半透明リフレクターの好ましい材料は、Ag、Au、これらの材料のうちの一方又は両方から成る合金を含む。これらの材料の厚さは、材料を半透明にさせる、すなわち部分透過性且つ部分反射性にさせるように選択されている。この厚さは例えば5 nm〜50 nm、そして好ましくは15 nm〜30 nmであってよい。リフレクター又は半透明リフレクターを形成するために導電性材料が使用される場合、リフレクター、半透明リフレクター又はその両方が、有機EL媒質のための電極の機能、つまりアノード又はカソードの機能を果たすこともできる。高屈折率と低屈折率とを交互に有する透明材料の4分の1波長スタック(QWS)から成る別の半透明リフレクター構造も知られており、当業者によって本発明に適用することができる。光が基板を通して見られる図示のような底部発光形態において、半透明リフレクターは、有機EL層と基板との間に配置されており、そしてリフレクターは、基板、半透明リフレクター及び有機EL層の上方に配置されている。或いは、上部発光形態の場合、すなわち光が基板とは反対の方向で見られる場合、リフレクターは、有機EL層と基板との間に配置されており、そして半透明リフレクターは、基板、リフレクター及び有機EL層の上方に配置されている。
【0016】
アクティブ・マトリックス回路110は、基板100の上方に配置されている。アクティブ・マトリックス回路110は、半導体アクティブ層111と、ゲート誘電体112と、ゲート導体113と、第1絶縁層114と、第2絶縁層117とから成る第1の薄膜トランジスター(TFT)を含む。アクティブ・マトリックス回路110はさらに、輝度信号を運ぶ1つの信号線116と、トランジスターに給電するための1つの電力線115とを含む。TFT回路を製作する方法が当業者によく知られている。単独のトランジスター、信号線、及び電力線だけが画素毎に示されているが、典型的には、各サブ画素はまた、第2のトランジスター(図示せず)並びにキャパシター(図示せず)及び付加的な選択線(図示せず)を有する。種々異なる数及び形態の回路素子を有する多くのタイプの回路が当業者に知られており、いうまでもなく多種多様のこれらの回路が本発明とともに働くことになる。アクティブ・マトリックス形態の例は、米国特許第5,550,066号、同第6,281,634号、及び同第6,501,466号明細書を含む。図示のTFTは薄膜半導体アクティブ層111を用いて製作されているが、言うまでもなく、半導体基板を用いることにより、基板はこの機能を実際に果たすことができる。ゲート導体113とゲート誘電体112とが半導体アクティブ層111の上方に位置する上部ゲート構造が示されているが、しかし、底部ゲートとして知られる逆の構造を有するTFTを使用して有機ELデバイスを駆動できることも当業者に知られている。
【0017】
アクティブ・マトリックス回路の上方には、半透明リフレクター120a、120b及び120cが、それぞれガモット・サブ画素21a、21b及び21c内に形成されている。これらの半透明リフレクター120a、120b及び120cは、反射金属、例えばAg、Au、Al及びこれらの合金から形成することができ、これらはまた半透明であるように薄く形成される。必ずしも必要というわけではないが、半透明リフレクターはまた、有機EL媒質のための電極の一方として役立つことが可能である。
【0018】
ガモット内サブ画素21dは、半透明リフレクターを有してはおらず、その代わりに透明電極130だけを有している。透明電極130は典型的には、金属酸化物、例えばインジウム錫酸化物(ITO)、亜鉛錫酸化物(ZTO)、酸化錫(SnOx)、酸化インジウム(InOx)、酸化モリブデン(MoOx)、酸化テルリウム(TeOx)、酸化アンチモン(SbOx)、及び酸化亜鉛(ZnOx)から構成されている。透明電極130はまた、図示のように直接的に、又は中間導体を用いて、アクティブ・マトリックス素子に電気的に接続される。半透明リフレクターのない透明電極を使用する結果、マイクロキャビティ構造を有しないガモット内サブ画素が生じる。
【0019】
ガモット・サブ画素21aの場合、半透明リフレクター120a上に、透明キャビティ・スペーサー層140aが形成されている。透明キャビティ・スペーサー層140aは、金属酸化物、例えばインジウム錫酸化物(ITO)、亜鉛錫酸化物(ZTO)、酸化錫(SnOx)、酸化インジウム(InOx)、酸化モリブデン(MoOx)、酸化テルリウム(TeOx)、酸化アンチモン(SbOx)、及び酸化亜鉛(ZnOx)から構成することができる。この場合、透明キャビティ・スペーサー層140aは、有機EL媒質210のための電極としても役立つので、透明キャビティ・スペーサー層140aは、アクティブ・マトリックス素子に電気的に接続されなければならない。このことは直接的に達成するか、又は、半透明リフレクター120aが導電性材料、例えばAg、Al、Au又はこれらの合金から成る場合には、図示のような半透明リフレクター120aを介して、又は他の中間導体を用いて達成することができる。透明キャビティ・スペーサー層140aが導電性ではない場合、半透明リフレクター120aが有機EL媒質210の電極として役立つことができ、従って半透明リフレクター120aはアクティブ・マトリックス回路110に接続されることになる。或いは、透明電極130、透明キャビティ・スペーサー層140a、及び半透明リフレクター120aは、3つ(又は4つ以上)の異なる層から形成することができる。この場合、透明電極は、アクティブ・マトリックス回路と電気的な接触状態にあるようになり、キャビティ・スペーサー層は、透明電極と半透明リフレクターとの間に位置することができる。透明キャビティ・スペーサー層140aの厚さ及び屈折率は、有機EL媒質210の厚さ及び屈折率との関連において最適化され、これにより、サブ画素21aの光の色、例えば赤に対して所望される波長で共鳴するようにキャビティが調整される。所望のマイクロキャビティ発光を達成するために厚さ及び屈折率を調整させることは、当業者によく知られている。
【0020】
ガモット・サブ画素21bは、半透明リフレクター120b上のキャビティ・スペーサー層140bを使用して、同様に構成されている。この場合、キャビティ・スペーサー層140bの厚さ及び屈折率は、有機EL媒質210の厚さ及び屈折率との関連において最適化され、これにより、サブ画素21bの光の色、例えば緑に対して所望される異なる波長で共鳴するようにキャビティが調整される。
【0021】
ガモット・サブ画素21cは、ここでは、キャビティ・スペーサー層を有しないものとして示されている。この場合、有機EL媒質210の厚さ及び屈折率だけが最適化され、これにより、サブ画素21cの光の色、例えば青に対して所望される異なる波長で共鳴するようにキャビティが調整される。有機EL媒質210が図示のように全てのサブ画素に共通である場合、有機EL媒質210は、このガモット・サブ画素に対してだけ最適化され、そしてその他のガモット・サブ画素は、それぞれのキャビティ・スペーサー層を使用して別個に調整される。この形態は、デポジットされパターニングされるのを必要とする異なるキャビティ・スペーサー層の数を最小限に抑える。しかし、別の実施態様の場合、全てのガモット・サブ画素が、所望の色に調整されるようにそれぞれが別個に最適化されたキャビティ・スペーサー層を含むこともできる。これらの上記キャビティ・スペーサー層は、有機EL媒質210が、サブ画素毎のパターニングなしにデポジットされることを可能にするために使用されることが好ましい。しかし、別の実施態様の場合、有機EL媒質の有機層のうちの1つ又は2つ以上をパターニングし、厚さ又は屈折率を別個に調節することにより、ガモット・サブ画素のそれぞれのマイクロキャビティを調整させることもできる。この形態の場合、キャビティ・スペーサー層は使用することも排除することもできる。しかしこの形態は、有機層のうちの1つ以上の精密なパターニングを必要とする。
【0022】
上述のように、デポジション工程及びパターニング工程の数を最小限に抑えるために、ガモット・サブ画素のうちの1つは、キャビティ・スペーサー層を有さなくてよい。デポジション工程及びパターニング工程の数を低減するための別の好ましい方法は、同じ材料、厚さ、及び屈折率を用いることにより、キャビティ・スペーサー層のうちの1つ、例えばキャビティ・スペーサー層140bと、非ガモット・サブ画素の透明電極、例えば透明電極130とを形成することである。
【0023】
米国特許第6,246,179号明細書に記載されているように、画素間誘電体層160を使用して、透明電極のエッジをカバーすることにより、この領域内の短絡又は強電界を防止することが好ましい。キャビティ・スペーサーが導電性であるか又は電極の一部を形成する場合、図示のように画素間誘電体層160は、キャビティ・スペーサーをカバーすることもできる。画素間誘電体層160の使用は好ましくはあるが、本発明の実施の成功に必要なものではない。
【0024】
サブ画素のそれぞれはさらに、有機EL媒質210を形成する有機層を含む。有機EL媒質210層には、本発明の実施を成功させることができる多数の形態がある。広帯域光又は白色光を発する有機EL媒質層の例は、例えば同一譲受人の欧州特許出願公開第1 187 235号明細書、米国特許出願公開第20020025419号明細書(同一譲受人)、欧州特許第1 182 244号明細書、米国特許第5,683,823号明細書(同一譲受人);同第5,503,910号明細書;同第5,405,709号明細書(同一譲受人)、及び同第5,283,182号明細書に記載されている。同一譲受人の欧州特許出願公開第1 187 235号明細書に示されているように、下記層、すなわち正孔注入層211、正孔注入層211上に配置され黄色スペクトル域内で発光するためのルブレン化合物でドーピングされた正孔輸送層212、正孔輸送層212上に配置された青色発光化合物でドーピングされた発光層213、及び発光層213上に配置された電子輸送層214を含むことにより、白色発光有機EL媒質を得ることができる。1種又は2種以上の種々異なるEL媒質材料が種々異なるサブ画素のために使用される別の実施態様を、本発明に適用することもできる。
【0025】
有機EL媒質210上に、リフレクター220は形成される。リフレクター220は、Al、Ag、Au又はこれらの合金のような材料から形成することができる。リフレクター220は、有機EL媒質210のための第2の電極として役立つこともできる。
【0026】
透明キャビティ・スペーサーは、ここでは半透明リフレクターと有機EL媒質との間に位置するものとして示されているが、別の実施態様の場合、代わりに有機EL媒質とリフレクターとの間に、キャビティ・ステップ・スペーサーを形成することもできる。
【0027】
有機EL媒質210の層のうちの1つ又は2つ以上が全てのサブ画素に共通するのではなく、その代わりにサブ画素毎に個々にパターニングされている別の実施態様の場合、キャビティ・スペーサー層を排除することができ、或いは、ガモット・サブ画素毎に別個に、有機EL媒質210を形成する層のうちの1つ又は2つ以上の厚さ、屈折率、又はその両方を調整することにより、ガモット・サブ画素のマイクロキャビティを調整することができる。この事例において、有機EL媒質210が広帯域光を発するように構成されている場合、ガモット内サブ画素のための有機EL媒質210層のうちの1つ又は2つ以上、及びガモット・サブ画素のうちの1つ又は2つ以上に対して同じ厚さを用いることにより、デポジション工程の数を最小限に抑えることが好ましい。
【0028】
図3は、基板から遠ざかる方向で光(30a、30b、30c及び30d)が抽出される上部発光型の本発明の別の実施態様の断面図を示す。この上部発光形態を実現するために、有機EL媒質210と基板100との間に、リフレクター150a、150b、150c及び150dが配置されている。これらのリフレクター150a、150b、150c及び150dは、Ag、Au、Al又はこれらの合金のような材料から形成することができる。これらのリフレクター150a、150b、150c及び150dは、図示の有機EL媒質210のための電極として役立つこともでき、この場合、電極はアクティブ・マトリックス回路に接続されなければならない。この実施態様の場合、半透明リフレクター230は、ガモット・サブ画素21a、21b及び21cのための有機EL媒質210の上方に形成されなければならない。しかし、半透明リフレクター230は、ガモット内サブ画素21d内には存在しないようにパターニングされなければならない。ガモット内サブ画素21d上には、透明電極24が使用されなければならない。透明電極が図示のように他のサブ画素上にも存在することにより、パターニングの必要を低減することができるが、このことは必ずしも必要でない。透明電極240は金属酸化物、例えばインジウム錫酸化物(ITO)、亜鉛錫酸化物(ZTO)、酸化錫(SnOx)、酸化インジウム(InOx)、酸化モリブデン(MoOx)、酸化テルリウム(TeOx)、酸化アンチモン(SbOx)、及び酸化亜鉛(ZnOx)から構成することができる。
【0029】
図3の場合、リフレクター(150a、150b、150c及び150d)が有機EL媒質210のための1つの電極を形成しているが、別の実施態様の場合、リフレクターの上、そして有機EL媒質210の下に、別個の電極を形成することができ、この場合、電極は、ガモット・サブ画素21a、21b及び21cのためのマイクロキャビティの一部になる。この電極は金属酸化物、例えばインジウム錫酸化物(ITO)、亜鉛錫酸化物(ZTO)、酸化錫(SnOx)、酸化インジウム(InOx)、酸化モリブデン(MoOx)、酸化テルリウム(TeOx)、酸化アンチモン(SbOx)、及び酸化亜鉛(ZnOx)から構成することができる。
【0030】
透明電極240は図3では、半透明リフレクター230上に位置しているものとして示されているが、別の実施態様の場合、透明電極240は半透明リフレクター230と有機EL媒質210との間に配置することができる。この場合、透明電極240は、サブ画素全てに対する有機EL媒質210のための電極の一方を形成し、そしてマイクロキャビティの一部になる。
【0031】
上記の実施態様は、ガモット内サブ画素から広帯域又は白色の発光を生じさせる能力を維持しつつ、マイクロキャビティを使用することにより全てのガモット・サブ画素の効率及び耐用寿命が改善された例を示している。しかし、ガモット・サブ画素のいくつかだけがマイクロキャビティ構造を使用することにより改善される他の実施態様が可能である。すなわち、ガモット・サブ画素のいくつかは、マイクロキャビティを形成するようには構成されない。図4に示されたこのような形態の一例は、2つのマイクロキャビティ・ガモット・サブ画素22b及び22cと、1つの非マイクロキャビティ・ガモット・サブ画素22aと、ガモット内サブ画素22dとを有する。この事例において、非マイクロキャビティ・ガモット・サブ画素22aは、リフレクター220と透明電極130aとを使用して形成される。透明電極は、ガモット内サブ画素22dの透明電極130dのために用いられるのと同じ材料及び厚さを有することができる。使用される有機EL媒質210が、白色又は広帯域発光型である場合には、カラーフィルタ301を使用することにより、これらのサブ画素の所望のガモット色を達成することができる。広帯域発光を特定色の狭帯域発光に変換するためにカラーフィルタを使用することは当業者に知られている。ガモット・サブ画素のうちの1つ以上がマイクロキャビティとして構成される限り、耐用寿命及び効率の何らかの改善が本発明により実現されることになる。
【0032】
或る好ましい実施態様を具体的に参照しながら本発明を説明してきたが、本発明の思想及び範囲内で、変更や改変を加えることができるのは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1a】本発明に従って使用することができるRGBW画素パターンの配置を示す図である。
【図1b】本発明に従って使用することができるRGBW画素パターンの配置を示す図である。
【図1c】本発明に従って使用することができるRGBW画素パターンの配置を示す図である。
【図1d】本発明に従って使用することができるRGBW画素パターンの配置を示す図である。
【図2】本発明の実施態様による画素を示す横断面図である。
【図3】本発明の別の実施態様による画素を示す横断面図である。
【図4】本発明の別の実施態様による画素を示す横断面図である。
【符号の説明】
【0034】
20 画素
21a ガモット・サブ画素
21b ガモット・サブ画素
21c ガモット・サブ画素
21d ガモット内サブ画素
22a 非マイクロキャビティ・ガモット・サブ画素
22b マイクロキャビティ・ガモット・サブ画素
22c マイクロキャビティ・ガモット・サブ画素
22d ガモット内サブ画素
30a 光
30b 光
30c 光
30d 光
100 基板
110 アクティブ・マトリックス回路
111 半導体アクティブ層
112 ゲート誘電体
113 ゲート導体
114 第1絶縁層
115 電力線
116 信号線
117 第2絶縁層
120a 半透明リフレクター
120b 半透明リフレクター
120c 半透明リフレクター
130 透明電極
130a 透明電極
130d 透明電極
140a 透明キャビティ・スペーサー層
140b 透明キャビティ・スペーサー層
150a リフレクター
150b リフレクター
150c リフレクター
150d リフレクター
160 画素間誘電体
210 正孔注入層
212 正孔輸送層
213 発光層
214 電子輸送層
220 リフレクター
230 半透明リフレクター
240 透明電極
310 カラーフィルター
【図1A】

【図1B】

【図1C】

【図1D】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
OLEDデバイスであって:
(a)発光画素アレイを含み、各画素が、光を生成する1つ以上の発光層を含む有機層と、離間した電極とを有するサブ画素を含み、そして、色ガモットを画定する色を生成する3つ以上のガモット・サブ画素と、該ガモット・サブ画素によって生成される色ガモット内の光を生成する1つ以上のサブ画素とがあり;そして
(b)該ガモット・サブ画素のうちの1つ以上が、マイクロキャビティを形成する機能を発揮するリフレクターと半透明リフレクターとを含む、
OLEDデバイス。
【請求項2】
該リフレクタがまた、該サブ画素のうちの1つ以上のための電極として機能する、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項3】
該半透明リフレクターがまた、該サブ画素のうちの1つ又は2つ以上のための電極として機能する、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項4】
該ガモット・サブ画素によって生成される色が、赤、緑及び青であり、そして、ガモット内サブ画素によって生成される色が白である、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項5】
該有機層は広帯域発光を生じさせ、そして画素全てのサブ画素全てに共通である、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項6】
該ガモット・サブ画素のうちの1つ以上がさらに、カラーフィルター要素を含む、請求項5に記載のOLEDデバイス。
【請求項7】
該デバイスがパッシブ・マトリックス・デバイスである、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項8】
該デバイスがアクティブ・マトリックス・デバイスである、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項9】
マイクロキャビティ構造を有する該ガモット・サブ画素はさらに、透明キャビティ・スペーサー層を含み、該透明キャビティ・スペーサー層の厚さ、該透明キャビティ・スペーサー層の屈折率、又はその両方を、ガモット・サブ画素毎の有機層の厚さ及び屈折率との関連において、異なる色のガモット・サブ画素毎に別個に調節することにより、マイクロキャビティを所望の色に調整する、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項10】
該ガモット・サブ画素のうちの1つの該透明キャビティ・スペーサー層が、該ガモット内サブ画素のうちの1つ以上の透明電極と同じ材料及び厚さから形成されている、請求項9に記載のOLEDデバイス。
【請求項11】
マイクロキャビティ構造を有する該ガモット・サブ画素のうちの1つを除く全てがさらに、透明キャビティ・スペーサー層を含み、該透明キャビティ・スペーサー層の厚さ、該透明キャビティ・スペーサー層の屈折率、又はその両方を、ガモット・サブ画素毎の有機層の厚さ及び屈折率との関連において、異なる色のガモット・サブ画素毎に別個に調節することにより、マイクロキャビティを所望の色に調整する、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項12】
該ガモット・サブ画素のうちの1つの該透明キャビティ・スペーサー層が、該ガモット内サブ画素のうちの1つ以上の透明電極と同じ材料及び厚さから形成されている、請求項11に記載のOLEDデバイス。
【請求項13】
該有機層の層のうちの1つ又は2つ以上が、該サブ画素のうちの1つ又は2つ以上に対して、別個にパターニングされる、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項14】
該有機層の層のうちの1つ又は2つ以上が、該ガモット・サブ画素のそれぞれに対して、別個にパターニングされる、請求項13に記載のOLEDデバイス。
【請求項15】
該有機層が広帯域発光を生じさせ、そして該有機層の層全てが、ガモット・サブ画素のうちの1つ又は2つ以上、及びガモット内サブ画素のうちの1つ又は2つ以上に関して同じである、請求項13に記載のOLEDデバイス。
【請求項16】
該デバイスが底部発光型である、請求項1に記載のOLEDデバイス。
【請求項17】
該デバイスが上部発光型である、請求項1に記載のOLEDデバイス。

【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2007−503093(P2007−503093A)
【公表日】平成19年2月15日(2007.2.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523907(P2006−523907)
【出願日】平成16年8月9日(2004.8.9)
【国際出願番号】PCT/US2004/025741
【国際公開番号】WO2005/020344
【国際公開日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(590000846)イーストマン コダック カンパニー (1,594)
【Fターム(参考)】