マイクロスケールT−接点を用いる生体分子の電気泳動的延伸のためのシステム
生体分子を捕捉および延伸するためのシステム。より具体的には、DNA分子を捕捉および延伸するためのシステムに関する。マイクロ流体デバイスは、狭い中心領域でT型接点を形成する対称チャネルと、中心領域の外側の3つのより広い部分とを含む。少なくとも1つの電源供給装置が提供され、T型接点を横断する電位を発生させ、接点内によどみ点を有する局所平面伸張場を生成し、それによって、マイクロ流体デバイス内に導入される生体分子は、よどみ点において捕捉され、伸張場によって延伸される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年4月5日に出願された仮特許出願第60/910,335号に対する優先権を主張する。仮特許出願第60/910,335号の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
本発明は、NIEHS契約番号P30ES002109の結果として生じた。政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0003】
本発明は、生体分子を延伸するためのシステムに関し、より具体的には、DNA分子を捕捉および延伸するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0004】
生体高分子を捕捉および延伸する能力は、単一分子DNAマッピング1から高分子物理学の基礎研究2の範囲に及ぶ、いくつかの用途において重要である(上付き数字は、本明細書に添付の参考を指し、その全体の内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)。光または磁気ピンセットを使用して、単一DNA分子を捕捉および延伸可能であるが、それらは、DNA末端3の特異的修飾に依存する。代替として、DNAの一端は、固定したまま保持され、電場4または流体力学的流動5によって延伸可能である。拘束されていない遊離DNAは、ナノチャネル内に駆動され、分子を部分的に延伸可能である6,7。十字スロット幾何学形状内で発生する流体力学的平面伸張流動を使用して、遊離DNA8が延伸されているが、よどみ点において、長時間、分子を捕捉することは、瑣末ではない9。分子は、障害物を越えて、縮合物14内へ、または十字スロットデバイス15を通して、電気泳動するため11-13、電場を使用して、流体チャネル内の小領域内に閉じ込められる10、あるいは部分的に延伸されている。分子は有限滞留時間を有するため14、部分的延伸は、これらの上述の電気泳動デバイスにおいて生じる。現在、DNAまたは他の荷電生体分子を捕捉および延伸するための単純な方法は存在しない。
【0005】
DNAは、半屈曲性Brownianストリングに沿って分布される一連の電荷として、物理的に想定され得る。分子は、DNAの長さスケールにわたって変動する電場勾配によって、電気泳動的に延伸可能である。DNAの変形は、電場の運動学の詳細に依存するであろう12,16。電場は、純粋に伸張的であるという点において非常に独特である12,15,16。
【0006】
したがって、本発明の目的は、電場勾配を使用して、生体分子を捕捉および延伸可能なマイクロ流体デバイスを提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一側面では、本発明は、T型接点を形成する対称チャネルと、狭い中心領域と、中心領域の外側の3つのより広い部分とを有する、マイクロ流体デバイスを含む、生体分子を捕捉および延伸するためのシステムである。少なくとも1つの電源供給装置は、T型接点を横切る電位を発生させ、接点内によどみ点を有する局所平面伸張場を生成する。マイクロ流体デバイス内に導入されるDNA等の生体分子は、よどみ点において捕捉され、伸張場によって延伸される。好ましい実施形態では、対称接点は、垂直アームと、2つの水平アームとを含み、3つのアームは、実質的に等しい長さを有し、垂直アームの幅は、水平アームの幅の約2倍である。
【0008】
好ましい実施形態では、システムは、2つの別個のDC電源供給装置を含み、よどみ点の場所を調節する。また、マイクロ流体デバイスの中心領域内の角は、円唇化されていることが好ましい。垂直アームおよび2つの水平アームは、好ましくは、実質的に均一電場を含有する。別の好ましい実施形態では、伸張場は、実質的に均質である。好ましい実施形態では、生体分子は、T4 DNA等のDNAである。また、電位は、0.5を超えるデボラ数を有することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1a】本発明のある実施形態のチャネル幾何学形状を示す、概略図である。
【図1b】均一/伸張場の場所およびよどみ点を示す、本発明のある実施形態の概略図である。
【図1c】T接点の拡大図を示す、概略図である。
【図1d】本発明のある実施形態のチャネルの類比として機能する回路図である。
【図2】図2aは、有限要素計算から導出されるT接点領域内の無次元電場強度を示す、グラフである。図2bは、無次元電場強度および軌跡のひずみ速度を示す、グラフである。
【図3】図3aは、よどみ点において捕捉されるT4 DNA分子の延伸を示す、顕微鏡写真である。図3bは、T4 DNA分子の定常挙動を示す、顕微鏡写真である。図3cは、T4 DNAの平均定常分別伸張対デボラ数を示す、グラフである。
【図4】T型チャネル内のλ-DNA 10-MERの延伸を示す、顕微鏡写真である。
【図5a】電場特性解析のための34のλ-DNA電気泳動の軌跡のグラフである。
【図5b】均質伸張領域を交差する図5aに示される15の軌跡の半対数(t)トレースを示す、グラフである。
【図5c】同一の15の軌跡の半対数(t)トレースを示す、グラフである。
【図6】2μm高PDMSチャネルにおけるT4 DNAの平均二乗分別伸張を示す、グラフである。
【図7】異なる角円唇化方法を使用するチャネル幾何学形状を示す、概略図である。
【図8】本発明の別の実施形態による、完全十字スロットチャネルの概略図である。
【図9】余剰側方注入部を含む、本発明のある実施形態の概略図である。
【図10】界面動電集束部を含む、本発明の別の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1(a)に示されるように、中心に狭いT型部12と、外側に3つの等しい幅広部14、16、および18とを備える、対称チャネル10内のDNA分子の延伸を調査した。T接点の垂直部および水平部は、同一長l2を有する一方、垂直部の幅は、水平部の幅の2倍である(w2=2w3)。故に、T接点は、十字スロットチャネルの半分に相当する。本調査において使用される寸法は、l1=1mm、l2=3mm、w1=80μm、w2=40μm、およびw3=20μmであった。局所電場強度極大値を抑制するために、T接点12の2つの角20および22は、半径R=5μmを有する弧を使用して円唇化した(図1(c))。図1(b)に示されるように、対称電位がチャネル10に印加されると、よどみ点24を有する局所平面伸張電場が、T接点12内で、均一電場が、3つの直線アーム内で得られ得る。E1およびE2を使用して、それぞれ、均一領域1ならびに均一領域2内で得られる均一電場を表す。
【0011】
l1、l2>>w3であるため、図1(d)に示されるように、単純回路26を使用して、このチャネルを類比可能である。中心T接点領域12は、無視され、チャネルの各直線部は、l/wに比例する抵抗を有する抵抗器によって表される。図1(d)に示される各点における電位は、分析的に解明可能である。均一領域1および2内の結果として生じる電場強度は、以下によって求められる。
【0012】
【化1】
その結果、T接点12内の結果として生じる伸張場は、ほぼ均質である。電気泳動ひずみ速度は、k
【0013】
【数1】
によっておおよそ求められ、式中、μは、電気泳動移動度である。残りの分析に対しては、以下のように変数を無次元化する。
【0014】
【化2】
図2(a)では、T接点12の周囲の領域内の無次元電場強度
【0015】
【数32】
の有限要素計算を示す。チャネル壁の絶縁境界条件を想定する。白色線は、電場線である。角は円唇化されているが、依然として、角における電場強度に小極値が存在する。図2(b)は、接点12内の無次元電場強度およびひずみ速度を示す。対称性のため、
【0016】
【数2】
および
【0017】
【数3】
に沿ったデータは、重複する。任意の末端効果を伴わない理想的なTチャネルの電場およびひずみ速度は、点線によって示される。入口(または、出口)領域は、T接点の入口(または、出口)前の長さw3の約30%から開始し、均一直線領域へとw3の全長にわたる。T接点12内では、均質伸張場が存在するが、入口/出口効果のため、ひずみ速度は、
【0018】
【数4】
である。電場運動学は、粒子追跡法17を使用して実験的に検証した。
【0019】
ソフトリソグラフィ18を使用して、2μm高PDMS(ポリジメチルシロキサン)マイクロチャネルを構築する。本研究では、T4 DNA(165.6キロ塩基対、Nippon Gene)およびλ-DNAコンカタマー(末端間ライゲーションによる48.5キロ塩基対の整数の倍数、New England Biolabs)を使用した。DNAは、YOYO-1(Molecular Probes)によって、4:1 bp:色素分子で染色し、4 vol % β-メルカプトエタノールによって、5倍のTBE(0.45 M Tris-Borate、10mM EDTA)に希釈した。染色された輪郭長は、T4 DNAに対し70μmであって、λ-DNAコンカタマーに対し21μmの整数の倍数であった。下の2つの電極は、2つの別個のDC電源供給装置に接続され、上の電極は、接地した。分子は、蛍光ビデオ顕微鏡法13を使用して観察した。
【0020】
典型的実験において、最初に、対称電位を印加し、DNA分子をT接点領域内に電気泳動的に駆動し、次いで、局所伸張場のよどみ点において、1つの着目分子を捕捉した(図3(a))。2つの電源供給装置の適用によって、2つの電位を個々に調節し、したがって、よどみ点の位置を自由に移動させることが可能であった。このよどみ点制御能力によって、最初は、よどみ点に向かって移動しなかった場合でも、視野内の任意のDNA分子を捕捉することが可能となっ。さらに、また、捕捉される分子のばらつきを克服することができた。例えば、捕捉されるDNAが右側リザーバに向かって浮遊を開始する場合、よどみ点の位置が浮遊分子の方向を反転するように、左側リザーバ内に印加される電位は増大し得る(図3(b))。
【0021】
図3のT4-DNAは、
【0022】
【数5】
の最大延伸を有し、T接点内の領域を僅かのみ越えて延在し、そこで均質電気泳動伸張が発生される。この領域内の延伸の程度を判断する無次元群は、デボラ数
【0023】
【数6】
であって、式中、
【0024】
【数7】
は、DNAの最長緩和時間(1.3±0.2秒として測定された17)である。図3(c)では、強度の延伸(De>0.5)が一度生じているのが認められており、流体力学的流動8において観察されるものに類似する。図3(c)内の各点は、平均15から30の分子を表す。
【0025】
次に、2倍のw3(40μm)よりも非常に大きい輪郭長を有する分子の延伸を試みた。図4では、輪郭長210μm(10-mer、485キロ塩基対)を有するλ-DNAのコンカタマーの延伸を示す。分子がT接点に進入すると、旋回平均半径
【0026】
【数8】
19を有するコイル状態となる。最初は、延伸は、小型のコイルサイズのため、Deによって支配される。しかしながら、DNAのアームが一定の電場領域内に及び始めると、延伸は、異なる機構によって生じる。延伸長>>2×w3の場合、鎖は、均質電場内の一式の対称的に拘束される鎖(原鎖の半分の輪郭長を有する)に類似する。延伸は、依然として生じるが、ここでは、Pe=μElp/D1/2によって支配され、式中、μは、電気泳動移動度(1.35±0.14x10-4cm2/(sV))であって、lpは、持続長
【0027】
【数9】
であって、D1/2は、原鎖の半分の輪郭長を有する鎖の拡散率である(この10-mer19に対し
【0028】
【数10】
)。図4の分子は、輪郭長全体の94%である最終定常伸張に到達する。
【0029】
T接点内で発生する電場は、著しく変形しない条件下、DNAの質量中心を追跡することによって検証した。容易に追跡するために十分に大きいが、以下に使用される条件において、著しく変形しないように十分に小さいため、λ-DNA(48.5kbp)を使用することを選択した。追跡は、印加電場|E1|=|E2|=30V/cmで実行した。34のλ-DNA分子の質量中心位置は、NIHソフトウェアを使用して追跡した。図5(a)は、T接点近傍内のこれらの分子の軌跡を示す。最初に、2つの均一領域内の集合平均電気泳動速度を
【0030】
【数11】
であると判断した。次いで、λ-DNAの電気泳動移動度は、μ=1.35±0.14x10-4cm2/(sV)であると判断可能である。有限要素計算の結果によると、伸張領域内のひずみ速度は、
【数12】
となるはずである。実験用緩衝剤(4vol%のβ-メルカプトエタノール、粘度
【0031】
【数13】
の5倍のTBE)内のλ-DNAの緩和時間は、
【0032】
【数14】
として以前に測定されている20。したがって、λ-DNAのデボラ数は、
【0033】
【数15】
であって、0.5よりも小さい。故に、λ-DNAは、伸張場内で有意に変形せず、トレーサとして機能するために十分であった。
【0034】
実験的に観察可能なひずみ速度は、データから個別に抽出した。伸張場が認められた15の分子を選択し、均質伸張領域内に位置するその軌跡の一部を切り取り、
【0035】
【数16】
および
【0036】
【数17】
データを、それぞれ、指数関数
【0037】
【数18】
および
【0038】
【数19】
に適合した。有限要素計算の結果に基づいて、フィッティング[0、0.8]の範囲の
【0039】
【数20】
および
【0040】
【数21】
の両方を有する軌跡の部分だけ選択した。図5では、限定DNA軌跡を示す白丸と、フィッティングのために使用される部分を示す黒丸を使用して、フィッティングの実施列を示す。適合された集合平均ひずみ速度は、予測値1.48±0.4秒-1と比べ、
【0041】
【数22】
である。この結果は、T接点内の電場は、ほぼ均質であって、その規模は、予測と定量的に一致することを確認する。図5(b)および(c)は、15の軌跡の
【0042】
【数23】
および
【0043】
【数24】
データの半対数プロットを示す。濃い黒線は、
【0044】
【数25】
を使用するアフィンスケーリングである。
【0045】
実験用緩衝剤および2μm高Tチャネル内のT4DNAの緩和時間は、よどみ点においてDNAを電気泳動的に延伸し、電場を切断し、これらの緩和分子の伸張xex(t)を追跡することによって、実験的に判断した。伸張データは、線形力領域内の関数
【0046】
【数26】
に適合させ、式中、xiは、初期延伸(線形領域に対し約30%伸張される)であって、
【0047】
【数27】
は、平衡状態で平均二乗コイルサイズに相当し、2μm-高チャネルにおいて21μm2であった。図6は、16のT4 DNA分子(線)および集合平均(記号)の平均二乗伸張(
(
【0048】
【数28】
)データを示す。結果として生じる緩和時間は、
【0049】
【数29】
である。
【0050】
次に、図7-10と併せて、本発明の他の実施形態を説明する。最初に、図7を参照すると、チャネル10は、伸張場から均一電場へと異なる種類の遷移をもたらす、種々の曲線を使用して円唇化された角20および22を含む。例えば、結果として生じるチャネルが、領域
【0051】
【数30】
および
【0052】
【数31】
内で均質伸張電場を提供するように、双曲線関数xy=lw/2(wおよびlは、図面に示される)を使用して、角を円唇化可能である。電場遷移は、即時であって、入口効果は、この種類のTチャネル内でほぼ完全に抑制される。2l未満の輪郭長を有するDNAの延伸は、デボラ数Deによって純粋に支配される。また、図8に示されるように、完全十字スロットチャネル10(上述のTチャネルは、十字スロットチャネルの半分として想定可能である)は、生体分子捕捉および操作のために使用可能である。4つの直線アームは、等しい幅および長さを有し、角は、Tチャネルと同一方法で円唇化可能である。捕捉は、依然として、接点領域の中心に位置するよどみ点を有する局所平面伸張電場に依存する。十字スロットデバイスの動作原理は、上述のTチャネル実施形態と同一である。
【0053】
図9は、本発明のある実施形態を示すが、Tチャネルは、余剰側方注入部を有する。Tチャネルの上アーム上のそのような修正は、さらなる潜在的生物学的用途を可能にするであろう。DNA分子(または、他の生体分子)がよどみ点において捕捉されると、他の生体分子(例えば、タンパク質)がこれらの注入チャネルを通して、接点内に挿入され得るように、1つ(または、それ以上)の側方注入チャネルを追加可能である。その結果、複数の分子間の相互作用が、視覚化および研究可能となる。図9は、1つの注入チャネルが追加されたTチャネルを示す。DNA分子は、末端Aから装填され、電気泳動的に接点内に駆動および延伸される。その後、他の着目分子は、末端Bから注入可能である。本発明のさらに別の実施形態は、図10に示される。等しい長さおよび幅を有する2つの集束チャネル40および42は、T接点の上流に追加される。対称電位が印加されると、これらの2つのチャネル40および42は、上アームの中心線内にDNAを集束する助けをする。その結果、接点に進入するDNA分子の大部分は、よどみ点に向かって真っ直ぐに移動し、したがって、容易に捕捉および延伸され得る。2つの集束チャネル40および42は、捕捉プロセスに必要とされる制御量を低減させる。この種類のTチャネルは、継続的プロセスを実行するための潜在性を有しており、図10に実証されるように、分子は、接点内に送出され、捕捉され、延伸され、1つずつ解放される。
【0054】
我々のDNAを捕捉および延伸するデバイスは、他の方法と比べいくつかの利点を有する。電場は、印加、制御が非常に容易であって、その接続は、マイクロ/ナノチャネル内の流体力学的電場よりも遅延時間が少ない。さらに、電場の純粋な伸張運動学は、分子の延伸に有利である。また、電場境界条件は、均質な伸張領域を発生させるために、3つの接続チャネルのみ使用し、よどみ点を調節することによって分子の直接的な捕捉を可能とする。T接点を跨ぎ、対向する電場によるアーム上での綱引きのような分子によって、延伸は、伸張領域を越える場合でも生じ得る。また、加工は、ナノチャネルに比べて非常に単純であって、その設計によって、所望の分子の容易な捕捉、延伸、および解放が可能となる。
【0055】
参考
【0056】
【化3】
【0057】
【化4】
本明細書に開示される本発明の修正および変形例は、当業者に明白となり、あらゆるそのような修正および変形例は、添付の請求項の範囲内に含まれるものと意図されることを理解されたい。
【技術分野】
【0001】
本願は、2007年4月5日に出願された仮特許出願第60/910,335号に対する優先権を主張する。仮特許出願第60/910,335号の内容は、本明細書中に参考として援用される。
【0002】
本発明は、NIEHS契約番号P30ES002109の結果として生じた。政府は、本発明に一定の権利を有する。
【0003】
本発明は、生体分子を延伸するためのシステムに関し、より具体的には、DNA分子を捕捉および延伸するためのシステムに関する。
【背景技術】
【0004】
生体高分子を捕捉および延伸する能力は、単一分子DNAマッピング1から高分子物理学の基礎研究2の範囲に及ぶ、いくつかの用途において重要である(上付き数字は、本明細書に添付の参考を指し、その全体の内容は、参照することによって本明細書に組み込まれる)。光または磁気ピンセットを使用して、単一DNA分子を捕捉および延伸可能であるが、それらは、DNA末端3の特異的修飾に依存する。代替として、DNAの一端は、固定したまま保持され、電場4または流体力学的流動5によって延伸可能である。拘束されていない遊離DNAは、ナノチャネル内に駆動され、分子を部分的に延伸可能である6,7。十字スロット幾何学形状内で発生する流体力学的平面伸張流動を使用して、遊離DNA8が延伸されているが、よどみ点において、長時間、分子を捕捉することは、瑣末ではない9。分子は、障害物を越えて、縮合物14内へ、または十字スロットデバイス15を通して、電気泳動するため11-13、電場を使用して、流体チャネル内の小領域内に閉じ込められる10、あるいは部分的に延伸されている。分子は有限滞留時間を有するため14、部分的延伸は、これらの上述の電気泳動デバイスにおいて生じる。現在、DNAまたは他の荷電生体分子を捕捉および延伸するための単純な方法は存在しない。
【0005】
DNAは、半屈曲性Brownianストリングに沿って分布される一連の電荷として、物理的に想定され得る。分子は、DNAの長さスケールにわたって変動する電場勾配によって、電気泳動的に延伸可能である。DNAの変形は、電場の運動学の詳細に依存するであろう12,16。電場は、純粋に伸張的であるという点において非常に独特である12,15,16。
【0006】
したがって、本発明の目的は、電場勾配を使用して、生体分子を捕捉および延伸可能なマイクロ流体デバイスを提供することである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一側面では、本発明は、T型接点を形成する対称チャネルと、狭い中心領域と、中心領域の外側の3つのより広い部分とを有する、マイクロ流体デバイスを含む、生体分子を捕捉および延伸するためのシステムである。少なくとも1つの電源供給装置は、T型接点を横切る電位を発生させ、接点内によどみ点を有する局所平面伸張場を生成する。マイクロ流体デバイス内に導入されるDNA等の生体分子は、よどみ点において捕捉され、伸張場によって延伸される。好ましい実施形態では、対称接点は、垂直アームと、2つの水平アームとを含み、3つのアームは、実質的に等しい長さを有し、垂直アームの幅は、水平アームの幅の約2倍である。
【0008】
好ましい実施形態では、システムは、2つの別個のDC電源供給装置を含み、よどみ点の場所を調節する。また、マイクロ流体デバイスの中心領域内の角は、円唇化されていることが好ましい。垂直アームおよび2つの水平アームは、好ましくは、実質的に均一電場を含有する。別の好ましい実施形態では、伸張場は、実質的に均質である。好ましい実施形態では、生体分子は、T4 DNA等のDNAである。また、電位は、0.5を超えるデボラ数を有することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1a】本発明のある実施形態のチャネル幾何学形状を示す、概略図である。
【図1b】均一/伸張場の場所およびよどみ点を示す、本発明のある実施形態の概略図である。
【図1c】T接点の拡大図を示す、概略図である。
【図1d】本発明のある実施形態のチャネルの類比として機能する回路図である。
【図2】図2aは、有限要素計算から導出されるT接点領域内の無次元電場強度を示す、グラフである。図2bは、無次元電場強度および軌跡のひずみ速度を示す、グラフである。
【図3】図3aは、よどみ点において捕捉されるT4 DNA分子の延伸を示す、顕微鏡写真である。図3bは、T4 DNA分子の定常挙動を示す、顕微鏡写真である。図3cは、T4 DNAの平均定常分別伸張対デボラ数を示す、グラフである。
【図4】T型チャネル内のλ-DNA 10-MERの延伸を示す、顕微鏡写真である。
【図5a】電場特性解析のための34のλ-DNA電気泳動の軌跡のグラフである。
【図5b】均質伸張領域を交差する図5aに示される15の軌跡の半対数(t)トレースを示す、グラフである。
【図5c】同一の15の軌跡の半対数(t)トレースを示す、グラフである。
【図6】2μm高PDMSチャネルにおけるT4 DNAの平均二乗分別伸張を示す、グラフである。
【図7】異なる角円唇化方法を使用するチャネル幾何学形状を示す、概略図である。
【図8】本発明の別の実施形態による、完全十字スロットチャネルの概略図である。
【図9】余剰側方注入部を含む、本発明のある実施形態の概略図である。
【図10】界面動電集束部を含む、本発明の別の実施形態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1(a)に示されるように、中心に狭いT型部12と、外側に3つの等しい幅広部14、16、および18とを備える、対称チャネル10内のDNA分子の延伸を調査した。T接点の垂直部および水平部は、同一長l2を有する一方、垂直部の幅は、水平部の幅の2倍である(w2=2w3)。故に、T接点は、十字スロットチャネルの半分に相当する。本調査において使用される寸法は、l1=1mm、l2=3mm、w1=80μm、w2=40μm、およびw3=20μmであった。局所電場強度極大値を抑制するために、T接点12の2つの角20および22は、半径R=5μmを有する弧を使用して円唇化した(図1(c))。図1(b)に示されるように、対称電位がチャネル10に印加されると、よどみ点24を有する局所平面伸張電場が、T接点12内で、均一電場が、3つの直線アーム内で得られ得る。E1およびE2を使用して、それぞれ、均一領域1ならびに均一領域2内で得られる均一電場を表す。
【0011】
l1、l2>>w3であるため、図1(d)に示されるように、単純回路26を使用して、このチャネルを類比可能である。中心T接点領域12は、無視され、チャネルの各直線部は、l/wに比例する抵抗を有する抵抗器によって表される。図1(d)に示される各点における電位は、分析的に解明可能である。均一領域1および2内の結果として生じる電場強度は、以下によって求められる。
【0012】
【化1】
その結果、T接点12内の結果として生じる伸張場は、ほぼ均質である。電気泳動ひずみ速度は、k
【0013】
【数1】
によっておおよそ求められ、式中、μは、電気泳動移動度である。残りの分析に対しては、以下のように変数を無次元化する。
【0014】
【化2】
図2(a)では、T接点12の周囲の領域内の無次元電場強度
【0015】
【数32】
の有限要素計算を示す。チャネル壁の絶縁境界条件を想定する。白色線は、電場線である。角は円唇化されているが、依然として、角における電場強度に小極値が存在する。図2(b)は、接点12内の無次元電場強度およびひずみ速度を示す。対称性のため、
【0016】
【数2】
および
【0017】
【数3】
に沿ったデータは、重複する。任意の末端効果を伴わない理想的なTチャネルの電場およびひずみ速度は、点線によって示される。入口(または、出口)領域は、T接点の入口(または、出口)前の長さw3の約30%から開始し、均一直線領域へとw3の全長にわたる。T接点12内では、均質伸張場が存在するが、入口/出口効果のため、ひずみ速度は、
【0018】
【数4】
である。電場運動学は、粒子追跡法17を使用して実験的に検証した。
【0019】
ソフトリソグラフィ18を使用して、2μm高PDMS(ポリジメチルシロキサン)マイクロチャネルを構築する。本研究では、T4 DNA(165.6キロ塩基対、Nippon Gene)およびλ-DNAコンカタマー(末端間ライゲーションによる48.5キロ塩基対の整数の倍数、New England Biolabs)を使用した。DNAは、YOYO-1(Molecular Probes)によって、4:1 bp:色素分子で染色し、4 vol % β-メルカプトエタノールによって、5倍のTBE(0.45 M Tris-Borate、10mM EDTA)に希釈した。染色された輪郭長は、T4 DNAに対し70μmであって、λ-DNAコンカタマーに対し21μmの整数の倍数であった。下の2つの電極は、2つの別個のDC電源供給装置に接続され、上の電極は、接地した。分子は、蛍光ビデオ顕微鏡法13を使用して観察した。
【0020】
典型的実験において、最初に、対称電位を印加し、DNA分子をT接点領域内に電気泳動的に駆動し、次いで、局所伸張場のよどみ点において、1つの着目分子を捕捉した(図3(a))。2つの電源供給装置の適用によって、2つの電位を個々に調節し、したがって、よどみ点の位置を自由に移動させることが可能であった。このよどみ点制御能力によって、最初は、よどみ点に向かって移動しなかった場合でも、視野内の任意のDNA分子を捕捉することが可能となっ。さらに、また、捕捉される分子のばらつきを克服することができた。例えば、捕捉されるDNAが右側リザーバに向かって浮遊を開始する場合、よどみ点の位置が浮遊分子の方向を反転するように、左側リザーバ内に印加される電位は増大し得る(図3(b))。
【0021】
図3のT4-DNAは、
【0022】
【数5】
の最大延伸を有し、T接点内の領域を僅かのみ越えて延在し、そこで均質電気泳動伸張が発生される。この領域内の延伸の程度を判断する無次元群は、デボラ数
【0023】
【数6】
であって、式中、
【0024】
【数7】
は、DNAの最長緩和時間(1.3±0.2秒として測定された17)である。図3(c)では、強度の延伸(De>0.5)が一度生じているのが認められており、流体力学的流動8において観察されるものに類似する。図3(c)内の各点は、平均15から30の分子を表す。
【0025】
次に、2倍のw3(40μm)よりも非常に大きい輪郭長を有する分子の延伸を試みた。図4では、輪郭長210μm(10-mer、485キロ塩基対)を有するλ-DNAのコンカタマーの延伸を示す。分子がT接点に進入すると、旋回平均半径
【0026】
【数8】
19を有するコイル状態となる。最初は、延伸は、小型のコイルサイズのため、Deによって支配される。しかしながら、DNAのアームが一定の電場領域内に及び始めると、延伸は、異なる機構によって生じる。延伸長>>2×w3の場合、鎖は、均質電場内の一式の対称的に拘束される鎖(原鎖の半分の輪郭長を有する)に類似する。延伸は、依然として生じるが、ここでは、Pe=μElp/D1/2によって支配され、式中、μは、電気泳動移動度(1.35±0.14x10-4cm2/(sV))であって、lpは、持続長
【0027】
【数9】
であって、D1/2は、原鎖の半分の輪郭長を有する鎖の拡散率である(この10-mer19に対し
【0028】
【数10】
)。図4の分子は、輪郭長全体の94%である最終定常伸張に到達する。
【0029】
T接点内で発生する電場は、著しく変形しない条件下、DNAの質量中心を追跡することによって検証した。容易に追跡するために十分に大きいが、以下に使用される条件において、著しく変形しないように十分に小さいため、λ-DNA(48.5kbp)を使用することを選択した。追跡は、印加電場|E1|=|E2|=30V/cmで実行した。34のλ-DNA分子の質量中心位置は、NIHソフトウェアを使用して追跡した。図5(a)は、T接点近傍内のこれらの分子の軌跡を示す。最初に、2つの均一領域内の集合平均電気泳動速度を
【0030】
【数11】
であると判断した。次いで、λ-DNAの電気泳動移動度は、μ=1.35±0.14x10-4cm2/(sV)であると判断可能である。有限要素計算の結果によると、伸張領域内のひずみ速度は、
【数12】
となるはずである。実験用緩衝剤(4vol%のβ-メルカプトエタノール、粘度
【0031】
【数13】
の5倍のTBE)内のλ-DNAの緩和時間は、
【0032】
【数14】
として以前に測定されている20。したがって、λ-DNAのデボラ数は、
【0033】
【数15】
であって、0.5よりも小さい。故に、λ-DNAは、伸張場内で有意に変形せず、トレーサとして機能するために十分であった。
【0034】
実験的に観察可能なひずみ速度は、データから個別に抽出した。伸張場が認められた15の分子を選択し、均質伸張領域内に位置するその軌跡の一部を切り取り、
【0035】
【数16】
および
【0036】
【数17】
データを、それぞれ、指数関数
【0037】
【数18】
および
【0038】
【数19】
に適合した。有限要素計算の結果に基づいて、フィッティング[0、0.8]の範囲の
【0039】
【数20】
および
【0040】
【数21】
の両方を有する軌跡の部分だけ選択した。図5では、限定DNA軌跡を示す白丸と、フィッティングのために使用される部分を示す黒丸を使用して、フィッティングの実施列を示す。適合された集合平均ひずみ速度は、予測値1.48±0.4秒-1と比べ、
【0041】
【数22】
である。この結果は、T接点内の電場は、ほぼ均質であって、その規模は、予測と定量的に一致することを確認する。図5(b)および(c)は、15の軌跡の
【0042】
【数23】
および
【0043】
【数24】
データの半対数プロットを示す。濃い黒線は、
【0044】
【数25】
を使用するアフィンスケーリングである。
【0045】
実験用緩衝剤および2μm高Tチャネル内のT4DNAの緩和時間は、よどみ点においてDNAを電気泳動的に延伸し、電場を切断し、これらの緩和分子の伸張xex(t)を追跡することによって、実験的に判断した。伸張データは、線形力領域内の関数
【0046】
【数26】
に適合させ、式中、xiは、初期延伸(線形領域に対し約30%伸張される)であって、
【0047】
【数27】
は、平衡状態で平均二乗コイルサイズに相当し、2μm-高チャネルにおいて21μm2であった。図6は、16のT4 DNA分子(線)および集合平均(記号)の平均二乗伸張(
(
【0048】
【数28】
)データを示す。結果として生じる緩和時間は、
【0049】
【数29】
である。
【0050】
次に、図7-10と併せて、本発明の他の実施形態を説明する。最初に、図7を参照すると、チャネル10は、伸張場から均一電場へと異なる種類の遷移をもたらす、種々の曲線を使用して円唇化された角20および22を含む。例えば、結果として生じるチャネルが、領域
【0051】
【数30】
および
【0052】
【数31】
内で均質伸張電場を提供するように、双曲線関数xy=lw/2(wおよびlは、図面に示される)を使用して、角を円唇化可能である。電場遷移は、即時であって、入口効果は、この種類のTチャネル内でほぼ完全に抑制される。2l未満の輪郭長を有するDNAの延伸は、デボラ数Deによって純粋に支配される。また、図8に示されるように、完全十字スロットチャネル10(上述のTチャネルは、十字スロットチャネルの半分として想定可能である)は、生体分子捕捉および操作のために使用可能である。4つの直線アームは、等しい幅および長さを有し、角は、Tチャネルと同一方法で円唇化可能である。捕捉は、依然として、接点領域の中心に位置するよどみ点を有する局所平面伸張電場に依存する。十字スロットデバイスの動作原理は、上述のTチャネル実施形態と同一である。
【0053】
図9は、本発明のある実施形態を示すが、Tチャネルは、余剰側方注入部を有する。Tチャネルの上アーム上のそのような修正は、さらなる潜在的生物学的用途を可能にするであろう。DNA分子(または、他の生体分子)がよどみ点において捕捉されると、他の生体分子(例えば、タンパク質)がこれらの注入チャネルを通して、接点内に挿入され得るように、1つ(または、それ以上)の側方注入チャネルを追加可能である。その結果、複数の分子間の相互作用が、視覚化および研究可能となる。図9は、1つの注入チャネルが追加されたTチャネルを示す。DNA分子は、末端Aから装填され、電気泳動的に接点内に駆動および延伸される。その後、他の着目分子は、末端Bから注入可能である。本発明のさらに別の実施形態は、図10に示される。等しい長さおよび幅を有する2つの集束チャネル40および42は、T接点の上流に追加される。対称電位が印加されると、これらの2つのチャネル40および42は、上アームの中心線内にDNAを集束する助けをする。その結果、接点に進入するDNA分子の大部分は、よどみ点に向かって真っ直ぐに移動し、したがって、容易に捕捉および延伸され得る。2つの集束チャネル40および42は、捕捉プロセスに必要とされる制御量を低減させる。この種類のTチャネルは、継続的プロセスを実行するための潜在性を有しており、図10に実証されるように、分子は、接点内に送出され、捕捉され、延伸され、1つずつ解放される。
【0054】
我々のDNAを捕捉および延伸するデバイスは、他の方法と比べいくつかの利点を有する。電場は、印加、制御が非常に容易であって、その接続は、マイクロ/ナノチャネル内の流体力学的電場よりも遅延時間が少ない。さらに、電場の純粋な伸張運動学は、分子の延伸に有利である。また、電場境界条件は、均質な伸張領域を発生させるために、3つの接続チャネルのみ使用し、よどみ点を調節することによって分子の直接的な捕捉を可能とする。T接点を跨ぎ、対向する電場によるアーム上での綱引きのような分子によって、延伸は、伸張領域を越える場合でも生じ得る。また、加工は、ナノチャネルに比べて非常に単純であって、その設計によって、所望の分子の容易な捕捉、延伸、および解放が可能となる。
【0055】
参考
【0056】
【化3】
【0057】
【化4】
本明細書に開示される本発明の修正および変形例は、当業者に明白となり、あらゆるそのような修正および変形例は、添付の請求項の範囲内に含まれるものと意図されることを理解されたい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
生体分子を捕捉および延伸するためのシステムであって、
狭い中心領域でT型接点を形成する対称チャネルと、前記中心領域の外側の3つのより広い部分とを含む、マイクロ流体デバイスと、
前記T型接点を横切る電位を発生させ、前記接点内によどみ点を有する局所平面伸張場を生成し、それによって、前記マイクロ流体デバイス内に導入される生体分子は、前記よどみ点において捕捉され、前記伸張場によって延伸されるための少なくとも1つの電源供給装置と、
を備える、システム。
【請求項2】
前記対称接点は、垂直アームと、2つの水平アームとを含み、前記3つのアームは、実質的に等しい長さを有し、前記垂直アームの幅は、前記水平アームの幅の約2倍である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
2つの別個のDC電源供給装置を含み、前記よどみ点の場所を調節する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記中心領域の角は、円唇化されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記垂直アームおよび前記2つの水平アームは、均一電場を含有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記伸張場は、実質的に均質である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記生体分子は、DNAである、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記DNAは、T4 DNAである、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記DNA分子は、0.5を超える電気的デボラ数を有する、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記生体分子は、DNA、細胞、タンパク質、ウイルス、および生体高分子から成る群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記生体高分子は、アクチンである、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記垂直アームは、側方注入部を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項13】
前記垂直アームは、それと連通する2つの集束チャネルを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項14】
生体分子を捕捉および延伸するためのシステムであって、
接点を包含する、完全十字スロットチャネルを含む、マイクロ流体デバイスと、
前記接点を横切る電位を発生させ、前記接点内によどみ点を有する局所平面伸張場を生成し、それによって、前記マイクロ流体デバイス内に導入される生体分子は、前記よどみ点において捕捉され、前記伸張場によって延伸されるための少なくとも1つの電源供給装置と、
を備える、システム。
【請求項1】
生体分子を捕捉および延伸するためのシステムであって、
狭い中心領域でT型接点を形成する対称チャネルと、前記中心領域の外側の3つのより広い部分とを含む、マイクロ流体デバイスと、
前記T型接点を横切る電位を発生させ、前記接点内によどみ点を有する局所平面伸張場を生成し、それによって、前記マイクロ流体デバイス内に導入される生体分子は、前記よどみ点において捕捉され、前記伸張場によって延伸されるための少なくとも1つの電源供給装置と、
を備える、システム。
【請求項2】
前記対称接点は、垂直アームと、2つの水平アームとを含み、前記3つのアームは、実質的に等しい長さを有し、前記垂直アームの幅は、前記水平アームの幅の約2倍である、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
2つの別個のDC電源供給装置を含み、前記よどみ点の場所を調節する、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記中心領域の角は、円唇化されている、請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記垂直アームおよび前記2つの水平アームは、均一電場を含有する、請求項2に記載のシステム。
【請求項6】
前記伸張場は、実質的に均質である、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記生体分子は、DNAである、請求項1に記載のシステム。
【請求項8】
前記DNAは、T4 DNAである、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記DNA分子は、0.5を超える電気的デボラ数を有する、請求項7に記載のシステム。
【請求項10】
前記生体分子は、DNA、細胞、タンパク質、ウイルス、および生体高分子から成る群から選択される、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
前記生体高分子は、アクチンである、請求項10に記載のシステム。
【請求項12】
前記垂直アームは、側方注入部を含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項13】
前記垂直アームは、それと連通する2つの集束チャネルを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項14】
生体分子を捕捉および延伸するためのシステムであって、
接点を包含する、完全十字スロットチャネルを含む、マイクロ流体デバイスと、
前記接点を横切る電位を発生させ、前記接点内によどみ点を有する局所平面伸張場を生成し、それによって、前記マイクロ流体デバイス内に導入される生体分子は、前記よどみ点において捕捉され、前記伸張場によって延伸されるための少なくとも1つの電源供給装置と、
を備える、システム。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図3】
【図4】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図5(c)】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図1b】
【図1c】
【図1d】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図3】
【図4】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図5(c)】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公表番号】特表2010−523121(P2010−523121A)
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−502256(P2010−502256)
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/059105
【国際公開番号】WO2008/124423
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(596060697)マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー (233)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月2日(2008.4.2)
【国際出願番号】PCT/US2008/059105
【国際公開番号】WO2008/124423
【国際公開日】平成20年10月16日(2008.10.16)
【出願人】(596060697)マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー (233)
【Fターム(参考)】
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