説明

マイクロチャネルにおける粒子集束のためのシステムおよび方法

動いている流体中に浮遊する粒子を1つまたは複数の局在する流線に集束させるための様々なシステム、方法、およびデバイスを提供する。システムは、基板、ならびにこの基板上に提供され入口と出口とを有する少なくとも1つの流路を含みうる。システムは、浮遊する粒子を有する層流の状態で流路に沿って動く流体、および流体の層流を駆動するポンプエレメントをさらに含みうる。流体、流路、およびポンプエレメントは、慣性力を粒子に作用させて、粒子を1つまたは複数の流線に集束させるように形作ることができる。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、その3件全ての全内容が参照により本明細書に明白に組み入れられる、2007年4月16日に提出された、「Methods and Devices for Separating and Focusing Particles」と題される米国特許仮出願第60/923,609号、2007年4月17日に提出された、「Methods and Devices for Separating and Focusing Particles」と題される米国特許仮出願第60/923,837号、および2007年10月16日に提出された、「Methods and Devices for Separating and Focusing Particles」と題される米国特許仮出願第60/999,131号に対する優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
粒子の分離および濾過は、工業、医学、および研究における多数の技術的溶液のために応用されている。工業的応用には、化学プロセスおよび発酵での濾過、マイクロエレクトロニクス産業での水の精製、および廃水処理が含まれる。生物医学的用途は、様々な血液成分の計数、ソーティング、および濾過、ならびに安全なサイズの微小バブル超音波造影剤の調製が中心である。基礎および応用研究における用途には、コロイド溶液の濃縮、コロイド反応産物の精製、ならびに環境試料の精製および濃縮が含まれる。
【0003】
これらの用途に取り組むために、粒子の分離に関して様々なマクロスケール技術が開発されている。遠心分離およびフィルターに基づく技術は、処理できる材料が大規模であることから、現在の工業的用途において最も一般的であるが、これらのシステムは、大きく、高価であり、複合した移動性成分を含有する可能性がある。より最近、多様な用途のためにフィールド・フロー・フラクショネーション(FFF)の概念に基づく技術が開発されている。これらの技術において、粒子の分離は、適用した力の場における流路内の多様な平衡位置に起因するか、または異なる輸送速度に起因する。重力、電気、磁気、および遠心力が含まれる様々な外来の場が実行されており、血液成分、乳濁液、および様々なコロイドの分離に成功している。密接に関連する技術である、流体力学クロマトグラフィーもまた、分析的分離において広く用いられており、粒子が流れの抗力が低い領域に到達する能力のサイズ依存的変動に依存する。ほとんどの場合、力が粒子と相互作用する、または粒子が流れの場をサンプリングするために十分な時間が必要であることから、これらのシステムの中の最大の流れは限られている。フローサイトメーターはしばしば、ソーティングの用途において用いられ、他の技術とは異なるパラメータ(たとえば、タンパク質含有量、顆粒の粒度)に基づいてソーティングを行う;しかし、それらはほとんどのソーティングシステムより高い複雑度を有する。
【0004】
マイクロスケールの技術は、スケールダウンによって、独自の流体力学的効果を用いることができ、電磁分離力を強めるという点において、長所を与える。誘電電泳動力は、サイズまたはいくつかの誘電性のタグに基づいて粒子を識別するために用いられている。連続的な分離のための他の技術は、層流プロフィール、および、壁に整列した、多様なサイズの粒子に関する流れの、異なる交叉断面に頼っている。さらなるマイクロスケール技術は、正確に設計されたフィルター、またはサイズに基づいて粒子の方向に分岐を作製するポストアレイを伴う。これらの技術は、粒子のサイズまたは誘電特性に基づいて非常に正確な分離をもたらすことができる。たとえば、非対称に整列した障害物による決定論的変位について、直径約1μmの粒子に関して20 nm未満の分解能が報告されている。加えて、これらのシステムでは複雑度が低くなりうる。
【0005】
現在のマイクロスケール分離の短所は、スケーリングが通常これらの技術のスループットを制限する点である。多くの場合、粒子-粒子相互作用は性能に劇的に影響を及ぼしうることから、粒子の体積分画は1%未満に十分に維持される。加えて、小さい体積流量によって、マイクロチャネルにおいて大きい平均流体速度が起こり得、分離力が粒子に作用する時間が不十分となる。流速は通常、これらのシステムに関して1〜50μL/分の範囲であり、多くの調整的用途(たとえば、大量の血液中のまれな細胞の濃縮、超音波造影剤の濾過、または大量のコロイド/乳濁液の調製)にとって不十分である。これらの用途において、数分以内に3〜20 mlの体積を処理することが有益であろう。たとえば、マイクロバブル造影剤は2〜6 mlが、しばしば超音波造影のために注射される。
【0006】
したがって、マイクロスケールの物理学を利用することができるが、マクロスケールシステムと同等のスループットを有する連続的な粒子のソーティング、分離、列挙、または分離システムが必要である。
【発明の概要】
【0007】
本明細書において記述される本発明には、マイクロフルイディックチャネルの中を進む流体中に浮遊する粒子の自己秩序化をもたらし、かつそれを用いる多数のシステム、デバイス、装置、および方法が含まれる。第一の局面において、動いている流体内に浮遊する粒子を1つまたは複数の局在する流線に集束させるためのシステムが提供される。システムは、基板と、この基板上に提供され入口と出口とを有する少なくとも1つの流路とを含む。システムは、浮遊している粒子を有する層流の状態で流路に沿って動く流体、および流体の層流を駆動するポンプエレメントをさらに含む。流体、流路、およびポンプエレメントは、慣性力を粒子に作用させて、1つまたは複数の流線に粒子を集束させるように形作られる。
【0008】
もう1つの局面において、動いている流体において粒子を集束させる方法が提供され、これには、動いている流体中に浮遊する粒子を流路の中に提供する段階、および粒子に作用する慣性力によって、流路内で粒子の流束の局在化が起こるような条件下で流路の中に流体を流す段階が含まれる。
【0009】
さらなる局面において、動いている流体中に浮遊する既定のサイズの粒子を、1つまたは複数の局在する流線に集束させるための装置が提供される。装置は、基板と、この基板上に提供され入口と出口とを有する少なくとも1つの流路とを含み、既定のサイズの粒子を有する流体懸濁液を、層流の状態で入口から出口に動かす段階は、既定のサイズの粒子を、1つまたは複数の局在する流線に集束させる。
【0010】
なおさらなる局面において、流体中に浮遊させた粒子の群から粒子をソーティングするためのシステムが提供され、これには粒子の群から選択的にソーティングされるべき粒子をタグ付けするためのタグ付けシステムが含まれる。システムには、基板上に提供され入口と出口とを有する少なくとも1つの流路を有する基板がさらに含まれる。少なくともそのいくつかがタグ付けされている粒子を有する流体懸濁液を、層流の状態で入口から出口に動かす段階は、粒子を1つまたは複数の局在する流線に集束させる。出口は、少なくとも2つの出力分岐を有することができ、2つの出力分岐の第一のものは、ソーティングされるべき粒子を分離するためのものであり、2つの出力分岐の第二のものは、隔離されていない粒子の残りを出力するためのものである。システムにはまた、第一の出力分岐に粒子を選択的にそらすために流路に機能的に接続されたソーティングシステムが含まれうる。
【0011】
最後の局面において、粒子の集団から標的粒子を分離するための方法が提供され、この方法には、流体懸濁液の状態で標的粒子が含まれる粒子集団を提供する段階、および流路において、粒子の局在流束を、粒子の少なくともいくつかに形成させる条件下で、少なくとも1つの流路の中に流体懸濁液を流す段階が含まれうる。前記方法にはさらに、第二の出力分岐は標的粒子に富む流れを受容するが、第一の出力分岐は標的粒子が低減された流れを受容するように出力分岐が形作られる、流路からの出力を第一および第二の出力分岐に分割する段階が含まれうる。
【0012】
これらの任意の局面の具体的な態様には、流体懸濁液を動かす段階が含まれ、この態様は4つの局在するストリーム、2つの局在するストリーム、および/または単一の局在するストリームに粒子を集束させることができる。流路は、水力直径、および約0.07より大きいかまたはそれに等しい、該水力直径に対する集束する粒子のサイズの比率を有しうる。水力直径に対する粒子のサイズの比率は、約0.5未満であるかまたはそれに等しくなりうる。いくつかの態様において、集束の際の流体の流れのレイノルズ数は、約1より大きいかまたはそれに等しくなり得、および約250未満であるかまたはそれに等しくなりうる。いくつかの態様において、流路の中を動く流体懸濁液に関する粒子レイノルズ数は、約0.2より大きいかまたはそれに等しい。1つまたは複数の集束した流線は、集束した粒子のサイズの約5倍未満であるかもしくはそれに等しく、約4倍未満であるかもしくはそれに等しく、約3倍未満であるかもしくはそれに等しく、約2倍未満であるかもしくはそれに等しく、および/または1.05倍未満であるかもしくはそれに等しい幅を有しうる。システムの態様は、溶液中の粒子の濃度を増加させることができる。
【0013】
列挙された局面またはそれらの任意の態様において、少なくとも第一および第二の出口分岐が、流路の出口部分で形成され、第一および第二の出口分岐の少なくとも1つは、集束した流線から、および/または単一の局在するストリームから粒子を受容するように、基板上に配置されうる。いくつかの態様において、流路は矩形断面を有しうる。他の態様において、矩形流路は、約1000マイクロメートル未満であるかもしくはそれに等しい、650マイクロメートル未満であるかもしくはそれに等しい、100マイクロメートル未満であるかもしくはそれに等しい、80マイクロメートル未満であるかもしくはそれに等しい、65マイクロメートル未満であるかもしくはそれに等しい、50マイクロメートル未満であるかもしくはそれに等しい、20マイクロメートル未満であるかもしくはそれに等しい、および/または10マイクロメートル未満であるかもしくはそれに等しい幅を有しうる。
【0014】
任意の局面において、態様は、粒子が、哺乳動物細胞、血球、腫瘍細胞、および/または細菌細胞が含まれる細胞である態様を含みうる。加えて、矩形断面のアスペクト比が、粒子の、2つのストリームへの集束をもたらしうる。粒子を1つまたは複数の局在する流線に集束させることによって、粒子の間隔は長手方向にほぼ均一となりうる。いくつかの態様において、第一の矩形寸法対第二の矩形寸法のアスペクト比は、ほぼ0.3〜0.8となりうる。他の態様において、アスペクト比は、ほぼ1対2となりうる。
【0015】
列挙された局面またはそれらの任意の態様において、システムは、曲線状であり、対称的であり、かつS字状である少なくとも1つの流路を含みうる。他の態様において、流路は非対称でS字状でありうる。流路内での集束したストリームの配置は、粒子に作用する慣性力およびディーン抗力に依存しうる。配置はさらに、粒子に作用する遠心力に依存しうる。流路を通る流れのディーン数は、約20未満であるかまたはそれに等しくなりうる。システムのいくつかの態様において、曲率半径は、多様であり得、かつ/または曲線の各変曲後に変化しうる。流路の断面寸法は多様であり得、曲線の各変曲後に変化しうる。1つの態様において、流路はらせんを形成しうる。
【0016】
他の態様において、複数の流路が基板上に提供され得、流路の少なくともいくつかは、連続する流れを可能にするように形作ることができる。複数の流路は基板上に提供され得、第一の流路は、第二および第三の流路にそれぞれ至る第一および第二の出力分岐を有しうる。流路の少なくとも2つは、異なる既定の直径の粒子を集束させるように形作ることができる。システムは、1つまたは複数の集束した流線において粒子を検出および列挙するための、ならびに単一の局在するストリームにおいて粒子を検出および列挙するための検出器を含みうる。システムは、検出器によって検出されうるタグによって、選択された粒子をタグ付けするためのタグ付けシステムを含んでもよく、それによって検出器は、選択された粒子を検出および列挙する。任意のおよび全ての局面において、態様は、集束させる段階が慣性力のみによって起こりうるシステムを含みうる。他の態様は、集束させる段階が慣性力および他の力によって起こりうるシステムを含みうる。
【0017】
任意の局面において、さらなる態様は、流路を通る流体の流れが層流であり、流体の流れのレイノルズ数が約1〜250である、粒子を集束させるための方法を含みうる。集束させる段階によって、粒子のサイズに基づいて、第一の粒子に富んだ、粒子の局在流束を発生させることができる。流路の水力直径で除した第一の粒子の直径は、約0.07より大きいかまたはそれに等しくなり得、流路の水力直径によって除した第一の粒子直径は、約0.5未満であるかまたはそれに等しくなりうる。いくつかの態様において、流路は矩形断面、高さ、幅、および2*高さ*幅/(幅 + 高さ)に等しい水力直径を有し、矩形断面は、ほぼ0.3〜0.8および/またはほぼ1対2のアスペクト比を有する。
【0018】
列挙された局面または他の任意の態様において、粒子を集束させる方法は、1つから3つの、粒子の局在流束を発生させるように、粒子に非対称の力を適用する段階を含みうる。非対称の力は、遠心力、流体力学的抗力、電力、磁力、熱に関する力、音波の力、光学力、または誘電泳動力を含みうるがこれらに限定されるわけではない。いくつかの態様において、非対称の力は、約0.5 nNに等しいまたはそれより大きいディーン抗力を含みうる。粒子は、細胞、ビーズ、ウイルス、オルガネラ、ナノ粒子および分子複合体が含みうるがこれらに限定されるわけではない。細胞は、細菌細胞、血球、がん細胞、腫瘍細胞、哺乳動物細胞、原生生物、植物細胞、および真菌細胞を含みうるがこれらに限定されるわけではない。
【0019】
任意の局面において、態様は、流路が曲線状であり、動いている流体のディーン数が約20未満であるかまたはそれに等しい、粒子を集束させるための方法を含みうる。曲線状の流路は、S字状および/またはらせん形でありうる。他の態様において、曲線状の流路はS字状で非対称であり、曲率半径は、S字状曲線における1つの変曲点とS字状曲線における次の変曲点とのあいだで異なっていてもよい。いくつかの態様において、第一の半径の曲線の後に、より大きい半径の曲線が続きうる。第一の半径の曲線は、より大きい半径の曲線においてかかるディーン抗力より約8倍大きいディーン抗力をかけうる。他の態様において、流路は、矩形断面形状を有し、矩形断面形状の少なくとも1つの寸法は、S字状の曲線における各変曲点のあいだで異なっていてもよい。
【0020】
列挙された局面またはそれらの任意の態様において、粒子を集束させる方法は、動いている流体を流路から少なくとも2つの出力分岐の中に通過させる段階を含み、出力分岐の1つは、所定のサイズの第一の粒子に富んだ、粒子の局在流束を受容するように配置されている。局在する流束を受容する段階は、それによって溶液中の第一の粒子の濃度を増加させうる。いくつかの態様において、前記方法は、動いている流体を流路から少なくとも2つの出力分岐の中に通過させる段階を含み、出力分岐の1つは、所定のサイズの第一の粒子に富んだ、粒子の局在流束を受容するように配置されている。検出器を適用して、流路において、粒子の局在流束の中を進む粒子を列挙することができる。前記方法は、検出器によって検出されうるタグによって、選択された粒子をタグ付けするためのタグ付けシステムをさらに含んでもよく、それによって検出器は、選択された粒子を検出および列挙する。任意のおよび全ての局面において、前記方法は、集束させる段階が慣性力のみによって起こりうるシステムを含みうる。他の方法の態様は、集束させる段階が慣性力および他の力によって起こりうるシステムを含みうる。
【0021】
任意の局面において、態様は、流路の断面形状および面積が、入口から出口まで不変でありうる装置を含みうる。他の態様において、流路の断面形状および面積は入口から出口まで多様でありうる。1つまたは複数の局在する流線は、既定の粒子サイズの約5倍未満であるかもしくはそれに等しい、4倍未満であるかもしくはそれに等しい、3倍未満であるかもしくはそれに等しい、2倍未満であるかもしくはそれに等しい、および/または1.05倍未満であるかもしくはそれに等しい幅を有しうる。既定のサイズの粒子を有する流体懸濁液を入口から出口まで動かす段階は、既定のサイズの粒子を4つの局在するストリーム、2つの局在するストリーム、および/または単一の局在するストリームに集束させる。
【0022】
列挙された局面またはそれらの任意の態様において、装置には、流路の出口部分で形成された少なくとも第一および第二の出口分岐をさらに含めることができ、第一および第二の出口分岐の少なくとも1つは、単一の局在するストリームからの既定のサイズの粒子を受容するように基板上に配置されている。いくつかの態様において、矩形断面のアスペクト比が、2つのストリームへの粒子の集束をもたらす。さらに、粒子を1つまたは複数の局在する流線に集束させる段階によって、粒子の間隔は長手方向にほぼ均一となりうる。他の態様において、集束したストリームの配置は、粒子に作用する慣性力およびディーン抗力に依存する。配置はさらに、粒子に作用する遠心力に依存しうる。
【0023】
任意の局面において、態様は、流路の断面寸法が多様である装置を含みうる。いくつかの態様において、流路の断面寸法は、曲線のそれぞれの変曲点後に変化する。複数の流路は基板上に提供され得、平行な流れを可能にするように形作ることができる。他の態様において、複数の流路は基板上に提供され得、流路の少なくともいくつかは、連続する流れを可能にするように形作ることができる。複数の流路は基板上に提供され得、第一の流路は、第二および第三の流路にそれぞれ至る第一および第二の出力分岐を有しうる。流路の少なくとも2つは、異なる既定の直径の粒子を集束させるように形作ることができる。
【0024】
列挙された局面またはそれらの任意の態様において、システムは、受動的ソーティングシステムでありうるタグ付けシステムをさらに含みうる。タグ付けシステムは、隔離されるべき粒子に、ソーティングシステムによって集束した粒子のストリームから押し出されうる特性を有するタグを適用することができる。タグは粒子径を増加させることができ、ソーティングシステムは、サイズに基づいて第一および第二の出力分岐に粒子を隔離する、流路の幾何学構造を含みうる。いくつかの態様において、タグには磁気特性を含めることができ、ソーティングシステムは、タグ付けされた粒子を第二の出力分岐から第一の出力分岐にそらす力をタグ付き粒子に適用する磁気バイアスエレメントを含みうる。他の態様において、タグには電気特性を含めることができ、ソーティングシステムは、タグ付けされた粒子を第二の出力分岐から第一の出力分岐にそらす、タグ付き粒子に対する電気泳動力を含みうる。ソーティングシステムは、第二の出力分岐から第一の出力分岐にタグ付き粒子をそらすアフィニティカラムを含みうる。
【0025】
任意の局面において、態様は、能動的ソーティングシステムであるソーティングシステムを含みうるが、さらに、第二の出力分岐から第一の出力分岐にタグ付き粒子を選択的にそらすためのコントローラを含みうる。ソーティングシステムは、タグ付き粒子を検出するための検出器をさらに含むことができ、検出器は、タグ付き粒子をそらすためにタグ付き粒子の存在に関してコントローラにシグナルを送るために、コントローラに機能的に接続される。検出器は、蛍光検出器であり得、タグは蛍光タグでありうる。
【0026】
任意の局面において、ソーティングシステムの一定の態様は、流路抵抗アクチュエータをさらに含むことができ、流路抵抗アクチュエータは、第二の出力分岐から第一の出力分岐にタグ付き粒子をそらすために、コントローラによって選択的に発動される。流路抵抗アクチュエータは、第二の出力分岐から第一の出力分岐にタグ付き粒子をそらすために第一の出力分岐の流体抵抗を低くするために、第一の出力分岐に連結されうる。いくつかの態様において、流路抵抗アクチュエータは、第一の出力分岐の流体抵抗を増加させて第二の出力分岐から第一の出力分岐にタグ付き粒子をそらすために、第二の出力分岐に連結されうる。流路抵抗アクチュエータは、出力分岐の流体抵抗を変化させるために部分的に開閉するマイクロバルブとなりうる。他の態様において、流路抵抗アクチュエータは、出力分岐の流体抵抗を変化させるために、流路の寸法を伸縮させることができる。任意の局面において、粒子は細胞であり得、細胞は、細胞の特性に基づいてソーティングされうる。いくつかの態様において、ソーティングされる細胞の特性は、がんの少なくとも1つの指標の存在である。
【0027】
列挙された局面またはそれらの任意の態様において、分割が受動的に行われる、粒子集団から標的粒子を分離するための方法が提供されうる。標的粒子は、集団における他の粒子とは異なるサイズを有することができ、標的粒子は、流路内の既定の配置で局在する流束を形成することができる。いくつかの態様において、第一の出力分岐に対する入口は、標的粒子の局在流束の、流路内の既定の配置を包含するように配置されうる。前記方法の態様にはまた、流路に機能的に接続された分割システムによって用いられるタグによって粒子を選択的にタグ付けする段階が含まれうる。タグは、選択的にタグ付けされた粒子のサイズを増加させることができ、タグは磁気タグでありうる。
【0028】
任意の局面において、態様はさらに、分割システムが、標的粒子を第一の出力分岐に向け、かつ他の粒子を第二の出力分岐に向けるために磁場を使用する方法を含みうる。この方法は、分割システムによってタグまたはタグ付き粒子を検出する段階、および分割システムによってタグ付き粒子を第一および第二の出力分岐の選択された1つにそらす段階を含みうる。分割システムは、流路に機能的に接続された検出器、第一および第二の出力分岐の少なくとも1つに機能的に接続された流体抵抗可変エレメント、ならびに検出器および流体抵抗可変エレメントに通信するコントローラを含みうる。いくつかの態様において、流路からの出力を分割する段階は、検出器によるタグ付き粒子の検出、検出器からコントローラへの検出に関する情報の通信、ならびにタグ付き粒子を出力分岐の選択された1つに流すために、第一および第二の出力分岐の少なくとも1つにおける流体抵抗を変化させるための流体抵抗可変エレメントにコントローラによってシグナルを送る段階を含みうる。
【0029】
列挙された局面またはそれらの任意の態様において、粒子の集団は、細胞、ビーズ、ウイルス、オルガネラ、ナノ粒子、および分子複合体を含みうるが、これらに限定されるわけではない。いくつかの態様において、標的粒子は細胞であり得、流路は曲線状でありうる。他の態様において、流路の第一の半径の曲線は、より大きい半径の曲線においてかかるディーン抗力より約8倍大きいディーン抗力をかけることができる。流路は、矩形断面形状を有し得、矩形断面形状の少なくとも1つの寸法は、S字状曲線における各変曲点のあいだで異なっていてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
本発明は、以下の添付の図面と共に示される以下の詳細な説明から、より十分に理解されるであろう。
【図1A】マイクロチャネル内での粒子の分離、秩序化、および集束のための、システムの1つの態様を図示する。
【図1B】図1Aの1つのマイクロチャネルの例を図示する。
【図2A】粒子の分離、秩序化、および集束のための、直線状の流路の1つの態様の側面図である。
【図2B】集束した粒子のストリームの4つの平衡位置を示す、図2Aの直線流路の断面図である。
【図2C】集束した粒子ストリームの2つの平衡位置を示す、例示的な高アスペクト比の直線流路の断面図である。
【図3A】粒子の分離、秩序化、および集束のための、対称に曲線を描く流路の1つの態様の側面図である。
【図3B】集束した粒子のストリームの2つの平衡位置を示す、図3Aの対称な流路の断面図である。
【図4A】粒子の分離、秩序化、および集束のための、非対称に曲線を描く流路の1つの態様の側面図である。
【図4B】集束した粒子のストリームの1つの平衡位置を示す、図4Aの非対称流路の断面図である。
【図4C】拡大するらせん流路の形状で非対称に曲線を描く流路のもう1つの態様の透視図である。
【図5A】流路内の粒子に作用する力を示す、矩形断面を有する直線流路の1つの態様の断面図である。
【図5B】図5Aの直線流路内の粒子に作用する力の表示である。
【図6A】曲線状のマイクロチャネル内に作用するディーン抗力の放物線速度プロフィールである。
【図6B】曲線状のマイクロチャネル内のディーン数に対するディーン流れの速度依存性を図示する。
【図6C】単一の流路幾何学構造に関して、変化するディーン数の関数としての、平均二次流れの速度の大きさを図示するグラフである。
【図7】ディーン流れによる慣性揚力により、4つの安定な位置の重ねあわせを描写する非対称に曲線を描く流路の1つの態様の断面図である。
【図8A】4つの側方位置に集束した粒子を示す直線流路の1つの態様の断面図である。
【図8B】4つのストリームに収束した粒子を示す、図8Aの直線流路の側面図である。
【図8C】集束の程度がReと共に増加することを示す、図8Aの直線流路の側面図および断面図である。
【図9A】2つのストリームに集束することを示す、高アスペクト比の直線流路の1つの態様内での集束の表示である。
【図9B】図9Aの直線流路内の粒子の秩序化および間隔の表示である。
【図9C】図9Aの直線流路内の粒子の秩序化および間隔の表示である。
【図9D】図9Aの直線流路内の2つの異なる粒子タイプの粒子の秩序化および間隔の表示である。
【図10A】2つのストリームへの粒子の集束を示す対称形状の流路の1つの態様の側面図である。
【図10B】Reと共に増加する粒子集束を図示する図10Aの流路の側面図である。
【図11A】Reと共に増加する粒子集束を図示する非対称形状の流路の1つの態様の側面図である。
【図11B】集束した粒子の単一のストリームを示す、図11Aの流路の側面図である。
【図11C】流路内の単一の平衡位置に集束する粒子を示す、図11Aの流路の断面図である。
【図11D】流路の長さに沿った様々な配置で集束する粒子を示す、図11Aの流路の側面図である。
【図12】粒子の集束に関するその中の平衡位置を示す、非対称形状の拡大するらせん流路の1つの態様の断面図である。
【図13】その中の粒子の秩序化を図示する、図12の流路の側面図である。
【図14】非対称流路を有する粒子の分離、秩序化、および集束のための、システムの1つの態様の表示である。
【図15A】集束したストリームにおける同定のために磁気標識粒子を用いる受動粒子分離のための、1つの例示的なシステムおよび方法の表示である。
【図15B】集束したストリームにおける既定のタイプの粒子を同定するために蛍光を用いて能動的に粒子を分離するための、1つの例示的なシステムおよび方法の表示である。
【図15C】全血内のまれな細胞集団の頻度のグラフ表示である。
【図16A】様々な密度の粒子に関する集束を図示する側面図である。
【図16B】粒子密度の非依存性を図示する、図16Aから得たデータのグラフ表示である。
【図16C】粒子密度の非依存性を図示する、例示的なシステムの入口および出口の側面図である。
【図17A】ガウス曲線に適合させた強度プロフィールを示す、慣性によって集束した粒子の安定性および精度のグラフ表示である。
【図17B】時間に対する集束した粒子のFWHMおよび中心位置を示す、図17Aから得たデータのグラフ表示である。
【図18A】粒子の自己秩序化を図示する例示的な集束システムの流路の側面図である。
【図18B】図18Aから得たデータのグラフ表示である。
【図18C】例示的な集束システムの非対称に曲線を描く流路内での、粒子の自己秩序化の側面図である。
【図18D】図18Cから得たデータのグラフ表示である。
【図19A】例示的な集束システム内で希釈した全血における細胞の自己秩序化を示す側面図である。
【図19B】焦点が合った粒子を図示する図19Aのデータから得たピークプロットのセグメントのグラフ表示である。
【図19C】図19Aのシステムにおける粒子間の距離のヒストグラムのグラフ表示である。
【図20A】例示的な集束システムの流路における赤血球の回転、軸、および局所整列の空間的マッピングを表示する側面図である。
【図20B】例示的な集束システム内での円板状の赤血球の回転整列の側面図および断面図である。
【図21】a/Dh対ディーン数の集束結果のグラフ表示である。
【図22】様々なa/Dhに関する集束を図示する例示的な流路の側面図である。
【図23A】例示的な集束システム内での様々なサイズの粒子を集束させるための流路の側面図である。
【図23B】例示的な集束システムを用いた、入口での粒子の無秩序な分布および出口での粒子の分離の側面図および表示である。
【図23C】マルチチャネル例示的集束システムのツリー形態の上面図である。
【図24】例示的な集束システム内での様々なRpに関する粒子分離挙動を図示する側面図である。
【図25】例示的な集束システム内での様々な粒子のサイズに関する、入口での粒子分布および出口での粒子分離の上面図が含まれる。
【図26A】例示的な集束システム内での入力溶液と様々な出力分画に関する粒子直径分布のグラフ表示である。
【図26B】より大きい粒子の存在を図示する図26Aのグラフ表示の1つの部分のグラフ表示である。
【図27】3.1μmの粒子からの大きい粒子の濾過に関する純度および収率データを図示する。
【図28】2つの階層によるカスケード分離を有する例示的な集束システムのデータを図示する。
【図29A】様々なサイズの変形可能なシリコン油滴を分離するための例示的な集束システムの表示である。
【図29B】図29Aのシステムの粒子のサイズの分布のグラフ表示である。
【図29C】図29Aのシステムにおいて流れる剛性の粒子の粒子サイズの分布のグラフ表示である。
【図30】他の血液成分からの血小板の分離のための、サイズのカットオフを図示するグラフ表示である。
【図31】異なる総体積分画を有する溶液中での集束を図示する例示的な流路の側面図である。
【図32A】例示的な集束システムの拡大するらせん流路内の粒子の集束の上面図である。
【図32B】図32Aの流路内での様々な粒子のサイズの長手方向の秩序化の側面図である。
【図33A】例示的な集束システムの拡大するらせん流路内での粒子の側方変位の表示である。
【図33B】図33Aの流路内での粒子の側方変位のさらなる図示である。
【図33C】様々なa/Dhに関する粒子の側方変位のグラフ表示である。
【図34A】様々なRcに関する例示的な集束システムの拡大するらせん流路内での集束の表示である。
【図34B】図34Aの流路内での様々な粒子サイズの長手方向の秩序化を図示する側面図である。
【図35A】例示的な集束システムの拡大するらせん流路内での相対的な粒子サイズおよび秩序化の側面図である。
【図35B】図35Aの流路内での10μm粒子の集束の図示である。
【図35C】図35Aの流路内での10μm粒子の集束の図示である。
【図35D】図35Aの流路内での10μm粒子の側面図である。
【図35E】図35Aの流路内での7μm粒子の側面図である。
【図35F】図35Aの流路内での粒子数対粒子サイズのグラフ表示である。
【図36】例示的な集束システム内で様々なReに関する粒子集束挙動を図示する側面図である。
【図37】例示的な図示システム内での対称に曲線を描く流路における集束挙動の表示である。
【図38】d/Dhに対する粒子集束の依存性を表示する例示的な流路の上面図である。
【図39】例示的な集束システム内での様々な幅の例示的な流路に関する集束挙動を図示する側面図である。
【図40】例示的な集束システム内での様々な幅の例示的な流路に関する集束挙動を図示する側面図である。
【図41】例示的な集束システム内での様々な幅の例示的な流路に関する集束挙動の表示である。
【図42】例示的な集束システム内での様々な幅の例示的な流路に関する集束挙動の表示である。
【図43】例示的な集束システム内での分離に関するRe依存的集束を図示する側面図である。
【図44】例示的な集束システム内での血球の集束を図示する上面図である。
【図45A】様々なReに関して集束する細胞のストリーク画像の側面図である。
【図45B】非対称流路内の様々な曲がり目における培養細胞の強度断面の表示である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
発明の詳細な説明
本明細書において開示されるデバイスの構造、機能、製造、および用途の原理ならびに方法の全体的な理解を提供するために一定の例示的態様をこれから記述する。これらの態様の1つまたは複数の例は添付の図面に図示される。当業者は、本明細書において具体的に記述され、添付の図面において図示されるデバイスおよび方法が、非制限的な例示的態様であること、および本発明の範囲が特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解するであろう。1つの例示的な態様と共に図示または記述される特色を、他の態様の特色と組み合わせてもよい。そのような改変および変更は、本発明の範囲内に含まれると意図される。
【0032】
本発明は、マイクロフルイディクスおよび被検体分離の分野に関する。以下に記述される本発明の様々な態様は、マイクロフルイディックチャネルを通る流体の層流によって、流体内に浮遊する粒子の連続的で正確な自己秩序化が起こりうるという考え方に基づいている。空間的3次元において拘束される秩序化粒子の連続的なストリームを作製するためにこの効果を利用する多様な特定の流路幾何学構造が図示される。粒子は、流路のx-y平面(または断面平面)内で側方に秩序化して、流れの方向に沿って長手方向にも秩序化することができる。非対称形状の粒子に関しては、回転する秩序化の追加の次元が起こりうる。
【0033】
一般的に、本発明は、少なくとも部分的に慣性揚力に基づいて流路の流れの場における平衡位置に粒子のストリームを分離および集束させる方法およびデバイスを特色とする。矩形流路では、これによってたとえば、4つの矩形面のそれぞれの中心から一定距離離れた集束粒子の4つのストリームが起こりうる。一定の矩形幾何学構造の場合、この4倍対称性を2倍対称性に低減させることができ、粒子のストリームは流路の2つの向かい合う面のそれぞれから間隔をあけて存在する。
【0034】
本発明にはまた、たとえば電磁力、磁力、遠心力、流体力学的力、熱に関する力、音波の力、光学力、および/または誘電泳動力またはその組み合わせが含まれる多様な力を用いて、システムの対称性を減少させる方法および構造が含まれうる。流路の流れの場において特定の潜在的最小点を偏らせるために任意の力を用いてもよいが、曲線状の流路構造に関して遠心力を利用することは一定の長所を有する。この場合、力は、追加の機械的または電気的パーツを必要とすることなく、軽微な幾何学変化のみに基づいて流速の二乗と共に増加するであろう。たとえば、S字状の矩形流路を通る流れに固有の慣性力を用いることによって、対称性を低減させてもよく、それによって2倍対称性となり(4倍から減少)、粒子の大部分は、基礎となる流路の期間に対応しない周期的な様式で流れに合わせて整列する。流路の幾何学構造はまた、単一の集束した粒子ストリームを作製するために、流路の曲率半径または幅のいずれかを周期的に変化させることによって(このように流路は非対称に曲線を描く)対称性を変化させるために用いてもよい。
【0035】
本発明の態様は、単一のストリーム入力を使用してもよく、動いているパーツまたは個別の圧力制御を必要としないという点において有利となる可能性がある。本発明の態様はまた、低コストで、同様に小型化される可能性がある単純な故障許容製造を必要とするデバイスを使用する方法を提供することができる。本発明の態様は、カスケーディング出力によって、連続的で高い容積測定流速で作動されてもよい。本発明はまた、メカニカルフィルターまたは障害物との相互作用を必要とせず、必要なメンテナンスは非常に少ない。
【0036】
浮遊した粒子に関する原理はまた、多様な生物材料、特に細胞に応用可能である。たとえば全血、およびその成分である細胞からの情報を迅速に分析および抽出できることは、医学診断および基礎科学における用途にとって非常に重要である。血球自身は、疾患、感染症、悪性疾患、またはアレルギー診断に関連する豊富な情報を含有している。細胞および粒子の動きに関するハイスループットの正確なマイクロスケール制御に関する解決策として、慣性のマイクロフルイディック技術に関連するシステムおよび原理を本明細書において提示する。本発明のシステムは、血球サブタイプまたはまれな細胞の列挙、ソーティング、および分析における用途にとって理想的に適している。特に、まれな細胞の同定および分析は、大きい試料サイズおよびハイスループットを必要とする。本明細書において提示した迅速かつ単純なマイクロフルイディック技術は、分析することができる試料のサイズを制限する従来のソーティング技術の制限を超えることができる。単純な流路において粒子を連続的、示差的、および高率でソーティング、秩序化、列挙および分析できることは、連続的な生体粒子分離、ハイスループットサイトメトリー、および大規模濾過システムにおける広範囲の用途において広く応用可能であろう。
【0037】
マイクロフルイディックチャネル内での粒子の自己秩序化のためのシステムにおいて可能性がある多くの形態が存在するが、そのようなシステム10の1つの態様を図1Aおよび1Bに図示する。示されるように、システム10には、一般的に浮遊する粒子22を有する試料24をシステムに導入するために形作ることができる入口12が含まれる。微細加工されたチップ14を提供することができ、チップは、図1Bにおいて示されるように、試料24を受容するため、ならびに試料24において浮遊する粒子22を秩序化および集束させるために、その中に形成された少なくとも1つのマイクロフルイディックチャネル16を有しうる。平行に位置するそのような複数の流路16は、図1Aにおいて図示される例示的なチップ14において形成される。
【0038】
チップ14において形成された複数の流路16は、以下に詳細に記述されるであろう多数の形態を有しうる。しかし、一般的に、複数の流路16は流路16あたり粒子22の1つまたは複数の集束したストリームが、チップ14の出力26で提供されるように、試料24内に浮遊する既定のサイズの粒子を分離、秩序化、および集束させるために形作られる明記された幾何学構造を有しうる。分析領域18は、粒子22の局在および集束したストリームをモニター、ソーティング、計数、撮像、またはそうでなければ分析するために流路16の出力26の近位に提供されうる。
【0039】
1つの態様において、チップ14は、粒子列挙システムでありうる、またはその一部でありうる。特に、その中で粒子が集束および秩序化される分析領域18は、粒子を計数する目的のために検出器による呼びかけ信号に供されうるであろう。検出のために粒子をタグ付けするためのシステムと同様に、多様な検出器を以下に考察し、これらのエレメントも同様に列挙のために用いることができる。
【0040】
本明細書において用いられるように、「試料」は、記述のシステムの態様のマイクロフルイディックチャネルの中を流れることができなければならない。このように、流体懸濁液からなる任意の試料、または流体懸濁液の形状となる、マイクロフルイディックチャネルの中を駆動させることができる任意の試料を、本明細書において記述されるシステムおよび方法において用いることができる。たとえば、試料は、動物、水源、食物、土壌、空気等から得ることができる。組織試料または土壌試料などの固体試料が得られる場合、固体試料は、システムにその後導入される前に液化または可溶化されうる。気体試料が得られる場合、同様に液化または可溶化してもよい。試料にはまた、粒子としての液体が含まれてもよい。たとえば、試料は、水溶液に浮遊させた粒子として油または他の種類の液体の気泡からなってもよい。
【0041】
任意の数の試料を、粒子を集束させるためのシステムに導入することができ、本明細書において記述されるそれらの試料に限定されるべきではない。試料には一般的に、その中に配列される少なくとも1つのタイプの粒子、細胞、小滴、またはそれ以外を有する任意の浮遊液、液体、および/または流体が含まれうる。さらに、集束は、サイズに基づいて第一の粒子に富む粒子の流束を発生させることができる。いくつかの態様において、試料は、哺乳動物などの動物に由来しうる。好ましい態様において、哺乳動物はヒトでありうる。動物に由来する例示的な流体試料には、全血、汗、涙液、耳垢、喀痰、骨髄浮遊液、リンパ、尿、脳液、脳脊髄液、唾液、粘液、膣液、腹水、乳汁、呼吸器、腸管、および消化管の分泌液、ならびに羊水が含まれうるがこれらに限定されるわけではない。他の態様において、例示的な試料には、防腐剤、気管支肺胞、胃、腹腔、頚部、関節鏡、管、鼻腔、および耳洗浄液などの全ての形状の洗浄液が含まれる、ヒトの体に導入された後、分析のために再度除去された流体が含まれうる。例示的な粒子には、本明細書において記述される流体内に含有される任意の粒子が含まれ、剛性のものおよび変形可能なもののいずれでもありうる。特に、粒子には、成体の赤血球、胎児赤血球、トロホブラスト、胎児線維芽細胞、白血球、上皮細胞、腫瘍細胞、がん細胞、造血幹細胞、細菌細胞、哺乳動物細胞、原生生物、植物細胞、好中球、Tリンパ球、CD4+、Bリンパ球、単球、好酸球、ナチュラルキラー、好塩基球、樹状細胞、循環中の内皮細胞、抗原特異的T細胞、および真菌細胞などの、生きているまたは固定された細胞;ビーズ;ウイルス;オルガネラ;小滴;リポソーム;ナノ粒子;および/または分子複合体が含まれうるがこれらに限定されるわけではない。いくつかの態様において、細胞などの1つまたは複数の粒子は、試料内で密着、集合、または塊を形成してもよい。そのような形態において、粒子の集団または塊は、本発明のシステムの目的に関して「粒子」であると見なされうる。より詳しくは、粒子の集団または塊は、本明細書において記述される本発明の流路内で単一の粒子として作用し、処置されてもよく、このように、単一の粒子と同じ方法でソーティング、秩序化、分離、および集束させることができる。
【0042】
非生物試料には、たとえば粒子の分離、秩序化、および集束にとって適した任意の数の様々な工業および商業試料が含まれうる。システムに導入することができる例示的な工業試料には、乳濁液、二相化学溶液(たとえば、固体-液体、液体-液体、および気体-液体化学プロセス試料)、廃水、バイオプロセス微粒子、およびジュース、パルプ、シード等などの食品産業試料が含まれうるがこれらに限定されるわけではない。同様に、例示的な商業試料には、細菌/寄生虫汚染水、コーヒーかすおよび茶の粒子などの微粒子を有する水、化粧品、潤滑剤、および顔料が含まれうるがこれらに限定されるわけではない。
【0043】
いくつかの態様において、動物から得られる流体試料は、本明細書において記述されるシステムに直接応用され、他の態様において、試料は本発明のシステムに送達される前に前処置または処理される。たとえば、動物から採取した流体は、システムに送達する前に1つもしくは複数の試薬によって処置することができ、またはそのような試薬を予めローディングした容器に収集することができる。例示的な試薬には、安定化試薬、保存剤、固定剤、溶解試薬、希釈剤、抗アポトーシス試薬、抗凝固試薬、抗血栓試薬、磁気または電気特性調節試薬、サイズ変更試薬、緩衝試薬、浸透圧調節試薬、pH調節試薬、および/またはクロスリンク剤が含まれうるがこれらに限定されるわけではない。分析デバイスに送達するための流体試料を処理するための方法の例は、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、2004年3月3日に提出された「System For Delivering a Diluted Solution」と題する米国特許出願公開第2007/0196820号において記述されている。
【0044】
試料内に浮遊する粒子は、本明細書において記述されるマイクロフルイディックチャネル内でそれらを秩序化および集束させる任意のサイズを有しうる。たとえば、粒子は、約40ミクロン〜約0.01ミクロンの範囲である流体力学的サイズを有しうる。より好ましくは、粒子は、約20ミクロン〜約0.1ミクロンの範囲である流体力学的サイズを有しうる。より好ましくは、粒子は、約10ミクロン〜約1ミクロンの範囲である流体力学的サイズを有しうる。粒子のサイズは流路の幾何学構造のみによって制限され、上記の範囲より大きいまたはより小さい粒子の双方を、層流条件を有する既定の流路幾何学構造において秩序化および集束させることができると認識されるであろう。
【0045】
システムのもう1つの局面において、試料の粒子対容積比を、任意で、流路内の質量の保存のために操作または調節することができる。一般的に、粒子のソーティング、秩序化、および集束は、流路の流体力学的サイズに対する粒子サイズの比率と共に、流路内での粒子間の間隔に部分的に依存する。本明細書において記述される様々な流路幾何学構造は、必要な粒子間間隔を達成して、それによってその粒子の秩序化および集束を維持するために、既定の粒子対集束されるべき粒子の体積比を必要とする可能性がある。特に、流体内に浮遊する粒子の粒子対容積比を、一定の流路幾何学構造内での集束を達成するために必要に応じて計算および調節することができる。一般的に、明記された粒子サイズに関する最大粒子対容積比および流路幾何学構造は、以下の式を用いて決定することができる:

式中、Nは、流路内の集束位置の数であり、aは集束した粒子の直径であり、hは流路の高さ、およびwは流路の幅である。このように、システムに試料を導入する前および/またはあいだに、既定の比率に到達するまで試料を希釈または濃縮することができる。加えて、一定の例示的なシステムは、試料が流路に導入された後に、比率を調節する必要がある可能性がある。
【0046】
本明細書において記述される流路内の試料の粒子対容積比は、粒子の秩序化および集束を可能にするために十分な任意の値を有しうる。一般的に、粒子対容積比は、約50%未満となりうる。他の態様において、粒子対容積比は、約40%、30%、20%、10%、8%、または6%未満となりうる。より詳しくは、いくつかの態様において、粒子対容積比は、約0.001%〜約5%の範囲となり得、好ましくは約0.01%〜約4%の範囲となりうる。より好ましくは、比は、約0.1%〜約3%の範囲となり得、最も好ましくは約0.5%〜約2%の範囲となりうる。当業者によって認識されるように、集束される粒子とは別に、試料内の追加のまたは余分の粒子の粒子対容積比を、必ずしも考慮または調節する必要はない。当業者によってさらに認識されるように、いかなる数の試料も、システムに導入する前、あいだ、および/または後に、集束される粒子の粒子対容積比に対していかなる調節も必要としない可能性がある。
【0047】
粒子対容積比を調節するために試料を希釈または濃縮するための様々な一般的に用いられる技術を、本明細書において開示される態様において用いることができる。たとえば、試料は、システムに最終的に導入される試料が、入口を通して導入される前に必要な比を有するように、システムに導入する前にバッチ毎に希釈または濃縮することができる。他の態様において、システムには、希釈または濃縮を行うために希釈剤または濃化剤と同時に試料を導入するための2つまたはそれより多い入口が含まれうる。このようにして、粒子対容積比は、試料および希釈剤もしくは濃化剤が流路に入る前に調節がチャンバー内で起こるか、または試料および希釈剤もしくは濃化剤が流路内で混合することによって調節が起こるかによらず、システム内で調節することができる。もう1つの態様において、非調節試料が流路内をいくらかの距離進んだ後に、様々な用途によって必要とされるように、希釈剤または濃化剤を、流路の中心部分、フォーク、または分岐に導入することができる。当業者は、本明細書において記述される態様において、試料の粒子対容積比を調節するために起こりうる変動を認識するであろう。
【0048】
図1Aおよび1Bを参照して、1つまたは複数のマイクロフルイディックチャネル16を、微細加工チップ14において形成することができ、流路16に連絡する1つまたは複数の入口12によって試料24を受容するように形作ることができる。流路16はさらに、1つまたは複数の出口26に向けられる粒子22の1つまたは複数の局在するストリームまたは流束の中に、試料内に浮遊する既定のサイズの粒子を秩序化および集束させるように形作ることができる。このようにして、希釈溶液における粒子を、図において図示されるように濃縮することができる。図1Bにおいて図示されるように、局在する流束22には、互いに長手方向に隣接して配列される3つまたはそれより多い粒子20が含まれ、実質的に長手方向の一定の距離だけ離れることができる。流束22内の粒子20はまた、流路16に対して回転して整列することができる。
【0049】
一般的に、「局在化」は、その中を粒子の流束が通過する流路の断面積の低減を指す。いくつかの好ましい態様において、粒子は、粒子の幅の多くて1.05、2、3、4、または5倍の幅を有する区域内に局在化することができる。局在化は、流路内の任意の配置で起こりうるが、好ましくは、流路の障害されない部分内で起こる。たとえば、局在化は、断面積の50%、40%、30%、20%、10%、5%、2%、1%、または0.1%未満の低減を有する流路の部分で起こりうる。一定の態様において、局在化は、実質的に一定の断面積を有する流路において起こりうる。
【0050】
任意の数のマイクロフルイディックチャネルを、以下に詳細に記述されるように多数の方法でチップにおいて形成することができる。1つの例示的な態様において、その中に粒子を集束させるためにチップ上に単一の流路が形成される。他の例示的な態様において、粒子を集束させるためのネットワークの様々な形態のチップにおいて複数の流路を形成することができる。たとえば、2、4、6、8、10、12個、またはそれより多い流路をチップにおいて形成することができる。図1Aにおいて示されるように、ツリー形態は、多数の流路システムにとって特に簡便である。同様に、各層がその中に形成される多数の流路を有する任意の数の層を、システムの微細加工チップ内に含めることができる。
【0051】
様々な流路の幾何学構造を単一のチップ上に含めることができる。図1Aにおいて示されるように、流路の直線区分は、試料がシステムに導入されると、流れの線を輸送および分割するために入口付近でチップにおいて形成される。流路の直線区分は、必要に応じて既定のサイズの粒子を集束させるために、対称および/または非対称に曲線を描く任意の数の流路に移行することができる。図1Aにおいてさらに示されるように、チップにはまた、集束した粒子の分析、集束した粒子の収集、および/または流線の再結合のために、出力領域で流路の直線区分を含めることができる。当業者によって認識されるように、任意の数の曲線または直線区分を、必要に応じてチップ内に含めることができる。流路の追加の曲線状の区分は、粒子に結合した標識またはタグに基づく追加の分離を容易にするために、集束した粒子ストリームにとっての「オフランプ」として役立ちうる。様々な用途にとって必要であれば、集束した粒子の操作をさらに容易にするために、流路のフォークまたはスプリットを流路内の任意の位置で含めることができる。
【0052】
様々な流路の寸法も同様に、単一のチップ内に含めることができる。流路の寸法は、試料の濾過を容易にするためにまたは用途に対して特異的な他の理由から、チップの長さにわたって減少させることができる。流路の寸法は、フォークもしくはバルブシステムが流路内に位置することができるように、または分析もしくは収集のために多数の流線を分離して異なる配置に向けることができるように、入力区域または出力区域でより大きくすることができる。同様にして、様々な流路の断面も同様に、特定の用途に関して集束した粒子の流線を操作するために単一のチップ内で必要に応じて変化させることができる。一般的に、既定のサイズの粒子または多数の既定のサイズの粒子をソーティング、分離、秩序化、および集束させるために、必要に応じて、流路の幾何学構造、流路の断面、および流路の寸法の任意の組み合わせを単一のチップ上に含めることができる。
【0053】
本明細書において記述されるシステムにおいて用いられる流路は、流体内に浮遊する既定のサイズの粒子を集束させるために様々な幾何学構造および断面を有しうる。たとえば図2Aおよび2Bにおいて図示される1つの態様において、アスペクト比が実質的に1対1である矩形断面を有する直線流路30が提供される。以下により詳細に記述されるように、そのような流路幾何学構造内を流れる既定のサイズの粒子は、4つの流路壁のそれぞれの面から一定距離の4つの平衡点または潜在的最小点に対応する4つの流線32a、32b、32c、32dに分離、秩序化、および集束するであろう。もう1つの態様において、アスペクト比が実質的に2対1である矩形断面を有する直線流路36が提供される。そのような流路幾何学構造内を流れる既定のサイズの粒子を、流路の幅の全域にわたって上下の壁に沿って2つの平衡点または潜在的最小点に対応する2つの集束する流線38a、38bに分離、秩序化、および集束させることができる。1つの態様において、アスペクト比1対2も同様に用いることができる。
【0054】
流路はまた、図3Aおよび3Bにおいて示されるように曲線を描いてもよい。たとえば、矩形断面を有するS型、正弦曲線、またはS字形状の流路40などの対称に曲線を描く流路を提供することができる。そのような流路の幾何学構造内を流れる既定のサイズの粒子は一般的に、流路の左右側面から一定距離の2つの平衡点または潜在的最小点に対応する2つの流線42a、42bに集束するであろう。S字状流路40のアスペクト比は、実質的に1対1であり得、および/またはその長さに沿って変化しうる。たとえば、S字状流路のアスペクト比は、選んだ形態に応じて1対1から2対1のあいだで流路の長さにわたって変化しうる。
【0055】
もう1つの態様において、図4Aおよび4Bにおいて示されるように、非対称に曲線を描く流路が提供される。非対称に曲線を描く流路は、特定の用途に応じて必要とされるように様々な形状および形態を有しうるが、1つの態様において、非対称の流路46は一般的に、曲率半径が波のそれぞれの変曲点後で変化することができる、大きいおよび小さい曲がり目を有する波型形状を有しうる。それぞれの大小の曲がり目は、曲がり目に関連する流路の明記された幅を有しうる。特に図4Aにおいて示されるように、波の波長の半分は、幅W1を定義する半径R1a、R1bを有する大きい曲線を有しうる。波長の第二の半分は、幅W2を定義する半径R2a、R2bを有する曲線を有しうるが、R1aおよびR1bはR2aおよびR2bより大きくなりうる、およびその逆である(ならびにR1a=R2aおよびR1b=R2bであれば、先に示したように正弦曲線の対称形状の流路であろう)。加えて、W1は、W2より大きくなりうる、およびその逆である。半径R1a、R1bを有する第一の半分、および半径R2a、R2bを有する第二の半分を有する波長を、非対称曲線を有する流路の明記された長さを提供するために、それぞれの変曲点後に変化させて、必要に応じて多くの回数繰り返すことができる。非対称に曲線を描く流路46はまた、曲線における非対称の性質に応じて、流路の長さにわたって必要に応じて変化しうるアスペクト比の矩形断面を有しうる。1つの態様において、アスペクト比は、1対1から2対1まで変化しうる。この場合、流路46内の単一の平衡点または潜在的最小点に対応する粒子の単一の集束したストリーム48が作製される。他の態様において、非対称に曲線を描く流路、特に実質的に2対1のアスペクト比を有する矩形断面を有する拡大するらせん形状の流路50が図4Cにおいて示されるように提供されうるが、アスペクト比は変化しうる。この場合、粒子は、流路内で単一の平衡点または潜在的最小点に対応する流路の内壁から一定距離離れた単一の流線に集束する。
【0056】
直線、対称、および非対称が含まれる先に記述したおよび本明細書における全ての流路のアスペクト比は、用途によって、必要に応じて、および/または流路の進路に対して必要に応じて多くの回数変化しうる。図4において図示される態様において、アスペクト比は、1対1および2対1として示されているが、当業者は、多様なアスペクト比を使用することができることを認識するであろう。加えて、アスペクト比の決定に関する標準としての幅対高さの選び方は、アスペクト比が、第一の断面の流路寸法対第二の断面の流路寸法の比であるととることができるという点において、いくぶん任意であり、矩形流路の場合、これは、幅対高さまたは高さ対幅のいずれかとなるであろう。さらなる例によって、図4Cの流路のアスペクト比は、高さが幅の2倍である図9Aにおいて図示される流路のアスペクト比と同様に、2対1または1対2のいずれかとして表記されうるであろう。
【0057】
他の流路断面も同様に、先に注目した幾何学構造のそれぞれに含まれうる。流路の断面には、円形、三角形、菱形、および半球形が含まれうるがこれらに限定されるわけではない。既定のサイズの粒子を、これらの例示的な断面のそれぞれにおいて集束させることができ、平衡位置は、流路の幾何学構造に依存するであろう。たとえば、円形または半球形の断面を有する直線流路において、集束した粒子の輪または弓を流路内に形成することができる。三角形または菱形の断面を有する直線流路において、粒子を、幾何学構造のそれぞれの壁の平坦な面から一定距離の平衡位置に対応する流線に集束させることができる。先に注目した例示的な断面のそれぞれを有する対称および非対称に曲線を描く流路が含まれるが、集束するストリームおよび平衡位置は一般的に、矩形断面を有する流路に関して先に記述したストリームおよび平衡位置に対応しうる。
【0058】
一般的に、試料内に浮遊する粒子の最適な秩序化および集束条件に至る、直線、対称、および非対称マイクロフルイディックチャネル内の一定のパラメータが存在する。これらのパラメータには、たとえば流路の幾何学構造、流路の幾何学構造に関する粒子サイズ、マイクロフルイディックチャネルを通る流体の流れの特性、および層流条件でマイクロフルイディックチャネル内を流れる粒子に関連する力が含まれうる。現在、粒子に作用する力は、慣性力と呼ぶことができると考えられているが、他の力が集束および秩序化挙動に関与する可能性がある。例示的な慣性力には、剪断勾配の下のおよび流路壁から離れた慣性揚力、ディーン抗力(粘性抗力)、ディーン流れからの圧抗力、および個々の粒子に作用する遠心力が含まれうるがこれらに限定されるわけではない。図5A〜7は、以下に記述される理論においてこれらのパラメータに関連する概念を図示するために用いられ、図5A〜5Bは一般的に直線流路に関連するパラメータを指し、図6A〜7は曲線状の流路に関連するパラメータを指す。以下に考察する理論は、単に説明的で例示的であることを意味しており、これらの原理を用いて設計されるシステムの挙動は、この理論を用いて予測することができるが、提示される理論は、本明細書において開示される任意のシステムの態様または任意の特定の作動理論に関連する任意のパラメータに本発明を限定すると見なされるべきではない。
【0059】
一般的に、本明細書の態様において記述されるシステムなどの層流のマイクロフルイディックシステムにおける慣性揚力は、無秩序に分布した粒子を単一の流線に連続的および高速で集束させるように作用しうる。ハイスループット分離のためのシステムを開発するために、粒子の幾何学構造依存性を用いることができる。流路の幾何学構造は、粒子の集束を輪状から流路内で4つの点、2つの点、および次に単一の点に低減させるように変化させることができる。粒子の秩序化の2つの追加のレベルを、特に、流路の長さに沿って長手方向で、および回転方向(非対称粒子の場合)で観察することができる。一般的に、分離、秩序化、および集束は、主に流路サイズに対する粒子サイズの比率、およびシステムの流れの特徴によって制御される。都合のよいことに、集束は粒子密度とは無関係である。
【0060】
剪断流における粒子の側方移動は、主に、壁に向かう剪断勾配の下に向けられる剪断勾配誘発慣性(自由な放物線の流れにおける揚力)および壁から離れる方向に粒子を押す壁誘導慣性に起因する慣性揚力の存在によって生じる。流体に浮遊する粒子は、システムの流体動的パラメータに独立して比例する抗力および揚力を受ける。クローズドチャネルシステムにおける粒子の流れを記述するために、次の2つの無次元レイノルズ数を定義することができる:乱れのない流路の流れを記述する流路レイノルズ数(Rc)、および粒子とその中を粒子が平行移動する流路の双方を記述するパラメータが含まれる粒子レイノルズ数(Rp)。

および

【0061】
双方の無次元群は、最大流路速度Um、流体の運動粘性率、およびν=μ/ρ(μおよびρはそれぞれ、動粘性率および流体の密度である)、および2wh/(w+h)(wおよびhは流路の幅および高さである)として定義される水力直径Dhに依存する。粒子レイノルズ数は、粒子の直径aに対して追加の依存性を有する。平均流路速度に基づくレイノルズ数の定義は、Re=2/3RcによってRcに関連しうる。
【0062】
慣性揚力は、粒子レイノルズ数が1桁である場合、粒子の挙動を支配する。典型的に、マイクロスケール流路における粒子の流れは、Rp<<1の場合粘性相互作用によって支配される。これらのシステムにおいて、粒子は、粒子表面に対する流体の粘性抗力のために、局所流体速度まで加速される。中性の浮揚性の粒子の希釈浮遊液は、流線全域に移動することが観察されず、それによって長さに沿って入口で、および流路の出口で同じ分布が認められる。Rpが増加すると、マクロスケールシステムでは流線の全域での移動が起こる。円柱形のチューブでは、粒子は、チューブの中心および壁から離れるように移動して、集束した輪を形成することが観察された。この「チューブ状にはさむ」効果の理論的基礎は、高い粒子レイノルズ数で粒子に作用する慣性揚力の組み合わせである。剛性の粒子に対して支配的な力は、「壁効果」であり、この場合、図5Aおよび5Bにおいて示されるように、壁付近の粒子の非対称の伴流によって、壁から離れた揚力60、ならびに剪断勾配の下におよび壁に向かう方向を有する剪断勾配誘導揚力62が起こる。2つの無限のプレート間の放物線の流れにおけるこれらの揚力(Fz)の大きさを記述する関係式は、誘導がRp<1を仮定することを条件として、慣性移動の強度がシステムパラメータにどれほど依存するかを理解するために有用である。

【0063】
ここでfc(Rc, xc)は、揚力係数と見なされることができ、流路の断面内の粒子の位置xcおよび流路のレイノルズ数の双方に依存する関数であるが、粒子の幾何学構造とは無関係である。壁効果と剪断勾配揚力がつりあう平衡位置では、fc=0である。
【0064】
粒子に作用する慣性揚力によって、流路の中心から離れる移動が起こる。等式Fliftから、粒子移動速度のUpに関する式は、ストークス抗力Fs=3πμaUpがこの揚力とつりあうことを仮定して展開させることができる:

【0065】
流路の中心線からの横方向の移動速度の推定は、平行なプレートの中の流れに関してfc〜0.5の平均値を用いて行うことができる。この計算によって、Um=1.8 m/sの流れにおける10μm粒子に関して3.5 cm/sという値を生じる。側方距離40μm進むためには、主な流れの中で約2 mm下流を進む必要がある。Upに関する先の等式もまた、進んだ側方距離が粒子の直径に強く依存することを示しており、示差移動に基づく分離の可能性を示している。
【0066】
湾曲を有する流路は、粒子に対して追加の抗力をもたらす。矩形流路に湾曲を導入する場合、流体の均一でない慣性により、ストリーム毎の方向に対して垂直に二次流れが発生する。その例の1つが図6Aに示される、放物線速度プロフィールにおいて、曲線状の流路の中心内でより速く動く流体エレメントは、流路の端部付近のエレメントより大きい慣性を発生させることができる。これらのエレメントは、流路の外端に向かって動くことができ、全ての点で質量を保存するために

、流体は流路の上下に沿って再循環する。この流れを特徴付けするために、2つの無次元数、すなわち、流路における最大速度に基づくディーン数(De)、および湾曲比(δ)を、書くことができる。ディーン数はDe=Rc(Dh/2r)1/2、および湾曲比はδ=Dh/2rであり、rは流路の平均曲率半径である。本明細書において記述されるマイクロフルイディックシステムにおいて中等度のDe<75が観察される場合、二次回転流れ、またはディーン流れは2つのみの渦からなる。ディーン流れの速度の大きさは、UD〜ρDe2/(μDh)のように比例し、したがってこの二次流れにより浮遊する粒子に対するストークス抗力は、大きいDeにとって有意となる。特に、ディーン数に対するディーン流れの速度の依存性は、図6Bにおいて認められうる。図6Bは、約10のディーン数に対応するストリーム毎の平均速度1 m/sでのディーン流れのシミュレーションを図示する。図6Bにおける幾何学構造は、小さい曲がり目で幅50μmであり、大きい曲がり目で80μmである。主な流れは、ページから出ている。図6Cは、単一の幾何学構造に関して変化するディーン数の関数として平均二次流れ(渦)の速度の大きさをさらに図示するグラフである。Deと平均渦速度のあいだの二次関係が、一定の幾何学構造に関して観察され、理論と一致する。
【0067】
一般的に、ディーン流れによる抗力またはディーン抗力(FD)は、
以下のように比例する。

【0068】
平衡分離は、図7において示されるように、これらの2つの力、ディーン抗力64および慣性揚力66の釣り合いを考慮して行うことができる。特に、図7は、ディーン流れによる慣性揚力のために、4つの安定な位置68a、68b、68c、68dの重ね合わせを描写する任意の非対称に曲線を描く流路の断面を図示する。単一の最小点を偏らせる可能性がある機構も同様に提示される。ディーン流れによる支配的な粘性抗力は流路の中心線で強く作用して、他の側面を上回って粒子を流路の1つの側面に向ける(反対側の曲がり目の場合、この力は、反対方向へのより小さい大きさの力であり、慣性力を超えない)。粒子70がこの最小点に捕らえられると、2つの渦の分割点での粘性抗力64は剪断勾配誘導揚力66より大きさが小さいことから、捕捉されたままとなりうる。上下の最小点での粒子は、粘性抗力が、ここでもおよびより弱い剪断勾配の方向においても強く作用することから、捕捉されたままではない可能性がある。
【0069】
抗力に対する揚力の比率Rfは、一定のRcに関してRf〜δ-1(a/Dh)3のように比例する。所定のサイズの粒子に関して流路断面内でRf≧1であって、もう1つのサイズの粒子に関して1未満である場合、分離は理想的である。Rfに関して粒子を平衡位置に押す揚力が支配的であるが、Rf<1の場合、支配的なディーン抗力がこれらの平衡位置を圧倒して、粒子の混合に至る。粒子の直径の3乗に依存することは、小さいサイズの差を有する粒子が有効に分離されることを示唆している。Rfの関係はまた、幾何学構造Dhと湾曲比(δ)の改変によって、広範囲の直径に対して粒子を分離するように分離を調整できることも示唆している。
【0070】
理論は、平衡分離の速さに対する制限を予測する。これまで、揚力/抗力比の依存性、すなわちRcに対するRfは無視されていた。この依存性を考慮すると、最適より高い速度は脱集束に至ると予測される。これは、慣性揚力が流路速度の二乗(Um2)および揚力係数(fc)に比例するためであり、揚力係数はUmが増加すると減少する。よって、慣性揚力は、Um2より低い割合で増加する。これを、Um2に比例するディーン流れによる抗力と比較することができる。これによって、これらの力の比RfはUm2が増加すると減少することになる。
【0071】
よって、3つの流れのレジームを考慮することができる:(1)低い流体速度では、Rfは、流路断面の大部分に対して1より大きくなる可能性がある;しかし、FzおよびFDの大きさは小さすぎて、流路の長さの中で集束するストリームを作製することができない。(2)中間の流体速度では、Rfは流路の断面の制限された領域に対して1より大きいか、または1に等しくなる可能性があり、力の大きさは1つまたは複数のストリームへの集束を作製するために十分に大きい。(3)高い流体速度の場合、Rfは流路全体の断面に対して1未満であり、ディーン抗力が支配的であり、粒子の混合に至る。
【0072】
Rfを用いて、それより下では集束が起こらない粒子サイズのカットオフを予測することができる。Rfは、この領域に対するFDおよびFzの変動により流路の断面にわたって大きさが変化する。しかし、この変動の関数型は現在知られておらず、このように、所定の幾何学構造に関する粒子サイズのカットオフを予め予測することは難しい(すなわち、どの粒子サイズに関してRfが最初に流路の断面を通して<1となるか)。このように、経験的に決定されたカットオフは、Rfにおいて未知のパラメータを生じうる。次に、公知の幾何学構造およびカットオフを等式Rf=1に挿入すると、未知の位置依存的因子のスケーリングを発見することができる。これは、それより下では全流路断面にわたって比Rfが最初に1未満となる粒子直径が、その流路幾何学構造におけるサイズカットオフに対応するためである。言い換えれば、粒子の直径が減少すると、Rfは1未満まで減少し、それによってディーン抗力による粒子の混合が支配的となる。
【0073】
半経験的関係が以下のように定量的に提供される。第一に、条件Rf(xcl)=k(rac3/Dh4)=1が得られる場合、xclは、流路断面内で1未満となる最後の位置の座標であり、kはスケーリング因子である。経験的パラメータは、流路の曲率半径(r)、カットオフサイズ(ac)、および流路の水力直径である。1つまたは複数の実験システムに関してkを分解すると、未知のシステムおよびサイズカットオフに適用することができる関係が展開される:

【0074】
この処理は、xclが粒子サイズとは無関係のままであると仮定されることから、双方のシステムが一定のRcで作動されること、および粒子サイズが流れの場と比較して小さいことを仮定する。
【0075】
次に、新しいカットオフで分離するために新規流路幾何学構造を指示する単純化した式を展開することができる。同じ曲率半径が維持される場合、カットオフ直径の関数としてのDhに関する経験的な関係は以下のように書くことができる:

【0076】
hがディーン流れの支配寸法であるように、慣性揚力を決定する場合に高さが支配因子であり、大きい幅の流路を考慮する場合、先のDh1の等式はh2=h1(ac2/ac1)3/4のように書き換えることができる。一般的に、中心および外壁に近い粒子は、流路の外端に向かうように動き、それらが平衡位置に達するまで流路の上下に沿って再循環する。言い換えれば、揚力は、高さに沿って流路の対称平面の上下の2つの位置での粒子の集束に関与するが、ディーン力は側方位置に影響を及ぼす。Rfに従って、側方の平衡位置は、単に粒子の直径(a)、幾何学構造(Dh)、および湾曲比(δ)を変化させることによって操作することができる。
【0077】
全ての流路幾何学構造に一般的に応用可能である上記の理論に従って、パラメータの様々な組み合わせによって、所定の幾何学構造を有する流路における粒子の流束の局在化が起こるであろう。一般的に、一定の態様において、流れる試料のレイノルズ数は、約1〜約250であり得、流れる試料のディーン数は、約20未満となり得、および/または粒子の直径対水力直径の比は、約0.5未満となりうる。上記の理論を考慮して一定の流路幾何学構造により詳しく関連する特性を以下に考察する。
【0078】
先に注目したように、図2Aおよび2Bは、その中の粒子に作用する力のベクトルを示す矩形断面を有する直線流路の1つの態様を図示する。図8A〜8Cを参照して、これらの例示的な直線流路内での粒子の分離、秩序化、および集束をより詳細に考察する。一般的に、低い流速では、これらの例示的な流路内を流れる粒子は流路の断面にわたって均一に分布する。流体の速度が増加するとRpが増加することから、流路の規模および対称性に有意に依存する層流における粒子の隔離パターンが観察可能となる。一般的に、矩形流路において均一に分布する粒子は、図8A〜8Cにおいて示されるように、アスペクト比1:1を有する矩形流路80の流路の面の中心でおよび流路端部に向かって4つの対称な平衡位置82a、82b、82c、82dまで流線を超えて移動する。図示される態様において、水に浮遊させた直径9μmの粒子が幅50μm四方の流路において観察され、粒子直径対流路直径0.18を提供する。粒子が当初流体内で均一に分布しているが、その後まもなく図8Bにおいて示されるように4つの流路面に集束し始める入口領域84が示される。図8Cは、集束の程度が流路に沿って所定の距離でRpと共に増加して、同様に流路に沿って進んだ距離と共に増加することを図示している。Rp=2.9(Rc=90)の場合、完全な集束が距離約1 cm後に観察される。
【0079】
一般的に、所定の粒子サイズに関して、集束は、流路壁に対して特定の距離で起こる。粒子に関する平衡位置は、Rc=90の場合流路の端部から約9μmであり、無限の平面系(Rc=100)において約8μmの理論的予測値と一致する。この距離はまた、Rcが増加すると、所定の粒子サイズに関して壁により近づくと予測される。集束は、角の対称な特色にもかかわらず、角とは反対の流路面で起こる。おそらく、支配的な壁効果は、角内での粒子に対して2つの方向から作用して、図8Aおよび8Bにおいて示されるように、不安定な平衡点を作製する。慣性揚力は単独で、矩形流路の側面内で4つの正確な位置に対する二次元の集束を許容する。
【0080】
図9A〜9Dを参照して、直線流路に関する代わりの矩形幾何学構造が提供される。1つの態様において、直線流路90の矩形断面は、特定のおよび/または最適な集束結果を生じるように調節することができる。特に、流路90の断面のアスペクト比は、図9Aにおいて示されるように約1:1から約2:1まで変化させることができる。加えて、0.3より大きい流路直径に対する粒子直径の比率を使用することができる。アスペクト比および流路直径に対する粒子直径をこのように調節すると、粒子の集束および秩序化は極めてより確固たるものとなりうる(すなわち、位置の偏差がより少ない)。加えて、秩序化位置は、図9Aにおいて示されるように、先に記述した1:1の矩形流路における4つから最適化流路における2つまで低減し、2つの秩序化部位94a、94bにおける粒子は流路90の全域で相互作用および秩序化することが観察される。秩序化は、低い〜高い粒子濃度に関して起こり、この場合、粒子-粒子距離のみが濃度によって影響を受ける。重要なことは、粒子は、高い粒子濃度(約50×106個/ml)まで流れの方向において均一な間隔となる。
【0081】
新しい秩序化は、流れにおける粒子の側方位置におけるより密集した分布を提供すると共に、図9Bおよび9Cにおいて示されるように、流れの方向において均一な間隔で長い規則的な粒子の鎖92に至る改善された粒子-粒子相互作用を提供する。サイズが5〜15μmの細胞および粒子の正確な秩序化は、図9Bにおいて最も明らかに図示されるように、連続的な流れで多様な粒子/細胞密度(<5%)に関して証明されうる。先に注目したように、幾何学構造の変化は、正方形または1:1比の流路内で観察された4つの秩序化位置をほぼ完全に2つの秩序化位置94a、94bに低減させる。さらに、流路90の全域の位置で秩序化された粒子はまた、それらのあいだで均一な流体の緩衝液を作製するように相互作用する。
【0082】
2:1の矩形幾何学構造を有する1つの例示的なシステムにおいて、粒子は全て、速さ13.2〜13.8 cm/s(平均流体速度は11.9 cm/s)で進み、流路90の同じ側面にそれらが集束した場合に、隣接する粒子間の中心間の距離42〜45μmを示すが、交互のパターンが存在する場合、流れの方向にごく23〜25μm離れているに過ぎない。これらの2つのパターンはまた組み合わせて見いだされうるが、1つからもう1つパターンの特定の比は、ほとんど粒子の局所濃度に依存する;濃度が低い場合、図9Cにおいて示されるように、線形のアレイ内に存在する粒子-粒子間隔が許容される。しかし、局所濃度が増加すると、図9Bにおいて図示されるように、流路90の他の側面における間隙部位において粒子はより頻繁に見いだされる。6 cm流路の末端での平衡時の粒子の間隔は一般的に、粒子の直径および流路直径に比例的に依存する。
【0083】
図9Dにおいて示されるもう1つの態様において、図9A〜Cに関して記述される条件は、異なる2つの既定のタイプの粒子に応用される。第一のタイプの粒子92(白丸で図示される)は、第一の入力分岐(図示されるように図における低いほうの分岐)を通して流路に導入され、第二のタイプの粒子(黒丸で図示される)を、第二の離れた流路分岐、図において示されるように、上の入力分岐に導入することができる。示されるように、2つのタイプの粒子は、個別の入力分岐から単一の流路の中まで動き、秩序化して、流路の反対側の2つの平衡位置に対応する2つのストリームに集束される。第一および第二の粒子が異なる細胞タイプ、異なる化学を有する粒子、またはその組み合わせである場合、粒子が流路の中を進むにつれて、粒子が一般的に第一のタイプの粒子と第二のタイプの粒子とのあいだで交互となるように粒子を集束および秩序化させることは、第一および第二のタイプの粒子のあいだの相互作用を観察して操作するためにより大きい機会を許容する。
【0084】
図9に関連して記述した効果を達成するために図示された幾何学構造はアスペクト比2:1を有するが、これらの効果が観察される可能性がある実質的に1:1ではないアスペクト比の範囲が存在する。先に注目したように、第一に、他の寸法の2倍である幅または高さであるか否かによらず、効果が認められる可能性がある。当然、4つよりむしろ2つの流線に集束するための矩形流路に関する対称性の低減が起こり、そのためより長い2つの側面が、壁に沿って中心を有しおよび壁から離れている粒子の流線を集束させるであろう。約1:2の比に加えて、対称性のこの低減は、およそ15対50、3対5、および4対5の寸法比を有する矩形流路において観察されうる。したがって、ほぼ0.3(15/50)の寸法アスペクト比からほぼ0.8(4/5)の寸法アスペクト比に関して効果を認めることができ、長いほうの寸法が幅または高さであるか否かによらず、効果が認められうる。
【0085】
S字状の形状を有する曲線状の流路も同様に提供され、既に注目したように、図3Aおよび3Bは、そのような曲線状の流路の1つの態様を図示する。図10A〜10Cを参照して、これらの例示的なS字状流路内での粒子の分離、秩序化、および集束をより詳細に考察する。曲線状の流路システム内では、粒子および流体から生じる追加の慣性力によって対称性を低減させることができる。これらの力は、流体内を流れる粒子の平衡位置を変化させるために揚力と重なり合うように作用しうる。追加の揚力は一般的に、図3Bにおいて既に図示したように、曲線状の対称またはS字状幾何学構造を有するマイクロフルイディックチャネルにおいてプラスマイナスのy方向に作用する。この幾何学構造は、流路100の側面で2つの安定な位置を偏らせることができ、上下の集束点で収集される粒子数を低減させることができる。力が方向を偏らせるために十分である場合、図10Aおよび10Bに示されるように集束した粒子102a、102bの2つのラインのみが起こる。図10Bにおいて示されるように、粒子は入口104で流路100において無秩序に分布する。Rcが0.5から5のあいだで増加すると、2つのストリーム102a、102bへの集束が起こりうる。Rcが増加すると、混合したストリームが再度観察され、ディーン抗力からの関与の増加と一致する。
【0086】
図4Aにおいて既に図示された幾何学構造などの非対称に曲線を描く幾何学構造は、粒子の集束の対称性のさらなる低減に至りうる。図11A〜11Dを参照して、非対称の形態を有する例示的な流路110を考察する。非対称の形状の流路において、真の力は一般的に1つの方向に作用して、初回分布の単一の安定な位置を偏らせ、図11A〜11Dにおいて示されるように、粒子112の単一の集束ストリームを作製する。図11Aおよび11Bは、時間平均の非方向性の遠心力および/または抗力がRe=1〜15で単一のストリームへの集束に都合がよいことを図示している。示されるように、Deが増加すると集束はより複雑となる。図11Cは、さらに、−x方向に遠心力または抗力を加えることによって、粒子が潜在的最小点の1つの位置に集束することを図示している。完全な集束はまた、直線の矩形流路の場合より、図11Dにおいて示されるように、かなり小さいRp〜0.15について、および進んだ距離がより短い(約3 mm)場合に起こりうる。これは部分的に、ディーン流れの混合作用による可能性があり、それによって粒子は流れの安定な領域をより迅速にサンプリングすることができる。図11Dはまた、非対称に曲線を描く流路110の入口114付近での無秩序分布、流路の第7の曲がり目付近の第二の分布、および最後に流路の出口付近の粒子112の密集して集束したストリームにおける粒子の状態を図示する。
【0087】
もう1つの例示的な非対称幾何学構造には、図4Cにおいて既に示されたように拡大するらせん形状の幾何学構造が含まれうる。図12および13を参照して、例示的ならせん形状の流路120の局面を考察する。先に記述したように、慣性揚力単独によるシステムにおいて、壁に向かって粒子を押す剪断誘導揚力は、粒子を壁から離して壁に近い平衡位置まで押す壁誘導慣性力とつりあうことができる。1つの態様において、2つの有意な幾何学構造の特色によって、高アスペクト比の幾何学構造および湾曲に関して平衡な粒子の集束が起こる。高アスペクト比の幾何学構造に関して、流路120の幅に沿って屋根122および底124に近い慣性力によってつりあっている粒子を発見する確率は、常に外壁の内側に近い粒子より大きい。このように、試料内に浮遊する粒子は、図12において示されるように、2つの集束する位置126a、126bに向かって集束する傾向があるであろう。湾曲は、位置に応じて異なる横方向に粒子を押すディーン抗力を導入する。図6Aにおいて既に図示されたように、矢印で示された速度野は、粒子に対する効果の大きさおよび方法を図示する。たとえば、中心に配置される粒子は、外壁に向かって押され、図12において示されるようにディーン力が内壁からの慣性力に重ね合わされる内壁付近の平衡位置に粒子が達するまで、外端の屋根または底を再循環するであろう。よって、1つの態様において、流路の高さの方向における粒子の集束に強い影響を与える主な力は、慣性揚力である可能性があるが、ディーン力は、粒子の側方の位置づけに対して強い影響を及ぼす。内壁から離れるように粒子を押そうとするディーン力が、内壁に向かって粒子を押そうとする内壁からの慣性揚力とつり合っている限り、粒子は、集束されたままとなりうる。これによって、流路の高さに沿って2つの平行な対称なストリームにおいて単一のストリームの側方位置で集束する粒子が得られる。集束に加えて、粒子は、図13において示されるように流れの方向で均一な間隔で秩序化される。高速カメラ実験により、秩序化された粒子は同じ流線128の中を底部124もしくは屋根122のいずれかにおいて、または交互の粒子の列で流れることが判明する。挙動は無秩序であるように思われ、秩序化された交互の粒子の列のあいだの間隔は、用いる粒子濃度に関する同じ流線における間隔と比較して常に短い。
【0088】
図14を参照して、先に記述した例示的な流路のいずれも、任意の数の用途にとって必要である限り、様々なシステムの形態に含まれうる。しかし、一般的に図14は、先に記述したように粒子を秩序化および集束するために複数の流路202を有するそのようなシステム200の1つの態様を図示する。示されるように、システム200には一般的に、その中に浮遊される粒子を有する試料を、フィルター機構208を通してシステム200に導入するように形作ることができる1つまたは複数の入口流路204a、204bを有する入口206が含まれうる。ポンプ機構210も同様に含めることができ、これは、陽圧または陰圧下でシステム200に試料を導入するための入口206および/または出口212に関連づけることができる。
【0089】
微細加工チップ214を提供することができ、その中に形成される先に記述された任意の流路の任意の数および形態を有しうる。図14は、入口206およびフィルター208の中に導入される試料を受容するように形作ることができる微細加工チップ214において形成された複数の流路202を図示する。分析領域216は、粒子の集束したストリームをモニター、ソーティング、計数、撮像、またはそうでなければ分析するために流路202の出力流路218の近位に提供されうる。出力流路218は、ストリームがチップの分析領域の中を進んだ後に流路あたりの粒子の1つまたは複数の集束したストリームを受容および/または収集するために提供されうる。1つまたは複数の出力流路218はまた、マイクロフルイディックバルブによって粒子の主なストリームから、既定のタイプの粒子を分離するために提供されうる。試料の前処理、ポンピング、流速調節、バルブ作動、および集束した粒子について行われる任意の分析を補助するために、任意の数のハードウェア、ソフトウェア、および分析エレメントが含まれうるコントローラ220を含めることができる。集束後、他所での初回もしくは追加の分析のために、または廃棄するために、粒子を出力流路からリザーバーまたは出口212に収集することができる。
【0090】
先に記述したシステム200をより詳細に参照して、システム内の流路に試料および/または他の物質を導入するために、1つまたは複数の入口を提供することができる。入口は一般的に、入口流路、ウェルまたはリザーバー、開口部、およびシステムに粒子が入ることを容易にする他の任意の特色を含有することができる。入口における開口部は、試料がデバイスに入ることができるように、微細加工チップの床に存在しうる。入口はまた、その中を通して試料を外部リザーバーから供給することができる液体クロマトグラフィーまたはHPLCのチューブなどの適したチューブピースを受容するように適合されたコネクターを含有しうる。入口は一般的に、流路との液体連絡であり、一般的にその上流である。先に注目したように、試料を、流路に入る前に希釈または濃縮することができ、所望の粒子対容積比を達成するために、試料と混合するようにそのような希釈剤または濃化剤を導入するための個別の入口を提供することができる。追加の入口は、流路に導入する前に試料との混合を容易にするために、以下に記載されるように標識またはタグを有する他の物質のために提供されうる。任意の数および組み合わせの入口を提供することができる。同様に、以下により詳細に記述されるように、試料、ならびに試料内の粒子の集束したストリームを受容および収集するために、任意の数の出口を提供することができる。
【0091】
流路内で既定のタイプの秩序化および集束した粒子を同定するために、様々な方法を用いることができる。流路内で集束される粒子を同定または操作するための標識またはタグを、試料をシステムに導入する前、あいだ、および/または後に試料に導入することができる。粒子の標識またはタグ付けは、たとえば、蛍光活性化細胞ソーティング(FACS)および磁気活性化細胞ソーティング(MACS)において用いるために当技術分野において周知であり、任意の様々な標識法を本明細書において記述されるシステムにおいて用いることができる。一般的に、例を挙げれば、粒子のサイズ、重量、密度、電気特性、磁気特性、誘電特性、変形可能な特性、蛍光特性、表面特徴、粒子間間隔などの粒子内特徴、ならびに/または回転状態、回転頻度、および1サイクルのあいだの回転率の変動などの回転特徴に基づいて、粒子の同定および/または操作に関連する任意の技術または方法を用いることができる。他の態様において、粒子の特徴は、粒子をその荷電特徴に基づいて操作および/または同定することができるように変化させることができる。たとえば、粒子のサイズは、粒子がその変化したサイズに基づいて、特定のストリーム、およびおそらく特定の流路分岐または出口にシフトして集束するように、ビーズ、粒子、または他のタグを粒子に付加することによって変化させることができる。例示的な標識には、量子ドット、五量体、抗体、ナノビーズ、磁気ビーズ、分子、アンチマー、親和性標識ビーズ、マイクロビーズ、細胞/細胞シグナル伝達等が含まれうるが決してこれらに限定されるわけではない。関心対象の特徴または複数の特徴が十分に同定可能である場合に限り、公知の標識技術を用いて同定または測定されうる粒子の特徴の種類または数に制限はない。例示的な標識法および技術は、その全ての全内容が参照により本明細書に組み入れられる、1999年5月21日に提出された「Microfabricated Cell Sorter for Chemical and Biological Materials」と題される米国特許第6,540,896号、1997年2月26日に提出された「Method for Magnetically Separating Cells into Fractionated Flow Streams」と題される米国特許第5,968,820号、および2001年6月5日に提出された「Integrated Active Flux Microfluidic Devices and Methods」と題される米国特許第6,767,706号において詳細に考察されている。
【0092】
先に注目したように、試料をシステムに導入する前に粒子を標識またはタグ付けすることができる。またはもしくは加えて、流路に入る際に標識および試料が混合するように、試料の導入と平行して、標識の導入を容易にするために、第二の入口をシステムに含めることができる。他の態様において、標識と粒子の混合が、粒子の集束の前、あいだ、および/または後に流路内で起こりうるように、流路の長さに沿ってシステム内の様々な配置で入口ポートを含めることができる。
【0093】
本明細書において記述される流路を通して試料を動かすために様々な技術が存在し、通例、システムには流路に試料を導入するおよび流路を通して試料を動かすためにポンプ機構が含まれうる。ポンプ機構はまた、必要に応じて流路内の流速を調節および制御することができる。特定のポンプ機構は、陽圧ポンプ形態で、陰圧ポンプ形態で、またはその両者の何らかの組み合わせで提供されうる。1つの態様において、試料を入口に導入して、陰圧ポンプ形態を用いて陰圧または真空下でシステムの中に引くことができる。陰圧ポンプ形態によって、流路内にいかなる試料も残さずに試料の完全な体積の処理が可能となりうる。例示的な陰圧ポンプ機構には、シリンジポンプ、蠕動ポンプ、アスピレータ、および/または真空ポンプが含まれうるがこれらに限定されるわけではない。他の態様において、陽圧ポンプ形態も同様に用いることができる。試料を入口に導入して、陽圧下でシステムの中に注入または押すことができる。例示的な陽圧ポンプ機構には、シリンジポンプ、蠕動ポンプ、気圧ポンプ、置換ポンプ、および/または流体のカラムが含まれうるがこれらに限定されるわけではない。蠕動ポンプなどのいくつかのポンプ機構によって引き起こされる振動は、任意で流路内での適切な集束を許容するように減衰させることができる。または、振動を用いて、流路内の粒子および標識の混合を促進することができる。当業者によって認識されるように、システムの要件に応じて、流体をポンピングするために形作られる任意の他のポンプを用いることができる。試料、調節物質、および標識の導入が含まれる全てのポンピング要件に関して、単一のポンプを用いることができる。または、独立したポンプシステムを用いて、独立した試料、物質、および標識のシステムへの導入を制御することができる。一般的に、ポンプは、シリコンガスケットなどの気密性のシールを用いてシステムとインターフェースで接続されうるが、特定の形態に応じて必要とされるように、ポンプをシステムにインターフェースで接続するための任意の機構を用いることができる。
【0094】
システムのもう1つの局面において、流路内の流速を調節および制御することができる。これには、流速の制御、流れの妨害、様々な入力流路と出力流路のあいだでの流れの切り換え、および容積測定投与が含まれうる。複数の流路を有する態様において、試料の流速を、同時にまたは個別に制御することができる。流速が同時に制御される態様において、ポンプ機構によって供給される圧力は、流路の平行化の数に応じて必要であれば調節することができる。または、たとえばマルチチャネルの個々に制御可能なシリンジマニホルドが含まれる、当技術分野において公知の様々な技術を用いて、それぞれの流路における流速の可変の示差制御を達成することができる。より詳しくは、入力流路分布は、流路の全ての平行なネットワークを切り離すように改変することができる。出力は、吸引部に接続された単一のマニホルドによって全ての流路からの出力を収集することができる。またはもしくは加えて、それぞれのネットワークからの出力を、下流の処理のために個別に収集することができる。流速は、ポンプ機構、バルブシステム、および/またはコントローラによって制御されうる。
【0095】
任意の数の多様なマイクロフルイディックバルブも同様に、流路の中の粒子の加圧された流れを遮断または遮断を取り除くために、システムに含めることができる。バルブは、任意の数の入口および出口においてまたはその付近と共に、流路、流路分岐、ポンプ機構、およびコントローラにおいてまたはその付近に配置されうる。1つの態様において、それが典型的に静電気誘引力によって主な流路の1つまたは他の壁に向けて変位して、このように選択した分岐流路内で圧抵抗を閉じるまたは変化させるように、流路の分岐点内に薄いカンチレバーを含めることができる。またはもしくは加えて、当技術分野において周知であるように、バルブを、静電気によって作動する隔膜の形状で微細加工することができる。多層構造における可動性の隔膜および柔軟な膜を用いることができ、それによって加圧下で入口、出口、流路、および/または流路分岐においてまたはその付近で抵抗を遮断または変化させるために屈曲が起こり、流れを特定の流路分岐および/または出口に再度向けることができる。そのような微細加工バルブを含めるための典型的なプロセスには、たとえば多層構造において選択的に腐食させた犠牲層を用いることが含まれうる。もう1つの態様において、マイクロバルブには、発動時に、膜が流路分岐、入口、もしくは出口内の抵抗を減少させるように上向きに膨張して、または流路分岐、入口、もしくは出口内の抵抗を増加させるように流路内で下向きに膨張するように、流路分岐、入口、または出口の上の層において形成される、1つまたは複数の可動隔膜または柔軟な膜が含まれうる。このようにして、流路内の粒子の流れを、既定のパラメータに応じて向けるおよび制御することができる。そのようなマイクロフルイディック隔膜に関するさらなる詳細および考察は、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる、2007年10月5日に提出された「Devices and Methods for Cell Manipulation」と題されるPCT公開番号PCT/US2006/039441号において開示される。当業者は、当技術分野において公知の任意のマイクロバルブおよび/または微細加工バルブを、必要に応じてシステム内およびシステムを通して用いることができることを認識するであろう。
【0096】
システムのもう1つの局面において、一定の粒子サイズまたは粒子タイプが流路に入るのを防止することによって流路内での詰まりを防止するために、または下流の処理のために粒子の収集を容易にするために、1つまたは複数のマイクロフルイディックのサイズに基づく分離モジュールまたはフィルターを任意で含めることができる。典型的に、システム内での詰まりを防止するために、最大の流路寸法より大きい粒子を流路に注入する前に除去することができる。1つの態様において、濾過プロセスは、大きすぎるおよび/または小さすぎる埃および残屑が含まれる粒子を、最終的に流路に導入される試料から除去するために、システムとは別に行うことができる。もう1つの態様において、システム内のどこかに1つまたは複数のフィルターを含めることができる。たとえば、試料が流路に入るためにフィルターの中を通過することが必要であるように、1つまたは複数のフィルターを入口の直後に配置することができる。必要なサイズより大きい粒子を除去するために1つのフィルターを含めることができ、必要なサイズより小さい粒子を除去するためにもう1つのフィルターを含めることができる。フィルターはまた、任意で試料が入口に入る前に濾過されるように、陽圧ポンプ機構内に含めることができる。またはもしくは加えて、システムの特定の形態において必要に応じて、フィルターをバルブシステム内、流路内、および/または流路の出力付近に配置することができる。他の態様において、物質からより大きい粒子の分離を容易にするために、システムの一部にわたって流路サイズを逐次的に低減させることができる。
【0097】
当技術分野において公知の様々なタイプのマイクロフルイディックフィルターを用いて試料から特定の粒子サイズまたはタイプを除去することができる。メッシュフィルター、微細加工フリット、柱構造、マイクロポスト、アフィニティカラム、または流路内の流れの制限が含まれる構造フィルターを濾過のために用いることができる。1つの態様において、1つまたは複数のメッシュスタイルフィルターを用いて、試料から特定の粒子を分離することができる。メッシュスタイルフィルターは、一定のサイズの粒子がメッシュ内の特定のサイズの穴または空隙の中を進まないように機械的に防止することができる。加えて、メッシュは、そのサイズ、形状、または変形可能性に基づいて粒子の通過を選択的に許容することができる。増加するまたは減少するサイズの粒子を継続的に除去するために、2つまたはそれより多いメッシュスタイルフィルターを直列または平行に配列することができる。もう1つの態様において、その全内容が参照により本明細書に組み入れられる2007年5月8日に提出された「Microfluidic Device for Cell Separation and Uses Thereof」と題される米国特許出願公開第2007/0264675号において記述されるようなマイクロポストを、チップの出力領域に含めることができる。マイクロポストは、濾過に関する必要に応じてチップの様々な位置に含めることができる。1つの態様において、分析される、および明記された流路またはリザーバーに向けられるタグ付き粒子がもう1つのフィルターまたは分析デバイスによって失われる場合、下流に配置された1つまたは複数のマイクロポストは、より大きい部分が確実に収集されるように、追加の流路または収集リザーバーにこれらの粒子を向けるためのフィルターとして作用しうる。他の態様において、構造に基づくフィルターに加えて、またはその代わりとして拡散濾過を用いることができる。
【0098】
多様な技術を使用して粒子の分離、秩序化、および集束のためにその中に形成された流路を有するチップを二次加工することができる。用いられる技術は、部分的に、チップを形成するために選ばれる材料に基づいて選択されうる。マイクロフルイディックチップを二次加工するための例示的な材料には、ガラス、シリコン、スチール、ニッケル、ポリ(メチルメタクリレート)(PMMA)、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリエチレン、ポリオレフィン、シリコン(たとえば、ポリ(ジメチルシロキサン))、ならびにその任意および全ての組み合わせが含まれうる。これらの材料内で流路を形成するための方法も同様に当技術分野において周知であり、これには、ソフトリソグラフィー、フォトリソグラフィー(たとえば、ステレオリソグラフィー、またはx-線フォトリソグラフィー)、成形、エンボス加工、シリコンマイクロ機械加工、湿式または乾式化学エッチング、フライス加工、ダイヤモンド切削、リソグラフィーによる精密電鋳(Lithographie Galvanoformung and Abformung(LIGA))、および電気めっきが含まれうる。たとえば、ガラスの場合、フォトリソグラフィーの従来のシリコン二次加工技術後に湿式(KOH)または乾式エッチング(フッ素または反応性ガスによる反応イオンのエッチング)を使用することができる。レーザーマイクロ機械加工などの技術を光子吸収効率が高いプラスチック材料のために採用することができる。この技術は、プロセスの一続きの性質のためにより低いスループットの二次加工にとって適している。
【0099】
大量生産されるプラスチックデバイスに関して、サーモプラスチック注入成形、および圧縮成形を用いることができる。コンパクトディスクの大量二次加工のために用いられる従来のサーモプラスチック注入成形も同様に、本明細書において記述されるマイクロフルイディックチップを二次加工するために用いることができる。たとえば、流路のフィーチャーと共にチップ上で必要とされる他のフィーチャーを、従来のフォトリソグラフィーによってガラスマスター上に複製することができる。ガラスマスターを電鋳して、丈夫で熱ショック抵抗性で、熱伝導性の堅い鋳型を生じる。この鋳型は、プラスチックデバイスにフィーチャーを注入成形または圧縮成形するためのマスター鋳型として役立ちうる。チップを二次加工するために用いられるプラスチック材料および完成システムの必要なスループットに応じて、好ましい二次加工法として圧縮成形を選ぶことができる。ホットエンボスまたはレリーフ刻印とも呼ばれる圧縮成形は、小さい構造にとって優れている高分子量ポリマーと適合性である長所を有する。高アスペクト比の構造の場合、注入成形が好ましい二次加工法であるが、これは低分子量構造にとって最も適している。
【0100】
本明細書において記述されるチップなどのマイクロフルイディックチップは、1つまたは複数のピースで二次加工した後、組み立てることができる。1つの態様において、チップの個別の層は、単一の流体に関する流路を含有することができる。チップの層をクランプ、接着剤、熱、陽極結合、または表面基(ウェーハ結合性)間の反応によって、共に結合させることができる。または、1つより多い平面において流路を有するチップを、たとえばステレオリソグラフィーまたは他の三次元二次加工技術を用いて、単一のピースとして二次加工することができる。
【0101】
1つの特定の態様において、チップはPMMAから形成されうる。流路が含まれるフィーチャーを、標準的なフォトリソグラフィーの後に電気メッキを用いて電鋳鋳型に移すことができる。鋳型を用いて、加圧下(5〜20トン)でそのガラス遷移温度(105℃)付近の温度でフィーチャーをPMMAにホットエンボスすることができる。次に、鋳型を冷却すると、PMMAチップを除去することができる。類似または類似でない材料で構成されるチップを密封するために用いられる第二のピースを、真空補助熱結合を用いて第一のピースに結合させることができる。真空は結合領域に空気の間隙が形成されることを防止する。当業者によって認識されるように、チップは、流路内の特異的圧力要件と共に特定の流路の幾何学構造およびサイズ要件に関して必要であれば、任意の材料または材料の組み合わせで形成されうる。
【0102】
図14において図示されるようにおよび先に注目したように、システムには任意でコントローラが含まれうる。コントローラは、粒子が分析領域に入ると集束粒子の処理および分析に順応するためと共に、様々な流速、ポンプシステム、および/またはバルブシステムを制御するために、チップ内および/またはチップ周囲に配列される様々な分析機器またはアナライザーを含める、操作可能に接続する、および/または制御することができる。アナライザーには、たとえば顕微鏡、マイクロアレイ、細胞カウンター等などの、当技術分野において公知の任意の試料分析デバイスが含まれうる。アナライザーにはさらに、1つまたは複数のコンピューター、データベース、記憶システム、およびシステム出力、たとえばコンピュータースクリーンまたはプリンターが含まれうる。いくつかの態様において、アナライザーは、コンピューター読み取り可能な媒体、たとえばフロッピーディスク、CD-ROM、ハードドライブ、フラッシュメモリー、テープ、または他のデジタル保存媒体を含めることができ、プログラム暗号は、粒子の集束したストリームまたは複数のストリームについて行われる検出または分析に関する一組の命令を有する。いくつかの態様において、アナライザーのコンピューター実行可能なロジックまたはプログラム暗号は、コンピューターにロードされるおよび/またはコンピューターによって実行され、電気配線もしくはケーブル配線、光ファイバーを通して、または電磁放射によってなどのいくつかの送信媒体によって送信されうる。一般的な目的のマイクロプロセッサーにおいて実行される場合、コンピューター実行可能なロジックは、特定のロジック回路を作製するためにマイクロプロセッサーを形作る。1つの態様において、コンピューター実行可能なロジックは、試料の調製、希釈、濃縮、ポンピング、流速調節、検出、および/または分析が含まれる、本明細書において記述される作業のいくつかまたは全てを行う。いくつかの態様において、コントローラは、チップ、流路、ポンプ機構、およびシステムの他の成分から離れた配置に存在しうる。たとえば、チップ、流路、および他のシステム成分を、1つの部屋、建物、都市、または立地に配置することができ、コントローラを、もう1つの部屋、建物、都市、または立地に配置することができる。コントローラは、本明細書において記述される、粒子の集束および集束した粒子の分析に関連する技法およびデバイスの任意および全ての局面を形作る、制御する、プログラムする、および/またはそうでなければ管理するために、離れた立地から成分と無線通信するように形作ることができる。コントローラは、ブルートゥース、IEEE 802.11標準、Wi-Fi、ブロードバンド無線、および/または高周波通信、マイクロ波通信、および赤外線通信を用いて達成されうる任意の無線通信が含まれるがこれらに限定されるわけではない、当技術分野において公知の任意の無線技術を用いて、本発明のシステムにおける他の成分と通信することができる。コントローラは、ポイント-ポイント通信、ポイント-マルチポイント通信、放送、セルラーネットワーク、および/または無線ネットワークを利用してもよい。コントローラはまた、ローカルエリアネットワーク、ワイドエリアネットワーク、および/またはインターネットなどの有線ネットワークを利用してもよい。
【0103】
本明細書において記述されるシステムは、診断およびポイントオブケア用途のためにキットまたは単一ユニットとして共に包装されうると企図される。他の態様において、いくつか、任意、および/または全ての成分は、たとえば工業用途においてサイズおよび/または効率を最大限にするために、個々の配置で働くように分離されうる。1つの態様において、診断およびポイントオブケア用途のためのキットまたは単一ユニットには、その上に形成された流路を有する微細加工チップ、ポンプ機構、バルブ、フィルター、コントローラ、および特定の用途にとって必要となる可能性がある任意の他の成分が含まれうる。成分および流路の形態は、特定のユニットにおいて必要に応じて変化しうる。いくつかの態様において、ユニットは、システムの様々な成分、たとえばチップをユーザーの必要に応じて交換することができるオープンシステムの形状でありうる。他のシステムにおいて、ユニットは、成分をユーザーが交換することができないクローズドシステムの形状でありうる。いずれの態様および形態においても、システムの任意および全ての成分は、1回使用、使い捨て、時間制限、再調整および/または再使用可能でありうる。
【0104】
システムの任意および全ての成分は、少なくとも1回使用後に再使用のために再調整することができる。再調整には、本発明のシステムまたはシステム成分を分解する段階の後に、特定のピースの洗浄および/または交換、およびその後の再組立の段階の任意の組み合わせが含まれうる。特に、本発明のシステムは分解することができ、デバイスの特定のピースまたはパーツの任意の数を、選択的に交換または任意の組み合わせで除去することができる。特定のパーツの洗浄および/または交換後、デバイスは、再調整施設でその後使用するために、または技法もしくは試験の直前に外科もしくは研究チームによって再組立されうる。当業者は、デバイスの再調整が、分解、洗浄/交換、および再組立に関する様々な技術を利用することができることを認識するであろう。そのような技術、および得られた再調整デバイスを用いることは全て、本出願の範囲内である。
【0105】
本明細書において記述されるシステムは、従来の広範囲の列挙、ソーティング、濃縮、および秩序化技術において用いることができる。たとえば、標的粒子および細胞集団を操作および分離するためにより正確で効率的な方法が生物学研究においてますます必要である。免疫学およびがん医学から幹細胞生物学までの学問分野は、詳細な特徴付けのために、特定の粒子および細胞サブセットの汚染されていない集団の同定に高度に依存している。臨床的に、微生物学者は、診断目的のために細菌細胞および白血球サブセットをルーチンとして単離している。腫瘍抗原特異的調節性T細胞が、がん患者の循環血中に発見され、これは転移性黒色腫の免疫療法にとって新しい可能性がある標的となる。環境の探知は、特定の細菌細胞の混入に関して水、食物、および飲料水の処理の調査を必要とする。ワクチンの開発者は、抗原特異的Tリンパ球について主に研究を行っているが、この細胞は、細胞表面上に提示されるペプチド断片のわずか1個のアミノ酸が互いに異なるに過ぎないまれな細胞である。これらの異なる用途において、次の一般的な問題が提示される:不均一な複雑な流体内に存在する細胞の亜集団を単離、分離、および特徴付けする必要性。これらの試料の処理の際に、標的細胞集団は、その後の発現プロファイリングおよび分子研究を許容するために、細胞の生理的状態の変更を防止しながら、丁寧に取り扱われなければならない。その上、関心対象細胞は、循環中の腫瘍細胞または疾患特異的Tリンパ球に関して、細胞10,000,000個あたり1個未満という極めて低い発生頻度で存在する可能性があり、難題の複雑さを増加させる。図15Cにおいて示されるように、全血における標的細胞集団の頻度はたとえば、用途に応じて大きく変動し、細胞の完全性を変更することなく、等しい特異性および効率で少量(10μl)および大量(10 ml)の全血の双方を処理することができる動的ソーティングデバイスの必要性を図示している。
【0106】
感度のよいハイスループットのポイントオブケア粒子および血球細胞マニピュレータの用途は、広範囲に及ぶ。遺伝的異常の出生前診断の領域において、たとえば胎児の有核赤血球は、非侵襲性診断の有望な候補である。しかし、母体の血液中の有核赤血球の濃度は、非常に低く(細胞106個あたり1個)、現在の細胞ソーティング技術は、分析に適していない。がん研究の分野において、極めてまれな(細胞109個あたり1個)循環中の腫瘍細胞(CTC)を選択的に単離および特徴付けできることは、患者の診断、予後および処置を変容させることができるであろう。本明細書において記述される本発明のシステムによって提供される増加したスループットにより、細胞頻度がさらにより低いと提唱される非常に初期段階のがん患者における循環中の腫瘍細胞を単離する可能性が存在する。自己/非自己認識にとって根本的であるT細胞は、特異的ペプチド配列または抗原を認識する独自の表面受容体を含有する;体におけるT細胞の正確な多様性は不明であるが、ヒトの血液中には少なくとも2.5×107個の独自のT細胞が存在することが推定から示唆されている。これらの細胞を単離することは、その血液中での頻度がかなり低い場合には、意義深い課題となり、したがって、これらの細胞の統計学的に有意な数を単離するためには大量の試料を処理する必要がある。たとえば、結核に潜在的に感染している個体において、特定のT8抗原に対して特異的なCD8+ T細胞の頻度は、末梢血単核球200,000個あたり1個未満である可能性があり、これは既存のソーティングおよび秩序化システムの感度の限界である。さらにより低い頻度を測定できることは、ワクチンの開発および診断にとって有益となるであろう。それにもかかわらず、全血を1 mlとするとと、5個より少ない特異的な抗原特異的T細胞(ATG)が存在することとなり、このことは、妥当なサイズのATG集団を得るためには、5〜10 mlもの多くの全血試料を処理する必要があることを意味しており、従来のシステムではたとえあるとしても処理を時間的に制約のある様式で行うことができない。
【0107】
本明細書において記述されるシステムおよび方法はこのように、まれな細胞を連続的に高率でソーティング、分離、列挙および分析することができる様式を提供する。特定の細胞がまれな細胞であるか否かは、少なくとも2つの異なる面で見ることができる。細胞をまれであると特徴付けする第一の様式において、まれな細胞は、所定の試料の有意な分画として天然に存在しない任意の細胞であると言うことができる。たとえば、ヒトまたは哺乳動物の血液に関して、まれな細胞は、被験者の血球(赤血球および白血球などの)以外の任意の細胞であってもよい。この観点から、血液中に存在するがんまたは他の細胞は、まれな細胞であると見なされるであろう。加えて、母親の血液試料に存在する胎児細胞(胎児血球が含まれる)は、まれな細胞であると見なされるべきである。細胞をまれであると特徴付けする第二の様式において、試料において、または他の細胞に関して細胞が現れる頻度を考慮に入れてもよい。たとえば、まれな細胞は、血液1 mlあたり細胞ほぼ1〜50個の頻度で現れる細胞であってもよい。または、まれでない細胞を含有する所定の集団におけるまれな細胞頻度には、細胞100個あたり細胞約1個未満;細胞1,000個あたり細胞1個未満;細胞10,000個あたり細胞1個未満;細胞100,000個あたり細胞1個未満;細胞1,000,000個あたり細胞1個未満;細胞10,000,000個あたり細胞1個未満;細胞100,000,000個あたり細胞1個未満;または細胞1,000,000,000個あたり細胞1個未満が含まれうるがこれらに限定されるわけではない。
【0108】
図15Aを参照して、本明細書に記述のシステムの粒子ソーティング形態の1つの態様を提供する。特に、図15Aは、磁気活性化粒子ソーティング形態250の形状での受動的ソーティング機構を図示する。その中に形成された1つまたは複数の非対称流路252を有する微細加工チップが一般的に提供されうる。それぞれの主な流路252の出力領域254に、主流路252を第一および第二の出力流路258、256に移行させるフォークまたは流路分岐点が含まれうる、チップの分析領域も同様に提供されうる。試料260を、システム250に導入するために調製することができ、既定のサイズの標的粒子262を、単一の密集して局在するストリームに集束させるために非対称に曲線を描く流路252に向けることができる。
【0109】
関心対象の粒子を磁性にするための磁気標識、タグ、マーカー264、または試薬を、試料を流路252に導入する前に、および/または粒子262が集束した後で粒子262が分析領域に入る前に、システム250に導入して、試料260と共に混合することができる。当業者によって認識されるであろうように、任意のおよび全ての従来のMACS法および技術を、先に注意したように、および図示される態様に関連してさらに記述されるように、本発明のシステム250と共に用いることができる。たとえば、粒子262は、細胞の特定の表面抗原に対する抗体によってコーティングした磁気ビーズの形状で磁気マーカー264と共にインキュベートした細胞でありうる。これによって、この抗原を発現する細胞に、磁気ビーズを付着させる。他の態様において、有核赤血球などの一定の細胞を、細胞質ヘモグロビンの酸化状態を還元剤によって変更することによって磁性にすることができるであろう。加えて、細胞を内因性の磁気特性に基づいてソーティングすることができる。インターナライズされた鉄含有粒子を有する細胞、たとえば飽和したトランスフェリン受容体を有する細胞を、その高い磁気モーメントに基づいて他の細胞から分離することができるであろう。なおもう1つの例において、赤血球を摂取したマクロファージは、摂取した赤血球におけるヘモグロビンの磁気特性のために、他のマクロファージおよび白血球から分離することができる。しかし、磁気マーカー264のタイプ、粒子を同定するために用いられる磁気特性、または磁気マーカー264が導入される場所によらず、マーカー264は、それらが分析領域に入ると粒子の集束したストリーム内で既定のタイプの標的粒子262に最終的に付着するであろう。
【0110】
図15Aにおいて示されるように、流路252は、流路252の非対称形状部分を残す標識粒子262および非標識粒子266の集束したストリームが、第二の出力流路256に自然に流れるように形作ることができる。磁場勾配および/または磁場268などの磁気バイアスエレメントを、磁気標識粒子262が磁場268に反応して集束したストリームから一定距離離れて偏向して、第二の流路出力256ではなくて第一の流路出力258に入るように、流路分岐点付近の分析領域254の全域に適用することができる。任意の流路幾何学構造、たとえば流路252の直線、対称、および/または非対称湾曲によって提供される密集して集束したストリームは、標識粒子262を第一の流路出力258に向けるために必要な磁場268による偏向がごく比較的少量であるような形態を許容する。これによって、本発明のシステムは、集束した粒子ストリームについて必要なより小さい偏向がより高い流れの条件を許容することから、より低ノイズで、より良好な精度で、およびよりハイスループットで作動することができる。1つの態様において、密集して集束したストリームにおける流れの軌跡を偏向させるために必要な最小限の偏向により、弱い磁気モーメントによって細胞を分離することは許容可能である。そのように向けられた場合、標識および非標識粒子262、266をさらに必要に応じて同定、ソーティング、計数、収集、およびそうでなければ分析することができる。当業者は、この形態において任意の流路幾何学構造を用いることができること、ならびに粒子のストリームを分離して、平行な形態でソーティングを行うために、任意の数の流路および流路分岐点を含めることができることを認識するであろう。
【0111】
粒子ストリームの精度は、最初の粒子位置の精度が増加すれば、磁気偏向後の疑陽性が低減され、およびスループットが増加することから、先に記述した種類の磁気ソーティング用途にとって必須である。中心位置の変動が<100 nmである粒子の単一の秩序化されたストリームを発生させるために、必要な最低の慣性力を計算して用いることができる。より弱い慣性集束平衡位置は、標識粒子の磁気偏向を容易にすることができる。この値は、高速カメラデータからの画像を分析することによって測定することができ、流路の長さは、より低い慣性力を代償するために必要に応じて調節することができる。1つの態様において、強い平衡集束力を最初に生じさせ、その後流路の幅を徐々に増加させることによって大きさがより小さい力へと徐々に変化させる設計は、有効な流路の長さを低減させることができる。
【0112】
図15Bは、本明細書において記述されるシステムの粒子ソーティング形態のもう1つの態様を図示する。一般的に、能動的ソーティング機構は、蛍光活性化粒子ソーティング形態280の形状で提供される。図15Aと同様に、その中に形成された1つまたは複数の非対称流路282を有する微細加工チップを提供することができる。チップには、それぞれの主流路282の出力領域に対して近位の分析または検出領域284が含まれうる。各流路282には、主流路282を第一および第二の出力流路288、286に移行させるフォークまたは流路分岐点が含まれうる。
【0113】
従来のFACSシステムにおいて行われるように、光源294に反応して検出可能である光学的に感受性のタグによって、既定のタイプの粒子292をタグ付けすることによって、試料290を、システム280に導入するために調製することができる。一般的に、タグは、粒子または粒子の特徴に、たとえば粒子に会合するマーカーに会合するであろう。タグは色素、蛍光、紫外線、化学発光物質、発色団および/または放射標識となり得、そのいずれも、蛍光を発生させるために刺激事象によってまたは刺激事象がなくても検出することができる。いくつかの態様において、一定の粒子はタグを必要とせずに天然に光学的に検出可能であってもよく、他の態様において、タグ付けされた粒子は、散乱反応を刺激するために光源を用いなくとも光学的に検出可能であってもよい。光学的に感受性のタグを、システム280に導入する前に試料290と共に調製することができ、または試料290を流路282に導入して、粒子292がチップの検出領域284に達する前の何らかの時点でタグを導入することができる。当業者は、任意のおよび全ての従来のFACS法および技術を、先に注目したように、および図示される態様に関連してさらに記述されるように、本発明のシステムと共に用いることができることを認識するであろう。試料290が非対称流路282に導入されると、粒子が光学的にタグ付けされているか否かによらず、既定のサイズの粒子を、分岐点に達すると第二の出力流路286に自然に流れる粒子の単一の局在して秩序化したストリームに集束させることができる。
【0114】
光学アセンブリ296をチップの検出領域284の近位に配置することができ、これには一般的に、光学的に感受性のタグ付けされた粒子292を検出するために、分岐点の前の一定の距離で流路の出力周囲に配置される光源294、フィルター298、光学素子300、および検出器302が含まれうる。光源294は、それらが流路280の検出領域284の中を通過すると、集束して秩序化した粒子のストリームにおいてそれぞれの個々の粒子を照射することができる。粒子が照射されると、検出器302は、粒子292および/または粒子292に結合したタグによって散乱した光を検出することができ、それによって既定のタイプとして粒子を同定することができる。一定のプリセットパラメータに基づいて、検出器302は、検出領域284の中を通過する粒子のタイプに関してコントローラ304にシグナルを通信することができる。
【0115】
既定のタイプの粒子292が検出領域284の中を通過して、分岐点に近づくと、コントローラ304は、適切な時間に、たとえば先に考察したタイプの任意のマイクロフルイディックバルブを用いて第一および第二の出力流路288、286に関連する流れの抵抗の変化を活性化することができる。1つの態様において、バルブの膜または隔膜306は、分岐点で第二の出力流路286の中に陽圧下で膨張することができ、それによって試料の流れに対する抵抗を増加させて、タグ付けされた粒子292が第二の出力流路286に流れないように防止する。同じ様式で、および適切な時間で、バルブ膜または隔膜308は、分岐点で第一の出力流路288からまたはそこから離れて陰圧下で膨張して、それによって、第一の出力流路288の中の流体抵抗を減少させて、粒子292が第一の出力流路288に流れることを許容する。
【0116】
もう1つの態様において、検出システムにはまた、蛍光偏光(FP)システムが含まれうる。遊離の色素に対する色素によってタグ付けされた粒子の偏光の変化によって、所望の粒子のゲート設定およびソーティングが可能となりうる。FPを用いて、タグ付けされた異なるサイズの粒子が異なる偏光値を示し、個々の出口に異なるように分離されうることから、タグ付けされた粒子をさらに、サイズの差によって分離することができる。検出器は、FP値を測定して、コントローラにシグナルを送り、次に先に記述したように、粒子を適切な出口に向けるために流路の抵抗を適切に変化させる。
【0117】
図15Aの磁気システムに関して、図15Bの蛍光システムは、従来のシステムに対して有意な長所を提供することができる。粒子の鋭敏な集束のために、特定の粒子の方向を決定するためには方向のごくわずかな変化が必要であるに過ぎず、より少ないノイズでより高いスループットが可能となる。加えて、システムは流路の長さに沿って個々の粒子の別個の位置をより確実に区別でき、かつ出力分岐における流れの抵抗の変化はより容易に精度のための時間となりうることから、粒子の長手方向の秩序化は、ノイズを有意に低減させる。そのように分割されると、タグ付き粒子292と共に任意のタグ付けされていない粒子を、必要であればさらに同定、ソーティング、計数、収集、およびそうでなければ分析することができる。当業者は、任意の流路幾何学構造をこの形態において用いることができ、平行な形態において粒子のストリームを分離してソーティングを行うために、任意の数の流路および流路分岐点を含めることができることを認識するであろう。
【0118】
他の態様において、既存の粒子列挙システム、たとえばフローサイトメトリー、FACS、および/またはMACSに、より正確な粒子列挙を提供するために本発明のシステムを含めることができる。長手方向に秩序化した粒子の密集して集束したストリームは、既定のタイプの粒子の計数において極度の精度を提供する。集束したストリーム内の粒子は、それぞれの粒子が、粒子の凝集塊による誤差をなくしながら、個々に計数および分析されるチップの分析領域内の既定の点を通過することができるように、秩序化される。
【0119】
1つの態様において、本発明のシステムは、希釈した試料から既定のタイプの粒子を濃縮するために用いることができる。まれであるまたは希釈する試料内の粒子を、先に注目した任意の幾何学構造を有するシステムの流路に導入することができる。粒子は、その中で既定のタイプの粒子が当初の試料と比較して最終的な試料においてより高い頻度で存在する濃縮試料を達成するために、連続的に高速でソーティングおよび集束されうる。流路内を、濃縮試料を含有する収集リザーバーまで流れる当初の希釈試料から集束した粒子の少量を除去するために、チップ上で単一の流路および/または多数の流路からの分岐を含めることができる。このような濃縮試料は、まれな粒子および/または希釈試料を起源とする粒子のより容易な分析および操作を提供することができる。
【0120】
先に記述したソーティングおよび計数が含まれる様々な用途のために、任意の数のシステム形態を提供することができる。他のシステム形態は、様々な流路幾何学構造において粒子の集束に関連する一定の特定の結果および/または特性を達成するように設計することができる。以下の実施例において、本明細書において記述されるシステムに関連する一定の特性をより詳細に考察する。一定の特性またはパラメータを参照して一定の実験条件が考察されるが、特性およびパラメータは、任意の流路幾何学構造に広く応用可能であると理解される。このように、本発明のシステムは、以下の実施例において考察される任意の数の特性およびパラメータを、同定、ソーティング、計数、および達成するために様々な様式で形作ることができる。
【0121】
実施例1
本明細書において記述される様々な流路幾何学構造における粒子の秩序化および集束は、図16A〜16Cを参照して考察されるように、相対的な粒子密度によって影響を受けない。浮遊する粒子の密度が溶液より高くまたは低くなるように(すなわち、正または負の浮力)浮遊液の密度を変化させても、集束は乱されず、図16Aおよび16Bにおいて図示されるように一貫した配置に留まりうる。たとえば、浮遊液(ρ=1.00 g/ml)より密度が低い(シリコン油、ρ=0.95 g/ml)および密度が高い(ポリスチレン、ρ=1.05 g/ml)粒子を、同時にローディングすると、両者は図16Cにおいて示されるように同じ位置に集束する。粒子の集束に関して粒子密度が依存しないことは、粒子に直接作用する支配的な遠心力とは一貫せず、ディーン抗力FDが対称性の低減に至る支配的な効果であることを示唆している。
【0122】
特に、先に詳細に注目したように、曲線状の流路に存在する効果には(i)浮遊する粒子に対する慣性(遠心)力(Fcfg=ΔmUp2/r)、および(ii)流体自身の慣性による二次回転流れ、ディーン流れが含まれる。一定の幾何学構造に関して、ディーン流れの平均速度は、Deの二乗に比例する。この二次流れにより半径aの浮遊粒子に作用する可能性がある2つの抗力が考慮される。粘性(ストークス)抗力(FD=6πμaUD)および圧抗力[FP=(1/2)ρπUD2Cda2]はいずれも有意となる可能性がある。単一の集束したストリームにとって必要である速度条件は、システムに作用する可能性がある力の大きさの順序の計算を許容した。集束が成功するための流路速度範囲における10μm粒子の場合、FPはFDの大きさの<5%であり、粒子サイズが小さいために、粘性抗力(1〜10 nN)がなおもより有意であることを示している。しかし、流路速度が増加すると、圧抗力がDeの四乗と共に増加するが、粘性抗力はDeの二乗のみと共に増加することから、圧抗力はより支配的な役割を果たす可能性がある。この関与は、多数のストリームへの集束が起こる、より高い速度レジームにおける粒子の動きにとって有意となる可能性がある。同じ集束に成功したレジームにおいて、流れる粒子に及ぼす遠心力も同様に、粘性抗力による力より大きさがより小さい(Fcfg〜0.1から0.4 nN)。
【0123】
粒子の伴流および流れの場との相互作用を無視するこの予備的な分析に基づいて、特定の安定な位置を偏らせることの原因となる支配的な力は、ディーン流れによる粘性抗力であるように思われる。加えて、浮遊する流体よりも密度が小さいおよび大きい粒子は、反対方向の遠心力を経験して(Δmは反対の符号である)、単一のストリームへの集束に至らないであろう。これは、ディーン流れによって誘導される粘性抗力が制御力であることをさらに示唆している。非対称の流路は図4において示されるように機能する可能性がある。ここで、流路の中心線に沿う粘性抗力はより大きく、方向の偏りに至るが、重ね合わされる慣性揚力により、潜在的最小点に既に存在する粒子は捕捉されたままとなる。これらの粒子は、2つの渦が分割または再結合する領域では粒子に対する粘性抗力がより低いために、逃れることができない。
【0124】
実施例2
本明細書において記述される例示的な流路幾何学構造における粒子は、図17Aおよび17Bにおいて示されるように、極端な精度および安定性で秩序化および集束されうる。特に、フローサイトメーターおよびコールターカウンターシステムにおいて集束させるための現象の有用性を証明するために、粒子の集束したストリームの経時的な安定性をアッセイする。慣性によって集束したストリームの安定性および精度は、10μmポリスチレン粒子の溶液をRp=0.24の10分間の連続的な流れに対して撮像することによって特徴付けすることができる。図17Aおよび17Bにおいて示される例において、それぞれの画像は、露出時間700ミリ秒を有し、平均で、通過する粒子1,100個をサンプリングした。図17Aにおいて、各ストリームから強度プロフィールを得て、このプロフィールにガウスフィット(Gaussian fit)を行う。関係する2つのパラメータが存在する:ガウスフィットの中心位置ならびに各時点で抽出およびプロットされる半値全幅。図17Bにおいて、これらの2つのパラメータを同じ軸におけるそれぞれの点でプロットする。集束したストリームの半値全幅の平均値は、同じ顕微鏡システムで撮像した粒子の半値全幅の平均値より5%大きかった。集束したストリームの中心位置の標準偏差は、y方向に80 nmであると決定され、集束したストリームの幅の平均値は、単一の粒子の幅の平均値のわずか1.05倍に過ぎなかった。磁気、光学、および誘電泳動などの他の外力も同様に矩形の流れの場における特定の平衡位置を偏らせるために用いることができるが、曲線状の流路構造に関して流体力学的力を用いるアプローチは理想的である可能性がある。追加の力は、流速と共に増加し、粒子を集束させるために軽微な幾何学構造の変化が必要であるに過ぎず、追加の機械または電気的パーツは必要ではない。
【0125】
実施例3
図18A〜18Dは、流路の横平面全域での粒子の集束に加えて、流れのラインに沿って長手方向での粒子の自己秩序化も同様に起こりうることを図示している。高速撮像(2μsの露出)を用いて、図18Aおよび18Bにおいて示されるように矩形流路における4つの安定な側方位置のあいだで交互する、または図18Cおよび18Dにおいて示されるように非対称の流路に関して単一のストリームに濃縮される、均一な間隔を有する粒子(粒子10〜15個)の特徴的な長い連なりを明らかにすることができる。特に、図18Aおよび18Cは、Rc=120の流速における直径10μmの粒子を表す。図18Aにおいて示されるように、粒子の連なりは、偶然にいくつかを占有するのではなくて位置のあいだで交互する傾向がある。図18Bおよび18Dは、直線流路において36μmの平均距離、および曲線状流路において48μmの平均距離で粒子の秩序化を確認する自己相関関数(ACF)を表す。
【0126】
上記の態様によって図示されるように、閾値より下の粒子-粒子距離は好ましくなく、長手方向の自己秩序化が起こる。図18Bおよび18Dにおいて示されるように、非対称に曲線を描く流路よりも矩形流路において、より高いRcでより短い好ましい距離が観察される。本明細書において記述される秩序化された粒子の連なりは、マクロスケールシステムと同等であり、この場合剪断流れにおける回転する粒子の周囲の二次的な流れの相互作用から好ましい距離が生じる可能性があると仮定されている。この場合、離された二次流れ自身が物体として作用する可能性がある。たとえば、大きい(直径約1 cm)円柱チューブにおける剛性の粒子(直径約0.5 mm)は、Rc〜450より上で長い連なりを形成し、安定な粒子間間隔はRpと共に減少するであろう。本明細書において記述されるシステムにおいて、より低いRc〜90では強い秩序化が起こる。
【0127】
実施例4
もう1つの態様において、追加の粒子の秩序化および整列は、図19A〜20Bを参照して観察されうる。希釈した(2%v/v)全血における細胞の自己秩序化は、図19Aにおいて示されるように、緩衝液中の粒子に関して起こる。細胞などの変形可能な粒子は、適用された流れの場における追加の流体力学的力を経験する可能性がある;しかし、実験結果から、全血、小滴、および培養細胞は、直線および曲線状のマイクロチャネルにおいて剛性の粒子として挙動することが見いだされた。図19Bは、焦点が合った粒子を表すカーネルによるデータのたたみ込みによって画像から得られたピークプロットのセグメントを図示する。ここでの強度は、平面内の粒子に対する適合レベルを表す。割合=15,000個/秒での画像がこのシステムにおいて得られた。一連の画像から抽出した時系列を用いて、検出容積の中を流れる粒子を計数して、図19Cにおいて示されるように分析することができる。粒子間の距離のヒストグラムをプロットすると、容易な分析を許容する粒子の間隔に対する限界が証明される(粒子の5%が16μm離れるより近い間隔で存在する)。
【0128】
非対称粒子における軸回転整列の第四の次元も同様に、本明細書において記述される流路内で起こりうる。図20Aは、検出領域の中を20ミリ秒のあいだに流れる赤血球の空間的マップを図示する。細胞の回転、軸、および集束整列は、拡大するとより明らかに認められうる。ここで、赤血球を画像の平面において円板面で整列させる。特に、円板状の赤血球は、図20Bにおいて最も明らかに認められうるように、矩形流路壁に対して円板の軸が平行となるように、回転して整列した。
【0129】
実施例5
図21〜22を参照して、異なるサイズの細胞および粒子に関する様々なレベルの集束が、異なるサイズの粒子の示差的な集束に直接由来する分離の応用として提供される。曲線状の非対称流路に関して、広範囲の粒子直径(2〜17μm)および流路サイズ(Dh=10〜87μm)を広範囲のRc=0.075〜225にわたって試験した。集束の結果を、図21において示されるように、Deおよび比a/Dhの関数としてプロットした。特に、図21のプロットした結果の上の記号表において示されるように、集束なしは黒四角に対応し、2つのストリームへの集束は白い三角に対応し、単一のストリームへの集束は白丸に対応し、より複雑な挙動は黒三角として示される。このグラフのデータは、様々なサイズの粒子(2〜17μm)と共に異なる4つの流路幾何学構造を用いて収集した。
【0130】
図21において示される結果は、特定の幾何学構造とは無関係に特定の領域内に入る任意の直径比およびディーン数に普遍的に適応する。たとえば、10μm流路における2μmの粒子は、1μm流路における200 nmの粒子と同程度に集束するはずである。加えて、一定のRcで直線矩形流路において進む側方距離は、理論的に、a/Dhの三乗と共に増加することが示され、運動性の分離を生じる。特に、図22は、a/Dhに対する粒子集束の依存性を図示する。出口でのストリーク画像は、Re=100の流れに関して入口から3 cm下流で示される。画像は、流路から流路への流れのプロフィールの均一性を図示するために2つの分岐の再結合部で示される。a/Dhが減少すると、集束はより拡散するようになり、このことはy方向の面でより浅くなる潜在的くぼみを示している。これは、y力が存在せず、集束が流路の上下のみで起こる、無限に広い流路の限定的な場合となる。実際に、正方形の流路における粒子に関する直径比が減少すると、流路は、改変された輪に集束する円形の流路の特徴を示し始める(a/Dh=0.04についての端部での高い強度に注目されたい)。所定の距離で、Rpが増加すると集束はより限定的となり、Rp2に対するFzの依存性に従う。
【0131】
非対称システムに関して、ディーン流れによる追加の効果は、粒子を単一のストリームに首尾よく集束させるために、粒子および流路寸法の許容範囲を作るように慣性揚力に沿って作用する。実験データおよび理論的計算から、粒子集束が成功する大きい領域は、a/Dh>0.07である場所に限定されうる。この値より下では、a/Dhに比例する2つの効果によって、集束が失われる可能性がある:(i)慣性による移動((a/Dh)3に比例することは、流路の所定の長さにおける完全な集束のために必要とされる場合より遅い);または(ii)ディーン抗力は、a/Dhが小さくなるとRcの全ての値に関して慣性揚力よりも極めて大きくなる。もう1つの制限は、De>20の場合に認められる;このレベルを超えると、ディーン渦からの抗力は、ほとんどの粒子サイズに関して慣性揚力より大きくなり、粒子の混合に至る。なおも、特定の平衡点(値FD=0.5 nNによって一定の平均的なディーン抗力のラインを引く)を偏らせるためには十分なディーン流れが必要である。最後に、実際の限界はa/Dh=0.5で認められ、この場合流路の粒子による閉塞が起こる可能性がある。
【0132】
図21においてプロットされるデータは、相図と類似であるように思われ、正確な設計条件を決定するために極めて重要である。特に、ダイヤグラムにおける垂直方向の動きは、流路幾何学構造が一定に保持される場合、変化する粒子サイズに対応する。分離を行うために、粒子サイズの小さい変化が集束から非集束ストリームへの変化に至る、相図における領域(すなわち特定の幾何学構造)を選ばなければならない。このように、1つの粒子サイズが、特定の流線に集束して、濃縮分画として収集することができ、他のより小さい粒子は集束されない。
【0133】
実施例6
他の態様において、それらが作動する高いRcのために、これらのシステムを用いてハイスループット分離が可能であり、その例が図23A〜23Cにおいて示されている。1%粒子溶液の1.5 ml・min-1の流束では、約1 g・hr-1の大量ソーティング速度が、1.6 cm2の面積を覆う非最適化デバイスに関して達成されうる。サイズが近い粒子(4および7μm)はまた、図23Aにおいて示されるように非対称の流路幾何学構造を調整することによって分離することができるが、わずかにスループットが低い。これらのシステムにおいて、流れを駆動するために圧力以外に外から適用された力はなく、したがって、図23Cにおいて示されるように、濃縮およびスループットを非常に高いレベルまで増強させるために、これらの設計エレメントを段階的に行って平行にすること、または1つより多いサイズ閾値を超えて分離するように、異なる水力直径を有するエレメントと組み合わせることは直接的である。理想的には、純粋な分画は、ストリーク画像を左に示し、集束が中央のフレームにおいて示され、および4つの収集流路が出口で示される図23Aにおいて示されるように、多数の出口を用いることを通して収集することができ、流路1および3での分離の実現可能性を証明する。図23Bはそのような分離をさらに図示する。その中に粒子の無秩序分布を有する入口が示される。示されるように、1つのタイプの粒子を集束させて、試料の残りから分離することができ、異なる3つの出口1、2、および3を提供することができる。集束した粒子は、出口1に向けられ、示されるようにリザーバーにおいて収集されうるが、試料の残りは出口2および3において収集される。ほとんどのマイクロフルイディックシステムに典型的に、デバイス面積15 cm2での確定的変位に関して、30 mg・hr-1というスループットが記述される。しかし、まれな細胞のサイトメトリーおよび精製または工業的濾過を扱う用途において、スループットの増加は必須である。
【0134】
実施例7
図24を参照して、剛性の粒子、乳濁液、および血液成分の迅速(1 mL/分)な分離および濾過も同様に提供される。1つの態様において、システムにおける流れの条件を、起こりうる最高流速による最善の粒子の集束を達成するように調整した。10μm蛍光ビーズのストリーク画像を、本明細書において記述されるシステムにおいて様々な制御された流速で示す。図24において示されるように、低い流路レイノルズ数に関して、粒子は流路の幅全体に無秩序に分布することが認められる。Rpが増加すると、より大きい幅の流路の外端付近で1つの集束したストリーク線への漸進的な変化が起こる。Rpが約2より大きい場合、粒子のストリームは重ねてさらに拡散するようになる。同様に、粒子のレイノルズ数が増加すると、集束したストリーク線の位置がより大きい曲がり目の壁から動くことも観察される。このデータを用いて、最適な流速、たとえば0.9 mL/分(Rp=1.53)を用いて、例示的な分離用途のために本明細書において記述されるシステムを作動させることができる。
【0135】
実施例8
図25〜27を参照して、流速0.9 mL/分で、直径9.0および3.1μmのポリスチレンビーズの混合物20 mlをシステムに導入することができる。図25において示されるように、蛍光ストリーク画像は、双方の粒子サイズに関して入力時に本質的に均一に分布した粒子位置を明らかにする。デバイスの出口では、直径9.0μmの粒子は集束したストリーク線で観察されうるが、3.1μmの粒子は集束されないままであった。1つの態様において、5つの分画をシステムから収集して、図25におけるスキームに従って標識した。粒子直径の分布を、入力溶液および様々な出口分画に関してコールターカウンターによって得て、その分布を図26Aにおいて示す。3.1μmの粒子のサイズ分布は狭く、3.6および4.2でいくつかの余分のピークを含有したが、これは2つまたは3つ凝集した粒子に対応する。全ての出力分画に関して、3.1μmの粒子の有意なレベルが存在した。しかし、9μmに集中する粒子分布の有意な大部分が分画5から収集された。
【0136】
分画4はまた、図26Bにおいて示されるようにいくつかのより大きい粒子を含有し、興味深いことに、収集された粒子は、大きい粒子の初回分布より20%狭い分布で8μmに集中するより低い平均値を有した。収集された粒子の平均値および標準偏差を、計数をガウス分布に適合させることによって決定した。3.1μm粒子からの大きい粒子の濾過に関する純度および収率を図27に示し、この場合、百分率は粒子の絶対数を指す。純度は、直径3.1μmであった濾液の分画における総粒子の百分率として定義され、収率は、回収された合計3.1μm粒子の百分率である。図27において示されるように、収率と純度のあいだには明確なトレードオフが存在し、これは特定の用途に関する収集戦略を決定するために有用となりうる。
【0137】
実施例9
システムのもう1つの態様を図28を参照して記述することができる。大量の粒子を比較的短期間に濾過することができることから、図25において示されるような分離を、5つの出口からの濾液を2つのプールに融合する場合、より高レベルの濃縮に達するように一続きで容易に段階的に行うことができる。図28は、2つの階層での段階的分離に関するデータを表す。1つの態様において、分画1〜4からの濾液をプールして、再度システムの中に流して、同じことを分画5についても行った。各階層で報告される重要なパラメータは、粒子の絶対数、3.1μm対9μm粒子の比(比3/9)、および濃縮比(すなわち、階層0 3/9比によって除した階層X 3/9比)である。この試料は、初回通過分の分画1〜4をプールする段階、これをシステムの中に流す段階、および分画1〜4を再度収集する段階からなった。特に、2回の階層の分離後、初回の3.1μm粒子の約56%が試料において収集され、9μm粒子の数は、大きさが3桁低減された(すなわち99.9%精製)。
【0138】
実施例10
本実施例において、変形可能な粒子の挙動を図示する。特に、一般的に溶液中で不混和性の流体の小滴は、流路におけるその集束挙動が他の粒子と同じように挙動することが示されている。図29A〜29Cにおいて示される態様において、剛性ではない様々なサイズのシリコン油滴も同様に、本明細書において記述されるシステムを用いて分離することができる。シリコン油滴(ρ=0.95 g/cm3、μ=10 cst)の連続的な分布(サイズは<1〜20μmの範囲)を、図29Aにおいて示されるように、流速0.9 ml/分でシステムに導入することができる。特に、示されるように、小滴の入力溶液は十分に混合される。分離流路の中を通過した後、より大きい小滴は、集束することが認められるが、より小さい小滴は集束されないままである。収集された5つの分画は、位相差顕微鏡によって大きい小滴の含有量に明白な差を示し、これは図29Aにおいて示される流線の集束に関するビデオ結果と一致した。分画はまた、図29Bにおいて表される、顕微鏡データと良好に一致する粒子サイズ分布も示した。収集された分画に関する連続的な小滴のサイズ分布は、例示的な幾何学構造による分離に関するサイズカットオフを明らかに示している(50%枯渇位置を正確に決定するために、分画3からのデータをボルツマンシグモイド関数に適合させることにより、3.7μm)。
【0139】
図29Bにおいて示される分布に従って、等しい数の4.5μm粒子が3μm粒子から分離純度>90%で濾過されて、3μm粒子の50%が回収されうると推定することができる。興味深いことに、剛性の粒子のサイズカットオフは、変形可能な粒子のカットオフと類似である。たとえば、<2〜40μmの範囲の異なる分布を有する剛性のPDMSビーズを、図29Cにおいて示されるように同じシステムおよび流れの設定を用いて分画することができる。この場合、分画3のサイズカットオフは、変形可能な粒子に関してわずかに高い4.0μmであると決定された。もう1つの顕著な差は、分画5におけるより小さい粒子のより大きい濃度、および分画1〜3におけるより大きい粒子の低減である。全体的に、剛性のおよび変形可能な粒子の分離挙動は著しく類似であるように思われ、大きい粒子の大部分が分画5において収集され、より少ない程度に分画4において収集される。いずれの場合においても、分画2は、全サイズ範囲に対して粒子の最低濃度を有する。
【0140】
実施例11
先に記述した例示的なシステムのサイズカットオフは、図30を参照して図示されるように、他の血液成分からの血小板(2〜4μm)の分離にとって有用である。1つの態様において、希釈した血液(PBSにおける2%全血)における血球からの血小板の分離を、同じ流速0.9 ml/分を用いて検査することができる。血液の細胞成分は、球状の白血球(WBC)に関して大きさが7〜15μm、円板状のRBCに関して6〜8μm×2μmの範囲であるのに対し、血小板は直径が2〜4μmである。血液1マイクロリットルは、RBC〜5×106個、血小板(2〜5)×105個、WBC2(5〜10)×103個を含有する。2%に希釈した当初の血液溶液を図30において示されるように、フローサイトメトリーによって検査した。血液中の血小板対他の細胞成分の初回の数の比は、0.04であった。希釈した血液10 mL(全血200μL)をシステムの中に通過させて、様々な5つの分画を収集した後、血小板集団の濃縮または枯渇が観察された。分画5において、血小板の量は、より大きい細胞と比較して2倍枯渇したが、分画3では、血小板の相対量は100倍濃縮された。
【0141】
実施例12
小さいRpに関する理論的仮定にもかかわらず、集束のための最適な流速を示唆する実験データは、理論的予測と一致する。低い最大流路速度(Um)では、揚力が支配的である;しかし、図24において既に図示したように、低い粒子レイノルズ数Rpを有する流路では、粒子が平衡位置に達するために十分な距離が流路内にない。Umが増加すると、揚力対抗力の比(RD)は1に近づく;この場合、図24において中間のレイノルズ数Rpを有する2つの流路において示される、ディーン抗力および慣性揚力の重ね合わせにより、単一の平衡位置が都合がよい。Umがさらに増加すると、Rfは流路の断面の全域で1未満となり、図24において高いRpを有する流路によって図示されるように、集束はディーン抗力によって乱される。これらの結果は、有限のRpに関する理論が、用いられる小さいRp理論と類似の、流れの速度の増加に対する依存性を有するはずであることを示唆している。
【0142】
集束のためにサイズカットオフを決定する実験データを用いて、所定のサイズカットオフで集束するであろう今後の幾何学構造を予測するための半経験的関係を開発することができる。本明細書において記述される特定の条件に関しては、直径4.0μmの粒子に関してRf〜1、水力直径90μm、およびRc=115である。サイズカットオフacのために新しい幾何学構造を決定するために、実験パラメータを以下の等式に置き換えることができる:

【0143】
曲率半径が新しいシステムにおいて一定のままであると仮定すると、新しい水力直径は所望のカットオフの関数である:

【0144】
この関連は、カットオフ8μmのためには、幅が一定のままであれば流路の高さ約95μmに関してDh 150μmが必要であることを示唆している。この値は、単一の幾何学構造に基づく力の釣り合いのスケーリングのために獲得することができる;値が個別の幾何学構造に関して収束するか否かを決定することは、このアプローチに対するさらなる支持を提供するであろう。全体として、半経験的アプローチは、個々の力の大きさを提供することなく、揚力対抗力の比に関するスケーリングを提供する。揚力の大きさに基づく集束の速さは、基本的な等式から計算することができる。
【0145】
血球は、剛性の粒子と変形可能な小滴のあいだの連続体に入ると見なされる可能性がある。しかし、小滴は剛性の粒子(3.7対4.0μm)と類似のサイズカットオフを有することが測定されていることから、先に表した等式も同様に細胞に適用可能である。変形可能な小滴と剛性の粒子のあいだに不一致がないことは、追加の関与がほとんどなく、類似の慣性揚力対ディーン抗力の比を示唆している。ソーティングされた小滴の分画5におけるより小さい粒子の相対的低減、および分画4における収集範囲の低減が含まれる差は、流れにおける変形により柔軟な粒子に作用することが知られている力、すなわち流路の中心に向かって変形可能な粒子を押すようにさらに作用する変形誘導揚力による可能性がある。しかし、慣性揚力は、小さいしずくに関する小滴の挙動を支配することが示されていることから、または小滴対浮遊流体のあいだの粘度比が1であるかもしくはそれより大きい場合、これらの差は、慣性の流れにおいて小さいはずである。非常に粘性の小滴または細胞に関して、小滴はほとんど剛性の粒子として挙動すると予想されうる。
【0146】
実施例13
図31を参照して、粒子間相互作用は、分離において役割を果たし得、それによって総体積分画が異なる溶液に関する多様な挙動が起こる。システムは、粒子を特定の流線に集束させることから、その中で全ての粒子が接触して単一の列に整列する粒子濃度の1つの上限約5%を計算することができる。しかし、この濃度より下であっても、粒子-粒子効果は、集束の程度を制限しうる。粒子は、図31において認められうるように、慣性揚力およびディーン抗力の正確な値にとって必要な流体の理想的な放物線の流れを無秩序に乱す。特に、図31は、秩序化に対する粒子濃度の効果を図示した。50μm集束流路の中を流れる9μmビーズの漸増濃縮溶液に関する蛍光ストリーク画像を示す。単一のストリームに対する理想的な集束は、ポリスチレンビーズの0.1%体積分画において認められる。1%での集束はまた、比較的乱されないままである。濃度がさらに増加すると、集束はより大きい程度に乱される。集束が1列のストリームとなりうる最高濃度は、この幾何学構造に関して約4%であるが、この計算は、粒子が接していることを仮定しており、物理的ではない。この濃度より下では集束はなおも乱される。
【0147】
実施例14
図23Cと共に図30を参照して、細胞の生存率を慣性による集束のあいだに維持することができる。細胞は高い速度(約0.5 m/s)で進むことから、このプロセスの際の細胞の生存率および障害を評価することは重要である。流体と共に定常状態で進む細胞は、ごく小さい通常の応力および剪断応力をその表面に経験するに過ぎないが、細胞が流体によって必ず加速される入口および出口領域で、有意な力が短時間細胞に当たることに注意すべきである。本明細書において記述されるシステムにおいて、入口での流路の幅は任意でこの効果を最小限にするために徐々に細くすることができる。例示的なシステムの通過後に、高い細胞生存率が生体染色によって見いだされる。ほとんど障害がないことに関するさらなる証拠が図30において認められ、この場合、処理前の血液の散乱プロットの幅および位置は、システムの中の通過後でも本質的に不変であるように思われる。細胞の破片および水胞形成は、より広い散乱分布を発生させるであろう。
【0148】
細胞が本明細書において記述される慣性集束システムの中を高速で通過した後に、細胞生存率の有意な変更は起こらない。平均速度0.5 m/sであっても、細胞に対して認識できる障害はなかった(蛍光生存/死細胞アッセイを用いて測定した場合、99.0%対99.8%初回生存率)。高い細胞生存率およびスループットは、フローサイトメトリーなどの用途にとって極めて重要である。慣性による自己秩序化により、現在のフローサイトメーターにおいて用いられる流体力学的集束と比較して明確な長所が現れる。これらには、(i)単一のストリーム入力、(ii)長手方向の自己秩序化による、呼びかけスポットでの多数の細胞の低減、および(iii)均一な散乱プロフィールのための、非球状粒子の角度のある方位が含まれる。この集束システムのもう1つの強力な長所は、シース流体のための追加のフルイディックチャネルが必要ではないことから、先に注目したように、および図23Cにおいて示されるように、平行な流路によってスループットを容易に規模拡大できる点である。図23Cは、ハイスループット分析のための粒子の整列の平行化を証明する。16個の平行な流路に、当初の無秩序に分布した10μm粒子の溶液を送ることができる。均一に分布した入力は、出口で16個の安定なストリームに集束することができる。
【0149】
実施例15
システムの相対的な分離性能も同様に本明細書において検討することができる。特に、異なる状況において応用可能である利点のいくつかの重要な形を決定することによって、本明細書において開示される分離態様の相対的性能を特徴付けすることは重要である。ほとんどの場合において、通常、用途に最もよく合う単一の形の利点のみが報告されることから、様々な技術を比較することは難しい。本明細書において、デバイスからデバイスの容易な比較を許容するであろう、分離システムに関する4つの定量可能な測定が提唱される:(1)スループット、(2)濃縮比、(3)収率、および(4)分離解像度。分離条件を変化させることによって様々な測定間のトレードオフが可能であることから、これらのパラメータは、それぞれの報告された条件に関して共に報告されるべきである。システムのスループットは、所定の期間でソーティングされる容積量として定義される。スループット(Qm)はQm=Qφによって与えられ、式中Qは容積測定流速であり、φは、粒子入力の体積分画である。加えて、ほとんどのシステムに関してデバイスのフットプリントを増加させると(すなわち平行化)、それに比例してデバイスのスループットは増加する。したがって、単位面積あたりのスループット(mL hr-1 cm-2)は、有用な測定である。1つの例示的なシステムにおいて、0.6 mL hr-1のスループットが2.5 cm2のデバイス面積によって達成された。濃縮比は、濾液における選択された粒子数対非選択粒子数を選択/非選択粒子の初回分画によって除したもの(sf/uf/si/ui)として定義される。このように、濃縮は、非選択粒子を枯渇させることに依存するが、選択された粒子の高い収率(sf/si)を維持することにも依存する。本明細書において記述されるシステムにおいて、濃縮比8〜∞は、1回通過後の収率60%〜5%に対応する。濃縮比∞は、濾液に存在する非選択粒子がゼロであることに対応する。分離溶液は、分離の成功にとって必要なサイズの差の測定である(より小さい数がよりよい)。これは、選択された粒子の分画収率によって除した非選択粒子の>90%枯渇にとって必要なサイズの差として定義される。図24Bを用いて、1つの態様において、1回通過は、3μm解像度で粒子の分離において1対数の濃縮を提供する。
【0150】
実施例16
図32A〜32Bを参照して、1つの態様において、より小さい粒子が所定の幾何学構造に関して集束されないままである、一定のサイズより上の粒子を集束させるためのシステムが提供される。粒子サイズと流路幾何学構造のあいだの関係を調べるために、10μmと2μmのビーズの混合物を、拡大するらせん形態を有する流路の中に様々な流速で流した。図32Aおよび32Bにおいて認められうるように、より小さい2μm粒子は集束されないままであるが、10μm粒子は急速に集束して、らせんの異なる曲がり目で集束されたままである。異なる流速を調べたところ、2μm粒子は流速にかかわらず、集束されないままであり、それより下では集束が起こりえない最適な粒子サイズ対流路幾何学構造に関する理論を支持している。図32Bにおいて示される高速カメラの結果は、より大きい10μm粒子が、内壁に非常に近い単一のストリームに集束されるが、2μm粒子は流路全体に散乱することを図示している。
【0151】
より大きい10μm粒子は、粒子を外壁に押す二次ディーン流れとつりあう支配的な揚力により、広範囲のRcにわたって集束されたままである。より大きい10μm粒子は、内壁のより近くに集束し、濃縮された10μm粒子分画のほとんど100%回収を可能にする。粒子の集束は、剛性の粒子に限定されず、非剛性の生物材料でも起こる。細胞はまた、単一のストリームに首尾よく集束され、生体成分のハイスループットの処理を行う機会を広げる。
【0152】
実施例17
らせん流路内で集束した粒子の側方位変位に及ぼすRcの効果を試験するために、10μm粒子を所定の流路幾何学構造および曲率半径に関して大きい範囲の流速(0.1〜5.5 mL/分)で流した。図33A〜33Cにおいて図示されるように、広範囲のRcにわたって粒子は集束されたままであり、集束した粒子の連なりは、Rcが増加すると内壁から側方に離れるように次第に変位する。これらの結果は、理論を支持し、広範囲のRcに対して単一のストリームに集束する粒子の側方変位に影響を及ぼすことに対して果たす二次ディーン流れの重要な役割を示している。Rcが所定の流路幾何学構造および粒子サイズに関して一定の値を超えて増加すると、ディーン抗力は、慣性揚力よりも支配的となり、単一のストリームに集束した粒子は、図33Bにおいて示されるように、集束した粒子の多数のストリームのバンドを形成するように、内壁から離れて漂流し始める。Rcがさらに増加すると、バンドを破壊して混合する複雑な流体挙動に至る。このことは、それより上では支配的なディーン流れにより粒子が混合し始める、Deに対する上限が存在することを示唆している。Deに加えて、流路幾何学構造に対する粒子サイズの比率および曲率半径は、粒子の挙動に対して強い影響を有する。
【0153】
粒子の集束に効果を及ぼす様々なパラメータ間の関係を調べるために、多様な粒子サイズおよび流路幾何学構造による異なる流れの実験を行った。本発明者らは、4〜700の範囲のRc値に関して、一定範囲の粒子直径(2〜15μm)および流路幾何学構造(Dh 55〜183μmおよび曲率半径1.4〜9.5 mm)を試験した。図33Cは、試験した異なる条件に関して関数Rfとしてプロットした集束粒子の側方変位の結果を示す。データを標準化して、全ての計算はn=-0.43に基づいた。結果は、大きさが異なるものの、様々なパラメータが、類似の様式でディーン抗力と慣性揚力の釣り合いに効果を及ぼすことを示しており、これは理論的予測とよく一致する。y軸での高い値は、Fz>>Fdragであることを示しており、それによって、内壁からの集束粒子のより小さい側方変位が起こる。これは、低いRcで特定の粒子サイズを集束することによって、または所定のRcに関する曲率半径を増加させることによって達成される。Rcの増加または曲率半径の減少によって、内壁から離れる側方変位が起こる。
【0154】
集束した粒子の側方変位を詳細に調べるために、異なる粒子サイズを混合して、様々な流速で試験した。低い流速では10μmおよび7μm粒子が同じ流線に集束し、図34Aおよび34Bにおいて示されるように、慣性揚力がディーン抗力に対して支配的であることを示している。Rcが増加すると、双方の粒子サイズは内壁から離れるように押され、先に考察したように予測されるディーン抗力からの関与の増加と一致する。しかし、より小さい粒子は、より大きい粒子と比較してRcの増加によってより大きい効果を受けて、その後内壁からさらに離れた新しい平衡位置へと漂流する。この新しい平衡位置は、より大きい粒子の存在とは無関係である。このように、所定の流路幾何学構造およびRcに関して、粒子は常に、予測される平衡位置で集束するであろう。
【0155】
実施例18
図35A〜35Fを参照して、らせん状のマイクロフルイディックデバイス内の示差的平衡変位に基づく分離用途を証明することができる。粒子のカクテル混合物(10、7、5、および3μm)を、2つの出口を有する流路の深さ50μmのマイクロフルイディックらせん状デバイスの中に流した。出口の1つは、幅50μmの流路であり、もう1つは950μmであった。理論および実験的知見に従って、この特定の寸法は、任意の所定のRcで、10、7、および5μmのビーズを集束させるが、3μmビーズは集束させないままにするはずである。図32A〜32Fにおいて示されるように、流速の増加は、7μmおよび5μmのビーズを内壁から離れるように押すが、10μmビーズは入口に最も近い単一の流線に無傷で集束し、有効に分離することができる。この例示的なシステムにおいて、図35Fにおいて示されるように、流速3.5 ml/分で10μmビーズの100%に近い分離が提供される。
【0156】
実施例19
図36は、粒子分離のために慣性の集束を利用することを図示する。均一に分布した平均直径3.87μm(4)および7.32μm(7)の0.1%w/vの入力溶液を、幅100(狭い)〜160(広い)μm、高さ50μm、および長さ3 cmの単一の非対称デバイスに導入した。出口で、流路を等しい抵抗の5つの出口流路に分割して、分画をRe〜8の流れで収集した。10分間で全1 mL溶液の流れによって、コールターカウンターによる分析のために十分な試料が許容された。これらの分画のそれぞれに関して粒子サイズのヒストグラムを示す(番号1〜5および画像で示す)。4(3〜5μm)から7(6〜8.5μm)マイクロメートルの粒子の容積測定比を各ヒストグラムの上に示す。特に、分画2において、より大きい粒子は2倍増強されるが、分画5ではより大きい粒子は約200倍枯渇される。
【0157】
実施例20
図37は、対称な曲線状流路における集束挙動を図示する。Re数が0.5から5に増加すると、2つの集束したストリームへの移行が観察される。Reがさらに増加すると、安定であるがより複雑な挙動が観察される。尺度のバーは50μmである。
【0158】
実施例21
図38は、a/Dhへの粒子集束の依存性を図示する。Re=100での流れに関して入口の3 cm下流での出口でのストリーク画像を示す。画像は、流路から流路への流れのプロフィールの均一性を図示するために2つの分岐の再結合部で示される。
【0159】
実施例22
図39は、幅35μmから65μmの流路の集束挙動を図示する。小さい寸法に関する平均曲率半径は32.5μmである。単一のストリームへの集束は約Re 5で観察されるが、2つのストリームへの集束は、より高いReおよびより少ないRe数で観察される。粒子の直径は10μmである。尺度のバーは50μmである。
【0160】
実施例23
図40は、幅50μmから80μmの流路の集束挙動を図示する。小さい寸法に関する平均曲率半径は40μmである。単一のストリームへの集束は約Re 2.5で観察されるが、2つのストリームへの集束は、より高いReで観察される。Re=25より上では、より複雑であるが、安定な挙動が観察される。粒子の直径は10μmである。尺度のバーは50μmである。
【0161】
実施例24
図41は、幅100μmから160μmの流路の集束挙動を図示する。小さい寸法に関する平均曲率半径は80μmである。単一のストリームへの集束は約Re 12で観察されるが、より複雑であるが安定な挙動は、より高いReで観察される。粒子の直径は10μmである。尺度のバーは100μmである。
【0162】
実施例25
図42は、幅350μmから650μmの流路の集束挙動を図示する。小さい寸法に関する平均曲率半径は325μmである。単一のストリームへの集束は約Re 90で観察されるが、より複雑であるが安定な挙動は、より高いReで観察される。粒子の直径は10μmである。尺度のバーは100μmである。
【0163】
実施例26
図43は、分離のための粒子依存的集束を図示する。10μmと2μm粒子の均一な混合物を、入口に入力して、(A)緑色蛍光10μm粒子および(B)赤色蛍光2μm粒子に関して、出口で蛍光ストリーク画像を観察した。流れはRe 5である。外部から適用される力はないことから異なるサイズの粒子に関して流線の全域で明確な分離が存在する。尺度のバーは50μmである。
【0164】
実施例27
図44は、剛性の粒子と同じ様式で血球の集束を図示する。PBSにおいて希釈した5%全血を、幅50μmの矩形流路の中に流す。3 cm下流の出口において、細胞のストリーク画像を位相差で観察する。これらは灰色の流路における暗いストリームとして現れる。流路の端部も同様に暗色である。剛性の粒子の場合と同様に、3つのストリークが観察され、これは矩形流路の面における4つの集束点に対応する。
【0165】
実施例28
図45Aおよび45Bは、培養細胞株の集束を図示する。粒子の場合と同様に、変形可能な細胞は単一のストリームに集束する。図43Aは、様々なRe数に関して集束する細胞のストリーク画像を示す。各集束区域の入口を左に示す。単一のレーンへの集束は、3 cm進んだ後にRe〜2で起こり始める。図43Bにおいて、様々な曲および出口における断面の強度を示す。出口において、集束したストリームの幅は、単細胞(約15μm)の直径と同等であることに注意されたい。
【0166】
実験条件および装置
多くの実験条件を用いて、本明細書において記述される例示的なシステムを作製および利用することができるが、先に考察した結果を達成するために用いたいくつかの条件を以下に表す。
【0167】
材料
蛍光ポリスチレン微小粒子(密度約1.05 g/ml)は、Bangs Laboratories(Fishers, IN)またはDuke Scientific(Fremont, CA)のいずれかから購入した。4(3.87)μmおよび7(7.32)μm粒子に関して、Bangs Labsの製品コードはそれぞれ、FS05F/7772およびFS06F/6316であった。2(2.0)μm、9μm、10(9.9)μm、および17μmに関して、Duke Scientificの製品番号はR0200、36-3、G1000、および35-4であった。リン酸緩衝生理食塩液(PBS)において希釈することによって粒子を所望の重量分画まで混合して、0.1%Tween 20を加えることによって安定化させた。粒子をPBSにおいて希釈することによって所望の重量分画となるように混合して、0.1%Tween 20を加えることによって安定化させた。様々な記述の実験において、粒子のwt/vol%は、0.1%から1%まで多様であった。シリコン油滴を2%wt/volモノオレイン酸ポリエチレングリコール(分子量860、SigmaAldrich)によって安定化させた10%wt/vol DC200(10センチストークス、Dow Corning)から形成した。混合物を激しく振とうして、20分間沈降させた。サイズ範囲<20μmの小滴が確実に得られるように、溶液をバイアルの底1 cmから採取した。異なる密度の溶液をエタノール(ρ=0.78 g/ml)または濃CaCl2溶液(ρ=1.12および1.23 g/ml)から調製した;これらの溶液の粘度は1〜3センチポアズまで多様であった。
【0168】
細胞(H1650肺癌細胞)を、10%FBSを有するRPMI 1640培地において培養して、使用前にトリプシン処理を行って、PBSに浮遊させた。訓練された瀉血士が健康なボランティアから、全血をEDTAコーティング真空採血管に採取した。血液を実験のためにPBSにおいて1〜5%に希釈した。細胞質色素であるカルセインAM(5μM)、または細胞透過性のDNA色素であるHoescht 33342(1μM)のいずれかを用いて、細胞を染色した。
【0169】
微細加工
本明細書において記述される例示的なデバイスは、標準的なソフトリソグラフィー技術を用いて二次加工された。簡単に説明すると、SU-8 2035を2250 rpmで30秒間遠心分離して、厚さ50μmの層を10 cmシリコンウェーハ上に作製した。計量焦点を有する顕微鏡を用いて厚さを測定したところ、ウェーハによって42〜56μmまで多様であった。この層において、40,000 dpiで印字されるマイラーマスクを用いて、パターンをフォトリソグラフィーによって作製した(補助AutoCADファイルを参照されたい)。現像後、PDMSを基剤対クロスリンク剤10:1の比でSU-8マスター上に注いで、真空チャンバーにおいて脱気して65℃で終夜硬化させた。デバイスを鋳型から切り出して、鋭利で平坦な先端の針によってポートを穿孔し、酸素プラズマを用いてスライドガラスまたはカバーガラスに結合させた。プラズマ処置およびガラス基板への留置後、デバイスをホットプレートにおいて70℃で15分間維持して、結合を増加させた。
【0170】
無次元数
直線の矩形流路に関して、慣性力と粘性力の比であるReは、ρUDh/μとして容易に定義することができ、式中ρは流体の密度であり、Uは平均速度であり、および水力直径Dhは2ab/(a+b)と定義される。aおよびbは流路の幅および高さである。しかし、曲線状流路および非対称に曲線を描く流路の場合、矩形断面のみをとってこれに関するReを考慮すれば、慣性効果を過大評価するであろう。これらの幾何学構造に関する正確なReを定義するために、流体の動的なシミュレーションを、COMSOL Multiphysicsを用いて幾何学構造に関して行った。Reは、ストリームの中間における節点に関する慣性力対粘性力の釣り合いから決定した。この方法は、同様に直線矩形流路に関する分析的Reを生じた。非対称流路の場合、Reは、小さくまたは大きく曲線を描く曲がり目において異なり、単純にするために、本研究を通して小さい曲がり目に対応する単一のReを用いた。例として、42 cm/secの平均速度は、曲率半径r=40μmの50μm×50μmの小さく曲線を描く流路においてRe 5に対応し、直線矩形流路に関してRe=20に対応する。ディーン数も同様に、これらのシミュレーションしたReを用いて計算した。
【0171】
粒子の局在化
関数型に対する適合に基づく局在化の偏りおよび精度は、システムのピクセルサイズ(すなわち、サンプリングレベル)およびシグナル対ノイズ(S/N)に依存するであろう。S/Nは、S/N=(I0−Ib)/σ0として定義され、これは物体の平均強度から差し引かれ、物体に対する標準偏差またはノイズによって除したバックグラウンドの平均強度である。これは、光電子数のルートの二乗に比例するショットノイズによる最高のノイズ領域である。システムに関して、高度に色素を有する蛍光マイクロスフェアの場合、S/Nは距離に対する単一のストリームの強度レベルの標準偏差をとって60であると決定された。これは、4〜10の典型的なS/Nを有する単一の分子を撮像するシステムとは対照的である。シグナル対ノイズ比およびピクセルサンプリングサイズ330 nmの場合、約3 nmという局在化の予測精度が予想される。この結果は、この値よりおよそ1桁大きい局在化測定において信頼度を許容する。
【0172】
画像分析
フローサイトメトリー用途に関しておよび流れる粒子のストリームに関する自己相関関数を決定するために、Matlab(The Mathworks Inc.)を用いて、一連の画像の画像分析を行った。第一に、それぞれの動画に関して、焦点の合った粒子を代表するカーネル画像を選択した。次に、このカーネルを画像からたたみ込んで粒子位置でピークを有する強度マップを形成した。所定のフレームにおいて進んだ粒子の距離に対応するこの強度マップの定義された区分を、強度の時系列に変換して、先のフレームからの時系列と共にアレイ上に添付した。このプロセスを、検出区域の中の粒子の流れに関する完全な時系列がアセンブルされるまで、各フレームに関して繰り返した。一時性のシグナルを用いて、粒子と連なりの長さとのあいだの都合のよい距離を分析するための自己相関関数を決定した。たたみ込みは、所定の粒子の見かけ上の幅を必然的に増加させるが、多数の強度ピーク未加工データからの粒子位置で1つのピークを得るために行われたことに注意すべきである。
【0173】
実験の設定
本明細書において記述されるように、流路内の粒子位置の分布を決定するための実験を、低速度撮影蛍光顕微鏡を用いて行った。溶液をシリンジに導入して、PEEKチューブによってPDMSデバイスに接続した。1つの態様において、システムには、図33において示されるように、任意の大きい残屑を除去するためのフィルター領域、曲線状の分離マイクロチャネル、および5つの収集出口が含まれた。他の態様において、システムには、多数の入口および単一の収集出口が含まれた。PEEKチューブの出口もまた、デバイスの出口ポートに接続されて、廃棄容器または収集チューブにつながれた。流れは、シリンジポンプ(Harvard Apparatus PHD 2000)によって駆動された。1つの態様において、小さい曲率半径の曲がり目で幅350μmを有し、大きい曲率半径の曲がり目幅650μmを有する曲線状の流路を用いた。狭いおよび広い曲がり目での平均曲率半径はそれぞれ、325および890μmである。この幾何学構造によって、大きい曲がり目より小さい半径の曲がり目おいて約8倍大きいディーン抗力(FD)を有する非対称システムが得られる。図示される態様において、分離流路の全体は、デバイスのフットプリントを低減するために、3つの直線セグメント(それぞれ10〜11単位)に曲がる、1つの小さい曲がり目と1つの大きい曲がり目からなる31単位で構成される。
【0174】
PDMSデバイスを倒立蛍光顕微鏡(Nikon TE2000-U)のステージに載せた。蛍光ストリーク画像を、粒子濃度および流速に応じて露出時間500〜5000ミリ秒で、冷却したCCDカメラ(Spot RT, Diagnostic Instruments)によって得た。画像をSpotソフトウェアにおいて収集して、ImageJを用いてさらなる分析を行った。
【0175】
共焦点撮像を、対物レンズに近づくためにデバイスをカバーガラススライドに結合させたことを除き、倒立蛍光撮像と同じ様式で行った。ピンホール直径1.05のエアリーディスクと共に40倍の対物レンズを用いた。画像を得るためにz-y平面を、各走査点において滞留時間0.3ミリ秒で8回継続して走査した。
【0176】
対物平面でのケーラー照明に白色光を利用したことを除き、倒立蛍光撮像と同じ様式で高速カメラ撮像を行った。全ての中性密度のフィルターを除去して、ランプの最大パワーにより、Phantom v4.2カメラ(Vision Research, New Jersey, USA)を用いて2μsの露出での撮像が許容された。フローサイトメトリー用途に関して、32×32ピクセルである収集ウインドウを用いて10μsの間隔で画像を収集した。より大きい単一の画像および動画に関しては20〜70μsの間隔を用いた。
【0177】
粒子溶液を分画に分離した後、個々の分画をコールターカウンター(Beckman Coulter Z2)を用いて分析した。コールターの開口部のサイズは、100μmであり、サイズ範囲3〜9μmの粒子を観察するようにゲインおよび電流を設定した。計数が成功するために十分な希釈が許容されるように、収集した試料を400〜800倍希釈した。
【0178】
フローサイトメーター(Becton Dickinson FACSCalibur)を用いて血球を分析した。血小板と他の血液成分とを区別するために対数尺度で前方および側方散乱を観察した。より大きいおよびより小さい粒子の散乱の双方を観察するために正確なゲインが得られるように、検出器の電圧を調整した。試料は一般的に、測定のために100倍希釈した。各試料に関して25,000〜100,000個を観察した。
【0179】
乳濁液
水中のシリコン油乳濁液は、得られた油滴の合体による安定化のために、これらの2つの不混和性の相を水(連続)相に存在する乳化剤と混合することによって生成された。動粘度9.35 cPおよび密度0.935 g/cm3を有するシリコン油を分散相(Dow Corning, Midland, MI;200流体10 cst)として使用したが、連続相は、乳濁液を安定化するために、2%w/vモノオレイン酸ポリ(エチレングリコール)(Sigma-Aldrich, St. Louis, MO;Mn ほぼ860)を含有する脱イオン水で構成された。5%v/vシリコン油を水相と激しく混合した後、その後の実験のために沈降させることによって、直径がおよそ20μmより大きい小滴を含まない試料を得た。具体的に、浮揚性の球状の粒子に対するストークス抵抗から推定されるように、大きい小滴が乳濁液の下2 cmに完全に排出するように20分間放置した、均一に混合した乳濁液の底から1 cmで乳濁液を抽出した(v=D2aqu−ρoil)g/(18ηaqu)〜(3.55×104 m-2s-1)D2)。
【0180】
PDMSビーズ
広範囲の直径を有するPDMS(ポリジメチルシロキサン)ビーズをシリコン乳濁液と全く類似の様式で作出した。PDMSを、樹脂対クロスリンク剤(Dow Corning;Sylgard 184)の標準的な10:1の比で混合し、脱気した樹脂-クロスリンク剤混合物を、硬化する前に、同じ2%w/vモノオレイン酸ポリ(エチレングリコール)水溶液に10%w/v PDMSで加えた。所望のサイズ範囲が達成されるまでボルテックスミキサーによって混合した後、非硬化PDMS乳濁液のチューブを70〜90℃の水浴に少なくとも3時間入れて、液体の小滴をPDMSの固体ビーズの中に硬化させた。図33のようにデバイスの2重のフィルターを通して濾過することにより、実験前にビーズの抽出液から約20μmより大きいビーズを除去した。
【0181】
一般的に、本明細書において開示される態様は、マイクロチャネルシステム内で異なるレベルの秩序化を生じる、層流の中を動く粒子に関連する非直覚的現象を表す。現象を利用するために広範囲のパラメータが開示され、秩序化の原因となる可能性がある重要な原理および力も同様に示唆される。フィルターまたは機械的もしくは電気的パーツを必要としない試料の迅速で持続的な処理、ハイスループット用途、低ノイズ結果、ならびに集束における粒子の形状および密度の非依存性が含まれる、本発明のシステムに関連する多くの長所がある。本明細書において記述されるシステムおよび方法の慣性による集束は、単一のストリームに配置する粒子の精度および粒子間の制御された長手方向の間隔のために、粒子ソーティング用途にとって理想的である。粒子の流線の正確な制御(すなわち、粒子位置の小さい標準偏差)により、粒子位置の誘導される変化が小さいソーティングが許容される。平衡時の流線から離れるほうに粒子が誘導されるわずかな動きは、粒子の位置のバックグラウンド標準偏差に対して大きい差を生じ、それによって高レベルの疑陽性がなく、高速で流路内の分岐で標的粒子を抽出することができる。加えて、秩序化の1列という性質および規則正しい長手方向の間隔は、偏向した粒子が流れの中で他の粒子と有意に相互作用しないことを保証する。提示した特定の幾何学構造は、慣性の流れにおける粒子の相互作用を指示するために多くの用途において用いることができ、本発明のシステムは、マイクロスケールと共にマクロスケールにおいて応用可能である。本明細書において記述される任意のおよび全ての流路幾何学構造、システムの態様、および実験パラメータは、様々な用途において特定の結果を達成するために多数の方法で組み合わせることができると認識される。
【0182】
本発明のシステムの用途は広く多様であり、商業的および学術的の双方の広範囲の産業において有用となるであろう。たとえば、生物医学分野では、システムの用途は、中でも、FACS、MACS、インピーダンスに基づく粒子計数、血液濾過、まれな細胞の同定および濾過、不均一/均一な細胞シグナル伝達などの従来の技術において用いることができる。たとえば、慣性による集束によって誘導される粒子の動きの特性は、細胞の分離および列挙技術に理想的に適している。各細胞の極端な整列および不連続な間隔は、たとえば細胞を蛍光タグまたは磁気粒子によって標識することによって、細胞がマイクロフルイディックチャネルの中を高速で流れる場合に細胞を個々に列挙するために活用することができる。本明細書において記述されるシステムおよび方法は、現在のまれな細胞の分離および列挙技術に対して多くの長所を有する。関心対象細胞が磁気ビーズをコーティングした抗体によってタグ付けされる免疫磁気技術は、しばしば使用されるが、その複雑さおよび手動での取り扱い段階のために、これらの試料の処理の際に細胞の損失が起こる。システムおよび方法のさらなる長所は、研究室での設定に対して唯一適している大きい機器を必要とすることなく、ポイントオブケアで細胞の秩序化および分離を行うことができる点である。本明細書において記述される技術などの粒子集束技術は、たとえば現在の技術の問題点を有しない、全血試料を取り扱うことができる、細胞分離マイクロチップを設計および構築するために、確立された免疫磁気標識およびマイクロエレクトロニクス技術と組み合わせることができる。マイクロエレクトロニック成分をマイクロフルイディックデバイスに組み込むことができ、それによって単一のデバイスにおいて流体の流れと電子操作または検出を組み合わせることができる。本明細書において記述されるシステムおよび方法は、多数の疾患に関して患者を迅速にスクリーニングする機会を作製し、医師はその患者の処置の進行を追跡することができる。
【0183】
他の用途において、たとえば工業において、本発明のシステムおよび方法の可能性がある用途には、中でも化粧品、潤滑剤、顔料、微粒子の環境モニタリング、天然油の抽出、粒子合成、およびポリマービーズ製造の開発において用いることが含まれうる。研究において、本発明のシステムは、中でも組織工学、薬物の制御放出機構の研究、細胞シグナル伝達研究、タンパク質の結晶化、ウイルス/細菌の捕捉、核酸精製、および化学特異的抽出において用いることができる。農業分野において、本発明のシステムは、多相肥料乳濁液、多相殺虫剤乳濁液、フローサイトメトリーと共に血液分析の開発において用途を見いだしうる。本発明のシステムおよび方法について可能性がある用途は多様であり、全ての研究、産業、および商業的用途にわたって幅広い。
【0184】
当業者は、先に記述した態様に基づいて本発明の特色および長所をさらに認識するであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲によって示される範囲を除き、特に示され、記述されてきた内容に制限されない。本明細書において引用された全ての刊行物および参考文献は、その全内容が参照により明白に本明細書に組み入れられる。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板;
基板上に提供され、入口と出口とを有する、少なくとも1つの流路;
層流の状態で少なくとも1つの流路に沿って動き、かつ浮遊している粒子を含む、流体;
流体の層流を駆動するポンプエレメント
を含み、
前記流体、流路、およびポンプエレメントが、慣性力を粒子に作用させて、粒子を1つまたは複数の流線に集束させるように形作られる、
動いている流体中に浮遊する粒子を1つまたは複数の局在する流線に集束させるためのシステム。
【請求項2】
流体懸濁液を動かす段階が、粒子を4つの局在するストリームに集束させる、請求項1記載のシステム。
【請求項3】
流体懸濁液を動かす段階が、粒子を2つの局在するストリームに集束させる、請求項1記載のシステム。
【請求項4】
流体懸濁液を動かす段階が、粒子を単一の局在するストリームに集束させる、請求項1記載のシステム。
【請求項5】
少なくとも1つの流路が水力直径を有し、該水力直径に対する集束する粒子のサイズの比率が約0.07より大きいかまたはそれに等しい、請求項1記載のシステム。
【請求項6】
水力直径に対する粒子サイズの比率が約0.5未満であるかまたはそれに等しい、請求項5記載のシステム。
【請求項7】
集束の際の流体の流れのレイノルズ数が、約1より大きいかまたはそれに等しく、および約250未満であるかまたはそれに等しい、請求項1記載のシステム。
【請求項8】
1つまたは複数の集束した流線が、集束した粒子のサイズの約5倍未満であるかまたはそれに等しい幅を有する、請求項1記載のシステム。
【請求項9】
1つまたは複数の集束した流線が、集束した粒子のサイズの約4倍未満であるかまたはそれに等しい幅を有する、請求項1記載のシステム。
【請求項10】
1つまたは複数の集束した流線が、集束した粒子のサイズの約3倍未満であるかまたはそれに等しい幅を有する、請求項1記載のシステム。
【請求項11】
1つまたは複数の集束した流線が、集束した粒子のサイズの約2倍未満であるかまたはそれに等しい幅を有する、請求項1記載のシステム。
【請求項12】
1つまたは複数の集束した流線が、集束した粒子のサイズの約1.05倍に等しい幅を有する、請求項1記載のシステム。
【請求項13】
少なくとも第一および第二の出口分岐が、少なくとも1つの流路の出口部分で形成され、該第一および第二の出口分岐の少なくとも1つが、集束した流線からの粒子を受容するように基板上に配置されている、請求項1記載のシステム。
【請求項14】
溶液中の粒子濃度を増加させる、請求項13記載のシステム。
【請求項15】
少なくとも第一および第二の出口分岐が、少なくとも1つの流路の出口部分で形成され、該第一および第二の出口分岐の少なくとも1つが、単一の局在するストリームからの粒子を受容するように基板上に配置されている、請求項4記載のシステム。
【請求項16】
溶液中の粒子濃度を増加させる、請求項15記載のシステム。
【請求項17】
少なくとも1つの流路が矩形断面を有する、請求項1記載のシステム。
【請求項18】
少なくとも1つの矩形流路が、約1000マイクロメートル未満であるかまたはそれに等しい幅を有する、請求項17記載のシステム。
【請求項19】
少なくとも1つの矩形流路が、約650マイクロメートル未満であるかまたはそれに等しい幅を有する、請求項17記載のシステム。
【請求項20】
少なくとも1つの矩形流路が、約100マイクロメートル未満であるかまたはそれに等しい幅を有する、請求項17記載のシステム。
【請求項21】
少なくとも1つの矩形流路が、約80マイクロメートル未満であるかまたはそれに等しい幅を有する、請求項17記載のシステム。
【請求項22】
少なくとも1つの矩形流路が、約65マイクロメートル未満であるかまたはそれに等しい幅を有する、請求項17記載のシステム。
【請求項23】
少なくとも1つの矩形流路が、約50マイクロメートル未満であるかまたはそれに等しい幅を有する、請求項17記載のシステム。
【請求項24】
集束する粒子のサイズが、約20マイクロメートル未満であるかまたはそれに等しい、請求項17記載のシステム。
【請求項25】
集束する粒子のサイズが、約10マイクロメートル未満であるかまたはそれに等しい、請求項17記載のシステム。
【請求項26】
粒子が細胞である、請求項17記載のシステム。
【請求項27】
細胞が哺乳動物細胞である、請求項26記載のシステム。
【請求項28】
細胞が血球である、請求項27記載のシステム。
【請求項29】
細胞が腫瘍細胞である、請求項27記載のシステム。
【請求項30】
細胞が細菌細胞である、請求項26記載のシステム。
【請求項31】
矩形断面のアスペクト比が、2つのストリームへの粒子の集束をもたらす、請求項17記載のシステム。
【請求項32】
1つまたは複数の局在する流線に粒子を集束させる段階が、粒子の間隔を長手方向にほぼ均一にあける、請求項31記載のシステム。
【請求項33】
第一の矩形寸法対第二の矩形寸法のアスペクト比がほぼ0.3〜0.8である、請求項31記載のシステム。
【請求項34】
アスペクト比がほぼ1対2である、請求項33記載のシステム。
【請求項35】
流路の中を動いている流体懸濁液に関する粒子レイノルズ数が約0.2より大きいかまたはそれに等しい、請求項32記載のシステム。
【請求項36】
少なくとも1つの流路が曲線状である、請求項17記載のシステム。
【請求項37】
少なくとも1つの集束したストリームの配置が、粒子に作用する慣性力およびディーン抗力に依存する、請求項36記載のシステム。
【請求項38】
配置が、粒子に作用する遠心力にさらに依存する、請求項37記載のシステム。
【請求項39】
流路を通る流れのディーン数が、約20未満であるかまたはそれに等しい、請求項36記載のシステム。
【請求項40】
曲線が対称であり、S字状である、請求項36記載のシステム。
【請求項41】
曲線が非対称であり、S字状である、請求項36記載のシステム。
【請求項42】
曲率半径が多様である、請求項41記載のシステム。
【請求項43】
曲率半径が、曲線の各変曲後に変化する、請求項42記載のシステム。
【請求項44】
流路の断面寸法が多様である、請求項43記載のシステム。
【請求項45】
流路の断面寸法が、曲線の各変曲後に変化する、請求項44記載のシステム。
【請求項46】
流路がらせんを形成する、請求項42記載のシステム。
【請求項47】
複数の流路が基板上に提供され、平行な流れを可能にするように形作られる、請求項1記載のシステム。
【請求項48】
複数の流路が基板上に提供され、流路の少なくともいくつかが連続する流れを可能にするように形作られる、請求項1記載のシステム。
【請求項49】
複数の流路が基板上に提供され、第一の流路が、第二および第三の流路にそれぞれ至る第一および第二の出力分岐を有する、請求項1記載のシステム。
【請求項50】
流路の少なくとも2つが、異なる既定の直径の粒子を集束させるように形作られる、請求項49記載のシステム。
【請求項51】
1つまたは複数の集束した流線において粒子を検出および列挙するための検出器をさらに含む、請求項1記載のシステム。
【請求項52】
単一の局在するストリームにおいて粒子を検出および列挙するための検出器をさらに含む、請求項4記載のシステム。
【請求項53】
検出器によって検出されうるタグによって、選択された粒子をタグ付けするためのタグ付けシステムをさらに含み、それによって検出器が選択された粒子を検出および列挙する、請求項51記載のシステム。
【請求項54】
集束が慣性力のみによって起こる、請求項1記載のシステム。
【請求項55】
集束が慣性力および他の力によって起こる、請求項1記載のシステム。
【請求項56】
動いている流体中に浮遊する粒子を流路の中に提供する段階;
粒子に作用する慣性力が、流路内で粒子の流束の局在化をもたらすような条件下で、流体を流路の中に流す段階
を含む、動いている流体において粒子を集束させるための方法。
【請求項57】
流路を通る流体の流れが層流である、請求項56記載の方法。
【請求項58】
流体の流れのレイノルズ数が約1〜250である、請求項57記載の方法。
【請求項59】
集束が、粒子サイズに基づいて第一の粒子に富んだ、粒子の局在流束を発生させる、請求項56記載の方法。
【請求項60】
流路の水力直径によって除した第一の粒子直径が、約0.07より大きいかまたはそれに等しい、請求項59記載の方法。
【請求項61】
流路の水力直径によって除した第一の粒子直径が、約0.5未満であるかまたはそれに等しい、請求項60記載の方法。
【請求項62】
流路が矩形断面、高さ、幅、および2*高さ*幅/(幅+高さ)に等しい水力直径を有する、請求項61記載の方法。
【請求項63】
矩形断面が、ほぼ0.3〜0.8のアスペクト比を有する、請求項62記載の方法。
【請求項64】
矩形断面が、ほぼ1対2のアスペクト比を有する、請求項63記載の方法。
【請求項65】
粒子の、1つから3つの局在流束を発生させるために、粒子に非対称な力を適用する段階をさらに含む、請求項56記載の方法。
【請求項66】
粒子の、1つの局在流束を発生させるために、非対称な力が適用される、請求項65記載の方法。
【請求項67】
非対称な力が、遠心力、流体力学的抗力、電力、磁力、熱に関する力、音波の力、光学力、または誘電泳動力からなる群より選択される少なくとも1種類の力を含む、請求項66記載の方法。
【請求項68】
非対称な力が、約0.5 nNに等しいまたはそれより大きいディーン抗力を含む、請求項65記載の方法。
【請求項69】
粒子が、細胞、ビーズ、ウイルス、オルガネラ、ナノ粒子、および分子複合体からなる群より選択される少なくとも1種類の粒子を含む、請求項56記載の方法。
【請求項70】
粒子が細胞である、請求項56記載の方法。
【請求項71】
細胞が、細菌細胞、哺乳動物細胞、原生生物、植物細胞、および真菌細胞からなる群より選択される、請求項70記載の方法。
【請求項72】
細胞が哺乳動物細胞である、請求項70記載の方法。
【請求項73】
細胞が血球である、請求項72記載の方法。
【請求項74】
細胞ががん細胞である、請求項72記載の方法。
【請求項75】
細胞が腫瘍細胞を含む、請求項72記載の方法。
【請求項76】
流路が曲線状である、請求項56記載の方法。
【請求項77】
動いている流体のディーン数が、約20未満であるかまたはそれに等しい、請求項76記載の方法。
【請求項78】
曲線状の流路がS字状である、請求項76記載の方法。
【請求項79】
曲線状の流路がらせん状である、請求項76記載の方法。
【請求項80】
曲線状の流路がS字状であり、非対称である、請求項76記載の方法。
【請求項81】
曲率半径が、S字状曲線における1つの変曲点とS字状曲線における次の変曲点とのあいだで異なっている、請求項80記載の方法。
【請求項82】
第一の半径の曲線の後に、より大きい半径の曲線が続く、請求項81記載の方法。
【請求項83】
第一の半径の曲線が、より大きい半径の曲線においてかかるディーン抗力より約8倍大きいディーン抗力をかける、請求項82記載の方法。
【請求項84】
流路が矩形断面形状を有し、矩形断面形状の少なくとも1つの寸法が、S字状曲線の各変曲点のあいだで異なっている、請求項80記載の方法。
【請求項85】
出力分岐の1つが、所定のサイズの第一の粒子に富んだ、粒子の局在流束を受容するように配置されている、動いている流体を流路から少なくとも2つの出力分岐の中に通過させる段階をさらに含む、請求項56記載の方法。
【請求項86】
局在する流束を受容する段階が、それによって溶液中の第一の粒子の濃度を増加させる、請求項85記載の方法。
【請求項87】
出力分岐の1つが、所定のサイズの第一の粒子に富んだ、粒子の局在流束を受容するように配置されている、動いている流体を流路から少なくとも2つの出力分岐の中に通過させる段階をさらに含む、請求項65記載の方法。
【請求項88】
流路内の、粒子の局在流束の中を進む粒子を列挙するために、検出器を適用する段階をさらに含む、請求項56記載の方法。
【請求項89】
流路内の、粒子の局在流束の中を進む粒子を列挙するために、検出器を適用する段階をさらに含む、請求項65記載の方法。
【請求項90】
検出器によって検出されるタグによって、選択された粒子をタグ付けするための、タグ付けシステムを適用する段階をさらに含み、それによって検出器が選択された粒子を検出および列挙する、請求項87記載の方法。
【請求項91】
集束が慣性力のみによって起こる、請求項56記載の方法。
【請求項92】
集束が慣性力および他の力によって起こる、請求項56記載の方法。
【請求項93】
基板;および
基板上に提供され、入口と出口とを有する少なくとも1つの流路
を含み、
既定のサイズの粒子を有する流体懸濁液を層流の状態で入口から出口まで動かす段階が、既定のサイズの粒子を、1つまたは複数の局在する流線に集束させる、
動いている流体中に浮遊する既定のサイズの粒子を、1つまたは複数の局在する流線に集束させるための装置。
【請求項94】
少なくとも1つの流路が水力直径を有し、水力直径に対する既定の粒子サイズの比率が約0.07より大きいかまたはそれに等しい、請求項93記載の装置。
【請求項95】
水力直径に対する既定の粒子サイズの比率が約0.5未満であるかまたはそれに等しい、請求項94記載の装置。
【請求項96】
流路の断面形状および面積が入口から出口まで不変である、請求項93記載の装置。
【請求項97】
流路の断面形状および面積が入口から出口まで多様である、請求項93記載の装置。
【請求項98】
集束の際に流れる流体懸濁液のレイノルズ数が、約1より大きいかまたはそれに等しく、および約250未満であるかまたはそれに等しい、請求項93記載の装置。
【請求項99】
1つまたは複数の局在する流線が、既定の粒子サイズの約5倍未満であるかまたはそれに等しい幅を有する、請求項93記載の装置。
【請求項100】
1つまたは複数の局在する流線が、既定の粒子サイズの約4倍未満であるかまたはそれに等しい幅を有する、請求項93記載の装置。
【請求項101】
1つまたは複数の局在する流線が、既定の粒子サイズの約3倍未満であるかまたはそれに等しい幅を有する、請求項93記載の装置。
【請求項102】
1つまたは複数の局在する流線が、既定の粒子サイズの約2倍未満であるかまたはそれに等しい幅を有する、請求項93記載の装置。
【請求項103】
1つまたは複数の局在する流線が、既定の粒子サイズの約1.05倍に等しい幅を有する、請求項93記載の装置。
【請求項104】
既定のサイズの粒子を有する流体懸濁液を入口から出口まで動かす段階が、既定のサイズの粒子を4つの局在するストリームに集束させる、請求項93記載の装置。
【請求項105】
既定のサイズの粒子を有する流体懸濁液を入口から出口まで動かす段階が、既定のサイズの粒子を2つの局在するストリームに集束させる、請求項93記載の装置。
【請求項106】
既定のサイズの粒子を有する流体懸濁液を入口から出口まで動かす段階が、既定のサイズの粒子を、単一の局在するストリームに集束させる、請求項93記載の装置。
【請求項107】
少なくとも第一および第二の出口分岐が、少なくとも1つの流路の出口部分で形成され、該第一および第二の出口分岐の少なくとも1つが、単一の局在するストリームからの既定のサイズの粒子を受容するように基板上に配置されている、請求項106記載の装置。
【請求項108】
少なくとも1つの流路が矩形断面を有する、請求項93記載の装置。
【請求項109】
少なくとも1つの矩形流路が、約1000マイクロメートル未満であるかまたはそれに等しい幅を有する、請求項108記載の装置。
【請求項110】
少なくとも1つの矩形流路が、約650マイクロメートル未満であるかまたはそれに等しい幅を有する、請求項108記載の装置。
【請求項111】
少なくとも1つの矩形流路が、約100マイクロメートル未満であるかまたはそれに等しい幅を有する、請求項108記載の装置。
【請求項112】
少なくとも1つの矩形流路が、約80マイクロメートル未満であるかまたはそれに等しい幅を有する、請求項108記載の装置。
【請求項113】
少なくとも1つの矩形流路が、約65マイクロメートル未満であるかまたはそれに等しい幅を有する、請求項108記載の装置。
【請求項114】
少なくとも1つの矩形流路が、約50マイクロメートル未満であるかまたはそれに等しい幅を有する、請求項108記載の装置。
【請求項115】
既定の粒子のサイズが約20マイクロメートル未満であるかまたはそれに等しい、請求項108記載の装置。
【請求項116】
既定の粒子のサイズが約10マイクロメートル未満であるかまたはそれに等しい、請求項108記載の装置。
【請求項117】
既定のサイズの粒子が細胞である、請求項108記載の装置。
【請求項118】
細胞が哺乳動物細胞である、請求項117記載の装置。
【請求項119】
細胞が血球である、請求項118記載の装置。
【請求項120】
細胞ががん細胞である、請求項118記載の装置。
【請求項121】
細胞が細菌細胞である、請求項117記載の装置。
【請求項122】
矩形断面のアスペクト比が、2つのストリームへの粒子の集束をもたらす、請求項108記載の装置。
【請求項123】
1つまたは複数の局在する流線への粒子の集束が、粒子の間隔を長手方向にほぼ均一にあける、請求項122記載の装置。
【請求項124】
アスペクト比がほぼ0.3〜0.8である、請求項122記載の装置。
【請求項125】
流路の中を動く流体懸濁液の粒子レイノルズ数が、約0.2より大きいかまたはそれに等しい、請求項123記載の装置。
【請求項126】
少なくとも1つの流路が曲線状である、請求項108記載の装置。
【請求項127】
少なくとも1つの集束したストリームの配置が、粒子に作用する慣性力およびディーン抗力に依存する、請求項126記載の装置。
【請求項128】
配置が、粒子に作用する遠心力にさらに依存する、請求項127記載の装置。
【請求項129】
流路を通る流れのディーン数が、約20未満であるかまたはそれに等しい、請求項126記載の装置。
【請求項130】
曲線が対称であり、S字状である、請求項126記載の装置。
【請求項131】
曲線が非対称であり、S字状である、請求項126記載の装置。
【請求項132】
曲率半径が多様である、請求項131記載の装置。
【請求項133】
曲率半径が曲線の各変曲後に変化する、請求項132記載の装置。
【請求項134】
流路の断面寸法が多様である、請求項133記載の装置。
【請求項135】
流路の断面寸法が、曲線の各変曲後に変化する、請求項134記載の装置。
【請求項136】
流路がらせんを形成する、請求項132記載の装置。
【請求項137】
複数の流路が基板上に提供され、平行な流れを可能にするように形作られる、請求項93記載の装置。
【請求項138】
複数の流路が基板上に提供され、流路の少なくともいくつかが連続する流れを可能にするように形作られる、請求項93記載の装置。
【請求項139】
複数の流路が基板上に提供され、第一の流路が、第二および第三の流路にそれぞれ至る第一および第二の出力分岐を有する、請求項93記載の装置。
【請求項140】
流路の少なくとも2つが、異なる既定の直径の粒子を集束させるように形作られる、請求項139記載の装置。
【請求項141】
粒子の群から選択的にソーティングされるべき粒子をタグ付けするためのタグ付けシステム;
基板上に提供された少なくとも1つの流路を有する基板であって、
前記少なくとも1つの流路が入口および出口を有し、
少なくともそのいくつかがタグを付けられている粒子を有する流体懸濁液を、層流の状態で入口から出口に動かす段階が、粒子を1つまたは複数の局在する流線に集束させ、
前記出口が少なくとも2つの出力分岐を有し、該少なくとも2つの出力分岐の第一のものがソーティングされるべき粒子を分離するためのものであり、該2つの出力分岐の第二のものが隔離されていない粒子の残りを出力するためのものである、基板;
粒子を第一の出力分岐に選択的にそらすために、流路に機能的に接続されたソーティングシステム
を含む、流体において浮遊する粒子の群から粒子をソーティングするためのシステム。
【請求項142】
ソーティングシステムが、受動的ソーティングシステムである、請求項141記載のシステム。
【請求項143】
タグ付けシステムが、ソーティングシステムによって集束粒子ストリームから押し出されうる特性を有するタグを、隔離されるべき粒子に適用する、請求項142記載のシステム。
【請求項144】
タグが粒子サイズを増加させ、かつソーティングシステムが、サイズに基づいて第一および第二の出力分岐に粒子を隔離する流路の幾何学構造を含む、請求項143記載のシステム。
【請求項145】
タグが磁気特性を含み、かつソーティングシステムが、タグ付き粒子を第二から第一の出力分岐にそらす力をタグ付き粒子にかける磁気偏向エレメントを含む、請求項143記載のシステム。
【請求項146】
タグが電気特性を含み、かつソーティングシステムが、タグ付き粒子を第二から第一の出力分岐にそらす、タグ付き粒子に対する電気泳動力を含む、請求項143記載のシステム。
【請求項147】
ソーティングシステムが、タグ付き粒子を第二から第一の出力分岐にそらすアフィニティカラムを含む、請求項143記載のシステム。
【請求項148】
ソーティングシステムが、能動的ソーティングシステムであり、タグ付き粒子を第二から第一の出力分岐に選択的にそらすためのコントローラをさらに含む、請求項141記載のシステム。
【請求項149】
ソーティングシステムが、タグ付き粒子をそらすために、タグ付き粒子の存在をコントローラにシグナルを送るようにコントローラに機能的に接続された、タグ付き粒子を検出するための検出器をさらに含む、請求項148記載のシステム。
【請求項150】
検出器が蛍光検出器であり、タグが蛍光タグである、請求項149記載のシステム。
【請求項151】
ソーティングシステムが、タグ付き粒子を第二から第一の出力分岐にそらすためにコントローラによって選択的に発動される流路抵抗アクチュエータをさらに含む、請求項149記載のシステム。
【請求項152】
流路抵抗アクチュエータが、タグ付き粒子を第二から第一の出力分岐にそらすために、第一の出力分岐の流体抵抗を低下させるように第一の出力分岐に連結されている、請求項151記載のシステム。
【請求項153】
流路抵抗アクチュエータが、第一の出力分岐の流体抵抗を増加させてタグ付き粒子を第二から第一の出力分岐にそらすために、第二の出力分岐に連結されている、請求項151記載のシステム。
【請求項154】
流路抵抗アクチュエータが、出力分岐の流体抵抗を変化させるために部分的に開閉するマイクロバルブである、請求項151記載のシステム。
【請求項155】
流路抵抗アクチュエータが、出力分岐の流体抵抗を変化させるために流路の寸法を伸縮させる、請求項151記載のシステム。
【請求項156】
粒子が細胞である、請求項141記載のシステム。
【請求項157】
細胞が細胞の特性に基づいてソーティングされる、請求項156記載のシステム。
【請求項158】
細胞の特性が、がんの少なくとも1つの指標の存在である、請求項157記載のシステム。
【請求項159】
流体懸濁液の状態で、標的粒子が含まれる粒子の集団を提供する段階;
流路において、粒子の少なくともいくつかに粒子の局在流束を形成させる条件下で、流体懸濁液を少なくとも1つの流路の中に流す段階;
第一および第二の出力分岐に流路からの出力を分割する段階
を含み、
第二の出力分岐は標的粒子に富む流れを受容するが、第一の出力分岐は標的粒子が低減された流れを受容するように、前記出力分岐が形作られる、
粒子の集団から標的粒子を分離するための方法。
【請求項160】
分割する段階が受動的に行われる、請求項159記載の方法。
【請求項161】
標的粒子が、集団中の他の粒子とは異なるサイズを有する、請求項160記載の方法。
【請求項162】
標的粒子が、流路内の既定の配置において局在する流束を形成する、請求項161記載の方法。
【請求項163】
第一の出力分岐への入口が、標的粒子の局在流束の流路内での既定の配置を包含するように配置される、請求項162記載の方法。
【請求項164】
流路に機能的に接続した分割システムによって用いられるタグによって粒子を選択的にタグ付けする段階をさらに含む、請求項159記載の方法。
【請求項165】
タグが、選択的にタグ付けされた粒子のサイズを増加させる、請求項164記載の方法。
【請求項166】
タグが磁気タグである、請求項164記載の方法。
【請求項167】
分割システムが、標的粒子を第一の出力分岐に向けて、かつ他の粒子を第二の出力分岐に向けるために磁場を使用する、請求項166記載の方法。
【請求項168】
分割システムによってタグまたはタグ付き粒子を検出する段階、ならびに分割システムによって、タグ付き粒子を第一および第二の出力分岐の選択された1つにそらす段階をさらに含む、請求項164記載の方法。
【請求項169】
分割システムが、流路に機能的に接続された検出器、第一および第二の出力分岐の少なくとも1つに機能的に接続された流体抵抗可変エレメント、ならびに該検出器および該流体抵抗可変エレメントと通信するコントローラを含む、請求項168記載の方法。
【請求項170】
流路からの出力を分割する段階が、タグ付き粒子を検出器によって検出する段階、検出に関する情報を検出器からコントローラに通信する段階、ならびにタグ付き粒子を出力分岐の選択された1つに流すために、第一および第二の出力分岐の少なくとも1つにおける流体抵抗を変化させるように、流体抵抗可変エレメントにコントローラによってシグナルを伝達する段階をさらに含む、請求項169記載の方法。
【請求項171】
タグが蛍光タグである、請求項170記載の方法。
【請求項172】
流路を通る流体の流れが層流である、請求項159記載の方法。
【請求項173】
流体の流れのレイノルズ数が約1〜250である、請求項172記載の方法。
【請求項174】
流路の水力直径によって除した標的粒子の直径が、約0.07より大きいかまたはそれに等しい、請求項173記載の方法。
【請求項175】
流路の水力直径によって除した標的粒子の直径が、約0.5未満であるかまたはそれに等しい、請求項174記載の方法。
【請求項176】
流路が矩形断面、高さ、幅、および2*高さ*幅/(幅+高さ)に等しい水力直径を有する、請求項175記載の方法。
【請求項177】
矩形断面が、ほぼ0.3〜0.8であるアスペクト比を有する、請求項176記載の方法。
【請求項178】
粒子の1つから3つの局在流束を発生させるために、粒子に非対称の力をかける段階をさらに含む、請求項159記載の方法。
【請求項179】
非対称の力が、粒子の唯一つの局在流束を発生させるために適用される、請求項178記載の方法。
【請求項180】
非対称の力が、遠心力、流体力学的抗力、電力、磁力、熱に関する力、音波の力、光学力、または誘電泳動力からなる群より選択される少なくとも1種類の力を含む、請求項178記載の方法。
【請求項181】
非対称の力が、約0.5 nNに等しいかまたはそれより大きいディーン抗力を含む、請求項178記載の方法。
【請求項182】
粒子の集団が、細胞、ビーズ、ウイルス、オルガネラ、ナノ粒子、および分子複合体からなる群より選択される少なくとも1種類の集団を含む、請求項159記載の方法。
【請求項183】
標的粒子が細胞である、請求項159記載の方法。
【請求項184】
細胞が、細菌細胞、哺乳動物細胞、原生生物、植物細胞、および真菌細胞からなる群より選択される、請求項183記載の方法。
【請求項185】
細胞が哺乳動物細胞である、請求項183記載の方法。
【請求項186】
細胞が血球である、請求項185記載の方法。
【請求項187】
細胞が腫瘍細胞を含む、請求項185記載の方法。
【請求項188】
流路が曲線状である、請求項159記載の方法。
【請求項189】
動いている流体のディーン数が、約20未満であるかまたはそれに等しい、請求項188記載の方法。
【請求項190】
曲線状の流路がS字状である、請求項188記載の方法。
【請求項191】
曲線状の流路がらせん状である、請求項188記載の方法。
【請求項192】
曲線状の流路がS字状であり、非対称である、請求項188記載の方法。
【請求項193】
曲率半径が、S字状曲線における1つの変曲点とS字状曲線における次の変曲点とのあいだで異なっている、請求項192記載の方法。
【請求項194】
第一の半径の曲線の後に、より大きい半径の曲線が続く、請求項193記載の方法。
【請求項195】
第一の半径の曲線が、より大きい半径の曲線においてかかるディーン抗力より約8倍大きいディーン抗力をかける、請求項194記載の方法。
【請求項196】
流路が矩形断面形状を有し、矩形断面形状の少なくとも1つの寸法がS字状曲線における各変曲点のあいだで異なっている、請求項192記載の方法。

【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23A】
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【図23B】
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【図23C】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35A】
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【図35B】
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【図35C】
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【図35D】
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【図35E】
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【図35F】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【公表番号】特表2010−538241(P2010−538241A)
【公表日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504208(P2010−504208)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【国際出願番号】PCT/US2008/060440
【国際公開番号】WO2008/130977
【国際公開日】平成20年10月30日(2008.10.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
【出願人】(310022017)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレーション ドゥーイング ビジネス アズ マサチューセッツ ジェネラル ホスピタル (2)
【Fターム(参考)】