説明

マイクロニードル、マイクロニードルアレイ、およびそれらの作製方法

本発明は、単結晶材料の結晶面によって形成される少なくとも3つの壁を有する、単結晶材料製のシャフトと、材料の結晶面によって形成される少なくとも3つの壁を備える、シャフトの端部に結合された先端とを具備するマイクロニードルを提供する。その材料は、好ましくはシリコンである。先端の壁のうちの2つは、シャフトの2つの壁と同じ結晶面によって形成される。これらの2つの壁は<111>結晶面によって形成される。好ましくは、先端の3つの壁が<111>結晶面によって形成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロニードル、マイクロニードルアレイ、およびそれらを作製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マイクロニードルは、標準的な注射用ニードルに対する、期待できる代替物および追加物である。マイクロニードルの寸法は、数十から数百マイクロメートル程度である。先端など、マイクロニードルの細部の寸法は、例えば、数マイクロメートルから1または数ナノメートルである。寸法が比較的小さい結果、マイクロニードルは、本質的に痛みを与えることなく、皮膚に見た目の損傷を与えることなしに、皮膚に貫入するものである。このニードルは、好ましくは、ニードルを皮膚に押し入れるのに必要な力をできるだけ小さく維持することで注射されている感覚を最小限に抑えるためにできるだけ鋭利であり、その結果、注射の際の皮膚の変形ができるだけ小さくなる。マイクロニードルの長さを選択することによって、医薬品などを、皮膚の表面の下で所定の深さで導入することができる。
【0003】
マイクロニードルは、半導体プロセスについて知られている作製技法を使用して作製することができる。非特許文献1に記載されているように、マイクロニードルは用いられる作製技法に基づいて2つのクラスに分けられる。第1のクラスは、基板の平面から直角に延びるニードル(面外(out−of−plane)ニードル)で構成される。第2のクラスは、基板の面にほぼ平行に延びるニードル(面内(in−plane)ニードル)で構成される。ニードルが小さいので、好ましくはいくつかのマイクロニードルを医薬品の注射のために同時に使用する。しかし、実際には、2次元アレイの面内ニードルの作製は難しいことが証明されている。
【0004】
マイクロニードルはさらに、中空マイクロニードルと中実マイクロニードルとに分けられる。中実マイクロニードルは、例えば、ニードル表面に被覆層としてあらかじめ塗布された医薬品を導入するために使用することができる。中空マイクロニードルは、ニードルのチャネル中を通して皮膚の中または下に医薬品を導入できるように通路すなわちチャネルを含む。
【0005】
特許文献1は、シリコン基板上に中空の面外マイクロニードルを作製する方法を提供する。それらのニードルは、基板表面にほぼV字形のスロットをエッチングすることによって形成される。V字形の内側に、穴もエッチングされる。V字形は丸くすることができる。次いで、保護層を設けることによって穴およびスロットを不動態化する。保護層が施された後で、基板の表面は、選択異方性エッチングプロセスによってエッチングされる。このプロセス中に、シリコンは選択的に基板の表面から除去され、スロットの内側に残る<111>結晶面に沿って突起が残る。その後の保護層の除去の後に、内部に開口を含むそれらの突起がマイクロニードルを形成する。
【0006】
しかし、使用するエッチングプロセスが原因で、米国特許第6533949(B1)号のプロセスに従って形成したニードルの周囲は不均一になり、その結果、マイクロニードルが皮膚に押し込まれるときに皮膚が損傷する。周囲が不均一なことは、例えば、非特許文献2の図4で見ることができる。さらに、マイクロニードルの長さおよび鋭利度は、作製プロセスによって制限される。ニードルの長さおよび/または鋭利度が制限されるので、アレイ状の全てのニードルが皮膚に貫入するわけではなく、その結果、漏出の可能性があり、すなわち、液体を使用するときに、皮膚に貫入しなかったニードルを介してその液体が漏出する。
【0007】
特許文献2は、先端で終端する細長いシャフトを備える面内マイクロニードルを提供する。そのシャフトの壁は等方性または異方性エッチングされ、先端は等方性エッチングされる。等方性エッチングの結果、先端は、シャフトよりずっと平坦で細い鋭利な端部を有する。しかし、ニードルの上側では、先端からシャフトへの移行は比較的急であり、その結果、ニードルを皮膚に貫入するときに前記移行部が皮膚に損傷を与える。
【0008】
上記に加えて、従来の全ての知られたマイクロニードルは、実際には、Popper & Sons, Inc., New York (USA)から供給される標準的30G注射用ニードルの鋭利度と最大で同等の鋭利度を有するように思われる。しかし、30G注射用ニードルの鋭利度は、皮膚への損傷を防止するのに十分ではない。使用の際には、マイクロニードル(の一部分)は、ある力で皮膚に押し込まれ、その結果、「ニードルによる外傷」が生じ、注射は失敗する虞がある。皮膚は注射後に損傷し、赤くなり、かつ/または傷つき易くなる。さらに、鋭利度は、ヒトの脇の下または顔の皮膚など、比較的柔らかい皮膚に使用するには不十分である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第6533949(B1)号明細書
【特許文献2】米国特許第5928207号明細書
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】「Penetration−Enhanced Ultrasharp Microneedles and Prediction on Skin Interaction for Efficient Transdermal Drug Delivery」N. Roxhedら著、Journal of Microelectromechanical Systems、vol. 16、no. 6、2007年12月
【非特許文献2】「Silicon Micromachined Hollow Microneedles for Transdermal Liquid Transport」Journal of Microelectromechanical Systems、vol. 12、no. 6、2003年12月
【非特許文献3】Buried Channel Technology、M.J. De Boer著、JOURNAL OF MICROELECTROMECHANICAL SYSTEMS、VOL. 9、NO. 1、2000年3月
【非特許文献4】「Silicon Micromachining」M. Elwenspoek、H.V. Jansen著、Cambridge University Press 1998年
【非特許文献5】「Micromachining of Buried Micro Cannels in Silicon」Meint J. de Boerら著、Journal of Microelectromechanical Systems、Vol. 9、No. 1、2000年3月
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明の一目的は、より鋭利なマイクロニードルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この目的は、本発明に従って、
少なくとも2つの壁を有する単結晶材料のシャフトであって、それらの壁が、その材料の比較的エッチングが遅い結晶面によって形成される、シャフトと、
シャフトの端部に結合され、単結晶材料の比較的エッチングが遅い結晶面によって形成された少なくとも3つの壁を備える先端と
を備える単結晶材料から作られる面内マイクロニードルによって実現される。
【0013】
したがって、先端は、単結晶材料のエッチングが遅い結晶面によって形成される。作製プロセスの結果、結晶面を原子レベルでほぼ平坦にすることができ、その結果、マイクロニードルと皮膚の間の摩擦が最小になる。先端の結晶面が互いに隣接する、線または縁部は鋭利であり、換言すると、その曲率半径は、例えば、10μm未満から最大で原子の曲率半径程度である。結晶面が集まる先端の端部もやはり鋭利であり、曲率半径が、例えば10μm未満である。結晶面の交差線により、さらに、先端がその全長に沿って皮膚に確実に貫入される。先端が切り込むので、マイクロニードルを皮膚に押し込むのに必要な力が小さくなる。次いで、先端によって皮膚に切り込まれた穴にシャフトが摺動する。任意選択で設けることができる中空の内側を除いて、マイクロニードル全体を異方性ウェットエッチングによって作製することができる。研磨など、最後のプロセスは不要である。
【0014】
好ましくは、シリコンの作製技術が存在するので、単結晶材料はシリコンである。さらに、シリコンは、比較的安価な半導体であり、大量に利用可能である。
【0015】
一実施形態では、先端の壁のうちの2つがシャフトの2つの壁と同じ結晶面によって形成される。それらの2つの結晶面を併せて、先端およびシャフトの長さに沿って延びるV字形のプロフィルを形成する。したがって、マイクロニードルのシャフトおよび先端の両方が皮膚を切る。したがって、ニードルを皮膚に押し込む力はより小さく、皮膚への損傷は、マイクロニードルの円周に相当する寸法の切開に限定される。
【0016】
別の実施形態では、先端の2つの壁は、シャフトの2つの壁と同じ結晶面によって形成され、比較的エッチングが遅い結晶面によって形成される。結晶面は、所望の切り込み作用を実現するために適切な鋭角で隣接する。
【0017】
さらに別の実施形態では、先端の3つの壁が、比較的エッチングが遅い結晶面によって形成され、それらの壁は<111>結晶面によって形成される。それらの3つの壁は原子レベルで鋭利になるように先端の一端部で集まる。その場合は、3つの壁は約70.53°の内角で互いに隣接する。前述の特徴は先端の鋭利度に貢献している。原子レベルでほぼ平坦な結晶面により、マイクロニードルを使用するときの先端と皮膚の間の摩擦が最小限に抑えられる。結晶面は鋭角の内角で互いに隣接する。
【0018】
好ましくは、シャフトおよび/または先端中にチャネルが構成される。チャネルは、例えば、埋め込み型チャネルまたは開放チャネルである。
【0019】
別の態様によれば、本発明は、
ほぼ平坦な端部を備えたホルダと、
そのホルダの端部に取り付けられた1つまたは複数のマイクロニードルと
を備えるマイクロニードルアレイを提供する。
【0020】
その1つまたは複数のマイクロニードルは、例えば、上記で説明したマイクロニードルを含む。本発明によるマイクロニードルアレイにより、任意の数の面内マイクロニードルを任意の2次元構成で使用することが可能になる。始めに言及したN. Roxhedらによる論文に記載されているように、面内マイクロニードルは、最大でも単一の列のマイクロニードルを使用することしか可能ではなかったので、仮にあったとしても従来はほとんど使用されていなかった。面内マイクロニードルはシャフトを含むことができるので、その長さを任意に選択することができ、そのため、面外マイクロニードルより深く皮膚に貫入することが可能である。
【0021】
好ましくは、ホルダは熱可塑性物質を含む。ホルダは、例えば、円筒形のホルダを備え、そのホルダは、平坦かつ円形の端部を備える。開口が端部に、マイクロニードルのために意図された位置に設けられる。マイクロニードルを加熱することによって、マイクロニードルは、例えば、開口に融合する。このために、ホルダは、好ましくは、PE、PP、および/またはPOMなどの熱可塑性物質から作られる。
【0022】
別の態様では、本発明は、上記で説明したマイクロニードルの作製方法を提供する。
【0023】
本発明のさらなる利点および特徴を添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1a】本発明によるマイクロニードルの実施形態の底面斜視図を示す。
【図1b】図1aのマイクロニードルの上面斜視図を示す。
【図2a】本発明によるマイクロニードルの別の実施形態の底面斜視図を示す。
【図2b】図2aのマイクロニードルの上面斜視図を示す。
【図3a】本発明によるマイクロニードルのさらに別の実施形態の底面斜視図を示す。
【図3b】図3aのマイクロニードルの上面斜視図を示す。
【図3c】図3aのマイクロニードルの変形形態の底面斜視図を示す。
【図4a】本発明によるマイクロニードルのさらに別の実施形態の底面斜視図を示す。
【図4b】図4aのマイクロニードルの上面斜視図を示す。
【図5】本発明によるマイクロニードルアレイの実施形態の底面斜視図を示す。
【図6】図5のマイクロニードルアレイの上面斜視図を示す。
【図7A】図1のマイクロニードルの作製のための連続するプロセスステップのうちの1つのプロセスステップの上面斜視図を示す。
【図7B】図1のマイクロニードルの作製のための連続するプロセスステップのうちの1つのプロセスステップの上面斜視図を示す。
【図7C】図1のマイクロニードルの作製のための連続するプロセスステップのうちの1つのプロセスステップの上面斜視図を示す。
【図7D】図1のマイクロニードルの作製のための連続するプロセスステップのうちの1つのプロセスステップの上面斜視図を示す。
【図7E】図1のマイクロニードルの作製のための連続するプロセスステップのうちの1つのプロセスステップの上面斜視図を示す。
【図7F】図1のマイクロニードルの作製のための連続するプロセスステップのうちの1つのプロセスステップの上面斜視図を示す。
【図8A】図7Aのプロセスステップに対応する底面斜視図を示す。
【図8B】図7Bのプロセスステップに対応する底面斜視図を示す。
【図8C】図7Cのプロセスステップに対応する底面斜視図を示す。
【図8D】図7Dのプロセスステップに対応する底面斜視図を示す。
【図8E】図7Eのプロセスステップに対応する底面斜視図を示す。
【図8F】図7Fのプロセスステップに対応する底面斜視図を示す。
【図9A】マイクロニードルの別の実施形態の作製のための連続するプロセスステップのうちの1つのプロセスステップの上面斜視図を示す。
【図9B】マイクロニードルの別の実施形態の作製のための連続するプロセスステップのうちの1つのプロセスステップの上面斜視図を示す。
【図9C】マイクロニードルの別の実施形態の作製のための連続するプロセスステップのうちの1つのプロセスステップの上面斜視図を示す。
【図9D】マイクロニードルの別の実施形態の作製のための連続するプロセスステップのうちの1つのプロセスステップの上面斜視図を示す。
【図9E】マイクロニードルの別の実施形態の作製のための連続するプロセスステップのうちの1つのプロセスステップの上面斜視図を示す。
【図10A】図9Aのプロセスステップに対応する底面斜視図を示す。
【図10B】図9Bのプロセスステップに対応する底面斜視図を示す。
【図10C】図9Cのプロセスステップに対応する底面斜視図を示す。
【図10D】図9Dのプロセスステップに対応する底面斜視図を示す。
【図10E】図9Eのプロセスステップに対応する底面斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1aおよび図1bに示す実施形態では、マイクロニードル10が単結晶シリコン<100>の基板から形成される。マイクロニードル10は先端12を備え、その先端12はシャフト14と一体に形成される。任意選択で、シャフトの反対側の端部が幅の広い部分またはベース16を備える。ベース16は、例えば、マイクロニードルを把持し、かつ/または他の要素に連結する(例えば図5参照)働きをする。このために、ベースは、任意の所望の形状を有することができ、したがって、より詳細には説明しない。
【0026】
シャフト14の形状は、断面がほぼ三角形であり、互いに隣接する少なくとも3つの壁18、20、22を有する。平面18は、ベース16の平面24とちょうど同じように基板の表面に相当し、したがって、図示の実施形態では<100>結晶面に相当する。平面20および22はシリコンの<111>結晶面である。
【0027】
先端12は、隣接する3つの壁20、22、および25を備える。それらの平面20および22はまた、シャフトの側壁も形成する。平面25は、<111>結晶面であり、平面18との交差線26から、先端12のとがった端部28の方向に斜めに延びる。シャフト14の外周の断面は、先端12の最も幅の広い部分の断面、すなわち交差線26の位置での断面に等しい。
【0028】
任意選択で、マイクロニードル10中にチャネル30が設けられ、そのチャネル30を通して、例えば医薬品および液体を送ることができる。
【0029】
ベースの平面32は、平面24の反対側にあり、基板の表面の一部分を形成する。したがって、平面32は<100>面である。平面25は、平面32に対して、さらに壁20、22の交差線34に対して、約54.74°の内角である。
【0030】
図2aおよび図2bに示す別の実施形態では、マイクロニードル110は単結晶シリコン<211>の基板から形成される。マイクロニードル110は先端112を備え、その先端112はシャフト114と一体に形成される。この場合もマイクロニードル110が、マイクロニードルがそれから作製される基板111の残りの部分に結合しているので、シャフトはやはりベース116を備えることができる。基板111の平面124、132によって形成される制限内で、ベースは、マイクロ生産によって可能などのような形状にもすることができる。
【0031】
断面では、シャフト114は略台形である。上面図または底面図では、シャフト114は先端112との分割線126から見ると幅が広くなっている。シャフト114は4つの壁118、120、122、および123を備える。それらの壁118および123は、基板の表面に相当し、本実施形態では、<211>結晶面である。壁120、122は、<111>結晶面であり、壁118、123に対してある角度をなす。
【0032】
先端112は、隣接する3つの壁120、122、125、および壁123の一部分を備える。壁120および122はまた、シャフトの側壁も形成する。平面125は、<111>結晶面であり、平面118との交差線126から、先端112のとがった端部128の方向に斜めに延びる。壁125は、壁123に対して約19.47°の内角である。したがって、表面においてある一定の結晶方位を有する基板を出発材料として使用することによってこの角度を選択することができる。
【0033】
使用可能にするためには、この場合も、図2aおよび図2bに示すマイクロニードル110を基板から切り離す。
【0034】
図3aおよび図3bに示す実施形態では、マイクロニードル210が単結晶シリコン<100>の基板から形成される。マイクロニードル210は先端212を備え、その先端212はシャフト214と一体に形成される。任意選択で、シャフトの反対側の端部は、幅の広い部分またはベース216を備える。ベース216は、例えば、マイクロニードルを把持し、かつ/または他の要素に連結する働きをする(例えば図5参照)。ベースについては説明しない。
【0035】
断面では、シャフト214の形状は略五角形であり、壁218、220、222、223、224、および225が互いに隣接している。ちょうどベース216の平面217のように、平面218は基板の表面に相当し、したがって、図示の実施形態では<100>結晶面である。平面223も<100>結晶面であり、218に平行に配置されている。平面225、220、222、224、および226はシリコンの<111>結晶面である。
【0036】
先端212は、壁218、220、222、223、224、225、および226を備える。平面226は、平面218、225、220、223、222、224に隣接する<111>結晶面であり、平面218との交差線から、壁223に隣接するとがった端部の方向に斜めに延びる。
【0037】
この実施形態の一利点は、ニードルが断面に対して好都合な周囲を有することでよい。その結果、ある一定の循環を有するある一定のサイズのチャネルの場合に貫入に必要な力は限定される。さらに、この実施形態によるマイクロニードルによって生じる皮膚の切り込みも限定される。
【0038】
図3cに、任意選択で、マイクロニードル210中に構成できるチャネル230の状態を示す。そのチャネル230を通して、例えば医薬品および液体を送ることができる。チャネル230は、断面がダイヤモンド形でよく、スロット231とつながっていてよい。このスロット231は、図示のように開放したままでもよく、非特許文献3によって閉鎖してもよい。チャネルが開放したままの場合、言い換えると、スロットが閉鎖していない場合は、チャネルは長手方向に開放した状態になる。開放チャネルの場合でも、マイクロニードルが皮膚中に完全に挿入されるときに皮膚がチャネルを閉鎖するので、液体を皮膚に注射することができる。
【0039】
図4aおよび図4bに示す別の実施形態では、マイクロニードル410は単結晶シリコン<110>の基板から形成される。マイクロニードル410は先端412を備え、その先端412はシャフト414と一体に形成される。シャフト414はベース416を備えることができる。断面では、シャフト414の形状はほぼ正方形である。
【0040】
シャフト414は、4つの壁418、420、422、および423を備える。壁418および423は、基板の表面に相当し、本実施形態では、<110>結晶面である。本実施形態では、壁420および422は、エッチングが遅い<111>結晶面である。
【0041】
先端412は、互いに隣接する5つの壁418、420、422、423、および425、すなわち、シャフトの全ての平面、および<111>面425を備える。壁420および422は、エッチングが遅い<111>面であり、シャフトの側壁も形成する。平面425は<111>結晶面であり、平面422との交差線から、先端412のとがった端部の方向に斜めに延びる。
【0042】
マイクロニードルの開口角が比較的小さく、その結果、比較的角度が大きいニードルより貫入に必要な力が小さいことがこの実施形態の一利点でよい。この文脈では、これは、より鋭利なニードルまたは先端と呼ぶ。
【0043】
上記で説明したマイクロニードルは面内ニードル(図7〜図10参照)であるが、本発明は、任意の数のマイクロニードルを任意の2次元構成で同時に使用する手法を提供する。
【0044】
図5および図6に、ホルダ202を備えるマイクロニードルアレイ200を示す。そのホルダ202は、円筒形の壁204を備え、その壁204の端部206はほぼ円形で平坦である。端部206は、マイクロニードルが望まれる位置にそれぞれ開口208を有する。開口208はそれぞれ、例えば、マイクロニードル10を有する。一例として、図1aによるマイクロニードル10を示すが、他の所望のどのようなマイクロニードルも開口208中に配置することができる。さらに、開口208ごとに異なるマイクロニードル、例えば長さが異なるマイクロニードルを取り付けることができる。面内マイクロニードルはシャフトを備えることができるので、その長さを任意に選択することができ、そのため、面外マイクロニードルの場合より深く皮膚に貫入することが可能である。
【0045】
好ましくは、ホルダ202はPEおよび/またはPPなどの熱可塑性物質を含む。マイクロニードルは、例えば開口に融合される。融合は、ホルダのプラスチックが、マイクロニードルが配置された開口の周りで局部的に溶融するまで、マイクロニードルを加熱することによって実現することができる。次いで、それぞれのマイクロニードルが冷却可能であることによって、溶融したプラスチックが再び硬化し、マイクロニードルとホルダの間に水密かつ気密の連結が形成される。例えば、光またはレーザビームをマイクロニードル上に集束させることによって、非接触でマイクロニードルを加熱することができる。マイクロニードルを非接触で加熱することによって、組み立てが著しく単純になり、損傷のリスクが最小限に抑えられる。
【0046】
上記で説明したマイクロニードルの作製を以下で説明する。この説明では、シリコンなどの半導体材料のプロセスに慣例的な用語を使用する。使用する用語の詳細な説明については、非特許文献4を参照する。
【0047】
本発明によるマイクロニードルは、ある特定の結晶面に相当する表面を有する、単結晶材料、例えば半導体の基板から作られる。マイクロニードルの形状は、基板の結晶面方位に応じて変わる。本発明は、ある一定の方位を有する単結晶の基板中の、エッチングしないある一定の結晶面によって、より鋭利なマイクロニードルを提供する。
【0048】
本発明で使用する(2次元(2D)フォトリソグラフィ)作製技法は、単結晶の基板に基づいている。それらの基板は、本質的に単結晶を構成するバルク材から切り取られる。通常、基板は円形のディスクまたはウェハである。切り取った後に基板の表面になる平面は、基板の表面に対する結晶方向を決定する。基板の表面は切り取る方向によって決まるので、基板の表面における結晶面を、基板の結晶方位に関して任意に選択することができる。こうした表面は、通常、結晶面である。結晶面は、ミラー指数で、例えば、<100>、<110>、<111>面と呼ばれる。結晶面は結晶の任意の平面であり、結晶中では原子が繰り返しパターンを形成する。基板は、とりわけ、表面の結晶面によって、例えば、<100>配向シリコン基板、あるいは単純に<100>シリコンまたはシリコン<100>と呼ばれる。しかし、<211>または<310>など、他の任意の結晶面も可能である。
【0049】
基板の表面に関する結晶面の選択により、マイクロニードルの先端の内角がある程度決まる。
【0050】
作業、例えば、リソグラフィック画像の作製、エッチングによる材料の除去、および材料の堆積を基板の表面に実行し、その結果、基板表面上および/または基板全体にいくつかの構造が作り出される。
【0051】
単結晶の基板は、互いに異なるエッチング速度、いわゆる、異方性エッチングプロセスを有することができる結晶面を備える。したがって、比較的エッチングが遅い結晶面は、異方性エッチングプロセス中に原子レベルで平坦な結晶面を形成する。2Dリソグラフィックステップおよびエッチングプロセスの特定の選択および順序の結果、これらの結晶面は、本発明によるマイクロニードルの、原子レベルで平坦な壁を形成する。それらの2Dリソグラフィックステップおよびエッチングプロセスについていくつかの例を挙げるが、本発明はそれらの例に限定されない。
【0052】
基板の表面は、ある一定の程度の平坦度を確実にするために機械研磨および/または化学研磨によって仕上げられる。この表面は、通常、遅いエッチングではないが、基板表面の仕上げ処理によって、通常、原子レベルで平坦なのと同程度に平坦であり、少なくとも原子の平坦度に近づけることができる。
【0053】
基板の上面および底面の両方を研磨することができる。それにより基板も指定し、平坦さの程度も指定することができる。
【0054】
単結晶シリコンが好ましい材料であるが、本発明はシリコンに限定されるものではない。単結晶シリコンは、原子がダイヤモンドに類似の構造または四面体を形成する立方晶系結晶を形成する。他の適切な基板は、例えば、単結晶の半導体または石英を含む。
【0055】
図7から図10に、シリコン<100>基板から開始するマイクロニードルの作製を示す。換言すると、ほぼ図1aおよび図1bに示すようなマイクロニードルが得られる。同じ作製ステップを利用するが、基板の方位が異なり、リソグラフィック設計(2次元マスクの設計)が前記方位に適合されたシリコンから開始する作製ステップで、他のマイクロニードルを得ることができる(例えば図2aおよび図2b参照)。その場合、基板表面(<211>)の結晶面と比較的遅いエッチング平面(<111>)との間の最も小さい角度がより小さいので、先端の最も小さい内角をより小さくすることができる。最も小さい角度は、<100>の場合の約55°(<100>面と<111>面の間の角度)と異なり、<211>の場合は約20°(基板の<211>表面と<111>面の間の角度)である。しかし、基板の材料は、全ての場合に同じ単結晶材料である。半導体を含む基板は、所望の場合にpドープまたはnドープすることができる。
【0056】
一実施形態では(図7A、図8A)、出発材料は、不動態化層を全ての面に備える基板300である。不動態化層は、シリコンなどの基板材料に関してエッチング剤に耐性がある保護層である。不動態化層すなわち保護層は、例えば、窒化シリコンまたは二酸化シリコンを含む。言及したように、基板は<100>シリコンから作られ、そのため、表面324および332は<100>結晶面である。
【0057】
第1のステップでは、マイクロニードルが作製される位置に埋め込み型チャネル30が設けられる(図7B、図8B)。他のステップの間、後、または前に埋め込み型チャネル30を設けることも可能である。半導体基板中に埋め込み型チャネルを設けるプロセスステップの説明に関しては、非特許文献5を参照する。前記論文では、例えば、表1に基板中に埋め込み型チャネルを設けるための4つの可能なプロセスが記載されている。選択した基板(例えばp型またはn型シリコン、抵抗力、結晶方位)に応じて、適切なプロセスを選択することができる。本発明の一実施形態によれば、埋め込み型チャネル30は、最終的なマイクロニードルに通路を形成するために基板中に残る。チャネルが長手方向に開放するようにチャネルの長手方向にスロットを形成することによって、チャネルを開放したままにすることも可能である。次いで、マイクロニードルがその中に導入される皮膚がチャネルを閉鎖し、その結果、チャネル中を通して液体を注射することができる。
【0058】
基板の表面324側または表面332側に所望に応じて埋め込み型チャネルを構成することができる。しかし、埋め込み型チャネル30が表面324側に配置されることが好ましい。
【0059】
後続のステップ(図7C、図8C)では、最初は基板300の上面に保護層が設けられている。保護層に、埋め込み型チャネル30に平行な細長い開口(図示せず)が設けられる。開口の位置では、基板は被覆されていない。基板300は順次異方性エッチングされる。
【0060】
シリコンを選択的にエッチングする水酸化カリウム(KOH)は、適切な異方性ウェットエッチング剤である。KOHは、<100>結晶面の方向には、<111>面の方向より約400倍速くシリコンをエッチングすることができる。言い換えると、<111>面は他の結晶面より遅くエッチングする。別の適切なエッチング剤はEDP(エチレンジアミンおよびピロカテコールの水溶液)である。EDPは、<100>結晶面の方向と<111>面の方向の約50:3の比でpドープシリコンをエッチングする。テトラメチル水酸化アンモニウム(TMAH)を使用することもできるが、<100>面と<111>面の間の選択性はEDPより劣る。KOHが最も選択的にエッチングするので、本発明にとって好ましい。
【0061】
エッチング剤は、保護層の開口を通してシリコンをエッチングして取り去り、そのプロセスでは、比較的遅いエッチング<111>面が見えるようになる。エッチングステップは、基板の反対側324の保護層に到達するとすぐに終了する。<111>結晶面20、350、352、および354が一緒に基板(図7C)に細長い凹所356を形成し、スロットまたは開口358が、基板の凹所の底部に作製される(図8C)。スロット358は、保護層の残りの部分で形成した膜によって閉鎖しており、換言すると、開放していない。
【0062】
次のステップ(図7D、図8D)では、最初は基板300の上面に保護層が設けられている。保護層では、埋め込み型チャネル30を基準にした反対側で凹所356の隣に細長い開口(図示せず)が設けられる。開口の位置では、基板が被覆されていない。続いて、基板300は異方性エッチングされる。
【0063】
エッチング剤は、保護層の開口を通してシリコンをエッチングして取り去り、そのプロセスでは、比較的遅いエッチング<111>面が見えるようになる。エッチングステップは、基板の反対側324の保護層に到達するとすぐに終了する。<111>結晶面22、360、362、および364が一緒に基板に細長い凹所366(図7D)を形成し、スロットまたは開口368(図8D)が、基板の凹所の底部に作製される。スロット368は、保護層の残りの部分によって形成される膜によって閉鎖しており、換言すると、開放していない。
【0064】
次のステップ(図7E、図8E)では、最初は保護層が基板の上面に設けられている。その保護層には、先端12をエッチングするために被覆されていない基板の底面324に開口(図示せず)が設けられる。続いて、基板のシリコンは、開口を通してエッチング剤(例えばKOH)を用いて異方性エッチングされ、そのプロセスでは、比較的遅いエッチング<111>結晶面25が見えるようになる。
【0065】
次のステップ(図7F、図8F)では、保護層の残りの部分が最初に取り除かれる。さらに、そのプロセスでは、先端12から突出した埋め込み型チャネルの材料の一部分が取り除かれる。
【0066】
続いて、マイクロニードル10は基板から取り外される。マイクロニードル10を、例えば、エッチング(図1aおよび図1bに示す結果)、切り取り(図7F、図8Fに示す結果)、または切断することによって基板から取り外すことができる。
【0067】
エッチングの場合は、最初は保護層が基板の上面に設けられている。その保護層では、ベース16をエッチングするために基板が被覆されない、基板の底側324または上側332に開口(図示せず)が設けられる。その後、エッチング剤(例えばKOH)を使用して、ベース16が残るまで、開口を通して基板のシリコンを異方性エッチングする。
【0068】
本発明によるマイクロニードルを作製する別のより単純な方法を図9および図10に示す。
【0069】
図9A、図9B、図9D、図9Eに示すステップは、それぞれ図7A、図7B、図7E、図7Fを参照しながら上記で説明したステップと同じである。基板の表面324側または表面332側に所望に応じて埋め込み型チャネル30を配置することができる。しかし、これは、埋め込み型チャネル30が表面324側に配置される場合に好ましい。
【0070】
違いは図9C、図10Cに示すステップに関連する。基板300は、全ての面に保護層を備え、この実施形態では、2つの開口が埋め込み型チャネルの各側で開放したままである。開口は、薄いストリップ状の保護層によって分割される。ストリップの幅は、フォトリソグラフィプロセスに応じて変わり、ストリップを画定するために使用され、例えば1μmと100μmの間である。
【0071】
続いて、基板300は異方性エッチングされる。エッチング剤は、保護層の2つの開口を通してエッチングしてシリコンを取り去り、そのプロセスでは、遅いエッチング<111>面が見えるようになる。エッチングステップは、基板の反対側324の保護層に到達するとすぐに終了する。<111>結晶面20、350、352、354は一緒になって基板(図9C)に細長い凹所356を形成し、スロットまたは開口358(図9C)は、凹所の底部の基板に作製される。同時に、凹所356の隣に、<111>面22、360、362、364によって形成された凹所366が作製された。凹所366の底部では、基板のスロットまたは開口368(図9C)が作製されている。スロット358およびスロット368は両方とも保護層の残りの部分によって形成された膜によって、閉鎖されている。
【0072】
図9および図10による方法に従って作製されたマイクロニードルは、平面20と22の間に平面23を備える。平面23は、凹所356および366の異方性エッチング中に、上記で言及したストリップ状の保護層の下に存在していた基板の表面332の残りの部分である。平面23の幅は、ストリップの幅に相当し、すなわち、例えば約1μmと100μmの間である。
【0073】
したがって、図9および図10(図9E、図10E)の方法に従って作製されたマイクロニードルの先端12は、4つの壁20、22、23および25によって囲まれる。壁20、22および25は、シリコン製の<111>結晶面である。壁23は、基板の表面332の残りの部分である。図示の実施形態では、壁23は<100>結晶面である。
【0074】
本発明による先端12は、基板の結晶面を含む壁によって形成される。壁は交差線で互いに隣接し、先細りして端部28になる。交差線および端部は、概して原子レベルで鋭利、換言すると、端部28ならびに/あるいは壁20、22、23および/または25の交差線の曲率半径は原子の直径程度の曲率半径になる。曲率半径は、例えば、1〜100nm程度である。曲率半径が小さいので、マイクロニードルは鋭利である。交差線は曲率半径が小さく、さらに、先端12の全長に沿って延びるので、マイクロニードルの先端全体が皮膚に切り込む。したがって、既知のマイクロニードルの場合より、皮膚に貫入するのに小さい力しか必要としない。シャフト14は、交差線で互いに隣接する結晶面の壁も有するので、皮膚に切り込む作用も有する。マイクロニードルの壁18、20、22、23および25は、概してシリコンの結晶面に相当し、ほぼ原子レベルで平坦にすることができる。原子レベルで平坦な壁により、皮膚上の摩擦がより粗い壁より小さくなり、その結果、本発明によるマイクロニードルは、皮膚からの抵抗力がより小さくなり、皮膚の損傷の程度が小さくなる。
【0075】
図3aおよび図3bに示すマイクロニードルを生じることができるマイクロニードルの作製方法の実施形態を以下で説明する。第1のステップは、基板の第1の側に2つの凹所がエッチングされる、図7A〜図7D/図8A〜図8D、または図9A〜図9D/図10A〜図10Dを参照しながら説明したステップと同様にすることができる。次いで、追加の中間ステップとして、基板のもう一方の、反対側がエッチングされる。その場合は、同様にしてこの反対側に2つの凹所もエッチングされ、そのため、基板の一方の側の凹所は、ある一定の部分に沿って基板のもう一方の側の凹所に相当する。その方法の後続のステップは、図7E/図8Eまたは図9E/図10Eを参照しながら説明したステップに相当する。
【0076】
図4aおよび図4bに示すマイクロニードルを生じることができるマイクロニードルを作製する別の方法が、断面が正方形のマイクロニードルを基板からエッチングすることで始まり、シャフトが基板の<110>側に相当する2つの側を備える。他の2つの側はそれに対して直角であり、<111>面である。次いで、マイクロニードルの一部分は、異方性エッチングして取り去られ、その結果、<111>面が平面425によって図4aおよび図4bに示すマイクロニードルの先端を形成する。
【0077】
マイクロニードルが作製された後で、マイクロニードルがより簡単に皮膚中に摺動できるようにするために、マイクロニードルの外側表面上に依然として被覆層が施されていてよい。被覆層は、例えば、シリコンオイルを含む。シリコンオイルは、例えば、マイクロニードルをシリコンオイルバスに浸すことによって塗布することができる。さらに、マイクロニードルを容器に入れ、その容器中で、シリコンオイルを蒸気の形で、または微細ミストまたはスプレによって塗布することができる。
【0078】
本発明は、本発明の上記で説明した実施形態に限定されるものではなく、そのため添付の特許請求の範囲内に包含される多くの修正形態が可能になる。
【符号の説明】
【0079】
10 マイクロニードル
12 先端
14 シャフト
16 ベース
18 平面、壁
20 壁
22 壁
24 平面
25 壁
26 交差線
28 とがった端部
30 チャネル
32 平面
34 交差線
【図1A】

【図1B】

【図2A】

【図2B】

【図3A】

【図3B】

【図3C】

【図4A】

【図4B】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
単結晶材料から作られる面内マイクロニードルであって、
少なくとも2つの壁を有するシャフトであって、前記壁がそれぞれ、前記単結晶材料の比較的エッチングが遅い結晶面によって形成される、シャフトと、
前記シャフトの端部に結合され、少なくとも3つの壁を備える先端であって、前記壁がそれぞれ、前記単結晶材料の比較的エッチングが遅い結晶面によって形成される、先端と
を備える、面内マイクロニードル。
【請求項2】
前記先端の前記壁のうちの2つが、前記シャフトの2つの壁と同じ結晶面によって形成される、請求項1に記載のマイクロニードル。
【請求項3】
前記先端の前記2つの壁が、前記シャフトの前記2つの壁と同じ結晶面によって形成され、比較的エッチングが遅い結晶面によって形成される、請求項2に記載のマイクロニードル。
【請求項4】
比較的エッチングが遅い結晶面によって、前記先端の3つの壁が形成される、請求項1から3のいずれか一項に記載のマイクロニードル。
【請求項5】
前記比較的エッチングが遅い結晶面が互いに平行ではない、請求項1から4のいずれか一項に記載のマイクロニードル。
【請求項6】
前記先端が、前記マイクロニードルがそれから作られる、前記単結晶材料の基板の表面と同一の第4の壁を備える、請求項5に記載のマイクロニードル。
【請求項7】
前記先端の前記壁のうちの3つが、前記シャフトの3つの壁と同じ結晶面から形成される、請求項1から6のいずれか一項に記載のマイクロニードル。
【請求項8】
前記先端の前記3つの壁が、ほぼ原子レベルで鋭利に一端部に集まる、請求項1から7の一項に記載のマイクロニードル。
【請求項9】
前記3つの壁が、70°程度の内角で互いに隣接する、請求項8に記載のマイクロニードル。
【請求項10】
前記マイクロニードルが、前記先端の所望の鋭利度に合うある一定の結晶方位の表面を有する単結晶シリコン基板から形成される、請求項1から9のいずれか一項に記載のマイクロニードル。
【請求項11】
前記単結晶材料が、単結晶シリコン<100>、単結晶シリコン<211>、または単結晶シリコン<110>のうちの1つである、請求項1から10のいずれか一項に記載のマイクロニードル。
【請求項12】
前記シャフトおよび/または前記先端中にチャネルが設けられる、請求項1から11のいずれか一項に記載のマイクロニードル。
【請求項13】
前記チャネルが長手方向に開放している、請求項12に記載のマイクロニードル。
【請求項14】
単結晶材料から作られるマイクロニードルであって、
少なくとも3つの壁を備える先端であって、前記壁が前記単結晶材料の比較的エッチングが遅い結晶面によって形成される、先端を備えるマイクロニードル。
【請求項15】
前記単結晶材料がシリコンであり、
前記先端の前記3つの壁が、比較的エッチングが遅い結晶面によって形成され、前記シリコンの<111>結晶面によって形成される、請求項14に記載のマイクロニードル。
【請求項16】
前記比較的エッチングが遅い結晶面が互いに平行ではない、請求項14または15に記載のマイクロニードル
【請求項17】
略平坦な端部を備えるホルダと、
前記ホルダの端部に取り付けられる、請求項1から16のいずれか一項に記載の1つまたは複数のマイクロニードルと、
を備えるマイクロニードルアレイ。
【請求項18】
前記ホルダが熱可塑性物質を含む、請求項17に記載のマイクロニードルアレイ。
【請求項19】
前記熱可塑性物質がPE、PPおよび/またはPOMを含む、請求項18に記載のマイクロニードルアレイ。
【請求項20】
前記マイクロニードルが、任意の構成で前記ホルダの前記端部に取り付けられる、請求項17〜19のいずれか一項に記載のマイクロニードルアレイ。
【請求項21】
前記1つまたは複数のマイクロニードルが、前記ホルダの前記端部の材料中に融合される、請求項17〜20のいずれか一項に記載のマイクロニードルアレイ。
【請求項22】
マイクロニードルを作製する方法であって、
i)第1の表面、および前記第1の表面に平行な第2の表面を有する単結晶材料の基板を用意するステップと、
ii)第1のスロットが前記基板の中心にある状態で第1の凹所を形成するために、保護層の第1の開口を通して前記基板の前記第1の表面を異方性エッチングするステップと、
iii)第2のスロットが前記基板の中心にある状態で第2の凹所を形成するために、保護層の第2の開口を通して前記基板の第1の表面を異方性エッチングするステップと、
iv)前記マイクロニードルの先端を形成するために、保護層の第3の開口を通して前記基板の前記第2の表面を異方性エッチングするステップと、
v)前記基板から前記マイクロニードルを取り外すステップと
を含む、マイクロニードル作製方法。
【請求項23】
vi)前記基板にチャネルを構成するステップを含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ステップii)およびiii)が同時に実行される、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
前記ステップii)を実行した後で前記ステップiii)を実行する、請求項22または23に記載の方法。

【図5】
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【図6】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図7D】
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【図7E】
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【図7F】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【公表番号】特表2011−525402(P2011−525402A)
【公表日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−516165(P2011−516165)
【出願日】平成21年6月24日(2009.6.24)
【国際出願番号】PCT/NL2009/000140
【国際公開番号】WO2009/157765
【国際公開日】平成21年12月30日(2009.12.30)
【出願人】(510340735)ユー−ニードル・ホールディング・ベー・フェー (1)
【Fターム(参考)】