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マイクロニードルパッチ収納ケース
説明

マイクロニードルパッチ収納ケース

【課題】マイクロニードルの損傷を防止する。
【解決手段】マイクロニードル収納ケース10のケース本体16に、マイクロニードルパッチ(以下、パッチ)11を収納する下凸形状のパッチ収納穴19を形成する。パッチ収納穴19を、シート13を収納する1段目の第1凹部20と、この第1凹部20の底に形成され、マイクロニードル14を収納する2段目の第2凹部21とで構成する。第1凹部20の深さD1を、マイクロニードル14の長さhとシート13の厚みaとの和よりも深く形成する。第1凹部20を形成する内壁面により、シート13の軸垂直方向の移動が規制される。これにより、パッチ11の取り出し時にマイクロニードル14が第2凹部21の開口周縁部に接触して破損することが防止される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロニードルパッチを収納するマイクロニードルパッチ収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤を人の体内に投与する方法として、皮膚上から薬剤を浸透させ体内に薬剤を投与する、いわゆる経皮的投与法がある。この経皮的投与法として、マイクロニードルパッチを用いて皮膚内に薬剤を投与する方法が知られている(特許文献1参照)。マイクロニードルパッチは、皮膚表面に貼り付けられるシートと、このシート上にアレイ状に多数配列されたマイクロニードルとからなる。
【0003】
マイクロニードルは、例えば糖類と薬剤から形成されている。マイクロニードルは、皮膚との接触時に皮膚を貫いて体内に刺入され、体内で溶解して消失する。これにより、薬剤を皮膚表面に塗布する方法と比較して、より確実に薬剤を体内に投与することができる。
【0004】
マイクロニードルパッチは、皮膚表面に貼り付けて薬剤を体内に投与する医薬品である。このため、マイクロニードルパッチは、その製造後に流通過程を経て使用されるまでの間、無菌状態が保たれるようにマイクロニードルパッチ収納ケース(以下、単に収納ケースという)に収納されている(特許文献2参照)。
【0005】
収納ケースは、マイクロニードルパッチを収納する収納穴を有しており、断面略凹形状に形成されている。また、収納穴の開口周縁部には、シートの外周部が嵌合する段差が形成されている。収納穴の開口は、マイクロニードルパッチの収納後に各種フィルムで覆われる。これにより、マイクロニードルパッチは、無菌状態で保持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2009−072270号公報
【特許文献2】実用新案登録第3152532号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、特許文献2の収納ケースでは、マイクロニードルパッチを収納穴内に収納する際、あるいは収納穴からマイクロニードルパッチを取り出す際に、マイクロニードルが収納穴の開口周縁部に接触するおそれがある。マイクロニードルは糖類などの脆い材料で形成されているので、開口周縁部に接触したときに破損する可能性が高い。
【0008】
本発明の目的は、マイクロニードルパッチの収納/取り出し時にマイクロニードルの破損を防止することができるマイクロニードルパッチ収納ケースを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、シートの一面上でかつその外周部を除く領域に複数のマイクロニードルが設けられたマイクロニードルパッチを収納するマイクロニードルパッチ収納ケースにおいて、ケース本体に設けられ、前記シートを前記一面側から収納するとともに、前記外周部を受ける枠状底面を有する第1凹部であって、その深さが前記マイクロニードルの長さと前記シートの厚みとの和よりも深く形成された第1凹部と、前記枠状底面の内側に設けられ、前記マイクロニードルを収納する第2凹部と、前記第1凹部の開口を塞ぐ蓋と、を備えることを特徴とする。
【0010】
前記シートの前記一面とは反対側の他面から前記開口までの寸法をtとし、前記シートの、前記第1凹部の中心軸に対して垂直方向の幅をLとしたときに、t≦0.3×Lを満たすことが好ましい。
【0011】
前記第1凹部の内面が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリプロピレンの混合物のいずれかで形成されていることが好ましい。また、前記蓋の前記シートと対向する面が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリプロピレンの混合物のいずれかで形成されていることが好ましい。
【0012】
前記ケース本体、前記開口、及び前記蓋はそれぞれ多角形状に形成されたものであり、前記蓋の1つのコーナ部が、当該蓋の剥離用のつまみ部として機能することが好ましい。また、前記ケース本体の前記つまみ部に対向する部分が切り欠かれていることが好ましい。
【0013】
前記ケース本体の表面と、前記ケース本体の前記第1凹部を形成する内面とがなす角部を切り欠いて、前記シートを前記第1凹部内に導くガイド部が形成されていることが好ましい。
【0014】
前記蓋は、前記開口の周縁部に溶着されていることが好ましい。また、前記蓋は、前記開口の周縁部上に設けられた段差部上に溶着されていることが好ましい。また、前記蓋の前記シートに対向する側の蓋裏面が、前記蓋裏面とは反対側の蓋表面よりも融点が低いことが好ましい。
【0015】
前記第1凹部の内面は、前記第1凹部の中心軸に対して垂直方向への前記シートの移動を規制することが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
本発明のマイクロニードルパッチ収納ケースは、ケース本体に2段の第1凹部及び第2凹部を設けるとともに、マイクロニードルの長さとシートの厚みとの和よりも第1凹部を深く形成したので、マイクロニードルパッチの収納/取り出し時に、各マイクロニードルが第2凹部の内壁面や開口周縁部などに接触することが防止される。その結果、マイクロニードルの破損を確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】マイクロニードルパッチ収納ケースの斜視図である。
【図2】図1中のII−II線に沿う断面図である。
【図3】マイクロニードルパッチ収納ケースの分解斜視図である。
【図4】第1凹部の深さD1を説明するための説明図である。
【図5】第1凹部の深さの上限値を説明するための説明図である。
【図6】マイクロニードルパッチ収納ケースへのマイクロニードルパッチの収納作業を説明するための説明図である。
【図7】マイクロニードルパッチ収納ケースの天地を逆にした状態を説明するための説明図である。
【図8】アルミ包装体へのマイクロニードルパッチ収納ケースの収納作業を説明するための説明図である。
【図9】アルミ包装体の正面図である。
【図10】フィルム蓋の剥離作業を説明するための説明図である。
【図11】マイクロニードルパッチの取り出し作業を説明するための説明図である。
【図12】マイクロニードルパッチの取り出し作業の完了後の状態を説明するための説明図である。
【図13】比較例のマイクロニードルパッチ収納ケースの断面図である。
【図14】本発明の効果を説明するための説明図である。
【図15】ガイド部を設けた他実施形態のマイクロニードルパッチ収納ケースの断面図である。
【図16】肉ぬすみ部を設けた他実施形態のマイクロニードルパッチ収納ケースの断面図である。
【図17】3層構造のフィルム蓋の断面図である。
【図18】上方から見て円形状に形成された、他実施形態のマイクロニードルパッチ収納ケースの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図1ないし図3に示すように、マイクロニードルパッチ収納ケース(以下、単に収納ケースという)10は、マイクロニードルパッチ(以下、単にパッチという)11を無菌状態が保たれるように収納する。
【0019】
パッチ11は、正方形状のシート13と、このシート13の一面(以下、シート一面という)13a上に多数設けられたマイクロニードル14とからなる。シート13は、マイクロニードル14と同じ材料からなり、マイクロニードル14と一体に形成される。なお、符号13bは、シート13のシート一面13aとは反対側のシート他面13bである。
【0020】
マイクロニードル14は、略錐形状であり、シート一面13a上でかつその外周部13cを除く領域にアレイ状に配列されている。各マイクロニードル14は、生体適合性を有する材料、例えば糖類、ゼラチン、でんぶん、ポリ乳酸などで形成されている。特にこれらの中でも、より生体内で分解され易い材料である糖類、ゼラチンで形成されることが好ましい。また、各マイクロニードル14には薬剤が塗布または含有されている。シート13が皮膚表面に貼り付けられたときに、各マイクロニードル14は、皮膚を貫いて体内に刺入される。これにより、各マイクロニードル14に薬剤が塗布されている場合には、その表面から薬剤が体内に投与される。また、各マイクロニードル14に薬剤が含有されている場合には、各マイクロニードル14の溶解により薬剤が体内に投与される。
【0021】
収納ケース10は、ケース本体16とフィルム蓋17とからなる。ケース本体16とフィルム蓋17は、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、またはこれらの混合物などで形成されている。これら各材料は、日本薬局方の「プラスチック製水性注射剤容器の規格(以下、単に注射剤容器グレードという)」を満たすことが好ましい。なお、これら以外の同規格を満たす各種の樹脂材料で形成されていてもよい。
【0022】
ケース本体16は、例えば射出成型により形成され、各図中の上方から見て略正方形状である。このケース本体16には、パッチ11を収納する下凸形状のパッチ収納穴19が設けられている。パッチ収納穴19は、1段目の第1凹部20と、この第1凹部20の底に形成された2段目の第2凹部21とからなる。
【0023】
第1凹部20は、シート13をそのシート一面13a側より収納する。第1凹部20は、シート13の外周部13cを受ける枠状底面20aと、第1凹部20の中心軸Cに沿って長く延びた内壁面20bとからなる。枠状底面20a及び内壁面20bは、本発明の第1凹部の内面に相当するものである。
【0024】
また、第1凹部20は、シート13が嵌合するように、各図中の上方から見て正方形状に形成されている。第1凹部20の一辺の長さWは、シート13の端面と内壁面20bとの隙間をs1とし、最外周のマイクロニードル14と第2凹部21の内壁面21aとの隙間をs2としたときに、s1がs2よりも十分に小さくなるように形成されている。このため、第1凹部20の内壁面20bは、中心軸Cに対して垂直方向(以下、単に軸垂直方向という)のシート13の移動を規制する。さらに、内壁面20bは、シート13を中心軸Cに平行な方向に移動自在に保持する。
【0025】
第2凹部21は、第1凹部20の枠状底面20aの内側に設けられている。第2凹部21は、各図中の上方から見て正方形状を有している。この第2凹部21は、シート13が第1凹部20に収納されたときに、各マイクロニードル14を収納する。
【0026】
第1凹部20の開口周縁部上には、枠形状の段差部23が設けられている。また、ケース本体16には、その1つのコーナ部を切り欠いてなる切り欠き部24が形成されている。
【0027】
フィルム蓋17は、ケース本体16の表裏面と略同形状の正方形状を有している。このフィルム蓋17は、ケース本体16の段差部23上に溶着される。これにより、第1凹部20の開口がフィルム蓋17で塞がれて、パッチ収納穴19が封止される。また、フィルム蓋17の1つのコーナ部は、ケース本体16の切り欠き部24で切り欠かれた部分に対向している。このコーナ部は、ケース本体16からフィルム蓋17を剥離する際に、剥離用のつまみ部17aとして機能する。
【0028】
図4に示すように、第1凹部20の深さをD1とし、シート13の厚みをaとし、マイクロニードル14の長さをhとしたときに、第1凹部20はD1>(a+h)を満たすように形成されている。これにより、各マイクロニードル14が第2凹部21に出入りするとき及び第2凹部21内に収納されているときに、シート13は第1凹部20内に収納された状態になるので、シート13の軸垂直方向の移動は規制される。
【0029】
また、第2凹部21の深さをD2としたときに、この第2凹部21は、D2>hを満たすように形成されている。
【0030】
図5に示すように、シート他面13bから第1凹部20の開口までの長さをtとし、シート13の軸垂直方向の幅(シート13の一辺の長さ)をLとしたときに、第1凹部20の深さD1はt≦0.3×Lを満たすように形成されている。これは、第1凹部20の深さD1が深くなり過ぎると、第1凹部20からシート13が取り出し難くなるためである。このため、シート13の厚みaに応じて、第1凹部20の深さD1(=t+a)の上限値が定められている。
【0031】
次に、上記構成の収納ケース10へのパッチ11の収納について説明を行う。ケース本体16には、予めγ(ガンマ)線滅菌を施しておく。そして、滅菌済みのケース本体16のパッチ収納穴19内に、無菌操作によりパッチ11を収納する。
【0032】
図6に示すように、最初にシート13を第1凹部20の開口に嵌合させた後、このシート13を第1凹部20の奥に向けて徐々に押し込む。これにより、シート13が中心軸Cに沿って第1凹部20の奥側へ移動する。この押し込みを継続すると、各マイクロニードル14が第2凹部21の開口内に挿入される。この際に、シート13の軸垂直方向の移動は、内壁面20bにより規制されている。このため、各マイクロニードル14が第2凹部21の開口周縁部に接触して破損することが防止される。
【0033】
さらにシート13の押し込みを継続すると、各マイクロニードル14が第2凹部21内に収納されるとともに、シート13の外周部13cが枠状底面20aに接触して、これ以上のシート13の押し込みが規制される。次いで、γ線滅菌済みのフィルム蓋17を段差部23上にセットした後、無菌環境下でヒートシール処理を施して、フィルム蓋17を段差部23上に溶着する。これにより、第1凹部20の開口がフィルム蓋17で覆われてパッチ収納穴19が封止される。以上で収納ケース10へのパッチ11の収納作業が全て完了する。
【0034】
収納ケース10内のパッチ11は、枠状底面20aに接触している。また、図7に示すように、収納ケース10の天地が逆になった場合には、パッチ11は第1凹部20に沿ってフィルム蓋17に向けて移動して、シート13がフィルム蓋17の裏面に接触する。この際に、ケース本体16及びフィルム蓋17は注射剤容器グレードを満たす樹脂材料で形成されているので、パッチ11が枠状底面20aやフィルム蓋17の裏面に接触しても、パッチ11の無菌状態、収納ケース10からの溶出がない状態、収納ケース10からパッチ11に不溶性微粒子が付着しない状態が担保される。
【0035】
なお、本実施形態では、第1凹部20の深さがD1>(a+h)を満たすように形成されているので、収納ケース10の天地を逆にしたり元に戻したりすることで、パッチ11が第1凹部20に沿って上下方向に移動する。このような場合でも、パッチ11の軸垂直方向の移動は規制されているので、各マイクロニードル14が第2凹部21の内壁面21aや開口周縁部に接触して破損することはない。
【0036】
図8に示すように、収納ケース10は、図示しない乾燥剤と共にアルミ包装体27内に収納される。次いで、図9に示すように、アルミ包装体27の開口がヒートシールで封止された後に、アルミ包装体27の表面にラベル28が貼り付けられる。このラベル28には、パッチ11のLot番号、薬剤の種類及び量、有効期限などのパッチ11に関する各種情報が記録されている。
【0037】
次に、収納ケース10からのパッチ11の取り出しについて説明を行う。アルミ包装体27からパッチ11を取り出した後に、図10に示すように、フィルム蓋17のつまみ部17aをつまむ。この際に、ケース本体16に切り欠き部24が形成されているので、つまみ部17aがつまみ易くなる。また、この切り欠き部24の位置を確認することで、フィルム蓋17の各コーナ部の中からつまみ部17aを容易に判別することができる。
【0038】
次いで、つまみ部17aをケース本体16から遠ざかる図中矢印方向に引っ張る。これにより、ケース本体16からフィルム蓋17が剥離される。フィルム蓋17をその1つのコーナ部から剥離することで、その一辺から剥離する場合よりも小さな力で剥離を行うことができる。その結果、フィルム蓋17の剥離が行い易くなる。また、剥離時に誤ってパッチ11がケース本体16から飛びしてマイクロニードル14が損傷してしまうなどのトラブルを防止することができる。
【0039】
図11に示すように、フィルム蓋17の剥離後に、パッチ11のシート他面13bに粘着テープ29を貼り付けて、この粘着テープ29を引き上げることによりパッチ11をパッチ収納穴19から取り出す。この際に、第1凹部20の深さD1が深すぎると、粘着テープ29がシート他面13bに貼り付け難くなる。また、粘着テープ29をシート他面13bの中央領域(以下、シート中央領域という)に貼り付けられない、あるいは粘着テープ29とシート中央領域との接着面積が少なくなることで、パッチ11の取出し時の安定性に欠けてしまう。
【0040】
具体的には、粘着テープ29をシート中央領域からずれた位置に貼り付けると、粘着テープ29の引き上げ時にパッチ11が傾いてしまうおそれがある。また、粘着テープ29とシート中央領域との接着面積が小さいと、粘着テープ29の引き上げ時にパッチ11が落下するおそれがある。
【0041】
本実施形態では、第1凹部20の深さD1がt≦0.3×Lを満たすので、第1凹部20の深さD1が深くなり過ぎることがなくなる。その結果、粘着テープ29の貼り付け難さや、パッチ11の取出し時の安定性を欠くといった問題の発生を防止することができるので、パッチ11の取り出しを容易に行うことができる。
【0042】
粘着テープ29を徐々に引き上げることで、シート13が中心軸Cに沿って第1凹部20の開口側へ移動する。第1凹部20の深さがD1>(a+h)を満たすため、シート13が第1凹部20の開口に到達する前に、各マイクロニードル14が第2凹部21から第1凹部20まで引き上げられる。この際に、シート13の軸垂直方向の移動は、内壁面20bにより規制されているので、各マイクロニードル14が第2凹部21の内壁面21aや開口周縁部に接触して破損することが防止される。
【0043】
粘着テープ29の引き上げを継続すると、シート13は中心軸Cに沿って第1凹部20の開口まで到達する。この際にもシート13の軸垂直方向の移動は規制されているので、各マイクロニードル14が内壁面20bに接触して破損することが防止される。
【0044】
図12に示すように、さらに粘着テープ29の引き上げを継続すると、パッチ11がパッチ収納穴19から取り出される。
【0045】
一方、比較例を示す図13において、第1凹部31の深さがシート13の厚みaとほぼ同じ大きさに形成されている収納ケース32では、粘着テープ29の引き上げを行うと、各マイクロニードル14が第2凹部21内にある状態で、シート13の軸垂直方向の移動規制が解除されてしまう。
【0046】
図14に示すように、収納ケース32では、各マイクロニードル14が第2凹部21内にある状態で誤ってシート13を軸垂直方向に移動させたときに、各マイクロニードル14が第2凹部21の内壁面21aや開口周縁部に接触して破損するおそれがある。このような収納ケース32に対して、本発明の収納ケース10では、シート13が第1凹部20の開口に到達するまでの間はシート13の軸垂直方向の移動規制が維持される。このため、シート13が第1凹部20の開口に到達するまでの間に、各マイクロニードル14が第2凹部21の内壁面21a及び開口周縁部、第1凹部20の内壁面20bに接触して破損することが防止される。
【0047】
また、シート13が第1凹部20から取り出された後は、シート13の軸垂直方向の移動規制が解除されてしまうが、第1凹部20の開口は第2凹部21の開口よりも大きく形成されている。このため、収納ケース32と比較して、本発明の収納ケース10では、各マイクロニードル14が第1凹部20の内壁面20b及び開口周縁部に接触するまでのシート13の軸垂直方向の移動許容量がXだけ大きくなる。その結果、収納ケース10では、従来よりもマイクロニードル14の破損を確実に防止することができる。
【0048】
パッチ収納穴19から取り出されたパッチ11は、粘着テープ29に貼り付けられた状態のまま患者の皮膚表面に貼り付けられる。これにより、各マイクロニードル14が皮膚を貫いて患者体内で溶解して、薬剤が患者体内に投与される。
【0049】
上記実施形態では、第1凹部20の開口がシート13よりも僅かに大きい正方形状に形成されている。これに対して、例えば図15に示すように、第1凹部20の内壁面20bとケース本体16の表面とがなす角部を切り欠いて、シート13を第1凹部20内に導くガイド部35を形成してよい。これにより、パッチ11の収納作業をより容易に行うことができる。
【0050】
上記実施形態ではケース本体16が略板形状であるが、例えば図16に示すように、パッチ収納穴19を形成する部分を除いた部分に肉ぬすみ部36を形成してもよい。これにより、ケース本体16を射出成型で形成する際の成形性を向上させることができる。
【0051】
上記実施形態では、フィルム蓋17は単層であるが、例えば図17に示すように3層のフィルム蓋37を用いてもよい。フィルム蓋37は、シート13に対向する蓋裏面側からその反対側の蓋表面側に向かって、混合樹脂層38、アルミ層39、及びポリエチレンテレフタレート(PET)層40をドライラミネートしたものである。
【0052】
混合樹脂層38は、注射剤容器グレードを満たすポリエチレン樹脂及びポリプロピレン樹脂を混合した混合樹脂で形成されている。なお、本実施形態ではフィルム蓋37の開封性を向上させるため、ポリエチレン樹脂の割合を30%、ポリプロピレン樹脂の割合を70%に調整している。ポリエチレン及びポリプロピレンはPETよりも融点が低いので、混合樹脂層38はPET層40よりも融点が低くなる。このため、フィルム蓋37のヒートシール時に、その温度を適切に調整することで、混合樹脂層38のみを選択的に段差部23上に溶着させることができる。
【0053】
なお、図17では3層のフィルム蓋37を例に挙げて説明を行ったが、2層あるいは4層以上のフィルム蓋を代わりに用いてよい。この場合も、蓋裏面側の層が蓋表面側の層よりも融点が低くなるように形成する。
【0054】
上記実施形態では、パッチ11、ケース本体16、フィルム蓋17、及びパッチ収納穴19がそれぞれ上方から見て正方形状であるが、例えば図18に示すように、パッチ43と、収納ケース44を構成するケース本体45、フィルム蓋46、及びパッチ収納穴47がそれぞれ上方から見て円形状であってもよい。
【0055】
パッチ43は、円形のシート49と、その一面の外周部を除く領域に形成された複数のマイクロニードル14とからなる。パッチ収納穴47は、軸垂直方向の断面が下凸形状であり、1段目の円形の第1凹部50と、この第1凹部50の底に形成された2段目の円形の第2凹部51とからなる。
【0056】
パッチ43及び収納ケース44の各部は円形状である点を除けば上記実施形態のパッチ11、収納ケース10と基本的には同じであるので、上記実施形態と同様の効果が得られる。なお、パッチ及び収納ケースの各部が、例えば五角形や六角形などの多角形状であってもよい。この場合には、上記実施形態と同様に多角形状のケース本体の1つのコーナ部を切り欠くことが好ましい。また、パッチ、ケース本体、フィルム蓋、及びパッチ収納穴の全てが同じ形状である必要はなく、パッチ及びパッチ収納穴が、ケース本体及びフィルム蓋とは異なる形状であってもよい。
【0057】
上記実施形態では、第1凹部20の開口周縁部上に段差部23を設けているが、ケース本体16の表面が平坦であってもよい。
【0058】
上記実施形態では、ケース本体16及びフィルム蓋17の全てが注射剤容器グレードを満たす樹脂材料で形成されているが、少なくともパッチ11と接触する部分、具体的には第1凹部20の枠状底面20a及び内壁面20bや、フィルム蓋17の裏面だけを注射剤容器グレードを満たす樹脂材料で形成してもよい。また、収納ケース10の各部、及びパッチ11の各部を形成する材料は適宜変更してもよい。
【実施例】
【0059】
以下、本発明の効果を実証するための実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例及び比較例に限定されるものではない。
【0060】
下記表1に示すように、実施例1〜6及び比較例1〜3では、縦横の幅L=14mm、厚みa=0.1mmの正方形状のシート13と、長さh=0.5mmのマイクロニードル14とからなるパッチ11を用いた。マイクロニードル14は、シート一面13aの中央の10mm×10mmの範囲内に縦横それぞれ20本の配置で計400本形成した。
【0061】
また、実施例1〜6及び比較例1〜3では、表裏面が縦横の長さ30mmの正方形状のケース本体16を用いた。ケース本体16には、その1つのコーナ部を縦横の長さ10mmずつ切り欠いて切り欠き部24を形成した。また、ケース本体16の表面中央部に、縦横の幅15mm、深さD1の正方形状の第1凹部20を形成するとともに、この第1凹部20の底に縦横の幅12mm、深さD2=2mmの正方形状の第2凹部21を形成した。
【0062】
さらに実施例1〜6及び比較例1〜3では、図17に示した3層のフィルム蓋37を用いた。混合樹脂層38は、ポリエチレン樹脂30%、ポリプロピレン樹脂70%の混合樹脂により厚み100μmで形成した。アルミ層39は、ピンホール等の影響をさけるため厚み50μmで形成した。PET層40は厚み60μmで形成した。そして、各層38〜40をドライラミネートしてなるフィルム蓋37を、縦横の幅30mmに形成した。
【0063】
実施例1〜6では、第1凹部20の深さD1をそれぞれ0.61mm、1.00mm、2.00mm、4.30mm、4.40mm、5.00mmに形成した。また、比較例1〜3では、第1凹部20の深さD1をそれぞれ0.30mm、0.50mm、0.60mmに形成した。
【0064】
【表1】

【0065】
以上のような実施例1〜6及び比較例1〜3の収納ケース内に、無菌環境下でパッチ11を収納して安定性を評価した。具体的には、無菌状態、無溶出状態、無不溶性微粒子状態、水分量、性状(色味、伸び縮み)、及び薬剤の含量がそれぞれ適正に維持されているか否かを評価した。これらが適正に維持されている場合には「○」と判定し、維持されていない場合には「×」と判定した。
【0066】
また、実施例1〜6及び比較例1〜3の収納ケースからパッチ11を取り出す際の「取出容易性」及び「損傷」を評価した。取出容易性の評価では、粘着テープ29がシート他面13bのシート中央領域に貼り付けられる否かを確認した。シート中央領域に粘着テープ29を貼り付け難い場合、あるいはシート中央領域からずれた位置に粘着テープ29が貼り付けられてしまう場合には「×」と判定し、シート中央領域に粘着テープ29を貼り付けられる場合には「○」と判定した。
【0067】
損傷の評価では、パッチ11のマイクロニードル14の損傷の有無を目視で確認した。マイクロニードル14が損傷していない場合には「○」と判定し、損傷している場合には「×」と判定した。
【0068】
上記表1に示すように、第1凹部20の深さD1を、シート13の厚みaとマイクロニードル14の長さhとの和(a+h=0.6mm)よりも深く形成することで、マイクロニードル14に損傷が発生しないことが確認された。また、第1凹部20の深さD1がt≦0.3×Lを満たすときにパッチ11の取り出しが容易に実行可能であることが確認された。
【符号の説明】
【0069】
10,44 マイクロニードルパッチ収納ケース
11,43 マイクロニードルパッチ
13,49 シート
14 マイクロニードル
16,45 ケース本体
17,46 フィルム蓋
19,47 パッチ収納穴
20,50 第1凹部
21,51 第2凹部
23 段差部
24 切り欠き部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートの一面上でかつその外周部を除く領域に複数のマイクロニードルが設けられたマイクロニードルパッチを収納するマイクロニードルパッチ収納ケースにおいて、
ケース本体に設けられ、前記シートを前記一面側から収納するとともに、前記外周部を受ける枠状底面を有する第1凹部であって、その深さが前記マイクロニードルの長さと前記シートの厚みとの和よりも深く形成された第1凹部と、
前記枠状底面の内側に設けられ、前記マイクロニードルを収納する第2凹部と、
前記第1凹部の開口を塞ぐ蓋と、
を備えることを特徴とするマイクロニードルパッチ収納ケース。
【請求項2】
前記シートの前記一面とは反対側の他面から前記開口までの寸法をtとし、前記シートの、前記第1凹部の中心軸に対して垂直方向の幅をLとしたときに、t≦0.3×Lを満たす請求項1記載のマイクロニードルパッチの収納ケース。
【請求項3】
前記第1凹部の内面が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリプロピレンの混合物のいずれかで形成されている請求項1または2記載のマイクロニードルパッチ収納ケース。
【請求項4】
前記蓋の前記シートと対向する面が、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン及びポリプロピレンの混合物のいずれかで形成されている請求項1ないし3いずれか1項記載のマイクロニードルパッチ収納ケース。
【請求項5】
前記ケース本体、前記開口、及び前記蓋はそれぞれ多角形状に形成されたものであり、
前記蓋の1つのコーナ部が、当該蓋の剥離用のつまみ部として機能する請求項1ないし4いずれか1項記載のマイクロニードルパッチ収納ケース。
【請求項6】
前記ケース本体の前記つまみ部に対向する部分が切り欠かれている請求項5記載のマイクロニードルパッチ収納ケース。
【請求項7】
前記ケース本体の表面と、前記ケース本体の前記第1凹部を形成する内面とがなす角部を切り欠いて、前記シートを前記第1凹部内に導くガイド部が形成されている請求項1ないし6いずれか1項記載のマイクロニードルパッチ収納ケース。
【請求項8】
前記蓋は、前記開口の周縁部に溶着されている請求項1ないし7いずれか1項記載のマイクロニードルパッチ収納ケース。
【請求項9】
前記蓋は、前記開口の周縁部上に設けられた段差部上に溶着されている請求項8記載のマイクロニードルパッチ収納ケース。
【請求項10】
前記蓋の前記シートに対向する側の蓋裏面が、前記蓋裏面とは反対側の蓋表面よりも融点が低い請求項8または9記載のマイクロニードルパッチ収納ケース。
【請求項11】
前記第1凹部の内面は、前記第1凹部の中心軸に対して垂直方向への前記シートの移動を規制する請求項1ないし10いずれか1項記載のマイクロニードルパッチ収納ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2013−13558(P2013−13558A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148356(P2011−148356)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】