説明

マイクロバブル発生シャワー

【課題】マイクロバルブが、その表面張力により水中不純物の吸着能力を強めるという特徴を利用して、シャワーから噴出される水自体に、一般のシャワー以上の吸着能力を付加させ、線上能力を向上させるシャワーを提供する。
【解決手段】 シャワーヘッド内部にマイクロバブルを発生する機能を持つラッパ部2、くびれ部3及び水流入口4を備えたベンチュリー管1と外部の気体注入パイプ8とで構成したマイクロバルブ発生シャワー。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
ベンチュリー管とは、流体力学の実験などに使用させる器具であり、気体や液体の流速、流量の測定などに使用され、管の一部がくびれた構造である。このくびれ部分で圧力低下現象が起きる。圧力の変化、キャビテーションは、流体の運動エネルギー保存の法則であるベルヌーイの定理で説明できる。同管の直径の狭い側から広い側へ流れるように水を通し、途中にくびれ部分がある場合、細いくびれ部を水が通るときには流速が速くなり、同時に圧力が上がる。くびれ部を通り過ぎて直径が広がると、広がったことにより流速は遅くなり、同時に圧力は下がる。これで急激な圧力変化が起きることになる。
また、マイクロバブルとは、一般には直径1ミリメートル以下の微小気泡を指す。水中に同じ体積の気泡がある場合、大きな1つの気泡よりも、微小に分割された多数の気泡の方が、気泡の表面積は大きくなる。この表面積の大きさにより、気泡の表面張力が増加する。その表面張力が水中不純物の吸着能力を向上させる利点がある。また、水中を上昇する為の浮力が小さいので、マイクロバブルは直ぐに水面に上昇せずに長時間水中を浮遊するという特徴もある。
それ以外にも、マイクロバブルの特性は水中に溶け込む気体の溶解度を上げたり、気泡が壊れる時に発生するエネルギーの利用やマイナスイオンの発生など多種多様の効果が期待され、その気泡の大きさによって特性も変化したり、気泡を構成する気体が何であるかによっても特性が変化する為、各種の応用研究が進められている。一方、マイクロバブルを発生させる方法として、ベンチュリー管を用いた方法以外にも様々な方法が開発されている。
【発明が解決しようとする課題】
マイクロバブルには様々な効果がある事は、咋今の研究で明らかになっている。しかしながら、マイクロバブルを発生させる装置は高価であり、構造が複雑で保守管理が困難な上に故障も多いのが難点である。マイクロバブルの効果の中で、主なものに洗浄効果が上げられるが、前述の難点が理由により、一般社会にはその発生装置が普及していないのが現状である。
次に、人間が入浴やシャワーを浴びる理由として、頭皮や身体の汚れを洗い流すのが第一の目的であるが、一般的には頭皮や身体の汚れを効果的に落とす為の様々なシャンプーや石鹸が開発されている事は周知の事実である。しかし、洗い流す水を出すシャワーの方は、その水量や水圧を調整する機能が付加された物が一般的であり、シャワーから噴出する水自体の洗浄能力を強めるというものはなかった。
【発明の効果】
本発明は、マイクロバブルが、その表面張力により水中不純物の吸着能力を強めるという特徴を利用して、シャワーから噴出される水自体に、一般のシャワー以上の吸着能力を付加させ、洗浄能力を向上させるシャワーである。シャワーから勢いよく噴出された湯や水には無数のマイクロバブルが存在している。その無数の微小気泡が頭皮や身体の毛穴に入り込み、その表面張力により汚れを吸着させ洗浄するのである。
風呂桶に湯を入れる場合や入浴中などに、本発明のシャワーを風呂桶の側面下部に取り付けて湯や水を噴出させると、マイクロバブルが風呂桶の水中に無数に発生し、マイクロバブル風呂としても使用できる。マイクロバブルの特徴として、洗浄能力の向上以外にも、神経をリラックスさせる効果があるとされるマイナスイオンも発生する事が実験により証明されている。また、マイクロバブルが壊れる時に発生するエネルギーやシャワーの勢いによるマッサージ効果も期待できる。風呂桶に取り付ける場合には、シャワーヘッドのシャワー吹き出し口〔図3〕の
【符号】
10を下にして取付ける方が、〔図3〕の
【符号】
5に連結されたシャワーホースが折れ曲がらずに取り付けることが出来る。シャワーヘッドを上下逆さに取り付けが出来るように、風呂桶取付けネック〔図3〕の
【符号】
11を設けている。風呂桶側は、吸盤の付いたシャワーフックを風呂桶の内部側面に取り付ければ、簡単に上下逆さに設置が可能である。
本発明は、従来のマイクロバブル発生装置のような複雑な構造ではないために、故障や保守点検が困難である欠点も皆無である。一般家庭で通常のマイクロバブルシャワーやマイクロバブル風呂として使用する場合は、ポンプなどの特別な装置や電源も必要とせず、水道などの水圧だけを利用してマイクロバブルを発生させることが出来るのである。以上のように安価で容易くマイクロバブルの効果を広く一般社会に提供できる発明なのである。
また、より多くのマイクロバブルを発生させたい時などは、外部から空気やその他の気体を注入させる事も可能である。その場合は注入する気体をコンプレッサーなどで加圧する必要がある。外部の気体注入パイプ〔図3〕の
【符号】
8にコンプレッサーなどを連結させ、加圧注入した気体がマイクロバブルとして発現するのである。注入された気体の特性とマイクロバブルの特性が相乗効果として現れるため、様々な産業にも応用が可能である。
【発明を実施する最良の形態】
本発明のマイクロバブル発生シャワーの構造は、シャワー内部に水の流れる管の途中がくびれた状態の、いわゆるベンチュリー管〔図3〕の
【符号】
1があるのが第一の特徴である。
このシャワーヘッドは、シャワーホースに取り付けて使用するのであるが、取り付け部分〔図3〕の
【符号】
5のねじ山が各メーカーによって違うため、連結する為の市販されているコネクターを使用するか、本体の付属品として提供するのも可能である。
水や湯は、ベンチュリー管〔図3〕の
【符号】
1の水流入口〔図3〕の
【符号】
4から、くびれ部〔図3〕の
【符号】
3を通り、ラッパ部〔図3〕の
【符号】
2に至る。この形状の変化が圧力の変化を起こすのである。元々水中に微量に含まれていた空気や、急激な圧力の変化によって水自体が気化した水蒸気がラッパ部〔図3〕の
【符号】
2で微小気泡であるマイクロバブルとなって発現する。
くびれ部〔図3〕の
【符号】
3の口径やラッパ部〔図3〕の
【符号】
2の大きさや比率などにより、発現するマイクロバブルの気泡の大きさや量が変化する。また、水流入口〔図3〕の
【符号】
4より流入される水や湯の水圧や流速によっても、発現するマイクロバブルの大きさや量は変化する。このシャワーを使用する水圧や流速に対応できる様に、ベンチュリー管〔図3〕の
【符号】
1は〔図5〕
のように着脱交換が出来る構造になっている。くびれ部〔図3〕の
【符号】
3の口径やラッパ部〔図3〕の
【符号】
2の形状や大きさが異なる数種類のベンチュリー管の中から、使用目的や使用環境に応じたマイクロバブルを発生させることが可能である。
シャワーヘッド本体や着脱可能のベンチュリー管〔図3〕の
【符号】
1の素材は、プラスチックや金属、陶器であるセラミックなど多種多様な物質が可能である。素材に酸化チタン等の光触媒を加えることで、ベンチュリー管〔図3〕の
【符号】
1に光触媒の特徴である表面張力の軽減や殺菌作用を付加させる事も可能である。ベンチュリー管〔図3〕の
【符号】
1の内部と通過する水との表面張力を軽減させる事で、くびれ部〔図3〕の
【符号】
3の流速などを変化させたり、シャワーヘッドを透明な素材で作り、光を照射出来るようにすれば、殺菌効果を加味させる事も可能である。
また、シャワーヘッド本体に小さなバルブをつけて、流入する水や湯の流量を調整したり、止めたりする機能を付随させる事も可能である。
【産業上の利用可能性】
本発明は一般家庭のシャワー、マイクロバブル風呂以外にも、銭湯やペットなどのシャワーや風呂に使用できるのは勿論のこと、洗車や各種洗浄業務のシャワーなど、マイクロバブルの特性を容易に享受できるものである。
マイクロバブルを発生させる装置は、発生方法の原理も多様なため、現在多種多様な発生装置がある。しかし生産コストが高かったり、発生装置の保守が複雑なものや、故障が多かったりなど、一般家庭に安価に普及するには難点が多い装置が殆どである。マイクロバブルの特性が効果的であるのにも拘らず、一般家庭に普及していないのは、前述の難点が原因である。本発明は、ポンプなどの特殊な機械や電気などのエネルギーを全く使用しないで、一般家庭の水道圧や井戸ポンプなどの水圧だけを利用して、マイクロバブルを発生させて、シャワーや風呂に活用できるものである。また、安価で製造できる為に一般家庭の消費者にも安価で提供出来る。シャワーヘッドを交換するだけで使用出来て、複雑な保守点検も不要である。
殺菌作用の強いオゾンや塩素など他の気体のマイクロバブルを発生させたい場合や、マイクロバブルの気泡をより大量に発生させる場合は、外部の気体注入パイプ〔図3〕の
【符号】
8に外部からエアーコンプレッサーなどを用いて加圧したオゾンや塩素、空気などを水流入口〔図3〕の
【符号】
4を通過する水に混入させると、注入した気体がラッパ部〔図3〕の
【符号】
2でマイクロバブルとなって発現する。注入させる気体の量は、流入させている水の2割程度が上限である。このように多種の気体をマイクロバブルとして閉じ込めると、その気体の特性とマイクロバブルの特性が相乗効果として利用出来るため、産業上の利用可能性の幅も拡大するのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 「シャワー全体を示した平面図である。」
【図2】 「シャワー全体を示した側面図である。」
【図3】 「シャワー全体を示した断面図である。」
【図4】 「ベンチュリー管を取り外した状態を示した側面図である。」
【図5】 「ベンチュリー管を取り外した状態を示した断面図である。」
【図6】 「ベンチュリー管を取り外した状態を示した斜視図である。」
【符号の説明】
1 ベンチュリー管
2 ラッパ部
3 くびれ部
4 水流入口
5 シャワーホース連結ネジ山
6 ゴムパッキン
7 ゴムパッキン
8 外部の気体注入パイプ
9 外部の気体注入口のキャップ
10 シャワー噴出口
11 風呂桶取り付け時のネック

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャワーヘッド内部にベンチュリー管を内臓させた、マイクロバブルを発生させるシャワーヘッドである。
【請求項2】
シャワーヘッド内部のベンチュリー管は着脱可能であり、水圧などの使用状況や使用目的に応じた形状のベンチュリー管に容易に交換出来るマイクロバブルを発生させるシャワーヘッドである。
【請求項3】
外部より気体を注入させる事により、その注入した気体のマイクロバブルを発生させる事も出来るシャワーヘッドである。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−116518(P2006−116518A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−338159(P2004−338159)
【出願日】平成16年10月25日(2004.10.25)
【出願人】(503196318)
【Fターム(参考)】