説明

マイクロビーズを利用したマイクロ反応路チップ及び化学反応装置

【課題】 微量な検出目的物質に対する多段階な反応処理を自動的に行うことができる化学反応装置を提供する。
【解決手段】
マイクロ反応路チップ1と、マイクロ反応路チップ1を載置し回転させる回転盤17と、マイクロ反応路チップ1の流路形成領域よりも回転中心側に配置された磁力発生部と、を備えた化学反応装置であり、マイクロ反応路チップ1が、入口と尻窄み形状の出口とを有する複数の反応槽と、該複数の反応槽を繋ぐマイクロ流路と、有し、前記複数の反応槽のそれぞれが、交互に逆向きの状態で尻窄み形状出口同士が対向するようにして上流側から下流側に向かって順次配置され、かつ隣り合う反応槽の入口と尻窄み形状出口とが、マイクロ流路で連結されており、更にマイクロ反応路1内には、磁性を帯びることのできるマイクロビーズ5が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微細な流路内にマイクロビーズを配置した化学反応装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、微細加工技術を利用したマイクロ電気機械システム(Micro Electro−Mechanical System、以下MEMSという)が急速に進展しており、マイクロ反応路チップを主要要素とするMEMSが、分析化学分野や生化学分野等様々な分野で利用されつつある。
【0003】
マイクロ反応路チップは、ガラスやプラスチックの基板にマイクロ流路と反応槽を形成したものであり、このチップ内に、表面に抗体などの反応物質が固定されたビーズが収容されたものである。このチップに検出対象物質である抗原を含む検体溶液を流すと、ビーズ表面が反応固相として機能し、ここで抗原抗体反応が起きるので、このときの抗原抗体反応量を測定することにより検体中の抗原量を知ることができる。
【0004】
このようなマイクロ反応路チップは、微小な流路からなるものであるので、微量の検体溶液量でもって比較的簡単に検出対象物質の測定を行うことができ、それゆえに、近年急速にその利用・応用が拡大している。
【0005】
マイクロ反応路チップに関する技術としては、例えば下記特許文献1,2に記載の技術がある。
【0006】
【特許文献1】特開2006−112824号公報(請求項1、0013)
【特許文献2】特開2007−64827号公報(0007、0016,0033)
【0007】
特許文献1の技術は、自動免疫分析装置におけるB/F分離方法に係る技術であり、抗原抗体反応を利用して試料中の測定対象物を免疫学的に測定する免疫学的分析方法において、固相に磁性体微粒子を用い反応容器中に収容した固相と液相を磁気的にB/F分離・洗浄する場合に、移送経路中にB/F分離・洗浄ゾーンを設け、該ゾーンで停止状態にある反応容器の周囲に配置した複数の磁石を洗浄液置換毎に反応容器に交互に作用させることにより、B/F分離と固相微粒子の再分散を繰り返して非結合成分を除去することを特徴とする。
【0008】
この技術は、反応容器の両端にそれぞれ磁石を配置し、この2つの磁石で磁力を交互に作用させることにより、磁性体微粒子を磁力の作用する方向に交互に移動させ、再分散を繰り返す等により未反応な反応物質を効率よく除去しようとするものである。
【0009】
特許文献2の技術は、バイオチップに係る技術であり、被検物質とそれと反応する標識抗体とを混合するための混合槽と、抗イディオタイプ抗体を固定するための固定手段を含む反応槽と、被検物質を検出する検出部とを有するバイオチップであって、混合槽又はその上流部に標識抗体を含んでなり、該標識抗体は、F(ab')フラグメント又は還元IgGからなる抗体部分と標識化合物とが1:1〜1:n(nは整数)で結合して構成され、前記反応槽と検出部とが、前記固定手段を通過させないチャネル部によって分離されてなり、前記抗イディオタイプ抗体が、前記被検物質と標識抗体との反応生成物には結合できない、前記標識抗体を構成する抗体部分に対する抗体であることを特徴とする。
【0010】
この技術によると、小型で安価なバイオチップを提供することができ、このバイオチップを用いることにより、簡便な工程によって、正確かつ迅速な分析を実現できる免疫分析方法を提供することができるとされる。また、この技術においては、試料等の導入、混合、撹拌、試料等の移行、検出などを手動で行ってもよいし、自動で行ってもよいし、一部のみ自動で行ってもよく、撹拌及び混合、試料等の移行としてポンプを利用する方法、振動又は遠心力を利用する方法を用いることができるとされる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかし、特許文献1に記載の自動免疫分析装置では、磁性体微粒子を反応容器の特定箇所にのみ移動させる構造であり、磁性体微粒子を他の反応容器に移動させることはできない。それゆえに、多段階の反応を必要とする分析反応を連続的・自動的に行わせることはできない。
【0012】
上記特許文献2の技術は、反応槽内に配置した固定手段(例えば、微粒子)に目的物質を結合させ、結合により生成した生成物を検出部において定量する技術である。この技術にかかるマイクロチップは、固定手段(微粒子)が通過しないように、反応槽に続くチャネル部の径が固定手段(微粒子)の径よりも小さく形成されているので、構造上、固定手段(微粒子)を検出部に移動させることはできない。それゆえ、特許文献2の技術では、複数の目的物質の量を連続的に測定することができないと共に、多段階反応を必要とする分析を連続的・自動的に行うことはできない。
【0013】
本発明は、このような従来技術に鑑みてなされたものである。その目的は、検体中の抗原などの測定対象物質と固定化物質との一次反応、未反応な測定対象物質の分離・洗浄、一次反応物質と標識物質との二次反応、等々の一連の異なる化学反応や洗浄等を連続的・自動的に行うことが可能なマイクロ反応路チップ構造を案出し、このチップを用いて簡素な構造でもって簡便に、複数の目的物質の量を連続的に測定することができ、また多段階の反応を必要とする分析操作を連続的・自動的に行うことのできる化学反応装置を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について説明する。
【0015】
上記課題を解決するための本発明構成1は、マイクロ反応路チップと、前記マイクロ反応路チップを載置し回転させる回転盤を備える回転駆動部と、前記マイクロ反応路チップの流路形成領域よりも回転中心側に配置された磁力発生部と、を備えた化学反応装置であって、前記マイクロ反応路チップが、入口と尻窄み形状の出口とを有する複数の反応槽と、該複数の反応槽を繋ぐマイクロ流路と、を備えるマイクロ反応路を有し、前記複数の反応槽のそれぞれが、交互に逆向きの状態で尻窄み形状出口同士が対向するようにして上流側から下流側に向かって順次配置され、隣り合う反応槽の入口と尻窄み形状出口とが、前記マイクロ流路で連結されており、前記マイクロ反応路内には、磁性を帯びることのできるマイクロビーズが配置されている化学反応装置であることを特徴とする。
【0016】
上記本発明構成1にかかるマイクロ反応路チップは、入口と尻窄み形状出口とを有する複数の反応槽が形成され、これら複数の反応槽の隣合うもの同士が互いに逆向きに位置をずらして対向配置され、かつこの2つの反応槽の一方の反応槽の出口と他の反応槽の入口とがマイクロ流路で連結され、更にこのマイクロ反応路チップ内には、磁性を帯びることのできるマイクロビーズが配置された構造であり、本発明構成1では、この構造のマイクロ反応路チップを回転盤上に載置して遠心力及び/又は磁力による引力(遠心力と逆方向の力)を作用させる。これにより、マイクロ反応路内のマイクロビーズは遠心方向に移動し、または回転中心側に移動する。
【0017】
すなわち、本発明構成1の化学反応装置では、マイクロ流路で互いに連結された反応槽が遠心方向に交互に対向されて配置され、このマイクロ反応路チップの流路形成領域よりも回転中心側に磁力発生部が設けられている。よって、磁力発生部で磁力を発生させることにより、回転中心側にマイクロビーズを移動させることができるとともに、回転盤を回転させ遠心力を発生させることにより、遠心力方向(回転中心と逆の方向)にマイクロビーズを移動させることができる。
【0018】
更に詳しくは、磁力発生部で発生した磁力による引力が遠心力よりも大きくなると、回転中心から離れた位置にあるマイクロビーズ(回転中心の反対側に位置するマイクロビーズ)が、回転中心側に位置する反応槽に移動する。他方、回転盤の回転により発生する遠心力が磁力による引力よりも大きくなると、回転中心側に位置する反応槽(以下、回転中心側反応槽という)内にあるマイクロビーズは、マイクロ流路を通って回転中心側と反対側の反応槽(以下、外側の反応槽という)に移動することになる。
【0019】
また、上記構成では、隣合う反応槽同士が互いに逆向きに位置をずらして対向配置されるとともに、反応槽の出口が反応槽内部に存在するマイクロビーズが流出し易いように尻窄み形状に形成されている。そして、全ての尻窄み形状出口は内側に向け対向配置されている。これは、全ての尻窄み形状出口がマイクロビーズが移動する方向である下流側に向けられていることを意味する。この構造であると、マイクロビーズは反応槽出口から出易くかつ一旦出たマイクロビーズが逆流しにくいので、磁力による引力と回転による遠心力を作用させることにより、マイクロ反応路内のマイクロビーズをスムーズに下流側に移動させることができる。
【0020】
ここで、「尻窄み形状出口」とは、出口端に向かって流路が次第に狭められた形状をいい、その代表的なものは漏斗である。また、「磁性を帯びることのできる」とは、磁界を作用させると磁化する性質を有するものをいい、「磁性を帯びることのできるマイクロビーズ」は、既に磁化されているもの(例えば永久磁石)でもよく、磁界に入れると磁化するものでもよい。「磁性を帯びることのできるマイクロビーズ」は、磁性体そのものでもよく、磁性体を内包した樹脂やガラスなどの複合体、又は樹脂やガラスなどと磁性体の混合物でもよい。
【0021】
本発明構成2は、上記本発明構成1の化学反応装置において、前記複数の反応槽を連結するそれぞれのマイクロ流路には、溶液を導入する溶液導入路が設けられていることを特徴とする。
【0022】
この構成であると、マイクロ流路とは別途に設けられた溶液導入路を介して、複数の反応槽のそれぞれに異なる反応液を予め注入しておくことができる。また、マイクロビーズの移動に対応させてそれぞれの反応槽に反応液を注入することもできる。例えば遠心方向側の反応槽のそれぞれに異なる反応液を予め注入しておけば、遠心力と磁力によるマイクロビーズの自動的移動に応じて段階的に反応を進めることが可能となる。この溶液導入路には外部より溶液を導入するための注入口が設けられている。
【0023】
本発明構成3は、上記本発明構成1または2の化学反応装置において、前記化学反応装置が、前記回転駆動部と前記磁力発生部とを制御する駆動制御部を備え、前記駆動制御部が、前記磁力発生部で発生させる磁力の強度を変動させることにより、反応槽内に収容されたマイクロビーズがマイクロ流路に流出しない範囲内でマイクロビーズを振動させるよう制御することを特徴とする。
【0024】
この構成では、駆動制御部が反応槽内のマイクロビーズを遠心方向とその逆方向に振幅するように、遠心力と磁力の強度を制御する。これによりマイクロビーズが振動して反応槽内に収容された反応溶液を攪拌すると共に、マイクロビーズ表面に固定化された反応物質と反応槽中の被反応物質との接触機会を増加させる。よって、この構成であると、反応槽内での反応が高効率で行われる。
【0025】
本発明構成4は、上記本発明構成1または2の化学反応装置において、前記化学反応装置が、前記回転駆動部と前記磁力発生部とを制御する駆動制御部を備え、前記駆動制御部が、前記回転盤の回転と前記磁力発生部による磁力発生とが交互になるように制御することを特徴とする。
【0026】
回転盤の回転と磁力発生部による磁力発生とを交互に作用させるこの構成であると、マイクロビーズを下流側の反応槽に円滑に移動させることができる。具体的には、駆動制御部が、回転駆動部を介して回転盤を回転させ遠心力を発生させると、回転中心側の反応槽(内側反応槽)に収容されたマイクロビーズが、遠心力によって下流側に位置する外側反応槽にまでマイクロ流路を通って移動する。この後、駆動制御部が回転速度を遅くし又は停止させ、かつ磁力発生部を駆動させてより強い磁力を発生させると、外側反応槽内の上記マイクロビーズが磁力の作用により内側反応槽(遠心中心側の反応槽)にまでマイクロ流路を通って移動する。つまり、上記構成4であると、マイクロビーズを順次下流側に移動させることができる。
【0027】
ここで、上記化学反応装置において、上記マイクロビーズとして、表面に反応物質を固定したマイクロビーズを用い、かつ各反応槽にそれぞれ異なる反応液を収容しておけば、マイクロビーズの移動に伴ってビーズ表面で順次異なる反応が進む。よって、本発明化学反応装置によると、多段階反応を自動的に進行させることができる。
【0028】
本発明構成5は、上記本発明構成1乃至4の何れかの化学反応装置において、前記マイクロ反応路チップが、前記回転盤上に複数個配置されていることを特徴とする。
【0029】
この構成であると、複数の検体を1度に処理することができ、また複数の目的物質や複数種類の目的物質の濃度測定反応を同時平行的に処理することができる。これにより、作業時間の短縮を図れるとともに、測定効率や測定結果に対する信頼性を向上させることができる。
【0030】
本発明構成6は、上記本発明構成1乃至4の何れかの化学反応装置において、
前記マイクロ反応路チップは、円形状であり、前記交互に逆向きの状態で尻窄み形状出口同士が対向するように配置された複数の一対の反応槽の内側の反応槽が、前記円形状マイクロ反応路チップの回転中心を周回するように配置され、前記複数の一対の反応槽の外側の反応槽が、前記円形状マイクロ反応路チップの外周内側を周回するに外周側に配置され、これらの一対の反応槽同士を連結するマイクロ流路が、回転中心側から外周に向かって放射状に配置された構造であることを特徴とする。
【0031】
この構成では、マイクロ反応路が円形状のチップの中心側と外周側を行き来しながら、円形状のチップを概略360度周回する距離の長いものとなるので、反応路中に多数の反応槽を設けることができる。よって、この構成にかかる化学反応装置は、多数の反応工程を必要とする分析反応に都合よく用いることができる。
【0032】
本発明構成7は、上記本発明構成1乃至6の何れかの化学反応装置において、前記マイクロビーズの表面に、反応物質が固定されている構成とすることができる。
【0033】
マイクロビーズ表面に予め反応物質を固定しておくことにより、各反応槽へのマイクロビーズに移動による反応を確実かつ効率よく進行させることができる。
【0034】
本発明構成8は、上記本発明構成1乃至7の何れかの化学反応装置において、前記磁力発生部によって出力される磁束密度が0.01〜1T(テスラ)であることを特徴とする。
【0035】
磁束密度が小さ過ぎると、円滑にビーズが移動せず、磁束密度が大きすぎると、ビーズの加速度が大きくなり、衝突エネルギーにより反応槽などを破損する恐れが大きくなるが、磁束密度が0.01〜1T(テスラ)であれば、このような恐れが少ない。
【0036】
本発明構成9は、上記本発明構成8の化学反応装置において、前記回転盤の回転数が、12〜120rpmであることを特徴とする。
【0037】
回転数が小さいと十分な遠心力が得られない一方、回転数が大きすぎると、マイクロビーズが強い力で反応槽の底などに衝突する。このため、マイクロビーズ表面が損傷されたり、反応槽にひび割れが生じたりする恐れが高まる。それゆえ回転盤の回転数を適正に設定する必要があり、回転盤の回転数が12〜120rpmであれば、マイクロビーズの移動が速やかであり、かつマイクロビーズや反応槽を破壊する恐れが少ない。
【0038】
本発明構成10は、上記本発明構成1乃至9の何れかの化学反応装置において、前記マイクロ流路の最小径をp、前記反応槽の出口の最小径をq、及びマイクロビーズの最大径をrとした場合に、p、q及びrが、p≧q≧r の条件を満たすことを特徴とする。
【0039】
マイクロ流路の径や反応槽の出口の径は、マイクロビーズが円滑に通ることができる限り、小径であることが好ましく、マイクロビーズが円滑に通ることができ、かつマイクロビーズの逆流を防ぐために、p≧qであることが好ましい。また、マイクロビーズが円滑に移動するために、q≧rが好ましい。
【0040】
本発明構成11は、上記本発明構成1乃至10の何れかの化学反応装置において、前記マイクロ反応路チップが、主基板と当該主基板に重ねあわされた蓋基板とで構成され、前記主基盤に前記反応槽及びマイクロ流路が形成されていることを特徴とする。
【0041】
この構成であると、主基板面にマイクロ反応路用の溝や穴を形成し、しかる後に蓋基板を被せることにより、マイクロ反応路チップが形成できる。よって、この構成であると、マイクロ反応路チップの生産性が高い。
【0042】
本発明構成12は、上記本発明構成10の化学反応装置において、前記マイクロ反応路チップが、縦長が2cm〜10cm、横長が1cm〜10cm、厚さが0.11mm〜5mmであることを特徴とする。
【0043】
上記サイズであると、取り扱い性がよいので好ましい。
【0044】
本発明構成13は、上記本発明構成11の化学反応装置において、前記反応槽が、主基板面に平行な縦長が0.1mm〜5mmであり、主基板面に平行な横長が0.1mm〜5mmであることを特徴とする。
【0045】
反応槽は、反応物質を含む溶液とマイクロビーズを収容する容器であるので化学反応を円滑に進めるためには適度な大きさが必要であるが、大き過ぎるとマイクロ反応路チップとしての有用性が失われる。このため、上記範囲とするのが好ましい。
【0046】
本発明構成14は、上記本発明構成11の化学反応装置において、前記マイクロビーズの最大径が、0.01μm〜500μmであり、前記マイクロ流路の最小径が、0.1μm〜1mmであることを特徴とする。
【0047】
マイクロビーズの径が小さ過ぎると取り扱い性が悪くなるとともに、マイクロビーズ表面に反応物質を固定化し難くなる。その一方、大き過ぎると、マイクロ反応路のサイズが大きくなり、微量な検液を用いた定量が困難となる。このようなことから、上記範囲とするのが好ましい。
【0048】
本発明構成15は、上記本発明構成7の化学反応装置において、前記マイクロビーズの表面に固定化される反応物質を、核酸またはタンパク質とすることを特徴とする。
【0049】
生体に作用する物質の多くは、タンパク質関連物質であり、タンパク質関連物質である検出目的物質と相補的な構造を有する核酸、タンパク質、糖タンパク質、糖鎖は、検出目的物質と特異的に結合する。よって、核酸、タンパク質、糖タンパク質、糖鎖、からなる反応物質を表面に固定したマイクロビーズを用いることにより、微量な検出目的物質を高精度で測定することが可能となるので、本発明化学分析装置は、核酸またはタンパク質の特異的反応性を利用した化学反応分析法においてその作用効果が顕著に発揮される。よって、上記構成とするのが好ましい。
【0050】
本発明構成16は、上記本発明構成15の化学反応装置において、前記核酸が、DNA、RNA、PNA、LNA及びその混成体からなる群より選択される1種以上の物質であることを特徴とする。
【0051】
DNA(Deoxy Ribocleic Acid)、RNA(Ribo Nucleic Acid)、PNA(Peptid Nucleic Acid)、LNA(Locked Nucleic Acid)は、核酸の主要物質であり、かつ反応特異性が強いので、マイクロビーズの表面に固定化する反応物質として有用である。
さらに特定の物質と特異的に反応できるよう人工的に作成されたDNAアプタマーも有用である。
【0052】
本発明構成17は、上記本発明構成15の化学反応装置において、前記タンパク質が、抗原、抗体、タンパク質リガンド、アプタマー及び受容体からなる群より選択される1種類以上の物質であることを特徴とする。
【0053】
マイクロビーズ表面に固定化する反応物質を上記抗原、抗体などから選択することにより、生体に作用する様々な検出目的物質を高精度で測定することが可能となる。
特に抗体は物理吸着によって、簡易かつ強固にマイクロビーズ表面に固定化でき、極めて高い特異性を有するため、反応物質として優れている。
【0054】
本発明構成18は、上記本発明構成1乃至17の何れかの化学反応装置において、前記マイクロ反応路内に、磁性を帯びることのできるマイクロビーズとともに、非磁性体からなる第2のマイクロビーズが配置されていることを特徴とする。
【0055】
この構成であると、非磁性体からなる第2のマイクロビーズに、主反応を阻害する物質(例えば交差反応を誘導する物質)を除去する役割を担わせることができる。これにより目的物質に対する測定精度を高めることができる。
【発明の効果】
【0056】
本発明化学分析装置は、複数の反応槽が上流側から下流側に順次対向配置され、かつそれぞれの反応槽がマイクロ流路で連結された構造のマイクロ反応路チップを、回転盤上に載置し、これに遠心力及び/又は磁力を作用させるが、この構成であると、マイクロビーズを遠心力又は磁力による引力により、自動的に上流から下流側に順次移動させることができる。よって、複数の反応槽のそれぞれに異なる反応液や洗浄液を収容しておくことにより、各々の反応槽において自動的かつ逐次的に反応を進めることができ、これにより煩雑な操作を必要とすることなく、多段階的反応を全自動的に行わせることが可能となる。
【0057】
また、上記マイクロ反応路チップの反応路は、微小な反応槽とこの反応槽を連結する微小なマイクロ流路で構成することができるので、極めて少ない量の検出対象溶液でもって多段階的反応を行わせることができる。
【0058】
また、本発明では、1台の装置に複数のマイクロ反応路チップを配置することができ、これにより一度に多数の検出対象物質の反応処理を行うことができる。また、本発明では、回転中心を周回する長い反応路を備えたマイクロ反応路チップを用いることもでき、これにより、より一層の多段階反応を自動的に行わせることができる。
【0059】
以上から、本発明によると、検体中の抗原などの測定対象物質と固定化物質との一次反応、未反応な測定対象物質の分離・洗浄、一次反応物質と標識物質との二次反応、等々の一連の異なる化学反応や洗浄等を連続的・自動的に行うことが可能であり、それゆえ本発明によると、段階的な反応を必要とする分析操作おける作業時間と作業労力を大幅に軽減することができると共に、分析結果に対する信頼性を大幅に高めることができるという顕著な効果が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
〔実施の形態1〕
図1〜3に基づいて実施の形態1を説明する。図1は、実施の形態1にかかる化学反応装置90を上方から見た模式図であり、図2は、同化学反応装置90を横方向から見た場合における内部構造を模式的に示す図である。図3は、本実施の形態にかかるマイクロ反応路チップ1の平面模式図である。以下、スギ花粉の主要アレルゲンであるcryj-1の量を測定する場合を想定例にして、説明する。
【0061】
図1〜3に示されるように、化学反応装置90は、マイクロ反応路チップ1と、マイクロ反応路チップ1を載置し回転させる回転盤17と、電磁石18を有する磁力発生装置19を主要要素として備えている。回転盤17は、その中心が回転装置20から突出した回転軸16に連結された円盤状の回転体である。この回転盤17、回転軸16、回転装置20で回転駆動部が構成されている。
【0062】
上記マイクロ反応路チップ1は、回転盤17上に着脱可能に載置されている。磁力発生部19の電磁石18は、マイクロ反応路チップ1の流路形成領域よりも回転中心側に位置し、図2においては回転軸16の回転中心(A)の直上に設けられている。また、この化学反応装置では、回転盤17の外周近傍の上方に測定器29が設けられている。測定器29は検出対象物質の濃度を測定する機器であり、この実施の形態では分光光度計が配置されている。
【0063】
なお、電磁石18(磁力発部位)はマイクロ反応路チップ1の流路形成領域よりも回転中心側に位置すればよく、マイクロ反応路チップ1の上方でなくともよい。ここでいう「マイクロ反応路チップ1の流路形成領域」とは、チップの外延を言うのではなく、マイクロ反応路が形成された部分を指す。
【0064】
上記磁力発生部19は、支持面30および支持面31により支持され、回転装置20は、支持面31により支持され、測定器は少なくとも支持面30により支持された構造になっている。
【0065】
上記マイクロ反応路チップ1は、主基板と主基板を蓋する蓋基板とで構成されており、入口と尻窄み形状出口とを有する複数の反応槽と、それぞれの反応槽同士を連結するマイクロ流路は主基板に形成され、マイクロ反応路の入口2は蓋基板に形成されている。尻窄み形状出口とは、出口端に向かって流路が次第に狭められた形状をいい、本実施の形態では、尻窄み形状出口として漏斗状出口が採用されている。
【0066】
上記マイクロ流路、反応槽、反応槽入口及び尻窄み形状出口は、主基板を略垂直に掘り下げ、この上に蓋基板を重ねることにより形成される。なお、深さ方向への掘り下げをU字状、テーパ状、断面台形状等としてもよい。
【0067】
マイクロ反応路チップ1について更に説明する。図3において、遠心方向側の反応槽4・9・13・27と回転中心側(内側)の反応槽7・11・24とは、マイクロ流路6・8・10・12・25で連結されている。また、マイクロ流路8・12・25には、流れ方向に鋭角に溶液導入路が連結され、これら溶液導入路の上流側にはそれぞれ注入口14・15・26が設けられており、注入口14・15・26は、蓋基板に形成された貫通穴である。また、マイクロ反応路入口2と最上流側の反応槽4はマイクロ流路3で連結されている。なお、図3のマイクロ反応路チップ1は、7つの反応槽、7つのマイクロ流路、1つのマイクロ反応路入口、3つの溶液導入路からなるが、各要素の数はこれに限られるものではなく、これよりも少なくてもよいし、これよりも多くすることもできる。
【0068】
実施の形態1にかかる化学反応装置は、更に駆動制御部(不図示)を備えている。駆動制御部は、回転盤17の回転速度(回転速度には速度0が含まれる)および電磁石18から出力される磁力の大きさ(大きさには0が含まれる)を制御するものである。例えば、駆動制御部により回転駆動部20を制御し、磁力が作用しない状態においてマイクロビーズを外側の反応槽(反応槽5・9・13・27の何れか)に留めおくことのできる程度の遠心力を作用させておく。この状態で電磁石18をON、OFFし、ONの状態において上記遠心力を上回る引力が発生するように制御すると、マイクロビーズ5はONの状態のとき、外側の反応槽から内側(回転中心側)の反応槽に移動し、OFFの状態のとき、内側の反応槽から外側の反応槽に移動する。よって、このように回転駆動部20と磁力発生部19を制御することにより、マイクロビーズ5を順次下流側の反応槽に移動させることができる。
【0069】
また、この化学反応装置では、回転中心(A)より遠い側(外側)の反応槽4・9・13・27のそれぞれに、予め反応溶液が収容されており、回転中心(A)に近い側(内側)の反応槽7・11・24は空の状態としてある。この状態では、外側の反応槽が反応を行う空間として機能し、内側の反応槽がマイクロビーズを反応溶液から分離する空間として機能する。ただし、これ以外の態様で使用させることもできる。
【0070】
なお、最下流側の容器27(便宜上これも反応槽と称している)は、もはやマイクロビーズ5を下流側に移動させる必要がない。よって、この容器には、尻窄み形状の出口が設けられてない。また、この実施の形態1の化学反応装置では、電磁石に電流を印加することにより磁力を発生させる構造が採用されているが、磁力発生部の構造を永久磁石とこれを可動させる可動部からなるものとすることもできる。この構造においては、マイクロ反応路チップに永久磁石を近づけることが磁力ONであり、マイクロ反応路チップから永久磁石を遠ざけることが磁力OFFとなる。
【0071】
ところで、マイクロビーズ5としては、マイクロ反応流路チップの外でその表面に予め反応物質を固定化した固定化マイクロビーズを用いてよく、また反応槽4内でマイクロビーズ5に反応物質を固定化してもよい。ただし、マイクロ反応流路チップ外でマイクロビーズ表面に反応物質を固定化する方法の方が良好な固定化マイクロビーズを得やすいので、好ましい。
【0072】
また、マイクロビーズ5の形状は、特に限定されるものではなく、例えば、球状、楕円状、多角形状等であってもよい。ただし、反応表面積が大きいという点で、球状のビーズが好ましい。マイクロビーズ5の直径は、通常、0.01〜100μmとする。マイクロビーズ5の材質としては、磁力を帯びる材質であればよい。このような材質のものとしては、マグネタイト、マグヘマイトなどフェリ磁性体で形成されたマイクロビーズが使用でき、例えば、Bangs laboratorie社から発売されているマイクロビーズ BioMagが使用できる。
【0073】
実施例1の化学反応装置について更に詳しく説明する。この実施の形態1においては、図1の矢印で示すように、回転盤17が時計回りに回転するように設定され、マイクロ反応路チップ1の反応槽7・11・24が回転中心側に位置するように載置されている。ただし、回転盤17の回転方向は反時計回りでもよく、マイクロ反応路チップ1の配置を図3とは逆にしてもよい。この場合、遠心力によりマイクロビーズを反応槽4に収容することはできないため、磁力の作用によりマイクロビーズを反応槽4に収容するか、またはマイクロ反応路入口2が上になるようにチップを立てた状態で入口2からマイクロビーズを転がし込む等することになる。
【0074】
マイクロビーズ5に作用する遠心力の強度は、回転盤17の回転速度や、回転盤17上に配置させるマイクロ反応路チップ1の回転中心(A)からの距離を調整することによって調節することができる。
【0075】
マイクロ反応路チップ1の大きさは、通常、縦0.5cm〜10cm、横0.5〜10cm、厚み0.11mm〜10mmであり、その形状は、略正方形または長方形の形状である。マイクロ反応路は、図3に示されるように反応槽同士が上下対象に対向配置されており、回転中心側の反応槽と外側の反応槽とがマイクロ流路6・8・12・25で連結されている。なお、マイクロ反応路の入口2と最上流の反応槽4はマイクロ流路3で連結されている。
【0076】
マイクロ流路8・12・25には、流れ方向に鋭角に連結された溶液導入路が設けられ、これらの溶液導入路は上流側に注入口14・15・26を有する。最上流の反応槽4には、マイクロ反応路入口2を介して溶液を注入し、これ以外の反応槽には注入口14・15・26を介して反応液を注入することになる。
【0077】
各反応槽の縦長は0.1mm〜5mmであり、横長さは0.1mm〜5mmである。これらの反応槽は入口と尻窄み形状の出口(漏斗状出口)を有し、入口および漏斗の先端部分の最大径は、0.01mm〜1mmである。また、反応槽相互を連結するマイクロ流路、マイクロ反応路入口2、溶液導入路及びその注入口2,14,15の最大径も、0.01mm〜1mmとしてある。マイクロ反応路入口2及び注入口2,14,15は断面円形に形成されている。また、回転盤17は、通常、直径1cm〜30cmの円盤からなる。その回転数は、通常、5〜30rpmとする。電磁石18で出力される磁束密度は、通常、0.01〜1T(テスラ)とする。
【0078】
更に、マイクロ反応路は、上記の範囲内において、マイクロ流路3,6,8,10,12,25、28の流路の最小径をp、反応槽4、7、9,11、13、24、27の出口の最小径をq、及びマイクロビーズ粒子の最大径をrとしたとき、p、q及びrが、p≧q≧rの式を満たすように、それぞれを形成する。この条件を満たすと、マイクロビーズ粒子(5)がマイクロ反応路80内をスムーズに移動する。
【0079】
なお、本実施の形態1のマイクロ反応路80は、主基板面を垂直に掘削する方法により形成されているので、マイクロ流路、反応槽、及び溶液導入路は、基盤面に対し凹状の溝ないし窪みとなっている(図6参照)。よって、上記最小径p及びqは、溝等の幅又は高さ(主基板に垂直方向の高さ)のうち小さい方の長さになる。
【0080】
図6に、図3に示すマイクロ反応路チップ1のX−Y断面をA方向から見た図を示す。マイクロ反応路チップ1は、主基盤22と蓋基盤21とが張り合わされた構造になっており、反応槽とマイクロ流路及び溶液注入路とが主基盤22に形成され、入口2、溶液注入路の注入口とが蓋基盤21に貫通孔として形成されている。主基盤22の厚さは、通常、0.1mm〜5mm、蓋基盤21の厚さは、通常、0.01mm〜5mm程度とする。
【0081】
蓋基盤21及び主基盤22の材質としては、目的物質を含む溶液が浸透せずかつ目的物質を含む溶液と反応性がない材質であって、加工しやすいものであればよいが、目的物質の検出手段として化学発光検出手段や光学的検出手段を用いてチップ外から反応生成物を検出する場合には、例えば透明ガラスやアクリル系透明樹脂であるPMMA(ポリメチルメタクリレート)やポリカーボネート、アクリル、ポリスチレン、スチレン−ブタジエンポリマー、スチレン−アクリロニトリルコポリマー、スチレン−アクリルコポリマー、アクリルオニトリルブタジエンスチレン、セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリスルホン等のプラスチック材料が好ましい。
【0082】
また、マイクロ反応路チップ1内に電極を形成して反応生成物を電気化学的に検出する手段を用いる場合には、絶縁性材料を用いることが好ましい。
【0083】
プラスチック材を用いる場合には、機械加工法やレーザー加工法、さらには金型を用いた射出成型法、プレス成型法等の方法により、マイクロ反応路を形成することができる。金型を用いる射出成型法は、量産性に優れ、形状の再現性に優れるために好ましい。ガラス基板やシリコン基板を用いる場合には、例えばフォトリソグラフィ法や化学エッチング法などを用いてマイクロ反応路を形成する。また、蓋基板にマイクロ反応路入口2、溶液注入口14、15、26(図3を参照)を形成するには、ドリルなどの機械加工法を用いることができる。主基板にマイクロ反応路を形成した後、蓋基板に形成した注入口(貫通孔)などを位置あわせをして、主基板と蓋基板とを重ね合わせ、両者を熱圧着などの方法によって接着することにより、マイクロ反応路チップ1を作製する。
【0084】
次に、マイクロビーズ5の表面に固定する反応物質について説明する。
マイクロビーズ5の表面へ固定化する反応物質としては、通常、タンパク質または核酸、糖鎖、糖タンパク質、などのホスト分子となり得る、特異的にターゲットを認識する分子を用いる。このような反応物質としては、抗原、抗体、リガンド、アプタマー及び受容体からなる群から選択される1種類以上の物質が挙げられる。また、核酸としては、DNA(Deoxy Ribocleic Acid)、RNA(Ribo Nucleic Acid)、PNA(Peptid Nucleic Acid)、LNA(Locked Nucleic Acid) 及びその混成体からなる群より選択される1種以上の物質が挙げられる。
【0085】
マイクロビーズ表面への固定化の方法としては、物理吸着法、共有結合法、架橋法などが挙げられる。物理吸着法は、抗体とマイクロビーズとの間での疎水性相互作用などの共有結合以外の化学結合を利用して物理的に固定化を行う方法であり、共有結合法は、マイクロビーズの表面にカルボキシル基を修飾し、カルボイミド、スクシンイミドを用いて抗体のアミン基との共有結合を行う方法であり、架橋法は、グルタルアルデヒドが架橋剤として使用し、マイクロビーズの表面にアミン基を予め修飾し、アミン基同士を架橋する方法である。本実施の形態においては、固定化の方法は問わない。これらのいずれかの方法を利用すればよい。
【0086】
なお、本明細書では特に断りなくマイクロビーズ5と記載した場合には、その表面に反応物質が固定されていないものと、固定化されたものを区別しないで使用されている。
【0087】
実施の形態1にかかる化学反応装置の操作方法について、検出目的物質がスギの主要アレルゲンであるcryj-1である場合を例として更に説明する。
【0088】
先ず、直径10μmの磁性体ビーズ(マグネタイト)の表面に、cryj-1に特異的に反応する抗cryj-1抗体を共有結合法により固定した。これにより、固定化マイクロビーズ5を作製した。
【0089】
他方、マイクロ反応路チップ1を図3B側を下にして傾けた状態で、注入口2、14、15、26を介して、反応槽5にはcryj-1を含む検体溶液、反応槽9には洗浄液として界面活性剤のtween液0.05%を含むリン酸緩衝液、反応槽13には二次抗体溶液として酵素標識付抗Cryj-1抗体溶液(ペルオキシダーゼ結合抗Cryj-1モノクローナル抗体)、反応槽27には、ペルオキシダーゼ活性測定用発色試薬溶液(SATblue)、をそれぞれ注入した。
【0090】
この後、マイクロ反応路入口2から、上記固定化マイクロビーズ5を投入し反応槽4に固定化マイクロビーズ5を収容した。なお、各反応溶液の溶媒としては、pH7.4のリン酸緩衝液を用いた。
【0091】
上記で調製したマイクロ反応路チップ1を回転盤17に載置し、回転数60rpmで回転させつつ、電磁石18の磁力を0.03T(テスラ)とし電磁石18をパルス的にON、OFFしてマイクロ反応路に0.03T(テスラ)の磁力パルスを加えた。この遠心力と磁力パルスの作用により、反応槽4内に収容された固定化マイクロビーズ5を回転盤面に対し平行方向に振動させた。これにより、反応槽内のビーズと溶液が攪拌される。図4にこのときの反応槽の様子を示した。
【0092】
上記磁力パルスを3分間負荷した後に、磁力を1T(テスラ)に高め、反応槽4内内の固定化マイクロビーズ5を反応槽7に移動させ、固定化マイクロビーズ5の反応槽7への移動が完了した時点で、今度は電磁石18の出力をOFFとした。これにより、反応槽7内の固定化マイクロビーズ5を反応槽9に移動させた。このような操作を繰り返し、固定化マイクロビーズ5を順次下流側の反応槽27まで移動させた。図5のa〜dに、マイクロビーズ5が順次下流側に移動して行く様子を示した。なお、固定化マイクロビーズ5の反応槽4・9・13における滞留時間(反応時間)は3〜7分程度とし、反応槽7・11・24の滞留時間は0.5〜3分程度とした。
【0093】
以上のようにして固定化マイクロビーズ5が移動して行く過程で、反応と洗浄が自動的に進行し、反応槽27では、5分程度、酵素基質反応が行われ。測定器29(図2参照)により、反応槽27にチップ外から650〜680nmの測定波長する光を当て、ペルオキシダーゼの酵素活性によって青色に変色したSAT blueの吸光度を算出する。これにより検出対象物質であるcryj-1の量を測定することができる。
【0094】
〔実施の形態2〕
図7は、実施の形態2にかかる化学反応装置91の平面模式図であり、この図に基づいて実施の形態2を説明する。図7に示されるように、実施の形態2にかかる化学反応装置91は、回転盤17に複数のマイクロ反応路チップ(図7では4枚)を載置できるようになっている点において、上記した実施の形態1の化学反応装置90と異なり、これ以外の要素については、上記実施の形態1と同様である。
【0095】
実施の形態2では、回転盤17の回転中心(A)から等距離かつ均等な位置に4枚のマイクロ反応路チップ1が着脱可能に固定できる構造に成っている。反応路チップ1の固定手段は特に限定されないので、図7にはマイクロ反応路チップ1の固定手段が示されていない。例えば、回転盤17にマイクロ反応路チップ1を固定するクリップを設けてもよいし、回転盤面に着脱可能な粘着テープで張り付ける方法でもよい。また、回転盤に予めネジ止め穴を設け、この穴に対応した穴をマイクロ反応路チップにも設けておき、マイクロ反応路チップを回転盤にネジ止め固定する方法でもよい。
【0096】
また、図7では、4枚のマイクロ反応路チップを配置する構成が示されているが、4枚未満、または4枚を超える数のマイクロ反応路チップを配置できる構造とすることもできる。また、大きさや形状がそれぞれ異なる複数のマイクロ反応路チップを配置する構造とすることもできる。なお、4枚を超える数のマイクロ反応路チップを配置する構造とするには、マイクロ反応路チップを小さくするか、回転盤を大きくすればよい。
【0097】
このような実施の形態2にかかる化学反応装置91を用いると、1度に多数の検体を処理できる。よって、分析反応の作業能率が大幅に向上する。
【0098】
〔実施の形態3〕
図8に基づいて実施の形態3にかかる化学反応装置92の内容を説明する。図8は、実施の形態3にかかる化学反応装置92の平面模式図であり、符号17が回転盤、符号100が実施の形態3にかかるマイクロ反応路チップ、符号139が主基板に形成されたマイクロ反応路である。
【0099】
図8に示されるように、マイクロ反応路チップ100は、回転盤17と略相似形の円盤形状であり、その中心が回転中心(A)となっている。図8の例では回転盤17の回転中心に穴Aが形成されており、この穴Aを回転盤17の回転中心に合わせて回転盤17上に載置する。なお、マイクロ反応路チップ100の回転中心を穴としたのは、回転盤17の回転中心とマイクロ反応路チップ100の回転中心を合わせ易いようにするためであり、穴Aを設けなくともよい。
【0100】
マイクロ反応路139の構造について説明する。上記穴Aを周回するように内側反応槽105・109・113・117・121・125・129の複数の反応槽が放射状に配置され、これらの内側反応槽にそれぞれ対向する外側反応槽103・107・111・115・119・123・127・131が円形のチップ基板の外周に沿って出口を上記穴A側に向けて放射状に配置されている。そして、内側反応槽とこれに対向する外側反応槽とが、それぞれマイクロ流路104・106・108・110・112・114・116・118・120・122・124・126・128・130で連結された構造である。
【0101】
更に、マイクロ流路106・110・114・118・122・126・130のそれぞれには、外側反応槽側(外周側)に向かって傾斜させ、それぞれのマイクロ流路に連結した溶液導入路132・133・134・135・136・137・138が設けられており、それぞれの溶液導入路には注入口が設けられている。また、マイクロ反応路の最上流側には、マイクロ反応路入口101が設けられ、マイクロ反応路入口101は反応槽103とマイクロ流路102で連結されている。なお、最下流側の容器131(便宜上これも反応槽と称している)は、もはやマイクロビーズを下流側に移動させる必要がない。よって、この容器には、尻窄み形状の出口が設けられてない。
【0102】
この形態のマイクロ反応路チップも、上記実施の形態1と同様、主基板と蓋基板を重ね合わせた構造になっており、以上に説明した事項以外については、上記実施の形態1と同様である。また、マイクロビーズの移動原理も上記実施の形態1と同様である。よって、その余の事項についての説明を省略する。
【0103】
このような実施の形態3にかかる化学反応装置は、上記実施の形態1とは、マイクロ反応路チップの形状およびマイクロ反応路の構造が異なり、実施の形態3にかかる化学反応装置においては、マイクロ反応路入口101から投入されたマイクロビーズは円盤状のチップ内を概ね360度巡回して最下流側反応槽131にまで順次自動的に移動して行くことになる。つまり、実施の形態3では、上記実施の形態1の場合に比較して、マイクロ反応路の長さを(ビーズの移動距離)を格段に長くすることができる。よって、一層複雑な多段階反応を自動的に行わせることができることになる。
【0104】
なお、この実施の形態3では、回転中心側(内側)に7個の反応槽、外周側に8個の反応槽を設けたが、マイクロ反応路チップに設ける反応槽の個数はこれに限定されないことは勿論である。また、マイクロビーズは必ずしも最下流側反応槽131にまで移動させる必要はない。必要な反応工程数や検出態様に合わせてマイクロビーズの移動を設定すればよい。
【0105】
また、上記実施の形態1と同様、本実施の形態3においても、回転中心側の反応槽は、通常、反応液とマイクロビーズを分離しマイクロビーズを洗浄するための空間として機能させる空間となる。また、一般的使用態様においては、最下流側反応槽131内に最終反応生成物又はマイクロビーズ自体を収容し、上記実施の形態1で記載した方法などを用いて検出目的物質の定性・定量を行うことになる。
【0106】
〔実施の形態4〕
図9に基づいて、実施の形態4の内容を説明する。実施の形態4は、磁性をおびることのできるマイクロビーズ(磁性ビーズ5)と、非磁性体からなる第2のマイクロビーズ(非磁性ビーズ23)の2種類のマイクロビーズを用いる点に特徴を有する。
【0107】
この実施の形態4はいわゆる交差反応による誤差を防止するためのものである。すなわち、検出対象溶液に本来の検出対象物質である抗原Aとともに、抗原Aに類似した抗原Bが含まれている場合、固定化磁性ビーズ5が抗原Bを抗原Aと誤認して反応する。これにより抗原Aの測定精度が低下する。そこで、非磁性ビーズ23の表面に抗原Bと特異的に反応する抗体B’を固定化しておき、抗原Bを非磁性ビーズ23に捕捉させ取り除く。非磁性ビーズ23は、磁力によって吸引されないので、上流側の反応槽内に留め置かれる一方、磁性をおびることのできるマイクロビーズ(磁性ビーズ5)は、順次下流側に移動できるので、その後の反応が進行する。これにより、抗原Aに対する検出精度が高まる。
【0108】
例えば、ELISA(Enzyme-Linked Immunosorbent Assay )を用いてアレルギーの原因である植物アレルゲンを測定する場合において、植物アレルゲンは多くの植物種間で交差反応を起こす。具体的には、スギ花粉の主要アレルゲンであるcryj-1とヒノキ花粉の主要アレルゲンであるchao1は良く似た構造、性質をもつため、抗体が交差反応を起こす。そこで、cryj-1を測定する目的の場合には、chao1との反応性が高い抗体等を非磁性ビーズ23の表面に固定し、この非磁性ビーズ23とともに、反応槽4に入れておく。非磁性ビーズ23は、磁力に作用しないので、下流側の反応槽には移動できない。つまり、非磁性ビーズ23は、抗原Aに対する検出精度を低下させる原因となる抗原Bをマイクロ反応路から除去する役割を果たすことになる。
【0109】
〔付加事項〕
上記実施の形態1〜3では、反応槽内に収容されたマイクロビーズがマイクロ流路に流出しない範囲内で磁力の強度を変動させることによりマイクロビーズを振動させ、反応槽内の溶液を攪拌せたが、この方式に代え、回転盤17を上下方向に小刻みに振動させる方式としてもよい。
【0110】
また、上記実施の形態1〜3においては、回転盤17の形状を円盤形状としたが、回転盤17の形状はこれに限られない。例えば、楕円状や、三角形状、四角形状などの多角形状であってもよい。要は、マイクロ反応路チップ1を着脱可能に配置することができ、回転によりマイクロ反応路チップに遠心力を作用させることができればよい。また、マイクロ反応路チップの形状も上記実施の形態1〜2に記載の形状に限られず、円形状、多角形状等であってもよい。
【0111】
また、上記実施の形態1〜3においては、マイクロビーズを最上流側の反応槽に収容した後に、順次下流側にマイクロビーズを移動させる反応態様を採用したが、マイクロビーズは必ずしも最上流側の反応槽に収容する必要はない。マイクロビーズを溶液導入路から注入することにより、マイクロビーズの運転開始当初の収容先を任意に設定することができる。
【0112】
また、上記本実施の形態1〜3においては、電磁石18を回転盤17の中心軸の上部に配置したが、磁力発生部19および電磁石18の配置位置はこれに限られない。例えば、回転盤17の下部に電磁石18を配置してもよい。また、電磁石18に代えて永久磁石を用い、かつ電磁石18への電流の制御に代えて、永久磁石を上下方向に移動制御する方式を採用することもできる。永久磁石とマイクロビーズとの距離の長短によっても、マイクロビーズに及ぼす磁力の強弱が調整されるからである。
【0113】
また、上記実施の形態1〜3においては、溶液導入路をマイクロ流路に連結させたが、溶液導入路を尻窄み形状出口の漏斗壁面(漏斗の傾斜面)に連結してもよい。溶液導入路は、外側への移動を担うマイクロ流路または外側反応槽の漏斗壁面に設けるのが好ましい。
【0114】
また、上記本実施の形態1〜3においては、目的物質中の抗原をマイクロビーズ5の表面に固定化された抗体によって検出する構成としたが、マイクロビーズ5表面に固定化される反応物質は、抗体に限られない。検出対象物質に応じて、任意に設定することができる。また、例えば抗体と抗原以外の物質との非特異的な結合を防ぐために、注入口2から反応槽4内に牛血清アルブミン(BSA)やスキムミルクなどのブロッキング液を注入しておき、抗原抗体反応が行われる前に、ブロッキング反応を行うのもよい。これにより、抗体と抗原以外の物質との非特異的結合が防止され、抗原抗体反応がより一層高い精度で行われるので、一層検出精度が高まる。また、上記実施の形態1〜3においては、標識抗体溶液として、西洋ワサビペルオキシダーゼを用いたが、標識抗体溶液はこれに限られない。また、定量手段は、基質生成物の濃度を吸光度で測定する上記方法に限られず、例えば蛍光色素、放射性同位体、金コロイド等を用いる方法が利用できる。なお、蛍光色素を用いる場合には、測定器29は蛍光測定器、放射性同位体を用いる場合には測定器29は放射線測定器となる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明によると、回転盤の回転によって発生される遠心力と、磁力発生部が発生させる磁力との協働作用によって、マイクロ反応路内にあるマイクロビーズを上流から下流側に向かって順次移動させることができ、マイクロ反応路内には複数の反応槽が設けられているので、この移動に伴って順次化学反応を進めることができ、本発明によると、検体溶液からの目的物質の分離・洗浄、各種反応物質との反応および残余物質の洗浄といった一連の操作を1枚のマイクロ反応路チップでもって自動的に行うことができる。それゆえ、本発明は分析化学分野、生化学分野及、医療分野などの様々な分野において利用でき、その産業上の利用可能性は高い。
【図面の簡単な説明】
【0116】
【図1】実施の形態1にかかる化学反応装置を上方から見た平面模式図である。
【図2】実施の形態1にかかる化学反応装置の概要を示す正面模式図である。
【図3】実施の形態1にかかるマイクロ反応路チップの反応路構造を示す模式図である。
【図4】マイクロ反応路の反応槽内におけるマイクロビーズの振動方向を示す模式図である。
【図5】マイクロ反応路内のマイクロビーズが順次下流側に移動すある様子を示す模式 図である。
【図6】図3のX-Y矢視断面図である。
【図7】実施の形態2にかかる化学反応装置を上方から見た平面模式図である。
【図8】実施の形態3にかかる化学反応装置を上方から見た平面模式図である。
【図9】実施の形態4にかかる非磁性体からなる第2のマイクロビーズの動きを説明する模式図である。
【符号の説明】
【0117】
1:マイクロ反応路チップ、
2:マイクロ反応路入口、
3、6、8、10、12、25、28:マイクロ流路、
4、9、14、27:反応槽、
5:マイクロビーズ、
7、11、24:回転中心側反応槽
14、15、26:注入口、
16:回転軸、
17:回転盤
18:電磁石、
19:磁力発生部、
20:回転駆動部、
21:蓋基板、
22:主基板、
23:第2のマイクロビーズ(非磁性ビーズ)、
29:測定器
30:反応槽入口
31:反応槽出口
90、91、92:化学反応装置、
100 :円形状のマイクロ反応路チップ
101 :マイクロ反応路入口、
102,104,106,108,110,112,114,116,118,12 0,122,124,126,128,130 : マイクロ流路、
105,109,113,117,121,125,129: 内側反応槽、
103,107,111,115,119,123,127,131: 外側反応槽、
132,133,134,135,136,137,138: 溶液導入路
139: マイクロ反応路
A 回転中心側、
B 回転盤外周側。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ反応路チップと、
前記マイクロ反応路チップを載置し回転させる回転盤を備える回転駆動部と、
前記マイクロ反応路チップの流路形成領域よりも回転中心側に配置された磁力発生部と、
を備えた化学反応装置であって、
前記マイクロ反応路チップは、入口と尻窄み形状出口とを有する複数の反応槽と、該複数の反応槽を繋ぐマイクロ流路と、を備えるマイクロ反応路を有し、
前記複数の反応槽のそれぞれは、交互に逆向きの状態で尻窄み形状の出口同士が対向するようにして上流側から下流側に向かって順次配置され、
隣り合う反応槽の入口と尻窄み形状出口とが、前記マイクロ流路で連結されており、
前記マイクロ反応路内には、磁性を帯びることのできるマイクロビーズが配置されている、
ことを特徴とする化学反応装置。
【請求項2】
請求項1に記載の化学反応装置において、
前記複数の反応槽を連結するそれぞれのマイクロ流路には、溶液を導入する溶液導入路が設けられている、
ことを特徴とする化学反応装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の化学反応装置において、
前記化学反応装置は、前記回転駆動部と前記磁力発生部とを制御する駆動制御部を備え、
前記駆動制御部が、前記磁力発生部で発生させる磁力の強度を変動させることにより、反応槽内に収容されたマイクロビーズがマイクロ流路に流出しない範囲内でマイクロビーズを振動させる、
ことを特徴とする化学反応装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載の化学反応装置において、
前記化学反応装置は、前記回転駆動部と前記磁力発生部とを制御する駆動制御部を備え、
前記駆動制御部は、前記回転盤の回転と前記磁力発生部による磁力発生とが交互になるように制御する、
ことを特徴とする化学反応装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の化学反応装置において、
前記マイクロ反応路チップは、前記回転盤上に複数個配置されている、
ことを特徴とする。
【請求項6】
請求項1乃至4の何れか1項に記載の化学反応装置において、
前記マイクロ反応路チップは、円形状であり、
前記交互に逆向きの状態で尻窄み形状出口同士が対向するように配置された複数の一対の反応槽の内側の反応槽が、前記円形状マイクロ反応路チップの回転中心を周回するように配置され、
前記複数の一対の反応槽の外側の反応槽が、前記円形状マイクロ反応路チップの外周内側を周回するに外周側に配置され、
これらの一対の反応槽同士を連結するマイクロ流路が、回転中心側から外周に向かって放射状に配置された構造である、
ことを特徴とする化学反応装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れか1項に記載の化学反応装置において、
前記マイクロビーズの表面には、反応物質が固定されている、
ことを特徴とする化学反応装置。
【請求項8】
請求項1乃至7の何れか1項に記載の化学反応装置において、
前記磁力発生部によって出力される磁束密度が、0.01〜1T(テスラ)である、
ことを特徴とする化学反応装置。
【請求項9】
請求項8に記載の化学反応装置において、
前記回転盤の回転数が、5〜30rpmである、
ことを特徴とする化学反応装置。
【請求項10】
請求項1乃至9の何れか1項に記載の化学反応装置において、
前記マイクロ流路の最小径をp、前記反応槽の出口の最小径をq、及びマイクロビーズの最大径をrとした場合に、
p、q及びrが、p≧q≧r の条件を満たす、
ことを特徴とする化学反応装置。
【請求項11】
請求項1乃至10に記載の化学反応装置において、
前記マイクロ反応路チップは、主基板と当該主基板に重ねあわされた蓋基板とで構成され、前記主基盤に前記反応槽及びマイクロ流路が形成されている、
ことを特徴とする化学反応装置。
【請求項12】
請求項11に記載の化学反応装置において、
前記マイクロ反応路チップは、縦長が2cm〜10cm、横長が1cm〜10cm、厚さが0.11mm〜5mmである、
ことを特徴とする化学反応装置。
【請求項13】
請求項11に記載の化学反応装置において、
前記反応槽は、主基板面に平行な縦長が0.1mm〜5mmであり、主基板面に平行な横長が0.1mm〜5mmである、
ことを特徴とする化学反応装置。
【請求項14】
請求項11に記載の化学反応装置において、
前記マイクロビーズの最大径は、0.01μm〜500μmであり、
前記マイクロ流路の最小径は、0.1μm〜1mmである、
ことを特徴とする化学反応装置。
【請求項15】
請求項7に記載の化学反応装置において、
前記マイクロビーズの表面に固定化される反応物質は、核酸、タンパク質、糖鎖、糖タンパク質、ペプチドである、
ことを特徴とする化学反応装置。
【請求項16】
請求項15に記載の化学反応装置において、
前記核酸は、DNA、RNA、PNA、LNA、DNAアプタマー及びその混成体からなる群より選択される1種以上の物質である、
ことを特徴とする化学反応装置。
【請求項17】
請求項15に記載の化学反応装置において、
前記タンパク質は、抗原、抗体、リガンド、ビオチン、アビジン、及び受容体からなる群より選択される1種類以上の物質である、
ことを特徴とする化学反応装置。
【請求項18】
請求項1乃至17の何れか1項に記載の化学反応装置において、
前記マイクロ反応路内には、磁性を帯びることのできるマイクロビーズとともに、非磁性体からなる第2のマイクロビーズが配置されている、
ことを特徴とする化学反応装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−148735(P2009−148735A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−331076(P2007−331076)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】