説明

マイクロホン装置、マイクロホン装置を備えた電子機器、マイクロホン装置の製造方法、マイクロホン装置用基板およびマイクロホン装置用基板の製造方法

【課題】中空部に通じている振動部にダストが入ってしまうことを抑制することが可能なマイクロホン装置を提供する。
【解決手段】このMEMSマイク10(マイクロホン装置)は、音を電気信号に変換する振動部14と、振動部14が設置される上面13aと上面13aとは反対側の下面13bとを有して内部に音を伝達する中空部134を含むマイク基板13と、マイク基板13の中空部134の内表面上に形成されたメッキ層17とを備える。そして、マイク基板13は、上面13aに設けられて中空部134と振動部14とを連通する基板音孔部132と、上面13aに設けられて中空部134と外部とを連通する基板音孔部131と、上面13aの反対側に位置する下面13bに設けられて中空部134と外部とを連通するメッキ液抜用孔部132とをさらに含み、メッキ液抜用孔部132は、封止されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マイクロホン装置、マイクロホン装置を備えた電子機器、マイクロホン装置の製造方法、マイクロホン装置用基板およびマイクロホン装置用基板の製造方法に関し、特に、中空部を有する基板を備えたマイクロホン装置、そのようなマイクロホン装置を備えた電子機器、中空部を有する基板を備えたマイクロホン装置の製造方法、中空部を有するマイクロホン装置用基板、および、そのようなマイクロホン装置用基板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中空部を有する基板を備えたマイクロホン装置が知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
上記特許文献1には、回路素子(振動部)と、内部に音を伝達する空洞部(中空部)を含む回路基板(基板)とを備えるマイクロホン装置が開示されている。このマイクロホン装置では、回路基板は、空洞部と回路素子とを連通する貫通孔(第1基板音孔部)と、空洞部と外部とを連通する貫通孔(第2基板音孔部)とをさらに含んでいる。また、回路基板の空洞部は、基板中の導電箔をエッチングにより除去することにより形成されている。また、回路基板の貫通孔は、ガラスエポキシ基板を加工することにより形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−147955号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1の表示装置では、基板中の導電箔をエッチングにより除去して空洞部(中空部)を形成し、ガラスエポキシ基板を加工して回路基板(基板)の貫通孔(第1基板音孔部および第2基板音孔部)を形成するため、空洞部に導電箔片やガラスエポキシ基板の切削片などのダストが発生するという不都合がある。このため、空洞部に通じている回路素子(振動部)にダストが入ってしまうという問題点がある。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、この発明の1つの目的は、中空部に通じている振動部にダストが入ってしまうことを抑制することが可能なマイクロホン装置、マイクロホン装置を備えた電子機器、マイクロホン装置の製造方法、マイクロホン装置用基板およびマイクロホン装置用基板の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段および発明の効果】
【0007】
この発明の第1の局面によるマイクロホン装置は、音を電気信号に変換する振動部と、振動部が設置される第1表面と第1表面とは反対側の第2表面とを有して内部に音を伝達する中空部を含む基板と、基板の中空部の内表面上に形成されたコーティング層とを備え、基板は、第1表面に設けられて中空部と振動部とを連通する第1基板音孔部と、第1表面に設けられて中空部と外部とを連通する第2基板音孔部と、第2表面に設けられて中空部と外部とを連通するコーティング液抜用孔部とをさらに含み、コーティング液抜用孔部は、封止されている。
【0008】
この発明の第1の局面によるマイクロホン装置では、上記のように、基板の中空部の内表面上に形成されたコーティング層を設けることによって、中空部がコーティング層によりコーティングされるので、中空部に切削片などのダストが発生するのを抑制することができる。また、中空部と外部とを連通するコーティング液抜用孔部を設けることによって、コーティング層を形成した際のコーティング液をコーティング液抜用孔部により容易に抜くことができるので、中空部にコーティング液の残りかすなどのダストが発生するのを抑制することができる。また、コーティング液抜用孔部を封止することによって、外部からの音の侵入を防止するとともに、外部からのダストの侵入を防止することができる。これにより、中空部に通じている振動部にダストが入ってしまうことを抑制することができる。また、第1基板音孔部および第2基板音孔部を第1表面に設けるとともに、コーティング液抜用孔部を第1表面の反対側に位置する第2表面に設けることによって、第1基板音孔部および第2基板音孔部と、コーティング液抜用孔部とが中空部に対して互いに反対側に配置されるので、コーティング層を形成した際のコーティング液を、第1基板音孔部および第2基板音孔部を空気孔としてコーティング液抜用孔部を介して容易に抜くことができる。
【0009】
上記第1の局面によるマイクロホン装置において、好ましくは、基板は、第1基板層と、第2基板層と、第2基板層に対して第1基板層とは反対側に配置された第3基板層とを含み、第1基板層には、第1基板音孔部および第2基板音孔部が形成されており、第2基板層には、中空部が形成されており、第3基板層には、コーティング液抜用孔部が形成されており、コーティング液抜用孔部は、第3基板層の第2基板層とは反対側に配置された第2表面側から封止されている。このように構成すれば、第1基板音孔部、第2基板音孔部、中空部およびコーティング液抜用孔部が個別に形成された第1基板層、第2基板層および第3基板層の3層を積層することにより、容易に、第1基板音孔部、第2基板音孔部、中空部およびコーティング液抜用孔部を有する基板を形成することができる。
【0010】
上記第1の局面によるマイクロホン装置において、好ましくは、コーティング液抜用孔部は、平面視において、第1基板音孔部の第2基板音孔部とは反対側の端部と、第2基板音孔部の第1基板音孔部とは反対側の端部との間に配置されている。このように構成すれば、第1基板音孔部と第2基板音孔部との間の位置に中空部と連通したコーティング液抜用孔部を形成することができるので、中空部にコーティング層を形成する際のコーティング液の液抜きを良好に行うことができる。これにより、コーティング層を均一にむらなく形成することができる。
【0011】
上記第1の局面によるマイクロホン装置において、好ましくは、コーティング液抜用孔部は、基板とは異なる封止部材により封止されている。このように構成すれば、基板とは異なる部材により、コーティング液抜用孔部を容易に封止することができるので、コーティング液抜用孔部からダストが侵入するのを容易に防止することができる。
【0012】
この場合、好ましくは、コーティング液抜用孔部は、内部に封止材が充填されることにより封止されている。このように構成すれば、内部に充填された封止材により確実にコーティング液抜用孔部を封止することができる。
【0013】
上記コーティング液抜用孔部の内部に封止材が充填される構成において、好ましくは、封止材は、コーティング液抜用孔部の中空部側との境界部近傍まで充填されている。このように構成すれば、音の伝達経路である中空部のコーティング液抜用孔部付近の凹凸を小さくすることができるので、音をスムーズに伝達することができる。
【0014】
上記コーティング液抜用孔部を封止部材により封止する構成において、好ましくは、コーティング液抜用孔部は、第2表面に貼り付けられた封止膜により塞がれることにより封止されている。このように構成すれば、封止膜を第2表面に貼り付けることにより容易にコーティング液抜用孔部を封止することができる。
【0015】
上記コーティング液抜用孔部を封止部材により封止する構成において、好ましくは、コーティング液抜用孔部は、コーティング層により封止されている。このように構成すれば、中空部の内表面上をコーティングするコーティング層と同じコーティング層を用いて容易にコーティング液抜用孔部を封止することができる。
【0016】
上記コーティング液抜用孔部を封止部材により封止する構成において、好ましくは、第2表面のコーティング液抜用孔部を取り囲む領域に配置された半田接合用パッドをさらに備え、コーティング液抜用孔部は、マイクロホン装置を搭載する搭載基板に半田接合用パッドが半田付けされて少なくとも搭載基板および半田接合用パッドにより封止されるように構成されている。このように構成すれば、マイクロホン装置を搭載基板に搭載するのと同時にコーティング液抜用孔部が搭載基板および半田接合用パッドにより封止されるので、コーティング液抜用孔部を封止するための工程を別途設ける必要がない。
【0017】
上記第1の局面によるマイクロホン装置において、好ましくは、コーティング層は、メッキにより形成されている。このように構成すれば、メッキによりコーティング層を容易に形成することができる。
【0018】
上記第1の局面によるマイクロホン装置において、好ましくは、コーティング液抜用孔部は、平面視において、第1基板音孔部および第2基板音孔部の間の領域の外側に配置されている。このように構成すれば、コーティング液抜用孔部を音の伝達経路の外側に配置して音の伝達経路の凹凸を少なくすることができるので、音をスムーズに伝達することができる。
【0019】
この発明の第2の局面による電子機器は、マイクロホン装置を備え、マイクロホン装置は、音を電気信号に変換する振動部と、振動部が設置される第1表面と第1表面とは反対側の第2表面とを有して内部に音を伝達する中空部を含む基板と、基板の中空部の内表面上に形成されたコーティング層とを備え、基板は、第1表面に設けられて中空部と振動部とを連通する第1基板音孔部と、第1表面に設けられて中空部と外部とを連通する第2基板音孔部と、第2表面に設けられて中空部と外部とを連通するコーティング液抜用孔部とをさらに含み、コーティング液抜用孔部は、封止されている。
【0020】
この発明の第2の局面による電子機器では、上記のように、基板の中空部の内表面上に形成されたコーティング層を設けることによって、中空部がコーティング層によりコーティングされるので、中空部に切削片などのダストが発生するのを抑制することができる。また、中空部と外部とを連通するコーティング液抜用孔部を設けることによって、コーティング層を形成した際のコーティング液をコーティング液抜用孔部により容易に抜くことができるので、中空部にコーティング液の残りかすなどのダストが発生するのを抑制することができる。また、コーティング液抜用孔部を封止することによって、外部からの音の侵入を防止するとともに、外部からのダストの侵入を防止することができる。これにより、中空部に通じている振動部にダストが入ってしまうことを抑制することが可能なマイクロホン装置を備える電子機器を得ることができる。また、第1基板音孔部および第2基板音孔部を第1表面に設けるとともに、コーティング液抜用孔部を第1表面の反対側に位置する第2表面に設けることによって、第1基板音孔部および第2基板音孔部と、コーティング液抜用孔部とが中空部に対して互いに反対側に配置されるので、コーティング層を形成した際のコーティング液を、第1基板音孔部および第2基板音孔部を空気孔としてコーティング液抜用孔部を介して容易に抜くことができる。
【0021】
この発明の第3の局面によるマイクロホン装置の製造方法は、音を電気信号に変換する振動部が設置される第1表面と第1表面とは反対側の第2表面とを有する基板の内部に、音を伝達する中空部を形成する工程と、基板の第1表面に、中空部と振動部とを連通する第1基板音孔部を形成する工程と、基板の第1表面に、中空部と外部とを連通する第2基板音孔部を形成する工程と、基板の第2表面に、中空部と外部とを連通するコーティング液抜用孔部を形成する工程と、基板の中空部の内表面上にコーティング層を形成する工程と、コーティング層が形成された後に、コーティング液抜用孔部を封止する工程とを備える。
【0022】
この発明の第3の局面によるマイクロホン装置の製造方法では、上記のように、基板の中空部の内表面上にコーティング層を形成する工程を設けることによって、中空部がコーティング層によりコーティングされるので、中空部に切削片などのダストが発生するのを抑制することができる。また、中空部と外部とを連通するコーティング液抜用孔部を形成する工程を設けることによって、コーティング層を形成した際のコーティング液をコーティング液抜用孔部により容易に抜くことができるので、中空部にコーティング液の残りかすなどのダストが発生するのを抑制することができる。また、コーティング液抜用孔部を封止する工程を設けることによって、外部からの音の侵入を防止するとともに、外部からのダストの侵入を防止することができる。これにより、中空部に通じている振動部にダストが入ってしまうことを抑制することが可能なマイクロホン装置を容易に製造することができる。また、第1基板音孔部および第2基板音孔部を第1表面に設けるとともに、コーティング液抜用孔部を第1表面の反対側に位置する第2表面に設けることによって、第1基板音孔部および第2基板音孔部と、コーティング液抜用孔部とが中空部に対して互いに反対側に配置されるので、コーティング層を形成した際のコーティング液を、第1基板音孔部および第2基板音孔部を空気孔としてコーティング液抜用孔部を介して容易に抜くことができる。
【0023】
この発明の第4の局面によるマイクロホン装置用基板は、音を電気信号に変換する振動部が設置される第1表面と第1表面とは反対側の第2表面とを有して内部に音を伝達する中空部を含む基板と、基板の中空部の内表面上に形成されたコーティング層とを備え、基板は、第1表面に設けられて中空部と振動部とを連通する第1基板音孔部と、第1表面に設けられて中空部と外部とを連通する第2基板音孔部と、第2表面に設けられて中空部と外部とを連通するコーティング液抜用孔部とをさらに含み、コーティング液抜用孔部は、封止されている。
【0024】
この発明の第4の局面によるマイクロホン装置用基板では、上記のように、基板の中空部の内表面上に形成されたコーティング層を設けることによって、中空部がコーティング層によりコーティングされるので、中空部に切削片などのダストが発生するのを抑制することができる。また、中空部と外部とを連通するコーティング液抜用孔部を設けることによって、コーティング層を形成した際のコーティング液をコーティング液抜用孔部により容易に抜くことができるので、中空部にコーティング液の残りかすなどのダストが発生するのを抑制することができる。また、コーティング液抜用孔部を封止することによって、外部からの音の侵入を防止するとともに、外部からのダストの侵入を防止することができる。これにより、中空部に通じている振動部にダストが入ってしまうことを抑制することができる。また、第1基板音孔部および第2基板音孔部を第1表面に設けるとともに、コーティング液抜用孔部を第1表面の反対側に位置する第2表面に設けることによって、第1基板音孔部および第2基板音孔部と、コーティング液抜用孔部とが中空部に対して互いに反対側に配置されるので、コーティング層を形成した際のコーティング液を、第1基板音孔部および第2基板音孔部を空気孔としてコーティング液抜用孔部を介して容易に抜くことができる。
【0025】
上記第4の局面によるマイクロホン装置用基板において、好ましくは、基板は、第1基板層と、第2基板層と、第2基板層に対して第1基板層とは反対側に配置された第3基板層とを含み、第1基板層には、第1基板音孔部および第2基板音孔部が形成されており、第2基板層には、中空部が形成されており、第3基板層には、コーティング液抜用孔部が形成されており、コーティング液抜用孔部は、第3基板層の第2基板層とは反対側に配置された第2表面側から封止されている。このように構成すれば、第1基板音孔部、第2基板音孔部、中空部およびコーティング液抜用孔部が個別に形成された第1基板層、第2基板層および第3基板層の3層を積層することにより、容易に、第1基板音孔部、第2基板音孔部、中空部およびコーティング液抜用孔部を有する基板を形成することができる。
【0026】
上記第4の局面によるマイクロホン装置用基板において、好ましくは、コーティング液抜用孔部は、平面視において、第1基板音孔部の第2基板音孔部とは反対側の端部と、第2基板音孔部の第1基板音孔部とは反対側の端部との間に配置されている。このように構成すれば、第1基板音孔部と第2基板音孔部との間の位置に中空部と連通したコーティング液抜用孔部を形成することができるので、中空部にコーティング層を形成する際のコーティング液の液抜きを良好に行うことができる。これにより、コーティング層を均一にむらなく形成することができる。
【0027】
上記第4の局面によるマイクロホン装置用基板において、好ましくは、コーティング液抜用孔部は、基板とは異なる封止部材により封止されている。このように構成すれば、基板とは異なる部材により、コーティング液抜用孔部を容易に封止することができるので、コーティング液抜用孔部からダストが侵入するのを容易に防止することができる。
【0028】
この場合、好ましくは、コーティング液抜用孔部は、内部に封止材が充填されることにより封止されている。このように構成すれば、内部に充填された封止材により確実にコーティング液抜用孔部を封止することができる。
【0029】
上記第4の局面のコーティング液抜用孔部の内部に封止材が充填される構成において、好ましくは、封止材は、コーティング液抜用孔部の中空部側との境界部近傍まで充填されている。このように構成すれば、音の伝達経路である中空部のコーティング液抜用孔部付近の凹凸を小さくすることができるので、音をスムーズに伝達することができる。
【0030】
上記第4の局面のコーティング液抜用孔部を封止部材により封止する構成において、好ましくは、コーティング液抜用孔部は、第2表面に貼り付けられた封止膜により塞がれることにより封止されている。このように構成すれば、封止膜を第2表面に貼り付けることにより容易にコーティング液抜用孔部を封止することができる。
【0031】
上記第4の局面のコーティング液抜用孔部を封止部材により封止する構成において、好ましくは、コーティング液抜用孔部は、コーティング層により封止されている。このように構成すれば、中空部の内表面上をコーティングするコーティング層と同じコーティング層を用いて容易にコーティング液抜用孔部を封止することができる。
【0032】
上記第4の局面のコーティング液抜用孔部を封止部材により封止する構成において、好ましくは、第2表面のコーティング液抜用孔部を取り囲む領域に配置された半田接合用パッドをさらに備え、コーティング液抜用孔部は、マイクロホン装置を搭載する搭載基板に半田接合用パッドが半田付けされて少なくとも搭載基板および半田接合用パッドにより封止されるように構成されている。このように構成すれば、マイクロホン装置を搭載基板に搭載するのと同時にコーティング液抜用孔部が搭載基板および半田接合用パッドにより封止されるので、コーティング液抜用孔部を封止するための工程を別途設ける必要がない。
【0033】
上記第4の局面によるマイクロホン装置用基板において、好ましくは、コーティング層は、メッキにより形成されている。このように構成すれば、メッキによりコーティング層を容易に形成することができる。
【0034】
上記第4の局面によるマイクロホン装置用基板において、好ましくは、コーティング液抜用孔部は、平面視において、第1基板音孔部および第2基板音孔部の間の領域の外側に配置されている。このように構成すれば、コーティング液抜用孔部を音の伝達経路の外側に配置して音の伝達経路の凹凸を少なくすることができるので、音をスムーズに伝達することができる。
【0035】
この発明の第5の局面によるマイクロホン装置用基板の製造方法は、音を電気信号に変換する振動部が設置される第1表面と第1表面とは反対側の第2表面とを有する基板の内部に、音を伝達する中空部を形成する工程と、基板の第1表面に、中空部と振動部とを連通する第1基板音孔部を形成する工程と、基板の第1表面に、中空部と外部とを連通する第2基板音孔部を形成する工程と、基板の第2表面に、中空部と外部とを連通するコーティング液抜用孔部を形成する工程と、基板の中空部の内表面上にコーティング層を形成する工程と、コーティング層が形成された後に、コーティング液抜用孔部を封止する工程とを備える。
【0036】
この発明の第5の局面によるマイクロホン装置用基板の製造方法では、上記のように、基板の中空部の内表面上にコーティング層を形成する工程を設けることによって、中空部がコーティング層によりコーティングされるので、中空部に切削片などのダストが発生するのを抑制することができる。また、中空部と外部とを連通するコーティング液抜用孔部を形成する工程を設けることによって、コーティング層を形成した際のコーティング液をコーティング液抜用孔部により容易に抜くことができるので、中空部にコーティング液の残りかすなどのダストが発生するのを抑制することができる。また、コーティング液抜用孔部を封止する工程を設けることによって、外部からの音の侵入を防止するとともに、外部からのダストの侵入を防止することができる。これにより、中空部に通じている振動部にダストが入ってしまうことを抑制することが可能なマイクロホン装置を容易に製造することができる。また、第1基板音孔部および第2基板音孔部を第1表面に設けるとともに、コーティング液抜用孔部を第1表面の反対側に位置する第2表面に設けることによって、第1基板音孔部および第2基板音孔部と、コーティング液抜用孔部とが中空部に対して互いに反対側に配置されるので、コーティング層を形成した際のコーティング液を、第1基板音孔部および第2基板音孔部を空気孔としてコーティング液抜用孔部を介して容易に抜くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の第1実施形態による携帯電話の全体構成を示した平面図である。
【図2】本発明の第1実施形態によるMEMSマイクの上方から見た全体斜視図である。
【図3】本発明の第1実施形態によるMEMSマイクの下方から見た全体斜視図である。
【図4】本発明の第1実施形態によるMEMSマイクの全体構成を示した分解斜視図である。
【図5】本発明の第1実施形態によるMEMSマイクの基板の斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態によるMEMSマイクの図2の200−200線に沿った断面図である。
【図7】本発明の第1実施形態によるMEMSマイクの第1基板層を示した平面図である。
【図8】本発明の第1実施形態によるMEMSマイクの第2基板層を示した平面図である。
【図9】本発明の第1実施形態によるMEMSマイクの第3基板層を示した平面図である。
【図10】本発明の第1実施形態によるMEMSマイクの製造方法を説明するための断面図である。
【図11】本発明の第1実施形態によるMEMSマイクの製造方法の貼り合わせ工程を説明するための断面図である。
【図12】本発明の第1実施形態によるMEMSマイクの製造方法のメッキ工程を説明するための断面図である。
【図13】本発明の第1実施形態によるMEMSマイクの製造方法の封止工程の途中過程を説明するための断面図である。
【図14】本発明の第1実施形態によるMEMSマイクの製造方法の封止工程を説明するための断面図である。
【図15】本発明の第1実施形態によるMEMマイクの製造方法の封止工程におけるスクリーン印刷を説明するための図である。
【図16】本発明の第1実施形態によるMEMSマイクの製造方法の搭載工程を説明するための断面図である。
【図17】本発明の第2実施形態によるMEMSマイクの図2の200−200線に沿った断面図である。
【図18】図17の封止されたメッキ液抜用孔部の拡大断面図である。
【図19】本発明の第3実施形態によるMEMSマイクの図2の200−200線に沿った断面図である。
【図20】本発明の第4実施形態によるMEMSマイクの図2の200−200線に沿った断面図である。
【図21】本発明の第4実施形態によるMEMSマイクを示した底面図である。
【図22】本発明の第4実施形態による携帯電話の搭載基板の一部を示した平面図である。
【図23】本発明の第1〜第4実施形態の第1変形例によるMEMSマイクの断面図である。
【図24】本発明の第1〜第4実施形態の第2変形例によるMEMSマイクの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0039】
(第1実施形態)
まず、図1を参照して、本発明の第1実施形態による携帯電話100の構成について説明する。なお、携帯電話100は、本発明の「電子機器」の一例である。
【0040】
本発明の第1実施形態による携帯電話100は、図1に示すように、正面から見て、略長方形形状を有している。また、携帯電話100は、表示部1を備えている。また、携帯電話100の筐体内部には、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)マイク10を搭載した搭載基板2が設けられている。なお、MEMSマイク10は、本発明の「マイクロホン装置」の一例である。
【0041】
図1〜図9を参照して、本発明の第1実施形態によるMEMSマイク10の構成について説明する。
【0042】
MEMSマイク10は、図1に示すように、搭載基板2に搭載されている。また、MEMSマイク10は、図2〜図4に示すように、シールド11と、カバー12と、マイク基板13と、振動部14(図4参照)と、回路部15(図4参照)と、チップコンデンサー16(図4参照)とを備えている。なお、マイク基板13は、本発明の「基板」の一例である。
【0043】
シールド11は、金属(たとえば、ニッケルシルバー)により形成されており、電気的なノイズを防ぐために設けられている。また、シールド11は、図2に示すように、音孔111および112を含んでいる。また、シールド11は、図3に示すように、保持部113を含んでいる。音孔111および112は、Z1方向側に配置され、長円形状に形成されている。つまり、MEMSマイク10は、音孔111および112が配置されている側(Z1方向側)から音がMEMSマイク10に入るように構成されている。保持部113は、マイク基板13側(Z2方向側)に配置され、かしめられることにより、マイク基板13を保持している。
【0044】
カバー12は、ガラスエポキシ樹脂により形成されている。また、カバー12は、図4に示すように、シールド11とマイク基板13との間に配置されている。また、カバー12は、音孔121および122を含んでいる。音孔121は、図6に示すように、マイク基板13側(Z2方向側)から振動部14に音が入る経路の一部を形成している。また、音孔122は、カバー12側(Z1方向側)から振動部14に音が入る経路の一部を形成している。また、音孔121および122は、長円形状に形成されている。
【0045】
マイク基板13は、図4に示すように、基板音孔部131と、基板音孔部132と、メッキ液抜用孔部133と、中空部134と、ボンディングパッド135aと、パッド135bと、電極パッド136(図3参照)とを含んでいる。また、マイク基板13は、図6に示すように、第1基板層137と、第2基板層138と、第3基板層139との3層構造を有する。基板音孔部131、基板音孔部132、メッキ液抜用孔部133および中空部134は、第1基板層137、第2基板層138および第3基板層139をドリル、ルータまたはNC(数値制御)などによる切削加工などで形成されている。このため、加工後の切削面からダストが発生する場合がある。なお、基板音孔部131および基板音孔部132は、それぞれ、本発明の「第2基板音孔部」および「第1基板音孔部」の一例である。また、メッキ液抜用孔部133は、本発明の「コーティング液抜用孔部」の一例である。
【0046】
基板音孔部131および132と、メッキ液抜用孔部133と、中空部134との内表面上には、切削面を覆うように銅のメッキ層17が形成されている。第1基板層137は、第2基板層138に対してカバー12側(Z1方向側)に配置されている。また、第3基板層139は、第2基板層138に対して第1基板層137とは反対側(Z2方向側)に配置されている。また、マイク基板13と、メッキ層17とにより主としてマイクロホン装置用基板が構成されている。なお、メッキ層17は、本発明の「コーティング層」の一例である。
【0047】
基板音孔部131は、図6に示すように、シールド11の音孔111およびカバー12の音孔121を介して外部から音が入るように形成されている。この基板音孔部131は、中空部134と音が入る外部(第1基板層137の外表面)とを連通するように形成されている。また、基板音孔部131は、図7に示すように、第1基板層137に形成されている。また、基板音孔部131は、マイク基板13(第1基板層137)のZ1方向側の表面(上面)13aに長円形状に形成されている。なお、マイク基板13の上面13aは、本発明の「第1表面」の一例である。
【0048】
基板音孔部132は、図6に示すように、基板音孔部131のX2方向側に配置されている。この基板音孔部132は、基板音孔部131および中空部134を介して外部から音が入るように形成されている。また、基板音孔部132は、中空部134と振動部14とを連通するように形成されている。すなわち、基板音孔部132のZ1方向側は、振動部14により覆われている。また、基板音孔部132は、図7に示すように、第1基板層137に形成されている。また、基板音孔部132は、マイク基板13(第1基板層137)の上面13aに円形形状(たとえば、直径0.6mmの円形形状)に形成されている。
【0049】
メッキ液抜用孔部133は、図6に示すように、マイク基板13の上面13aとは反対側(Z2方向側)の表面(下面)13b側の外部と中空部134とを連通するように形成されている。また、メッキ液抜用孔部133は、図9に示すように、第3基板層139に形成されている。また、メッキ液抜用孔部133は、マイク基板13(第3基板層139)の下面13bに円形形状(たとえば、直径0.3mmの円形形状)に形成されている。また、メッキ液抜用孔部133は、図4に示すように、平面視において(Z方向から見て)、基板音孔部132と同心円状に配置されている。また、メッキ液抜用孔部133は、基板音孔部132の直下(Z2方向側)に配置されている。すなわち、メッキ液抜用孔部133は、基板音孔部132とオーバーラップする位置に配置されている。また、メッキ液抜用孔部133は、図6に示すように、平面視において(Z方向から見て)、基板音孔部131のX1方向側の端部と、基板音孔部132のX2方向側の端部との間に配置されている。なお、メッキ液抜用孔部133は、基板音孔部132(131)よりも孔径が小さく、かつ、基板音孔部132(131)の直下に配置されていることが後述する理由により好ましい。また、マイク基板13の下面13bは、本発明の「第2表面」の一例である。
【0050】
ここで、第1実施形態では、図6に示すように、メッキ液抜用孔部133には、樹脂部材18が充填されている。この樹脂部材18は、たとえば、エポキシ系樹脂、アクリル系樹脂、熱硬化型インク、紫外線硬化型インク、熱および紫外線併用硬化型インク、または、感光性ソルダーレジストなどからなる。また、メッキ液抜用孔部133は、樹脂部材18によりマイク基板13の下面13b側(Z2方向側)から封止されている。これにより、メッキ液抜用孔部133から音が入ったり漏れたりすることを抑制することが可能である。また、樹脂部材18は、メッキ液抜用孔部133の中空部134側(Z1方向側)との境界部近傍まで充填されている。すなわち、樹脂部材18の中空部134側(Z1方向側)の表面は、中空部134の内面とほぼ面一になる位置に配置されている。なお、樹脂部材18は、本発明の「封止部材」および「封止材」の一例である。
【0051】
中空部134は、マイク基板13の内部で音を伝達するために設けられている。つまり、図6に示すように、シールド11の音孔111およびカバー12の音孔121を介してマイク基板13の基板音孔部131にZ2方向に向かって入る音は、中空部134および基板音孔部132を通って振動部14に伝達されるように構成されている。また、中空部134は、図6に示すように、中間の第2基板層138に形成されている。また、中空部134は、図8に示すように、平面視で、X方向およびY方向に延びるT字形状に形成されている。
【0052】
ボンディングパッド135aは、図5に示すように、マイク基板13と回路部15とをボンディングワイヤ15bを介して接続するために設けられている。また、パッド135bは、マイク基板13とチップコンデンサー16とを半田により接続するために設けられている。また、ボンディングパッド135aおよびパッド135bは、マイク基板13の上面13aに配置されている。また、ボンディングパッド135aおよびパッド135bは、図示しない回路パターンおよびスルーホールを介して、それぞれ、マイク基板13の下面13bに配置された電極パッド136(図3参照)に接続されている。また、MEMSマイク10は、電極パッド136を介して、搭載基板2(図1参照)に半田付けされて搭載されている。
【0053】
第1基板層137、第2基板層138および第3基板層139は、ガラスエポキシ樹脂により形成されている。また、第1基板層137、第2基板層138および第3基板層139は、図示しない接着シートにより貼り合わされている。
【0054】
振動部14は、図4および図5に示すように、マイク基板13の上面13aに、基板音孔部132を覆うように配置されている。また、振動部14は、ダイアフラムとバックプレート電極とで形成されるコンデンサの容量の変化を検出することにより、音を電気信号に変換するように構成されている。また、振動部14は、図示しない接着層により、マイク基板13の上面13aに接合されている。また、振動部14は、図5に示すように、ボンディングワイヤ15a(たとえば、金製)により回路部15に接続されている。
【0055】
回路部15は、図5に示すように、マイク基板13の上面13aに配置されている。また、回路部15は、振動部14から出力された電気信号を処理するように構成されている。また、回路部15は、図示しない接着層により、マイク基板13の上面13aに接合されている。また、回路部15は、ボンディングワイヤ15b(たとえば、金製)によりボンディングパッド135aに接続されている。
【0056】
チップコンデンサー16は、図5に示すように、マイク基板13の上面13aに配置されている。また、チップコンデンサー16は、パッド135bに半田付けされてマイク基板13に搭載されている。
【0057】
第1実施形態では、上記のように、マイク基板13の中空部134の内表面上に形成されたメッキ層17を設けることによって、中空部134がメッキ層17によりコーティングされるので、中空部134の切削面からの発塵を抑制することができる。また、中空部134と外部とを連通するメッキ液抜用孔部133を設けることによって、メッキ層17を形成した際の無電解銅メッキ液および硫酸銅電気銅メッキ液をメッキ液抜用孔部133により容易に抜くことができるので、中空部134に無電解銅メッキ液および硫酸銅電気銅メッキ液の残りかすなどのダストが発生するのを抑制することができる。また、メッキ液抜用孔部133を封止することによって、外部からの音の侵入を防止するとともに、外部からのダストの侵入を防止することができる。これにより、中空部134に通じている振動部14にダストが入ってしまうことを抑制することができる。また、基板音孔部131および132をマイク基板13の上面13aに設けるとともに、メッキ液抜用孔部133をマイク基板13の下面13bに設けることによって、基板音孔部131および132と、メッキ液抜用孔部133とが中空部134に対して互いに反対側に配置されるので、メッキ層17を形成した際の無電解銅メッキ液および硫酸銅電気銅メッキ液を、基板音孔部131および132を空気孔としてメッキ液抜用孔部133を介して容易に抜くことができる。
【0058】
また、第1実施形態では、第3基板層139を、第2基板層138に対して第1基板層137とは反対側に配置するとともに、第1基板層137に基板音孔部131および132を形成し、第2基板層138に中空部134を形成し、第3基板層139にメッキ液抜用孔部133を形成し、メッキ液抜用孔部133を第3基板層139の下面13b側(Z2方向側)から封止することによって、基板音孔部131、基板音孔部132、中空部134およびメッキ液抜用孔部133が個別に形成された第1基板層137、第2基板層138および第3基板層139の3層を積層することにより、容易に、基板音孔部131、基板音孔部132、中空部134およびメッキ液抜用孔部133を有するマイク基板13を形成することができる。
【0059】
また、第1実施形態では、メッキ液抜用孔部133を、平面視において、基板音孔部131のX1方向側の端部と、基板音孔部132のX2方向側の端部との間に配置することによって、基板音孔部131と基板音孔部132との間の位置に中空部134と連通したメッキ液抜用孔部133を形成することができるので、中空部134にメッキ層17を形成する際の無電解銅メッキ液および硫酸銅電気銅メッキ液の液抜きを良好に行うことができる。これにより、メッキ層17を均一にむらなく形成することができる。
【0060】
また、第1実施形態では、メッキ液抜用孔部133を、マイク基板13とは異なる樹脂部材18により封止することによって、マイク基板13とは異なる樹脂部材18により、メッキ液抜用孔部133を容易に封止することができるので、メッキ液抜用孔部133からダストが侵入するのを容易に防止することができる。
【0061】
また、第1実施形態では、メッキ液抜用孔部133を、内部に樹脂部材18が充填されることにより封止することによって、内部に充填された樹脂部材18により確実にメッキ液抜用孔部133を封止することができる。
【0062】
また、第1実施形態では、樹脂部材18を、メッキ液抜用孔部133の中空部134側(Z2方向側)との境界部近傍まで充填することによって、音の伝達経路である中空部134のメッキ液抜用孔部133付近の凹凸を小さくすることができるので、音をスムーズに伝達することができる。
【0063】
次に、図7〜図16を参照して、本発明の第1実施形態によるMEMSマイク10の製造方法について説明する。
【0064】
MEMSマイク10の製造方法では、1つの基板材料に複数のMEMSマイク10を同時に製造する。また、MEMSマイク10の製造方法は、第1基板層137の形成工程と、第2基板層138の形成工程と、第3基板層139の形成工程と、貼り合わせ工程と、メッキ工程と、封止工程と、搭載工程と、切断工程とを備えている。なお、上記した工程の前後または工程と工程との間で、適宜回路パターン(図示せず)、スルーホール(図示せず)、ボンディングパッド135a、パッド135b、および、電極パッド136を形成する。
【0065】
第1基板層137の形成工程では、図7に示すように、ガラスエポキシ製基板に、基板音孔部131および基板音孔部132をドリル、ルータまたはNC(数値制御)などによる切削加工などにより形成することにより、第1基板層137を形成する。第2基板層138の形成工程では、図8に示すように、ガラスエポキシ製基板に、中空部134をドリル、ルータまたはNCなどによる切削加工などにより形成することにより、第2基板層138を形成する。第3基板層139の形成工程では、図9に示すように、ガラスエポキシ製基板に、メッキ液抜用孔部133および切欠部139aをドリル、ルータまたはNC(数値制御)加工などによる切削加工などにより形成することにより、第3基板層139を形成する。
【0066】
貼り合わせ工程では、図11に示すように、第2基板層138と、第1基板層137および第3基板層139とを、第2基板層138のZ1方向側の表面(上面)138a(図10参照)およびZ2方向側の表面(下面)138b(図10参照)に貼り付けられた図示しない接着シートを介して貼り合せる。
【0067】
メッキ工程では、図12に示すように、基板音孔部131および132と、メッキ液抜用孔部133と、中空部134との内表面上に銅のメッキ層17を形成する。具体的には、メッキ層17を形成しないマイク基板13の上面13aおよび下面13bに、レジスト処理を施した後に、メッキ層17を形成する基板音孔部131および132と、メッキ液抜用孔部133と、中空部134との内表面上に触媒(たとえば、パラジウムなど)による処理を施す。その後、第1基板層137、第2基板層138および第3基板層139を無電解銅メッキ液に浸して基板音孔部131および132と、メッキ液抜用孔部133と、中空部134との内表面上に、銅をたとえば、0.01μm以上3μm以下の厚みで析出させる。メッキ液抜用孔部133を介して無電解銅メッキ液を抜いた後、第1基板層137、第2基板層138および第3基板層139を硫酸銅電気銅メッキ液に浸して通電することにより、基板音孔部131および132と、メッキ液抜用孔部133と、中空部134との内表面上に、銅をたとえば、2μm以上50μm以下の厚みで析出させてメッキ層17を形成する。そして、メッキ液抜用孔部133を介して硫酸銅電気銅メッキ液を抜く。
【0068】
封止工程では、図14に示すように、メッキ液抜用孔部133に樹脂部材18を充填して封止する。具体的には、マイク基板13の下面13b側(Z2方向側)からスクリーン印刷(図15参照)により樹脂部材18をメッキ液抜用孔部133に充填する。スクリーン印刷は、たとえば、メッシュ数50本/インチ以上300本/インチ以下のテトロン(登録商標)製やステンレス製などのスクリーンと、ショア硬度50HS以上80HS以下の平形状や剣形状などのスキージとを用いて印刷を行う。なお、図13に示すように、樹脂部材18は、スクリーン印刷直後に基板音孔部132側(Z1方向側)に盛り上がる。その後、図14に示すように、樹脂部材18の基板音孔部132側(Z1方向側)の表面は、粘性により中空部134の内面とほぼ面一になる。ここで、メッキ液抜用孔部133が、基板音孔部132(131)よりも孔径が大きい場合や、基板音孔部132(131)の直下にない場合に、スクリーン印刷直後の樹脂部材18が第1基板層137側(Z1方向側)に盛り上がった時に、樹脂部材18が第1基板層137と接触して樹脂部材18が基板音孔部132や中空部134に引き込まれてしまい音の伝達経路が塞がれてしまう場合がある。そこで、音の伝達経路が塞がれてしまうことを抑制するために、メッキ液抜用孔部133は、基板音孔部132(131)よりも孔径が小さく、かつ、基板音孔部132(131)の直下に配置されていることが好ましい。
【0069】
搭載工程では、図16に示すように、マイク基板13の上面13aに、振動部14、回路部15、チップコンデンサー16(図5参照)およびカバー12を搭載する。その後、切断工程では、X方向およびY方向に配置された複数のMEMSマイク10が個々に切断される。その後、カバー12の上からシールド11を被せて、第1実施形態によるMEMSマイク10が完成される。
【0070】
第1実施形態では、マイク基板13の中空部134の内表面上にメッキ層17を形成する工程を設けることによって、中空部134がメッキ層17によりコーティングされるので、中空部134の切削面からの発塵を抑制することができる。また、中空部134と外部とを連通するメッキ液抜用孔部133を形成する工程を設けることによって、メッキ層17を形成した際の無電解銅メッキ液および硫酸銅電気銅メッキ液をメッキ液抜用孔部133により容易に抜くことができるので、中空部134に無電解銅メッキ液および硫酸銅電気銅メッキ液の残りかすなどのダストが発生するのを抑制することができる。また、メッキ液抜用孔部133の封止工程を設けることによって、外部からの音の侵入を防止するとともに、外部からのダストの侵入を防止することができる。これにより、中空部134に通じている振動部14にダストが入ってしまうことを抑制することが可能なMEMSマイク10を容易に製造することができる。
【0071】
(第2実施形態)
次に、図17および図18を参照して、本発明の第2実施形態による携帯電話100のMEMSマイク20について説明する。この第2実施形態では、上記第1実施形態と異なり、メッキ液抜用孔部133がドライフィルムレジスト21により塞がれて封止されているMEMSマイク20について説明する。
【0072】
第2実施形態による携帯電話100のMEMSマイク20では、メッキ液抜用孔部133は、図17に示すように、ドライフィルムレジスト21により塞がれることにより封止されている。また、メッキ液抜用孔部133は、ドライフィルムレジスト21によりマイク基板13の下面13b側(Z2方向側)から封止されている。また、ドライフィルムレジスト21は、マイク基板13の下面13bに貼り付けられている。また、ドライフィルムレジスト21は、図18に示すように、マイク基板13の下面13b側から順に第1フォトレジスト層21aと、第2フォトレジスト層21bと、支持体21cとを含んでいる。また、ドライフィルムレジスト21は、加熱することによりマイク基板13の下面13bに貼り付けられ、感光することにより硬化する。第1フォトレジスト層21aは、加熱時において第2フォトレジスト層21bより大きな流動性を有する。これにより、ドライフィルムレジスト21は、メッキ液抜用孔部133の中心付近が中空部側(Z2方向側)に盛り上がるように貼り付けられる。その結果、ドライフィルムレジスト21とマイク基板13との密着性を高めることできるので、ドライフィルムレジスト21によりメッキ液抜用孔部133をより確実に封止することが可能である。なお、ドライフィルムレジスト21は、本発明の「封止部材」および「封止膜」の一例である。
【0073】
なお、第2実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0074】
上記のように、第2実施形態の構成においても、上記第1実施形態と同様に、マイク基板13の中空部134の内表面上に形成されたメッキ層17および中空部134と外部とを連通するメッキ液抜用孔部133を設けるとともに、メッキ液抜用孔部133を封止することによって、中空部134に通じている振動部14にダストが入ってしまうことを抑制することができる。
【0075】
さらに、第2実施形態では、上記のように、メッキ液抜用孔部133を、マイク基板13の下面13bに貼り付けられたドライフィルムレジスト21により塞ぐことにより封止することによって、ドライフィルムレジスト21をマイク基板13の下面13bに貼り付けることにより容易にメッキ液抜用孔部133を封止することができる。
【0076】
なお、第2実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0077】
(第3実施形態)
次に、図19を参照して、本発明の第3実施形態による携帯電話100のMEMSマイク30について説明する。この第3実施形態では、上記第1および第2実施形態と異なり、メッキ液抜用孔部133がメッキ層17により封止されているMEMSマイク30について説明する。
【0078】
第3実施形態による携帯電話100のMEMSマイク30では、メッキ液抜用孔部133は、図19に示すように、メッキ層17により封止されている。また、メッキ液抜用孔部133は、メッキ層17によりマイク基板13の下面13b側(Z2方向側)から封止されている。すなわち、メッキ液抜用孔部133の内表面上にメッキ層17が形成される際に完全にメッキ液抜用孔部133が塞がるまで銅を析出させることにより、メッキ層17によりメッキ液抜用孔部133を封止している。具体的には、基板音孔部131および132と、メッキ液抜用孔部133と、中空部134との内表面上に銅を析出させた後、硫酸銅電気銅メッキ液をメッキ液抜用孔部133から徐々に抜いていく。基板音孔部131および132と、中空部134とから硫酸銅電気銅メッキ液が抜けた後も、メッキ液抜用孔部133内の硫酸銅電気銅メッキ液によりメッキ液抜用孔部133の内表面に銅を析出させ続けて、メッキ液抜用孔部133を封止する。これにより、中空部134内に銅メッキ液を残すことなくメッキ液抜用孔部133を封止することが可能である。なお、メッキ層17は、本発明の「封止部材」の一例である。
【0079】
なお、第3実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0080】
上記のように、第3実施形態の構成においても、上記第1実施形態と同様に、マイク基板13の中空部134の内表面上に形成されたメッキ層17および中空部134と外部とを連通するメッキ液抜用孔部133を設けるとともに、メッキ液抜用孔部133を封止することによって、中空部134に通じている振動部14にダストが入ってしまうことを抑制することができる。
【0081】
さらに、第3実施形態では、上記のように、メッキ液抜用孔部133を、メッキ層17により封止することによって、基板音孔部131および132と、メッキ液抜用孔部133と、中空部134との内表面上をメッキするメッキ層17と同じメッキ層17を用いて容易にメッキ液抜用孔部133を封止することができる。
【0082】
なお、第3実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0083】
(第4実施形態)
次に、図20〜図22を参照して、本発明の第4実施形態による携帯電話100のMEMSマイク40について説明する。この第4実施形態では、上記第1〜第3実施形態と異なり、メッキ液抜用孔部133が搭載基板2および半田接合用パッド41により封止されているMEMSマイク40について説明する。
【0084】
第4実施形態による携帯電話100のMEMSマイク40では、メッキ液抜用孔部133は、図20に示すように、搭載基板2および半田接合用パッド41により封止されている。また、メッキ液抜用孔部133は、搭載基板2および半田接合用パッド41によりマイク基板13の下面13b側(Z2方向側)から封止されている。具体的には、MEMSマイク40は、半田接合用パッド41と、搭載基板2のランド2aとが半田2cにより接合されている。半田接合用パッド41は、図21に示すように、マイク基板13の下面13bにメッキ液抜用孔部133を取り囲むように円環形状に形成されている。また、マイク基板13と、メッキ層17と、半田接合用パッド14とにより主としてマイクロホン装置用基板が構成されている。ランド2aは、図22に示すように、半田接合用パッド41に対応する位置の搭載基板2に円環形状に形成されている。また、MEMSマイク40の電極パッド136および搭載基板2のランド2bは、半田2cにより接合されている。これにより、MEMSマイク40は、搭載基板2に搭載される。なお、半田接合用パッド41は、本発明の「封止部材」の一例である。
【0085】
なお、第4実施形態のその他の構成は、上記第1実施形態と同様である。
【0086】
上記のように、第4実施形態の構成においても、上記第1実施形態と同様に、マイク基板13の中空部134の内表面上に形成されたメッキ層17および中空部134と外部とを連通するメッキ液抜用孔部133を設けるとともに、メッキ液抜用孔部133を封止することによって、中空部134に通じている振動部14にダストが入ってしまうことを抑制することができる。
【0087】
さらに、第4実施形態では、上記のように、マイク基板13の下面13bのメッキ液抜用孔部133を取り囲む領域に配置された半田接合用パッド41をさらに設け、メッキ液抜用孔部133を、MEMSマイク40を搭載する搭載基板2に半田接合用パッド41が半田付けされて搭載基板2および半田接合用パッド41により封止されるように構成することによって、MEMSマイク40を搭載基板2に搭載するのと同時にメッキ液抜用孔部133が搭載基板2および半田接合用パッド41により封止されるので、メッキ液抜用孔部133を封止するための工程を別途設ける必要がない。
【0088】
なお、第4実施形態のその他の効果は、上記第1実施形態と同様である。
【0089】
なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0090】
たとえば、上記第1〜第4実施形態では、本発明の電子機器の一例としての携帯電話に本発明を適用する例を示したが、本発明はこれに限られない。携帯電話以外の電子機器に本発明を適用してもよい。たとえば、デジタルカメラ、ビデオカメラ、ボイスレコーダー、携帯情報端末、またはPC(パーソナルコンピュータ)等のマイクロホン装置を搭載する電子機器に本発明を適用してもよい。
【0091】
また、上記第1〜第4実施形態では、コーティング液抜用孔部としてメッキ液抜用孔部を、平面視において、第1基板音孔部(基板音孔部132)の第2基板音孔部(基板音孔部131)とは反対側の端部と、第2基板音孔部の第1基板音孔部とは反対側の端部との間に配置している例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、図23に示す第1変形例のように、コーティング液抜用孔部(メッキ液抜用孔部133a)を、平面視において(Z方向から見て)、第1基板音孔部(基板音孔部132)に対して第2基板音孔部(基板音孔部131)とは反対側(X2方向側)の外側に配置してもよい。また、コーティング液抜用孔部を、平面視において(Z方向から見て)、第2基板音孔部に対して第1基板音孔部とは反対側(X1方向側)の外側に配置してもよい。これにより、コーティング液抜用孔部(メッキ液抜用孔部133a)を音の伝達経路の外側に配置して音の伝達経路の凹凸を少なくすることができるので、音をスムーズに伝達することができる。
【0092】
また、上記第1〜第4実施形態では、コーティング液抜用孔部としてのメッキ液抜用孔部は、円形形状に1つ形成されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、たとえば、図24に示す第2変形例のように、コーティング液抜用孔部(メッキ液抜用孔部133b)を複数形成してもよい。また、コーティング液抜用孔部は、円形形状に形成されていなくてもよい。たとえば、コーティング液抜用孔部は、楕円形状、長円形状または矩形形状に形成されていてもよい。
【0093】
また、上記第1〜第4実施形態では、コーティング層としてのメッキ層を、無電解銅メッキを行った後、電解銅メッキを行うことにより形成する例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、メッキ層を無電解銅メッキのみを行うことにより形成してもよい。また、コーティング層を銅以外の金属メッキで形成してもよい。たとえば、ニッケル、金、銀、錫、パラジウム、またはそれらの組み合せからなる金属メッキによりコーティング層を形成してもよい。また、コーティング層をメッキ以外の金属または金属以外の材料からなるコーティング層により形成してもよい。
【0094】
また、上記第1〜第4実施形態では、基板としてのマイク基板に、2つの基板音孔部が設けられるとともに、1つの振動部が搭載されている例を示したが、本発明はこれに限られない。本発明では、基板に3つ以上の基板音孔部が設けられていてもよい。また、基板に2つ以上の振動部が搭載されていてもよい。
【符号の説明】
【0095】
2 搭載基板
10、20、30、40 MEMSマイク(マイクロホン装置)
13 マイク基板(基板、マイクロホン装置用基板)
13a 上面(第1表面)
13b 下面(第2表面)
14 振動部
17 メッキ層(コーティング層、封止部材、マイクロホン装置用基板)
18 樹脂部材(封止部材、封止材)
21 ドライフィルムレジスト(封止部材、封止膜)
41 半田接合用パッド(封止部材、マイクロホン装置用基板)
100 携帯電話(電子機器)
131 基板音孔部(第2基板音孔部)
132 基板音孔部(第1基板音孔部)
133 メッキ液抜用孔部(コーティング液抜用孔部)
134 中空部
137 第1基板層
138 第2基板層
139 第3基板層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音を電気信号に変換する振動部と、
前記振動部が設置される第1表面と前記第1表面とは反対側の第2表面とを有し、内部に音を伝達する中空部を含む基板と、
前記基板の前記中空部の内表面上に形成されたコーティング層とを備え、
前記基板は、
前記第1表面に設けられ、前記中空部と前記振動部とを連通する第1基板音孔部と、
前記第1表面に設けられ、前記中空部と外部とを連通する第2基板音孔部と、
前記第2表面に設けられ、前記中空部と外部とを連通するコーティング液抜用孔部とをさらに含み、
前記コーティング液抜用孔部は、封止されている、マイクロホン装置。
【請求項2】
前記基板は、第1基板層と、第2基板層と、前記第2基板層に対して前記第1基板層とは反対側に配置された第3基板層とを含み、
前記第1基板層には、前記第1基板音孔部および前記第2基板音孔部が形成されており、
前記第2基板層には、前記中空部が形成されており、
前記第3基板層には、前記コーティング液抜用孔部が形成されており、
前記コーティング液抜用孔部は、前記第3基板層の前記第2基板層とは反対側に配置された前記第2表面側から封止されている、請求項1に記載のマイクロホン装置。
【請求項3】
前記コーティング液抜用孔部は、平面視において、前記第1基板音孔部の前記第2基板音孔部とは反対側の端部と、前記第2基板音孔部の前記第1基板音孔部とは反対側の端部との間に配置されている、請求項1または2に記載のマイクロホン装置。
【請求項4】
前記コーティング液抜用孔部は、前記基板とは異なる封止部材により封止されている、請求項1〜3のいずれか1項に記載のマイクロホン装置。
【請求項5】
前記コーティング液抜用孔部は、内部に封止材が充填されることにより封止されている、請求項4に記載のマイクロホン装置。
【請求項6】
前記封止材は、前記コーティング液抜用孔部の前記中空部側との境界部近傍まで充填されている、請求項5に記載のマイクロホン装置。
【請求項7】
前記コーティング液抜用孔部は、前記第2表面に貼り付けられた封止膜により塞がれることにより封止されている、請求項4に記載のマイクロホン装置。
【請求項8】
前記コーティング液抜用孔部は、前記コーティング層により封止されている、請求項4に記載のマイクロホン装置。
【請求項9】
前記第2表面の前記コーティング液抜用孔部を取り囲む領域に配置された半田接合用パッドをさらに備え、
前記コーティング液抜用孔部は、前記マイクロホン装置を搭載する搭載基板に前記半田接合用パッドが半田付けされて少なくとも前記搭載基板および前記半田接合用パッドにより封止されるように構成されている、請求項4に記載のマイクロホン装置。
【請求項10】
前記コーティング層は、メッキにより形成されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載のマイクロホン装置。
【請求項11】
前記コーティング液抜用孔部は、平面視において、前記第1基板音孔部および前記第2基板音孔部の間の領域の外側に配置されている、請求項1または2に記載のマイクロホン装置。
【請求項12】
マイクロホン装置を備える電子機器であって、
前記マイクロホン装置は、
音を電気信号に変換する振動部と、
前記振動部が設置される第1表面と前記第1表面とは反対側の第2表面とを有し、内部に音を伝達する中空部を含む基板と、
前記基板の前記中空部の内表面上に形成されたコーティング層とを備え、
前記基板は、
前記第1表面に設けられ、前記中空部と前記振動部とを連通する第1基板音孔部と、
前記第1表面に設けられ、前記中空部と外部とを連通する第2基板音孔部と、
前記第2表面に設けられ、前記中空部と外部とを連通するコーティング液抜用孔部とをさらに含み、
前記コーティング液抜用孔部は、封止されている、電子機器。
【請求項13】
音を電気信号に変換する振動部が設置される第1表面と前記第1表面とは反対側の第2表面とを有する基板の内部に、音を伝達する中空部を形成する工程と、
前記基板の前記第1表面に、前記中空部と前記振動部とを連通する第1基板音孔部を形成する工程と、
前記基板の前記第1表面に、前記中空部と外部とを連通する第2基板音孔部を形成する工程と、
前記第2表面に、前記中空部と外部とを連通するコーティング液抜用孔部を形成する工程と、
前記基板の前記中空部の内表面上にコーティング層を形成する工程と、
前記コーティング層が形成された後に、前記コーティング液抜用孔部を封止する工程とを備える、マイクロホン装置の製造方法。
【請求項14】
音を電気信号に変換する振動部が設置される第1表面と前記第1表面とは反対側の第2表面とを有し、内部に音を伝達する中空部を含む基板と、
前記基板の前記中空部の内表面上に形成されたコーティング層とを備え、
前記基板は、
前記第1表面に設けられ、前記中空部と前記振動部とを連通する第1基板音孔部と、
前記第1表面に設けられ、前記中空部と外部とを連通する第2基板音孔部と、
前記第2表面に設けられ、前記中空部と外部とを連通するコーティング液抜用孔部とをさらに含み、
前記コーティング液抜用孔部は、封止されている、マイクロホン装置用基板。
【請求項15】
前記基板は、第1基板層と、第2基板層と、前記第2基板層に対して前記第1基板層とは反対側に配置された第3基板層とを含み、
前記第1基板層には、前記第1基板音孔部および前記第2基板音孔部が形成されており、
前記第2基板層には、前記中空部が形成されており、
前記第3基板層には、前記コーティング液抜用孔部が形成されており、
前記コーティング液抜用孔部は、前記第3基板層の前記第2基板層とは反対側に配置された前記第2表面側から封止されている、請求項14に記載のマイクロホン装置用基板。
【請求項16】
前記コーティング液抜用孔部は、平面視において、前記第1基板音孔部の前記第2基板音孔部とは反対側の端部と、前記第2基板音孔部の前記第1基板音孔部とは反対側の端部との間に配置されている、請求項14または15に記載のマイクロホン装置用基板。
【請求項17】
前記コーティング液抜用孔部は、前記基板とは異なる封止部材により封止されている、請求項14〜16のいずれか1項に記載のマイクロホン装置用基板。
【請求項18】
前記コーティング液抜用孔部は、内部に封止材が充填されることにより封止されている、請求項17に記載のマイクロホン装置用基板。
【請求項19】
前記封止材は、前記コーティング液抜用孔部の前記中空部側との境界部近傍まで充填されている、請求項18に記載のマイクロホン装置用基板。
【請求項20】
前記コーティング液抜用孔部は、前記第2表面に貼り付けられた封止膜により塞がれることにより封止されている、請求項17に記載のマイクロホン装置用基板。
【請求項21】
前記コーティング液抜用孔部は、前記コーティング層により封止されている、請求項17に記載のマイクロホン装置用基板。
【請求項22】
前記第2表面の前記コーティング液抜用孔部を取り囲む領域に配置された半田接合用パッドをさらに備え、
前記コーティング液抜用孔部は、少なくとも前記半田接合用パッドと半田により接合される搭載基板および前記半田接合用パッドにより封止されるように構成されている、請求項17に記載のマイクロホン装置用基板。
【請求項23】
前記コーティング層は、メッキにより形成されている、請求項14〜22のいずれか1項に記載のマイクロホン装置用基板。
【請求項24】
前記コーティング液抜用孔部は、平面視において、前記第1基板音孔部および前記第2基板音孔部の間の領域の外側に配置されている、請求項14または15に記載のマイクロホン装置用基板。
【請求項25】
音を電気信号に変換する振動部が設置される第1表面と前記第1表面とは反対側の第2表面とを有する基板の内部に、音を伝達する中空部を形成する工程と、
前記基板の前記第1表面に、前記中空部と前記振動部とを連通する第1基板音孔部を形成する工程と、
前記基板の前記第1表面に、前記中空部と外部とを連通する第2基板音孔部を形成する工程と、
前記基板の前記第2表面に、前記中空部と外部とを連通するコーティング液抜用孔部を形成する工程と、
前記基板の前記中空部の内表面上にコーティング層を形成する工程と、
前記コーティング層が形成された後に、前記コーティング液抜用孔部を封止する工程とを備える、マイクロホン装置用基板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−85198(P2013−85198A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−225287(P2011−225287)
【出願日】平成23年10月12日(2011.10.12)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【出願人】(000004455)日立化成株式会社 (4,649)
【Fターム(参考)】