説明

マイクロポーラス通気性弾性フィルム

熱可塑性エラストマーフィルムは、熱可塑性エラストマー及び充填材入りで半結晶の主に線状のポリマーを含む。フィルムは、約25と70重量パーセントの充填材、約5と30重量パーセントの半結晶線状ポリマー、及び約15と60重量パーセントのエラストマーを含む。充填材は、半結晶線状ポリマーと密接に関連している。弾性フィルムは、50パーセント伸びで約50パーセントより小さい荷重損失、及び約100g/m2/24時より大きい通気性を示す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年8月22日に出願された、Ann Louise McCormack他による、代理人整理番号18842、特許出願一連番号10/646978で、「マイクロポーラス通気性弾性フィルム、その製造方法、及び使い捨て製品への限られた使用又は用途」という名称の米国特許出願の一部継続出願であり、当該出願の優先権を主張する。この出願は、その全体を引用により組み入れる。
【0002】
本発明は、弾性フィルム及びこれらから形成される積層体、このようなフィルムを形成するための製造方法、及びこのようなフィルムの使い棄て製品への適用に関する。
【背景技術】
【0003】
フィルム及びフィルム/不織積層体は、外カバー/バックシートとしての制限された使用、或いは、オムツ、訓練用パンツ、水着、失禁用衣類、女性用衛生製品、外傷用手当用品、包帯及び同様のものなどの個人用ケアー吸収性物品を含む使い棄て製品だけでなく、広く種々異なる用途において使用されている。フィルム/不織積層体は又、車用、ボート用又は他の物体をカバーする部品、テント(屋外レクレーション用カバー)などの防護用カバー領域において、更に手術用ドレープ、病院用衣類、及び窓開口補強材などの製品に関する健康ケアー領域において使用される。更に、このような材料は、清浄ルーム、健康ケアーのための他の衣類、及び農業用布(畝カバー)のような他の使用などにおいての用途がある。
【0004】
特に個人用ケアー領域においては、特に液体に対する良好なバリア特徴、更に手触り及び感覚などの良好な美的及び感触特徴を持つフィルム積層体の開発が重視されてきた。更に、この種ラミネートの「延伸」快適性、すなわち、製品がこの種ラミネートを使用する結果として、使用時の伸張性を「与える」だけでなく、製品の使用者にとって皮膚の健康を維持するために必要な程度の蒸気透過性を付与する能力が重視されてきた。
【0005】
通気性のポリマー性フィルムは、充填材粒子と結合した種々異なる熱可塑性ポリマーを利用して形成することができることは知られている。これらの及び添加物のような他の望ましい成分は、一緒に混合され、加熱され次いで単一層又は多層充填材入りフィルムに押し出される。McCormack他のWO96/19346に例が示されており、その全体は引用によりここに組み入れられる。充填材入りフィルムは、例えばキャスト又はブローンフィルム装置のいずれかを使用してのような、当業者に知られている種々異なるフィルム形成法のどれかによって形成されることができる。熱可塑性フィルムは、通気性又は他の望ましい特性を与えるために、単体で又は積層体の一部として延伸することができる。フィルムは、フィルムを延伸する配向付与装置形式の装置又は他の延伸装置で機械方向に延伸され、これにより充填材粒子のある位置のフィルム本体に孔状のマトリックスを形成する。このような通気性フィルム及びフィルム/積層体は、個人用ケアー外カバー材料として使用され、その結果、個人用ケアー製品を「通気」させ、着用者に製品が快適なものとさせるが、これらの材料を「弾性」形態の材料から形成することは困難であった。このような通気性フィルムがポリオレフィン材料から形成されることがあるが、これは延伸することはできるが、収縮することができない。このようなフィルム材料は、快適な空気/気体循環をもたらし、延伸だけが可能であり、このような材料から形成された物品を着用した使用者の動きを制限又は拘束するものとなる。かなりの範囲にまで延伸させると、収縮する能力が足りないために製品内にたるみを生じることになり、このことが漏れをもたらす場合もある。このようなたるみは、美的外観だけでなく、製品の快適度も犠牲にするものである。
【0006】
充填材が弾性ポリマーフィルム配合物内に配置される場合には、フィルム形成の延伸作動をする(機械方向配向付与装置などで)間に充填材粒子の周りに形成される孔は、フィルム内のポリマー成分がもつ弾性特性の結果として、一時的なものとなり、延伸の後閉じることがわかっている。孔構造がなければ、フィルムは通気性がなくなる。弾性及び通気性に関する特性は、相容れないものであることは広く理解されている。これら高弾性ポリマー特性の結果として、通気性及び弾性フィルム材料が個人用ケアー製品用途に求めるにあたって、製造者は、孔(破壊される危険性がある)を必要とせずに、その構造を通してガスを通過又は拡散させることができる固有の通気性を有する弾性材料を考えることになる。このような固有の通気性を有するフィルムは、他の材料フィルムより費用が高く、多くの場合、消費者用製品用途に望まれる程度の通気性を与えることができず、かつ、許容可能な程度の通気性を得るためにかなり薄くしなければならないことが多い。このような薄いフィルムは、多くの場合、個人用ケアー製品に望まれる要求強度/耐引き裂き強度特性を欠くものである。
【0007】
したがって、孔が破壊される危険性がなく、種々異なる基本重量を持つ充填材入り通気性弾性フィルムを形成することが望ましい。更に、弾性特性を損なうことなく、不織シート構造に効率的に積層されることができる通気性弾性フィルムを形成することが望ましい。これが、本発明は、このような必要性に対処するものである。
【0008】
【特許文献1】米国特許出願一連番号10/646978号
【特許文献2】WO96/19346
【特許文献3】米国特許第4,340,563号公報
【特許文献4】米国特許第3,692,618号公報
【特許文献5】米国特許第3,802,817号公報
【特許文献6】米国特許第3,338,992号公報
【特許文献7】米国特許第3,341,394号公報
【特許文献8】米国特許第3,542,615号公報
【特許文献9】米国特許第3,849,241号公報
【特許文献10】米国特許第4,041,203号公報
【特許文献11】米国特許第5,169,706号公報
【特許文献12】米国特許第5,145,727号公報
【特許文献13】米国特許第5,178,931号公報
【特許文献14】米国特許第5,188,885号公報
【特許文献15】米国特許第4,818,464号公報
【特許文献16】米国特許第4,100,324号公報
【特許文献17】米国特許第5,108,820号公報
【特許文献18】米国特許第4,795,668号公報
【特許文献19】米国特許第5,336,552号公報
【特許文献20】米国特許第5,382,400号公報
【特許文献21】米国特許第5,277,976号公報
【特許文献22】米国特許第5,466,410号公報
【特許文献23】米国特許第5,069,970号公報
【特許文献24】米国特許第5,057,368号公報
【特許文献25】米国特許第3,855,046号公報
【特許文献26】米国特許第4,374,888号公報
【特許文献27】米国特許第4,153,751号公報
【特許文献28】米国特許第4,443,513号公報
【特許文献29】米国特許第5,116,662号公報
【特許文献30】米国特許第4,965,122号公報
【特許文献31】米国特許第5,336,545号公報
【特許文献32】米国特許第4,720,415号公報
【特許文献33】米国特許第4,789,699号公報
【特許文献34】米国特許第5,332,613号公報
【特許文献35】米国特許第5,288,791号公報
【特許文献36】米国特許第4,663,220号公報
【特許文献37】米国特許第5,540,976号公報
【非特許文献1】B.A.Wendt、E.L.Boone、D.D.Fluharty著NRL Report4364「Manufacture of Super−Fine Organic Fibers」
【非特許文献2】K.D.Lawrence、R.T.Lukas、J.A.Young著NRL Report5265「An Improved Device For The Formation of Super−Fine Thermoplastic Fibers」
【非特許文献3】INDA著「STANDARD TEST METHOD FOR WATER VAPOR TRANSMISSION RATE THROUGH NONWOVEN AND PLASTIC FILM USING A GUARD FILM AND VAPOR PRESSURE SENSOR」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
弾性で通気性のフィルムを形成する方法は、半結晶で、主に線状のポリマーを充填材により充填して、少なくとも60重量パーセント、望ましくは少なくとも70重量パーセントの充填材を含む充填材入りポリマーを形成し、熱可塑性エラストマーを充填されたポリマーと乾燥混合して、約25から70重量パーセントの充填材、約5から30重量パーセントの半結晶ポリマー、及び約15から60重量パーセントのエラストマーを含む混合されたエラストマー組成物を形成し、混合エラストマー組成物を押し出してフィルムとし、フィルムを機械方向に約2から5倍に配向させて、形成されたフィルムが、約15から60gsmの基本重量を持ち、約100g/m2/24時間より大きい通気性、及び50パーセント伸び(全体伸びの70パーセント)において約50パーセントより小さい荷重損失値を示すようにする段階を含む。
【0010】
この方法の代替的実施形態においては、充填材は、約40から70重量パーセントの間で混合エラストマー組成物内に存在する。この方法の更に別の代替的実施形態においては、約15から50重量パーセントの間で混合エラストマー組成物内にエラストマーが存在する。更にこの方法の別の代替的実施形態においては、半結晶ポリマーは、ポリエチレン又はポリエチレンコポリマーとし、約5g/10分より大きい溶融指数を有する。この方法の更に別の代替的実施形態においては、半結晶ポリマーは、ポリエチレン又はポリエチレンコポリマーとし、約10g/10分より大きい溶融指数を有する。この方法の別の代替的実施形態においては、半結晶ポリマーは、約0.910g/ccより大きい密度を有する。この方法の別の代替的実施形態においては、半結晶ポリマーは、約0.915g/ccより大きい密度を有する。この方法の更に別の代替的実施形態においては、半結晶ポリマーは、約0.917g/ccの密度を有する。この方法の更に別の実施形態においては、半結晶ポリマーは、約0.917g/ccと0.923g/ccの間の密度を有する。この方法の更に別の代替的実施形態においては、半結晶ポリマーは、約0.923g/ccと0.960g/ccの間の密度を有する。この方法に更に別の代替的実施形態においては、半結晶ポリマーは、約0.917g/ccと0.960g/ccの間の密度を有する。この方法の更に別の代替的実施形態においては、半結晶ポリマーは、約10g/10分より大きいMFR及び約0.89g/ccと0.90g/ccの間の密度を有するポリプロピレン又はポリプロピレンコポリマーとする。
【0011】
この方法の更に代替的実施形態においては、充填材入りポリマーは、約60と85重量パーセントの間の充填材を含む。この方法の更に代替的実施形態においては、充填材入りポリマーは、約75重量パーセントより大きい充填材を含む。この方法の更に代替的実施形態においては、充填材入りポリマーは、約80重量パーセントより大きい充填材を含む。この方法の更に代替的実施形態においては、混合エラストマー組成物は、約45と65重量パーセントの間の充填材を含む。この方法の更に代替的実施形態においては、混合エラストマー組成物は、約5と25重量パーセントの間の半結晶ポリマーを含む。更にこの方法の代替的実施形態においては、混合エラストマー組成物は、約10と25重量パーセントの間の半結晶ポリマーを含む。更にこの方法の別の代替的実施形態においては、混合エラストマー組成物は、約20と50重量パーセントの間の熱可塑性エラストマー(エラストマーとして示されている)を含む。更にこの方法の別の代替的実施形態においては、混合エラストマー組成物は、約20と40重量パーセントの間の熱可塑性エラストマーを含む。更にこの方法の別の代替的実施形態においては、この方法は、機械横方向にフィルムを配向する段階を更に含む。
【0012】
弾性で通気性のフィルムは、熱可塑性エラストマーと、充填材入りの半結晶で主に線状のポリマーを含む。フィルムは、約25から70重量パーセントの間の充填材、約5から30重量パーセントの間の半結晶線状ポリマー、及び約15から60重量パーセントの間のエラストマーを含み、この充填材は半結晶線状ポリマーと密接に組み合わされており、更にこのフィルムは、50パーセント伸び(全体伸びの70パーセント)において50パーセントより小さい荷重損失値、及び100g/m2/24時より大きい通気性を示す。弾性で通気性のフィルムの代替的実施形態においては、半結晶ポリマーはポリエチレン又はポリエチレンコポリマーであり、約5g/10分より大きい溶融指数を有する。弾性で通気性のフィルムの別の代替的実施形態においては、半結晶ポリマーはポリエチレン又はポリエチレンコポリマーであり、約10g/10分より大きい溶融指数を有する。弾性で通気性のフィルムの更に別の代替的実施形態においては、半結晶ポリマーは、約0.910g/cc(cm3)より大きい密度を有する。弾性で通気性のフィルムの別の代替的実施形態においては、半結晶ポリマーは、約0.915g/ccより大きい密度を有する。弾性で通気性のフィルムの更に別の代替的実施形態においては、半結晶ポリマーは、約0.917g/ccの密度を有する。弾性で通気性のフィルムの別の代替的実施形態においては、約0.917g/ccと0.923g/ccの間の密度を有する。弾性で通気性のフィルムの別の代替的実施形態においては、半結晶ポリマーは、約0.923g/ccから0.960g/ccの間の密度を有する。弾性で通気性のフィルムの更に別の代替的実施形態においては、半結晶ポリマーは、約0.917g/ccから0.960g/ccの間の密度を有する。弾性で通気性のフィルムの別の代替的実施形態においては、半結晶ポリマーは、約10g/10分より大きいMFR及び約0.89g/ccと0.90g/ccの間の密度を有するポリプロピレン又はポリプロピレンコポリマーとする。弾性で通気性のフィルムの別の代替的実施形態においては、フィルムは、約50パーセントより小さい固定割合を示す。弾性で通気性のフィルムの別の代替的実施形態においては、フィルムは、約20から50パーセントの間の固定割合を示す。弾性で通気性のフィルムの別の代替的実施形態においては、フィルムは、約20パーセントより小さい固定割合を示す。弾性で通気性のフィルムの別の代替的実施形態においては、フィルムは、約45パーセントより小さい荷重損失を示す。弾性で通気性のフィルムの別の代替的実施形態においては、フィルムは、約35パーセントより小さい荷重損失を示す。弾性で通気性のフィルムの別の代替的実施形態においては、エラストマーは、スチレン系ブロックコポリマーである。弾性で通気性のフィルムの別の代替的実施形態においては、通気性は約1,000g/m2/24時より大きい。弾性で通気性のフィルムの別の代替的実施形態においては、充填材は、混合エラストマー組成物内に約40から70重量パーセントの間で存在する。弾性で通気性のフィルムの別の代替的実施形態においては、充填材は、混合エラストマー組成物内に約45と65重量パーセントの間で存在する。弾性で通気性のフィルムの別の代替的実施形態においては、エラストマーは、約15から50重量パーセントの間で存在する。弾性で通気性のフィルムの別の代替的実施形態においては、エラストマーは、約20から50重量パーセントの間で存在する。弾性で通気性のフィルムの別の代替的実施形態においては、エラストマーは、約20から40重量パーセントの間で存在する。弾性で通気性のフィルムの別の代替的実施形態においては、半結晶ポリマーは、約5から25重量パーセントの間で存在する。弾性で通気性のフィルムの別の代替的実施形態においては、半結晶ポリマーは、約10から25重量パーセントの間で存在する。本発明の別の代替的実施形態においては、個人ケアー物品は、本発明の弾性で通気性のフィルムを含む。本発明の別の代替的実施形態においては、個人用ケアー物品の外カバーが、本発明の弾性で通気性のフィルムを含む。本発明の更に別の代替的実施形態においては、屋外用途のレクレーション用カバーが、本発明のフィルムを含む。本発明の更に別の代替的実施形態においては、使い棄て防護用衣類が本発明のフィルムを含む。
【0013】
本発明は、添付された図面とともになされる本発明の実施形態についての以下の説明を参照することにより、更に理解されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
(定義)
ここで用いられる「個人用ケアー製品」という用語は、オムツ、訓練用パンツ、水着、吸収性下着、大人用失禁用製品、及び女性用ケアーパッド、ナプキン及びパンティライナーなどの女性用衛生製品を意味する。
【0015】
ここで用いられる「防護用外衣類」という用語は、手術用衣類、病院用衣類、マスク及び防護用カバーオールなどの、職場で防護のために使用される衣類を意味する。
【0016】
ここで用いられる「防護用カバー」という用語は、車、ボート及びバーベキューグリルカバー、更に農業用布などの物体を防護するために使用されるカバーを意味する。
【0017】
ここで用いられる「ポリマー」及び「ポリマー性」という用語は、一般的に、ホモポリマー、例えば、ブロック、グラフト、ランダム及び交互コポリマーのようなコポリマー、ターポリマーなど、及びそれらの混合物並びに変性物を含むが、これらに限定されるものではない。更に特に限定されない限り、「ポリマー」という用語は、あらゆる可能な分子の空間的形態を含む。これらの形態は、これに限定するものではないが、アイソタクチック、シンジオタクチック、及びランダム対称を含む。
【0018】
ここで用いられる「機械方向」又はMDという用語は、布が製造される方向における長さを意味する。「機械横方向」、「横方向の」又はCDという用語は、布の幅、すなわちMDにほぼ垂直な方向を意味する。
【0019】
ここで用いられる「不織ウエブ」という用語は、個々の繊維又は糸が互いに組み合わされているが、識別可能な繰り返される形ではない構造を持つポリマー性ウエブを意味する。不織ウエブは、過去において、例えばメルトブローン法、スパンボンド法、水圧交絡、空気堆積及びボンデッドカーデッドウエブ法などの様々な方法により形成されてきた。
【0020】
ここで用いられる「ボンデッドカーデッドウエブ」という用語は、通常ベイルの形態で販売されるステープル繊維から形成されるウエブを意味する。ベイルは、繊維化ユニット/ピッカー内に置かれ、この繊維化ユニット/ピッカーが押し固めた状態からベイルをほぐし、繊維を分離する。次に繊維は、コーミング又はカディングユニットを通して送られ、機械方向に配向された繊維性不織ウエブを形成するために、ステープル繊維を更に分断し機械方向に配列する。ウエブが形成されると、幾つかの接着方法の1つ又はそれ以上の方法により接着される。1つの接着方法としては粉末接着があり、粉末接着剤がウエブ全体に分散され、次に通常は熱風でウエブ及び接着剤を加熱することにより活性化させる。別の接着方法はパターン接着であり、この方法では、加熱されたカレンダーロール又は超音波接着装置を使用して、繊維を互いに、通常は局部的接着パターンで、ウエブを通して、或いは、望まれる場合には、ウエブの表面において繊維を接着する。二成分ステープル繊維を使用する場合には、多くの用途にとって、特に通気式接着装置が有利である。
【0021】
ここで用いられる「スパンボンド」という用語は、押し出されるフィラメントの直径を持つ複数の微細な、通常は円形の紡糸口金の毛管からフィラメントを押し出し、例えば、Appel他の米国特許第4,340,563号、Dorschner他の米国特許第3,692,618号、Matsuki他の米国特許第3,802,817号、Kinney他の米国特許第3,338,992号及び第3,341,394号、Dobo他の米国特許第3,542,615号におけるように、急激に大きさを集積させることにより形成される小直径の繊維を意味し、これら特許の各々は、その全体が引用によりここに組み入れられる。
【0022】
ここで用いられる「メルトブローン」という用語は、複数の微細な、通常は円形のダイ毛管を通して、溶融状態熱可塑性材料を集中した高速ガス(例えば空気)中に溶融状態の糸又はフィラメントとして押し出し、この高速ガスが溶融熱可塑性材料のフィラメントを細くして、その直径を多分ミクロ繊維の直径にまで集積させることにより形成された繊維を意味する。その後、メルトブローン繊維は高速ガス流により運ばれて、集積表面に堆積され、ランダムに分散されたメルトブローン繊維のウエブを形成する。このような方法は、B.A.Wendt、E.L.Boone及びD.D.Fluhartyによる「Manufacture of Super−Fine Organic Fibers」という名称のNRLレポート4364、K.D.Lawrence、R.T.Lukas、J.A.Youngによる「An Improved Device For The Formation of Super−Fine Thermoplastic Fibers」という名称のNRLレポート5265及び1974年11月19日付けのButin他の米国特許第3,849,241号を含む特許及び出版物に開示されている。
【0023】
ここで用いられる「シート」又は「シート材料」という用語は、織成材料、不織ウエブ、ポリマー性フィルム、ポリマー性のスクリム状布材料、及びポリマー性発泡シートを意味する。
【0024】
不織布の基本重量は、通常、平方ヤード当たりのオンス(osy)又は平方メートル当たりのグラム(g/m2又はgsm)で表され、有効な繊維直径は通常はミクロンで表わされる。(osyからgsmに換算する場合は、osyに33.91を掛ける。)フィルムの厚さもミクロンで表すことができる。
【0025】
ここで用いられる「積層体」という用語は、接着剤接着、熱接着、点接着、圧力接着、押し出しコーティング又は超音波接着のような接着段階を通して接着された、2つ又はそれより多いシート材料層の複合構造を意味する。
【0026】
ここで用いられる「エラストマー性」という用語は、「弾性」という用語と互換的に使用することができ、延伸力を付与した時、少なくとも1つの方向に(CD方向などの)延伸可能であり、延伸力を除去した時は、およそ最初の寸法に収縮するか/戻るシート材料を意味する。例えば、延伸される材料は、弛緩した延伸されていない長さより少なくとも50パーセント大きい延伸した長さを持ち、延伸力が解除された時、延伸した長さの少なくとも50パーセント内にまで復元するであろう。仮定的例では、1インチの試料材料が少なくとも1.50インチに延伸することができ、かつ、1.50インチに延伸されたものが、延伸力を解除した時、1.25インチより少ない長さまで戻るということである。このようなエラストマー性シートは、固定割合を求めるためにここに述べられたようなサイクルテストを使用して、機械横方向に延伸された長さの50パーセントまで収縮又は復元することが望ましい。より望ましくは、このようなエラストマー性シート材料は、上記したサイクルテストを使用して、機械横方向に延伸された長さの80パーセントまで復元する。このようなエラストマー性シート材料は、上記したサイクルテストを使用して、機械横方向に延伸された長さの80パーセントより大きく復元することがより望ましい。望ましくは、このようなエラストマー性シートは、MD及びCD両方の方向に延伸可能でかつ復元可能である。本出願の目的のために、荷重損失値及び他の「エラストマー性機能テスト」は、一般的に特記しない限りCD方向において計測されたものである。特記しない限り、このようなテスト値は、70パーセント全体伸びサイクルにおける50パーセント伸びにおいて計測されたものである(テスト方法の箇所で更に説明するように)。
【0027】
ここで用いられる「エラストマー」という用語は、エラストマー性であるポリマーを意味する。
【0028】
ここで用いられる「熱可塑性」という用語は、溶融処理されることが可能なポリマーを意味する。
【0029】
ここで用いられる「非弾性」又は「弾性でない」という用語は、上記した「弾性」の定義に当てはまらないあらゆる材料を意味する。
【0030】
ここで用いられる「通気性」という用語は、水蒸気に透過性のある材料を意味する。水蒸気移動率(WVTR)又は湿分蒸気移動率(MVTR)は、24時間当たりの平方メートル当たりのグラムで計測され、通気性と同等の指標とみなされる。「通気性」という用語は、望ましくは約100g/m224時間の最小WVTR(水蒸気移動率)を持つ、水蒸気に透過性を持つ材料を意味することが望ましい。更により望ましくは、このような材料は、約300g/m2/24時間より大きい通気性を示す。更に望ましくは、このような材料は、約1000g/m224時間より大きい通気性を示す。
【0031】
一態様においては、布のWVTRは、その布がどのくらい着用者に快適であるかの指標を与える。WVTRは以下に示したようにして計測される。通気性バリアの個人用ケアー製品用途では、高いWVTRを持つことが望ましく、本発明の通気性バリアは、約1,200g/m2/24時間、約1,500g/m2/24時間、1,800g/m2/24時間を越える、或いは2,000g/m2/24時間を越えるWVTRを持つことができる。
【0032】
ここで用いられる「多層積層体」という用語は、種々異なるシート材料を含む積層体を意味する。例えば、多層積層体は、スパンボンド/メルトブローン/スパンボンド(SMS)ラミネートのようにスパンボンドの幾つかの層と幾つかのメルトブローン層を含むことができ、その全体が引用によりここ組み入れられるBrock他の米国特許第4,041,203号、Collier他の米国特許第5,169,706号、Potts他の米国特許第5,145,727号、Perkins他の米国特許第5,178,931号及びTimmons他の米国特許第5,188,885号に記載されたもののような、他のものを含むことができる。このような積層体は、第一にスパンボンド布層、次にメルトブローン布層最後に別のスパンボンド層を、順次的に移動する形成用ベルト上に堆積し、更に積層体を接着させることにより形成することができる。代替的には、布層は、個々に形成され、ロール状に集積され、更に別個の接着段階で結合されることができる。多層積層体は、多くの異なる形態において多数のメルトブローン層又は多数のスパンボンド層を持つことができ、更にフィルムのような他の材料又は、例えばSMMS、SM及びSFSのようなコフォーム材料を含むことができる。
【0033】
ここで用いられる「コフォーム」という用語は、少なくとも1つのメルトブロー用ダイヘッドがシュートの近くに配列され、形成中に該シュートを通して他の材料がウエブに付加される方法を意味する。このような他の材料は、例えばパルプ、超吸収性粒子、セルロース系繊維又はステープル繊維とすることができる。コフォーム法は、本出願人に譲渡されたLauの米国特許第4,818,464号及びAnderson他の米国特許第4,100,324号に示されており、各々はその全体が引用によりここに組み入れられる。
【0034】
ここで用いられる「複合繊維」という用語は、少なくとも2つのポリマーが別個の押し出し機から押し出されるが、一緒に紡糸されて1つの繊維に形成された繊維を意味する。複合繊維は、多成分繊維又は二成分繊維を意味することもある。複合繊維は単一成分とすることができるが、ポリマーは、通常は、互いに異なるものである。ポリマーは、実質的に混合繊維の断面にわたって別個の領域に一定に配置された状態で配列され、複合繊維の長さに沿って連続して延びる。このような複合繊維の形態は、例えば、鞘/芯配列とすることができ、その中の1つのポリマーは、もう一方のポリマーに囲まれるか又は横方向配列配置、パイ型配列、又は「海中の島」配列とすることができる。複合繊維は、Kaneko他の米国特許第5,108,820号、Krueger他の米国特許第4,795,668号、Strack他の米国特許第5,336,552号に教示されている。複合繊維は又、Pike他の米国特許第5,382,400号に教示されており、2つ又はそれより多いポリマーの異なる延伸率及び収縮率を使用して、繊維に捲縮を形成するように使用することができる。2つの成分繊維には、ポリマーが種々異なる望ましい比率で存在するようにすることができる。繊維は又、Hogle他の米国特許第5,277,976号、Hillsの米国特許第5,466,410号及びLargman他の米国特許第5,069,970号及び第5,057,368号に記載されているような形状とすることができ、これは通常ではない形状の繊維を示している。
【0035】
ここで用いられる「熱点接着」は、加熱したカレンダーロールとアンビルロールの間に接着させるための繊維の布又はウエブを通過させることを含む。カレンダーロールは、通常は、常にではないが、布全体が布の表面全体にわたって接着されないような形でパターン化されており、アンビルロールは通常平坦である。結果として、様々なパターンのカレンダーロールが、美的理由だけでなく機能的理由からも開発されてきた。点を持つパターンの1つの例として、その全体が引用にここに組み入れられる、Hansen及びPenningsの米国特許第3,855,046号に教示され、約200ボンド/平方インチに約30%の接着面積を持つHansen Pennings又は「H&P」パターンがある。H&Pパターンは、それぞれピンの幅が0.038インチ(0.965ミリメートル)、ピンの間隔が0.070インチ(1.778ミリメートル)及び接着の深さが0.023インチ(0.584ミリメートル)である四角の点接着又はピン接着領域を持つ。このパターンでは約29.5%の接着面積を持つことになる。別の典型的点接着パターンは、幅0.037インチ(0.94ミリメートル)、ピンの間隔が0.097インチ(2.464ミリメートル)及び深さ0.039インチ(0.991ミリメートル)を持つ四角いピンによる15%の接着面積を製造する拡大したHansen Pennings又は「EHP」接着パターンがある。「714」として登録されている別の典型的点接着パターンは、それぞれのピンの幅が0.023インチ、ピンの間隔が0.062インチ(1.575ミリメートル)及び接着の深さが0.033インチ(0.838ミリメートル)である四角のピン接着領域を持つ。このパターンでは約15%の接着面積を持つことになる。更に別の共通のパターンとして、約16.9%の接着面積を持つCスターパターンがある。Cスターパターンは、横方向の棒又は流星により遮られた「コーデュロイ」デザインを持つ。他の共通のパターンとして、約16%の接着面積を持つ反復してわずかにオフセットしたダイヤ形を持ったダイヤモンドパターン、及び約15%から約21%の範囲の接着面積及び平方インチ当たり約302接着を持つ、例えば窓のスクリーンを思わせるような名前のワイヤ織りパターンがある。典型的には、接着割合面積は、布の積層体ウエブの10%から30%程度の間で様々に異なる。当業者に知られているように、スポット接着は、接着フィラメント及び/又は各々の層内の繊維によって、積層体の層を共に保持し、各々の個々の層に一体性を与えるものである。
【0036】
ここで用いられる「超音波接着」という用語は、例えば、Bornslaegerの米国特許第4,374,888号に示されているように、音響ホーンとアンビルロールの間に布を通過させることにより形成させる方法を意味し、この特許はその全体が引用によりここに組み入れられる。
【0037】
ここで用いられる「接着剤接着」という用語は、接着剤を付与することにより接着を形成する接着方法を意味する。このような接着剤の付与は、スロット被膜、スプレー被膜及び他の局所的付与などの様々な方法によりなされることができる。更にこのような接着剤は、製品成分内に付与され更に圧力に曝され、第二製品成分が製品に含まれる接着剤と接触して2つの成分の間に接着剤接着を形成する。
【0038】
ここで用いられる「含む」という用語は、包含的であるか、又は限界のない用語であり、付加的な述べられていない要素、組成成分、又は方法段階を除外するものではない。更にこのような用語は、「持つ」、「持つ」、「持っている」、「含む」、「含まれる」及びこれらの単語の派生語と同意のものであることが意図されている。
【0039】
ここで用いられる「回復する」、「回復」及び「回復された」という用語は、互換的に使用され、更に延伸力の付与により材料が伸長された後で、延伸力の作用が終わった時の伸長した材料の収縮を意味する。例えば、弛緩された延伸されていない1インチ(2.5cm)の長さの材料が、50パーセント、すなわち1.5インチ(3.75cm)の長さに伸長されると、材料は50パーセント伸びたことになり、弛緩された状態の長さの150パーセント、すなわち1.5倍に伸長された長さに延伸されることになる。この例示した伸長された材料が収縮され、すなわち延伸力を解除した後で、1.1インチ(2.75cm)の長さに回復するとしたら、材料は、0.5インチ(1.25cm)の80パーセントが回復したことになる。回復率は、[(最大伸長長さ−試料最終長さ)/(最大伸長長さ−試料初期長さ)]x100で表すことができる。
【0040】
ここで用いられる「延伸可能な」という用語は、少なくとも1つの方向に伸長可能であるが、回復可能である必要はないことを意味する。
【0041】
ここで用いられる「伸長率」という用語は、伸長した寸法の増加を計測し、その値を初めの寸法で割って求められた比、すなわち(伸長した寸法の増加/初めの寸法)x100を意味する。
【0042】
ここで用いられる「固定」という用語は、伸長及び回復の後、すなわちサイクルテストの間に材料が伸長され、弛緩された後、試料材料に保持された伸びを意味する。
【0043】
ここで用いられる「固定割合」という用語は、材料に伸張サイクルが加えられた後、その初めの長さから伸長された長さを測定したものである(サイクルテストの直後の変形)。固定割合は、サイクルの収縮カーブが伸びを示す軸と交差したところである。付与された応力が除去された後に残存する歪みが固定割合として計測される。
【0044】
「荷重損失」値は、特定の方向(例えばCDのような)において、第一に与えられた割合(示されている70パーセント又は100パーセントのような)の定められた伸びにまで試料を伸長し、次に抵抗力がゼロになる量にまで試料を収縮させることにより求められる。サイクルは2回繰り返され、荷重損失が、与えられた伸びにおいて、例えば50パーセント伸びにおいて計算される。特記しない限り、50%伸びレベル(70パーセント伸びテストにおいて)で値が読まれ、次いで計算された。本出願の目的のために、荷重損失は次のように計算された。

【0045】
本出願に反映されたテスト結果においては、定められた伸びは、特記しない限り70パーセントであった。荷重損失値を求めるために実際のテスト方法は、以下に示している。
【0046】
ここで用いられる「充填材」という用語は、押し出されたフィルムを化学的に干渉せず又はフィルムに悪影響を与えず、更にフィルム全体に分散させることができる、フィルムポリマー押し出し材料に付加される粒状物及び/又は他の形状のものを含む意味に用いる。一般的に、充填材は、約0.1から約10ミクロン、望ましくは、約0.1から約4ミクロンの範囲の平均粒子サイズで粒状物形状内に存在する。ここで用いられる「粒子サイズ」という用語は、充填材粒子の最も大きい寸法又は長さを述べたものである。
【0047】
ここで用いられる半結晶、主に線状のポリマー及び半結晶ポリマーは、ポリエチレン、ポリプロピレン、このようなポリマーの混合物及びこのようなポリマーのコポリマーを意味する。このようなポリエチレンベースのポリマーにとって、このような用語は、約5g/10分より大きい、望ましくは10g/10分より大きい溶融指数(190℃、2.16kgにおける条件E)及び約0.910g/ccより大きい、望ましくは約0.915g/ccより大きい密度を持つポリマーを意味するように定められる。一実施形態においては、密度は、約0.915g/ccと0.960g/ccの間とする。更に代替的実施形態においては、密度は約0.917g/ccとする。更に代替的実施形態においては、密度は約0.917g/ccと0.960g/ccの間とする。更に代替的実施形態においては、密度は、約0.917g/ccと約0.923g/ccの間とする。更に代替的実施形態においては、密度は、約0.923g/ccと0.960g/ccの間とする。このようなポリプロピレンベースのポリマーにとって、このような用語は、約10g/10分より大きい、より望ましくは約20g/10分(230℃、2.16kg)より大きい溶融流量を持ち、更に約0.89g/ccと0.90g/ccの間の密度を有するポリマーを意味するように定められる。
【0048】
特記しない限り、組成内の成分割合は、重量で表される。
【0049】
テスト方法手順

水蒸気移動率(WVTR)/通気性:

本発明のフィルム又はラミネート材料のWVTR(水蒸気移動率)値を求めるための適当な技術は、「STANDARD TEST METHOD FOR WATER VAPOR TRANSMISSION RATE THROUGH NONWOVEN AND PLASTIC FILM USING A GUARD FILM AND VAPOR PRESSURE SENSOR」という名称のINDA(Association of the Nonwoven Fabrics Industry)により標準化されたテスト手順番号IST−70.4−99であり、引用によりここに組み入れられる。INDA手順は、WVTR、水蒸気に対するフィルムの透過性及び均質な材料に対する水蒸気透過性係数の値を求めることができる。
【0050】
INDAテスト法はよく知られており、ここでは詳細は述べない。しかしながら、テスト手順は以下のように要約される。乾燥室が、永久防護フィルム及びテストされる試料材料によって、公知の温度及び湿度の湿潤室から隔離される。防護フィルムの目的は、エアーギャップを確かなものとし、エアーギャップが確定されている間、エアーギャップ内の空気を静め或いは静止させるためである。乾燥室、防護フィルム、及び湿潤室は、拡散セルを形成し、そこでテストフィルムはシールされる。試料ホルダーは、ミネソタ州ミネアポリスのMocon,Inc.より製造されたPermatran−W Model 100Kとして知られている。最初のテストは、100%の相対湿度を発生する蒸発器組立体の間の防護フィルム及びエアーギャップのWVTRを決定する。水蒸気は、エアーギャップ及び防護フィルムの中に拡散し、次いで水蒸気濃度に比例する乾燥気体流と混合される。処理のために、電気信号がコンピューターに送られる。コンピューターは、エアーギャップ及び防護フィルムの移動率を計算し、その値を今後の使用のために記録する。
【0051】
防護フィルム及びエアーギャップの移動率は、CalCとしてコンピューターに記録される。試料材料は、次いでテストセル内にシールされる。再び、水蒸気がエアーギャップを通して防護フィルム及びテスト試料に拡散され、次にテスト材料の上を流れる乾燥気体流と混合される。又、再び、この混合物が蒸気感知器に運ばれる。蒸気がテスト材料の中を移動する時、この情報を使用し、次の方程式によって移動率を計算する。
TR-1テスト材料=TR-1テスト材料、防護フィルム、エアーキャップ−TR-1防護フィルム、エアーギャップ
計算:
WVTR:WVTRの計算には、この数式を使用する。
WVTR=Fpsat(T)RH/(Apsat(T)(1−RH))
ここで:
F=水蒸気量cc/分
sat(T)=温度Tにおける飽和空気中における水の密度
RH=セル内の特定の場所における相対湿度
A=セルの断面積、及び
sat(T)=温度Tにおける水蒸気の飽和蒸気圧
【0052】
本出願の目的のために、上記テストのテスト温度は約37.8℃、流れは100cc/分、及び相対湿度は60%であった。更に、n値は6で、サイクルは3回実行された。
【0053】
サイクルテスト:
材料は、サイクル式テスト手順を使用して、荷重損失及び固定割合が求められた。特に70パーセントの定められた伸びに対して、2サイクルテストが利用された。このテストにおいて、試料サイズはMD方向に3インチ、CD方向に6インチであった。把持部は幅が2インチであった。把持部間隔は4インチであった。試料は、試料の断面が垂直方向となるように搭載された。およそ10−15グラムの初期荷重が設定された。テストは、試料を20インチ/分(500mm/分)で70パーセント伸び(4インチの間隔に2.8インチ加えた長さ)まで引っ張り、次いで直ぐに(休みなく)ゼロ点(4インチゲージ間隔)まで戻した。製造段階のテスト(本出願のデータに結果が示されている)は、2サイクルテストとして行われた。テストデータの結果は、すべて第一及び第二サイクルからのものである。テストは、TESTWORKS4.07bソフトウエア(ノースカロライナ州ケアリーのSintech Corp.)を使用してRenew MTSマングースボックス(コントローラー)を備えた、Sintech Corp.の一定延伸率テスター2/Sで行われた。テストは、周囲環境の下で行われた。
【0054】
溶融指数又は溶融流量
テストされるポリマーに応じた溶融指数(MI)又は溶融流量(MFR)は、与えられた温度及び剪断率において、どの程度容易に樹脂が流れるかを測定するもので、一般的にポリエチレンベースのポリマーで190℃/2.16kg(条件E)の条件で、ASTM標準D1238を使用して求めることができる。本出願の溶融指数テストデータは、この方法及び条件によって求められた。一般的に、高い溶融指数を持つポリマーは、粘性が低い。ポリプロピレンベースのポリマーに対して、230℃で2.16kgの条件で、溶融流量を求めるために同様の分析が行われた。本発明によって、溶融指数又は溶融流量(ポリマーに応じて)とキャリア樹脂の密度パラメータの組み合わせが、2相フィルムを改善する結果となり、キャリア樹脂が処理を補助し更に伸長後の孔構造を保持する能力を増加させる。特に、高いMI値(約5g/10分より大きい)及び密度値(ポリエチレンベースのポリマーに対して約0.910g/ccと0.960g/ccの間)を持つ非弾性でより結晶化されたキャリア樹脂は、弾性特徴を損なうことなく通気性フィルムを形成することに特に効率的であった。特に、約0.915g/ccより大きい密度を持つキャリア樹脂が望ましい。約0.917g/ccの密度を有するキャリア樹脂も望ましい。約0.917g/ccより大きい密度を有するキャリア樹脂も望ましい。更なる実施形態においては、0.917g/ccと0.960g/ccの間の密度を有するキャリア樹脂が望ましい。更に代替的実施形態においては、約0.917g/ccと0.923g/ccの間の密度を有するキャリア樹脂も望ましい。更に代替的実施形態においては、約0.923g/ccと0.960g/ccの間の密度を有するキャリア樹脂も望ましい。代替的実施形態においては、約0.89g/ccのような低密度のポリプロピレンベースのキャリア樹脂も有益であり、特に約10g/10分より大きいMFR、望ましくは20g/10分のMFR又はこれより大きいMFR(230℃、2.16kgの条件で)を有する樹脂が有益である。更に代替的実施形態においては、約0.89g/ccと0.90g/ccの間の密度を有するポリププロピレンベースのキャリア樹脂も又利用することができる。このようなキャリア樹脂は、キャリア/充填材混合物とエラストマー成分を混合する前に、充填材と別個に混合されることが望ましく、すべての材料が単一の段階で共に化合されるものではない。どんな充填材もエラストマー成分と直接混合されるより、キャリアと密接な関係で維持されることが望ましく、キャリア樹脂は、エラストマー成分内に高充填材量のポケットを形成する。
【0055】
本発明は、従前技術の弾性フィルムの上記した問題点を克服しようとするものである。問題点は、充填材入りフィルムで対処され、フィルム組成物が、孔を破壊せずに通気性及び弾性を付与するものとなる。本発明の更なる利点、特徴、態様及び詳細は、特許請求の範囲、発明の詳細な説明及び添付図面より明らかである。
【0056】
通気性充填材入りフィルムを形成するためのフィルム配合の2つの方法は、濃縮集積法及び完全化合物化法である。本出願のフィルムの目的にとっては、濃縮集積法が望ましい。濃縮集積法においては、1つの樹脂が、キャリア樹脂として、充填材で濃縮させるために使用される。本出願においては、典型的にはポリエチレンベースのポリマーに対して高密度(0.910g/cc−0.960g/cc)レベルを持つ高い溶融指数又は溶融流量/低粘性の樹脂、及びポリプロピレンベースのポリマーに対して約0.89g/ccから0.90g/ccの間の密度を有するキャリア樹脂が、高充填量で充填材を分散するために使用される。弾性集積用樹脂は、フィルムの弾性特徴を支配する。濃縮物は、弾性樹脂とともに集積(結合)され、最終充填材含有量を望ましい割合にまで希釈する。
【0057】
本発明の弾性、熱可塑性充填材入り通気性フィルムは、熱可塑性エラストマー集積用樹脂、望ましくは充填材(「濃縮物」)を含む半結晶で主に線状のポリマー(キャリア樹脂)と混合されたブロックコポリマー(スチレン系ブロックコポリマーのような)から形成される。望ましくは、弾性ポリマーは、ポリマー相の実質的な混合を避け/集積し、更に集積用樹脂内のキャリア樹脂のポケットを保持するように、単一スクリュー押し出し機において混合される。炭酸カルシウムのような充填材は、押し出されたフィルム内に充填材入りの領域を形成し、充填材のない弾性ポリマー成分の弾性回復に反対に衝撃を与えることなく、半結晶ポリマー/充填材インターフェースにおいて孔を形成するために延伸されることができる。形成された孔が非弾性半結晶ポリマー鞘に囲まれると、充填材入りの領域にある孔は破壊されないことが理論付けられている。前述したように、高い密度のポリエチレンベースのキャリア樹脂か或いは0.89g/ccから0.90g/ccの間の密度を持つポリプロピレンベースのキャリア樹脂のいずれかが好ましい。望ましくは、充填材入りキャリア半結晶ポリマー(充填材入りポリマー又は濃縮物)が、熱可塑性エラストマー集積用樹脂と結合する前に、充填材と化合され、半結晶ポリマーだけで充填材粒子を囲み、充填材粒子の周りに主に非弾性鞘を形成し、この組成物のフィルムが延伸される時、孔構造及び保持を可能にする。
【0058】
本発明により形成されたフィルム(延伸された製品フィルム)の断面図を描いた図1に見られるように、フィルム10は、エラストマー性成分20を含む。半結晶ポリマー/充填材が高濃度のポケット22が、望ましくは、充填材がキャリア樹脂の位置から隔離された状態となるように、エラストマー性成分全体に分散される。充填材粒子24は、半結晶ポリマーポケット又は孔内に含まれる。孔が、エラストマー性ポリマー相内に半結晶ポリマー相の硬い鞘/壁によって形成される。孔/スペース26は、フィルムが配向付与装置又は他の延伸装置によって機械方向に延伸される時、半結晶ポリマーと充填材粒子の間に形成される。鞘は、半結晶材料で形成されるので、一軸方向に延伸されると、完全な円形状というより圧縮された又は伸長された楕円形状ではあるが、その形状のほとんどを保持する。鞘は、ニ軸方向に延伸されると、より高度の円形状を保持する。図1は、画像を図式化して描いたものであることを理解すべきである。
【0059】
様々な熱可塑性エラストマーが、本発明の使用において考えられている。しかしながら、スチレン系ブロックコポリマーのような熱可塑性ブロックポリマーは、本発明の有益な弾性ポリマーの例である。有益なスチレン系ブロックコポリマーの特定の例は、スチレン−エチレンプロピレン−スチレン(SEPS)、スチレン−エチレンプロピレン−スチレン−エチレンプロピレン(SEPSEP)のような水素処理されたポリイソプレンポリマー、スチレン−エチレンブチレン−スチレン(SEBS)、スチレン−エチレンブチレン−スチレン−エチレンブチレン(SEBSEB)、スチレン−ブタジエン−スチレン(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン(SIS)のような水素処理されたポリブタジエンポリマー、及びスチレン−エチレン−エチレンプロピレン−スチレン(SEEPS)のような水素処理されたポリイソプレン/ブタジエンポリマーを含む。ジブロック、トリブロック、マルチブロック、星型及び半径状のようなポリマーブロック配列が本発明で考慮される。幾つかの例においては、高分子重量のブロックコポリマーが望ましい。ブロックコポリマーは、例えばG1652及びG1657のようなKraton D又はGポリマーの商標で、テキサス州ヒューストンのKraton Polymers U.S.LLCから、及びSepton2004、Aepton4030及びSepton4033の商標で、テキサス州パサデナのSepton Company of Americaより入手可能である。このようなポリマーの別の可能な供給者は、スペインのDynasolを含む。特に、Septon2004SEPSトリブロックポリマーは、本発明に特に適当である。このようなエラストマー性材料の混合物は、「エラストマー性成分」とみなされる。例えば、G1652とG1657を、(総フィルム組成物の)10パーセントがG1652であり、かつ、(総フィルム組成物の)23パーセントG1657であるエラストマー成分の約33重量%が最終フィルム構造内に存在するように混合して用いることができる。このような実施形態では、残りの67重量パーセントに充填材及び濃縮物を含む。一実施形態においては、スチレン系ブロックコポリマーは、SEPSポリマーとすることが望ましい。熱可塑性エラストマー自体は、エラストマー性ポリマーと関連する処理補助材及び/又は粘着剤を含むことができる。本発明で有益な他の熱可塑性エラストマーは、EPゴム、エチル、プロピル、ブチルターポリマー、これらのブロック及びコポリマーなどのオレフィンベースのエラストマーを含む。
【0060】
望ましくは、充填材のフィルム、キャリア樹脂及びエラストマー性集積用樹脂材料は、約15から50重量パーセントの間のエラストマー性ポリマー成分を含む。より望ましくは、混合材料の製品フィルムは、約20から40重量パーセントの間のエラストマーを含む。混合されたエラストマー性組成物のエラストマー成分が与えられる時、ワックス、無定形ポリオレフィン及び/又は粘着剤のような低分子量の炭化水素材料などの処理補助材に沿って純粋ベース樹脂を含むことができる。
【0061】
有機充填材及び無機充填材の両方とも、これらがフィルム形成工程及び/又は次のラミネート工程を妨げることがなければ、本発明において使用することが考えられる。充填材の例は、炭酸カルシウム(CaCO3)、様々な陶土、シリカ(SiO2)、アルミナ、バリウム硫酸塩、炭酸ナトリウム、タルク、マグネシウム硫酸塩、二酸化チタニウム、沸石、アルミニウム硫酸塩、セルロース型粉末剤、珪藻土、石膏、マグネシウム硫酸塩、炭酸マグネシウム、炭酸バリウム、陶土、雲母、カーボン、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム、パルプ粉末剤、木質粉末剤、セルロース変成物、ポリマー粒子、チタン及びチタン変成物を含む。
【0062】
充填材粒子は、ステアリン酸又はベヘン酸などの脂肪酸、及び/又は粒子の自由な流れ(嵩で)を促進し、更にキャリアポリマーへの分散を容易にするために、他の材料と任意に被膜されることができる。このような充填材の1つには、ジョージア州ロズウエルのSupercoat(登録商標)の商標で販売されている炭酸カルシウムがある。別には、バーモント州North America of ProctorのOmya,Inc.のOmyacarb(登録商標)2SS Tがある。後者の充填材は、ステアリン酸で被膜されている。製品フィルム(最終フィルム配合物)内の充填材の量は、約40から70重量パーセントの間であることが望ましい。より望ましくは、製品フィルム内の充填材の量は、約45から60重量パーセントの間とする。
【0063】
充填材と化合させるのに有益な半結晶キャリアポリマーの例は、主に線状のポリオレフィン(ポリプロピレン及びポリエチレンのような)及びこれらのコポリマーを含むが、これらに制限されるものではない。このようなキャリア材料は、多くの供給源より入手可能である。このような半結晶ポリマーの特定の例は、ExxonMobil3155、Dowlex2517(25MI、0.917g/cc)のようなDowポリエチレン;Dow LLDPE DNDA−1082(155MI、0.933g/cc)、Dow LLDPE DNDB−1077(100MI、0.929g/cc)、Dow LLDPE1081(125MI、0.931g/cc)、及びDow LLDPE DNDA7147(50MI、0.926g/cc)を含む。幾つかの例においては、Dow HDPE DMDA−8980(80MI、0.952g/cc)のような高密度のポリマーが有用である。更に別の樹脂には、ExxonMobilからの、MIが20で密度が0.925のEscorene LL5100、及びMIが50で密度が0.926のEscorene LL6201が含まれる。
【0064】
代替的実施形態においては、約0.89g/ccのような低密度のポリプロピレンキャリア樹脂は、特に10g/10分のMFR、望ましくは20MFR又はこれより大きい(230℃、2.16kgの条件で)を持つものが有益である。0.89g/ccから0.90g/ccの間の密度を有するポリプロピレンベースの樹脂が有益であり、例えばExxonMobil PP3155(36MFR)、PP1074KN(20MFR)、PP9074MED(24MFR)及びDow6D43(35MFR)などのホモポリマー及びランダムコポリマーである。
【0065】
半結晶ポリマー(ポリエチレンベースのポリマーに対して)の溶融指数は、ASTMD1238(2.16kg、190℃)に基づいて計測したとき、約5g/10分より大きいことが望ましい。より望ましくは、半結晶ポリマーの溶融指数は、約10g/10分より大きい。更に望ましくは、溶融指数は、約20g/10分より大きい。望ましくは、半結晶キャリアポリマーは、ポリエチレンベースのポリマーに対して約0.910g/ccより大きい密度、更に望ましくは、約0.915g/ccより大きい密度を有する。更に望ましくは、密度は約0.917g/ccとする。別の代替的実施形態においては、密度は、約0.917g/ccより大きい。更に別の代替的実施形態においては、密度は約0.917g/ccと0.923g/ccの間とする。更に別の代替的実施形態においては、半結晶キャリアポリマーは、約0.917と0.960g/ccの間の密度を有する。更に別の実施形態においては、半結晶ポリマーは、約0.923g/ccと0.960g/ccの間の密度を有する。フィルムは、約10と25重量パーセントの間の半結晶ポリマーを含むことが望ましい。
【0066】
更に、通気性充填材入りフィルムは、任意ではあるが、1つ又はそれより多い安定剤又は処理補助材を含むことができる。例えば、充填材入りフィルムは、例えば、ヒンダードフェノール安定剤のような抗酸化剤を含むことができる。商業的に入手可能な抗酸化剤は、これらに制限されるものではないが、IRGANOX(登録商標)E17(aトコフェノール)及びIRGANOX(登録商標)1076(オクトデシル3、5−ジ−タート−ブチル−4−ヒドロキシヒドロシナメート)を含み、これはニューヨーク州タリータウンのCiba specialty Chemicalsより入手可能である。更に、フィルム形成工程、延伸及び次に続くあらゆる積層体形成段階と両立する他の安定剤又は添加剤も本発明において使用することができる。例えば、溶融安定剤、処理安定剤、熱安定剤、光安定剤、熱時効安定剤及び当業者によく知られている他の添加剤などの付加的添加剤を、フィルムに望ましい特性を与えるために付加することができる。一般的に、亜リン酸塩安定剤(すなわち、ニューヨーク州タリータウンのCiba Specialty Chemicalsより入手可能なIRGAFOS168及びオハイオ州、ドーバーのDover Chemical Corp.より入手可能なDOVERPHOS)は、良好な溶融安定剤であり、ヒンダードアミン安定剤(すなわち、ニューヨーク州タリータウンのCiba Specialty Chemicalsより入手可能なCHIMASSORB944及び119)は、良好な熱安定剤及び光安定剤である。1つ又はそれ以上の上記した安定剤のパッケージは、Ciba Specialty Chemicalsより入手可能なB900と同様に入手可能である。望ましくは、約100から2000ppmの安定剤が、押し出される前にベースポリマーに加えられる。(百万当たりの部(ppm)は充填材入りフィルムの全体の重量に対するものである。)
【0067】
望ましくは、「充填材入りポリマー」(キャリア樹脂及び充填材)の濃縮物は、充填材が約60−85重量パーセントの間の範囲、より望ましくは約70−85重量パーセントの範囲となるように、充填材及び半結晶キャリアポリオレフィンにより形成される。エラストマー性ポリマー相の弾性特徴に与える衝撃を最も少なくするように、最終組成物内の半結晶ポリマーの量を集積することが望ましい。弾性ポリマーは、「集積用」樹脂として混合装置のフィルムスクリュー押し出し機に導かれる前に、充填材入りポリマー濃縮物と混合される。ブロックポリマーの濃縮物は、最終組成物内の望ましい充填材のレベルによってほぼ決定される。充填材のレベルは、フィルムの通気性及び弾性特徴に必ず影響を与えるであろう。一実施形態においては、充填材が80重量パーセントより大きい量で充填材入りポリマー内に存在することが望ましく、その結果フィルムは、以下に示すような望ましい特徴を示す。
【0068】
例として、充填材は、約25−65重量パーセントの間でフィルム形態内に存在することができ、エラストマーは、約15−60重量パーセントの間の範囲で存在することができ、更に半結晶ポリマーは、約5−30重量パーセントの間の範囲で存在することができる。
【0069】
本発明の目的にとって、弾性ポリマー混合物全体にわたってキャリア樹脂ポリマー又は充填材が完全に化合物化されないようにするために、半結晶ポリマーが充填材の表面に達するのをできる限り制限して、2つのポリマーの混合を制限することが望ましい。この場合、弾性ポリマーは、フィルム全体にわたって連続した相で全体的に存在し、弾性特性を最大なものにする。
【0070】
本発明の代替的実施形態においては、フィルムは、多層積層体の部分として1つ又はそれより多い層にラミネート加工されることができる。例えば、フィルムは、1つの又はそれより多い不織ウエブ又は織成ウエブ、或いはスクリム布にラミネート加工することができる。一実施形態においては、フィルムはスパンボンドウエブにラミネート加工することができる。このようなスパンボンドウエブは、単一成分、或いは代替的に二成分/複合配列とすることができる。望ましくはこのようなスパンボンドウエブは、約10と50gsmの間の基本重量を持つ。代替的に、このようなフィルムは、コフォーム、メルトブローン、又はボンデッドカーデッドウエブにラミネート加工されることができる。フィルムは、接着剤、熱カレンダリング、押し出し被膜又は超音波接着法によって更なるシート材料にラミネート加工されることができる。幾つかの例においては、フィルムにラミネート加工された層は、フィルムを支持することができ、支持層として特徴付けられることができる。他の例においては、このような付加層は、改善された風合いなどの他の型の機能を与えることができる。
【0071】
図2に見られるように、単一層通気性弾性フィルム10及び不織層50のような、少なくとも1つの付加的に取り付けられた支持層を持つ本発明のフィルム積層体が示されている。このような不織層は、例えば接着剤の適用30によって取り付けられる。
【0072】
方法
通気性で弾性のフィルム10の形成方法が、図面の図3に示されている。しかしながら、フィルムが製造される前に、原材料、すなわち半結晶キャリアポリマー及び充填材は、次のような工程を通して、最初に化合されなければならない。充填材及び半結晶ポリマー原材料が、2連スクリュー押し出し機又は強力ミキサーのホッパー(どちらもコネチカット州アンソニアのFarrel Corporationより入手可能)に加えられ、互いに噛み合った回転スクリュー又はローターの動きにより、分散して溶融状態に混合される。形成された混合物は、造粒され、ここでは、充填材濃縮物又は充填材濃縮物化合物と呼ばれる。充填材濃縮物化合物及びエラストマー樹脂は、次にフィルムダイを溶融ポンプにより給送した後に、単一のバリアスクリュー押し出し機によるフィルム形成工程で形成されることが望ましい。材料は、1つの段階ですべてが十分に化合されるのではなく、むしろキャリアポリマーを充填材と化合させ、次の別の段階で充填材入りキャリア樹脂と熱可塑性エラストマーを結合するという、分離した段階法で形成されることが認識されるべきである。
【0073】
再び図を参照すると、化合されたポリマー及び充填材は、押し出し機80装置の中に位置され、次にフィルム状にキャストされ又はブローされる。前駆体フィルム10aは、次に例えばキャスティングロール90上に押し出され(約380−440°Fの間の範囲の温度で、例えば400−420°Fの範囲で)、そこで滑らかにされるか又はパターン化されることができる。「前駆体」フィルムという用語は、機械方向配向付与装置を通して移動させながら通気性を与える前のフィルムを意味するものとして使用される。押し出し機から流出したダイは、キャスティングロール90上で直ぐに冷却される。真空箱(図示されず)は、ロールの表面に沿って真空を形成するためにキャスティングロールに近位に位置されることができ、前駆体フィルム10aがロールの表面近くに接触するように維持させる。更に、前駆体10aが紡糸ロールの周りを移動する時に、空気ナイフ又は静電的ピンナー(図示せず)が該前駆体をキャスティングロール表面に押し付けるのを助けるようにすることができる。エアーナイフは、押し出されたポリマー材料の縁部に、かなりの高流量で空気の流れを集中させる、当業者に知られた装置である。前駆体フィルム10a(MDOに移動される前)は、約20と100ミクロンの間の厚さと、約30gsmと100gsmの間の全基本重量を持つことが望ましい。一実施形態においては、基本重量は約50−75gsmとする。延伸装置による延伸の後、フィルムの基本重量は約10と60gsmの間とするが、望ましくは約15と60gsmの間とする。
【0074】
前述したように、前駆体フィルム10aは、通気性にするために更なる工程に移動される。したがって、押し出し装置80、及びキャスティングロール90から、前駆体フィルム10aは、機械方向配向付与装置又は「MDO」のようなフィルム延伸ユニット100に向けられ、これはロードアイランド州、Marshall and Williams Company of Providenceのような売主から商業的に入手可能な装置である。この装置は、機械方向に連続してフィルムを延伸させ更に薄くさせる複数の延伸ローラー(例えば、5から8のような)を持つことができ、これは図3に示されるように、工程を通してフィルムを移動させる方向である。MDOは、8個のロールを備えて描かれているが、望まれる延伸の程度及び各々のロール間の延伸度に応じて、ロールの数は多く或いは少なくすることができることが理解されるべきである。フィルムは、単一或いは多数の別個の延伸作動のいずれによっても延伸することができる。MDO装置の幾つかのロールは、高速で進行する時には作動することができないことに留意するべきである。
【0075】
望ましくは、未延伸充填材入りフィルム10a(前駆体フィルム)は、初めの長さの約2から約5倍の長さに延伸され(配向付けられる)、フィルムがワインダーで弛緩された後は、初めのフィルムの長さの1.5倍から約4倍の間の長さに最終的には延伸される。代替的実施形態においては、フィルムは、Schwarzの米国特許第4,153,751号に記載されているように、互いに噛み合った溝付きロールを通して延伸することができる。
【0076】
再び図3を参照すると、MDO100の幾つかのロールは、加熱ロールとして作用することができる。存在する場合には、これらの最初の幾つかのロールは、室温(125°F)より高い温度でフィルムを加熱する。MDOで近接するロールの速度は徐々に速くなり、充填材入り前駆体フィルム10aを延伸するように作用する。延伸ロールの回転比は、フィルム及び最終フィルム重量における延伸量を定める。この延伸の間に、マイクロ空洞は、フィルムをマイクロポーラス及びその後通気性となるように形成させる。延伸後、延伸されたフィルム10bは、わずかに収縮され、及び/又は、加熱されたアニールロールのような、1つ又はそれより多い加熱ロール113によって、更に加熱又はアニールされることができる。これらのロールは、典型的には、フィルムをアニールするために約150−220°Fに加熱される。フィルムは次に冷却されることができる。MDOフィルム延伸ユニットを出た後、次に通気性製品フィルム10が、更なる工程のため、貯蔵又は処理されるためにワインダーに巻かれることができる。
【0077】
望まれるならば、形成された製品フィルム10は、多層フィルム/積層体40を形成するために、不織ウエブ層(例えば、スパンボンド)のような、1つ又はそれより多い層50に取り付けられることができる。適当な積層体材料は、不織布、多層不織布又はシート材料、粗く織った布、織布および他の同様の材料を含む。積層体を改善された本体と順応させるために、繊維性層は、それ自体が伸張可能な布であることが望ましく、更に弾性布であることがより望ましい。例えば、不織布をMDに引っ張ると、布をCDに「ネック付与した状態」又は狭くなった状態になり、ネック付与した布はCDに伸張可能な状態になる。伸張可能な及び/又は弾性布の付加的な適当な例として、これらに制限されるものではないが、Meitner他の米国特許第4,443,513号、Morman他の米国特許第5,116,662号、Morman他の米国特許第4,965,122号、Morman他の米国特許第5,336,545号、Vander Wielen他の米国特許第4,720,415号、Kieffer他の米国特許第4,789,699号、Taylor他の米国特許第5,332,613号、Collier他の米国特許第5,288,791号、Wisneski他の米国特許第4,663,220号、及びShawver他の米国特許第5,540,976号に記載されたものがある。上記した特許の全体の内容は、引用によりここに組み入れられる。このようなネック付与された不織材料は、本発明のフィルムに接着することができる。代替的実施形態においては、スリット及びネック付与された不織材料を、本発明のフィルムに接着することができる。更に代替的実施形態においては、スパンボンド支持層は、溝付きロールでCDに1.5から3倍の間で伸張され、次に最初の幅に対してネック付与することができ、或いは、フィルムに接着剤によりラミネート加工される前にフィルムの幅に適合させることができる。
【0078】
このような製品フィルム10にラミネート加工されることができる不織布は、望ましくは約10g/m2と50g/m2の間の、更に望ましくは約15g/m2と30g/m2の間の基本重量を持つ。特定の例として、17g/m2(平方ヤード当たり0.5オンス)のポリプロピレンスパンボンド繊維のウエブは、望ましい量にネック付与され、その後通気性延伸された充填材入り製品フィルム10にラミネート加工される。したがって製品フィルム10は、ネック付与された又はCDに延伸可能なスパンボンド不織ウエブにまでニップに通される(接着剤ニップ、又はカレンダーロール組立体109の積層体ロールで)。
【0079】
これらのスパンボンド層、支持層、又は他の機能的積層体層は、形成ロールから提供されるか又は代替的に、フィルムとインライン状態で製造され、製造後直ぐに接合するかのいずれかとすることができる。例えば、図3に示すように、1つ又はそれより多いスパンボンド押し出し機102は、スパンボンド繊維103を、連続するベルト配列の一部である形成ワイヤ104上に溶融紡糸する。連続するベルトは、一連のローラー105の周りを循環する。真空(図示されず)は、繊維を形成ワイヤ上に維持するために利用されることができる。繊維は、押し固めロール106を介して圧縮されることができる。押し固めに続いて、スパンボンド又は他の不織材料層が製品フィルム10に接着される。このような接着は、スロット式又はスプレー式接着システムのような接着剤接着、熱接着、又は超音波、マイクロ波、押し出し被膜及び/又は圧縮力又はエネルギー付与などによる他の接着法を通してなされることができる。接着剤接着システム32が示されている。このようなシステムは、スプレー又はスロット被膜接着システムとすることができる。本発明の実施において使用できる適当な接着剤の例は、テキサス州ヒューストンのHuntsman Polymersより入手可能なRextac2730、及びウイスコンシン州ウオーワトウサのBostik Findley,Inc.より入手可能な接着剤を含む。代替的実施形態においては、フィルム及び不織支持層は、接着剤の基本重量が約1.0と3.0gsmの間となるように接着剤とラミネート加工される。使用される接着剤の型及び基本重量は、最終積層体及び最終使用において望まれる弾性特質により定められる。別の代替的実施形態においては、接着剤は、フィルムにラミネート加工される前に、不織支持層に直接付与される。改善されたドレープ性を達成するために、接着剤は外側繊維性層にパターン化されて付与されることができる。
【0080】
フィルム及び支持層材料は、典型的には、フィルムがMDOを出る時と同じ割合で積層ロールに入る。代替的には、フィルムは、支持層にラミネート加工される時引張されるか又は弛緩される。代替的実施形態においては、層の接着性を改善するために、接着剤又は粘着材をフィルムに付加することができる。前述したように、充填材入りフィルム及び繊維性層は、互いに接着剤によりラミネート加工されることができる。不織布のような外側繊維性層に接着剤を付与することにより、接着剤は、繊維の接触点でフィルムの上にほぼ重ねるだけで、更改善されたドレープ性及び/又は通気性を積層体に付与する。付加的接着手段又は粘着剤を、繊維性または他の外側層において使用することができる。
【0081】
接着後、積層体40は、更に処理することができる。ラミネート加工の後、多層積層体には、数多くの延伸後製造工程が加えられる。例えば、このような積層体は、スリット形成され、ネック付与され、孔を形成され、又は印刷されることができる。代替的には、このような積層体は、CD又はMD方向のいずれかに溝を持つか、又はこれらの組み合わせを持つような一連の溝付きロールの中を通されることができる。このような工程段階110は、弾性又は通気性を損なうことなく、柔軟性のような付加的望ましい特質を積層体40に付与することができる。例えば、溝付きロールは、スチール又は他の硬い材料(例えば硬質ゴムのような)で形成されることができ、1インチ当たり約4と15の間の溝を含むことができる。代替的実施形態においては、溝付きロールは、1インチ当たり約6と12の間の溝を含むことができる。更に代替的実施形態においては、溝付きロールは、1インチ当たり約8と10の間の溝を含む。更に代替的実施形態においては、このようなロール上の溝は、1インチ当たり約10万と2万5千の間の谷を含む。付加的処理の後、積層体は更にスリットされ111、アニールされ113、及び/又はワインダー112に巻き取られることができる。
【0082】
本発明のフィルム及び/又はフィルム積層体は、多くの個人用ケアー製品に組み込まれることができる。例えば、このような材料は、様々な個人用ケアー製品の延伸可能な外カバーとして、特に有益とすることができる。更に、このようなフィルムは、手術用又は病院用ドレープ/又はガウンのような防護用衣類におけるベース布材料として組み入れられることができる。更なる代替的実施形態においては、このような材料は、車用カバー及び同様のものなどのレクレーション用防護カバーのベース布として機能することができる。
【0083】
これに関して、図4は、本発明の使い棄てオムツのような吸収性物品を、開いた状態で示す斜視図である。着用者に接触するオムツの表面が、観察者に向けられている。図4を参照して、使い棄てオムツは一般的に、前側腰部領域、後側腰部領域、及び前側及び後側腰部領域に相互結合する中間領域を定める。前側及び後側腰部領域は、使用中にそれぞれ着用者の前側腹部領域及び後側腹部領域に実質的に延びるように構成された、物品の全体的部分を含む。物品の中間領域は、着用者の脚部間の股領域にわたって延びるように構成された、物品の全体的部分を含む。
【0084】
吸収性物品は、外カバー130、外カバーと対向する関係で位置される液体透過性身体側ライナー125、及び外カバーと身体側ライナーの間に位置される吸収性パッドのような吸収性本体120を含む。図示された実施形態においては、外カバーは、オムツの長さ及び幅と一致する。吸収性本体は、外カバーの長さ及び幅よりそれぞれ小さい長さ及び幅を全体的に定める。その結果、外カバーの縁部領域のようなオムツの縁部領域は、吸収性本体の末端部を超えて延びることができる。描かれた実施形態においては、例えば、外カバーは、オムツの側部縁部及び端部縁部を形成するように吸収性本体の末端縁部を超えて外向きに延びる。身体側ライナーは、外カバーとほぼ同一の広がりを持つが、望まれるならば外カバーの領域より大きい或いは小さい領域を任意に覆うようにすることができる。
【0085】
外カバー及び身体側ライナーは、使用中に、着用者の衣類及び本体にそれぞれ対向するように意図されている。本発明のフィルム又はフィルム積層体は、このような物品において外カバーとして便利に作用することができる。
【0086】
フック・ループ型締結用具のような締結手段は、オムツを着用者に固定するために使用されることができる。代替的には、ボタン、ピン、スナップ、接着テープ締結用具、粘着剤、マッシュルーム・ループ型締結用具、又は同様のものなどの他の締結手段を使用することができる。
【0087】
オムツは又、身体側ライナーと吸収性本体の間に位置されるサージ処理層を含むことができ、流体排出物を溜めることを妨げ、更にオムツの中に流体排出物が分散するように改善する。オムツは更に、吸収性本体と外カバーの間に位置される通気層(図示されず)を含むことができ、外カバーを吸収性本体から隔離し、外カバーの表面に対向する衣類の湿気を集積させる。
【0088】
オムツの様々な部品は、接着剤、音響接着、熱接着又はこれらの組み合わせのような様々な型の適当な取り付け手段を使用して一体に組み立てられる。示された実施形態においては、例えば、身体側ライナー及び外カバーは、ホットメルト、感圧性接着剤のような接着剤の線で互いに組み立てられ、更に吸収性本体に組み立てられることができる。同様に、弾性部材及び締結部材などの他のオムツ部品、及びサージ層は、上記した取り付け機構を使用して物品に組み立てられることができる。本発明の物品は、延伸可能な布層として特徴的なフィルム又はフィルム積層体を、物品の外表面の主要部分上に延びるように取り付けその他により結合された延伸可能な外カバーの一部として含むことが望ましい。延伸可能な外カバーが物品の延伸可能ではない部分に取り付けられていない領域、或いは、他の理由により伸張が妨げられている領域においては、延伸可能な外カバーは、最小の力で拡がることができるという利点がある。望ましい態様においては、外カバーは、縦方向、横方向、又は横方向及び縦方向の組み合わせに沿って延伸可能とすることができる。特に、腰部領域に位置される延伸可能な外カバーの少なくとも一部分は、横方向に延伸されることが可能で、着用者への物品の締結を改善し、特に後側腰部領域において、着用者の腰部及び臀部の遮蔽を改善し、更に腰部領域の通気性を促進する。例えば、締結用具及び/又は側部パネルがオムツの後側腰部領域の側部縁部に沿って位置された場合は、後側腰部領域の外カバーの少なくとも一部分が、使用中に、着用者の臀部を覆って遮蔽を助け、収容及び美的外観を改善するように延伸することが望ましい。更なる代替的実施形態においては、本発明の特徴的なフィルムは、外カバーの延伸可能な耳/締結用タブのためのベース材料として機能することができる。本発明の更に別の代替的実施形態においては、特徴的なフィルムは、延伸可能なライナーのベースとして機能することができる。このような実施形態においては、ライナーには孔を形成することができる。更に別の代替的実施形態においては、特徴的なフィルムは、十分に延伸可能な外カバーとして機能することができ、これは延伸可能な側部領域を含む個人ケアー物品の前側及び後側領域両方を囲むものである。これは、ある種の物品において、異なる側部パネルを利用する必要性を排除するものである。
【0089】
更に、吸収性本体を覆って位置される延伸可能な外カバーは少なくとも部分的に、使用中に、改善された収容のために伸張することができる。例えば、吸収性本体が流体排出物を吸収し更に外向きに拡がる時、延伸可能な外カバーは容易に伸長し更に吸収性本体及び/又は物品の他の部品の拡張に応じて延びることができ、効率的に排出物を収容する空洞容積を提供する。本発明の延伸可能な外カバーは、引張力が付与された時、選択された延伸を提供し、更にこのような付与された力が取り除かれた時には収縮できることが望ましい。
【0090】
様々な他の吸収性個人用ケアー製品の実施形態に見られるように、本発明の材料は、訓練用パンツ、下着用衣類/下着用パンツ、女性用ケアー製品、及び大人用失禁用製品を含む種々異なる製品の用途において「外カバー」として使用することができる。外カバーにおいて、このような材料は、フィルム形態、又は代替的に不織又は他のシート材料がフィルム層にラミネート加工される積層体として存在することができる。例えば、図5に見られるように、特徴的なフィルムは、別個の弾性側部パネル140により分離された、訓練用パンツの後側部分135及び前部分両方の外カバーとして機能することができる。前述したように、このような外カバーは、代替的実施形態においては、側部パネル領域を囲むことができる。図6に見られるように、特徴的なフィルムは、150又は155のいずれかのように、下着用パンツの外カバーとして機能することができる。図7に見られるように、特徴的フィルムは、女性用ケアーパンティライナー160の外カバー/バックシート165として機能することができる。図8に見られるように、特徴的フィルムは、大人用失禁用製品において外カバー175として機能することができる。更に、このようなフィルム又はフィルム積層体は、生理用ナプキンのカバーシートとして機能することができる。このようなフィルム又はフィルム積層体は、このような製品のベース材料として使用される前に、孔の形成及び同様のものなどによって更に処理することができる。
【0091】
一連の実施例が、本発明の特質を説明し更に識別するために作成された。この実施例は、限定を表すものではなく、本発明の材料の様々な特質を示すためのものである。
【実施例1】
【0092】
実施例1においては、本発明のフィルムが製造された。フィルム層はキャリア樹脂内に分散された炭酸カルシウム充填材を含んでいた。炭酸カルシウムは、OMYACARB(登録商標)2SSTという商標名で、バーモント州プロクトールのノースアメリカ所在のOMYA,Inc.から入手可能であり、平均粒子サイズが2ミクロン、8−10ミクロンのトップカット、及び約1%のステアリン酸被膜がなされている。炭酸カルシウム(75%)充填材とキャリア樹脂(25%)であるDowlex2517LLDPE(溶融指数が25で密度が0.917)とが充填材濃縮化合物を形成し、次に単一スクリューをもつ通常の押し出し機において33%のSepton2004SEPSトリブロック熱可塑性エラストマー集積用樹脂と混合され、50.25重量%濃度の最終炭酸カルシウムが形成された。Dowlex(登録商標)ポリマーは、ミシガン州ミッドランド所在のDow Chemical U.S.A.から入手可能である。Septonポリマーは、テキサス州パサデナ所在のSepton Company of Americaから入手可能である。
【0093】
この配合物は、104°Fに設定されたチルロール上で成型されることにより未延伸基本重量が64gsmのフィルムに形成された。フィルムは、機械方向配向付与装置(MDO)を使用して、初めの長さの3.6倍に延伸され、次いで延伸基本重量が33.9gsmになるように35%収縮された。ここで用いられる、3.6倍にフィルムを延伸させるということは、例えば、最初の長さが1メートルでこれを3.6倍延伸させるとフィルムの最終長さが3.6メートルになるという意味である。フィルムは、125°Fの温度に加熱され、望ましい延伸を達成するために、毎分492フィートのライン速度でMDOを通して移動させた。次に、フィルムは、多数のロールに通して、160−180°Fでアニールされた。
【実施例2】
【0094】
実施例2においては、実施例1のフィルムと同様のフィルムではあるが、30%のSepton2004SEPSトリブロック熱可塑性エラストマー集積用樹脂と配合され、炭酸カルシウム充填材濃度が52.5重量%の最終濃度になるように形成された。
【0095】
この配合物は、99°Fに設定されたチルロール上で成型されることにより未延伸基本重量が64.4gsmのフィルムに形成された。フィルムは、機械方向配向付与装置(MDO)を使用して、初めの長さの3.6倍に延伸され、次いで延伸基本重量が30.6gsmになるように15%収縮された。フィルムは、125°Fの温度に加熱され、望ましい延伸を達成するために、毎分472フィートのライン速度でMDOを通して移動させた。次に、フィルムは、多数のロールに通して、160−200°Fでアニールされた。
【実施例3】
【0096】
実施例3においては、実施例1のフィルムと同様のフィルムではあるが、40%のSepton2004SEPSトリブロック熱可塑性エラストマー集積用樹脂と配合され、炭酸カルシウム充填材濃度が45重量%の最終濃度になるように形成された。
【0097】
この配合物は、99°Fに設定されたチルロール上で成型されることにより未延伸基本重量が51gsmのフィルムに形成された。フィルムは、機械方向配向付与装置(MDO)を使用して、延伸基本重量が40gsmになるように初めの長さの3.6倍に延伸された。フィルムは、125°Fの温度に加熱され、望ましい延伸を達成するために、毎分450フィートのライン速度でMDOを通して移動させた。次に、フィルムは、多数のロールに通して、180°Fでアニールされた。このフィルムで形成された積層体は、MD/CD両方向の延伸を示す。
【実施例4】
【0098】
実施例4においては、実施例1のフィルムと同様のフィルムが配合されたが、炭酸カルシウム化合物充填材濃度は82%で、同じDow Chemical U.S.A.からのキャリア樹脂DNDA−1082LLDPE(溶融指数が155で密度が0.933g/cc)を備えていた。この化合物は、次に単一スクリューを持つ通常の押し出し機において36.5%のSepton2004SEPSトリブロック熱可塑性エラストマー集積用樹脂と混合され、炭酸カルシウム濃度が52重量%の最終濃度になるように形成された。
【0099】
この配合物は、120°Fに設定されたチルロール上で成型されることにより未延伸基本重量が64.4gsmのフィルムに形成された。フィルムは、機械方向配向付与装置(MDO)を使用して、初めの長さの3.6倍に延伸され、次いで延伸基本重量が34gsmになるように33%収縮された。フィルムは、125°Fの温度に加熱され、望ましい延伸を達成するために、毎分576フィートのライン速度でMDOを通して移動させた。次に、フィルムは、多数のロールに通して、170−200°Fでアニールされた。
【0100】
比較実施例1(形成されたフィルムは通気性ではない)
比較実施例1においては、実施例1のフィルムと同様のフィルムが配合されたが、炭酸カルシウム化合物充填材濃度は75%で、同じDow Chemical U.S.A.からのキャリア樹脂Affinity8185(溶融指数が30で密度が0.885g/cc)を含んでいた。この化合物は、次に単一スクリューを持つ通常の押し出し機において33%のSepton2004SEPSトリブロック熱可塑性エラストマー集積用樹脂と混合され、50.25重量%濃度の最終炭酸カルシウムが形成された。
【0101】
この配合物は、100°Fに設定されたチルロール上で成型されることにより未延伸基本重量が57.5gsmのフィルムに形成された。フィルムは、機械方向配向付与装置(MDO)を使用して、初めの長さの3.6倍に延伸され、次いで延伸基本重量が40gsmになるように36%収縮された。フィルムは、125°Fの温度に加熱され、望ましい延伸を与えるために、毎分445フィートのライン速度でMDOを通して移動させた。次に、フィルムは、多数のロールに通して、150−180°Fでアニールされた。
【0102】
比較実施例2(エラストマーではない集積用樹脂、形成されたフィルムは弾性ではない)
比較実施例2においては、実施例1のフィルムと同様のフィルムが配合されたが、炭酸カルシウム化合物充填材濃度は75%で、キャリア樹脂Dowlex2517(溶融指数が25で密度が0.917g/cc)を含んでいた。この化合物は、次に単一スクリューを持つ通常の押し出し機において33%の、同じくDow Chemical U.S.A.からのDowlex2047AC(2.3MI、0.917g/cc)集積用樹脂と混合され、50.25重量%濃度の最終炭酸カルシウムが形成された。
【0103】
この配合物は、102°Fに設定されたチルロール上で成型されることにより未延伸基本重量が45gsmのフィルムに形成された。フィルムは、機械方向配向付与装置(MDO)を使用して、初めの長さの3.6倍に延伸され、次いで延伸基本重量が25gsmになるように10%収縮された。フィルムは、125°Fの温度に加熱され、望ましい延伸を与えるために、毎分486フィートのライン速度でMDOを通して移動させた。次に、フィルムは、多数のロールに通して、160−180°Fでアニールされた。
【0104】
次に示す表1は、前述したテスト法にしたがって実施例材料で成された様々なテストをまとめたものである。
表1

【0105】
表1の目的にとって、略語up/gfは、サイクルテストの伸張/伸び(上方)張力をグラムで示し、略語dn/gfは、サイクルテストの「収縮」(下方)張力をグラムで示すことを意味する。弾性型テストはCD方向に行われ、したがって値はCD方向の弾性性能を示す。このようなフィルムは50パーセントより小さい荷重損失値を表すことが望ましい。より望ましくは、このようなフィルムは、約45パーセントより小さい荷重損失を示すべきである。更により望ましくはこのようなフィルムは、約35パーセントより小さい荷重損失を示すべきである。各々の荷重損失値は、上記したサイクルテストによって50パーセント伸びとする。荷重損失は、設定されているように百分率で表される。
【0106】
充填剤入り通気性弾性フィルムは、通気性を損なうことなく弾性を付与するようにして形成される。このような弾性は、マイクロポーラスを形成するために充填剤を使用しても損失になることはない。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】本発明により形成されたフィルムの断面図である。
【図2】本発明により形成されたフィルム/積層体の断面図である。
【図3】本発明により、フィルム及び積層体を形成するために使用される工程の略図である。
【図4】本発明により形成されたオムツの図面である。
【図5】本発明により形成された訓練用パンツの図面である。
【図6】本発明により形成された吸収性下着用パンツの図面である。
【図7】本発明により形成された女性用衛生製品の図面である。
【図8】本発明により形成された大人用失禁用製品の図面である。
【符号の説明】
【0108】
10 フィルム
20 エラストマー性成分
22 ポケット
24 充填材
26 孔
30 接着剤
50 不織層
80 押し出し機
90 キャスティングロール
100 延伸ユニット
112 ワインダー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性で通気性のフィルムを形成する方法であって、
a)半結晶で主に線状のポリマーを充填材により充填して、少なくとも60重量パーセントの充填材を含む充填材入りポリマーを形成し、
b)熱可塑性エラストマーを前記充填材入りポリマーと乾燥混合させて、約25から70重量パーセントの間の充填材、約5から30重量パーセントの間の半結晶ポリマー、及び約15から60重量パーセントの間のエラストマーを含む混合エラストマー組成物を形成し、
c)前記混合エラストマー組成物を押し出してフィルムとし、
d)前記フィルムを機械方向に約2から5倍の間で配向付けして、形成されたフィルムが、約15から60gsmの間の基本重量を持ち、約100g/m2/24時より大きい通気性、及び50パーセント伸びにおいて約50パーセントより小さい荷重損失値を示すことを特徴とする方法。
【請求項2】
段階aの前記半結晶ポリマーは、ポリエチレン又はポリエチレンコポリマーであり、約5g/10分より大きい溶融指数を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
段階aの前記半結晶ポリマーは、約0.910g/ccより大きい密度を有することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
段階aの前記半結晶ポリマーは、約10g/10分より大きいMFR及び約0.89g/ccと0.90g/ccの密度を有するポリプロピレン又はポリプロピレンコポリマーであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記フィルムを機械横方向に配向付けさせる段階を、更に含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
弾性で通気性のフィルムであって、
混合熱可塑性エラストマーと、充填材入りの半結晶で主に線状のポリマーとを含み、前記フィルムは、約25から70重量パーセントの充填材、約5から30重量パーセントの半結晶線状ポリマー、及び約15から60重量パーセントのエラストマーポリマーを含み、前記充填材は、前記半結晶線状ポリマーと密接に組み合わされており、更に、前記フィルムは、50パーセント伸びにおいて約50パーセントより小さい荷重損失値、及び、約100g/m2/24時より大きい通気性を示すことを特徴とするフィルム。
【請求項7】
前記半結晶ポリマーは、ポリエチレン又はポリエチレンコポリマーであり、約5g/10分より大きい溶融指数を有することを特徴とする請求項6に記載の弾性で通気性のフィルム。
【請求項8】
前記半結晶ポリマーは、約0.910g/ccより大きい密度を有することを特徴とする請求項6に記載の弾性で通気性のフィルム。
【請求項9】
前記半結晶ポリマーは、約0.917g/ccから0.960g/ccの間の密度を有することを特徴とする請求項6に記載の弾性で通気性のフィルム。
【請求項10】
前記半結晶ポリマーは、約10g/10分より大きいMFR及び約0.89g/ccから0.90g/ccの間の密度を有するポリプロピレン又はポリプロピレンコポリマーであることを特徴とする請求項6に記載の弾性で通気性のフィルム。
【請求項11】
前記フィルムは、約50パーセントより小さい固定割合を示すことを特徴とする請求項6に記載の弾性で通気性のフィルム。
【請求項12】
前記フィルムは、約20パーセントより小さい固定割合を示すことを特徴とする請求項6に記載の弾性で通気性のフィルム。
【請求項13】
前記フィルムは、約45パーセントより小さい荷重損失を示すことを特徴とする請求項6に記載の弾性で通気性のフィルム。
【請求項14】
前記エラストマーは、スチレン系ブロックコポリマーであることを特徴とする請求項6に記載の弾性で通気性のフィルム。
【請求項15】
前記充填材入りポリマーはポリエチレンであることを特徴とする請求項6に記載の弾性で通気性のフィルム。
【請求項16】
前記通気性は、約1,000g/m2/24時より大きいことを特徴とする請求項6に記載の弾性で通気性のフィルム。
【請求項17】
前記充填材は、前記混合エラストマー組成物の中に約40と70重量パーセントの間で存在することを特徴とする請求項6に記載の弾性で通気性のフィルム。
【請求項18】
前記フィルムは、外カバーを含むことを特徴とする請求項6に記載の弾性で通気性のフィルムを含む個人用ケアー物品。
【請求項19】
請求項6に記載のフィルムを含むことを特徴とするレクレーション用屋外用途カバー。
【請求項20】
請求項6に記載のフィルムを含むことを特徴とする使い棄て防護用衣類。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2007−503327(P2007−503327A)
【公表日】平成19年2月22日(2007.2.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523858(P2006−523858)
【出願日】平成16年7月26日(2004.7.26)
【国際出願番号】PCT/US2004/024301
【国際公開番号】WO2005/023544
【国際公開日】平成17年3月17日(2005.3.17)
【出願人】(504460441)キンバリー クラーク ワールドワイド インコーポレイテッド (396)
【Fターム(参考)】