説明

マイクロメカニカル共振器

【課題】基板9上に両端部が支持された共振ビーム52と、該共振ビーム52を挟んで両側に配置された2つの電極とを具え、共振ビーム52の両端部間にて、一方の電極と共振ビーム52とが互いに対向して、1或いは複数のギャップ部が形成されると共に、他方の電極と共振ビーム52とが互いに対向して、1或いは複数のギャップ部が形成されているマイクロメカニカル共振器において、1次の共振モードの振動を抑えて高次の共振モードの振動を増大させる。
【解決手段】本発明に係るマイクロメカニカル共振器においては、共振ビーム52に対して各ギャップ部を介して作用する静電気力の変動幅が、共振ビーム52の中央部近傍のギャップ部で最も小さく且つ両端部近傍のギャップ部で最も大きくなる様に設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入力された高周波信号を機械的な信号に変換した後に再び高周波信号に変換して出力する共振器に関し、特に、半導体分野における微細加工技術を利用して作製されるマイクロメカニカル共振器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体分野における微細加工技術を利用して、微細な機械構造を電子回路と一体化して形成する、所謂マイクロエレクトロメカニカルシステム(MEMS)技術が開発されており、フィルターや共振器への応用が検討されている。
【0003】
図15は、MEMS技術を用いた従来のマイクロメカニカル共振器を表わしている(非特許文献1)。該マイクロメカニカル共振器は、図示の如く基板(96)上に共振子(90)を具え、該共振子(90)は、角柱状の共振ビーム(92)と、該共振ビーム(92)の両端部を支持すべき4本の角柱状の支持ビーム(91)〜(91)とから構成されており、各支持ビーム(91)の基端部はそれぞれアンカー(93)によって基板(96)上に固定されている。これによって、共振子(90)は、基板(96)の表面から僅かに浮上した位置に保持されている。
【0004】
又、共振子(90)の共振ビーム(92)の両側には、共振ビーム(92)の中央部を挟んで入力電極(94)と出力電極(95)が配備され、共振ビーム(92)と両電極(94)95)との間に所定のギャップ部Gが形成されている。
そして、入力電極(94)には高周波電源(6)が接続されると共に、1つのアンカー(93)には主電圧電源(7)が接続されている。
【0005】
アンカー(93)を介して共振子(90)に直流電圧Vpを印加した状態で、入力電極(94)に高周波信号Viを入力すると、入力電極(94)と共振ビーム(92)との間にギャップ部Gを介して交番静電気力が発生し、該静電気力によって共振子(90)が基板(96)の表面と平行な面内で振動する。この共振子(90)の振動により、共振ビーム(92)と両電極(95)(94)との間に形成される静電容量が変化し、該静電容量の変化が出力電極(95)から高周波信号Ioとして出力される。
【0006】
又、図16は、従来の他のマイクロメカニカル共振器を表わしている(非特許文献2、特許文献1)。該マイクロメカニカル共振器は、基板(107)上に平板状の共振子(100)を具え、該共振子(100)は、両端部と中央部の3カ所に支持部(103)を有すると共に、隣接する2つの支持部(103)(103)間に共振ビーム(102)を有している。各支持部(103)には支持ビーム(101)が突設され、各支持ビーム(101)の基端部はそれぞれアンカー(104)によって基板(107)に固定されている。これによって、共振子(100)は、基板(107)の表面から僅かに浮上した位置に保持されている。
【0007】
又、基板(107)上には、共振子(100)の2つの共振ビーム(102)(102)との間に、入力電極(106)と出力電極(105)が配備され、一方の共振ビーム(102)と入力電極(106)の間、並びに他方の共振ビーム(102)と出力電極(105)との間に、所定のギャップ部が形成されている。
そして、入力電極(106)には高周波電源(6)が接続されると共に、1つのアンカー(104)には主電圧電源(7)が接続されている。
【0008】
アンカー(104)を介して共振子(100)に直流電圧Vpを印加した状態で、入力電極(106)に高周波信号Viを入力すると、入力電極(106)と共振ビーム(102)との間にギャップ部を介して交番静電気力が発生し、該静電気力によって共振子(100)が基板(107)の表面と垂直な面内で振動する。この共振子(100)の振動により、共振子(100)と両電極(106)(105)との間に形成される静電容量が変化し、該静電容量の変化が出力電極(105)から高周波信号Ioとして出力される。
【0009】
【非特許文献1】W.-T.Hsu,J.R.Clark, and C.T.-C.Nguyen,“Q-optimized lateral freee-free beam micromechanical resonators,” Digest of Technical papers, the 11th Int. Conf. on Solid-State Sensors & Actuators (Transducers’01), Munich, Germany, June 10-14,2001, pp.1110-1113.
【非特許文献2】M.U.Demirci and C.T.-C.Nguyen,“Higher-mode freee-free beam micromechanical resonators,” Proceedings,2003 IEEE Int. Frequency Control Symposium, Tampa, May 5-8, 2003, pp.810-818.
【特許文献1】特表2002-535865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述の如きマイクロメカニカル共振器においては、図17(a)に示す1次の共振モードの他、同図(b)に示す2次の共振モードや同図(c)に示す3次の共振モード等の高次の共振モードが混在して発生するが、特にマイクロメカニカル共振器をGHz帯で動作する高周波無線通信機器に応用する場合、製造時の加工を容易にするため、共振器のサイズを大きく出来る、高次の共振モードを利用する必要がある。しかしながら、図18に示す如く、1次の共振モードの強度が最も高く、3次の共振モード、5次の共振モードと、高次になるほど強度が低くなるため、応用が進んでいないのが実状である。
【0011】
そこで本発明の目的は、1次の共振モードの振動を抑えて高次の共振モードの振動を増大させることが可能なマイクロメカニカル共振器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るマイクロメカニカル共振器は、基板(9)上に両端部が支持された共振ビーム(52)と、該共振ビーム(52)を挟んで両側に配置された2つの電極(1)(2)とを具え、共振ビーム(52)の両端部間にて、一方の電極(1)と共振ビーム(52)とが互いに対向して、1或いは複数のギャップ部が形成されると共に、他方の電極(2)と共振ビーム(52)とが互いに対向して、1或いは複数のギャップ部が形成され、高周波信号の入力により何れか一方若しくは両方の電極(1)(2)と共振ビーム(52)との間に交番静電気力を発生させて共振ビーム(52)に振動を与え、何れか一方若しくは両方の電極(1)(2)と共振ビーム(52)との間の静電容量の変化を高周波信号として出力するものであって、共振ビーム(52)に対して各ギャップ部を介して作用する静電気力の変動幅が、共振ビーム(52)の中央部近傍のギャップ部で最も小さく且つ両端部近傍のギャップ部で最も大きくなる様に設定されている。
【0013】
上記本発明のマイクロメカニカル共振器においては、共振ビーム(52)に対して各ギャップ部を介して作用する静電気力の変動幅が、共振ビーム(52)の中央部近傍のギャップ部で最も小さく且つ両端部近傍のギャップ部で最も大きくなる様に設定されているので、共振ビーム(52)に発生する高次共振モードの振動波形は、該波形に含まれる複数のピーク値が互いに等しくなる理想的なものに近づき、その結果、1次の共振モードの振動が抑えられて高次の共振モードの振動が増大することになる。
【0014】
共振ビーム(52)の両端部間に形成されている各ギャップ部を介して発生する静電気力の変動幅が、共振ビーム(52)の中央部近傍のギャップ部で最も小さく且つ両端部近傍のギャップ部で最も大きくなる様に設定するための具体的な構成としては、例えば次の構成を採用することが出来る。
【0015】
1.一方の電極(1)は共振ビーム(52)の中央部近傍にギャップ部を形成すると共に、他方の電極(2)は共振ビーム(52)の両端部近傍にギャップ部を形成するものであって、前記他方の電極(2)には、該電極(2)に一定のバイアス電圧を印加するためのバイアス電圧源が接続されている構成、
2.共振ビーム(52)の両端部間に形成されている各ギャップ部のギャップ長が、共振ビーム(52)の中央部近傍のギャップ部で最も大きく且つ両端部近傍のギャップ部で最も小さくなる様に設定されている構成、
3.共振ビーム(52)の両端部間に形成されている各ギャップ部の幅が、共振ビーム(52)の中央部近傍のギャップ部で最も小さく且つ両端部近傍のギャップ部で最も大きくなる様に設定されている構成。
【0016】
又、共振ビーム(52)の各ギャップ部に面する領域に作用させるべき交番静電気力の大きさを決定する具体的な方法としては、次の方法を採用することが出来る。
共振ビーム(52)の各領域に一定の静電気力を作用させることによって各領域に生じる静的変位量を求め、これらの領域における静的変位量が領域間で均等となる様、静電気力の領域間比率を決定する。そして、その静電気力の領域間比率と一致若しくは略一致する様に、共振ビーム(52)の各ギャップ部に面する領域に作用させるべき交番静電気力の領域間の比率を設定する。
【0017】
これによって、共振ビーム(52)に対して各ギャップ部を介して作用する静電気力の変動幅が、共振ビーム(52)の中央部近傍のギャップ部で最も小さく且つ両端部近傍のギャップ部で最も大きくなって、共振ビーム(52)に発生する高次共振モードの振動波形が理想的なものとなる。
【0018】
具体的構成において、共振ビーム(52)には、振動の節となる複数の領域にそれぞれ、他の領域よりも断面積の小さなくびれ部(54)が凹設されている。
該具体的構成によれば、共振ビーム(52)が高次共振モードで振動するとき、共振ビーム(52)は断面積の小さなくびれ部(54)にて容易に屈曲するので、共振ビーム(52)には理想的な波形の振動が発生し易くなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明に係るマイクロメカニカル共振器によれば、1次の共振モードの振動よりも高次の共振モードの振動が増大するので、該高次共振モードを利用することにより、従来よりも高い周波数帯域で動作する高周波無線通信機器を容易に構成することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態につき、図面に沿って具体的に説明する。
基本構成
図1は、本発明に係るマイクロメカニカル共振器の基本的な構成を表わしている。該マイクロメカニカル共振器においては、基板(9)上に共振ビーム(52)が配備され、該共振ビーム(52)の両端部はそれぞれアンカー(3)により基板(9)に固定されており、これによって、共振ビーム(52)は基板(9)の表面から僅かに浮上した位置に保持されている。
斯くして、共振ビーム(52)は、両アンカー(3)(3)が支持部(50)(50)となって、基板(9)の表面と平行な面内で振動が可能である。
【0021】
共振ビーム(52)には、その両端部を含む4つの領域に、他の領域よりも断面積の小さなくびれ部(54)〜(54)が凹設されており、これによって形成される3つの非くびれ部(53)(53)(53)を挟んで両側には、1つの電極突出部(10)を有する第1の電極と2つの電極突出部(20)(20)を有する第2の電極とが対向配備され、3つの電極突出部(10)(20)(20)と3つの非くびれ部(53)(53)(53)との間にはそれぞれ所定のギャップ部が形成されている。
図1の例は3次共振モードを得るための構成を示し、共振ビーム(52)における3次共振モードの腹の部分に対応して電極突出部(10)(10)(10)が配置され、節の部分に対応してくびれ部(54)〜(54)が形成される。
【0022】
そして、2つの電極には高周波電源(図示省略)が接続されると共に、一方のアンカー(3)には主電圧電源(図示省略)が接続されて、他方のアンカー(3)から高周波信号が出力される。
この場合、一方のアンカー(3)を介して共振ビーム(52)に直流電圧を印加した状態で、2つの電極に高周波信号を入力すると、共振ビーム(52)と両電極の間にギャップ部を介して交番静電気力が発生し、該静電気力によって共振ビーム(52)が基板(9)の表面と平行な面内で振動する。この共振ビーム(52)の振動により、共振ビーム(52)と両電極の間の静電容量が変化し、該静電容量の変化が他方のアンカー(3)から高周波信号として出力される。
【0023】
或いは、一方の電極には高周波電源(図示省略)が接続されると共に、一方のアンカー(3)には主電圧電源(図示省略)が接続されて、他方の電極から高周波信号が出力される。
この場合、一方のアンカー(3)を介して共振ビーム(52)に直流電圧を印加した状態で、一方の電極に高周波信号を入力すると、共振ビーム(52)と前記一方の電極との間にギャップ部を介して交番静電気力が発生し、該静電気力によって共振ビーム(52)が基板(9)の表面と平行な面内で振動する。この共振ビーム(52)の振動により、共振ビーム(52)と両電極の間の静電容量が変化し、該静電容量の変化が他方の電極から高周波信号として出力される。
【0024】
ここで、共振ビーム(52)に対して各ギャップ部を介して作用する静電気力は、その変動幅が共振ビーム(52)の中央部近傍のギャップ部で最も小さく且つ両端部近傍のギャップ部で最も大きくなる様に設定されている。
即ち、図1の場合、共振ビーム(52)の中央の非くびれ部(53)と電極突出部(10)との間に作用する交番静電気力の変動幅のピーク値をFa、両側の非くびれ部(53)(53)と電極突出部(20)(20)との間に作用する交番静電気力の変動幅のピーク値をFbとすると、Fa<Fbの大小関係となる様に設定されている。
【0025】
上記の大小関係を実現するための具体的な構成としては、図2に示す様に、1つの電極突出部(10)を有する第1の電極と2つの電極突出部(20)(20)を有する第2の電極の両方に高周波電源(6)を接続すると共に、第2の電極には、バイアス電圧電源(60)を接続する構成を採用することが出来る。
【0026】
又、図3に示す様に、共振ビーム(52)の両端間に形成されている3つのギャップ部の内、中央の非くびれ部が面するギャップ部のギャップ長をGa、両端の非くびれ部が面するギャップ部のギャップ長をGbとすると、Ga>Gbの大小関係となる様に設定されている。
【0027】
或いは、図4に示す様に、共振ビーム(52)の両端間に形成されている3つのギャップ部の内、中央の非くびれ部が面するギャップ部の幅をWa、両端の非くびれ部が面するギャップ部の幅をWbとすると、Wa<Wbの大小関係となる様に設定されている。
【0028】
図1に示す本発明のマイクロメカニカル共振器と、従来のマイクロメカニカル共振器、即ち、共振ビーム(52)にくびれ部を有せず、且つ共振ビーム(52)の中央部に作用する交番静電気力のピーク値Faと両側部に作用する交番静電気力のピーク値Fbを同一(Fa=Fb)としたマイクロメカニカル共振器とを対象として、1次共振モード、3次共振モード及び5次共振モードのそれぞれについての周波数特性をコンピュータシミュレーションにより計算した。図5及び図6はそれぞれ従来のマイクロメカニカル共振器と本発明のマイクロメカニカル共振器についての計算結果を表わしている。
【0029】
尚、従来のマイクロメカニカル共振器においては交番静電気力のピーク値Fa、Fbを共に0.01MPaに設定し、本発明のマイクロメカニカル共振器においては交番静電気力のピーク値FaとFbをそれぞれ0.0086MPaと0.01MPaに設定した。
【0030】
従来のマイクロメカニカル共振器においては図5から明らかな様に、1次共振モードのハーモニック変位が最も大きく、3次共振モードのハーモニック変位や5次共振モードのハーモニック変位はそれよりも小さくなっているのに対し、本発明のマイクロメカニカル共振器においては図6から明らかな様に、1次共振モードのハーモニック変位が抑制されて、3次共振モードのハーモニック変位が最も大きくなっている。
【0031】
この様に本発明に係るマイクロメカニカル共振器によれば、1次共振モードの振動が抑制されて、高次共振モードの振動が増大するので、その高次共振モードを利用することによって、従来よりも高い周波数帯域で動作する高周波無線通信機器を容易に構成することが出来る。
【0032】
尚、4次モード共振モードや5次共振モードを得るため、共振ビーム(52)のくびれ部の数が図14(a)に示す様に4つから、同図(b)(c)に示す様に5つや6つに増加し、それぞれの非くびれ部に第1、第2の電極を配置した場合も同様に、共振ビーム(52)に対して作用する静電気力の変動幅が、共振ビーム(52)の中央部近傍で最も小さく且つ両端部近傍で最も大きくなる様に設定する。例えば、同図(b)の場合はFa<Fbに設定し、同図(c)の場合はFa<Fb<Fcに設定する。
【0033】
図7〜図13は、本発明に係るマイクロメカニカル共振器の具体的な実施例を示している。
第1実施例
図7及び図8に示すマイクロメカニカル共振器においては、シリコン或いはガラスからなる基板(9)上に、シリコン、アルミニウム等の導電材料からなる共振子(5)が配備されると共に、該共振子(5)の両側には、シリコン、アルミニウム等の導電材料からなる一対の駆動電極(1)(2)が配備されている。
【0034】
共振子(5)は、長さが例えば10〜20μmの角柱状の共振ビーム(52)と、該共振ビーム(52)の両端部に互いに平行に突設された一対の支持ビーム(51)(51)とを具えて、全体がH字状に形成されている。共振ビーム(52)には、その長手方向の7カ所にくびれ部が等間隔に凹設されている。各支持ビーム(51)の両端部は、それぞれシリコン、アルミニウム等の導電材料からなるアンカー(3)によって、基板(9)の表面に固定されており、これによって、共振子(5)は、基板(9)の表面から僅かに浮上した位置に保持されている。
又、共振子(5)の両支持ビーム(51)(51)の外側には、それぞれ支持ビーム(51)の中央部に対向して、一対のバイアス電極(4)(4)が配備されており、支持ビーム(51)とバイアス電極(4)の間には所定(例えば0.1〜0.5μm)のギャップが形成されている。
【0035】
一対の駆動電極(1)(2)はそれぞれ、基部(11)(21)と、該基部(11)(21)から共振ビーム(52)へ向けて等間隔に突設された3つの電極突出部(10)(20)とを具えて、全体が櫛歯状を呈している。
一方の駆動電極(1)の3つの電極突出部(10)(10)(10)と他方の駆動電極(2)の3つの電極突出部(20)(20)(20)はそれぞれ、基板(9)の表面と平行な面内で、共振ビーム(52)の非くびれ部と交互に対向して、共振ビーム(52)の非くびれ部との間に所定(例えば0.1〜0.5μm)のギャップ部Gを形成している。
【0036】
図8に示す如く、一対の駆動電極(1)(2)には高周波電源(6)が接続され、1つのアンカー(3)には主電圧電源(7)が接続されている。又、一対のバイアス電極(4)(4)にはバイアス電圧電源(8)が接続されている。
斯くして、図7及び図8に示すマイクロメカニカル共振器は、高周波電源(6)から2つの駆動電極(1)(2)に高周波信号が入力されて、1つのアンカー(3)から高周波信号Ioが出力される1ポート型の共振器を構成している。
【0037】
上記のマイクロメカニカル共振器において、アンカー(3)を介して共振子(5)に直流電圧Vpを印加した状態で、両駆動電極(1)(2)に高周波信号を入力すると、電極突出部(10)(20)と支持ビーム(51)の非くびれ部との間に静電気力が発生し、この静電気力によって、共振子(5)の共振ビーム(52)は、その両端部を支持部(50)(50)として、基板(9)の表面と平行な面内で振動することになる。
電極突出部(10)(20)と共振ビーム(52)の非くびれ部との間に発生させるべき静電気力は、上述の如く、共振ビーム(52)の中央部近傍のギャップ部で最も小さく且つ両端部近傍のギャップ部で最も大きくなる様に設定される。
【0038】
共振子(5)の共振ビーム(52)は、くびれ部が振動の節、非くびれ部が振動の腹となって振動し、この振動に伴って、共振ビーム(52)と両駆動電極(1)(2)との間に形成される静電容量が変化し、該静電容量の変化が他の1つのアンカー(3)から高周波信号Ioとして出力される。
【0039】
ここで、バイアス電極(4)(4)にバイアス電圧を印加することにより、共振子(5)の支持ビーム(51)(51)とバイアス電極(4)(4)との間に静電気力が発生し、これによって共振子(5)の共振ビーム(52)は、長手方向の引っ張り力を受けることになる。
従って、バイアス電圧電源(8)のバイアス電圧を調整することにより、共振ビーム(52)の共振周波数を変化させて、アンカー(3)から出力される高周波信号Ioの周波数を微調整することが出来る。
【0040】
上述のマイクロメカニカル共振器によれば、共振子(5)の共振ビーム(52)の長手方向に沿って、複数の電極突出部(10)(20)を交互に配置することにより、その電極突出部(10)(20)の数に応じた高次の共振モードで共振ビーム(52)を意図的に共振させて、GHz帯の発振周波数を得ることが出来る。
【0041】
第2実施例
図9に示すマイクロメカニカル共振器においては、シリコン或いはガラスからなる基板(9)上に、シリコン、アルミニウム等の導電材料からなる共振子(5)が配備されると共に、該共振子(5)の両側には、シリコン、アルミニウム等の導電材料からなる入力電極(22)と出力電極(12)が配備されている。
【0042】
共振子(5)は、第1実施例と同じ構造を有し、共振子(5)の両支持ビーム(51)(51)の外側には、それぞれ支持ビーム(51)の中央部に対向して、一対のバイアス電極(4)(4)が配備されており、支持ビーム(51)とバイアス電極(4)の間には所定(例えば0.1〜0.5μm)のギャップが形成されている。
【0043】
入力電極(22)及び出力電極(12)はそれぞれ、基部(23)(13)と、該基部(23)(13)から共振ビーム(52)へ向けて等間隔に突設された3つの電極突出部(24)(14)とを具えて、全体が櫛歯状を呈している。
入力電極(22)の3つの電極突出部(24)(24)(24)と出力電極(12)の3つの電極突出部(14)(14)(14)はそれぞれ、基板(9)の表面と平行な面内で、共振ビーム(52)の非くびれ部と交互に対向して、共振ビーム(52)の非くびれ部との間に所定(例えば0.1〜0.5μm)のギャップ部Gを形成している。
【0044】
入力電極(22)には高周波電源(6)が接続され、1つのアンカー(3)には主電圧電源(7)が接続されている。又、一対のバイアス電極(4)(4)にはバイアス電圧電源(8)が接続されている。
斯くして、図9に示すマイクロメカニカル共振器は、高周波電源(6)から入力電極(22)に高周波信号が入力されて、出力電極(12)から高周波信号Ioが出力される2ポート型の共振器を構成している。
【0045】
上記のマイクロメカニカル共振器において、アンカー(3)を介して共振子(5)に直流電圧Vpを印加した状態で、入力電極(22)に高周波信号を入力すると、電極突出部(24)と支持ビーム(51)の非くびれ部との間に静電気力が発生し、この静電気力によって、共振子(5)の共振ビーム(52)は、その両端部を支持部(50)(50)として、基板(9)の表面と平行な面内で振動することになる。
電極突出部(10)と共振ビーム(52)の非くびれ部との間に発生させるべき静電気力は、上述の如く、共振ビーム(52)の中央部近傍のギャップ部で最も小さく且つ両端部近傍のギャップ部で最も大きくなる様に設定される。
【0046】
共振子(5)の共振ビーム(52)は、くびれ部が振動の節、非くびれ部が振動の腹となって振動し、この振動に伴って、共振ビーム(52)と出力電極(12)との間に形成される静電容量が変化し、該静電容量の変化が出力電極(12)から高周波信号Ioとして出力される。
【0047】
ここで、バイアス電極(4)(4)にバイアス電圧を印加することにより、共振子(5)の支持ビーム(51)(51)とバイアス電極(4)(4)との間に静電気力が発生し、これによって共振子(5)の共振ビーム(52)は、長手方向の引っ張り力を受けることになる。
従って、バイアス電圧電源(8)のバイアス電圧を調整することにより、共振ビーム(52)の共振周波数を変化させて、アンカー(3)から出力される高周波信号Ioの周波数を微調整することが出来る。
【0048】
上述のマイクロメカニカル共振器によれば、共振子(5)の共振ビーム(52)の長手方向に沿って、複数の電極突出部(14)(24)を交互に配置することにより、その電極突出部(14)(24)の数に応じた高次の共振モードで共振ビーム(52)を意図的に共振させて、GHz帯の発振周波数を得ることが出来る。
【0049】
第3実施例
図10に示すマイクロメカニカル共振器においては、シリコン或いはガラスからなる基板(9)上に、シリコン、アルミニウム等の導電材料からなる共振子(5)が配備されると共に、該共振子(5)の両側には、シリコン、アルミニウム等の導電材料からなる一対の駆動電極(15)(25)が配備されている。
【0050】
共振子(5)は、第1実施例と同じ構造を有し、共振子(5)の両支持ビーム(51)(51)の外側には、それぞれ支持ビーム(51)の中央部に対向して、一対のバイアス電極(4)(4)が配備されており、支持ビーム(51)とバイアス電極(4)の間には所定(例えば0.1〜0.5μm)のギャップが形成されている。
【0051】
一方の駆動電極(15)は、共振ビーム(52)の下方、即ち共振ビーム(52)と基板(9)の間へ向けて等間隔に突出する3つの電極突出部(16)(16)(16)を具え、他方の駆動電極(25)は、共振ビーム(52)の上方へ向けて等間隔に突出する3つの電極突出部(26)(26)(26)を具えている。
一方の駆動電極(15)の3つの電極突出部(16)(16)(16)と他方の駆動電極(25)の3つの電極突出部(26)(26)(26)はそれぞれ、基板(9)の表面と垂直な面内で、共振ビーム(52)の非くびれ部と交互に対向して、共振ビーム(52)の非くびれ部との間に所定(例えば0.1〜0.5μm)のギャップ部を形成している。
【0052】
一対の駆動電極(15)(25)には高周波電源(6)が接続され、1つのアンカー(3)には主電圧電源(7)が接続されている。又、一対のバイアス電極(4)(4)にはバイアス電圧電源(8)が接続されている。
斯くして、図10に示すマイクロメカニカル共振器は、高周波電源(6)から2つの駆動電極(15)(25)に高周波信号が入力されて、1つのアンカー(3)から高周波信号Ioが出力される1ポート型の共振器を構成している。
【0053】
上記のマイクロメカニカル共振器において、アンカー(3)を介して共振子(5)に直流電圧Vpを印加した状態で、両駆動電極(15)(25)に高周波信号を入力すると、電極突出部(16)(26)と支持ビーム(51)の非くびれ部との間に静電気力が発生し、この静電気力によって、共振子(5)の共振ビーム(52)は、その両端部を支持部(50)(50)として、基板(9)の表面と垂直な面内で振動することになる。
電極突出部(16)(26)と共振ビーム(52)の非くびれ部との間に発生させるべき静電気力は、上述の如く、共振ビーム(52)の中央部近傍のギャップ部で最も小さく且つ両端部近傍のギャップ部で最も大きくなる様に設定される。
【0054】
共振子(5)の共振ビーム(52)は、図11に示す様に、くびれ部が振動の節、非くびれ部が振動の腹となって振動し、この振動に伴って、共振ビーム(52)と両駆動電極(1)(2)との間に形成される静電容量が変化し、該静電容量の変化が他の1つのアンカー(3)から高周波信号Ioとして出力される。
【0055】
ここで、バイアス電極(4)(4)にバイアス電圧を印加することにより、共振子(5)の支持ビーム(51)(51)とバイアス電極(4)(4)との間に静電気力が発生し、これによって共振子(5)の共振ビーム(52)は、長手方向の引っ張り力を受けることになる。
従って、バイアス電圧電源(8)のバイアス電圧を調整することにより、共振ビーム(52)の共振周波数を変化させて、アンカー(3)から出力される高周波信号Ioの周波数を微調整することが出来る。
【0056】
上述のマイクロメカニカル共振器によれば、共振子(5)の共振ビーム(52)の長手方向に沿って、複数の電極突出部(16)(26)を交互に配置することにより、その電極突出部(16)(26)の数に応じた高次の共振モードで共振ビーム(52)を意図的に共振させて、GHz帯の発振周波数を得ることが出来る。
【0057】
第4実施例
図12に示すマイクロメカニカル共振器においては、シリコン或いはガラスからなる基板(9)上に、シリコン、アルミニウム等の導電材料からなる共振子(5)が配備されると共に、該共振子(5)の両側には、シリコン、アルミニウム等の導電材料からなる入力電極(27)と出力電極(17)が配備されている。
【0058】
共振子(5)は、第1実施例と同じ構造を有し、共振子(5)の両支持ビーム(51)(51)の外側には、それぞれ支持ビーム(51)の中央部に対向して、一対のバイアス電極(4)(4)が配備されており、支持ビーム(51)とバイアス電極(4)の間には所定(例えば0.1〜0.5μm)のギャップが形成されている。
【0059】
入力電極(27)及び出力電極(17)はそれぞれ、共振ビーム(52)の下方、即ち共振ビーム(52)と基板(9)の間へ向けて等間隔に突出する3つの電極突出部(28)(18)を具え、これらの電極突出部(28)(18)はそれぞれ、基板(9)の表面と垂直な面内で、共振ビーム(52)の非くびれ部と交互に対向して、共振ビーム(52)の非くびれ部との間に所定(例えば0.1〜0.5μm)のギャップ部を形成している。
【0060】
入力電極(27)には高周波電源(6)が接続され、1つのアンカー(3)には主電圧電源(7)が接続されている。又、一対のバイアス電極(4)(4)にはバイアス電圧電源(8)が接続されている。
斯くして、図12に示すマイクロメカニカル共振器は、高周波電源(6)から入力電極(27)に高周波信号が入力されて、出力電極(17)から高周波信号Ioが出力される2ポート型の共振器を構成している。
【0061】
上記のマイクロメカニカル共振器において、アンカー(3)を介して共振子(5)に直流電圧Vpを印加した状態で、入力電極(27)に高周波信号を入力すると、電極突出部(28)と支持ビーム(51)の非くびれ部との間に静電気力が発生し、この静電気力によって、共振子(5)の共振ビーム(52)は、その両端部を支持部(50)(50)として、基板(9)の表面と垂直な面内で振動することになる。
電極突出部(28)と共振ビーム(52)の非くびれ部との間に発生させるべき静電気力は、上述の如く、共振ビーム(52)の中央部近傍のギャップ部で最も小さく且つ両端部近傍のギャップ部で最も大きくなる様に設定される。
【0062】
共振子(5)の共振ビーム(52)は、図13に示す様に、くびれ部が振動の節、非くびれ部が振動の腹となって振動し、この振動に伴って、共振ビーム(52)と出力電極(17)との間に形成される静電容量が変化し、該静電容量の変化が出力電極(17)から高周波信号Ioとして出力される。
【0063】
ここで、バイアス電極(4)(4)にバイアス電圧を印加することにより、共振子(5)の支持ビーム(51)(51)とバイアス電極(4)(4)との間に静電気力が発生し、これによって共振子(5)の共振ビーム(52)は、長手方向の引っ張り力を受けることになる。
従って、バイアス電圧電源(8)のバイアス電圧を調整することにより、共振ビーム(52)の共振周波数を変化させて、アンカー(3)から出力される高周波信号Ioの周波数を微調整することが出来る。
【0064】
上述のマイクロメカニカル共振器によれば、共振子(5)の共振ビーム(52)の長手方向に沿って、複数の電極突出部(18)(28)を交互に配置することにより、その電極突出部(18)(28)の数に応じた高次の共振モードで共振ビーム(52)を意図的に共振させて、GHz帯の発振周波数を得ることが出来る。
【0065】
上記の様に、本発明に係るマイクロメカニカル共振器によれば、共振子(5)の共振ビーム(52)に高次モードの振動を意図的に発生させることが出来るので、共振子(5)を作製容易な寸法に維持したまま、従来よりも高い発振周波数を得ることが出来る。又、バイアス電圧電源(8)の電圧調整により、共振子(5)の形状寸法を変更することなく、発振周波数の微調整を行なうことが出来る。
【0066】
更に又、本発明に係るマイクロメカニカル共振器によれば、共振ビーム(52)に作用する静電気力を共振ビーム(52)の中央部から両端部に向かって増大させると共に、共振ビーム(52)の振動の節となる位置にくびれ部を凹設した構成により、共振ビーム(52)に発生する高次共振モードの振動波形は、該波形に含まれる複数のピーク値が互いに等しくなる理想的なものに近づき、その結果、1次の共振モードの振動が抑えられて高次の共振モードの振動が増大することになる。従って、発振周波数の高い高次共振モードを利用した無線通信装置への応用が可能となる。
【0067】
特に、本発明に係るマイクロメカニカル共振器は、出力される高周波信号の周波数を挺倍することなく、直接に必要な周波数を発振させることが出来るので、低位相ノイズが必要とされる装置、例えばリモートキーレスエントリーシステムや、スペクトラム拡散通信やソフトウエア無線等のRF無線装置に有効である。
【0068】
尚、本発明の各部構成は上記実施の形態に限らず、特許請求の範囲に記載の技術的範囲内で種々の変形が可能である。例えば、共振子(5)の材料として、ヤング率の高い材料、例えばダイアモンド等を用いることによって、更に高い発振周波数を実現することも可能である。又、上記実施例では電極の形状は何れも櫛歯状を呈しているが、複数の電極突出部(電極片)を互いに導電線路で接続した構成を採用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明に係るマイクロメカニカル共振器の基本構成を示す平面図である。
【図2】本発明に係るマイクロメカニカル共振器における静電気力の設定を実現するための構成例を示す平面図である。
【図3】同上の他の構成例を示す平面図である。
【図4】同上の更に他の構成例を示す平面図である。
【図5】従来のマイクロメカニカル共振器における周波数特性を表わすグラフである。
【図6】本発明のマイクロメカニカル共振器における周波数特性を表わすグラフである。
【図7】本発明の第1実施例のマイクロメカニカル共振器の斜視図である。
【図8】第1実施例のマイクロメカニカル共振器の平面図である。
【図9】第2実施例のマイクロメカニカル共振器の平面図である。
【図10】第3実施例のマイクロメカニカル共振器の平面図である。
【図11】第3実施例のマイクロメカニカル共振器における共振ビームの振動状態を説明する断面図である。
【図12】第4実施例のマイクロメカニカル共振器の平面図である。
【図13】第4実施例のマイクロメカニカル共振器における共振ビームの振動状態を説明する断面図である。
【図14】本発明に係るマイクロメカニカル共振器における静電気力の大小関係を説明する図である。
【図15】従来のマイクロメカニカル共振器の斜視図である。
【図16】従来の他のマイクロメカニカル共振器の斜視図である。
【図17】共振モードを説明する図である。
【図18】1次共振モード及び高次共振モードの周波数特性を表わすグラフである。
【符号の説明】
【0070】
(1) 駆動電極
(10) 電極突出部
(2) 駆動電極
(20) 電極突出部
(3) アンカー
(4) バイアス電極
(5) 共振子
(50) 支持部
(51) 支持ビーム
(52) 共振ビーム
(53) 非くびれ部
(54) くびれ部
(6) 高周波電源
(7) 主電圧電源
(8) バイアス電圧電源
(9) 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板(9)上に両端部が支持された共振ビーム(52)と、該共振ビーム(52)の両端部間の軸部に対向して配置された2つの電極(1)(2)とを具え、共振ビーム(52)の両端部間にて、一方の電極(1)と共振ビーム(52)とが互いに対向して、1或いは複数のギャップ部が形成されると共に、他方の電極(2)と共振ビーム(52)とが互いに対向して、1或いは複数のギャップ部が形成され、高周波信号の入力により何れか一方若しくは両方の電極(1)(2)と共振ビーム(52)との間に交番静電気力を発生させて共振ビーム(52)に振動を与え、何れか一方若しくは両方の電極(1)(2)と共振ビーム(52)との間の静電容量の変化を高周波信号として出力するマイクロメカニカル共振器において、共振ビーム(52)に対して各ギャップ部を介して作用する静電気力の変動幅が、共振ビーム(52)の中央部近傍のギャップ部で最も小さく且つ両端部近傍のギャップ部で最も大きくなる様に設定されており、これによって1次の共振モードの振動を抑えて高次の共振モードの振動を増大させたことを特徴とするマイクロメカニカル共振器。
【請求項2】
一方の電極(1)は共振ビーム(52)の中央部近傍にギャップ部を形成すると共に、他方の電極(2)は共振ビーム(52)の両端部近傍にギャップ部を形成するものであって、前記他方の電極(2)には、該電極(2)に一定のバイアス電圧を印加するためのバイアス電圧源が接続されている請求項1に記載のマイクロメカニカル共振器。
【請求項3】
共振ビーム(52)の両端部間に形成されている各ギャップ部のギャップ長が、共振ビーム(52)の中央部近傍のギャップ部で最も大きく且つ両端部近傍のギャップ部で最も小さくなる様に設定されている請求項1に記載のマイクロメカニカル共振器。
【請求項4】
共振ビーム(52)の両端部間に形成されている各ギャップ部の幅が、共振ビーム(52)の中央部近傍のギャップ部で最も小さく且つ両端部近傍のギャップ部で最も大きくなる様に設定されている請求項1に記載のマイクロメカニカル共振器。
【請求項5】
基板(9)上に両端部が支持された共振ビーム(52)と、該共振ビーム(52)の両端部間の軸部に対向して配置された2つの電極(1)(2)とを具え、共振ビーム(52)の両端部間にて、一方の電極(1)と共振ビーム(52)とが互いに対向して、1或いは複数のギャップ部が形成されると共に、他方の電極(2)と共振ビーム(52)とが互いに対向して、1或いは複数のギャップ部が形成され、高周波信号の入力により何れか一方若しくは両方の電極(1)(2)と共振ビーム(52)との間に交番静電気力を発生させて共振ビーム(52)に振動を与え、何れか一方若しくは両方の電極(1)(2)と共振ビーム(52)との間の静電容量の変化を高周波信号として出力するマイクロメカニカル共振器において、共振ビーム(52)の各ギャップ部に面する領域に作用させるべき交番静電気力の領域間の比率は、各領域に一定の静電気力を作用させた場合において各領域の静的変位量が均等となるときの静電気力の領域間比率と同一、若しくは略同一となる様、調整されていることを特徴とするマイクロメカニカル共振器。
【請求項6】
共振ビーム(52)には、振動の節となる複数の領域にそれぞれ、他の領域よりも断面積の小さなくびれ部(54)が凹設されている請求項1乃至請求項5の何れかに記載のマイクロメカニカル共振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2008−99042(P2008−99042A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−279356(P2006−279356)
【出願日】平成18年10月13日(2006.10.13)
【出願人】(593006630)学校法人立命館 (359)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【Fターム(参考)】