説明

マイクロラフなインプラント表面及び関連するインプラントにナノ粒子を制御コーティングする方法及びシステム

本発明は、マイクロラフなインプラント表面への材料の塗布を制御する方法及びシステムを提供する。故に、本発明は、インプラントの表面に結晶性ナノ粒子を塗布して、その表面上に結晶性ナノ粒子層があるインプラントを作製する方法であって、その表面上に結晶性ナノ粒子層があるインプラントを作製するために、インプラント基板本体を用意するステップと、インプラントの表面に結晶性ナノ粒子を塗布するステップと、インプラントを回転させるステップとを含む方法を提供する。このナノ粒子塗布の方法は、歯科及び整形外科スクリュー等のインプラントの生体組織内への統合を促進するように設計されており、インプラントのマイクロラフネスを同時に保持しながら、一層又は数層になっているナノ粒子層の厚み及び均一性を制御する能力を付与する。その表面上に結晶性ナノ粒子層を有するインプラント(単数又は複数)の表面に結晶性ナノ粒子を塗布するためのシステムがさらに提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、マイクロラフなインプラント表面へのナノサイズ材料の塗布を制御し得る方法及びシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
失われた身体機能を回復させることを目的としたインプラントは、医療及び健康管理においてますます一般的になりつつある。多くの異なる種類のインプラントが存在し、様々な異なる材料から作製される。外科的に植え込まれて生体骨に統合されるデバイスであるオッセオインテグレーテッドインプラントの場合、最も一般的に見られる材料は、チタン及びチタン合金等の金属並びに酸化ジルコニウム等のセラミックである。これらの材料は、置き換えられる骨組織と同様の機械的特性を有する。
【0003】
インプラントが円滑に機能するためには、インプラントの良好な固定が必要である。この固定は、機械的連結及び物理化学的結合の組合せであってよく、インプラント表面のマイクロ構造(例えば、Wennerbergら、J.Biomed.Mater.Res.30(1996)251〜260;Branemarkらによる米国特許第4,330,891号;及びLarssonらによる米国特許第6,689,170号を参照)及び表面化学(Ellingsenらによる米国特許第5,571,188号;R.G.T.Geesink、Clin.Orthop.261(1990)39〜58;Jansenら、Mater.Res.、25(1991)973〜989;Bauerら、J.Bone Joint Surg.、73A(1991)1439〜1452;Rashmir−Ravenら、J.Appl.Biomater.6(1995)237〜242)の両方に依存する。オッセオインテグレーションを向上させるために、強化されたオッセオインテグレーション特性を保有するコーティングが開発されてきた。これらのコーティングは、生体組織とインプラントとの間に界面を作製して、より速く且つより良好なオッセオインテグレーションを可能にする。コーティング材料の1つの一般的なファミリーはリン酸カルシウムであり、特にハイドロキシアパタイト(HA)のメンバーである。HAは、骨及び歯において見られる鉱物に類似しており、化学的に安定であり、且つ生物活性な(インプラント材料と周囲組織との間の物理化学的結合を開始する特性を有するという意味)数少ない材料の1つであることが知られている。
【0004】
基板にリン酸カルシウムを堆積させるための、数種のコーティング法が存在し、これには、熱プラズマ溶射、スパッタリング、電気化学堆積、及び粒子分散液中への浸漬によるナノ粒子堆積が含まれる。熱プラズマ溶射工程の間、電気アークを混合ガス流に通過させることにより、プラズマが生成される。この工程により鉱物原料の部分溶融がもたらされ、基板、例えばインプラントに比較的強い力で浴びせられる。この方法は、関与する高温により原料の結晶化度に影響を及ぼし、多形体の混合物及び非晶質材料を作製し得る。伝統的に、プラズマ溶射法は、基板とコーティングとの間の接着性の問題を創出し得る、比較的厚い、通常は数マイクロメートルのコーティング層を生成し、これが乏しいオッセオインテグレーションにつながり得る(Cheang,P及びKhor,K.A.、Biomaterials 1996、17、537;Grootら、Biomedical.Mater.Res.1987、21、1375;Story,B.及びBurgess,A.、S.Calcitek:USA、1998;並びにZymanら、Biomaterials 1993、14、225)。熱プラズマ溶射技術は、およそ100ナノメートルのより薄い層を生成するために使用できる(米国特許第5,543,019号)が、高温による問題は依然として存在している。
【0005】
スパッタリングは、通常は非化学量論的且つ非晶質であるスパッタコーティングを塗布するために使用され、植え込まれる際に接着及び高すぎるコーティング溶解率という深刻な問題を引き起こし得る。さらに、スパッタリング法は、その低性能及び高コストによりほとんど使用されない(Massaroら、J.Biomedical Materials Research、58(6):651〜657、2001年12月5日)。電気化学堆積技術は比較的安価であるが、堆積中のガス産生という問題が存在し、コーティングの亀裂及び裂傷という問題をもたらし得る。ナノ粒子堆積法は、粒子分散液中への浸漬を使用する。この方法は、ナノ粒子をインプラント表面上に堆積させる1ステップ工程(該方法では、インプラント表面の少なくとも一部を粗面化することによって表面を前処理して少なくともマイクロスケールで粗面化された表面を生成することが必要である)を使用して(WO2008/051555)、又はコーティングとしてシランを使用する基板の前処理を伴う2ステップ工程を使用して(米国特許出願第2004/0249472号)ナノ粒子の離散吸着をもたらすものである。この方法では、インプラント表面の高湿潤性を保有する溶液中によく分離された、明瞭に画定されたナノ粒子の高品質粒子分散液が求められる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ナノ粒子堆積法は、オッセオインテグレーションを効果的に向上させることが示されているが、これらの方法には、シリコン化学物質(アミノプロピルトリエトキシシラン)の添加の必要性等の数種の制限、及び特定の厚みを有する層が望まれる場合のように離散したナノ粒子よりも多量の堆積を制御する際の制限がある。疑似体液を利用してHAコーティングを形成する生物模倣法(Wei−Qi Yanら、Biomaterials 1997(18)1185〜1190)を含む、文献に記載されている数種の他の技術があるが、現在はプラズマ溶射及びナノ粒子堆積技術のみが商業的に使用されていると考えられる。上述したこれらの技術及び記載されていない他の技術を利用することの問題は多くあり、特に、基板との接着の問題及び複雑な形状を有するコーティング物体の問題につながる厚い層(数μm)しか塗布することができないことによるものである。使用された又は試験された技術のいくつかは、局所的高温も創出し、所望の結晶性アパタイト形態の代わりに非晶質HAが得られる。したがって、表面への結晶性ナノ粒子、特にHAナノ粒子の堆積のための新たなコーティング法が必要である。
【0007】
本発明の実施形態は、マイクロラフなインプラント表面及び関連するインプラントへのナノ粒子層の塗布を制御し得る方法及びシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態は、下層のマイクロトポグラフィーを保持しながらインプラント表面への材料の塗布を制御し得る方法及びシステムに関する。加えて、本明細書において、そのような方法及びシステムを使用して作製される作製物が開示される。
【0009】
したがって、いくつかの実施形態において、インプラントの表面に結晶性ナノ粒子を塗布して、その表面上に結晶性ナノ粒子層があるインプラントを作製する方法が提供される。該方法は、その表面上に結晶性ナノ粒子層があるインプラントを作製するために、(a)インプラント基板本体を用意するステップと、(b)インプラントの表面に結晶性ナノ粒子を塗布するステップと、(c)インプラントを回転させるステップとを含む。いくつかの実施形態において、インプラントが回転している間に、場合によりガス流をインプラントに方向付けてよい。インプラントの表面上のナノ粒子層は、インプラントのオッセオインテグレーションを強化し得る。
【0010】
いくつかの態様において、該方法は、ナノ粒子が中で生成された液晶相を希釈することにより、ナノ粒子を含有するマイクロエマルションを形成するステップを含む。該方法は、ナノ粒子を含有する液晶を希釈し、それによって望まれるナノ粒子濃度を有する油中水型マイクロエマルションを形成するステップを含み得る。故に、いくつかの実施形態において、塗布するステップは、マイクロエマルション中に分散させる際に結晶性ナノ粒子を塗布するステップを含み得る。
【0011】
いくつかの実施形態において、ナノ粒子はリン酸カルシウムナノ粒子を含む。リン酸カルシウムナノ粒子は、ハイドロキシアパタイトナノ粒子を含み得るがこれに限定されない。いくつかの実施形態において、塗布するステップは、液堆積技術を使用してナノ粒子が薄層として塗布されるように行われ得る。
【0012】
いくつかの実施形態において、該方法は、ナノ粒子の塗布後及び/又は最中に回転又はスピンさせ、それによってナノ粒子の1つ又は複数の層の厚み及び均一性を制御するステップを含み得る。特定の実施形態において、インプラントは、塗布するステップの後であるがそれに近接して回転させる。いくつかの実施形態において、インプラントが回転している間に、ガス流をインプラントに方向付けてよい。該方法は、ナノ粒子の1つ又は複数の層の厚み及び均一性を制御し得る。いくつかの実施形態において、該方法は、結晶性ナノ粒子の厚みを制御するステップと、同時に、塗布するステップ及び回転させるステップに応答して、並びに場合により、回転させるステップの最中にガスを方向付けるステップに応答して、インプラント表面のマイクロトポグラフィーを実質的に保持するステップとを含む。
【0013】
いくつかの実施形態において、該方法を使用して、ナノ粒子の層を金属製のインプラントの表面に塗布することができる。金属は、チタン又はチタン合金を含み得るがこれらに限定されない。他の実施形態において、該方法を使用して、ナノ粒子をセラミックインプラントに塗布することができる。セラミックインプラント材料は、ジルコニアを含み得るがこれに限定されない。
【0014】
該方法は、インプラントの表面のマイクロラフネスが粒子の塗布後に実質的に保持されるように行われ得る。
【0015】
さらに、本発明の実施形態は、ナノ粒子の少なくとも1つの層を有するマイクロラフなインプラント表面をコーティングすることを対象とする。いくつかの実施形態において、ナノ粒子は、オッセオインテグレーションを促進するリン酸カルシウム材料、例えばハイドロキシアパタイトを含む。該方法は、表面をシランで前処理することも、マイクロスケール表面を生成するためにインプラント表面を粗面化することもなく行われ得る。いくつかの実施形態において、マイクロラフなインプラントの表面上のナノ粒子層は、下層のマイクロ構造を実質的に保持し、インプラントのオッセオインテグレーションを促進する。上記で論じた通り、ナノ粒子コーティング層の厚みは、インプラントをスピン又は回転させることによって、及び場合により、回転させるステップの最中にガス流をインプラントに方向付けることによっても制御され得る。マイクロラフなインプラント表面に関して、本発明のマイクロエマルションは、マイクロ粗面化された表面を透過して、ナノ又はマイクロサイズの亀裂等、インプラントの表面にある小区画の内側にナノ粒子を入れることができることに留意されたい。
【0016】
本発明のさらなる実施形態は、その表面上に結晶性ナノ粒子層があるインプラントを作製するために、インプラント基板本体を用意し、インプラントの表面に結晶性ナノ粒子を塗布し、且つインプラントを回転させることによって作製される、その表面上に結晶性ナノ粒子層があるインプラントを提供する。いくつかの実施形態において、該方法は、インプラントが回転している間に、ガス流をインプラントに方向付けるステップを場合により含み得る。
【0017】
本発明の他の実施形態によれば、その表面上にハイドロキシアパタイトナノ粒子層があるチタンインプラントが開示される。結晶性ナノ粒子を塗布する前にインプラントを前処理する必要はない。本発明のまた別の態様は、結晶性ハイドロキシアパタイトナノ粒子外層を有し、該層の厚みは約2nmから約500nmの範囲内であるラフチタン表面マイクロトポグラフィーを備えるチタン歯科インプラントを提供する。ナノ粒子層は、マイクロトポグラフィーが実質的に保持され得るようにチタンインプラント表面のマイクロトポグラフィーに適合される。チタンインプラントのナノ結晶性ハイドロキシアパタイトナノ粒子層は、化学量論的且つ結晶形態である。
【0018】
本発明の他の実施形態は、インプラントの表面に結晶性ナノ粒子を塗布して、その表面上に少なくとも1つの結晶性ナノ粒子層があるインプラントを作製するためのシステムを対象とする。該システムは、回転部材と、標的インプラントを着脱自在に把持するように構成された回転部材に付着しているインプラントホルダーと、場合により、ガス流をガス供給器からインプラントホルダーによって把持されているインプラントに対して実質的に直角な方向に方向付けるように構成された加圧ガス供給器とを含む。
【0019】
本発明のこれらの及び他の態様を、以下の本発明の実施形態の記述においてより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1A】本発明の実施形態による、例示的なインプラントスピンコーターシステムの概略図である。
【図1B】本発明の実施形態による、インプラントスピンコーターシステムの代替的構成の概略図である。
【図2】本発明の実施形態による、インプラント表面上の流動するガス流を方向付け及び制御するために使用される例示的なガスノズルの概略図である。
【図3】本発明のいくつかの実施形態による、その表面上にナノ粒子層があるインプラントを調製するために使用され得る例示的な方法の流れ図である。
【図4】本発明のいくつかの実施形態に従って動作するデバイスに含まれ得る、例示的なデータ処理システムである。
【図5】本発明の実施形態による、例示的な歯科インプラントの概略図である。
【図6A】本発明の実施形態による、未変性のブラスト加工した酸エッチングチタンインプラント表面の電界放射型走査電子顕微鏡(FESEM)像である。
【図6B】本発明の実施形態による、2250回転数/分(rpm)の回転速度を使用してコーティングされた、二重コーティングのブラスト加工した酸エッチングチタンインプラント表面のFESEM像である。
【図6C】本発明の実施形態による、2250rpmの回転速度及び40L/分の窒素流速を使用してコーティングされた、二重コーティングのブラスト加工した酸エッチングチタンインプラント表面のFESEM像である。
【図6D】本発明の実施形態による、2250rpmの回転速度及び80L/分の窒素流速を使用してコーティングされた、二重コーティングのブラスト加工した酸エッチングチタンインプラント表面のFESEM像である。
【図6E】本発明の実施形態による、3500rpmの回転速度を使用してコーティングされた、二重コーティングのブラスト加工した酸エッチングチタンインプラント表面のFESEM像である。
【図6F】本発明の実施形態による、3500rpmの回転速度及び窒素流速=40L/分を使用してコーティングされた、二重コーティングのブラスト加工した酸エッチングチタンインプラント表面のFESEM像である。
【図6G】本発明の実施形態による、3500rpmの回転速度及び80L/分の窒素流速を使用してコーティングされた、二重コーティングのブラスト加工した酸エッチングチタンインプラント表面のFESEM像である。
【図6H】本発明の実施形態による、4700rpmの回転速度を使用してコーティングされた、二重コーティングのブラスト加工した酸エッチングチタンインプラント表面のFESEM像である。
【図6I】本発明の実施形態による、4700rpmの回転速度及び40L/分の窒素流速を使用してコーティングされた、二重コーティングのブラスト加工した酸エッチングチタンインプラント表面のFESEM像である。
【図6J】本発明の実施形態による、4700rpmの回転速度及び80L/分の窒素流速を使用してコーティングされた、二重コーティングのブラスト加工した酸エッチングチタンインプラント表面のFESEM像である。
【図6K】本発明の実施形態による、3500rpmの回転速度及び40L/分の窒素流速を使用してコーティングされた、一重コーティングのブラスト加工した酸エッチングチタンインプラント表面のFESEM像である。
【図6L】本発明の実施形態による、3500rpmの回転速度及び40L/分の窒素流速、50%の粒子濃度を使用してコーティングされた、二重コーティングのブラスト加工した酸エッチングチタンインプラント表面のFESEM像である。
【図6M】本発明の実施形態による、3500rpmの回転速度を使用し窒素流を使用せずにコーティングされた、一連の二重コーティングのブラスト加工した酸エッチングチタンインプラントのFESEM像である。
【図6N】本発明の実施形態による、3500rpmの回転速度及び窒素流速=40L/分を使用してコーティングされた、一連の二重コーティングのブラスト加工した酸エッチングチタンインプラントのFESEM像である。
【図7】インプラントの除去に必要なトルクを用いた動物研究の結果を異なる癒合時間の関数として示す、コーティングされていないインプラント及びHAコーティングされたインプラントについての除去トルク(Ncm)対癒合時間(週間)のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以後、本発明の実施形態を示した添付の図面を参照して本発明をさらに十分に記述する。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現化され得、本明細書において説明されている実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではなく、むしろ、これらの実施形態は、本開示が徹底的且つ完全なものとなり、当業者に本発明の範囲を十分に伝達するように提供されるものである。
【0022】
全体を通して、類似の数字は類似の要素を指す。図面において、ある特定の線、層、成分、要素又は装備の厚みは、明確にするために誇張されている場合がある。破線は、別段の明記がない限り、任意選択の装備又は動作を図示するものである。
【0023】
本明細書において使用される術語は、特定の実施形態を記述することのみを目的としたものであり、本発明の限定を意図するものではない。本明細書において使用される場合、単数形「a」、「an」及び「the」は、文脈上明らかに別段の定めがある場合を除き、複数形も含むことが意図されている。用語「を含む(comprises)」及び/又は「を含む(comprising)」は、本明細書において使用される場合、挙げられた装備、整数、ステップ、動作、要素及び/又は成分の存在を明記するが、1つ又は複数の他の装備、整数、ステップ、動作、要素、成分及び/又はそれらの群の存在又は追加を除外するものではないことがさらに理解されよう。本明細書において使用される場合、用語「及び/又は」は、関連して収載されている項目の1つ又は複数のありとあらゆる考えられる組合せ、及び二者択一(「又は」)で伝えられる際には組合せの欠如を指し、且つ包含する。ハイドロキシアパタイトナノ粒子等の量等、測定可能な値に言及する際の用語「約」は、本明細書において使用される場合、明記された量の±20%、±10%、±5%、±1%、±0.5%又はさらに±0.1%の変動を包含するように意味付けられている。本明細書において使用される場合、「XからYの間」及び「約XからYの間」等の語句は、X及びYを含むと解釈されるべきである。本明細書において使用される場合、「約XからYの間」等の語句は、「約Xから約Yの間」を意味する。本明細書において使用される場合、「約XからYまでの」等の語句は、「約Xから約Yまでの」を意味する。
【0024】
本明細書において使用される場合、移行句「本質的に〜からなる」は、請求項の範囲が、該請求項において列挙されている明記された材料又はステップ、及び特許請求されている発明の基本的且つ新規の特徴(複数可)に著しく影響を及ぼさない材料又はステップを包含すると解釈されることを意味する。故に、用語「本質的に〜からなる」は、本発明の請求項において使用される場合、「を含む」の相当語句と解釈されることは意図されていない。
【0025】
別段の定義がない限り、本明細書において使用されるすべての用語(技術用語及び科学用語を含む)は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されているのと同じ意味を有する。一般的に使用される辞書で定義されているもの等の用語は、本明細書及び関連技術の文脈におけるそれらの意味と一致する意味を有するものとして解釈されるべきであり、本明細書においてそうであると明白に定義されてない限り、理想化された又は過度に正式な意味で解釈されるべきではないことがさらに理解されよう。周知の機能又は構成は、簡潔にするため及び/又は明確にするために、詳細に記述されない場合がある。
【0026】
本明細書において列挙されているすべての刊行物、特許出願、特許及び他の参考文献は、該参考文献が提示されている文及び/又は段落に関する教示について、参照によりその全体が組み込まれる。
【0027】
本明細書において使用される場合、語句「液堆積技術」は、インプラントの表面に液体ナノ粒子溶液を塗布する任意の方法を指す。液体溶液を塗布する方法の例は、結晶性ナノ粒子含有マイクロエマルションにインプラントを浸漬すること、インプラント表面に結晶性ナノ粒子マイクロエマルションを刷毛塗りし、筆塗りし、及び/若しくは噴霧すること、インプラントの表面に結晶性ナノ粒子溶液を滴下し、注ぎ、垂らすこと;並びに/又はインプラント表面に結晶性ナノ粒子マイクロエマルションを電気化学的に塗布することを含むがこれらに限定されない。
【0028】
本明細書において使用される場合、用語「マイクロトポグラフィー」は、インプラント表面のマイクロ構造を指し、該インプラント表面はマイクロスケールの凹凸を有する。「マイクロスケール」又は「マイクロ長さスケール」は、本明細書において使用される場合、マイクロメートルで、例えば1から100マイクロメートルで概して測定される物品又は装備を指す。本明細書において使用される場合、インプラント表面マイクロトポグラフィーは、ラフ仕上げを有する表面を含み、「ラフ」又は「マイクロラフ」を含み得、且つ、山、谷、亀裂及び裂溝を含み得るがこれらに限定されない。
【0029】
表面ラフネスの概念は、表面の質感の程度であり、全般的な工学の実践において一般的に使用される。表面ラフネスを計測するための最も一般的な値は、Ra値である。Raは、評価長さ内で記録された、平均線からのプロフィール高さ偏差の絶対値の算術平均として定義される。これは、平均線の上下で面積が同じとなるような手法で、平均線が表面に平行に引かれている形態である面積の総和を取ることとして説明できる。次いで、この総和面積を試料の長さで割る。Ra値はmというSI単位を有するが、通常は、測定の分解能に応じてマイクロメートル又はナノメートルで表示される。表面ラフネスを測定するために使用される方法は、側面計(表面を横切って測定スタイラスをドラッグする)、干渉法(光学法)、並びに共焦点顕微鏡法、電子顕微鏡法及び原子間力顕微鏡法等の様々な種類の顕微鏡法を含む。
【0030】
本明細書において使用される場合、語句「に近接して」は、時間、一連のイベントにおけるような順序が次であること;次に直接先行する若しくは続く、及び/又は空間的に近い位置を指す。
【0031】
本発明の実施形態は、インプラントのオッセオインテグレーションを向上させるための医療用インプラントの表面改質に特に適し得る。本発明の実施形態のいくつかの態様は、インプラントのラフネスをマイクロメートル長さスケールで変化させることなく(例えば、インプラント基板がその元のラフネス及び/又はマイクロトポグラフィーを保持するように)、インプラント表面にリン酸カルシウムナノ粒子層を堆積させることを含む。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態において、インプラントの表面に結晶性ナノ粒子を塗布するためのインプラントスピンコーターシステム(10)が提供される。そのようなシステム(10)の例は、図1A及び1Bに示されている。故に、本発明のインプラントスピンコーターシステム(10)については、図1A及び1Bを参照してさらに詳細に記述する。したがって、本発明の一実施形態は、インプラント(2)の表面に結晶性ナノ粒子を塗布して、その表面上に結晶性ナノ粒子層があるインプラント(2)を作製するためのインプラントスピンコーターシステム(10)である。システム(10)は、回転部材又はスピン部材(11)と;標的インプラント(2)を着脱自在に把持するように構成された回転部材(11)に付着しているインプラントホルダー(3)と;場合により、(加圧)ガス流(7s)をガス供給器(12)から典型的にはインプラントホルダー(3)によって把持されているインプラント(2)に対して実質的に直角な方向でインプラント(2)に方向付けるように構成された加圧ガス供給器(12)とを備える。故に、インプラント(2)は、インプラントホルダー(3)に入れられ、スクリュー等の連結機構(4)で固着される。回転部材(11)を軸(8)上に置き、スクリュー等の別の連結機構(5)で固着してよい。回転部材(11)は、電気(DC)モーター(6)を有する自動デバイスであってよい。
【0033】
いくつかの実施形態において、ガス供給器(12)は、ガス流(7s)をインプラントに方向付けるための少なくとも1つのガスノズル(7)を備える。ガスノズル(7)は、コーティング手順の回転させるステップ又はスピンさせるステップの最中にインプラント(2)全体がガス流(7s)を受けるように、インプラント(2)から距離「D」に置かれ得る。ノズル(7)内の流開口(7p)のサイズ、間隔及び量、並びにノズルの数も、インプラントの表面において望まれるガス流の量及び覆われるインプラントのサイズに応じて異なり得る。図2に示すように、いくつかの実施形態において、ガスノズル(7)は、約21mmの長さ及び約6.5mmの幅を有し、相隔たる複数の流開口(7p)を備えている。流開口(7p)は、例えば2.8mmの直径等、約2mmから約3mmの間の直径を有し得る。他の長さ及び幅及び開口サイズを使用してもよい。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態において、インプラントホルダー(3)は、回転部材(11)に対して垂直に又は水平にインプラント(2)を着脱自在に把持し、ガス流(7s)をインプラント(2)に対して実質的に直角な方向に方向付けるために、ガスノズル(7)(使用される場合)の位置が相応に調整される。故に、図1Aは横からそれに方向付けられたガスノズル(7)と垂直な位置にあるインプラントを示しているのに対し、図1Bはインプラントが他の角度で位置付けられ得ることを示している。故に、いくつかの実施形態において、インプラント(2)は、ガス流がインプラント(2)に対して実質的に直角に方向付けられるように、上又は下に方向付けられたノズル(7)と水平に位置付けられ得る。さらに、ノズル(7)を他の角度で置いてよく、インプラント(2)の両面に位置付けられた1つ又は複数の追加のノズルと結合させてよく、又は、ノズル(7)を、インプラントの周りに円周方向に伸展するように構成してよい。いくつかの実施形態において、ナノ粒子の層の厚み及び均一性を制御できるように、ガス流をインプラントの回転と協調する様式で脈動させてよい。
【0035】
ノズル(7)とインプラント(2)との間の距離は、インプラントの表面において望まれるガス流の量に応じて異なり得る。故に、使用される場合、ガスノズルは、ガス流(7s)をインプラントに方向付けるのに適した位置に置かれる。いくつかの実施形態において、ガスノズル(7)は、ノズルの先端部(インプラントに最も近いノズルの端部)とインプラントの中心線との間の距離が約50mm以下となるように置かれる。いくつかの実施形態において、インプラントの中心線からノズルの先端部の間の距離は、約30mmである。いくつかの実施形態において、システム(10)は、インプラントの中心線からノズルの先端部の間の距離が約15mmとなるように構成される。しかしながら、インプラント(2)の中心線からノズル(7)の先端部の間のより遠い又はより近い距離が使用され得ることが企図されている。ノズル(7)のサイズ及び形状も、インプラントのコーティングされる部分がガス流内となるように、インプラントのサイズ及び形状に応じて変動し得る。
【0036】
図3は、本発明のいくつかの実施形態による、その表面上にナノ粒子層があるインプラントを調製するために使用され得る例示的な方法を図示するものである。したがって、本発明の実施形態は、インプラントの表面に結晶性ナノ粒子を塗布して、その表面上に結晶性ナノ粒子層があるインプラントを作製する方法を対象とする。該方法は、インプラント基板本体を用意するステップ(ブロック100)と;インプラント基板本体の表面に結晶性ナノ粒子を塗布するステップ(ブロック110)と;インプラント本体を回転させるステップ(ブロック115)と;場合により、インプラントが回転している間に、ガス流をインプラントに方向付けて、その表面上に結晶性ナノ粒子層があるインプラントを作製するステップ(ブロック120)とを含む。
【0037】
いくつかの実施形態において、本発明の方法は、結晶性ナノ粒子層の厚みを制御するステップと、塗布するステップ及び回転させるステップに応答して、インプラント表面のマイクロトポグラフィーを実質的に保持するステップと;場合により、方向付けるステップとをさらに含む。さらなる実施形態において、インプラント基板本体は、マイクロトポグラフィー構成を有する。
【0038】
いくつかの実施形態において、インプラント表面マイクロトポグラフィーは、約0.1μmから約500μmの間のサイズを有する山及び谷を含むがこれらに限定されない表面凹凸があるラフ表面を有する。故に、いくつかの実施形態において、山及び谷は、約0.1μmから約400μm、約1.0μmから約400μm、約10μmから約300μm、約50μmから約250μmの間等のサイズを有する。
【0039】
様々な種類の幾何形状を有するインプラントは、記載されている技術を用いて修正され得る。故に、本発明のインプラントは、股関節インプラント、膝インプラント、肩インプラント及び/若しくは肘インプラント等の関節インプラント;インプラントスクリュー;歯科インプラント;中耳インプラント;並びに/又は脊髄インプラント、切断術後インプラント、補聴器インプラント、顔面インプラントを含むがこれらに限定されない、医療的使用、典型的にはヒト又は家畜への使用のための任意のインプラントを含むがこれらに限定されない。本発明の特定の実施形態において、インプラントはインプラントスクリューである。いくつかの実施形態において、インプラントは、局所骨に取り付けるための支柱を有する歯科インプラントであり、該支柱はねじ込み(スクリュー)ヘッドを含み得る。
【0040】
インプラントの基板材料及び/又は化学組成も変動し得る。したがって、本発明のいくつかの実施形態において、インプラント本体は、金属、セラミック及び/又はそれらの組合せを含むがこれらに限定されない。例示的な金属は、チタン、ステンレス鋼、コバルト、タンタル、クロム、イットリウム、ジルコニウム、アルミニウム、バナジウム及び/若しくは合金等の金属、並びに/又はそれらの組合せを含むがこれらに限定されない。本発明の例示的なセラミックは、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化イットリウム及び/若しくは酸化アルミニウム等の生体適合性セラミック、並びに/又はそれらの組合せを含むがこれらに限定されない。上記で論じた通り、インプラントは、金属及びセラミックの組合せとして形成され得る。そのような金属/セラミック組合せは、チタン及びセラミックの組合せを含むがこれに限定されない。
【0041】
例示的な結晶性ナノ粒子は、リン酸カルシウムナノ粒子、リン酸三カルシウム、リン酸四カルシウム、リン酸八カルシウム、炭化HA、フルオロアパタイト、マグネシウムドープアパタイト、ストロンチウムアパタイト、酸化チタン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム及び/又はそれらの組合せを含むがこれらに限定されない。特定の実施形態において、リン酸カルシウムナノ粒子は、HAナノ粒子を含むがこれに限定されない。いくつかの実施形態において、塗布するステップは、結晶性ナノ粒子の液体溶液を使用して行われ得る(ブロック112)。いくつかの実施形態によれば、結晶性ナノ粒子又はナノ結晶は、マイクロエマルション溶液を使用してナノ結晶のコロイドとして塗布され得る。定義により、マイクロエマルションは、油、水及び界面活性剤(時折共界面活性剤も含む)の熱力学的に安定な溶液であり、典型的には実質的に透明であり、且つ低表面張力を呈する。マイクロエマルションの典型的な値は、20mN/mから30mN/mの間である。マイクロエマルションの例は、油中水型マイクロエマルション、水中油型マイクロエマルション及び双連続マイクロエマルションを含む。故に、いくつかの特定の実施形態において、マイクロエマルション溶液は、油中水型マイクロエマルション、水中油型マイクロエマルション及び双連続マイクロエマルションの1つ又は複数であってよい。
【0042】
特定の実施形態において、マイクロエマルションは、油中水型マイクロエマルションであってよい。油中水型マイクロエマルションは、界面活性剤の単層によって安定化され得る連続油相中の水滴を含む。マイクロエマルションは、低表面張力を有し得、結果として極めて高い浸透性を有し、これは、マイクロエマルションがインプラント表面マイクロトポグラフィー等の固体の小腔を透過し得ることを意味する。さらに、いくつかの実施形態において、マイクロエマルションは、ナノ結晶HAを含むがこれに限定されないナノ粒子の安定な分散液を形成し得る。界面活性剤は、本発明において使用される場合、1つ又は複数の親水性部分及び1つ又は複数の疎水性部分からなる両親媒性分子である。当業者に既知である任意の適切な界面活性剤を、本発明のマイクロエマルションとともに使用してよい。例示的な界面活性剤は、ブロック−ポリ(エチレングリコール)−ブロック−ポリ(プロピレングリコール−ブロック(ポリエチレングリコール)、脂肪アルコールエトキシレート、脂肪酸エトキシレート、脂肪アミドエトキシレート、脂肪アミンエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート型の非イオン性界面活性剤、並びにアルキルカルボキシレート、アルキルエーテルカルボキシレート、アルキルサルフェート、アルキルエーテルサルフェート、アルキルベンゼンスルホネート、ジアルキルスルホスクシネート、アルキルホスフェート、アルキルエーテルホスフェート型の陰イオン性界面活性剤、並びに脂肪アミン塩、脂肪ジアミン塩、アルキル第四級アンモニウム塩、ジアルキル第四級アンモニウム塩及びジアルキルエステル第四級アンモニウム塩型の陽イオン性、又はそれらの混合物を含むがこれらに限定されない。
【0043】
いくつかの実施形態において、ナノ粒子、ナノ粒子分散液、及び/又はナノ粒子を含むマイクロエマルションは、乾燥粉末として得られたナノ粒子から調製され得る。他の実施形態において、ナノ粒子、ナノ粒子分散液、及び/又はナノ粒子を含むマイクロエマルションは、非乾燥形態で得られたナノ粒子から調製され得る。
【0044】
いくつかの実施形態において、結晶性リン酸カルシウムナノ粒子は、結晶性HAナノ粒子を含む。したがって、本発明のいくつかの実施形態において、ナノ結晶性HAナノ粒子は、液晶相中で生成される。他の実施形態において、本発明の方法は、HAナノ粒子を含む液晶相を液晶の少なくとも1種の成分で希釈して、マイクロエマルションを生成するステップを提供する。
【0045】
さらなる実施形態において、液晶の少なくとも1種の成分は、p−キシレン及び/又はブチルアセテートを含むがこれらに限定されない。また他の実施形態において、結晶性HAナノ粒子を含むマイクロエマルションは、油中水型マイクロエマルションを含む。液晶相中における結晶性ハイドロキシアパタイトナノ粒子の濃度の範囲は、0.001〜50乾燥重量%である。
【0046】
いくつかの実施形態において、リン酸カルシウムナノ結晶は、PCT特許公開第WO2005/123579号において記載されている方法によって製造され得る。WO2005/123579の方法において、液晶相が使用され、その中でナノ結晶リン酸カルシウム粒子の成長が液晶の閉じ込め空間によって妨害される。形成されたナノ粒子は、結晶内で分離されており、液晶の非水溶性成分で希釈すると、ナノ粒子含有液晶相が油中水型マイクロエマルションに変換される。いくつかの実施形態において、液晶の非水溶性成分は、p−キシレンである。他の実施形態において、本発明の非水溶性成分は、p−キシレン及び他の芳香族溶媒、ブチルアセテート及び他のアルキルアセテート、脂肪アルカン、脂肪アルケン、脂肪アルキン、脂肪アルカンアミド、シクロアルカン、脂肪アルキルアミン、アルカンエステル、脂肪アルカンニトリル、脂肪アルデヒド、脂肪ケトン及び脂肪アルコール又はそれらの混合物、並びに同様の水溶性を有する他の成分を含むがこれらに限定されない。
【0047】
リン酸カルシウムに加えて、WO2005/123579の方法では、例えば、ストロンチウムアパタイト及び/又はフルオロアパタイトを使用してもよい。
【0048】
いくつかの実施形態において、リン酸カルシウム及び/又はHAナノ結晶は、約150m/gから約300m/gの間の範囲内の比表面積を有し得る。故に、リン酸カルシウム及び/又はHAナノ結晶の比表面積は、約150m/gから200m/gまで、約150m/gから250m/gまで、約175m/gから200m/gまで、約175m/gから250m/gまで、約175m/gから275m/gまで、約175m/gから300m/gまで、約200m/gから250m/gまで、約200m/gから275m/gまで、約200m/gから300m/gまで、約250m/gから275m/gまで、約250m/gから300m/gまで、約275m/gから300m/gまで等の範囲内であってよい。
【0049】
いくつかの実施形態において、HAナノ結晶は、約1nmから約20nmの間(平均サイズ)の範囲内の直径を有し得る。いくつかの実施形態において、HAナノ結晶は、約2nmから約20nmの間(平均サイズ)の範囲内の直径を有し得る。特定の実施形態において、HAナノ結晶の直径は、平均直径で約1nmから約5nmの間の範囲内であってよい。HAナノ結晶の長さは、約20nmから約200nmの間であってよい。いくつかの実施形態において、HAナノ結晶の長さは、約20nmから約100nmまで、約50nmから約100nmまで、約50nmから約200nmまで、約100nmから約200nmまで、約150nmから約200nmまで等の範囲内であってよい。特定の実施形態において、結晶性リン酸カルシウムナノ粒子のカルシウム対リン光体の比率は、約1.0から約2.5までの範囲内であってよい。いくつかの特定の実施形態において、結晶性リン酸カルシウムナノ粒子のカルシウム対リン光体の比率は、約1.67であってよい。
【0050】
上記で論じた通り、本発明の実施形態は、インプラントの表面に結晶性ナノ粒子を塗布して、その表面上に結晶性ナノ粒子層があるインプラントを作製する方法を提供する。したがって、本発明のいくつかの態様において、塗布するステップは、インプラント表面に、液体マイクロエマルション及びナノ粒子が分散され得る他の液体形態として結晶性ナノ粒子を塗布するステップを含む。
【0051】
特定の実施形態において、塗布するステップは、(a)結晶性ナノ粒子液体マイクロエマルションにインプラントを浸漬するステップ;(b)インプラント表面に結晶性ナノ粒子マイクロエマルションを噴霧するステップ;(c)インプラント表面に結晶性ナノ粒子マイクロエマルションを垂らすステップ;又は(d)インプラントの表面に結晶性ナノ粒子マイクロエマルションを注ぐステップの少なくとも1つを含む。
【0052】
いくつかの実施形態において、塗布するステップの前に、ナノ粒子の強い接着を可能にするためにインプラント表面の全体を清浄し、乾燥させてよい。この目的のために、当業者に既知である任意の技術を使用してよい。そのような技術は、ショットピーニング、ブラスティング及び研磨を含むがこれらに限定されない機械的技術、並びに、有機溶媒、酸、塩基、界面活性剤又は水等の任意の適切な材料による洗浄を含むがこれらに限定されない化学的技術を含むがこれらに限定されない。いくつかの実施形態において、液体ナノ粒子溶液を塗布する前に必要とされるインプラントの前処理は他にない。
【0053】
いくつかの実施形態において、インプラントは、典型的には約500回転数/分(rpm)から約10,000rpmの間の範囲内の選択された回転速度で回転され得る。故に、本発明の回転速度は、例えば、約2000rpmから約5000rpmまで等を含む約500rpmから約7500rpmまでの範囲内であってよい。いくつかの実施形態において、回転速度は約2250rpmである。他の実施形態において、回転速度は約3500rpmである。また他の実施形態において、回転速度は約4700rpmである。本発明のさらなる態様は、インプラントが回転部材又はマンドレルに装填される前に、液体溶液をインプラントに塗布し得る方法を提供する。別の実施形態において、塗布するステップは、回転させるステップの最中に行われ得る。他の実施形態において、ナノ粒子の液体溶液は、インプラントの回転の前及び最中にインプラントに塗布され得る。
【0054】
上記で論じた通り、いくつかの実施形態において、インプラントが回転している間に、ガス流がインプラントの方へ流れるように方向付けてよい。いくつかの実施形態において、インプラントに方向付けられるガス流は、非反応ガスを含む。非反応ガスは、インプラント表面と反応しない任意のガスを含む。そのような非反応ガスは、空気、窒素及び/又はアルゴンを含むがこれらに限定されない。故に、いくつかの実施形態において、図1A及び1Bに示すように、ガス流(7s)をインプラントに方向付けてよい。ガス流は、(a)空気、(b)窒素、(c)アルゴン、(d)ヘリウム又は他の希ガスの少なくとも1つを含む非反応ガスを含む。
【0055】
ガスは、加圧ガス供給器(12)から供給され得る。流路は、流量計、弁、及び任意の望ましくない不純物(液体等)を濾過するためのフィルターを含み得る。
【0056】
ガス流の流速は、約1L/分から約200L/分の間の範囲であってよい。故に、ガス流流速は、約1L/分、10L/分、20L/分、30L/分、40L/分、50L/分、60L/分、70L/分、80L/分、90L/分、100L/分、110L/分、120L/分、130L/分、140L/分、150L/分、160L/分、180L/分、190L/分、200L/分等であってよい。ガス流流速は、約1L/分から約100L/分、約10L/分から約100L/分、約10L/分から約200L/分、約40L/分から約80L/分、約50L/分から約100L/分、約50L/分から約150L/分、約100L/分から約200L/分の間等の範囲であってよい。いくつかの実施形態において、ガス流流速は約40L/分であり、一方、他の実施形態において、ガス流流速は約80L/分であってよい。いくつかの実施形態において、液体マイクロエマルションを塗布し、インプラントを望ましい時間にわたって回転させた後で、インプラントを能動的に又は受動的に乾燥させてよい。いくつかの実施形態において、乾燥の温度は室温で行われる。他の実施形態において、乾燥は加熱器を使用して行われる。いくつかの実施形態において、インプラントを加熱する前にインプラントを乾燥させてよい。いくつかの実施形態において、加熱するステップにおいて乾燥させるステップが行われ、ナノ粒子層を形成する。
【0057】
いくつかの実施形態において、任意の残った界面活性剤を実質的に又は完全に除去するのに十分な温度まで、インプラントを加熱してよい。いくつかの実施形態において、加熱するステップは、オーブン中気体雰囲気を用いて行われる。気体雰囲気の例は、酸素、窒素、アルゴン、空気及びそれらの任意の組合せを含むがこれらに限定されない。加熱するステップの温度は、気体環境の種類、使用される界面活性剤の種類及び加熱するステップの時間の長さによって変動し得る。故に、加熱するステップの温度は、約250℃から約700℃までの範囲内であってよい。いくつかの実施形態において、インプラントを、酸素中約550℃で約5分間加熱する。適切な温度の決定は、本開示において特定される要因に基づいて、当技術分野において日常的なものであろう。
【0058】
ナノ結晶材料の追加層は、上記のステップを繰り返すことによって形成でき、例えば、塗布するステップ及び回転させるステップ、並びに場合により方向付けるステップは、乾燥させる及び/又は加熱するステップの後に少なくとも1回繰り返される。追加の塗布するステップ及び回転させるステップ、並びに場合により方向付けるステップは、ナノ粒子層を増大させ、そのため、インプラントの表面上のナノ粒子層の厚みを制御するための道具として使用され得る。
【0059】
前述した通り、いくつかの実施形態において、結晶性ナノ粒子層の厚みは制御され得、インプラント表面のマイクロトポグラフィーは、塗布するステップ及び回転させるステップ、並びに場合により方向付けるステップに応答して、実質的に保持され得る。より詳細には、いくつかの実施形態において、インプラントの表面上のナノ粒子層の厚みを制御するステップは、(a)インプラントの回転速度、(b)結晶性ナノ粒子溶液の濃度、又は(c)ガス流の流速及び圧力の少なくとも1つを備える。
【0060】
いくつかの実施形態において、図5に示すように、インプラント(2)の表面上のナノ粒子層(21)は、約2ナノメートルから約500ナノメートルの間の範囲内の厚みを有する。上記で論じた通り、インプラント表面は、マイクロラフであってよく、故に、マイクロメートル長さスケールの凹凸を有し得る。上記で論じた通り、いくつかの実施形態において、本発明の方法を使用した場合、マイクロメートルサイズの凹凸は実質的に保持される。
【0061】
故に、いくつかの実施形態において、インプラント表面に塗布されるナノ粒子層の厚みは、塗布するステップにおいて使用されるナノ粒子又は結晶性マイクロエマルションの粒子濃度によって影響され得る。概して、濃度が高くなるにつれてより多量の堆積する粒子をもたらし、それ故、インプラント表面上のナノ粒子の層はより厚くなる。逆に、ナノ粒子濃度が低くなるにつれて接着粒子の量の減少をもたらし、結果として、層はより薄くなる。いくつかの実施形態において、ナノ粒子層の厚みは、回転数/分(RPM)で測定されるスピン又は回転速度によっても影響され得、且つ/又は制御され得る。いくつかの実施形態において、ナノ粒子層の厚みは、リットル毎分(L/分)で測定される、画定されたノズルを介するインプラントへのガスのガス流速によっても影響され得、且つ/又は制御され得る(例えば、図2を参照)。遠心力は速度とともに増大するため、概して、回転速度が増大するにつれてナノ粒子層はより薄くなる。しかしながら、ガス流をインプラントに方向付けることの効果は、特に得られたナノ粒子の層の均質性(homogeneousity)に関して、インプラントの回転速度にも依存する。結果として、インプラント(2)の方へのガス流(7s)の流速/圧力と組み合わせた回転速度の増大は、いくつかの場合において、ナノ粒子層の厚みを増大させ得る。さらに、特定の回転速度では、ナノ粒子層の厚みはガス流速の増大に伴って減少する。故に、ナノ粒子の明瞭に画定された層がインプラントの表面上に形成され得、ここで、インプラント表面は十分に覆われており、回転又はスピン速度及び吹き付け又はガス流流速に基づいて、マイクロラフネスは実質的に保持されているか、又は全く変化していない。
【0062】
したがって、図5に示すように、本発明のいくつかの実施形態において、インプラント(2)は、インプラントの表面上に約2nmから約500nmの間の範囲内であるナノ粒子層(2L)を有し得る。故に、ナノ粒子層は、約2nmから約10nmの間、約2nmから約50nmまで、約2nmから約100nmまで、約2nmから約200nmまで、約2nmから約300nmまで、約2nmから約400nmまで、約10nmから約50nmまで、約10nmから約100nmまで、約10nmから約200nmまで、約10nmから約300nmまで、約10nmから約400nmまで、10から約500nmまで、約50から約100nmまで、約50nmから約200nmまで、約50nmから約300nmまで、約50nmから約400nmまで、約50から約500nmまで、約100nmから約200nmまで、約100nmから約300nmまで、約100nmから約400nmまで、約100nmから約500nmまで、約200nmから約300nmまで、約200nmから約400nmまで、約200nmから約500nmまで、約300nmから約400nmまで、約300nmから約500nmまで、約400nmから約500nm等の範囲内であってよい。
【0063】
特定の実施形態において、インプラント(2)は、図5に示すような歯科インプラントである。いくつかの実施形態において、ナノ粒子はHAナノ粒子を含む。歯科インプラントは金属又はセラミックを含み得る。またさらなる実施形態において、歯科インプラントは、下記金属:(a)チタン、(b)タンタル、(c)ステンレス鋼、(d)クロム、(e)コバルト、(f)それらの合金、又はそれらの組合せの1つを含む。他の実施形態において、インプラントは、(a)酸化ジルコニウム又は(b)酸化アルミニウムの1つをさらに含むセラミックを含む。他の実施形態において、歯科インプラントはチタンを含む。また他の実施形態において、歯科インプラントは、金属及びセラミックの組合せを含む。別の態様において、歯科インプラントの表面上の結晶性ナノ粒子層は、約2nmから約500nmまでの範囲内の厚みを備える。故に、ナノ粒子層は、上記で説明した通りの範囲内であってよい。さらに他の実施形態において、その表面上に結晶性ナノ粒子層があるインプラントのマイクロトポグラフィーは、実質的に保持される。
【0064】
特定の実施形態において、歯科インプラント(2)(図5)は、その表面にナノ結晶性ハイドロキシアパタイトナノ粒子層が塗布されたチタンであり、該層の厚みは、約2nmから約500nmの間の範囲内である。歯科インプラント表面のマイクロトポグラフィーは実質的に保持されており、ナノ結晶性ハイドロキシアパタイトナノ粒子層は化学量論的(stoichimetric)且つ結晶形態である。
【0065】
本発明の歯科インプラントは、例えば、人工歯置換として使用され得る。いくつかの実施形態において、歯科インプラント(2)は、チタンであり、且つ、ショットピーニング、ブラスティング及び/又は酸エッチングによって前処理されたスクリュー部(2s)(図5)を有し、これにより、マイクロメートル長さスケールの高い表面ラフネスを作製する。故に、チタンスクリューのマイクロトポグラフィーはマイクロラフである。上記で論じた通り、マイクロラフなマイクロトポグラフィーを有することは、オッセオインテグレーションを促進し、それによって骨組織と接着するインプラントの能力を強化することができるため、望ましい特性となり得る。
【0066】
スピンコーターシステム(10)は、自動又は半自動であってよく、回転部材の回転速度及びガス流の流速を制御するように構成された制御装置が設けられていてもよい。故に、図4は、本発明のいくつかの実施形態に従って動作するデバイスに含まれ得る制御装置のための例示的なデータ処理システム又はデータベース環境を図示するものである。入力/出力回路146は、メモリ(メモリ及び/又は記憶媒体)136と別のコンピュータシステム又はネットワークとの間で、例えば、回転速度及び/若しくはガス流を制御するため、並びに/又は、ユーザーがHMI(ヒューマンマシンインターフェース)若しくは他のUI(ユーザーインターフェース)を使用してそれらの動作パラメータを調整若しくは選択できるようにするために多くの慣習的なデータ処理システムにおいて使用されるもの等、慣習的なコンポーネントを使用するインターネットプロトコル(IP)接続を使用して、情報を伝達するために使用され得る。
【0067】
以下で説明する実施例において、本発明をより詳細に記述するが、これらは本発明の実施形態の限定を意図するものではない。
【実施例】
【0068】
インプラントの表面、ナノ粒子表面被覆率及び堆積したHAナノ結晶の量を、電界放射型走査電子顕微鏡法(FESEM)、X線光電子分光法(XPS)及び原子発光分析法(AES)を使用して評価した。FESEM及びXPSは、検体に何の前処理も施すことなく試料に対して実施した。AES分析のために、コーティングされたインプラントを硝酸(0.8mlの65%HNO及び0.8mlの水で1.6ml)に20分間入れて、表面上のすべてのHAを溶解させた。次いで、溶液を20gの水で希釈した。
【0069】
(例1)
回転速度の影響
この特定の事例では歯科スクリュー設計を有するインプラント上のハイドロキシアパタイトナノ結晶層の厚み/表面被覆率を、種々の回転速度の関数として、XPS及びFESEMを使用して概算した。この例において使用したコーティング手順は次の通りであった:1)インプラント(2)を、図1Aに描写されているインプラントホルダー(3)内に立てて(垂直に)置き、2)ハイドロキシアパタイトナノ粒子を含有するマイクロエマルションを含むコーティング溶液を、インプラント表面全体が覆われるようにインプラントに塗布し、3)この例において記載されている通り、種々の速度でインプラントを回転させ、4)室温でインプラントを乾燥させた後、この特定の例では、酸素雰囲気中550℃で5分間熱処理し、5)インプラントを室温に冷却した後、ステップ1〜4を1回繰り返した。
【0070】
XPSを使用して、この例において記載されているコーティング手順を実施した後、インプラントについて、カルシウムCa及びリンP、並びにチタンTiを合わせた量を決定した。Ca及びPの総量を表面上のTiの量で割ることにより、層の表面被覆率の指標を算出できる。インプラントを、2250rpm、3500rpm及び4700rpmの回転速度で回転させた場合、Ca及びPの総量をTiの表面量で割ったものは、それぞれ46.6、40.9及び17.9であった。回転速度を増大させた場合の、Tiと比較したCa及びPの減少は、インプラント表面上のハイドロキシアパタイトのより低い表面被覆率を表す。すべてのXPS結果を表1にも提示する。
【表1】

【0071】
しかしながら、FESEM像と比較すると(図3A、3B、3E及び3Hを参照)、インプラント表面マイクロラフネスのほとんどがハイドロキシアパタイト層によって覆われてより平滑な外観が生じていること、及び最初の未変性のインプラント表面が完全に覆われていることが分かる。
【0072】
インプラント表面上の溶解したHA層をAESで分析し、コーティング溶液の添加後にスピンさせていないインプラントと比較した。インプラントをスピンさせていない場合、又は2250rpm、3500rpm若しくは4700rpmの速度でスピンさせた場合、Ca及びPの総量は、それぞれ1.11mg/L、0.58mg/L、0.49mg/L及び0.52mg/Lであった。
【0073】
(例2)
ガス流を方向付けることの影響
XPS及びFESEMを使用して、この特定の事例では歯科スクリュー設計を有するインプラント上のハイドロキシアパタイトの量又は表面被覆率を、種々の回転速度の関数として、且つインプラントに方向付けられたガス流がこのステップの最中に使用されたかにかかわらず、概算した。この例において使用したコーティング手順は、次の通りであった:1)インプラント(2)を、図1Aに描写されているインプラントホルダー(3)内に立てて(垂直に)置き、2)ハイドロキシアパタイトナノ粒子を含有するマイクロエマルションを含むコーティング溶液を、インプラント表面全体が覆われるようにインプラントに塗布し、3)図1A及び1Bに描写されている通りのノズル(7)を介して、この例において記載されている通りの異なる窒素流速で、窒素ガスを流動させて及び流動させずに、この例において記載されている通り、種々の速度でインプラントを回転させ、4)室温でインプラントを乾燥させた後、この特定の例では、酸素雰囲気中550℃で5分間熱処理し、5)インプラントを室温に冷却した後、ステップ1〜4を1回繰り返した。
【0074】
XPSを使用して、この例において記載されているコーティング手順を実施した後、インプラントについて、Ca及びPを合わせた量並びにTiを決定した。Ca及びPの総量を表面上のTiの量で割ることにより、層の表面被覆率の指標を算出できる。インプラントを、この例において記載されている通りのコーティング手順のステップ3の間にインプラント上に窒素ガスを流動させることなく、2250rpmの回転速度で回転させた場合、Tiと比較したCa及びPの総量は、46.6であった。ステップ3に40L/分及び80L/分の窒素流速でインプラント上に窒素ガスを流動させることを含めたインプラントと比較すると、Tiと比較したCa及びPの総量はそれぞれ12.3及び9.6まで減少していた。回転している間にインプラント上に窒素ガスを流動させた場合、インプラント表面におけるTiと比較したCa及びPの総量が減少するため、これらの結果は、回転している間に窒素ガスを流動させることにより、インプラント表面上のHAの量が減少することを表す。回転速度を増大させた場合、同じ関係が見られる。3500rpmでは、窒素ガスを流動させていない場合、40L/分及び80L/分の流速で窒素ガスを流動させた場合、Tiと比較したCa及びPの総量は、それぞれ40.9、15.2及び12.6であった。4700rpmでは、窒素ガスを流動させていない場合、40L/分及び80L/分の流速で窒素ガスを流動させた場合、Tiと比較したCa及びPの総量は、それぞれ17.9、15.0及び8.9であった。すべてのXPS結果を表1にも提示する。
【0075】
XPSで分析した同じインプラントのFESEM像を、図6A〜6Jに示す。これらの像から、インプラントを回転させている間に流動する窒素ガスを使用した場合、HAナノ結晶の量が減少することが明らかに分かる。インプラント表面上に窒素ガスを流動させることによってトポグラフィーが強く影響されることも明らかである。窒素ガスを流動させずにインプラントを回転させると、インプラントの表面マイクロラフネスがHAナノ結晶によって覆われ、より平滑な外観を形成する。インプラントの回転もさせ、インプラント上に窒素ガスも流動させると、より薄いHAナノ結晶層が下層の表面に続き、それによってインプラントの表面マイクロラフネスが維持される。
【0076】
回転速度及び窒素流速を最適化することにより、HAナノ結晶層を、インプラント表面マイクロラフネスに密接して続くように適応させることができる。また、吹き付けをしないでスピンさせると、ねじ山等、インプラント上のより大きい構造の周りにHA層のビルドアップが形成され得る。これは、図6M及び6Nにおいて見ることができ、ねじ山の両側にある暗色領域が、下層のマイクロラフネスを完全に覆うより厚い層の指標である。しかしながら、回転させながら窒素ガスを塗布すると、これらの暗色領域は除去される。
【0077】
インプラント表面上の溶解したHA層をAESで分析した。インプラントを、この例において記載されている通りのコーティング手順のステップ3の間にインプラント上に窒素ガスを流動させることなく、2250rpmの回転速度で回転させた場合、Ca及びPの量は0.58mg/Lであった。この例におけるコーティング手順に記載されている通りの40L/分及び80L/分の流量で窒素ガスを流動させることを含めたインプラントのCa及びPの量は、それぞれ0.78及び0.61mg/lであった。インプラントを、この例のコーティング手順において記載されている通り、窒素ガスを流動させることなく、また40L/分及び80L/分の流速で窒素ガスを流動させて、3500rpmの回転速度で回転させた場合、Ca及びPの量は、それぞれ0.49mg/L、0.83mg/L及び0.66mg/Lであった。インプラントを、この例のコーティング手順において記載されている通り、窒素ガスを流動させることなく、また40L/分及び80L/分の流速で窒素ガスを流動させて、4700rpmの速度で回転させた場合、Ca及びPの量は、それぞれ0.52mg/L、0.54mg/L及び0.80mg/Lであった。
【0078】
(例3)
コーティングの回数の影響
上記した2つの例によれば、コーティング手順はインプラント1つ当たり2回実施されて、ハイドロキシアパタイト層を生成する。この特定の例において、コーティング手順は、第一の熱処理の後で終了する:1)インプラント(2)を、図1Aに描写されているインプラントホルダー(3)内に立てて(垂直に)置き、2)ハイドロキシアパタイトナノ粒子を含有するマイクロエマルションを含むコーティング溶液を、インプラント表面全体が覆われるようにインプラントに塗布し、3)図2に描写されているノズル(7)を用い、40L/分のガス流を使用して、インプラント表面上に窒素ガスを流動させて、この例において記載されている通り、種々の速度でインプラントを回転させ、4)室温でインプラントを乾燥させた後、この特定の例では、酸素雰囲気中550℃で5分間熱処理した。
【0079】
XPS及びFESEMを使用した測定から、この例において記載されているコーティング手順によってコーティングしたインプラントを、例2において記載されているコーティング手順によってコーティングしたインプラントと比較した。この例においてインプラントに使用した回転速度は3500rpmであり、40L/分の窒素流速を用いた。
【0080】
XPSを使用して、この例において記載されているコーティング手順を実施した後、インプラントについて、Ca及びPを合わせた量並びにTiを決定した。Ca及びPの総量を表面上のTiの量で割ることにより、層の表面被覆率の指標を算出できる。この例において記載されているコーティング手順に準じたインプラントについて、インプラント表面上のTiと比較したCa及びPの総量は、7.3であった。この例において記載されている通りにコーティングしたインプラントと同じ回転速度及び窒素流速を用いて、例2によってコーティングしたインプラントについて、インプラント表面上のTiと比較したCa及びPの総量は、15.2であった。この例において記載されている通りに1つの層のみでコーティングした場合、Tiと比較したCa及びPの総量が、インプラントを2回コーティングした場合と比較して約50%減少することは明らかである。これは、より薄い層の存在を表している。すべてのXPS結果を表1にも提示する。
【0081】
FESEM像(図6F及び6Kを参照)から、この例において記載されている通り、1回コーティングされただけのインプラント表面上により薄い層が存在することが分かる。
【0082】
インプラント表面上の溶解したHA層をAESで分析した。この例において記載されている手順に準じたインプラントについて、Ca及びPの総量は、0.57mg/Lであった。インプラントを例2において記載されている通りにコーティングした場合(3500rpmの回転速度及び40L/分の窒素流速)、Ca及びPの総量は、0.83mg/Lであった。この例において記載されている通りに1回のみコーティングすると、Ca及びPの量は、例2において記載されている通りに2つのコーティングを使用した場合に比べて31%少ない。これは、Ca及びP層の厚みが、インプラント表面に実施されるコーティングの回数によって制御され得ることを示す。
【0083】
(例4)
粒子濃度の影響
例2によってコーティングしたインプラント(3500rpmの回転速度及び40L/分の窒素流速)を、例2において使用した50%の濃度のハイドロキシアパタイトナノ結晶を含有するコーティング溶液を用い、例2において記載されているコーティング手順によってコーティングしたインプラントと比較した。
【0084】
2つのインプラントは、XPS及びFESEMを使用して比較した。すべてのXPS結果を表1にも提示する。XPSを使用して、この例において記載されているコーティング手順を実施した後、インプラントについて、Ca及びPを合わせた量並びにTiを決定した。Ca及びPの総量を表面上のTiの量で割ることにより、層の表面被覆率の指標を算出できる。例2において記載されている通りにコーティングしたインプラント表面(3500rpmの回転速度及び40L/分の窒素流速)上のTiの量と比較したCa及びPの総量は、15.2であった。例2のコーティング溶液と比較して50%のHAナノ結晶を含有するコーティング溶液を用いた以外は例2において記載されている通りにコーティングしたインプラントについて、表面上のTiと比較したCa及びPの総量は、4.6であった。FESEM像(図6F及び6Lを参照)から、この例において記載されている通り、50%のナノ結晶濃度を含有する溶液でコーティングしたインプラント表面上により薄い層が存在することが分かる。
【0085】
インプラント表面上の溶解したHA層をAESで分析した。例2において記載されている通りにコーティングしたインプラント表面(3500rpmの回転速度及び40L/分の窒素流速)上のCa及びPの総量は、0.83mg/Lであった。例2のコーティング溶液と比較して50%のHAナノ結晶を含有するコーティング溶液を用いた以外は例2において記載されている通りにコーティングしたインプラントについて、Ca及びPの総量は0.39mg/Lであったが、これは、マイクロエマルションコーティング溶液の粒子濃度と直接相関している。故に、より低いナノ粒子濃度を利用して、Ca及びP層の厚みの制御をさらに向上させるために用いることができる。
【0086】
(例5)
インプラントのマイクロラフネスを保護するハイドロキシアパタイトナノ粒子コーティングのインプラント表面を生成するための例示的な方法
インプラントを作製するための手順は、次の通りであった:1)インプラント(2)を、図1Aに描写されているインプラントホルダー(3)内に立てて(垂直に)置き、2)ハイドロキシアパタイトナノ粒子を含有するマイクロエマルションを含むコーティング溶液を、インプラント表面全体が覆われるようにインプラントに塗布し、3)図2に描写されているノズル(7)を介し、40L/分の窒素流速で窒素ガスを流動させて、3500rpmでインプラントを回転させ、4)室温でインプラントを乾燥させた後、酸素雰囲気中550℃で5分間熱処理し、5)インプラントを室温に冷却した後、ステップ1〜4を1回繰り返した。
【0087】
(例6)
動物研究
ナノ結晶性ハイドロキシアパタイトコーティングの効果を研究するために、動物研究を実施した。研究において、コーティングしていない及び例5によって2回コーティングしたチタンインプラントのオッセオインテグレーションを、3つの異なる癒合時間(2、4及び9週間)で比較した。ヨーテボリ大学の地域倫理委員会によって承認されたこの研究では、30匹の成体メスニュージーランドホワイトウサギを使用した。動物はすべて9月齢であり、各脚の近位脛骨骨幹端に2つのインプラントが挿入されたものであった。動物に、体重1kgにつき0.5mlの用量でのフェンタニル0.3mg/ml及びフルアニソン10mg/ml(Hypnorm Vet、Janssen Pharmaucetica、Beerse、ベルギー)の筋肉内注射、並びに1匹当たり2.5mgの用量でのジアゼパム(Stesolid Novum、Dumex Alpharma、デンマーク)の腹腔内注射で麻酔をかけた。必要に応じて、追加用量のフェンタニル及びフルアニソンを体重1kgにつき0.1mlの用量で使用して麻酔を維持した。手術前に、1.0mlのリドカイン(Xylocain、Astra Zeneca、スウェーデン)を手術対象部位に皮下投与した。皮膚及び筋膜の切開によって実験部位を開き、エレベーターの助けを借りて骨表面を露出させた。直径2.0及び3.2mmのガイド及びツイストドリルによって準備した後、インプラントを入れた。すべての手術ドリルシーケンスの間、大量の生理食塩水で冷却しながら低い回転速度を使用した。筋膜及び皮膚を別個に縫合することによって傷口を閉じた。動物を別個のケージ内で飼育し、手術の直後に自由に走らせた。経過観察時間は、2、4及び9週間とし、過量のペントバルビタール(60mg/ml)(ペントバルビタールナトリウム、Apoteksbolaget、スウェーデン)によって動物を屠殺した。インプラント−骨界面の生体力学試験は、除去トルク(RTQ)試験を用いて実施した。RTQ計器は、インプラントの安定性(ピーク緩めトルク、単位Ncm)を試験するために使用する歪みゲージ変換器を伴う電子機器(Detektor AB、Gothenburg、スウェーデン)であった。統合の失敗に到達するまで、インプラントの同じ軸に線形に増加するトルクを印加し、ピーク値を記録した。結果が図7に定義され、コーティングされていないインプラントと比較するとHAコーティングのインプラントにはより高い除去トルクが必要であることを明らかに示している。値は、2週間後では23%高く、4週間後では6%高く、9週間後では23%高かった。
【0088】
(例7)
表面ラフネスRaは、例6において使用した、図6において提示されているインプラント上の側面計を使用して測定した。ナノ粒子の堆積の前後にインプラントを測定した。Ra値は1±0.1μm(変位は異なるインプラント試料間のものであった)であることが分かり、ナノ粒子の堆積後には変化していなかった。これは、記載されている方法がインプラント表面の下層のマイクロラフネスを保持することを明らかに示している。
【0089】
前述は、本発明を例証するものであり、その限定として解釈されるべきではない。少数の例示的な本発明の実施形態を記載してきたが、当業者であれば、本発明の新規の教示及び利点から著しく逸脱することなく、例示的な実施形態において多くの修正が可能であることを容易に理解するであろう。したがって、すべてのそのような修正は、請求項において定義される通りの本発明の範囲内に含まれることが意図されている。そのため、前述は、本発明を例証するものであり、開示されている特定の実施形態に限定されるものとして解釈されるべきではないこと、並びに、開示されている実施形態及び他の実施形態への修正は、添付の請求項の範囲内に含まれることが意図されていることを理解されたい。本発明は、下記の請求項によって定義され、請求項の均等物はその中に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インプラントの表面に結晶性ナノ粒子を塗布して、その表面上に結晶性ナノ粒子層があるインプラントを作製する方法であって、
その表面上に結晶性ナノ粒子層があるインプラントを作製するために、
インプラント基板本体を用意するステップと、
インプラント基板本体の表面に結晶性ナノ粒子を塗布するステップと、
インプラント基板本体を回転させるステップと
を含む上記方法。
【請求項2】
インプラント基板本体が回転している間に、加圧ガス流をインプラントに方向付けるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
結晶性ナノ粒子層の厚みを制御するステップと、前記塗布するステップ及び回転させるステップに応答して、インプラント表面のマイクロトポグラフィーを実質的に保持するステップとをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
インプラント基板本体を用意するステップが、その表面上にマイクロトポグラフィーを備えるインプラント基板本体を用意するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記塗布するステップが、前記回転させるステップの前、最中、又は前及び最中である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記方向付けるステップが、インプラントの方への約40L/分から約80L/分の間の流速のガス流を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
前記ガス流が、(a)空気、(b)窒素又は(c)アルゴンの少なくとも1つを含む非反応ガスを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記塗布するステップが、結晶性ナノ粒子の分散液をインプラントの表面に塗布することによって行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
結晶性ナノ粒子を含有する液体溶液がマイクロエマルションである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
インプラントの表面上のナノ粒子層の厚みを制御するステップが、(a)インプラントの回転速度、(b)結晶性ナノ粒子の濃度、又は(c)ガス流の流速の少なくとも1つを備える、請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記塗布するステップ及び回転させるステップの後に、インプラントを気体雰囲気中で加熱するステップをさらに含み、前記加熱するステップは、任意の残った界面活性剤を実質的に又は完全に除去するのに十分な温度までであり、それにより、インプラントは結晶性ナノ粒子の乾燥した外側コーティングを有する、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記加熱するステップの後に、前記塗布するステップ及び回転させるステップを少なくとも1回繰り返して、結晶性ナノ粒子の少なくとも1つの追加層を塗布する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
インプラント表面のマイクロトポグラフィーがマイクロラフである、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
結晶性ナノ粒子がリン酸カルシウムナノ粒子を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
リン酸カルシウムナノ粒子がナノ結晶性ハイドロキシアパタイトナノ粒子を含む、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
ナノ結晶性ハイドロキシアパタイトナノ粒子が、約150m/gから約300m/gの範囲内の表面積を備える、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記塗布するステップが、(a)結晶性ナノ粒子液体溶液にインプラントを浸漬するステップ、(b)インプラント表面に結晶性ナノ粒子液体溶液を噴霧するステップ、(c)インプラント表面に結晶性ナノ粒子液体溶液を垂らすステップ、又は(d)インプラントの表面に結晶性ナノ粒子液体溶液を注ぐステップの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項18】
インプラントが金属又はセラミックを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
インプラントが、下記金属:(a)チタン、(b)タンタル、(c)ステンレス鋼、(d)クロム、(e)コバルト、(f)それらの合金、又はそれらの組合せの少なくとも1つを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
セラミックが、(a)酸化ジルコニウム又は(b)酸化アルミニウムの1つを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
インプラントが、膝インプラント、股関節インプラント又はスクリューインプラントである、請求項1に記載の方法。
【請求項22】
インプラントが歯科インプラントである、請求項1に記載の方法。
【請求項23】
請求項1に記載の方法によって作製される、その表面上に結晶性ナノ粒子層があるインプラント。
【請求項24】
インプラントの表面上の結晶性ナノ粒子層が、約2nmから約500nmまでの範囲内の厚みを備える、請求項23に記載のインプラント。
【請求項25】
歯科インプラントである、請求項23に記載のインプラント。
【請求項26】
金属又はセラミックを含む、請求項23に記載のインプラント。
【請求項27】
下記金属:(a)チタン、(b)タンタル、(c)ステンレス鋼、(d)クロム、(e)コバルト、(f)イットリウム、(g)ジルコニウム、(h)アルミニウム、(i)バナジウム又は(j)それらの合金の少なくとも1つを含む、請求項26に記載のインプラント。
【請求項28】
セラミックが、(a)酸化ジルコニウム又は(b)酸化アルミニウムの1つを含む、請求項26に記載のインプラント。
【請求項29】
結晶性ハイドロキシアパタイトナノ粒子外層を有するラフチタン表面マイクロトポグラフィーを備えるチタン歯科インプラントであって、前記層の厚みは約2nmから約500nmまでの範囲内であり、前記層は、マイクロトポグラフィーが実質的に保持されるようにチタンインプラント表面のマイクロトポグラフィーに適合され、さらに、ナノ結晶性ハイドロキシアパタイトナノ粒子層が化学量論的且つ結晶形態である上記チタン歯科インプラント。
【請求項30】
インプラントの表面に結晶性ナノ粒子を塗布して、その表面上に結晶性ナノ粒子層があるインプラントを作製するシステムであって、
回転部材と、
標的インプラントを着脱自在に把持するように構成された回転部材に付着しているインプラントホルダーと、
ガス流を加圧ガス供給器からインプラントホルダーによって把持されているインプラントの方向に方向付けるように構成された前記ガス供給器と
を備える上記システム。
【請求項31】
ガス流が、インプラントに対して実質的に直角な方向でインプラントに方向付けられる、請求項30に記載のシステム。
【請求項32】
前記ガス供給器が、ガス流をインプラントに方向付けて約0L/分から約80L/分の間の出口流速で当てるように位置付けられたガスノズルを備える、請求項30に記載のシステム。
【請求項33】
ガスノズルが、約21mmの長さ及び約6.5mmの幅を有し、相隔たる複数の流開口を備えている、請求項32に記載のシステム。
【請求項34】
流開口が約2mmから約3mmの間の直径を有する、請求項33に記載のシステム。
【請求項35】
インプラントホルダーが、回転部材に対して垂直に又は水平にインプラントを着脱自在に把持し、ガス流をインプラントに対して実質的に直角な方向に方向付けるために、ガスノズルの位置が相応に調整される、請求項30に記載のシステム。
【請求項36】
回転部材が約500rpmから約10,000rpmの間の速度で回転する、請求項29に記載のシステム。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図5】
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【図6M】
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【図6N】
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【図3】
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【図4】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【図6G】
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【図6H】
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【図6I】
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【図6J】
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【図6K】
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【図6L】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−509693(P2012−509693A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−536865(P2011−536865)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際出願番号】PCT/EP2009/065476
【国際公開番号】WO2010/057949
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(506417463)プロミミック・アクチボラゲット (3)
【氏名又は名称原語表記】PROMIMIC AB
【Fターム(参考)】