説明

マイクロレリーフ表面を備えた剤形およびこのような剤形を製造するための方法および装置

【課題】剤形に偽造を防止する特徴を付与する1または複数の機能構造を有する剤形、剤形の製造方法、およびその製造に用いられる装置を提供すること。
【解決手段】使用者が剤形をより良く識別および区別することができ、かつ偽の製品を発見し易くする、独自の光学効果およびイメージを生成できる、光学要素(例えば、プリントパターン、マイクロレリーフ格子、および/またはマクロレリーフ格子)を含む食用の剤形。この剤形は、光学素子を含むように様々な方法で形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【開示の内容】
【0001】
〔関連出願の相互参照〕
本願は、全体を参照して本明細書に組み入れる2004年10月27日出願の米国特許出願第60/622,642号の恩典を主張するものである。
【0002】
〔発明の背景〕
〔1.発明の分野〕
本発明は、医薬組成物などの複合剤形およびその成分に関する。詳細には、本発明は、複合剤形に偽造を防止する特徴を付与する1または複数の機能構造を有する複合剤形に関する。
【0003】
〔2.発明の情報〕
2つ以上の異なる部分を有する剤形は、例えば、適合しない活性成分を分離できること、少量で強力な活性成分の許容範囲の内容物の均一性を達成できること、1または複数の活性成分を拍動式に送達できること、剤形の識別のためにユニークな美的外観を付与できることなどを含め、一般に直面する様々な課題の克服において、薬学分野で有用である。複数の部分を有する医薬剤形を実現するための既知の方法には、粒子コーティング、多層タブレット、圧縮コーティング、およびスプレーコーティング技術が含まれる。例えば、家庭用品の分野でも、活性成分を分離するため、および異なる時点で異なる活性成分を供給するために、2つ以上の異なる部分から固体の形態を製造することが知られている。
【0004】
医薬剤形のデザインは、製品の識別および区別における1つの重要な好機である。容易に識別および区別できるユニークな外観を持つ医薬剤形を提供することは、消費者の安全性および商業面の両方において有用である。
【0005】
ユニークな剤形の識別のために現在用いられている1つの技術では、彫り込み(intagliation)を用いている。このような彫り込みは、打抜き工程などによって、例えば、図、マーク、記号、文字などの符号、名称、ロゴ、絵、またはこれらの任意の組合せなどの図形をタブレットや他の固形剤形に彫るまたは型押しして通常は形成される凹凸マーク(impressed marks)である。例えば、米国特許第5,827,535号に、外面に凹凸図形が画定された軟質ゼラチンカプセルが開示されている。米国特許第5,405,642号には、色が異なる充填材料、蝋質材料、および溶媒を含む懸濁液をタブレットにスプレーし、次に、溶媒および余分な充填材料および蝋質材料を除去して、白色または着色コーティングされたタブレットの彫り込みを強調する方法が開示されている。しかしながら、充填材料の適当な結合を容易にするのに十分であり、かつ溶媒で除去するのに適した量の蝋質材料を保持するのが困難な場合が多い。
【0006】
欧州特許第088,556号は、タブレットの表面とは異なる色の乾燥粉末材料をこのタブレットに接触させ、次に、彫り込み内に充填されなかった余分な粉末材料を除去して、白色または着色タブレットの彫り込みを強調する方法に関する。不都合なことに、粉末材料の彫り込みへの付着は、この粉末材料は剥がれ落ちる性質を示すため、十分ではないことが分かった。
【0007】
欧州特許第060,023号に、光学的異方性物質を含むコーティング膜でタブレット表面をコーティングして彫り込みを充填し、これにより、着色(すなわち白色ではない)固体製品、特にタブレットの彫り込みを強調する方法が開示されている。タブレット表面と彫りこみとの間の光のコントラストを、タブレット表面の光学的異方性物質と彫り込み内の光学的異方性物質の配向の違いによって実現できると考えられる。しかしながら、この技術は、着色製品に限定され、しかも、光学的異方性充填材料しか使用できない。
【0008】
1つの剤形を別の剤形から識別および区別する別の方法では、剤形にマイクロレリーフ(microreliefs)が設けられる。例えば、米国特許第4,668,523号および国際公開第01/10464号(剤形外面のマイクロレリーフ)を参照されたい。マイクロレリーフは、適当な放射エネルギーにさらされると、視覚的効果すなわち光学情報を表示できるリッジと溝の規則的なパターンである。不都合なことに、不規則な形状および/または表面を有するタブレットにマイクロレリーフパターンを型押しするためにこの方法を用いると、製造上の問題が生じる。
【0009】
1または複数の別個の部分を有する剤形を製造するための上記した全ての方法は、比較的高コストで複雑であり、時間もかかる。加えて、彫り込み内に充填する既知の方法では、適した材料、および得られる剤形の達成可能な表面構造および外観が制限される。充填材料自体における上記した制限の他に、タブレットのサブコーティングは、加熱コーティング槽内でのタンブリングの際に充填材料が剥がれ落ちるように十分な非粘着性を有していなければならない。これらの方法は、充填材料がタブレット表面よりも隆起するように、またはタブレット表面と完全に面一になるように、彫り込みを充填することができない。従来技術の製品は、タブレット表面に対して僅かに凹んだ凹状の充填材料表面を有することができるだけである。
【0010】
医薬業界における別の重要な課題は、標準化することにより製造コストおよびパッケージングコストを最小限にすることである。多くの薬物は、様々な要求の様々な患者への投与が便利になるように、いくつかの異なる強度のタブレットとして利用可能である。一般に、強いタブレットほど、活性成分の量が少ないタブレットよりも重くて大きい。同じ大きさのタブレットに複数の異なる用量の薬物を受容できる汎用性を有し、しかも、患者および医療専門家が剤形の同一性および強さを容易に識別できる剤形デザインを提供することで、取扱およびパッケージングのコストを低減できるであろう。
【0011】
従来の製造設備およびパッケージング設備を用いて、効果的な識別および区別が可能な特徴を有する上品な剤形を製造することが理想的である。
【0012】
〔発明の概要〕
本発明に従って、少なくとも1種類の活性成分と、オプションとして凹部を有することができる少なくとも1つの内面を画定する1または複数のキャビティおよび外面を有する第1の部分と、外面と、この第1の部分のキャビティ内に嵌め込まれた、外面を有する第2の成型部分とから構成されている、これらからなる、かつ/またはこれらから実質的になる剤形を提供する。第2の成型部分は、マイクロレリーフを有する。第1の部分および第2の部分は、接合部で接触しており、第2の部分は、固化した熱応答性材料を含み、第2の部分は、凹部内に実質的に適合している。この実施形態では、オプションの凹部は、最大約20μmの深さを有しており、通常は、キャビティの内面と熱応答性材料との間の密着性を改善するのが望ましい実施形態に用いられる。
【0013】
別の実施形態では、第2の成型部分は、直径が約0.5μm〜約5.0μmの孔を実質的に有していない。
【0014】
別の実施形態では、第1の部分および第2の部分は、接合部で密着している。
【0015】
別の実施形態では、第1の部分は圧縮タブレットである。
【0016】
別の実施形態では、第1の部分は成型タブレットである。
【0017】
別の実施形態では、第1の部分は、彫り込みを含み、第2の部分はその彫り込みの中に受容されている。
【0018】
別の実施形態では、第2の部分の外面の少なくとも一部が、第1の部分の外面と同一平面にある。
【0019】
別の実施形態では、第2の部分の外面の少なくとも一部は、第1の部分の外面に対して隆起している。別の実施形態では、第2の部分の外面の少なくとも一部は、第1の部分の外面に対して下側に位置する。
【0020】
別の実施形態では、第1の部分は、1つの均質な層から実質的になる。
【0021】
別の実施形態では、第2の成型部分は、少なくとも1種類の活性成分を含む。
【0022】
別の実施形態では、第1の部分は、第1の色を有し、嵌め込まれた第2の部分は第2の色を有する。
【0023】
別の実施形態では、第1の部分は、第1の活性成分を含み、嵌め込まれた第2の部分は、第1の活性成分と同じまたは別でもよい第2の活性成分を含む。
【0024】
別の実施形態では、第1の部分および第2の部分は共に、予め配列されたパターンを提供する。
【0025】
別の実施形態では、第1の部分は、超小型電子装置を含む。
【0026】
別の実施形態では、第1の部分における1または複数のキャビティの内面は、値が0未満の抜き勾配を有する。
【0027】
別の実施形態では、接合部は、内面と実質的に同じように延在する。
【0028】
別の実施形態では、第1の部分の外面は、不連続であり、第2の部分の外面は連続的である。別の実施形態では、第1の部分の外面は連続的であり、第2の部分の外面は、不連続である。
【0029】
本発明の別の実施形態では、剤形は、少なくとも1種類の活性成分と、外面を有するコアと、このコアの外面の少なくとも一部に延在するシェルを含む。このシェルは、第1のシェル部分および第2のシェル部分を含み、この第2の成型シェル部分は、第1のシェル部分内に嵌め込まれ、マイクロレリーフを有する。第1のシェル部分および第2のシェル部分は、接合部で接触している。一実施形態では、第1のシェル部分の外面は、マイクロレリーフを有することができる。さらに別の実施形態では、第2のシェル部分のマイクロレリーフは、第1のシェル部分のマイクロレリーフとは異なってもよい。
【0030】
別の実施形態では、シェルは、外面を有し、第2の成型シェル部分は、コアの外面からシェルの外面まで延びている。
【0031】
別の実施形態では、第1のシェル部分および第2のシェル部分は共に不連続である。
【0032】
別の実施形態では、第1のシェル部分は不連続であり、第2のシェル部分は連続的である。
【0033】
別の実施形態では、第1のシェル部分は、第1の色を有し、第2のシェル部分は、第2の色を有する。
【0034】
別の実施形態では、コアは圧縮された粉末を含む。
【0035】
別の実施形態では、コアはインサートを含む。
【0036】
別の実施形態では、インサートは活性成分を含む。
【0037】
別の実施形態では、1または複数のコア、嵌め込まれた部分、またはインサートは、活性成分を含む。
【0038】
別の実施形態では、コアは、超小型電子装置を含む。
【0039】
別の実施形態では、インサートは超小型電子装置を含む。
【0040】
別の実施形態では、第1のシェル部分または第2のシェル部分の一方または両方が、微小凹凸のある(textured)外面を有する。「微小凹凸のある(textured)」は、表面における凹部および凸部の大きさが、少なくとも平均で約20μmであることを指す。
【0041】
別の実施形態では、シェルの外面は、予め配列されたパターンを含む。
【0042】
別の実施形態では、シェルは、シェル内に1または複数の開口を含む。
【0043】
別の実施形態では、シェルの外面は、実質的に平滑である。
【0044】
別の実施形態では、シェルは、凹部、文字、記号、またはパターンを含む。
【0045】
別の実施形態では、第1のシェル部分は、凹部、文字、記号、またはパターンを含む。
【0046】
別の実施形態では、第2のシェル部分は、凹部、文字、記号、またはパターンを含む。
【0047】
別の実施形態では、第1のシェル部分または第2のシェル部分、または両方のシェル部分が、文字、記号、パターンの形態の隆起した突出部を含む。
【0048】
別の実施形態では、嵌め込まれた部分は、直径が約0.5μm〜約5.0μmの孔を実質的に有していない。
【0049】
別の実施形態では、第2のシェル部分は、接合部に、値が0未満の抜き勾配を有する部分を含む。
【0050】
本発明の別の実施形態では、剤形は、少なくとも1種類の活性成分と、コアと、第1の成型シェル部分および第2の成型シェル部分を有するシェルを含む。第1の成型シェル部分は、不連続であり、第2の成型シェル部分は、連続的であって、マイクロレリーフを有する。第1のシェル部分の不連続は、第2の成型シェル部分の存在によるものであり、第1のシェル部分および第2のシェル部分は組成的に異なっている。
【0051】
別の実施形態では、第1のシェル部分および第2のシェル部分は、固化した熱可塑性材料を含む。
【0052】
別の実施形態では、第1のシェル部分および第2のシェル部分の外面は同一線上にある。
【0053】
別の実施形態では、第2の成型部分は、値が0未満の抜き勾配を有する部分を含む。
【0054】
別の実施形態では、キャビティは、嵌め込まれた部分を受容するための複数の側壁を画定しており、これらの側壁は、値が0未満の抜き勾配を有する。
【0055】
別の実施形態では、第1の部分または第2の部分の一方または両方が活性成分を含む。
【0056】
さらに別の実施形態は、少なくとも1つの表面を有するポリマー膜フレークと、このようなフレークの担体とから構成されている、これらからなる、かつ/またはこれらから実質的になる組成物に関する。このポリマー膜フレークは、少なくとも1つの表面にマイクロレリーフを有する。
【0057】
本発明に従って、添付の特許請求の範囲に記載した剤形、剤形の製造方法、およびその製造に用いられる装置を提供する。
【0058】
〔詳細な説明〕
当業者であれば、本開示に基づいて本発明を最大限に利用できると考えられる。以下に説明する特定の実施形態は、単なる例示であって、決して本開示の他の部分を限定すると解釈するべきものではない。
【0059】
特段の記載がない限り、ここで用いる全ての技術用語および科学用語は、本発明が属する分野の技術者による理解と全く同じ意味を有する。また、全ての刊行物、特許出願、特許、およびここに開示する他の参考文献は、参照して本明細書に組み入れるものとする。特段の記載がない限り、ここで用いるパーセンテージ(%)は、全て重量(wt)パーセント(%)である。
【0060】
ここで用いる「構造表面」は、あらゆるマイクロレリーフおよび/またはマクロレリーフを含むことができる。
【0061】
ここで用いる「マイクロレリーフ」または「回折レリーフ」は、適当な放射エネルギーにさらされると人間の眼に見えないまたは見える視覚的効果すなわち光学情報を表示できる、リッジ530と溝すなわちギャップ531との規則的なパターン、および微細構造などを意味する。例えば、図6Bを参照されたい。適当な放射エネルギーの例として、限定するものではないが、白熱光および/または太陽光などの通常の照明、および/またはレーザーなどの特殊な照明、および/または選択された波長を挙げることができる。マイクロレリーフは、(1)レーザー光の干渉、および成型、スタンピング、または加熱エンボス加工(hot-embossing)によって後に剤形に移すことができる他の既知の技術によって形成される微細構造パターンまたはリッジと溝のパターン、および(2)光が当たるとリッジと溝のパターンによって生成される視覚的な情報、効果、およびイメージなどを意味する「ホログラム」の両方を含む。ホログラムは、剤形における光学的なイメージ、効果、および情報の産物、ならびに白色光、インコヒーレント光、またはレーザー光を用いたこのような産物の再構築を含みうる。
【0062】
マイクロレリーフは、「安定性」を有するべきである。「安定性」とは、約70℃を超える高温における劣化、および加えられる機械的な力による形状の変化(μm単位)に対して高い抵抗性を有する意味である。マイクロレリーフは、医薬活性成分の効果に影響を与えるべきではなく、現行の剤形製造設備と同等の経済性を有するべきである。
【0063】
一実施形態では、マイクロレリーフは、「高分解能回折格子」とすることができる。「高分解能回折格子」とは、光を回折することができ、少なくとも約100本/mm、例えば、約100本/mm〜約5000本/mm、または約100本/mm〜約2000本/mm、または約200本/mm〜約1000本/mmの線を有する回折格子を意味する。この実施形態では、回折レリーフの寸法は、この回折レリーフが相互作用する光の波長に比例する。このマイクロレリーフによって記録および伝達できる例示的な情報は、色、深さ、イメージ、光学データ、聴覚データ、および/または運動効果とすることができる。
【0064】
別の実施形態では、マイクロレリーフは、ホログラムなどの回折光学可変イメージ装置である「DOVID」とすることができる。
【0065】
さらに別の実施形態では、マイクロレリーフは、例えば、少なくとも約100倍、または少なくとも約250倍、または少なくとも約100,000倍に拡大するなど、追加補助がなければ人間の眼で視認できない情報を伝達する構造表面である「マイクロエッチング」とすることができる。
【0066】
対照的に、ここに記載する「マクロレリーフ」は、構造がマイクロレリーフ回折格子に類似しているが、異なる方式で機能する。一般に、マクロレリーフは、少なくとも約3本/mm、例えば、約1本/mm〜約10本/mmの線または「レンチキュラー」を含む。例えば、図10に示されているように、各レンチキュラーは、隆起した湾曲リッジ920とすることができる。
【0067】
様々なタイプの「マクロレリーフ」を本発明に用いることができ、どのタイプのマクロレリーフも様々な視覚効果または動画を伝達する。最も単純な動画は、あるイメージが別のイメージに変わる動画である「レンチキュラー・フリップイメージ(lenticular flip image)」と呼ばれる。レンチキュラー・フリップイメージは通常、最大3つの異なるイメージを組み合わせることができ、異なる角度で別個に見ることができる。もう1つのタイプのマイクロレリーフは、「レンチキュラー3Dイメージ(lenticular 3D image)」である。「レンチキュラー3Dイメージ」は、平坦な表面イメージに明確な深さを与える動画であり、通常は、水平に連続的に配置された目的の約12のイメージを必要とする。「レンチキュラー・形態イメージ(lenticular morph image)」は、高度のコンピュータアルゴリズムによって生成される複数のイメージの使用によってあるイメージから別のイメージに徐々に変化する効果を生成する。「レンチキュラー・ズームイメージング(Lenticular zoom imaging)」は、一連の動画位置において、近づくまたは遠ざかるように見えるイメージの効果を生成し、「レンチキュラー・フルモーション・ビデオイメージング(lenticular full motion video imaging)」は、コヒーレントな動作の列である複数のフレームを用いて運動を表示する。上記した任意の2つ以上の効果または動画を組み合わせて、「レンチキュラー組合せイメージ」を生成することができる。
【0068】
ここで用いる「波紋」は、線、円、または点のアレイの2つ以上の同一の繰返しパターンが、例えば、図13Bに示されているように不完全な整合で重ね合わされる際に生成される効果を意味する。
【0069】
ここで用いる「射出成形」とは、所望の形状および大きさに剤形を形成する加工法であって、流体または流動状態の形態の流動性材料を型内に込めてから、温度を変更して(正または負に)型の中の流動性材料を固化し、次に固化した材料を型から取り出す。これとは対照的に、ここで用いる「圧縮」とは、所望の形状および大きさに剤形を形成する加工法であって、圧力を加えてパンチの表面間の材料を圧縮してタブレットにし、圧縮したタブレットを取り出す。
【0070】
ここで用いる一部の「外面」とは、仕上げた剤形の外面の一部を含む表面を指す。
【0071】
ここで用いる「実質的に一致する」は、第1の部分のキャビティが、ピークと谷を有する表面によって画定され、表面にピークと谷を有する第2の部分が、キャビティ内に受容され、第2の部分の表面のピークが、第1の部分のキャビティによって画定される表面の第1の谷に実質的に逆に一致し、第2の部分の表面の谷が、第1の部分のキャビティによって画定される表面の第1のピークに実質的に逆に一致することを指す。
【0072】
ここで用いる「組成的に異なる」は、量的または質的な化学分析、物理試験、または観察によって容易に区別できる特徴を有することを意味する。例えば、第1の材料と第2の材料は、異なる成分を含む、または同じ材料を異なる量含むことができる。また、第1の材料と第2の材料は、異なる物理特性または化学特性、または異なる機能特性を有することができ、視覚的に異なりうる。異なりうる物理特定または化学特性の例として、親水性(hydrophylicity)、疎水性、吸湿性、弾性、可塑性、引張り強さ、結晶性、および密度を挙げることができる。異なりうる機能特性の例として、材料自体または材料からの活性成分の溶解の速度および/または範囲、材料の分解の速度、活性成分に対する浸透性、および水または水媒体に対する浸透性などを挙げることができる。視覚的な区別の例として、大きさ、形状、トポグラフィ、または他の幾何学的特徴、色、色相、不透明度、および光沢を挙げることができる。
【0073】
ここで用いる「剤形」は、糖菓剤を含むあらゆる摂取可能な形態を指す。一実施形態では、本剤形は、例えば、後に定義する活性成分などの特定の成分を所定量(用量)含むようにデザインされた固体、半固体、液体の組成物である。適当な剤形は、経口投与、口腔投与、直腸投与、局所投与、経皮投与、または粘膜投与などの薬物送達装置、皮下インプラント、または他の埋込み薬物送達装置;または、ミネラル、ビタミンおよび他の栄養補給物質、口腔ケア物質、および香料(flavorants)を送達するための組成物とすることができる。一実施形態では、本発明の剤形は、固体と考えているが、液体または半固体の成分を含むことができる。別の実施形態では、本剤形は、人間の消化管に薬学的に活性な成分を送達するための経口投与装置である。さらに別の実施形態では、本剤形は、薬学的に不活性な成分を含むプラセボ経口投与装置であって、例えば、特定の薬学的に活性な成分の安全性および有効性などを試験するために臨床試験の対照目的として使用できるように、特定の薬学的に活性な剤形と同じ外観を有するようにデザインされる。
【0074】
ここで用いる「活性成分」は、例えば、医薬品、ミネラル、ビタミンおよび他の栄養補給物質、口腔ケア物質、香料、およびこれらの混合物などを含む。適当な医薬品の例として、鎮痛薬、抗炎症薬、抗関節炎薬、麻酔薬、抗ヒスタミン薬、鎮咳薬、抗生物質、抗感染症薬、抗ウイルス薬、凝固阻止薬、抗うつ薬、抗糖尿病薬、鎮吐薬、抗膨満薬、抗真菌薬、鎮痙薬、食欲抑制薬、気管支拡張薬、心血管薬、中枢神経系作用薬、中枢神経興奮薬、うっ血除去薬、利尿薬、去痰薬、胃腸薬、偏頭痛薬、乗り物酔い止め薬、粘液溶解薬、筋弛緩剤、骨粗鬆症治療薬、ポリジメチルシロキサン(polydimethylsiloxanes)、呼吸器疾患治療薬、睡眠誘導剤、尿路治療薬、およびこれらの混合物を挙げることができる。
【0075】
適当な口腔ケア物質の例として、ブレスフレッシュナー、デンタルホワイトナー(tooth whiteners)、抗菌剤、歯鉱化剤(tooth mineralizer)、虫歯防止剤、局所麻酔薬、および粘膜保護剤(mucoprotectant)などを挙げることができる。
【0076】
適当な香料の例として、メンソール、ペパーミント、ミントフレーバー、フルーツフレーバー、チョコレート、バニラ、風船ガムフレーバー、コーヒーフレーバー、リキュールフレーバー、およびこれらの組み合わせなどを挙げることができる。
【0077】
適当な胃腸薬の例として、炭酸カルシウム、水酸化マグネシウム、酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、炭酸水素ナトリウム、およびジヒドロキシアルミニウム炭酸ナトリウムなどの制酸薬;ビサコジル、カスカラサグラダ、ダントロン、センナ、フェノールフタレイン、アロエ、ヒマシ油、リシノール酸、デヒドロコール酸、およびこれらの混合物などの刺激性下剤;ファモチジン(famotadine)、ラニチジン、シメチジン、およびニザチジンなどのH2レセプター拮抗薬;オメプラゾールまたはランソプラゾールなどのプロトンポンプ阻害剤;スクラルフェートおよびミソプロストールなどの胃腸細胞保護剤;プルカロプリド(prucalopride)や、クラリスマイシン、アモキシシリン、テトラサイクリン、およびメトロニダゾールなどのヘリコバクターピロリのための抗生物質などの胃腸運動促進剤;ジフェノキシレートおよびロペラミドなどの下痢止め薬;グリコピロレート;オンダンセトロンなどの鎮吐薬、メサラミンなどの鎮痛薬を挙げることができる。
【0078】
本発明の一実施形態では、活性成分は、ビサコジル、ファモチジン、ラニチジン、シメチジン、プルカロプリド(prucalopride)、ジフェノキシレート、ロペラミド、ラクターゼ、メサラミン、ビスマス、制酸薬、およびこれらの薬学的に許容される塩、エステル、異性体、および混合物から選択することができる。
【0079】
別の実施形態では、活性成分は、鎮痛薬、抗炎症薬、および解熱薬から選択することができ、例えば、イブプロフェン、ナプロキセン、およびケトプロフェンなどのプロピオン酸誘導体;例えば、インドメタシン、ジクロフェナク、スリンダク、およびトルメチンなどの酢酸誘導体;メフェナム酸、メクロフェナム酸、およびフルフェナム酸などのフェナム酸(fenamic acid)誘導体;例えば、ジフルニサルおよびフルフェニサル(flufenisal)などのビフェニルカルボン酸誘導体:例えば、ピロキシカム、スドキシカム(sudoxicam)、イソキシカム、およびメロキシカムなどのオキシカム(oxicam)を含む非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)である。一実施形態では、活性成分は、例えば、イブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、フェンブフェン、フェノプロフェン、インドプロフェン、ケトプロフェン、フルプロフェン(fluprofen)、ピルプロフェン、カルプロフェン、オキサプロジン、プラノプロフェン、スプロフェン、およびこれらの薬学的に許容される塩、誘導体および混合物のようなプロピオン酸誘導体NSAIDから選択される。本発明の別の実施形態では、活性成分は、アセトアミノフェン、アセチルサリチル酸、イブプロフェン、ナプロキセン、ケトプロフェン、フルルビプロフェン、ジクロフェナク、シクロベンザプリン、メロキシカム、ロフェコキシブ、セレコキシブ、およびこれらの薬学的に許容される塩、エステル、異性体、および混合物から選択することができる。
【0080】
本発明の別の実施形態では、活性成分は、偽エフェドリン、フェニルプロパノールアミン、クロルフェニラミン、デキストロメトルファン、ジフェンヒドラミン、アステミゾール、テルフェナジン、フェキソフェナジン(fexofenadine)、ロラタジン(loratadine)、デスロラチジン(desloratidine)、ドキシラミン(doxilamine)、ノラステミゾール(norastemizole)、セチリジン(cetirizine)、これらの混合物、およびこれらの薬学的に許容される塩、エステル、異性体、および混合物から選択することができる。
【0081】
限定するものではないが、ジメチコーンおよびシメチコンを含む適当なポリジメチルシロキサンの例が、米国特許第4,906,478号、同第5,275,822号、および同第6,103,260号に開示されており、それぞれの開示内容は、参照して本明細書に組み入れるものとする。ここで用いる「シメチコン」は、限定するものではないが、シメチコンおよびジメチコーンを含め、広範囲のポリジメチルシロキサン類を指す。
【0082】
本発明の剤形には、薬学的に有効な量の1または複数の活性成分が含まれている。薬学的に有効な量とは、経口投与で所望の治療反応を生成する量であり、当業者が容易に決定できる。このような量を決定する場合、当分野で周知のように、投与される特定の活性成分、活性成分の生物学的利用能特性、投薬計画、患者の年齢および体重、および他の因子を考慮しなければならない。一実施形態では、剤形は、少なくとも約85wt%の活性成分を含む。
【0083】
1または複数の活性成分は、剤形内で任意の形態で存在することができる。例えば、活性成分は、剤形内に溶融または溶解されて分子レベルで分散させるか、または粒子の形態にすることができる。このような粒子は、コーティングしてもしなくても良い。活性成分が粒子の形態の場合、粒子(コーティングの有無にかかわらず)は通常、約1μm〜約2000μmの平均粒子サイズを有する。一実施形態では、このような粒子は、約1μm〜約300μmの平均粒子サイズを有する結晶である。別の実施形態では、粒子は、約50μm〜約2000μm、例えば約50μm〜約1000μmまたは約100μm〜約800μmの平均粒子サイズを有する顆粒またはペレットである。
【0084】
活性成分の放出速度を変更するのが望ましい実施形態では、活性成分は、オプションで、放出を変更する既知のコーティング剤でコーティングすることができる。このコーティングは、剤形からの活性成分の放出プロフィールを変更する別の手段となる。例えば、剤形は、コーティングされた粒子である1または複数の活性成分を含むことができ、粒子のコーティングにより、当分野で周知のように、放出を変更する機能を付与できる。粒子用の適当な放出変更コーティングの例が、米国特許第4,173,626号、同第4,863,742号、同第4,980,170号、同第4,984,240号、同第5,286,497号、同第5,912,013号、同第6,270,805号、および同第6,322,819号に開示されている。市販の放出が変更された活性成分を用いることもできる。例えば、コアクサベーション(coaccervation)法によって放出変更ポリマーで被包されたアセトアミノフェン粒子を本発明に用いることができる。このようなコアクサベーション被包化アセトアミノフェンは、例えば、ユーランド・アメリカ社(Eurand America, Inc.)またはサーカ社(Circa Inc.)から入手可能である。活性成分が不快な味であって、剤形を口内で噛み砕いてから飲み込む場合は、活性成分を、当分野で周知のように、味を遮断するコーティング剤でコーティングすることができる。味遮断コーティングの例が、米国特許第4,851,226号、同第5,075,114号、および同第5,489,436号などに開示されている。市販の味が遮断された活性成分を用いることもできる。例えば、コアクサベーション(coaccervation)法によってエチルセルロースまたは他のポリマーで被包されたアセトアミノフェン粒子を本発明に用いることができる。このようなコアクサベーション被包化アセトアミノフェンは、例えば、ユーランド・アメリカ社(Eurand America, Inc.)またはサーカ社(Circa Inc.)から入手可能である。
【0085】
1または複数の活性成分は通常、水、胃液、または腸液などの液体に接触すると溶解することができる。一実施形態では、活性成分の溶解特性は、活性成分を含む即時放出型タブレットのUSP規格を満たしている。活性成分が動物の体循環内に吸収されるのが望ましい実施形態では、1または複数の活性成分は、水、胃液、または腸液などの液体に接触すると溶解することが可能なようにすべきである。一実施形態では、活性成分の溶解特性は、活性成分を含む即時放出型タブレットのUSP規格を満たしている。例えば、USP24は、アセトアミノフェンタブレットに対しては、pH5.8のリン酸緩衝液において、USP装置2(パドル)が50rpmで、剤形に含まれる少なくとも80%のアセトアミノフェンが投与後30分以内に放出されると規定し、イブプロフェンタブレットに対しては、pH7.2のリン酸緩衝液において、USP装置2(パドル)が50rpmで、剤形に含まれる少なくとも80%のイブプロフェンが投与後60分以内に放出されると規定している。USP24の2000年版のp19〜20、およびp856(1999年)を参照されたい。別の実施形態では、活性成分の溶解特性を変更(例えば、抑制、持続、延長、遅延、延期、または遅らせる)することができる。
【0086】
一般に、本発明の一実施形態は、マイクロレリーフを有する少なくとも1つの充填成型彫り込み部分またはキャビティ部分を含む剤形を形成する。このようなマイクロレリーフは、高容量高速の剤形製造方法および装置を用いてスタンピング、エッチング、または成型によって充填成型彫り込み部分に形成することができる。活性成分は、コア内、充填部分内、および/または剤形に付加される任意のコーティング内に含めることができる。
【0087】
一実施形態では、剤形を受容する容器、または容器のためのパッケージングが、偏光フィルター素子またはカラーフィルター素子などの特殊な照明を容易にするキャップ、フラップ、または側壁などの要素を含むこともできる。
【0088】
剤形は、少なくとも1種類の活性成分、1または複数のキャビティ(オプションとしてキャビティ表面に凹部を備えることができる)および外面を有する第1の部分、およびこの第1の部分のキャビティ内に嵌めこまれた、外面を有する第2の部分を含むことができる。第1の部分および第2の部分は、接合部で接触し、第2の部分は、マイクロレリーフを有する固化した熱可塑性材料を含む。この第2の部分は、第1の部分の凹部に実質的に一致している。
【0089】
別法では、剤形は、少なくとも1種類の活性成分、外面を有するコア、およびこのコアの外面の少なくとも一部に設けられたシェルを含むことができる。このシェルは、第1のシェル部分および第2のシェル部分を含む。この第2のシェル成型部分は、第1のシェル部分内に嵌め込まれ、マイクロレリーフを有する。
【0090】
本発明のさらに別の実施形態では、剤形は、少なくとも1種類の活性成分、コア、およびシェルを含むことができる。このシェルは、不連続な第1の成型シェル部分、およびマイクロレリーフを有する連続した第2のシェル成型部分を有する。第1のシェル部分の不連続は、第2の成型シェル部分を設けたために存在する。第1のシェル部分と第2のシェル部分は、組成的に異なっている。別の実施形態では、第1の成型シェル部分が、連続的であり、第2の成型シェル部分が、マイクロレリーフを有し、不連続である。
【0091】
本発明の更に別の実施形態では、剤形は、少なくとも1種類の活性成分、コア、およびシェルを含むことができる。このシェルは、連続した第1の成型シェル部分、およびマイクロレリーフを有する不連続な第2のシェル成型部分を有する。第2のシェル部分の不連続は、第1の成型シェル部分を設けたために存在する。第1のシェル部分と第2のシェル部分は、組成的に異なっている。
【0092】
ある実施形態では、第1の部分は、1つの均質な層から実質的になっている。言い換えれば、第1の部分は、1つの成型組成物(例えば、コアまたはストライプ)または1つの圧縮タブレットとすることができる。第1の部分を複数の部分に分割する場合は、各部分は、同じ密度、同じ間隙率、同じ色、および同じ結晶性を有するようにする。
【0093】
第1の部分が圧縮によって形成される実施形態では、適当な賦形剤には、限定するものではないが、充填剤、結合剤、分解剤、潤滑剤、および流動促進剤などが含まれる。
【0094】
第1の部分が圧縮によって形成される実施形態では、適当な充填剤には、限定するものではないが、デキストロース、スクロース、イソマルタロース(isomaltalose)、フルクトース、マルトース、ラクトース、およびポリデキストロースを含む糖類、マンニトール、ソルビトール、イソマルト(isomalt)、マルチトール、キシリトール、エリスリトールを含む糖アルコール類、デキストリンおよびマルトデキストリン(maltodextrins)を含むデンプン加水分解物などの水溶性の圧縮可能な炭水化物、微結晶性セルロースまたは他のセルロース誘導体などの不水溶性の塑性変形する材料、リン酸二カルシウムおよびリン酸三カルシウムなどの不水溶性脆性破壊材料、およびこれらの混合物が含まれる。
【0095】
第1の部分が圧縮によって形成される実施形態では、適当な結合剤の例として、限定するものではないが、ポリビニルピロリドンおよびヒドロキシプロピルメチルセルロースなどの乾燥結合剤;アルギン酸塩、寒天、ガーゴム、ローカストビーン、カラゲナン、タラ(tara)、アラビアゴム、トラガカント、ペクチン、キサンタン、ゲラン(gellan)、マルトデキストリン(maltodextrin)、ガラクトマンナン、プストゥプラン(pusstulan)、ラミナリン、スクレログルカン(scleroglucan)、アラビアゴム、イヌリン、ペクチン、ウィーラン(whelan)、ラムサン(rhamsan)、ズーグラン(zooglan)、メチラン(methylan)、キチン、シクロデキストリン、キトサン、ポリビニルピロリドン、セルロース誘導体、およびデンプンなどの親水コロイドを含む水溶性ポリマーなどの液体結合剤;およびこれらの誘導体および混合物を挙げることができる。
【0096】
第1の部分が圧縮によって形成される実施形態では、適当な分解剤の例として、限定するものではないが、デンプングリコール酸ナトリウム(sodium starch glycolate)、架橋ポリビニルピロリドン、架橋カルボキシメチルセルロース、デンプン、および微結晶性セルロースなどを挙げることができる。
【0097】
第1の部分が圧縮によって形成される実施形態では、適当な潤滑剤の例として、限定するものではないが、ステアリン酸マグネシウムおよびステアリン酸などの長鎖脂肪酸類およびそれらの塩、タルク、および蝋を挙げることができる。
【0098】
第1の部分が圧縮によって形成される実施形態では、適当な流動促進剤の例として、限定するものではないが、コロイド状二酸化ケイ素などを挙げることができる。
【0099】
第1の部分が圧縮によって形成される実施形態では、本発明の剤形は、限定するものではないが、防腐剤、アスパルテーム、アセルスファムカリウム(acesulfame potassium)、シクラメート、サッカリン、およびスクラロースなどの強い甘味料;ジヒドロアルコン(dihydroalcones)、グリチルリジン、Monellin(商標)、ステビオシド、およびTalin(商標)などの他の甘味料;フレーバー、酸化防止剤、界面活性剤、および着色剤を含め、薬学的に許容されるアジュバントも含むことができる。
【0100】
図1A、図1B、図2A、および図2Bを参照すれば、本発明の剤形を全体的に理解できるであろう。図1Aおよび図1Bは、本発明の剤形の一実施形態を示している。図1Aでは、第1の部分4を含む剤形2が示されている。第1の部分は、複数のデボス部分すなわちキャビティを含み、これらのキャビティは、嵌め込まれた第2の部分6を含む。1または複数の第2の部分6の外面は、マイクロレリーフ11を有する。この実施形態では、第1の活性成分を第1の部分4内に配置することができ、オプションの第2の活性成分を嵌め込まれた第2の部分6内に配置することができるが、別の実施形態では、嵌め込まれた第2の部分6または第1の部分4のいずれか一方のみが活性成分を含むことができる。
【0101】
マイクロレリーフ11を有する第2の部分6に用いられる流動性材料は、世界規模での剤形の輸送、保管、および使用の際に一般にさらさる湿度および温度の変化を受けても、微細なマイクログラフパターンを維持できなければならない。加えて、このような流動性材料は、剤形が冷却されて固化した後、マイクロレリーフを損傷することなく、型またはスタンプ交換部品から容易かつ確実に取り外すことができるべきである。
【0102】
図1Bは、図1Aの剤形2の断面図である。図1Bに示されているように、嵌め込まれた第2の部分6は、第1の上面8および第2の下面10から第1の部分4の途中まで延びることができる。図示されているように、マイクロレリーフ11の部分は、第1の部分4の第1の表面8および第2の表面10よりも上に隆起させて突きでていることができる。別法では、マイクロレリーフ11は、図1Cおよび図1Dに示されているように、凹んでいて、第1の表面8または第2の表面10の途中まで延びることができる。図示されているように、マイクロレリーフ11のチップすなわちリッジ12は、近接する第1の表面8または第2の表面10の表面とほぼ同じレベルにすることもできる。これらの実施形態では、第1の活性成分を嵌め込まれた第2の部分6内に配置し、オプションの第2の活性成分(第1の活性成分と同じまたは別にすることができる)を第1の部分4内に配置することができるが、他の実施形態では、嵌め込まれた第2の部分6または第1の部分4のいずれか一方のみが活性成分を含むことができる。
【0103】
一実施形態では、第1の部分と第2の部分は共に、予め整列されたパターンを提供することができる。別の実施形態では、第2の部分は、香料または知覚物質(sensate)を含むことができる。ここで用いる「知覚物質」は、口、鼻、および/または喉に芳香またはフレーバー以外の知覚効果を与える化学物質である。このような知覚効果の例として、限定するものではないが、冷たくする、暖かくする、鈴などのような音を鳴らす(tingling)、口内を水っぽくする(ジューシー)、および渋みなどを挙げることができる。本発明に用いるのに適した知覚物質は、市販されており、例えば、インターナショナル・フレーバー・アンド・フラグランス(International Flavor & Fragrances)から購入することができる。
【0104】
図1Eおよび図1Fに示されている剤形は、第1の表面8および第2の表面10に設けられた透明または半透明な表面コーティング13をさらに含む。表面コーティング13は、剤形のマイクログラフを有する嵌め込まれた部分6に部分的(不図示)または全体的に設けることもできる。
【0105】
表面コーティングに含めるのに適したポリマーの例として、ポリビニルアルコール(PVA);ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン、プルラン、メチルエチルデンプン、カルボキシメチルデンプン、プレゼラチン化デンプン(pre-gelatinized starches)、および皮膜剤修飾デンプンなどの水溶性多糖(water soluble polycarbohydrates);ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシブチルメチルセルロース(HBMC)、ヒドロキシエチルエチルセルロース(HEEC)、およびヒドロキシエチルヒドロキシプロピルメチルセルロース(HEMPMC)などの水膨脹性セルロース誘導体;メタクリル酸とメタクリル酸エステルのコポリマー、ポリビニルアルコールとポリエチレングリコールのコポリマー、ポリエチレンオキシドとポリビニルピロリドンのコポリマーなどの水溶性コポリマー;ポリビニルピロリドンとポリビニルアセテートのコポリマー;およびこれらの誘導体および組合せを挙げることができる。表面コーティングに含めるのに適した皮膜を形成する水不溶性ポリマーの例として、例えば、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリカプロラクトン、酢酸セルロースおよびその誘導体、アクリレート、メタクリレート、アクリル酸コポリマー;およびこれらの誘導体、コポリマー、および組合せを挙げることができる。表面コーティングに含めるのに適した皮膜を形成するpH依存性ポリマーの例として、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸セルロースなどの腸溶性セルロース誘導体(enteric cellulose derivatives);セラックおよびゼインなどの天然樹脂;例えば、フタル酸ポリ酢酸ビニル(polyvinylacetate phthalate)、酢酸フタル酸セルロース、およびアセトアルデヒド酢酸ジメチルセルロース(acetaldehyde dimethylcellulose acetate)などの腸溶性酢酸誘導体;ローム・ファーマ社(Rohm Pharma GmbH)が販売する「EUDRAGIT S」(商標)であるポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:2およびローム・ファーマ社(Rohm Pharma GmbH)が販売する「EUDRAGIT L」(商標)であるポリ(メタクリル酸、メタクリル酸メチル)1:1などのポリメタクリル酸系ポリマー、ローム・ファーマ社(Rohm Pharma GmbH)が販売する「EUDRAGIT E」(商標)であるポリ(ブチルメタクリレート(ジメチルアミノエチル)メタクリル酸(butyl methacrylate (dimethylaminoethyl)methacrylate)、メタクリル酸メチル)などの腸溶性アクリル酸誘導体;およびこれらの誘導体、塩、コポリマー、および組合せを挙げることができる。
【0106】
一実施形態では、表面コーティング13は、通常の製造、取扱、輸送、保管、および使用条件にさらされた時にマイクロレリーフの変形を防止するのに十分な降伏値を有するコーティングなどの高剛性のコーティングを含む。適当な高剛性の表面コーティングの例として、例えば、当分野で周知の引張り強さの大きい膜形成材料などの膜形成材料を含む。適当な引張り強度の高い膜形成材料の例として、限定するものではないが、メタクリル酸とメタクリル酸エステルとのコポリマー;ポリビニルピロリドン;酢酸セルロース;ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ポリエチレンオキシド、およびBASFが販売する「Kollicoat IR」(商標)であるポリビニルアルコール;エチルセルロース;ポリビニルアルコール;およびこれらのコポリマーおよび混合物を挙げることができる。
【0107】
一実施形態では、表面コーティングは、HPMC、ポリビニルピロリドン、「EUDRAGIT E」(商標)として販売されているアミノアルキルとメタクリレートのコポリマー、ならびにこれらのコポリマーおよび混合物から選択される水溶性で剛性の高い膜形成材料を含むことができる。
【0108】
特に高い透明性が求められる実施形態では、表面コーティングは、「EUDRAGIT E」(商標)として販売されているアミノアルキルとメタクリレートのコポリマーなどのアクリレート、ポリビニルピロリドン、酢酸セルロース、ポリエチレンオキシド、ポリビニルアルコール、エチルセルロース、およびポリビニルアルコールセラックから選択される透明性の高い高剛性の膜形成材料を含むことができる。
【0109】
一般に、表面コーティングの厚みは、約50μm〜約200μmの範囲とすることができ、位置決め層の剛性は、厚みが増大するにつれて高くなる。
【0110】
本剤形は、その総重量に対して約0.1%〜約10%の表面コーティングを含むことができる。
【0111】
表面コーティング13は、例えば、米国特許第4,683,256号、同第4,543,370号、同第4,643,894号、同第4,828,841号、同第4,725,441号、同第4,802,924号、同第5,630,871号、および同第6,274,162号に開示されているスプレーコーティング;米国特許第5,089,270号、同第5,213,738号、同第4,820,524号、同第4,867,983号、および同第4,966,771号に開示されている浸漬コーティング、または米国特許出願第2003‐0219484 A1号に開示されている射出成形などの当分野で周知の任意の方法で施すことができる。
【0112】
一実施形態では、表面コーティングの屈折率は、コアの屈折率と同じではない。表面コーティングはまた、透明または半透明とすることができる。
【0113】
図2Aおよび図2Bは、本発明の別の実施形態を示している。図2Aは、コア104を含む剤形102を示している。このコア104は、その外面に少なくとも部分的に設けられたシェル105を含む。シェル105は、図2Aの剤形の断面図である図2Bに詳細に示されている。図2Bに示されているように、コア104の外面108および110に設けられたシェル105は、第2のシェル部分106が成型嵌め込みされたキャビティを有する第1のシェル部分107を含む。嵌め込まれた第2のシェル部分106の少なくとも1つが、マイクログラフ111を有する。このようなマイクログラフは、近接するシェル部分の外面107’から突出する、実質的に同一の高さ、または凹ませることができる。この実施形態では、第1の活性成分をシェル部分107内に配置し、第2の活性成分を嵌め込まれた第2のシェル部分106内に配置することができるが、他の実施形態では、第1のシェル部分107または嵌め込まれた第2のシェル部分106のいずれか一方のみが活性成分を含むことができる。コア104は、オプションとして、第1のシェル部分107および嵌め込まれた第2のシェル部分106内に受容させる活性成分と同じまたは異なる活性成分を含むことができる。
【0114】
図2Bに示されているように、シェル105は、コア104の側面部分112および114に沿って延在させることができ、嵌め込み部分116および118をシェル105のキャビティ内に含めることができる。この実施形態では、キャビティが、第1のシェル部分を貫通してコアの表面まで達することができるが、別の実施形態では、キャビティは、第1のシェル部分の途中までしか延びないようにすることができる。代替の実施形態(不図示)では、キャビティは、コアの一部または全てを通ることができる。
【0115】
図2Cに示されている剤形は、表面107’に設けられた透明または半透明の表面コーティング13’をさらに含む。表面コーティング13’は、剤形のマイクログラフを含む嵌め込み部分106に部分的または完全に設けることができる。適当な表面コーティング13’の例には、上記した任意の表面コーティングが含まれる。この実施形態の剤形は、その総重量に対して約1%〜約10%の表面コーティング13’を含むことができる。
【0116】
コア(または基材)は、あらゆる固体または半固体の形態にすることができる。コアは、例えば、圧縮剤形にする、または成型するなど、任意の適当な方法で用意することができる。ここで用いる「基材」は、別の物質が設けられるかまたは作用する表面または下側の支持構造を指し、「コア」は、別の材料によって少なくとも部分的に覆われる材料を指す。剤形に用いるのに適するようにするために、語「コア」は、「基材」を指すために用いることもできる。一実施形態では、コアは、固体を含み、例えば、圧縮または成型タブレット、硬質または軟質のカプセル、坐薬、またはロゼンジ、ヌガー、キャラメル、フォンダント、または脂肪を用いた組成物などの菓子の形態にすることができる。他のある実施形態では、コアは、最終剤形において、半固体または液体の形態にすることができる。
【0117】
コアは、異なる様々な形状にすることができる。例えば、一実施形態では、コアは、切頭円錐の形状にすることができる。他の実施形態では、コアは、立方体、ピラミッド、またはプリズムなどの多面体の形状にすることができ、円錐、円柱、球形、または円環などのいくつかの平坦でない表面を有する空間図形のジオメトリを有することもできる。利用できるコアの例示的な形状として、以下に示すように、ペンシルバニア州マッキースポーツ(McKeesport, Pa.)に所在のエリザベス・カーバイド・ダイ社(Elizabeth Carbide Die Co., Inc.,)の「エリザベス社のタブレットデザイン・トレーニングマニュアル(The Elizabeth Companies Tablet Design Training Manual)」の7頁、)(参照して本明細書に組み入れる)によって記載されている圧縮器具の形状から形成されるタブレット形状を含むことができる(このタブレット形状は、圧縮器具の形状の反対の形状に一致する)。
1.浅い凹形
2.普通の凹形
3.深い凹形
4.特に深い凹形
5.変更されたボール凹形
6.普通の凹形バイセクト
7.普通の凹形ダブルバイセクト
8.普通の凹形ヨーロピアンバイセクト
9.普通の凹形部分バイセクト
10.2重半径
11.ベベルと凹形
12.平坦な平面
13.平面の傾斜縁(F.F.B.E)
14.F.F.B.E.バイセクト
15.F.F.B.E.ダブルバイセクト
16.リング
17.ディンプル
18.長円形
19.楕円形
20.カプセル
21.長方形
22.正方形
23.三角形
24.六角形
25.五角形
26.八角形
27.菱形
28.矢じり形
29.弾丸形
30.樽形
31.半月形
32.盾形
33.ハート形
34.アーモンド形
35.ハウス/ホームプレート形
36.平行四辺形
37.台形
38.図8/バーベル形
39.ボウタイ形
40.不等辺三角形
【0118】
コアまたはサブコアは、オプションとして、圧縮、成型、またはスプレーサブコーティングによって少なくとも部分的に覆うことができる。しかしながら、別の実施形態では、コアは、サブコーティングで実質的に覆わないようにすることができる。すなわち、コアの外面とシェルの内面との間にサブコーティングが存在しない。膜コーティングタブレットに適した任意の組成物を、本発明に従ったサブコーティングとして用いることができる。適当なサブコーティングの例として、限定するものではないが、例えば、米国特許第4,683,256号、同第4,543,370号、同第4,643,894号、同第4,828,841号、同第4,725,441号、同第4,802,924号、同第5,630,871号、および同第6,274,162号に開示されているサブコーティングを挙げることができる。別の適当なサブコーティングは、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびヒドロキシエチルセルロースなどのセルロースエーテル;ザンサンガム、デンプン、およびマルトデキストリン(maltodextrin)などの多糖(polycarbohydrates);例えば、グリセリン、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジブチルセバケート、クエン酸トリエステル(triethyl citrate)、ヒマシユなどの植物油、ポリソルベート80などの界面活性剤、ラウリル硫酸ナトリウム、およびスルホコハク酸ジオクチルナトリウム;多糖(polycarbohydrate)、顔料、および乳白剤からなる群から選択される1または複数の成分を含むことができる。
【0119】
一実施形態では、サブコーティングおよび/または表面コーティングは、コアの反射を最大限にするように作用する効果顔料(effect pigment)を含むことができる。適した効果顔料の例として、限定するものではないが、米国特許第6,627,212号に開示されているような板状の酸化チタン;「CANDURIN」(商標)としてEMDケミカルズ社(EMD Chemicals Inc.)が販売するような酸化遷移金属がコーティングされた板状の雲母を挙げることができる。また、パフ・G(Pfaff, G.)およびレインダーズ・P(Reynders, P.)著、「膜および顔料のサブミクロン構造から得られる角度に依存する光学効果(Angle-dependent Optical Effects Deriving from Submicron Structures of Films and Pigments)」、ケミカル・レビューズ・サーチ・ザ・ジャーナルズ(Chem. Rev.)、1999年、p1963〜1981を参照されたい。剤形がサブコーティングを含む実施形態では、剤形は、その総重量に対して約1%〜約5%のサブコーティングを含むことができる。
【0120】
コアが、例えば、圧縮タブレットなどの圧縮剤形である実施形態では、コアは、圧縮された粉末から用意することができる。このような粉末は、活性成分を含むことができ、オプションとして、従来のように、結合剤、分解剤、潤滑剤、および充填剤などの様々な賦形剤を含むことができる。粉末はまた、タブレットや菓子混合物などの不活性なプラセボ配合物などの医薬的または非医薬的な性質の他の粒子材料を含むこともできる。ある特定の製剤は、活性成分、賦形剤として塑性変形する圧縮可能な材料、および米国特許出願公開第20030068373号に詳細に開示されている分解剤および潤滑剤などのオプションの他の賦形剤を含む。圧縮の際、塑性変形する圧縮材料は、上側および/または下側のパンチ表面のマイクロレリーフの形状をとる。
【0121】
このような実施形態に適した塑性変形する圧縮可能な材料の例として、微結晶性セルロース、蝋、脂肪、モノグリセリドおよびジグリセリド、およびこれらの誘導体および混合物などを挙げることができる。一部の実施形態では、塑性変形する圧縮可能な材料が後に溶解されてタブレットに吸収される。このような塑性変形する圧縮可能な材料は、シェラック蝋および微結晶性蝋などの塑性変形する圧縮可能な粉末蝋、ポリエチレングリコール、およびこれらの混合物などの融点が低い塑性変形する圧縮可能な材料から選択することができる。
【0122】
コアはまた、オプションとしてサブコア(「インサート」とも呼ぶことができる)を含むこともできる。サブコアは、例えば、圧縮または成型などの任意の方法によって形成することができ、オプションとして1または複数の活性成分を含むことができる。
【0123】
本発明の一実施形態では、本発明の剤形は、約50μm〜約500μmの平均粒度を有する粉末の配合物から形成されるコアを含む。一実施形態では、活性成分は、約50μm〜約500μmの平均粒度を有する。別の実施形態では、少なくとも1種類の賦形剤は、約50μm〜約500μm、例えば約100μm〜約500μmの平均粒度を有する。このようなある実施形態では、第1の賦形剤、すなわち少なくともコアの50wt%を占める賦形剤は、約50μm〜約500μm、例えば約100μm〜約500μmの平均粒度を有する。この大きさの範囲の粒子は、直接圧縮工程に特に有用である。
【0124】
本発明の一実施形態では、コアは、水溶性ポリマー結合剤および水和ポリマーを実質的に含まない粉末から形成される直接圧縮タブレットとすることができる。この組成物は、迅速な放出溶解プロフィールを維持するため、加工および材料のコストを最小限にするため、剤形の最適な物理的および化学的安定性を得るために有利である。
【0125】
コアが直接圧縮によって用意される実施形態では、例えば、1または複数の活性成分と賦形剤などのコアを含む材料は、例えば乾燥粉末として互いに配合し、コアを形成するために圧力を加える装置のキャビティ内に送ることができる。例えば、チルソネータ(chilsonator)またはドロップローラなどのローラコンパクターまたは従来のタブレットプレスを含む任意の適当な締固め装置を用いることができる。一実施形態では、コアは、当分野で周知の回転タブレットプレスを用いて締固めによって形成することができる。一般に、定量した粉末を回転タブレットプレスのダイキャビティの中に入れ、このキャビティを「ダイテーブル」の一部として充填位置から締固め位置まで回転させることができる。締固め位置では、粉末は、上側パンチと下側パンチとの間で圧縮され、得られるタブレットが、下側のパウチによってダイキャビティから押し出される。有利なことに、この直接圧縮工程により、溶解に対して悪影響を及ぼしうるポリビニルピロリドン、アルギン酸塩、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどの水溶性非糖類ポリマー結合剤を最小限または排除することが可能となる。
【0126】
別の実施形態では、コアは、米国特許出願公開第20040156902号に開示されている圧縮方法および装置によって用意することができる。具体的には、コアは、米国特許出願公開第20040156902号の図6に示されている2列のダイ構造を有する1つの装置における充填ゾーン、挿入ゾーン、圧縮ゾーン、排出ゾーン、およびパージゾーンを含む回転圧縮モジュールを用いて形成することができる。次に、圧縮モジュールのダイを、フィルターが各ダイの中または近傍に配置された状態で、負圧を利用して充填することができる。圧縮モジュールのパージゾーンは、フィルターから過剰な粉末を回収して、その粉末をダイに戻すためにオプションの粉末回収システムを含む。
【0127】
別の実施形態では、コアは、1または複数の活性成分、適当な賦形剤、液状結合剤(例えば、加熱された水溶性デンプンペーストまたはポリビニルピロリドンの溶液)の溶液または分散液を混合して粒状にすることができる湿式造粒法によって形成することができる。湿式造粒法に適した装置は、遊星型ミキサなどの低剪断ミキサ、高剪断ミキサ、および回転流動床を含む流動床を備えている。次に、得られる粒状材料を乾燥させ、オプションとして、例えば潤滑剤および着色剤などのアジュバントおよび/または賦形剤などの成分とさらに乾燥配合することができる。この最終的な乾燥配合物は、前の段落で記載した方法によって圧縮するのに適している。
【0128】
直接圧縮法および湿式造粒法は、当分野で周知であり、例えば、ラックマン(Lachman)ら著、「工業薬剤の理論と実際(The Theory and Practice of Industrial Pharmacy)」、1986年、第3版、第11章に詳細に開示されている。
【0129】
一実施形態では、第1の部分すなわちコアは、米国特許出願公開第20030124183号に開示されているように型がほぼ一定温度に維持される方法および装置を用いて熱硬化射出成型によって用意することもできる。この実施形態では、第1の部分すなわちコアは、流動性の開始材料を成型型の中に注入して形成することができる。この開始材料は、活性成分および熱応答性材料を含むことができ、熱応答性材料のガラス転移温度すなわち固化温度よりも高いが活性成分の分解温度よりも低い温度で成型型の中に導入される。次に、開始材料を冷却して、型の中で所望の形状(すなわち、型の形状)に固化させる。開始材料は、ガラス転移温度すなわち固化温度よりも高い温度では、成型型の中に容易に注入できる十分な流動性を有する。
【0130】
ここで用いる「熱応答性材料」は、加えられる温度が上昇すると柔らかくなり、加えられる温度が低下すると材料が逆に硬くなって流動性が低下する材料を含む。ゲルの場合、「固化温度」は、ゼラチン法によってゲル形成材料が急速に固化する温度を意味する。
【0131】
別の実施形態では、第1の部分すなわちコアは、米国特許出願公開第20030086973号に開示されているように、型が少なくとも2つの温度の間でサイクルする方法および装置を用いて熱サイクル射出成形によって用意することができる。この実施形態では、第1の部分すなわちコアは、流動形態の開始材料を加熱された成型型の中に注入して形成することができる。開始材料は、活性成分と、ガラス転移温度すなわち固化温度よりも高いが活性成分の分解温度よりも低い温度の熱応答性材料を含むことができる。次に、開始材料を冷却して、成型型の中で所望の形状の形態(すなわち、型の形状)に固化させる。
【0132】
いずれの成型方法に従っても、開始材料は流動形態でなければならない。例えば、開始材料は、ポリマー基質などの溶融基質に懸濁された固体粒子を含むことができる。別法として、開始材料は、完全に溶融した状態またはペーストの形態にすることができる。一実施形態では、開始材料は、溶融材料中に溶解された活性成分を含むことができる。別法として、開始材料は、溶媒中に固体を溶解して形成することができる。この溶媒は、開始材料が成型された後、開始材料から蒸発させることができる。
【0133】
開始材料は、コア、栄養物、ビタミン、ミネラル、フレーバー、および甘味料などにおいて既に説明した活性成分などの活性成分を含め、成形品に含めるのが望ましい任意の食用材料を含むことができる。一般に、開始材料は、活性成分と温度応答材料を含む。温度応答材料は、約37℃〜約250℃の間の温度で流動性であり、約−10℃〜約35℃の間の温度で固体または半固体であるあらゆる食用材料とすることができる。開始材料が流体すなわち流動状態である場合、流動性開始材料は、溶解または溶融した成分、および、水や有機溶媒またはこれらの組合せなどのオプションの溶媒を含むことができる。溶媒は、乾燥させて部分的または実質的に除去することができる。
【0134】
適当な流動性開始材料の例として、限定するものではないが、膜形成ポリマー、ゲル化ポリマー、親水コロイド、脂肪および蝋などの低融点疎水性材料、および非結晶性炭水化物などの熱応答性材料を挙げることができる。
【0135】
適当な熱応答性材料の例として、限定するものではないが、リアルキレングリコール、ポリエチレンオキシドおよび誘導体、およびショ糖脂肪酸エステルなどの水溶性ポリマー;ココアバターなどの脂肪、パーム核油、綿実油、ひまわり油、および大豆油などの硬化植物油;遊離脂肪酸類およびそれらの塩;モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリド、リン脂質、カルナウバ蝋(carnuba wax)、鯨蝋、蜜蝋、カンデリラ蝋、シェラック蝋、微結晶性蝋、およびパラフィン蝋などの蝋;チョコレートなど脂肪含有混合物;硬質キャンディー形態に形成するために用いられるようなアモルファスガラスの形態の糖、フォンダント形態に形成するために用いられるような過飽和溶液中の糖;糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール)または熱可塑性デンプンなどの炭水化物;例えば、「グミ」の菓子形態を形成するために用いられるような、最大30%の水を含むゼラチンと他の親水コロイドの混合物などの低水分ポリマー溶液を挙げることができる。一実施形態では、熱応答性材料は、脂肪とモノグリセリドおよびジグリセリドの配合物である。
【0136】
本発明の一実施形態では、流動性材料は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースなどのセルロースエステルまたは蝋様トウモロコシデンプンなどの修飾デンプン;オプションであるマルトデキストリン(maltodextrin)などの多糖(polycarbohydrate);オプションであるキサンタンガムまたはカラゲナンなどの親水コロイドまたはスクロースなどの糖;およびオプションであるポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどの可塑剤、ヒマシ油などの植物油、グリセリン、およびこれらの混合物などの膜形材料を含むことができる。
【0137】
当分野で周知の任意の膜形成材料も、熱応答性材料として使用するのに適している。適当な膜形成材料の例として、限定するものではないが、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ヒドロキシプロピルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン、プルラン、メチルエチルデンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース(HEMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシブチルメチルセルロース(HBMC)、ヒドロキシエチルエチルセルロース(HEEC)、ヒドロキシエチルヒドロキシプロピルメチルセルロース(HEMPMC)、メタクリル酸とメタクリル酸エステルのコポリマー、ポリエチレンオキシドとポリビニルピロリドンのコポリマー、ゼラチン、乳漿蛋白質などの蛋白質、アルブミン、カゼイン、およびカゼイン単離物などの凝固性蛋白質、大豆蛋白質および大豆蛋白質単離物、プレゼラチン化デンプン(pre-gelatinized starches)、これらのポリマーおよび誘導体、およびこれらの混合物を挙げることができる。
【0138】
ある適当なヒドロキシプロピルメチルセルロース化合物は、HPMC2910である。HPMC2910は、約1.9の置換度を有するセルロースエーテルであって、ヒドロキシプロピルによるモル置換度が0.23であり、総重量に対して約29%〜約30%のメトキシル基および約7%〜約12%のヒドロキシルプロピル基を有する。HPMC2910は、「METHOCEL E.」(商標)としてダウ・ケミカル社(Dow Chemical Company)が販売している。本発明に使用するのに適したHPMC‐2910の1つのグレードであるMETHOCEL E5は、Ubbelohde粘度計で測定すると、20℃の2%水溶液中で約4cps〜6cps(4〜6ミリパスカル・秒)の粘度を有する。同様に、本発明に使用するのに適したHPMC‐2910の別のグレードである、METHOCEL E6は、Ubbelohde粘度計で測定すると、20℃の2%水溶液中で約5cps〜約7cps(5〜7ミリパスカル・秒)の粘度を有する。本発明に使用するのに適したHPMC‐2910の別のグレードであるMETHOCEL E15は、Ubbelohde粘度計で測定すると、20℃の2%水溶液中で約15000cps(15ミリパスカル・秒)の粘度を有する。ここで用いる「置換度」は、アンヒドログルコース環に付加されている置換基の平均数を意味し、「ヒドロキシプロピルによるモル置換度」は、1モルのアンヒドログルコースに対するヒドロキシプロピルのモル数を意味する。
【0139】
ここで用いる「修飾デンプン」は、架橋によって修飾された、安定性の改善のために化学的に修飾された、または溶解性の改善のために物理的に修飾されたデンプンを含む。ここで用いる「プレゲル化デンプン(pre-gelatinized starches)」または「インスタント化デンプン(instantized starches)」は、冷水溶解性の向上のために濡らされてから乾燥させられた修飾デンプンを指す。適当な修飾デンプンは、例えば、A.E.スタレイ・マニュファクチャリング社(A.E. Staley Manufacturing Company)およびナショナル・スターチ・アンド・ケミカル社(National Starch & Chemical Company)などの複数の供給業者から入所可能である。1つの適当な修飾デンプンは、ナショナル・スターチ・アンド・ケミカル社(National Starch & Chemical Company)が「PURITY GUM」および「FILMSET」(商標)として販売している、プレゲル化蝋質トウモロコシ由来デンプン、ならびにそれらの誘導体、コポリマー、および混合物を含む。このような蝋質トウモロコシデンプンは通常、その総重量に対して約0%〜約18%のアミロースおよび約100%〜約88%のアミロペクチンを含む。
【0140】
適当なタピオカデキストリンは、ナショナル・スターチ・アンド・ケミカル社(National Starch & Chemical Company)が「CRYSTAL GUM」または「K‐4484」(商標)として販売するタピオカデキストリン、および「PURITY GUM 40」(商標)としてナショナル・スターチ・アンド・ケミカル社が販売するタピオカ由来食物用修飾デンプンなどのタピオカデキストリンの誘導体、およびこれらのコポリマーおよび混合物を含む。
【0141】
適当な親水コロイド(ゲル化ポリマーとも呼ばれる)の例として、限定するものではないが、アルギン酸塩、寒天、ガーゴム、ローカストビーン、カラゲナン、タラ(tara)、アラビアゴム、トラガカント、ペクチン、キサンタン、ゲラン(gellan)、マルトデキストリン(maltodextrin)、ガラクトマンナン、プストゥプラン(pusstulan)、ラミナリン、スクレログルカン(scleroglucan)、アラビアゴム、イヌリン、ペクチン、ウィーラン(whelan)、ラムサン(rhamsan)、ズーグラン(zooglan)、メチラン(methylan)、キチン、キトサン、およびこれらの誘導体および混合物を挙げることができる。
【0142】
適当なキサンタンガムの例として、CPケルコ社(CP. Kelco Company)が販売する「KELTROL 1000」(商標)、「XANTROL 180」(商標)、または「K9B310」(商標)などを挙げることができる。
【0143】
加熱して成型および成形することができる熱可塑性材料は、熱応答性材料として用いるのに適しており、概ね線形であって、近接するポリマー鎖に架橋または強く水素結合していない水溶性ポリマーおよび不水溶性ポリマーの両方を含む。適当な熱可塑性材料の例として、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、メチルセルロース(MC)、酢酸セルロース(CA)、エチルセルロース(EC)、酢酸酪酸セルロース(CAB)、プロピオン酸セルロースなどの化学修飾セルロース誘導体;ポリビニルアルコール(PVA)およびポリビニルピロリドン(PVP)などのビニルポリマー;熱可塑性デンプン;熱可塑性ゼラチン、ゼラチンなどの天然および化学修飾蛋白質、大豆蛋白質単離物、乳漿蛋白質、筋原線維蛋白質、および乳由来カゼイン蛋白質;およびこれらの誘導体および組合せを挙げることができる。
【0144】
薬学分野で知られているあらゆる可塑剤は、流動性材料に用いるのに適しており、限定するものではないが、ポリエチレングリコール;グリセリン;ソルビトール;クエン酸トリエチル;クエン酸トリブチル;ジブチルセベケート(dibutyl sebecate);ヒマシ油などの植物油;ポリソルベート、ラオリル硫酸ナトリウム、スルホコハク酸ジオクチルナトリウムなどの界面活性剤;プロプレングリコール;グリセロールのモノアセテート;グリセロールのジアセテート;グリセロールのトリアセテート;天然ゴムおよびこれらの混合物を含むことができる。セルロースエーテル膜形成材料を含む溶液に、その溶液の総重量に対して約0%〜約40%の可塑剤をオプションとして含めることができる。
【0145】
当分野で周知のあらゆるシックナーを、熱応答性材料にオプションとして加えることができる。追加の適当なシックナーの例として、限定するものではないが、シクロデキストリンおよび結晶性炭水化物など、ならびにこれらの誘導体および組合せを挙げることができる。適当な結晶性炭水化物は、単糖類およびオリゴ糖類を含む。単糖類の中で、例えば、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、グロース、イドース、ガラクトース、タロースのDおよびL異性体などアルドヘキソースや、例えば、フルクトースおよびソルボースのDおよびL異性体、およびグルシトール(ソルビトール)やマンニトールなどの水素化類似体などのケトヘキソースが好ましい。オリゴ糖類の中で、1,2‐二糖スクロースおよびトレハロース、1,4二糖マルトース、ラクトース、およびセロビオース、および1,6‐二糖ゲンチオビオースおよびメリビオース、および三糖ラフィノース、ならびに異性化マルツロース(isomaltulose)として知られるスクロースの異性体および水素化類似体イソマルトが好ましい。例えば、マルチトールおよびラクチトール(lactitol)などの他の水素化形態すなわち還元二糖(マルトースおよびラクトースなど)も好ましい。加えて、DおよびLリボース、アラビノース、キシロース、およびリキソースなどの水素化形態であるアルドペントース、ならびにDおよびLエリトロースおよびトレオースなどの水素化形態であるアルドテトロースが、適しており、それぞれの具体例として、キシリトールおよびエリトリトールを挙げることができる。
【0146】
流動性材料は、オプションとして、その総重量に対して最大約20%のアジュバントまたは賦形剤を含むことができる。適当なアジュバントまたは賦形剤の例として、粘着防止剤、湿潤剤、界面活性剤、消泡剤、着色剤、風味剤、甘味料、および乳白剤などを含む。一実施形態では、流動性材料は、グリセリン、ソルビトール、マルチトール、キシリトール、またはプロピレングリコールなどの湿潤剤を5%未満含む、または実質的に含まない。湿潤剤は、工程中に膜の十分な可撓性または可塑性および結合性を得るために、米国特許出願第5,146,730号および同第5,459,983号に開示されているように、従来から、コーティング工程に用いられる予備形成膜に含められてきた。湿潤剤は、水に結合して膜に維持されて機能する。コーティング工程に用いられる予備形成膜は、通常は最大45%の水を含むことができる。不都合なことに、湿潤剤を含めると、乾燥工程が長引き、最終剤形の安定性が悪影響を受ける。
【0147】
別の実施形態では、コアは、中空または真空とすることができる。例えば、コアは、空のカプセルシェルにすることができる。別法では、中空コアは、射出成形またはシェル成型などによって用意することができる。このような1つの方法では、流動性材料を、型キャビティの中に注入し、このキャビティを、型に接触しているコアの外面が固化または硬化し始める温度にする。次に、例えばピストンポンプなどの適当な手段を用いて、コアの中心の過剰な流動性材料を型から抜き取る。別のこのような方法では、空のカプセルをサブコアとして用い、例えば米国特許出願公開第20030086973号に開示されているように、スプレーコーティング、浸漬コーティング、射出サイクル成型などの当分野で周知の方法によってサブコアの上にコーティング層を形成する。本発明のある実施形態では、コアは、例えば、スプレー、圧縮、または成型などの当分野で周知の任意の方法によって形成される上記したサブコーティングをさらに含むことができる。本発明の他のある実施形態では、コアは、実質的にサブコーティングを備えなくてもよい。
【0148】
本発明の別の実施形態では、コアは、少なくとも部分的に1または複数のインサートを含む。このインサートは、任意の形状または大きさにすることができる。例えば、不規則な形状のインサートすなわち1つ以上の対称軸を有する形状であるインサートを形成することができる。円柱状のインサートも形成することができる。このようなインサートは、パニング、圧縮、または成型などの従来の技術を用いて形成することができる。一実施形態では、インサートは、上記した射出成形法および装置を用いて用意する。
【0149】
本発明の一実施形態では、インサートは、約100μm〜約1000μmの平均直径を有することができる。本発明の別の実施形態では、インサートは、コアの直径または厚みの約10%〜約90%の平均直径または厚みを有することができる。本発明のさらに別の一実施形態では、コアは複数のインサートを含むことができる。
【0150】
別の実施形態では、インサートは、コアの直径または厚みの約90%を超える平均直径、長さ、または厚みを有することができ、例えば、インサートは、コアの厚みの約100%を超える平均長さを有することができる。
【0151】
本発明の別の実施形態では、コア、インサート(用いている場合)、嵌め込み部分、またはこれらの任意の組合せは、超小型電子装置(例えば、電子チップ)を含むことができる。超小型電子装置は、能動部品として使用することができ、例えば、入力信号に応答してコアまたはインサート内の活性成分の放出速度などを制御することができる。このような超小型電子装置の例として、以下の装置を挙げることができる。
(1)完全に統合されたバイオセンサ、電子フィードバック、および薬物/対応放出装置を含む統合型の自己調節応答治療装置。このような装置は、テレメトリおよび人間の介入が必要なく、例えば、参照して本明細書に組み入れるwww.chiprx.com/products.htmlに開示されている。
(2)ビデオカメラを含む飲み込み型カプセルを有する小型診断イメージングシステム。このようなシステムは、例えば、参照して本明細書に組み入れるwww.givenimaging.com/usa/default.aspに開示されている
(3)腸液中のグルコース濃度の変化を検出し、外部検出器およびデータ記憶装置と通信する埋め込み可能なまたは挿入可能なセンサ装置を含む経皮グルコースモニタ。このような装置は、例えば、参照して本明細書に組み入れるwww.applied-medical.co.uk/glucose.htmに開示されている。
(4)人工眼内レンズ内に封入される超小型表示視力支援装置(microdisplay vision aid device)。このような装置は、電力供給用の受信機、データおよびクロック修復、およびシリコンCMOS駆動回路および超小型光学素子に結合された小型LEDアレイフリップチップを含み、例えば、参照して本明細書に組み入れられるhttp://ios.oe.uni-duisberg.de/e/に開示されている。超小型表示装置は、眼の外部に配置されたハイダイナミックレンジCMOSカメラからビットストリームと無線エネルギー信号を受け取る。このCMOSカメラは、デジタル信号処理ユニット(DAP)によって約1Mbit/秒のデータ速度でシリアルビットストリームに変換される白黒デジタルイメージを生成する。このイメージが、網膜に投射される。
(5)損傷した網膜細胞を刺激して、損傷した網膜細胞が、黄班変性または他の網膜疾患の患者の脳に視覚信号を送れるようにするマイクロチップ。このマイクロチップは、2mm×25μmであり、約5000の顕微鏡的な太陽電池(「マイクロフォトダイオード」)を含み、各太陽電池は、それ自体の刺激電極を備えている。このようなマイクロフォトダイオードは、イメージの光エネルギーを、AMDおよびRPの患者の網膜の残っている機能細胞を刺激する電気化学インパルスに変換する。このようなマイクロチップは、例えば、参照して本明細書に組み入れるwww.optobionics.com/artificialretina.htmに開示されている。
(6)リアルタイムで結果を表示する乳房生検用の使い捨て「スマート針」。この装置は、針が疑わしい病変内に挿入されると、コンピュータに接続された20〜21ゲージの使い捨て針の中に嵌め込まれる。この装置は、脱酸素化ヘモグロビン、血管新生、および組織密度を含め、酸素分圧、電気ピーダンス、温度、および光の散乱および吸収特性を測定する。6つの同時測定による精度の利点および装置のリアルタイム特性から、コア針生検法によって達成できる精度レベルを超えて、外科生検における高い精度レベルに達すると予想される。さらに、癌が発見された場合、装置は、癌マーカー、レーザー加熱、凍結治療、薬物、および放射性シードなどの様々な治療を提供できるように構成することができる。このような装置は、例えば、参照して本明細書に組み入れるwww.bioluminate.com/description.htmlに開示されている。
(7)中波長紫外線(UVB)露出を測定および記録し、腕時計のフェースに嵌められる等級付け装置であるパーソナルUVBレコーダー。このようなレコーダーは、パッチとして身に付けることもできる。
【0152】
本発明の一実施形態では、コアのみが1または複数の活性成分を含む。本発明の別の実施形態では、嵌め込み部分のみが、1または複数の活性成分を含む。本発明のさらに別の実施形態では、インサートのみが、1または複数の活性成分を含む。本発明のさらに別の実施形態では、コアと嵌め込み部分の両方が1または複数の活性成分を含む。本発明のさらに別の実施形態では、コア、嵌め込み部分、またはインサートのうち1または複数が、1または複数の活性成分を含む。オプションとして、あらゆるコーティングが、1または複数の活性成分をさらに含むことができる。
【0153】
シェルおよび/または嵌め込み部分は、上記した熱応答性材料から形成することができる。食物用および医薬用の熱応答性材料は、例えば、膜形成材料、低融点疎水性材料、ゲル化ポリマー、シックナー、可塑剤、アジュバント、および賦形剤を含め、食物および医薬品用に許可された任意の材料とすることができ、成型することができる。
【0154】
一実施形態では、嵌め込み部分は、膜形成材料、ゲル化ポリマー、低融点疎水性材料、非結晶性の糖または糖アルコール、およびこれらの混合物から選択される材料を少なくとも約50%、例えば、少なくとも約80%または約90%含む。別の実施形態では、嵌め込み部分は、膜形成材料、ゲル化ポリマー、低融点疎水性材料、およびこれらの混合物から選択される材料を少なくとも約50%、例えば、少なくとも約80%または90%含む。
【0155】
本発明の一実施形態では、流動性材料は、ゲル化ポリマーとしてゼラチンを含む。ゼラチンは、天然の熱ゲル化ポリマーである。タイプAとタイプBの2種類のゼラチンが通常は用いられる。タイプAのゼラチンは、酸処理した原料の誘導体である。タイプBのゼラチンは、アルカリ処理した原料の誘導体である。ゼラチンの水分、ブルーム強度(Bloom strength)、組成および元のゼラチン処理条件によって、液体と固体との間の転移温度が決まる。ブルーム強度は、ゼラチンゲルの標準的な強度の指標であり、分子量に概ね相関する。ブルーム強度は、10℃で17時間保持された6.67%ゼラチンゲル中に直径が0.5インチ(12.7mm)のプラスチックプランジャーを4mm移動させるのに必要な重量(グラム)と定義されている。一実施形態では、流動性材料は、275ブルーム強度のポークスキンゼラチン20%、250ブルーム強度の骨ゼラチン20%、および水約60%を含む水溶液である。
【0156】
本発明の別の実施形態では、剤形の嵌め込み部分は、膜形成材料、ゲル化ポリマー(親水コロイド)、熱可塑性材料、低融点疎水性材料、非結晶性の糖、およびこれらの混合物から選択される材料を少なくとも約80%、例えば少なくとも約90%含む。
【0157】
剤形の嵌め込み部分は、当分野で周知の任意の成型手段によって剤形のキャビティ内に成型することができる。本発明の一実施形態では、嵌め込み部分は、上記した熱硬化射出成形または熱サイクル射出成形を用いて剤形に設けることができる。
【0158】
図4Aおよび図4Bに示されているように、キャビティ内に注入する流動性材料は、剤形510のコアまたはシェルのキャビティ501を充填するのに望ましい時まで、1または複数のレザバー500内に保持することができる。次に、流動性材料を、1または複数の注入ポート502に接続された1または複数の供給ライン503を介してキャビティ501の所望の位置にレザバー500から移送することができる。図4Bは、複数のレザバー500、供給ライン503、および注入ポート502が、剤形510の複数の不連続なキャビティ501を充填するために用いられる実施形態を例示している。図4Cは、流動性材料を複数の注入ポート502に供給できるように、1つの供給ライン502がマニフォールド構造530に分岐している別の実施形態を例示している。図示されていないが、例えば同心円上の供給ラインおよび/同心円上のノズルチップを設けるなどの様々な方法の1つによって、剤形の複数のキャビティ501を充填することが可能である。当業者であれば、このような複数のキャビティを充填するのに適した方法が、例えば、剤形におけるキャビティの位置、各キャビティに必要な流動性材料の種類における差異(存在する場合)によって決まることを容易に理解できるであろう。
【0159】
図4Dに詳細に示されているように、各注入ポート502の下部に位置するチップまたは弁504は、下側のキャビティ501に整合している上側の型506の表面における孔505を通過している。所望の量の流動性材料が、チップまたは弁504を介してキャビティ501内に流れる。次に、弁504が閉じ、成型中に孔505が閉じる。孔505の位置は、流動性材料が剤形510の適当なキャビティ501内に注入できれば、それ程重要ではない。国際公開第03/O28990号の図52、図53、および図54を参照されたい。
【0160】
上側の型506は、剤形のホルダすなわち「コレット」または下側の型507に係合する。上側の型506と下側の型507は、成型剤形を製造するために長手方向に移動するように例示されているが、これらの部品の動作方向は、少なくとも上面の内面506Aにおけるマイクロレリーフが、剤形の充填キャビティ部分501に整合する限り、それ程重要ではない。
【0161】
キャビティがゼラチンで充填され、ゼラチン部分がマイクロレリーフを含む実施形態では、このゼラチンは通常、垂直方向に、例えば、約50%〜約75%収縮し、横方向に、例えば約1%〜約10%収縮する。この収縮に対処するために、液状のゼラチン内に成型される回折レリーフパターンを、最終的に乾燥された剤形製品のパターンの寸法よりも、垂直方向に約50%〜約75%大きくし、水平方向に約1%〜約10%大きくする。したがって、例えば、最終製品が、約500本/mmの線または溝を有する回折格子を備えている場合、型の表面にエッチングされる回折パターンは、ネガパターンであり、約476本/mmの線または溝を有する。垂直方向の寸法についても同様に、乾燥した最終剤形製品の回折格子を構成する線形リッジが、約2/3μmの高さを有する場合、型の表面にエッチングされる回折パターンは、ネガパターンであり、乾燥した最終製品の回折格子の垂直方向の寸法の約3倍すなわち約2μmである。
【0162】
図5Aは、上側の型506の内面506Aの一例の平面図であり、マイクロレリーフ512は、リッジおよび溝が、例えば全体的にY型の例示的な形状に配置された状態で、内面506’に彫り込まれている。この例では、マイクロレリーフ512の全体的な形状は、図5Bに例示されているように全体的にY型のキャビティ513に一致するか、または実際のキャビティ(図示)の外周部を越えて延びることができる。所望の位置に所望のマイクロレリーフパターンを得るために、レーザー、機械的なスクライビング、または酸エッチングの使用などによる内面506’のエッチング方法は、当分野で周知であり、例えば、国際公開第03/005839号のp17〜18、米国特許第6,410,213 B1号、および刊行物、フォトニック・スペクトラ(Photonics Spectra)(2004年6月)に開示されている。
【0163】
図6Aおよび図6Dに示されている代替の実施形態では、所望のマイクロレリーフ512を含む薄膜またはホイルなどの取外し可能な交換部品520、520’を、例えば接着剤などの交換部品を取外し可能に取り付けるための任意の既知の手段によって、上側の型の内面506’またはタブレットプレスに用いられるダイの一方の内面に挿入することができる。図6Bおよび図6Cのそれぞれに示されている代替の実施形態では、取外し可能な交換部品520は、上側の型506の内面506’を貫通することができ(図6Bの交換部品520’’を参照)、上側の型506の開口内に摩擦嵌めすることができる(図6Cの交換部品520’’’を参照)。有利なことに、この実施形態にも用いられる交換部品520は、最小限のコストおよび最小限の製造サイクル時間のロスで、別のマイクロレリーフパターンを有する別の交換部品と容易に交換することができる。
【0164】
適当な交換部品の材料は、アルミニウム、錫、金、銀、ニッケル、銅、およびこれらの合金、250℃を超える温度で固体であるプラスチック、およびこれらの混合物などのマイクロレリーフイメージを保持することができるあらゆる物質を含む。交換部品の大きさおよび厚みは、例えば、剤形の表面積および所望のマイクロレリーフパターンによって異なりうるが、通常は、厚みが約10μm〜約5000μmの範囲であり、表面積が、剤形の表面の約0%超〜約100%未満であり、例えば、約10%超〜約90%未満、または約25%超〜約50%未満である。ここで用いる「フェース」は、上側パンチフェースと下側パンチフェースとによって形成された圧縮タブレットの部分であり、米国特許出願公開第20040109889号に例示されているリムの重なっている部分の半分を含む。
【0165】
代替の実施形態では、マイクロレリーフは、所望のマイクロレリーフパターンを含む従来のスタンピング手段を用いて剤形の成型嵌め込み部分501内にスタンプすることができる。このようなスタンピング手段は、当分野で周知であり、例えば、国際公開第01/10464号、ベグライター(Begleiter)著、「食用ホログラフィー:ホログラフ技術の食品加工への応用(Edible Holography: The Application of Holographic Techniques to Food Processing)」、1461SPIEプラクティカル・ホログラフィー(1461 SPIE Practical Holography)、1991年、p102‐109、国際公開第01/10464号、および同第03/00589号に開示されている。
【0166】
嵌め込み部分が射出成形によって形成される実施形態では、微結晶性セルロース、スプレー乾燥ラクトース、リン酸カルシウムなどの鉱塩、およびスクロース、デキストレート(dextrates)等の結晶糖、などの直接圧縮充填結合剤の必要性を、最小限または排除することができる。圧縮コーティングシェルを含めて形成される剤形などの他の周知の剤形は、通常は、このような直接圧縮充填結合剤を少なくとも約30%含む。例えば、国際公開第00/18447号を参照されたい。不都合なことに、このような材料を含めると、通常は、嵌め込み部分の透明性および安定性が阻害される。有利なことに、この実施形態では、本発明の嵌め込み部分は、このような直接圧縮充填結合剤を約10%未満、例えば、約1%未満または約0.1%未満含むことができる。
【0167】
キャビティが剤形を直接通過する一実施形態(不図示)では、キャビティは、流動性材料で充填することができ、次に、当分野で周知の任意の手段で充填部分の上面および/または下面のいずれかにマイクロレリーフを設けることができる。この実施形態では、マイクロレリーフは、ここに記載する射出成形またはスタンピングによって一方の表面に設けることができる。別法として、上面と下面の両方にマイクロレリーフを設けるのが望ましい実施形態では、剤形の下部コレットを、内面にマイクロレリーフが設けられた型キャビティと交換することができる。
【0168】
型が所望の量の流動性材料で充填されたら、閉じた型を適当な温度に調整し、剤形のキャビティ501内の流動性材料が硬化するのに十分な時間放置する。このようなパラメータは、例えば、流動性材料の種類および量によって異なりうるが、成型温度は通常、約50℃〜約120℃であり、成型時間は、約1秒〜約10秒である。
【0169】
一実施形態では、嵌め込み部分は、約0.5μm〜約5μmの直径を有する孔を実質的に含まないようにすることができる。ここで用いる「実質的に含まない」は、嵌め込み部分が、約0.5μm〜約5μmの範囲の直径の孔において、約0.2cc/g未満、例えば、約0.01cc/g未満または0.005cc/g未満の孔の容積を有する。一般的な圧縮材料は、この孔の直径の範囲で、約0.02cc/gを超える孔の容積を有する。孔の容積、孔の直径、および密度は、Quantachrome Instruments PoreMaster 60水銀侵入多孔度測定器(Quantachrome Instruments PoreMaster 60 mercury intrusion porosimeter)および「Porowin」と知られている関連するコンピュータソフトウエアプログラムを用いて決定することができる。この方法は、Quantachrome Instruments PoreMaster操作解説書(Quantachrome Instruments PoreMaster Operation Manual)に文書化されている。PoreMasterは、非湿潤性液体(水銀)の強制侵入によって、固体または粉末の孔の容積および孔の直径の両方を測定する。この方法では、サンプルセル(針入度計)におけるサンプルの排出、水銀でサンプルセルを充填してサンプルを水銀で取り囲む、(i)圧縮空気(最大50psi(約3445kPa))および(ii)水(油)圧発生器(最大60,000psi(約413.7MPa))によってサンプルセルに圧力を加える。侵入した容量を、加えられた圧力の下でサンプルセルの外部からその孔の中に水銀が移動する際のキャパシタンスの変化によって測定する。侵入する孔の直径(d)は、いわゆる「ウォッシュバーンの式(Washburn Equation)」:d=−(4γ(cosθ))/Pから直接計算することができる。ただし、γは、液体水銀の表面張力であり、θは、水銀の表面とサンプルの表面との間の接触角であり、Pは、加える圧力である。
孔の容積の測定に用いる器具:
1.Quantachrome Instruments PoreMaster 60
2.0.0001gを測定できる化学天秤
3.デシケーター
測定に用いる試薬:
1.高純度窒素
2.3回蒸留した水銀
3.高圧流体(シェル・ケミカル社(Shell Chemical Co.)から入手可能なDila AX)
4.液体窒素(水銀蒸気冷却トラップ用)
5.サンプルセルを洗浄するためのイソプロパノールまたはメタノール
6.セル洗浄用の液体洗剤
【0170】
手順:
サンプルは分析するまで密閉されたパッケージ内に保存するか、またはデシケーター内に収納する。真空ポンプのスイッチを入れ、水銀蒸発冷却トラップを液体窒素で満たし、圧縮ガスの供給を55psi(約379kPa)に調節し、器具のスイッチを入れ、少なくとも30分間ウォームアップさせる。空の針入度計のセルを、器具の取扱い説明書に記載されているように組み立て、その重量を記録する。セルを低圧ステーションに取り付け、「排出と充填のみ」を分析メニューから選択し、以下の設定にする。
精密排出時間:1分
精密排出速度:10
粗排出時間:5分
【0171】
次に、セル(水銀で満たされた)を取り外して重量を測定する。次に、セルを水銀レザバーに開けて、各サンプルの2つのタブレットをセル内に配置し、このセルを再び組み立てる。次に、セルとサンプルの重量を記録する。次に、セルを低圧ステーションに取り付け、低圧オプションをメニューから選択し、以下のパラメータをセットする。
モード:低圧
精密排出速度:10
精密排出:200μHgまで
粗排出時間:10分
充填圧力:接触+0.1
最大圧力:50
方向:侵入および押出し
リピート:0
水銀接触角:140
水銀表面張力:480
【0172】
次に、データの取得を開始する。侵入した合計容量に対する圧力のプロットをスクリーン上に表示する。低圧分析が完了したら、セルを低圧ステーションから取り外して、再び重量を測定する。水銀の上の空間を油圧油で満たし、セルを組み立てて高圧キャビティ内に取り付ける。以下の設定を用いる
モード:定率
モータ速度:5
開始圧力:20
最終圧力:60,000
方向:侵入および押出し
リピート:0
オイル充填長さ:5
水銀接触角:140
水銀表面張力:480
【0173】
次に、データの取得を開始し、侵入した容量に対する圧力のグラフィックプロットをスクリーン上に表示させる。高圧分析が終了したら、同じサンプルの低圧データファイルと高圧データファイルを合わせる。
【0174】
一実施形態では、剤形は、2つのフェースおよびこれらの間のベリーバンドを有するコア、および一方のフェース表面を実質的に覆う約100μm〜約400μmの厚みを有するシェルを含む。他方のフェース表面は、シェルとは組成的に異なっている。シェルは、その総重量に対して約50%未満の結晶性の糖を含むことができ、マイクロレリーフを有する。
【0175】
本発明の別の実施形態は、コアが、塑性変形する圧縮可能な材料を含む粉末配合物からなる剤形に関する。図7に例示されているこの実施形態では、まず、上側パンチ702および下側パンチ703を有するような所望の型構造内に粉末配合物を導入して、コア704を形成することができる。型構造の少なくとも一方の内面705、705’が、図5Aに例示されているように内面にポジイメージが彫り込まれた少なくとも1つのマイクログラフ701を含む。これらのパンチは、当分野で周知の上側パンチおよび下側パンチを有する任意の従来の圧縮タブレットプレス(不図示)に用いることができる。この上側パンチおよび/または下側パンチの内面が、少なくとも1つのマイクログラフを含む。
【0176】
ここで用いる「塑性変形する圧縮可能な材料」は、圧縮の際、パンチの表面に彫り込まれたマイクロレリーフの形状に沿って流れ、その形になるコア材料に添加されるあらゆる賦形剤を指す。適当な塑性変形する圧縮可能な材料の例として、ポリエチレングリコール、脂肪、蝋、およびこれらの混合物を挙げることができる。
【0177】
粉末配合物が圧縮タブレットプレスによって圧縮されたら、透明または半透明などの不透明ではない表面コーティング13を、塑性変形する圧縮可能な材料の融点よりも低い温度で、上記した任意のコーティング方法を用いて図7Bに例示されているマイクログラフ707を含む得られたコア704の表面706に設けることができる。一般に、この温度は、約5℃〜約120℃の範囲とすることができる。表面コーティング13は、マイクログラフ707の位置でコア704に設けるべきである。適当な表面コーティング13材料の例として、限定するものではないが、「Eudragit E」(商標)として市販されているアミノアルキルメタクリレートコポリマーおよびポリメチルメタクリレートを挙げることができる。コーティングされた剤形は、その総重量に対して約1%〜約10%の表面コーティング13を含むことができる。
【0178】
表面コーティング13がコア705上で硬化して、表面コーティング13の内面720が、コア704の外面706に形成されたマイクログラフパターン707のネガイメージ721を有するようになったら、オプションとして、コーティングした剤形を、コア705の少なくとも表面が溶融するのに十分な温度まで加熱することができる。この温度は、粉末配合物の組成などによって様々にすることができるが、一般に、この温度は、20℃〜約200℃の範囲とすることができる。この実施形態では、コア材料は、オプションとして、コア材料の総重量に対して約10%〜約50%の吸収性賦形剤を含むことができる。吸収性賦形剤は、リン酸二カルシウム、リン酸三カルシウム、ケイ酸カルシウム、およびこれらの混合物などの多孔性構造を有する。剤形を、周囲温度まで冷却することができる。得られる剤形は、図7Cに例示されているように、表面コーティングの内面に少なくとも1つのマイクログラフ721を有する内面720を備えた表面コーティング13を独自に有する。
【0179】
図9Aに示されているさらに別の実施形態では、塑性変形する圧縮可能な材料を含む粉末配合物からなるタブレットコア800は、上記した射出成形または圧縮によって製造することができる。得られるコアの表面は、マイクログラフを有していない。オプションとして、タブレットコア800は、上記した吸収性賦形剤を含むこともできる。次に、蝋質層801を、パンコーティングまたは上記した任意の成型法によってコアの表面に設けることができる。次に、マイクログラフ802を、所望のマイクログラフパターンを用いてパンコーティング蝋質層の表面をスタンピングするか、またはパターン形成された内面を有する型部分を用いてマイクログラフパターンを蝋質層801に射出成形して、蝋質層801の外面803に形成することができる。この実施形態の剤形850は、コーティングした剤形850の総重量に対して、約1%〜約10%の蝋質層801を含むことができる。
【0180】
蝋質層801は、近接する表面コーティング810の融点よりも融点が低い、マイクログラフのイメージを維持できるあらゆる材料から形成することができる。蝋質層801の適当な材料の例として、限定するものではないが、脂肪族ポリエステル;アスコルビン酸パルミテート;硬化ヒマシ油;セトステリルアルコール(cetosteryl alcohol);セチルアルコール;セチルエステル;コレステロールなどのステロール;エチルグリコールパルミトステアレート(ethyl glycol palmitostearate);モノグリセリドおよびジグリセリド;飽和ポリグルコール化グリセリン(saturated polyglycolized glycerides)、パラフィン、ポロキサマー、ポリエチレングリコール;ポリエチレンオキシド;ソルビタンエステル、ステアリン酸ポリオキシエチレン;坐剤基剤;ステアリルアルコール、ステアリン酸;硬化植物油;黄蝋、白蝋、カルナウバ蝋、ステロテックス(sterotex)蝋、陰イオン乳化剤蝋、微結晶性蝋、非イオン乳化剤蝋などの蝋;およびこれらの混合物を挙げることができる。
【0181】
次に、不透明ではない表面コーティング810を、例えば、スプレー、成型、または浸漬などの当分野で周知の任意の手段によって蝋質層801の表面803に設けることができる。有利なことに、表面コーティング810は、蝋質層801のマイクログラフ部分802に部分的または完全に延在すべきであり、約100℃未満、例えば約70℃未満で硬質すなわち流動しない材料から構成される。適当な表面コーティング810の例として、例えば、アクリレートとヒドロキシプロピルメチルセルロースの配合物などの上記した配合物を挙げることができる。この実施形態の剤形850は、その総重量に対して約1%〜約10%の表面コーティングを含むことができる。
【0182】
表面コーティング810が乾燥したら、得られる剤形850を、蝋質層801の融点を超える温度まで加熱することができる。一実施形態では、この温度は、コア800の溶融温度よりも低くすることができる。結果として、蝋質層801は、コア800によって実質的に吸収され、マイクロレリーフ802のネガイメージ802’を備えた表面コーティング810の内面811が残り、図9Bに例示されているように、コア800の外面830と表面コーティング810の内面811との間に空隙820が形成される。
【0183】
この空隙の存在により、コア800と表面コーティング810の内面811における回折レリーフパターン802’との間に接合部が形成される。この結果、この接合部による屈折率の変化により、入射光の一部が反射するため、ホログラフ・マイクロレリーフ・イメージ802’が表面コーティング810に再構築される。マイクロレリーフ802’を透過する光の部分が、コア表面800からの光の反射で、マイクロレリーフの背景に位置するコア表面800を明るくする。米国特許第4,921,319号を参照されたい。コア800がプリントイメージを有する実施形態では、この反射された光により、プリントイメージが視覚化され、プリントイメージの上に回折イメージが重ね合わされる。
【0184】
有利なことに、この実施形態は、使用者が視認できる品質管理表示を剤形上に設けるのに特に適している。この表示は、剤形が有害な湿度または温度条件にさらされると視覚的に変化する。例えば、「有効期限切れ」などのマイクログラフパターンを、剤形の蝋質層に設けることができる。次に、蝋質層が、少なくとも、医薬活性成分の効果に影響を及ぼす温度および/または湿度で溶解する組成物から形成されている限り、蝋質層がコアに吸収されるまでは、使用者にマイクログラフパターンが見えるようにならない。
【0185】
本発明のさらに別の実施形態は、後に小さな所望の形状および大きさにカットできるマイクロレリーフを含む膜からなるフレークまたは「グリッター」に関する。この実施形態に使用するのに適した膜は、ポリマー混合物から用意することができる。このポリマー混合物は、その総重量に対して約5%〜約30%の水不溶性膜形成ポリマーと、約70%〜約95%の有機溶媒を含む。
【0186】
適当な水不溶性ポリマーの例として、限定するものではないが、酢酸セルロール、エチルセルロース、およびこれらの誘導体、コポリマー、および混合物を挙げることができる。適当なpH依存性ポリマーの例として、限定するものではないが、「EUDRAGIT L」または「EUDRAGIT S.」(商標)としてローム・ファーマ社(Rohm Pharma GmbH)が市販するようなメチルアクリレートコポリマーを挙げることができる。
【0187】
適当な有機溶媒の例として、限定するものではないが、エタノール、アセトン、塩化メチレン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、およびヘキサンなど、およびこれらの組合せを挙げることができる。
【0188】
このようなポリマー混合物は、オプションとして、例えば、当業者に周知の量の防腐剤、着色料、フレーバー、可塑剤、粘着防止剤(detackifiers)、および脱泡剤などの他の成分を含むことができる。
【0189】
一般に、水不溶性膜形成ポリマーは、室温での攪拌により溶媒中で溶けるように、溶液は、その総重量に対して約10%〜約25%の水不溶性膜形成ポリマーを含む。ポリマー混合物の成分は、全ての成分が溶媒中に溶け、かつ/または分散するまで混合することができる。温度はそれ程重要ではない。次に、この混合物を、任意の既知の膜形成装置で膜に形成することができる。例えば、ポリマー混合物を、図8Aに例示されている膜流延装置(film casting system)に広げることができる。膜流延装置は、可動ベルト903を有する少なくとも2つの回転ローラー902aおよび902bから構成され、約20℃〜約50℃の温度に設定される。パークW.R.R.(Park, W. R. R.)著、「プラスチック膜技術(Plastic Film Technology)」、第2章、1969年、(図2.12)を参照されたい。この実施形態では、流動性材料963が、ノズル961を介して保持タンク960から排出され、塗布バー962によってベルト903の幅全体に広げられる。別法(不図示)では、塗布バー962は、流動性材料の上に実質的に均一な圧力を下方に加えることができる上部ローラーまたはプレートなどの形態にすることができる。当業者であれば、膜が大気圧より低い圧力にさらされる場合は、蒸発速度の上昇に対処するべく全体の製造サイクル時間を短縮すべきであることを容易に理解できよう。別法(不図示)では、流動性材料は、ベルトにスプレーまたは塗布することができる。
【0190】
ベルト903は、約100fpm〜約1000fpm(約30.5m/分〜約304.8m/分)の線速度で、左から右に流動性材料963を前進させる。マイクロレリーフパターン901を、例えば、図8Aに例示されているベルト903自体などの支持交換部品または型の表面に彫り込むことができる。流動性材料963が、上面903aにマイクロレリーフパターン901を有するベルト903上に塗布され、流動性材料から溶媒が蒸発できるようになったら、送出される材料を乾燥させて膜905を形成する。膜が連続的に前進すると、送出される膜905の下面907に、マイクロレリーフパターン901のネガイメージが形成される。このような膜流延装置は、当分野で周知であり、例えば、パークW.R.R.(Park, W. R. R.)著、「プラスチック膜技術(Plastic Film Technology)」、第2章、p22、1969年、に記載されている。
【0191】
図8Bに示されているさらに別の実施形態では、室温と同温またはそれ以上であるポリマー混合物を、別法として、マイクロレリーフパターン951を有する外面を備えたローラー950に滴下することができる。マイクロレリーフパターン951は、送出される膜953の近接する膜表面950に形成されたパターンのネガイメージである。ローラーは、例えば、通常は約20℃〜約50℃である溶媒が蒸発するのに十分な温度に設定され、ローラーの接線速度は、約1fpm〜約100fpm(約0.3m/分〜約30.5m/分)である。
【0192】
図示されていないが、別法として、ポリマー混合物を、表面にマイクロレリーフパターンを有していないベルトまたは他の支持交換部品、プレート、または型に塗布することもできる。次に、スタンピングまたはローリング(回転エンボス加工)などの当分野で周知の方法によって、マイクロレリーフパターンを、これらのベルトから流延された膜の上面および/または下面に設けることができる。このような方法の詳細は、当分野で周知であり、例えば、米国特許第6,349,639号、同第6,143,386号、および同第6,694,872号に開示されている。
【0193】
得られる膜の厚みは、例えば、所望のマイクロレリーフの大きさおよび細部によって様々であるが、通常は、約10μm〜約500μmの範囲とすることができる。
【0194】
マイクロレリーフパターンは、所望の波長の光のみを反射するように調節することができる。例えば、型部分におけるマイクロレリーフのリッジおよび溝の深さおよび角度を調節して、膜に形成されたマイクロレリーフから1つの色を反射させることが可能であり、型部分におけるマイクロレリーフのさらなる調節により、膜に形成されたマイクロレリーフから複数の色を反射させることも可能である。
【0195】
次に、マイクロレリーフパターンを有する得られた膜を、所望の重量および厚みのマイクロレリーフフレークまたは「グリッター」を形成するべく、限定するものではないが、フライス盤、剪断機、ナイフ、またはチョッパーを含む当分野で周知の任意の切断手段によって、周囲条件下で所望の形状および大きさにカットすることができる。オプションとして、カットされたフレークを所望のフレークの大きさに分類することができる。この実施形態では、特定のマイクロレリーフおよび特定の大きさを有する多数の同様のフレークを収集することが可能である。これは、マイクロレリーフから反射された波長の特定の色が望ましい場合に特に有利である。次に、得られたフレークを、限定するものではないが、例えば、米国特許第5,272,137号および同第5,374,659号に開示されているような経口医薬懸濁媒体を含む液体または半固体などの任意の媒体に加えることができる。
【0196】
一実施形態では、得られるマイクロレリーフグリッターは、例えば、フレークの表面から反射される光が色のスペクトルに見えるように媒体に分散された様々な大きさおよび/または様々なマイクロレリーフパターンを有するフレークから構成することができる。これとは対照的に、唯1つの種類および大きさのマイクロレリーフグリッターが媒体に分散された場合、グリッターから反射させる光は、より均一の色に見える。次に、得られたグリッターを含む媒体を、例えば、浸漬コーティングまたは成型などの当分野で周知の方法で剤形に付加することができる。有利なことに、このようなコーティングは、剤形に独自の外観を与えるだけでなく、他の既知に無機干渉顔料とは異なり、人間の摂取にも適している複数の屈折粒子を有する。
【0197】
別の実施形態では、フレークを、コア基質全体にフレークが分散したコアを形成するべく、上記した粉末配合物の成分と組み合わせることができる。
【0198】
グリッターは、このグリッターを溶かさないで維持する様々な製品に用いることができる。使用できる摂取可能な製品の例として、医薬、栄養、または食物の分野における液体および半固体の製品を挙げることができる。一実施形態では、グリッターを、医薬粉末剤形に加えることができ、これを薬学的に許容される賦形剤に加えることができる。グリッターの非摂取用途の例として、限定するものではないが、(1)ボディパウダー、香水、頬紅、アイシャドウなどの美容基材、(2)ゲル、シャンプー、コンディショナー(洗い流すか、そのまま残す)、ムース、およびスプレーなどのヘアケア製品、(3)マニキュア液、包帯、固形石鹸、風呂用、シャワーゲル、拭き取り用、洗浄用、スティック、香膏、香粉、ピロー、ムース、スプレー、ローション、クリーム、クレンジング成分、パウダー、オイル、風呂用オイル、および風呂に加えることができる他の風呂用成分などの他のパーソナル美容製品、ヘルスケア製品、および/または洗面製品を含む。パーソナルケア成分は、限定するものではないが、エアゾールおよび蝋燭も含むことができる。
【0199】
独自の視覚特性を有する剤形を製造する別の方法では、線または一列に配置された小さいドットをコアの表面に所望のパターンに設けて(オプションとして、図3に示されているコアキャビティ602の内面602’におけるパターン610とすることができる)、次に、マイクロレリーフパターンを備えたコーティングを設ける。
【0200】
基材表面に線を設けるために、例えば、(a)ここに記載する任意の方法によって剤形にストライプの膜コーティングを設ける、(b)剤形の表面にストライプのパターンを含むデカルコマニー(decal)などを設ける、または(c)ハークネット社(Harknett, Inc.)が販売するような高解像度プリンタによってコアの表面に直接ストリップをプリントするなどの当分野で周知のあらゆる方法を用いることができる。規則的に離間したパターンの線とこのパターンにわずかにずれた同一のパターンの線が重なるように線を剤形にプリントすると、干渉を生成する波紋パターンを得ることができる。図13に示されている一実施形態では、剤形201の表面は、第1のプリントパターン202を含むことができ、オプションとして少なくとも1つのマイクロレリーフ表面を有することができる第2の膜203を、第1のプリントパターンの上に重ね合わせて波紋パターン効果を得ることができる。
【0201】
コアにマイクロレリーフコーティングを設けるために、ここに記載する方法に類似した方法でマイクロレリーフを含むコーティングをストライプのコア表面に設けることができる。適当なコーティングの例として、限定するものではないが、ゼラチン、メタクリル酸とメタクリル酸エステルのコポリマー、ポリビニルピロリドン、酢酸セルロース、HPMC、ポリエチレンオキシドとポリビニルアルコールのコポリマー、エチルセルロース、ポリビニルアルコール、これらの誘導体、コポリマー、および混合物を含むコーティングを挙げることができる。結果として、光が、図11に例示されているコア921におけるマイクロレリーフコーティングのレンチキュラー920を通過すると、この光が、下側の表面、すなわちプリントされた情報またはイメージを含むタブレット表面から反射される。レンチキュラーは、反射された光を屈折させ、下側の情報またはイメージを拡大する。レンチキュラーの下側にあってストライプ902、903に配置されている情報またはイメージは、1つのイメージを生成するために、特定の情報/イメージのための全てのストライプが同じ点に対して屈折するように適切に整合している。レンチキュラー表面の向きが、観察者が見る線に対して変化すると、完全なイメージとして別のイメージストライプを見ることができる。図11は、2つの異なる色の外観を有する剤形を例示している。この剤形は、第1のセットのストリップ902からの光の屈折に基づいた第1の色(図11A)として見え、レンチキュラー表面の向きが変わると、第2のセットのストリップ903からの光の屈折に基づいた第2の色(図11C)として見える。
【0202】
図10に例示されている一実施形態では、プリントされた情報は、少なくとも第1のセットのストリップ902と第2のセットのストリップ903を備えた複数のストリップに配列することができる。第1のセットのストリップ902の少なくとも1つと第2のセットのストリップ903の少なくとも1つを、コア921の表面922に直接配置するか、または別法として、複数のストリップ対901が形成されるように、図10Bに示されているように交互に並置される方式でタブレット表面に取り付けられたデカルコマニーに配置することができる。各ストリップ対901はそれぞれ、複数のレンチキュラー920の1つの下側に実質的に垂直方向に整合し、第1のストリップ902と第2のストリップ903から構成される。この実施形態では、第1のストリップ902が、例えば第1の色などの1つの視覚的な識別であり、第2のストリップ903が、例えば異なる色などの別の視覚的な識別である。図10Aに示されているように、観察者が、形成された剤形の上面を直接見下ろすと、剤形は、ストライプに見えるであろう。
【0203】
図12に例示されている別の実施形態では、剤形の表面は、語「500」または語「TYLENOL」の外観を有することができる。図12Aおよび図12Dに示されているように、これらの2つの語はそれぞれ、複数のストリップに分割することができる。次に、これらのストリップを、コア921の表面にストリップ対901が形成されるように交互に配置する。観察者が得られた剤形の上面を上から直接見下ろすと、剤形は、図12Eに示されているような外観を有することができる。しかしながら、観察者が見る線に対してレンチキュラー表面920の向きを変更すると、異なるイメージストライプを、「500」(図12C)または「TYLENOL」(図12B)の2つの完全なイメージの一方として見ることができる。
【0204】
複数のレンチキュラー902はそれぞれ、約0.1mm〜約1mmの実質的に均一な幅を有することができ、一実施形態では、第1のストリップおよび第2のストリップはそれぞれ、それぞれのレンチキュラーの幅の半分以下の実質的に均一な幅を有する。図10Bに示されているように、各レンチキュラーは、チップまたはリッジ930を有し、近接するリッジ930の各対間にギャップ931が存在する。
【0205】
ストリップは、あらゆるインクまたは顔料から構成することができ、オプションとして、効果顔料を含むことができる。適当なインクおよび顔料の例が、例えば、米国特許第5,435,840号、同第5,006,362号、および同第6,468,561号、米国特許出願第20040175463号、および国際公開第2004073582号に開示されている。
【0206】
適当な効果顔料の例として、限定するものではないが、様々な製品に真珠光沢を付与する、「CANDURIN」(登録商標)としてMerck KGaA社(Merck KGaA)が販売するようなAl23、SiO2、またはTiO2の雲母またはフレークの基材に酸化チタンおよび/または酸化鉄を含む顔料を挙げることができる。国際公開第2004/073582 A2号を参照されたい。
【0207】
ストリップがコア表面に直接プリントされる実施形態では、コア表面を、例えば上記した任意の膜形成材料から構成できるサブコーティング材で先ずコーティングすることができる。サブコーティングは、例えば、スプレーコーティング、パンコーティング、および浸漬コーティングなどの当分野で周知の任意の方法でコアに設けることができる。サブコーティングは、少なくとも、プリントのために選択された領域に設けるべきであり、使用するサブコーティングの量は、サブコーティングするコアの総重量に対して0.1%〜約10%とすべきである。
【0208】
一実施形態では、プリント工程の際にコアが支持されるように、コレットなどの保持手段によってコアを適切な向きに保持しながら、コア表面にストリップを直接設けることができる。次に、コアを、インクジェットプリンタ、フレキソプリンタ(flexoprinter)、シルクスクリーナー(silk-screener)、または食用インクをコア表面に設けてコア表面に吸収させる他の適当な装置に送ることができる。インクの色は、それほど重要ではないが、一実施形態では、周囲のプリントされていないコア領域との有効なコントラストが得られるように比較的不透明なインクを用いることができる。一実施形態では、プリント情報は、二色以上で表すことができる。
【0209】
デカルコマニーが用いられる実施形態では、デカルコマニーは、酢酸セルロール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、上記した任意の膜形成材料、およびこれらの混合物から構成することができ、水溶性材料および/またはアルコール溶解性材料などの周知の接着剤または表面張力によってコア表面に接着することができる。適当な接着剤の例として、限定するものではないが、デンプン、植物ガム、または蝋などの感熱接着剤を挙げることができる。液体接着剤は、その総重量に対して約1%〜約10%の量の接着剤と、この接着剤を溶解するのに適当な量の溶媒を用いて予め用意することができる。適当な溶媒は、限定するものではないが、水、アルコール、アセトン、およびこれらの混合物を挙げることができる。一実施形態では、デカルコマニーは、非プリント表面における接着剤を含むことができ、デカルコマニーを設ける前に、接着剤またはコアの表面を溶媒で濡らすことができる。別法では、接着剤の非プリント表面またはコアの表面を、デカルコマニーを設ける前に液体接着剤で濡らすことができる。デカルコマニーの厚みは、様々にすることができるが、通常は約50μm〜約250μmである。
【0210】
一実施形態では、剤形は、コアとデカルコマニーとの間にサブコーティング層を有することができる。サブコーティング層は、例えば、上記した任意のサブコーティングから構成することができる。
【0211】
一実施形態では、サブコーティングは、米国特許第5,658,589号に開示されているように、その総重量に対して約2%〜約8%、例えば、約4%〜約6%の水溶性セルロースエーテルと、約0.1%〜約1%のヒマシ油から形成することができる。別の実施形態では、サブコーティングは、その総重量に対して約20%〜約50%、例えば、約25%〜約40%のHPMCと、約45%〜約75%、例えば、約50%〜約70%のマルトデキストリンと、約1%〜約10%、例えば、約5%〜約10%のPEG400から形成することができる。
【0212】
サブコーティングは、例えば、スプレーコーティングや浸漬コーティングなどの当分野で周知の任意の方法でコアに設けることができる。乾燥したサブコーティングは通常、コアの乾燥重量に対して約0%〜約5%の量、存在する。
【0213】
独自の視覚特性を有する剤形を製造するための代替の方法では、少なくとも1つのマイクロレリーフ表面を有する膜または上記したマイクロレリーフフレークを含む膜を剤形に設けることを含む。一実施形態では、コアは、オプションとして少なくとも1つのキャビティを含み、さらなるオプションとして非晶質ガラスの形態である糖から形成することができ、米国特許出願第2003/215585A1号に開示されている真空形成装置および加工条件を用いて、これらのいずれかの膜でコーティングすることができる。加工の際に膜に加える真空の程度は、例えば、膜の厚み、膜の温度、剤形のキャビティの深さ、および剤形の空隙の所望の程度によって異なるが、通常は、約0.005トル〜約700トル(約0.67Pa〜約93kPa)の範囲とすることができる。少なくとも1つのマイクロレリーフ表面を有する膜を用いる実施形態では、この膜は、マイクロレリーフ表面がコアに近接して複数の空隙を形成する限り、キャビティのないコア表面に接触することができる。
【0214】
図3は、本発明の得られる剤形604の一実施形態を例示している。コア601は、マイクロレリーフ表面620を有する膜603、および膜の内面605とキャビティ602の底部の内面602’との間に形成された空隙で覆われている。代替の実施形態(不図示)では、膜603の内面605または内面605と外面606の両方が、少なくともキャビティ602の部分の上のマイクロレリーフ部分を有することができる。この結果、入射光623が、膜の底面605とキャビティ602内の空気との間の境界で反射光625として部分的に反射され、マイクロレリーフ表面620が、空隙のないマイクロレリーフ膜で覆われた同様の剤形に比べて明るく見える。
【0215】
別の実施形態では、キャビティ602の内面は、オプションとして、プリントイメージまたはパターン610を有することもできる。この実施形態では、反射光625を、バックグラウンドのプリントパターン610で見ることができるため、回折イメージがプリントイメージ上に重ね合わせられる。このイメージまたはパターンは、上記した任意の方法で剤形に設けることができ、構造表面の下側に実質的に垂直に整合させることができる。一実施形態(不図示)では、プリントイメージは、複数のストリップの形態にすることができ、構造面のギャップは、ストリップと実質的に垂直方向に整合していない。
【0216】
本発明の1つの利点は、剤形が嵌め込み部分を有する実施形態では、この嵌め込み部分は、複雑なジオメトリまたはパターンを有するだけでなく、嵌め込み部分内のマイクロレリーフパターンによって、剤形に独自性が付与できることである。例えば、従来技術に既に開示されているインサートまたは嵌め込み部分は通常、例えば円形の断面を有する形状などの単純な形状に限定されていた。従来技術を用いると、基材、コア、または第1の部分の表面を不連続にする彫り込みなどの複雑なロゴを嵌め込むのが著しく困難である。しかしながら、本発明のインサートすなわち嵌め込み部分は、流動性材料を用いているため、任意の形状または連続的なパターン、ノズルが複数用いられる場合は不連続なパターンのあらゆる凹部を満たすことができる。得られる剤形は、嵌め込み部分内に挿入されるユニークなマイクログラフによって他の剤形と異なるようにすることができる。
【0217】
剤形が嵌め込み部分を有する本発明の実施形態の別の利点は、インサートすなわち嵌め込み部分を、このインサートまたは嵌め込み部分を受容するキャビティよりも断面(少なくとも一部分)を大きくできることである。例えば、第2の成型部分が、剤形の第1の部分の外面の1または複数のキャビティ内に嵌め込まれる一実施形態では、第2の成型嵌め込み部分の少なくとも1つの断面積が、第1の部分の表面におけるキャビティの断面積よりも大きい。これとは対照的に、従来技術では、インサートは、このインサートを受容するキャビティの開口よりも断面積を小さくしなければならない。これは、インサートすなわち嵌め込み部分の「抜き勾配」の点からも表現されうる。ここで用いる語「抜き勾配」は、例えば、参照して本明細書に組み入れるロサト(Rosato)ら著、「射出成形ハンドブック(Injection Molding Handbook)」、第2版、p601〜604、1995年、に開示されているように、キャビティの側壁および第1の部分のフェースに垂直な線によって画定される角度を指す。
【0218】
有利なことに、本発明の実施形態に従って製造される剤形は、使用者が銘柄を特定できるだけでなく、偽の剤形を抑制および検出できるユニークなロゴ、回折カラーパターン、または他の製品識別外観を有することができる。
【0219】
さらに、本剤形は、剤形のみならず、他の衛生用品、美容品、ヘルスケア用品、および食料品に対してユニークな視覚および色の効果およびイメージを付与することができ、食べれない金属、染料、着色剤、およびインク顔料を用いることなくユニークな外観を有利に付与することができる。一実施形態では、剤形におけるマイクロレリーフのロゴまたは回折カラーパターンの明るさを、白い反射面などの光る明るい色のコアを用いてさらに強めることができる。ここで用いる「光る」または「強い光沢のある」は、コア、基材、または剤形が、少なくとも200、例えば約200〜約300の範囲の表面光沢を有することを意味する。ここで用いる「表面光沢」は、米国特許出願公開第20030072731号の例7に記載されている方法を用いて60度の入射角で測定される光の反射の量を指す。例えば、強い光沢効果が望ましい実施形態では、コアは、ソルビトール、キシリトール、およびマンニトールなどのポリオールから構成するか、または米国特許第6,248,391号、同第6,274,162号、同第5,468,561号、同第6,448,323号、同第6,183,808号、同第5,662,732号、および国際公開第2004073582号に開示されているようなプルランおよび他の物質からなるサブコーティング材でコーティングすることができる。
【0220】
加えて、本発明の剤形は、経済的に使用できるだけではなく、現行の製造技術に適合する装置および方法で有利に形成することができる。
【0221】
本発明は、限定目的ではない以下の例によって例示する。
【0222】
例1:回折彫り込みを有する圧縮アセトアミノフェンタブレット
表1に示す成分を有するアセトアミノフェンタブレットを、回転タブレットプレスで圧縮する。このタブレットプレスは、文字「Y」でプレスタブレットの上面をエンボス加工するようにデザインされた圧縮器具を備えている。図5Aおよび図5Bを参照されたい。圧縮器具は、エンボス加工される文字の向きが、全てのタブレットで同じであり、射出成形装置の成型キャビティと適切に整合するように鍵が用いられる。
【表1】

【0223】
形成されたら、その表面に「Y」がデボス加工されたタブレットを射出成形装置に移し、文字「Y」を有するデボスタブレットの部分が注入チップの下側に位置するように、このタブレットを型キャビティの中に配置する。デボスタブレットフェースの上に位置する型キャビティ内の表面は、文字「Y」を有し、かつタブレットフェースのデボス加工された「Y」と垂直方向に整合するインサートを含む。インサートにおける文字「Y」内の部分は、約500本/mmの線の回折レリーフパターンでエッチングされている。
【0224】
次に、約50℃のゼラチン水溶液(35%固体)を、成型装置の注入チップからタブレット表面のデボス加工された「Y」の空隙に注入する。ゼラチンが、約10℃の温度に維持されている回折レリーフパターンを有する型の表面に接触するまで、このゼラチンをその空隙に充填することができる。型内の温度が室温になるまで冷却すると、ゼラチン溶液が、タブレットの空隙をその外面に沿って満たすゲルを形成し、型の回折レリーフパターンの逆のイメージとなる。
【0225】
乾燥の際、ゼラチンは、垂直方向に、例えば約65%収縮し、横方向に、例えば約5%収縮する。この収縮に対処するために、液状ゼラチンに成型された回折レリーフパターンは、最終的な乾燥した製品のパターンの寸法よりも垂直方向に約65%大きく、水平方向に約5%大きい。得られる乾燥した製品は、500本/mmの線または溝の回折格子を有し、型の表面にエッチングされた回折パターンは、476本/mmの線または溝のネガパターンである。垂直方向の寸法と同様に、得られる乾燥した製品は、高さが約2/3μmの回折格子を有し、型の表面にエッチングされた回折パターンは、約2μmの垂直方向の寸法を有するネガパターンである。
【0226】
例2:表面マイクロレリーフを有する圧縮アセトアミノフェンコア
表2に示す成分を示すアセトアミノフェンタブレットは、例1の回転タブレットプレスで用意する。
【表2】

【0227】
タブレットプレスの上側パンチ表面を、約500本/mmの一連の平行な線で彫り込んで、文字「Y」の形状の回折パターンを形成する。圧縮後に、得られたタブレット表面は、マイクロレリーフのネガパターンを備えた塑性変形する物質のコーティングを有する。
【0228】
この例は、コア粒状化の圧縮の際に、タブレットの表面における塑性変形する物質が、圧力によって流れ、マイクロレリーフの形状に成型される。圧縮後に、塑性変形する物質の流れが止まり、タブレット表面に、パンチ表面のマイクロレリーフのネガパターンを有する塑性変形する物質のコーティングが設けられる。
【0229】
例3:表面マイクロレリーフを有するコーティングされた圧縮アセトアミノフェンコア
例2に記載した手順に従って形成された圧縮タブレットを約30℃の温度に温め、ポリ(ブチルメタクリレート,(2‐ジメチルアミノエチル)メタクリレート,メチルメタクリレート)ポリマー分散液を、スプレーガンによって薄くコーティングする。このポリマー分散液は、「Eudragit EPO」(商標)としてローム・ファーマ社(Rohm Pharma GmbH)が市販している。スプレー速度、空気の吸入量、および吸入空気の温度は、スプレーコーティングが連続的に行えるように調節される。タブレットは、コーティングの際に約25℃〜約35℃の温度に維持する。増えたコーティングの重量は、コーティングされていない圧縮タブレットの元の重量の約2%〜約5%である。
【0230】
例4:コーティング層とタブレット表面との間の空隙およびマイクロレリーフを有するコーティングタブレット
表3に示す成分を有するアセトアミノフェンタブレットは、例1の回転タブレットプレスを用いて用意する。
【表3】

【0231】
次に、得られるタブレットを、射出成形装置の型キャビティの中に移す。型キャビティ内部の上側の内面は、「Y」の形の回折レリーフパターンにエッチングされたインサートを含む。この回折レリーフパターンは、約500本/mmの平行な溝からなる。
【0232】
約39℃の融点を有する「Gelucire 39/01」(商標)としてガッテホッセ社(Gattefosse)が販売する飽和ポリグリコール化グリセリド蝋質熱可塑性材料を、約50℃の温度で液体として、型の中のタブレットの表面に注入する。この液体熱可塑性材料は、型の中で約20℃の温度で硬化する。この結果、コーティングが、型表面の回折レリーフパターンの逆のイメージを有するタブレットに形成される。
【0233】
次に、このタブレットを約30℃の温度に温め、ポリ(ブチルメタクリレート,(2‐ジメチルアミノエチル)メタクリレート,メチルメタクリレート)ポリマー分散液を、スプレーガンによって薄くコーティングする。このポリマー分散液は、「Eudragit EPO」(商標)としてローム・ファーマ社(Rohm Pharma GmbH)が市販している。スプレー速度、空気の吸入量、および吸入空気の温度は、スプレーコーティングが連続的に行えるように調節される。タブレットは、コーティングの際に約25℃〜約35℃の温度に維持する。増えたコーティングの重量は、コーティングされていない圧縮タブレットの元の重量の約10%である。
【0234】
次に、蝋質Gelucire層が十分に溶融し、タブレットコアによって実質的に吸収されるまで、タブレットを約50℃で加熱する。この結果、コアとEudragit層との間に空隙が形成される。Eudragit層の内面は、タブレットコアの表面に面し、Gelucire層に形成された回折レリーフパターンの反対のイメージを保持する。
【0235】
例5:回折フレークを有するタブレットコーティング
A.溶液流延法によってマイクロレリーフ膜を形成する方法
酢酸セルロース(CA)ポリマー溶液(アセトン中に固体が15wt%)を、スチールベルト支持基材の上のフィルムに流す。基材の上面は、約500本/mmの線または溝の回折マイクロレリーフを含む。溶媒を蒸発させた後、厚みが約1μm〜約5μmで下側の膜面にマイクロレリーフパターンを有する乾燥したCA膜を基材から剥がし、所望の大きさおよび形状すなわち0.5mm2のフレークにカット/チョップする。
【0236】
B.マイクロレリーフフレークを含むゼラチン溶液でタブレットをコーティングする方法
例5Aに従って製造されたCAマイクロレリーフ膜フレークの約5wt%を、35wt%ゼラチン水溶液中に分散させる。次に、得られたゼラチン水溶液を、例1の方法に従って形成されたタブレットに浸漬コーティングする。増えたコーティングの重量は、コーティングされていないタブレットの元の重量の約5.3%である。得られるタブレットのコーティングは、得られる剤形をきらきら光らせる光回折フレークを含む。
【0237】
例6a:食用レンチキュラーコーティングによって色が変化するタブレット
以下の表4に示す成分を有するアセトアミノフェンタブレットを、例1の回転タブレットプレスを用いて用意する。得られるタブレットのタブレット表面または一部は、細かいプリントができるように十分に平滑である。
【表4】

【0238】
次に、得られた平坦な表面のタブレットを、少なくとも0.15mmの解像度を有するタブレットプリンタに移す。次に、タブレットの1つのフェースに、幅が0.15mmの赤色ストリップと黄色ストリップが交互する一連のストリップをプリントし、レンチキュラー・スプリットイメージ/パターンを形成する。
【0239】
次に、プリントしたタブレットを、色の付いた線が型キャビティの内部の上に位置するレンチキュラーの溝に平行に整合するように、例4の成型装置内に配置する。型キャビティ内の溝は、35wt%ゼラチン溶液の最終的な乾燥した剤形に対する収縮に対処するべく、幅が約0.315mm、高さが約0.225mmである。
【0240】
次に、タブレットに対して型を閉じ、35wt%ゼラチン溶液をプリントタブレットに注入して固化させる。タブレットを型から取り外して乾燥させると、ゼラチンコーティングが、タブレットの表面に食用レンチキュラー層を形成する。最終的な乾燥された剤形は、この場合、タブレットを異なる角度で見ると赤色と黄色との間で変化するフリップイメージであるレンチキュラー・スプリットイメージを表示する。
【0241】
例6b:食用レンチキュラーコーティングを用いたフリップイメージ・タブレットロゴおよび剤形
以下の表5に示す成分を有するアセトアミノフェンタブレットを、例1の回転タブレットプレスを用いて用意する。得られるタブレットのタブレット表面または一部は、細かいプリントができるように十分に平滑である。
【表5】

【0242】
次に、得られた平坦な表面のタブレットを、少なくとも0.15mmの解像度を有するタブレットプリンタに移す。次に、タブレットのロゴおよび剤形の強度を、タブレットフェースの表面にレンチキュラー・スプリットイメージとしてプリントする。次に、タブレットの1つのフェースに、レンチキュラー・スプリットイメージの形に重ね合わされた語「TYLENOL」と「500」である交互する一連の赤色ストリップと青色ストリップをプリントする。各ストリップは、幅が約0.15mmである。
【0243】
次に、プリントしたタブレットを、色の付いた線が型キャビティの内部の上に位置するレンチキュラーの溝に平行に整合するように、例4の成型装置内に配置する。型キャビティ内の溝は、35wt%ゼラチン溶液の最終的な乾燥した剤形に対する収縮に対処するべく、幅が約0.315mm、高さが約0.225mmである。
【0244】
次に、タブレットに対して型を閉じ、ゼラチン溶液をプリントタブレットに注入して固化させる。タブレットを型から取り外して乾燥させると、ゼラチンコーティングが、タブレットの表面に食用レンチキュラー層を形成する。最終的な乾燥した剤形は、この場合、タブレットを異なる角度で見ると赤色の語「TYLENOL」と青色の「500」との間で変化するフリップイメージであるレンチキュラー・スプリットイメージを表示する。
【0245】
本発明は、特定の実施形態を参照して例示してきたが、当業者であれば、本発明の範囲内である様々な変更形態および改良形態が可能であることを理解できよう。
【0246】
〔実施の態様〕
(1)蝋質層でコーティングされたコアを有する剤形にマイクロレリーフを形成するための方法において、
射出成形によって前記蝋質層に前記マイクロレリーフを設けるステップ、
を含む、方法。
(2)実施態様(1)に記載の方法において、
前記剤形は、医薬活性成分を含む、方法。
(3)実施態様(1)に記載の方法において、
前記マイクロレリーフは、高解像度回折格子である、方法。
(4)実施態様(1)に記載の方法において、
前記蝋質層に近接した内面を有する表面コーティング層を、実質的に前記蝋質層全体に設けるステップ、
をさらに含む、方法。
(5)実施態様(4)に記載の方法において、
前記表面コーティング層は、アクリレート;メタクリレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ポリビニルピロリドン;酢酸セルロース;ポリエチレンオキシドとポリビニルアルコールの配合物;エチルセルロース:ポリビニルアルコール;ならびにこれらのコポリマーおよび混合物の少なくとも1つから構成されている、方法。
【0247】
(6)実施態様(4)に記載の方法において、
前記表面コーティング層が硬化するのに十分な時間、前記剤形を冷却するステップと、
このステップの後、前記蝋質層の一部が溶解し、前記コアと前記表面コーティング層の内面との間に空隙が形成されるように、前記剤形を、前記蝋質層の溶解温度よりも高い温度まで加熱するステップと、
をさらに含む、方法。
(7)コア表面を備えたコアを有する医薬剤形を形成するための方法において、
前記蝋質層に接触するマイクロレリーフを備えた内側成型面を有する射出成形型を用いて、実質的に前記コア全体に対して蝋質層を射出成形するステップ、
を含む、方法。
(8)蝋質層でコーティングされたコアを有する剤形にマイクロレリーフを形成するための方法において、
圧縮によって前記蝋質層に前記マイクロレリーフを設けるステップ、
を含む、方法。
(9)実施態様(8)に記載の方法において、
前記蝋質層に近接した内面を有する表面コーティング層を、実質的に前記蝋質層全体に設けるステップ、
をさらに含む、方法。
(10)実施態様(8)に記載の方法において、
前記マイクロレリーフは、高解像度回折格子である、方法。
【0248】
(11)実施態様(8)に記載の方法において、
前記剤形は、医薬活性成分を含む、方法。
(12)実施態様(8)に記載の方法において、
前記表面コーティング層は、アクリレート;メタクリレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ポリビニルピロリドン;酢酸セルロース;ポリエチレンオキシドとポリビニルアルコールの配合物;エチルセルロース;ポリビニルアルコール;ならびにこれらのコポリマーおよび混合物の少なくとも1つから構成されている、方法。
(13)実施態様(8)に記載の方法において、
前記表面コーティング層が硬化するのに十分な時間、前記剤形を冷却するステップと、
このステップの後、前記蝋質層の一部が溶解し、前記コアと前記表面コーティング層の内面との間に空隙が形成されるように、前記剤形を、前記蝋質層の溶解温度よりも高い温度まで加熱するステップと、
をさらに含む、方法。
(14)コアを有する医薬剤形を形成するための方法において、
第1のパンチ内面を有する第1のパンチ、および第2のパンチ内面を有する第2のパンチを用いて、実質的に前記コア全体に蝋質層を圧縮するステップであって、前記第1のパンチ内面および/または前記第2のパンチ内面が、前記蝋質層に接触する高解像度回折格子マイクロレリーフを有する、ステップ、
を含む、方法。
(15)実施態様(14)に記載の方法において、
前記蝋質層に近接した内面を有する表面コーティング層を、実質的に前記蝋質層全体に設けるステップ、
をさらに含む、方法。
(16)実施態様(15)に記載の方法において、
前記表面コーティング層は、アクリレート;メタクリレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ポリビニルピロリドン;酢酸セルロース;ポリエチレンオキシドとポリビニルアルコールの配合物;エチルセルロース;ポリビニルアルコール;ならびにこれらのコポリマーおよび混合物の少なくとも1つから構成されている、方法。
(17)実施態様(15)に記載の方法において、
前記表面コーティング層が硬化するのに十分な時間、前記剤形を冷却するステップと、
このステップの後、前記蝋質層の一部が溶解し、前記コアと前記表面コーティング層の内面との間に空隙が形成されるように、前記剤形を、前記蝋質層の溶解温度よりも高い温度まで加熱するステップと、
をさらに含む、方法。
【0249】
(18)剤形において、
実施態様(14)に記載の方法で形成された、剤形。
(19)剤形において、
実施態様(15)に記載の方法で形成された、剤形。
(20)実施態様(19)に記載の剤形において、
前記表面コーティング層の内面は、前記マイクロレリーフのネガイメージを有する、剤形。
(21)医薬剤形において、
(a)少なくとも1種類の医薬活性成分を含むコアと、
(b)前記コアの一部を覆う、高解像度回折格子マイクロレリーフを備えた蝋質層と、
を含む、
医薬剤形。
【0250】
(22)実施態様(21)に記載の医薬剤形において、
前記蝋質層に対する表面コーティング層をさらに含み、この表面コーティング層が、前記蝋質層に近接した内面を有する、医薬剤形。
(23)実施態様(22)に記載の医薬剤形において、
前記表面コーティング外層は、アクリレート;メタクリレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ポリビニルピロリドン;酢酸セルロース;ポリエチレンオキシドとポリビニルアルコールの配合物;エチルセルロース:ポリビニルアルコール;ならびにこれらのコポリマーおよび混合物の少なくとも1つから構成されている、医薬剤形。
(24)医薬剤形において、
(a)少なくとも1種類の医薬活性成分を含むコアと、
(b)前記コアを覆う、前記コアに近接した内面を有する表面コーティング層と、
を含み、
前記表面コーティング層の前記内面が、高解像度回折格子マイクロレリーフを備えている、医薬剤形。
【図面の簡単な説明】
【0251】
【図1A】嵌め込まれた部分内に隆起したマイクロレリーフを受容している本発明の剤形の一例を示す斜視図である。
【図1B】図1Aの剤形の断面図である。
【図1C】嵌め込まれた部分内に凹んだマイクロレリーフを受容している本発明の剤形の一例を示す斜視図である。
【図1D】図1Cの剤形の断面図である。
【図1E】オプションの表面コーティングが設けられた図1Bの剤形の断面図である。
【図1F】オプションの表面コーティングが設けられた図1Dの剤形の断面図である。
【図2A】コアが嵌め込まれた部分を有するシェルで覆われた、本発明の剤形の別の例を示す図である。
【図2B】図2Aの断面図である。
【図2C】オプションの表面コーティングが設けられた図2Aの剤形の断面図である。
【図3】マイクロレリーフ膜で覆われたキャビティを備えたコアを含む本発明の剤形の断面図である。
【図4A】剤形のキャビティに流動性材料を注入するための、本発明に従った射出成形モジュール装置の簡易断面図である。
【図4B】剤形のキャビティに流動性材料を注入するための、本発明に従った射出成形モジュール装置の簡易断面図である。
【図4C】剤形のキャビティに流動性材料を注入するための、本発明に従った射出成形モジュール装置の簡易断面図である。
【図4D】図4Aの射出成形モジュール装置の注入ポートとキャビティの接合部の拡大断面図である。
【図5A】本発明に従った射出成形モジュールに使用するための例示的なマイクロレリーフパターンを示す型表面の平面図である。
【図5B】「Y」型のキャビティを含む例示的な剤形の平面図である。
【図6A】例示的なマイクロレリーフパターンを備えた表面を有する1つのタイプの取外し可能な交換部品(changepart)を示す型表面の平面図である。
【図6B】本発明に使用するための例示的なマイクロレリーフパターンを備えた表面を有する別の取外し可能な交換部品の断面図である。
【図6C】本発明に使用するための例示的なマイクロレリーフパターンを備えた表面を有する別の取外し可能な交換部品の断面図である。
【図6D】本発明に使用するための例示的なマイクロレリーフパターンを備えた表面を有する別の取外し可能な交換部品の断面図である。
【図7A】圧縮粉末剤形に用いるための成型装置モジュールの簡易断面図である。
【図7B】オプションの表面コーティングを備えた剤形の断面図である。
【図7C】オプションの表面コーティングを備えた剤形の断面図である。
【図8A】マイクロレリーフ表面を有する膜を製造するための装置の模式図である。
【図8B】マイクロレリーフ表面を有する膜を製造するための別の装置の模式図である。
【図9A】コア、表面コーティング、およびこれらの間のマイクロレリーフ蝋質層を含む本発明の別の剤形の断面図である。
【図9B】加熱された後の図9Aの剤形の断面図である。
【図10A】上面にレンチキュラーレンズ(lenticular lenses)の形態であるマイクロレリーフを有する剤形の拡大斜視図である。
【図10B】図10Aの剤形の拡大側断面図である。
【図11A】ある角度から見た時に剤形を1つの色に見せるためにレンチキュラーレンズを用いた剤形の簡易斜視図である。
【図11B】別の角度から見た時に剤形を別の色に見せるためにレンチキュラーレンズを用いた剤形の簡易斜視図である。
【図11C】剤形の拡大側断面図である。
【図12A】図12Dの剤形のレンチキュラー・フリップイメージに用いるために2つの例示的なイメージをストリップに配列する手順を示す簡易図である。
【図12B】観察者が第1の角度から見た時の第1のレンチキュラー・フリップイメージを示している図12Dの剤形の簡易平面図である。
【図12C】観察者が第2の角度から見た時の第2のレンチキュラー・フリップイメージを示している図12Dの剤形の簡易平面図である。
【図12D】レンチキュラー・フリップイメージを示している剤形の拡大側断面図である。
【図12E】観察者が直接見た時の2つの重ね合わされたイメージを示している図12Dの剤形の簡易平面図である。
【図13A】第1のパターンでプリントされた剤形、およびこの剤形の上面を覆うのに適した第2のパターンを有する別の膜の簡易拡大斜視図である。
【図13B】波紋効果を有する剤形を得るために図13Aの追加の膜で図13Aの剤形を覆って得られた剤形の簡易拡大斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蝋質層でコーティングされたコアを有する剤形にマイクロレリーフを形成するための方法において、
射出成形によって前記蝋質層に前記マイクロレリーフを設けるステップ、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法において、
前記剤形は、医薬活性成分を含む、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法において、
前記マイクロレリーフは、高解像度回折格子である、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法において、
前記蝋質層に近接した内面を有する表面コーティング層を、実質的に前記蝋質層全体に設けるステップ、
をさらに含む、方法。
【請求項5】
請求項4に記載の方法において、
前記表面コーティング層は、アクリレート;メタクリレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロース;ポリビニルピロリドン;酢酸セルロース;ポリエチレンオキシドとポリビニルアルコールの配合物;エチルセルロース:ポリビニルアルコール;ならびにこれらのコポリマーおよび混合物の少なくとも1つから構成されている、方法。
【請求項6】
蝋質層でコーティングされたコアを有する剤形にマイクロレリーフを形成するための方法において、
圧縮によって前記蝋質層に前記マイクロレリーフを設けるステップ、
を含む、方法。
【請求項7】
コアを有する医薬剤形を形成するための方法において、
第1のパンチ内面を有する第1のパンチ、および第2のパンチ内面を有する第2のパンチを用いて、実質的に前記コア全体に蝋質層を圧縮するステップであって、前記第1のパンチ内面および/または前記第2のパンチ内面が、前記蝋質層に接触する高解像度回折格子マイクロレリーフを有する、ステップ、
を含む、方法。
【請求項8】
請求項7に記載の方法において、
前記蝋質層に近接した内面を有する表面コーティング層を、実質的に前記蝋質層全体に設けるステップと、
前記表面コーティング層が硬化するのに十分な時間、前記剤形を冷却するステップと、
このステップの後、前記蝋質層の一部が溶解し、前記コアと前記表面コーティング層の内面との間に空隙が形成されるように、前記剤形を、前記蝋質層の溶解温度よりも高い温度まで加熱するステップと、
をさらに含む、方法。
【請求項9】
剤形において、
請求項7に記載の方法で形成された、剤形。
【請求項10】
剤形において、
請求項8に記載の方法で形成された、剤形。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図1F】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図7A】
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【図7B】
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【図7C】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10A】
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【図10B】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図13A】
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【図13B】
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【公表番号】特表2008−518027(P2008−518027A)
【公表日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−539119(P2007−539119)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【国際出願番号】PCT/US2005/038793
【国際公開番号】WO2006/047688
【国際公開日】平成18年5月4日(2006.5.4)
【出願人】(591252839)マクニール−ピーピーシー・インコーポレイテッド (69)
【氏名又は名称原語表記】MCNEIL−PPC,INCORPORATED
【Fターム(参考)】