説明

マイクロレンズアレイ板及びその製造方法、並びに電気光学装置及び電子機器

【課題】 電気光学装置において、良好な特性で表示させると共に、構造的安定性を有する。
【解決手段】
一方の表面に所定画素ピッチで配列された複数のマイクロレンズのレンズ面が形成された第1透明基板と、一方の表面に対向配置された第2透明基板とを備える。第1及び第2透明基板の間には、レンズ面を内壁の一部とすると共に第2透明基板におけるレンズ面に対向する対向表面を内壁の他部として規定される、所定の大きさの密封空間が形成されている。密閉空間内は減圧状態とされており、減圧層となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置等の電気光学装置に好適に用いられるマイクロレンズアレイ板及びその製造方法の技術分野に関する。本発明は更に、該マイクロレンズアレイ板を備えた電気光学装置、及び該電気光学装置を具備してなる電子機器の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶装置等の電気光学装置では、その画像表示領域内に、データ線、走査線、容量線等の各種配線や、薄膜トランジスタ(以下適宜、TFT(Thin Film Transistor)と称す)等の各種電子素子が作り込まれる。このため、電気光学装置に平行光を入射した場合、そのままでは、全光量のうち各画素の開口率に応じた光量しか利用できない。
【0003】
そこで従来は、各画素に対応するマイクロレンズを含んでなるマイクロレンズアレイを対向基板に作り込んだり、マイクロレンズアレイ板を対向基板に貼り付けたりしている。係るマイクロレンズによって、そのままでは各画素における開口領域を除いた非開口領域に向かって進行する筈の光を、画素単位で集光して、電気光学物質層を透過する際には、各画素の開口領域内に導かれるようにしている。この結果、電気光学装置において明るい表示が可能となる。
【0004】
この種のマイクロレンズアレイ板は、複数のマイクロレンズの各レンズ面が形成された透明基板にカバーガラスを接着材で貼り合わせて製造される。その際用いられる接着剤は、例えば特許文献1等に記載されているように、一般に透明基板とは屈折率の異なる材料からなり、透明基板のレンズ面による窪みに埋め込まれてマイクロレンズを機能させるという側面を有している。そのような接着剤は、樹脂で構成されることがある。
【0005】
【特許文献1】特開2002−6113号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、樹脂材料は、硬化時の膨張又は収縮により破壊されるおそれがあることから、その厚みが一定値以下に制限されるという問題がある。また、樹脂特有の劣化や収縮等によって、カバーガラスが剥がれる等のおそれがある。加えて、通常用いられる樹脂製の接着剤は屈折率が1.4程度であり、透明基板(例えば、屈折率1.46の石英基板)に対する低屈折率層として用いるには屈折率が十分低いとは言い難く、更なる低屈折率化、或いは、より屈折率の低い材料の探索が必要とされている。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、良好な表示が可能であり、構造的安定性を有するマイクロレンズアレイ板、及びその製造方法、並びに該マイクロレンズアレイ板を備えた電気光学装置、及び該電気光学装置を具備してなる電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1マイクロレンズアレイ板は上記課題を解決するために、一方の表面に所定画素ピッチで配列された複数のマイクロレンズのレンズ面が形成された第1透明基板と、前記一方の表面に対向配置された第2透明基板と、前記第1及び第2透明基板の間に、前記レンズ面を内壁の一部とすると共に前記第2透明基板における前記レンズ面に対向する対向表面を前記内壁の他部として規定される、所定の大きさの密封空間内を減圧状態としてなる減圧層とを備えている。
【0009】
本発明の第1マイクロレンズアレイ板によれば、各マイクロレンズのレンズ面と第2透明基板との間に減圧層が形成されている。レンズ面は、第1透明基板と減圧層との屈折率差に応じてマイクロレンズとしての屈折作用を示す。第2透明基板は、例えば、マイクロレンズの耐熱或いは防塵等の目的で第1透明基板の最外面に付設されるカバーガラス等であってよい。
【0010】
ここで減圧層は、第1透明基板と第2透明基板との間の、内圧が大気圧以下の空間からなり、具体的には密閉空間内の大気を減圧することで形成されている。即ち、ここでいう「減圧」は、大気圧よりも低圧にすることを意味し、「減圧状態」は、「真空」の物理的又はJIS(日本工業規格)における定義「大気圧より低い圧力の気体で満たされている特定の空間の状態」と同義である。また、減圧層内の気体は、必ずしも空気だけとは限らず、その他の各種ガス、或いはそれらの少なくとも一つと空気との混合ガス等であってもよい。
【0011】
このような減圧層の屈折率は、大気の屈折率(1.006)や真空の屈折率(1)からわかるように、殆ど1となる。即ち、減圧層は、一般に低屈折媒質として用いられる樹脂(屈折率1.4程度)と比べても格段に屈折率が低く、第1透明基板に対する低屈折率層として機能する。しかも、石英(屈折率1.46)等からなる第1透明基板に対する屈折率差をかなり大きくできるため、マイクロレンズの集光能を向上させることが可能となる。尚、この場合のレンズ面は、屈折率の値の大小から、減圧層に対して凸とされる。
【0012】
また、減圧層は真空度が高いことから、上記樹脂等の他の媒質や大気と比べて殆ど膨張せず、膨張しようとする際の内圧増加によって基板同士が剥がれるのが防止される。通常の低屈折率層は、レンズ面上の凹凸に埋め込まれており、基板同士を接着する接着剤でもあるので、膨張によって層自体が破壊されることがあるが、減圧層であれば、このように物理的に破壊されることはない。
【0013】
尚、第1透明基板、第2透明基板、及び減圧層等の各構成要素の厚みや屈折率は、実験的、経験的、理論的に、或いはシミュレーション等によって、実際に用いられるマイクロレンズのサイズ及びマイクロレンズとして要求される性能や装置仕様等に応じて、個別具体的に設定すればよい。
【0014】
以上説明したように、本発明の第1マイクロレンズアレイ板によれば、第1透明基板と共にマイクロレンズを構成する低屈折率層を減圧層としたので、極めて低い屈折率により第1透明基板との屈折率差を大きく確保でき、集光性能が向上する。同時に、低屈折率層を樹脂等で構成した場合に生じる劣化や熱膨張等を、殆ど或いは実践上全く問題とせずに済む。従って、このマイクロレンズアレイ板を適用する電気光学装置において明るい表示を可能ならしめると共に、構造安定性を向上させ、製造不良を低減することに寄与する。
【0015】
本発明の第1マイクロレンズアレイ板の一態様では、前記減圧層の内圧は1.333Pa(1×10−2Torr)以下である。
【0016】
この態様によれば、減圧層の真空度が比較的高く規定される。そのため、減圧層の内圧は、ガス流体としての圧力レベルより更に低圧の分子流レベルの圧力になり、膨張に対する悪影響が、より一層排除される。内圧が1.333Pa(1×10−2Torr)以下であるというのは、雰囲気中の水分を除外して試料等の変質を防止するなどの実用上、気体原子又は分子が殆ど存在しないとみなすことができる状態の指標となる値である。
【0017】
本発明の第1マイクロレンズアレイ板の他の態様によれば、前記減圧層は、空気を含む。
【0018】
この態様によれば、減圧層は減圧空気を含んでなる。言い換えると、大気を所定の真空度まで減圧することにより構成できるので、このようなマイクロレンズアレイ板は比較的容易に製造可能である。
【0019】
本発明の第1マイクロレンズアレイ板の他の態様によれば、前記減圧層は、不活性ガスを含む。
【0020】
この態様によれば、減圧層には、例えばアルゴン(Ar)、ネオン(Ne)及び窒素(N)等の不活性ガスが含まれているため、減圧層の内壁を構成する第1及び第2透明基板の化学的劣化を一層防止可能である。
【0021】
本発明の第1マイクロレンズアレイ板の他の態様によれば、前記第1透明基板と前記第2透明基板とを周縁部において接着する接着層を更に備え、前記第1透明基板の周縁部と前記レンズ面の頂上部とは共に前記対向表面に接しており、前記第1透明基板における前記一方の表面と反対側に位置する他方の表面及び前記第2透明基板における前記対向表面の反対側に位置する他方の表面に作用する外圧と前記減圧層の内圧との圧力差によって、前記第1透明基板と前記第2透明基板とが密着されている。
【0022】
この態様によれば、減圧層は、2つの基板の周縁を接着剤で貼り合わせてできた空間部に形成されている。このように接着剤を用いるのは、マイクロレンズアレイ板の内外で圧力差があまり大きくない場合や確実に密閉したい場合に好適である。尚、接着剤は基板の周縁部にのみ使うため、上述した低屈折率層及び接着剤として機能する樹脂が引き起こすような弊害は少ない。
【0023】
また、この場合の減圧層は、第1透明基板と第2透明基板とが、外表面に受ける外圧(即ち、大気圧)と内壁面に受ける減圧層による内圧との差圧によって密着しているために、より密閉性が保障されている。尚、減圧層が外圧によって押しつぶされないように、2つの基板同士は、周縁部だけでなくレンズ面の頂上部でも接している。即ち、減圧層は、複数のマイクロレンズが支柱のように支えているため、構造的にも安定である。
【0024】
本発明の第2マイクロレンズアレイ板は上記課題を解決するために、一方の表面に所定画素ピッチで配列された複数のマイクロレンズのレンズ面が形成された第1透明基板と、前記一方の表面に対向配置された第2透明基板と、前記第1及び第2透明基板の間に前記レンズ面を内壁の一部とすると共に前記第2透明基板における前記レンズ面に対向する対向表面が前記内壁の他部として規定される、所定の大きさの密封空間内に配置されており、該密封空間内の内圧が大気圧と同等以上となるように大気及び不活性ガスの少なくとも一方を含んでなる気体媒質層とを備えている。
【0025】
本発明の第2マイクロレンズアレイ板によれば、第1マイクロレンズアレイ板の減圧層に代えて、2つの基板間の空間部内を大気又は不活性ガス或いはその両方で満たしてなる気体媒質層が形成されている。気体媒質層の内圧は、上記の減圧層とは異なり、大気圧以上とする。
【0026】
このような場合も、気体媒質層を構成する大気や不活性ガスは、化学的反応性に乏しく、例えば1程度にまで屈折率を低く設定可能であるために、集光性能を向上させることが可能である。また、材質劣化を殆ど或いは実践上全く問題とせずに済み、このマイクロレンズアレイ板、延いてはこれを適用した電気光学装置における構造安定性を向上させることができる。
【0027】
本発明の第1及び第2マイクロレンズアレイ板の他の態様によれば、前記第1透明基板のうち前記一方の表面と反対側に位置する他方の表面に、前記第1透明基板よりも屈折率が高い高屈折率層が設けられている。
【0028】
この態様によれば、第1又は第2マイクロレンズアレイから射出される光は、第2透明基板、減圧層又は気体媒質層、第1透明基板をこの順に透過する。ここで、第1透明基板における光の出射側に、更に高屈折率層が配置される。光学設計上、また構成の簡素化等の観点からは、この高屈折率層は第1透明基板と接することが望ましいが、第1透明基板に他の光学媒質を介して設けられていても構わない。そのような場合であっても、以下に説明するような光学的関係性を満足させることが可能だからである。
【0029】
高屈折率層は、第1透明基板よりも屈折率が高いことから、第1透明基板側と高屈折率層との界面では、光の出射角度は入射角度よりも浅くなる。このとき、個々のマイクロレンズで集束された光束は、照射される面積がレンズからの距離に応じて小さくなるが、その距離に対する照射面積の減少度合いが低減する。
【0030】
即ち、この場合は、各マイクロレンズに対する入射光は、屈折の第1段階としてレンズ面で一旦絞られ、第2段階として第1透明基板の位置で絞り具合を緩めるように(端的には、殆ど平行光となるように)第1段階とは反対方向に曲げられる。そして、照射面積を殆ど第2段階における大きさとしたまま、各画素の開口領域に照射されることになる。
【0031】
これは、マイクロレンズアレイ板からの出射光の照射面積が、距離の変化に対して鈍感になることを意味している。そのため、この出射光は、比較的緩やかに絞られた状態で各画素の開口領域に照射されることになる。即ち、出射光の開口領域に対する照射マージンは、第1透明基板並びに高屈折率層等の更に出射側に付設される構成要素の厚みが多少変わっても、概ね良好に確保される。
【0032】
そのため、これらの構成要素の厚みが多少ばらついたとしても、個々のマイクロレンズから開口領域に導かれ、実際に表示に寄与する光の量は殆ど減少しないで済む。例えば、基板の厚みは、一般に研磨処理により調整されるが、その際に、マイクロレンズアレイ板毎に厚みがばらつくことがある。そのような場合でも、本態様によれば、マイクロレンズから開口領域に導かれる光量は、マイクロレンズアレイ板間で比較的均等になる。よって、本発明のマイクロレンズアレイ板を適用する電気光学装置においては、このマイクロレンズアレイ板を含めた電気光学装置の投影透過率における製造ばらつきが抑えられたものとなる。
【0033】
このように基板の厚みに対するマージンが大きくなることから、装置性能からみた製造ばらつきが低減され、しかも電気光学装置における投影透過率を維持すること可能なマイクロレンズアレイ板が比較的容易に製造可能となる。また、このような構成をとることで、マイクロレンズアレイ板から電気光学物質(例えば液晶等)へ入射する光の入射角度が比較的浅くなるので、電気光学物質における実質的な変調度が改善され、電気光学装置におけるコントラスト比を向上させることも可能となる。
【0034】
尚、本発明のマイクロレンズは、光を第1透明基板側から入射させても、第2透明基板側から入射させても使用できる。そこで、以上と同様のことが、第1透明基板側から光を入射する場合にも言える。但し、その場合は、一般に第2透明基板は減圧層よりも屈折率が高いことから、特段の配慮をせずとも、このような構造をとることが考えられる。
【0035】
本発明の第1及び第2マイクロレンズアレイ板の他の態様によれば、前記対向表面には、前記所定画素ピッチで配列された複数のマイクロレンズのレンズ面が形成されている。
【0036】
この態様によれば、第1又は第2のマイクロレンズアレイ板は、減圧層を介して2つのレンズが向き合った構造となる。このような構造では、2つのレンズ間の距離(即ち、レンズ間の媒質の厚み)の製造上の自由度がレンズ性能に大きく影響するが、この場合は、レンズ間の媒質を樹脂で構成する場合のように、膨張による悪影響を回避するために厚みを一定値以下に制限する必要がなく、設計自由度を確保して良好なレンズ性能を実現することが可能である。
【0037】
本発明の電気光学装置は上記課題を解決するために、上述した本発明の第1又は第2マイクロレンズアレイ板(但し、その各種態様を含む)と、該第1又は第2マイクロレンズ板に対向配置された他の基板と、該他の基板上に形成されており前記所定画素ピッチで配列された複数の画素電極と、前記他の基板上に形成されており前記画素電極を駆動するための配線及び電子素子とを備えている。
【0038】
本発明の電気光学装置によれば、上述した本発明のマイクロレンズアレイ板を備えるので、明るい表示が可能であり、しかも生産性に優れ、構造安定性を維持することが可能となる。尚、このような電気光学装置は、島状の画素電極或いはストライプ状電極等の表示用電極に、走査線、データ線等の配線やTFT等の電子素子が接続されてなるアクティブマトリクス駆動型液晶装置等の電気光学装置として構築される。
【0039】
本発明の電子機器は上記課題を解決するために、上述した本発明の電気光学装置を具備する。
【0040】
本発明の電子機器によれば、上述した本発明の電気光学装置を具備して構成されているので、明るく、優れた表示品質が維持されており、しかも生産性に優れ、構造的安定が維持されたプロジェクタ、液晶テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルなどの各種電子機器を実現できる。
【0041】
本発明のマイクロレンズアレイ板の製造方法は上記課題を解決するために、一方の表面に所定画素ピッチで配列された複数のマイクロレンズのレンズ面が形成された第1透明基板と、前記一方の表面に対向配置された第2透明基板と、前記第1及び第2透明基板の間に、前記レンズ面を内壁の一部とすると共に前記第2透明基板における前記レンズ面に対向する対向表面を前記内壁の他部として規定される、所定の大きさの密封空間内を減圧状態としてなる減圧層とを備えたマイクロレンズアレイ板を製造するマイクロレンズアレイ板の製造方法であって、前記マイクロレンズアレイ板の組み立て用の密閉容器を減圧し、前記密閉容器内を所定の減圧雰囲気とする減圧工程と、前記減圧工程の後に、前記密閉容器内で、前記第1透明基板と前記第2透明基板とを、前記第1透明基板の周縁部と前記レンズ面の頂上部とが共に前記対向表面に接するように密着させ、前記マイクロレンズアレイ板を組み立てると同時に、前記第1透明基板と前記第2透明基板との間に前記減圧層を形成する減圧層形成工程とを含んでいる。
【0042】
本発明のマイクロレンズアレイ板の製造方法によれば、減圧雰囲気内で基板の組み立て(即ち、第1透明基板と第2透明基板とを組み合わせる工程)を行う。その際、両基板の周縁部を打ち合わせると、その間に本発明の密閉空間が形成される。この密閉空間内部は、作業雰囲気と同じ減圧状態にあるので、この空間は自ずと減圧層となる。よって、例えば、基板の組み立て後に、基板間の空間を減圧するよりも速く、しかも確実に所望の真空度まで減圧された減圧層を形成することが可能である。
【0043】
また、ここでは、第1透明基板におけるレンズ面の頂上部を、第2透明基板の対向表面に接するようにして基板の組み立てを行う。そのため、レンズ面によって減圧層内部が支えられるため、マイクロレンズアレイ板を減圧雰囲気から大気中に取り出した後に、減圧層が潰れされるおそれを回避することができる。
【0044】
尚、基板の組み立てにおいては、第1透明基板と第2透明基板との接触部分を接着剤で接着固定するようにしてもよいし、単に密着させるだけであってもよい。前者によれば、確実に基板同士の剥がれ等を防止できる。後者は、上述したように、大気中に取り出した後の、第1及び第2透明基板の外表面と内部との圧力差を利用して形状を維持する方式であり、この方式で製造すれば、簡便な組み立てが可能であると共に、接着剤である樹脂の劣化や膨張・収縮を考慮せずに済む。
【0045】
本発明のこのような作用及び他の利得は、次に説明する実施形態から明らかにされる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0047】
(1:第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係るマイクロレンズアレイ板、及び、それを具備する電気光学装置について図1から図12を参照して説明する。
【0048】
(1−1:マイクロレンズアレイ板)
先ず、本実施形態に係るマイクロレンズ板について、図1から図3を参照して説明する。図1は、本実施形態に係るマイクロレンズアレイ板の概略構成を表している。図2は、そのうち4つのマイクロレンズに係る部分を拡大して表している。図3は、本実施形態のマイクロレンズアレイ板の部分断面を拡大して表している。
【0049】
図1において、本実施形態のマイクロレンズアレイ板20は、カバーガラス200で覆われた、例えば石英板等からなる透明板部材210を備える。透明板部材210には、多数の凸状のレンズ面210’がマトリクス状に形成されている。ここで、カバーガラス200は、レンズ面210’に接するように配置されている。また、カバーガラス200と透明板部材210とで構成される間隙は密閉されており、その内部は減圧状態の空間である減圧層220となっている。これらによって、マトリクス状に平面配列されたマイクロレンズ500が構築されている。
【0050】
このように本実施形態では、透明板部材210から、本発明に係る「第1透明基板」の一例が構成されており、減圧層220から、本発明に係る「減圧層」の一例が構成されている。また、カバーガラス200から、本発明に係る「第2透明基板」の一例が構成されている。
【0051】
図2及び図3に示すように、各マイクロレンズ500の曲面は、相互に屈折率が異なる透明板部材210と減圧層220とにより概ね規定されている。そして、各マイクロレンズ500は、図3中で上側に突出した凸レンズとして構築されている。マイクロレンズアレイ板20は、その使用時には、各マイクロレンズ500が、後述する液晶装置等の電気光学装置の各画素に対応するように配置される。そして、各マイクロレンズ500に入射する入射光L(図3参照)は、マイクロレンズ500の屈折作用により、電気光学装置における各画素の開口領域内に向けて集光される。
【0052】
本実施形態に係る減圧層220は、内圧が大気圧以下の空間からなる。その内部には、空気に限らず各種ガス、或いはそれらの混合ガス等が含まれていてもよい。単に減圧空気のみ含む場合は、大気を所定の真空度まで減圧することにより構成できるので、このようなマイクロレンズアレイ板は比較的容易に製造可能である。その他、減圧層220内に、アルゴン(Ar)、ネオン(Ne)及び窒素(N)等の不活性ガスを封入する場合は、減圧層220の物理的、化学的な安定性をより向上させることができる。
【0053】
このような減圧層220の屈折率は、大気や真空の屈折率からして、1に近い、かなり低い値をとることができる。即ち、減圧層220は、透明板部材210に対する低屈折率層として機能する。この屈折率の高低により、各マイクロレンズ500は、カバーガラス200側、又は、透明板部材210側からの入射光を集束させる凸レンズとして作用する。しかも、この場合には、石英(屈折率1.46)等からなる透明板部材220に対する屈折率差をかなり大きくできるため、構成されたマイクロレンズ500の集光性能を向上させることが可能である。
【0054】
また、通常の場合は、レンズ面に接する低屈折率層には、基板同士を接着する接着剤としても機能する樹脂材が用いられるが、そのような場合は樹脂の性質上、例えば熱硬化時等における膨張や劣化による品質不良が生じることがある。これに対し、減圧層220では、このような物理的、化学的な変化は殆ど生じないので、マイクロレンズアレイ板20の構造安定性を向上させることができる。
【0055】
図3に示したように、マイクロレンズアレイ板20は、減圧層220の存在により、外表面に大気圧(図3中に、太い矢印で示す)が実効的に働いて、両面を押さえつけることから、自然と図示した形態をとることができる。但し、ここでは、確実に減圧層220を封止するために、透明板部材210とカバーガラス200との周縁部は、接着層230で接着固定されている。
【0056】
尚、このようなカバーガラス200、減圧層220、及び透明板部材210等の厚みや屈折率は、実験的、経験的、理論的に、或いはシミュレーション等によって、実際に用いられるマイクロレンズのサイズ及びマイクロレンズとして要求される性能や装置仕様等に応じて、個別具体的に設定すればよい。
【0057】
(1−2:マイクロレンズアレイ板の変形例)
マイクロレンズアレイ板20は、例えば、以下のような変形形態をとることができる。ここに、図4から図6は、マイクロレンズアレイ板20の変形例の構成を表している。
【0058】
図4に示したように、本発明のマイクレンズアレイ板は、透明板部材211とカバーガラス201とが接着層を介して張り合わせられずに、密着されるだけで構成されてよい。減圧層221が十分減圧されていれば、大気圧下のマイクロレンズアレイ板は、前述した圧力差によって図示の構造を維持することができる。また、完全に樹脂材を排除して構成できることから、樹脂特有の劣化や膨張による製造不良等の不都合が生じるおそれを回避することができる。
【0059】
図5に示したように、カバーガラス202は、透明板部材212に対して周縁部でのみ接する構成としてもよい。両者の周縁部は、接着層231で接合されている。この場合、透明板部材212とカバーガラス202との距離(即ち、減圧層222の厚み)を調整することができ、光学的な設計自由度を拡げることができる。
【0060】
図6に示したように、透明板部材213とカバーガラス203の双方にレンズ面を形成し、減圧層223を介して2つのレンズが向き合った構造としてもよい。両者の周縁部は、接着層232で接合されている。こうした構成のマイクロレンズアレイ板も、実施形態と同様に作用するが、構造上、2つのレンズ間の距離(即ち、減圧層223の厚み)の製造上の自由度がレンズ性能に大きく影響する。この場合は、レンズ間の媒質を樹脂で構成する場合のように、膨張による悪影響を回避するために厚みを一定値以下に制限する必要がなく、設計自由度を確保して良好なレンズ性能を実現することができる。
【0061】
(1−3:電気光学装置)
次に、本実施形態に係る電気光学装置について、図7及び図8を参照して説明する。ここでは、本発明の電気光学装置の一例として、駆動回路内蔵型のTFTアクティブマトリクス駆動方式の液晶装置について説明する。
【0062】
図7は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に、対向基板として用いられる上述のマイクロレンズアレイ板側から見た平面図であり、図8は、図7のH−H’断面図である。
【0063】
図7及び図8において、本実施形態に係る電気光学装置では、TFTアレイ基板10と、対向基板として用いられるマイクロレンズアレイ板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10とマイクロレンズアレイ板20との間に液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10とマイクロレンズアレイ板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
【0064】
シール材52は、両基板を貼り合わせるための、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなる。また、シール材52中には、TFTアレイ基板10とマイクロレンズアレイ板20との間隔(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ或いはガラスビーズ等のギャップ材が散布されている。こうした構成は、プロジェクタのライトバルブ用として小型で拡大表示を行うのに適しているが、当該電気光学装置が大型で等倍表示を行う液晶装置であれば、このようなギャップ材は液晶層50中に含まれていてもよい。
【0065】
マイクロレンズアレイ板20上における、シール材52の内側には、画像表示領域10aの額縁領域を規定する遮光性の額縁遮光膜53が設けられている。但し、このような額縁遮光膜の一部又は全部は、TFTアレイ基板10側に内蔵遮光膜として設けられていてもよい。
【0066】
TFTアレイ基板10上における、画像表示領域10aの周辺領域には、データ線駆動回路101、走査線駆動回路104及び外部回路接続端子102が設けられており、これらは複数の配線105によって相互に接続されている。その他、TFTアレイ基板10には、画像信号をサンプリングしてデータ線に供給するサンプリング回路、所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行してデータ線に供給するプリチャージ回路、或いは製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査する検査回路等を形成してもよい。また、マイクロレンズアレイ板20には、両基板間の上下導通端子として機能する上下導通材106が配置されている。
【0067】
図7において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が形成された後の画素電極9a上に、配向膜が形成されている。他方、マイクロレンズアレイ板20上には、前述したカバーガラス200、透明板部材210及びマイクロレンズ500の他、対向電極21が形成され、最上層部分(図7では、マイクロレンズアレイ板20の下側表面)に配向膜が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマティック液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
【0068】
次に、この電気光学装置の回路構成と動作について、図9を参照して説明する。図9は、電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路を表している。
【0069】
図9において、画像表示領域10aにマトリクス状に配列した複数の画素には夫々、画素電極9aと当該画素電極9aをスイッチング制御するためのTFT30とが形成されている。そして、TFT30のソースにはデータ線6aが電気的に接続されている。画素列に対応して複数配列されたデータ線6aには、画像信号S1、S2、…Snが夫々供給される。画像信号S1、S2、…Snは、この順に線順次に供給されても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給されてもよい。
【0070】
TFT30のゲートには走査線3aが電気的に接続されており、水平走査に応じて走査線3aに走査信号G1、G2、…Gmを線順次に供給するように構成されている。即ち、走査信号G1、G2、…Gmの入力タイミングに応じてTFT30が開閉する。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、TFT30を所定タイミングで開閉させることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…Snが書き込まれ、対向電極21との間で一定期間保持される。液晶は、画素電極9aと対向電極21との間の電位レベルに応じて分子集合の配向や秩序が変化して光を変調し、階調表示を可能にする。ここで、保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70が付加されている。
【0071】
次に、この電気光学装置の画像表示領域10aの具体的な構成について図10及び図11を参照して説明する。図10は、TFTアレイ基板10上の平面構成を表している。図11は、図10のA−A’断面図である。尚、図11においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならしめてある。
【0072】
図10において、X方向及びY方向にマトリクス状に配置された各画素の開口領域には、夫々画素電極9a(点線部9a’により輪郭が示されている)が設けられている。また、画素の非開口領域は、データ線6aや走査線3a、容量線300等の、画素電極9aの縦横の境界に沿って延在する配線によって規定されている。また、半導体層1aにおけるチャネル領域1a’に対向するように走査線3aが配置されており、走査線3aはゲート電極として機能する。このように、走査線3aとデータ線6aとの交差する個所には夫々、画素スイッチング用のTFT30が設けられている。
【0073】
図10及び図11において、TFTアレイ基板10上には、上述した画素部の各回路要素が、導電膜としてパターン化され、積層されている。各回路要素は、下から順に、下側遮光膜11aを含む第1層、ゲート電極3a等を含む第2層、蓄積容量70を含む第3層、データ線6a等を含む第4層、画素電極9a等を含む第5層からなる。また、第1層−第2層間には下地絶縁膜12、第2層−第3層間には第1層間絶縁膜41、第3層−第4層間には第2層間絶縁膜42、第4層−第5層間には第3層間絶縁膜43が夫々設けられ、前述の各要素間が短絡することを防止している。
【0074】
TFTアレイ基板10は、例えば石英基板、ガラス基板、シリコン基板からなる。TFTアレイ基板10上におけるTFT30の下層側には、下側遮光膜11aが格子状に設けられている。下側遮光膜11aは、例えば、Ti(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)等の高融点金属のうち少なくとも一つを含む金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの等からなる。
【0075】
TFT30は、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、走査線3a、当該走査線3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a’、走査線3aと半導体層1aとを絶縁するゲート絶縁膜を含む絶縁膜2、半導体層1aの低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c、半導体層1aの高濃度ソース領域1d並びに高濃度ドレイン領域1eを備えている。尚、高濃度ソース領域1dは、コンタクトホール81により、データ線6aに接続され、高濃度ドレイン領域1eは、コンタクトホール83により、蓄積容量70の中継層71に接続されている。
【0076】
TFT30の上層には、蓄積容量70が設けられている。蓄積容量70は、TFT30の高濃度ドレイン領域1e及び画素電極9aに接続された画素電位側容量電極としての中継層71と、固定電位側容量電極としての容量線300の一部とが、誘電体膜75を介して対向配置されることにより形成されている。容量線300は、定電位源と電気的に接続されて固定電位とされる。容量線300は、平面的に見て、走査線3aに沿ってストライプ状に形成され、TFT30に重なる個所では図10中上下に突出している。このような容量線300は、例えば金属を含む遮光性の導電膜からなり、固定電位側容量電極としての機能の他、TFT30の上側において入射光からTFT30を遮光する遮光膜としての機能を併せ持つ。そして、図10中、格子状に形成された下側遮光膜11aと、縦方向に延在するデータ線6aと横方向に延在する容量線300とが交差してなす格子状の遮光膜により、各画素の開口領域が規定されている。
【0077】
データ線6aは、コンタクトホール81を介して、例えばポリシリコン膜からなる半導体層1aのうち高濃度ソース領域1dに電気的に接続されている。尚、上述した中継層71と同一膜からなる中継層を形成して、当該中継層及び2つのコンタクトホールを介してデータ線6aと高濃度ソース領域1dとを電気的に接続してもよい。
【0078】
画素電極9aは、中継層71を中継することにより、コンタクトホール83及び85を介して半導体層1aのうち高濃度ドレイン領域1eに電気的に接続されている。画素電極9aの上層側には、ラビング処理等の配向処理が施された配向膜16が設けられている。画素電極9aは、ITO膜等の透明導電性膜からなる。配向膜16は、ポリイミド膜等の透明な有機膜からなる。
【0079】
他方、マイクロレンズアレイ板20には、その全面に対向電極21が設けられており、その上層に、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜22が設けられている。対向電極21は、ITO膜等の透明導電性膜からなる。また配向膜22は、ポリイミド膜などの透明な有機膜からなる。マイクロレンズアレイ板20には、各画素の非開口領域に対応して格子状又はストライプ状の遮光膜240を設けるようにしてもよい。この遮光膜240によって開口領域が規定され、マイクロレンズ500と開口領域とが確実に向き合うように位置合わせするのが容易となる。そして、画素電極9aと対向電極21とが対面するように配置された、TFTアレイ基板10とマイクロレンズアレイ板20との間には液晶が封入され、液晶層50が形成される。
【0080】
ここで図12を参照して、電気光学装置におけるマイクロレンズアレイ板20の集光機能について説明する。図12は、マイクロレンズアレイ板20における各マイクロレンズ500により入射光が集光される様子を表している。尚、図12では、各マイクロレンズ500は、そのレンズ中心が、各画素中心に一致するように配置されている。
【0081】
図12において、マイクロレンズアレイ板20は、上方から入射される入射光を各画素の複数の画素電極9aに夫々集光する、マトリクス状に配置された複数のマイクロレンズ500を備える。そして、透明板部材210の上に(図中下側に)、開口領域を規定する遮光膜240、対向電極21及び配向膜22が形成されている。対向電極21は、ITO膜等の透明導電性膜からなる。配向膜22は、ポリイミド膜等の透明な有機膜からなる。
【0082】
このような構成の電気光学装置では、駆動時に、マイクロレンズアレイ板20側から入射される入射光は、複数のマイクロレンズ500により、夫々対応する画素の画素電極9a上に集光される。そのため、マイクロレンズ500が無い場合と比べ、各画素における実効開口率が高められている。
【0083】
ここでは、マイクロレンズ500に接する低屈折率層として屈折率が極めて低い減圧層220を設けるようにしたので、マイクロレンズ500の集光性能が向上し、明るい表示が可能である。また、樹脂等の接着剤層ではなく、気体を含む減圧空間を光学媒質として利用することから、樹脂等における劣化や熱膨張等のおそれが殆どなく、製造不良を低減することが可能である。
【0084】
尚、このような電気光学装置においては、マイクロレンズアレイ板20の投射光が入射する側及びTFTアレイ基板10の出射光が出射する側には各々、例えばTN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertically Aligned)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード等の動作モードや、ノーマリーホワイトモード/ノーマリーブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板などが所定の方向で配置される。
【0085】
(1−4:マイクロレンズアレイ板の製造方法)
次に、本実施形態におけるマイクロレンズアレイの製造方法について図13及び図14を参照して説明する。図13(a)〜(d)は、マイクロレンズアレイ板20の製造工程を順に表している。図14(a)、(b)は、そのうちの組立工程を表している。
【0086】
レンズ面210’が一面上に形成された透明板部材210は、例えば通常知られた方法で製造することができる。ここでは、その一例を示し、引き続いて、その後に続く工程を説明してゆく。
【0087】
図13(a)の工程において、例えば石英基板等の透明の原板210a上に、感光性と熱変形性とを有するフォトレジスト層601を形成する。続いて、原板210aのうち、エッチングすべき領域をポジ像として有するマスクをレジスト層601に重なるように位置合わせにし、当該マスクを介して紫外線を照射してフォトレジスト層601の露光を行う。更に、露光後のフォトレジスト層601を現像して露光された部分を除去する。その結果、マイクロレンズ500が形成される部分にフォトレジスト層601が残る。
【0088】
次に図13(b)の工程において、加熱を行う。その結果、フォトレジスト層601は軟化し、フォトレジスト層601の角の部分が丸められる。
【0089】
次に図13(c)の工程において、フォトレジスト層601が凸面としてマトリクス状に配列された上面に対して、図中上方から指向性の高いドライエッチングを行う。これにより、フォトレジストの凸面を原板200aに転写して、複数のマイクロレンズ500がマイクロレンズアレイとして表面に形成された透明板部材210を完成させる。
【0090】
次に図13(d)の工程において、透明板部材210とガラス板200aとを組み立てる“組立工程”を行う。そのために、ここでは先ず、図14(a)に示したように、組み立て作業用のチャンバ700内をコック702に通ずる真空ポンプ等によって脱気し、例えば1.333Pa(1×10−2Torr)程度の減圧雰囲気とする。尚、このときに、窒素(N)ガス等の不活性ガスのタンクに接続された、コック71を開放し、チャンバ700内に所定分圧で供給し、不活性雰囲気としておいてもよい。次に、図14(b)に示したように、このチャンバ700内でマイクロレンズアレイ板を組み立てる。
【0091】
具体的には、透明板部材210の周縁部に光硬化性或いは熱硬化性の接着剤を塗布して、例えば石英板、ネオセラム等からなるガラス板200aを押し付けて接着する。ここでは、ガラス板200aは、透明板部材210の周縁部だけでなくレンズ面210’の頂上部にも接するように配置される。その後、紫外線照射或いは熱照射によって接着剤を硬化させ、接着層230を完成させる。
【0092】
このとき、透明板部材210とガラス板200aとの間に密閉空間が形成される。密閉空間内部は、作業雰囲気と同じ減圧状態にあるので、この空間は、自ずと減圧層220となる。ここでは、レンズ面210’によって減圧層220内部が支えられるため、組み立て後のマイクロレンズアレイ板をチャンバ700内から大気中に取り出した後に、減圧層220が潰れされるおそれは回避される。このように本実施形態の製造方法は、組立工程で同時に減圧層220を形成してしまうことができ、容易性の見地から大変優れている。
【0093】
次に図13(e)の工程において、ガラス板200aをCMP(Chemical Mechanical Polishing:化学的機械研磨)処理等によって、その表面の研磨除去を行うことで、所定膜厚を有するカバーガラス200を完成させる。尚、当初から、所定膜厚のカバーガラス200を貼り付けることも可能である。こうして、本実施形態に係るマイクロレンズアレイ板20が完成される。
【0094】
上述した本実施形態の製造方法の中では特に、チャンバ700内の雰囲気がそのまま減圧層220を構成することになるので、屈折率や層内の活性度等の観点からは、その雰囲気の圧力や成分等の制御が重要となる。
【0095】
その他、透明板部材210とガラス板200aとを接着剤230で接着固定するようにしたが、図4の変形例のように単に密着させるだけであってもよい。また、図12に示したように、格子状或いはストライプ状遮光膜240や保護膜241を、透明板部材210上に形成するようにしてもよい。これらは、スパッタリング、パターニング等により形成することができる。その後は、このような保護膜241上に、ITO膜等からなる対向電極21がスパッタリング等で形成され、更に配向膜22が形成される。この際、保護膜241を省略して、遮光膜240上に対向電極21を直接形成することも可能である。
【0096】
加えて、このようにレンズ面210’を図13(a)〜(c)に示した工程の如くドライエッチングにより形成する方法の以外にも、例えば、透明な原板にウエットエッチングで各マイクロレンズの非球面のレンズ表面となる凹部を形成し、この内部を原板よりも高屈折率の透明媒質で埋める工程を含む製造方法によっても、上述した本実施形態におけるマイクロレンズ基板20を製造することは可能である。或いは、2P法(フォトポリマー法)を用いて、透明基板に非球面のレンズ表面を形成する工程を含む製造方法によっても、上述した本実施形態におけるマイクロレンズ基板20を製造することは可能である。いずれの製造方法によっても、所定のレンズ表面の形状等が形成される限りにおいて、同様のレンズ効率を得ることが可能となる。
【0097】
以上説明したように本実施形態の製造方法によれば、図1から図3を参照して説明したマイクロレンズ500がアレイ状に形成されたマイクロレンズアレイ板20を比較的効率良く、容易に製造できる。
【0098】
(2:第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るマイクロレンズアレイ板、及び、それを具備する電気光学装置について図15及び図16を参照して説明する。尚、本実施形態におけるマイクロレンズアレイ板及び電気光学装置は、高屈折率層250を除けば、第1実施形態と殆ど同様に構成されているため、以下では、同様の構成要素については第1実施形態と同一の符号を付し、その説明を適宜に省略するものとする。
【0099】
(2−1:マイクロレンズアレイ板)
本実施形態に係るマイクロレンズ板について、図15を参照して説明する。図15は、本実施形態のマイクロレンズアレイ板の部分断面を拡大して表している。
【0100】
図15において、本実施形態のマイクロレンズアレイ板21は、透明板部材210のうちレンズ面210’の反対側の表面に、透明板部材210よりも屈折率が高い高屈折率層250が設けられている。例えば、透明板部材210を石英基板(屈折率1.46)とした場合に、高屈折率層250には、屈折率1.57〜1.60程度の一般的な樹脂材料、或いは屈折率1.60〜2.0程度のガラス材料を用いればよい。尚、そのような高屈折率のガラス材料としては、例えば、バリウム(Ba)及びランタン(La)の少なくとも一方が添加されたガラスが知られている。
【0101】
ここでは、この屈折率の関係から、各マイクロレンズ510からの射出光は、透明板部材210と高屈折率層250との界面において、入射角度よりも出射角度のほうが小さくなる。
【0102】
マイクロレンズアレイ板21にカバーガラス200側から入射した光L1は、先ずマイクロレンズ510にて集束する方向に所定角度だけ曲げられ、光L2として透明板部材210内を直進する。その際の屈折角は、減圧層220と透明板部材210との屈折率差に応じて決まる。ここでは、屈折率差が大きいために、入射光L1は比較的大きな角度で曲げられる。これに対し、光L2は、透明板部材210と高屈折率層250との界面において、より浅い角度で射出するように曲げられ、光L3として高屈折率層250内を直進する。即ち、光L3は、高屈折率層250が透明板部材210と同じ屈折率である場合に入射する光L0と比べて、多少集束の度合いが緩まる。
【0103】
各マイクロレンズ510に集束された光束は、その照射面積がマイクロレンズ510からの距離に応じて次第に小さくなるが、ここでは、上述した高屈折率層250における2回目の屈折により、その距離に対する照射面積の減少度合いが低減する。即ち、本実施形態におけるマイクロレンズアレイ板21では、マイクロレンズ510にて集束された光束は、透明板部材210と高屈折率層250との界面における照射面積を維持しながら、電気光学装置に向けて出射される。そのため、開口領域Dに対する照射面のマージンは、マイクロレンズアレイ板21の各部の厚みや各マイクロレンズ500からの画素電極9aまでの距離等が多少変わっても、概ね良好に確保される。
【0104】
このようにマイクロレンズアレイ板21では、第1実施形態のマイクロレンズアレイ板20の作用及び効果に加えて、射出光の照射面積は光軸上の光学条件の変化に対して鈍感になるために、個々のマイクロレンズ500から開口領域Dに導かれ、実際に表示に寄与する光の量は殆ど減少しないで済む。また、高屈折率層250等の厚み誤差に対しても、開口領域Dへの入射光量が殆ど変化しないので、比較的容易に製造することができる。
(2−2:電気光学装置)
次に、図16を参照して、本実施形態の電気光学装置におけるマイクロレンズアレイ板21の集光機能について説明する。図16は、マイクロレンズアレイ板21における各マイクロレンズ510により入射光が集光される様子を表している。
【0105】
図16において、前述のように透明板部材210と高屈折率層250との界面での2度目の屈折により、透明板部材210からの出射光の照射面の大きさがマイクロレンズアレイ板20毎にばらつくことは、実践上殆ど或いは全くない。そのため、電気光学装置としての投影透過率も、マイクロレンズアレイ板21によらず、概ねばらつかずに良好に維持することが可能である。通常であれば、電気光学装置における投影透過率を向上させるためには、マイクロレンズにおける球面収差を無くそうとしてレンズ面を非球面に設計する等の工夫がなされるが、本実施形態によれば、それらとは全く別の設計方法(開口領域に対し、できるだけ平行光を照射する)に基づいてこの目的を達することができる。
【0106】
また、この電気光学装置では、上記2度目の屈折により、マイクロレンズアレイ板21から液晶層50へ入射する光の入射角度が比較的浅くなるので、液晶による実質的な変調度が改善され、コントラスト比が向上する。その他の作用効果は、第1実施形態と同様である。
【0107】
以上、第1及び第2実施形態では、マイクロレンズに対する低屈折率層として、減圧層を設ける場合について説明したが、本発明の第2のマイクロレンズアレイ板の実施態様として、減圧層の代わりに、減圧されていない又は加圧された気体媒質層を設けることもできる。この気体媒質層は、例えば、大気やアルゴン(Ar)、ネオン(Ne)及び窒素(N)等の不活性ガスのいずれか、或いはその混合ガスを含んでなる。即ち、この実施形態と第1及び第2実施形態との違いは、層内の圧力が大気圧以上か、それより小さいかによる。
【0108】
この場合も、マイクロレンズアレイ板は、例えば図3、図5、図6及び図15に示したように構成することができる。また、そのようなマイクロレンズアレイ板は、例えば大気中で透明板部材とカバーガラスとを組み立て、内部に大気が封入された密閉空間を形成する、更に密閉空間内に不活性ガスを混入する、或いは第1実施形態で上述したように密閉空間を減圧し、その減圧された空間に不活性ガスを封入するなどの方法で製造することができる。但し、このような場合でも、気体媒質層を構成する大気や不活性ガスは、化学的反応性に乏しく、屈折率を例えば1程度に低く設定することができる。その結果、集光性能及び構造安定性を向上させることが可能である。
【0109】
また、上記各実施形態では、第2透明基板側から光を入射する場合についてのみ説明したが、本発明のマイクロレンズアレイ板は、逆に第1透明基板側から光を入射するようにしても実施形態と同様に使用できる。
【0110】
また、本実施形態では、電気光学装置の対向基板としてマイクロレンズアレイ板20を用いているが、マイクロレンズアレイ板20をTFTアレイ基板として利用し、その上に回路を構築することも可能である。尚、本発明のマイクロレンズアレイ板は、図1に示した構造をTFTアレイ基板ないしは対向基板に作り込むことも、TFTアレイ基板ないしは対向基板に貼り付けるタイプのマイクロレンズアレイ板として構築することもできる。
【0111】
(3:電子機器)
次に、以上詳細に説明した電気光学装置をライトバルブとして用いた電子機器の具体例として、複板式カラープロジェクタの実施形態について、その全体構成、特に光学的な構成について説明する。ここに図17は、複板式カラープロジェクタの図式的断面図である。
【0112】
図17において、本実施形態における複板式カラープロジェクタの一例たる、液晶プロジェクタ1100は、駆動回路がTFTアレイ基板上に搭載された電気光学装置を含む液晶モジュールを3個用意し、夫々RGB用のライトバルブ100R、100G及び100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。
【0113】
液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロイックミラー1108によって、RGBの3原色に対応する光成分R、G、Bに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R、100G及び100Bに夫々導かれる。この際特にB光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G及び100Bにより夫々変調された3原色に対応する光成分は、ダイクロイックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投射される。
【0114】
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴うマイクロレンズアレイ板やその製造方法、該マイクロレンズアレイ板を具備する電気光学装置及び電子機器もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】本発明のマイクロレンズアレイ板に係る実施形態の概略斜視図である。
【図2】マイクロレンズアレイ板に係る実施形態のうち、4つのマイクロレンズに係る部分を拡大して示す部分拡大平面図である。
【図3】マイクロレンズアレイ板に係る実施形態の部分拡大断面図である。
【図4】マイクロレンズアレイ板に係る実施形態の変形例を示す部分拡大断面図である。
【図5】マイクロレンズアレイ板に係る実施形態の変形例を示す部分拡大断面図である。
【図6】マイクロレンズアレイ板に係る実施形態の変形例を示す部分拡大断面図である。
【図7】本発明の電気光学装置に係る実施形態おけるTFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素と共に対向基板の側から見た平面図である。
【図8】図7のH−H’断面図である。
【図9】電気光学装置に係る実施形態における画像表示領域を構成するマトリクス状の複数の画素に設けられた各種素子、配線等の等価回路を示すブロック図である。
【図10】電気光学装置に係る実施形態におけるデータ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図である。
【図11】図10のA−A’断面図である。
【図12】電気光学装置に係る実施形態において、対向基板として用いられるマイクロレンズアレイ板の各マイクロレンズにより入射光が集光される様子を概略的に示す断面図である。
【図13】マイクロレンズアレイ板の製造方法を表す工程図である。
【図14】図13(d)に示した工程の詳細を表す工程図である。
【図15】マイクロレンズアレイ板に係る他の実施形態の部分拡大断面図である。
【図16】他の実施形態のマイクロレンズアレイ板を搭載した電気光学装置に係る実施形態において、対向基板として用いられるマイクロレンズアレイ板の各マイクロレンズにより入射光が集光される様子を概略的に示す断面図である。
【図17】本発明の電子機器の実施形態である複板式カラープロジェクタの一例たるカラー液晶プロジェクタを示す図式的断面図である。
【符号の説明】
【0116】
10…TFTアレイ基板、20…マイクロレンズアレイ板、21…対向電極、50…液晶層、200…カバーガラス、210…透明板部材、210’…レンズ面、220…減圧層、230…接着層、250…高屈折率層、500…マイクロレンズ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方の表面に所定画素ピッチで配列された複数のマイクロレンズのレンズ面が形成された第1透明基板と、
前記一方の表面に対向配置された第2透明基板と、
前記第1及び第2透明基板の間に、前記レンズ面を内壁の一部とすると共に前記第2透明基板における前記レンズ面に対向する対向表面を前記内壁の他部として規定される、所定の大きさの密封空間内を減圧状態としてなる減圧層と
を備えたことを特徴とするマイクロレンズアレイ板。
【請求項2】
前記減圧層の内圧は1.333Pa(1×10−2Torr)以下であることを特徴とする請求項1に記載のマイクロレンズアレイ板。
【請求項3】
前記減圧層は、空気を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のマイクロレンズアレイ板。
【請求項4】
前記減圧層は、不活性ガスを含むことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載のマイクロレンズアレイ板。
【請求項5】
前記第1透明基板と前記第2透明基板とを周縁部において接着する接着層を更に備え、
前記第1透明基板の周縁部と前記レンズ面の頂上部とは共に前記対向表面に接しており、前記第1透明基板における前記一方の表面と反対側に位置する他方の表面及び前記第2透明基板における前記対向表面の反対側に位置する他方の表面に作用する外圧と前記減圧層の内圧との圧力差によって、前記第1透明基板と前記第2透明基板との密着されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のマイクロレンズアレイ板。
【請求項6】
一方の表面に所定画素ピッチで配列された複数のマイクロレンズのレンズ面が形成された第1透明基板と、
前記一方の表面に対向配置された第2透明基板と、
前記第1及び第2透明基板の間に前記レンズ面を内壁の一部とすると共に前記第2透明基板における前記レンズ面に対向する対向表面が前記内壁の他部として規定される、所定の大きさの密封空間内に配置されており、該密封空間内の内圧が大気圧と同等以上となるように大気及び不活性ガスの少なくとも一方を含んでなる気体媒質層と
を備えたことを特徴とするマイクロレンズアレイ板。
【請求項7】
前記第1透明基板のうち前記一方の表面と反対側に位置する他方の表面に、前記第1透明基板よりも屈折率が高い高屈折率層が設けられていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のマイクロレンズアレイ板。
【請求項8】
前記対向表面には、前記所定画素ピッチで配列された複数のマイクロレンズのレンズ面が形成されていることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のマイクロレンズアレイ板。
【請求項9】
請求項1から8のいずれか一項に記載のマイクロレンズアレイ板と、
該マイクロレンズ板に対向配置された他の基板と、
該他の基板上に形成されており前記所定画素ピッチで配列された複数の画素電極と、
前記他の基板上に形成されており前記画素電極を駆動するための配線及び電子素子と
を備えたことを特徴とする電気光学装置。
【請求項10】
請求項9に記載の電気光学装置を具備することを特徴とする電子機器。
【請求項11】
一方の表面に所定画素ピッチで配列された複数のマイクロレンズのレンズ面が形成された第1透明基板と、前記一方の表面に対向配置された第2透明基板と、前記第1及び第2透明基板の間に、前記レンズ面を内壁の一部とすると共に前記第2透明基板における前記レンズ面に対向する対向表面を前記内壁の他部として規定される、所定の大きさの密封空間内を減圧状態としてなる減圧層とを備えたマイクロレンズアレイ板を製造するマイクロレンズアレイ板の製造方法であって、
前記マイクロレンズアレイ板の組み立て用の密閉容器を減圧し、前記密閉容器内を所定の減圧雰囲気とする減圧工程と、
前記減圧工程の後に、前記密閉容器内で、前記第1透明基板と前記第2透明基板とを、前記第1透明基板の周縁部と前記レンズ面の頂上部とが共に前記対向表面に接するように密着させ、前記マイクロレンズアレイ板を組み立てると同時に、前記第1透明基板と前記第2透明基板との間に前記減圧層を形成する減圧層形成工程と
を含むことを特徴とするマイクロレンズアレイ板の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−39265(P2006−39265A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−219956(P2004−219956)
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】