説明

マイクロレンズ

【課題】 本発明の目的は、下地との密着性等に優れたマイクロレンズ、該マイクロレンズの製造に用いられるマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物等を提供することにある。
【解決手段】 本発明は、(A)一般式(I)
【化13】


[式中、R、RおよびRは、同一または異なって、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアリール等を表し、Xは、OまたはNR(式中、Rは、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表す)を表す]で表される基を有する重合体、(B)放射線の照射により酸を発生する化合物、および(C)有機溶剤を含有することを特徴とするマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物等を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子、液晶表示素子等に使用できるマイクロレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、イオン交換法により作製される屈折率分布型平板マイクロレンズ、感光性ガラスを用いて作製される凸型マイクロレンズ等が知られている。
これらの製造においては、製造方法が複雑で生産性も悪い、または製造方法・材料に制約がありレンズ製造の段階で他の部分と一体化して作製することが難しいという問題点がある。
【0003】
近年、従来の半導体用ポジレジストを用いてレンズレジストパターンを形成し、加熱処理することで、これを球面形状に換え、そのままレンズとする方法やレジストパターンをマスクに下地膜をエッチングしマイクロレンズを得る方法が試みられている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、これらの方法で作製されるマイクロレンズにおいては、レンズの耐熱性、透明性、下地との密着性、パターン制御性(パターン再現性)等に問題がある。
【0004】
化学増幅ポジ型レジストは、一般的に高感度、高解像度、高残膜率で、半導体用レジストとして使用できることが知られている。半導体用レジストに適用される露光装置の露光波長は198〜254nmである。また、後述する一般式(I)で表される基を有する重合体は、半導体用レジストの原料等としてこれまで開発されており、技術が公開されている(例えば、特許文献2および3参照)。一方、マイクロレンズ用レジストにおいては、適用される露光装置の露光波長は254〜450nmであり、適用される露光装置すなわち露光波長が半導体用レジスト等の場合とは大きく異なる。
【特許文献1】特開平6−18702号公報
【特許文献2】国際公開第03/06407号パンフレット
【特許文献3】特開2004−45448号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、下地との密着性等に優れたマイクロレンズ、該マイクロレンズの製造に用いられるマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物等を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の(1)〜(10)を提供する。
(1)(A)一般式(I)
【0007】
【化5】

【0008】
[式中、R、RおよびRは、同一または異なって、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表すか、RとRが、隣接する炭素原子と一緒になってシクロアルキルを形成するか、またはRとRが、隣接するC−C−Oと一緒になって含酸素複素環を形成してもよく、Xは、OまたはNR(式中、Rは、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表す)を表す]で表される基を有する重合体、(B)放射線の照射により酸を発生する化合物、および(C)有機溶剤を含有することを特徴とするマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物。
(2)一般式(I)で表される基を有する重合体が、一般式(II)
【0009】
【化6】

【0010】
(式中、R、RおよびRは、それぞれ前記と同義であり、Rは水素原子または低級アルキルを表す)で表される構造単位を含む重合体である(1)記載のマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物。
(3)一般式(I)で表される基を有する重合体が、一般式(III)
【0011】
【化7】

【0012】
(式中、R、RおよびRは、それぞれ前記と同義である)で表される構造単位を含む重合体である(1)記載のマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物。
(4)一般式(I)で表される基を有する重合体が、一般式(IV)
【0013】
【化8】

【0014】
(式中、R、RおよびRは、それぞれ前記と同義であり、RおよびRは、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表し、Rは、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表し、nは1〜3の整数を表す)で表される構造単位を含む重合体である(1)記載のマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物。
(5)一般式(I)で表される基を有する重合体の重量平均分子量が、1,000〜200,000である(1)〜(4)のいずれかに記載のマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物。
(6)一般式(I)で表される基を有する重合体のガラス転移温度が、80℃以上120℃以下である(1)〜(5)のいずれかに記載のマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物。
(7)放射線の照射により酸を発生する化合物が、波長300nm以上の放射線の照射により酸を発生する化合物である(1)〜(6)のいずれかに記載のマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物。
(8)塩基性化合物を含有する(1)〜(7)のいずれかに記載のマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物。
(9)(a)(1)〜(8)のいずれかに記載のマイクロレンズ用化学増幅型ポジ型レジスト組成物を基板に塗布し、
(b)該マイクロレンズ用化学増幅型ポジ型レジスト組成物が塗布された該基板をマスクパターンを介して露光し、
(c)露光後の該マイクロレンズ用化学増幅型ポジ型レジスト組成物が塗布された基板を現像液による現像に付してレジストパターンが形成された基板を得、
(d)該レジストパターンが形成された基板を100〜160℃に加熱する
上記の各工程を含む製造方法により得られるマイクロレンズ。
(10)(9)記載のマイクロレンズを用いた固体撮像素子または液晶表示素子。
【発明の効果】
【0015】
本発明により、下地との密着性等に優れたマイクロレンズ、該マイクロレンズの製造に用いられるマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物等が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、一般式(I)で表される基を有する重合体を重合体(I)と表現することもある。また、一般式(i)で表される構造単位を含む重合体を重合体(i)と表現することもある。
一般式中の各基の定義において、アルキルとしては、例えば、直鎖または分枝状の炭素数1〜18のアルキルがあげられ、具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、オクタデシル等があげられるが、中でも、炭素数1〜6のアルキルが好ましく、さらには炭素数1〜3のアルキルがより好ましい。
【0017】
低級アルキルとしては、例えば、直鎖または分枝状の炭素数1〜8のアルキルがあげられ、具体的には、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル等があげられる。
とRが隣接する炭素原子と一緒になって形成するシクロアルキルとしては、例えば、炭素数3〜8のシクロアルキルがあげられ、具体的には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等があげられる。
【0018】
アリールとしては、例えば、炭素数6〜14のアリールがあげられ、具体的には、フェニル、ナフチル等があげられる。
アラルキルとしては、例えば、炭素数7〜15のアラルキルがあげられ、具体的には、ベンジル、フェネチル、ナフチルメチル、ナフチルエチル等があげられる。
とRが隣接するC−C−Oと一緒になって形成する含酸素複素環としては、例えば、5〜8員のものがあげられ、具体的には、オキソラン環、オキサン環、オキセパン環等があげられる。
【0019】
アルキルの置換基としては、例えば、アルコキシ、アルカノイル、シアノ、ニトロ、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル等があげられる。
アルコキシおよびアルコキシカルボニルのアルキル部分は、前記のアルキルと同義である。
アルカノイルとしては、例えば、直鎖または分枝状の炭素数1〜7のアルカノイルがあげられ、具体的には、ホルミル、アセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、バレリル、イソバレリル、ピバロイル、ヘキサノイル、ヘプタノイル等があげられる。
【0020】
ハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素の各原子があげられる。
アリールおよびアラルキルの置換基としては、例えば、アルキル、アルコキシ、アルカノイル、シアノ、ニトロ、ハロゲン原子、アルコキシカルボニル等があげられる。ここで、アルキル、アルカノイル、アルコキシおよびアルコキシカルボニルのアルキル部分ならびにハロゲン原子は、それぞれ前記と同義である。
【0021】
重合体(II)、(III)および(IV)において、R、RおよびRがともにアルキルであるのものがそれぞれ好ましい。
また、重合体(II)において、Rが水素原子またはメチルであるものが好ましい。
重合体(I)は、WO03/6407または特開2004−45448号公報に記載の方法またはそれらの方法に準じて製造することができる。
【0022】
重合体(I)は、例えば、以下のように製造することができる。
重合体(I)は、例えば、ヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、スルホ基、スルホンアミド基およびホスホノ基のうちの少なくとも一種を分子中に有する樹脂[(メタ)アクリル酸系樹脂、スチレン系樹脂、フェノール系樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルアルコールの重合体等](以下、樹脂Aということもある)と、対応するアルケニルエーテルまたはそのハロゲン化物とを反応させることにより得ることができる。
【0023】
樹脂A中のヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、スルホ基、スルホンアミド基またはホスホノ基と、対応するアルケニルエーテルまたはそのハロゲン化物の当量比(モル比)は、1:0.9〜1:2であるのが好ましく、さらには1:0.9〜1:1.5であるのが好ましく、さらには1:1〜1:1.2であるのがより好ましい。
反応温度は、0〜150℃であるのが好ましく、さらには0〜100℃であるのが好ましく、さらには0〜50℃であるのがより好ましい。
【0024】
反応の際、酸触媒を使用してもよく、該酸触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸等があげられ、中でも、p−トルエンスルホン酸が好ましい。該酸触媒は、2種以上組み合わせて用いてもよい。該酸触媒の使用量は、特に限定されないが、樹脂Aのヒドロキシル基、カルボキシル基、アミノ基、スルホ基、スルホンアミド基またはホスホノ基に対して、0.0001〜0.5当量(モル比)であるのが好ましく、0.001〜0.1当量(モル比)であるのがより好ましい。
【0025】
また、反応の際に、必要に応じて有機溶媒を使用してもよい。該有機溶媒としては、例えば、ヘキサン、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶媒、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒等があげられ、これらは、1種でまたは2種以上混合して用いてもよい。
アルケニルエーテルの具体例としては、例えば、1−メトキシ−2−メチルプロペン、1−エトキシ−2−メチルプロペン、1−プロポキシ−2−メチルプロペン、1−イソプロポキシ−2−メチルプロペン、1−ブトキシ−2−メチルプロペン、1−イソブトキシ−2−メチルプロペン、1−(tert−ブトキシ)−2−メチルプロペン、1−ペンチルオキシ−2−メチルプロペン、1−イソペンチルオキシ−2−メチルプロペン、1−ネオペンチルオキシ−2−メチルプロペン、1−(tert−ペンチルオキシ)−2−メチルプロペン、1−ヘキシルオキシ−2−メチルプロペン、1−イソヘキシルオキシ−2−メチルプロペン、1−(2−エチルヘキシル)−2−メチルプロペン、1−ヘプチルオキシ−2−メチルプロペン、1−オクチルオキシ−2−メチルプロペン、1−ノニルオキシ−2−メチルプロペン、1−デカニルオキシ−2−メチルプロペン、1−ドデカニルオキシ−2−メチルプロペン、1−オクタデカニルオキシ−2−メチルプロペン、1−メトキシ−2−メチル−1−ブテン、1−エトキシ−2−メチル−1−ブテン、1−プロポキシ−2−メチル−1−ブテン、1−イソプロポキシ−2−メチル−1−ブテン、1−ブトキシ−2−メチル−1−ブテン、1−イソブトキシ−2−メチル−1−ブテン、1−(tert−ブトキシ)−2−メチル−1−ブテン、1−ペンチルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−イソペンチルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−ネオペンチルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−(tert−ペンチルオキシ)−2−メチル−1−ブテン、1−ヘキシルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−イソヘキシルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−(2−エチルヘキシル)−2−メチル−1−ブテン、1−ヘプチルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−オクチルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−ノニルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−デカニルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−ドデカニルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−オクタデカニルオキシ−2−メチル−1−ブテン、1−メトキシ−2−エチル−1−ブテン、1−エトキシ−2−エチル−1−ブテン、1−プロポキシ−2−エチル−1−ブテン、1−イソプロポキシ−2−エチル−1−ブテン、1−ブトキシ−2−エチル−1−ブテン、1−イソブトキシ−2−エチル−1−ブテン、1−(tert−ブトキシ)−2−エチル−1−ブテン、1−ペンチルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−イソペンチルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−ネオペンチルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−(tert−ペンチルオキシ)−2−エチル−1−ブテン、1−ヘキシルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−イソヘキシルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−(2−エチルヘキシル)−2−エチル−1−ブテン、1−ヘプチルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−オクチルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−ノニルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−デカニルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−ドデカニルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−オクタデカニルオキシ−2−エチル−1−ブテン、1−(2−メトキシエトキシ)−2−メチルプロペン、1−(2−エトキシエトキシ)−2−メチルプロペン、1−(2−ブトキシエトキシ)−2−メチルプロペン、1−(2−メトキシエトキシ)−2−メチル−1−ブテン、1−(2−エトキシエトキシ)−2−メチル−1−ブテン、1−(2−ブトキシエトキシ)−2−メチル−1−ブテン、1−(2−メトキシエトキシ)−2−エチル−1−ブテン、1−(2−エトキシエトキシ)−2−エチル−1−ブテン、1−(2−ブトキシエトキシ)−2−エチル−1−ブテン等があげられる。対応するアルケニルエーテルまたはそのハロゲン化物は、1種でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0026】
また、重合体(I)は、一般式(I)で表される基を有するモノマーを重合することによっても得ることができる。例えば、一般式(I)で表される基を有するモノマーがビニル系モノマーの場合、重合体(I)は、一般式(I)で表される基を有するビニル系モノマーを公知の方法で(例えば、特開平9−59324号公報、特開平7−62190号公報、WO01/23447公報、特開昭54−110248号公報、特開昭58−20991号公報等)またはそれらの方法に準じて、重合することにより得ることができる。
【0027】
重合体(I)の重量平均分子量は1,000〜200,000であるのが好ましい。
また、重合体(I)のガラス転移温度(Tg)は、80℃以上120℃以下であるのが好ましい。
例えば、重合体(II)は、一般式(A)
【0028】
【化9】

【0029】
(式中、R、R、RおよびRは、それぞれ前記と同義である)で表されるビニル系モノマーを、公知の方法で(例えば、特開平9−59324号公報、特開平7−62190号公報、WO01/23447公報、特開昭54−110248号公報、特開昭58−20991号公報等)またはそれらの方法に準じて、重合することにより得ることができる。
【0030】
一般式(A)で表されるビニル系モノマーは、一般式(B)
【0031】
【化10】

【0032】
(式中、Rは前記と同義である)で表されるビニル系モノマーと対応するアルケニルエーテルまたはそのハロゲン化物とを反応させることにより、得ることができる。一般式(B)で表されるビニル系モノマーと対応するアルケニルエーテルまたはそのハロゲン化物との反応における反応条件は、前記樹脂Aと対応するアルケニルエーテルまたはそのハロゲン化物との反応における反応条件と同様の条件に設定することができる。
【0033】
重合体(II)の原料においては、一般式(I)で表される基を有さないビニル系モノマーが含まれていてよく、重合体(II)は、ホモポリマーまたはコポリマーである。
重合体(II)の原料において、全ビニル系モノマー中に、一般式(A)で表されるビニル系モノマーが0.2〜90モル%含まれているのが好ましく、さらには、10〜60モル%含まれているのがより好ましい。
【0034】
一般式(I)で表される基を有さないビニル系モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート等の炭素数1〜18のアルコールと(メタ)アクリル酸を原料として得られる(メタ)アクリル酸アルキルエステル類、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、スチレン、α−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ジメチルスチレン、ジビニルベンゼン等の芳香族ビニル化合物類、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等のグリコールジ(メタ)アクリレート類、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート類、トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、ペンタフルオロプロピル(メタ)アクリレート、パーフルオロシクロヘキシル(メタ)アクリレート、2,2,3,3−テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、β−(パーフルオロオクチル)エチル(メタ)アクリレート等のフッ素含有ビニル系モノマー、1−[3−(メタ)アクリロキシプロピル]−1,1,3,3,3−ペンタメチルジシロキサン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリス(トリメチルシロキサン)シラン、AK−5[シリコーンマクロモノマー、東亜合成化学工業(株)製]等のシロキサン含有ビニル系モノマー、ビニルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルジエトキシシラン等の加水分解性シリル基含有ビニル系モノマー、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテル等のビニルエーテル類、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、アマニ油脂肪酸、トール油脂肪酸、脱水ひまし油脂肪酸等の多塩基性不飽和カルボン酸またはそれらの一価もしくは多価アルコールのエステル、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートメチルクロライド塩、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アリルアルコール、アリルアルコールエステル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリル酸グリシジル、マクロモノマーAS−6、AN−6、AA−6、AB−6[東亜合成化学工業(株)製]等の公知のビニル系モノマー等があげられる。前記において、(メタ)アクリル酸は、アクリル酸またはメタクリル酸を表し、他の(メタ)アクリル酸誘導体についても同様である。
【0035】
一般式(I)で表される基を有さないビニル系モノマーとして、例えば耐エッチング性を高める場合には、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、スチレン等を使用するのが好ましい。
また、重合体(II)は、一般式(B)で表されるビニル系モノマーを公知の方法で(例えば、特開平9−59324号公報、特開平7−62190号公報、WO01/23447公報、特開昭54−110248号公報、特開昭58−20991号公報等)またはそれらの方法に準じて、重合させ、さらに得られた重合体と対応するアルケニルエーテルまたはそのハロゲン化物とを反応させることにより得ることもできる。該反応における反応条件は、前記樹脂Aと対応するアルケニルエーテルまたはそのハロゲン化物との反応における反応条件と同様の条件に設定することができる。また、対応するアルケニルエーテルとしては、前記と同様のものがあげられる。重合体(II)の原料は、一般式(B)で表されるビニル系モノマー以外のビニル系モノマーを含んでいてもよい。
【0036】
重合体(II)の重量平均分子量は、1,000〜200,000であるのが好ましい。
重合体(III)は、ヒドロキシスチレンを対応するアルケニルエーテルまたはそのハロゲン化物と反応させた後、得られる一般式(I)で表される基を有するモノマーを公知の方法で(例えば、特開平9−59324号公報、特開平7−62190号公報、WO01/23447公報、特開昭54−110248号公報、特開昭58−20991号公報等)またはそれらの方法に準じて、重合させることにより得ることができる。ヒドロキシスチレンと対応するアルケニルエーテルとの反応における反応条件は、前記樹脂Aと対応するアルケニルエーテルまたはそのハロゲン化物との反応における反応条件と同様に設定することができる。また、対応するアルケニルエーテルとしては、前記と同様のものがあげられる。
【0037】
重合体(III)の原料においても、一般式(I)で表される基を有さないビニル系モノマーが含まれていてもよく、重合体(III)は、ホモポリマーまたはコポリマーである。一般式(I)で表される基を有さないビニル系モノマーとしては、前記と同様のものがあげられる。
重合体(III)の原料において、全ビニル系モノマー中に、一般式(I)で表される基を有するビニル系モノマーが0.2〜90モル%含まれているのが好ましく、さらには、10〜60モル%含まれているのがより好ましい。
【0038】
また、重合体(III)は、例えば、一般式(V)
【0039】
【化11】

【0040】
で表される構造単位を含む樹脂と対応するアルケニルエーテルまたはそのハロゲン化物とを反応させることによっても得ることができる。
一般式(V)で表される構造単位を含む樹脂としては、例えば、ポリヒドロキシスチレンまたはヒドロキシスチレンと他のビニル系モノマーとの共重合体等があげられる。
一般式(V)で表される構造単位を含む樹脂と対応するアルケニルエーテルまたはそのハロゲン化物との反応における反応条件は、前記樹脂Aと対応するアルケニルエーテルまたはそのハロゲン化物との反応における反応条件と同様の条件に設定することができる。
【0041】
重合体(III)の重量平均分子量は、1,000〜200,000であるのが好ましい。
重合体(IV)は、例えば、一般式(C)
【0042】
【化12】

【0043】
(式中、R、RおよびRは、それぞれ前記と同義である)で表される構造単位を含む樹脂と対応するアルケニルエーテルまたはそのハロゲン化物と反応させることにより得ることができる。一般式(I)で表される構造単位を含む樹脂と対応するアルケニルエーテルまたはそのハロゲン化物との反応における反応条件は、前記樹脂Aと対応するアルケニルエーテルまたはそのハロゲン化物との反応における反応条件と同様の条件に設定することができる。
【0044】
一般式(C)で表される構造単位を含む樹脂は、その多くは市販品として入手可能であるが、例えば、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、2,3,4−トリメチルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール等のフェノール類と、例えば、ホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、フルフラル、アセトアルデヒド等のアルデヒド類とを酸性触媒(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸等の無機酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸等)の存在下、重縮合して製造してもよい。前記のフェノール類およびアルデヒド類はそれぞれ単独でまたは2種以上組み合わせて用いることができる。
【0045】
また、アルデヒド類の使用量は、フェノール類の総量1モルに対し、0.7〜3モルであるのが好ましく、0.75〜1.30モルであるのがより好ましい。
重合体(IV)の重量平均分子量(Mw)は、1,000〜200,000であるのが好ましい。
本発明のマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物に含有される放射線の照射により酸を発生する化合物としては、波長300nm以上の放射線の照射により酸を発生する化合物が好ましい。
【0046】
放射線の照射により酸を発生する化合物としては、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミノまたはイミド型酸発生剤、ベンゾインスルホネート型光酸発生剤、ピロガロールトリスルホネート型光酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート型光酸発生剤、スルホン型光酸発生剤、グリオキシム誘導体型の光酸発生剤等があげられ、中でも、スルホニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニルジアゾメタン、N−スルホニルオキシイミノまたはイミド型酸発生剤等が好ましい。これらは単独でまたは2種以上にて混合して用いることができる。
【0047】
スルホニウム塩は、スルホニウムカチオンとスルホネートの塩である。スルホニウムカチオンとしては、例えば、トリフェニルスルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、ビス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリス(3,4−ジtert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ジフェニル(4−チオフェノキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)スルホニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)ビス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、トリス(4−ジメチルアミノフェニル)スルホニウム、2−ナフチルジフェニルスルホニウム、ジメチル−2−ナフチルスルホニウム、4−ヒドロキシフェニルジメチルスルホニウム、4−メトキシフェニルジメチルスルホニウム、トリメチルスルホニウム、2−オキソシクロヘキシルシクロヘキシルメチルスルホニウム、トリナフチルスルホニウム、トリベンジルスルホニウム等があげられる。スルホネートとしては、例えば、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−(4−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等があげられる。
【0048】
ヨードニウム塩は、ヨードニウムカチオンとスルホネートの塩である。ヨードニウムカチオンとしては、例えば、ジフェニルヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム、(4−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、(4−メトキシフェニル)フェニルヨードニウム等のアリールヨードニウムカチオン等があげられる。スルホネートとしては、例えば、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、4−(4−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等があげられる。
【0049】
スルホニルジアゾメタンとしては、例えば、ビス(エチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1−メチルプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2−メチルプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(パーフルオロイソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(フェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(4−メチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2−ナフチルスルホニル)ジアゾメタン、(4−メチルフェニル)スルホニルベンゾイルジアゾメタン、(tert−ブチルカルボニル)−(4−メチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン、(2−ナフチルスルホニル)ベンゾイルジアゾメタン、(4−メチルフェニルスルホニル)−(2−ナフトイル)ジアゾメタン、メチルスルホニルベンゾイルジアゾメタン、(tert−ブトキシカルボニル)−(4−メチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等のビススルホニルジアゾメタン、スルホニルカルボニルジアゾメタン等があげられる。
【0050】
N−スルホニルオキシイミノ型光酸発生剤としては、例えば、[5−(4−メチルフェニルスルホニルオキシイミノ)−5H−チオフェン−2−イリデン]−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−プロピルスルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−カンファースルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)−(2−メチルフェニル)アセトニトリル、α−(9−カンファースルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンゼンアセトニトリル、α−(4−メチルフェニルスルホニルオキシイミノ)ベンゼンアセトニトリル、α−(4−メチルフェニルスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンゼンアセトニトリル等があげられる。
【0051】
N−スルホニルオキシイミド型光酸発生剤としては、例えば、コハク酸イミド、ナフタレンジカルボン酸イミド、フタル酸イミド、シクロヘキシルジカルボン酸イミド、5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸イミド、7−オキサビシクロ[2.2.1]−5−ヘプテン−2,3−ジカルボン酸イミド等のイミド骨格とトリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等の組み合わせからなる化合物等があげられる。
【0052】
ベンゾインスルホネート型光酸発生剤としては、例えば、ベンゾイントシレート、ベンゾインメシレート、ベンゾインブタンスルホネート等があげられる。
ピロガロールトリスルホネート型光酸発生剤としては、例えば、ピロガロール、フロログリシン、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン等のヒドロキシル基の全てをトリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等で置換した化合物等があげられる。
【0053】
ニトロベンジルスルホネート型光酸発生剤としては、例えば、2,4−ジニトロベンジルスルホネート、2−ニトロベンジルスルホネート、2,6−ジニトロベンジルスルホネート等があげられ、スルホネートとしては、具体的には、トリフルオロメタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート、ヘプタデカフルオロオクタンスルホネート、2,2,2−トリフルオロエタンスルホネート、ペンタフルオロベンゼンスルホネート、4−トリフルオロメチルベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、トルエンスルホネート、ベンゼンスルホネート、ナフタレンスルホネート、カンファースルホネート、オクタンスルホネート、ドデシルベンゼンスルホネート、ブタンスルホネート、メタンスルホネート等があげられる。またベンジル側のニトロ基をトリフルオロメチル基で置き換えた化合物も同様に用いることができる。
【0054】
スルホン型光酸発生剤としては、例えば、ビス(フェニルスルホニル)メタン、ビス(4−メチルフェニルスルホニル)メタン、ビス(2−ナフチルスルホニル)メタン、2,2−ビス(フェニルスルホニル)プロパン、2,2−ビス(4−メチルフェニルスルホニル)プロパン、2,2−ビス(2−ナフチルスルホニル)プロパン、2−メチル−2−(p−トルエンスルホニル)プロピオフェノン、2−(シクロヘキシルカルボニル)−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2,4−ジメチル−2−(p−トルエンスルホニル)ペンタン−3−オン等があげられる。
【0055】
グリオキシム誘導体型の光酸発生剤としては、例えば、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(p−トルエンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(n−ブタンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−o−(メタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(トリフルオロメタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(1,1,1−トリフルオロエタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(tert−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(パーフルオロオクタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(シクロヘキシルスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(ベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(p−tert−ブチルベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(キシレンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−o−(カンファースルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等があげられる。
【0056】
本発明のマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物において、放射線の照射により酸を発生する化合物の含有量としては、重合体(I)100重量部に対して0.1〜20重量部が好ましく、1〜10重量部がより好ましい。上記放射線の照射により酸を発生する化合物は単独でまたは2種以上混合して用いてもよい。
さらに、本発明のマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物は、光増感剤、例えば、アントラセン類、アントラキノン類、クマリン類、ピロメテン類等の色素を必要に応じて、含有していてもよい。
【0057】
本発明のマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物に含有される有機溶剤としては、例えば、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコール−tert−ブチルエーテルメチルエーテル(1−tert−ブトキシ−2−メトキシエタン)、エチレングリコール−tert−ブチルエーテルエチルエーテル(1−tert−ブトキシ−2−エトキシエタン)等の直鎖または分枝状のエーテル類、ジオキサン等の環状エーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、メチル−3−メトキシプロピオネート、エチル−3−エトキシプロピオネート、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、β−メトキシイソ酪酸メチル等のエステル類、キシレン、トルエン等の芳香族系溶剤等があげられる。これらの中では、レジスト成分の溶解性、安全性が優れているプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートが好ましく使用される。なお、上記有機溶剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。その含有量は、本発明のマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物中、0.1〜80重量%であるのが好ましい。
【0058】
さらに本発明のマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物は、例えば、ベンジルエチルエーテル、ジヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、アセトニルアセトン、イソホロン、カプロン酸、カプリル酸、1−オクタノール、1−ノナノール、ベンジルアルコール、酢酸ベンジル、安息香酸エチル、シュウ酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、γ−ブチロラクトン、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、酢酸フェニルセロソルブ等の高沸点溶剤を含有していてもよい。
【0059】
本発明のマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物は、塩基性化合物を含有しているのが好ましい。塩基性化合物の配合により、例えば、レジスト膜中での酸の拡散速度が抑制されて解像度がより向上し、露光後の感度変化が抑制されたり、基板や環境依存性が少なくなり、露光余裕度やパターンプロファイル等がより向上する。
塩基性化合物としては、例えば、第一級、第二級または第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシル基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド誘導体、イミド誘導体等があげられる。
【0060】
具体的には、第一級の脂肪族アミン類としては、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が例示され、第二級の脂肪族アミン類としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジn−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジn−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジsec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン等が例示され、第三級の脂肪族アミン類としては、トリス(2−メトキシエチル)アミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリn−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリn−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリsec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン等が例示される。
【0061】
芳香族アミン類および複素環アミン類の具体例としては、アニリン誘導体(例えば、アニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン、ジフェニル(p−トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン等)、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えば、ピロール、1−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えば、オキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えば、チアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えば、イミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えば、ピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えば、ピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン、N−メチルピロリジン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えば、ピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、4−ピロリジノピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えば、キノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
【0062】
さらに、カルボキシル基を有する含窒素化合物としては、例えば、アミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸またはアミノ酸誘導体(例えば、ニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、メトキシアラニン等)等が例示され、スルホニル基を有する含窒素化合物としては、例えば、3−ピリジンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム等が例示され、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物等またはアルコール性含窒素化合物としては、例えば、2−ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’−イミノジエタノール、2−アミノエタノール、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、8−ヒドロキシユロリジン、3−クイヌクリジノール、3−トロパノール、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、1−アジリジンエタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が例示される。アミド誘導体としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド等が例示される。イミド誘導体としては、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が例示される。
【0063】
塩基性化合物は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、重合体(I)100重量部に対して0.01〜5重量部であるのが好ましく、0.01〜2重量部であるのがより好ましい。
本発明のマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物は、塗布性を向上させるため、界面活性剤を含有していてもよい。
【0064】
界面活性剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステリアルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー類、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート等のソルビタン脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミテート、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアレート、ポリオキシエチレンソルビタントリオレエート、ポリオキシエチレンソルビタントリステアレート等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤、エフトップEF301、EF303、EF352(いずれもトーケムプロダクツ社製)、メガファックF171、F172、F173(いずれも大日本インキ化学工業社製)、フロラードFC430、FC431(いずれも住友スリーエム社製)、アサヒガードAG710、サーフロンS−381、S−382、SC101、SC102、SC103、SC104、SC105、SC106、サーフィノールE1004,KH−10、KH−20、KH−30、KH−40(いずれも旭硝子社製)等のフッ素系界面活性剤、オルガノシロキサンポリマーKP341、X−70−092、X−70−093(いずれも信越化学工業社製)、アクリル酸系またはメタクリル酸系ポリフローNo.75、No.95(いずれも共栄社油脂化学工業社製)等があげられる。界面活性剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、重合体(I)100重量部に対して0.01〜2重量部であるのが好ましく、0.1〜1重量部であるのがより好ましい。
【0065】
本発明のマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物は、解像度をより向上させるために、溶解阻止剤を含有していてもよい。
溶解阻止剤としては、分子内にフェノール性ヒドロキシル基を2つ以上有する化合物の該フェノール性ヒドロキシル基の水素原子がtert−ブチル、tert−ブトキシカルボニル、ブトキシカルボニルメチル、2−テトラヒドロピラニル、2−テトラヒドロフラニル、エトキシエチル、エトキシプロピル等の酸不安定基により全体として平均10〜100モル%の割合で置換された化合物が好ましい。前記の化合物の重量平均分子量は、100〜1,000であるのが好ましく、150〜800であるのがより好ましい。溶解阻止剤の配合量は、重合体(I)100重量部に対して0.01〜50重量部であるのが好ましく、5〜40重量部であるのがより好ましく、さらには10〜30重量部であるのがより好ましく、これらは単独でまたは2種以上を混合して使用できる。
【0066】
溶解阻止剤としては、例えば、ビス[4−(2’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(2’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル]メタン、ビス(4−tert−ブトキシフェニル)メタン、ビス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)メタン、ビス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)メタン、ビス[4−(1’−エトキシエトキシ)フェニル]メタン、ビス[4−(1’−エトキシプロピルオキシ)フェニル]メタン、2,2−ビス[4’−(2’’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4’−(2’’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス(4’−tert−ブトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4’−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)プロパン、2,2−ビス[4’−(1’’−エトキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4’−(1’’−エトキシプロピルオキシ)フェニル]プロパン、4,4−ビス[4’−(2’’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル]吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス[4’−(2’’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル]吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−tert−ブトキシフェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス(4’−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス[4’−(1’’−エトキシエトキシ)フェニル]吉草酸tert−ブチル、4,4−ビス[4’−(1’’−エトキシプロピルオキシ)フェニル]吉草酸tert−ブチル、トリス[4−(2’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル]メタン、トリス[4−(2’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシフェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)メタン、トリス(4−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)メタン、トリス[4−(1’−エトキシエトキシ)フェニル]メタン、トリス[4−(1’−エトキシプロピルオキシ)フェニル]メタン、1,1,2−トリス[4’−(2’’−テトラヒドロピラニルオキシ)フェニル]エタン、1,1,2−トリス[4’−(2’’−テトラヒドロフラニルオキシ)フェニル]エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシカルボニルオキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス(4’−tert−ブトキシカルボニルメチルオキシフェニル)エタン、1,1,2−トリス[4’−(1’’−エトキシエトキシ)フェニル]エタン、1,1,2−トリス[4’−(1’’−エトキシプロピルオキシ)フェニル]エタン等があげられる。
【0067】
本発明のマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物は、必要に応じて、ハレーションの防止等を目的として、紫外線吸収剤、例えば、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノ−2’,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、5−アミノ−3−メチル−1−フェニル−4−(4−ヒドロキシフェニルアゾ)ピラゾール、4−ジメチルアミノ−4’−ヒドロキシアゾベンゼン、4−ジエチルアミノ−4’−エトキシアゾベンゼン、4−ジエチルアミノアゾベンゼン、クルクミン、1,7−ビス(3−メトキシ−4−ヒドロキシフェニル)−1,6−ヘプタジエン−3,5−ジオン、5−ヒドロキシ−4−(4−メトキシフェニルアゾ)−3−メチル−1−フェニルピラゾール等を含有していてもよい。紫外線吸収剤は、単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができ、その配合量は、重合体(I)100重量部に対して0.01〜2重量部であるのが好ましく、0.01〜1重量部であるのがより好ましい。
【0068】
さらに、本発明のマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物は、必要に応じて保存安定剤、消泡剤等を含有していてもよい。
本発明のマイクロレンズとしては、例えば、凸型マイクロレンズ等があげられる。
本発明のマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物を用いたレジストパターンの好適な形成方法について、以下に例を示す。
【0069】
レジストパターン形成の際は、まず、ガラス等の基板上に、本発明のマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物をスピンナー、スリットコーター等で塗布し、好ましくは膜厚1.5〜2.5μmの塗膜を形成する。
次いで、この塗膜が形成された基板を80〜140℃程度で加熱乾燥(プリべーク)して感光層を形成させる。次いで放射線を発光する光源、例えば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、キセノンランプ等を用い、所望のマスクパターンを介して選択的露光を行う。露光後に、100〜140℃で加熱処理をし、得られたレジスト被覆基板をアルカリ現像に付することにより、例えば、該基板に1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液のようなアルカリ性水溶液をカーテンフロー方式等により塗布するか、または該基板をアルカリ現像液に浸漬等し、洗浄、乾燥することにより、レジストパターンを形成することができる。その後、レジストパターンを形成された該基板を100〜160℃で加熱処理することでマイクロレンズを形成することができる。
【0070】
アルカリ現像液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジn−プロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリン、ピロール、ピペリジン等を水に溶解して得られるアルカリ性水溶液等が使用される。また該現像液には、水溶性有機溶媒、例えばメタノール、エタノール等のアルコール類や界面活性剤を適量添加して使用することもできる。
【0071】
また、得られたマイクロレンズに全面露光を施し、加熱(100〜160℃)することで耐熱性を向上させることもできる。
本発明のマイクロレンズは、レンズの耐熱性、透明性、下地との密着性、パターン制御性(パターン再現性)等に優れる。
本発明のマイクロレンズは、例えば、固体撮像素子、液晶表示素子等に使用することができる。
【0072】
本発明のマイクロレンズを用いた固体撮像素子では、フォトダーオードに取り寄せる光量の増大を図り感度を向上させるため、各画素上にマイクロレンズを作製する。
また、本発明のマイクロレンズを用いた液晶表示素子は、マイクロレンズが配列されている透明基板とカバーグラスを接着剤にて貼り合わせ、そのカバーガラス上にブラックマトリックス、透明電極、配向膜および液晶層を積層させて得られる。本発明のマイクロレンズを用いた液晶表示素子では、マイクロレンズを搭載することで素子自体の実効開口率が向上し、明るい表示画面が得られる。
【0073】
なお、以下の実施例における本発明のマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物は液状であるが、本発明のマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物は、フィルム状またはペースト状であっても構わない。
以下、参考例、実施例および試験例により、本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例等に制限されるものではない。
【0074】
ここで、参考例における原料の転化率および目的物への選択率は、ガスクロマトグラフィー分析による定量により求めた。該定量においては、島津製作所株式会社製GC−14Aを用い、カラムとしてはヒューレット・パッカード社製INNOWAX(長さ30m、径0.25mm)を用いた。試料のインジェクション温度および検出器温度はいずれも200℃であり、カラム温度を50℃から200℃まで10℃/分で昇温することにより分析を行った。ガスクロマトグラフィー分析後の定量は、絶対検量法により行った。
【0075】
参考例で製造された樹脂の重量平均分子量(ポリスチレン換算)は、以下の条件のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)で測定した。
(GPC条件)
カラム: TSKgel G4000H、G2000H、GMH[いずれも東ソー(株)製]を直列につないだ。
カラム保持温度: 40℃
移動相: テトラヒドロフラン(流速1.0ml/分)
検出器: RI
標準物質: ポリスチレン
[参考例1] 1−メタクリロイルオキシ−1−n−メトキシ−2−メチルプロパンの合成
メタクリル酸85gと1−メトキシ−2−メチルプロペン125gを1−メトキシ−2−メチルプロペンに対して0.02モル%のp−トルエンスルホン酸一水和物存在下、室温で、2.5時間反応させた。この際、メタクリル酸の転化率は、90%以上であり、1−メタクリロイルオキシ−1−n−メトキシ−2−メチルプロパンへの選択率は99%以上であった。反応液を5%炭酸ナトリウム水溶液で中和した後、分液により得られた有機層を減圧濃縮することにより、1−メタクリロイルオキシ−1−n−メトキシ−2−メチルプロパン135gを取得した。
同定データ
H−NMRスペクトル(400MHz)
測定機器:日本電子 GSX−400
測定溶媒:重クロロホルム
δ (ppm) 6.19−6.17(m,1H)
5.62−5.60(m,2H)
3.42(s,3H)
1.99−1.96(m,4H)
0.96(d,J=6.8Hz,3H)
0.95(d,J=6.8Hz,3H)
[参考例2]
滴下装置、攪拌装置、温度計、冷却管および窒素ガス導入管を備えたフラスコ内にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート311gを仕込み、80℃に加熱し、窒素雰囲気下にて攪拌しながら、参考例1で得られた1−メタクリロイルオキシ−1−n−メトキシ−2−メチルプロパン70.0g、イソボルニルメタクリレート135.0g、メタクリル酸メチル60.0g、ブチルメタクリレート79.0gおよびアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)9.5gを均一に溶解したものを滴下装置より3時間かけて滴下した。滴下終了後、30分毎に3回、AIBN/メチルエチルケトン=0.2g/0.8gの混合溶液を添加して、80℃で3時間熟成し、重合反応を終了した。得られた樹脂溶液は、固形分48重量%、固形分の重量平均分子量30,200であった。樹脂(P−1)(Tg:約115℃、酸価140)
[参考例3]
市販のポリヒドロキシスチレン(重量平均分子量19,000 アルドリッチ社製)10gをテトラヒドロフラン30gに溶解し、1−n−プロポキシ−2−メチルプロペン11.4gを仕込み、ポリヒドロキシスチレンに対して0.02モル%のp−トルエンスルホン酸一水和物存在下、室温で、2時間反応させた。反応液を1重量%炭酸ナトリウム水溶液で中和した後、分液により得られた有機層を減圧濃縮し、再沈精製することにより、目的とする樹脂(P−2)20.1gを取得した。
[参考例4]
攪拌機、冷却管および温度計を装着したセパラブルフラスコに、 m−クレゾール 123.2g、3,5−キシレノール 52.2g、37重量%ホルムアルデヒド水溶液130.3gおよび シュウ酸二水和物 0.731gを仕込み、セパラブルフラスコを油浴に浸し、内温を100℃に保ち、攪拌しながら40分間重縮合を行った後、 m−クレゾール 27.9gおよび 3,5−キシレノール 13.1gを加え、さらに100分間重縮合を行い、樹脂を合成した。反応後、油浴の温度を180℃まで上げ、同時に反応容器内の圧力を30〜40mmHgまで減圧し、水、シュウ酸、ホルムアルデヒド、m−クレゾール、3,5−キシレノール等を除去した。次いで、溶融した樹脂を室温に戻して回収した。この樹脂を、エチルセロソルブアセテートに固形分が20重量%となるよう溶解したのち、樹脂溶液の重量に対し、2倍量のメタノールおよび等量の水を加えて、攪拌、放置した。2層に分離したのち、樹脂溶液(下層)を取り出し、濃縮・脱水・乾燥して樹脂を回収した。得られた樹脂の重量平均分子量は9,500であった。得られた樹脂10gおよび1−n−プロポキシ−2−メチルプロペン10.4gを用いて、実施例2と同様の方法で反応させ、目的とする樹脂(P−3)19.5gを取得した。
【実施例1】
【0076】
参考例2で得られた樹脂(P−1)に、以下の表1のように、光酸発生剤、有機溶剤および塩基性化合物を配合し、0.2μmのメンブレンフィルターでろ過し、組成物1を調製した。この組成物1を、4インチのガラス基板に、スピンコーター(回転数:1000rpm、30秒)で塗布し、ホットプレート(110℃、5分)で前乾燥を行った。
次に、得られた塗膜を、マスクアライナー(ズース・マイクロテック社製MA−4)を用いて、L/S(ラインアンドスペース)=7μmのマスクを用いて、照射量30mJ/cmのi線に露光した。露光後、ホットプレート(120℃、2分)で後乾燥(ポストエクスポージャベーク)した後、2.38%のTMAH水溶液で現像(25℃、60秒)を行い、純水で洗浄してレジストパターンを形成した。現像工程では、現像液にガラス基板を浸漬させた。その後、レジストパターンを形成された該ガラス基板を120℃で加熱処理することでマイクロレンズを作成した。未露光部の膜厚はおおよそ、2μmであった。
【実施例2】
【0077】
参考例3で得られた樹脂(P−2)を使って、以下の表1のように、光酸発生剤、有機溶剤および塩基性化合物を配合し、0.2μmのメンブレンフィルターでろ過し、組成物2を調製した。以下、実施例1と同様の方法で、マイクロレンズを作成した。未露光部の膜厚はおおよそ、2μmであった。
【実施例3】
【0078】
参考例4で得られた樹脂(P−3)を使って、以下の表1のように、光酸発生剤、有機溶剤および塩基性化合物を配合し、0.2μmのメンブレンフィルターでろ過し、組成物3を調製した。以下、実施例1と同様の方法で、マイクロレンズを作成した。未露光部の膜厚はおおよそ、2μmであった。
【0079】
【表1】

【0080】
[試験例1]
実施例1〜3で得られたレジストパターンについて、光学顕微鏡およびSEM(走査電子顕微鏡)により、前面および断面観察を行い、パターン制御性を評価した。また、基板上のレジストパターンが剥がれているか否かについて、金属顕微鏡にて観察を行い、密着性を評価した。これらの評価結果を表2に示す。
パターン制御性の評価:所望とするパターン形状およびパターンサイズのパターンが得られた場合を○、膨潤や膜べりにより形状がくずれたり所望のサイズのパターンが得られない場合を×とした。
密着性の評価:パターン剥がれが生じていなく密着性に問題がない場合を○、パターン剥がれを生じていて密着性が悪い場合を×とした。
[試験例2]
実施例1〜3で得られた組成物1〜3のそれぞれを、石英基板に塗布し、365nmの露光波長で光強度2.5mJ/cmの紫外線に5分間露光した。この石英基板を150℃1時間オーブンにて加熱した後、分光光度計を用いて、該加熱処理した基板の400〜800nmでの光透過度を求め、透明性を評価した。この評価結果を表2に示す。
透明性の評価:透過度が90%以上を○、90%に満たないものを×とした。
【0081】
【表2】

【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明により、下地との密着性等に優れたマイクロレンズ、該マイクロレンズの製造に用いられるマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物等が提供される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)一般式(I)
【化1】

[式中、R、RおよびRは、同一または異なって、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表すか、RとRが、隣接する炭素原子と一緒になってシクロアルキルを形成するか、またはRとRが、隣接するC−C−Oと一緒になって含酸素複素環を形成してもよく、Xは、OまたはNR(式中、Rは、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表す)を表す]で表される基を有する重合体、(B)放射線の照射により酸を発生する化合物、および(C)有機溶剤を含有することを特徴とするマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物。
【請求項2】
一般式(I)で表される基を有する重合体が、一般式(II)
【化2】

(式中、R、RおよびRは、それぞれ前記と同義であり、Rは水素原子または低級アルキルを表す)で表される構造単位を含む重合体である請求項1記載のマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物。
【請求項3】
一般式(I)で表される基を有する重合体が、一般式(III)
【化3】

(式中、R、RおよびRは、それぞれ前記と同義である)で表される構造単位を含む重合体である請求項1記載のマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物。
【請求項4】
一般式(I)で表される基を有する重合体が、一般式(IV)
【化4】

(式中、R、RおよびRは、それぞれ前記と同義であり、RおよびRは、同一または異なって、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表し、Rは、水素原子、置換もしくは非置換のアルキル、置換もしくは非置換のアリールまたは置換もしくは非置換のアラルキルを表し、nは1〜3の整数を表す)で表される構造単位を含む重合体である請求項1記載のマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物。
【請求項5】
一般式(I)で表される基を有する重合体の重量平均分子量が、1,000〜200,000である請求項1〜4のいずれかに記載のマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物。
【請求項6】
一般式(I)で表される基を有する重合体のガラス転移温度が、80℃以上120℃以下である請求項1〜5のいずれかに記載のマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物。
【請求項7】
放射線の照射により酸を発生する化合物が、波長300nm以上の放射線の照射により酸を発生する化合物である請求項1〜6のいずれかに記載のマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物。
【請求項8】
塩基性化合物を含有する請求項1〜7のいずれかに記載のマイクロレンズ用化学増幅ポジ型レジスト組成物。
【請求項9】
(a)請求項1〜8のいずれかに記載のマイクロレンズ用化学増幅型ポジ型レジスト組成物を基板に塗布し、
(b)該マイクロレンズ用化学増幅型ポジ型レジスト組成物が塗布された該基板をマスクパターンを介して露光し、
(c)露光後の該マイクロレンズ用化学増幅型ポジ型レジスト組成物が塗布された基板を現像液による現像に付してレジストパターンが形成された基板を得、
(d)該レジストパターンが形成された基板を100〜160℃に加熱する
上記の各工程を含む製造方法により得られるマイクロレンズ。
【請求項10】
請求項9記載のマイクロレンズを用いた固体撮像素子または液晶表示素子。

【公開番号】特開2006−251295(P2006−251295A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−66931(P2005−66931)
【出願日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(000162607)協和発酵ケミカル株式会社 (60)
【Fターム(参考)】