説明

マイクロ分離装置

【課題】微小化が可能な簡易な構成で、かつ素早い追従性でプラグ流からの液体同士や液体と気体との分離を連続的に行ない得るようにすることにある。
【解決手段】所定の軸線Cに対し半径方向へ延在するとともに一端部を所定プランジャ室内に前記半径方向の内方へ向けて開放された入口回路2dと、各々前記軸線上に延在するとともに、互いに近接した一端部同士を前記軸線に対し前記入口回路と同一の半径方向へ曲げられて、前記入口回路を前記軸線方向で間に挟む位置で前記プランジャ室内に前記半径方向の外方へ向けて開放された二つの出口回路3c,4c,5b,5cと、前記プランジャ室内に前記軸線方向へ移動可能に収容されるとともに、磁性体を有し、前記軸線方向への移動によって前記入口回路の前記一端部を前記二つの出口回路の前記一端部に選択的に接続するプランジャ6と、前記入口回路に供給される流体の種類に応じて前記プランジャを前記軸線方向に往復移動させる電磁駆動手段7,8と、を具えることを特徴とするマイクロ分離装置1である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、マイクロ化学プロセスに必要な高効率な分離機能を達成するためにプランジャの移動を利用するマイクロ分離装置に関し、特には、例えば欧州ではμ−TAS(Micro Total Analysis Systemの略)、米国ではLab−on−A−Chipと称されるマイクロリアクターに代表される微細構造をもつマイクロ流体素子に用いて好適な、二液プラグ流や気液プラグ流等のプラグ流(交互流)からの微量流体の分離を行なうマイクロ分離装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
マイクロ化学プロセス用デバイスに必要とされる重要な機能として「分離」があるが、有効な分離装置の提案は未だ少ない。マイクロ化学反応機におけるプラグ流を利用した反応、抽出において生成物の分離は、例えば特許文献1記載の方法や、比重の相違を用いた方法で行なわれている。
【特許文献1】特許第3627060号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら特許文献1記載の方法は、液体中に混在するサブミクロン粒子を分離するためのものであり、液体同士や液体と気体との分離には用い得ないという問題がある。また比重の相違を用いた方法は、分離槽からの排出口の圧力均衡を保つ必要があるため、流量変更や排出部の圧力変更を安易に行なうことができないという問題がある。
【0004】
それゆえこの発明は、マイクロ化学反応機におけるプラグ流を利用した反応、抽出において生成物の分離を可能にするために、液体同士や液体と気体との分離を行ない得るマイクロ分離装置を提案することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、上記課題を有利に解決するものであり、この発明のマイクロ分離装置は、
プラグ流を用いた分離装置であって、
バルブを切り替えることによって前記プラグ流を構成する2流体(二種類)を分離するようにしたものである。
また、前記プラグ流を生成するバルブの駆動周期と同じ周期(位相差はつける)で、分離用のバルブを駆動するようにしてもよい。
また、分離用バルブの手前に設けられた流体の種類を判別するセンサと、このセンサの出力信号を遅延させる装置とを更に有し、この遅延させた信号で前記分離バルブを駆動するようにしてもよい。
また、この発明のマイクロ分離装置は、所定の軸線に対し半径方向へ延在するとともに一端部を所定プランジャ室内に前記半径方向の内方へ向けて開放された入口回路と、各々前記軸線上に延在するとともに、互いに近接した一端部同士を前記軸線に対し前記入口回路と同一の半径方向へ曲げられて、前記入口回路を前記軸線方向で間に挟む位置で前記プランジャ室内に前記半径方向の外方へ向けて開放された二つの出口回路と、前記プランジャ室内に前記軸線方向へ移動可能に収容されるとともに、磁性体を有し、前記軸線方向への移動によって前記入口回路の前記一端部を前記二つの出口回路の前記一端部に選択的に接続するプランジャと、前記入口回路に供給される流体の種類に応じて前記プランジャを前記軸線方向に往復移動させる電磁駆動手段と、を具えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
かかるこの発明のマイクロ分離装置にあっては、入口回路に二種類の液体または液体と気体とのプラグ流が供給されると、電磁駆動手段が、磁性体を有するプランジャを、入口回路に供給される流体の種類に応じて往復移動させて、入口回路の、プランジャ室内に半径方向内方へ向けて開放された一端部を、二つの出口回路の、その入口回路の一端部を軸線方向で間に挟んでプランジャ室内に半径方向外方へ向けて開放された一端部に選択的に接続することで、入口回路のプラグ流を二種類の液体または液体と気体とに分離させて二つの出口回路からそれぞれ流出させる。
【0007】
従って、この発明のマイクロ分離装置によれば、微小化が可能な簡易な構成で、しかも電磁気を利用した素早い追従性でプランジャを移動させて、プラグ流からの液体同士や液体と気体との分離を連続的に行なうことができる。
【0008】
なお、この発明においては、プラグ流発生装置が、所定の軸線に対し半径方向へ延在するとともに一端部を所定プランジャ室内に前記半径方向の内方へ向けて開放された出口回路と、各々前記軸線上に延在するとともに、互いに近接した一端部同士を前記軸線に対し前記出口回路と同一の半径方向へ曲げられて、前記出口回路を前記軸線方向で間に挟む位置で前記プランジャ室内に前記半径方向の外方へ向けて開放された二つの入口回路と、前記プランジャ室内に前記軸線方向へ移動可能に収容されるとともに、磁性体を有し、前記軸線方向への移動によって前記出口回路の前記一端部を前記二つの入口回路の前記一端部に選択的に接続するプランジャと、前記プランジャを前記軸線方向に往復移動させる電磁駆動手段と、を具えており、前記プラグ流発生装置が前記電磁駆動手段により前記プランジャを往復作動させて前記二つの入口回路に供給された二種類の流体から生成したプラグ流を前記出口回路から前記マイクロ分離装置の前記入口回路に供給する場合に、前記マイクロ分離装置の前記電磁駆動手段が、前記プラグ流発生装置がそのプラグ流発生装置の前記電磁駆動手段によりがそのプラグ流発生装置の前記プランジャを往復作動させるタイミングに所定時間遅れをおいて同期させて前記マイクロ分離装置の前記プランジャを往復作動させても良く、このようにすれば、二種類の流体からプラグ流発生装置が生成するプラグ流を、その切り替えタイミングに同期させてマイクロ分離装置のプランジャが二つの出口回路に振り分けるので、センサのない簡易な構成で、プラグ流の分離を連続的に行なうことができる。
【0009】
一方、この発明においては、前記マイクロ分離装置の前記電磁駆動手段が、そのマイクロ分離装置の前記入口回路に設けられたセンサによりその入口回路を通る流体の種類を検知して、その検知結果に基づき前記検知から所定時間遅れをおいて前記マイクロ分離装置の前記プランジャを往復作動させても良く、このようにすれば、プラグ流の発生装置の作動タイミングが不明な場合や、送流状態が途中で変化する場合でも、プラグ流の分離を連続的に行なうことができる。
【0010】
そして、この発明においては、前記センサを前記マイクロ分離装置の前記プランジャの直近に設けても良く、このようにすれば、プランジャで振り分ける直前で、二種類の液体または液体と気体とのプラグ流における流体の種類を検知するので、より正確に流体の種類に対応させてプランジャを作動させ得て、より正確に流体を分離させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。ここに、図1は、この発明のマイクロ分離装置の一実施例を、マイクロプラグ流発生装置と組み合わせた状態で図示する側面図、図2(a),(b)は、その実施例のマイクロ分離装置の構造を示す縦断面図および横断面図、図3は、図1と類似の構成でプラグ流の生成と分離とを行なう試験装置を示す構成図、図4(a),(b)は上記試験装置でマイクロプラグ流発生装置とマイクロ分離装置とを共に0Hzで駆動した場合の互いに異なる時点での状態をそれぞれ示す説明写真、図5(a),(b)は上記試験装置でマイクロプラグ流発生装置とマイクロ分離装置とを共に0.5Hzで駆動した場合の互いに異なる時点での状態をそれぞれ示す説明写真、図6(a),(b)は上記試験装置でマイクロプラグ流発生装置とマイクロ分離装置とを共に1Hzで駆動した場合の互いに異なる時点での状態をそれぞれ示す説明写真、図7(a),(b)は上記試験装置でマイクロプラグ流発生装置とマイクロ分離装置とを共に3Hzで駆動した場合の互いに異なる時点での状態をそれぞれ示す説明写真であり、図中符号1は上記実施例のマイクロ分離装置、11は上記マイクロプラグ流発生装置をそれぞれ示す。
【0012】
この実施例のマイクロ分離装置1は、図2(a),(b)に示すように、軸線Cを中心とした円板状部分2aと、その円板状部分2aの外終面から軸線Cに対し半径方向外方へ突出した入口継手2bと、その円板状部分2a内に形成された矩形横断面形状のプランジャ室2cと、円板状部分2aおよび入口継手2b内に形成されて軸線Cに対し半径方向外方へ延在するとともに一端部をプランジャ室2c内に半径方向内方へ向けて開放された入口回路2dと、プランジャ室2c内を外部に連通させるドレン回路2eとを有する非磁性体製の入口部材2を具えるとともに、軸線Cを中心として入口部材2を間に挟んで配置された二つのボビン状部分3a,4aと、それらのボビン状部分3a,4aの中心部から軸線Cの延在方向へ互いに対抗してそれぞれ突出した二つの出口継手3b,4bと、ボビン状部分3a,4aおよび出口継手3b,4b内に形成されて軸線Cの延在方向へ延在する二つの外側出口回路3c,4cとを有する非磁性体製の二つの出口部材3,4を具えている。
【0013】
この実施例のマイクロ分離装置1はまた、軸線Cを中心としてプランジャ室2c内に配置されて二つのボビン状部分3a,4aを連結する円柱状部分5aと、その円柱状部分5a内で軸線Cの延在方向へ延在してボビン状部分3a,4a内の外側出口回路3c,4cにそれぞれ連通するとともに互いに分離され、互いに近接する位置でそれぞれ軸線Cに対し入口回路2dと同一の半径方向へ曲げられて、入口回路2dを軸線方向Cで間に挟む位置でプランジャ室2c内に半径方向外方へ向けて開放された二つの内側出口回路5b,5cと、それらの内側出口回路5b,5cの開放端部にそれぞれ連なる二つの環状外周溝5dとを有する非磁性体製の連結部材5を具えるとともに、プランジャ室2c内に収容され、外形横断面形状がコーナー部を面取りされた矩形をなしていて外周面がプランジャ室2cの内周面に実質的に液密に摺接する一方、内形横断面形状が円形をなしていて内周面が連結部材5の外周面に実質的に液密に摺接し、内部に軸線Cに対し入口回路2dおよび内側出口回路5b,5cと同一の半径方向へ延在する接続回路6aを有して、軸線Cの延在方向への往復移動によりその接続回路6aを介し、入口回路2dのプランジャ室2c内側端部を二つの内側出口回路5b,5cのプランジャ室2c内側端部に選択的に接続するこの例では磁性体としての永久磁石製のプランジャ6を具えている。
【0014】
なお、プランジャ6の面取りは、プランジャ室2c内に漏れた流体がプランジャ6の一方の側に封止されてプランジャ6の移動を妨げるのを防止するためのものである。また、環状外周溝5dは、内側出口回路5b,5c内の圧力でプランジャ6が半径方向の一方向へ押圧されて摺動抵抗が大きくなるのを防止するためのものである。そして入口継手2bおよび出口継手3b,4bは、管路を構成するチューブを差し込むためのものである。
【0015】
この実施例のマイクロ分離装置1はさらに、二つのボビン状部分3a,4aに電線を巻かれて形成された二つの電磁コイル7,8を具えるとともに、図1に示すように、それらの電磁コイル7,8に接続されてそれらの電磁コイル7,8に交互に駆動電流を供給する通常のコントローラ9を具えており、これら電磁コイル7,8およびコントローラ9は電磁駆動手段を構成している。
【0016】
かかる実施例のマイクロ分離装置1にあっては、入口回路2dに二種類の液体または液体と気体とのプラグ流が供給されると、コントローラ9によって励磁された電磁コイル7,8が、永久磁石からなるプランジャ6を駆動して、後述の如くして入口回路2dに供給される流体の種類に応じて往復移動させて、入口回路2dの、プランジャ室2c内に半径方向内方へ向けて開放された一端部を、二つの内側出口回路5b,5cの、入口回路2dの一端部を軸線方向で間に挟んでプランジャ室2c内に半径方向外方へ向けて開放された一端部に選択的に接続することで、入口回路2dのプラグ流を二種類の液体または液体と気体とに分離させて二つの外側出口回路3c,4cからそれぞれ外部に流出させる。
【0017】
従って、この実施例のマイクロ分離装置1によれば、微小化が可能な簡易な構成で、しかも電磁気を利用した素早い追従性でプランジャ6を移動させて、プラグ流からの液体同士や液体と気体との分離を連続的に行なうことができる。
【0018】
なお、図1に示すマイクロプラグ流発生装置11も、この実施例のマイクロ分離装置1と実質的に同一の構成部材すなわち、所定の軸線に対し半径方向へ延在するとともに一端部を所定プランジャ室内に前記半径方向の内方へ向けて開放された出口回路と、各々前記軸線上に延在するとともに、互いに近接した一端部同士を前記軸線に対し前記出口回路と同一の半径方向へ曲げられて、前記出口回路を前記軸線方向で間に挟む位置で前記プランジャ室内に前記半径方向の外方へ向けて開放された二つの入口回路と、前記プランジャ室内に前記軸線方向へ移動可能に収容されるとともに、磁性体から形成され、前記軸線方向への移動によって前記出口回路の前記一端部を前記二つの入口回路の前記一端部に選択的に接続するプランジャと、前記プランジャを前記軸線方向に往復移動させる二つの電磁コイル12,13とを具えており、それらの電磁コイル12,13も、この実施例のマイクロ分離装置1のコントローラ9から交互に駆動電流を供給される。
【0019】
図1に示すように、上記マイクロ分離装置1の入口回路と上記マイクロプラグ流発生装置11の出口回路とを連結管路14で連結して、マイクロプラグ流発生装置11の二つの入口回路に二種類の液体をそれぞれ供給するとともに、そのマイクロプラグ流発生装置11の電磁コイル12,13をコントローラ9で交互に駆動すると、マイクロプラグ流発生装置11が上記二種類の液体が交互に流れるプラグ流を生成し、それを管路14を介してマイクロ分離装置1の入口回路に供給する。
【0020】
さらにコントローラ9で、マイクロ分離装置1の電磁コイル7,8を電磁コイル12,13に対し所定の時間すなわち例えば予め計測した、上記二種類のうち所定種類の液体の、マイクロプラグ流発生装置11からの吐出からマイクロ分離装置1への流入までの時間またはその吐出と流入との時間差(位相差)に相当する時間遅れをもって交互に駆動すると、マイクロ分離装置1のプランジャ6が、常に上記所定種類の液体が流入したときに入口回路を所定側の出口回路に接続して、その所定種類の液体と他の種類の液体とを別々の出口回路から吐出させ、二種類の液体を分離させる。
【0021】
従って、この実施例のマイクロ分離装置1によれば、二種類の液体からプラグ流発生装置11が生成するプラグ流を、その切り換えタイミングに同期させてマイクロ分離装置1のプランジャ6が二つの出口回路に振り分けるので、センサのない簡易な構成で、プラグ流からの二種類の液体の分離を連続的に行なうことができる。なお、上記構成によれば、液体と気体とのプラグ流も、同様にして分離することができる。
【0022】
図4〜図7は、図3に示す、図1と類似の構成、すなわち上記実施例のマイクロ分離装置1および上記プラグ流発生装置11と異なり電磁コイルが一個で交流駆動されることで磁性体製プランジャを往復移動させるマイクロ分離装置1およびプラグ流発生装置11(便宜上図1におけると同一符号で示す)の電磁コイルの駆動を、ファンクションジェネレータ15とバルブコントローラ16とで別個にかつ同期するよう調整して行なった点が図1と異なる構成の試験装置で、プラグ流発生装置11に二本のシリンジポンプ17から二種類の液体を供給してプラグ流の生成と二液への分離との実験を行なった際の、マイクロ分離装置1側の動作結果を示すものである。
【0023】
実験条件は、マイクロ分離装置1およびプラグ流発生装置11が何れも直径2mmの永久磁石をプランジャとして使用し、二種類の液体として赤色着色水道水と透明なシリコーン液とを使用し、接続回路のチューブ内径を0.5mmとし、設定流量を各5ml/hとし、電磁コイルの駆動周波数を0Hz,0.5Hz,1Hz,3Hzの四種類とした。
【0024】
図4はマイクロ分離装置1およびプラグ流発生装置11の電磁コイルの駆動周波数0Hz、図5はマイクロ分離装置1およびプラグ流発生装置11の電磁コイルの駆動周波数0.5Hz、図6はマイクロ分離装置1およびプラグ流発生装置11の電磁コイルの駆動周波数1Hz、図7はマイクロ分離装置1およびプラグ流発生装置11の電磁コイルの駆動周波数3Hzであり、何れの周波数でも、左方から来たプラグ流が概ね二液に分離されて上方と下方とに吐出されていることから、原理的に二液の分離が可能であることが確認された。
【0025】
図8は、この発明のマイクロ分離装置の他の一実施例を、マイクロプラグ流発生装置と組み合わせた状態で図示する側面図であり、この実施例のマイクロ分離装置1は、コントローラ9がマイクロ分離装置1用とプラグ流発生装置11用とで別個に設けられるとともに、透明チューブからなる連結回路14の、マイクロ分離装置1の入口回路近くの位置に光源18および連結回路14を間に挟んでその光源18と対向する光センサ19が設けられて、光センサ19がその位置を通る液体の色あるいは光透過度を検出し、マイクロ分離装置1用のコントローラ9に検出信号を入力する点のみ先の実施例と異なっており、他の点は先の実施例と同様に構成されている。
【0026】
この実施例のマイクロ分離装置1によれば、先の実施例と同様の作用効果を奏することができるのに加えて、マイクロプラグ流発生装置11の作動タイミングが不明な場合やプラグ流の送流状態が途中で変化する場合でも、プラグ流の分離を連続的に行なうことができる。
【0027】
以上、図示例に基づき説明したが、この発明は上述の例に限定されるものでなく、特許請求の範囲の記載範囲内で適宜変更し得るものであり、例えばこの発明においては、前記センサを前記マイクロ分離装置の前記プランジャの直近に設けても良く、このようにすれば、プランジャで振り分ける直前で、二種類の液体または液体と気体とのプラグ流における流体の種類を検知するので、より正確に流体の種類に対応させてプランジャを作動させ得て、より正確に流体を分離させることができる。
【0028】
また、この発明においては、図3の試験装置に用いたように、電磁駆動手段を一個の電磁コイルを用いて構成しても良く、このようにすればマイクロ分離装置を、より微小化が可能な簡易な構成とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0029】
かくしてこの発明のマイクロ分離装置によれば、微小化が可能な簡易な構成で、しかも電磁気を利用した素早い追従性でプランジャを移動させて、プラグ流からの液体同士や液体と気体との分離を連続的に行なうことができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明のマイクロ分離装置の一実施例を、マイクロプラグ流発生装置と組み合わせた状態で図示する側面図である。
【図2】(a),(b)は、上記実施例のマイクロ分離装置の構造を示す縦断面図および横断面図である。
【図3】図1と類似の構成でプラグ流の生成と分離とを行なう試験装置を示す構成図である。
【図4】(a),(b)は上記試験装置でマイクロプラグ流発生装置とマイクロ分離装置とを共に0Hzで駆動した場合の互いに異なる時点での状態をそれぞれ示す説明写真である。
【図5】(a),(b)は上記試験装置でマイクロプラグ流発生装置とマイクロ分離装置とを共に0.5Hzで駆動した場合の互いに異なる時点での状態をそれぞれ示す説明写真である。
【図6】(a),(b)は上記試験装置でマイクロプラグ流発生装置とマイクロ分離装置とを共に1Hzで駆動した場合の互いに異なる時点での状態をそれぞれ示す説明写真である。
【図7】(a),(b)は上記試験装置でマイクロプラグ流発生装置とマイクロ分離装置とを共に3Hzで駆動した場合の互いに異なる時点での状態をそれぞれ示す説明写真である。
【図8】この発明のマイクロ分離装置の他の一実施例を、マイクロプラグ流発生装置と組み合わせた状態で図示する側面図である。
【符号の説明】
【0031】
1 マイクロ分離装置
2 入口部材
2a 円板状部分
2b 入口継手
2c プランジャ室
2d 入口回路
2e ドレン回路
3,4 出口部材
3a,4a ボビン状部分
3b,4b 出口継手
3c,4c 外側出口回路
5 連結部材
5a 円柱状部分
5b,5c 内側出口回路
5d 環状外周溝
6 プランジャ
6a 接続回路
7,8 電磁コイル
9 コントローラ
11 マイクロプラグ流発生装置
12,13 電磁コイル
14 連結管路
15 ファンクションジェネレータ
16 バルブコントローラ
17 シリンジポンプ
18 光源
19 光センサ
C 軸線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラグ流を用いた分離装置であって、
バルブを切り替えることによって前記プラグ流を構成する2流体を分離するようにした、ことを特徴とするマイクロ分離装置。
【請求項2】
前記プラグ流を生成するバルブの駆動周期と同じ周期で、分離用のバルブを駆動することを特徴とする、請求項1記載のマイクロ分離装置。
【請求項3】
分離用バルブの手前に設けられた流体の種類を判別するセンサと、このセンサの出力信号を遅延させる装置とを更に有し、この遅延させた信号で前記分離バルブを駆動することを特徴とする、請求項2記載のマイクロ分離装置。
【請求項4】
所定の軸線に対し半径方向へ延在するとともに一端部を所定プランジャ室内に前記半径方向の内方へ向けて開放された入口回路と、
各々前記軸線上に延在するとともに、互いに近接した一端部同士を前記軸線に対し前記入口回路と同一の半径方向へ曲げられて、前記入口回路を前記軸線方向で間に挟む位置で前記プランジャ室内に前記半径方向の外方へ向けて開放された二つの出口回路と、
前記プランジャ室内に前記軸線方向へ移動可能に収容されるとともに、磁性体を有し、前記軸線方向への移動によって前記入口回路の前記一端部を前記二つの出口回路の前記一端部に選択的に接続するプランジャと、
前記入口回路に供給される流体の種類に応じて前記プランジャを前記軸線方向に往復移動させる電磁駆動手段と、
を具えることを特徴とする、マイクロ分離装置。
【請求項5】
プラグ流発生装置が、
所定の軸線に対し半径方向へ延在するとともに一端部を所定プランジャ室内に前記半径方向の内方へ向けて開放された出口回路と、
各々前記軸線上に延在するとともに、互いに近接した一端部同士を前記軸線に対し前記出口回路と同一の半径方向へ曲げられて、前記出口回路を前記軸線方向で間に挟む位置で前記プランジャ室内に前記半径方向の外方へ向けて開放された二つの入口回路と、
前記プランジャ室内に前記軸線方向へ移動可能に収容されるとともに、磁性体を有し、前記軸線方向への移動によって前記出口回路の前記一端部を前記二つの入口回路の前記一端部に選択的に接続するプランジャと、
前記プランジャを前記軸線方向に往復移動させる電磁駆動手段と、
を具えており、
前記プラグ流発生装置が前記電磁駆動手段により前記プランジャを往復作動させて前記二つの入口回路に供給された二種類の流体から生成したプラグ流を前記出口回路から前記マイクロ分離装置の前記入口回路に供給する場合に、
前記マイクロ分離装置の前記電磁駆動手段は、前記プラグ流発生装置がそのプラグ流発生装置の前記電磁駆動手段によりがそのプラグ流発生装置の前記プランジャを往復作動させるタイミングに所定時間遅れをおいて同期させて前記マイクロ分離装置の前記プランジャを往復作動させることを特徴とする、請求項4記載のマイクロ分離装置。
【請求項6】
前記マイクロ分離装置の前記電磁駆動手段は、そのマイクロ分離装置の前記入口回路に設けられたセンサによりその入口回路を通る流体の種類を検知して、その検知結果に基づき前記検知から所定時間遅れをおいて前記マイクロ分離装置の前記プランジャを往復作動させることを特徴とする、請求項4記載のマイクロ分離装置。
【請求項7】
前記センサを前記マイクロ分離装置の前記プランジャの直近に設けることを特徴とする、請求項6記載のマイクロ分離装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図8】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−74563(P2009−74563A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−241407(P2007−241407)
【出願日】平成19年9月18日(2007.9.18)
【出願人】(504147243)国立大学法人 岡山大学 (444)
【出願人】(592253404)協和ファインテック株式会社 (2)
【出願人】(502089693)財団法人 岡山県産業振興財団 (14)
【Fターム(参考)】