説明

マイクロ化学デバイスを用いたNMR装置によるモニタリング方法及び装置、マイクロ化学デバイスとNMR装置を用いた目的生成物の自動合成方法及びシステム

【課題】 本発明はマイクロチップを用いたNMR装置によるモニタリング方法及び装置に関し、生成物の定量的な評価を行なうことができるマイクロチップを用いたNMR装置によるモニタリング方法及び装置を提供することを目的としている。
【解決手段】 複数の物質を合成するNMR用合成チップ20と、該NMR用合成チップ20に送液を行なう第1の送液システム21と、大量の生成物を合成する大量合成チップ25と、該大量合成チップ25に送液を行なう第2の送液システム24と、合成した生成物をモニタリングするNMR装置22と、該NMR装置22からの測定結果を受けて、前記第1及び第2の送液システムを制御する制御用コンピュータ23とから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマイクロ化学デバイスを用いた各磁気共鳴装置(以下NMR装置と略す)によるモニタリング方法及び装置、マイクロ化学デバイスを用いた目的生成物の自動合成方法及びシステムに関する。近年、マイクロチップに様々な化学プロセスを集積化する技術が注目されている。なかでも、マイクロチップを用いた化学合成は、高収率・高効率・安全性・容易なスケールアップ等の観点から早期の実用化が期待されている。
【背景技術】
【0002】
従来、マイクロチップによる合成反応の評価は、主に以下に示すような3種類の方法で行われている。
1.液体クロマトグラフ(HPLC)分析による評価
図4はHPLC分析による評価方法の説明図である。図において、1はマイクロチップで、Y字型の溝1aが掘られている。マイクロチップ1の材料としては、例えばガラスやプラスチック金属等に限定されない。NMR装置に用いる場合には、材質自体からのシグナルや磁性体が不向きであることを考慮すると、パイレックス(コーニング社の登録商標)ガラスが好ましい。2は反応液Aを注入する注入器、3は反応液Bを注入する注入器、4は内標を注入する注入器、5は反応液を溜める容器である。
【0003】
このように構成された装置において、マイクロチップのY字チャネルの入口から反応反応液A,Bを導入し、混合後、出口までのチャネルで化学反応を行なう。反応の進行度合いは、チャネル長さ、反応液の送液流量、チャネル幅や深さ等で制御される。生成物の収量や収率計算等の定量的評価を行なうために、出口手前の別チャネルから定量化のための内標を注入器4から注入する(反応混合液を回収した後に添加してもよい)。
【0004】
反応混合液を30分間に亘って捕集し、同時に反応停止剤を加えて反応を停止させる。捕集した混合液を濃縮・再溶解した後、液体クロマトグラフやガスクロマトグラフを用いて分析し(処理時間は約30分)、生成物と原料その他の不純物のピーク強度から、反応の進行度合いや、生成物の収量・収率等を計算する。
2.分光器による検出・評価
図5は分光器による検出・評価方法の説明図である。図4と同一のものは、同一の符号を付して示す。図において、6は反応液Aを注入するシリンジポンプ、7は反応液Bを注入するシリンジポンプである。これら反応液A,Bはそれぞれキャピラリーチューブ8,9を介してマイクロチップ1に注入される。反応液Aと反応液Bはマイクロチップチャネルで反応する。反応した溶液は、容器11に溜まる。10は反応チャネルの下流(出口手前)において、蛍光検出器10により分光検出され、分光検出器を用いてオンチップで生成物の検出・定量的評価や合成反応の評価を行なう。
3.MSでの直接検出
図6はMS(質量分析計)での直接検出の説明図である。図5と同一のものは、同一の符号を付して示す。図において、反応チャネルの出口をキャピラリーチューブ16を介して直接ESIイオン源等を装着した質量分析計(MS)15に接続し、マススペクトルを測定する。そして、マススペクトル上の生成物ピークの強度から、収量・収率等をMS内蔵のコンピュータ(例えばパソコン)で計算し、合成反応の評価を行なう。
【0005】
従来のこの種の発明としては、例えばHPLC分析におけるポストカラム誘導体化法を用いたマイクロチップ質量分析計であって、マイクロポンプと、マイクロインジェクタとを備えたマイクロチップと、主にESIイオン源を装着した質量分析計(例えば非特許文献1参照)が知られている。また、組合わせ化学ライブラリを形成し、試薬によって希望する化合物を自動的に合成及び評価するシステムが知られている(例えば特許文献1参照)。
【非特許文献1】発明協会公開技報(公技番号2004−502548)
【特許文献1】特開2004−174331号公報(第10頁、第11頁、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
1.マイクロチップによる反応生成物の反応条件を、HPLCで評価する方法に対して
生成物評価のために長時間を要するため、反応条件の最適化を決定するまでに長時間を要する。その理由は、反応液の捕集・濃縮等の前処理・HPLC分析に1時間以上を要するためである。また、濃縮等のオフライン作業が途中に入るため、不安定な生成物の最適な合成条件を正確に評価することが困難である。
2.マイクロチップによる反応生成物の反応条件を、分光検出器を用いて評価する方法に対して
分光検出器の選択性は波長によるため、似たような構造を有する物質は、同じ検出条件で検出されてしまう。即ち、原料・生成物・副生産物等が全て同一骨格を有するような反応系においては、生成物の定量的な評価を行なうことは不可能である。
3.マイクロチップによる反応生成物の反応条件をMSで評価する方法に対して
MSの選択性は、分光検出器に比べると著しく高く、異性体以外は識別が可能であるため、生成物を正確に検出することが可能である。また、リアルタイムで反応混合液をMSに導入して分析できるため、評価に要する時間はHPLCを用いる方法に比べて短い。
【0007】
一方、MSは物質をイオン化して分析する装置である。複数の物質が同時にMSのイオン源内に導入された場合、各成分のイオン化は競争反応で起こる。未反応の原料や副生成物、触媒等が生成物よりも高いイオン化効率を示す場合、生成物のイオン化が阻害され、生成物イオンの強度が低下する。或いは全く観察されないという問題(イオン化阻害)を引き起こす可能性がある。このような状況では、生成物の定量的な評価を行なうことは不可能である。
【0008】
本発明はこのような課題に鑑みてなされたものであって、生成物の定量的な評価を行なうことができるマイクロチップを用いたNMR装置によるモニタリング方法及び装置、マイクロ化学デバイスとNMR装置を用いた目的生成物の自動合成方法及びシステムを提供することを目的としている。また、NMRを用いることで、不安定反応中間の確認が可能となり、それにより反応制御が容易になり、またMSでは、不可能な異性体の識別が可能となるNMR装置によるモニタリング方法及び装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)請求項1記載の発明は、NMR用マイクロ化学デバイスによって合成した生成物をNMR装置を用いてリアルタイムにモニタリングし、モニタリング結果に基づいて前記NMR用マイクロ化学デバイスによる送液条件を制御することを特徴とする。
【0010】
(2)請求項2記載の発明は、複数の物質を合成するNMR用マイクロ化学デバイスと、該NMR用マイクロ化学デバイスに送液を行なう第1の送液システムと、大量の生成物を合成する大量合成用マイクロ化学デバイスと、該大量合成用マイクロ化学デバイスに送液を行なう第2の送液システムと、合成した生成物をモニタリングするNMR装置と、該NMR装置からの測定結果を受けて、前記第1及び第2の送液システムを制御する制御用コンピュータとから構成されることを特徴とする。
【0011】
(3)請求項3記載の発明は、前記NMR装置でのリアルタイムモニタリングを利用して、合成物の収量、収率及び最適合成条件を評価することを特徴とする。
(4)請求項4記載の発明は、前記評価された最適合成条件を元に、ナンバリングアップしたマイクロ化学デバイスで反応液の大量合成を行なうことを特徴とする。
【0012】
(5)請求項5記載の発明は、前記最適合成条件を元に反応反応液送液系を制御することを特徴とする。
(6)請求項6記載の発明は、前記最適合成条件を元にマイクロ化学デバイスの反応系温度を制御することを特徴とする。
【0013】
(7)請求項7記載の発明は、合成条件とNMR装置のデータを1対1で対応させて記録・表示させることを特徴とする。
(8)請求項8記載の発明は、複数の反応液を合成するNMR用マイクロ化学デバイスと、該NMR用マイクロ化学デバイスに送液を行なう第1の送液システムと、大量の生成物を合成する大量合成用マイクロ化学デバイスと、該大量合成用マイクロ化学デバイスに送液を行なう第2の送液システムと、合成した生成物をモニタリングするNMR装置と、該NMR装置からの測定結果を受けて、前記第1及び第2の送液システムを制御する制御用コンピュータとから構成されるシステムと、コンビナトリアル合成システムとを組み合わせて使用できるようにしたことを特徴とする。
【0014】
(9)請求項9記載の発明は、マイクロ化学デバイス内で複数種類の基質を反応させて目的生成物を得る工程と、得られた目的生成物の収率をNMR装置で測定する工程を複数の反応条件について実施することにより複数の収率データを取得する工程と、マイクロ化学デバイス内で目的生成物を得る反応の最適条件を複数の収率データから決定し、決定された最適条件に基づいて目的生成物を別のマイクロ化学デバイス内で大量合成する工程と、
からなることを特徴とする。
【0015】
(10)請求項10記載の発明は、複数種類の基質を混合させて目的生成物を得るための流路を備えた第1のマイクロ化学デバイスと、得られた目的生成物が導入されその収率を測定するNMR装置と、第1のマイクロ化学デバイスにおける目的生成物の合成条件を複数段階に変えて第1のマイクロ化学デバイス内での目的生成物の合成、及びNMR装置による目的生成物の収率の測定を行ない、複数の合成条件についての収率データを取得する制御手段と、前記NMR装置で決定された複数の収率データから最適な合成条件を見つけるデータ評価手段と、見つけられた最適な合成条件に基づいて目的生成物を大量合成するための流路を備えた第2のマイクロ化学デバイスとを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
(1)請求項1記載の発明によれば、マイクロ化学デバイスによる化学合成の反応条件評価にNMR装置を用いることで、NMRスペクトルによる生成物の同定、反応効率や収率の評価をリアルタイムで且つ正確に行なうことができる。
【0017】
(2)請求項2記載の発明によれば、マイクロ化学デバイスによる化学合成の反応条件評価にNMR装置を用いることで、NMRスペクトルによる生成物の同定、反応効率や収率の評価をリアルタイムで且つ正確に行なうことができる。
【0018】
(3)請求項3記載の発明によれば、NMR装置でのリアルタイムモニタリングを利用して合成物の収量、収率及び最適合成条件を評価することができる。
(4)請求項4記載の発明によれば、マイクロ化学デバイスを用いた分析条件でナンバリングアップしたマイクロ化学デバイスを用いて大量の生成物を合成することができる。
【0019】
(5)請求項5記載の発明によれば、最適合成条件を元に反応液送液系を制御することができる。
(6)請求項6記載の発明によれば、最適合成条件を元にマイクロ化学デバイスの反応系温度を制御することができる。
【0020】
(7)請求項7記載の発明によれば、合成条件とNMR装置のデータを1対1で対応させて記録・表示させることで、合成条件が適正であるかどうかを判定することができる。
(8)請求項8記載の発明によれば、コンビナトリアル合成された多検体生成物のNMRスペクトルを的確に得ることができる。
【0021】
(9)請求項9記載の発明によれば、マイクロ化学デバイスとNMR装置を用いて目的生成物の大量合成を行なうことができる。
(10)請求項10記載の発明によれば、マイクロ化学デバイスとNMR装置を用いて目的生成物の大量合成を行なうことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態例を詳細に説明する。
図1は本発明の一実施の形態例を示す構成図である。図において、20は複数の反応液の注入を受けてNMR装置用に合成を行なうNMR用合成チップ、21はNMR用合成チップに反応液を送液する第1の送液システム、22はNMR用合成チップ20で合成した反応液を導入して物質の構造解析を行ないNMRスペクトルを得るNMR装置である。NMR装置の原理は以下の通りである。歳差運動を起こした原子核に外部から高周波磁場を与え、周波数を変えていくと、歳差運動の周波数と同じ周波数になったところで、共鳴現象が起こり、外部のエネルギーを吸収する作用が働く。このエネルギー吸収を電気的に捕らえることによりNMR信号を得ることができ、NMRスペクトルを得ることができる。
【0023】
図2はNMRスペクトルの一例を示す図である。図は、ブランデーの水素核NMRスペクトルを示している。メチレン基(CH2)とメチル基(CH3)が分離(ケミカルシフト)している状態を示している。この図から、ブランデーは水(H2O)とメチレン基とメチル基から構成されていることが分かる。
【0024】
23はNMR装置22からのNMRスペクトルを受けて、NMR用合成チップ20に対する最適な合成条件を決定する制御用コンピュータである。該制御用コンピュータとしては、例えばパソコンが用いられる。24は制御用コンピュータ23から最適な合成条件を受けて反応液を送液する第2の送液システムである。25は、第2の送液システム24から複数の反応液が与えられて大量の合成を行なう大量合成チップである。該大量合成チップ25から生成物が捕集される。図のL1はデータ収集の流れを、L2は制御信号の流れを、L3は液の流れをそれぞれ示している。
【0025】
制御用コンピュータ23は、NMR装置22及びNMR用合成チップ20に反応液を送液するための送液システム21,24、チップの温度制御を行なうためのコントロールシステムを制御する。また、NMR装置22の装置条件や装置状況、測定データ及び送液システムの動作条件や動作結果、チップの温度等を制御する。第1の送液システム21は、NMR用合成チップ20に反応液を送液する。1枚のチップに送液するためのものであるため、送液流量はμl/min程度でよい。送液にはミクロLCポンプやシリンジポンプ等が用いられる。少なくとも、2種類の反応液を同時に送液できるものであり、複数台のポンプを使用してもよい。
【0026】
第2の送液システム24は、マイクロ化学デバイスがナンバリングアップされた大量合成チップ25に反応液を送液する。数100枚にも上るチップに一度に送液するため、LCポンプ等が用いられる。第2の送液システム24は、少なくとも2種類の反応液を同時に送液できるものであり、複数台のポンプを使用してもよい。このように構成された装置の動作を説明すれば、以下の通りである。
【0027】
制御用コンピュータ23に設定された送液条件に従い、反応液が第1の送液システム21から送液されて、NMR用合成チップ20で合成が行なわれる。反応液の送液条件(反応条件)は、設定されているタイムプログラムに従い、数分から数10分の間隔で数回に亘って変更される。即ち、NMR装置22によるリアルタイムモニタリングの結果に基づき、最適な反応条件になるまで、制御用コンピュータ23は第1の送液システム21を制御して反応液の量を制御する。
【0028】
検索する反応条件として、前記した各反応液の送液量の他に、触媒の種類、溶媒の種類、試薬、原料、pH等がある。また、場合によってはNMR用合成チップ20の温度も制御される。温度制御は、例えばNMR用合成チップ20に巻回されたニクロム線等を用いてこのニクロム線に電流を流すことで発熱させ、NMR用合成チップ20の温度を所定の値に調節することで行なう。
【0029】
この場合における合成物のNMRスペクトルは、NMR装置22によってリアルタイムで測定される。反応条件とNMRスペクトルは、1対1で制御用コンピュータ23に記憶される。制御用コンピュータ23は、記憶された反応条件とNMRスペクトルを読み出して、幾つかの反応条件に応じて記憶されたNMRスペクトルより、予め設定されている生成物由来のピーク強度が最高になる反応条件(最適反応条件)を検索し、決定する。ここで決定された最適反応条件は、制御用コンピュータ23から第2の送液システム24に送られる。この結果、送液システム24は大量合成チップ25に最適な条件で送液を行ない、大量の合成液(生成物)を捕集することができる。ここで、最適反応条件検索パラメータとして、「反応に悪影響を与える物質(副生成物,原料等)のピークが最小になる条件」、「生成物ピークと副生成物等のピークとの比が最大になる条件」がある。
【0030】
図3は本発明の動作の一例を示すフローチャートである。先ず、制御用コンピュータ23は反応条件を設定する(S1)。ここで、反応条件とは、例えば送液する反応液の量や、NMR用合成チップ20の温度等をいう。次に、検索条件を設定する(S2)。ここで、検索条件とは、生成物のピーク強度等をいう。
【0031】
次に、制御用コンピュータ23は、第1の送液システム21への送液条件の送信を行なう(S3)。ここで、送液条件とは、各反応液の送液の量等をいう。ここで、NMR用合成チップ20への反応液の送液が行なわれ、合成が行なわれる(S4)。次に、NMR用合成チップで合成された反応液は続くNMR装置22に送られ、リアルタイム測定が行なわれる(S5)。
【0032】
NMR装置22で測定されたNMRスペクトルは、制御用コンピュータ23に送られる。制御用コンピュータ23は、送られてきた測定値を基にピークの検索・反応条件の評価を行なう(S6)。そして、最終的な送液条件が確定したら、その送液条件を第2の送液システム24に送信する(S7)。大量合成チップ25には、与えられた送液条件に従って、反応液が送液され、合成され、合成液の捕集が行なわれる(S8)。
【0033】
以上、説明したように、本発明によれば、マイクロチップによる化学合成の反応条件評価にNMR(核磁気共鳴)装置を用いることで、NMRスペクトルによる生成物の同定、反応効率や収率の評価をリアルタイムで且つ正確に行なうことができる。また、反応条件の変化と、NMRスペクトル変化及び反応条件評価結果を1対1で記録・保存するため、大量合成システムへの最適反応条件の送信が確実且つ容易となる。
【0034】
また、本発明によれば、NMR装置でのリアルタイムモニタリングを利用して合成物の収集、収率及び最適合成条件を評価することができる。また、マイクロチップを用いた分析条件でナンバリングアップしたマイクロチップにより大量の生成物を合成することができる。また、本発明によれば、最適合成条件を元に反応液送液系を制御することができる。更に、最適合成条件を元にマイクロチップの反応系温度を制御することができる。また、本発明によれば、上述したシステムにコンビナトリアル合成システムを組みあわせることができる。このようにすれば、コンビナトリアル合成された多検体生成物のNMRスペクトルを的確に得ることができる。
【0035】
上述の実施の形態例では、マイクロ化学デバイスとして、マイクロチップを用いた場合を例にとったが、本発明はこれに限るものではなく、その他のマイクロ化学デバイス、例えばマイクロリアクタ等を用いることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の一実施の形態例を示す構成図である。
【図2】NMRスペクトルの一例を示す図である。
【図3】本発明の動作の一例を示すフローチャートである。
【図4】HPLC分析による評価方法の説明図である。
【図5】分光器による検出・評価方法の説明図である。
【図6】MS本体での直接検出の説明図である。
【符号の説明】
【0037】
20 NMR用合成チップ
21 第1の送液システム
22 NMR装置
23 制御用コンピュータ
24 第2の送液システム
25 大量合成チップ
L1 データ収集の流れ
L2 制御線の流れ
L3 液の流れ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
NMR用マイクロ化学デバイスによって合成した生成物をNMR装置を用いてリアルタイムにモニタリングし、
モニタリング結果に基づいて前記NMR用マイクロ化学デバイスによる送液条件を制御する、
ことを特徴とするマイクロ化学デバイスを用いたNMR装置によるモニタリング方法。
【請求項2】
複数の物質を合成するNMR用マイクロ化学デバイスと、
該NMR用マイクロ化学デバイスに送液を行なう第1の送液システムと、
大量の生成物を合成する大量合成用マイクロ化学デバイスと、
該大量合成用マイクロ化学デバイスに送液を行なう第2の送液システムと、
合成した生成物をモニタリングするNMR装置と、
該NMR装置からの測定結果を受けて、前記第1及び第2の送液システムを制御する制御用コンピュータと、
から構成されるマイクロ化学デバイスを用いたNMR装置によるモニタリング装置。
【請求項3】
前記NMR装置でのリアルタイムモニタリングを利用して、合成物の収量、収率及び最適合成条件を評価することを特徴とする請求項2記載のマイクロ化学デバイスを用いたNMR装置によるモニタリング装置。
【請求項4】
前記評価された最適合成条件を元に、ナンバリングアップしたマイクロ化学デバイスで反応液の大量合成を行なうことを特徴とする請求項2記載のマイクロ化学デバイスを用いたNMR装置によるモニタリング装置。
【請求項5】
前記最適合成条件を元に反応液送液系を制御することを特徴とする請求項3記載のマイクロ化学デバイスを用いたNMR装置によるモニタリング装置。
【請求項6】
前記最適合成条件を元にマイクロ化学デバイスの反応系温度を制御することを特徴とする請求項3記載のマイクロ化学デバイスを用いたNMR装置によるモニタリング装置。
【請求項7】
合成条件とNMR装置のデータを1対1で対応させて記録・表示させることを特徴とする請求項2記載のマイクロ化学デバイスを用いたNMR装置によるモニタリング装置。
【請求項8】
複数の物質を合成するNMR用マイクロ化学デバイスと、該NMR用マイクロ化学デバイスに送液を行なう第1の送液システムと、大量の生成物を合成する大量合成用マイクロ化学デバイスと、
該大量合成用マイクロ化学デバイスに送液を行なう第2の送液システムと、合成した生成物をモニタリングするNMR装置と、該NMR装置からの測定結果を受けて、前記第1及び第2の送液システムを制御する制御用コンピュータとから構成されるシステムと、コンビナトリアル合成システムとを組み合わせて使用できるようにしたマイクロ化学デバイスを用いたNMR装置によるモニタリング装置。
【請求項9】
マイクロ化学デバイス内で複数種類の基質を反応させて目的生成物を得る工程と、
得られた目的生成物の収率をNMR装置で測定する工程を複数の反応条件について実施することにより複数の収率データを取得する工程と、
マイクロ化学デバイス内で目的生成物を得る反応の最適条件を複数の収率データから決定し、決定された最適条件に基づいて目的生成物を別のマイクロ化学デバイス内で大量合成する工程と、
からなることを特徴とするマイクロ化学デバイスとNMR装置を用いた目的生成物の自動合成方法。
【請求項10】
複数種類の基質を混合させて目的生成物を得るための流路を備えた第1のマイクロ化学デバイスと、
得られた目的生成物が導入されその収率を測定するNMR装置と、
第1のマイクロ化学デバイスにおける目的生成物の合成条件を複数段階に変えて第1のマイクロ化学デバイス内での目的生成物の合成、及びNMR装置による目的生成物の収率の測定を行ない、複数の合成条件についての収率データを取得する制御手段と、
前記NMR装置で決定された複数の収率データから最適な合成条件を見つけるデータ評価手段と、
見つけられた最適な合成条件に基づいて目的生成物を大量合成するための流路を備えた第2のマイクロ化学デバイスと、
を備えたことを特徴とするマイクロ化学デバイスとNMR装置を用いた目的生成物の自動合成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−90955(P2006−90955A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−279560(P2004−279560)
【出願日】平成16年9月27日(2004.9.27)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)国等の委託研究の成果に係る特許出願(平成15年度新エネルギー・産業技術総合開発機構「革新的部材産業創出プログラム マイクロ分析・生産システムプロジェクト」に係る委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受けるもの)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【出願人】(000004086)日本化薬株式会社 (921)
【出願人】(591243103)財団法人神奈川科学技術アカデミー (271)
【Fターム(参考)】