説明

マイクロ及びナノスケールでの物質の位置特異的な沈着のための帯電したエマルション

連続相、連続相に不混和性である不連続相、及び任意に界面活性剤を含むエマルションであり、ここで界面活性剤は、連続相と混和性である第一の部分と、不連続相と混和性である第二の部分とを有する。連続相は高い体積抵抗を有し、不連続相は電荷を帯びている。不連続相は、試薬、活性化学試薬を運搬する溶媒、又は不連続相に分散された固体もしくは不溶性液体の担体用液体であることができる。界面活性剤が存在するならば、これは、連続相の体積抵抗を有意に低下しないように選択される。エマルションは、電荷制御剤も含むことができる。エマルションは、コンビナトリアルケミストリーのための、不連続相から空間的に規定された様式での物質の静電気的に制御された配置、並びに反応を伴う又は伴わないマイクロメーター及びナノメータースケールの配置に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、新規エマルション、並びにそのようなエマルションの、反応を伴う又は伴わない、空間選択性の沈着によるマイクロメーター及びナノメータースケールでの化学物質の製造における使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
本発明は、一般に、基板上、特に平面基板上のDNAチップとして一般に知られている種類の固相DNAアレイの製造に有用であるエマルションについて考察しているが、本発明の用途は、この特定の適用に限定されず、より広範な支流を有し、かつ本発明は、このようなDNAチップの製造に限定されることは意図されていない。
本発明は、その最も広範な形において、表面上への多種多様な化学物質のいずれかのエマルションに媒介された空間的に規定された沈着に関する。物質は、着色材料、染料、薬物分子、ポリマー、触媒、ぬれ防止剤、顔料、腐蝕剤、下塗り剤、並びに固相化学基の脱ブロック、ブロック、誘導体化及び活性化のための試薬を含むことができるが、これらに限定されるものではない。アレイは、デオキシリボ核酸(DNA)、ペプチド、ペプチド核酸(PNA)、リボ核酸(RNA)及び他の固相化学種のアレイ及びコンビナトリアルケミストリーにより集成されたアレイを含むことができる。
【0003】
一般にDNAチップの製造は、次の分子単位が付加される毎に各々除去される保護基を伴う分子単位の基板上への選択的かつ逐次的付加に関連している。このようなDNAアレイ製造法のひとつは、保護基としてトリチル基又はトリチル基誘導体を使用するホスホロアミダイト法として公知のプロセスを使用する。
ホスホロアミダイト法は、ポリマーの化学合成のための、特にDNA部分を形成するためのDNAオリゴヌクレオチド配列合成のための、繰返しの4工程プロセス(脱保護、カップリング、キャッピング及び酸化)である。
【0004】
ホスホロアミダイト法において、1本鎖型のDNA部分は、A、T、G及びCヌクレオチドのDNAを作成する4成分である、4種のヌクレオチド(ホスホロアミダイト型で)のいずれかひとつの、予め決定された順番での逐次付加により作成される。各ヌクレオチドは、その上に化学的に除去可能な保護基を有する。脱保護剤として公知の化学試薬は、保護基を除去し反応性ヒドロキシル基を露出し、次工程においてヌクレオチド(ホスホロアミダイト型の)は、成長しているDNA系(DNA string)にカップリングされる。次工程は、脱保護されたヌクレオチドがカップリングされなかったDNA系が、永久にキャッピングされ、それ以降のカップリング工程においてその分子への望ましくないヌクレオチドの付加を防止するようなキャッピング工程である。第四の最後の工程において、新たに形成されたヌクレオチド間の亜リン酸連結の酸化が行われ、この連結はリン酸トリエステルへ転換される。典型的には、脱保護剤は、ジクロロ酢酸又はトリクロロ酢酸である。
【0005】
DNAアレイの製造において、多くの異なる配列のDNA鎖が基板上に作出され、後に生化学的分析を行うことが可能になっている。この方法においては、アレイの様々な部分が選択的に脱保護されることが必要であり、かつ本発明のひとつの具体的態様が示すこの選択的脱保護は特に必要である。
直接的光-活性化化学又は光除去可能な脱保護技術による選択的脱保護が開発されているが、これらは比較的大きい構成単位が特徴のプローブサイズ20〜50μmで、若干不十分に短くかつ不純な固相オリゴデオキシヌクレオチドを生じ、より効率的な化学種脱保護法を提供することは本発明の目的である。
本出願人は驚くべきことに、不連続相に化学種脱保護剤を含有し、かつ電場の影響下で、平面又は他の形状の基板の予め規定された領域に選択的に沈着される、電荷を帯びたエマルションの使用により、より正確に局在化されかつ効果的な脱保護が可能であることを発見した
【発明の開示】
【0006】
発明の簡単な説明
従ってひとつの形において、本発明は、連続相は高い体積電気抵抗を有し、及び不連続相は電荷を帯びていることを特徴とする、液体連続相及び連続相と実質的に不混和性である液体不連続相を含む組成物に帰すると言われている。
好ましくはこの不連続相は、生物活性物質、触媒、酸もしくは塩基を含む試薬もしくは反応体、ブロック剤、脱ブロック剤、有機もしくは無機の誘導体化剤、医薬品、染料又は顔料を含む群から選択された化合物を含有する。
更なる形において、本発明は、連続相は高い体積抵抗を有し、不連続相は電荷を帯びており、及び界面活性剤は連続相の体積抵抗を有意に低下しないように選択されることを特徴とする、液体連続相、連続相と実質的に不混和性である液体不連続相、及び界面活性剤を含む組成物に帰すると言われている。
【0007】
用語「体積抵抗を有意に低下しない」とは、エマルションの連続相の体積抵抗が、基板上又は不連続相の電荷が無効であるような程度には低下されないことを意味することが意図されている。このような状況において、不連続相は、静電場の影響下で、パターン状(patternwise)には沈着することができない。
不連続相又はいずれかのその成分の選択は、連続相へ有意に分配しないように行われ、これにより連続相の体積抵抗が有意に低下せず、化学種反応性を連続相に付与しないことも注目される。
【0008】
好ましくは、界面活性剤は、連続相と混和性である第一の部分及び不連続相と混和性である第二の部分を有するものである。ここでこれは、連続相及び不連続相の主成分のアナログを有するように、選択されてもよい。この界面活性剤は、それらが誘引される表面のぬれを補助するために、不連続相の液滴の表面張力を低下することを補助することもできる。
界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、非イオン性又は両性化合物、高分子界面活性剤材料又はリン脂質から選択されてよい。
例えば、界面活性剤は、アルコール/脂肪酸エステル、アルコキシル化されたヒマシ油、アルキルフェノールエトキシレート、エトキシル化されたアルコール、ソルビタンエステル、グリセリンエステル、ポリエチレングリコール及びリン脂質であってよい。
【0009】
本発明の別の形において、組成物の界面活性剤の機能は、ピカリング(Pickering)エマルションの形成を可能にするために、極微小の粒状材料である偽-界面活性剤により提供されることがある。このような偽-界面活性剤は、アルミナ、ベントナイト、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、脂肪結晶、酸化マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、二酸化チタン、発煙シリカ、シリカ及び酸化スズ並びに他の表面処理した化合物から選択されてよい。
【0010】
別の形において、本発明は、連続相、連続相と不混和性である不連続相、及び界面活性剤を含むエマルションであり、この界面活性剤は、連続相と混和性である第一の部分及び不連続相と混和性である第二の部分を有し、連続相は高い体積抵抗を有し、不連続相は電荷を帯びており、及び生物活性物質、触媒、酸もしくは塩基を含む試薬もしくは反応体、ブロック剤、脱ブロック剤、有機もしくは無機の誘導体化剤、医薬品、染料又は顔料を含む群から選択される化合物を含有し、並びに界面活性剤は、連続相の体積抵抗を有意に低下しないように選択されることを特徴としている、エマルションに帰すると言われている。
前述のように、連続相は、電気絶縁性である液体で構成され、具体的なシステムの特徴は経験的に決定されるが、そのような液体は、約1x106Ωcm又はそれよりも大きい体積抵抗を有することが好ましいことが予想される。
【0011】
連続相は、ヘキサン、シクロヘキサン、イソ-オクタン、ヘプタン、デカリン、芳香族炭化水素及びイソデカンを含む炭化水素、並びに市販の炭化水素の混合物、例えばExxonにより製造されたアイソパー(アイソパー)(商標)及びノルパー(Norpar)(商標)から選択されてよい。連続相は、フルオロカーボン化合物を含むフルオロ剤(chemical)から選択されてもよい。これらのフルオロ剤は一般に、2〜16個の炭素原子を含み、かつ線状、環式又は多環式のペルフルオロアルカン、ビス(ペルフルオロアルキル)アルケン、ペルフルオロエーテル、ペルフルオロアルキルアミン、ペルフルオロアルキルブロミド及びペルフルオロアルキルクロリド、例えば3Mにより製造されたFluorinert(商標)などを含むが、これらに限定されるものではない。連続相は、例えばポリフェニルメチルシロキサン(PMMS)、ジメチルポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、環式ジメチルシロキサンなどのシリコーン油から選択されてもよい。
ひとつの態様において、連続相は、超臨界二酸化炭素(cCO2)であってもよい。この液体は、フッ素化された界面活性剤と混和性である特性を有する。
連続相は、ゲル又は高粘度の液体であってもよい。
【0012】
不連続相は、水性又は非-水性であってよい。不連続相が非-水性である場合、これは連続相と不混和性又は実質的に不溶性である。
不連続相は、化学種脱保護剤のような活性試薬であるか、又は、この活性化学試薬のための溶媒もしくは担体であってよい。あるいは、この活性化学試薬は、不連続相に分散された固体又は不溶性液体であってよい。
この非-水性不連続相は、アセトン、アセトニトリル、シクロヘキサノン、デカリン、ジブロモメタン、ジクロロメタン(塩化メチレン、DCM)、トリクロロメタン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジオキサン、1,2-ジクロロエタン(DCE)、ニトロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、ジメチルホルムアミド、イソブタノール、イソデカン、及び市販の炭化水素の混合物、例えばExxonにより製造されたアイソパー(商標)及びノルパー(商標)、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、又はイソプロパノール/塩化メチレン、ニトロメタン/メタノール、ニトロメタン/イソプロパノール、トリクロロメタン/メタノールもしくはイソプロパノール/塩化メチレンなどの化合物の混合物から選択されてよい。
【0013】
本発明のエマルションは、電荷制御剤を含有することもできる。
電荷制御剤は、連続相及び不連続相の主成分のアナログを有するように選択されてよい。例えば、連続相がフルオロ剤である場合、その電荷制御剤は、以下に列記された化合物のフッ素アナログを含むことができる。
一部の態様において、電荷制御剤の機能は、界面活性剤により提供され得るか、又は例えば脱保護のための酸のように、化学物質を保持するエマルション液滴に固有であることができる。
電荷制御剤は、酸及びその塩、有機酸及びその塩、又はイオン性もしくは双性イオン性化合物であることができる。
【0014】
電荷制御剤は、金属が、バリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、鉛、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、ジルコニウム及びコバルトを含み、並びに酸部分が、カルボン酸、例えば、カプロン酸、オクタン(カプリル)酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エルカ酸、タル油酸(tallitic acid)、樹脂酸(resinic asid)、ナフテン酸、コハク酸などにより提供される金属セッケンから選択することができる。金属セッケンの例は、トリステアリン酸アルミニウム、ジステアリン酸アルミニウム、バリウム、カルシウム、鉛及び亜鉛のステアリン酸塩;コバルト、マンガン、鉛及び亜鉛のリノール酸塩;アルミニウム、カルシウム及びコバルトのオクタン酸塩;カルシウム及びコバルトのオレイン酸塩;パルミチン酸亜鉛;カルシウム、コバルト、マンガン、鉛及び亜鉛のナフテン酸塩;カルシウム、コバルト、マンガン、鉛及び亜鉛の樹脂酸塩などを含む。電荷制御剤は、レシチン又はアルキルスクシンイミドなどの、リン脂質であってもよい。電荷制御剤は、塩基性カルシウムペトロネート(calcium petronate)又は類似化合物であってもよい。
【0015】
不連続相中の追加成分は、生物活性物質、酸もしくは塩基を含む試薬もしくは反応体、ブロック剤及び脱ブロック剤並びに有機もしくは無機の誘導体化剤、医薬品、染料又は顔料であることができる。触媒も、不連続相に含まれてよく、例えば引き続きの、金、銅、ニッケルなどの無電界メッキのために沈着される。
【0016】
本発明のエマルションは、約20〜99.99容量%の範囲で存在する連続相、約0.01〜80容量%の範囲で存在する不連続相、任意に約0.01〜20質量%の範囲で存在する界面活性剤、及び0.01〜10質量%の範囲で存在する電荷制御剤を有することができる。
一部の適用については、このエマルションは、使用直前に製造することができ、そのような状況においては、界面活性剤は不要であることがある。
【0017】
本明細書を通し、用語エマルションは、エマルション、ミニエマルション及びマイクロエマルションを示すように使用される。従って本発明のエマルションは、真のエマルション、すなわち振盪、攪拌などによる力学的エネルギーの投入により形成されるエマルションであってよい。エマルションは、超音波装置(Sonicator)、電動ホモジナイザー(Ultra-Turrax)又は微量流動化装置(Microfluidiser)などの装置を用いて製造することができる。あるいはエマルションは、標準のエマルションよりも、より多くのエネルギーの適用により形成されるミニ-エマルションであってよい。あるいはエマルションは、温度及び化学組成の正確な条件が存在する場合に、実質的に自然発生的に形成されるマイクロ-エマルションであってよい。エマルションは、液滴サイズ約100μmから0.2μmまでを有し、ミニエマルションは、液滴サイズ500nmから最低約50nmまでを有し、マイクロエマルションは、液滴サイズ約200nm〜1nmまでを有する。各々のサイズ範囲に関して、厳密な規則は存在しないことは注記される。サイズ範囲は、各相及び使用されるならば界面活性剤の組成、並びに調製法に応じて決まるであろう。
【0018】
用語液滴は、エマルション中の不連続相の様々な形態学的形状を意味することが意図されている。これは、球形以外の形状、例えば立方形、円筒形及び薄板状を含んでもよい。
本発明のエマルションは、ピカリングエマルションとして知られる型のエマルションを含んでもよい。これらのエマルションは、連続相、細かく分散された不連続相、及び平均粒子サイズが200nm未満であり両親媒性の特徴を示している少なくとも一種の極微小粒子のシステムである。極微小粒子は、アルミナ、ベントナイト、ケイ酸マグネシウムアルミニウム、脂肪結晶、酸化マグネシウム、三ケイ酸マグネシウム、二酸化チタン、処理した発煙シリカ、シリカ及び酸化スズからから選択することができる。ピカリングエマルションの安定性は、ぬれ接触角、粒子サイズ、粒子濃度、粒状間相互作用及び連続相の粘度などの因子により決まる。
【0019】
粒子を安定剤として使用するための重要な因子は、これらふたつの相による粒子のぬれである。これらふたつの相の各々に対する親和性は、異ならなければならない。これは、接触角により表される。非水性エマルション、特にペルフルオロ連続相及び有機不連続相は、ペルフルオロ相及び非水性相又は油相の両方によりエマルションを安定化する粒子のぬれが必要であろう。固形粒子は、通常サイズがエマルションの不連続相液滴の10分の1である。毛管作用力(capillary force)は、界面における粒子ネットワークの形成を支援することができる。これは、不連続相液滴の合体を防止する機械的障壁として役立つ。合体に対する防御は、粒子を界面から連続相へと放出する(expel)エネルギーを基にしている。このエネルギーは、90°に近いことが理想である接触角によって決まる。小型粒子の接触角の決定に関してひとつの示唆された方法は、所定の質量の粒子及び所定の液体での降下時間(sinking time)を決定することによる。粒子が完全にぬれていると、エマルションは形成されない。低粘度の希ピカリングエマルションは、沈降し、すなわち容器の底に移動するが、合体はせず、すなわち小さい不連続相エマルション液滴は、より大きい液滴を形成するように互いに一緒にはならないであろう。
【0020】
ピカリングエマルションを作製する好ましい方法は、連続相中のエマルションを安定化するために使用される粒子(通常μm以下)を分散することである。粒子が十分に解凝集されることは、最適な結果を実現するために最も重要である。解凝集は、凝集を破壊しかつ粒子を分散するために、非常に高い剪断が必要であり、例えば微量流動化装置のような装置、高い強度の超音波プローブ、コロイドミル、3軸ロール練り機などが必要である。不連続相は、Ultra Turraxなどのようなエマルション化装置の使用によりその傾向のある粒子を含有する連続相中に乳濁化される。
本発明に関して、エマルションの粒子又は液滴は、エマルションの種類及びエマルションが適用されるべき適用に応じて、サイズが100μm以下の範囲である。ホスホロアミダイト法における化学種脱保護のためのエマルションの場合、エマルションは、サイズ範囲50μmから最低20nmまでを有することが好ましい。
【0021】
化学物質の空間的選択的沈着によるマイクロメーター及びナノメータースケールでの本発明の商業的加工処理のエマルションの使用は、エマルション中の液滴サイズ及びそれらの沈着材料又は試薬を選択された部位に運搬する能力のために可能であることは、認められるであろう。
エマルション液滴の帯電の機構は完全には理解されていないが、本出願人は、これは、連続相と不連続相の間の界面への極性種又はイオン種の蓄積に関連していると考える。エマルションの静電帯電は、電荷制御剤及び界面活性剤の使用を伴うもの及び伴わないものの両方で注目されている。
本発明のエマルションの不連続相の液滴の電荷は、正又は負であることができる。本出願人は、選択された組成物に応じて両方を作製した。
【0022】
一部の界面活性剤は、事実上無極性であるが、依然エマルションの液滴の静電帯電に寄与することができる。これは、界面活性剤中の不純物、例えば、触媒、残留反応体、副産物及び界面活性剤の製造に使用された化合物の存在が原因であることがある。
本発明のエマルションが、DNAアレイ形成の化学種脱保護工程に適用される場合、本発明は、絶縁性の液体を含有する連続相、並びに非-水性又は水性の溶媒及び非-水性もしくは水性溶媒中の溶液中に化学種脱保護試薬を含有する不連続相を含み、ここで連続相は高い体積抵抗を有し及び不連続相は電荷を帯びているような、エマルションである組成物に帰すると言われている。
【0023】
本発明のエマルションがDNAアレイ形成の化学種脱保護工程に適用される別の態様において、本発明は、絶縁性の液体を含有する連続相、非-水性又は水性の溶媒、及び非-水性もしくは水性溶媒内の溶液中の化学種脱保護試薬を含有する不連続相、並びに界面活性剤を含み、ここで界面活性剤は連続相と混和性である第一の部分及び不連続相と混和性である基を含む第二の部分を有し、ここで連続相は高い体積抵抗を有し、不連続相は電荷を帯び、及び界面活性剤は連続相の体積抵抗を有意に低下しないように選択されているような、エマルションである組成物に帰すると言われている。
【0024】
連続相は、シリコーン油又は有機液体、例えばヘキサン、シクロヘキサン、イソ-オクタン、ヘプタン、ナフタレン、芳香族炭化水素、デカリン、及びイソデカンから選択された炭化水素油、並びに市販の炭化水素混合物、例えばExxonにより製造されたアイソパー(商標)及びノルパー(商標)から選択されてよい。
あるいは連続相は、ペルフルオロ-オクタン、線状、環式又は多環式のペルフルオロアルキルアルカン、ビス(ペルフルオロアルキル)アルケン、ペルフルオロエーテル、ペルフルオロアミン、ペルフルオロアルキルブロミド及びペルフルオロアルキルクロリド、例えば3Mにより製造されたFluorinert(商標)などの、フルオロ剤であってよい。
【0025】
連続相がフルオロ剤である場合、界面活性剤は、親フッ素部分及び親油性部分のような不連続相と混和性である部分を有するフルオロ剤であることが好ましい。これらの化合物は、両親媒性物質と称することもできる。このようなものの例は、ペルフルオロカーボン-プロポキシプロピレン、フルオロ-アルキル-シトレート、ペルフルオロアルキル-アルキレンモノ-又はジ-モノホリノリン酸及びフッ素化されたリン脂質、アルコール、ポリオール又はポリヒドロキシル化もしくはアミン化された誘導体で酸化アミンを含むもの、アミノ酸誘導体及びAOT(1,4ビス(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸)のフッ素化アナログがある。
【0026】
フッ素化された界面活性剤は、疎水性、非-イオン性、アニオン性、カチオン性又は双性イオン性部分と会合することもできる。このような部分は、例えば、リン脂質、ポリオキシエチレン、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン型コポリマー及びポリオキシエチレンソルビタンエステルを含む。
あるいはこの態様のフルオロ剤は、シリコーン油などの代替化合物により置き換えることができ、これによりこの界面活性剤は、親シリコン性部分を有する化合物から選択されるであろう。
先に説明された様々な界面活性剤の組合せも使用することができる。
【0027】
本発明のこの形のエマルションは、前述の種類の電荷制御剤を更に含んでもよい。
前述のように、本発明のこの態様のエマルションは、真のエマルション又はミニエマルション、すなわちすなわち振盪、攪拌、高剪断などによる力学的エネルギーの投入により形成されるエマルションであってよい。あるいはエマルションは、温度及び化学組成の正確な条件が存在する場合に、実質的に自然発生的に形成されるマイクロエマルションであることができる。
帯電したエマルションの安定性は、商品化の問題点であることがあり、この問題点を克服するために、エマルションは、現場で(in situ)製造され、様々な成分を組合せ、使用直前に乳濁化することが提唱されている。
【0028】
好ましい別法は、エマルションを濃厚型で提供し及び使用直前に希釈することである。これは、使用直前にかなりの量の連続相を添加することにより必要な有用な濃度に希釈される乳濁化型殺虫剤などを供給するために、農業産業において使用される実績のある方法である。濃縮型エマルションは、はるかに高い粘度及び長期安定性(Atlox 4912の技術公報(Technical Bulletin)00-2において、73%〜80%の濃縮型不連続相の生成が可能であることが報告されている)を有する。
本発明のエマルションは、空間的に選択された様式で基板上で反応することが望ましい固相化学反応の範囲で使用することができる。
【0029】
ひとつの態様において、このエマルションは、段階的反応プロセスを使用し、基板上に固相化学アレイを形成する方法において使用することができ、この方法は、下記の工程を含む:
(a)基板のある領域に、他の領域の電場とは異なる電場を形成することにより、基板上に少なくとも1個の領域を規定する工程、
(b)エマルションを基板に塗布する工程であり、ここでエマルションは、電荷を帯びた不連続相液滴及び不連続相中で運搬される化学種脱保護試薬を有する工程、
(c)エマルションの不連続相を、少なくとも1個の領域に、その領域上の電場により誘引し、及び任意に不要領域の沈着を減少するためにバイアス電圧を使用することにより、沈着する工程、
(d)少なくとも1個の領域で化学反応を引き起こす工程、
(e)エマルションを取り除く工程、及び
(f)段階的反応プロセスの次工程を実行する工程。
【0030】
別の態様において、このエマルションは、各カップリング工程前に化学種脱保護工程を伴う、段階的カップリングプロセスを用い、基板上にDNAアレイを形成する方法において使用することができ、この方法は、下記の工程を含む:
(a)その上に静電像を形成することなどにより、基板のある領域の上に、他の領域の電荷又は静電荷とは異なる電荷又は静電荷を形成することにより、基板上に少なくとも1個の領域を規定する工程、
(b)エマルションを基板に塗布する工程であり、このエマルションは、前述のように、電荷を帯びた不連続相及び不連続相中で運搬される化学種脱保護試薬を有する工程、
(c)エマルションの不連続相を、少なくとも1個の領域に、その領域上の電場により誘引し、及び任意に不要領域の沈着を減少するためにバイアス電圧を使用することにより、沈着する工程、
(d)少なくとも1個の領域で化学種脱保護を引き起こす工程、
(e)エマルションを取り除く工程、及び
(f)段階的カップリングプロセスの次工程を実行する工程。
【0031】
段階的カップリングプロセスの次工程は、オリゴデオキシヌクレオチド合成のための標準ホスホロアミダイト化学が実行されるようなものであることができるが、先に考察したように、本発明はこの特定の化学に限定されない。
前述のプロセスは、基板上に、予め決定された空間的順番、位置及び長さのいずれかの配列の選択されたオリゴヌクレオチドを合成するのに十分な回数繰り返してもよいことが認められるであろう。
【0032】
この基板は、エマルションの不連続相を少なくとも1個の予め選択された領域へ誘引するのに十分な時間、電荷を保持することができるような、絶縁性又は誘電性の材料であってよい。基板は、ガラス、プラスチック材料などの誘電体を含んでもよく、あるいは酸化亜鉛、硫化カドミウム、非晶質セレン、セレン-テルル、セレン化鉛、セレン-ヒ素などのセレン合金のような光伝導体を含んでもよい。加えて、光反応性画像形成部材として、例えばポリビニルカルバゾール(PVK)、又はトリニトロフルオレノンにより増感されたポリビニルカルバゾールの複合体などを含む、様々な有機光伝導性材料を選択することができる。同じく米国特許第4,265,990号に開示された、アリールアミンホール輸送分子、及び発光層を伴う、層状の有機光反応性も明らかにされており、この特許の開示は本願明細書に参照として組入れられている。
【0033】
その領域での電荷又は静電荷の形成により基板上に少なくとも1個の領域を規定する工程は、電荷反転し、これにより選択された領域に増強された電場を提供する工程を含むことができる。
電荷又は静電荷の形成は、基板が光伝導体である場合など、静電気的手段によることができ、並びに静電場の形成は、静電気的又は他の帯電により、かつその後照明により選択的に放電する。DNA製造に関連して使用される場合、照明は短紫外領域における照射は含まないことが好ましく、その理由はこれはDNA分子の損傷を引き起こし得るからである。しかしその他の化学チップ又はアレイの集成については、UV照射が使用されてよい。
【0034】
ひとつの好ましい態様において、段階的合成プロセスは、化学種脱保護、すなわちトリチル基の除去を使用するホスホロアミダイト法であるが、本発明は、それには限定されず、他の段階的カップリング又は付加プロセスも含むことができる。
エマルションを除去する工程は、アレイの望ましくない部分で反応することを防ぐために、エマルション中に残存する化学種脱保護剤を中和し、及び洗浄する工程を含むことができる。
前述のように、本発明で使用するためのエマルションは、フルオロ剤のような電気絶縁性の連続相、水性又は非-水性の不連続相、例えば溶液中のその中に化学種脱保護剤を保持する炭化水素油を、好ましくは界面活性剤と及び好ましくは電荷制御剤と共に含有する。
不連続相が炭化水素油である場合、化学種脱保護剤は、強力な有機又は無機のプロトン酸であることができる。
【0035】
化学種脱保護剤を保持する非-水性不連続相は、アセトン、アセトニトリル、シクロヘキサノン、デカリン、ジブロモメタン、ジクロロメタン(塩化メチレン、DCM)、トリクロロメタン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジオキサン、1,2-ジクロロエタン(DCE)、ニトロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、ジメチルホルムアミド、イソブタノール、イソデカン、並びにExxonにより製造されたアイソパー(商標)及びノルパー(商標)などの市販されている炭化水素混合物、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、又はイソプロパノール/塩化メチレン、ニトロメタン/メタノール、ニトロメタン/イソプロパノール、トリクロロメタン/メタノールもしくはイソプロパノール/塩化メチレンなどの化合物の混合物から選択されてよい。
【0036】
化学種脱保護剤は、ルイス酸又はプロトン酸であることができる。ルイス酸は、臭化亜鉛、四塩化チタン、及び硝酸第二セリウムアンモニウムから選択されるが、これらに限定されるものではなく、他方で使用することができる希プロトン酸は、希鉱酸、トリクロロ酢酸(TCA)、ジクロロ酢酸(DCA)、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、ジフルオロ酢酸、過塩素酸、オルトリン酸、トルエンスルホン酸を含むが、これらに限定されるものではない。他の酸は、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフチルジスルホン酸(DNNDSA)、ジノニルナフチルスルホン酸(DNNSA)、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)及びリン酸ジフェニルを含んでよい。
【0037】
実施例
これは全般的に本発明を説明するが、理解を助けるためであり、参照は、本発明のエマルションの例、及びDNAアレイ形成の工程のより詳細な考察のためにここで示されている。
連続相及び不連続相、それらの不混和性、並びに位置指定した沈着及び/又は反応のための関連材料を運搬するそれらの能力の範囲を説明するために、多くの組合せが試験されている。
【0038】
アイソパー G中水の例
帯電されたエマルションは、それらの上に形成された静電パターンにより反対に帯電された基板上に沈着するかどうかを決定するために、実験を行った。この目的のために、絶縁性の連続相及び染料を含んだ不連続相を伴うエマルションを形成し、並びに酸化亜鉛光伝導体を含有する基板を、負パターンで帯電した:
このエマルションは以下を含有する:
連続相 アイソパーG 9.9ml
不連続相 水 0.95ml
ジスルフィンブルー(20mg/ml水性) 0.05ml
Atlox 4912 (アイソパー G中10%w/v) 0.1ml
アイソパーGは、Exxonにより製造された炭化水素である。
ジスルフィンブルーAN 200は、ICIにより製造された。
Atlox 4912は、ICIのUniqema businessにより製造された、非イオン性A-B-Aブロックコポリマー12-ヒドロキシステアリン酸ポリエチレングリコールコポリマーである。
酸化亜鉛光伝導体は、Applied Research of Australia Pty Ltdにより供給され、PETアルミニウム蒸着フィルム上に被覆された絶縁性の樹脂に結合した酸化亜鉛を含有する。
青色染料を混入している不連続相は、負電荷パターンの領域のみに沈着し、これはエマルション中の正帯電した液滴を示すことがわかった。
【0039】
更なる実験において、エマルション組成物が、アイソパー Gの連続相及び以下を含む場合、同等の結果が得られた:
・ジスルフィンブルーを伴う水性不連続相0.5%〜5%(v/v)、及び界面活性剤Atlox 4912を不連続相に対する濃度0.5%(w/v)
・ジスルフィンブルーを伴う水性不連続相0.5%〜2.5%(v/v)、及び界面活性剤Atlox 4912を不連続相に対する濃度0.5%〜2.5%(w/v)
・ジスルフィンブルーを伴う水性不連続相0.5%〜1%(v/v)、及び界面活性剤Atlox 4912を不連続相に対する濃度5%(w/v)
・ジスルフィンブルーを伴う水性不連続相0.5%(v/v)、及び界面活性剤Atlox 4912を不連続相に対する濃度10%(w/v)
【0040】
更なる実験において、エマルション組成物が、アイソパー Gの連続相及び以下を含む場合、同等の結果が得られた:
・ジスルフィンブルーを伴う水性不連続相0.5%〜5%(v/v)、及び界面活性剤Triton X-100を不連続相に対する濃度0.5%〜5%(w/v)。
Triton X-100は、Rohm and Haasから供給された。
【0041】
更なる実験において、エマルション組成物が、アイソパー Gの連続相及び以下を含む場合、同等の結果が得られた:
・ジスルフィンブルーを伴う水性不連続相0.5%〜5%(v/v)、及び界面活性剤セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)を不連続相に対する濃度0.5%〜5%(w/v)。
CTABは、Sigma Aldrich Chemical Companyから購入した。
【0042】
更なる実験において、エマルション組成物が、アイソパー Gの連続相及び以下を含む場合、同等の結果が得られた:
・ジスルフィンブルーを伴う水性不連続相0.5%〜5%(v/v)、及び界面活性剤ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を不連続相に対する濃度0.5%〜5%(w/v)。
SDSは、APS Ajax Fine Chemicals(オーストラリア)から購入した。
【0043】
更なる実験において、エマルション組成物が、アイソパーGの連続相及び以下を含む場合、同等の結果が得られた:
・ジスルフィンブルーを伴う水性不連続相0.5%〜1%(v/v)、及び界面活性剤1,4-ビス(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸を不連続相に対する濃度0.5%〜5%(w/v)。
1,4-ビス(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸(AOT)は、Sigma Aldrich Chemical Companyから購入した。
【0044】
更なる実験において、エマルション組成物が、アイソパー Gの連続相及び以下を含む場合、同等の結果が得られた:
・ジスルフィンブルーを伴う水性不連続相0.5%〜5%(v/v)、及び界面活性剤Q2-5200を不連続相に対する濃度0.5%〜10%(w/v)。
Q2-5200(DC-5200)は、シリコーン骨格及びラウリル及びポリエチレン/ポリプロピレンオキシド基の置換基を持つ組合せ高分子界面活性剤である。これはDow Corningにより製造された。
【0045】
シリコーン油中水
更なる実験において、エマルション組成物が、シリコーン油10センチポアズの連続相及び以下を含む場合、同等の結果が得られた:
・ジスルフィンブルーを伴う水性不連続相0.5%〜5%(v/v)、及び界面活性剤1,4-ビス(2-エチルヘキシル)スルホコハク酸を不連続相に対する濃度0.5%(w/v)。
シリコーン油10センチポアズは、Dow Corningにより製造された。
【0046】
フルオロカーボン中水
帯電されたエマルションは、それらの上に形成された静電パターンにより反対に帯電された基板上に沈着するかどうかを決定するために、更なる実験を行った。この目的のために、絶縁性の連続相及び酸を含んだ不連続相を伴うエマルションを形成し、並びに酸化亜鉛光伝導体を含有する基板を、負パターンで帯電した。この光伝導体は、シクロヘキサノンを溶媒とするButvar 72(1%w/v)及びpH指示薬メチルオレンジ(飽和)の溶液で浸漬被覆し、55℃で30分間乾燥した。
このエマルションは以下を含有する:
連続相 FC40 0.95ml
不連続相 水 0.035ml
ジクロロ酢酸 0.01ml
FC134(水中10%w/v) 0.005ml
FC-40は、3Mにより製造された、低レベルのフッ素化されたホモログを伴うペルフルオロトリブチルアミンである。
ジクロロ酢酸は、Aldrich Chemical Co, Inc.により提供された。
FC-134は、3Mにより製造された、アルキル鎖が主に8個の炭素である、フルオロアルキル4級ヨウ化アンモニウムのカチオン型界面活性剤である。
メチルオレンジは、Kochlightにより製造された、pH指示薬染料である。
Butvar 72は、Solutiaにより製造された、ポリビニルブチラルである。
酸を混入した不連続相は、電荷パターンの領域にのみ沈着し、pH-依存型の黄色からピンク色への色の変化を生じることがわかった。
【0047】
更なる実験において、エマルション組成物が、FC77の連続相及び以下を含む場合、同等の結果が得られた。
このエマルションは、以下を含んだ:
連続相 FC77 0.95ml
不連続相 水 0.035ml
ジクロロ酢酸 0.01ml
FS300 0.005ml
FC-77は、3Mにより製造された、ペルフルオロオクタンである。
Zonyl(商標)FS300は、DuPontにより製造された、非イオン性フルオロ界面活性剤の40質量%水溶液である。
【0048】
トルエン中水
帯電されたエマルションは、それらの上に形成された静電パターンにより反対に帯電された基板上に沈着するかどうかを決定するために、更なる実験を行った。この目的のために、絶縁性の連続相及び顔料を含んだ不連続相を伴うエマルションを形成し、並びに酸化亜鉛光伝導体を含有する基板を、負パターンで帯電した。
このエマルションは以下を含有する:
連続相 トルエン 0.995ml
不連続相 水 0.0025ml
ジスルフィンブルー(20mg/ml水性) 0.0025ml
Q2-5200(トルエン中10%w/v) 0.005ml
トルエンARは、BDH Chemicals Australia Pty Ltd.より供給された、炭化水素である。
青色染料を混入した不連続相は、電荷パターン領域においてのみ沈着することがわかった。
更なる実験において、エマルション組成物が、界面活性剤としてTriton X-100を混入している不連続相を含む場合、同等の結果が得られた。
このエマルションは、以下を含んだ:
連続相 トルエン 0.995ml
不連続相 ジスルフィンブルー(20mg/ml水性) 0.0025ml
Triton X-100 (水中10%w/v) 0.0025ml
【0049】
フルオロカーボン中シリコーン油
帯電されたエマルションは、それらの上に形成された静電パターンにより反対に帯電された基板上に沈着するかどうかを決定するために、更なる実験を行った。この目的のために、絶縁性の連続相及び顔料を含まない不連続相を伴うエマルションを形成し、並びに酸化亜鉛光伝導体を含有する基板を、負パターンで帯電した。
このエマルションは以下を含有する:
連続相 FC40 0.95ml
不連続相 シリコーン油 50CS 0.05ml
シリコーン油50センチポアズは、Dow Corningにより製造される。
不連続相は、光伝導体上の「ぬれ」作用により目視可能な、電荷パターンの領域にのみ沈着し、これはエマルション中の正帯電された液滴を示すことがわかった。
【0050】
更なる実験において、エマルション組成物が、界面活性剤としてZonyl(登録商標)TBCを混入している不連続相を含む場合、同等の結果が得られた。
このエマルションは、以下を含んだ:
連続相 FC40 0.95ml
不連続相 TBCで飽和したシリコーン油50CS 0.05ml
Zonyl(商標)TBCは、DuPont(米国)により製造された、ヘキシル及びオクチル単位が支配的であるホモログ分布(n)を伴う、一般式F(CF2.CF2)nCH2.CH2OHであるフルオロアルキルアルコールのクエン酸エステルである。
不連続相は、連続相の溶媒が蒸発した後残存している光伝導体上の「ぬれ」作用により目視可能な、電荷パターンの領域にのみ沈着していることがわかった。
【0051】
更なる実験において、エマルション組成物が、FC77の連続相を含む場合、同等の結果が得られた。
このエマルションは、以下を含んだ:
連続相 FC77 0.95ml
不連続相 シリコーン油50CS 0.05ml
不連続相は、光伝導体上の「ぬれ」作用により目視可能な、電荷パターンの領域にのみ沈着していることがわかった。
【0052】
更なる実験において、エマルション組成物が、FC77の連続相、及び界面活性剤としてZonyl(登録商標)TBCを混入している不連続相を含む場合、同等の結果が得られた。
このエマルションは、以下を含んだ:
連続相 FC77 0.95ml
不連続相 TBCで飽和したシリコーン油50CS 0.05ml
不連続相は、光伝導体上の「ぬれ」作用により目視可能な、電荷パターンの領域にのみ沈着していることがわかった。
【0053】
フルオロカーボン溶媒中トルエン
帯電されたエマルションは、それらの上に形成された静電パターンにより反対に帯電された基板上に沈着するかどうかを決定するために、更なる実験を行った。この目的のために、絶縁性の連続相及び酸を含む不連続相を伴うエマルションを形成し、並びに酸化亜鉛光伝導体を含有する基板を、負パターンで帯電した。光伝導体は、シクロヘキサノンを溶媒とするButvar 72(1%w/v)及びpH指示薬メチルオレンジ(飽和)の溶液で、浸漬被覆し、55℃で30分間乾燥した。
このエマルションは以下を含有する:
連続相 FC40 0.89ml
不連続相 トルエン中5%ジクロロ酢酸(w/v) 0.1ml
F6H14 (FC40中1%(v/v)) 0.01ml
F6H14は、Apollo Scientific Ltd,(英国)により製造された、半フッ素化されたアルキルアルカン、1-(ペルフルオロ-n-ヘキシル)テトラデカンである。
不連続相は、電荷パターン領域にのみ沈着し、黄色からピンク色へのpH-依存型の色の変化を生じることがわかった。
【0054】
更なる実験において、エマルション組成物が、FC40の連続相、及び界面活性剤としてより高レベルのF6H14を混入している不連続相を含む場合、同等の結果が得られた。
このエマルションは、以下を含んだ:
連続相 FC40 0.8ml
不連続相 トルエン中の5%(w/v)ジクロロ酢酸 0.1ml
F6H14(FC40中1%(v/v)) 0.1ml
不連続相は、電荷パターン領域にのみ沈着し、黄色からピンク色へのpH-依存型の色の変化を生じることがわかった。
【0055】
帯電されたエマルションは、それらの上に形成された静電パターンにより反対に帯電された基板上に沈着するかどうかを決定するために、更なる実験を行った。この目的のために、絶縁性の連続相及び顔料を含む不連続相を伴うエマルションを形成し、並びに酸化亜鉛光伝導体を含有する基板を、負パターンで帯電した。
このエマルションは以下を含有する:
連続相 FC40 0.9ml
不連続相 トルエン中の0.2%(w/v)エチルレッド 0.05ml
トルエン中の5%(w/v)Zonyl(登録商標)FTS 0.05ml
エチルレッドは、Sigma Chemical Co.により供給された、2-[p-ジエチルアミノフェニルアゾ]-安息香酸である。
Zonyl(登録商標)FTSは、DuPont Chemicalsにより製造されたフルオロテロマー中間体である。
赤色染料を混入している不連続相は、電荷パターン領域にのみ沈着したことがわかった。
【0056】
更なる実験において、エマルション組成物が、FC40の連続相、及び界面活性剤としてZonyl(登録商標)TBCを混入している不連続相を含む場合、同等の結果が得られた。
このエマルションは、以下を含んだ:
連続相 FC40 0.975ml
不連続相 トルエン中ジクロロ酢酸5%(v/v)
及びエチルレッド0.2% 0.02ml
HFE 7200中10%(w/v) TBC 0.005ml
HFE 7200は、3Mにより製造されたフルオロ-溶媒、1-エトキシペルフルオロブタンである。
不連続相は、電荷パターン領域にのみ沈着し、平らな酸化亜鉛光伝導体について白色からピンク色への、及びメチルオレンジ-浸漬した酸化亜鉛光伝導体について黄色から赤色への色の変化を生じることがわかった。
【0057】
フルオロカーボン中エチレングリコール
帯電されたエマルションは、それらの上に形成された静電パターンにより反対に帯電された基板上に沈着するかどうかを決定するために、更なる実験を行った。この目的のために、絶縁性の連続相及び蛍光顔料及を含む不連続相を伴うエマルションを形成し、並びにシクロヘキサノンを溶媒とする1% Butvar 72で浸漬被覆した(55℃で30分間乾燥)ガラス製顕微鏡用カバースリップで構成された基板を、負パターンで帯電した。
このエマルションは以下を含有する:
連続相 FC40 0.989ml
不連続相 エチレングリコール中5%(w/v)ジクロロ酢酸
及び0.002%(w/v)ローダミンB 0.001ml
F6H14 0.01ml
ローダミンBは、Sigma Chemical Co.により供給された。
蛍光顕微鏡下のカバースリップの観察により、不連続相は、電荷パターン領域にのみ沈着し、これは明るいピンクの着色を示したことがわかった。
【0058】
更なる実験において、エマルション組成物が、FC40の連続相、及び界面活性剤として高レベルのF6H14を混入している不連続相を含む場合、同等の結果が得られた。
このエマルションは、以下を含んだ:
連続相 FC40 0.949ml
不連続相 エチレングリコール中5%(v/v)ジクロロ酢酸
及び0.002%(w/v)ローダミンB 0.001ml
F6H14 0.05ml
【0059】
更なる実験において、エマルション組成物が、FC40の連続相、及び界面活性剤として更に高レベルのF6H14を混入している不連続相を含む場合、同等の結果が得られた。
このエマルションは、以下を含んだ:
連続相 FC40 0.749ml
不連続相 エチレングリコール中5%(v/v)ジクロロ酢酸
及び0.002%(w/v)ローダミンB 0.001ml
F6H14 0.25ml
【0060】
フルオロカーボン中ニトロベンゼン
帯電されたエマルションは、それらの上に形成された静電パターンにより反対に帯電された基板上に沈着するかどうかを決定するために、更なる実験を行った。この目的のために、絶縁性の連続相及び蛍光染料を含む不連続相を伴うエマルションを形成し、並びにシクロヘキサノンを溶媒とする1% Butvar 72で浸漬被覆した(55℃で30分間乾燥)ガラス製顕微鏡用カバースリップで構成された基板を、負パターンで帯電した。
このエマルションは以下を含有する:
連続相 FC40 0.989ml
不連続相 ニトロベンゼン中5%(v/v)ジクロ酢酸、
5%VTACL(w/v)、及び飽和のローダミン 0.01ml
F6H14 0.001ml
ローダミン6Gは、George T. Gurr (a division of Baird & Tatlock, Essex, 英国)により供給された。
VTACLは、Goodyearにより製造された、アクリル酸ビニルトルエン(Pliolite)の低分子量画分である。
蛍光顕微鏡下のカバースリップの観察により、不連続相は、電荷パターン領域にのみ沈着し、これは明るいピンクの着色を示したことがわかった。
【0061】
フルオロカーボン中ジメチルスルホキシド(DMSO)
帯電されたエマルションは、それらの上に形成された静電パターンにより反対に帯電された基板上に沈着するかどうかを決定するために、更なる実験を行った。この目的のために、絶縁性の連続相及び蛍光染料を含む不連続相を伴うエマルションを形成し、並びにシクロヘキサノンを溶媒とする1% Butvar 72で浸漬被覆した(55℃で30分間乾燥)ガラス製顕微鏡用カバースリップで構成された基板を、負パターンで帯電した。
このエマルションは以下を含有する:
連続相 FC40 0.998ml
不連続相 DMSO中5%(w/v)シュウ酸、0.002%
(w/v)ローダミンB 0.001ml
DMSO中3%FC134 0.001ml
シュウ酸は、BDH Laboratory Supplies(英国)により供給された。
DMSOは、Ajax Fine Chemicals(オーストラリア)により供給された。
蛍光顕微鏡下のカバースリップの観察により、不連続相は、電荷パターン領域にのみ沈着し、これは明るいピンクの着色を示したことがわかった。
【0062】
帯電されたエマルションは、それらの上に形成された静電パターンにより反対に帯電された基板上に沈着するかどうかを決定するために、更なる実験を行った。この目的のために、絶縁性の連続相、並びに沈着の間及び後に染料を水及び空気の両方から保護するために不連続相に溶解した染料及びポリマーを含む不連続相を伴うエマルションを形成した。酸化亜鉛光伝導体を含有する基板は、その全体を帯電し、その後マスクのレプリカ像である負電荷パターンを形成するために、露光前にマスクで覆った。
このエマルションは以下を含有する:
連続相 FC40 0.99ml
不連続相 DMSO中1%(w/v)Butvar 72、
0.1%(w/v)クリスタルバイオレット 0.005ml
DMSO中1%(w/v)Atlox 4912 0.005ml
クリスタルバイオレットは、George T. Gurr, Searle Scientific Services, Bucks(英国)により供給された。
不連続相は、露光されなかった電荷パターン領域にのみ沈着し、紫色の着色を示したことがわかった。最小の特徴付けが試みられた、直径50μmと小さい表面領域が、染料沈着により明確に規定された。
【0063】
更なる実験において、エマルション組成物が、FC40の連続相、並びに界面活性剤としてポリマーAOT及びピンク色蛍光顔料ローダミンBを混入している不連続相を含む場合、同等の結果が得られた。
このエマルションは、以下を含んだ:
連続相 FC40 0.99ml
不連続相 DMSO中1%(w/v)Butvar 72、
0.1%(w/v)ローダミンB 0.005ml
DMSO中10%(w/v)AOT 0.005ml
不連続相は、露光されなかった電荷パターン領域にのみ沈着し、蛍光ピンク色の着色を生じることがわかった。
【0064】
負帯電されたエマルションの例
いくつかのプロセスに関して、負帯電されたエマルションの使用は有用であることがある。
実施例1
Zonyl FS-62は、下記の組成を有する、酸性水中のペルフルオロアルキルスルホン酸及びペルフルオロアルキルスルホン酸塩の配合物である。
【0065】
【表1】

【0066】
エマルションを、アイソパー G中の1%(v/v)不連続相としてFS-62を混入し調製し、潜像として負電荷パターンを生じている酸化亜鉛光伝導体の細片上に沈着した。液滴の沈着は、それらの負電荷が放電されてしまった領域に生じ、負電荷を生じるゾーンには液滴の回避が存在し、このことはエマルション液滴上の負電荷を確認した。
液滴沈着のパターンは、エチルレッドpH指示薬の0.02%(w/v)エタノール溶液に浸漬し、及び55℃で15分間乾燥した酸化亜鉛光伝導体細片を用いて像形成し、淡ピンク色から鮮やかな赤色への変化は、酸性不連続相の位置を明らかにした。
Zonyl(登録商標)FS-62は、DuPont(米国)により製造された。
エチルレッドは、Sigma Chemical Co.から供給された、2-[p-ジエチルアミノフェニルアゾ]-安息香酸であった。
【0067】
実施例2
エマルションを、デカリンの5%(v/v)不連続相としてFC-77中のペルフルオロオクタン酸(PFOA)飽和溶液を混入し調製した。[FC-77中のわずかに1%未満のPFOA濃度は25℃で実現された。]このエマルションを、潜像として負電荷パターンを生じている酸化亜鉛光伝導体細片上に沈着した。液滴の沈着は、それらの負電荷が放電されてしまった領域に生じ、負電荷を生じるゾーンの液滴の回避は、エマルション液滴上の負電荷を確認した。
液滴沈着のパターンは、エチルレッドpH指示薬の0.02%(w/v)エタノール溶液に浸漬し及び55℃で15分間乾燥した酸化亜鉛光伝導体細片を用いて像形成し、淡ピンク色から鮮やかな赤色への変化は、酸性不連続相の位置を明らかにした。
ペルフルオロオクタン酸は、Aldrich Chemical Co. Inc.により供給された。
【0068】
実施例3
エマルションを、アイソパー G中の1%(v/v)不連続相としてイソブタノール中のジノニルナフチルジスルホン酸(DNNDSA)の55%(w/v)溶液を混入し調製した。このエマルションを、潜像として負電荷パターンを生じている酸化亜鉛光伝導体細片上に沈着した。液滴の沈着は、それらの負電荷が放電されてしまった領域に生じ、負電荷を生じるゾーンの液滴の回避は、エマルション液滴上の負電荷を確認した。
液滴沈着のパターンは、エチルレッドpH指示薬の0.02%(w/v)エタノール溶液に浸漬し及び55℃で15分間乾燥した酸化亜鉛光伝導体細片を用いて像形成し、淡ピンク色から鮮やかな赤色への変化は、酸性不連続相の位置を明らかにした。
DNNDSAは、Sigma Aldrich Inc.により供給された。
【0069】
実施例1に関して、不連続相は、60〜85%の水を含有するFS-62(製造業者の規格)であり、非-水性連続相中では正電荷を帯びると予想される。予想に反して、水の不連続相としてのFS-62への更なる添加は、「正」への転換を引き起こすよりもむしろ、これを一層負とするように見えた。
実施例2は予想されたように機能し、フッ素性の溶媒中の強力な表面活性化剤含フッ素酸は、負電荷を生じる。
実施例3において、DNNDSAは、酸及び表面活性化剤の両方として機能し、アイソパー G中のイソブタノールに関して正電荷であると予想されるものを圧倒している。
【0070】
濃縮された帯電エマルションの例
2種のW/O(油中水)製剤を、下記のように作成した:
連続相 10ml アイソパー G (50%)
0.2g Atlox 4912をアイソパー Gに添加し、55℃で加熱。
不連続相 ジスルフィンブルー染料20mg/mlを含有するミリQ水10mlを50%添加し、55℃に加熱した。良く振盪し、Sonics and Materials Sonicatorにおいて1/4インチプローブで音波処理した。
連続相 6ml アイソパー G(30%)
0.28g Atlox 4912をアイソパー Gに添加し、55℃で加熱。
不連続相 ジスルフィンブルー染料20mg/mlを含有するミリQ水14mlを添加し、55℃に加熱した。良く振盪し、Sonics and Materials Sonicatorにおいて1/4インチプローブで音波処理した。
【0071】
両エマルションは、音波処理の後、増粘の徴候を示した。2日間静置した後、青色表面層及び暗青色底面層への非常に少量の分離が存在し、これらは両方とも振盪により再分散し、このことは不連続水相が合体していないことを示している。両方の濃縮されたエマルションは、アイソパー Gで希釈された場合、静電荷パターン上に沈着した。
【0072】
両方の濃縮したエマルション303及び304は、静置時に平衡分離に達した。少量の濃縮物の振盪及び希釈時に、当初得られたものに類似した電荷パターン上への青色不連続相の同様の沈着が、ほぼ150日後に得られた。
【0073】
ピカリングエマルションの配合
連続相 50mlのポリプロピレン製バイアル中にアイソパー G 30mlを入れた。アイソパー Gに0.68g Degussa R805疎水性Aerosilを添加し、Ultra Turraxで前分散した。1/4インチプローブ(Sonics and Materials Sonicator)で1分間の音波処理を複数回行った。超音波プローブによるアイソパー G中のAerosil R805の分散を、各2分間で5回繰り返し、この分散体を音波処理工程の間は冷却した。これは、わずかにかすんだ透明な溶液を生じた。この分散体を、マスターバッチとして用いた。分散した2.3質量%Aerosil R805のマスターバッチを、多くの同一ポリプロピレン製バイアルに分割し、アイソパー Gの更なる添加により、1/2質量/容量%に低下した。マスターバッチを冷却することにより、アイソパー Gの添加を再度行い、かつ各音波処理前に冷却し、2分間X4回音波処理することにより、アイソパー Gを添加した。
不連続相 前述の1/2質量%Aerosil分散体15mlを取り出し、ミリQ水に溶解した2質量/容量%ジスルフィンブルー染料0.15mlを添加した。ピカリングエマルションを、Ultra Turraxにより10秒間低速で、引き続き30秒間高速で作動することにより形成した。
結果 前述の青色ピカリングエマルションは、バイアルの底に沈降し、かつバイアルを4回水平位置まで傾けることにより完全に再分散した。この青色ピカリングエマルションを用い、誘電基板上の静電潜像を現像した。画像は、帯電領域に青色粉末の実質的沈着を生じた。青色粉末をその表面から除去し、視認可能な青色画像を誘電面に認めた。
先の実験において試験したエマルションは、超音波発生装置を用いて調製した。
本発明のエマルションの商業生産のためには、連続生産が望ましいであろう。使用することができる装置は以下を含む:
インライン分散ユニットを備えるUltra-Turrax(発振機としても公知)カタログ番号25 KV-25 F-IL、これはサイズ1〜5μmのエマルションを製造することが可能である。
Sonics & Materials Vibra-cell Model-CV-17プローブシステム:出力600ワット乳化には1/4インチプローブを使用し、出力を制御し時間を区切って産出する。
微量流動化装置M110-S(Microfluidics Corporation)は、乳化チャンバー内で最大23,000psi(1.6x108Pa)を生じることができ、最低試料サイズは14mlであり、12mlよりも多くが回収される。このユニットは、ナノメーターサイズのエマルションの製造が可能である。
【0074】
本明細書を通じ、様々な指示が、本発明の範囲として示されているが、本発明はこれらのいずれかひとつによって制限されるものでなく、2種又はそれよりも多いこれらの組合せに帰することができる。これらの例は、単なる例証のために示され、限定のためではない。
本明細書及び「特許請求の範囲」を通じ、状況が特に必要としない限りは、単語「含有する(comprise)」及び「含む(include)」及び変形「含有している(comprising)」及び「含んでいる(including)」は、言及された整数又は整数群の包含を暗示しているが、その他の整数又は整数群の排除を暗示するものではないことが理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体連続相と、該連続相中で実質的に不混和性の液体不連続相とを含む組成物であって、前記連続相が、高い体積電気抵抗を有し、前記不連続相が、試薬からなるか又は含みかつ電荷を帯びていることを特徴とする、組成物。
【請求項2】
前記試薬が、生物活性物質、活性化されたヌクレオシドアミダイト(A、C、G又はT)、活性化されたオリゴヌクレオチド、酸又は塩基を含む試薬又は反応体、ブロック剤、脱ブロック剤、有機もしくは無機の誘導体化剤、触媒、医薬品、染料又は顔料からなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
液体連続相と、該連続相と実質的に不混和性の液体不連続相と、界面活性剤とを含む組成物であって、前記連続相が、高い体積抵抗を有し、前記不連続相が、電荷を帯びており、かつ前記界面活性剤が、前記連続相の体積抵抗を有意に低下しないように選択さていることを特徴とする、組成物。
【請求項4】
前記界面活性剤が、前記連続相と混和性である第一の部分と、前記不連続相と混和性である第二の部分とを有する、請求項3記載の組成物。
【請求項5】
前記不連続相中に、生物活性物質、活性化されたヌクレオシドアミダイト(A、C、G又はT)、活性化されたオリゴヌクレオチド、酸もしくは塩基を含む試薬もしくは反応体、ブロック剤、脱ブロック剤、有機もしくは無機の誘導体化剤、触媒、医薬品、染料又は顔料を含む群より選択される化合物を更に含む、請求項3記載の組成物。
【請求項6】
連続相、該連続相に不混和性の不連続相と、界面活性剤とを含有するエマルションであって、前記界面活性剤が、前記連続相と混和性である第一の部分と、前記不連続相と混和性である第二の部分とを有し、前記連続相が、高い体積抵抗を有し、前記不連続相が、電荷を帯びており、並びに前記界面活性剤が、該連続相の体積抵抗を有意に低下しないように選択されていることを特徴としている、エマルション。
【請求項7】
前記連続相が、約1x106Ωcm以上の体積抵抗を有する電気絶縁性である液体を含む、請求項6記載のエマルション。
【請求項8】
前記連続相が、ヘキサン、デカリン、シクロヘキサン、イソ-オクタン、ヘプタン、芳香族炭化水素及びイソデカンを含む炭化水素、並びに炭化水素の混合物;線状、環式又は多環式のペルフルオロアルカン、ビス(ペルフルオロアルキル)アルケン、ペルフルオロエーテル、ペルフルオロアルキルアミン、ペルフルオロアルキルブロミド及びペルフルオロアルキルクロリドを含む、フルオロカーボン化合物を含む、フルオロ剤;ポリフェニルメチルシロキサン、ジメチルポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、環式ジメチルシロキサンを含むシリコーン油を含む群より選択される、請求項6記載のエマルション。
【請求項9】
前記連続相が、ゲル又は高粘度の液体である、請求項6記載のエマルション。
【請求項10】
前記不連続相が、非-水性であり、かつ前記連続相と不混和性又は実質的に不溶性である、請求項6記載のエマルション。
【請求項11】
前記不連続相が、試薬、活性化学試薬を保持する溶媒、又は不連続相に分散された固体もしくは不溶性液体のための担体用液体を含む群より選択される、請求項6記載のエマルション。
【請求項12】
前記エマルションの前記不連続相が、アセトン、アセトニトリル、シクロヘキサノン、ジブロモメタン、ジクロロメタン(塩化メチレン、DCM)、トリクロロメタン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジオキサン、1,2-ジクロロエタン(DCE)、ニトロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、デカリン、ジメチルホルムアミド、イソブタノール、アイソパー、ノルパー、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、又はイソプロパノール/塩化メチレン、ニトロメタン/メタノール、ニトロメタン/イソプロパノール、トリクロロメタン/メタノールもしくはイソプロパノール/塩化メチレンなどの化合物の混合物を含む群より選択される、請求項6記載のエマルション。
【請求項13】
前記不連続相中に、生物活性物質、活性化されたヌクレオシドアミダイト(A、C、G又はT)、活性化されたオリゴヌクレオチド、酸もしくは塩基を含む試薬もしくは反応体、ブロック剤、脱ブロック剤、有機もしくは無機の誘導体化剤、触媒、医薬品、染料又は顔料を含む群より選択される化合物を更に含有する、請求項6記載のエマルション。
【請求項14】
前記界面活性剤が、該連続相と混和性である第一の部分と、該不連続相と混和性である第二の部分とを有するように選択されている、請求項6記載のエマルション。
【請求項15】
前記界面活性剤が、アニオン性、カチオン性、非-イオン性又は両性化合物、高分子界面活性剤材料又はリン脂質又はこれらのフッ素化されたアナログを含む群より選択される、請求項6記載のエマルション。
【請求項16】
電荷制御剤を更に含む、請求項4記載のエマルション。
【請求項17】
前記電荷制御剤が、酸及びその塩、有機酸及びその塩、又はイオン性もしくは双性イオン性化合物を含む群より選択される、請求項16記載のエマルション。
【請求項18】
電荷制御剤が、金属が、バリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、鉛、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、ジルコニウム及びコバルトを含み、かつ酸部分が、カルボン酸、例えば、カプロン酸、オクタン(カプリル)酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エルカ酸、タル油酸、樹脂酸、ナフテン酸、コハク酸、リン脂質により提供される、金属セッケンを含む群より選択されるか;又は、前記連続相がフルオロ剤である場合、前記電荷制御剤が、先に列記された化合物のフッ素アナログを含む、請求項16記載のエマルション。
【請求項19】
前記連続相が、約40〜99.99容量%の範囲で存在し、前記不連続相が、約0.01〜60容量%の範囲で存在し、任意に界面活性剤が、約0.01〜20質量%の範囲で存在し、及び電荷制御剤が、0.01〜10質量%の範囲で存在する、請求項4記載のエマルション。
【請求項20】
前記不連続相が、約100μmから最低0.2μmまでの液滴サイズを有する、請求項4記載のエマルション。
【請求項21】
前記エマルションが、1000nmから最低約50nmまでの液滴サイズを有する不連続相を伴うミニ-エマルションである、請求項4記載のエマルション。
【請求項22】
前記エマルションが、約200nmから最低1nmまでの液滴サイズを有する不連続相を伴うマイクロ-エマルションである、請求項4記載のエマルション。
【請求項23】
絶縁性の液体を含み連続相と、非-水性もしくは水性の溶媒及び該非-水性もしくは水性溶媒中の化学種脱保護剤の溶液を含む不連続相と、界面活性剤とを含み、前記界面活性剤が、該連続相と混和性である第一の部分と、前記不連続相と混和性である第二の部分とを有し、かつ該連続相が、高い体積抵抗を有し、該不連続相が、電荷を帯びており、更に該界面活性剤が、該連続相の体積抵抗を有意に低下しないように選択されているエマルションである組成物。
【請求項24】
前記化学種脱保護剤が、ルイス酸、プロトン酸、臭化亜鉛、四塩化チタン、及び硝酸第二セリウムアンモニウム、希鉱酸、トリクロロ酢酸(TCA)、ジクロロ酢酸(DCA)、ベンゼンスルホン酸、トリフルオロ酢酸(TFA)、ジフルオロ酢酸、過塩素酸、オルトリン酸、トルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ジノニルナフチルジスルホン酸(DNNDSA)、ジノニルナフチルスルホン酸(DNNSA)、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)及びリン酸ジフェニルからなる群より選択される、請求項23記載の組成物。
【請求項25】
前記連続相が、フルオロ剤である、請求項23記載の組成物。
【請求項26】
前記フルオロ剤が、ペルフルオロ-オクタン、線状、環式又は多環式のペルフルオロアルキルアルカン、ビス(ペルフルオロアルキル)アルケン、ペルフルオロエーテル、ペルフルオロアミン、ペルフルオロアルキルブロミド及びペルフルオロアルキルを含む、ペルフルオロカーボンである、請求項25記載の組成物。
【請求項27】
前記連続相が、シリコーン油又は有機液体である、請求項22記載の組成物。
【請求項28】
前記エマルションの前記不連続相が、アセトン、アセトニトリル、シクロヘキサノン、ジブロモメタン、ジクロロメタン(塩化メチレン、DCM)、トリクロロメタン、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジオキサン、1,2-ジクロロエタン(DCE)、ニトロメタン、テトラヒドロフラン、トルエン、デカリン、ジメチルホルムアミド、イソブタノール、プロピレンカーボネート、ジメチルスルホキシド、又はイソプロパノール/塩化メチレン、ニトロメタン/メタノール、ニトロメタン/イソプロパノール、トリクロロメタン/メタノールもしくはイソプロパノール/塩化メチレンなどの化合物の混合物を含む群より選択される、請求項23記載の組成物。
【請求項29】
前記界面活性剤が、ペルフルオロカーボン-プロポキシプロピレン、フルオロ-アルキル-シトレート、ペルフルオロアルキル-アルキレンモノ-もしくはジ-モルホリノリン酸、並びにフッ素化されたリン脂質、アルコール、ポリオール又はポリヒドロキシル化もしくはアミン化された誘導体で、酸化アミン及びアミノ酸誘導体を含む群より選択されるフルオロ剤-炭化水素である、請求項24記載の組成物。
【請求項30】
前記界面活性剤が、非-イオン性、アニオン性、カチオン性、両性又は双性イオン性界面活性剤である、請求項23記載の組成物。
【請求項31】
電荷制御剤を更に含む、請求項23記載の組成物。
【請求項32】
前記電荷制御剤が、酸及びその塩、有機酸及びその塩、又はアニオン性もしくは双性イオン性化合物を含む群より選択される、請求項31記載の組成物。
【請求項33】
前記電荷制御剤が、金属が、バリウム、カルシウム、マグネシウム、ストロンチウム、亜鉛、カドミウム、アルミニウム、ガリウム、鉛、クロム、マンガン、鉄、ニッケル、ジルコニウム及びコバルトを含み、並びに酸部分が、カルボン酸、例えば、カプロン酸、オクタン(カプリル)酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エルカ酸、タル油酸、樹脂酸、ナフテン酸、コハク酸、リン脂質により提供される、金属セッケンを含む群より選択されるか;又は前記連続相がフルオロ剤である場合、該電荷制御剤が、先に列記された化合物のフッ素アナログを含んでよい、請求項31記載の組成物。
【請求項34】
連続相と、該連続相と不混和性である不連続相と、界面活性剤とを含むエマルションであって、該界面活性剤が、前記連続相と混和性である第一の部分と、該不連続相と混和性である第二の部分とを有し、前記連続相が、高い体積抵抗を有し、前記不連続相が、電荷を帯びており、かつ生物活性物質、活性化されたヌクレオシドアミダイト(A、C、G又はT)、活性化されたオリゴヌクレオチド、酸もしくは塩基を含む試薬もしくは反応体、ブロック剤、脱ブロック剤、有機もしくは無機の誘導体化剤、触媒、医薬品、染料又は顔料を含む群より選択される化合物を含有し、かつ前記界面活性剤が、該連続相の体積抵抗を有意に低下しないように選択されていることを特徴とする、エマルション。
【請求項35】
連続相と、該連続相と不混和性である不連続相とを含むエマルションであって、前記連続相が、高い体積抵抗を有し、前記不連続相が、電荷を帯びており、かつ生物活性物質、活性化されたヌクレオシドアミダイト(A、C、G又はT)、活性化されたオリゴヌクレオチド、酸もしくは塩基を含む試薬もしくは反応体、ブロック剤、脱ブロック剤、有機もしくは無機の誘導体化剤、触媒、医薬品、染料又は顔料を含む群より選択される化合物を含有することを特徴とする、エマルション。

【公表番号】特表2007−525554(P2007−525554A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515557(P2006−515557)
【出願日】平成16年6月30日(2004.6.30)
【国際出願番号】PCT/AU2004/000863
【国際公開番号】WO2005/000970
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(506000173)ロウステック プロプライエタリー リミテッド (4)
【Fターム(参考)】